(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】アブレーション及び電気生理学的マッピングで使用する内視鏡誘導レーザ・アブレーション・カテーテルの表面に電極を設ける展開可能な構造体
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240315BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20240315BHJP
A61B 18/24 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/18 100
A61B18/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560578
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022023059
(87)【国際公開番号】W WO2022212849
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516317447
【氏名又は名称】カーディオフォーカス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メルスキー,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】エスタブルーク,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バレット,バーク
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,リンコルン
(72)【発明者】
【氏名】ゼファー,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】コヘイン,カーティス
(72)【発明者】
【氏名】コロン,オマル
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026FF17
4C160JK02
4C160KK03
4C160KK16
4C160KL03
4C160MM38
(57)【要約】
標的組織をアブレーションする方法は、以下の工程を含む。(a)アブレーション・バルーン・カテーテルを標的組織に供給する工程であって、アブレーション・バルーン・カテーテルは、コンプライアントバルーンと、視覚化デバイスと、視覚化デバイスから見える電極アレイとを含み、各電極はアブレーションエネルギを供給するように構成されており、電極アレイはコンプライアントバルーンに対して独立して移動可能である、工程、(b)電極アレイのうちの少なくとも1つの電極が標的組織と接触するように、標的組織を隔離する工程、(c)視覚化デバイスを使用して、標的組織と接触していることが確認された電極アレイの電極にアブレーションエネルギを供給する工程。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織をアブレーションする方法であって、
アブレーション・バルーン・カテーテルを前記標的組織に供給する工程であって、前記アブレーション・バルーン・カテーテルは、コンプライアントバルーンと、視覚化デバイスと、前記視覚化デバイスから見える電極アレイとを含み、各電極はアブレーションエネルギを供給するように構成されており、前記電極アレイは前記コンプライアントバルーンに対して独立して移動可能である、前記工程と、
前記電極アレイのうちの少なくとも1つの電極が前記標的組織と接触するように、前記標的組織を隔離する工程と、
前記視覚化デバイスを使用して、前記標的組織と接触していることが確認された前記電極アレイの電極に前記アブレーションエネルギを供給する工程と、を含む前記方法。
【請求項2】
前記視覚化デバイスは、前記コンプライアントバルーンの内部に配置される内視鏡を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚化デバイスは、前記バルーンカテーテルのカテーテルシャフトに対して固定された位置にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アブレーションエネルギは、RFエネルギ、レーザ、電気穿孔、及びマイクロ波からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アブレーション・バルーン・カテーテルは長手方向に変位可能なスリーブを含み、前記長手方向に変位可能なスリーブは、前記バルーン・アブレーション・カテーテルに沿って前記コンプライアントバルーン上を長手方向に移動するように構成され、前記長手方向に変位可能なスリーブは、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、前記近位端部分及び前記遠位端部分の両方に接続される複数のブランチとを有し、前記電極アレイは、前記複数のブランチのうちの1つまたは複数のブランチの外部に沿って配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アブレーション・バルーン・カテーテルは主カテーテルシャフトを含み、前記長手方向に変位可能なスリーブは、引き込まれた位置と広がって展開した位置との間の移動を可能にするために前記主カテーテルシャフト内に引込可能である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記長手方向に変位可能なスリーブの前記近位端部分は第1管状構造体を備え、前記長手方向に変位可能なスリーブの前記遠位端部分は第2管状構造体を備え、前記複数のブランチの第1端が前記第1管状構造体に接続され、前記複数のブランチの第2端が前記第2管状構造体に接続される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
複数の長手方向スリットが前記複数のブランチの間に形成され、それによって前記コンプライアントバルーンの膨張下で前記複数のブランチの半径方向の伸張を可能にする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
電極カテーテルをさらに含み、前記電極カテーテルは前記アブレーション・バルーン・カテーテルから分離しており、前記電極カテーテルは、前記アブレーション・バルーン・カテーテルが前記電極カテーテルの内腔を完全に通過することができて前記電極カテーテルを前記コンプライアントバルーンの外部に沿って配置することができるように構成され、前記電極カテーテルは細長い構造体を備え、前記細長い構造体は開放遠位端と、近位領域と、遠位電極領域とを有し、前記遠位電極領域は、複数の長手方向スリットによって互いから分離された複数の長手方向スプラインを有し、前記電極アレイは、前記複数の長手方向スプラインのうちの1つまたは複数のスプラインの外部に沿って配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アブレーション・バルーン・カテーテルは長手方向に変位可能なスリーブを含み、前記長手方向に変位可能なスリーブは、前記バルーン・アブレーション・カテーテルに沿って前記コンプライアントバルーン上を長手方向に移動するように構成され、前記長手方向に変位可能なスリーブは近位端部分と、複数のブランチとを有し、前記複数のブランチは、前記複数のブランチの第1端で前記近位端部分にのみ接続され、前記複数のブランチの反対側の第2端は自由端であり、前記電極アレイは、前記複数のブランチのうちの1つまたは複数のブランチの外部に沿って配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コンプライアントバルーンは微小孔によって画定された多孔質バルーンを備え、前記電極アレイは前記多孔質バルーン内に移動可能に配置された電極キャリアの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記微小孔は、前記アブレーションエネルギが供給される前記多孔質バルーンの第1領域の周りに周方向に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記微小孔の密度が、第2領域及び第3領域と比較して前記第1領域で最も大きくなり、前記第2領域及び前記第3領域は、前記第1領域の両側にあり、前記多孔質バルーンの近位領域及び遠位領域をそれぞれ画定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電極キャリアは、前記多孔質バルーン内のカテーテルシャフトの周りを自由に回転する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電極キャリアはさらに、前記カテーテルシャフトに沿って軸方向及び長手方向に移動するように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電極キャリアは、前記電極アレイを取り囲むフードを含み、前記電極アレイは、前記フードの内部に少なくとも2つの電極を備え、前記電極キャリアは、前記フードの前記内部に導電性流体を供給するために、前記内部と流体連通する流体導管を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性流体は食塩溶液を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電極キャリアは、前記カテーテルシャフトに対して半径方向に移動し、前記電極キャリアが前記多孔質バルーンの内表面に直接接触してまたはそれに近接して配置されることが可能になるように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記電極キャリアは、前記カテーテルシャフトに機械的に結合されて、前記電極キャリアが前記半径方向に移動することを可能にしている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コンプライアントバルーンは微小孔によって画定された多孔質バルーンを備え、前記電極アレイは前記多孔質バルーン内に移動可能に配置された電極キャリアの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記アブレーション・バルーン・カテーテルは電極スリーブを含み、前記電極スリーブは前記多孔質バルーンの内部に配置され、前記電極スリーブは、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、前記近位端部分及び前記遠位端部分の両方に接続される複数のブランチとを有し、前記電極アレイは、前記複数のブランチのうちの1つまたは複数のブランチの外部に沿って配置され、前記多孔質バルーンの内表面に対して配置されるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記電極アレイは、電極キャリアの外部に沿って配置され、前記電極キャリアは、前記電極アレイの前記電極の位置の印とするために前記電極キャリアの内表面に沿って形成された電極マーカーをさらに含み、前記電極マーカーは前記視覚化デバイスから見えている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項5に記載の方法であって、前記アブレーション・バルーン・カテーテルは、前記コンプライアントバルーン内に配置された移動可能なエネルギエミッタを含み、前記移動可能なエネルギエミッタは、前記コンプライアントバルーンを通じて前記標的組織に第1種類のエネルギを供給するように構成され、前記方法はさらに、
前記電極アレイが前記コンプライアントバルーンの上に配置されないように、前記コンプライアントバルーンの近位に配置された前記長手方向に変位可能なスリーブを用いて前記コンプライアントバルーンを膨張させる工程と、
前記移動可能なエネルギエミッタを使用して前記標的組織にエネルギを供給する工程と、
前記コンプライアントバルーンを収縮させる工程と、
前記電極アレイが前記コンプライアントバルーンを取り囲むように、前記長手方向に変位可能なスリーブを前記コンプライアントバルーン上で移動させる工程と、
前記コンプライアントバルーンを膨張させる工程と、
前記標的組織と接触する前記電極アレイの少なくとも一部の電極に電圧印加する工程と、を含む、前記方法。
【請求項24】
アブレーション・カテーテル・システムであって、
シャフトに結合された膨張可能なバルーンを含むバルーン・アブレーション・カテーテルと、
前記バルーン・アブレーション・カテーテルに沿って長手方向に移動するように構成された長手方向に変位可能なスリーブであって、前記長手方向に変位可能なスリーブは、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、前記近位端部分及び前記遠位端部分の両方に接続される複数のブランチとを有し、前記バルーン・アブレーション・カテーテルは、前記長手方向に変位可能なスリーブが前記膨張可能なバルーンに対してより近位の位置で配置される第1位置と、前記長手方向に変位可能なスリーブが前記膨張可能なバルーンに対してより遠位の位置で配置される第2位置との間で移動する、前記長手方向に変位可能なスリーブと、を含み、
少なくとも1つのブランチが、その外表面に沿って配置された少なくとも1つの電極を含み、
