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特表2024-513405交流磁場および抗生物質による金属上のバイオフィルムの相乗的な根絶
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】交流磁場および抗生物質による金属上のバイオフィルムの相乗的な根絶
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240315BHJP
   A61F 7/12 20060101ALI20240315BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20240315BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20240315BHJP
   A61B 18/04 20060101ALI20240315BHJP
   A61L 2/04 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61N1/40
A61F7/12 Z
A61F2/04
A61B18/18
A61B18/04
A61L2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560595
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022022892
(87)【国際公開番号】W WO2022212745
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/169,636
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/325,298
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510134433
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ テキサス システム
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street,Austin,Texas 78701 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グリーンベルグ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チョプラ,ラジブ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C058
4C097
4C099
4C160
【Fターム(参考)】
4C053LL03
4C058AA28
4C058AA30
4C058BB02
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD04
4C058DD05
4C097AA03
4C099AA03
4C160JK03
4C160LL28
(57)【要約】
人工関節感染症(PJI)などの金属関連感染症は、世界中で重大な病的状態を引き起こしている。感染したインプラントは、しばしば外科的除去および数週間の抗生物質を必要とする。これは多分にバイオフィルムの形成に起因する。本明細書に記載される実施形態は、金属からバイオフィルムを根絶する(すなわち、有意に低減する)ための非侵襲的アプローチとして交流磁場(AMF)を利用する。実施形態は、金属からバイオフィルムを相乗的に除去するために、従来の抗生物質と協調して与えられるAMFの短い断続的バーストを適用する。この効果は、一般的なPJI関連病原体を通じて、臨床的に使用される諸抗生物質について見られる。断続的にAMFを利用することは、患者において安全かつ有効でありうる非侵襲的な処置を提供するために重要な意味を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数のAMFパルスを金属インプラントに印加するように構成された少なくとも1つの交流磁場(AMF)送信機と;
少なくとも1つの関数発生器と;
少なくとも1つのプロセッサと;
前記少なくとも1つのプロセッサによって使用される場合に、前記少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つの関数発生器、および前記少なくとも1つの送信機に、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達することを含む動作を実行させるデータを記憶した少なくとも1つの機械可読媒体とを有しており、
前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する、
システム。
【請求項2】
前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のパルスのそれぞれは、1ms~30msの間のパルス幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作は、少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝えることを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械可読媒体は、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、
前記第1の金属インプラントは、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントは、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し、
前記第1のプロトコルは、治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルは、前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記物理的特性は、密度(kg/m^3)、電気伝導度(S/m)、比誘電率、または熱伝導度(W/(m・K))、比熱(J/(kg・K))のうちの1つを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記治療特性は、50℃から80℃までの間のTmax、1~10分の間のΔtexp、5~120分の間のtdose、および10秒未満のtexpを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記治療特性は、3から50までの間のNexp、Ndose=1~7、およびΔtdose=10~30hを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のプロトコルは第1の周期を含み、前記第2のプロトコルは前記第1の周期と等しくない第2の周期を含み
前記第1のプロトコルは、第1のパルス幅を含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のパルス幅と等しくない第2のパルス幅を含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のプロトコルは、第1の複数のパルスを前記送信機に印加するための第1の持続時間を含み、前記第2のプロトコルは、第2の複数のパルスを前記送信機に印加するための第2の持続時間を含み、
前記第1の持続時間は、前記第2の持続時間と等しくない、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作は、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、前記金属インプラントの表面上の温度を摂氏10度未満上昇させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記動作は、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、50~3000A/cm^2の前記金属インプラントの表面上の電流を誘起することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのセンサーを有する請求項1に記載のシステムであって、前記動作は:
前記少なくとも1つのセンサーを用いてパラメータを感知し;
前記パラメータの感知に応答して、前記デューティサイクルまたは前記周期のうちの少なくとも1つを変更することを含む、
システム。
【請求項15】
前記動作は、前記パラメータの感知に応答して治療特性を変更することを含み
前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの交流磁場(AMF)送信機と、少なくとも1つの関数発生器と、少なくとも1つのプロセッサとを使って複数のAMFパルスを金属インプラントに伝えることを含む方法であって、
前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する、
方法。
【請求項17】
前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有し、
前記複数のパルスのそれぞれは、2ms~50msの間のパルス幅を有する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝えることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
埋め込まれた金属インプラントを有する患者に抗生物質を投与するステップと;
冷却時間を伴って交流磁場(AMF)曝露を前記インプラントに繰り返し施すステップであって、前記冷却時間は前記曝露の間に生起し、(a)前記インプラントの表面上の治療的熱用量を許容し、かつ(b)組織熱用量の過剰な付随した上昇を引き起こすことを回避するように構成される、ステップと;
前記曝露のそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび1 ms~60秒の周期を有する、
方法。
【請求項20】
少なくとも1つのAMFパラメータを調整して、(a)前記インプラントの表面上の治療熱用量を許容し、かつ(b)組織熱用量の過剰な付随した上昇を引き起こすことを回避するように構成された前記冷却時間を生成する前記曝露を修正することを含み、前記少なくとも1つのAMFパラメータは、前記インプラント上の最大温度、前記患者へのAMFインパルスの印加の持続時間、および曝露の施与当たりの曝露数のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)によって授与されたAI155291の下で政府の支援を受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願への相互参照
本願は、2021年4月1日に出願され、「交流磁場および抗生物質による金属上のバイオフィルムの相乗的な根絶」と題された米国仮特許出願第63/169,636号に対する優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願はまた、2022年3月30日に出願され、「交流磁場および抗生物質による金属上のバイオフィルムの相乗的な根絶」と題された米国仮特許出願第63/325,298号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
交流磁場(alternating magnetic field、AMF)は、インプラント関連感染を治療するための非侵襲的アプローチである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の実施形態の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲、一つまたは複数の例示的実施形態の以下の詳細な説明、および対応する図面から明らかになるであろう。適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照ラベルが図面間で繰り返されている。
【0005】
図1図1のA、B、Cは、断続的交流磁場(intermittent alternating magnetic field、iAMF)加熱のシミュレーションおよび測定を示す。実験セットアップは、プラスチックホルダーによって適所に保持される、50mlチューブ中の媒体中にバイオフィルムを有するステンレス鋼リングからなる(図1のA)。チューブはソレノイド・コイル内に配置する(図1のAのシミュレーション画像)。数時間(Δtdose)隔てた施与(パネル上部)を有するiAMF施与スキーム(図1のB)の表現。各施与(dose)は、AMF加熱の数秒間(texp、目標温度Tmaxに達するのに必要な曝露時間)にわたって、間隔(Δtexp)で送達されるAMFの複数(Nexp)の短期曝露(exposure)と、それに続く、AMFが遮断された後の温度低下から構成される(図1のB、中央の画像)。50、65および80℃のTmaxまでの、AMF曝露時のリングについての温度対時間を示す(図1のC)。異なる曝露時間についての金属リングのシミュレートされたAMF加熱は、表面上の空間的温度変動および周囲の媒体の最小限の加熱を示す。温度の平均および標準偏差が示されている。
【0006】
図2A図2A図2B図2C図2Dは、iAMFおよびシプロフロキサシンが緑膿菌バイオフィルムの低減においてどのように相乗的であるかを示す。(図2A)iAMFと抗体を組み合わせるための一般的な処置スキーム。(図2B図2C図2D)(b)80℃、(c)65℃または(d)50℃の異なるピーク温度TmaxでのiAMF加熱単独(青の点線)、0.5mg/mLのシプロフロキサシン単独(黒の実線)またはiAMF+シプロフロキサシン(青の実線)による処置時のPAO1バイオフィルムについての24時間の期間にわたる細菌対数減少。曝露の回数は、パネルに示されるように、それぞれの場合について変化させた。未処置の対照(黒の点線)は、抗生物質またはAMFに曝露されなかった。コロニー形成単位(colony forming unit、CFU)を、処理の0、12時間(AMFの前および後)および24時間後に計数した。CFU検出限界(LOD)=0.78log(CFU/cm2)。統計的有意性:有意でない(not significant、ns)およびp<0.0001で有意(****)。
図2B】〔図2Aの説明を参照〕
図2C】〔図2Aの説明を参照〕
図2D】〔図2Aの説明を参照〕
【0007】
図3A図3A図3B図3C図3Dは、iAMFおよびシプロフロキサシンがどのようにして細菌の形態学的変化を引き起こすかを示す。処置開始から12時間後の緑膿菌(PAO1)バイオフィルム感染リングのレーザー走査共焦点顕微鏡観察。バイオフィルム内の生きた細菌は緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP)を発現し(express)、一方、EPSはコンカナバリンA-Alexa Fluor 647コンジュゲート(conjugate)で染色され、赤色の蛍光を発する。リングを、(図3A)iAMF(Tmax=65℃)で1時間にわたって処置し、次いでMHII培地中で12時間インキュベートし、(図3B)0.5μg/mLのシプロフロキサシン中で12時間インキュベートし、または(図3C)1時間iAMFを用いて処置し、0.5μg/mLのシプロフロキサシンを用いて12時間インキュベートした。(図3D)未処置の対照。スケールバー:100μm。
図3B】〔図3Aの説明を参照〕
図3C】〔図3Aの説明を参照〕
図3D】〔図3Aの説明を参照〕
【0008】
図4図4は、iAMFがシプロフロキサシンと組み合わさって緑膿菌バイオフィルムの施与依存的減少をどのように示すかを扱う。iAMF施与(Tmax=65℃、Δtexp=5min)を、各施与において3、6または12曝露で0および12時間のところで施与した(その間、0.5 mg/mLのシプロフロキサシンとともにインキュベートした)。コロニー形成単位(CFU)を、最初のiAMF施与直後(左)および処置後24時間(右)において、0、12および24hの時点で計数した。シプロフロキサシン単独での処置(AMFなしの場合は初回施与後)については、シプロフロキサシン中に入れて1時間後にCFUを計数した。時間0でのCFUは6.81log(CFU/cm2)であった。CFU検出限界(limit of detection、LOD)=0.78log(CFU/cm2)。p=0.0318(*)およびp<0.0001(****)。
