(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】複合薬物粒子及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 9/16 20060101AFI20240315BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240315BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240315BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240315BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240315BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240315BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240315BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240315BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20240315BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240315BHJP
A61K 33/242 20190101ALI20240315BHJP
A61K 33/26 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/04
A61K47/12
A61P1/16
A61P35/00
A61P29/00 101
A61P17/00
A61P37/08
A61P27/02
A61P11/00
A61P7/00
A61P1/00
A61P13/12
A61P25/00
A61P29/00
A61K31/575
A61K31/573
A61K33/242
A61K33/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560463
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022022848
(87)【国際公開番号】W WO2022212717
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509009692
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】エニオラ アデフェソ オモローラ
(72)【発明者】
【氏名】フェルダー マイケル エル
(72)【発明者】
【氏名】サファリ ハニエ
(72)【発明者】
【氏名】クポー ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC27
4C076CC30
4C076DD22
4C076DD43
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086DA11
4C086HA01
4C086HA11
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
(57)【要約】
本明細書では、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを含む粒子が提供される。また本明細書では、該粒子を含む組成物、及び例えば肝臓障害を治療するまたは脂肪低減のための方法における該粒子の使用方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子であって、少なくとも1つの寸法において少なくとも100nmの長さを有する、複合粒子。
【請求項2】
遷移金属イオンをさらに含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記遷移金属イオンが、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び鉄イオンから選択される、請求項2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記遷移金属イオンが、金、銀、銅、及び鉄イオンから選択される、請求項3に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記遷移金属イオンがAu(III)イオンまたはFe(II)イオンである、請求項3に記載の複合粒子。
【請求項6】
酸をさらに含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項7】
酸をさらに含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項8】
前記酸が、塩酸及びサリチル酸から選択される、請求項7に記載の複合粒子。
【請求項9】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、テストステロン、エキセメスタン、ホルメスタン、メステロロン、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、メストラノール、ノルエチンドロン、ダナゾール、ゲストリノン、レボノルゲストレル、リネストレノール、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、チボロン、エチノジオール、シプロテロン、メゲストロール、アビラテロン、ジエノゲスト、ミフェプリストン、ドロスピレノン、スピロノラクトン、エストラジオール、ポリエストラジオール、エストラムスチン、エストロン、エストロピペート、プロゲステロン、ジドロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、セゲステロン、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、コルチゾール、コルチゾン、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン、フルチカゾン、ハロメタゾン、モメタゾン、リメキソロン、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコート、デソニド、フルニソリド、フルオシノニド、ハルシノニド、コレステロール、エストラジオール、ヒドロコルチゾン、ジフルコルトロン、ボルデノン、ナンドロロン、アルトレノゲスト、スタノゾロール、オサテロン、エストリオール、アグレプリストン、トリロスタン、フルメタゾン、デオキシコルチコステロン、アルファキサロン、デスオキシコルチコステロン、及びイソフルプレドン、またはそれらの塩もしくはエステル、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項10】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、胆汁酸である、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項11】
前記胆汁酸が、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、タウロリトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、及びオベチコール酸から選択される、請求項10に記載の複合粒子。
【請求項12】
前記胆汁酸が、コール酸及びデオキシコール酸から選択される、請求項10に記載の複合粒子。
【請求項13】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、胆汁酸の塩である、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項14】
前記胆汁酸の前記塩が、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される、請求項13に記載の複合粒子。
【請求項15】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、コルチコステロイド化合物、またはその塩もしくはエステルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項16】
前記コルチコステロイド化合物が、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルチコステロン、ジクロリゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、フルクラロロン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルコルチン、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルランドレノロン、ハルシノニド、ハロメタゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルラドレナロン、メドリゾン、アルクロメタゾン、アムシアフェル、アムシナフィド、アムシノニド、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニカルベート、及びチキソコルトール、またはその塩もしくはエステルから選択される、請求項15に記載の複合粒子。
【請求項17】
前記コルチコステロイド化合物が、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾン、またはそれらの塩もしくはエステルから選択される、請求項16に記載の複合粒子。
【請求項18】
前記複合粒子が、少なくとも1つの寸法において少なくとも1μmの長さを有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項19】
前記粒子が、六角柱形状を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項20】
前記六角柱が、2.5μm~10μmの対角線長さを有する、請求項19に記載の複合粒子。
【請求項21】
前記六角柱が、2.5μm~6.5μmの高さを有する、請求項19または請求項20に記載の複合粒子。
【請求項22】
前記粒子が、棒形状を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項23】
前記棒が、2.5μm~100μmの長さを有する、請求項22に記載の複合粒子。
【請求項24】
前記棒が、10μm~50μmの長さを有する、請求項22または請求項23に記載の複合粒子。
【請求項25】
前記粒子が、(i)前記ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルと、(ii)遷移金属イオン、及び/または酸とから本質的になる、請求項1~24のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項26】
前記粒子が、遷移金属ナノ粒子を本質的に含まない、請求項1~25のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の複合粒子を複数含む、組成物。
【請求項28】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか1項に記載の複合粒子を複数作製する方法であって、
(a)遷移金属塩を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)前記第1の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)前記第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第2の溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって前記複合粒子を形成すること
を含む、方法。
【請求項30】
請求項1~28のいずれか1項に記載の複合粒子を複数作製する方法であって、
(a)ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)前記第1の溶液を遷移金属塩と混合して第2の溶液を形成すること;
(c)前記第2の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;
(d)前記第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって前記複合粒子を形成すること
を含む、方法。
【請求項31】
請求項1~28のいずれか1項に記載の複合粒子を複数作製する方法であって、
(a)遷移金属塩を水中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)前記第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)前記第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって前記複合粒子を形成すること
を含む、方法。
【請求項32】
請求項1~28のいずれか1項に記載の複合粒子を複数作製する方法であって、
(d)酸、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステル、及び水を含む第1の溶液を準備すること;
(e)前記第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(f)前記第1のエマルションを、酸を水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって前記複合粒子を形成すること
を含む、方法。
【請求項33】
請求項1~28のいずれか1項に記載の複合粒子を複数作製する方法であって、
(d)酸を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(e)前記第1の溶液を、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステル及び水を含む第2の溶液と混合して、第1のエマルションを形成すること;
(f)前記第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステル及び水を含む第3の溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって前記複合粒子を形成すること
を含む、方法。
【請求項34】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、胆汁酸またはその塩もしくはエステルである、請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ステロイドコア構造を有する化合物が、コルチコステロイド化合物、またはその塩もしくはエステルである、請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記コルチコステロイド化合物が、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾン、またはそれらの塩もしくはエステルから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記遷移金属塩が、金(III)塩、銀(I)塩、銅(II)塩、白金(II)塩、パラジウム(II)塩、ニッケル(II)塩、鉄(II)塩、及び鉄(III)塩から選択される、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記遷移金属塩が、金(III)塩、銀(I)塩、銅(II)塩、及び鉄(II)塩から選択される、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記遷移金属塩が、塩化金(III)または硫酸鉄(II)である、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記最終混合物を約15秒~約15分間撹拌する工程をさらに含む、請求項29~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記最終混合物から溶媒を除去することをさらに含む、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記最終混合物から前記複合粒子を分離することをさらに含む、請求項29~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記方法を完全に周囲温度で行う、請求項29~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記最終混合物が還元剤を含まない、請求項29~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
治療を必要とする対象の肝疾患またはペルオキシソーム病を治療する方法であって、前記対象に治療上有効な量の請求項27または請求項28に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項47】
前記肝疾患が、胆汁酸合成障害または原発性胆汁性胆管炎である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記肝疾患が、単一酵素欠損に起因する胆汁酸合成障害である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記ペルオキシソーム病が、ツェルヴェーガースペクトラム障害である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
対象における局所的な脂肪沈着物の非外科的除去方法であって、前記沈着物を有効量の請求項27または請求項28に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項51】
皮下脂肪沈着物の減少を必要とする対象の皮下脂肪沈着物を減少させる方法であって、前記対象の前記皮下脂肪沈着物に有効量の請求項27または請求項28に記載の組成物を局所的に投与することを含む、方法。
【請求項52】
治療を必要とする対象のがんを治療する方法であって、前記対象に治療上有効な量の請求項27または請求項28に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項53】
前記がんが、結腸直腸癌及び胃癌から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
がん細胞の増殖を抑制する方法であって、前記細胞を有効量の請求項27または請求項28に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項55】
前記がん細胞が、結腸直腸癌細胞及び胃癌細胞から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
内分泌障害、リウマチ性障害、膠原病、皮膚疾患、アレルギー状態、眼疾患、呼吸器疾患、血液障害、腫瘍性疾患、胃腸疾患、神経系障害、炎症性障害、及び腎疾患からなる群から選択される障害を治療する方法であって、前記対象に治療上有効な量の請求項27または請求項28に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項57】
請求項1~28のいずれかに記載の粒子または組成物の使用。
【請求項58】
局所的な脂肪沈着物を除去するための、請求項1~28のいずれかに記載の粒子または組成物の使用。
【請求項59】
肝疾患、ペルオキシソーム病、がん、内分泌障害、リウマチ性障害、膠原病、皮膚疾患、アレルギー状態、眼疾患、呼吸器疾患、血液障害、腫瘍性疾患、胃腸疾患、神経系障害、炎症性障害、及び腎疾患から選択される疾患を治療するための、請求項1~28のいずれかに記載の粒子または組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/168,829号の優先権及び利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子が提供される。また本明細書では、該粒子を含む組成物、及び例えば肝臓障害を治療するまたは脂肪低減のための方法における該粒子の使用方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
ステロイド骨格を有する化合物、例えば胆汁酸及びコルチコステロイドは、多種多様な障害を治療するのに有用である。しかしながら、これらの薬剤の可溶化形態を経口投与及び皮下投与しても、有効性が限定的である場合があり、望ましくない副作用が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子であって、少なくとも1つの寸法が少なくとも100nmの長さを有する、複合粒子を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、遷移金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、遷移金属イオンは、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び鉄イオンから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属イオンは、金、銀、銅、及び鉄イオンから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属イオンは、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、Fe(II)イオン)である。
【0006】
いくつかの実施形態では、複合粒子は酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸及びサリチル酸から選択される。