前記複数のブランチは、前記膨張可能なバルーンの膨張下で展開すると共に半径方向に伸張するように構成されている、前記アブレーション・カテーテル・システム。
【請求項25】
近位の前記第1位置は、前記長手方向に変位可能なスリーブが前記バルーンの近位に配置されるような位置であり、より遠位の前記第2位置は、前記長手方向に変位可能なスリーブが前記膨張可能なバルーンの少なくとも50%を覆うような位置である、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項26】
前記長手方向に変位可能なスリーブの前記近位端部分は第1管状構造体を備え、前記長手方向に変位可能なスリーブの前記遠位端部分は第2管状構造体を備え、前記複数のブランチの第1端が前記第1管状構造体に接続され、前記複数のブランチの第2端が前記第2管状構造体に接続される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項27】
前記近位端部分、前記複数のブランチ及び前記遠位端部分は単一の一体的な部品として形成される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項28】
複数の長手方向スリットが前記複数のブランチの間に形成され、それにより、前記膨張可能なバルーンの膨張下で前記複数のブランチの半径方向の伸張を可能にする、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項29】
各長手方向スリットの幅が各ブランチの幅とは異なる、請求項28に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項30】
前記長手方向に変位可能なスリーブは、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム及びウレタンフィルムからなる群から選ばれる材料で形成される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項31】
前記第1位置は引き込まれた位置であり、前記第2位置は、前記複数のブランチが前記膨張可能なバルーン上に配置される広がった位置である、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項32】
前記第1位置において、前記第1管状構造体、前記複数のブランチ及び前記第2管状構造体の各々が、前記膨張可能なバルーンの近位に配置される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項33】
前記第2位置において、前記第2管状構造体は、前記膨張可能なバルーンに対して遠位の位置で前記シャフトの遠位先端上に配置され、前記第1管状構造体は、前記膨張可能なバルーンに対して近位の位置で前記シャフト上に配置される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項34】
前記複数のブランチの長さが、前記第1管状構造体及び前記第2管状構造体の各々の長さよりも長い、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項35】
前記第1管状構造体の前記長さは、前記第2管状構造体の前記長さよりも長い、請求項34に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項36】
前記複数のブランチの各々が少なくとも1つの電極を含む、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項37】
前記複数のブランチの各々が2つ以上の電極を含む、請求項36に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項38】
各ブランチの前記2つ以上の電極は、長手方向に離間している、請求項37に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項39】
各電極の制御を可能にするために各電極に動作可能に接続された主コントローラをさらに含む、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項40】
第1動作モードでは、全ての前記電極が前記主コントローラによって活性化され、第2動作モードでは、全てより少ない前記電極が活性化される、請求項39に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項41】
前記複数のブランチは周方向に配置されている、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項42】
各電極は、前記長手方向に変位可能なスリーブの本体に埋め込まれた絶縁導線に接続されている、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項43】
各ブランチは、前記膨張可能なバルーンの膨張によって半径方向外向きの力が加えられたときに、前記ブランチが長手方向に長くなることを可能にする材料で形成されている、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項44】
さらに内視鏡を備え、前記長手方向に変位可能なスリーブは、前記長手方向に変位可能なスリーブの内表面に沿って形成された複数の電極マーカーを含み、前記少なくとも1つの電極は、前記長手方向に変位可能なスリーブの外表面に沿って配置された複数の電極を含み、前記複数の電極マーカーは、前記複数の電極の位置を識別するために前記複数の電極の反対側に形成され、前記複数の電極マーカーは前記内視鏡から見える、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項45】
前記長手方向に変位可能なスリーブの画像が表示されるディスプレイをさらに含み、前記複数の電極のうちのどの電極を活性化させるかをユーザが選択できるようにするグラフィカル・ユーザ・インターフェースが提供される、請求項44に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項46】
前記長手方向に変位可能なスリーブは、長手方向スリットが形成された管状構造体を備え、前記複数のブランチは前記長手方向スリットの間に画定される、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項47】
前記近位端部分は部分的な周セクションを含み、一方、前記遠位端部分は完全な周部分を含む、請求項24に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項48】
前記近位端部分は、前記複数のブランチが取り付けられる完全な周セクションを含み、前記部分的な周セクションは前記完全な周セクションの近位に配置される、請求項47に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項49】
アブレーション・カテーテル・システムであって、
カテーテルシャフトに結合された膨張可能な多孔質バルーンを含むバルーン・アブレーション・カテーテルであって、前記膨張可能な多孔質バルーンの少なくとも第1領域内には複数の微小孔が形成されている、前記バルーン・アブレーション・カテーテルと、
前記膨張可能な多孔質バルーンの内部に移動可能に配置された少なくとも1つの電極と、を備える前記アブレーション・カテーテル・システム。
【請求項50】
前記少なくとも1つの電極は、カテーテルシャフトに回転可能に結合された移動可能なフード内に配置されると共にそれによって担持され、前記膨張可能な多孔質バルーンの内表面に対して配置されるように構成される、請求項49に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項51】
前記フードは、導電性流体を前記フードの内部に供給するために、前記フードの前記内部と流体連通する少なくとも1つの流体導管を含み、前記微小孔を通る前記導電性流体の通過を容易にする、請求項50に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項52】
前記少なくとも1つの流体導管は、遠位端で前記フードに取り付けられた管状支持体に形成された内腔を備える、請求項51に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項53】
前記第1領域は、近位端領域と遠位端領域との間にある前記膨張可能な多孔質バルーンの中央領域であり、前記近位端領域及び前記遠位端領域の各々には孔があいていない、請求項49に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項54】
前記少なくとも1つの電極は、前記バルーン・アブレーション・カテーテルのカテーテルシャフトに回転可能に結合され、また、前記カテーテルシャフトに向かう、及びそこから離れる両方の半径方向に移動可能である、請求項49に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項55】
前記少なくとも1つの電極は電極スリーブによって担持され、前記電極スリーブは弾性材料で形成されると共に前記膨張可能な多孔質バルーンの内部に配置され、前記電極スリーブは、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、前記近位端部分及び前記遠位端部分の両方に接続される複数のブランチとを有し、前記少なくとも1つの電極は、前記複数のブランチのうちの1つまたは複数のブランチの外部に沿って配置された電極アレイを備え、前記多孔質バルーンの内表面に対して配置されるように構成される、請求項49に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【請求項56】
休止位置において、前記複数のブランチが半径方向に展開すると共に前記カテーテルシャフトに対して半径方向外向きに伸張するように、前記弾性電極スリーブは予め形成されており、前記多孔質バルーンが収縮状態にあるときに、前記複数のブランチは引き込まれると共に前記カテーテルシャフトに向かって半径方向内向きに移動するように、前記複数のブランチは構成されている、請求項55に記載のアブレーション・カテーテル・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月1日出願の米国特許出願第63/169,437号、2021年8月31日出願の米国特許出願第63/238,821号、2022年2月22日出願の米国特許出願第63/312,684号、及び2022年2月25日出願の米国特許出願第63/314,010号に基づき、その優先権及び利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、心房細動のアブレーション、具体的には、アブレーション及び電気生理学的マッピングで使用する内視鏡誘導レーザ・アブレーション・カテーテルの表面に電極を設ける展開可能な構造体を含むデバイスを用いた心房細動のアブレーションを対象とする。
【背景技術】
【0003】
心房細動のアブレーションを実行するように構成されたバルーンカテーテルは周知であり、Melsky et alの米国特許第US9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2に記載されており、これらのうちの各々の全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。前述の特許は、エネルギ源を使用して心房組織に非導電性の損傷を作り出すことによって心房細動を治療し、その際には、肺静脈が心房に結合する左心房の領域に円周リング状の損傷が形成されるような方法が採られる。そのような円周状の損傷は、静脈から発生する電気信号が心房に入るのを妨げ、またその逆も同様である。そのような電気信号の通過を遮断すると、ほとんどの場合、以前は細動していた左心房の洞調律を回復させることができる。
【0004】
通常、心房細動に対するアブレーションは、アブレーションカテーテルを左心房に導入する工程と、肺静脈の周囲に円周状の損傷を作成する工程と、次いで、電気信号を実際に遮断するために円周状の損傷が適切に生じていることを確認する工程とからなる。この確認プロセスは概して、アブレーションカテーテルを取り外すことと、次いで円周状の損傷の遠位の肺静脈に配置され得る複数の電極を有するカテーテルを導入することと、次いでその電極を使用して肺静脈から発生するエレクトログラムを監視することからなる。静脈が心房から電気的に隔離されている場合、静脈は静かであり、静脈内には遠距離場での電気的活動のみが観察される。時折スパイクが静脈内で発生することがあるが、心房の残りの部分には伝わらない。冠状静脈洞に電極が配置された状態でカテーテルを介して心房のペーシングを行うことで、静脈内に遠距離場での活動、及びランダムなスパイクのみが観察されることを確認できる。
【0005】
