(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための装置および方法、ならびにそのような装置による光学式のガス分析/検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/73 20060101AFI20240315BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01N21/73
H05H1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560430
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022057384
(87)【国際公開番号】W WO2022207396
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518303251
【氏名又は名称】インフィコン・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルトナー,アストリット
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアウス,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】バルヒリ,ウルス
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
2G043
2G084
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043CA02
2G043EA08
2G043FA06
2G043HA01
2G043HA05
2G043JA01
2G043LA02
2G084AA27
2G084CC03
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC19
2G084CC33
2G084CC34
2G084DD05
2G084DD18
2G084HH02
2G084HH34
2G084HH42
(57)【要約】
本発明は、広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための装置に関する。装置は、低圧範囲における第1のプラズマを生成するための第1の放電チャンバ(2)内の第1のプラズマ源(1)と、高圧範囲における第2のプラズマを生成するための第2の放電チャンバ(4)内の第2のプラズマ源(3)と、装置をシステムに結合させ、システムからガスを導き出すための第1の結合要素(5)と、装置を光学センサ(12)に結合させるための第2の結合要素(6)とを備える。第1の放電チャンバ(2)は、第2の結合要素(6)への少なくとも1つの光学レンズ(7、8)による第1の光学的接続を有し、第2の放電チャンバ(4)は、第2の結合要素(6)への少なくとも1つの光学レンズ(8)による第2の光学的接続を有する。さらに、本発明は、光学式のガス分析またはガス検出のためのシステム、ならびにプラズマ生成およびシステムの動作のための対応する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための装置であって、
・第1のプラズマ源(1)であって、第1の放電チャンバ(2)内に配置され、低圧範囲において第1のプラズマ(14)を生成するように構成され、前記低圧範囲は、とくには高真空まで、すなわち例えば10
-8Torrまで及ぶ、第1のプラズマ源(1)と、
・第2のプラズマ源(3)であって、第2の放電チャンバ(4)内に配置され、高圧範囲において第2のプラズマ(15)を生成するように構成され、前記高圧範囲は、とくには常圧を上回る圧力まで、すなわち例えば1500Torrまで及ぶ、第2のプラズマ源(3)と、
・とくにはフランジを有し、前記装置をシステムに結合させるための第1の結合要素であって、前記結合要素は、前記システムからガスを導き出すように設計されている、第1の結合要素(5)と、
・前記装置を光学式のガス分析またはガス検出のためにフォトダイオードまたは分光計などの光学センサに結合させるための第2の結合要素(6)と
を備え、
前記第1の放電チャンバ(2)は、前記第2の結合要素(6)への少なくとも1つの光学レンズ(7、8)を有する第1の光学的接続(L1)を有し、前記第2の放電チャンバ(4)は、前記第2の結合要素(6)への少なくとも1つの光学レンズ(8)を有する第2の光学的接続(L2)を有する、装置。
【請求項2】
前記低圧範囲と前記高圧範囲とが合わさって、少なくとも10桁、とくには12桁を超える圧力範囲に及ぶ、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記低圧範囲と前記高圧範囲とが、例えば0.35Torr~3.5Torrなど、とくには1桁の圧力範囲にわたって重なり合う、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のプラズマ源および前記第2のプラズマ源(1、3)は、異なるプラズマ源であり、例えば各々が、グロー放電源、無声放電源、高周波プラズマ源、マイクロ波プラズマ源、および誘導結合プラズマ源からなる群からのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の放電チャンバ(2)は、前記第2の放電チャンバ(4)に流体に関して結合している、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