【0009】
図5図5のAおよびBは、iAMFおよび抗生物質が黄色ブドウ球菌バイオフィルムの低減においてどのように相乗的であるかを示す。黄色ブドウ球菌(S. aureus)(UAMS1)バイオフィルムを、0時間および12時間のところにおけるiAMF施与(15分/施与、Tmax=65℃、Δtexp=5min)および指定された抗生物質を用いて処置した。(図5のA)iAMFおよび2μg/mLセフトリアキソンを用いた24時間後のバイオフィルム対数減少(CFU)。0、12および24時間の時点でCFUを計数した。(図5のB)iAMFおよびセフトリアキソン(2μg/mL)またはリネゾリド(2μg/mL)を用いた処置の24時間後の黄色ブドウ球菌バイオフィルムのCFU。CFU検出限界(LOD)=0.78log(CFU/cm2)。統計的有意性:有意でない(ns)p=0.0004(***)およびp<0.0001で有意(****)。
【0010】
図6図6のA、B、およびCは、耐性の機構に依存してiAMFがどのようにしてMDR病原体を減少させることができるかを扱う。MDR緑膿菌(MB699)バイオフィルムを、抗生物質とともに48時間インキュベートしながら、iAMF(0時間および24時間に施与、Nexp=12、Tmax=65℃、Dtexp=5min)ありまたはなしで、メロペネム(MIC 64μg/mL)またはシプロフロキサシン(MIC 64μg/mL)を用いて処置した。図6のA:AMFによるメロペネムに対する抗生物質耐性バイオフィルムの敏感化の機構。図6のB:64μg/mLでのメロペネム(左)またはシプロフロキサシン(右)を用いた処置時間の過程。コロニー形成単位(CFU)を0、24および48時間の時点で計数した。図6のC:処置開始48時間後のシプロフロキサシンまたはメロペネムの異なる濃度での抗生物質耐性バイオフィルムの対数減少。CFU検出限界(LOD)=0.78log(CFU/cm2)。統計的有意性:有意でない(ns)、p=0.0001(***)、およびp<0.0001(****)。
【0011】
図7図7は、0.5μg/mLシプロフロキサシンを用いた、プラスチック・リングおよび金属リング上で成長させた緑膿菌(PAO1)バイオフィルムのiAMF/抗生物質併用処置を扱う。バイオフィルムをiAMF施与(施与継続時間1時間、Tmax=65℃、Δtexp=5min)および0時間での0.5μg/mLシプロフロキサシンを用いて処置した。コロニー形成単位(CFU)を12時間のところで計数した。CFU検出限界(LOD)=0.78log(CFU/cm2)。統計的有意性:有意でない(ns)およびp<0.0001で有意(****)。
【0012】
図8】iAMFおよび抗菌物質を用いて処置された抗菌物質耐性緑膿菌(MB699)バイオフィルムのSEM画像を示す。iAMF(Nexp=12、Tmax=65℃。Δtexp=5min)、64μg/mLのメロペネムまたはシプロフロキサシン中での12時間にわたるインキュベートによる処置後の金属リング上のバイオフィルム。倍率:35,000倍。スケールバー=300nm。
【0013】
図9】シミュレーションに使用された材料の物理的特性を含む。
【0014】
図10】異なる目標温度(Tmax)におけるiAMFパラメータを含む。*80℃が6秒の曝露以内に達成され、AMFを停止する前に比例‐積分‐微分(proportional-integral-derivative、PID)較正を用いて追加的な6秒間この温度付近に保持された。
【0015】
図11】緑膿菌の株を処置するために使用される抗菌物質の最小阻止濃度を含む。
【0016】
図12】ある実施形態におけるプロトコルまたは方法を含む。
【0017】
図13】ある実施形態における方法を含む。
【0018】
図14】実施形態を実装するためのシステムを含む。
図15】実施形態を実装するためのシステムを含む。
図16】実施形態を実装するためのシステムを含む。
【0019】
図17】実施形態における、バースト曝露についての信号特性および熱曝露についての信号特性を含む。
【0020】
図18】iAMF中のリングを取り囲むCEM43測定値を含む。リングが筋肉組織によって囲まれていると仮定して、iAMFを用いてリングから異なる距離でのCEM43を計算するためにシミュレーションを行った。3つのiAMF処置条件を使用した:Nexp=1、Tmax=80℃;Nexp=1、Tmax=65℃;Nexp=12、Tmax=65℃、Dtexp=5分。240分は、不可逆的な細胞損傷の閾値を示した。
【0021】
図19】熱処理時間およびバイオフィルムについてのシプロフロキサシン濃度のFIC指数を含む。PAO1バイオフィルムを時間0においてある時間期間にわたって65℃で処置し、さまざまな濃度のシプロフロキサシンとともに37℃で12時間または24時間インキュベートした。ヒートマップ中の数字は、処置組み合わせについてのFIC指数値を示した。0.5以下のFIC値は相乗効果であると考えられ、>0.5および<4の値は相互作用なしまたは相加性を示した。4以上の値は拮抗作用を示した。n=3。
【0022】
図20A図20A図20B図20C図20Dは、iAMFおよび抗菌物質がさまざまな年齢のバイオフィルムに作用しうることを示す。緑膿菌(PAO1)および黄色ブドウ球菌(UAMS1)バイオフィルムを、24時間ごとに培地を補充しながら同じプロトコルに従って7日目まで培養した。次に、バイオフィルムを、0時間および12時間のところでのiAMF施与(Tmax=65℃、Δtexp=5min、1施与当たり15min)および指定された抗菌物質を用いて処置した。(図20A)iAMFおよび0.5μg mL-1シプロフロキサシンを用いた24時間後の7日間の緑膿菌(PAO1)バイオフィルムの対数減少(CFU)。0、12(AMF前および後)、および24時間の時点でCFUを計数した。(図20B)iAMFおよび2μg mL-1リネゾリドを用いた24時間後の7日間の黄色ブドウ球菌(UAMS1)バイオフィルムの対数減少(CFU)。0、12および24時間の時点でCFUを計数した。(図20C)同じiAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5min、15min/施与)処置および時間0および24時間での0.5μg mL-1シプロフロキサシンの下での、事前の2日間(48時間)のバイオフィルムと7日間の緑膿菌(PAO1)バイオフィルムとの比較。(図20D)同じiAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5min、1施与当たり15min)処置および時間0および24時間での2μg mL-1リネゾリドの下での2日間(48時間)のバイオフィルムおよび7日間の黄色ブドウ球菌(UAMS1)バイオフィルムとの比較。n=3。エラーバーはSDを示す。CFU検出限界(LOD)=0.78log(CFU cm-2)。二元配置ANOVA。統計的有意性:有意でない(ns)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで図面を参照するが、同様の構造には同様の参照符号が付されている場合がある。さまざまな実施形態の構造をより明確に示すために、本明細書に含まれる図面は、構造の概略表現である。よって、たとえば写真における製造された構造の実際の外観は、図示された実施形態の特許請求された構造を依然として組み込んでいるが、異なって見える場合がある(たとえば、壁は、実際の製造されたデバイスにおいて互いに正確に直交していなくてもよい)。さらに、図面は、図示された実施形態を理解するのに有用な構造のみを示すことがある。当技術分野で知られている追加的な構造は、図面の明瞭さを維持するために含まれていないことがある。たとえば、デバイスのすべての層が必ずしも示されているわけではない。「ある実施形態」、「さまざまな実施形態」などは、そのように記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含みうるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含むわけではないことを示す。いくつかの実施形態は、他の実施形態について説明される特徴のうちのいくつか、またはすべてを有してもよく、またはいずれも有さなくてもよい。「第1」、「第2」、「第3」などは、共通のオブジェクトを記述し、同様のオブジェクトの異なるインスタンスが言及されていることを示す。そのような形容詞は、そのように記載されたオブジェクトが、時間的に、空間的に、順位付けにおいて、または任意の他の仕方において、所与の順序でなければならないことを含意するものではない。「接続された」は、要素が互いに直接物理的または電気的に接触していることを示してもよく、「結合された」は、要素が互いに協働または相互作用することを示してもよいが、それらは直接物理的または電気的に接触していてもしていなくてもよい。「AまたはBのうちの少なくとも1つを含む」等の語句は、A、B、またはAおよびBを伴う状況を含む。
【0024】
先に出願された仮特許出願では、物件Aが参照された。物件Aからの主題は、ここに、本明細書に直接含まれる。物件Aからの主題に基づくのは、「実施形態のさらなる議論」と題された議論である。物件Aの以下の議論において言及される参考文献は、本明細書の記載の最後に位置する。
【0025】
物件A
【0026】
実施形態は、相乗的に金属付随バイオフィルムを減少させるために、抗菌物質と組み合わされた非侵襲的な断続的交流磁場を扱う。
【0027】
何十万ものヒト・インプラント手順は、感染のため、毎年外科的修正を必要とする。感染は、インプラント表面上にバイオフィルムが形成されるため、従来の抗菌物質を用いて処置することが困難である。本明細書において扱われる実施形態は、断続的交流磁場(iAMF)を使用して金属インプラント上のバイオフィルムをなくす非侵襲的方法を含む。本明細書で使用されるところでは、「なくす」は、たとえばバイオフィルムの完全な100%の除去または破壊を必ずしも意味せず、代わりに、たとえば、バイオフィルムの有意な低減を意味しうる。実施形態は、iAMFおよび抗菌物質がそれらのバイオフィルム低減能力において相乗的であることを実証する。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルムについて、iAMFおよびシプロフロキサシンを用いると、24時間後に、いずれかの処置単独と比較して、細菌負荷は>3log減少した(p<0.0001)。同様のバイオフィルムの減少が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)において、iAMFとリネゾリドまたはセフトリアキソンのいずれかとを用いて見られたので、この効果は病原菌または抗生物質によって制限されなかった。iAMFおよび抗生物質の効力は、異なるiAMF目標温度、施与持続時間、および施与間隔を含むさまざまなiAMFセッティングにわたって見られた。初期の機構的研究は、バイオフィルム・セッティングにおけるAMF増強抗菌活性にとって重要な1つの因子として膜破壊を明らかにした。実施形態は、金属インプラントからバイオフィルムを減少させるために非侵襲的アプローチを利用することの有効性を実証する。
【0028】
物件A 序
【0029】
人工関節、骨固定金具、歯科用インプラントなどの金属インプラントは、損傷または罹患した組織を置換するために医療において広く用いられている(非特許文献1)。全体として、世界中で毎年何百万もの金属デバイスがヒトに埋め込まれている(非特許文献2)。人工膝関節全置換術(TKA)の場合、米国では毎年100万件を超える手順が実施されており、その数は、人口および健康の傾向により、2030年までに約350万件に達すると予測されている(非特許文献3)。これらのインプラントの約1~2%が感染する。この重篤な合併症は、治療が困難である(非特許文献3)。現在、人工関節感染症(PJI)の治療は、主に複数回の修正手術に依存している。最初の手術を行って感染したインプラントを除去し、一時的なスペーサーを配置する(非特許文献4)。抗生物質を数週間投与して残留感染を除去する。ひとたび患者が感染していないことが確認されると、新たなプロテーゼを移植するために最終手術が行われる(非特許文献5)。PJIの治療は非常に侵襲的であり、患者の生活の質に重大な悪影響を及ぼす。さらに、これらの多段階手術の失敗率は、現在10%を超える(非特許文献6、7)。加えて、PJIを治療する予測費用は、2020年に米国だけで16億米ドルであり、医療制度に著しい経済的負担をもたらす(非特許文献8)。
【0030】
金属インプラント感染(PJIなど)の抗生物質治療が無効である主な理由は、インプラント表面上のバイオフィルムの形成によるものである(非特許文献9)。バイオフィルムは、細菌および細胞外ポリマー物質(extracellular polymeric substance、EPS)の薄い(数十~数百マイクロメートル)集合体である(非特許文献10)。EPSは細菌によって産生され、周囲環境に対する障壁を形成し、これらの生物を抗生物質に対して最大1000倍耐性にするとともに、免疫系からの保護を提供する(非特許文献11)。重要なことに、抗生物質耐性の増加は、この問題をさらに複雑にするばかりである。PJIとは別に、バイオフィルムは、カテーテル、機械的心臓弁、および骨固定ハードウェアを含む他の広く使用されている医療用インプラントの感染においても重要な役割を果たす(非特許文献1、12、13)。
【0031】
バイオフィルムを根絶する(すなわち、有意に減少させる)非外科的手段は、金属インプラント感染症(metal implant infection、MII)の治療における有意な進歩であろう。電流(非特許文献14~16)、超音波(非特許文献17)、熱(非特許文献18~20)、および衝撃波(非特許文献21)を含む、バイオフィルムをなくす(すなわち、有意に減少させる)ためのいくつかの物理的アプローチが提案されている。しかしながら、これらの方法は、インビボで適用することが困難であるか、または金属インプラントへの使用に制限があるかのいずれかである。金属インプラントからバイオフィルムを除去する、潜在的により安全でより効果的な方法は、AMFの使用によるものである。AMFは、体外から施与することができ、侵入深さ制限または組織境界を通る複雑な波の歪みに悩まされない。金属インプラントがAMFに曝露されると、電流が表面上に誘導され、熱の発生をもたらす。以前の研究は、AMFによるバイオフィルム除去(たとえば、有意な低減)の実現可能性および有効性を示している(非特許文献19、22)。AMF処置のほんの数分後に、ステンレス鋼洗浄器上のバイオフィルムは有意に減少した(非特許文献22)。
【0032】
しかしながら、出願人は、バイオフィルム低減を達成するために50~80℃の範囲の温度を数分間維持する必要性が、AMFが臨床的に利用されるための課題を呈すると判断した。加えて、AMFによる細菌の不完全な根絶は、短期間での再増殖をもたらす(非特許文献22)。実施形態は、この障害を克服するための1つのアプローチ、すなわち抗生物質との併用療法を含む。インビトロ研究は、細菌負荷における、より大きく持続的な減少を実証した。よって、出願人は、組み合わせたAMFおよびシプロフロキサシンの組み合わせが、バイオフィルムの低減においてAMFまたはシプロフロキサシン単独よりも有効であり、処置後最大24時間にわたってその再発を防止することが観察されたと判定した(非特許文献20、23、24)。加えて、出願人は、短時間の断続的なAMF曝露を利用することで、インプラント温度の上昇および安全性の問題に対処できることに注目した。マウスモデルにおいて以前に示されたように、出願人は、金属インプラントを目標温度まで迅速に、かつ短期間だけ上昇させることが、より長い持続時間の曝露と比較して、はるかに少ない組織損傷をもたらすことに注目した(非特許文献25)。さらに、出願人は、これらの短い持続時間の曝露が、曝露の間に十分な冷却時間をもって繰り返し施与されることができ、組織熱用量の付随する上昇を伴わずに、インプラント表面上で治療的である熱用量を可能にすることに注目した。このアプローチは、断続的AMF(intermittent AMF)またはiAMFと呼ばれる。
