(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】供給原料を提供するためのプロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
C12P 1/00 20060101AFI20240315BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240315BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20240315BHJP
C01B 3/34 20060101ALI20240315BHJP
C01B 32/40 20170101ALI20240315BHJP
【FI】
C12P1/00 Z
C12M1/00 C
C01B3/56 Z
C01B3/34
C01B32/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560508
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 US2022071639
(87)【国際公開番号】W WO2022217282
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】コンラド,ロバート ジョン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4G140
4G146
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029DG10
4B064AH00
4B064CC03
4B064CD01
4B064DA16
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB32
4G140EB35
4G140EB37
4G140FA02
4G140FC01
4G140FC03
4G140FE01
4G146JA02
4G146JC01
(57)【要約】
本開示は、供給原料を提供するためのプロセス及び装置を対象とする。少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流は、改質ユニットに、その後に水性ガスシフト反応ゾーンに渡されて、H
2、CO、及びCO
2を含む第一のガス流を提供する。第一のガス流は、水素分離ゾーンに供給されて、水素濃縮流と、CO、CO
2及びH
2を含む第二のガス流とに分離される。第二のガス流は、CO
2からCOへの変換システムに供給されて、5:1未満のH
2:COモル比を有するH
2及びCOを含む第三のガス流を生成する。第三のガス流は、ガス発酵ユニットの供給原料として供給されて、安定性及び生成物選択性を増加させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料を提供するプロセスであって、
a. H
2、CO、及びCO
2を含む第一のガス流を提供することと、
b. 前記第一のガス流を水素分離ゾーンに渡して、水素濃縮流と、CO、CO
2及びH
2を含む第二のガス流とを生成することと、
c. 前記第二のガス流を、CO
2からCOへの変換システムに渡して、H
2及びCOを含み、5:1未満のH
2:COモル比を有する第三のガス流を生成することと、
d. 前記第三のガス流をガス発酵ユニットに渡すことと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第一のガス流を提供する工程が、
少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流を、改質ユニットで改質して、少なくともCO及びH
2を含む合成ガス流を生成することと、
前記合成ガス流を、水性ガスシフト反応ゾーンに渡して、前記COの少なくとも一部をCO
2及びH
2に変換し、前記第一のガス流を生成することと、を含み、前記水性ガスシフト反応ゾーンが、高温シフトユニット、低温シフトユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記水素分離ゾーンが、圧力スイング吸着ユニット、膜分離ユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記CO
2からCOへの変換システムが、逆水性ガス反応システム、CO
2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム又はプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第三のガス流が、4:1未満のH
2:COモル比を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第二のガス流を前記CO
2からCOへの変換システムに渡す前に、前記第二のガス流に存在する前記CO又は前記CO
2の少なくとも一部分を、CO濃縮ガス流又はCO
2濃縮ガス流の中に分離することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記CO濃縮ガス流を、前記CO
2からCOへの変換システムの上流又は下流の位置へ渡すことをさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第二のガス流に存在する前記CO
2の少なくとも一部分を、CO
2濃縮ガス流の中に分離し、前記CO
2濃縮ガス流を前記改質ユニットに渡すことをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第三のガス流を前記ガス発酵ユニットで発酵させて、少なくとも一つの発酵生成物及びオフガス流を生成することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第三のガス流を前記ガス発酵ユニットで発酵させて、少なくとも一つの発酵生成物及びオフガス流を生成し、前記オフガス流を前記改質ユニットに再循環させることをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水素濃縮流の少なくとも一部分を前記ガス発酵ユニットに渡すことをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