ガスを、前記第1の結合要素(5)から前記第1の放電チャンバ(2)へと供給することができ、前記第1の放電チャンバ(2)から前記第2の放電チャンバ(4)へと供給することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の光学的接続(L1)の一部である光学レンズ(7)が、前記第1の放電チャンバ(2)と前記第2の放電チャンバ(4)との間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の結合要素(6)は、前記第1の光学的接続および/または前記第2の光学的接続(L1、L2)の一部である光学レンズ(8)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の光学的接続(L2)は、前記第1の光学的接続(L1)の一部である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、圧力センサをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記圧力センサによって決定される圧力に応じて、前記第1のプラズマ源および/または前記第2のプラズマ源(1、3)を制御し、とくには前記第1のプラズマ源および/または前記第2のプラズマ源(1、3)をオンまたはオフに切り替えるように設計されたコントローラをさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の放電チャンバ(2)および前記第2の放電チャンバ(4)は、筒形の設計であって、同軸に前後に配置され、前記第1の結合要素(5)は、前記第1の放電チャンバ(2)上に配置され、前記第2の結合要素(6)は、前記第2の放電チャンバ(4)上に配置され、前記第1のプラズマ源(1)は、とくにはグロー放電源であり、前記第2のプラズマ源(3)は、とくには無声放電源である、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のプラズマ源(1)のアノード(9)は、前記第2の結合要素(6)内の前記光学レンズ(8)を貫くフィードスルーに真空密封の様相でグレージングされ、とくには前記第1の放電チャンバ(2)と前記第2の放電チャンバ(4)との間に配置された前記光学レンズ(7)を貫くフィードスルーにも真空密封の様相でグレージングされ、前記2つのフィードスルーは、とくには2つの前記光学レンズ(7、8)の中心に配置され、前記アノード(9)は、前記第2の放電チャンバ(4)を同軸に通って前記第1の放電チャンバ(2)へと延びる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のプラズマ源(3)は、高電圧電極(10)および接地電極(11)を有し、前記高電圧電極(10)は、前記第2の放電チャンバ(4)の内壁の少なくとも一部を形成する誘電体に埋め込まれ、前記接地電極(11)は、前記第2の放電チャンバ(4)内で、前記内壁に沿って、前記高電圧電極(10)から1mm未満、とくには0.05mm~0.5mmの間の距離で、とくには例えばセラミックの中空筒上に、前記高電圧電極(10)に対して同心に配置され、前記内壁と前記接地電極(11)との間にギャップが位置し、前記ギャップ内に、前記高電圧電極(10)と前記接地電極(11)との間に交流電圧が、例えば±1~±10kVの範囲の電圧および1~10kHzの範囲の周波数で印加されたときに、プラズマによる放電ゾーンが形成される、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記高電圧電極(10)は、前記第1のプラズマ源(1)の動作のために接地(GND)に接続可能であり、前記第2のプラズマ源(3)の動作のために高電圧交流源に接続可能であり、かつ/または、前記アノード(9)は、前記第1のプラズマ源(1)の動作のために高電圧直流源に接続可能であり、前記第2のプラズマ源(3)の動作のために接地(GND)に接続可能である、請求項12~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
光学式のガス分析またはガス検出のためのシステムであって、
・請求項1~15のいずれか一項に記載のプラズマ生成のための装置と、
・ガス供給源であって、前記プラズマ生成のための装置が、とくにはフランジを有する第1の結合要素によって結合する、ガス供給源と、
・光学式のガス分析またはガス検出のためのフォトダイオードまたは分光計などの光学センサであって、前記プラズマ生成のための装置が、第2の結合要素によって結合する、光学センサと
を備えるシステム。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の装置による広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための方法であって、
・システムから、第1の結合要素(5)を介して、第1のプラズマ源(1)を有する第1の放電チャンバ(2)および/または第2のプラズマ源(3)を有する第2の放電チャンバ(4)へと、ガスを供給するステップと、
・前記第1の放電チャンバ(2)内で、とくには高真空まで、すなわち例えば10
-8Torrまで及ぶ低圧範囲において、前記第1のプラズマ源(1)によって第1のプラズマ(14)を生成し、かつ/または前記第2の放電チャンバ(4)内で、常圧を上回る圧力まで、すなわち例えば1500Torrまで及ぶ高圧範囲において、前記第2のプラズマ源(3)によって第2のプラズマ(15)を生成するステップと、