【0007】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、テストステロン、エキセメスタン、ホルメスタン、メステロロン、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、メストラノール、ノルエチンドロン、ダナゾール、ゲストリノン、レボノルゲストレル、リネストレノール、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、チボロン、エチノジオール、シプロテロン、メゲストロール、アビラテロン、ジエノゲスト、ミフェプリストン、ドロスピレノン、スピロノラクトン、エストラジオール、ポリエストラジオール、エストラムスチン、エストロン、エストロピペート、プロゲステロン、ジドロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、セゲステロン、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、コルチゾール、コルチゾン、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン(difluocortolone)、フルチカゾン、ハロメタゾン、モメタゾン、リメキソロン、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコート、デソニド、フルニソリド、フルオシノニド、ハルシノニド、コレステロール、エストラジオール、ヒドロコルチゾン、ジフルコルトロン、ボルデノン、ナンドロロン、アルトレノゲスト、スタノゾロール、オサテロン、エストリオール、アグレプリストン、トリロスタン、フルメタゾン、デオキシコルチコステロン、アルファキサロン、デスオキシコルチコステロン、及びイソフルプレドン、またはそれらの塩もしくはエステル、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸である。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、タウロリトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、及びオベチコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸及びデオキシコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸の塩である。いくつかの実施形態では、胆汁酸の塩は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、コルチコステロイド化合物またはその塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルチコステロン、ジクロリゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、フルクラロロン(fluclarolone)、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルコルチン(flucortine)、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルランドレノロン、ハルシノニド、ハロメタゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルラドレナロン(fluradrenalone)、メドリゾン、アルクロメタゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナフィド、アムシノニド、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレシノロン(clescinolone)、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニカルベート、及びチキソコルトール、またはその塩もしくはエステルから選択される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾン、またはそれらの塩もしくはエステルから選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、少なくとも1つの寸法が少なくとも1μmの長さを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、六角柱形状を有する。いくつかの実施形態では、六角柱は、2.5μm~10μmの対角線長さを有する。いくつかの実施形態では、六角柱は、2.5μm~6.5μmの高さを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、複合粒子は棒形状を有する。いくつかの実施形態では、棒は、2.5μm~100μmの長さを有する。いくつかの実施形態では、棒は、10μm~50μmの長さを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、粒子は、(i)ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルと、(ii)遷移金属イオン、及び/または酸から本質的になる。いくつかの実施形態では、粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルと、金イオン(例えば、Au(III)イオン)から本質的になる。
【0014】
いくつかの実施形態では、粒子は、遷移金属ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)を本質的に含まない。
【0015】
本開示はまた、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物も提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0016】
本開示はまた、複数の複合粒子の作製方法であって、
(a)遷移金属塩を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第2の溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む方法も提供する。
【0017】
本開示はまた、複数の複合粒子の作製方法であって、
(a)ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を遷移金属塩と混合して第2の溶液を形成すること;
(c)該第2の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;
(d)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む方法も提供する。
【0018】
本開示はまた、複数の複合粒子の作製方法であって、
(a)遷移金属塩を水中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む方法も提供する。
【0019】
本開示はまた、複数の複合粒子の作製方法であって、
(a)酸、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第1の溶液及び水を準備すること;
(b)該第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、酸を水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む方法も提供する。
【0020】
本開示はまた、複数の複合粒子の作製方法であって、
(a)酸を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第2の溶液及び水と混合して、第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第3の溶液及び水と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む方法も提供する。
【0021】
本明細書に開示の方法のいくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、コルチコステロイド化合物またはその塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾン、またはそれらの塩もしくはエステルから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、金(III)塩、銀(I)塩、銅(II)塩、白金(II)塩、パラジウム(II)塩、ニッケル(II)塩、鉄(II)塩、及び鉄(III)塩から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、金(III)塩、銀(I)塩、銅(II)塩、及び鉄(II)塩から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、塩化金(III)または硫酸鉄(II)である。
【0022】
本明細書に開示の方法のいくつかの実施形態では、本方法は、最終混合物を約15秒~約15分間撹拌する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、最終混合物から溶媒を除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、最終混合物から複合粒子を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、完全に周囲温度で行われる。いくつかの実施形態では、最終混合物は還元剤を含まない。
【0023】
本開示はまた、治療を必要とする対象の肝疾患またはペルオキシソーム病を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)を投与することを含む、方法も提供する。いくつかの実施形態では、肝疾患は、胆汁酸合成障害または原発性胆汁性胆管炎である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、単一酵素欠損に起因する胆汁酸合成障害である。いくつかの実施形態では、ペルオキシソーム病は、ツェルヴェーガースペクトラム障害である。
【0024】
本開示はまた、対象における局所的な脂肪沈着物の非外科的除去方法であって、該沈着物を有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)と接触させることを含む、方法も提供する。
【0025】
本開示はまた、皮下脂肪沈着物の減少を必要とする対象の皮下脂肪沈着物を減少させる方法であって、対象の皮下脂肪沈着物に有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)を局所的に投与することを含む、方法も提供する。
【0026】
本開示はまた、治療を必要とする対象のがんを治療する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)を投与することを含む、方法も提供する。いくつかの実施形態では、がんは結腸直腸癌または胃癌である。
【0027】
本開示はまた、がん細胞の増殖を抑制する方法であって、該細胞を有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)と接触させることを含む、方法も提供する。いくつかの実施形態では、がん細胞は結腸直腸癌細胞または胃癌細胞である。
【0028】
本開示はまた、内分泌障害、リウマチ性障害、膠原病、皮膚疾患、アレルギー状態、眼疾患、呼吸器疾患、血液障害、腫瘍性疾患、胃腸疾患、神経系障害、炎症性障害、及び腎疾患からなる群から選択される障害を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の複数の複合粒子を含む組成物)を投与することを含む、方法も提供する。
【0029】
本開示はまた、本明細書に記載の粒子及び組成物の使用(例えば、局所的な脂肪沈着物の除去のための使用、対象における皮下脂肪沈着物を減少させるための使用、結腸直腸癌などのがんの治療における使用、がん細胞の増殖の抑制における使用、内分泌障害、リウマチ性障害、膠原病、皮膚疾患、アレルギー状態、眼疾患、呼吸器疾患、血液障害、腫瘍性疾患、胃腸疾患、神経系障害、炎症性障害、及び腎疾患などから選択される障害の治療における使用)も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】ステロイドコア構造を有する化合物:コール酸塩を用いて調製(塩化金(III)を用いて調製)した複合粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【
図1B】ステロイドコア構造を有する化合物:デオキシコール酸塩を用いて調製(塩化金(III)を用いて調製)した複合粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【
図1C】ステロイドコア構造を有する化合物:メチルプレドニゾロンを用いて調製(塩化金(III)を用いて調製)した複合粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【
図1D】ステロイドコア構造を有する化合物:ヒドロコルチゾンを用いて調製(塩化金(III)を用いて調製)した複合粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【
図2】本明細書に開示の方法に従って調製したコール酸塩/金イオン粒子のエネルギー分散型分光法(EDS)データを示す。
【
図3】(A)金イオンを含有するローダミン担持コール酸塩粒子の明視野顕微鏡画像、及び(B)同じローダミン担持コール酸塩粒子の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図4】リン酸デキサメタゾン、及び硫酸鉄(II)七水和物を用いて調製した複合粒子のSEM画像(A)及びEDSデータ(B)を示す。
【
図5】リン酸デキサメタゾン、及び硫酸鉄(II)七水和物を用いて調製した複合粒子の分解データを示す。
【
図6A】塩酸と、コール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図6B】塩酸と、デオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図6C】塩酸と、ケノデオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図6D】塩酸と、ウルソデオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図7】塩酸とコハク酸メチルプレドニゾロン(A)、及び塩酸とコハク酸ヒドロコルチゾン(B)から調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8A】サリチル酸と、コール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8B】サリチル酸と、デオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8C】サリチル酸と、コハク酸メチルプレドニゾロンから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8D】サリチル酸と、ケノデオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8E】サリチル酸と、コハク酸ヒドロコルチゾンから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図8F】サリチル酸と、ウルソデオキシコール酸ナトリウムから調製した複合粒子のSEM画像を示す。
【
図9】デオキシコール酸塩粒子からのサリチル酸放出を示す紫外可視分光分析データを示す。
【
図10A】実施例2に詳述した分解プロトコルに曝露されたときのコール酸塩/金イオン粒子のSEM画像を示す:分解プロトコルの0、1、3、5、10、及び15日目における本明細書に開示の方法に従って調製したコール酸塩/金イオン粒子。
【
図10B】実施例2に詳述した分解プロトコルに曝露されたときのコール酸塩/金イオン粒子のSEM画像を示す:分解プロトコルの0、1、3、5、10、及び15日目における、先に開示された方法に従って調製した比較コール酸塩/金(0)ナノ粒子。
【
図11】分解プロセスに供された粒子からのコール酸塩の放出に関するデータを示す。
【
図12】先に開示された方法に従って調製したコール酸塩粒子の分解後の金ナノ粒子の存在を示す動的光散乱(DLS)データを示す。
【
図13】本明細書に開示の方法に従って調製したデオキシコール酸塩粒子及び先に開示の方法に従って調製したデオキシコール酸塩粒子の分解後の金ナノ粒子を検出するための紫外可視分光分析データを示す。
【
図14】金ナノ粒子形成プロセスに供された試料の画像を示す。
【
図15】牛脂を本明細書に開示の粒子と共にインキュベートし、細胞溶解を生じた試料の画像を示す。(A)陰性対照及び陽性対照を示し、(B)陰性対照、及び表示された粒子と共にインキュベートした試料を示し、いずれの場合も矢印は脂肪滴を指している。
【
図16】HT-29結腸癌細胞を本明細書に記載の複合粒子と共にインキュベートした場合の細胞生存率アッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩の制御放出のために使用され得る粒子に関する。該粒子は、様々な医学的及び皮膚科学的治療、例えば肝障害の治療、及び局所的な脂肪沈着物の非外科的除去に使用することができる。該粒子はまた、がんの治療またはがん細胞の増殖を抑制する方法にも使用することができる。
【0032】
複合粒子の製造におけるこれまでの作業は、胆汁酸塩から構成される粒子を生成するために遷移金属(例えば、金)ナノ粒子の形成を必要とした。例えば、国際特許公開第WO2021/011753号を参照のこと。このナノ粒子は、遷移金属前駆体を還元してその場で元素遷移金属ナノ粒子を形成する製造プロセスの結果として試料中に存在した。加熱工程が遷移金属イオンの還元を効果的に行うために使用され、遷移金属ナノ粒子と並行して溶液中で粒子が形成された。
【0033】
本明細書に開示の複合粒子は、遷移金属ナノ粒子を含まない。むしろ、粒子は、遷移金属イオンまたは酸のいずれかを含有する溶液から製造され、粒子形成をテンプレート化するための還元工程を必要としない。理論により制限されることを望むものではないが、本明細書に開示の粒子は、溶液またはエマルション中に適切なpHが確立された結果として形成されると考えられ、このpHは、水に溶解した際に酸性溶液を形成する酸または遷移金属塩のいずれかの溶液を使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、(例えば、遷移金属イオンが使用される場合)、粒子は、遷移金属イオンと、ステロイド骨格を有する化合物との錯体形成の結果として形成され得る。該粒子はいくつかの方法で調製することができ、いずれの方法も遷移金属ナノ粒子が形成されないように還元剤または加熱工程を含まない。
【0034】
複合粒子
一態様では、本開示は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子であって、少なくとも1つの寸法が少なくとも100nmの長さを有する、複合粒子を提供する。いくつかの実施形態では、粒子は、(例えば、遷移金属塩からの)遷移金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、粒子は、酸をさらに含む。
【0035】
複合粒子は、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレンコアの通常の番号を付した、以下に示すステロイドコア構造を有する化合物を含む。
【化1】
【0036】
ステロイドコア構造は、上に示されるように完全に飽和されていてよく、または1つ以上の二重結合を含んでもよい。コア構造は、1つ以上のアルキル官能基を含んでいてよく、例えば、ステロイド化合物は、C10位及びC13位にメチル基を含み、多くの場合C17にアルキル基(または官能化アルキル基)を含む。コア構造は、1つ以上のヒドロキシ基またはオキソ基も含んでいてもよく、例えば、ステロイド及びステロールは、C3にオキソ基またはヒドロキシ基を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、テストステロン(例えば、エナント酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、またはウンデカン酸テストステロン)、エキセメスタン、ホルメスタン、メステロロン、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、メストラノール、ノルエチンドロン、ダナゾール、ゲストリノン、レボノルゲストレル、リネストレノール、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、チボロン、エチノジオール(例えば、二酢酸エチノジオール)、シプロテロン、メゲストロール(例えば、酢酸メゲストロール)、アビラテロン(例えば、酢酸アビラテロン)、ジエノゲスト、ミフェプリストン、ドロスピレノン、スピロノラクトン、エストラジオール、リン酸ポリエストラジオール、エストラムスチン(例えば、リン酸エストラムスチン)、エストロン、エストロピペート、プロゲステロン、ジドロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン)、メドロキシプロゲステロン(例えば、酢酸メドロキシプロゲステロン)、セゲステロン(例えば、酢酸セゲステロン)、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、コルチゾール、コルチゾン、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン(例えば、酢酸フルドロコルチゾン)、フルオシノロン(例えば、フルオシノロンアセトニド)、ロテプレドノール(例えば、エタボン酸ロテプレドノール)、メチルプレドニゾロン(例えば、酢酸メチルプレドニゾロンまたはコハク酸メチルプレドニゾロン)、プレドニカルベート、プレドニゾロン(例えば、リン酸プレドニゾロンナトリウムまたは酢酸プレドニゾロン)、プレドニゾン、トリアムシノロン(例えば、トリアムシノロンアセトニドまたはトリアムシノロンヘキサアセトニド)、アルクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(alclometasone diproprionate))、ベタメタゾン(例えば、リン酸ベタメタゾンナトリウム、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、または酢酸ベタメタゾン)、クロベタゾール(例えば、プロピオン酸クロベタゾール)、クロベタゾン(例えば、酪酸クロベタゾン)、クロコルトロン(例えば、ピバル酸クロコルトロン)、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン(例えば、リン酸デキサメタゾンまたはリン酸デキサメタゾンナトリウム)、ジフロラゾン(例えば、二酢酸ジフロラゾン)、ジフルオコルトロン、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンまたはフロ酸フルチカソン)、ハロメタゾン、モメタゾン(例えば、フロ酸モメタゾン)、リメキソロン、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコート、デソニド、フルニソリド、フルオシノニド、ハルシノニド、コレステロール、吉草酸エストラジオール、ヒドロコルチゾン(例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、または吉草酸ヒドロコルチゾン)、ジフルコルトロン(例えば、吉草酸ジフルコルトロン)、ボルデノン(例えば、ウンデシレン酸ボルデノン)、ナンドロロン、アルトレノゲスト、スタノゾロール、オサテロン(例えば、酢酸オサテロン)、エストリオール、アグレプリストン、トリロスタン、フルメタゾン、デオキシコルチコステロン、アルファキサロン、デスオキシコルチコステロン(例えば、ピバル酸デスオキシコルチコステロン)、及びイソフルプレドン(例えば、酢酸イソフルプレドン)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを、約70重量%~約99重量%、または約80重量%~約95重量%の量で含む。例えば、いくつかの実施形態では、複合粒子は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルを、約70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、もしくは99重量%、またはそれらの間の任意の範囲の量で含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸、またはその塩もしくはエステルである。そのような実施形態では、本開示は、胆汁酸、またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子であって、少なくとも1つの寸法が少なくとも100nmの長さを有する、複合粒子を提供する。いくつかの実施形態では、複合体は、遷移金属イオン及び/または酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、本開示は、胆汁酸、またはその塩もしくはエステルと、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、Fe(II)イオン)とを含む複合粒子を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、胆汁酸、またはその塩もしくはエステルと、酸(例えば、塩酸またはサリチル酸)とを含む複合粒子を提供する。