ガス発酵供給原料を提供するための装置であって、
a. 改質ユニットと流体連通しているガス状供給材料ラインと、
b. 前記改質ユニットと流体連通している水性ガスシフト反応ゾーンと、
c. 前記水性ガスシフト反応ゾーンと流体連通していて、水素流出口、及び第二のガス流出口を有する水素分離ゾーンと、
d. 前記第二のガス流出口と流体連通しているCO
2からCOへの変換システムと、
e. 前記CO
2からCOへの変換システムと流体連通していて、生成物流出口及びオフガス流出口を有するガス発酵ユニットと、を備える、装置。
【請求項13】
前記水性ガスシフト反応ゾーンが、高温シフトユニット、低温シフトユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記水素分離ゾーンが、圧力スイング吸着ユニット、膜分離ユニット、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのユニットである、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記CO
2からCOへの変換システムが、逆水性ガス反応システム、CO
2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム、又はプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットである、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
CO濃縮流出口及びCO
2濃縮ガス流出口を有する濃縮ユニットをさらに備え、前記濃縮ユニットが前記第二のガス流出口と流体連通している、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記CO濃縮ガス流出口が、前記CO
2からCOへの変換システムと流体連通している、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記CO
2濃縮ガス流出口が、前記改質ユニットと流体連通している、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記改質ユニットが、前記オフガス流出口とさらに流体連通している、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記発酵ユニットが、前記水素流出口とさらに流体連通している、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/173,243号の利益を主張し、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一つ以上の発酵生成物を生成するための供給原料を提供するためのプロセス及び装置に関する。特に、本開示は、少なくとも一つの炭化水素を含むガス流を使用して、ガス発酵ユニット用の供給原料を生成するプロセス及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素(CO2)は人間の活動による世界の温室効果ガス排出の約76%を占め、メタン(16%)、亜酸化窒素(6%)、及びフッ素化ガス(2%)が残りを占めている(United States Environmental Protection Agency)。温室効果ガス排出、特にCO2の削減は、地球温暖化の進行並びにそれに伴う気候及び天候の変化を止めるのに重要である。
【0004】
フィッシャー-トロプシュ法などの触媒プロセスを使用して、産業廃ガス又は合成ガスなどの二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、及び/又は水素(H2)を含有するガスを様々な燃料及び化学物質に変換することができることが長い間認識されている。しかしながら、最近、ガス発酵がそのようなガスの生物学的固定のための代替プラットフォームとして浮上している。具体的には、C1固定微生物は、CO2、CO、及び/又はH2を含有するガスをエタノール及び2,3‐ブタンジオールなどの生成物に変換することが示されている。
【0005】
このようなガスは、例えば、炭水化物発酵からのガス、セメント製造からのガス、パルプ製紙、製鋼、石油精製及び関連プロセス、石油化学製造、コークス製造、嫌気性又は好気性消化、合成ガス(バイオマス、廃液流、固形廃棄流、都市流、天然ガス、石炭及び石油を含む化石資源を含むがこれらに限定されない供給源から誘導される)、天然ガスの抽出、石油の抽出、アルミニウム、銅及び/又は合金鉄の製造及び/又は精製のための冶金プロセス、地質学的貯留池、並びに触媒プロセス(水蒸気メタン改質、水蒸気ナフサ改質、石油コークスガス化、触媒再生-流動触媒分解、触媒再生-ナフサ改質、及び乾式メタン改質を含むがこれらに限定されない水蒸気源から誘導される)を含む、産業プロセスから誘導され得る。
【0006】
基質及び/又はC1炭素源は、合成ガスとして知られる合成用ガスであってもよく、これは、改質、部分酸化、又はガス化プロセスから取得されてもよい。改質プロセスの例としては、水蒸気メタン改質、水蒸気ナフサ改質、天然ガスの改質、バイオガスの改質、埋立地ガスの改質、ナフサ改質、及び乾式メタン改質が挙げられる。ガス化プロセスの例としては、石炭のガス化、精製所残渣のガス化、石油コークスのガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース物質のガス化、廃木材のガス化、黒液のガス化、公共固形廃棄物のガス化、公共液状廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、産業液体廃棄物のガス化、廃燃料のガス化、下水のガス化、下水汚泥のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、バイオガスのガス化が含まれる。部分酸化プロセスの例としては、熱及び触媒部分酸化プロセス、天然ガスの触媒部分酸化、炭化水素の部分酸化が挙げられる。
【0007】