・前記装置をフォトダイオードまたは分光計などの光学センサに結合させるための第2の結合要素(6)へと、前記第1のプラズマ(14)から放出された光を、前記第1の放電チャンバ(2)から少なくとも1つの光学レンズ(7、8)を有する第1の光学的接続(L1)を介して導き、かつ/または前記第2のプラズマ(15)から放出された光を、前記第2の放電チャンバ(4)から少なくとも1つの光学レンズ(8)を有する第2の光学的接続(L2)を介して導くステップと、
・前記第1のプラズマおよび/または前記第2のプラズマ(14、15)によって放出された前記光の少なくとも一部分を、前記第2の結合要素(6)によって取り出すステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記第1のプラズマ源および/または前記第2のプラズマ源(1、3)は、圧力センサの助けによって決定される圧力に応じて制御され、とくには前記第1のプラズマ源および/または前記第2のプラズマ源(1、3)は、オンまたはオフに切り替えられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記低圧範囲と前記高圧範囲とが重なり合う圧力範囲、例えば0.35Torr~3.5Torrの圧力範囲において、前記第1プラズマ源および前記第2のプラズマ源(1、3)は、第1のプラズマおよび第2のプラズマ(14、15)を同時に生じさせる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
光学式のガス分析またはガス検出のための方法であって、
請求項17~19のいずれか一項に記載のステップを実行することを含み、
・前記取り出した光をフォトダイオードまたは分光計などの光学センサへと向けるステップと、
・前記取り出した光、とくには前記取り出した光の強度および/またはスペクトル分布に基づいて、ガスまたはガスの成分を決定し、あるいは特定のガスまたはガスの特定の成分を検出し、あるいは前記ガスの圧力を決定するステップと
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願と並行して、「Vacuum feedthrough,electrode assembly and device for generating a silent plasma discharge」という名称のスイス特許出願が、本特許出願と同じ出願人によって同じ日に出願されている。前記出願の内容は、ここに前記言及に基づいて本特許出願に組み込まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、プラズマ生成のための装置および方法に関する。さらに、本発明は、例えばガスの組成を決定し、あるいは特定のガスを検出するための測定装置など、そのような装置による光学式のガス分析および/またはガス検出のためのシステム、ならびにシステムを動作させるための方法に関する。
【0003】
本発明は、プラズマ生成、プラズマ光を生成するための分子およびイオンのイオン化および励起、ならびに生成されたプラズマのガス組成に関する情報の測定および評価の技術分野に属する。
【0004】
発明の背景
発光分光分析(OES)が、気体試料の定性的および定量的分析に頻繁に使用される。この方法は、励起原子が化学元素に特徴的な電磁放射線を放出し、したがって試料の組成に関する情報をもたらすという事実に基づく。原子の励起は、例えば、試料をプラズマ状態に変換することによって達成される。発光分光分析を実行するための既知の機器の各々は、プラズマ生成が規定の圧力範囲において長期にわたって安定な様相で動作する特定のプラズマ源を使用する。しかしながら、多くの用途は、きわめて広い圧力範囲に関わり、そのようなきわめて広い圧力範囲において、ガス組成が重要な役割を果たし、したがって測定ならびに制御および監視が必要である。したがって、多数のプラズマ生成機器が必要となり、電子機器、ソフトウェア、スペース、エネルギー、およびコストにおいて苦労が多くなる。このように、ガスを広い圧力範囲にわたって分析すべきシステムにおいては、分光計などの多数の測定機器、および多数のフランジポートが必要である。
【0005】
したがって、最小限のスペースしか必要とせず、可能な限り少ない電子機器、ソフトウェア、エネルギー、およびコストで、例えば10-8Torr(高真空)~1500Torr(常圧を上回る)の広い圧力範囲においてプラズマおよびその発光を安定に生成できる機器を開発する必要がある。
【0006】
発明の概要
本発明の1つの目的は、広い圧力範囲における(あるいは、わたる)プラズマ生成のための装置であって、分析および/または検出対象のガスをもたらすプラント(または、システム)へと可能な限り最も省スペースなやり方で接続でき、プラズマ生成のための既知の装置と比較してより複雑でなく、よりコストを節約する装置を提供することである。本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の装置によって解決される。
【0007】
さらに、本発明の目的は、光学式のガス分析またはガス検出のためのシステムであって、プラズマ生成のためのそのような好都合な装置を備えるシステムを開示することである。この目的は、請求項16に記載のシステムによって解決される。
【0008】
さらに、本発明の目的は、広い圧力範囲における(あるいは、わたる)プラズマ生成のための対応する方法を提案することである。そのような方法は、請求項17に記載される。
【0009】
さらに、本発明の目的は、光学式のガス分析またはガス検出のための対応する方法を提案することである。そのような方法は、請求項20に開示される。