【0040】
胆汁酸は、主に胆汁中に見られるステロイド酸であり、肝臓で合成される一次胆汁酸と、結腸内の細菌によって一次胆汁酸から合成される二次胆汁酸の両方を含む。胆汁酸及びその塩は、小腸内で脂質を可溶化し、肝機能、胆管機能、及び腸機能を調節することを助け;胆汁酸及びその塩は、胆汁酸合成障害及びペルオキシソーム病、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、心血管代謝疾患、胆石及び胆管結石、非アルコール性脂肪性肝疾患、2型糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、急性膵炎、及びがんを含む様々な病態を治療するための治療剤として提案されている。
【0041】
特定の胆汁酸の経口投与製剤は、様々な胆汁合成障害及び肝機能不全の治療のために米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。例えば、コール酸カプセル剤は、胆汁酸合成障害及びペルオキシソーム病の治療のために承認されており、ウルソデオキシコール酸錠剤及びオベチコール酸錠剤はいずれも原発性胆汁性胆管炎の治療に承認されている。しかしながら、これらの薬剤の経口投与は、それらのバイオアベイラビリティを制限する場合があり、それらの膜破壊特性を通じて細胞毒性のリスクをもたらす可能性がある。さらに、注射用のデオキシコール酸は、中程度から重度の顎下の脂肪を低減するための脂肪細胞の破壊について米国FDAにより承認されている。しかしながら、効果的な治療のためには多数の注射が必要である。本明細書に開示の複合粒子中の胆汁酸の製剤は、副作用を低減しながら特異性を高める胆汁酸の制御されたまたは標的化された送達をもたらす。
【0042】
胆汁酸は、タウリンまたはグリシンと抱合し得る。例示的な胆汁酸としては、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、タウロリトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、及びタウロウルソデオキシコール酸が挙げられる。胆汁酸としては、半合成胆汁酸、例えば、オベチコール酸も挙げられる。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、及びケノデオキシコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸及びデオキシコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸はコール酸である。いくつかの実施形態では、胆汁酸はデオキシコール酸である。いくつかの実施形態では、複合粒子は、2種以上の胆汁酸またはその塩の組合せを含む。
【0043】
胆汁酸は、塩の形態であり得る。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩である。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、ナトリウム塩である。したがって、いくつかの実施形態では、粒子は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される胆汁酸塩を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、コール酸ナトリウム及びデオキシコール酸ナトリウムから選択される胆汁酸塩を含む。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はデオキシコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はウルソデオキシコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はケノデオキシコール酸ナトリウムである。
【0044】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを、約70重量%~約99重量%、または約80重量%~約95重量%の量で含む。例えば、いくつかの実施形態では、複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを、約70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、もしくは99重量%、またはそれらの間の任意の範囲の量で含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、コルチコステロイドまたはその塩もしくはエステルである。そのような実施形態では、本開示は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子であって、少なくとも1つの寸法が少なくとも100nmの長さを有する、複合粒子を提供する。いくつかの実施形態では、複合粒子は、遷移金属イオン及び/または酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、本開示は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、鉄(II)イオン)とを含む複合粒子を提供する。
【0046】
コルチコステロイドは、脊椎動物の副腎皮質で生成されるステロイドホルモンの一種、及びそのようなホルモンの合成アナログである。コルチコステロイドの2つの主なカテゴリーは、グルココルチコイド及びミネラルコルチコイドである。これらの化合物は、ストレス応答、免疫応答、ならびに炎症、炭水化物代謝、タンパク質異化、血中電解質レベル、及び挙動の調節を含む広範囲な生理学的プロセスに関与している。
【0047】
コルチコステロイドは一般に以下の4つのクラスに分類される:群A(ヒドロコルチゾンタイプ)、例えばヒドロコルチゾン(例えば酢酸ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、またはコハク酸ヒドロコルチゾン)、コルチゾン(例えば酢酸コルチゾン)、チキソコルトール(例えばピバル酸チキソコルトール)、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン(例えばコハク酸メチルプレドニゾロン)、及びプレドニゾン;群B(アセトニド及び関連化合物)、例えばアムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノロン(例えばフルオシノロンアセトニド)、フルオシノニド、ハルシノニド、及びトリアムシノロン(例えばトリアムシノロンアセトニド);群C(ベタメタゾンタイプ)、例えばベクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ハロメタゾン、及びモメタゾン;ならびに群D(エステル)、例えば、群D1ハロゲン化エステル(ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、酢酸フルプレドニデン、及びフロ酸モメタゾン)、及び群D2不安定なプロドラッグエステル(シクレソニド、酢酸コルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート、及びピバル酸チキソコルトール)。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン(例えば酢酸ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、またはコハク酸ヒドロコルチゾン)、デキサメタゾン(例えばリン酸デキサメタゾン)、ベクロメタゾン(例えばジプロピオン酸ベクロメタゾン)、シクレソニド、クロベタゾール(例えばプロピオン酸クロベタゾールまたは吉草酸クロベタゾール)、クロベタゾン(例えば酪酸クロベタゾン)、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルチコステロン(例えば酢酸デスオキシコルチコステロン)、ジクロリゾン、ジフロラゾン(例えば二酢酸ジフロラゾン)、ジフルコルトロン(例えば吉草酸ジフルコルトロン)、フルアドレノロン(fluadrenolone)、フルクラロロン(例えばフルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide))、フルドロコルチゾン(例えば酢酸フルドロコルチゾン)、フルメタゾン(例えばピバル酸フルメタゾン)、フルオシノロン(例えばフルオシノロンアセトニド)、フルオシノニド、フルコルチン(例えばフルコルチンブチルエステル)、フルオコルトロン、フルプレドニデン(例えば酢酸フルプレドニデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、ハロメタゾン、メチルプレドニゾロン(例えばコハク酸メチルプレドニゾロン)、トリアムシノロン(例えばトリアムシノロンアセトニド)、コルチゾン(例えば酢酸コルチゾン)、コルトドキソン、フルセトニド、フルラドレナロン(例えばフルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide))、メドリゾン、アルクロメタゾン(例えばジプロピオン酸アルクロメタゾン)、アムシアフェル、アムシナフィド、アムシノニド、ベタメタゾン(例えばジプロピオン酸ベタメタゾンまたは吉草酸ベタメタゾン)、ブデソニド、クロルプレドニゾン(例えば酢酸クロルプレドニゾン)、クロコルテロン、クレシノロン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、モメタゾン(例えばフロ酸モメタゾン)、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニカルベート、及びチキソコルトール(例えばピバル酸チキソコルトール)から選択される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾン(例えば、リン酸デキサメタゾン)、メチルプレドニゾロン(例えば、コハク酸メチルプレドニゾロン)、及びヒドロコルチゾン(例えば、コハク酸ヒドロコルチゾン)から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、コルチコステロイドまたはその塩もしくはエステルを、約70重量%~約99重量%、または約80重量%~約95重量%の量で含む。例えば、いくつかの実施形態では、複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを、約70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、もしくは99重量%、またはそれらの間の任意の範囲の量で含む。
【0049】
ステロイドコア構造を有する化合物は、塩の形態であり得る。例えば、ステロイドコア構造を有する化合物は、好適なカチオン、例えばアルカリ金属カチオン(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム)、アンモニウムカチオン(例えば、NR4
+(式中、各Rは独立して水素及びアルキル基から選択される))などと塩を形成することができる1つ以上の酸性部分(例えば、カルボキシレート)を有し得る。いくつかの実施形態では、塩はナトリウム塩である。ステロイドコア構造を有する化合物はまた、ステロイド化合物のエステルも含む。そのようなエステル化合物では、1つ以上のヒドロキシ基をアシル基で官能化してエステルを形成することができる。例示的なエステル基としては、アセテート、アダマントエート(adamantoate)、ベンゾエート、ブテプレート、ブチレート、カプロエート、シピオネート、エナンテート、エタボネート、フロエート、ヘキサノエート、リノレート、パルミテート、ピバレート、プロピオネート、テブテート、サクシネート、ウンデカノエート、ウンデシレネート、バレレートなどが挙げられる。この化合物は、環状ケタール、例えば環状アセタールの形態であってもよい。ステロイドコア構造を有する化合物は、多くの場合2つの隣接するヒドロキシ基を有しており、これらは環状アセタールを形成してアセトニドを形成することができる(例えば、アセトン、特にC16及びC17位)。
【0050】
ステロイドコア構造を有する化合物(またはその塩もしくはエステル)に加えて、いくつかの実施形態では、粒子は遷移金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、粒子は、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ニッケルイオン、または鉄イオンを含む。いくつかの実施形態では、粒子は、金イオン、銀イオン、銅イオン、または鉄イオンを含む。いくつかの実施形態では、粒子は、金(III)イオン、銀(I)イオン、銅(II)イオン、ニッケル(II)イオン、パラジウム(II)イオン、白金(II)イオン、鉄(II)イオン、または鉄(III)イオンを含む。いくつかの実施形態では、粒子は、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、Fe(II)イオン)を含む。
【0051】
遷移金属イオンは、約1重量%~約30重量%、または約5重量%~約20重量%の量で粒子中に存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、複合粒子は、遷移金属イオンを、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、もしくは約30重量%、またはそれらの間の任意の範囲の量で含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物(またはその塩もしくはエステル)に加えて、粒子は酸をさらに含む。酸は、無機酸または有機酸であり得る。好適な無機酸の例としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸が挙げられる。好適な有機酸の例としては、限定されるものではないが、2-アセトキシ安息香酸(2-acetyoxybenzoic)、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、テトラフルオロホウ酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び吉草酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。いくつかの実施形態では、酸はサリチル酸である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の粒子は、遷移金属ナノ粒子(すなわち、遷移金属がゼロ酸化状態(すなわち、塩ではない)にある遷移金属ナノ粒子、例えば金ナノ粒子)を本質的に含まない。この特徴は、本明細書に開示の粒子を、ダブルエマルション法を使用して形成される国際特許公開第WO2021/011753号に開示されているようなステロイドコア構造を有する化合物を含む前述の複合粒子と区別する。本明細書で使用される場合、遷移金属ナノ粒子を「本質的に含まない」という語句は、ナノ粒子が、0.5重量%未満の遷移金属ナノ粒子、または0.2重量%未満、または0.1重量%未満、または0重量%の遷移金属ナノ粒子を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、粒子は、検出可能な量の金属ナノ粒子を一切含まない。
【0054】
複合粒子は、様々な方法によって調製することができる。例えば、複数の複合粒子を作製するための第1の方法では、該方法は、
(a)遷移金属塩を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;及び
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第2の溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む。
【0055】
複数の複合粒子を作製するための第2の方法では、該方法は、
(a)ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を遷移金属塩と混合して第2の溶液を形成すること;
(c)該第2の溶液を水と混合して第1のエマルションを形成すること;
(d)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む。
【0056】
複数の複合粒子を作製するための第3の方法では、該方法は、
(a)遷移金属塩を水中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む。
【0057】
複数の複合粒子を作製するための第4の方法では、該方法は、
(a)酸、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第1の溶液及び水を準備すること;
(b)該第1の溶液を酢酸エチルと混合して第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、酸を水に溶かした溶液と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む。
【0058】
複数の複合粒子を作製するための第5の方法では、該方法は、
(a)酸を酢酸エチル中に含む第1の溶液を準備すること;
(b)該第1の溶液を、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第2の溶液及び水と混合して、第1のエマルションを形成すること;
(c)該第1のエマルションを、ステロイドコア構造を有する化合物またはその塩もしくはエステルを含む第3の溶液及び水と混合して最終混合物を形成し、それによって該複合粒子を形成すること
を含む。
【0059】
第1、第2、及び第3の方法のいくつかの実施形態では、遷移金属塩は、金(III)塩、銀(I)塩、銅(II)塩、ニッケル(II)塩、パラジウム(II)塩、白金(II)塩、鉄(II)塩、または鉄(III)塩である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、金(III)塩である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、塩化金(III)である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、鉄(II)塩である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、硫酸鉄(II)である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、銀(I)塩である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、硝酸銀(I)である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、銅(II)塩である。いくつかの実施形態では、遷移金属塩は、塩化銅(II)である。
【0060】
第1、第2、第3、第4、及び第5の方法のいくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、タウロリトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、及びオベチコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸は、コール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、及びケノデオキシコール酸から選択される。いくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、胆汁酸塩である。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩である。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、ナトリウム塩である。したがって、いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、及びケノデオキシコール酸ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、コール酸ナトリウム及びデオキシコール酸ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はデオキシコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はウルソデオキシコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩はケノデオキシコール酸ナトリウムである。