特定の工業プロセス又は合成ガスプロセスでは、ガスの組成は、発酵に理想的ではない場合がある。ガスの組成が理想的でない場合、細胞増殖、生成物選択性、及び安定性が最適ではない場合がある。それゆえに、ガス発酵ユニットに対して適切な原料を提供し、下流の発酵プロセスにおいて生成物の選択性及び安定性を促進するシステム及びプロセスに対するニーズが依然として存在する。例えば、工業における水素の需要の大部分は、メタン水蒸気改質によって満たされている。従来、この反応は、副生成物としてCO2をほとんど含まずに、CO及びH2の生成をもたらす。次いで、一酸化炭素を、一つ、又は一連の二つの水性ガスシフト反応器で反応させて、H2及びCO2をさらに生成する。その後、水素を、圧力スイング吸着(PSA)ユニットで精製する。精製された水素流、ならびに一部の水素及び未反応CO2及びCOを含むPSAテールガスが、PSAユニットによって生成される。PSAテールガスは、しばしば、ガス発酵への供給材料として直接的に使用するにはCOが少なすぎる。PSAテールガス中のCO濃度を増加させる一つの技術は、高温の水性ガスシフト反応器のみを利用することを伴う。しかしながら、追加の低温水性ガスシフト反応器がない場合、生成される精製水素の量はより少ない。一部の精製所は、精製された水素流中の、精製された水素のこの損失には耐えられない。精製された水素の高収率を維持し、それでも適切な濃度のCOを有するガス発酵に供給材料を提供するプロセス及びシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
H2、CO、及びCO2を含む第一のガス流が、水素分離ゾーンに渡されて、水素濃縮流と、CO、CO2、及びH2を含む第二のガス流とを生成する、ガス発酵ユニットに対して供給原料を提供するためのプロセスが開示されている。第二のガス流は、CO2からCOへの変換システムに渡されて、5:1未満のH2:COモル比を有するH2及びCOを含む第三のガス流を生成する。第三のガス流は、供給原料としてガス発酵ユニットに渡される。
【0009】
少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流は、改質ユニットで改質されて、CO及びH2を含む合成ガス流を生成し得る。合成ガス流は、COの少なくとも一部分をCO2及びH2に変換して第一のガス流を提供するために、水性ガスシフト反応ゾーンに渡されてもよい。水性ガスシフト反応ゾーンは、高温シフトユニット、低温シフトユニット、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含み得る。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガス反応システム、CO2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム又はプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットである。第二のガス流をCO2からCOへの変換システムに渡す前に、第二のガス流に存在するCO又はCO2の少なくとも一部分は、CO濃縮ガス流又はCO2濃縮ガス流に分離されてもよい。CO濃縮ガス流は、CO2からCOへの変換システムの上流又は下流の位置へ渡されてもよく、CO2濃縮ガス流は、改質ユニットに再循環されてもよい。第三のガス流は、ガス発酵ユニットで発酵されて、少なくとも一つの発酵生成物流及びオフガス流を生成してもよい。オフガス流は、改質ユニットに再循環されてもよい。
【0010】
本開示は、供給原料を提供するための装置をさらに提供する。装置は、少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料ラインと流体連通している改質ユニット、改質ユニットと流体連通している水性ガスシフト反応ゾーン、水性ガスシフト反応ゾーンと流体連通し、水素流出口及び第二のガス流出口を有する水素分離ゾーン、第二のガス流出口と流体連通しているCO2からCOへの変換システム、及びCO2からCOへの変換システムと流体連通し、生成物流出口及びオフガス流出口を有するガス発酵ユニットを備える。
【0011】
水性ガスシフト反応ゾーンは、高温シフトユニット、低温シフトユニット、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含み得る。水素分離ゾーンは、圧力スイング吸着ユニット、膜分離ユニット、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのユニットである。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガス反応システム、CO2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム及びプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットである。
【0012】
一実施形態では、装置は、CO濃縮流出口及びCO2濃縮ガス流出口を有する濃縮ユニットをさらに備える。濃縮ユニットは第二のガス流出口と流体連通している。CO2からCOへの変換システムは、CO濃縮ガス流出口と流体連通していてもよい。 改質ユニットは、CO2濃縮ガス流出口、オフガス流出口、又はその両方とさらに流体連通していてもよい。ガス発酵ユニットは、水素流出口とさらに流体連通している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態による、ガス発酵ユニットに対して供給原料を提供するためのプロセスを描写する概略フロー図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による、ガス発酵ユニットの上流にCO
2からCOへの変換システムを有する、ガス発酵ユニットに供給原料を提供するためのプロセスの統合を示す概略フロー図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、ガス発酵ユニットの上流に少なくとも一つの分離ユニット及びCO
2からCOへの変換システムを有する、供給原料を提供するためのプロセスの統合を示す概略フロー図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、ガス発酵ユニットの上流に少なくとも一つの水性ガスシフト反応ゾーン、少なくとも一つの水素分離ユニット、及びCO
2からCOへの変換システムを有する、供給原料を提供するためのプロセスの統合を示す概略フロー図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による、発酵ユニットの上流にCO