【0033】
実施形態は、インビトロで金属性表面上のバイオフィルムをなくす(すなわち、有意に低減する)ための、抗生物質と組み合わせたiAMF曝露の効力を含む。出願人は、AMFパラメータ(温度、持続時間、曝露回数)と抗生物質(薬物、濃度、投薬)との間の関係を決定する。出願人は、プロトタイプのグラム陽性病原体およびグラム陰性病原体の両方においてこのアプローチを調査し、iAMFを用いて多剤耐性病原体を減少させることを試みることによって、この機構的関係の根底にある機構を調査した。
【0034】
物件A 結果
【0035】
iAMF曝露は、精密に制御された曝露持続時間、ならびに指定された曝露および施与間隔で金属リングを加熱するように設計されたインビトロ・システムを使用して生成された。システムは、各コイルの中心で一様なAMF(10.2±0.3mT)を生成することができる32個の同一のソレノイド・コイルから構成される。さらに、測定された磁場は、シミュレーションからの予測(11.2±0.4mT)とよく一致した。金属リングを選択したのは、金属リングは、図1のAに示されるようにコイルの軸に沿って配向されたときにソレノイドの磁場内で一様に加熱されることが期待されたからである。図1のCの有限要素シミュレーション結果は、一様な加熱が達成されたことを確認する。1.2秒、3秒および6秒の加熱後のリング上の表面温度分布が示されており、リングの周囲の周の温度は一様であり、上部と中央部との間の標準偏差は2℃以下である。さらに、シミュレーションは、これらの短い加熱持続時間の間、リングを取り囲む媒体が著しく加熱されないことを浮き彫りにし、これは実際の測定によっても観察された。哺乳動物細胞熱損傷を評価するために、43℃での累積等価分(cumulative equivalent minute)(CEM43)が使用される(非特許文献26)。通例、240分が筋肉組織における永久的損傷の閾値と考えられている(非特許文献27、28)。リングから隣接する媒体への熱伝達は、熱伝導および対流によって支配されるので、出願人は、リングが筋肉組織によって取り囲まれている(すなわち、熱伝導のみ)と仮定して、リングのまわりのCEM43を計算した。CEM43は、Tmax=80℃を用いたiAMFの下ではリングから2mmにおいて、Tmax=65℃の12回のiAMF曝露の下では1mmにおいて、240分を超えず、この距離において永久的な組織損傷がないことを示唆した(図18)。
【0036】
iAMFシステムを用いたリング加熱のダイナイクスを特徴付けたので、出願人は、リング表面からバイオフィルムを根絶するその能力を調査した(図2A~2D)。本明細書で使用されるところでは、「根絶する」は、たとえばバイオフィルムの完全な100%除去または破壊を必ずしも意味せず、代わりに、たとえばバイオフィルムの有意な減少を意味しうる。調査した3つのiAMF処置のそれぞれ(青の点線)は、緑膿菌PA01バイオフィルムを各投与後におよそ1~2log減少させることができた。しかしながら、投与と投与の間で、CFUレベルはベースラインに戻った。0.5μg/mlのシプロフロキサシン単独に曝露されたリング(黒の実線)は、最初の12時間にわたってほぼ3logの安定したCFU減少を示し、その後、プラトーに達した。顕著なことに、シプロフロキサシンと組み合わせたiAMF曝露(青の実線)は、予想外の結果を実証した。すなわち、検出限界までバイオフィルムが一貫して減少したのである。各施与直後のCFUの減少は、iAMF単独と比較して、併用療法については同等以上であった。0時間目と12時間目のAMF施与の間に、おそらくシプロフロキサシンがバイオフィルム中で向上した活性を示したので、CFUがさらに減少した。注目すべきことに、0時間および12時間でのCFU減少は同様の大きさであり、各施与後の一貫したAMF治療効果を示唆している。この傾向は、目標温度(Tmax)および曝露回数(Nexp)が変更された3つの異なる治療戦略について観察された。さらに、2回の施与後にバイオフィルムの同等の減少を観察するために、より低い温度でより多くの曝露が必要であった(図2B、2C、2D)。24時間では、併用処置群と他のすべての群との間のCFUの差は非常に有意であった(p<0.0001)。Tmax=65℃でのiAMFおよびシプロフロキサシンを組み合わせた同じ処置戦略を、緑膿菌バイオフィルムを有する等しいサイズのプラスチック・リングまたはグレード5チタン・リングに対して行った。プラスチック・リング上では、バイオフィルムCFUは、シプロフロキサシン・インキュベーション単独と比較して、iAMFおよびシプロフロキサシンで処置した場合に有意差を示さなかった(図7)。医療用インプラントにおいて広く使用されている材料であるチタン・リング上のバイオフィルムについて、iAMFおよびシプロフロキサシン処置からのバイオフィルム低減は、ステンレス鋼リング上で見られるものと同様であった。
【0037】
バイオフィルムに対する熱と抗生物質との間に相乗的関係が存在するかどうかを評価するために、温度制御された水浴を使用して実験を行った。バイオフィルムを指定した温度でのさまざまな持続時間の加熱に曝露し、次いで、さまざまな抗生物質濃度の存在下および不存在下での細菌のCFU減少を定量化した(「補足材料」を参照されたい)。MBEC(minimal biofilm eradication concentration、最小バイオフィルム根絶濃度)を使用して、以前に記載されているように(非特許文献29)、熱およびシプロフロキサシンの相乗効果を定量的に研究した。結果は、単一の熱処置後12時間および24時間の両方で、熱処置時間とシプロフロキサシン濃度とのさまざまな組み合わせについて、0.5(相乗効果の定義)未満であった比阻害濃度(fractional inhibitory concentration、FIC)指数値を用いて相乗効果を実証した(非特許文献30、31)。これは、熱およびシプロフロキサシンがバイオフィルム・セッティングにおいて相乗的活性を示すことを示唆する(図19)(非特許文献29)。
【0038】
組み合わされたiAMFおよび抗生物質に対するバイオフィルムの向上した削減は、レーザー走査共焦点顕微鏡法を利用して視覚的にも観察された(図3A~3D)。GFP-PAO1バイオフィルムをiAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5分、Nexp=12)および0.5μg/mLシプロフロキサシンを使って処置した。GFP-PAO1細胞は緑で表され、コンカナバリンA-Alexa Fluor 647で染色したEPSは赤で示されている。これは、細菌細胞の形を異なる処置条件下で観察することが可能になった。シプロフロキサシンのみ(図3B)では、細菌は、処理後12時間において、iAMFのみ(図3B)および対照(図3D)と比較してわずかな伸長を示した。iAMFのみの群は、拡散したコンカナバリンA-Alexa Fluor 647で染色されたEPSを示したが、iAMFおよびシプロフロキサシンの併用処置(図3C)は、より低密度のEPS染色を有した。さらに、伸長したGFP発現細胞の数が増加し、これはキノロン処理中のシュードモナスの視覚的表現であった(非特許文献32、33)。
【0039】
iAMF施与持続時間の影響をより詳細に調査した。緑膿菌バイオフィルムを、図2Aと同じ処理スキームに従って0.5μg/mLのシプロフロキサシンと組み合わせて15分~1時間の範囲の施与持続時間にわたってiAMF(Tmax=65℃)で処理した。曝露は、各処置において5分間隔で行った。iAMFと抗生物質の併用処置の直後に、CFUの減少は施与依存的応答を実証した。iAMFの持続時間が長くなると、減少が大きくなった(図4、iAMF 15分についてはp=0.0318、iAMF 30分および60分についてはp<0.0001)。15分のiAMFの後、1.41logの減少があり、これは、1時間の施与後に2.68logの減少に増加した。24時間後には、シプロフロキサシンのみで処置されたバイオフィルムにおいて2.7logの減少があったのに対して、併用療法は5logを超える減少を達成し、すべてのiAMF処置持続時間について検出限界に近づいた(3つの施与持続時間すべてについてp<0.0001)。これらの結果は、多様な投薬持続時間でのiAMFとシプロフロキサシンの併用処置を通じてバイオフィルムを効果的になくすことができる(すなわち、有意に低減できる)ことを示した。実際に、シプロフロキサシンとともに15分間にわたるたった3回のiAMF曝露が、緑膿菌バイオフィルムを効果的になくす(すなわち、有意に低減する)のに十分であった。
【0040】
同様のパターンが、黄色ブドウ球菌バイオフィルムのiAMFおよび抗生物質処置について観察された。緑膿菌に比べていくつかの構造的および代謝的な相違のあるグラム陽性病原体であることに加え、黄色ブドウ球菌は、金属インプラント感染症に関連する、より一般的な病原体の一つとして、臨床上の重要性をもつ。黄色ブドウ球菌(S. aureus)(UAMS1)バイオフィルムを、iAMFおよび抗生物質の単独および組み合わせで処置した。臨床的に一般的に使用される2つの抗生物質を選択した:セフトリアキソン(2μg/mL)およびリネゾリド(2μg/mL)である。これらの濃度は、この株についての最小阻害濃度(minimum inhibitory concentration、MIC)を表した。以前の実験と同様に、iAMF用量を0時間および12時間で施与した。各施与は、以下の仕様を有するiAMF曝露から構成された:Tmax=65℃、Δtexp=5min、tdose=15min。iAMFおよび2μg/mLセフトリアキソンを用いた処置(図5A)については、バイオフィルムCFUは最初に3logを超えて減少し、黄色ブドウ球菌バイオフィルムが、同じ15分のiAMF施与での緑膿菌(0.96logの減少)と比較して、iAMF施与単独(3.29logの減少)に対してより高い感受性を有することを示唆している。PA01で観察されたように、施与と施与の間に、バイオフィルムCFUは、iAMFのみの群については対照レベルに戻った。セフトリアキソンを用いたインキュベーション単独では、24時間後に約2logの減少をもたらしただけであった。しかしながら、CFUの減少は、iAMFと組み合わせて処理した場合、24時間後に有意に大きくなり(p<0.0001)、CFUは検出限界に近づいた。24時間では、iAMFおよびセフトリアキソン(2μg/mL)またはiAMFおよびリネゾリド(2μg/mL)は、抗生物質単独を用いた場合よりも有意に低いCFUを示した(図5B;セフトリアキソンについてp=0.0004およびリネゾリドについてp<0.0001)。
【0041】
バイオフィルムの年齢は、実生活の臨床状況においては変動しうる。出願人は、iAMFと抗生物質との組み合わせが、48時間(2日)経過後のより成熟したバイオフィルムをなくす(すなわち、有意に低減する)ことができるかどうかを調査した。7日間の緑膿菌(PAO1)および黄色ブドウ球菌(UAMS1)バイオフィルムを培養し、2日間のバイオフィルムでのようにTmax=65℃でのiAMFを用いて、同じ実験条件を実施した。2日間のバイオフィルムと同様のCFUの減少が見られた。2日間のバイオフィルムおよび抗生物質(PAO1については0.5μg mL-1シプロフロキサシン、およびUAMS1については2μg mL-1リネゾリド)で使用したのと同じiAMF用量(Tmax=65℃、Δtexp=5min、tdose=15min)で処置した場合、CFU変化は、以前に見られたのと同じ傾向に従った(図20A、20B)。2日間および7日間のバイオフィルムについて、iAMFおよび抗生物質に対するバイオフィルムの減少の大きさに有意差はなかった(図20C、20D)。
【0042】
抗生物質耐性がますます一般的になってきている。多剤耐性病原体(multidrug-resistant pathogen、MDR)は、バイオフィルム関連インプラント感染の治療をさらに複雑にするばかりである。抗生物質とiAMFとの間の相乗的応答の機構は、未知のままである。出願人は、1つの可能な機構が、抗生物質の取り込みの増加を可能にする熱誘導性膜破壊(heat induced membrane disruption)に関連しうると主張した。iAMFが、MDR病原体における抗生活性を増強し、耐性機構に依存して特定の抗生物質の活性を増強することができるかどうかを試験するために、出願人は、ゲノム的および表現型的に特徴付けられたMDR緑膿菌分離株(isolate)(MB699)を利用した。この臨床分離株を、以前に記載されたようにゲノム配列決定した(非特許文献34)。それは、シプロフロキサシンおよびメロペネムの両方について64μg/mLの最小阻害濃度(MIC)を有するMDR分離株である。ゲノムの分析により、シプロフロキサシン耐性に関連するDNAジャイレース(gyrA、p.Thr83Ile)およびトポイソメラーゼIV(parC、p.Ser87Leu)、ならびにメロペネム耐性に関連するポーリン(oprD、p.Thr103Ser、p.Lys115Thr、p.Phe170Leu、p.Glu185Gln、p.Pro186Glyfs*35、p.Thr187Profs*52、p.Val189del、p.Gly425Ala)における変異が明らかになった。iAMFは、シプロフロキサシンではなくメロペネムの活性を増強すると仮定された。以下のパラメータを使用するiAMFを用いて、MB699バイオフィルムを処理した:Tmax=65℃、Δtexp=5 min、Nexp=12、Ndose=2、Δtdose=24h。抗生物質投与は、PAO1実験と同じプロトコルに従い、各抗生物質をその最小阻止濃度で施与した(図11)。2回の施与(0および24時間)および48時間でのCFUの決定後、細菌負荷は、iAMFおよびメロペネムによる処置については検出限界に近づいたが、シプロフロキサシンおよびiAMFは、iAMFまたは抗生物質単独のいずれと比較しても、CFUのさらなる低減をもたらさなかった(図6A)。iAMFと一緒のメロペネムの減少は、MIC未満の濃度(32μg/mL)でも見られた(p<0.0001;図6B)。シプロフロキサシンの濃度を増加させても、iAMFと組み合わせてCFU減少の増強はもたらされなかった。MB699でのiAMFおよびメロペネムかシプロフロキサシンの効果を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。iAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5min、Nexp=12)および64μg/mLのシプロフロキサシンまたはメロペネムを用いた連続的インキュベーションを用いた、MB699バイオフィルムの処置の12時間後、バイオフィルムを記載されるように固定し、撮像した。シプロフロキサシン、メロペネム、またはiAMF単独での処置については、細菌において明らかな形態変化は観察されなかった。iAMFおよびシプロフロキサシンでは、いくつかの変化が観察され、細菌のわずかな伸長および膜のしわの増加があった。iAMFおよびメロペネムを用いた処置は、断片化および変形した細菌細胞を示した(図8)。
【0043】
物件A 議論
【0044】
殺菌に対する熱の効果は長年知られてきたが、人体における抗菌効果のために熱を利用するためには大きな障害が存在する。出願人およびその他によって行われた研究は、バイオフィルムの根絶(すなわち、有意な低減)に対するAMFおよび抗生物質を介して生成された熱の強力な治療効果を実証している(非特許文献20、23、24)。我々のグループによる以前の研究は、緑膿菌バイオフィルムがAMF処置後にシプロフロキサシンに対してより感受性が高くなることを実証した(非特許文献22)。Pijlsら(非特許文献24、35)は、この研究で見られたのと同様の結果を報告しており、チタン合金上の表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌バイオフィルムにおけるAMFおよび抗生物質では、いずれかの処置単独よりも高い効果があった。AMFの臨床的採用に関する1つの懸念は、治療指数(therapeutic index)、具体的には、近傍組織損傷を最小限に抑えながら、熱効果によってバイオフィルムを減少させる能力に関する。出願人は、感染した金属インプラントにAMFを施与することができ、任意の毒性を制限しながら有効性を維持するというこれらの目標に向かうことを助けることができる方法、断続的AMFを開発した。iAMFの前提は、曝露と曝露の間に十分な冷却時間をもつ、インプラントの表面への(複数回の)短時間の曝露が、周囲の組織を損傷から保護しながら、バイオフィルムを根絶する(すなわち、有意に低減する)ことができる治療用量をもたらすことである。
