IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エクセリタス テクノロジーズ コーポレーションの特許一覧

特表2024-513373空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御
<>
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図1A
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図1B
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図2A
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図2B
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図3
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図4
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図5
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図6
  • 特表-空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】空洞内サブ波長格子を用いた波長可変VCSEL偏光制御
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/14 20060101AFI20240315BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20240315BHJP
   H01S 5/0225 20210101ALI20240315BHJP
   H01S 5/0687 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01S5/14
H01S5/183
H01S5/0225
H01S5/0687
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559841
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022022244
(87)【国際公開番号】W WO2022212303
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,209
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515174168
【氏名又は名称】エクセリタス テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, バートリー シー.
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB33
5F173AB46
5F173AB50
5F173AB52
5F173AB78
5F173AC03
5F173AC20
5F173AC26
5F173AC52
5F173AR06
5F173MC16
5F173MF02
5F173MF13
5F173MF28
5F173MF40
5F173SA09
5F173SA26
(57)【要約】
非常に強力な選択機構が、レーザ空洞内にサブ波長格子を採用することによってレーザ閾値をTEおよびTM偏光に関して異なるように操作することによって、波長可変垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)において提供される。レーザは、最も低い閾値を伴う偏光を選択する。格子は、回折せず、空洞に損失を加えない。それは、VCSEL全体の半導体と空気サブ空洞との間に大きい複屈折層を生成することによって機能する。多層スタック計算は、これがTEに優るTM偏光のためのより低い閾値をもたらすことを示す。このサブ波長格子層は、一実施形態において、半導体表面上のARコーティングに取って代わる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長可変垂直面発光レーザであって、前記波長可変垂直面発光レーザは、
ミラーを有する変形可能な膜素子と、前記レーザの光学空洞を画定する半VCSELと、
前記光学空洞内のサブ波長格子と
を備えている、波長可変垂直面発光レーザ。
【請求項2】
前記サブ波長格子は、前記半VCSEL上に位置している、請求項1に記載のレーザ。
【請求項3】
前記サブ波長格子は、前記半VCSELの上部高屈折率層上に形成されている、請求項1に記載のレーザ。
【請求項4】
前記半VCSELは、分散ブラッグ反射器を含む、請求項1に記載のレーザ。
【請求項5】
前記格子は、50%のデューティサイクルを有する、請求項1に記載のレーザ。
【請求項6】
前記格子は、交互する材料と空気とである、請求項1に記載のレーザ。
【請求項7】
前記格子は、交互するInGaPと空気とである、請求項1に記載のレーザ。
【請求項8】
前記格子は、前記半VCSEL上の反射防止コーティングに取って代わる、請求項1に記載のレーザ。
【請求項9】
波長可変垂直面発光レーザを製作する方法であって、前記方法は、
変形可能な膜素子と前記レーザの光学空洞を画定する半VCSEL素子とを形成することと、