ここで、Melsky et alのUS9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2における前述のデバイスは効果的なアブレーションデバイスであるが、他の多くのアブレーションデバイスと同様に、静脈のアブレーションをひとたび完了した後に、電気的隔離を迅速かつ容易に確認する手段を含んでいない。静脈をアブレーションすることができ、次いで、そのアブレーションの結果、カテーテルを交換する必要なく、静脈の所望の電気的隔離が得られていることを確認できることが非常に望ましい。したがって、本発明の1つの目的は、アブレーションデバイスを提供することであり、このアブレーションデバイスは、内視鏡誘導レーザアブレーションを提供し、肺静脈の電気的隔離が達成されたことを確認すると共にカテーテルの取り外しも交換も必要とせずにそのような確認を実行する手段を提供する。カテーテルの交換を不正確に実行すると、左心房に空気を導入する危険性をもたらす。左心房に空気が導入されると、脳もしくは心臓の損傷に至る可能性があり、他の臓器の場合には、空気が臓器の毛細血管床に移動し、そこでの血液の流れを妨げるだろう。この理由から、カテーテルの交換は常にゆっくりとかつ入念に行われ、空気の導入の危険性を最小限に抑えている。ただし、ゆっくりかつ入念にカテーテルを交換すると、アブレーション処置が完了するまでの時間が増大する。長時間にわたる処置は、患者に他の危険性をもたらすとともに、処置のコストを増大させるため、処置中のカテーテル交換の回数を減らすことが望ましい。
【0006】
静脈の電気的隔離が達成されたことを確認することに加えて、Melsky et alのUS9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2に記載されているアブレーションカテーテルに電極を追加すると、エネルギ源からアブレーション領域までの導電性経路を必要とするアブレーションエネルギの供給もまた可能になる。供給されるアブレーションエネルギは、高周波エネルギもしくは電気穿孔エネルギ(パルス・フィールド・アブレーション・エネルギとも呼ばれる)、またはレーザもしくはマイクロ波などの他のエネルギのいずれかであってもよい。これらの他の種類のアブレーションエネルギを供給する能力は、解剖学的考慮により一方の種類のエネルギが他方よりも好まれる場合に望ましいことがある。例えば、レーザエネルギは、心房壁の全厚を貫通する損傷を作り出し、したがって、レーザエネルギを使用して作成された損傷によって引き起こされる電気的解離は確実に堅牢で耐久性のあるものになるので、望ましい。しかしながら、アブレーションが避けられない範囲内で食道が左心房と接触している状況では、その特定の領域で電気穿孔エネルギを使用することが望ましい場合がある。なぜなら、電気穿孔エネルギは心臓組織と食道組織とでは異なるように損傷を生じさせるので、これにより、食道に隣接する心臓組織を電気穿孔によって安全にアブレーションできる可能性が開かれており、ここでは食道の温度を密接に監視する必要はなく、食道の温度が高く上昇しすぎた場合でもアブレーションを停止する必要がないことが、提案されているからである。
【発明の概要】
【0007】
要約すると、本開示の1つの目的は、Melsky et alのUS9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2に記載されているものと同様のデバイスを使用して、内視鏡誘導レーザアブレーションによって隔離された肺静脈の電気的隔離を迅速かつ容易に確認する手段を提供することである。本発明のさらなる目的は、カテーテル交換を必要としないような方法でそのような手段を提供することである。本発明のさらなる目的は、隔離を確認する手段、及び組織に接触するかまたは組織に近接するかのいずれかの電極を介して供給され得る他の形態のアブレーションエネルギを供給する手段の両方を提供することである。本発明のさらなる目的は、Melsky et alのUS9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2に既に存在する内視鏡装置を使用して内視鏡的に視覚化できる隔離確認またはアブレーションのいずれかのための電極を提供することである。
【0008】
例示的な一実施形態では、標的組織をアブレーションする方法は、アブレーション・バルーン・カテーテルを標的組織に供給する工程であって、アブレーション・バルーン・カテーテルは、コンプライアントバルーンと、視覚化デバイスと、視覚化デバイスから見える電極アレイとを含み、各電極はアブレーションエネルギを供給するように構成されており、電極アレイはコンプライアントバルーンに対して独立して移動可能である、工程と、電極アレイのうちの少なくとも1つの電極が標的組織と接触するように、標的組織を隔離する工程と、視覚化デバイスを使用して、標的組織と接触していることが確認された電極アレイの電極にアブレーションエネルギを供給する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】展開状態の本開示の1つの例示的なデバイスを示す図であり、このデバイスは例示的なバルーンカテーテルの膨張したバルーンの表面上に展開されている。
【
図2】引込状態の
図1のデバイスを示す図であり、このデバイスはバルーンカテーテルの収縮したバルーン上を前進する準備ができた状態にある。
【
図3】ある状態の
図1のデバイスを示す図であり、この状態では、デバイスはバルーンカテーテルの膨張したバルーン上を前進して部分的な展開状態にあり、そのような展開はバルーンの膨張によって達成されている。
【
図4】PFAカテーテル装着バスケットを示す図である。
【
図5】バルーンカテーテルと共に使用するための電極カテーテルを示す図である。
【
図6】バルーンカテーテル上に配置された
図5の電極カテーテルを含む二重経中隔/第2カテーテルデバイスを示す図である。
【
図7】引込可能な尖叉電極アレイの実施形態を示す図である。
【
図8】A~Cは、引込可能な尖叉電極アレイの様々な状態を示す図である。
【
図9】PFA編組ワイヤメッシュ電極アレイを有するバルーンカテーテルを示す図である。
【
図10】埋込式電極アレイを有するバルーンを示す図である。
【
図11】内側電極アレイを有する微小孔を有するバルーンカテーテルを示す図である。
【
図12】内側電極アレイを有する微小孔を有するバルーンカテーテルを示す図である。
【
図13】微小孔及び内側電極アレイを有する別のバルーンカテーテルを示す図である。
【
図14】本発明による内視鏡誘導心臓アブレーションシステムの例示的な構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、例示的なバルーンカテーテル、例えば、Melsky et alのUS9421066B2及びMelsky et alのUS9033961B2に記載されているものを示しており、これらのうちの各々は、参照により組み込まれる。
【0011】
例示的なアブレーションシステム
図14は、本発明によるアブレーション/内視鏡システムを示す例示的な概略ブロック図であり、全体として参照番号10で指定されている。アブレーションシステム10は、好ましくは、治療アブレーション器具(本明細書に記載されるもののうちの1つなど)を含み、この治療アブレーション器具は、好ましくは、以下で述べるような内視鏡及びアブレーションデバイスを含む。
【0012】
アブレーションシステム10は、さらに好ましくは、照準光源20及び照明光源24を含む。プロセッサ12は、接続された機器、ディスプレイ14、及びコントローラ16からの入力及び出力データを受け取り、そのデータを視覚情報に処理するように設計されている。
【0013】
以下の説明からも理解されるように、内視鏡がアブレーション器具100に設けられ、ライブ画像を取り込む機能、及び静止画像を記録する機能の両方を有することが好ましい。照明光24は、治療部位に手術用ライトを提供するために使用される。照明光は、ユーザが手術部位に存在する種々の組織を識別することを可能にする周波数のものである。照準光源20を使用して、エネルギがアブレーション器具100によって組織に供給される場所を視覚化する。照準光20は、画像取り込みデバイスによって記録され得ると共にディスプレイ上で可視となる波長であることが企図される。
【0014】
プロセッサ12は、ライブ視覚データ、並びにアブレーション器具コントローラ及びディスプレイからのデータを処理するように設計され得る。プロセッサ12は、治療部位から受信した視覚情報を解釈し、操作し、記録するように構成された一連のソフトウェア及び/またはハードウェアモジュールを実行するように構成される。プロセッサ12はさらに、例示的かつ図示的なオーバーレイ、及び複合またはハイブリッドの視覚データを操作して表示デバイスに提供するように構成され得る。
【0015】
図14に見られるように、システム10は、コントローラ16と、エネルギ源18と、照準光源20と、ユーザインターフェース22とをさらに含む。コントローラ16は、エネルギ源18、並びにエネルギ送信機の照明光源24及び励起源25の出力を制御するように構成されると共に、アブレーション治療部位での組織に対するエネルギ送信機の距離及び動きを決定するように(以下でさらに説明されるように)構成されていることが好ましい。また、以下の説明から理解されるように、内視鏡は、アブレーション器具によって支持され、十分なアブレーションエネルギの供給が治療部位の特定の範囲に向けられたかどうかを判定するためにプロセッサ12によって処理され得る画像を取り込むことが好ましい。内視鏡から得られるデータには、アブレーション器具から見たままの治療部位のリアルタイムのビデオまたは静止画像が含まれる。本明細書で説明されるように、これらの画像/ビデオを、後で使用するためにメモリに格納することができる。
【0016】
照準光源20を使用して、アブレーション器具がエネルギを標的組織に供給するところの治療部位の位置を視覚化する。好ましくは、照準光源20は、電磁スペクトルの可視領域の光を出力する。適切なアブレーション経路がユーザに見える場合、コントローラ16は、エネルギ源18を介してアブレーション器具から標的組織部位に放射エネルギを伝達し、損傷によるアブレーションを生じさせることができる。本明細書で使用される「放射エネルギ」という用語は、主として伝導性または対流性の熱移動に依存しないエネルギ源を包含することを意図していることを理解されたい。そのような源には、音響源、レーザ源、電気穿孔エネルギ源及び電磁放射源が含まれるが、これらに限定されず、より具体的には、マイクロ波源、X線源、ガンマ線源、超音波及び放射光源が含まれる。さらに、本明細書で使用される「光」という用語は、可視光、赤外放射線及び紫外放射線を含むがこれらに限定されない電磁放射線を包含することを意図している。
【0017】
照明光源24は、治療部位に適切な照明を提供するために使用される光源である。この照明は、オペレータが自然な生物学的色調及び色相を容易に識別し得るように構成されている。
【0018】
コントローラ16は、照準光源、ユーザ入力デバイス及びアブレーション器具の機能を制御する能力をユーザに提供することができる。コントローラ16は、アブレーションシステムのための主要な制御インターフェースとして機能する。コントローラ16によって、ユーザは、照準光20及び照明光24の両方をオン及びオフにすることができる。さらに、コントローラ16は、照明光及び照準光の強度を変更する機能を有する。ユーザインターフェースまたはディスプレイデバイスを切り替える機能も企図されている。さらに、コントローラ16は、放電の強度、並びにアブレーションエネルギ放出の持続時間及び位置の制御を含むアブレーション器具へのアクセスを与える。コントローラ16はさらに、エネルギ供給中に放射エネルギ源と標的組織との間の明確な伝達経路が失われた場合に、システムに安全遮断を提供することができる(例えば、権利者が共通し、2010年10月1日に出願された米国特許出願第12/896,010号を参照のこと。その全体が参照により本明細書によって組み込まれる)。
【0019】
コントローラを、別個のマイクロプロセッサベースの制御インターフェースハードウェアとすることができ、または様々な物理デバイスからの入力を受け取って制御するように構成されたプロセッサベースのコンピュータシステムによって動作するモジュールとして構成されたものの一部分とすることができる。
【0020】
パルス電場アブレーションエネルギ
組織治療学のためのパルス電場の技術分野は進化し続けているが、組織に短時間の高DC電圧を印加すると局所的に高電場が発生することがあり、この高電場は、通常、細胞膜に細孔を発生させることによって細胞膜を破壊する数百ボルト/センチメートルの範囲になると、一般的に理解されている。この電気駆動による細孔の発生または電気穿孔の正確なメカニズムは引き続き研究されるものの、比較的短時間に大きな電場を印加することにより細胞膜の脂質二重層に不安定性が生じ、細胞膜に局所的な割れ目または細孔の分布が発生すると考えられている。膜に印加された電場が閾値よりも大きいために、細孔が閉じずに開いたままである場合、この電気穿孔は不可逆的になる可能性があり、それによって、膜を越えて生体分子物質の交換が可能になり、壊死及び/またはアポトーシス(細胞死)に至る。その後、周囲の組織が自然に治癒する可能性がある。
【0021】
一般に、パルス波形を組織に供給するためのシステム(本明細書に記載されるものなど)は、パルス波形を発生させるように構成された信号発生器と、信号発生器に結合されると共にパルス波形を受信するように構成されたアブレーションデバイスとを含む。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、約200V/cmから約1500V/cmの間の電場強度を発生させるように構成されている。したがって、本明細書に記載される組織をアブレーションするためのシステムは、信号発生器と、DC電圧を選択的かつ迅速に印加するための、1つまたは複数の電極及び伸張可能/膨張可能部材(例えば、バルーン)を有するアブレーションデバイスとを含んで、電気穿孔を駆動することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電圧パルス波形は、階層的であってもよく、入れ子構造を有してもよい。