【0045】
出願人は、数秒のiAMF曝露でさえ、バイオフィルム負荷を1~2log減少させることができることを実証する。しかしながら、より頻繁な投与がない場合、12時間以内にベースラインに戻る再増殖がある。iAMFのより頻繁な投与が使用されることができるが、実施形態によって利用される代替的アプローチは、抗生物質の活性を増強するためにiAMFを使用することを含む。以前に報告されているように、本研究で使用した抗生物質は、iAMFによる発熱の影響を受けず、これらの温度で安定性を維持する(非特許文献36、37)。組み合わせにおいて、iAMFおよび抗生物質は、いずれの処置単独に対してもバイオフィルム負荷の劇的な減少をもたらした。重要なことに、この効果は、1つの病原体または1つの抗生物質に限定されなかった。出願人は、臨床的に重要なグラム陽性病原体(黄色ブドウ球菌)およびグラム陰性病原体(緑膿菌)の両方ならびにさまざまな抗生物質が、iAMFによりその活性を増強されることを実証した。PJIのような疾患は、多数の異なる細菌性病原体によって引き起こされるので、iAMFを開発する1つの目標は、見出される病原体にかかわらず有効な処置を有することである。出願人はまた、iAMFと抗生物質との組み合わせが、異なる年齢のバイオフィルムを事実上なくす(すなわち、有意に低減する)ことができることを実証した。重要なことに、この処置効果はプラスチック・リング上では見られず、AMFと金属との間の電流発生という基礎になる原理を示している。細菌負荷の量的減少に加えて、顕微鏡法は、iAMFおよび抗生物質が有する増強された影響を定性的に支持した。
【0046】
バイオフィルムは、多くの理由で抗生物質療法に対して不応性である。これは、バイオフィルム・マトリクス内に埋め込まれた標的(細菌)への薬物の十分な濃度を得ることの難しさ、ならびに免疫細胞がこれらの病原体に到達することの難しさを含む。これは、バイオフィルム関連病原体が機能的に抗生物質耐性でありうる環境を作り出す。世界的に見られる抗生物質耐性の増加率は、バイオフィルム関連感染症の治療をさらに複雑にするばかりである。我々の研究の最も顕著な発見の1つは、耐性の機構に基づいてある種の多剤耐性細菌を減少させる能力であった。出願人は、ゲノム的および表現型的に特徴付けられたシュードモナス(Pseudomonas)株を利用して、iAMFの抗生物との相乗作用を説明する作用機序が何であるかを理解し始めた。出願人は、iAMFが細菌の膜を破壊し、耐性の機構が膜ベース(すなわち、ポーリン(porin)または流出機構(efflux mechanism))である場合、実施形態がMDR株を抗生物質を用いて減少させうると主張した。しかしながら、出願人は、染色体に基づく耐性機構(すなわち、ジャイレース変異)は、いずれか1つ単独と比較して、iAMFおよび抗生物質の併用によって影響を受けないことを主張した。実施形態は、これらの主張をサポートする。出願人は、ポーリンoprDに既知の変異を有するこのMDR株においてiAMFおよびメロペネムによる相乗効果を示すことができたが、シプロフロキサシンとの相乗効果は示さなかった。その株は、DNAジャイレース変異を含むからである。バイオフィルム・セッティングにおけるiAMFと抗生物との間の相互作用を説明しうる他の潜在的な機構が存在するが、このデータは、膜破壊が1つの重要な構成要素である可能性が高いことをサポートする。
【0047】
出願人は、インビトロで金属インプラント上で抗生物質と一緒にiAMFを使用して、バイオフィルムを事実上なくした(すなわち、有意に減少させた)。加熱曝露時間を抗菌物の「施与(dose)」として定義することと組み合わせた水浴実験は、実際に、iAMFと抗生物質との間の相乗的相互作用が見られるという立場をサポートする。
【0048】
実施形態は、臨床セッティングにおけるiAMFの最終的な展開に関するいくつかのいくらか以前の未知のものに対処するのに役立つ。これは、永続的な治療応答をもたらすiAMFの最適な施与回数、ならびに潜在的な安全上の懸念を最小限に抑えながら効力を維持する最適な目標温度を含む。本明細書に記載されるさまざまな実施形態は、これらの値について有効な範囲を提供する。それにもかかわらず、将来および進行中の研究は、インプラント感染の大型動物モデルにおける安全性および効力についてiAMFを調査することを含む。加えて、この相互作用の他の可能性のある機構は、まだ調査されていない。
【0049】
物件A 材料および方法
【0050】
インビトロAMFシステム
【0051】
50mLコニカルチューブ中に保持された、既存のバイオフィルムを有するステンレス鋼リングにプログラムされたAMF曝露を施与するよう、複数のソレノイド・コイルから構成されるカスタム設計システムを構築した。AMF曝露のパラメータは、パーソナルコンピュータ上で動作するカスタム開発されたソフトウェアを使用して割り当てられた。関数発生器(33250A、Agilent Technologies)を使用して、RF信号を生成した。信号は、1000WのRF増幅器(1140 LA、Electronics & Innovation)に入力され、増幅された信号は、USB制御のリレーシステムを使用して適切なコイルに向けられた。各コイルは、巻き間のピッチが1cmの6巻きソレノイドに形成された直径0.25インチの銅管を使用して構築した(図1のA)。コイル直径は、感染したリングおよび媒体を保持する50mLコニカルチューブを受け入れるように選択した。リングを所定の位置に保持するためにプラスチックホルダーを各コニカルチューブに含めたので、配向はすべてのコイルにわたって維持された。コイルは、共振周波数を約500kHzに同調させるように選択されたコンデンサを使用して並列共振回路として電気的に駆動された。コイルの動作周波数は507~522kHzの範囲であった。効率的な電力伝達のために各コイルのインピーダンスを50オームに変換するために、整合インダクタも共振回路と直列に含められた。完全なシステムは、それぞれが8つのコイルを含む4つの絶縁ボックスを含み、1回の実験で最大32個の試料をiAMFで処置することを可能にした。コイルは、本明細書に記載される実験のために、50%デューティサイクル(200ms当たり100ms)で8Vppで動作した。ヒーターが一体化された循環ファン(Miller Manufacturing、MN, USA)も各ボックスに組み込んで、長い実験中に試料を37℃に維持した。
【0052】
特徴付けおよび較正。コイル内の交流磁場の強度は、市販の2D磁場プローブ(AMF Lifesystems社、米国ミシガン州)を使用して特徴付けられた。電流プローブ(TRCP3000 Rogowski電流プローブ、Tektronix社、米国オレゴン州)もまた、動作中にコイルを通る電流を測定するために使用された。
【0053】
AMF加熱を特徴付けるために、感染していない金属リングを、所望の最大温度に達するようにさまざまな持続時間にわたって曝露した。AMFに曝露された各リングの温度は、リングの内面の中心に高温エポキシ(Epotek 353 ND、Epoxy Technologies、米国カリフォルニア州)を用いて取り付けられた光ファイバー温度センサー(PRB-G40-2M-STM-MRI、Osensa Innovations、Burnaby, BC, Canada)を使用して測定した。エポキシがAMFによって影響を受けず、誤った加熱を生じないことを確認するために試験を行った。リング温度は、ラップトップコンピュータを用いて2Hzの速度で記録した。光ファイバー温度センサーの使用は、それらが電磁干渉の影響を受けないので、AMF曝露中の正確な温度特徴付けを可能にした。
【0054】
有限要素解析シミュレーション。市販のシミュレーションソフトウェアCOMSOL Multiphysics(Comsol v5.5、Los Angeles, CA, USA)を使用して有限要素シミュレーションを実施して、AMFと金属インプラントとの間の相互作用をモデル化し、AMF誘導加熱の一様性および大きさを調べた。マクスウェル方程式の準静的近似およびペンネの生体熱伝達モデルが、電磁および熱シミュレーションのために使用された。熱用量は、累積等価分(CEM43)(非特許文献38)として計算され、これは、等価分での時間‐温度関係を以下のように与える。
【数1】
ここで、Rは細胞死のレートの温度依存性であり(T>43についてはR=0.5、43≧T≧39についてはR=0.25)、dtは時間間隔であり、t0およびtfinalはそれぞれ分単位の初期および最終加熱期間である。インプラント加熱による熱毒性は、インプラント表面からの組織損傷半径CEM 240min(不可逆的損傷)(参照番号27,28)に基づいて決定される。
【0055】
図1のAは、コイル内の水性生物学的媒体中の金属リングのシミュレーションのために使用される3D物理モデルを示す。上記のセクションで測定されたコイル幾何形状および電流を3Dモデリングに使用し、37℃の初期条件をシミュレーションのために選択した。シミュレーションのために使用した物理的特性を表S1 25、26に列挙する。シミュレーションは、境界層を有する自由四面体メッシングを使用して実行された。グリッドに依存しない研究を、より粗いメッシュからより細かいメッシュまで行い、分析のために使用される186,634個の要素の最適数に落着した。
【0056】
インビトロAMF処置
【0057】
iAMF処置パラメータ。iAMF処理の構造およびタイミングを図1Bに示す。処置は、一連の施与〔投与〕(Ndose個)として構成され、各施与は、固定時間(Δtdose)によって分離される。iAMF施与の長さは、15分~数時間の範囲である。Ndoseは、処置全体における施与の数である。各施与は、複数回のAMF曝露から構成された。各曝露中、AMFは数秒間オンであり、リングが加熱される。曝露は、曝露と曝露の間にリングが初期温度まで冷却するのを許容するように、固定時間間隔(Δtexp)によって分離される。(Nexp)は、1回のiAMF施与において実行される曝露の回数である。典型的な曝露からの加熱が、指定された目標温度Tmax、および3~5分にわたるベースライン温度への冷却とともに示されている。3つの異なるTmax値(50、65、および80)についての温度プロファイルも示されている。目標温度は、コイル内のAMF曝露の持続時間を変化させることによって達成された。Tmax=80℃でのiAMF処置については、温度は6秒で80℃に達し、システムの初期構築中に12秒まで保持された。したがって、このiAMF加熱パターンを、以下に記載するTmax=80℃のiAMF実験において使用した。
【0058】
バイオフィルムを、グラム陰性病原体、緑膿菌(PAO1:ATCC株。PAO1-GFP:Joanna Goldbergによって提供、MB699:Sam Shelburneによって提供)またはグラム陽性病原体、黄色ブドウ球菌(UAMS1、M. Smeltzerによって提供)を使用して、ステンレス鋼リング(316 L、3/4"OD、0.035"壁厚、0.2"高さ、McMaster Carr, P/N 89785K857,USAから切断)またはチタン・リング(グレード5、3/4"OD、0.035"壁厚、0.2"高さ、McMaster Carr, P/N 89835K93,USAから切断)上で成長させた。緑膿菌バイオフィルムについては、単離されたコロニーを、3mLのカチオン調整ミューラー・ヒントンII(Mueller Hinton II、MHII)培地(Thermo-Fisher ScientificによるBecton-Dickinson)に接種し、37℃で18時間、220RPMでインキュベートした。滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)に培養物を添加することによって作業溶液を作製した。UV分光光度計(Genesys 20、Thermal Scientific)を600 nmで使用して、光学密度(OD)が0.07~0.08の間で読み取られ、約108 CFU mL-1の濃度を示すまで、細菌濃度をMHIIで調整した。次いで、作業溶液を希釈して、5×105 CFU mL-1の細菌濃度を得た。50mLコニカルチューブ中の5mLの細菌溶液中にリングを置くことによって、各金属リング上にバイオフィルムを用意した。次いで、浸漬したリングを、振盪インキュベーター(Innova42, New Brunswick Scientific)において、37℃で48時間、110RPMでインキュベートした。溶液を5mLの新鮮なMHIIと交換することによって、培地を24時間において途中で補充した。黄色ブドウ球菌を用いて用意したバイオフィルムは、Tryptic Soy Broth(TSB、Thermo-Fisher ScientificによるBecton-Dickinson)を使用して同じプロトコルに従った。この研究における7日齢バイオフィルム以外のバイオフィルムを、このプロトコルを使用して用意した。7日齢のバイオフィルムについては、リングを同様に培養したが、培養時間を7日間に延長し、培地を24時間毎に補充した。
【0059】
バイオフィルムの用意、処置および定量化。上記のマルチコイル・システムを使用して、ステンレス鋼リング上で増殖させたバイオフィルム(緑膿菌または黄色ブドウ球菌)のAMFに対する応答を調査した。バイオフィルムでコーティングされたリングを、50mLのコニカルチューブに移した。各チューブは設定された濃度の抗生物質を含有する10mLの新鮮な培地を有する。移す前に、新鮮な培地のチューブをマルチコイル・システムにおいて37℃に予熱した。リングをチューブに移した後、滅菌の3Dプリントされたリング・ホルダーがリングの上部に配置されて、AMF曝露中にコイル内でのそれらの配向を維持した。次いで、リングを処置プロトコルに従って断続的AMFに曝露した。それぞれの断続的施与の後、リングを10mLの新鮮な抗生物質含有培地中ですすぎ、浮遊性細菌を除去した。次いで、リングを再び10mLの新鮮な抗生物質含有培地に移し、37℃でインキュベートした。ある固定した時間期間(典型的には12~24時間)の後、リングを同じプロトコルを使用してAMFの第2の施与に曝露し、リングを再び抗生物質を含む10mL培地中で、37℃でさらに12~24時間インキュベートした。各iAMF施与の前後、および処置の終点において、リングを採取し、5mLのPBS中ですすぎ、次いで4 mLのPBSに移した。リングを超音波水浴中で5分間超音波処理し、標準的な連続希釈滴下法を用いて血液寒天(blood agar)プレート(TSAとヒツジ血液、Thermo Fisher Scientific)上にプレーティングすることによって、リング表面上の細菌密度を定量した。3つの生物学的複製物を各実験条件について得て、3つの技術的複製物を実験ごとに利用した。すべての調査についての対照群は、抗生物質やAMFに曝露されていないリング、および単一療法としてiAMFまたは抗生物質に曝露されたリングを含んだ。細菌損失があればそれを説明するために、すべての対照群は、上記の複数回のすすぎおよび移す工程を行った。二元配置ANOVAモデルを使用して、単一療法または併用療法について異なる時点での細菌負荷を比較した。
【0060】
最後の対照群は、AMFと金属との間の相互作用から生じる観察された効果を確立するために、金属リングと同じ寸法をもつ感染プラスチック・リングのiAMF処置を含んでいた。さらなる詳細については図7図11を参照されたい。
【0061】
異なるAMF目標温度(Tmax)での実験。3つの特有なiAMF処置アルゴリズムを、PA01バイオフィルムに感染したリングに送達した。リングは、すべての処置について、10mLのMHII培地におけるシプロフロキサシン(0.5μg/mL)とともに37℃でインキュベートした。各処置は、図10に記載されるように、異なる目標温度に到達し、各施与において異なる曝露数を有した。施与は0および12時間のところで繰り返した。
【0062】
