IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エニボティクス アーゲーの特許一覧

<>
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図1
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図2
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図3
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図3a
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図3b
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図4
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図5a
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図5b
  • 特表-熱管理を備えたロボット胴体 図5c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】熱管理を備えたロボット胴体
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B25J19/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560519
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2021058437
(87)【国際公開番号】W WO2022207092
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523371045
【氏名又は名称】エニボティクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スキャヴォーネ スキャファト, アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】セカニナ, デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ホルト, サイモン マーク
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰平
(72)【発明者】
【氏名】アレッガー, セヴラン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707CY12
3C707CY34
3C707HS09
3C707KT03
3C707KT04
3C707KV11
3C707WA12
(57)【要約】
内面と外面とを有するハウジング壁(1)と、ハウジング壁(1)に一体化された少なくとも1つのユニットとを備える、特に脚型ロボット用のロボット胴体(100)。少なくとも1つのユニットは、胴体(100)内の熱源(11)を冷却するための冷却ユニット(200)、センサユニット(300)、又は顔センサユニット(400)からなるリストから選択される。少なくとも1つのユニットは、胴体(100)の内部に配置され、ハウジング壁(1)に熱的に結合された熱源と、胴体(100)の外部に配置され、熱源を冷却するためにハウジング壁(1)に熱的に結合されたヒートシンクとを備える。ハウジング壁(1)は、胴体(100)を本質的に気密封止している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に脚型ロボット用のロボット胴体(100)であって、
-内面及び外面を有するハウジング壁(1)と、
-前記ハウジング壁(1)に一体化された少なくとも1つのユニットと
を備え、
前記少なくとも1つのユニットが、
-前記胴体(100)内の熱源(11)を冷却するための冷却ユニット(200)と、
-センサユニット(300)と、
-顔センサユニット(400)と、
-カメラユニット(410)と
からなるリストから選択され、
前記少なくとも1つのユニットが、
-前記胴体(100)の内部に配置され、前記ハウジング壁(1)に熱的に結合された熱源と、
-前記胴体(100)の外部に配置され、前記熱源を冷却するために前記ハウジング壁(1)に熱的に結合されたヒートシンクと
を備え、
前記ハウジング壁(1)が、前記胴体(100)を本質的に気密封止する、ロボット胴体(100)。
【請求項2】
前記冷却ユニットが、