【0061】
第1、第2、第3、第4、及び第5の方法のいくつかの実施形態では、ステロイドコア構造を有する化合物は、コルチコステロイド化合物またはその塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾン、またはそれらのエステルから選択される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、デキサメタゾンまたはそのエステルである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、メチルプレドニゾロンまたはそのエステルである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド化合物は、ヒドロコルチゾンまたはそのエステルである。
【0062】
第1、第2、第3、第4、及び第5の方法のいくつかの実施形態では、複合粒子は、最終混合物の形成直後に形成される。他の実施形態では、第1、第2、及び第3の方法は、最終混合物を撹拌する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、最終混合物は、約1秒~約15分間撹拌され、その間に複合粒子が形成される。例えば、撹拌工程は、最終混合物を約5秒、約10秒、15秒、約30秒、約45秒、約60秒、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、または約15分間撹拌することを含み得る。
【0063】
第1、第2、第3、第4、及び第5の方法は、複合粒子を混合物から分離するさらなる工程をさらに含み得る。分離工程は、適切な孔径を有するフィルターを用いてろ過することを含み得る。分離工程は、代替的または追加的に遠心分離を含み得る。例えば、遠心分離(例えば、100~5000rpm、例えば100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000rpm)は、複合粒子を他の成分から効果的に分離し得る。複合粒子は、遠心分離によりペレットで回収され得る。
【0064】
第1、第2、第3、第4、及び第5の方法のいくつかの実施形態では、該方法は、加熱工程を含まない。遷移金属ナノ粒子を形成するための還元剤の使用を伴い、遷移金属イオンをその元素状態に還元するための加熱工程を必要とする金属ナノ粒子を含む複合粒子を調製する他の方法と比較して、本明細書に開示される方法は、還元工程を必要とせず、したがって加熱工程も必要としない。第1、第2、及び第3の方法のいくつかの実施形態では、該方法は周囲温度で行われる。
【0065】
同様に、第1、第2、第3、第4、及び第5の方法では、組成物は還元剤(例えば、クエン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸ナトリウム)を含まない。遷移金属ナノ粒子の形成によってテンプレート化されることなく複合粒子が形成されるため、還元剤は不要である。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法は、インキュベーション工程の後に最終混合物から溶媒を除去することをさらに含む。溶媒は、様々な方法、例えば周囲温度及び圧力での蒸発、または加熱による蒸発、または減圧下での蒸発を用いて除去することができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、周囲温度及び圧力での蒸発によって除去される。
【0067】
本明細書に開示される複合粒子の具体的な作製方法は、実施例に記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書では、上記の方法のいずれかによって生成された粒子が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルと、遷移金属イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルと、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ニッケルイオン、または鉄イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルと、金イオン、銀イオン、銅イオン、または鉄イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルと、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、鉄(II)イオン)とから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、遷移金属イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ニッケルイオン、または鉄イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、金イオン、銀イオン、銅イオン、または鉄イオンとから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、金イオン(例えば、Au(III)イオン)または鉄イオン(例えば、鉄(II)イオン)とから本質的になる。そのような実施形態では、複合粒子は、他の成分、例えば小分子、ポリマーなどを含まないか、または実質的に含まない。
【0069】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、ステロイドコア構造を有する化合物、またはその塩もしくはエステルと、酸とから本質的になる。いくつかの実施形態では、粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルと、塩酸及びサリチル酸から選択される酸とから本質的になる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステルと、酸とから本質的になる。いくつかの実施形態では、粒子は、コルチコステロイド、またはその塩もしくはエステル、塩酸及びサリチル酸から選択される酸から本質的になる。そのような実施形態では、複合粒子は、他の成分、例えば金属ナノ粒子、金属イオン、小分子、ポリマーなどを含まないか、または実質的に含まない。
【0070】
いくつかの実施形態では、複合粒子はポリマーを含まない。例えば、複合粒子は、ポリマー、例えばポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含むポリエステル、またはアニオン性ポリマー、例えば多糖類(例えば、デキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、またはアルギン酸)、核酸ポリマーなどを含まない。例えば、本開示の複合粒子では、ステロイドコア構造を有する化合物(例えば、胆汁酸またはコルチコステロイド)は、ポリマーに結合していない。いくつかの実施形態では、複合粒子は、ホスファチジルコリンを含まない。
【0071】
他の実施形態では、粒子は、他の成分をさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、粒子は、標的化リガンドをさらに含む。標的化リガンドは当業者によく知られており、例示的な標的化リガンドは、Srinivasarao et al.「Ligand-Targeted Drug Delivery」,Chem.Rev.2017,117(19),12133-12164(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。例示的な標的化リガンドとしては、細胞表面上に発現する分子に対する抗体が挙げられ、例えば、特定の脂肪腫細胞はCD34を過剰発現することが知られており、抗CD34抗体は、これらの細胞の標的化リガンドとして使用され得る。
【0072】
他の実施形態では、粒子は、追加の治療剤をさらに含む。任意の好適な治療剤を使用することができる。例示的な治療剤としては、Harrison’s Principles of Internal Medicine,20th Edition,Eds.J.L.Jameson et al.,McGraw-Hill Education(2018);Physicians’ Desk Reference,71st Edition,PDR Network(2017);及びGoodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,13th Edition,Eds.L.L.Brunton et al.,2017;United States Pharmacopeia-The National Formulary,USP 42-NF 37,2019(その各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。
【0073】
複合粒子は、多種多様な技術によって特性評価することができる。例えば、粒子は、そのサイズ及び形状を決定するために走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して撮像することができる。元素組成は、元素分析を用いて、例えばエネルギー分散型分光分析(EDS)及び/またはX線光電子分光法(XPS)を用いて確認することができる。胆汁酸の存在は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法、及び核磁気共鳴(NMR)分光法などの技術を用いてさらに確認することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、複合粒子は六角柱形状を有する。このような粒子は、それらの対角線長さ、すなわち六角形の2つの対向する頂点の間の長さ、及びそれらの高さによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、約2.5μm~約10μm、または約3.0μm~約9.0μm(例えば、約2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、もしくは10μm、またはそれらの間の任意の範囲)の平均対角線長さを有する六角柱形状を有する。いくつかの実施形態では、複合粒子は、約2.5μm~約6.5μm(例えば、約2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、もしくは6.5μm、またはそれらの間の任意の範囲)の平均高さを有する六角柱形状を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、複合粒子は棒形状を有する。いくつかの実施形態では、複合粒子は、約2.5μm~約100μm、または約10μm~約50μm(例えば、約2.5、5.0、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100μm、またはそれらの間の任意の範囲)の平均長さを有する棒形状を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、複合粒子は六角シート形状を有する。このような粒子は、シートの長辺及び短辺の長さによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、複合粒子は、約10μm~約50μm(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50μm、またはそれらの間の任意の範囲)の平均長辺長さ、及び5μm~20μm(例えば、約5、7.5、10、12.5、15、17.5、もしくは20μm、またはそれらの間の任意の範囲)の短辺長さを有する六角シート形状を有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、複合粒子は球形状を有する。いくつかの実施形態では、球は、1μm~10μm(例えば、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、もしくは約10μm、またはそれらの間の任意の範囲)の直径を有する。
【0078】
組成物
別の態様では、本開示は、本明細書に記載された複数の複合粒子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0079】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に記載される活性剤を投与するための薬学的に許容される物質、組成物、またはビヒクルを指す。薬学的に許容される担体には、胆汁酸またはその塩もしくはエステルの活性に適合性があり、対象に生理学的に許容される、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容される担体として機能し得る物質のいくつかの例としては、(i)糖類、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;(ii)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;(iii)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、及び酢酸セルロース;(iv)トラガント末;(v)麦芽;(vi)ゼラチン;(vii)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルク;(viii)賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス;(ix)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油;(x)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(xi)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール(PEG);(xii)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(xiii)寒天;(xiv)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウム;(xv)アルギン酸;(xvi)パイロジェンフリー水;(xvii)等張食塩水;(xviii)リンゲル液;(xix)エチルアルコール;(xx)pH緩衝液;(xxi)ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ無水物;(xxii)増量剤、例えば、ポリペプチド及びアミノ酸、(xxiii)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDL、及びLDL;(xxiv)C2-C12アルコール、例えば、エタノール;ならびに(xxv)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、及び酸化防止剤もまた、製剤中に存在し得る。
【0080】
本明細書に記載の経口投与される製剤に関して、薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、薬学的に許容される賦形剤、例えば不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、着色剤、及び防腐剤が挙げられる。好適な不活性希釈剤は、炭酸ナトリウム及びカルシウム、リン酸ナトリウム及びカルシウム、ならびにラクトースを含む一方で、トウモロコシデンプン及びアルギン酸は好適な崩壊剤である。結合剤は、デンプン及びゼラチンを含むことができ、一方で、滑沢剤は、存在する場合、一般的にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクとなる。必要に応じて、錠剤は、胃腸管での吸収を遅らせるために、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの物質でコーティングされ得る。
【0081】
薬学的に許容される担体は、本明細書に記載の製剤において、投与経路に応じて変化し得る。本明細書に記載の製剤は、当業者に公知の任意の投与様式を介して送達することができる。例えば、本明細書に記載の製剤は、例えば、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、及び皮下を含む経口及び非経口の投与経路を介して全身的に送達することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤は、注射、特に皮下注射に適した形態である。他の実施形態では、本明細書に記載の製剤は、経口投与用に、例えば錠剤またはカプセル剤に製剤化される。
【0082】
非経口投与の場合、本明細書に記載の製剤は、一般に、注射可能な単一剤形(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化することができる。注射に適した製剤は、滅菌水溶液または分散液を含む。担体は、例えば、水、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、塩(例えば、塩化ナトリウム)、または好適なそれらの混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。いくつかの実施形態では、医薬担体は、生理食塩水であり得る。いくつかの実施形態では、医薬担体は、緩衝液(例えば、PBS)であり得る。必要に応じて、組成物はまた、注射部位の痛みを緩和するために、可溶化剤及び局所麻酔剤、例えばリグノカインを含んでもよい。
【0083】
製剤は、投与経路及び所望の調製物に応じて、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘度向上添加剤、防腐剤、着色料などの補助物質を含有することもできる。「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE」,17th edition,1985(参照により本明細書に組み込まれる)などの標準的なテキストは、過度の実験を伴わずに好適な製剤を調製するために参照することができる。しかしながら、本明細書に記載の製剤に関して、使用される任意のビヒクル、希釈剤、または添加剤は、本明細書に記載の活性剤と生体適合性でなければならない。当業者であれば、製剤の成分が活性剤に対して生体適合性となるように選択されるべきであることを認識するであろう。このことは化学原理及び薬学原理の当業者には問題ないか、または標準的なテキストの参照もしくは単純な実験(過度の実験を伴わない)によって問題を容易に回避することができる。
【0084】
in vivo投与の場合、本明細書に記載の製剤は、送達デバイス、例えばシリンジにより投与することができる。したがって、本明細書に記載のさらなる態様は、出口を有する少なくとも1つのチャンバを備える送達デバイスであって、該少なくとも1つのチャンバが所定量の本明細書に記載の任意の製剤を含み、該出口が該チャンバ内に封入された製剤のための出口を提供する、送達デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の送達デバイスは、出口を通る製剤の放出を制御するためのアクチュエータをさらに備えることができる。このような送達デバイスは、本明細書に記載の任意の製剤の対象への投与を容易にするための任意のデバイス、例えば、本明細書に記載の任意の製剤の持続放出または制御放出のための、例えば、シリンジ、乾燥粉末インジェクタ、鼻腔用スプレー、ネブライザー、またはマイクロチップなどのインプラントであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、組成物は、ホスファチジルコリンを含まない。
【0086】
使用方法
複合粒子は、例えば、対象における障害を治療する方法などの様々な方法で使用することができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、ヒト及び非ヒト動物が含まれる。例示的なヒト対象には、障害、例えば、本明細書に記載の障害を有するヒト患者、または正常な対象が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、全ての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば、ニワトリ、両性類、爬虫類)、及び哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、家畜及び/または農業上有用な動物、例えば、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなどが含まれる。
【0088】
本明細書で使用される場合、障害を有する対象を「治療する」または「治療すること」という用語は、レジメン、例えば、本明細書に記載の粒子または組成物の投与を対象に施して、障害の少なくとも1つの症状を治す、治癒する、緩和する、軽減する、変化させる、治療する、軽快させる、または改善することを指す。治療することは、障害または障害の症状を緩和する、軽減する、変化させる、治療する、軽快させる、改善する、またはそれに影響を及ぼすのに有効な量を投与することを含む。治療は、障害の症状の増悪または悪化を抑制し得る。
【0089】