【0010】
本発明による具体的な実施形態の変形例が、従属請求項に記載される。
広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための本発明による装置は、
・第1のプラズマ源であって、第1の放電チャンバ内に配置され、低圧範囲において第1のプラズマを生成するように構成され、低圧範囲は、とくには高真空まで、すなわち例えば10-8Torrまで及ぶ、第1のプラズマ源と、
・第2のプラズマ源であって、第2の放電チャンバ内に配置され、高圧範囲において第2のプラズマを生成するように構成され、高圧範囲は、とくには常圧を上回る圧力まで、すなわち例えば1500Torrまで及ぶ、第2のプラズマ源と、
・とくにはフランジを有し、本装置をシステム(とくには、ガス供給源)に結合させるための第1の結合要素であって、前記結合要素は、このシステムからガスを導き出すように設計されている、第1の結合要素と、
・本装置を光学式のガス分析またはガス検出(あるいは、ガス圧測定)のためにフォトダイオードまたは分光計などの光学センサに結合させるための第2の結合要素と
を備え、
第1の放電チャンバは、第2の結合要素への少なくとも1つの光学レンズを有する第1の光学的接続を有し、第2の放電チャンバは、第2の結合要素への少なくとも1つの光学レンズを有する第2の光学的接続を有する(光学レンズは、第1および第2の光学的接続の共通の光学レンズであってもよい)。
【0011】
したがって、本発明による装置は、少なくとも2つの異なる形態の放電を生成することができること、すなわち、2つ以上のプラズマ源がこの(単一の)装置に(一緒に)統合されていることを特徴とする。さらに、本装置は、分析対象のガスを有するシステムへの接続を可能にするただ1つの(接続)フランジしか持たず、例えば10-8Torr~1500Torrの全圧力範囲において光学式のガス分析を実行するために、分光計などの(単一の)光学センサへのただ1つの結合しか持たない。(2つの)プラズマ源の(2つの)放電チャンバは、並列に配置されても、一列に配置(直列に次々に配置)されてもよく、分析または検出対象のガスは、個々の放電チャンバに並列に供給されても、或る放電チャンバから次の放電チャンバへと通されてもよい。また、並列/隣接配置の放電チャンバと、列をなして/直列に配置された放電チャンバとを組み合わせ、プラズマ源を互いに流体に関して接続し、あるいはガスを漏らさぬ様相で分離することも考えられる。
【0012】
それぞれのプラズマによって放出された光は、それぞれの放電チャンバから(光学センサの前方の)第2の結合要素への光学的接続を介して導かれる。これに関連して、各々の光学的接続は、光学レンズを有し、例えば2つの光学的接続が、共通の光学レンズを有することも可能である。1つ以上の光学レンズに加えて、光学的接続は、例えば、ファイバ、チューブ、またはロッドなどの適切な光ガイドを備えることもできる。
【0013】
装置の一実施形態の変形例においては、低圧範囲と高圧範囲とが合わさって、少なくとも10桁、とくには12桁(例えば、単位はTorr)を超える圧力範囲に及ぶ。
【0014】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、低圧範囲と高圧範囲とが、例えば0.35Torr~3.5Torrなど、とくには1桁の圧力範囲にわたって重なり合う。
【0015】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1のプラズマ源および第2のプラズマ源が、異なるプラズマ源であり、例えば各々が、グロー放電源(冷陰極源)、無声放電源(誘電体バリア放電、dielectric barrier discharge:DBD)、高周波プラズマ源(RFプラズマ源)、マイクロ波プラズマ源(->常圧/大気圧プラズマ源)、および誘導結合プラズマ源(ICP源)からなる群からのものである。
【0016】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1の放電チャンバが、第2の放電チャンバに流体に関して結合している(とくには、同じまたはほぼ同じ圧力が、両方の放電チャンバに行き渡る)。
【0017】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1の放電チャンバが、ガスを漏らさぬ様相で第2の放電チャンバから分離される。
【0018】
装置のさらなる実施形態の変形艇においては、ガスを第1の結合要素から第1の放電チャンバへと供給することができ、第1の放電チャンバから第2の放電チャンバへと供給することができる。
【0019】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1の結合要素からのガスを、第1の放電チャンバおよび第2の放電チャンバに別々に供給することができる。
【0020】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1の光学的接続の一部である光学レンズが、第1の放電チャンバと第2の放電チャンバとの間に配置される。
【0021】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第2の結合要素が、第1の光学的接続および/または第2の光学的接続の一部である光学レンズを備える。
【0022】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第2の光学的接続が、第1の光学的接続の一部であり、すなわち2つの光学的接続が部分的に、あるいはいくつかの部分で重なり合う。