-前記ロボット胴体(100)の内部に配置され、前記熱源(11)に熱的に結合可能なヒートスプレッダ(21)と、
-前記胴体(100)の前記ハウジング壁(1)の前記外面に熱的に結合された前記ロボット胴体(100)の外部に配置されたヒートシンク(23)と、
-特に、前記ヒートスプレッダ(21)及び前記胴体(100)の前記ハウジング壁(1)の前記内面に熱的に結合する熱伝導性でかつ電気絶縁性のシート(22)と
を備える、請求項1に記載のロボット胴体(100)。
【請求項3】
前記ヒートシンクを能動的に冷却するために、熱交換器が前記ヒートシンク(23)に熱的に接続されて配置され、
特に、前記ヒートシンク(23)は、金属製の冷却リブを備え、前記熱交換器は、気流を前記冷却リブに強制的に通過させて冷却するように適合される、請求項2に記載のロボット胴体(100)。
【請求項4】
前記ヒートシンク(23)を強制的に能動的に冷却するために、前記ヒートシンクが、
-前記ヒートシンク(23)を強制的に対流冷却するように構成された、前記ヒートシンク(23)に沿って空気流を生成するためのファン(231)を備える空気ダクト(230)で覆われている、請求項2又は3に記載のロボット胴体(100)。
【請求項5】
前記冷却ユニットが、前記ヒートスプレッダ(21)を前記熱源(11)と熱的に接続するように適合された熱伝導層(24)を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項6】
前記センサユニット(300)が、
-前記ロボット胴体(100)の内部に配置され、かつ前記胴体(100)の前記ハウジング壁(1)の前記内面に熱的に結合するセンサ電子機器(31)と、
-前記ハウジング壁(1)の前記外面に熱的に結合された前記ロボット胴体(100)の外部に配置された冷却リブ(32)のアレイと、
-前記ロボット胴体(100)の外部に配置されたセンサ要素(33)であって、前記センサ要素(33)から前記センサ電子機器(31)へのコネクタが、前記冷却リブ(32)のバルク部分(321)を通って、かつ前記ハウジング壁(1)を貫通して延びるケーブルトンネル(320)を通過するセンサ要素(33)と
を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項7】
前記センサユニット(300)が、前記センサ要素(33)を前記ケーブルトンネル(320)と位置合わせするためのアライメント要素(35)を更に備え、前記アライメント要素(35)が、前記冷却リブ(32)のアレイの機構部に確実にロックする少なくとも1つの第1の機構部(351)及び/又は前記センサ要素(33)の機構部に確実にロックする少なくとも1つの第2の機構部(352)を備える、請求項6に記載のロボット胴体(100)。
【請求項8】
前記顔センサユニット(400)が、
-前記ロボット胴体(100)の内部に配置され、特に、前記胴体の外部からのシグナルが前記ハウジング壁(1)内の窓(440)を通して検出可能であるセンサ要素(43)と、
-前記ロボット胴体(100)の内部に配置され、前記センサ要素(43)に電気的に接続され、前記ロボット胴体(100)の前記ハウジング壁(1)の前記内面に熱的に結合するセンサ電子機器(41)と、
-前記センサ電子機器(41)を冷却するために、前記ハウジング壁(1)の前記外面に熱的に結合された前記ロボット胴体(100)の外部に配置された顔センサ冷却リブ(42)のアレイと
を備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項9】
-前記センサ要素(33、43)を囲み、特に、窓(340、440)を備えるセンサプロテクタ(34、44)
を更に備える、請求項6又は8に記載のロボット胴体(100)。
【請求項10】
前記センサ要素(33)が、少なくとも1つの光学センサ、特に広角カメラ、ステレオカメラ、及び/又は赤外線カメラ、特に広角カメラ及びステレオカメラを備える、請求項6~9のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項11】
-第1のシグナルを検出するために第1の特定の方向(d1)に向けられたカメラを備えるカメラユニット(410)と、
-前記センサ要素(41)が第2のシグナルを検出するために第2の特定の方向(d2)に向けられている、請求項8~10に記載の少なくとも1つの顔センサユニット(400)と、
-特に、第3のシグナルを検出するために第3の方向(d3)に向けられた第2のセンサ要素(41’)を有する、請求項8~10に記載の第2の顔センサユニット(400’)と、
を含む顔構造(4000)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項12】