【0023】
本明細書に記載される不可逆的な電気穿孔システムは、一組の電極に1つまたは複数の電圧パルス波形を印加するように構成されたプロセッサ及び信号発生器を含んで、関心領域にエネルギを供給してもよい。信号発生器によって発生されたパルス波形を供給するために、少なくとも一実施形態において、アブレーションデバイスの1つまたは複数の電極は、対応する絶縁体の絶縁破壊なしに少なくとも約2500Vの電位を維持するように構成された絶縁電気リードを有してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも電極のうちのいくつかが独立してアドレス指定可能であることで、各電極はデバイスの他の任意の電極から独立して制御され(例えば、エネルギを供給し)てもよい。
【0024】
図14に示されるように、システムは、例えば肺静脈などの組織の不可逆的な電気穿孔のためのパルス波形を発生させるように構成された信号発生器29を含むことができる。例えば、信号発生器29を電圧パルス波形発生器とし、本明細書に記載されるアブレーションデバイス(アブレーション器具)のうちの1つにパルス波形を供給するように構成することができる。プロセッサ12は、メモリから受信したデータを組み込んで、信号発生器29によって発生されるパルス波形のパラメータを決定することができ、一方、電圧などのいくつかのパラメータは、ユーザが入力することができる。メモリはさらに、パルス波形などのシステムに関連するモジュール、プロセス及び/または機能を信号発生器29に実行させるための命令を格納することができる。例えば、パルス波形の発生のためにパルス波形を格納するようにメモリを構成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態は、複数組の電極を介して組織にエネルギを供給するための順序付けされた供給スキームと共にパルス高電圧波形を対象とする。信号発生器及びプロセッサを、アブレーションデバイスの電極のうちから選ばれた複数の電極またはサブセットにパルス電圧波形を印加するように構成することができる。
【0026】
一適用例では、パルス電圧波形を、パルス幅またはパルス持続時間に関連付けられたパルスなど、各パルスを有する一連の二重パルスの形態とすることができる。パルス幅/持続時間を、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒(ただし、それらの間の全ての値及びサブレンジを含む)とすることができる。パルス波形を、全てのパルスの極性が同じ(例えば、ゼロのベースラインから計測すると、全てが正)である一組の単相パルスによって定義することができる。不可逆的な電気穿孔用途などのいくつかの実施形態において、各パルスの高さまたはパルスの電圧振幅を、約400ボルト、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルト(ただし、それらの間の全ての値及びサブレンジを含む)からの範囲とすることができる(例えば、一適用例では、2500ボルトの最大振幅が使用される)。パルスは、時には第1時間間隔とも呼ばれる時間間隔によって隣接するパルスから分離される。不可逆的な電気穿孔を発生させるために、例として、第1時間間隔を約1マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒(ただし、それらの間の全ての値及びサブレンジを含む)とすることができる。他の適用例では前述の範囲の外部に値が存在し得るので、前述の値は本質的に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことは、理解されるであろう。
【0027】
例示的なアブレーションカテーテル
図1~
図3に示されるように、1つの例示的なアブレーションデバイスは、バルーン・アブレーション・カテーテルの細長いシャフト2上に摺動可能に配置された、全体的に可撓性の細長い構造体1を対象としている。細長い構造体1は、バルーンカテーテル上を長手方向に変位可能なスリーブであると考えることができる。本明細書では「細長い構造体」という用語を使用しているが、「スリーブ」という用語はそれとともに互換的に使用できることを理解されるであろう。本明細書に記載されるように、細長い構造体1は、バルーンカテーテルの異なる領域を覆うように、バルーンカテーテルに沿って移動することができる。本明細書に記載されるように、細長い構造体1は、バルーン・アブレーション・カテーテルの動きに、より詳しくは、細長い構造体がバルーンを少なくとも部分的に覆うときのバルーンの伸張及び縮小に、応答するように構成される。
【0028】
細長い構造体1は、概して、いくつかの異なる部分を有し、この異なる部分は近位部分及び遠位部分を含む。細長い構造体1の近位部分は、
図1に示されるように、第1管状部分3を備える。この近位領域は、遠位端から2cmから4cmの距離だけ戻った方へ離間している。しかしながら、これは単なる例示的な値に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。バルーン・アブレーション・カテーテルのシャフト2が第1管状部分3の内腔を通過するように、第1管状部分3は構成されている。言い換えると、第1管状部分3は第1管状部分3の少なくとも1つの領域においてカテーテルシャフト2を完全に取り囲んでいる。
【0029】
第1管状部分3は、可撓性を有する材料で形成され得る。
【0030】
細長い構造体1の遠位部分は、2つ以上だが、好ましくは6つ以上のブランチ4に多分岐しており、これらも可撓性である。各ブランチ4は、その外向きの表面に1つまたは複数の電極5を含む。各電極5は、細長い可撓性構造体1の本体に埋め込まれた絶縁導線に接続されているが、そのような導線などは
図1には示されていない。例えば、導線上に構造体1をオーバーモールドすることができる。図示されるように、各ブランチ4に複数の電極5を使用する場合、電極5は、各々のブランチ4に沿って長手方向に離間している。電極5を同じ種類とすることも可能であり、異なる種類とすることも可能であることを理解されるであろう。言い換えると、電極5を異なるサイズとすることが可能であり、及び/または異なる形状とすることも可能である。電極5をブランチ4の1つまたは複数の領域に集中させ得るという点で、電極5の配置は非対称性を有することができる。例えば、電極5を、近位に配置するのとは対照的に、ブランチ4に沿ってより中央に配置し、遠位に配置することができる。
【0031】
したがって、ブランチ4は、周方向に互いから離間し、バルーンの周りに周方向に延在することができる。ブランチ4間に対称的な角度変位を有する代わりに、非対称な配置を設けることができるという点から、ブランチ4が非対称の外観を有するように設計されることも可能である。言い換えると、ブランチ4は、細長い構造体1の一方の片側半分内では、ある種類の角度変位を有することができ、他方の片側半分内では、異なる角度変位を設けることができる。言い換えると、構造体1の他方の片側半分と比較して、より多くのブランチ4が構造体1の一方の片側半分に存在し得る。例えば、周の第1片側半分は第1数の電極を有することができ、他方で、周の第2片側半分は第1数とは異なる第2数の電極を有することができる。
【0032】
図示されるように、各ブランチ4は、第1端(近位端)及び反対側の第2端(遠位端)を有する。ブランチ4の第1端は第1管状部分3に取り付けられ、一実施形態では、ブランチ4は第1管状部分3と一体的に形成される。
【0033】
複数の可撓性ブランチ4は自身の第2端で再結合して、細長い構造体1の遠位端に第2管状構造体6を再び形成する。第2管状構造体6は、(軸方向及び回転方向の両方で)スライド可能な様式でバルーン・アブレーション・カテーテルの遠位先端7を取り囲む。
【0034】
細長い構造体がバルーンの少なくとも一部分の上に配置されると、概して、多分岐(ブランチ4)は、膨張したバルーン8を周方向に取り囲む伸張可能な籠状構造体を形成する。細長い構造体1の近位部分は、後ろの多分岐(ブランチ4)から近位では管形状を維持することができ、または代替的に、細長い構造体1の近位部分は、9で示されるようにチューブの部分的な周部分のみから成ることもでき、それによって、完全な管状である場合よりもより柔軟で、より少ない容積を占めることになり得る。細長い構造体1の複数の部分の間にシャフト2を見ることができる。
【0035】
本デバイス1は、好ましくは、管状部分3と、管状部分6と、それらの間に配置されるブランチ4とが単一の一体部品(例えば、成形部品)として形成されている単一の細長い構造体として形成されることは、理解されるであろう。
【0036】
図2は、バルーンカテーテル上での細長い構造体1の移動を示す。より詳しくは、第1管状部分3及びブランチ4は、緩んだ状態で示されている。これは、細長い構造体1の通常の休止状態を表す。管状に形成された概して薄く平らな材料に一連の長手方向スリット10を作成することによってそのような構造体を製造することができる方法を、この状態で理解できるのは明らかである。言い換えると、ブランチ4は、隣接する2つのスリットの間に1つのブランチを画定するように、構造体1に長手方向スリットを組み込むことによって形成される。好適な薄く平らな材料は、フレキシブルプリント回路またはフレックス回路を製造するために一般的に使用されているようなポリイミドフィルムであろう。他の材料も同様に可能であることは理解されるであろう。
【0037】
図1及び
図2は共に本デバイスが、手段を提供するという目的をどのように達成するかを示しており、その手段とは、内視鏡に誘導されるバルーンカテーテルを使用して肺静脈隔離術を可能にする手段であると共に、従来技術では必要なカテーテルの交換を行う必要なく静脈の電気的隔離を確認する手段を追加として提供する手段である。以下でより詳細に説明するように、管状構造体の内表面は、電極の位置を示すために内視鏡から見える印を内部表面に含むことができる。
【0038】
したがって、細長い構造体1が使用されない、処置のうちのアブレーション段階である第1段階を含む、2つの定義された手術段階があり得る。このアブレーション段階中、細長い構造体1は、
図2に示されるように、バルーンカテーテルのバルーンの近位に存在し、バルーンカテーテルのシャフト2を密に取り囲む萎んだ状態にある。この段階及び状態に示されているように、細長い構造体1全体がバルーンカテーテルのバルーンから変位してバルーンの近位に配置される。したがって、遠位の第2管状シャフト部分6はバルーンの近位に配置される。
【0039】
この状態(第1段階)では、本細長い構造体1のおかげで、アブレーションカテーテルのバルーンを肺静脈内で膨張させて配置することが可能になり、その間ずっと、細長い構造体1は邪魔にならない。アブレーションカテーテルによって内視鏡的に静脈を視覚化してもよく、本発明に関係なく、レーザエネルギを静脈に供給してもよい。言い換えると、出願人の以前のアブレーションカテーテル設計のように、バルーン内に存在する移動可能なエネルギエミッタ0(
図2)からのエネルギは、細長い構造体1からのいかなる障害も受けることなく、バルーンを通過して標的部位に到達する。これは、細長い構造体1が、バルーンの膨張した動作範囲から離間して、それと接触していないためである。
【0040】
電極(電極5など)がバルーンの表面に直接配置されている場合には、これは当てはまらない。なぜなら、そのような電極は、そのような電極が存在するバルーンの部分を通過するレーザエネルギ及び内視鏡視覚化の両方をブロックするからである。
【0041】
ひとたび静脈のアブレーション(第1段階)が達成されると、アブレーションカテーテルのバルーンは収縮させられるが、アブレーションカテーテルの細長い構造体1は静脈に対して再位置決めされない。アブレーションカテーテル構造体が、アブレーションされた静脈に対して静止している状態で、細長い構造体1が、収縮したバルーン上を遠位方向に前進する。次いで、バルーンが再膨張させられ、そのような再膨張により、細長い構造体1のブランチ(多分岐)4は伸張し、少なくともいくつかの数の電極5が静脈の内腔に接触することを余儀なくされる。ここで、上記電極5を使用して、電気的隔離を確認することができる。そのために、電極5に接続されると共に細長い構造体1の近位部分に沿って患者の身体の外部に現れるまで近位方向に延びる導線を公知のデバイスに接続する。なお、この公知のデバイスは電極5と接触している組織から発せられる電気的活動を増幅して表示することができる。
【0042】
電極5は、肺静脈組織(または他の標的組織)と接触したこの状態にあるとき、高周波エネルギ、電気穿孔エネルギまたはマイクロ波エネルギなどのアブレーションエネルギの供給源を、電極に取り付けられた導線に接続することによって、そのようなエネルギを供給することも可能であることにも留意すべきである。電極の位置は、アブレーションカテーテルのバルーンの内部に存在する内視鏡50(