【0023】
さらなる実施形態の変形例において、装置は、圧力センサをさらに備える。例えば、圧力センサは、以下、すなわち、
・Piraniによる熱伝導真空計(おおむね10-3Torr~1Torrの測定範囲の場合);
・Penningによる冷陰極を備えたイオン化真空ゲージ(おおむね10-7Torr~10-3Torrの測定範囲の場合);
・Bayard-Alpertの熱陰極を備えたイオン化真空ゲージ(おおむね10-12Torr~10-3Torrの測定範囲の場合);
・静電容量ダイアフラム(真空)ゲージ(CDG;おおむね10-5Torr~10-3Torrの測定範囲の場合)
のうちの1つであってよい。
【0024】
例えば10-8Torr~1500Torrの広い圧力範囲をカバーするために、装置は、複数の圧力センサを有することもできる。
【0025】
さらなる実施形態の変形例において、装置は、圧力センサによって決定される(1つ以上の)圧力に応じて第1のプラズマ源および/または第2のプラズマ源を制御し、とくには第1のプラズマ源および/または第2のプラズマ源をオンまたはオフに切り替えるように設計されたコントローラをさらに備える。
【0026】
装置のさらなる実施形態の変形例において、第1の放電チャンバおよび前記第2の放電チャンバは、筒形の設計であって、同軸に(共通の筒軸上に)前後に(直列に)配置され、第1の結合要素は、第1の放電チャンバ上に配置され、第2の結合要素は、第2の放電チャンバ上に配置され、第1のプラズマ源は、とくにはグロー放電源(冷陰極源)であり、第2のプラズマ源は、とくには(誘電体バリア放電のための)無声放電源である。
【0027】
装置のさらなる実施形態においては、第1のプラズマ源のアノードが、第2の結合要素内の光学レンズを貫くフィードスルーに真空密封の様相でグレージングされ、とくには第1の放電チャンバと第2の放電チャンバとの間に配置された光学レンズを貫くフィードスルーにも(例えば、真空密封の様相で)グレージングされ、2つのフィードスルーは、とくには2つの光学レンズの中心に配置され、アノードは、第2の放電チャンバを通って第1の放電チャンバへと同軸に(2つの放電チャンバの共通の筒軸上を)延びる。
【0028】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第2のプラズマ源が、高電圧電極および接地電極を有し、高電圧電極は、第2の放電チャンバの内壁の少なくとも一部を形成する誘電体に埋め込まれ、接地電極は、第2の放電チャンバ内で、内壁に沿って、高電圧電極から1mm未満、とくには0.05mm~0.5mmの間の距離で、とくには例えばセラミックの中空筒上に、高電圧電極に対して同心に配置され、内壁と接地電極との間にギャップが位置し、ギャップ内に、高電圧電極と接地電極との間に交流電圧が、例えば±1~±10kVの範囲の電圧および1~10kHzの範囲の周波数で印加されたときに、プラズマ(すなわち、第2のプラズマ)による放電ゾーンが形成される。例えば、電圧曲線は、AC電圧の一周期にわたって、-5kVから+5kVに変化して再び戻ってよく、すなわち10kVpp(ピークツーピーク)の電圧が印加されてよい。電圧曲線は、例えば、正弦曲線に対応することができる。矩形波電圧も可能である。電圧を接地電位に対して正から負に変化させることが有利である。このようにして、例えば、0(GND)と正電圧との間または0(GND)と負電圧との間の変化によるよりも、はるかに安定したプラズマが得られる。高電圧電極および接地電極を、例えば、どちらも薄肉中空筒として形成することができる。これらの2つの電極は、例えば分割することも可能であり、すなわち筒状の表面上に互いに隣接して位置する導電性ストリップから構成することが可能である。
【0029】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、高電圧電極が、第1のプラズマ源の動作のために接地に接続可能(例えば、切り替え可能/制御される)であり、第2のプラズマ源の動作のために高電圧交流源に接続可能(例えば、切り替え可能/制御される)であり、かつ/または、アノードが、第1のプラズマ源の動作のために高電圧直流源(例えば、3.3kVのDC電圧)に接続可能(例えば、切り替え可能/制御される)であり、第2のプラズマ源の動作のために接地に接続可能(例えば、切り替え可能/制御される)である。
【0030】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、放電チャンバをカソードとして役立てる(とくには)第1の放電チャンバ内のアノードの同軸配置、ならびに(第2の放電チャンバの内壁上の)高電圧電極および接地電極の半径方向配置により、第1のプラズマ源によって生成される第1のプラズマが、第1の放電チャンバの筒軸上に形成され、第1のプラズマによって放出される第1の光が、第2の結合要素に向かってとくには軸方向に伝播し、第2のプラズマ源によって生成される第2のプラズマが、第2の放電チャンバの内壁上に形成され、第2のプラズマによって放出される第2の光が、第2の結合要素に向かって第2の放電チャンバの筒軸に対してとくには斜めに伝播し、したがって第1の光と第2の光とが異なる方向から第2の結合要素内の光学レンズに衝突する。
【0031】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、アノードがモリブデンで作られる。
装置のさらなる実施形態の変形例においては、第1の放電チャンバがチタンで作られる。