前記ハウジング壁(1)が、前記胴体内で、
-前記ロボットの回路基板と、
-前記回路基板から前記少なくとも1つのユニットへのコネクタ及び/又は
-前記少なくとも1つのユニットと、存在するのであれば更なるユニットとの間のコネクタと
を囲む、請求項1~11のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項13】
-検査ペイロードを前記胴体(100)に結合するように適合された検査ペイロードインターフェースユニット(500)と、
-前記ロボットの肢のアクチュエータの電子コネクタを結合するように適合された電気インターフェースユニット(600)と、
-前記ロボットの肢に取り付けるように適合された機械インターフェースユニット(700)と、
-前記ロボット胴体(100)をバッテリに接続するためのバッテリインターフェースユニット(800)と、
-前記ロボット胴体(100)をドッキングステーションにドッキングするためのドッキングインターフェースユニット(900)と
を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項14】
前記ハウジング壁(1)が、前記胴体(100)内に配置された電子部品を電磁的に遮蔽するためのアルミニウムを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項15】
前記ハウジング壁(1)の一部が、半透性膜(101)、特に水蒸気を透過させる膜を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のロボット胴体(100)。
【請求項16】
請求項1~15に記載の胴体(100)を備える、特に自律脚型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様では、特に脚型ロボット用のロボット胴体に関し、第2の態様では、胴体を備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
自律型ロボットは、様々なタスク、特に危険な環境での人間の作業を代替するために使用される。例えば、ロボットは、爆発の危険性が高い環境である石油プラットフォームで作業する。
【0003】
石油及びガス施設は、高い可用性と安全性を可能にするために、継続的な監視と頻繁な検査を必要とする。自律脚型ロボットを使用すれば、このような施設を検査するために自動化されたルーチンを実施することができる。このような検査の間、ロボット、特にロボット胴体は、ロボットに取り付けられた敏感な電子部品やセンサにとって好ましくない環境条件、例えば熱や水に暴露される可能性がある。特に、環境を監視するためにセンサがロボットに取り付けられているため、これらのセンサのコネクタは、環境条件の影響を受け、ほんの数回使っただけでもう壊れてしまう可能性がある
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、過酷な環境で使用されるロボット用のロボット胴体を提供することである。
【0005】
この問題は、本発明の第1の態様による独立請求項の主題によって解決される。
【0006】
別途指定のない限り、以下の定義が本明細書に適用されるものとする。
本発明の文脈で使用される「a」、「an」、「the」という用語及び同様の用語は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。更に、「含む(including)」、「含有する(containing)」及び「含む(comprising)」という用語は、本明細書ではそれらのオープンで非限定的な意味で使用される。「含有する(containing)」という用語は、「含む(comprising)」及び「からなる(consisting of)」の両方を含むものとする。
【0007】
好適には、「ロボット胴体」又は「胴体」という用語は、ロボットを制御するための論理部品を備えたロボットの本体を指し、1つ又は複数の肢が胴体に取り付けられる。特に、胴体は、例えば脚付きロボット又は四足ロボットのための複数の肢を備えることができる。
【0008】
本発明の第1の態様は、ロボット胴体、特に脚型ロボットのロボット胴体であって、内面と外面とを有するハウジング壁を備えるロボット胴体に関する。ハウジング壁は、気密封止、特に胴体を本質的に気密封止する。
【0009】
気密封止とは、胴体を気密状態にするあらゆるタイプの封止である。空気、酸素、又は他のガスは、胴体に流れ込むことも、胴体から流れ出ることもできない。特に、水は胴体に侵入することができない。
【0010】