前記半VCSEL素子の中にサブ波長格子を形成することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記サブ波長格子は、前記半VCSEL素子の中にエッチングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サブ波長格子は、前記半VCSELの上部高屈折率層の中にエッチングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記格子は、50%のデューティサイクルを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記格子は、交互する材料と空気とである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記格子は、交互するInGaPと空気とである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記格子は、前記半VCSEL上の反射防止コーティングに取って代わる、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記サブ波長格子を形成することは、前記半VCSEL素子をエッチングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記サブ波長格子は、リソグラフィによって画定される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
波長可変垂直面発光レーザシステムであって、前記波長可変垂直面発光レーザシステムは、
ミラーを有する変形可能な膜素子と、前記レーザの光学空洞を画定する半VCSELと、前記光学空洞内のサブ波長格子とを備えているレーザと、
前記レーザを光学的に励起するための励起チップと
を備えている、波長可変垂直面発光レーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2021年3月29日に出願された米国仮出願第63/167,209号の35 U.S.C.119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0002】
垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)は、制御された線形偏光出力のために、素子に組み込まれた非対称性を必要とする。この非対称性は、長方形のメサによって提供されることができる。例えば、Y.Sato、T.Mori、Y.Yamayoshi、およびH.Kawaguchiの「Polarization Bistable Characteristics of Mesa Structure 980nm Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers」Japanese Journal of Applied Physics,45,L438-L440,(2006年)を参照されたい。別の選択肢は、Y.Rao、W.Yang、C.Chase、M.C.Y.Huang、D.P.Worland、S.Khaleghi、M.R.Chitgarha、M.Ziyadi、A.E.Willner、およびC.J.Chang-Hasnainの「Long-Wavelength VCSEL Using High-Contrast Grating」IEEE J.Selected Topics in Quantum Electronics,19,1701311-1701311(2013年)、またはThor Ansbak Ph.Dの論文「Vertical-cavity surface-emitting lasers for medical diagnosis」Department of Photonics Engineering at The Technical University of Denmark(2012年)に説明されているような、高コントラスト格子ミラーの使用である。別の選択肢は、サブ波長格子である。これは、M.Ortsiefer、M.Goerblich、Y.Xu et al.の「Polarization control in buried tunnel junction VCSELs using a birefringent semiconductor/dielectric subwavelength grating」IEEE Photon.Technol.Lett.22,15-17(2010年)において議論されている。
【0003】
なおもさらなる非対称の例が、存在する。酸化DBRミラーからの歪みが、V.Jayaraman、J.Jiang、B.Potsaid、M.Robertson、P.J.S.Heim、C.Burgner、D.John、G.D.Cole、I.Grulkowski、J.G.Fujimoto、A.M.Davis、およびA.E.Cableの「VCSEL Swept Light Sources」Section 22.5.4 Polarization stability,in Optical Coherence Tomography,W.Drexler,J.G.Fujimoto (eds.),Springer International Publishing Switzerland(2015年)に説明されているように使用されることができる。加えて、非対称金属歪みフィルムも、結晶に適用されることができる。Y.Matsui、D.Vakhshoori、P.Wang、P.Chen、C-C.Lu、M.Jiang、K.Knopp、S.Burroughs、およびP.Tayebatiの「Complete Polarization Mode Control of Long-Wavelength Tunable Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers Over 65-nm Tuning,Up to 14-mW Output Power」IEEE J.Quantum Electronics,39,1037-1048(2003年)を参照されたい。加えて、非対称電力開口も、提案されている。M.A.Bobrov、N.A.Maleev、S.A.Blokhin、A.G.Kuzmenkov、A.P.Vasil’ev、A.A.Blokhin、M.M.Kulagina、Yu.A.Guseva、S.I.Troshkov、W.Lysak、およびV.M.Ustinovの「VCSEL polarization control by rhomboidal selectively-oxidized current aperture」2016 International Conference Laser Optics (LO) Page R3-16(2016年)、およびK-H.HaおよびY-H.Leeの「Polarization Control of Vertical-Cavity Surface-emitting Lasers by Asymmetric Oxide-aperture」(CLEO) Conference on Lasers and Electro-Optics/Pacific Rim ’99 / Paper 2.30,Pages 890-891を参照されたい。