以下の様々な病態を治療するための治療剤として、胆汁酸及びその塩が提案されている、例えば、胆汁酸合成障害及びペルオキシソーム病(例えば、Klouwer et al.Orphanet J.Rare Dis.,2015,10,151;W.T.Elliot.Internal Medicine Alert,2015,37を参照のこと)、原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変としても知られる;例えば、Hirschfield et al.Gut,2018,67,1568を参照のこと)、原発性硬化性胆管炎(例えば、Mikov et al.Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.,2006,31,237を参照のこと)、心血管代謝疾患(例えば、Ikemoto et al.Am.J.Physiol.Metab.,1997,273,E37を参照のこと)、胆石及び胆管結石(例えば、Fini et al.J.Pharm.Sci.85(9),971);Lansford et al.Gut,1974,15,48を参照のこと)、非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば、Quintero et al.J.Physiol.Biochem.,2014,70,667;Gabbi et al.Dig.Liver Dis.,2012,44,1018を参照のこと)、2型糖尿病(例えば、Gabbi 2012を参照のこと)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)(例えば、Mikov 2006を参照のこと)、急性膵炎(例えば、Mikov 2006を参照のこと)、がん(例えば、Goossens et al.Pharmacol.Ther.203,107396(2019);Zeng et al.Nutr.Cancer 62,85-92(2009);Pardi et al.Gastroenterology 124,889-893(2003);Milovic et al.Eur.J.Clin.Invest.32,29-34(2002);Schlottmann et al.Cancer Res.60,4270-4276(2000);Sarenac et al.Front.Pharmacol.10:484(2019),doi:10.3389/fphar.2019.00484を参照のこと)、ならびに望ましくない脂肪の除去(Yagima Odo et al.Dermatologic Surg.33,178-189(2007))。胆汁酸及びその塩は、対象における局所的な脂肪沈着物の非外科的除去にも有用である。例えば、デオキシコール酸注射は、成人の顎下脂肪に関連する中等度から重度に丸みを帯びたりまたは膨らみを有したりする外観を改善するために、米国FDAによって承認されている。しかしながら、多くの注射が必要であり、1回の単独治療に最大50回の注射が含まれ、効果的な治療のためには最大6回の単独治療が必要とされる場合がある。したがって、本明細書に開示の複合粒子は、胆汁酸またはその塩もしくはエステルの制御放出をもたらし、これにより、効果的な治療に必要とされる注射回数を減らすことが企図される。
【0090】
コルチコステロイドは、様々な病態、例えば、内分泌障害(例えば、原発性または続発性副腎皮質機能不全、先天性副腎過形成、非化膿性甲状腺炎、またはがんに伴う高カルシウム血症)、リウマチ性障害(例えば、関節リウマチ(若年性関節リウマチを含む)、強直性脊椎炎、急性及び亜急性滑液包炎、変形性関節症の滑膜炎、急性非特異性腱鞘炎、外傷後変形性関節症、乾癬性関節炎、上顆炎、または急性痛風性関節炎)、膠原病(例えば、全身性エリテマトーデス、全身性皮膚筋炎(多発性筋炎)、または急性リウマチ性心炎の増悪中または維持療法として)、皮膚疾患(例えば、水疱性疱疹状皮膚炎(bullous dermatitis herpetiformis))、重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群)、重症脂漏性皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉症、天疱瘡、または重症乾癬)、アレルギー状態(例えば、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、薬物過敏反応、血清病、接触皮膚炎、気管支喘息、またはアトピー性皮膚炎)、眼疾患(例えば、眼及び眼附属器に関与する重度の急性及び慢性のアレルギー性及び炎症性プロセス、例えば、アレルギー性角膜辺縁潰瘍、眼部帯状疱疹、前眼部炎症、びまん性後部ぶどう膜炎及び脈絡膜炎、交感性眼炎、角膜炎、視神経炎、アレルギー性結膜炎、脈絡網膜炎、ステロイド外用薬が効かないぶどう膜炎及び眼炎症状態、または虹彩炎及び虹彩毛様体炎)、呼吸器疾患(例えば、症候性サルコイドーシス、ベリリウム症、レフレル症候群、劇症型肺結核または播種性肺結核、誤嚥性肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、喘息、過敏性肺炎、器質化肺炎を伴う特発性閉塞性細気管支炎、特発性好酸球性肺炎、特発性肺線維症、またはニューモシスチス・カリニ肺炎)、血液障害(例えば、特発性血小板減少性紫斑病、続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性)溶血性貧血、赤芽球減少症(赤血球貧血)、先天性(赤血球系)再生不良性貧血、ダイヤモンド・ブラックファン貧血、または赤芽球癆)、腫瘍性疾患(例えば、成人の白血病及びリンパ腫、または小児の急性白血病)、胃腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、またはクローン病の急性エピソードの間)、神経系障害(例えば、多発性硬化症の急性増悪)、炎症性障害、腎疾患(例えば、特発型またはエリテマトーデスに起因するネフローゼ症候群における利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため)、ならびに他の病態(例えば、適切な抗結核化学療法と併用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎)、神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症)を治療するために使用される。コルチコステロイドは、多くの場合、重度のアレルギーまたは皮膚病、喘息、及び関節炎の治療に使用される。
【0091】
ステロイドコア構造を有する他の化合物もまた、多種多様な障害の治療に使用される。例えば、以下に列挙されるのは、ステロイドコア構造を有する化合物と、それらがヒトにおける治療に使用される障害である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複合粒子は示された化合物を含み、本開示は、そのような粒子を示された障害を治療するために及び/または以下の目的で使用する方法を提供する。
【0092】
テストステロン(テストステロン、エナント酸テストステロン、及びシピオン酸テストステロン形態):転移性乳癌;思春期遅発症;低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(先天性または後天性);原発性性腺機能低下症(先天性または後天性);トランスジェンダー男性のホルモン療法(女性から男性へ);
【0093】
ウンデカン酸テストステロン:転移性乳癌;思春期遅発症;低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(先天性または後天性);原発性性腺機能低下症(先天性または後天性);トランスジェンダー男性のホルモン療法(女性から男性へ);
【0094】
エキセメスタン:乳癌;閉経後女性におけるエストロゲン受容体陽性早期乳癌の第1選択補助治療;閉経後女性における浸潤性乳癌のリスク低減;
【0095】
ホルメスタン:閉経後女性における進行性乳癌の治療;
【0096】
メステロロン:アンドロゲン欠乏症;性腺機能低下症;不妊症;思春期遅発症;
【0097】
フルオキシメステロン:転移性乳癌(女性);思春期遅発症(男性);原発性または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(男性);
【0098】
メチルテストステロン:転移性乳癌(女性);思春期遅発症(男性);原発性または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(男性);
【0099】
オキサンドロロン:体重増加(補助療法);重度の熱傷(補助療法);
【0100】
オキシメトロン:貧血;ファンコニ貧血;
【0101】
メストラノール(ノルエチンドロンとの投与):異常子宮出血;月経困難症;月経出血(過多月経);子宮内膜症に伴う疼痛;月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0102】
ノルエチンドロン:異常子宮出血;続発性無月経;避妊;子宮内膜症;
【0103】
ダナゾール:子宮内膜症;遺伝性血管性浮腫(HAE)の予防;良性乳房障害に関連する周期的な乳房の疼痛(乳房痛);難治性免疫性血小板減少症;
【0104】
ゲストリノン:子宮内膜症;
【0105】
レボノルゲストレル:避妊;重度の月経出血;子宮内膜増殖症;
【0106】
リネストレノール:妊娠の予防;頻発月経、過多月経、不正子宮出血、原発性及び続発性無月経または希発月経の治療;良性乳房疾患の治療;子宮内膜癌の治療;子宮内膜増殖症を防ぐための閉経周辺期及び閉経後の女性におけるエストロゲン療法への補助;子宮内膜症の治療;排卵、排卵痛、もしくは月経、または月経困難症の抑制;月経開始の遅延;
【0107】
ノルゲストレル(エチニルエストラジオールとの投与):避妊;異常子宮出血;月経困難症;多毛症;月経出血(過多月経);子宮内膜症に伴う疼痛;月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0108】
デソゲストレル:避妊;異常子宮出血;月経困難症;多毛症;月経出血(過多月経);月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0109】
エトノゲストレル:避妊;
【0110】
チボロン:閉経に伴う症状の治療;第一選択療法に禁忌または不耐性を有するハイリスク女性における閉経後骨粗鬆症の予防;
【0111】
二酢酸エチノジオール(エチニルエストラジオールとの投与):避妊;異常子宮出血;月経困難症;多毛症;月経出血(過多月経);子宮内膜症に伴う疼痛;月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0112】
シプロテロン:前立腺癌;トランスジェンダー女性のホルモン療法(男性から女性へ);パラフィリア;
【0113】
酢酸メゲストロール:食欲不振または悪液質;乳癌;子宮内膜癌;がん関連悪液質の治療;
【0114】
酢酸アビラテロン:転移性前立腺癌;
【0115】
ジエノゲスト:子宮内膜症;
【0116】
ミフェプリストン:2型糖尿病または耐糖能低下、及び手術を失敗したまたは手術候補でない内因性クッシング症候群の成人患者において高コルチゾール症に続発して生じる高血糖を抑制する;ミソプロストールと併用した妊娠70日までの子宮内妊娠の医学的中絶;早期流産;
【0117】
ドロスピレノン:避妊;
【0118】
スピロノラクトン:肝硬変に起因する腹水;駆出率が低下した心不全;高血圧;原発性高アルドステロン症;女性の尋常性ざ瘡;駆出率が保持された心不全;駆出率が低下した心不全;女性の多毛症;トランスジェンダー女性のホルモン療法(男性から女性へ);駆出率の低下を併発した心筋梗塞後;
【0119】
エストラジオール:転移性乳癌;低エストロゲン症(女性);骨粗鬆症の予防(女性);進行性前立腺癌;閉経に伴う血管運動神経症状;閉経に伴う外陰膣萎縮症;低骨密度を伴う機能性視床下部性無月経(若年成人女性);トランスジェンダー女性のホルモン療法(男性から女性へ);
【0120】
リン酸ポリエストラジオール:手術不能な進行前立腺癌の緩和治療;
【0121】
メゲストロール:食欲不振または悪液質;乳癌;子宮内膜癌;がん関連悪液質の治療;
【0122】
エストラムスチン:前立腺癌(転移性去勢抵抗性);
【0123】
リン酸エストラムスチン:前立腺癌;
【0124】
エストロン:外陰膣萎縮症;
【0125】
エストロピペート:女性の低エストロゲン症;骨粗鬆症の予防;閉経に起因する血管運動神経症状;閉経に起因する外陰膣萎縮症;
【0126】
プロゲステロン:結合型エストロゲンを投与されている非子宮摘出閉経後女性における子宮内膜増殖症の予防;続発性無月経の治療;粘膜下筋腫または子宮癌などの器質性の病変がない場合のホルモンバランスの乱れによる無月経または異常子宮出血の治療;プロゲステロン欠乏症の不妊女性のための生殖補助医療(ART)の一環;不妊女性のためのARTの一環として黄体機能を補充することにより胚着床及び早期妊娠をサポートする;自然早産の再発リスクを低下させる;
【0127】
ジドロゲステロン:プロゲステロン欠乏症によって引き起こされる様々な病態の治療;
【0128】
カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン:単胎妊娠で単胎自然早産歴のある女性における早産リスクを低下させる;進行(III期またはIV期)子宮腺癌の治療;器質性の病変(例えば、粘膜下筋腫または子宮癌)がない場合のホルモンバランスの乱れによる無月経(原発性及び続発性)及び異常子宮出血の管理;内因性エストロゲン産生の検査として;分泌期子宮内膜の生成及び剥離;
【0129】
酢酸メドロキシプロゲステロン:異常子宮出血;続発性無月経;避妊;子宮内膜増殖症の予防;子宮内膜癌;子宮内膜症;急性異常子宮出血;子宮内膜増殖症;ホットフラッシュ;パラフィリア/性行動亢進;
【0130】
酢酸セゲステロン(エチニルエストラジオールとの投与):避妊;
【0131】
ノルエルゲストロミン(エチニルエストラジオールとの投与):避妊;月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0132】
ノルゲスチメート(エストラジオールとの投与):骨粗鬆症の予防;閉経に伴う血管運動神経症状;閉経に伴う外陰膣萎縮症;
【0133】
ノルゲスチメート(エチニルエストラジオールとの投与):尋常性ざ瘡;避妊;異常子宮出血;月経困難症;多毛症;月経出血(過多月経);月経不順及び多毛症/にきびを有する女性における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
【0134】
コルチゾール:アレルギー状態:薬物過敏反応における従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤もしくは難治性アレルギー状態のコントロール、通年性もしくは季節性アレルギー性鼻炎、血清病、輸血反応、または急性非感染性喉頭浮腫(エピネフリンが第一選択薬である);皮膚疾患:アトピー性皮膚炎;水疱性疱疹状皮膚炎;接触皮膚炎;剥脱性皮膚炎;剥脱性紅皮症;天疱瘡;重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群);重症乾癬;重症脂漏性皮膚炎;菌状息肉症;浮腫状態:特発型またはエリテマトーデスに起因する、尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;内分泌障害:急性副腎皮質機能不全;先天性副腎過形成;がんに伴う高カルシウム血症;非化膿性甲状腺炎;原発性または続発性副腎皮質機能不全;術前及び重篤な外傷または病気の場合、副腎機能不全が判明している患者において、または副腎皮質予備能が疑わしい場合;副腎皮質機能不全が存在するまたは疑われる場合の従来の治療法に反応しないショック;胃腸疾患:潰瘍性大腸炎及び限局性腸炎において患者の疾患の重要な時期を乗り切るため;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血;先天性(赤血球系)再生不良性貧血(ダイヤモンド・ブラックファン貧血);赤芽球減少症(赤血球貧血);成人の免疫性血小板減少症(以前は特発性血小板減少性紫斑病として知られていた);赤芽球癆;続発性血小板減少症の一部の症例;腫瘍性疾患:白血病及びリンパ腫の緩和的管理(成人);小児の急性白血病;神経系:原発性もしくは転移性脳腫瘍または開頭術に伴う脳浮腫;眼疾患:眼に関与する重度の急性及び慢性のアレルギー性及び炎症性プロセス、例えば、アレルギー性結膜炎;アレルギー性角膜辺縁潰瘍;前眼部炎症;脈絡網膜炎;びまん性後部ぶどう膜炎及び脈絡膜炎;眼部帯状疱疹;虹彩炎及び虹彩毛様体炎;角膜炎;視神経炎;交感性眼炎;コルチコステロイド外用薬が効かない他の眼炎症状態;呼吸器疾患:誤嚥性肺臓炎;気管支喘息;ベリリウム症;適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核;特発性好酸球性肺炎;レフレル症候群(他の方法では管理できないもの);症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性及び亜急性滑液包炎、急性痛風性関節炎、急性非特異性腱鞘炎、強直性脊椎炎、上顆炎、外傷後変形性関節症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、例えば若年性関節リウマチ、変形性関節症の滑膜炎における短期投与の補助療法として;急性リウマチ性心炎、皮膚筋炎(多発性筋炎)、側頭動脈炎、及び全身性エリテマトーデスの増悪中または維持療法として;その他:神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症;適切な抗結核化学療法と併用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;院内心停止;敗血症性ショック;甲状腺クリーゼ;
【0135】
コルチゾン(コルチゾン及び酢酸コルチゾン形態):アレルギー状態:アトピー性皮膚炎の従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤または難治性アレルギー状態のコントロール、気管支喘息、接触皮膚炎、薬物過敏反応、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、及び血清病;皮膚疾患:水疱性疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉症、天疱瘡、重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群)、重症乾癬、重症脂漏性皮膚炎;内分泌障害:先天性副腎過形成、がんに伴う高カルシウム血症、非化膿性甲状腺炎、原発性または続発性副腎皮質;胃腸疾患:潰瘍性大腸炎及び限局性腸炎において患者の疾患の重要な時期を乗り切るため;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血、先天性(赤血球系)再生不良性貧血、赤芽球減少症(赤血球[RBC]貧血)、成人の免疫性血小板減少症(以前は特発性血小板減少性紫斑病として知られていた)、成人における続発性血小板減少症;腫瘍性疾患:成人における白血病及びリンパ腫の緩和的管理;小児の急性白血病;眼疾患:眼及び眼附属器に関与する重度の急性及び慢性のアレルギー性及び炎症性プロセス(例えばアレルギー性結膜炎、アレルギー性角膜辺縁潰瘍、前眼部炎症、脈絡網膜炎、びまん性後部ぶどう膜炎及び脈絡膜炎、角膜炎、眼部帯状疱疹、虹彩炎及び虹彩毛様体炎、視神経炎、交感性眼炎);腎疾患:特発型またはエリテマトーデスによって引き起こされる、尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;呼吸器疾患:誤嚥性肺臓炎、ベリリウム症、適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核、他の方法では管理できないレフレル症候群、症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性及び亜急性滑液包炎;急性痛風性関節炎;急性非特異性腱鞘炎;強直性脊椎炎;上顆炎:外傷後変形性関節症;乾癬性関節炎;関節リウマチ(RA)、例えば若年性関節リウマチ(一部の症例は低用量維持療法を必要とする);ならびに変形性関節症の滑膜炎における短期投与の補助療法(急性エピソードまたは増悪を乗り切るため)。急性リウマチ性心炎、全身性皮膚筋炎(多発性筋炎)、及び全身性エリテマトーデスの一部の症例における増悪中または維持療法として;その他:適切な抗結核化学療法と併用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症;
【0136】
フルオロメトロン:眼の炎症:眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、ならびに前眼部のステロイド反応性炎症の治療;
【0137】
ジフルプレドネート:炎症/疼痛:眼科手術後の炎症及び疼痛の治療;ぶどう膜炎:内因性前部ぶどう膜炎の治療;
【0138】
フルドロコルチゾン(酢酸フルドロコルチゾン形態):原発性副腎機能不全;古典型先天性副腎過形成;特発性起立性低血圧;敗血症性ショック;
【0139】
フルオシノロン(フルオシノロンアセトニド形態):ボディオイル:3ヶ月齢以上の小児患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎の治療;成人におけるアトピー性皮膚炎の治療;クリーム、軟膏、局所溶液:コルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の緩和;頭皮オイル:成人における頭皮の乾癬の治療;シャンプー:頭皮の脂漏性皮膚炎の治療;慢性外耳道湿疹の緩和;糖尿病黄斑浮腫;ぶどう膜炎;
【0140】
ロテプレドノール(エタボン酸ロテプレドノール形態):眼炎症状態(0.5%懸濁液):コルチコステロイド外用薬療法に反応すると予想される眼炎症、前眼部炎症の治療;術後炎症/疼痛(0.38%ゲル;0.5%懸濁液/軟膏/ゲル;1%懸濁液):眼科手術後の術後炎症及び疼痛の治療;季節性アレルギー性結膜炎(0.2%懸濁液):季節性アレルギー性結膜炎の徴候及び症状の一時的緩和;
【0141】
メチルプレドニゾロン(酢酸メチルプレドニゾロン及びコハク酸メチルプレドニゾロン形態):経口、筋肉内(アセテートまたはサクシネート)、及び静脈内(サクシネートのみ)投与:様々な疾患の治療における抗炎症剤または免疫抑制剤、例えば血液疾患(例えば免疫性血小板減少症、温式自己免疫性溶血性貧血)、アレルギー疾患、胃腸疾患(例えばクローン病、潰瘍性大腸炎)、炎症性疾患、腫瘍性疾患、神経疾患(例えば多発性硬化症)、リウマチ性疾患(例えば抗好中球細胞質抗体関連血管炎、皮膚筋炎/多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、痛風[急性フレア]、巨細胞性動脈炎、混合型クリオグロブリン血症症候群、結節性多発動脈炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、及び/または自己免疫由来;関節内または軟部組織投与(アセテートのみ):痛風(急性フレア)、急性及び亜急性滑液包炎、急性非特異性腱鞘炎、上顆炎、関節リウマチ、及び/または変形性関節症の滑膜炎;病巣内投与(アセテートのみ):円形脱毛症;円板状エリテマトーデス;ケロイド;環状肉芽腫、扁平苔癬、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、及び乾癬局面の限局性肥厚性、浸潤性、炎症性病変;ならびに糖尿病性リポイド類壊死症。腱膜または腱(ガングリオン)の嚢胞性腫瘍に有用であり得る;中等度から重度の急性呼吸窮迫症候群;心臓移植:抗体関連拒絶反応;慢性閉塞性肺疾患;死後の臓器ドナーの管理;急性移植片対宿主病;院内心停止;重篤/難治性の妊娠中の吐き気及び嘔吐;ニューモシスチス肺炎の、中程度から重度の疾患の補助療法;転移性去勢抵抗性前立腺癌;