気密封止は、ロボットを極端な気象状況に耐えるようにし、胴体内部の電子装置の正確で安全な機能性を保証する。胴体内部のガス圧は、胴体外部のガス圧と異なる場合がある。
【0011】
特に、本質的に気密封止とは、特に以下に説明するような膜インターフェースを備える胴体を指す。
【0012】
少なくとも1つのユニットは、ハウジング壁に一体化され、特に堅固に一体化される。少なくとも1つのユニットは、以下からなるリストから選択される。
-胴体内の熱源を冷却するための冷却ユニット、
-センサユニット、
-顔センサユニット、
-カメラユニット。
【0013】
ハウジング壁内のユニットの統合は、広い意味を有する。例えば、冷却ユニットは、ハウジング壁を介して冷却ユニットの異なる構成要素間で熱が伝達されるようにハウジング壁に一体化される。センサユニットの場合、ハウジング壁は、センサ電子機器から放散された熱からセンサ要素を熱的に隔離するために使用することができる。
【0014】
特に、ハウジングユニット内のユニットの一体化は、個々のユニットが胴体の壁の開口部に取り付けられ得ることを意味し、ユニット自体の一部がハウジング壁として機能する。特に、このようなユニットが一体化され、ユニット自体の一部がハウジング壁として機能する場合、ハウジング壁として機能するユニットの一部と胴体の壁との間に、封止された接続部が存在する。
【0015】
更に具体的には、このユニットは、同時に胴体の壁として機能するハウジング壁に一体化される可能性がある。
【0016】
少なくとも1つのユニットは、胴体の内部に配置された熱源を含む。熱源は、ハウジング壁と熱的に結合される。少なくとも1つのユニットは、胴体の外部に配置されたヒートシンクを更に備える。ヒートシンクは、熱源を冷却するためにハウジング壁に熱的に結合される。
【0017】
好適には、ヒートシンクは、金属冷却リブを備える。
【0018】
ロボット胴体は気密封止されているため、熱エネルギーを環境に容易に放出することはできない。対照的に、胴体が開いていれば換気することができ、放散された電気エネルギーを対流によって環境中に直接に放出することができる。
【0019】
したがって、封止された胴体内の熱的条件を安定させるためには、更なる対策が必要となる。胴体内部の熱源からハウジング壁への効率的な熱伝達、及びハウジング壁から環境への更なる熱伝達は、封止された胴体からの熱を放散するための解決策を与える。
【0020】
好適な実施形態では、ハウジング壁は、ロボットの回路基板を囲む。少なくとも1つのユニットは、コネクタを介して回路基板に接続される。更に、ユニットは、2つ以上のユニットがある場合、少なくとも1つのコネクタを介して相互接続することができる。
【0021】
更に好適な実施形態では、ロボット胴体は、検査ペイロードを胴体に結合するために適合された検査ペイロードインターフェースユニットを備える。広範囲の工業用検査作業のために、このような検査ペイロードには、視覚カメラとサーマルカメラ、及び特にパンチルトユニット上にスポットライトが搭載されている。
【0022】
ロボット胴体は、
-ロボットの肢のアクチュエータの電子コネクタを結合するように適合された電気インターフェースユニットと、
-肢をロボットに取り付けるために適合された機械インターフェースユニットと、
-ロボット胴体を、特に胴体の外部に配置されたバッテリに接続するためのバッテリインターフェースユニットと、
-バッテリを充電するために、ロボット胴体をドッキングステーションにドッキングするためのドッキングインターフェースユニットと
を更に備える。
【0023】
胴体と電気ユニット、機械ユニット、及びバッテリユニット、ペイロードインターフェースユニット、又はドッキングインターフェースユニットなどの任意の更なるユニットとの間の全てのインターフェースは、液体や汚れがこれらのインターフェースを通って胴体に侵入しないように封止される。
【0024】
本発明の好適な実施形態では、ロボット胴体の冷却装置は、ロボット胴体の内部に配置され、熱源、特に中央処理装置などに熱的に結合可能なヒートスプレッダ、特に銅板を備える。ヒートスプレッダは、熱源から放散された熱エネルギーをロボット胴体内のより大きな表面積に分配し、ハウジング壁を通してより改善された効果的な熱伝達を可能にする。更に、ハウジング壁の外面と熱的に結合されたヒートシンクをロボット胴体の外部に配置することもできる。ヒートシンクは、強制対流又は自然対流によって熱を環境に伝達する。
【0025】
特に、冷却ユニットは、熱伝導性でかつ電気絶縁性のシートを備える。このシートは、ヒートスプレッダ及び胴体のハウジング壁の内面と熱的に結合される。
【0026】
本発明の更に好適な実施形態では、ヒートシンクを能動的に冷却するために、ヒートシンクと熱的に接続された熱交換器が配置される。
【0027】