【0004】
表面格子も、P.Debernardi、J.M.Ostermann、M.Feneberg、C.Jalics、およびR.Michalzikの「Reliable Polarization Control of VCSELs Through Monolithically Integrated Surface Gratings: A Comparative Theoretical and Experimental Study」IEEE J.on Selected Topics in Quantum Electronics,11,107-116(2005年)に概説されているように、偏光を制御するために使用されることができる。
【0005】
別の選択肢は、傾斜結晶面上での成長である。N.Nishiyama、M.Arai、S.Shinada、M.Azuchi、T.Miyamoto、F.Koyama、およびK.Igaの「Highly Strained GaInAs-GaAs Quantum-Well Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser on GaAs (311)B Substrate for Stable Polarization Operation」IEEE J.on Selected Topics in Quantum Electronics,7,242- 248(2001年)、およびY.L.Okuno、J.Geske、K-G.Gan、Y-J.Chiu、S.P.DenBaars、およびJ.E.Bowersの「1.3 mm wavelength vertical cavity surface emitting laser fabricated by orientation-mismatched wafer bonding: A prospect for polarization control」Applied Physics Letters,82,2377- 2379(2003年)を参照されたい。
【0006】
J.M.Ostermann、P.Debernardi、A.Kroner、およびR.Michalzikの「Polarization-Controlled Surface Grating VCSELs Under Externally Induced Anisotropic Strain」IEEE Photonics Technology Letters,19,1301- 1303(2007年)は、外部誘発された非対称歪みを使用した偏光制御技法を説明する。
【0007】
2つの追加の選択肢は、1)偏光損失異方性(T.Yoshikawa、T.Kawakami、H.Saito、H.Kosaka、M.Kajita、K.Kurihara、Y.Sugimoto、およびK.Kasaharaの「Polarization-Controlled Single-Mode VCSEL」IEEE J.of Quantum Electronics,34,1009-1015(1998年)参照)、および、2)非対称電流注入(Y.Zheng、C-H.Lin、およびL.A.Coldrenの「Control of Polarization Phase Offset in Low Threshold Polarization Switching VCSELs」IEEE Photonics Technology Letters,23,305-307(2011年)参照)である。
【0008】
加えて、Bart Johnson、Walid Atia、Seungbum Woo、Carlos Melendez、Mark Kuznetsov、Tim Ford、Nate Kemp、Joey Jabbour、 Ed Mallon、Peter Whitneyは、「Tunable 1060nm VCSEL co-packaged with pump and SOA for OCT and LiDAR」Proc.SPIE 10867,Optical Coherence Tomography and Coherence Domain Optical Methods in Biomedicine XXIII,1086706(2019年2月22日)において、非対称歪みが、シリコンおよびGaAsダイを高温において一緒に熱圧着接合することによって誘発され得ることを説明している。歪みは、これらの異なる材料の異なる熱膨張係数によって引き起こされる。非対称接合パッドが、歪みを垂直方向および水平方向において異なるものにする。この歪み非対称性が、有限要素解析および光干渉断層撮影を用いた複屈折性測定を通して検証された。Bart Johnson、Joey Jabbour、Mark Malonson、Mark Kuznetsov、Walid Atia、Nate Kemp、Peter Whitneyの「OCT applications in optics R&D and manufacturing」Proc.SPIE 11630,Optical Coherence Tomography and Coherence Domain Optical Methods in Biomedicine XXV,1163023(2021年3月5日)を参照されたい。
【0009】