2からCOへの変換システム及び二つの水素分離ユニットを有する、供給原料を提供するためのプロセスの統合をさらに描写する概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、ガス発酵プロセスの性能及び/又は経済性を改善する、ガス発酵ユニットへの供給原料を生成するためのプロセスを提供する。本開示は、当初は発酵のために望ましい量のCOを欠くガス状供給材料流を利用する発酵プロセスに特に適用可能である。プロセスは、少なくとも一つの炭化水素を含む工業プロセスを出る任意のガスを含み得るガス状供給材料流で始まる。特定の場合、少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流は、工業プロセスの副生成物として、又は何らかの他の供給源から取得された廃ガスであってもよい。例としては、燃焼機関の排気ガス、バイオガス、埋立地ガス、燃料ガス、ナフサが挙げられる。ガス状供給材料流中の炭化水素は、メタンであってもよい。
【0015】
特定の実施形態において、工業プロセスは、製鋼などの鉄金属製品製造、非鉄製品製造、石油精製、電力生産、カーボンブラック生産、紙・パルプ製造、アンモニア生産、メタノール生産、コークス製造、石油化学生産、炭水化物発酵、セメント製造、好気性消化、嫌気性消化、触媒プロセス、天然ガスの抽出、セルロース発酵、オイル抽出、地質学的貯留層の工業加工、天然ガス、石炭及び石油などの化石資源の処理、埋め立て事業、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。工業プロセス内の特定の処理工程の例としては、触媒再生、流動接触分解、及び触媒再生が挙げられる。鋼材及び合金鉄製造における具体的な例には、高炉ガス、塩基性酸素転炉ガス、コークス炉ガス、鉄炉頂ガスの直接還元、及び製錬鉄からの残留ガスが含まれる。他の一般的な例には、天然ガス、石油、又は石炭の燃焼ボイラー又はヒーターなどの、燃焼ボイラー及び燃焼ヒーターからの燃焼排ガス、及びガスタービンの排気が含まれる。これらの実施形態では、炭化水素は、任意の既知の方法を使用して、それが大気中に放出される前に工業プロセスから捕捉されてもよい。
【0016】
ガス状供給材料流中の炭化水素は、メタンを含むガス流であってもよい。こうしたメタン含有ガスは、フラッキング中などの化石メタンの排出、廃水処理、家畜、農業、及び公共固形廃棄物の埋め立てから取得されてもよい。
【0017】
一実施形態では、プロセスは、ガス状供給材料流中に存在した少なくともCO及びH2及びCO2を含む合成ガス流を生成するための、ガス状供給材料流に存在する少なくとも一つの炭化水素の、水蒸気改質、自己熱改質、乾式改質、又は部分酸化の実施を含む。理解を容易にするために、本開示は水蒸気改質に関して提示されているが、範囲は水蒸気改質に限定されない。自己熱改質、乾式改質、又は部分酸化などの技術が採用されてもよい。
【0018】
生成された合成ガス流は、水性ガスシフト反応ゾーンに渡され、ここで合成ガス流中のCOの少なくとも一部分がCO2及びH2に変換されて、第一のガス流を提供する。水性ガスシフト反応ゾーンは、高温シフトユニット、低温シフトユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットを含む。
【0019】
多くの工業プロセスにおいて、水素は貴重な資源である。可能な限り、所与のプロセスに必要とされない場合は水素を分離し、必要とされる別のプロセスに水素を向け直すことが望ましい。したがって、ガス状供給材料流から生成される、H2、CO、及びCO2を含む第一のガス流は、水素の少なくとも一部分を除去するために処理される。第一のガス流は、水素分離ゾーンに渡されて、水素濃縮流と、CO、CO2及び還元されたH2を含む第二のガス流とを生成する。分離された水素を含む水素濃縮流は、主に他の場所で使用するために生成されるが、一部分がバイオリアクターに直接供給されてもよい。
【0020】
水素分離ゾーンは、圧力スイング吸着ユニット(PSA)、膜分離ユニット、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのユニットであってもよい。圧力スイング吸着プロセスは、ガス流から水素の少なくとも一部分を除去するための効果的な技術を提供する。水性ガスシフトシステムからの第一のガス流は、圧力スイング吸着プロセスを通して渡され、水素が除去され、CO2及びCO濃縮PSAテールガス流が低圧力で生成される。膜分離モジュールは、ガス流から水素の少なくとも一部分を除去するための、低コストで容易な手段を提供する。水性ガスシフトシステムからの第一のガス流が膜分離モジュールを通して渡されると、高圧のCO2及びCO濃縮流及び低圧のH2濃縮流が生成される。
【0021】
この時点で、他の場所での水素需要を満たすための水素流が生成されている。水素分離ユニットからのCO2及びCO濃縮流は、ガス発酵ユニットへの供給材料としての使用を目標としている。しかしながら、従来、水素分離ユニットからのCO2及びCO濃縮流は、ガス発酵への供給材料として直接使用するにはCOの含有が少なすぎるので、供給材料中の成分の正しい比率をガス発酵に提供するためには修正が必要である。
【0022】
実施形態は、本開示を実施するための装置及び方法の両方に関する、
図1~5に示すプロセス構成を参照することによって説明され得る。方法の「工程」への任意の言及は、装置の「ユニット」又は工程を実施するのに適した設備への言及を含み、その逆も同様である。
【0023】
図1は、一実施形態の概略フロー図を示す。少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流110の少なくとも一部分は、水蒸気改質ユニット120に渡され、ガス状供給材料流中の炭化水素が水蒸気改質されて、少なくともCO及びH
2を含む合成ガス流121を生成する。合成ガス流121の少なくとも一部分は、水性ガスシフト反応ゾーン130に渡されてもよく、ここでCOの一部分がCO
2及びH
2に転換されて、第一のガス流131を提供する。第一のガス流131は、水素分離ゾーン140に渡され、そこで水素の少なくとも一部が第一のガス流131から分離されて、水素濃縮流142と、少なくともCO、CO
2、及び残りのH