【0032】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、高電圧電極が白金で作られる。
装置のさらなる実施形態の変形例においては、誘電体がサファイア(Al2O3)で作られる。
【0033】
装置のさらなる実施形態の変形例においては、接地電極がモリブデンで作られる。
装置のさらなる実施形態の変形例においては、光学レンズまたはレンズがサファイア(Al2O3)で作られる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、光学式のガス分析またはガス検出(あるいは、ガス圧測定)のためのシステムが、
・上述の実施形態の変形例のうちの1つによるプラズマ生成のための装置と、
・ガス供給源であって、プラズマ生成のための装置が、とくにはフランジを有する第1の結合要素によって結合する、ガス供給源と、
・光学式のガス分析またはガス検出(あるいは、ガス圧測定)のためのフォトダイオードまたは分光計などの光学センサであって、プラズマ生成のための装置が、第2の結合要素によって結合する、光学センサと
を備える。
【0035】
本発明の別の態様によれば、上記開示の実施形態の変形例のうちの1つに記載のプラズマ生成のための装置による広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための方法が、以下のステップ、すなわち、
・システムから、第1の結合要素を介して、第1のプラズマ源を有する第1の放電チャンバおよび/または第2のプラズマ源を有する第2の放電チャンバへと、ガスを供給するステップと、
・第1の放電チャンバ内で、とくには高真空まで、すなわち例えば10-8Torrまで及ぶ低圧範囲において、第1のプラズマ源によって第1のプラズマを生成し、かつ/または第2の放電チャンバ内で、とくには常圧を上回る圧力まで、すなわち例えば1500Torrまで及ぶ高圧範囲において、第2のプラズマ源によって第2のプラズマを生成するステップと、
・装置をフォトダイオードまたは分光計などの光学センサに結合させるための第2の結合要素へと、第1のプラズマから放出された光を、第1の放電チャンバから少なくとも1つの光学レンズを有する第1の光学的接続を介して導き、かつ/または第2のプラズマから放出された光を、第2の放電チャンバから少なくとも1つの光学レンズを有する第2の光学的接続を介して導くステップと、
・第1のプラズマおよび/または第2のプラズマから放出された光の少なくとも一部分を、第2の結合要素によって取り出すステップと
を含む。
【0036】
本方法の一実施形態の変形例においては、第2のプラズマ源が、高電圧電極と接地電極とを有する無声放電源であり、例えば±1~±10kVの範囲の電圧および1~10kHzの範囲の周波数で、第2のプラズマを生成するために高電圧電極と接地電極との間にAC電圧が印加される。
【0037】
方法のさらなる実施形態の変形例においては、第1のプラズマ源および/または第2のプラズマ源が、圧力センサの助けによって決定される圧力に応じて制御され、とくには第1のプラズマ源および/または第2のプラズマ源が、オンまたはオフに切り替えられる。
【0038】
方法のさらなる実施形態の変形例においては、低圧範囲と高圧範囲とが重なり合う圧力範囲、例えば0.35Torr~3.5Torrの圧力範囲において、第1のプラズマ源および第2のプラズマ源が、第1のプラズマおよび第2のプラズマを同時に生じさせる。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、光学式のガス分析またはガス検出(あるいは、ガス圧測定)のための方法が、上述のプラズマ生成のための方法の実施形態の変形例のうちの1つによるステップを実行することを含み、以下のステップ、すなわち、
・前記取り出した光をフォトダイオードまたは分光計などの光学センサへと向けるステップと、
・前記取り出した光、とくには前記取り出した光の強度および/またはスペクトル分布に基づいて、ガスまたはガスの成分を決定し、あるいは特定のガスまたはガスの特定の成分を検出する(あるいはガスの圧力を決定する)ステップと
をさらに含む。
【0040】
ここで、低圧範囲と高圧範囲とが重なり合う圧力範囲、例えば0.35Torr~3.5Torrの圧力範囲において、第1のプラズマ源および第2のプラズマ源が第1のプラズマおよび第2のプラズマを同時に発生させる場合、両方のプラズマからの光のより高い(例えば、2倍の)強度ゆえに、光学式のガス分析またはガス検出の感度が向上する。これは、例えば、微量ガス検出に有用となり得る。第1のプラズマ源および第2のプラズマ源によるこのような同時プラズマ生成は、2つのプラズマによるガスの分別が異なるため、微量ガスの部分割合(分圧/濃度)の識別または決定にも役立つことができる。また、第1の(または、第2の)のプラズマからの光の分析結果を用いて、第2の(または、第1の)のプラズマからの光の分析結果を補正することや、一方を他方の較正の目的に使用することが可能である。
【0041】
上記の実施形態の変形例を組み合わせて、本発明のより具体的な実施形態の変形例をもたらすことができることに、留意されたい。
【0042】
図面の簡単な説明
本発明の例示的な実施形態(ただし、これらに限られるわけではない)が、図を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための本発明による装置の例示的な実施形態の概略図を示している。
【
図2】広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための本発明による装置の例示的な実施形態の縦断面図を、サイズの詳細とともに示している。