非対称歪みは、1/2VCSEL結晶において高い複屈折性を引き起こし、高い複屈折性は、空洞の2つの固有偏光である垂直偏光または水平偏光を選択することおいて非常に有効である。理論上、さらに、それは、一方の偏光に関する利得を他方より選択的に上昇させる。T.C.ChongおよびC.G.FonstadのIEEE Journal of Quantum Electronics,vol.25,no.2,pp.171-178(1989年2月)における「Theoretical gain of strained-layer semiconductor lasers in the large strain regime」、およびLarry A.Coldren、Scott W.Corzine、およびMilan L.Masanovicの「Diode Lasers and Photonic Integrated Circuits」second edition,Wiley(2012年)を参照されたい。この第2の機構は、あまり効果的ではなく、発振偏光は、常時垂直であるわけではない。しかしながら、それは、依然として、III-V族ウエハの110または10結晶面に対して平行に著しく線形に偏光させられる。厳密に制御されていない非点収差ビームのためのARコーティング界面において、モーダル依存反射率等の他の機構も、存在する。おそらく、最終的偏光が、垂直であるか、水平であるかを決定するいくつかの効果が低い競合機構も、存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Polarization Bistable Characteristics of Mesa Structure 980nm Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers」Japanese Journal of Applied Physics,45,L438-L440,(2006年)
【非特許文献2】「Long-Wavelength VCSEL Using High-Contrast Grating」IEEE J.Selected Topics in Quantum Electronics,19,1701311-1701311(2013年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、波長可変(tunable)垂直空洞面発光レーザ(TVCSEL)の中に設計された偏光機構に関する。この機構は、前に議論されたそれらのうちのいくつかより強力であることができ、ある設計にさらに統合されることができる。具体的に、それは、III-V族半導体等の半導体表面にエッチングされたサブ波長格子を採用する。この格子は、任意の反射防止性(AR)コーティングの代わりに使用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般に、一側面によると、本発明は、波長可変垂直面発光レーザであって、ミラーを有する変形可能な膜素子とレーザの光学空洞を画定する半VCSELとを備えている波長可変垂直面発光レーザを特徴とする。本発明によると、サブ波長格子が、光学空洞内に提供される。
【0013】
実施形態において、サブ波長格子は、半VCSEL上に位置する。特に、それは、半VCSELの高屈折率等の上部層上に形成されることができる。
【0014】
格子のピッチΛは、レーザの動作波長(λ)未満である。特に、格子が製作される層が、nの屈折率を有し、この素子の動作波長が、λである場合、格子ピッチΛは、λ/n未満であり、好ましくは、λ/nよりはるかに小さい。1つの具体的例では、λ/nは、約330ナノメートル(nm)であり、Λは、300nm未満であるか、または好ましくは、約200nmである。
【0015】
実施形態において、格子は、50%のデューティサイクルを有する。格子は、交互するInGaPと空気等、交互する材料と空気とである。
【0016】
加えて、格子は、半VCSEL上の典型的反射防止コーティングに取って代わる。
【0017】
一般に、別の側面によると、本発明は、波長可変垂直面発光レーザを製作する方法であって、変形可能な膜素子とレーザの光学空洞を画定する半VCSEL素子とを形成することと、エッチング等によって半VCSEL素子の中にサブ波長格子を形成することとを含む方法を特徴とする。
【0018】
一般に、別の側面によると、本発明は、波長可変垂直面発光レーザシステムを特徴とする。システムは、ミラーを有する変形可能な膜素子とレーザの光学空洞を画定する半VCSELと光学空洞内のサブ波長格子とを備えているレーザと、レーザを光学的に励起するための励起チップとを備えている。
【0019】
部品の構築および組み合わせの種々の新規詳細と他の利点とを含む本発明の上記および他の特徴が、ここで、添付の図面を参照してより具体的に説明され、請求項において指摘されるであろう。本発明を具現化する特性の方法およびデバイスが、本発明の限定としてではなく、例証として示されることを理解されたい。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々および多数の実施形態において採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
付随の図面では、参照記号は、異なる図の全体を通して同じ部分を指す。図面は、必ずしも、縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を例証することに重点が置かれている。
【0021】
図1A図1Aは、一実施形態による分散ブラッグ反射器(DBR)ミラーおよび量子井戸に加えてサブ波長格子を伴うMEMS波長可変VCSEL10を示す。
【0022】
図1B図1Bは、別の実施形態による利得埋め込みDBR VCSELにおける量子井戸QWに加えてサブ波長格子を伴うMEMS波長可変VCSEL10を示す。
【0023】
図2図2Aおよび2Bは、一例における本発明が適用され得る、それぞれ、ウエハ接合型またはダイ接合型波長可変VCSELの分解斜視図および接合パッドの場所を示す半VCSELの概略斜視図である。
【0024】