特に、ヒートシンクは金属製の冷却リブを備え、熱交換器は冷却のために気流を強制的に冷却リブを通過させるように適合されている。
【0028】
更に好適な実施形態では、ヒートシンクは、ヒートシンクに沿って空気流を生成するためのファンを備えた空気ダクトで覆われる。ヒートシンクはファンによって強制的に対流冷却される。代替的に、ヒートシンクは熱交換器と熱的に接続される。
【0029】
好適には、冷却ユニットは、ヒートスプレッダと熱源とを熱的に接続するように適合された熱伝導層を備える。
【0030】
更に好適な実施形態では、センサユニットは、ロボット胴体内部に配置されたセンサ電子機器を備える。このセンサ電子機器は、ハウジング壁の内面と熱的に結合される。ロボット胴体の外部には冷却リブのアレイが配置される。冷却リブは、ハウジング壁の外面と熱的に結合され、熱エネルギーを広い表面に分配する。これにより、胴体内部から環境への熱伝達が向上する。センサ要素は、ロボット胴体の外部に配置される。センサ要素をセンサ電子機器に接続するためのコネクタは、冷却リブのバルク部分を貫通し、ハウジング壁を貫通して延びるケーブルトンネルを通過する。
【0031】
好適には、ロボット胴体は、センサ要素をケーブルトンネルと位置合わせするためのアライメント要素を備える場合があり、アライメント要素は、冷却リブのアレイの機構上に確実にロックする少なくとも1つの第1の機構及び/又はセンサ要素の機構上に確実にロックする少なくとも1つの第2の機構を備える。
【0032】
更に好適な実施形態では、顔センサユニットは、ロボット胴体の内部に配置されたセンサ電子機器を備える。このセンサ電子機器は、ハウジング壁の内面と熱的に結合される。センサ要素は、ロボット胴体の内部に配置され、センサ電子機器と電気的に接続される。特に、センサ要素は、ハウジング壁内の窓を介して外部からのシグナルを検出する。ロボット胴体の外部には冷却リブのアレイが配置される。冷却リブは、ハウジング壁の外面と熱的に結合され、熱エネルギーを広い表面に分配する。これにより、胴体内部から環境への熱伝達が向上する。冷却リブは、熱を運び去ることによってハウジング壁を介してセンサ電子機器を冷却するように適合されている。
【0033】
顔センサユニットの好適な実施形態では、センサ電子機器は、センサ要素と冷却リブとの間に配置される。このような実施形態では、顔センサユニットは、ハウジングの非常に狭い部分に配置されてもよく、ハウジング内面は、電子機器の両側でセンサ電子機器と熱的に接触することができる。
【0034】
好適には、ロボット胴体は、センサユニット及び/又は顔センサユニットのセンサ要素をそれぞれ囲む、特に窓、特にガラス窓を有するセンサプロテクタを備える。
【0035】
本明細書における「囲む」という用語は、特に、センサ要素を少なくとも部分的に一方の側から囲むプロテクタを指す。特に、センサ要素を完全に囲むことを指すものではない。
【0036】
好適な実施形態では、センサプロテクタは、センサユニットのセンサ要素を保護する。このような構成では、センサプロテクタと胴体のハウジング壁の外部との間のインターフェースが気密封止され得る。特に、センサプロテクタの内部とロボット胴体の内部は、センサユニットの冷却リブのバルク部を通るケーブルトンネルによって2つが連結されているため、同じガス状態が存在する。更に好適な実施形態では、センサプロテクタは、顔ユニットセンサのセンサ要素を保護している。このような配置では、顔センサユニットのセンサ要素は、ハウジング壁の内部で胴体内に配置されるため、センサプロテクタは、ハウジング壁の一部を形成する。特に、このような配置についても、センサプロテクタがハウジング壁の一部を形成しているため、センサプロテクタの内部とロボット胴体の内部には同じガス状態が存在する。
【0037】
好適には、センサプロテクタは、センサ要素が外部からのシグナルを受信できるように適合される。特に、センサプロテクタは上記のように窓を有する。センサプロテクタが顔センサユニットのためのハウジング壁の一部を形成する場合でも、センサプロテクタは、センサユニットが環境から光シグナルを受信することができるための窓を備えることができる。
【0038】
特に、センサ要素は、少なくとも1つの光学センサ、特に広角カメラ、ステレオカメラ、及び/又は赤外線カメラ、特に広角カメラ及びステレオカメラを備える。ステレオカメラは、深度情報を取得するために使用され得る。
【0039】
本発明の更に好適な実施形態では、ロボット胴体は、顔構造を備えてもよい。顔構造は、カメラユニットと、少なくとも1つの顔センサユニットとを備える。特に、第2の顔センサユニットが含まれてもよい。カメラは、シグナルを検出するための特定の第1の方向、特に窓面に垂直な方向、又はロボットが移動する方向に向けられる。
【0040】