【0142】
プレドニカルベート:皮膚炎;
【0143】
プレドニゾロン(リン酸プレドニゾロンナトリウム及び酢酸プレドニゾロン形態)、角膜損傷:角膜の急性化学損傷の治療;眼炎症状態:コルチコステロイド外用療法に反応すると予想される眼炎症、前眼部炎症の治療;アレルギー状態:喘息における従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤または難治性アレルギー状態のコントロール、アトピー性皮膚炎、薬物過敏反応、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、及び血清病;皮膚疾患:水疱性疱疹状皮膚炎;接触皮膚炎;剥脱性紅皮症;剥脱性皮膚炎;菌状息肉症;天疱瘡;重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群);重症乾癬;重症脂漏性皮膚炎;内分泌障害:先天性副腎過形成;がんに伴う高カルシウム血症;非化膿性甲状腺炎;原発性または続発性副腎皮質機能不全;胃腸疾患:クローン病または潰瘍性大腸炎の急性エピソード中;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血;先天性(赤血球系)再生不良性貧血(ダイヤモンド・ブラックファン貧血);赤芽球減少症(赤血球貧血);免疫性血小板減少症(以前は特発性血小板減少性紫斑病として知られていた);赤芽球癆;続発性血小板減少症;腫瘍性疾患:急性白血病及びアグレッシブリンパ腫の治療;神経系:多発性硬化症の急性増悪;原発性もしくは転移性脳腫瘍、開頭術、または頭部外傷に伴う脳浮腫;眼疾患:アレルギー性結膜炎;アレルギー性角膜辺縁潰瘍;前眼部炎症;脈絡網膜炎;びまん性後部ぶどう膜炎及び脈絡膜炎;眼部帯状疱疹;虹彩炎及び虹彩毛様体炎;角膜炎;視神経炎;交感性眼炎;コルチコステロイド外用薬が効かないぶどう膜炎及び他の眼炎症状態;腎障害:特発型またはエリテマトーデスに起因する、尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪;アレルギー性気管支肺アスペルギルス症;誤嚥性肺臓炎;喘息;ベリリウム症;適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核;過敏性肺炎;器質化肺炎を伴う特発性閉塞性細気管支炎;特発性好酸球性肺炎;特発性肺線維症;レフレル症候群(他の方法では管理できないもの);適切な抗PCP抗生物質による治療を受けているHIV陽性者に発生する低酸素血症を伴うニューモシスチス・カリニ肺炎(PCP);症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性及び亜急性滑液包炎、急性痛風フレア、急性非特異性腱鞘炎、強直性脊椎炎、上顆炎、リウマチ性多発筋痛症/側頭動脈炎、外傷後変形性関節症、乾癬性関節炎、再発性多発軟骨炎、関節リウマチ(若年性関節リウマチを含む)、変形性関節症の滑膜炎、急性リウマチ性心炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群、及び特定の症例の血管炎における短期投与の補助療法として;その他:急性または慢性の実質臓器拒絶反応;神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症;くも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎、呼吸困難を引き起こす縦隔リンパ節腫大を伴う結核、胸水または心嚢液を伴う結核(結核合併症を治療する場合、適切な抗結核化学療法を併用する);アルコール性肝炎(重症);喘息増悪;ベル麻痺;慢性閉塞性肺疾患(COPD)(急性増悪);
【0144】
プレドニゾン:様々な疾患の治療における抗炎症剤または免疫抑制剤、例えばアレルギー性疾患、血液疾患(例えば免疫性血小板減少症、温式自己免疫性溶血性貧血)、皮膚疾患、胃腸疾患、炎症性疾患、眼疾患、腫瘍性疾患、リウマチ性疾患(例えば急性痛風フレア、血管炎、皮膚筋炎、混合型クリオグロブリン血症症候群、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、リウマチ性多発筋痛症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、自己免疫疾患、神経系疾患(例えば多発性硬化症の急性増悪)、腎疾患、呼吸器疾患(例えば喘息)、及び内分泌疾患(例えば原発性または続発性アドレノコルチコイド欠乏);実質臓器拒絶反応(急性/慢性);初発のベル麻痺;慢性特発性蕁麻疹の急性増悪;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;巨細胞性動脈炎の治療;急性移植片対宿主病の治療;自己免疫性肝炎;微小変化群の治療;多発性骨髄腫(未治療;移植非適応);重症筋無力症クリーゼ;急性心膜炎;ニューモシスチス肺炎の、中程度から重度の疾患の補助療法、転移性前立腺癌;高安動脈炎;亜急性甲状腺炎;肺結核;
【0145】
トリアムシノロン(トリアムシノロンアセトニド形態):アレルギー性鼻炎;上気道アレルギー;急性細菌性鼻副鼻腔炎の、抗生物質に対する補助(経験的治療);慢性鼻副鼻腔炎;円形脱毛症;円板状エリテマトーデス;ケロイド;環状肉芽腫、扁平苔癬、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、及び乾癬局面の限局性肥厚性、浸潤性、炎症性病変;糖尿病性リポイド類壊死症;腱膜または腱(ガングリオン)の嚢胞性腫瘍;アレルギー状態:喘息における従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤もしくは難治性アレルギー状態のコントロール、薬物過敏反応、通年性もしくは季節性アレルギー性鼻炎、血清病、または輸血反応;皮膚疾患:アトピー性皮膚炎、水疱性疱疹状皮膚炎、接触皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉症、天疱瘡、または重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群)、外陰部皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎;内分泌障害:原発性もしくは続発性副腎皮質機能不全、先天性副腎過形成、がんに伴う高カルシウム血症、または非化膿性甲状腺炎;胃腸疾患:クローン病または潰瘍性大腸炎において患者の疾患の重要な時期を乗り切るため;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血、ダイヤモンド・ブラックファン貧血、赤芽球癆、続発性血小板減少症の一部の症例;腫瘍性疾患:白血病及びリンパ腫の緩和的管理;神経系:多発性硬化症の急性増悪;原発性もしくは転移性脳腫瘍または開頭術に伴う脳浮腫;眼疾患:交感性眼炎、側頭動脈炎、ぶどう膜炎、及びコルチコステロイド外用薬が効かない眼炎症状態;腎疾患:特発性ネフローゼ症候群における、またはエリテマトーデスによって引き起こされる利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;呼吸器疾患:ベリリウム症、適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核、特発性好酸球性肺炎、症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性疼痛フレア;急性リウマチ性心炎;強直性脊椎炎;乾癬性関節炎;関節リウマチ、例えば若年性関節リウマチにおける短期投与の補助療法として;皮膚筋炎、多発性筋炎、及び全身性エリテマトーデスの治療;その他:神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症;適切な抗結核化学療法と使用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;アフタ性口内炎;
【0146】
アルクロメタゾン(ジプロピオン酸アルクロメタゾン形態):ステロイド反応性皮膚炎;
【0147】
ベタメタゾン(ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、及び酢酸ベタメタゾン形態):アレルギー状態:喘息における従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤または難治性アレルギー状態のコントロール、アトピー性皮膚炎;接触皮膚炎、薬物過敏反応、通年性または季節性アレルギー性鼻炎、血清病、輸血反応;皮膚疾患:水疱性疱疹状皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉症、天疱瘡、重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群);内分泌障害:先天性副腎過形成、がんに伴う高カルシウム血症、非化膿性甲状腺炎。適用可能な場合は、合成アナログをミネラルコルチコイドと併用してもよい;乳幼児期にはミネラルコルチコイドの補充が特に重要である;胃腸疾患:限局性腸炎及び潰瘍性大腸炎における急性エピソード中;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血、ダイヤモンド・ブラックファン貧血、赤芽球癆、続発性血小板減少症の一部の症例;腫瘍性疾患:白血病及びリンパ腫の緩和的管理;神経系:多発性硬化症の急性増悪;原発性もしくは転移性脳腫瘍または開頭術に伴う脳浮腫;眼疾患:交感性眼炎、側頭動脈炎、コルチコステロイド外用薬が効かないぶどう膜炎及び眼炎症状態;腎疾患:特発性ネフローゼ症候群における、またはエリテマトーデスに起因する利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;呼吸器疾患:ベリリウム症、適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核、特発性好酸球性肺炎、症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性痛風フレア;急性リウマチ性心炎;強直性脊椎炎;乾癬性関節炎;関節リウマチ、例えば若年性関節リウマチ(一部の症例は低用量維持療法を必要とする)における短期投与の補助療法;皮膚筋炎、多発性筋炎、及び全身性エリテマトーデスの治療;その他:神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症、適切な抗結核化学療法と使用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;急性痛風フレア、急性及び亜急性滑液包炎、急性非特異性腱鞘炎、上顆炎、関節リウマチ、変形性関節症の滑膜炎における短期投与の補助療法;円形脱毛症;円板状エリテマトーデス;ケロイド;環状肉芽腫、扁平苔癬、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、及び乾癬局面の限局性肥厚性、浸潤性、炎症性病変;糖尿病性リポイド類壊死症の治療;胎児の肺成熟促進;
【0148】
吉草酸ベタメタゾン及びジプロピオン酸ベタメタゾンの併用:皮膚炎:コルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の緩和;頭皮の皮膚炎:頭皮のコルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の緩和;局面型乾癬(スプレー;パッチ):18歳以上の患者の軽度から中等度の局面型乾癬の治療;
【0149】
クロベタゾール(プロピオン酸クロベタゾール形態):ステロイド反応性皮膚炎;
【0150】
クロベタゾン(酪酸クロベタゾン形態):皮膚炎:局所性湿疹、ならびにアトピー性湿疹及び刺激性接触皮膚炎及びアレルギー性接触皮膚炎を含む皮膚炎の管理;
【0151】
クロコルトロン(ピバル酸クロコルトロン形態):ステロイド反応性皮膚炎;
【0152】
デスオキシメタゾン:コルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の緩和;局面型乾癬の治療;
【0153】
デキサメタゾン(デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、及びリン酸デキサメタゾンナトリウム形態):経口、静脈内、または筋肉内注射:様々な疾患の治療における抗炎症剤または免疫抑制剤、例えばアレルギー性疾患、血液疾患(例えば免疫性血小板減少症)、皮膚疾患、腫瘍性疾患、リウマチ性疾患、自己免疫疾患、神経系疾患、腎疾患、及び呼吸器由来;原発性または続発性アドレノコルチコイド欠乏(第一選択ではない);ショック、脳浮腫の管理、及び診断薬として;関節内または軟部組織注射:変形性関節症の滑膜炎、関節リウマチ、急性及び亜急性滑液包炎、急性痛風性関節炎、上顆炎、急性非特異性腱鞘炎、及び外傷後変形性関節症における短期投与の補助療法として;病巣内注射:ケロイド;扁平苔癬、乾癬局面、環状肉芽腫、及び慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)の限局性肥厚性、浸潤性、炎症性病変;円板状エリテマトーデス;糖尿病性リポイド類壊死症;円形脱毛症;及び腱膜または腱(ガングリオン)の嚢胞性腫瘍;適応外使用:急性高山病/高地脳浮腫;制吐レジメン:化学療法に伴う悪心及び嘔吐の予防;制吐レジメン:放射線療法に伴う悪心及び嘔吐の予防;喘息の急性増悪;コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の治療;胎児の肺成熟促進;髄膜炎(細菌性)の、神経系合併症の予防;多発性骨髄腫;
【0154】
ジフロラゾン(二酢酸ジフロラゾン形態):皮膚炎:コルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の治療;
【0155】
ジフルオコルトロン:急性及び慢性皮膚疾患:局所コルチコステロイドの抗炎症作用、鎮痒作用、及び抗アレルギー作用に反応する急性及び慢性皮膚疾患の治療;
【0156】
フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン、及びフロ酸フルチカゾン形態):喘息;慢性閉塞性肺疾患;好酸球性食道炎(経口);アレルギー性鼻炎;鼻茸;非アレルギー性鼻炎;上気道アレルギー;急性細菌性鼻副鼻腔炎の、抗生物質に対する補助(経験的治療);慢性鼻副鼻腔炎;ウイルス性鼻副鼻腔炎症状の緩和;皮膚炎;
【0157】
ハロメタゾン:ステロイド反応性皮膚障害の治療;
【0158】
モメタゾン(フロ酸モメタゾン形態):コルチコステロイド反応性皮膚炎;アレルギー性鼻炎(季節性及び通年性);季節性鼻炎に伴う鼻閉;鼻茸;季節性アレルギー性鼻炎(予防);慢性鼻副鼻腔炎;鼻副鼻腔炎の補助治療(急性);鼻副鼻腔炎の治療(急性、軽度から中等度、合併症を伴わない);喘息;
【0159】
リメキソロン:眼炎症状態:眼科手術後の術後炎症の治療;前部ぶどう膜炎の治療;
【0160】
アムシノニド:コルチコステロイド反応性皮膚炎の炎症症状及びそう痒症状の緩和;
【0161】
ブデソニド:潰瘍性大腸炎;アレルギー性鼻炎;上気道症状:花粉症または他の上気道アレルギーの症状の緩和(例えば、鼻閉、鼻水、鼻そう痒感、くしゃみ);鼻茸;鼻炎;急性細菌性鼻副鼻腔炎の、抗生物質に対する補助(経験的治療);慢性鼻副鼻腔炎;喘息;慢性閉塞性肺疾患(急性増悪);慢性閉塞性肺疾患(安定期);好酸球性食道炎;軽度から中等度のクローン病;顕微鏡的(リンパ球性及び膠原線維性)大腸炎;
【0162】
シクレソニド:季節性及び通年性アレルギー性鼻炎;急性細菌性鼻副鼻腔炎の、抗生物質に対する補助(経験的治療);慢性鼻副鼻腔炎;喘息;
【0163】
デフラザコート:デュシェンヌ型筋ジストロフィー;
【0164】
デソニド:アトピー性皮膚炎;コルチコステロイド反応性皮膚炎;
【0165】
フルニソリド:喘息;鼻炎;急性細菌性鼻副鼻腔炎の、抗生物質に対する補助(経験的治療);慢性鼻副鼻腔炎;非アレルギー性鼻炎;ウイルス性鼻副鼻腔炎の症状緩和;
【0166】
フルオシノニド:炎症性及びそう痒性の皮膚病態;
【0167】
ハルシノニド:ステロイド反応性皮膚炎;
【0168】
コレステロール:ビタミン及びミネラル欠乏症の予防/治療;
【0169】
吉草酸エストラジオール:転移性乳癌;低エストロゲン症(女性);骨粗鬆症の予防(女性);進行性前立腺癌;閉経に伴う血管運動神経症状;閉経に伴う外陰膣萎縮症;低骨密度を伴う機能性視床下部性無月経(若年成人女性);トランスジェンダー女性のホルモン療法(男性から女性へ);
【0170】
ヒドロコルチゾン(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、及び吉草酸ヒドロコルチゾン形態):肛門及び外陰部そう痒症;コルチコステロイド反応性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、外陰部皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎);痔;潰瘍性大腸炎;うっ滞性皮膚炎;落屑性炎症性膣炎;アレルギー状態:薬物過敏反応における従来の治療の適切な試験に対して抵抗性である重篤もしくは難治性アレルギー状態のコントロール、通年性もしくは季節性アレルギー性鼻炎、血清病、輸血反応、または急性非感染性喉頭浮腫;皮膚疾患:アトピー性皮膚炎;水疱性疱疹状皮膚炎;接触皮膚炎;剥脱性皮膚炎;剥脱性紅皮症;天疱瘡;重症多形紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群);重症乾癬;重症脂漏性皮膚炎;菌状息肉症;浮腫状態:特発型またはエリテマトーデスに起因する、尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿作用または蛋白尿の緩和を誘発するため;内分泌障害:急性副腎皮質機能不全;先天性副腎過形成;がんに伴う高カルシウム血症;非化膿性甲状腺炎;原発性または続発性副腎皮質機能不全;術前及び重篤な外傷または病気の場合、副腎機能不全が判明している患者において、または副腎皮質予備能が疑わしい場合;副腎皮質機能不全が存在するまたは疑われる場合の従来の治療法に反応しないショック;胃腸疾患:潰瘍性大腸炎及び限局性腸炎において患者の疾患の重要な時期を乗り切るため;血液障害:後天性(自己免疫性)溶血性貧血;先天性(赤血球系)再生不良性貧血(ダイヤモンド・ブラックファン貧血);赤芽球減少症(赤血球貧血);成人の免疫性血小板減少症(以前は特発性血小板減少性紫斑病として知られていた);赤芽球癆;続発性血小板減少症の一部の症例;腫瘍性疾患:白血病及びリンパ腫の緩和的管理(成人);小児の急性白血病;神経系:原発性もしくは転移性脳腫瘍または開頭術に伴う脳浮腫;眼疾患:眼に関与する重度の急性及び慢性のアレルギー性及び炎症性プロセス、例えば、アレルギー性結膜炎;アレルギー性角膜辺縁潰瘍;前眼部炎症;脈絡網膜炎;びまん性後部ぶどう膜炎及び脈絡膜炎;眼部帯状疱疹;虹彩炎及び虹彩毛様体炎;角膜炎;視神経炎;交感性眼炎;コルチコステロイド外用薬が効かない他の眼炎症状態;呼吸器疾患:誤嚥性肺臓炎;気管支喘息;ベリリウム症;適切な抗結核化学療法と併用される場合の劇症型肺結核または播種性肺結核;特発性好酸球性肺炎;レフレル症候群(他の方法では管理できないもの);症候性サルコイドーシス;リウマチ性障害:急性及び亜急性滑液包炎、急性痛風性関節炎、急性非特異性腱鞘炎、強直性脊椎炎、上顆炎、外傷後変形性関節症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、例えば若年性関節リウマチ、変形性関節症の滑膜炎における短期投与の補助療法として;急性リウマチ性心炎、皮膚筋炎(多発性筋炎)、側頭動脈炎、及び全身性エリテマトーデスの増悪中または維持療法として;その他:神経学的障害または心筋障害を伴う旋毛虫症;適切な抗結核化学療法と併用される場合のくも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;院内心停止;敗血症性ショック;甲状腺クリーゼ;
【0171】
トリアムシノロンヘキサアセトニド:滑膜炎、腱炎、滑液包炎、上顆炎、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)、変形性関節症、または外傷後関節炎を含む亜急性及び慢性炎症性関節疾患の対症療法;ならびに
【0172】
吉草酸ジフルコルトロン:急性及び慢性皮膚疾患。
【0173】
ステロイドコア構造を有する化合物はまた、動物における多種多様な障害の治療に使用される。例えば、以下に列挙されるのは、ステロイドコア構造を有する化合物と、それらが動物対象、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ、及びウシにおける治療に使用される障害である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複合粒子は示された化合物を含み、本開示は、動物対象において、そのような粒子を示された障害を治療するために及び/または以下の目的で使用する方法を提供する。
【0174】
テストステロン:イヌ-去勢済みの雄におけるテストステロン反応性尿失禁;皮膚炎:両側性脱毛症。ネコ-去勢済みの雄におけるテストステロン反応性尿失禁;
【0175】
ボルデノン(ウンデシレン酸ボルデノン形態):ウマ-衰弱したウマの治療の補助として、体重、被毛状態、または全身的な身体状態の改善が望まれる場合に;
【0176】
ナンドロロン:一般的な動物患者-特定の貧血(例えば、腎不全、再生不良性貧血に続発する)を有する患者の赤血球生成を刺激する;
【0177】
アルトレノゲスト:ウマ-プロゲスチンが欠乏している場合に、発情を抑制するか、または妊娠を維持する。ブタ-発情を同期化する。イヌ-黄体機能不全;早産の予防;
【0178】
メチルテストステロン:雌イヌ-エストロゲン依存性腫瘍の治療;偽妊娠;ホルモン依存性脱毛症。雄イヌ-性欲減退;テストステロン反応性失禁;特定のホルモン性脱毛症。ネコ-ホルモン依存性脱毛症;性欲亢進;
【0179】
スタノゾロール:ウマ-食欲の改善、体重増加の促進、ならびに体力及び活力の向上;慢性変形性関節症の治療。イヌ-食欲の改善、体重増加の促進、ならびに体力及び活力の向上;気管の虚脱。ネコ-食欲の改善、体重増加の促進、ならびに体力及び活力の向上;
【0180】
ミボレロン:雌イヌ-発情の予防;
【0181】
ダナゾール:イヌ-イヌの免疫介在性血小板減少症及び溶血性貧血の治療。ネコ-自己免疫性溶血性貧血及び血小板減少症;
【0182】
酢酸オサテロン:雄イヌ-良性前立腺肥大症;
【0183】
スピロノラクトン:イヌ-カリウム保持性利尿薬、または心不全の補助的治療;