【
図3】
図2による例示的な実施形態の縦断面の別の図を示しており、プラズマ領域が描き込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図において、同じ参照符号は同じ要素を指している。
発明の詳細な説明
図1が、広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための本発明による装置の例示的な実施形態を、概略図にて示している。装置は、第1の放電チャンバ2内に配置された第1のプラズマ源1、例えばグロー放電源(GD、冷陰極源)と、第2の放電チャンバ4内に配置された第2のプラズマ源3、例えば無声放電源(DBD源)とを備え、2つの放電チャンバ2、4は、互いに隣接して前後に(直列に)配置されている。さらに、装置は、装置をガスが存在するシステム(図示せず)へと結合させるために、例えばフランジを有する第1の結合要素5を備える。ガスは、システムから結合要素5を介して第1の放電チャンバ2へと供給される。ガスは、第1の放電チャンバ2から、第2の放電チャンバ4へと流れることができる。この目的のために、例えば、各々が少なくとも1mmの直径を有するいくつか(例えば、6~12個)の通気孔が、2つの放電チャンバ2、4の間に存在する。さらに、装置は、光学式のガス分析またはガス検出のために(あるいは、ガス圧測定のためにも)、フォトダイオードまたは分光計などの光学センサに装置を結合させるための第2の結合要素6を備える。
【0045】
第1のプラズマ源1は、例えば10-8Torr~約3.5Torrの低圧範囲におけるプラズマの生成に適しており、第2のプラズマ源2は、例えば約0.35Torr~1500Torrの高圧範囲におけるプラズマの生成に適している。したがって、ガスの圧力に応じて、第1の(低圧->高真空の)プラズマ源1または第2の(大気圧の)プラズマ源3がガスに点火することにより、ガスの種類または組成に応じて異なる光を放出する第1または第2のプラズマ14、15を生じさせる。例えば0.35Torr~3.5Torrなどの2つのプラズマ源1、3の圧力重複範囲においては、両方のプラズマ源1、3が同時に動作することもでき、したがって第1のプラズマおよび第2のプラズマ14、15を同時に生じさせることもできる。両方のプラズマ源1、3のこの並列動作は、とくには両方の放電の低電力ゆえに可能である。
【0046】
第1の放電チャンバ2内の第1のプラズマ14から放出された光は、2つの放電チャンバ2、4の間に位置する光学レンズ7を通って導かれる。次いで、光は、第2の放電チャンバ4を通って導かれ、第2の結合要素6に位置する第2の光学レンズ8を通って光学センサ12に至り、光学センサ12の助けによって、光学式のガス分析またはガス検出(あるいは、ガス圧測定も)を行うことができる。光学センサ12は、2つの光学レンズ7、8を透過可能な波長範囲に感度を有する。光学センサ12は、単純な放射線センサ、例えばフォトダイオードなどの光センサであってよいが、より複雑な光学センサ、例えば分光計であってもよい。
【0047】
第1のプラズマ源1のアノード9は、第2の結合要素6から、第2の結合要素6内の第2の光学レンズ8を通り、第2の放電チャンバ4を通り、2つの放電チャンバ2、4の間の第1の光学レンズ7を通って、第1の放電チャンバ2へと導かれる。とくには、アノード9は、第2の結合要素6内の光学レンズ8を貫くフィードスルーに真空密封の様相でグレージングされる。さらに、アノード9を、2つの放電チャンバ2、4の間の光学レンズ7を貫くフィードスルーにグレージングすることができる。光学レンズ7を貫くフィードスルーも、真空密封となるように設計されてよいが、これは必須ではない。2つのフィードスルーは、アノード9が第2の放電チャンバ4を同軸に通って第1の放電チャンバ2へと延びるように、とくには2つの光学レンズ7、8の中心に配置される。第1のプラズマ源1のカソードは、アノード9から離れた第1の放電チャンバ2の縁部に位置する。この場合、第1の放電チャンバ2の内壁がカソードを形成してもよい。例えば、カソードはチタンからなる。ガスのグロー放電を発生させるために、アノード9とカソードとの間に、例えば3.3kVのDC高電圧(HV DC)が印加される。この高電圧は、カソード材料からアノード9に向かって電子を加速させる。(永久)磁石13によって外部磁場を印加することによって、電子は円形またはらせん状の経路に沿って導かれる。これは、ガスの原子/分子との衝突の確率を高める。これらの衝突は、原子/分子の励起またはイオン化をもたらす。イオンは、カソードに向かって移動し、イオン電流を生じさせる。光子が、一方では、励起された原子、分子、イオンの緩和によって生成され、他方では、これらのイオンの再結合によって生成される。放出された光子は、空間全体へと広がり、とりわけ2つの放電チャンバ2、4の間の第1の光学レンズ7に衝突する。ここで、入射光子は屈折させられ、第2の結合要素6内の第2の光学レンズ8へと向けられる。光学レンズ7、8は、1つ以上の材料、例えばサファイアで製作可能であり、球面収差または色収差を打ち消すための非球面形状を有することができる。
【0048】
光の波長範囲は、100nm~1mmの波長を有する電磁放射線を含み、すなわち、とくには可視光、紫外線放射、および赤外線放射の範囲を含む。
【0049】