2を含む第二のガス流とを形成する。第二のガス流141は、供給原料としてガス発酵ユニット150に渡され、生成物流151としてガス発酵ユニット150から除去される少なくとも一つの発酵生成物を生成する。この実施形態では、第二のガス流141がガス発酵に十分なCOを有するために、水性ガスシフト反応ゾーン130は、(i)高温水性ガスシフト反応器のみを含む、又は(ii)高温水性ガスシフト反応器及び低温水性ガスシフト反応器の両方を含むが、高温及び低温の両方の水性ガスシフト反応器が存在する場合、高温水性ガスシフト反応器の溶出物の少なくとも一部分は、低温水性ガスシフト反応器の周りをバイパスされる。このように、第二のガス流141中に存在するCOの量は、ガス発酵のために十分なままとなる。しかしながら、必然的な結果は、生成される水素濃縮流中の水素の量の喪失である。
【0024】
一実施形態では、水素分離ゾーン140は、少なくとも一つの膜分離モジュールを含んでもよい。別の実施形態では、水素分離ゾーン140は、少なくとも一つの圧力スイング吸着システムを含んでもよい。さらに別の実施形態では、水素分離ゾーン140は、少なくとも一つの膜分離モジュール及び少なくとも一つの圧力スイング吸着システムを含んでもよい。
【0025】
特定の実施形態では、少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流110は、工業的供給源から少なくとも部分的に由来する。上述のように、工業的供給源は、炭水化物発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプ製紙、製鋼、石油精製及び関連プロセス、石油化学生産、コークス生産、嫌気性又は好気性消化、合成ガス、天然ガスの抽出、石油の抽出、アルミニウム、銅、及び/又は鉄合金の生産及び/又は精製のための冶金プロセス、地質学的貯留層、ならびに触媒プロセスから選択されてもよい。
【0026】
ガス発酵ユニットは、一つ以上の容器及び/又は塔又は配管配置から成る発酵デバイスを含む、少なくとも一つのバイオリアクターシステムを備える。好適な例には、連続撹拌槽反応器、固定化細胞反応器、トリクルベッド反応器、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、循環ループ反応器、中空糸膜バイオリアクターなどの膜反応器、又は気液接触に適した他のデバイスが含まれる。バイオリアクターは、CO及びH2、又はCO、CO2及びH2を含むガス状基質を受容するように適合されてもよい。バイオリアクターは、並列又は直列のいずれかで、複数の反応器を備えてもよい。バイオリアクターは、発動反応器から接種材料を受容するように構成されてもよい。バイオリアクターは、発酵生成物の大部分が生成される生成反応器として構成されてもよい。
【0027】
一実施形態では、ガス発酵ユニット150で生成される発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、1-プロパノール、モノエチレングリコール、イソブテン、及びC6~C14アルコールから選択されてもよい。様々な例では、発酵生成物の少なくとも一部分は、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ガソリン、プロピレン、ナイロン6-6、ゴム、及び/又は樹脂の少なくとも一つの成分にさらに変換されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも一つの発酵生成物は、微生物バイオマスであってもよい。微生物バイオマスはさらに処理されて、動物用飼料の少なくとも一つの成分を生成してもよい。
【0028】
代替的な実施形態では、水素濃縮流中で生成される水素の量を最大化するために、プロセスは、第二のガス流をCO2からCOへの変換システムに渡して、COが濃縮された第三のガス流を生成することをさらに含む。CO2からCOへの変換システム、例えば逆水性ガスシフトユニットは、発酵プロセスの性能及び/又は経済性をサポートするために、第二のガス流中のH2及びCO2の一部を反応させて、必要なCO(H2 + CO2 → CO + H2O)を生成する。特に、そうでなければ、第二のガス流が非常に低濃度のCOを含有することになる状況では、発酵を支援するために、ある量のH2をCOに転換することが有利である。この状況は、例えば、PSAテールガスなどの廃ガス流のCO含有量が非常に低く、おそらくガス発酵プロセスにとって理想的ではない、一部の精製所で生じ得る。CO2からCOへの変換システムにおけるCO2の反応は、5:1未満、又は4:1未満、又は3:1未満のH2:COモル比を有する第三のガス流を生成することを目標とする。
【0029】
CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガス反応システム、CO2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム又はプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットである。逆水性ガス反応ユニット(rWGR)は、二酸化炭素及び水素から水を生成し、一酸化炭素を副生成物とする。逆水性ガス反応ユニットは、単一の段階又は複数の段階を含み得る。異なる段階は、異なる温度で行われてもよく、異なる触媒を使用してもよい。熱触媒変換は、熱エネルギーを反応の駆動力として使用してCOを生成することにより、触媒上でCO2及び他の反応物の安定した原子結合及び分子結合を破壊する。CO2分子は熱力学的及び化学的に安定しているため、CO2が単一の反応物として使用される場合、大量のエネルギーが必要となる。したがって、熱力学的プロセスを容易にするために、水素などの他の物質が共反応物として使用されることが多い。金属及び金属酸化物、ならびにナノサイズの触媒金属-有機フレームワークなどのプロセスに対して、多くの触媒が知られている。様々な炭素材料が、触媒の担体として用いられてきた。電気触媒変換は、水及び二酸化炭素から合成ガスを生成するための、二酸化炭素の電気触媒還元である。二酸化炭素の電気化学変換とも呼ばれる、こうした電気触媒変換は、典型的には、それを通して二酸化炭素が気泡状になる電解質を支持する溶液を有する電気化学セルの電極を必要とする(例えば、US 10,119,196を参照のこと)。生成された合成用ガスは、合成ガスとしても知られ、COを含み、電気化学セルの溶液から分離され、除去される。例えば、太陽光照射を使用する光電気触媒における光触媒及び電気触媒の組み合わせも、適切な変形である。