【0184】
エストラジオール:ウマ-卵巣摘出雌ウマにおける発情行動及び受容性の増強。イヌ-
【0185】
エストロゲン応答性尿失禁;妊娠中絶。ネコ-妊娠中絶。ウシ-妊娠中絶;
【0186】
メゲストロール(酢酸メゲストロール形態):雌イヌ-発情の遅延及び偽妊娠の緩和のため;雄イヌ-良性前立腺肥大症。ネコ-多くの皮膚病態及び行動関連病態;
【0187】
エストリオール:雌イヌ 卵巣子宮摘出雌イヌにおけるエストロゲン反応性尿失禁;
【0188】
アグレプリストン:イヌ-妊娠中絶;子宮蓄膿複合症。ネコ-プロゲステロン依存性乳腺過形成;
【0189】
メドロキシプロゲステロン(酢酸メドロキシプロゲステロン形態):イヌ-プロゲスチン反応性皮膚炎;攻撃行動;長期の生殖制御;若いジャーマン・シェパードの小人症の治療;良性前立腺肥大症の短期治療;黄体機能不全。ネコ-徘徊、オス間の攻撃行動、スプレー行為、及びマウンティング行動などの性的二型行動の問題;ネコの心因性皮膚炎及び脱毛症;
【0190】
トリロスタン:イヌ-下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)の治療及び副腎皮質腫瘍に伴う副腎皮質機能亢進症(HAC)の治療。
【0191】
コルチゾン(酢酸コルチゾン形態):イヌ-副腎皮質機能低下症の経口治療;
【0192】
フルオロメトロン:一般的な動物患者-眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、ならびに眼球の前眼部の炎症の治療(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、前部ぶどう膜炎);
【0193】
ジフルプレドネート:一般的な動物患者-眼外傷もしくは白内障手術後の炎症の治療、または前眼部の一般的な炎症状態の治療(結膜炎、角膜炎、前部ぶどう膜炎);
【0194】
フルドロコルチゾン(酢酸フルドロコルチゾン形態):小動物-副腎皮質機能低下症(アジソン病)の治療;高カリウム血症における補助療法;
【0195】
ロテプレドノール:一般的な動物患者-眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、ならびに眼球の前眼部の炎症状態の治療(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、前部ぶどう膜炎);
【0196】
メチルプレドニゾロン(酢酸メチルプレドニゾロン及びコハク酸メチルプレドニゾロン形態):一般的な動物患者-副腎機能不全を有する患者におけるグルココルチコイド活性の補充;抗炎症剤;免疫抑制剤;
【0197】
プレドニゾロン/プレドニゾン(生物学的同等物として扱われる):一般的な動物患者-副腎皮質機能低下症に続発するグルココルチコイド欠乏症に対する補充または補給(例えば、敗血症性ショックに伴う相対的副腎機能不全);抗炎症剤;免疫抑制剤;抗腫瘍剤。
【0198】
トリアムシノロン(トリアムシノロンアセトニド形態):一般的な動物患者-単巣性(例えば足蹠)または多巣性病巣に比較的短期間;
【0199】
ベタメタゾン:一般的な動物患者-単巣性(例えば足蹠)または多巣性病巣に比較的短期間;ウマ-疼痛及び炎症のある関節を治療するための関節内注射。イヌ-早期分娩の誘発;
【0200】
デキサメタゾン:一般的な動物患者-副腎皮質機能亢進症を検査するための診断薬;副腎皮質機能低下症に続発するグルココルチコイド欠乏症に対する補充または補給(例えば、敗血症性ショックに伴う相対的副腎機能不全);抗炎症剤;免疫抑制剤;抗腫瘍剤;
【0201】
フルメタゾン:ウマ-永続的な構造変化が存在しない炎症に起因する筋骨格系病態、例えば滑液包炎、腕関節炎、骨瘤、及び筋炎;蕁麻疹及び虫刺されなどのアレルギー状態。イヌ-永続的な構造変化が存在しない筋肉または関節及び付属構造の炎症に起因する筋骨格系病態、例えば関節炎、変形性関節症、椎間板症候群及び筋炎;様々な病因の特定の急性及び慢性皮膚炎(これらの病態に伴うそう痒、刺激感、及び炎症の制御を助ける);蕁麻疹及び虫刺されなどのアレルギー状態。ネコ-様々な病因の特定の急性及び慢性皮膚炎(これらの病態に伴うそう痒、刺激感、及び炎症の制御を助ける);
【0202】
フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン形態):ウマ-再発性気道閉塞または炎症性気道疾患。イヌ-慢性咳嗽。ネコ-猫喘息;
【0203】
モメタゾン(フロ酸モメタゾン形態):一般的な動物患者-単巣性(例えば足蹠)または多巣性病巣に比較的短期間;
【0204】
リメキソロン:一般的な動物患者-眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、ならびに眼球の前眼部のコルチコステロイド反応性炎症状態の症状緩和(例えば、アレルギー性結膜炎、酒さ性ざ瘡、点状表層角膜炎、虹彩炎、及び毛様体炎)。ウマ-ぶどう膜炎の治療;
【0205】
ブデソニド:小動物-炎症性腸疾患の治療;皮膚炎;コルチコステロイド反応性皮膚炎;
【0206】
デオキシコルチコステロン:イヌ-副腎皮質機能不全(アジソン病)の非経口治療。ネコ-副腎皮質機能不全(アジソン病)の非経口治療;
【0207】
アルファキサロン:イヌ-麻酔の導入及び維持、ならびに麻酔導入後の吸入麻酔薬による維持。ネコ-麻酔の導入及び維持、ならびに麻酔導入後の吸入麻酔薬による維持;
【0208】
ヒドロコルチゾン:一般的な動物患者-単巣性(例えば足蹠)または多巣性病巣に比較的短期間;急性のグルココルチコイド/ミネラルコルチコイド作用が望まれる場合(例えば、急性副腎機能不全;重症関連コルチコステロイド障害[CIRCI]);炎症性結膜炎;
【0209】
デスオキシコルチコステロン(ピバル酸デスオキシコルチコステロン形態):イヌ-副腎皮質機能低下症(アジソン病)の治療。ネコ-副腎皮質機能低下症(アジソン病)の治療;ならびに
【0210】
酢酸イソフルプレドン:ウマ-抗炎症及び免疫抑制作用;ブタ-抗炎症及び免疫抑制作用;ウシ-抗炎症及び免疫抑制作用。
【0211】
したがって、一態様では、本開示は、治療を必要とする対象の肝疾患またはペルオキシソーム病を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。
【0212】
例えば、一態様では、本開示は、治療を必要とする対象の肝疾患を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、肝疾患は、胆汁酸合成障害である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、単一酵素欠損に起因する胆汁酸合成障害である。例えば、いくつかの実施形態では、胆汁酸合成障害における単一酵素欠損は、3β-ヒドロキシ-Δ5-C27-ステロイド酸化還元酵素欠損症、α-メチルアシル-CoAラセマーゼ(AMACR)欠損症、アミノ酸N-アシルトランスフェラーゼ欠損症、胆汁酸CoAリガーゼ欠損症、コレステロール7α-ヒドロキシラーゼ欠損症、Δ4-3-オキソステロイド5β-レダクターゼ欠損症、オキシステロール7α-ヒドロキシラーゼ欠損症、ステロール27-ヒドロキシラーゼ欠損症(脳腱黄色腫症)、またはトリヒドロキシコレスタン酸CoAオキシダーゼ欠損症である。他の実施形態では、肝疾患は、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、胆管結石、及び非アルコール性脂肪性肝疾患から選択される。いくつかの実施形態では、肝疾患は、原発性胆汁性胆管炎である。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象のペルオキシソーム病を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ペルオキシソーム病は、ツェルヴェーガースペクトラム障害である。ツェルヴェーガースペクトラム障害は、ペルオキシンをコードするPEX遺伝子の変異により引き起こされる常染色体劣性遺伝性疾患の一群であり、このスペクトラムの分類としては、ツェルヴェーガー症候群、新生児副腎白質ジストロフィー、及び乳児レフサム病がある。いくつかの実施形態では、対象は、肝疾患、脂肪便、または脂溶性ビタミンの吸収低下による合併症の症状を有するツェルヴェーガースペクトラム障害に罹患している。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示は、心血管代謝疾患、胆石、2型糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、及び急性膵炎から選択される障害を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。
【0215】
一態様では、本開示は、対象における局所的な脂肪沈着物の非外科的除去方法であって、該沈着物を有効量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を含む医薬組成物と接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、局所的な脂肪沈着物を有し、該沈着物を除去することを望んでいる。いくつかの実施形態では、局所的な脂肪沈着物は、対象の顎下領域に位置する。いくつかの実施形態では、局所的な脂肪沈着物は、対象の腹部領域に位置する。いくつかの実施形態では、沈着物は皮下注射によって組成物と接触させられる。
【0216】
一態様では、本開示は、皮下脂肪沈着物の減少を必要とする対象の皮下脂肪沈着物を減少させる方法であって、有効量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を局所的に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、皮下脂肪沈着物を有し、該沈着物を除去することを望んでいる。いくつかの実施形態では、皮下脂肪沈着物は、対象の顎下領域に位置する。いくつかの実施形態では、皮下脂肪沈着物は、対象の腹部領域に位置する。いくつかの実施形態では、沈着物は皮下注射によって組成物と接触させられる。いくつかの実施形態では、皮下脂肪沈着は、肥満、脂肪再分布症候群、眼瞼脂肪ヘルニア、脂肪腫、ダーカム病、脂肪異栄養症、バッファローハンプ脂肪異栄養症、頸背部脂肪、内臓脂肪過多、胸部肥大、脂肪過剰症、体幹及び腕周りのびまん性体脂肪、ならびにセルライトに関連する脂肪沈着物からなる群から選択される病態と関連する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象のがんを治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸癌、子宮頸癌、胃癌、及び肝臓癌から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸癌である。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示は、がん細胞の増殖を抑制する方法であって、該細胞を有効量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子(例えば、胆汁酸またはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を含む医薬組成物と接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、がん細胞は、結腸直腸癌細胞、子宮頸癌細胞、胃癌細胞、及び肝臓癌細胞から選択される。いくつかの実施形態では、がん細胞は、結腸直腸癌細胞である。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示は、内分泌障害、リウマチ性障害、膠原病、皮膚疾患、アレルギー状態、眼疾患、呼吸器疾患、血液障害、腫瘍性疾患、胃腸疾患、神経系障害、炎症性障害、腎疾患からなる群から選択される対象における障害を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、コルチコステロイドまたはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の呼吸器疾患を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の本明細書に記載の複数の複合粒子、例えば本明細書に記載の複数の複合粒子を含む医薬組成物(例えば、コルチコステロイドまたはその塩もしくはエステルを含む複合粒子)を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、呼吸器疾患は、喘息、クループ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、及び肺炎(例えば、間質性肺炎)から選択される。
【0221】
開示された方法は、複合粒子の「有効量」または「治療上有効な量」の投与を含む。本明細書で使用される場合、両方の用語は、所望の結果を達成するために必要な用量及び期間に有効な量を指す。組成物の治療上有効な量は当業者によって決定され得、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重などの因子、ならびに個体において所望の応答を引き出す組成物の能力に応じて変化し得る。治療上有効な量はまた、化合物(例えば、複合粒子または組成物の成分)の任意の毒性作用または有害作用を、治療上有益な作用が凌駕するものである。例えば、本明細書に記載される複合粒子の治療上有効な量は、約1mg/kg~約1000mg/kg、約5mg/kg~約950mg/kg、約10mg/kg~約900mg/kg、約15mg/kg~約850mg/kg、約20mg/kg~約800mg/kg、約25mg/kg~約750mg/kg、約30mg/kg~約700mg/kg、約35mg/kg~約650mg/kg、約40mg/kg~約600mg/kg、約45mg/kg~約550mg/kg、約50mg/kg~約500mg/kg、約55mg/kg~約450mg/kg、約60mg/kg~約400mg/kg、約65mg/kg~約350mg/kg、約70mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約250mg/kg、約80mg/kg~約200mg/kg、約85mg/kg~約150mg/kg、及び約90mg/kg~約100mg/kgであり得る。
【0222】
開示された方法は、1つ以上の追加の治療剤を対象に投与する工程をさらに含み得る。複合粒子及び追加の治療剤(複数可)は、同時にまたは逐次的に対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、追加の治療剤(複数可)は、複合粒子と同じ組成物中で投与され得る。他の実施形態では、追加の治療剤(複数可)と複合粒子の投与の間に間隔が空いていてもよい。いくつかの実施形態では、複合粒子と共に追加の治療剤を投与することにより、より低用量の他の治療剤及び/またはより低頻度の間隔での投与が可能となり得る。1つ以上の他の有効成分と併用する場合、複合粒子及び他の有効成分は、それぞれ単独で使用される場合よりも低用量で使用され得る。
【0223】
例えば、本方法は、追加の治療剤を対象に投与する工程をさらに含み得、該追加の治療剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、化学療法剤、及び胆汁酸またはその塩から選択される。
【0224】
開示された組成物及び方法と共に使用するのに好適な抗炎症剤は、ステロイド系抗炎症剤及び非ステロイド系抗炎症剤の両方を含み得る。好適なステロイド系抗炎症剤としては、限定されるものではないが、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、二酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド、メドリゾン、アムシアフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステルの残り、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの薬剤の薬学的に許容される塩及びエステルも使用され得る。
【0225】
好適な非ステロイド系抗炎症剤としては、限定されるものではないが、オキシカム、例えばピロキシカム、イソキシカム、トネキシカム(tonexicam)、スドキシカム、及びCP-14,304;サリチレート、例えばサリチル酸、アスピリン、ジサルシド(disalcid)、ベノリレート、トリリセート、サファプリン(safapryn)、ソルプリン、ジフルニサル、及びフェンドサール;酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパック、フロフェナック、チオピナック、ジドメタシン、アセマタシン(acematacin)、フェンチアザク、ゾメピラクト(zomepiract)、クリダナク、オキセピナク、及びフェルビナク;フェナメート、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、及びトルフェナム酸;プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、及びチアプロフェニック;ならびにピラゾール、例えばフェニブタゾン(phenybutazone)、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、及びトリメタゾン;ならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの薬剤の薬学的に許容される塩及びエステルも使用され得る。
【0226】
鎮痛剤は、特に本開示の組成物を非経口投与(例えば、皮下注射)した後に、炎症による不快感を軽減することができる。好適な鎮痛剤としては、限定されるものではないが、注射可能なアミン型及びエステル型局所麻酔薬、例えば、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカイン、及びテトラカインが挙げられる。これらの鎮痛剤の混合物、ならびに薬学的に許容される塩及びエステル、またはこれらの薬剤も使用され得る。
【0227】
また、胆汁酸またはその塩を複合粒子と併用してもよい。別々に投与される胆汁酸またはその塩もしくはエステルは、複合粒子中に存在する胆汁酸またはその塩もしくはエステルと同じであっても、異なっていてもよい。例示的な胆汁酸としては、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコリトコール酸、タウロリトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、及びタウロウルソデオキシコール酸が挙げられる。例えば、オベチコール酸は、原発性胆汁性胆管炎を治療するために、ウルソデオキシコール酸と併用されることが多い。したがって、いくつかの実施形態では、複合粒子がオベチコール酸を含む場合、その方法は、ウルソデオキシコール酸の投与をさらに含む。他の実施形態では、複合粒子がウルソデオキシコール酸を含む場合、その方法は、オベチコール酸の投与をさらに含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、複合粒子は、化学療法剤と併用してもよい。例示的な化学療法剤としては、米国国立がん研究所発行の「A to Z List of Cancer Drugs」に列挙されたものが挙げられる。
【0229】
以下の実施例は、本開示の態様をさらに説明するが、当然のことながら、その範囲を限定するものと決して解されるべきではない。
【実施例】
【0230】
材料及び方法
別途指示されない限り、全ての材料は、Sigma-Aldrichから購入し、受領した状態で使用した。
【0231】
微粒子の特性評価:微粒子を明視野及び走査型電子顕微鏡法(SEM)(JEOL JSM-7800FLV)顕微鏡で撮像した。粒子の蛍光画像を、Nikonの倒立顕微鏡を使用して、蛍光ランプ及びTRITC/CY3フィルターによって取得した。SEM撮像のために、試料をスライドガラス上で乾燥させ、炭素でコーティングし、二次散乱プローブ及び後方散乱プローブの両方で撮像した。エネルギー分散型分光法(EDS)分析を用いて、粒子の元素組成の特性決定を行った。EDS分析は、微粒子に対してOxford XMaxN 80mm2のシリコンドリフトエネルギー分散型X線分光器によって行った。動的光散乱(DLS)を使用して粒子の流体力学的直径を測定し、ゼータ電位(ZP)を使用して粒子の表面電荷を測定した。DLS及びZP分析は、粒子に対してMalvern Nano-ZSゼータサイザーを用いて行った。
【0232】
実施例1:金イオンとの複合微粒子の調製
方法1:10mgの塩化金(III)を1mLの酢酸エチルに溶解した。この酢酸エチル溶液を、ボルテックス処理により2mLの水で15秒間乳化させた。得られた油/水エマルションを、100mLのビーカー中の0.3重量%のコール酸ナトリウム溶液10mLに加え、この混合物を300rpmで撹拌した。1~3分間撹拌した後に複合粒子が現れた。粒子を2000rpmで5分間遠心分離することにより単離した。
【0233】
方法2:過剰のコール酸ナトリウム(約5mg)を1mLの酢酸エチルに加えた。酢酸エチル中でのコール酸ナトリウムの溶解度が低いため、この溶液を遠心分離して過剰のコール酸ナトリウムのペレットを形成し、上清を回収した。10mgの塩化金(III)を、回収した酢酸エチル/コール酸ナトリウム上清液に加え、得られた溶液を、ボルテックス処理により2mLの水で15秒間乳化させた。得られた油/水エマルションを、100mLのビーカー中の0.3重量%のコール酸ナトリウム溶液10mLに加え、この混合物を300rpmで撹拌した。直ちに複合粒子が現れた。粒子を2000rpmで5分間遠心分離することにより単離した。
【0234】
方法3:10mgの塩化金(III)を4mLの水に溶解した。この溶液を、ボルテックス処理により1mLの酢酸エチルで15秒間乳化させた。得られた油/水エマルションを、100mLのビーカー中の0.3重量%のコール酸ナトリウム溶液10mLに加え、この混合物を300rpmで撹拌した。1~3分間撹拌した後に複合粒子が現れた。粒子を2000rpmで5分間遠心分離することにより単離した。
【0235】
上記の方法1~3に従って調製したコール酸ナトリウム粒子に加えて、粒子はまた、コール酸ナトリウムをデオキシコール酸ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、及びコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムに置き換えた方法1に従っても調製した。
【0236】
粒子のSEM画像は
図1A~
図1Dに示されている。具体的には、
図1Aは、方法1に従って調製したコール酸塩粒子の1500倍の倍率(上)及び8500倍の倍率(下)でのSEM画像を示し;