図3図3は、サブ波長格子を伴う波長可変VCSELを含む光学的に励起された波長可変VCSEL掃引源モジュールの上部平面図である。
【0025】
図4図4は、サブ波長格子および50%デューティサイクルを伴うInGaP層に関するナノメートルにおける格子ピッチの関数としての屈折率のプロットであり、層は、交互するInGaPと空気とである。
【0026】
図5図5A-5Cは、160ナノメートル(nm)の深度のInGaPに関するナノメートルにおける格子ピッチの関数としての透過および反射のプロットである。
【0027】
図6図6A-6Cは、k空間内の回折次数を示し、図6Aは、1,200nmの格子ピッチに関する次数を示し、図6Bは、400nmの格子ピッチに関する次数を示し、図6Cは、200nmの格子ピッチに関する次数を示し(参考のために、図5A-5Dに描画された垂直線参照)、図6Cは、格子ピッチが十分に低い場合、回折次数に対するいかなる損失も存在しないこと、具体的に、ピッチが<340nmである場合、いかなる損失も存在しないことを示す。
【0028】
図7図7Aは、調整曲線を示し、図7Bは、大量の偏光区別を示すTE偏光およびTM偏光に関する閾値利得を示す一方、図7Cは、TE調整範囲およびTM調整範囲内に、あまり重複さえ存在しないことを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ここで、以降、本発明の例証的実施形態が示される付随の図面を参照してより完全に説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化され得、本明細書に述べられる実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するであろうように提供される。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「and/or(および/または)」は、関連付けられたリストアップされた物品のうちの1つ以上のもののあらゆる組み合わせを含む。さらに、単数形および冠詞「a」、「an」、および「the」は、明示的に別様に記載されない限り、同様に、複数の形態を含むことを意図する。さらに、用語「includes(~を含む)」、「comprises(~備えている)」、「including(~を含む)」、および/または「comprising(~を備えている)」が、本明細書において使用されるとき、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではないことを理解されたい。さらに、構成要素またはサブシステムを含む要素が別の要素に接続または結合されているものとして言及および/または示されるとき、それが他の要素に直接接続または結合され得ること、または介在要素が存在し得ることを理解されたい。
【0031】
「第1」および「第2」等の用語が、本明細書では、種々の要素を説明するために使用されるが、これらの要素が、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されるにすぎない。したがって、下で議論される要素は、第2の要素と称され得、同様に、第2の要素も、本発明の教示から逸脱することなく、第1の要素と称され得る。
【0032】
別様に定義されない限り、本明細書において使用される(技術的用語および科学的用語を含む)全ての用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されるもの等の用語が、関連分野の文脈においてそれらの意味に一貫する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書に明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはないであろうことをさらに理解されたい。
【0033】
図1Aは、MEMS波長可変VCSEL10におけるDBRミラーおよび量子井戸のための配置を示し、MEMS波長可変VCSEL10は、本発明の原理に従って構築された空洞内サブ波長格子を伴う。
【0034】
より詳細に、MEMS波長可変VCSEL10は、膜ミラー250を有する前面MEMS膜構造214を含む。1/2または半VCSELチップまたは素子112が、調節可能な空気光学間隙105によって、前面MEMS膜構造214から分離され、光軸に沿った空気光学間隙105の長さは、膜構造214を変形させることによって調整される。
【0035】
半VCSEL素子112は、半VCSEL素子112の利得媒体部分GMを有する。それは、典型的に、高屈折率層H内に埋め込まれた多重量子井戸層QW1、QW2、QW3、QW4を有する。DBRスタックミラーが、半VCSEL素子112において利得媒体に続く。このミラーDBRは、高屈折率材料Hと低屈折率材料Lとの交互する層によって特徴付けられる。一般に、DBRミラーは、所望の反射率と使用される2つの材料の屈折率における差とに応じて、わずか4層から70以上もの多くの層まで(1層=H+L)を有することができる。最後に、半VCSEL素子112は、種々の層が堆積させられ、機械的支持を提供する基板115をさらに含む。
【0036】
本発明によると、サブ波長格子114が、上部高屈折率層THの中に形成され、THは、空気光学間隙105に面している(または、隣接している)。この格子は、一例では、半VCSELの表面において、および上部高屈折率層においてサブ波長格子をエッチングすることによって形成される。これは、任意の反射防止(AR)コーティングに取って代わることができる。50%デューティサイクルでInGaPキャップの中にエッチングすることは、非常に高い複屈折性をもたらす(図4参照)。TEおよびTM屈折率は、√nの両側に存在する。
【0037】
いくつかの製作技法が、格子のために適切である。サブ波長格子は、好ましくは、電子ビームリソグラフィ、UVレーザ干渉リソグラフィ、または他の方法によって画定される。そして、そのリソグラフ結果は、一例では、乾式エッチングプロセスによって半導体の中に転写される。
【0038】