図2)から見えることにも留意すべきである。この視認性は、透明な材料から多分岐4を作ることによって、または電極の位置に直接隣接する多分岐の内表面に印を作成することによってのいずれかで達成される。内視鏡的な電極位置のそのような視覚化により、電極と組織との間の接触状態の視覚的評価が可能になる。例えば、所与の電極は、心周期全体を通して静脈組織としっかりと接触していてもよい。代替的に、心周期の一部分の期間中で電極5を組織と接触させることができ、心周期の他の部分の期間中で電極5を組織と接触させなくてもよいが代わりに血液と接触させているか、または心周期のあらゆる部分の期間中で電極を組織と接触させなくてもよい。組織と電極との間の接触の性質のそのような視覚的評価は、現在、いかなる公知のデバイスでも利用可能ではない。そのような評価は、電極によって計測されたエレクトログラムの解釈を支援するのに役立つ。さらに、高周波、電気穿孔またはマイクロ波のアブレーションエネルギを印加する目的で電極を使用する場合、組織接触の程度に関するそのような視覚情報を使用して、いくつかの電極のうちのどれがアブレーションエネルギを供給するのに好適であるかを、それらが提供する組織接触の程度によって決定することができる。また、静脈内の電気的活動をより良く評価するために、またはより良い電極接触を得て高周波もしくは電気穿孔のエネルギ印加によってアブレーションを可能にするために、必要と考えられる場合には、電極と静脈組織との間の接触を改善するために内視鏡の映像を使用して静脈内でのバルーンの再位置決めを誘導することができる。
【0043】
細長い構造体1のスライド作用
本明細書で説明され、
図1~
図3に示されるように、細長い構造体1は、バルーンカテーテルに沿って長手方向に移動するように構成される。それはまた、バルーンに対して回転運動を有するように構成される。細長い構造体1の一方の端(第1管状部分3など)を掴み、構造体1全体を遠位方向または近位方向の長手方向に移動させるように、細長い構造体1を手動で移動させることができる。代替的に、細長い構造体1を近位方向に移動させるために、第1管状部分3を掴んで近位方向に引っ張ることができる。好ましくは、第1管状部分3は身体から出て、ユーザが直接掴んで利用可能になる点まで近位方向に延びている。ユーザが構造体1を移動させるのを支援するために、構造体1の最も近位端は、例えば、第1管状部分3の近位端にある拡大リングセクションなどの把持フィーチャーを有することができる。代替的に、表面テクスチャーなどを第1管状部分3の1つまたは複数の領域に設けることができる。
【0044】
細長い構造体1は引き込まれて近位方向に移動すると、カテーテル構造体内に形成された内腔、または心房アブレーション処置で一般的に採用されるガイディングシースもしくは偏向可能シースの内腔に入ることができ、そこを通ってバルーンカテーテル及び管状構造体が通過することになる。これは、管状構造体を、スライドさせることでカテーテルシャフト内またはガイディングシースもしくは偏向可能シース内に引き込むことができ、この引込により細長い構造体1が萎んでバルーン周辺での取り囲み関係から外れることを意味する。カテーテルシャフトの内腔内に構造体1を引き込むと、ブランチに萎みを生じさせてコンパクトな状態になる。注意すべき点は、管状構造体をガイディングシースまたは偏向可能シース内に引き込むと、管状構造体の多分岐はそのようなシースの内表面によって支持されると共に伸張することもまたは外向きに曲折することも防止され、また、内向きに曲折することもバルーンカテーテルのシャフトによって防止されることである。そのような状態では、管状構造体は伸張することもまたは縮小することも抑制され、したがってバルーンカテーテルに対してより容易に再位置決めされる。採用されたアブレーションエネルギのみが電極を介して供給されるデバイスの場合には、細長い構造体を必ずしもバルーンの完全に近位の位置まで引き込む必要はない。言い換えると、細長い構造体1は、多数の位置の間で移動可能であり、1つの位置は、少なくともいくつかの電極が少なくとも部分的にバルーンを覆う位置である。
【0045】
制御可能な電極
本明細書に記載され、細長い構造体1及びアブレーション・バルーン・カテーテルを含むアブレーションシステム全体は、コンテンツ、データ及び命令を送信及び受信するように構成された様々な機械とネットワークを通して通信することができ、この命令を実行すると、接続された様々なコンポーネント/メカニズムの動作が可能になる。コンテンツ及びデータは、非限定的な例としてテキスト、オーディオ、画像、及びビデオを含む様々な形式の情報を含むことができると共に、ネットワーク上の他のリソースへのリンクなどの埋込情報、メタデータ及び/または機械で実行可能な命令を含むことができる。各コンピューティング・デバイスを従来の構成のものとすることができ、モバイル・コンピューティング・デバイスなどの他のデバイスに種々のコンテンツ及びサービスを提供するサーバに関して説明が行われるが、当業者には理解されるように、1つまたは複数のサーバ・コンピューティング・デバイスは、集まって同じ機械を構成することができ、または大規模な実施態様ではいくつかの機械に跨がって分散することができる。関連する部分では、各コンピュータサーバは1つまたは複数のプロセッサと、少なくとも1つの機能を実行するようにプロセッサを構成するコードを格納するコンピュータ可読メモリと、ネットワークに接続するための通信ポートとを有する。コードは、この仕様の目的上、本明細書に記載されるプロセスの種々の部分を実施する複数のモジュール(代表的なコード/命令ストレージ内に常駐する)の観点から説明され得る1つまたは複数のプログラム、ライブラリ、関数またはルーチンを含むことができる。本明細書に記載されるように、ロボットデバイス(ツール)のそれぞれはコントローラ(プロセッサ)を有し、したがって、上記のコンピューティング・デバイスの一形態を構成する。
【0046】
さらに、撮像または計測ソフトウェアなどのコンピュータプログラム(本明細書では概して、コンピュータ制御ロジックまたはコンピュータ可読プログラムコードとも呼ばれる)を、主メモリ及び/または二次メモリに格納し、1つまたは複数のプロセッサ(コントローラなど)によって実施して、1つまたは複数のプロセッサに本明細書に記載される本発明の機能を実行させることができる。本明細書では、「メモリ」、「機械可読媒体」、「コンピュータプログラム媒体」、及び「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、概してランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、リムーバブル・ストレージ・ユニット(例えば、磁気ディスクまたは光ディスク、フラッシュ・メモリ・デバイスなど)、ハードディスク他などの媒体を指すために使用される。モバイル・コンピューティング・デバイス(例えば、タブレット)の場合、撮像ソフトウェアなどのコンピュータプログラムを、モバイル・コンピューティング・デバイス上で実行されるアプリケーションソフトウェアの形態にすることができることを理解するべきである。
【0047】
システムは、システムの遠隔制御を可能にするために提供されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を含むことができる。知られているように、GUIは、コンピュータソフトウェアのための相互作用的な視覚的構成要素のシステムである。GUIには、情報を伝達し、ユーザが実行できる行動を表すオブジェクトが表示される。ユーザがオブジェクトと相互作用を行うと、オブジェクトの色、サイズまたは視認性が変化する。GUIオブジェクトは、アイコン、カーソル、及びボタンを含む。これらのグラフィック要素は、サウンド、または透明度及びドロップシャドウのような視覚効果で強化される場合がある。
【0048】
グラフィカル・ユーザ・インターフェースは通常、ディスプレイを含み、その例には、ユーザ入力が記録され、次いで、主コントローラー(主プロセッサ)によって手順が実行されることを可能にするタッチ・スクリーン・ディスプレイがある。
【0049】
例示的な一実施形態では、主コントローラを使用して、電極5の動作を制御することができる。言い換えると、選択された電極5を、主コントローラを使用して所与の時間に動作(活性化)させることができる。それらの活性化された電極5にはアブレーションエネルギが供給されるが、活性化されていない電極5にはアブレーションエネルギが供給されない。述べたように、電極5は、それ自体が端末(コンソール)など(例えば、コンセントまたはそのプラグ)に接続されている電気コネクタから配線されることができ、それによって、電極5に電力を供給することができる。
【0050】
体内でのバルーンカテーテルの位置などの特定のパラメータに応じて、特定の電極5を活性化させてオンにすることができる一方で、特定の電極5をオフにして活性化させないことも可能である。例えば、バルーンカテーテル及び管状構造体が特定の組織と接触しており、組織とのそのような接触がバルーン内部の内視鏡によって視覚化されている場合、ユーザは、組織と接触している電極5のみがアブレーションエネルギを受け取ることを望む可能性があり、したがって、オペレータは内視鏡の誘導などに基づいて、活性化させるブランチ4及び電極5はどれであるかを戦略的に選択することができる。
【0051】
マスターコントローラは、画像及びデータを表示することができるディスプレイと通信することができる。
【0052】
タッチスクリーンなどを使用して、活性化(電圧印加)されるブランチ4及び電極5を選択することができる。例えば、細長い構造体1のグラフィック画像、より具体的には、ブランチ4及び電極5のグラフィック画像をオペレータに表示することができ、次いで、オペレータは、活性化させるべきブランチ4/電極5を選択することができる。タッチスクリーンが使用される場合、オペレータは、活性化させるべきブランチ4/電極5を指で単に強調表示して選択することができる。また、AIベースのソフトウェアを使用して、電極が組織と接触しているという判定に基づいてどの電極を活性化させるべきかを決定し、次いで、ユーザに推奨できることも理解されるであろう。
【0053】
PFAカテーテル装着バスケット
図4は、遠位端を有する主カテーテルシャフト110を含むバルーンカテーテル100を示す。バルーンカテーテル100は、通常、1つより多いシャフトを含み、多くの場合、内側カテーテルシャフト及び外側カテーテルシャフトを含むか、またはそうでなければ、複数の同心の管状構造体を含み得ることも理解されるであろう。膨張可能なバルーン120が主カテーテルシャフト110に含まれると共に結合され、膨張可能なバルーン120の遠位端は主カテーテルシャフト110の遠位端に近接し、膨張可能なバルーン120の近位端は遠位端から離間している。したがって、膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110を取り囲む。
【0054】
図4はまた、内視鏡125と共に内側シャフト115を示す。内視鏡125は、内側シャフト115の外部に沿って延在し、通常はバルーンの一方の端に配置されて、バルーンの他方の端を前方に見ているという点で、前方を向いている。
【0055】
膨張可能なバルーン120は、好ましくは、コンプライアントバルーンである。
【0056】
膨張可能なバルーン120はまた、コンプライアントバルーン内に配置された内視鏡125を含む。内視鏡は、カテーテルのオペレータがバルーン表面を視覚化し、それによって、レーザエネルギで治療することが所望される心房組織と接触するバルーン表面の部分にレーザエネルギを向けることを可能にする。そのようなシステムは、Melsky et al.(米国特許第9,421,066号(‘066特許))及びMelsky et al.(米国特許第9,033,961号(‘961特許))に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。内視鏡は、エネルギが組織に供給される位置から近位の位置にあって、ユーザがエネルギの供給とその結果として生じる組織の損傷(複数可)を観察することを可能にする。内視鏡は、本明細書に記載されている内視鏡のうちの1つでもよく、また、参照により本明細書に組み込まれている明細書のいずれか1つに記載されている内視鏡でもよい。
【0057】
図4には、エネルギエミッタ127が示されている。しかしながら、電極アレイが、膨張可能なバルーン120を取り囲む位置に留まるように意図されている実施形態では、エネルギエミッタ127は排除され得るか、または存在するが決して使用されないことが理解されるであろう。電極アレイをバルーンから移動させることができる場合には、エネルギエミッタ127を使用することができる。
【0058】
内視鏡125は、前向きであり、通常は透明なポリマー材料で形成された中央管などのカテーテルシャフトの1つに隣接して配置される。本明細書で使用される場合、前向きという用語は、カテーテル本体に対して遠位方向の内視鏡視界を指す。同様に、側面向きという用語は、カテーテル本体の側面からの半径方向外向きである方向での内視鏡視界を指す。
【0059】
内視鏡125を、カテーテルの内腔を通して挿入されると共に膨張可能なバルーン120の近位領域内に配置された光ファイバ内視鏡とすることができる。
【0060】
別の実施形態では、アブレーションカテーテル100は、治療対象領域の直接視覚化を提供する第1及び第2撮像デバイスを含み、第1撮像デバイスはカテーテル本体に対して固定されている。第1及び第2撮像デバイスを、第1及び第2撮像チップ内視鏡の形態とすることができる。第1及び第2撮像チップ内視鏡の詳細は、米国特許出願第17/524,472号に記載されており、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0061】