各セッティングにおいて複数のパラメータを変化させたが、目標は、最高温度と曝露回数とのバランスをとって、安全性のレベルを維持することであった。これらの選択は、我々のグループにおける進行中の生体熱伝達シミュレーションによって支配された(図示せず)。これらのAMF処置の組み合わせのそれぞれは、シミュレーションに基づいて、インプラントの周囲の組織損傷に関して安全であると予測された。
【0063】
抗生物質処置と組み合わせた可変AMF施与継続時間での実験。緑膿菌株PAO1のバイオフィルムを、上記と同じ培養プロトコルを使用してステンレス鋼リング上に用意し、10mLのMHII培地中の0.5μg/mLのシプロフロキサシンとともに37℃でインキュベートした。リングを、5分の曝露間隔で65℃のTmaxまでiAMFに曝露した。各iAMF施与の継続時間は、15分~1時間の範囲であった(3~12回の曝露)。施与は0および12時間のところで送達され、リング・バイオフィルム負荷を上記のようにさまざまな時点で定量した。黄色ブドウ球菌実験については、UAMS1のバイオフィルムを、培養プロトコルに従ってステンレス鋼リング上で用意し、10mLのTBS培地における2μg/mLのセフトリアキソンまたは2μg/mLのリネゾリドとともにインキュベートした。リングをiAMFに曝露してTmax 65℃とし、各曝露の間は5分間とし、1施与当たり15分間の持続時間とした(3回曝露)。施与は0および12時間のところで送達され、バイオフィルム負荷を24時間のところで定量化した。
【0064】
iAMFと抗生物質の併用による耐性株の処置。緑膿菌のMDR株であるMB699のバイオフィルムを、10 mLのMHII培地中のシプロフロキサシン(64または128μg/mL)またはメロペネム(32または64μg/mL)とともにインキュベートした。リングをiAMFに曝露してTmax 65℃とし、曝露間隔は5分とし、施与当たり1時間の持続時間とした。施与は0および24時間のところで送達され、リング・バイオフィルム負荷を48時間のところで定量化した。
【0065】
撮像
【0066】
レーザー走査共焦点顕微鏡法。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するPAO1緑膿菌(GFP-PAO1)から培養されたバイオフィルムを、上記のプロトコルを使用してリング上に用意し、次いでiAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5min、施与持続時間1h)に曝露し、0.5μg/MLのシプロフロキサシンを添加した10 mLのMHII培地中で12時間にわたってインキュベートした。5mLのDPBS中ですすいだ後、リングを5%グルタルアルデヒド(Sigma Aldrich、St.Louis, MO)中で、37℃で30分にわたって固定し、光から保護した。次いで、リングを5mlのDPBSですすぎ、過剰のグルタルアルデヒドを除去し、200μg/mLのコンカナバリンA-Alexa Fluor 647コンジュゲート(Life Technologies、Grand Island, NY)中で室温、暗所で15分間インキュベートし、EPSを染色した。染色後、リングを50 mmガラス底プレート上に載せ、画像をZeiss LSM880 Airyscanレーザー共焦点顕微鏡で画像を捕捉した。GFP-PA01細菌およびConA染色EPSを、40倍の対物レンズを使用して撮像した。リング表面の複数の領域をランダムに選択し、Zスタックを0.5μmのスライス・ステップ・サイズで取得した。画像処理の前に、Autoquant x 3(Media Cybernetics、MD,USA)を使用してzスタックをデコンボリューションして、X、YおよびZ方向の画像解像度を改善した。デコンボリューションした画像をImaris x64 9.1.2(Bitplane AG、Zurich, Switzerland)で分析した。
【0067】
走査型電子顕微鏡(SEM)。緑膿菌(MB699)から培養したバイオフィルムをリング上に用意し、iAMF(Tmax=65℃、Δtexp=5min、施与持続時間1h)に曝露し、64μg/mLのシプロフロキサシンまたは64g/mLのメロペネムを添加した10mLのMHII培地中で12時間にわたってインキュベートした。次いで、バイオフィルムを有するリングを、以前に記載された同様のプロトコル(非特許文献40)に従って、SEMのために用意した。リングを4mLのPBSに注意深く移し、4mLの0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中で3回すすぎ、4mLの2%グルタルアルデヒド、2%パラホルムアルデヒドの0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中で24時間にわたって固定した。4mLのカコジル酸緩衝液中で3回すすいだ後、試料を4 mLの2%オスミウムの0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中で2時間にわたって再固定した。次に、リングをさらに4mLの脱イオン水で5回すすぎ、リングをそれぞれ4mLの50、70(2回)、85、95(2回)および100%エタノール中に溶液当たり5分間入れることによって、室温で5段階で脱水した。次いで、リングを4mLの、エタノール中の25、50、75および100%(2回)のヘキサメチルジシラザン(HMDS)にそれぞれ15分間ずつ、連続して移した。最後に、試料をドラフトチャンバー内で24時間乾燥させた。試料をアルミニウム・スタブ上に取り付け、金/パラジウム・スパッタ・コーティングし、Zeiss Sigma VP走査電子顕微鏡を使用して検査した。画像は10kVで約35000倍の倍率で取得した。
【0068】
統計。有意性は、インビトロAMF処置について記載したように、二元配置ANOVA、続いてテューキー(Tukey)の多重比較検定(multiple comparisons test)によって決定した。「n」は、生物学的複製物の数を示す。2つまたは3つの技術的複製物を、各生物学的複製物について構築した。すべての分析を、GraphPad Prismバージョン8.4.3(San Diego, CA)を使用して行い、<0.05のp値を統計的に有意であるとみなした。
【0069】
物件A 補足材料
【0070】
iAMFに対するエポキシ免疫(Epotek 353 ND)の判別。光ファイバー熱センサーを先端でEpotek 353 NDエポキシを接着し、10mLのDPBS中に入れた。裸のセンサーもDPBS中に入れた。2つのセンサーの先端間の距離は1cmであった。iAMF(Tmax=65℃)を10分間適用し、2つのセンサーから読み取った温度を記録し、比較した。
【0071】
バイオフィルムにおける熱と抗生物質との間の相乗作用の決定。バイオフィルム中の熱とシプロフロキサシンの相乗効果を、比阻害濃度(FIC)指数(補足参考文献1~3)を使用して決定した。FIC指数は、増殖対照と比較してバイオフィルム埋め込み細菌の99.9%を根絶する(CFU mL-1における3-logの減少)抗菌物質の最低濃度として定義される最小バイオフィルム根絶濃度(minimal biofilm eradication concentration、MBEC)に基づいて計算した。熱処置時間を抗菌物質施与として扱い、熱処置のためのMBECはバイオフィルム埋め込み細菌の99.9%をなくす最短処理時間として定義した(補足参考文献4)。こうして、熱処置および抗生物質によるFIC指数計算のための式が導出できる:FIC=(CHeat/MBECHeat)+(CAbx/MBECAbx)。ここで、MBECHeatおよびMBECAbxは、それぞれ熱処置および抗生物濃度単独のMBECであり、CHeatおよびCAbxは、それぞれ熱処置時間および抗生物濃度の組み合わせである。0.5未満のFIC値は相乗効果であると考えられ、>0.5および<4の値は相互作用がないまたは相加性を示し、4以上の値は拮抗作用を示した(補足参照文献3、4)。
【0072】
温度制御された水浴(Model 1235,VWR Scientific)を用いて熱処置を行った。シプロフロキサシンをある濃度で含有する10mLの新鮮なMHIIを入れた50mLチューブを水浴に入れ、65℃に予熱した。PAO1バイオフィルムを前述のように用意した。PAO1バイオフィルムでコーティングされたリングを、予熱した50 mLコニカルチューブに移し、目標とする持続時間にわたって、加熱された媒体中に曝露した。熱曝露後、バイオフィルムを有するリングを、37℃で設定濃度で50mLコニカルチューブ中のシプロフロキサシンを有する10mLの新鮮な培地にすぐに移した。次いで、リングを37℃でインキュベートした。12時間または24時間後、リングを採取し、5mLの滅菌PBS中ですすぎ、次いで4mLのPBSに移した。超音波浴中で5分間超音波処理した後、標準的なシリアル・プレーティング法を用いてリング上の細菌密度を数え上げ、CFU cm-2を決定した。
【0073】
実施形態のさらなる議論
【0074】
AMFは、インプラント関連感染を治療するための非侵襲的アプローチであり、外部トランスデューサ・コイルが、体内の金属インプラントの近傍に時間変化するAMFを生成する。AMFは、インプラント上に表面電流を生成し、これは病原体を根絶する(すなわち、有意に減少させる)ことができる。感染したインプラントの場合、バイオフィルムの形でありうる細菌が表面に付着する。この局在化された電流は、病原体を根絶する(すなわち、有意に減少させる)か、または病原体を抗菌処置に対して敏感にするために使用できる。
【0075】
ある実施形態は、非常に短い時間期間にわたる非常に高い電流の誘導を含み、周囲組織の加熱をほとんどまたは全くもたらさないが、より高い組織温度をもたらす以前の治療方法と同様の抗菌効果を伴う。よって、実施形態は、周囲組織への熱損傷のリスクを低減するために、AMFのより低い温度および抗菌効果を使用して問題(バイオフィルムを治療しようとするときの熱による組織損傷)を治療する。
【0076】
実施形態は、AMF曝露のデューティサイクルが温度上昇に影響を及ぼすことを示す。金属リングをAMFに曝露する場合、1秒の周期をもつ1msの持続時間の曝露(0.1%のデューティサイクル)は、2時間にわたって5~6℃未満の総温度上昇をもたらした。同様の加熱が、異なる持続時間での0.1%デューティサイクルの曝露(10秒毎に10ms、40秒毎に40ms)について観察された。実施形態は、抗生物質の存在下での40msの曝露についてのCFU低減を実証する。
【0077】
パルス状の曝露は、抗生物質と一緒に適用された場合に効果が増大する。
【0078】
短いパルス状の曝露の使用は、著しい温度上昇なしにインプラント上に高電流を生成することができる。これは、治療温度(60~80℃)に達するように設計された曝露を使用することと比較して、実施形態の安全性を高める。しかしながら、いくつかの実施形態では、治療効果を達成するために、より短い曝露を用いつつ、より長い曝露が必要とされる。さらに、いくつかの実施形態の効果は、投与される抗生物質の濃度に依存する。いくつかの実施形態では、ハイブリッド・アプローチ(十分な温度を使用して炎症反応を生成し、それが次に免疫系をトリガーする)が使用される。温度上昇は、処置のデューティサイクルを変更することによって制御されることができる。
【0079】
以前の開示は、熱を直接的に抗菌性があるものとして利用することを論じているが、低温実施形態の作用機序は、(a)バイオフィルム・マトリクスの機械的破壊(抗生物質のより良好な浸透および抗生物質がその標的に到達する能力を許容にする)、(b)特定の抗菌物質に対して今や感受性になる、普通なら「休眠」している代謝的に不活性な生物の刺激、(c)または上記の組み合わせを含みうる。
【0080】
高温AMFで見られるように、低温AMFは、複数の抗菌物質と相乗的である可能性があり、単一の化学クラスの薬物に限定されない可能性がある。したがって、実施形態は、細菌・真菌感染症または金属インプラント上にバイオフィルムを形成する可能性がある任意の病原体に広く適用することができる。
【0081】
図14は、実施形態が使用されうる例示的なシステムのブロック図を含む。見られるように、システム900は、スマートフォンもしくは他の無線通信機、または任意の他のモノのインターネット(IoT)デバイスでありうる。ベースバンド・プロセッサ905は、システムから送信されるまたはシステムによって受信される通信信号に関するさまざまな信号処理を実行するように構成される。次に、ベースバンド・プロセッサ905は、アプリケーション・プロセッサ910に結合され、これは、多くのよく知られたソーシャルメディアおよびマルチメディア・アプリなどのユーザー・アプリケーションに加えて、OSおよび他のシステムソフトウェアを実行するためのシステムのメインCPUでありうる。アプリケーション・プロセッサ910は、デバイスのための多様な他のコンピューティング動作を実行するようにさらに構成されうる。
【0082】
次に、アプリケーション・プロセッサ910は、ユーザーインターフェース/ディスプレイ920(たとえば、タッチスクリーンディスプレイ)に結合することができる。さらに、アプリケーション・プロセッサ910は、不揮発性メモリ、すなわちフラッシュメモリ930と、システムメモリ、すなわちDRAM 935とを含むメモリシステムに結合することができる。さらに見られるように、アプリケーション・プロセッサ910はまた、ビデオおよび/または静止画像を記録することができる一つまたは複数の画像キャプチャデバイスなどのキャプチャデバイス945に結合する。
【0083】
ユニバーサル集積回路カード(UICC)940は、加入者識別情報モジュールを備え、加入者識別情報モジュールは、いくつかの実施形態では、セキュアなユーザー情報を記憶するためのセキュアなストレージを含む。システム900は、アプリケーション・プロセッサ910に結合することができるセキュリティ・プロセッサ950(たとえば、トラステッドプラットフォームモジュール(TPM))をさらに含むことができる。一つまたは複数の多軸加速度計を含む複数のセンサー925は、アプリケーション・プロセッサ910に結合して、動きおよび他の環境情報などのさまざまな感知された情報の入力を可能にすることができる。加えて、一つまたは複数の認証デバイスは、たとえば、認証動作において使用するためのユーザーバイオメトリック入力を受信するために使用されてもよい。
【0084】
さらに示されるように、NFCアンテナ965を介してNFC近接場で通信する近接場通信(NFC)非接触インターフェース960が提供される。別個のアンテナが示されているが、いくつかの実装では、さまざまなワイヤレス機能を可能にするために1つのアンテナまたはアンテナの異なるセットが提供されうることを理解されたい。
【0085】
電力管理集積回路(PMIC)915は、アプリケーション・プロセッサ910に結合して、プラットフォームレベルの電力管理を実行する。この目的のために、PMIC 915は、必要に応じてある種の低電力状態に入るよう、電力管理要求をアプリケーション・プロセッサ910に発行しうる。さらに、プラットフォーム制約条件に基づいて、PMIC 915はまた、システム900の他の構成要素の電力レベルを制御しうる。
【0086】
一つまたは複数のモノのインターネット(IoT)ネットワークなどにおいて通信が送信および受信されることを可能にするために、ベースバンド・プロセッサ905とアンテナ990との間にさまざまな回路が結合されうる。具体的には、無線周波数(RF)トランシーバ970およびワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)トランシーバ975が存在しうる。一般に、RFトランシーバ970は、符号分割多元接続(CDMA)、グローバルモバイル通信システム(GSM(登録商標))、ロングタームエボリューション(LTE)、または他のプロトコルなどに従う5Gワイヤレス通信プロトコルなどの所与のワイヤレス通信プロトコルに従ってワイヤレスデータおよび通話を受信および送信するために使用されうる。さらに、GPSセンサー980が存在してもよく、位置情報がセキュリティ・プロセッサ950に提供される。無線信号(たとえば、AM/FM)および他の信号の受信または送信などの他のワイヤレス通信も提供されうる。さらに、WLANトランシーバ975を介して、Bluetooth(登録商標)またはIEEE802.11規格などによるローカル無線通信も実現することができる。