好適には、カメラユニットは、少なくとも1つの顔センサユニットに隣接して配置される。
【0041】
更に好適には、少なくとも1つの顔センサユニットは、第2の顔センサユニットに隣接して配置される。
【0042】
少なくとも1つの顔センサユニットは、センサ要素を備え、このセンサ要素は、シグナルを検知するために第2の特定の方向に向けられる。
【0043】
特に、第2の顔センサユニットが存在する場合、第2の顔センサユニットの第2のセンサ要素は、シグナルを検出するために第3の特定の方向に向けられる。
【0044】
好適には、特定の第1、第2、及びもし存在するのであれば第3の方向は、1つの平面内で整列している。特に、特定の第1、第2、及びもし存在するのであれば第3の方向が一平面内で整列している場合、特定の方向間の角度はα≧10°、特にα≧20°である。
【0045】
本発明の好適な実施形態では、カメラユニット、少なくとも1つの顔センサユニット、及びもしこのような顔構造内に存在するのであれば第2の顔センサユニットは、互いに堅固に配置される。これは、カメラユニット、少なくとも1つの顔センサユニット、及びもし存在するのであれば第2の顔センサユニットは、個々のユニットの互いに対する向きによって定義され、かつユニットのうちの1つだけで監視され得るエリア又は領域よりも大きい、定義されたエリア又は領域を監視するという利点を有する。
【0046】
環境の温度変化の可能性により、胴体内に湿気がこもる可能性がある。したがって、本発明の更なる好適な実施形態では、ハウジング壁の一部は、半透性膜、特に水蒸気透過性の膜を含む。
【0047】
このような膜は、液体の水をはじく一方で、水蒸気は通すことができる。好適には、延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる膜が使用され得る。
【0048】
好適には、ハウジング壁は、胴体内に配置された電子部品を電磁的に遮蔽するためのアルミニウムを含む。
【0049】
第2の態様は、特に、第1の態様による胴体を備える自律脚型ロボットに関する。特に、ロボットは4本の脚を有し、自律的に歩行する。
【0050】
本発明は、以下の詳細な説明により、よりよく理解され、上記以外の目的も明らかになるであろう。このような説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態による、ハウジングにいくつかのユニットが組み込まれたロボット胴体を示す。
図2】本発明の一実施形態による、図1のロボット胴体の冷却ユニットを示す分解図である。
図3】本発明の一実施形態による、図1のロボット胴体のセンサユニットを示す分解図である。
図3a図3のセンサユニットを示す分解前の図である。
図3b図3のセンサユニットの様々な断面図である。
図4】本発明の一実施形態による、図1のロボット胴体の顔構造を示す分解図である。
図5a図4による顔センサ構造を表側から見た透視図である。
図5b図4による顔センサ構造を裏側から見た透視図である。
図5c】顔構造の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、ロボット胴体100を示す。ロボット胴体100は、内面及び外面を有するハウジング壁1を備える。ハウジング壁1は、ロボット胴体100の内部を気密封止し、好適には、胴体100内に配置された電子部品を電磁的に遮蔽するためのアルミニウムを含むことができる。
【0053】
ロボット胴体100は、冷却ユニット200と、ロボット胴体100の側面に配置されたセンサユニット300と、ロボット胴体100の前面に配置された顔センサユニット400とを備える。これらのユニットはいずれも、ロボット胴体100のハウジング壁1に一体化されている。
【0054】
更に、ロボット胴体100は、インターフェースを備える。検査ペイロードインターフェースユニット500は、ロボット胴体100の上部に配置される。検査ペイロード(図示せず)をそれと結合することができる。検査ペイロードには、視覚カメラと温度カメラ、スポットライトがパンチルトユニットに搭載されている。これらの装置は、検査作業を実施するために使用される。検査対象の装置の技術的欠陥は、ペイロードインターフェースを有するロボットによって、自律的に検出することができる。検査ペイロードインターフェースは、ガス又は液体がインターフェースを通って胴体に出入りできないように封止される。
【0055】
電気インターフェースユニット600及び機械インターフェースユニット700が、ロボット胴体100の側面に配置されている。肢(図示せず)は、機械インターフェースユニット700を介してロボット胴体100に取り付けることができる。
【0056】