バルーンカテーテル100は伸張可能なバスケット130を含み、この伸張可能なバスケット130は、膨張可能なバルーン120を取り囲み、膨張可能なバルーン120の伸張(膨張)と同時に伸張するように構成され、同様に、膨張可能なバルーン120の収縮及び縮小と同時に縮小するように構成される。伸張可能バスケット130は、伸張可能バスケット130の第1(近位)端に第1カラー(第1リング)132と、伸張可能バスケット130の第2(遠位)端に第2カラー(第2リング)134とを有する。第1及び第2カラー132、134は環状形状を有し、したがって連続したリング形状を有することができる。2つのカラー132、134のサイズは互いに異なっていてもよく、図示の実施形態では第1カラー132が第2カラー134よりも大きい。2つのカラー132、134は、膨張可能なバルーン120が2つのカラー132、134の間に配置された状態で、伸張可能なバスケット130を主カテーテルシャフト110(または1つもしくは複数の他のカテーテルシャフト)にしっかりと結合させるようなサイズであると共にそう構成されている。したがって、第1カラー132は、膨張可能なバルーン120の近位に配置されることが好ましく、一方、第2カラー134は、膨張可能なバルーン120の遠位に配置される。
【0062】
伸張可能なバスケット130は、一方の端で第1カラー132に取り付けられると共に他方の端で第2カラー134に取り付けられる複数のスプライン140を含む。複数のスプライン140は、膨張可能なバルーン120の長さに沿って長手方向に延びる。複数のスプライン140は、周方向に互いからオフセットされており、隣接するスプライン140の間には開放空間が形成されている。スプライン140は、下にある膨張可能なバルーン120の作用下で伸張及び縮小するように構築される。特に、膨張可能なバルーン120が膨張下で伸張するとき、スプライン140は外向きに伸張し、逆に、膨張可能なバルーン120が収縮下で縮小するとき、スプライン140は内向きに縮小する。したがって、スプライン140は、膨張可能なバルーン120の形状と合致する。
【0063】
各スプライン140は、1つまたは複数の電極150を担持する。例えば、各スプライン140は、電極アレイとして説明され得る複数の電極150を含むことができる。図示の実施形態では、スプライン140の長さに沿って配置された3つの電極150がある。電極150は、スプラインに沿って(直列に)長手方向に離間している。したがって、電極150は、予め定義された設定距離で互いから離間している。スプライン140に沿ったスプライン140の位置は、膨張可能なバルーン120に対して電極150を中央に配置するように選ばれる。なぜなら、膨張可能なバルーン120が膨張すると、電極150が、本明細書で説明されるように、PFA技術を使用してアブレーションされる標的組織に向かって配置されるからである。
【0064】
電極を画定する電極150を、同じ電極種類とすることができ、または異なる種類とすることもできる。例えば、図示のように、複数の電極150の形状及びサイズを同じにすることができる。伸張可能なバスケット130の材料は、スプラインが長手方向に弾性的に引き伸ばされないという点から、弾性を有していないが、下にある膨張可能なバルーン120と共に伸張及び縮小することができる。したがって、伸張可能バスケット130が伸張した位置と引き込まれた位置との間で移動するときに、電極150の間の長手方向の間隔は変化しない。代わりに、重要なのは固定距離であり、この情報は、本明細書で説明されるように、所望の損傷を形成するために視覚化及びアブレーションプロセス中に使用される。
【0065】
図1~
図3の実施形態と比較すると、
図4は、少なくとも一実施形態において伸張可能なバスケット130が固定されている製品を示す。
【0066】
本開示のさらに別の態様では、システムは、スプラインに沿った電極150の位置の印となる電極マーカーを含むことができる。特に、電極150はスプライン140の外表面に配置されており、スプラインは通常、非透過性材料で形成されており、したがって、電極150はライブ内視鏡画像では見えない。スプライン140は通常は不透明な材料で形成されているので、内視鏡125からはスプライン140の内表面しか見えないので、電極150を見ることはできない。視覚化(すなわち、内視鏡125の使用)中に電極150の位置を決定するために、スプライン140の内表面に沿ってマーカーを設けることができる。各マーカーを、電極150の位置の正反対側のスプライン140の内表面に配置して、電極150の位置の印とする。マーカーは、ライブ内視鏡画像において視覚的に識別可能であり、したがって、スプライン140の内表面に沿って形成される視覚インディシアの形態とすることができる。例えば、視覚インディシアを、数字及び/またはテキストのインディシアの形態とすることができる。さらに、視覚インディシアは、ある電極を別の電極から識別できるように選ばれる。例えば、各スプラインには、スプライン1などの数字を付けることができ、次いで、各電極150には、A、B、Cなどの文字を付けることができる。したがって、図示の実施形態では、スプライン1の最も遠位の電極をマーカー1Aによって識別することができ、中央の電極をマーカー1Bによって識別することができ、最も近位の電極をマーカー1Cによって識別することができる。同様に、隣接するスプライン2の場合、マーカーを2A、2B、及び2Cとすることができる。あるスプライン上のある電極を別のスプライン上の別の電極から視覚的に識別する多くの異なる方法が存在することが理解されるであろう。
【0067】
例えば、色を使用して、あるスプライン140を他のスプラインから識別することができる。例えば、文字A、B、Cまたは数字1、2、3を、あるスプラインではある色にし、別のスプラインでは別の色にすることができる。シンボルもまたマーカーとして使用することができる。
【0068】
全ての電極150が標的部位の組織と所望の接触をしているわけではないので、全ての電極がライブ内視鏡画像内に見えるわけではなく、したがって、電極を作動(活性化)させることができるように、どの電極がライブ内視鏡画像内に見えて組織と接触しているかを理解することは重要であることが理解されるであろう。
【0069】
伸張可能なバスケット130及び膨張可能なバルーン120の動きは、実施形態に依存して変わり得る。例えば、一実施形態では、伸張可能なバスケット130及び膨張可能なバルーン120は一緒に動くことができるが、別の実施形態では、バスケット130はバルーン120から独立して動くことができる。例えば、バスケット130を、回転方向に固定することができるが、軸方向(長手方向)には動かすことができ、または別の実施形態では、固定することができる。
【0070】
カテーテル本体及び膨張可能なバルーン120に対する伸張可能バスケット130の動きを、電子コントローラの使用によるような自動化プロセス、またはユーザの行為の下で行われる手動プロセスのいずれかにすることができる。制御により、回転方向及び/または長手方向での所望の動きが可能になる。
【0071】
エネルギの供給及び電極の選択:一実施形態では、エネルギは、同じスプライン140に沿って配置される2つ以上の電極150に供給される。この実施形態では、1つのスプライン140上での電極150の間の距離は固定されているので、バスケットの伸張に基づいて変化しない。これにより、活性化される電極150の間の距離が既知であるので、PFA投与を選択することが可能になる。別の実施形態では、エネルギは、同じスプライン140に沿って配置されているのではなく、隣接するスプライン140に沿って配置されている2つの電極150の間に供給される。この場合、スプライン140の間の距離は、バスケットの伸張の程度に依存して変化する。例えば、バスケットの伸張の程度が大きくなるほど、スプライン140の間の距離が大きくなり、したがって、電極150の間の距離も大きくなる。電極間隔が固定されたままである場合、投与の予測可能性の程度はより大きくなる。
【0072】
視覚化情報、並びに損傷形成を生じさせるために作動させる電極の位置及びそれらの間の間隔を考慮して、(PFA)投与が選択される。正しい(最適な)投与量は、適切な組織隔離を提供するが、組織の品質に悪影響を与えないものである。
【0073】
組織のアブレーションでは、全ての電極150を活性化するのではなく、特定の選択された電極150が活性化される。組織と直接接触している電極150のみが活性化されてエネルギを供給し、組織損傷を形成する。
【0074】
視覚化情報に応じて、アブレーションを実行するためにバスケット130を軸方向及び/または回転方向に動かす必要性が生じる場合がある。例えば、電極間隔が大きすぎる場合、エネルギを供給して第1損傷セグメントを形成し、次いで、バスケットをバルーンに対して(軸方向及び/または回転方向に)動かし、電極を再位置決めしてエネルギを供給し、第1損傷セグメントと組み合わさる第2損傷セグメントを形成して、より完全な損傷セグメントを形成する必要性が生じる場合がある。代替的に、内視鏡の視界から周方向の電極間隔を推測し、異なる電極間隔を補償するようにPFA投与を調整することもできる。
【0075】
形成された損傷セグメントの形状とサイズは、どの電極が作動したか、及びそれらの位置に依存する。例えば、同じスプライン140に沿って配置された2つの電極150を活性化させると、結果としてより長手方向に広がる損傷が形成され、一方、隣接するスプラインに沿って配置された2つの電極150を活性化させると、結果としてより周方向に広がる損傷が形成される。
【0076】
二重経中隔/二次カテーテル
図5及び
図6は、バルーンカテーテル100に類似するバルーンカテーテル200を示すが、例外として、バルーンカテーテル200は伸張可能なバスケット130を含んでいない。その結果、
図4で使用された参照番号は、2つの実施形態に共通する部分について
図5及び
図6でも使用される。膨張可能なバルーンは、通常は透明であり、したがって、
図6は、バルーンの透明な性質を示す。
【0077】
バルーンカテーテル200は主カテーテルシャフト110を含み、この主カテーテルシャフト110は、通常、1つより多いシャフトを含み、多くの場合、内側カテーテルシャフト及び外側カテーテルシャフトを含むか、またはそうでなければ、図示のように複数の同心の管状構造体を含むことができる。膨張可能なコンプライアントバルーン120は主カテーテルシャフト110に含まれると共に結合され、膨張可能なバルーン120の遠位端は主カテーテルシャフト110の遠位端に近接し、膨張可能なバルーン120の近位端は遠位端から離間している。したがって、膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110を取り囲む。
【0078】
この実施形態には、第2カテーテル、すなわちバルーンカテーテル200と共に使用するための電極カテーテル210が存在する。電極カテーテル210は細長い構造体を備え、この細長い構造体は開放遠位端を有すると共に近位領域220及び遠位電極領域230を有する。近位領域220は、形状が完全に周状ではない細長い弓形の形状の本体を備えることができる。逆に、遠位電極領域230を完全な周状の構造体とすることができる。遠位電極領域230は、遠位電極領域230の近位端に近位カラー232と、遠位電極領域230の遠位端に遠位カラー234とを含む。2つのカラー232、234の間で、遠位電極領域230の本体は、本体の周りで周方向に離間する複数の長手方向スリット240を含む。これらのスリット240は、複数の長手方向スプライン245を画定する。スリット240は、2つのカラー232、234の範囲内まで延びていない。スプライン245は、スプライン140と酷似して、スプライン245の外表面(外面)に沿って配置される1つまたは複数の、好ましくは複数の電極(例えば、電極150)を担持する。各スプライン245は、以前の実施形態と酷似して、直列に配置されると共にスプライン245の長手方向に互いから離間して配置されたより多くの電極のうちの3つなど、複数の電極を担持することができる。
【0079】
遠位電極領域230の両端は開いており、したがって、本明細書に記載されるように、縮小した(収縮した)休止状態のバルーンカテーテルを受け入れるように構成された開放端管状構造体を表す。
【0080】
以前の実施形態と同様に、スプライン245は弾性を有しておらず、したがって引き伸ばされないが、膨張可能なバルーン120の伸張に応えて伸張することができる。したがって、同じスプライン245に沿った電極の間の距離は、スプライン245が伸張されるか、または引き込まれるかに基づいて変化しない。しかしながら、以前の実施形態と同様に、2つの異なるスプライン245上の2つの電極の間の距離は、伸張の程度に基づいて変化する。
【0081】
バルーンカテーテルが、電極カテーテル210の中空内部(内腔)に挿入され、そこを貫通することで、スプライン245は膨張可能なバルーン130を取り囲む。バルーンが膨張すると、スプライン245は半径方向外向きに伸張し、互いから分離する。
【0082】
他の実施形態と同様に、スプライン245を主(外側)カテーテルシャフトの内部に引き込むことによって、スプライン245を萎ませることができる。
【0083】
この実施形態では、どの電極が組織と接触しているかを決定するためにも視覚化が使用され、また、視覚化は、完全に連続した損傷を形成するために、バルーンカテーテル及び/または電極カテーテルを用いて任意の調整を行うという観点からユーザを誘導することができる。
【0084】
引込可能な尖叉電極アレイ
図7及び
図8A~
図8Cは、バルーンカテーテル100に類似するバルーンカテーテル300を示すが、例外として、バルーンカテーテル300は伸張可能なバスケット130を含んでいない。その結果、