【0087】
図15は、本発明の別の実施形態によるシステムのブロック図を示す。マルチプロセッサシステム1000は、サーバーシステムなどのポイントツーポイント相互接続システムであり、ポイントツーポイント相互接続1050を介して結合された第1のプロセッサ1070と第2のプロセッサ1080とを含む。プロセッサ1070および1080のそれぞれは、第1および第2のプロセッサコア(すなわち、プロセッサコア1074aおよび1074bならびにプロセッサコア1084aおよび1084b)を含む、SoCなどのマルチコアプロセッサでありうるが、潜在的により多くのコアがプロセッサ内に存在しうる。加えて、プロセッサ1070および1080はそれぞれ、電力コントローラユニット1075および1085を含みうる。加えて、プロセッサ1070および1080はそれぞれ、アテステーション、IoTネットワークオンボーディングなどのセキュリティ動作を実行するためのセキュアなエンジンを含んでいてもよい。
【0088】
第1のプロセッサ1070は、メモリコントローラハブ(MCH)1072と、ポイントツーポイント(P-P)インターフェース1076および1078とをさらに含む。同様に、第2のプロセッサ1080は、MCH 1082と、P-Pインターフェース1086および1088とを含む。MCH 1072および1082は、プロセッサをそれぞれのメモリ、すなわち、それぞれのプロセッサにローカルに取り付けられたメインメモリ(たとえば、DRAM)の一部でありうるメモリ1032およびメモリ1034に結合する。第1のプロセッサ1070および第2のプロセッサ1080は、それぞれ、P-P相互接続1062および1064を介してチップセット1090に結合されうる。チップセット1090は、P-Pインターフェース1094および1098を含む。
【0089】
さらに、チップセット1090は、P-P相互接続1039によってチップセット1090を高性能グラフィックスエンジン1038と結合するためのインターフェース1092を含む。次に、チップセット1090は、インターフェース1096を介して第1のバス1016に結合されうる。さまざまな入出力(I/O)デバイス1014が、第1のバス1016を第2のバス1020に結合するバスブリッジ1018とともに、第1のバス1016に結合されうる。たとえば、キーボード/マウス1022、通信デバイス1026、および不揮発性記憶または他の大容量記憶デバイスなどのデータ記憶ユニット1028を含むさまざまなデバイスが、第2のバス1020に結合されうる。見られるように、データ記憶ユニット1028は、ある実施形態では、コード1030を含みうる。さらに見られるように、データ記憶ユニット1028はまた、保護されるべき機微な情報を記憶するための信頼される記憶装置1029を含む。さらに、オーディオI/O 1024を第2のバス1020に結合することができる。
【0090】
図16は、ウェアラブルデバイスまたは他の小型形状因子IoTデバイスを含みうるIoT環境を示す。1つの特定の実装では、ウェアラブルモジュール1300は、ウェアラブルデバイスの全部または一部として実装されうる単一の小型モジュール内に適合された複数の構成要素を含むIntel(登録商標)Curie(商標)モジュールでありうる。見られるように、モジュール1300は、コア1310を含む(当然ながら、他の実施形態では、2つ以上のコアが存在してもよい)。そのようなコアは、Intel Architecture(登録商標)Quark(商標)設計に基づくなど、比較的低複雑度の順序内コアでありうる。いくつかの実施形態では、コア1310は、信頼される実行環境(Trusted Execution Environment、TEE)を実装してもよい。コア1310は、一つまたは複数のバイオメトリックセンサー、モーションセンサー、環境センサー、または他のセンサー等の複数のセンサー1380と相互作用するように構成されうるセンサーハブ1320を含む、さまざまな構成要素に結合する。電力送達回路1330が、不揮発性記憶装置1340とともに存在する。ある実施形態では、この回路は、再充電可能なバッテリーと、ある実施形態では充電電力を無線で受信することができる再充電回路とを含むことができる。USB/SPI/I2C/GPIOプロトコルのうちの一つまたは複数と互換性のある一つまたは複数のインターフェース等の一つまたは複数の入出力(IO)インターフェース1350が存在してもよい。加えて、Bluetooth(登録商標)低エネルギーまたは他の短距離無線トランシーバでありうる、無線トランシーバ1390が、本明細書に説明されるような無線通信を可能にするために存在する。異なる実装では、ウェアラブルモジュールは、多くの他の形をとることができる。ウェアラブルおよび/またはIoTデバイスは、典型的な汎用CPUまたはGPUと比較して、小さな形状因子、低電力要件、制限された命令セット、比較的遅い計算スループット、または上記のいずれかを有する。
【0091】
実施形態は、多くの異なるタイプのシステムにおいて使用されうる。たとえば、ある実施形態では、通信通信デバイスは、本明細書で説明するさまざまな方法および技法を実行するように構成されることができる。もちろん、本発明の範囲は通信デバイスに限定されず、代わりに、他の実施形態は、命令を処理するための他のタイプの装置、またはコンピューティングデバイス上で実行されることに応答して、デバイスに、本明細書で説明される方法および技法のうちの一つまたは複数を実行させる命令を含む一つまたは複数の機械可読媒体に向けられることができる。
【0092】
プログラム命令を使用して、命令をプログラムされた汎用または専用処理システムに、本明細書で説明される動作を実行させることができる。代替的に、動作は、動作を実行するための固定構成の論理を含む特定のハードウェア構成要素によって、またはプログラムされたコンピュータ構成要素およびカスタムハードウェア構成要素の任意の組み合わせによって実行されうる。本明細書で説明される方法は、(a)方法を実行するように処理システムまたは他の電子デバイスをプログラムするために使用されうる命令を記憶している一つまたは複数の機械可読媒体を含みうるコンピュータ・プログラム・プロダクト、または(b)システムに方法を実行させるための命令を記憶した少なくとも1つの記憶媒体として提供されうる。本明細書で使用される「機械可読媒体」または「記憶媒体」という用語は、本明細書で説明される方法のうちのいずれか1つを機械に実行させる、機械による実行のための一連の命令を記憶またはエンコードすることができる任意の媒体(信号を含む一時的媒体、または非一時的媒体)を含むものとする。よって、「機械可読媒体」または「記憶媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、光ディスクおよび磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的EPROM(EEPROM)、ディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フラッシュメモリ、光磁気ディスクなどのメモリ、ならびに機械アクセス可能な生物学的状態保存または信号保存記憶などの、よりエキゾチックな媒体を含むが、これらに限定されない。媒体は、機械によって読み取り可能な形で情報を記憶、送信、または受信するための任意の機構を含むことができ、媒体は、アンテナ、光ファイバー、通信インターフェースなど、プログラムコードが通過することができる媒体を含むことができる。プログラムコードは、パケット、シリアルデータ、パラレルデータなどの形態で送されてもよく、圧縮または暗号化されたフォーマットで使用されてもよい。さらに、当技術分野では、何らかの形(たとえば、プログラム、プロシージャ、プロセス、アプリケーション、モジュール、論理など)のソフトウェアが、アクションを行う、または結果を引き起こすということが一般的である。そのような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行が、プロセッサにアクションを実行させるか、または結果を生成させることを述べる手短な方法にすぎない。
【0093】
本明細書で使用されるモジュールは、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを指す。しばしば、別個のものとして示されるモジュール境界は、変動があるのが普通であり、重複する可能性がある。たとえば、第1および第2のモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを共有してもよく、一方で、いくつかの独立したハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアを保持する可能性がある。ある実施形態では、論理という用語の使用は、トランジスタ、レジスタなどのハードウェア、またはプログラマブル論理デバイスなどの他のハードウェアを含む。しかしながら、別の実施形態では、論理は、ファームウェアまたはマイクロコードなどのハードウェアと統合されたソフトウェアまたはコードも含む。
【0094】
ここで、実施形態のさまざまな例を述べる。
【0095】
〔実施例1〕一つまたは複数の交流磁場(AMF)パルスを金属インプラントに加えるように構成された少なくとも1つの交流磁場(AMF)送信機と;少なくとも1つの関数発生器と;少なくとも1つのプロセッサと;前記少なくとも1つのプロセッサによって使用される場合に、前記少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つの関数発生器、および前記少なくとも1つの送信機に、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む動作を実行させるデータを記憶した少なくとも1つの機械可読媒体と、を備え、前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する、システム。
【0096】
「デューティサイクル」または電力サイクルは、1つの「周期」のうちの、信号またはシステムがアクティブである割合である。デューティサイクルは、普通、百分率または比として表される。周期は、信号がオンオフ・サイクルを完了するのにかかる時間である。デューティサイクル(比)は、D=(PW)/Tとして表すことができ、ここで、Dはデューティサイクルであり、PWはパルス幅(パルス・アクティブ時間)であり、Tは信号の総周期である。よって、60%のデューティサイクルは、信号が時間の60%でオンであるが、時間の40%でオフであることを意味する。60%デューティサイクルの「オン時間」は、周期の長さに依存して、1秒未満、1日、またさらには1週間であってもよい。
【0097】
他の実施形態では、前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1、2、3、4、5、または6%未満のデューティサイクルを有する。他の実施形態では、前記複数のAMFパルスのそれぞれは、0.5ミリ秒~20秒の周期を有する。
【0098】
実施例1の別のバージョン。一つまたは複数の交流磁場(AMF)パルスを金属インプラントに加えるように構成された少なくとも1つの交流磁場(AMF)送信機と;少なくとも1つの関数発生器と;少なくとも1つのプロセッサと;前記少なくとも1つのプロセッサによって使用される場合に、前記少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つの関数発生器、および前記少なくとも1つの送信機に、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む動作を実行させるデータを記憶した少なくとも1つの機械可読媒体と、を備え、前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび200ms~60秒の周期を有する、システム。
【0099】
〔実施例2〕前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有する、実施例1に記載のシステム。
【0100】
〔実施例3〕前記複数のパルスのそれぞれは、2ms~50msのパルス幅を有する、実施例1~2のいずれかに記載のシステム。
【0101】
〔実施例4〕実施例1~3のいずれかによるシステムであって、前記動作は、少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む。
【0102】
〔実施例5〕前記少なくとも1つの機械可読媒体は、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み;前記第1の金属インプラントは、第1の物理的輪郭を有し、前記第2の金属インプラントは、前記第1の物理的輪郭と等しくない第2の物理的輪郭を有し;前記第1のプロトコルは、第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例1~4のいずれかに記載のシステム。
【0103】
実施例5の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体が、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントが、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントが、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し;前記第1のプロトコルが、第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルが、前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例4に記載のシステム。
【0104】
実施例5の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体が、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントが、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントが、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し;前記第1のプロトコルが、治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルが、前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、実施例4に記載のシステム。
【0105】
たとえば、ソフトウェアは、異なるデバイスについて異なる処置プロトコルを使用するように、ユーザーインターフェースを介してユーザーに提供してもよい。同じ膝インプラントの2つの異なるサイズについて、2つの異なるプロトコルが使用されてもよい。同じ膝インプラントの2つの異なるブランドについて、2つの異なるプロトコルが使用されてもよい(1つのデバイスは製造業者1から、別のデバイスは製造業者2から)。
【0106】
〔実施例5.1〕前記物理的特性は、密度(kg/m^3)、電気伝導度(S/m)、比誘電率、または熱伝導度(W/(m・K))、比熱(J/(kg・K))のうちの1つを含む、実施例5に記載のシステム。
【0107】
〔実施例5.2〕実施例1~5.1のいずれか1つに記載のシステムであって、前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む。
【0108】
実施形態は多様であり、以下の表に見られるようなさまざまな範囲および範囲の組み合わせを含む。言い換えれば、以下の表における範囲内の異なる周波数は、図17の表の範囲内のさまざまな曝露持続時間(または他のパラメータ)と組み合わされうる。
【0109】