これらの肢には、肢を動かして曲げるためのアクチュエータが含まれる。アクチュエータは、電気インターフェースユニット600及び肢に取り付けられたコネクタを介して、ロボット胴体100に電気的に接続される。コネクタは電気エネルギーを伝達してアクチュエータを駆動し、アクチュエータをロボットの制御装置に接続する。電気インターフェースユニット600及び機械インターフェースユニット700は、ガス又は液体が胴体に出入りできないように封止される。
【0057】
更に、バッテリインターフェースユニット800において、ロボット胴体100の外部にバッテリを取り付けることができる。ドッキングインターフェースユニット900は、ロボット胴体100の底部に配置される。バッテリインターフェースユニット800は、ガス又は液体が胴体に出入りできないように封止される。
【0058】
電気ユニット600、機械ユニット700、及びバッテリユニット、ペイロードインターフェースユニット、又はドッキングインターフェースユニットなどの任意の更なるユニットとのインターフェースは全て封止されており、液体や汚れがこれらのインターフェースを通って胴体に侵入することはない。
【0059】
ロボット胴体100は、前側にアンテナ1011を、後部にユーザインターフェース102を備える。更に、ロボットは、胴体の前側及び後部に半透性膜101を備えることができる。特に、膜101は水蒸気透過性である。
【0060】
特に、本発明の第2の態様によるロボットは、少なくとも1つの脚を備えた図1に示すような胴体を備える。
【0061】
図2に冷却ユニット200の分解図を示す。図2では、ロボット胴体100のハウジング壁1も見える。図2においてハウジング壁1より下方に示されている構成要素は全てロボット胴体100の内部に配置され、図2においてハウジング壁1より上方に示されている構成要素は全てロボット胴体100の外部に配置されている。冷却ユニット200は、ロボット胴体100の内部の構成要素と、ロボット胴体100の外部の構成要素とを備えることに留意されたい。言い換えると、冷却ユニット200は、ハウジング壁1に一体化されている。
【0062】
特に、このような一体化は、図2に示すように、ハウジング1の一部を含むユニットを胴体100の開口部に取り付けることによって可能であり、全ての取付けインターフェースは封止されている。
【0063】
冷却ユニット200は、胴体100の内部からハウジング壁1を介して胴体200の外部に熱を伝える。これは、ロボット胴体100の内部で放散された熱を対流によって、気密封止されたロボット胴体から外に伝達することができないため、必要である。空気がロボット胴体100の内部と外部との間で循環することができる場合、ロボット胴体100の内部は気密封止されない。
【0064】
熱は、ロボット胴体100内のメイン回路基板又はマザーボード11のCPUから放散される。CPUは熱源である。放散された熱は、熱伝導層24を介してCPUからヒートスプレッダ21に直接伝達される。ヒートスプレッダ21は、銅板である。銅は熱伝導率が高い。ヒートスプレッダ21は、胴体の内部から外部に熱を伝達するためにハウジング壁1の大きな伝達面積を使用できるように、熱を大きな表面に分配する。ヒートスプレッダ21は、固定プレート25を介してハウジング壁1の内面に接続されている。
【0065】
ハウジング壁1は、ヒートシンク23に熱を伝導し、ヒートシンクは、空気ダクト230の内部に配置された複数のリブを備える。これらのリブは、環境への熱伝達を向上させる大きな表面を有する。空気ダクト230をファン231によって換気することにより、熱伝達が促進される。ファン231は、ヒートシンクの対流冷却を強制するように構成されたヒートシンクに沿って空気流を発生させる。
【0066】
図3は、センサユニット300の分解図を示す。センサユニットは、ハウジング壁1の背後、即ち、ロボット胴体100の内部に配置されたセンサ電子機器31を備える。センサ電子機器31は、電気エネルギーを熱として放散する。熱は、伝導によってハウジング壁1を通ってロボット胴体100外へ伝達される。胴体の外部に配置された冷却リブ32のアレイは、対流のみによって環境への熱伝達を加速するために、広い表面に熱を分配する。
【0067】
センサ電子機器31は、深度データを記録するための光学センサ、特に広角カメラ、ステレオカメラ及び/又は赤外線カメラを備えることができるセンサ要素33と接続される。センサ要素33は、冷却リブ32のアレイの前に配置され、冷却リブ32のアレイの一部であるケーブルトンネル320を通過するケーブルを介してセンサ電子機器31に接続される。
【0068】