図4で使用された参照番号は、2つの実施形態に共通する部分について
図7及び
図8A~
図8Cでも使用される。
【0085】
バルーンカテーテル300は主カテーテルシャフト110を含み、この主カテーテルシャフト110は、通常、1つより多いシャフトを含み、多くの場合、内側カテーテルシャフト及び外側カテーテルシャフトを含むか、またはそうでなければ、図示のように複数の同心の管状構造体を含むことができる。膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110及び/または追加のシャフトに含まれると共に結合され、膨張可能なバルーン120の遠位端は主カテーテルシャフト110の遠位端に近接し、膨張可能なバルーン120の近位端は遠位端から離間している。したがって、膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110を取り囲む。
【0086】
バルーンカテーテル300は、主カテーテルシャフト110またはカテーテルの別のシャフト内に引き込まれるように構成された引込可能な電極シース310をさらに含む。したがって、本明細書に記載されるように、引込可能な電極シース310は、主カテーテルシャフト110に沿って長手方向に移動するように設計されており、より詳しくは、引込可能な電極シース310は、主カテーテルシャフト110内を移動して、引込可能な電極シース310が完全に引き込まれた位置と完全に広がった位置との間で移動できるようにする。完全に引き込まれた位置では、引込可能な電極シース310の少なくともかなりの長さが主カテーテルシャフト110内に収容され、完全に広がった位置では、引込可能な電極シース310のかなりの長さが主カテーテルシャフト110の外部に配置され、本明細書に記載されるように、膨張可能なバルーン120を取り囲む。図示のように、完全に広がった位置では、尖叉320は、バルーン130の長さの少なくとも75%に広がることができ、バルーンの長さの90%を超えて広がることができる。別の実施形態では、尖叉320は、バルーン130の長さの少なくとも50%に広がる(例えば、それらは、少なくとも膨張したバルーン130の最も広い部分まで広がる)。
【0087】
引込可能な電極シース310は、連続的な円筒構造体とすることができる近位カラー312と、近位端において近位カラー312と一体的になった複数の伸張可能な尖叉320とを含む。尖叉320は、各尖叉320の遠位端が自由端であると共に別の構造体に取り付けられていないという点で、片持ち構造体である。尖叉320は、完全に広がった位置にあるとき、離間していると共にバルーン130の周りに周方向に広がっている。
【0088】
他の実施形態と同様に、尖叉320は弾性を有しておらず、決して引き伸ばされない。しかしながら、尖叉320は、膨張可能なバルーン130が膨張するにつれて(半径方向)外向きに伸張することができ、同様に、膨張可能なバルーン130が収縮すると、尖叉320は縮小することができる。したがって、尖叉320は、コンプライアントバルーン130に合致することができる。
【0089】
尖叉320の引込及び完全な萎みを生じさせるために、引込可能な電極シース310は近位方向に引き戻され、引込可能な電極シース310が主カテーテルシャフト110内に入り込むと、取り囲んでいる様態にある主カテーテルシャフト110の存在により、複数の尖叉320に内向きの力が加えられ、この内向きの力は、それらを萎ませ、それらが主カテーテルシャフト110内を移動し、バルーン130から離れて引き込まれることを可能にする。
【0090】
これらの図に示されるように、各尖叉320は1つまたは複数の電極150を、好ましくは、尖叉320に沿って離間する複数の電極150を含む。電極150は、尖叉320の長さに沿って直列に配置される。尖叉320に沿った電極150を、同じ種類(例えば、同じ形状及びサイズなど)にすることができ、または別の実施形態では異なる種類の電極を使用することができる。
【0091】
他の実施形態と同様に、視覚化(例えば、内視鏡)を使用して、どの電極150が組織と接触しているかを判定し、次いで、それらの選択された電極を活性化(作動)させて損傷を形成することができる。ユーザインターフェースにより、組織と接触している電極150の識別と電力供給が可能になる。前述したように、活性化された電極150の間の距離に基づいて適切な投与量を計算し、必要なエネルギを電極150に供給できるように、オペレーティングソフトウェアをプログラムすることができる。
【0092】
全ての実施形態と同様に、電極の活性化を、損傷(セグメント)を形成するために必要な電極のみに限定することが望ましい。
【0093】
図8Aは、収縮状態にある膨張可能なバルーン130を示しており、尖叉320は完全に引き込まれ、実質的に主カテーテルシャフト110内に配置されている(例えば、尖叉320の先端のみが主カテーテルシャフト110の外部に突出している)。
【0094】
図8Bは、まだ収縮状態にある膨張可能なバルーン130を示しているが、尖叉320は展開されている。言及したように、バルーン130に対する尖叉320の被覆度を変化させることができる。
【0095】
図8Cは、膨張したバルーン130を示しており、この結果、展開された尖叉320は伸張する。この図では、尖叉320は、バルーン130の長さの約50%に広がって示されている。しかしながら、これは本質的に単なる例示に過ぎず、多かれ少なかれバルーンの長さに沿って広がり得ることを理解されるであろう。
【0096】
したがって、
図7及び
図8A~
図8Cの実施形態は半剛体の引込可能な尖叉320を含み、この尖叉320は、各尖叉320の外表面に沿って1つまたは複数の電極150を有すると共にカテーテル(主カテーテルシャフト110)内に収容され、バルーン130を膨張させる前に展開される(そのために、コントローラなど(手動または電動)を使用して、引込可能な電極シース310を遠位方向にスライドさせる)。バルーン130が膨張すると、電極150が管の内表面に押し付けられて、組織接触が達成される。他の実施形態と同様に、この実施形態では、バルーン130内で内視鏡を使用して、直接視覚化の下での組織接触及び電極間隔の確認を可能にする。ひとたび組織接触及び所望の電極間隔が確認されると、エネルギが所望の(選択された)電極150に印加されて損傷を生じさせる。この実施形態は、わずか4つの展開可能な尖叉320を組み込むことができるが、より多数の尖叉320は、効果的な治療にとって理想的な数の電極150及び電極間隔をユーザに提供する可能性が高い。
【0097】
この実施形態では、他の実施形態と同様に、尖叉320の内表面に沿ってマーカーを設けて、視覚化の下で尖叉320に沿った電極150の位置を識別することができる。これにより、ユーザが、どの電極150が組織と接触しているかを判定し、次いで、それらの選択された電極150にエネルギを供給するようにエネルギ供給モジュールに指示することが可能になる。さらに、一実施形態では、システムは、内視鏡からのライブ画像フィードを分析すると共に、存在する電極マーカーを識別する画像認識ソフトウェアを含むことができる。例えば、A1及びA2などのマーカーが存在する場合、画像認識モジュールはこれらの電極を識別し、マーカーA1及びA2に対応する電極を活性化してエネルギをユーザに供給するべきであることを確認するオプションをユーザに提供する。
【0098】
この画像認識機能を、本明細書に記載される他の実施形態のいずれでも実装することができ、ここでは、電極マーカーが存在して、提案された電極活性化計画がユーザに提供される。
【0099】
PFA編組ワイヤメッシュ電極アレイを有するバルーン
図9は、本明細書に記載される他のバルーンカテーテルに類似するバルーンカテーテル400を示している。その結果、
図4で使用された参照番号は、2つの実施形態に共通する部分について
図9でも使用される。
【0100】
バルーンカテーテル400は主カテーテルシャフト110を含み、この主カテーテルシャフト110は、通常、1つより多いシャフトを含み、多くの場合、内側カテーテルシャフト及び外側カテーテルシャフトを含むか、またはそうでなければ、複数の同心の管状構造体を含むことができる。膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110に含まれると共に結合され、膨張可能なバルーン120の遠位端は主カテーテルシャフト110の遠位端に近接し、膨張可能なバルーン120の近位端は遠位端から離間している。したがって、膨張可能なバルーン120は主カテーテルシャフト110を取り囲む。
【0101】
バルーンカテーテル400はワイヤ編組410を含み、このワイヤ編組410は、膨張可能なバルーン120上に配置され、膨張可能なバルーン120が膨張するにつれて半径方向に伸張するように構成されている。ワイヤ編組410は、図示のようなワイヤメッシュ編組を含むことができる。このワイヤメッシュを、電極150で形成された電極アレイの支持構造体として使用することができ、絶縁材料で形成することができる。電極150は、ワイヤ編組410の外表面に沿って配置され、電極150の被覆は、均一であっても不均一であってもよい。不均一な実施形態では、電極150は、ワイヤ編組410の1つまたは複数の領域に、より集中することができる。例えば、電極150を、組織接触が生じる可能性がより高いワイヤ編組410の中央領域に主として配置することができる。
【0102】
さらに、電極の間の間隔を、電極アレイ全体に沿って同じにすることができるが、またはその間隔をワイヤ編組410の1つまたは複数の領域で異なるようにすることができる。例えば、ワイヤ編組410の中央領域では、間隔を互いにより近くすることができる。
【0103】
他の実施形態と同様に、電極150は、編組ワイヤに関連付けられる及び/またはそれに組み込まれる従来の電気トレースまたは配線(導電経路)を使用してエネルギ源に接続される。
【0104】
代替的に、絶縁コーティングを導電性(金属)編組ワイヤ上に組み込んでエネルギ供給のために所望の位置で剥がすことによって(コーティングが除去される範囲に離散的な電極を画定することによって)、ワイヤ編組410(支持構造体)それ自体が電極アレイとして機能すると共にそれを画定することができる。ワイヤ編組410はエネルギ源に動作可能に接続され、ワイヤ編組410の全体に電流(エネルギ)が供給され、絶縁コーティングが除去された範囲が、電極アレイを画定する電極を画定する。
【0105】
ワイヤメッシュ編組を別個の離散的な絶縁ワイヤで形成して離散的な経路を画定し、この経路に沿って電極を存在させることができる。離散的な電極経路を画定することにより、ワイヤメッシュ編組の離散的な領域を、他の領域を活性化することなく活性化して、それらの電極、または組織と接触している電極領域の活性化を可能にすることができる。
【0106】
図示されるように、ワイヤ編組410は、ワイヤ編組410の一方の端が膨張可能なバルーン130の近位に延在し、ワイヤ編組410の他方の端が膨張可能なバルーン130の遠位に延在するという点で、膨張可能なバルーン130を越えて広がることができる。
【0107】
他の実施形態と同様に、この実施形態も再び、電極の配置及び組織接触を確認するためにバルーン130の内部で内視鏡を使用する。アレイ内の電極150の数は、臨床的に最も効果的なエネルギ供給を達成するために編組ワイヤの数と共に変化してもよく、ユーザは、治療ゾーンをカスタマイズするために電極の数を選択または選択解除できる場合がある。
【0108】
埋込式電極アレイを有するバルーン
図10は、膨張可能なバルーン510と共に主カテーテルシャフト110を含むバルーンカテーテル500を示しており、この膨張可能なバルーン510は他の実施形態と同様に、主カテーテルシャフト110に結合されると共にそれに沿って延在している。膨張可能なバルーン510の遠位端は主カテーテルシャフト110の遠位端に結合され、膨張可能なバルーン510の近位端は主カテーテルシャフト110の遠位端から離間した位置で主カテーテルシャフト110に結合される。
【0109】
膨張可能なバルーン510は、電極150が一体的になったコンプライアントバルーンである。バルーン510自体が、バルーン材料に埋め込まれた可撓性ワイヤトレース151及び電極150を含む。
【0110】
この実施形態では、電極150を、バルーン510の成形プロセスの一部として、バルーン510内に配置すると共にそれと一体的なものとすることができる。電極150は、所望のパターンでバルーン510全体に離間している。例えば、電極150は、バルーン510の周囲に周方向に配置される。代替的に、電極150を、製造プロセス中にバルーン材料に位置決めして取り付ける代わりに、製造プロセス後にバルーン510に取り付けることができる。特に、電極150をバルーン510の外表面に取り付け、このとき、トレース151もまたバルーン510の外表面に取り付けることができる。接着剤、結合剤などを使用するなど、任意の数の従来の技術を使用して、これらの要素をバルーン510の外部に取り付けることができる。
【0111】
電極150は、組織と接触して配置されるために、各電極150の外表面がバルーン150の表面に沿って露出するように形成される。各可撓性トレース151はジグザグパターンで形成されるが、これは、膨張/収縮中、及び組織に対する配置中に可撓性トレース151がコンプライアントバルーンと共に移動することを可能にするための目的がある。言い換えると、このジグザグパターンは、バルーンの伸張中及び縮小中に可撓性トレース151を収容し、トレース(複数可)へのダメージを防止する。各可撓性トレース151は、電極150のうちの選択されたものにエネルギを供給できるように、動作可能にエネルギ源に結合される。