図1Bは、別の実施形態による空洞内サブ波長格子を伴うMEMS波長可変VCSEL10におけるDBRミラーおよび量子井戸の配置を示す。この例は、米国特許公開第2021/0050712号(参照によって本明細書に組み込まれる)に説明されるような利得埋め込みDBRミラーを含む。
【0039】
ここで、全体空洞長は、利得媒体GMをDBRスタックミラーの内側に設置し、組み合わせられた利得媒体およびDBRミラーGM/DBRを生成することによって、光軸の方向において減らされている。
【0040】
一般に、サブ波長格子114は、再び、上部高屈折率層THの中に形成される。後続の第1の量子井戸QW1が、提供され、低屈折率材料層L、高屈折率材料層H、第2の量子井戸QW2、次いで、低屈折率材料層L、高屈折率材料層H、第3の量子井戸QW3、次いで、低屈折率材料層L、高屈折率材料層H、および第4の量子井戸QW4が、後に続く。次いで、DBRミラーの残りの層H、Lが、所望の反射率のために追加される。示されるように、好ましくは、量子井戸は、DBRミラーの高屈折率層と低屈折率層との間に追加される。
【0041】
量子井戸層QW1-QW4は、好ましくは、反射光の電場が最も強力であるDBRミラーのスタック内に高く設置される。これは、利得へのそれらのそれぞれの寄与を最大化する。
【0042】
サブ波長格子114を伴うこのTVCSELは、概して、いくつかの半導体材料系および波長帯域に適用可能である。一般的材料系は、GaN、GaAs、InP、GaSb、InAs等の二元材料、およびInGaN、InAlGaN、InGaP、AlGaAs、InGaAs、GaInNAs、GaInNAsSb、AlInGaAs、InGaAsP、AlGaAsSb、AlGaInAsSb、AlAsSb、InGaSb、InAsSb、およびInGaAsSb等の三元、四元、および五元合金を含むIII-V族半導体材料に基づく。集合的に、これらの材料系は、約400ナノメートル(nm)~2,000nmの動作波長(複数マイクロメートル波長まで延びているより長い波長範囲を含む)を支援する。半導体量子井戸領域および量子ドット利得領域は、典型的に、特に広い利得およびスペクトル放射帯域幅を取得するために使用される。量子井戸層は、正確な材料および所望の波長対象範囲に応じて、意図的に歪ませられることも、歪ませられないこともある。
【0043】
それにもかかわらず、組み合わせられた利得媒体およびDBRミラー、すなわち、GM/DBRは、利得媒体として歪ませられたInGaAs量子井戸を伴うAlGaAs/GaAs材料系に非常によく適している。この系は、約1,050nmの帯域においてレーザを放出する。この材料系では、高屈折率層Hは、GaAsであり、低屈折率層Lは、AlAsまたは類似の高Al含有量AlGaAs合金である。
【0044】
利得媒体は、本実施形態において、光学的に励起される。レーザ放射光および励起光は、GaAs基板の場合と同様、基板が励起波長において吸光性である場合、MEMS膜構造を通って来る必要がある。
【0045】
しかしながら、それは、必ずしも、他の材料系に関して当てはまるわけではない。VCSEL放射は、MEMS側、基板側、または両方から外に出るように構成され得る。MEMSミラー250は、多くの場合、空間モード制御のために湾曲しているが、それは、必ずしも、例えば、半VCSEL素子112内の熱レンズ効果が強力ではない場合、そうである必要はない。
【0046】
図2Aおよび2Bは、MEMS波長可変VCSEL10のための具体的設計を示す。多くの設計が、可能であるが、これは、半VCSELチップまたは素子112をシリコンMEMS光学膜素子110に接合することによって形成され、シリコンMEMS光学膜素子110は、波長調整のための静電可動ミラーを有する。
【0047】
より詳細に、光学膜素子110は、支持体として機能するハンドルウエハ材料210を備えている。現在、ハンドルは、電気接触を促進するためにドープシリコンから作製される。
【0048】
光学膜または素子層212が、ハンドルウエハ材料210に追加される。典型的に、絶縁膜上シリコン層(SOI)ウエハが、使用される。光学膜構造214が、この光学膜層212内に形成される。本実装では、膜層212は、透過光の自由キャリア吸収を最小にするために低ドープ化されたシリコンである。電気接触のために、膜層表面が、通常、加えて、イオン埋め込みによってドープ化され、高度にドープ化された表層を生成する。方法は、層全体が高度にドープ化されている場合に生じるであろう膜層自体における光学吸収を最小にする。絶縁(埋められた二酸化ケイ素)層216が、ハンドルウエハ材料210から光学膜層212を分離する。
【0049】
SOIウエハ材料における膜素子の製造中、絶縁層216は、犠牲/剥離層として機能し、犠牲/剥離層は、ハンドルウエハ材料210から膜構造214を解放するために部分的に除去される。次いで、動作中、絶縁層216の残りの部分が、パターン化された素子層212とハンドル材料210との間に電気絶縁を提供する。
【0050】
本実施形態において、膜構造214は、本体部分218を備えている。この素子10の光軸は、本本体部分218を同軸に通過し、膜層212によって画定される平面に対して直交する。本本体部分218の直径は、好ましくは、300~600マイクロメートルであり、現在、それは、約500マイクロメートルである。
【0051】
テザー220(図示される例では、4つのテザー)が、素子層212の中に製作された弧状のスロット225によって画定され、輪郭を描かれる。テザー220は、本体部分218から、外側部分222まで半径方向に延び、外側部分222は、テザー220が終端するリングを備えている。本実施形態において、渦巻状のテザーパターンが、使用される。
【0052】
膜ミラードット250が、膜構造214の本体部分218上に配置される。いくつかの実施形態において、膜ミラー250は、光学的に湾曲し、光学的に凹面形光学要素を形成し、それによって、湾曲したミラーレーザ空洞を形成する。他の場合、膜ミラー250は、平坦ミラーであり、または、あるいは凸面形でさえある。
【0053】