【0030】
図2は、一実施形態の概略フロー図を示す。ガス状供給材料流210の少なくとも一部分は、改質ユニット220に渡されて、少なくともCO及びH
2を含む合成ガス流221を生成する。合成ガス流の少なくとも一部分は、水性ガスシフト反応ゾーン230に渡されて、第一のガス流を生成する。図示した実施形態では、水性ガスシフト反応ゾーンは、高温シフトユニット231と低温シフトユニット232との組み合わせを含む。第一のガス流233は、水素分離ゾーン240に渡されてもよい。水素の少なくとも一部分は、第一のガス流から、水素濃縮流241と、CO、CO
2及びH
2を含む第二のガス流242とに分離されてもよい。第二のガス流は、CO
2からCOへの変換システム250に渡されて、少なくともH
2及びCOを含む第三のガス流を生成する。第三のガス流中のH
2:COモル比は、5:1未満であってもよい。第三のガス流251は、供給原料としてガス発酵ユニット260に渡されて、発酵生成物流261を生成する。第一のガス流から分離された水素濃縮流241の少なくとも一部分は、ガス発酵ユニット260に渡されてもよい。
【0031】
一実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、4:1未満であってもよい。特定の実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、3:1未満であってもよい。
【0032】
一部の実施形態では、水素分離ゾーン240は、少なくとも一つの膜分離モジュール又は少なくとも一つの圧力スイング吸着プロセスを含む。別の実施形態では、水素分離ソーン240は、膜分離モジュール及び圧力スイング吸着プロセスの両方の使用を介して、水素の少なくとも一部分を除去する。
【0033】
様々な実施形態では、CO2からCOへの変換システム250は、逆水性ガス反応システム、CO2電気分解システム、熱触媒変換システム、電気触媒変換システム、部分燃焼システム又はプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットである。
【0034】
特定の場合、改質ユニット220に渡されたガス状供給材料流210は、少なくとも部分的に工業的供給源に由来してもよい。工業的供給源は、炭水化物発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプ製紙、製鋼、石油精製及び関連プロセス、石油化学生産、コークス生産、嫌気性又は好気性消化、合成用ガス、天然ガスの抽出、石油の抽出、アルミニウム、銅、及び/又は鉄合金の生産及び/又は精製のための冶金プロセス、地質学的貯留層、ならびに触媒プロセスから選択されてもよい。
【0035】
ガス発酵ユニット260で生成される生成物流261は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、1-プロパノール、モノエチレングリコール、イソブテン、及びC6~C14アルコールであってもよい。様々な例では、発酵生成物の少なくとも一部分は、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ガソリン、プロピレン、ナイロン6-6、ゴム、及び/又は樹脂の少なくとも一つの成分にさらに変換されてもよい。様々な実施形態では、少なくとも一つの発酵生成物は、微生物バイオマスであってもよい。微生物バイオマスはさらに処理されて、動物用飼料の少なくとも一つの成分を生成してもよい。
【0036】
図2の特定の実施形態では、ガス状供給材料流210は、ガス状供給材料を含むメタンを含み、改質ユニット220はメタン水蒸気改質器を備え、水素分離ゾーン240は圧力スイング吸着ユニットを備え、第二のガス流242は圧力スイング吸着ユニットテールガスを含む。
【0037】
図3は、改質プロセスからの第一のガス流を利用する一実施形態を示す。少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流310の少なくとも一部分は、改質ユニット320に流れて、少なくともCO及びH
2を含む合成ガス流321を生成する。合成ガス流321の少なくとも一部分は、水性ガスシフト反応ゾーン330に渡されて、COの少なくとも一部分をCO
2及びH
2に変換し、第一のガス流333を提供する。水性ガスシフト反応ゾーン330は、高温シフトユニット331及び低温シフトユニット332を含む。第一のガス流333は、水素分離ゾーン340に渡される。
【0038】
様々な実施形態において、プロセスは、複数の分離プロセス340、350を含み得る。
図3に示すように、第一のガス流333は、水素分離ゾーン340に渡されて、水素の少なくとも一部分を、水素濃縮流341と、CO、CO
2及びH
2を含む第二のガス流342とに分離する。第二のガス流342は、濃縮ユニット350に渡される。第二のガス流に存在するCO又はCO
2の少なくとも一部分は、CO濃縮ガス流351又はCO
2濃縮ガス流352に分離される。CO濃縮ガス流351は、CO
2からCOへの変換システム360に渡されて、少なくともH
2及びCOを含む第三のガス流361を生成する。第三のガス流中のH
2:COモル比は、5:1未満であってもよい。第三のガス流361は、ガス発酵ユニット370に供給されて、少なくとも一つの発酵生成物流371及びオフガス流372を生成してもよい。第一のガス流333から分離された水素濃縮流343の少なくとも一部分は、ガス発酵ユニット370に渡されてもよい。オフガス流372は、改質ユニット320に再循環される。CO
2濃縮ガス流352は、改質ユニット320に再循環される。
【0039】
一実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、4:1未満であってもよい。特定の実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、3:1未満であってもよい。
【0040】
様々な実施形態において、ガス発酵ユニット370は、一つ以上の接種反応器と、段階的に構成された一つ以上のバイオリアクターとを備え、それによって、接種反応器は、CO濃縮ガス流を発酵させて接種材料を生成し、これは次に、バイオリアクターに供給される。バイオリアクター中でこの接種材料を利用することによって、発酵プロセスの生成物選択性及び安定性が改善される。