図12では、Ndose=2である(施与1710および施与1711を含む)。Δtdoseは1712で示される。texpは、1731、1732、1733、1734、1735、1736、1737、1738で示される。ある実施形態では、これらの値は互いに等しいが、他の実施形態では、これらの値はすべて互いに等しいわけではない。Nexp=4であり、施与1710についての曝露1701、1702、1703、1704と、施与1711についての曝露1705、1706、1707、1708とを含む。Nexpは、施与1710、1711のそれぞれについて同じであるが、他の実施形態では施与間で変化してもよい。Δtexpは、1721、1722、1723、1725、1726、1727で示される。ある実施形態では、これらの値は互いに等しいが、他の実施形態では、これらの値はすべて互いに等しいわけではない。
【0110】
図12では、例示的な周期はtexp+Δtexpを含む。デューティサイクルは、D=(PW)/Tとして表すことができ、この場合、D=(texp)/(texp+Δtexp)を含む。
【0111】
図13は、少なくとも1つのプロセッサによって実行できる方法200を扱う。上述したように、さまざまなプロトコルを決定することができる。たとえば、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第1のプロトコルが、第1の製造業者の金属ステントのために設計されてもよく、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第2のプロトコルが、第2の製造業者の金属ステントのために設計されてもよい。たとえば、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第1のプロトコルが、第1の抗生物質とともに使用するために設計されてもよく、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第2のプロトコルが、第2の抗生物質とともに使用するために設計されてもよい。たとえば、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第1のプロトコルが、第1の抗生物質の第1の投与量とともに使用するために設計されてもよく、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第2のプロトコルが、第1の抗生物質の第2の投与量とともに使用するために設計されてもよい。たとえば、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第1のプロトコルが、インプラントをコーティングする第1の材料(たとえば、銀ナノ粒子)とともに使用するために設計されてもよく、あるデューティサイクルまたは他の治療特性を含む第2のプロトコルが、インプラントをコーティングする第2の材料とともに使用するために設計されてもよい。これらのプロトコルは、物件Aにおいて扱ったようなシミュレーションに基づいていてもよい。ブロック201に示されるように、プロトコルは、少なくとも、パルス幅、デューティサイクル、施与の持続時間等によって異なりうる。
【0112】
ブロック202では、さまざまなプロトコルが、図14図15、または図16で扱ったメモリなどのデータベースに記憶されうる。
【0113】
ブロック203では、ユーザーは、処置されるべきインプラントについての自分の知識に基づいてプロトコルを選択することができる。プロトコルはまた、患者の年齢または体重、バイオフィルムのタイプ(たとえば、どのタイプの細菌がバイオフィルムを引き起こしているか)、インプラントが患者内のどこに位置するかなど、他の患者固有の詳細に基づいて選択されてもよい。しかしながら、ブロック204において、この情報は、たとえば、医療記録からインポートされてもよく、医療用インプラント情報をインポートすることは、そのインプラントに対応するプロトコルの自動選択につながる。ブロック205では、インプラントを識別するために撮像が使用されてもよく、識別されると、そのインプラントに固有のプロトコルが提案されてもよい。この画像識別は、医療記録に格納された情報と比較されてもよい。比較に基づいて、ユーザーは、適切なプロトコルを選択しうる(そのプロトコルは、すべてのプロトコルのサブセットであるリストに列挙されていてもよい)。諸プロトコルは、その範囲内でユーザーがパラメータを選択しうる受け入れ可能な範囲(たとえば、60~70℃の間の最大温度で、ユーザーが68℃を選択する)を提案してもよい。
【0114】
次に、ブロック206において、プロトコルが、プロトコル確認(ブロック207)、患者処置(ブロック208)、および患者記録の更新(ブロック209)とともにロードされる。
【0115】
さまざまな実施形態が金属インプラントを対象としているが、他の実施形態は、AMFによって誘導される電流について依然として伝導性を提供する他の材料とともに使用されてもよい。
【0116】
〔実施例5.21〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax=65℃、Δtexp=5分、tdose=15分を含む。
【0117】
〔実施例5.22〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax<80℃、Δtexpは2~7分、5~60分のtdose、10秒未満のtexpを含む。
【0118】
実施例5.22のいくつかの変形例では、texpは50ms未満である。実施例5.22のいくつかの変形例では、texpは1ms~50msである。
【0119】
いくつかの実施形態では、これらの値は、周囲組織を損傷から保護しながら、バイオフィルムを根絶する(すなわち、有意に低減する)ことが可能な治療施与をもたらす、曝露間の十分な冷却時間を伴う、インプラントの表面への短時間曝露を提供する臨界値である。
【0120】
実施例5.22の別のバージョン。実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、50℃から80℃の間のTmax、1~10分のΔtexp、5~120分のtdose、10秒未満のtexpを含む。
【0121】
〔実施例5.23〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax=65℃、Δtexp=5min、Nexp=12、Ndose=2、Δtdose=24h、および10秒未満のtexpを含む。
【0122】
〔実施例5.231〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax=55~75℃、Δtexp=2~7分、Nexp=5~20、Ndose=1~5、Δtdose=10~30時間、texp=2~10秒を含む。
【0123】
〔実施例5.24〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、金属インプラント上に含まれるバイオフィルムの細菌膜を破壊するように構成される。
【0124】
前記一つまたは複数の治療特性を調節できることは、予想外にも、耐性の機構に基づいてある種の多剤耐性細菌を減少させる能力を提供する。
【0125】
〔実施例5.25〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax=65℃、Δtexp=5min、Nexp=12、Ndose=2、Δtdose=24h、texp<10秒を含む。
【0126】
〔実施例5.26〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Tmax=45~85℃を含む。
【0127】
〔実施例5.27〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Δtexp=2~10分を含む。
【0128】
〔実施例5.28〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、3から50までの間のNexpを含む。
【0129】
〔実施例5.29〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Ndose=1~7を含む。
【0130】
〔実施例5.30〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、Δtdose=10~30時間を含む。
【0131】
〔実施例5.31〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、1~15秒のtexpを含む。
【0132】
〔実施例5.32〕実施例5.2によるシステムであって、前記治療特性は、300kHz未満の周波数を含む。これは、インプラントを取り囲む組織への害を低減するのに役立つ。他の実施形態は、175~225kHzの間、または150~25kHzの間である。
【0133】
実施例5の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体が、第1の金属インプラントのため構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み;前記第1の金属インプラントは第1の物理的特性を有し、前記第2の金属インプラントが前記第1の物理的特性と等しくない第2の物理的特性を有し;前記第1のプロトコルが治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルが前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、実施例4に記載のシステム。
【0134】
ある実施形態では、第1の物理的特性はバイオフィルムの第1のタイプに関し、第2の物理的特性はバイオフィルムの第2のタイプに関する。たとえば、第1および第2のタイプのバイオフィルムは、互いに等しくない第1および第2のタイプの細菌に関係しうる。プロトコルは、第2のタイプの細菌に比して、第1のタイプの細菌についてはより大きな最大温度を要求しうる。
【0135】
実施例5の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体が、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントが第1の物理的特性を有し、前記第2の金属インプラントが前記第1の物理的特性と等しくない第2の物理的特性を有し;前記第1のプロトコルが第1の治療特性を含み、前記第2のプロトコルが前記第1の治療特性と等しくない第2の治療特性を含む、実施例4に記載のシステム。
【0136】
たとえば、あるタイプの細菌は、パルス幅変調を使用して処置されうるが、最大温度を使用せず、別のタイプの細菌は、プログラムされた最大温度で処置されうる。
【0137】
〔実施例6〕前記第1のプロトコルは、第1の周期を含み、前記第2のプロトコルは、前記第1の周期と等しくない第2の周期を含む、実施例5~5.2のいずれかに記載のシステム。
【0138】
〔実施例7〕前記第1のプロトコルは第1のパルス幅を含み、前記第2のプロトコルは前記第1のパルス幅と等しくない第2のパルス幅を含む、実施例5または6に記載のシステム。
【0139】
〔実施例8〕前記第1のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第1の持続時間を含み、前記第2のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第2の持続時間を含み、前記第1の持続時間は、前記第2の持続時間と等しくない、実施例5~7のいずれかに記載のシステム。
【0140】
〔実施例9〕前記動作は、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、前記金属インプラントの表面上の温度を摂氏10度未満上昇させることを含む、実施例1~8のいずれかに記載のシステム。
【0141】
〔実施例10〕前記動作は、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、50~3000A/cm^2の、前記金属インプラントの表面上の電流を誘起することを含む、実施例1~9のいずれかに記載のシステム。
【0142】
〔実施例11〕少なくとも1つのセンサーを備え、前記動作は、前記少なくとも1つのセンサーを用いてパラメータを感知することと;前記パラメータの感知に応答して、前記デューティサイクルまたは前記周期のうちの少なくとも1つを変更することとを含む、実施例1~10のいずれかによるシステム。
【0143】
〔実施例11.1〕実施例11によるシステムであって、前記動作は、前記パラメータの感知に応答して前記治療特性を変更することを含む。
【0144】
〔実施例12〕前記パラメータは、音、温度、共鳴、エネルギー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施例11~11.1に記載のシステム。
【0145】
たとえば、これは、インプラントの直近の領域における音または温度を含みうる。たとえば、米国特許出願公開第2019/0159725号に記載されているようなシステムを参照されたい。
【0146】
さらに、感知は、インプラントに埋め込まれたまたは結合された感知と協働してもよい。たとえば、インプラント自体が内蔵温度モニターを有する場合、そのようなモニターは、無線(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)でシステムと通信する。よって、システムは、デバイス付近の温度を感知し、その温度を目標温度(Tmaxまたはそのある割合など)に調整するよう、治療特性(たとえば、デューティサイクル)を変化させることができる。
【0147】
〔実施例21〕一つまたは複数の交流磁場(AMF)パルスを金属インプラントに印加するように構成された少なくとも1つのAMF送信器と;少なくとも1つの関数発生器と;少なくとも1つのプロセッサと;前記少なくとも1つのプロセッサによって使用された場合に、前記少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つの関数発生器、および前記少なくとも1つの送信器に、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに伝達することを含む動作を実行させるデータを記憶した少なくとも1つの機械可読媒体と、を備え、前記少なくとも1つの機械可読媒体は、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントは、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントは、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し;前記第1のプロトコルは、治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルは、前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、システム。
【0148】
〔実施例22〕前記物理的特性は、密度(kg/m^3)、電気伝導度(S/m)、比誘電率、または熱伝導度(W/(m・K))、比熱(J/(kg・K))のうちの1つを含む、実施例21に記載のシステム。
【0149】
〔実施例23〕前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む、実施例21~22のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0150】
〔実施例24〕前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有する、実施例21~23のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0151】
〔実施例25〕前記複数のパルスのそれぞれは、2ms~50msのパルス幅を有する、実施例21~24のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0152】
〔実施例26〕実施例21~25のいずれかによるシステムであって、前記動作は、少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む。
【0153】