第2のプラズマ源3、すなわち無声プラズマ放電を発生させるための装置に関する詳細は、本特許出願と同日に出願された本特許出願と同じ出願人による「Vacuum feedthrough,electrode assembly and device for generating a silent plasma discharge」という名称のスイス特許出願から得ることができる。第2のプラズマ源3は、高電圧電極10および接地電極11を有し、高電圧電極10は、第2の放電チャンバ4の内壁の少なくとも一部を構成する誘電体に埋め込まれている。接地電極11は、第2の放電チャンバ4の内壁上、とくには、例えばセラミックで作られた中空筒上に、高電圧電極10に対して同心円状に配置される。接地電極11は、高電圧電極10から1mm未満の距離に位置し、高電圧電極10と接地電極11との間に交流高電圧(HV AC)が印加されたときに(第2の)プラズマ15による放電ゾーンが形成されるギャップが、内壁と接地電極11との間に位置する。本発明者の発明者は、このギャップの拡大により、おおむね0.35Torr~1500Torrの広い圧力範囲にわたって、±1~±10kVの範囲のAC高電圧および1~10kHzの範囲の周波数で、誘電体バリア放電(DBD)を安定して発生させることができることを認識した。
【0050】
図2に、広い圧力範囲におけるプラズマ生成のための本発明による装置の例示的な実施形態の縦断面図が、サイズの詳細とともに示されている。この実施形態の変形例において、第1の放電チャンバ2および第2の放電チャンバ4は、筒形の設計であり、同軸に前後に配置(言わば「直列接続」)される。
図1と同様に、第1の結合要素5が第1の放電チャンバ2の右側に配置され、第2の結合要素6が第2の放電チャンバ4の左側に配置される。この例における装置の全長は、わずか約60mmであり、この例における全直径は、わずか約25mmである。これが示すように、本発明は、きわめてコンパクトな設計を可能にし、結果として、多くのスペースを節約する。
【0051】
図3が、
図2による例示的な実施形態の縦断面の別の図を示している。さらに、
図3は、2つの放電チャンバ2、4内のプラズマ14、15を示し、2つの光学的接続L1、L2を概略的に示している。プラズマ14、15が生じる領域が、破線で囲まれている。
【0052】
図4が、
図1に示した実施形態におおむね対応する実施形態の縦断面図を示している。さらに、この変形例は、第2のプラズマ源の高電圧電極10の半径方向外側を案内され、真空側から外側へとそれから絶縁される少なくとも1つのさらなる電極16を有する。このさらなる電極は、例えば、溶解ガラスリングと絶縁材料の筒との間を通って案内される。絶縁材料の筒は、例えば、電極の連続的な接触面を形成するために、溶融ガラスリングの両側に突出することができる。複数のそのようなさらなる電極が可能であり、電極は、例えば、装置の長手軸に平行な長手方向を有するストリップ状の設計とされてよい。複数のそのようなさらなる電極を、それらの多くがこの縦断面図において見えなくなり、あるいは見えないように、方位角方向に分布させ、お互いから絶縁させて配置することができる。1つ以上のそのような電極は、真空側の追加のセンサの接続、あるいはこれまでに説明した第1のプラズマ源および第2のプラズマ源のアノードおよびカソードを接続する代替のやり方を可能にする。
【0053】
図5が、
図4の実施形態と比較した第1のプラズマ源のアノードへの代替の接続17を示している。外側からプラズマ側へのフィードスルーは、さらなる電極16について
図4に関連して説明したように設計され、装置の長手軸に関して図示の場合には縦断面において見て取ることができるさらなる電極16の180度反対側にある。孔を通って、この代替の接続17は、第1の放電チャンバ2内に導かれ、中央アノードピンに接触する。これは、
図4による変形例において第2の放電チャンバ4の中心を通って導かれる電気的接続、ならびに第1の光学レンズ7および第2の光学レンズ8を貫く関連のフィードスルーを、省略できることを意味する。これは、第1または第2のプラズマからの電磁放射線のより大きな割合が外部に到達するという効果を有する。電極を、例えば、それらの全長にわたって絶縁層で覆うことができる。
【0054】
これは、電子/イオン光学において、荷電粒子に影響を及ぼし得る多くの場合に望ましくない開放電位が、回避されるという利点を有する。この目的のために、例えば、電極上に位置するガラスリングを軸方向にさらに延ばすことができ、あるいは個々の導電路を、それぞれの導電路に重なって位置する薄いガラス層を備えて実現することができる。
【0055】
本発明の利点は、複数のプラズマ源が単一の装置に統合されることを含み、さらには、装置は、分析対象のガスを導入するための接続部を1つしか持たず、装置を光学センサに結合させるための接続部を1つしか持たない。本発明による装置によれば、高真空(10-8Torr)から常圧(大気圧よりも高く、例えば1500Torr)を上回るまでの約12桁(単位は、Torr)を超える圧力範囲にわたって、安定したプラズマを生成することができる。本発明によれば、装置内部の圧力測定によって、圧力範囲に応じたそれぞれの最適なプラズマ源の選択および制御も提供される。
【0056】
符号の列挙
1 第1のプラズマ源
2 第1の放電チャンバ
3 第2のプラズマ源
4 第2の放電チャンバ
5 第1の結合要素
6 第2の結合要素
7 第1の光学レンズ(2つの放電チャンバの間)
8 第2の光学レンズ(第2の結合要素内)
9 第1のプラズマ源のアノード
10 第2のプラズマ源の高電圧電極
11 第2のプラズマ源の質量電極
12 光学センサ(例えば、フォトダイオードまたは分光計)
13 (永久)磁石
14 第1のプラズマ
15 第2のプラズマ
16 さらなる電極
17 第1のプラズマ源のアノードへの代替の接続
L1 第1の光学的接続
L2 第2の光学的接続
【国際調査報告】