【0041】
「ガス発酵ユニット」という用語は、細胞増殖を確立及び促進するための発酵装置を含む「接種反応器」、「接種器」、「シードリアクター」などをさらに含み得る。接種反応器は、COもしくはCO2もしくはH2又はこれらの混合物を含むガス状基質を受容するように適合されてもよい。接種反応器は、細胞増殖が最初に開始される反応器である。様々な実施形態では、接種反応器は、すでに増殖した細胞が復活する場所である。様々な実施形態では、接種器は、一つ以上の微生物の細胞増殖を開始して、接種材料を生成し、次いで、接種材料は、各バイオリアクターが一つ以上の発酵生成物の生成を促進するように構成されているバイオリアクターシステムに移され得る。特定の例では、接種器は、後続の一つ以上のバイオリアクターと比較した場合、容積が小さい。
【0042】
「接種材料」という用語は、接種反応器中で最初に増殖した発酵ブロスを包含することを意図しており、これは次いで、一つ以上の後続のバイオリアクターに接種するために一つ以上の後続のバイオリアクターに渡される。接種材料は、一つ以上のバイオリアクターによって利用されて、一つ以上の発酵生成物を生成する。
【0043】
「効率を高める」、「効率が高まる」などの用語は、発酵プロセスに関して使用される場合、発酵を触媒する微生物の増殖速度、上昇した生成物濃度における増殖及び/又は生成物生成速度、消費される基質の体積当たりに生成される所望の生成物の体積、所望の生成物の生成速度又は生成レベル、並びに発酵の他の副生成物と比較して生成される所望の生成物の相対的割合のうちの一つ以上を増加させることを含むがこれらに限定されない。
【0044】
図4及び
図5は、少なくとも一つの炭化水素を含むガス状供給材料流の工業的供給源として、精製作業の水素生成プロセスを使用する様々な実施形態を示す。
図4及び
図5に示されるように、典型的な水素製造プロセスは、(i)供給原料を含有するCH
4が、CO及びH
2を含む合成ガス流に変換される、改質プロセス、(ii)COの一部分が水と反応して、H
2及びCO
2を含む第一のガス流を生成する、少なくとも一つの水性ガスシフト反応ゾーン、(iii)第一のガス流から水素濃縮流を回収するよう適合された水素分離ゾーン、ならびに(iv)H
2及びCOを含み、5:1未満のH
2:COモル比を有する第三のガス流を生成するためのCO
2からCOへの変換システム、といった段階を含む。
【0045】
図4に示されるように、C1含有ガス状基質は、最初に改質ユニット410に渡されて、CH
4の少なくとも一部分を、CO及びH
2を含む合成ガス流411に変換してもよい。合成ガス流411は、水性ガスシフトゾーン420に渡され、COの少なくとも一部分をCO
2及びH
2に転換して、第一のガス流421を提供する。第一のガス流421は、一つ以上のさらなる水性ガスシフト反応ゾーン430に渡され、配管手段431を介して一つ以上の水素除去プロセス440に供給されて、第一のガス流421を、水素濃縮流441と、CO、CO
2及びH
2を含む混合ガス流442とに分離する。混合ガス流442は、一つ以上のさらなる水素分離ゾーン460に渡されて、第二のガス流461を生成する。一つ以上のさらなる水素分離ゾーン460からの第二のガス流461は、CO
2からCOへの変換システム480に渡され、H
2及びCOを含む第三のガス流481を生成する。第三のガス流中のH
2:COモル比は、5:1未満であってもよい。第三のガス流481は、発酵のために、供給原料としてガス発酵ユニット490に渡される。第二のガス流462の少なくとも一部分は、随意に改質プロセス410に渡されてもよい。随意に、水素濃縮流443の少なくとも一部分は、ガス発酵ユニット490に渡されてもよい。様々な例において、ガス発酵ユニット490は、第三のガス状基質481を受容し、発酵生成物流491中の一つ以上の発酵生成物を生成する。
【0046】
別の実施形態では、
図4に示されるように、改質プロセス410からのC1含有流413は、混合ガス流442と混合され、一つ以上のさらなる水素分離ゾーン460に渡されてもよい。C1含有流412は、接種反応器470の上流に提供された圧力スイング吸着プロセス450へと流れる。圧力スイング吸着プロセス450は、C1含有流を、高圧のH
2を豊富に含む流れと、低圧のCOを豊富に含む流れとに分離する。低圧のCOを豊富に含む流れは、配管手段452を介して接種反応器470に渡される前に、コンプレッサに渡されてもよい。分離された水素451は、圧力スイング吸着プロセス450から、別の圧力スイング吸着プロセス460に渡されてもよい。随意に、接種反応器470からの接種器オフガス流472、及びガス発酵ユニット490からのガス発酵オフガス流492は、独立して、及び/又は混合流478で、改質プロセス410に戻されてもよい。
【0047】
一実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、4:1未満であってもよい。特定の実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、3:1未満であってもよい。
【0048】
様々な実施形態において、接種反応器470及びガス発酵ユニット490は、段階的に構成されていて、それによって、接種反応器470は、COを豊富に含むC1含有ガス基質を発酵させて、接種材料471を生成し、これは次にガス発酵ユニット490に供給される。ガス発酵ユニット490中で接種材料471を利用することによって、発酵プロセスの生成物選択性及び安定性が改善される。
【0049】
別の実施形態では、
図5に示されるように、改質ユニット510からのC1含有流は、接種反応器570及び/又はガス発酵ユニット600のいずれかに渡される前に、複数の水素分離ゾーン540、550、560、590に渡されてもよい。様々な例では、C1含有流は、水素除去プロセスの前及び/又は水素除去プロセスの間にコンプレッサに渡されてもよい。C1含有流を複数の水素分離ゾーンに渡すことによって、C1含有流中のCO組成が、さらに濃縮され得る。
【0050】
様々な実施形態では、本プロセスは、複数の水性ガスシフト反応ゾーン520、530を、複数の水素分離ゾーン540、550、560と組み合わせて含んでもよい。
図5に示されるように、C1含有ガス状基質は、最初に改質ユニット510から渡されて、CH
4の少なくとも一部分を、CO及びH