図1Bは、方法1に従って調製したデオキシコール酸塩粒子の1700倍の倍率(上)及び10000倍の倍率(下)でのSEM画像を示し;
図1Cは、方法1に従って調製したメチルプレドニゾロン粒子の1000倍の倍率(上)及び3700倍の倍率(下)でのSEM画像を示し;
図1Dは、方法1に従って調製したヒドロコルチゾン粒子の450倍の倍率(上)及び1700倍の倍率(下)でのSEM画像を示す。
【0237】
図1Aの下パネルに示された粒子についてのEDSデータが
図2に示されている。この粒子は、主に炭素及び酸素から構成され、微量の金、ナトリウム、及び塩素を有する。シリコンの大きなピークは、試料が載置されたシリコンウェハから得られたシグナルに起因する。データから、金が粒子内に含まれていることが確認される。
【0238】
ローダミンB担持コール酸塩粒子を、方法1に従って、3mgのローダミンBを油/水エマルション(すなわち、塩化金(III)及び酢酸エチルの溶液)の油相に導入して調製した。得られた粒子の画像を、
図3A(倍率40倍の明視野顕微鏡画像)及び
図3B(同じ粒子であるが546nmの光に曝露されると蛍光し、ローダミンBが六角コール酸塩/金イオン粒子に担持されたことが確認される)に示す。ローダミンB担持粒子はまた、ローダミンBを油/水エマルションの水相に加えることによっても調製した。
【0239】
実施例2:鉄イオンとの複合微粒子の調製
方法1:5~10mgの硫酸鉄(II)七水和物を50μLの水に溶解させた。この溶液を、500rpmで撹拌しながら、0.5重量%のリン酸デキサメタゾンナトリウム塩の水溶液10mLに加えた。撹拌は15分間続け、撹拌開始後すぐに粒子が形成され始めた。粒子を15000rpmで5分間遠心分離することにより単離した。ペレットを水中に再懸濁し、遠心分離をさらに3回繰り返して粒子を洗浄した。
【0240】
方法2:10mgの硫酸鉄(II)七水和物を50μLの水に溶解させた。この溶液を、15秒間、1mLの酢酸エチルにボルテックス処理した。この混合物に、1重量%のリン酸デキサメタゾンナトリウム塩の水溶液2mLを加え、この混合物を15秒間ボルテックス処理した。この混合物に、0.5重量%のリン酸デキサメタゾンナトリウム塩の水溶液10mLを加え、続いて混合した。500rpmでの撹拌は5~15分間行い、撹拌開始後すぐに粒子が形成され始めた。粒子を15000rpmで5分間遠心分離することにより単離した。ペレットを水中に再懸濁し、遠心分離をさらに3回繰り返して粒子を洗浄した。
【0241】
代表的な粒子のSEM画像が
図4Aに示されている。具体的には、
図4Aは、方法1に従って調製したデキサメタゾン粒子の100,000倍の倍率でのSEM画像を示す。
図4Aに示されている粒子についてのEDSデータが
図4Bに示されている。この粒子は、炭素及び酸素から構成され、微量の鉄を有する。シリコンの大きなピークは、試料が載置されたシリコンウェハから得られたシグナルに起因する。金の大きなピークは、SEM撮像のための金コーティング粒子から得られたシグナルに起因する。データから、鉄が粒子内に含まれていることが確認される。
【0242】
5mgまたは10mgの硫酸鉄七水和物を使用して方法1に従って調製した粒子についての動的光散乱(DLS)データは、平均粒径がそれぞれ165nm及び205nmであることを示した。5mgまたは10mgの硫酸鉄七水和物を使用して方法1に従って調製した粒子についてのゼータ電位を測定したところ、それぞれ-25.9mV及び-16.2mVであることが判明した。これらのデータは、鉄イオン濃度を調整することによって粒子の表面電荷を調節できることを示唆している。
【0243】
方法1に従って調製した粒子からのデキサメタゾン放出を、6.9mgの粒子を42mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁させ、混合物を37℃で26時間回転させることによって評価した。液体の試料を回収し、紫外可視分光法により、デキサメタゾン標準(1μg/mLのリン酸デキサメタゾンまたは8μg/mLのリン酸デキサメタゾンのいずれか)と比較して分析した。データを
図5に示す。約230~260nmの吸光度は、溶液中へのデキサメタゾンの放出を示す。
【0244】
ローダミンB担持デキサメタゾン粒子を、方法1に従って、2mgのローダミンBを50μLの水/硫酸鉄(II)七水和物溶液に導入して調製した。粒子は、実施例1に記載のコール酸塩/金イオン粒子と同様に、ピンク色であり、蛍光を発しており、粒子にローダミンが担持されたことを示唆している。
【0245】
実施例3:酸との複合微粒子の調製
胆汁酸塩/HCl粒子。pHが2になるまで塩酸を水に加え、次いでpH2の水2mLに胆汁酸塩(コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、またはケノデオキシコール酸ナトリウム)50mgを加え、溶液を透明になるまでボルテックス処理した。この溶液2mLを酢酸エチル1mLに加え、混合物を15秒間ボルテックス処理した。このエマルションに、水10mLをpH3(HClで調整)で加えた。粒子形成には、300rpmで1~2分間さらに撹拌する必要があった。コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、及びウルソデオキシコール酸ナトリウムを使用して形成された粒子のSEM画像を、それぞれ
図6A、
図6B、
図6C、及び
図6Dに示す。ケノデオキシコール酸ナトリウム及びウルソデオキシコール酸ナトリウム粒子についてのEDSデータは、炭素、酸素、及びケイ素(試料が載置されたSiウェハから生じるSiピークを有する)についてのみピークを示した。
【0246】
コルチコステロイド/HCl粒子。pHが3になるまで塩酸を水に加え、次いでpH3の水2mLにコルチコステロイド化合物(コハク酸メチルプレドニゾロンまたはコハク酸ヒドロコルチゾン)50mgを加え、溶液を透明になるまでボルテックス処理した。この溶液2mLを酢酸エチル1mLに加え、混合物を15秒間ボルテックス処理した。このエマルションに、水10mLをpH2(HClで調整)で加えた。粒子形成には、300rpmで1~2分間さらに撹拌する必要があった。コハク酸メチルプレドニゾロン及びコハク酸ヒドロコルチゾンを使用して形成された粒子のSEM画像が、それぞれ
図7A及び
図7Bに示されている。これらの粒子についてのEDSデータは、炭素、酸素、及びケイ素(試料が載置されたSiウェハから生じるSiピークを有する)についてのみピークを示し、注目すべきことに、塩素は検出されなかった。
【0247】
胆汁酸塩またはコルチコステロイド/サリチル酸粒子。5~6mgのサリチル酸を1mLの酢酸エチルに溶解した。この溶液に、1重量%の胆汁酸塩またはコルチコステロイド(コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロン、コハク酸ヒドロコルチゾン、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、またはケノデオキシコール酸ナトリウム)を加え、混合物を15秒間ボルテックス処理した。このエマルションを、0.3重量%の同じ胆汁酸塩またはコルチコステロイド溶液(コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロン、コハク酸ヒドロコルチゾン、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、またはケノデオキシコール酸ナトリウム)10mLに加えた。粒子形成には、300rpmで1分間さらに撹拌する必要があった。コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロン、ケノデオキシコール酸ナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾン、及びウルソデオキシコール酸ナトリウムを使用して形成された粒子のSEM画像を、それぞれ
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8E、及び
図8Fに示す。コハク酸メチルプレドニゾロン、ケノデオキシコール酸ナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾン、及びウルソデオキシコール酸ナトリウム粒子についてのEDSデータは、炭素、酸素、及びケイ素(試料が載置されたSiウェハから)についてのみピークを示した。
【0248】
デオキシコール酸塩粒子からのサリチル酸放出を、296nmでの吸光度を測定する紫外可視分光法によって測定した。デオキシコール酸塩粒子は、0.1MのNaOHの滴加により完全に分解され、粒子が存在しないことが光学顕微鏡により40倍の倍率で視覚的に確認された。データは
図9に示される。
【0249】
実施例4:分解アッセイ
15mgの塩化金(III)を使用して実施例1の方法1に従ってコール酸ナトリウム系粒子を調製した。比較のために、粒子を、金イオンを還元して、粒子形成のためのテンプレートとして機能する金ナノ粒子にする還元剤を用いてダブルエマルション法を使用して調製した(国際特許出願公開第WO2021/011753号を参照のこと)。調製後、粒子を脱イオン水中に10mg粒子/mLの水の濃度で懸濁し、ボルテックス処理によりよく混合し、37℃で回転台上で連続的に撹拌した。24時間間隔で、試料を15,000rpmで5分間遠心分離し、その上清を回収した後に、粒子を脱イオン水中に再懸濁して元の体積にした。回収された上清を、胆汁酸アッセイキット(Sigma-Aldrichカタログ番号MAK309)を使用して、放出されたコール酸塩分子について分析した。
【0250】
粒子を回収し、0、1、3、5、10、及び15日目にSEMによって撮像した。画像は
図10A~
図10Bに示され、
図10Aは実施例1の方法1に従って調製したコール酸塩/金イオン粒子の画像を示し、
図10BはWO2021/011753に従って調製したコール酸塩/金(0)ナノ粒子の画像を示す。これらの画像は、粒子が同様の分解特性を有することを示している。
図10Aでは、倍率は、0、1、3、5、10、及び15日目で、それぞれ11000倍、12000倍、9500倍、11000倍、10000倍、及び9000倍である。
図10Bでは、倍率は、0、1、3、5、10、及び15日目で、それぞれ12000倍、14000倍、5500倍、11000倍、11000倍、及び11000倍である。
【0251】
分解粒子からのコール酸塩の放出を示すデータが
図11に示されている。本明細書に開示の方法1に従って製造された粒子(金(III)イオンを有する)は、以前に特性決定された金(0)ナノ粒子をテンプレートにしたコール酸塩粒子と比較して、同様の方法で、同様の規模で活性コール酸塩分子を放出することが示された。
【0252】
実施例5:金ナノ粒子の検出
本明細書に開示の方法(実施例1による方法1)に従って製造されたコール酸塩粒子を、金ナノ粒子を含むコール酸塩粒子(例えば、WO2021/011753に開示された粒子)と比較するために、両方の粒子を2mLの95%エタノール中に20mgの粒子を懸濁させることにより分解した。試料をよく混合して確実に全ての粒子を完全に分解させ、次いで15,000rpmで10分間遠心分離し、放出されたであろう金ナノ粒子を単離した。上清を取り出し、試料を水に再懸濁し、上下にピペッティングしてナノ粒子の再懸濁を補助した。次いで、試料を30秒間ボルテックス処理してよく混合した。洗浄工程を再び繰り返し、次いで試料をキュベットにピペッティングし、動的光散乱(DLS)により分析した。実施例1の方法1に従って調製した分解粒子の試料中には粒子は検出されず、これにより金ナノ粒子が存在しないことが確認された。対照的に、WO2021/011753に従って調製した試料中で金ナノ粒子を検出した。この試料についてのDLSリードアウトは
図12に示され、およそ170nmでシャープなピークを示している。このピークは溶液中に存在する粒子の直径に対応し、このことは、このサイズ範囲内に金ナノ粒子が存在することを示唆している。
【0253】
さらなる方法として、各方法により製造されたデオキシコール酸塩粒子をまた0.1MのNaOHを滴加することによって分解し、粒子が存在しないことが光学顕微鏡により40倍の倍率で視覚的に確認された。両方の分解粒子の吸光度を紫外可視分光法によって測定した。これらの試料の紫外可視分光分析データは
図13に示されている。350nm~800nmの波長の間に有意なピークがなかったため、実施例1の方法1に従って調製した分解粒子の試料中には金ナノ粒子は検出されず、これにより金ナノ粒子が存在しないことが確認された。対照的に、WO2021/011753に従って調製した試料中では、548nmでピークを有する金ナノ粒子を検出した。
【0254】
実施例6:金イオンの検出
実施例1に従って(例えば、方法1により)調製した粒子の粒子マトリックス中の金イオンの存在を確認するために、粒子を250μLの脱イオン水に懸濁し、次いで1MのNaOHを1μLずつ加えて粒子を完全に溶解させることにより粒子を分解した。試料を、NaOHを添加する度にボルテックス処理により十分に混合した。倍率40倍の光学顕微鏡において粒子が見られないほど試料を完全に分解するために、44μLのNaOH溶液が必要であった。その後、この分解生成物を金ナノ粒子生成プロセスで使用した。金(III)イオンが分解溶液中に存在する場合、還元剤及び熱を加えると、金ナノ粒子が形成されるはずである。粒子マトリックス中に金イオンが1重量%であると仮定し、17.6mgの粒子(金イオン0.176mg及びコール酸塩17.424mgと仮定)を分解に供した。比較のために、水に溶解した17.424mgのコール酸塩及び0.05~0.5mgの金イオン(具体的には0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.3mg、及び0.5mg)を用いて個々の溶液を調製した。各試料において、還元剤としてクエン酸ナトリウム0.94mgを添加し、80℃で10分間加熱することにより、金イオンを還元して金ナノ粒子にした。各試料の総体積は1.89mLであった。
【0255】
試料の画像は
図13に提供される。加熱前後の溶液の色を金ナノ粒子形成の指標として用い、無色から濃い赤色への色の変化が金イオンから金ナノ粒子へ還元されたことを示す。加熱前に色の変化は観察されず、このことは、熱を加えない場合にはナノ粒子が形成されないことを示唆している(予想通り)。加熱後に溶液は赤色に発色し、初期の金(III)イオン濃度がより高い比較試料ではより濃い色が発色した。実施例1の方法1に従って調製した分解粒子を含有する試料は赤色の発色を示し、このことはナノ粒子の形成を示唆しており、これにより粒子の分解から生じる溶液中の金(III)イオンの存在が確認された。
【0256】
実施例7:細胞溶解アッセイ
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、既述のように(Charoenphol et al.Biomaterials.2010;31(6):1392-1402)、ゼラチン、グルタルアルデヒド、及びグリシンで前処理した12ウェルプレートに培養する。コンフルエントに達した後に、細胞を、1mlの異なる濃度の胆汁酸溶液(例えば、コール酸塩及びデオキシコール酸塩溶液)または既知の濃度の複合粒子の懸濁液のいずれかと共に、37℃及び5%のCO2で異なる期間インキュベートする。所望の期間の後、処理溶液/懸濁液をウェルから取り出し、細胞を温かい1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、1×PBS中のMTSアッセイcell titer(Promega、WI)の1:25希釈液1mlと共に、37℃及び5%のCO2で2時間、未処理の対照ウェルに橙色が現れるまでインキュベートする。次に、吸光度を490nmで測定し、各条件をトリプリケートで繰り返す。細胞生存率の割合は、所望の時点の吸光度からバックグラウンドのcell titer吸光度を差し引き、バックグラウンドを差し引いた後に未処理の細胞の平均シグナルで除算することによって定量化される。
【0257】
実施例8:牛脂溶解アッセイ
脂肪細胞を死滅させるための粒子形成の能力を、牛脂組織と共に粒子をインキュベートすることによって試験した。牛脂組織0.15gを、1×PBS中の1mg/mLのデオキシコール酸塩粒子と共にインキュベートした。該粒子は様々な方法により調製した。例えば、金ナノ粒子含有粒子(WO2021/011753を参照のこと)、金イオン含有粒子、及びHClまたはサリチル酸のいずれかを用いて製造された粒子など。1×PBSを陰性対照として使用し、1×PBS中の1%のデオキシコール酸ナトリウム溶液を陽性対照として使用した。この混合物を、37℃で回転体上で3時間インキュベートした。
【0258】
試料チューブ中に脂肪滴が存在することで、脂肪溶解が定性的に観察された。視認できる液滴を指している矢印を有するチューブの画像が
図14A及び
図14Bに示されている。PBS対照チューブでは脂肪滴は観察されなかった。
【0259】
実施例9:さらなる溶解アッセイ
脂肪細胞を死滅させるための粒子製剤の能力は、脂肪細胞を初代皮下ヒト脂肪細胞とインキュベートすることによって試験する。96ウェルプレートで培養された初代皮下ヒト脂肪細胞は、市販の供給業者(例えば、Zen-Bio,Research Triangle,NC)から購入される。到着すると、150μlの培地を各ウェルから取り出し、細胞を37℃及び5%のCO2でインキュベートする。溶解アッセイの場合、FBS不含RPMI培地中の既知の濃度の塩溶液または粒子懸濁液150μlを、既知の期間インキュベートする。その後、処理溶液を吸引し、細胞を温かいPBSで洗浄し、1×PBS中のMTSアッセイcell titer(Promega Corporation,Madison,WIから購入)の1:25希釈液150μlを各ウェルに加える。プレートを37℃及び5%のCO2で3時間または未処理の対照ウェルに橙色が現れるまでインキュベートし、吸光度を490nmで測定する。細胞生存率は、所望の時点の吸光度からバックグラウンドのcell titer吸光度を差し引き、バックグラウンドを差し引いた後に未処理の細胞の平均シグナルで除算することによって定量化される。
【0260】
対照実験の場合、細胞を、RPMI培地中で様々な濃度の胆汁酸(例えば、コール酸ナトリウム及びデオキシコール酸ナトリウム)と共にインキュベートする。
【0261】
実施例10:マウス脂肪組織のin vivo溶解
in vivo脂肪分解アッセイは、塩溶液及びビヒクル対照と並行して、ローダミン担持複合粒子(例えば、デオキシコール酸塩粒子)を、遺伝的肥満マウスの鼠径部の脂肪体に皮下注射することによって行われる。遺伝的肥満マウスにイソフルランを使用して麻酔をかけ、剃毛し、ローダミン担持粒子(例えば、デオキシコール酸塩粒子)の懸濁液、または生理食塩水にコール酸塩もしくはデオキシコール酸塩を溶かした溶液(25mg/mL)、またはビヒクル対照を、マウスの右側鼠径部の脂肪体に皮下注射する。純粋な生理食塩水100μLを、対照として動物の左脂肪体に注入する。動物の体重及び外観を2週間にわたって追跡する。1つの群の動物は、7日目に粒子の二回目の投与を受ける。14日後、動物を安楽死させ、動物の左右の脂肪体を摘出し、重量を測定し、10%のホルマリン溶液で一晩固定する。試料の組織学スライドを、パラフィン包埋ならびに標準的なヘマトキシリン及びエオシン染色によって調製する。この組織学スライドは盲検医師によって分析され、デジタルスキャンは、QuPathソフトウェアを使用して分析される。
【0262】
実施例11:がん細胞の溶解アッセイ
HT-29結腸癌細胞(ATCC(登録商標)HTB38(商標))を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から購入し、コンフルエントに達するまで24ウェルプレートで培養した。各ウェルを、McCoyの5A培地1000μl中の特定の濃度のデオキシコール酸塩微粒子(1000μMデオキシコール酸塩/ウェル)と共に24時間インキュベートした。1000Mの濃度は、全ての粒子がウェル中で直ちに溶解されると仮定した場合の理論上の最大値であった。金ナノ粒子含有粒子(WO2021/011753を参照のこと)、金イオン含有粒子、及びHClまたはサリチル酸のいずれかを使用して製造される粒子を含む全ての粒子タイプを、未処理の対照と並行して調製した。その後、全てのウェルを温かいPBSで洗浄し、それらの生存率を、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)染色及びフローサイトメトリーを使用して定量化した。細胞生存率の割合は、アネキシンV染色(細胞アポトーシスの指標)とPI染色(壊死または後期段階アポトーシス)のいずれも示さなかった細胞の割合を決定することによって定量化した。データは
図15に示されており、特に酸含有粒子についての細胞生存率の低下を示している。
【0263】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
本発明の説明の文脈(特に、次の特許請求の範囲の文脈において)における、用語「a」、「an」及び「the」ならびに「少なくとも1」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)が後に続く「少なくとも1」という用語の使用は、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AまたはB)を意味するかまたは列挙された項目の2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、特に明記しない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書中に別の指示がない限り、単にその範囲内に含まれるそれぞれ別個の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することが意図され、それぞれ別個の値は、本明細書において個別に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書に提供されるあらゆる実施例、または例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図したものに過ぎず、別段の請求がなされていない限り、本発明の範囲を限定することを提示するものではない。本明細書中のいかなる文言も、本発明の実施に不可欠であるとして、非特許請求の要素を示すとして解釈されるべきではない。
【0265】
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を本明細書に記載する。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを予測しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正及び等価物を含む。さらに、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【国際調査報告】