湾曲した膜ミラー250が、所望されるとき、この湾曲は、本体部分218内にくぼみを形成し、次いで、ミラー250を形成する材料層または複数の層をそのくぼみの上に堆積させることによって、生成されることができる。他の例では、膜ミラー250は、その湾曲をもたらすであろう高圧縮材料応力を伴って堆積させられることができる。
【0054】
膜ミラードット250は、好ましくは、反射誘電体ミラースタックである。いくつかの例では、それは、レーザ10内に発生させられたレーザ光の波長に定義された反射率(1~99.9%等)を提供するダイクロイックミラーフィルタである一方、光学ドット250は、VCSEL素子112内の活性領域を光学的に励起するために使用される光の波長に対して透過性である。なおも他の例では、光学ドットは、アルミニウムまたは金等の反射性金属層である。
【0055】
図示される実施形態において、4つの金属パッドMP1、MP2、MP3、およびMP4が、膜素子110の近位側に堆積させられる。これらは、例えば、半VCSEL素子112上に堆積させられた金パッドGP1-4を使用して、膜素子110の近位面の上に半VCSEL素子112をはんだ付けまたは熱圧着接合するために使用される。
【0056】
2つのワイヤ接合パッド334A、334Bも、提供される。膜ワイヤ接合パッド334Aは、電気接続を膜層212に(したがって、膜構造214に)提供するために使用される。ハンドルワイヤ接合パッド334Bは、電気接続をハンドルウエハ材料210に提供するために使用される。
【0057】
半VCSEL素子112は、概して、上部高屈折率層THの中に形成されたサブ波長格子114と、組み合わせられた、または分離された利得媒体GMおよびDBRミラーDBRとを備えている。
【0058】
なおも他の例では、DBRミラーDBRは、レーザ10内に発生させられたレーザ光の波長に定義された反射率(99%を上回るもの等)を提供するダイクロイックミラーフィルタである一方、DBRは、VCSEL素子112内の活性領域を光学的に励起するために使用される光の波長に対して透過性であり、したがって、半VCSEL素子112が励起光の入力ポートとして機能することを可能にする。
【0059】
約1,050nmの中心波長で動作するVCSELの例では、ミラー反射率は、波長が約1,050nmの光に関してより高い値に向かう傾向にある。例えば、DBRの反射率は、約99.99%である。他方、前面ミラードット250は、通常、99%以上である。本実施形態において、ミラードット250は、約99.4%以上の反射率を有する。
【0060】
動作時、VCSEL素子は、電気的または光学的に励起される。発生させられた光は、DBRミラーDBRと膜ミラー250との間で共振する。発生させられた光の波長は、本体部分218とハンドルウエハ材料210および/または半VCSEL素子112との間の静電場を制御することによって、本体部分218(したがって、膜ミラー250)の面外静電変形によって素子の走査帯域内で調整される。素子波長は、約1,000nm~1,100ナノメートルの範囲にわたって掃引する。
【0061】
図2Bは、半VCSEL素子112上の隠れている接合パッドGP1-GP4を示す概略図である。
【0062】
1/2VCSEL素子112上の薄肉金パッドGP1-GP4は、接合部を形成するように高圧力および高温度においてそれらを接触させることによって、MEMS膜(ミラー)素子110の対応する膜パッドMP1、MP2、MP3、およびMP4に熱圧着接合される。典型的に、これは、300~360℃および1~10Nの力において行われる。しかしながら、金/スズおよび/または共晶はんだ付け等の他の高温接合方法も、類似の効果を生じさせるために使用されることができる。
【0063】
図3は、例示的な光学的に励起される波長可変VCSEL掃引源システム101を示し、システム101は、サブ波長偏光安定化VCSEL10を採用し、そのシステムは、単一のモジュールに統合されている。
【0064】
励起チップ760からの光が、励起光ファイバ742を介してベンチ740に結合される。チップは、より高いレベルの統合のために、ベンチの上に直接統合されることもできる。光ファイバ742からの励起光712が、ベンチ740に取り付けられた第1のレンズLensAによってコリメートされる。励起光712は、次いで、ダイクロイックミラー732を通して透過され、次いで、第2のレンズLensBによって、VCSEL100の半VCSEL112の上に集束させられる。
【0065】
好ましくは、ベンチ740は、次に、密封パッケージ744内に据え付けられ、光ファイバが、パッケージ744のファイバフィードスルー746、748を通過する。
【0066】
ダイクロイックミラー732は、VCSEL10によって放射されるVCSEL光734のより長い波長を反射するが、図示される例では、励起光712、724に対して透過性である。具体的に、図示される例では、VCSEL10からの波長可変信号が、ベンチ740に取り付けられたダイクロイックミラー732によって反射され、ベンチ740に取り付けられた折り曲げミラー750に向かわせられ、次いで、ベンチ740に取り付けられた第3のレンズ752に向かわせられる。第3のレンズ752は、光を出力光ファイバ754の入り口開口の中に集束させる。
【0067】
この具体的設計のさらなる詳細が、米国特許出願公開第US 2019/0348813 A1号(本参照によってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0068】
加えて、利得が、システム101に追加されることができる。例えば、半導体光学増幅器(SOA)チップ756も、ベンチ740上に据え付けられた状態で示される。典型的に、内部結合レンズ758およびコリメートレンズ762が、それぞれ、SOAチップ756の入力および出力上に追加される。SOA756は、VCSEL10からの出力をブーストする。絶縁器764も、任意の寄生光学空洞をなくすためにSOA756とVCSEL10との間において有用である。
【0069】
(サブ波長格子設計考慮点)
【0070】