【0112】
他の実施形態と同様に、この実施形態も再び、電極の配置及び組織接触を確認するためにバルーン510の内部で内視鏡を使用する。ひとたびユーザが、どの電極150が組織と接触しているかを判定したならば、ユーザはこれらの電極を活性化用に選択することができる。
【0113】
さらに、他の実施形態と同様に、内視鏡からバルーン510の内部に見える電極マーカーを設けて、内視鏡の視野内でどの電極がはっきりと見えるかを、ユーザまたは画像認識ソフトウェアが判定することを可能にする。この情報に基づいて、損傷を形成するために、エネルギを選択された電極150に供給する。どの電極にエネルギを供給するかを選択する機能をユーザが簡単に利用できるように、ユーザインターフェースを構成することができる。例えば、そのために、タッチスクリーンでユーザに電極マップを提示する、及び/または画像認識ソフトウェアに、提案された電極活性化マップをスクリーンに事前提供させ、この電極活性化マップは、どの電極が内視鏡内に見えていて、組織と接触しているかを示す。
【0114】
微小孔及び内側電極アレイを有するバルーン
図11及び
図12は、膨張可能なコンプライアントバルーン610と共に主カテーテルシャフト110を含むバルーンカテーテル600を示し、このコンプライアントバルーン610は主カテーテルシャフト110に結合されると共にそれに沿って延在する。外側カテーテル本体またはスリーブ115も存在しており、言及したように、カテーテル600は、例えば、外側カテーテルシャフト及び内側カテーテルシャフトなどの他のシャフトを含むことができる。膨張可能なバルーン610の遠位端は、主カテーテルシャフト110の遠位端に結合され、バルーン610の近位端は、遠位端から離間した位置で主カテーテルシャフト110に結合される。
【0115】
他の実施形態と同様に、内視鏡は、バルーン610の内部に設けられ、主カテーテルシャフト110に結合され得る。内視鏡は前方を向いており、透明なバルーン610、及び周囲の組織とのその接触を観察することができる。
【0116】
この実施形態によれば、バルーン610の少なくとも一部分は、その中に形成された微小孔611を有する。微小孔611は、エネルギが組織に供給される、バルーン610の1つまたは複数の領域に形成されることが好ましい。図示の実施形態では、バルーン610の近位端及び遠位端には微小孔611がないが、使用中に組織と接触するのは中央領域であるので、この中央領域には微小孔611が含まれる。
【0117】
簡単にするために、
図12の微小孔611は、
図11の微小孔よりも大きな寸法を有するように示されている。しかしながら、
図11及び
図12における微小孔を、同じサイズ及び同じ数にすることができることを理解されるであろう。しかしながら、
図12は、微小孔611を異なるサイズ、さらには異なる形状を有するように形成できることを伝えている。
【0118】
微小孔611は、均一な構成(すなわち、同じサイズ及び形状)を有することができ、または2つ以上の種類の微小孔611が存在することができる。微小孔611を、図示のように均一なパターンで形成することができ、または不均一なパターンで形成することもできる。例えば、図示されるように、微小孔611を、バルーン610全体の周囲に周方向に広がる格子状に形成することができる。
【0119】
バルーンカテーテル600はまた、バルーン内に配置され、少なくとも1つの実施形態では、バルーン610内で移動することができる(すなわち、バルーン610内で回転移動する、及び/またはバルーン610内で長手方向に移動する)ことができる電極キャリア620を含む。電極キャリア620は、ハウジング(フード)624内に収容される1つまたは複数の電極622を含む。図示の実施形態では、ハウジング624内に一対の電極622がある(ただし、フード内で単一の電極を使用することが可能であり、このとき、フードは多孔質バルーンの内部で回転している)。ハウジング624は、電極622のエネルギを収容し、方向付けるように機能する。電極622はバルーン自体に近接して配置され、ハウジング自体はバルーンの内表面と直接接触して配置される。フード624は、組織に供給されるアブレーションエネルギの割合を最適化することができる。しかしながら、フード624は排除され得るものであり、必ずしも必要ではない。
【0120】
したがって、電極アレイ622はハウジング624内に収容され、このハウジング624はまた、微小孔611を介して組織に直接エネルギが流れることを可能にする食塩水(例えば、生理食塩水または高張食塩水)などの導電性液体媒体をカプセル化するのに役立つ。言い換えると、導電性液体媒体を、ハウジング624の内部に開口する1つまたは複数の導管626の使用などによって、ハウジング624に供給することができる。電極622が活性化されると、電極によって(例えば、電極の間で)エネルギが生成され、電極622は導電性液体媒体に浸されているので、エネルギは導電性液体媒体を加熱するのに役立つ。微小孔611の存在により、加熱された導電性液体媒体が微小孔611を通って組織に滲み出すことが可能になり、その結果として、バルーン材料全体に伝えられる電極622からのエネルギと組み合わさって、標的損傷が形成される。特に、損傷セグメントが形成される。完全な損傷を形成するために、電極キャリア620を、バルーンの内表面に沿って回転及び/または移動させることができる。電極キャリア620は、ユーザが制御する機械的調整を用いて、または電極接触圧力を調整するためにユーザが膨張または収縮させることができる二次バルーンを用いて、バルーン610の内表面と接触して保持される。
【0121】
電極アレイと導電性液体媒体との組み合わせは、損傷セグメントを形成するために使用される導電性経路を画定する。バルーン610の膨張または収縮を制御するための膨張媒体は、ハウジング624の内部に供給される導電性液体媒体と同じものであっても、または異なるものであってもよいことが理解されるであろう。
【0122】
さらに別の実施形態では、バルーン610は微小孔611を含まず、代わりに導電性バルーン材料(例えば、カーボンナノチューブがドープされたバルーン材料)で形成される。この代替実施形態では、ハウジング(フード)を排除することも、または維持することもできる。したがって、非導電性流体をバルーンの内部で使用することができる。電極アレイ(または単一電極)は依然としてバルーン610の内部に配置されると共にそこを移動可能であり、例えば、そのために、バルーン内で自由に回転すること及び/または長手方向に移動することができる。したがって、電極アレイに供給されたエネルギは、電極アレイに近接した導電性バルーンの局所領域に伝達されて損傷を形成する。言い換えると、電極アレイはバルーンの局所的な範囲に面しており、電極アレイに供給されるエネルギはバルーンのこの局所的な範囲に伝えられて損傷を形成する。
【0123】
ここで
図13を参照すると、さらに別の実施形態において、多孔質バルーンカテーテル700が示されている。多孔質バルーンカテーテル700はバルーンカテーテル600に類似しており、したがって、同様の要素には同様の番号が付けられている。したがって、バルーンは微小孔611を含む。バルーンカテーテル700は、電極キャリア620の代わりに、
図1の細長い構造体1に類似し得る細長い構造体710を含むが、いくつかの顕著な違いがあり、細長い構造体710は、
図1のようにバルーンの外部に配置されるのではなく、バルーンの内部に配置される。細長い構造体710は、カテーテルシャフトを取り囲む第1管状部分712及び第2管状部分714を備える。細長い構造体710は、2つ以上、好ましくは6つ以上のブランチ720に多分岐しており、各ブランチ720は、その外向きの表面に1つまたは複数の電極715を含む。細長い構造体710を、バルーンが膨張する際に伸張してバルーン内表面と接触したままでいることを可能にする幾何学的形状に予め成形された弾性材料で作ることができる。細長い構造体710は、真空下でバルーンから液体を除去することによってバルーンが収縮すると、バルーンによって萎まされることになる。言い換えると、バルーンが膨張するにつれて、細長い構造体は自動的かつ自然に伸張し、同様にバルーンの縮小によって縮小するように構築される。これは、細長い構造体710の記憶特性のために自然に起こり得る。したがって、細長い構造体710の外表面上にある電極715は、多孔質バルーンの内表面と接触している。他の実施形態と同様に、バルーンは、微小孔を通過する導電性流体を含む。したがって、電極715からのエネルギはバルーン自体の全体に伝えられ、及び/またはバルーン内の導電性流体は微小孔を通過して標的組織に到達する。
【0124】
全ての実施形態において、電極は、電気リード線、配線、導電経路などを含む従来の技術を使用して、制御可能なエネルギ源に接続されることが理解されるであろう。エネルギ源を、マスターコントローラなどの旧来の制御装置を使用して制御することができる。このマスターコントローラは、ユーザが入力を登録し、投与情報(投与出力(ワット数)など)などの種々の動作パラメータを制御及び選択できるコンソールの一部になり得る。
【0125】
電極アレイを組み込んだこれらの実施形態は、電気穿孔アブレーションエネルギ(PFA)の供給に特に適している。
【0126】
本開示の特定の実施形態に関する追加的な詳細は、以下の通りである。
【0127】
所望の結果を達成するために、とりわけ組織の導電特性を変化させることを目的とした、組織を改変するためのデバイス。
【0128】
既存のカテーテルシステム上に配置された外部シース。
【0129】
3つの特徴ある部分から構成される。すなわち、最遠位端における硬質材料の位置カラー、一次バルーンの近くに配置されたより柔らかく、より柔軟な材料のバルーン伸張可能セクション(または代替的構成)、及び近位端の近くまで続いているカテーテルの本体のオーバーコート。
【0130】
電極を、遠位の電気的活動を計測するために硬質カラーセクションに配置してもよく、またはエネルギの供給に使用してもよい。
【0131】
電極は主としてバルーンの伸張可能なセクションに配置され、様々な構成(別のセクション)で標的組織の特性の改変を達成するためのエネルギの供給を目的とする。
【0132】
本体のオーバーコートは、遠位計測及びエネルギ供給のための導体を組み込み、他のエネルギ供給源の交替のために制御装置の近くで終端処理されている。
【0133】
カラー上の電極を、カラー上の計測範囲の周りに等間隔に離間した2、4または6のスタイルの正方形電極を含む様々な構成にしてもよい。
【0134】
バルーン伸張可能範囲の電極は、デバイスの一次エネルギ供給(治療用)を意図している。最も可能性が高い実施形態は、一次治療範囲の近位に等間隔で配置されると共に、(必ずしもそうとは限らないが、おそらく)一次エネルギが供給された、または供給される場所と同様の位置にある円弧状の16個の電極配置であり、電極アレイを治療範囲まで遠位方向に延長できるようにバルーンをわずかに収縮させている。この範囲が位置合わせされることで、「PFA」治療に指定された膨張圧力で電極は等間隔に配置されることになると共に分離されており、その結果、個別にまたは様々なグループで電極にアクセスすることが可能になる。
【0135】
一次カテーテルの屈曲または回転にいかなる影響も与えないように、または少なくとも必要最低限量の影響のみを与えるように、カテーテルのオーバーコートは、全てのセンシング電極及びエネルギ供給電極(それらの一部または全てが二重の目的を果たす)のための導電手段を有することになる。これは、様々な螺旋ピッチを使用する機能を有する螺旋ルーティングであってもよい。
【0136】
デバイスのバルーン伸張可能セクションは、表面上に電極を有する非常に高い弾性の材料で構成される完全なシースである場合もあれば、または構造体の変位によって電極が所望の範囲に配置されるようにデバイスのあるセクションが除去されてより剛性が高くなっている場合もある。
【0137】
図面における同様の番号は、いくつかの図面を通した同様の要素を表すものであり、図面を参照して説明及び例示される全てのコンポーネント及び/または工程が全ての実施形態または構成に対して必要とされるわけではないことを理解すべきである。
【0138】
本明細書において用いる用語は、特定の実施形態を記述するだけの目的であって、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明らかに示さない限り、複数形も含むことを意図する。用語「含む(comprises)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、工程、動作、要素、及び/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0139】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」及びこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0140】
上記の主題は、例示としてのみ提供されており、限定的なものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載されている主題に対する様々な改変及び変更は、例示及び記載されている実施形態及び適用の例に従うことなく、また以下の特許請求の範囲に記載される本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、行うことができる。
【国際調査報告】