好適には、アライメント要素35は、冷却リブ32のアレイをセンサ要素33と機械的に接続する。アライメント要素35の第1の機構351は、冷却リブ32のアレイの機構に確実にロックされ、アライメント要素の第2の機構352は、センサ要素33の機構に確実にロックされる。センサ要素33は、窓340、特にガラス窓を備えるセンサプロテクタ34によって囲まれており、センサプロテクタ34及びアライメント要素35は、センサ要素33を気密封止する。センサ要素33は、ケーブルトンネル320を介してロボット胴体100の内部と気密接続されている。
【0069】
図3aは、図3のセンサユニット300を非分解図で示している。センサ要素33は、センサプロテクタ34によって囲まれているため、見えない。センサ要素33は、窓340を介して環境と光学的な接続を有する。
【0070】
特に、センサ要素33を囲むセンサプロテクタ34、アライメント要素35、及び冷却リブ32のアレイの間のインターフェースは、環境に対して封止される。
【0071】
図3bは、センサユニット300の3つの断面図を示す。ケーブルトンネル320はよく見える。一連の冷却リブ32は、ケーブルトンネル320によって中断される。ケーブルトンネル320は、ロボット胴体100の内部、センサプロテクタ34の内部、及びケーブルトンネル320からなる気密封止された部屋の一部であるため、冷却リブ32間の開放空間と相互接続されていない。
【0072】
図4は、カメラユニット410と、第1の顔センサユニット400及び第2の顔センサユニット400’とを備える顔構造4000の分解図を示す。
【0073】
顔センサユニット400、400’は各々、ロボット胴体100の内部に配置され、胴体100のハウジング壁1の内面に熱的に結合するセンサ電子機器41、41’を備える。各顔センサユニット400、400’の顔センサ冷却リブ42、42’のアレイは、胴体100の外部に配置され、ハウジング壁(図5bに見ることができる)の外面に熱的に結合される。
【0074】
各顔センサユニット400、400’のセンサ要素43、43’は、胴体100の内部に配置され、センサ電子機器41、41’に接続される。各顔センサユニット400、400’のセンサ電子機器41、41’は、それぞれのセンサ要素43、43’と顔センサ冷却リブ42、42’のアレイとの間に配置される。
【0075】
好適には、センサプロテクタ44、44’は、各センサ要素43、43’を囲み、各センサプロテクタ44、44’は、ハウジング壁1の一部として形成される。
【0076】
したがって、各センサ要素43、43’は、胴体100内に配置される。センサプロテクタ44、44’は、流体やガスが胴体100に侵入しないように封止される。
【0077】
特に、センサプロテクタ44、44’は、本明細書ではハウジング壁1の一部を形成し、これが、矛盾することなくハウジング壁1又はセンサプロテクタ44、44’によって囲まれたセンサ要素43、43’を画定することができる理由である。
【0078】
それぞれのセンサ要素43、43’をそれぞれ取り囲むハウジング壁1又はセンサプロテクタ44、44’は、それぞれのセンサ要素43、43’が外部からのシグナルを検出することを可能にする窓440、440’を備える。それぞれの窓440、440’とハウジング壁1又はセンサプロテクタ44、44’の外部とのインターフェースは、それぞれ気密封止される。
【0079】
好適には、各センサ要素400、400’は、少なくとも1つの光学センサ、特に広角カメラ、ステレオカメラ、及び/又は赤外線カメラ、特に広角カメラ及びステレオカメラを備える。
【0080】
カメラユニット410は、第1のシグナルを検出するために第1の特定の方向d1に向けられたカメラを備える。少なくとも1つの顔センサユニット400は、第2のシグナルを検出するために特定の第2の方向d2に向けられたセンサ要素41を備える。第2の顔センサユニット400’は、第3のシグナルを検出するために、第3の特定方向d3に向けられている。
【0081】
図5a及び図5bは、図4の分解図に示す顔構造4000の斜視図を示す。図5aに示すような顔構造の好適な実施形態では、カメラユニット410は、少なくとも1つの顔センサユニット400に整列して隣接して配置されていることが明確に分かる。
【0082】
更に好適には、少なくとも1つの顔センサユニット400は、第2の顔センサユニット400’に整列して隣接して配置される。
【0083】
図5cは、図5a及び図5bの顔構造4000の側面図の断面を示す。特に、カメラユニット410、顔センサユニット400、及び第2の顔センサユニット400’の配置が見える。更にまた、平面(紙面)内に方向d1、d2、d3が記されている。特に、角度αは、α≧10°であり、特にα≧20°である。
【符号の説明】
【0084】
図1
図2
図3
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】