垂直入射に関して、ピッチΛ<λ/nを伴う格子は、回折することができず、nは、基板屈折率であり、Λは、格子ピッチであり、λは、波長である。これらの格子は、依然として、光学的に活性であり、非常に大きくあり得る均一な複屈折性を示す。Dale C.Flandersの「Submicrometer periodicity gratings as artificial anisotropic dielectrics」Appl.Phys.Lett.42,492(1983年)およびAmnon YarivおよびPochi Yehの「Electromagnetic propagation in periodic stratified media.II.Birefringence,phase matching,and x-ray lasers」J.Opt.Soc.Am.67,438-447(1977年)を参照されたい。バルク屈折率nおよびnを伴う格子材料に関して、溝に対して平行(TE)および垂直(TM)の電場に関する層状構造の屈折率は、以下の通りである。
【数10】
【0071】
式中、qは、材料充填係数である。これらの式は、Λ<<λ/nである、限界に関して有効である。この限界が妥当なリソグラフィによって到達可能でない場合、複屈折性は、電磁場ソルバによって決定されることができる。以下の表は、GaAsに合致させられた半導体InGaP格子に関する例示的屈折率値を与える。
【表1】
【0072】
フォトニック結晶シミュレータが、InGaPの中に160nmの深度までエッチングされた格子の性質を計算するために使用された。設計演習としてその透過および反射対格子ピッチを調査することで、これらの格子が、十分に短い格子ピッチに関して無損失的であることが示された。より長いピッチにおいては、格子は、角度を付けて回折し、VCSEL空洞に損失を導入する。
【0073】
図4は、「MITフォトニック帯域(MPB)」と呼ばれる、MIT製電磁場計算プログラムである、MPBによって計算されたTEおよびTM屈折率対格子ピッチを示す。それらは、方程式(1)および(2)によって計算された値に漸近的に近づく。
【0074】
図5A-5Dは、波長において約1,100で動作する波長可変レーザに関する160nmの深度のInGaP格子に関するナノメートルにおける格子ピッチの関数としての透過および反射のプロットである。図5Aおよび5Bは、格子114の表面に対して垂直である透過波および反射波に関するプロットである。図5Cおよび5Dは、回折次数に関するプロットである。λ/n、この場合、340nm未満の格子ピッチに関するいかなる回折も存在しないことに留意されたい。
【0075】
図6A-6Cは、k空間内の回折次数を示す。それらは、1,200nm(図6A)、400nm(図6B)、および200nm(<340nm)(図6C)の格子ピッチに関するものである。参考のために、図5A-5Dに描画された垂直線を参照されたい。
【0076】
(閾値利得の非対称性)
【0077】
図7A-7Cは、TE偏光およびTM偏光の各々に関するマイクロメートルにおける光学間隙の関数としてのナノメートルにおける波長、パーセントにおける往復閾値利得の関数としてのナノメートルにおける波長、およびマイクロメートルにおける光学間隙の関数としてのパーセントにおける往復閾値利得のプロットである。曲線は、著しい偏光区別を示す。閾値利得の不均衡を除いて、曲線は、TE調整範囲およびTM調整範囲において、あまり重複さえ存在しないことを示す。
【0078】
したがって、閾値利得曲線は、VCSELにおけるTM偏光、特に、VCSELが多くの光学間隙設定に対してレーザ放出しない図1Bの設計に関して、優れた利点を示す。TEモードおよびTMモードは、同じ間隙設定に対して異なる波長において共振するが、しかしながら、TMモードのみが、そのより低い閾値利得によりレーザを放出するであろう。TMモードは、あまり感度が高くない調整も有し、それも、同様に、利点である。
【0079】
一般に、利得は、量子井戸層の屈折率の虚数部分を操作することによって追加される。VCSELにおける層の全て、MEMS膜ARおよびHR誘電層、空隙、およびIII-V族半導体層の全ての反射率が、計算される。閾値利得は、スタック反射率が最大である点である。
【0080】
TM偏光に関するより低い利得要件は、空洞内のより少ない損失の結果ではない。サブ波長格子114は、理論的には無損失である。それは、空洞内のエネルギーの分布の結果である。III-V族半導体と空隙との間にARコーティングを伴う他の設計に関して、このARコーティングは、空洞内のエネルギーの分布の大きい役割を果たす。例えば、屈折率√nの4分の1波コーティングは、nの半導体屈折率のための完璧なARコーティングである。完璧なARコーティングから離れると、>√nの屈折率は、エネルギーを空洞の空気側の中に押し込む。<√nの層は、光エネルギーを半導体側にまとめる。これらは、空気/空洞優位および半導体/空洞優位のケースである。量子井戸から利得を抽出するより強力な定在波を用いて、半導体/空洞優位設計は、より低い閾値を有する。VCSELは、より低い閾値モードの動作を優先するであろう。これは、空洞にいかなる偏光依存損失も追加することなく、行われる。サブ波長格子は、TE空洞を空気優位に、TM空洞を半導体優位にし、閾値利得の大きい差異を引き起こす。
【0081】
本アプローチは、TE偏光およびTM偏光に関してレーザ閾値を異なるように操作することによって、非常に強力な選択機構を提供する。レーザは、最も低い閾値を伴う偏光を選択する。この選択は、サブ波長格子114によって成される。格子は、回折せず、空洞に損失を追加しない。これは、VCSEL全体の半導体と空気サブ空洞との間に大きい複屈折層を生成することによって機能する。多層スタック計算は、これがTEに優るTM偏光のためのより低い閾値をもたらすことを示す。
【0082】
本発明は、特に、その好ましい実施形態を参照して示され、説明されているが、形態および詳細の種々の変更が、添付の請求項によって包含される発明の範囲から逸脱することなく、その中で行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】