2を含む合成ガス流511に変換してもよい。合成ガス流511は、水性ガスシフト反応ゾーン520に渡され、COの少なくとも一部分をCO
2及びH
2に転換して、第一のガス流521を提供する。第一のガス流521は、一つ以上のさらなる水性ガスシフト反応ゾーン530に渡され、溶出物531は一つ以上の水素分離ゾーン540に渡されて、第一のガス流521を、水素濃縮流541と、CO、CO
2及びH
2を含む混合ガス流542とに分離する。混合ガス流542は、一つ以上のさらなる水素分離ゾーン560に渡されて、第二のガス流561を生成する。一つ以上のさらなる水素分離ゾーン560からの第二のガス流561は、CO
2からCOへの変換システム580に送られて、H
2 及びCOを含む第三のガス流581を生成する。第三のガス流中のH
2:COモル比は、5:1未満であってもよい。第三のガス流581は、発酵のために、供給原料としてガス発酵ユニット600に渡される。ガス発酵ユニットに渡されない第二のガス流562の少なくとも一部分は、随意に、後続の水素分離ゾーン550に、及び随意に流れ551中、さらなる水素分離ゾーン590に渡されてもよく、これは最終的には、流れ591として接種反応器570に渡されて、接種材料を生成してもよい。
【0051】
一実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、4:1未満であってもよい。特定の実施形態では、第三のガス流中のH2:COモル比は、3:1未満であってもよい。
【0052】
様々な例において、ガス発酵ユニット600は、ガス状基質581を受容し、生成物流601中の一つ以上の発酵生成物を生成する。随意に、接種器オフガス流572、及びガス発酵オフガス流602は、独立して、及び/又は混合オフガス流578に混合されて、改質ユニット510に戻されてもよい。随意に、水素濃縮流543の少なくとも一部分は、ガス発酵ユニット600に渡されてもよい。
【0053】
様々な実施形態において、接種反応器570及びガス発酵ユニット600は、段階的に構成されていて、それによって、接種反応器570は、COを豊富に含むC1含有ガス基質を発酵させて、接種材料571を生成し、これは次にガス発酵ユニット600に供給される。ガス発酵ユニット600中でこの接種材料を利用することによって、発酵プロセスの生成物選択性及び安定性が改善される。
【0054】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、あたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書中に記載された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が任意の国の努力傾注分野において共通の一般知識の一部をなすという承認ではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0055】
本開示において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」及び「an」及び「the」という用語ならびに同様の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに相反することがない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるものとする。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」という用語は、別段の断りのない限り、非限定的な用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるものとする。「から本質的になる」という用語は、組成物、プロセス、又は方法の範囲を、特定の材料、又は工程、又は組成物、プロセス若しくは方法の基本的及び新規の特性に実質的に影響しないものに限定する。選択肢の使用(例えば、「又は」)は、選択肢の1つ、両方、又はこれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、示される範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0056】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内に入る各別個の値を個々に言及する簡略法としての機能を果たすことを単に意図し、各別個の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例えば、任意の濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、又は厚さ範囲は、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1、及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0057】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く解明することを単に意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲を制限しない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実践に不可欠な任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0058】
複数の実施形態が本明細書に記載される。それらの実施形態の変化形は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。当業者は、必要に応じてこうした変化形を採用してもよく、本開示が本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実践されることが意図されている。したがって、本開示は、適用法によって許可されたとおり、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正物及び同等物を含む。更に、その全ての考えられる変化形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。
【国際調査報告】