〔実施例27〕前記第1のプロトコルは第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルは前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例21~26のいずれか一項に記載のシステム。
【0154】
〔実施例28〕前記第1のデューティサイクルが1%未満である、実施例27のシステム。
【0155】
〔実施例29〕前記第1のプロトコルは第1の周期を含み、前記第2のプロトコルは前記第1の周期と等しくない第2の周期を含む、実施例21~28のいずれか一項に記載のシステム。
【0156】
〔実施例30〕前記第1の周期は1msから60秒までの間である、実施例28のシステム。
【0157】
〔実施例31〕前記第1のプロトコルは、第1のパルス幅を含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のパルス幅と等しくない第2のパルス幅を含む、実施例21~30のいずれか一項に記載のシステム。
【0158】
〔実施例32〕前記第1のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第1の持続時間を含み、前記第2のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第2の持続時間を含み、前記第1の持続時間は、前記第2の持続時間と等しくない、実施例21~31のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0159】
〔実施例33〕前記動作は、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、前記金属インプラントの表面上の温度を摂氏10度未満上昇させることを含む、実施例21~32のいずれか一項に記載のシステム。
【0160】
〔実施例34〕前記動作は、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信して、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、50~3000 A/cm^2の前記金属インプラントの表面上の電流を誘起することを含む、実施例21~33のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0161】
〔実施例35〕少なくとも1つのセンサーを備え、前記動作は、前記少なくとも1つのセンサーを用いてパラメータを感知することと、前記パラメータの感知に応答して、デューティサイクルまたは周期のうちの少なくとも1つを変更することとを含む、実施例21~34のうちいずれか一項に記載のシステム。
【0162】
〔実施例36〕実施例35によるシステムであって、前記動作は、前記パラメータの感知に応じて前記治療特性を変更することを含む。
【0163】
〔実施例37〕前記パラメータは、音、温度、共鳴、エネルギー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施例35~36のいずれかに記載のシステム。
【0164】
〔実施例41〕実施例1~37のいずれかに記載の少なくとも1つの機械可読媒体。
【0165】
たとえば、ある実施形態は、AMF送信機、関数発生器、コンピュータなどから独立したソフトウェアを含む。
【0166】
〔実施例51〕少なくとも1つのプロセッサによって実行される方法であって、ユーザーがユーザーインターフェースを介して第1または第2のプロトコルのうちの1つを選択することに応答して、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信するステップを含み、前記第1のプロトコルは第1の金属インプラントのために構成され、前記第2のプロトコルは第2の金属インプラントのために構成され、前記第1の金属インプラントは物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントは前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し、前記第1のプロトコルは治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルは前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、方法。
【0167】
〔実施例52〕前記物理的特性は、密度(kg/m^3)、電気伝導度(S/m)、比誘電率、または熱伝導度(W/(m・K))、比熱(J/(kg・K))のうちの1つを含む、実施例51に記載のシステム。
【0168】
〔実施例53〕前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む、実施例51~52のうちいずれか一項に記載の方法。
【0169】
〔実施例54〕前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有する、実施例51~53のうちいずれか一項に記載の方法。
【0170】
〔実施例55〕前記複数のパルスのそれぞれは、2ms~50msのパルス幅を有する、実施例51~54のうちいずれか一項に記載の方法。
【0171】
〔実施例56〕実施例51~55のいずれかによる方法であって、少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む。
【0172】
〔実施例57〕前記第1のプロトコルは第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルは前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例51~56のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
〔実施例58〕前記第1のデューティサイクルが1%未満である、実施例57の方法。
【0174】
〔実施例59〕前記第1のプロトコルは第1の周期を含み、前記第2のプロトコルは前記第1の周期と等しくない第2の周期を含む、実施例51~58のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
〔実施例60〕前記第1の周期は1msから60秒までの間である、実施例58の方法。
【0176】
〔実施例61〕前記第1のプロトコルは、第1のパルス幅を含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のパルス幅と等しくない第2のパルス幅を含む、実施例51~60のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
〔実施例62〕前記第1のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第1の持続時間を含み、前記第2のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第2の持続時間を含み、前記第1の持続時間は、前記第2の持続時間と等しくない、実施例51~61のうちいずれか一項に記載の方法。
【0178】
〔実施例63〕複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、前記金属インプラントの表面上の温度を摂氏10度未満上昇させることを含む、実施例51~62のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
〔実施例64〕複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信して、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、50~3000 A/cm^2の前記金属インプラントの表面上の電流を誘起することを含む、実施例51~63のうちいずれか一項に記載の方法。
【0180】
〔実施例65〕少なくとも1つのセンサーを用いてパラメータを感知することと、前記パラメータの感知に応答して、デューティサイクルまたは周期のうちの少なくとも1つを変更することとを含む、実施例51~64のうちいずれか一項に記載の方法。
【0181】
〔実施例66〕実施例65による方法であって、前記パラメータの感知に応じて前記治療特性を変更することを含む。
【0182】
〔実施例67〕前記パラメータは、音、温度、共鳴、エネルギー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施例65~66のいずれかに記載の方法。
【0183】
〔実施例71〕
少なくとも1つの交流磁場(AMF)送信機と、少なくとも1つの関数発生器と、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって使用される場合に、前記少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つの関数発生器、および前記少なくとも1つの送信機に、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む動作を実行させて、複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信させるデータを記憶した少なくとも1つの機械可読媒体とを使用することを含み、前記複数のAMFパルスのそれぞれは、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する、方法。
【0184】
〔実施例72〕前記複数のAMFパルスは、5ミリテスラ(mT)以下の磁場を有する、実施例71に記載の方法。
【0185】
〔実施例73〕前記複数のパルスのそれぞれは、2ms~50msのパルス幅を有する、実施例71~7のうちいずれか一項に記載の方法。
【0186】
〔実施例74〕実施例1~3のいずれかによる方法であって、少なくとも30分の持続時間にわたって、前記複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信することを含む。
【0187】
〔実施例75〕ユーザーが第1および第2のプロトコルのうちの少なくとも1つを選択し、前記少なくとも1つの機械可読媒体が、第1の金属インプラントのために構成された前記第1のプロトコルおよび第2の金属インプラントのために構成された前記第2のプロトコルを含み、前記第1の金属インプラントが第1の物理的輪郭を有し、前記第2の金属インプラントが前記第1の物理的輪郭と等しくない第2の物理的輪郭を有し、前記第1のプロトコルが第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルが前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例71~74のうちいずれか一項に記載の方法。
【0188】
実施例75の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体は、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントは、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントは、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し、前記第1のプロトコルは、第1のデューティサイクルを含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のデューティサイクルと等しくない第2のデューティサイクルを含む、実施例74に記載の方法。
【0189】
実施例75の別のバージョン。前記少なくとも1つの機械可読媒体は、第1の金属インプラントのために構成された第1のプロトコルと、第2の金属インプラントのために構成された第2のプロトコルとを含み、前記第1の金属インプラントは、物理的特性の第1の大きさを有し、前記第2の金属インプラントは、前記物理的特性の前記第1の大きさと等しくない前記物理的特性の第2の大きさを有し、前記第1のプロトコルは、治療特性の第1の大きさを含み、前記第2のプロトコルは、前記治療特性の前記第1の大きさと等しくない前記治療特性の第2の大きさを含む、実施例74に記載の方法。
【0190】
〔実施例75.1〕前記物理的特性は、密度(kg/m^3)、電気伝導度(S/m)、比誘電率、または熱伝導度(W/(m・K))、比熱(J/(kg・K))のうちの1つを含む、実施例75に記載の方法。
【0191】
〔実施例75.2〕前記治療特性は、施与の総数(Ndose)、各パルスについての曝露時間の長さ(秒)(texp)、施与のパルス間の時間の長さ(Δtexp)、各施与についてのAMFパルスの数(Nexp)、各施与の持続時間(時間(hours))(施与持続時間またはtdose)、金属インプラントが冷却することを許容するための、前記施与のうちの2つの間の固定した時間間隔(分)(Δtdose)、金属インプラントについての最大目標温度(摂氏度)(Tmax)のうちの1つを含む、実施例71~75.1のうちいずれか一項に記載の方法。
【0192】
〔実施例76〕前記第1のプロトコルは第1の周期を含み、前記第2のプロトコルは前記第1の周期と等しくない第2の周期を含む、実施例75~75.2のいずれか一項に記載の方法。
【0193】
〔実施例77〕前記第1のプロトコルは、第1のパルス幅を含み、前記第2のプロトコルは、前記第1のパルス幅と等しくない第2のパルス幅を含む、実施例75~76のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
〔実施例78〕前記第1のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第1の持続時間を含み、前記第2のプロトコルは、複数のパルスを前記送信機に印加するための第2の持続時間を含み、前記第1の持続時間は、前記第2の持続時間と等しくない、実施例75~77のうちいずれか一項に記載の方法。
【0195】
〔実施例79〕複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信し、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、前記金属インプラントの表面上の温度を摂氏10度未満上昇させることを含む、実施例71~78のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
〔実施例80〕複数のAMFパルスを前記金属インプラントに通信して、1%未満のデューティサイクルおよび1ms~60秒の周期を有する前記複数のパルスのそれぞれに応答して、50~3000 A/cm^2の前記金属インプラントの表面上の電流を誘起することを含む、実施例71~79のうちいずれか一項に記載の方法。
【0197】
〔実施例81〕少なくとも1つのセンサーを用いてパラメータを感知することと、前記パラメータの感知に応答して、デューティサイクルまたは周期のうちの少なくとも1つを変更することとを含む、実施例71~80のうちいずれか一項に記載の方法。
【0198】
〔実施例81.1〕実施例75.2および81による方法であって、前記パラメータの感知に応じて前記治療特性を変更することを含む。
【0199】
〔実施例82〕前記パラメータは、音、温度、共鳴、エネルギー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施例81に記載の方法。
【0200】
〔実施例83〕前記AMFパルスの受領者が前記AMFパルスを受けてから1週間以内に、前記AMFパルスの受領者に薬剤を投与することを含む、実施例51~81のいずれか一項に記載の方法。
【0201】
しかしながら、いくつかの実施形態では、患者がAMFパルスの施与を受けてから1週間以内には薬剤(たとえば、抗生物質)は投与されない。
【0202】
出願人は、温度制御された水浴中の伝導性加熱からの同等の曝露が無効であったとしても、抗生物質と組み合わせた場合に、低温を生成するAMF曝露(すなわち、一連の曝露において2時間にわたって50℃)がバイオフィルムに対して毒性であったという特異な結果を観察した。出願人は、AMFから電流を生成する実施形態が、抗生物質に対するバイオフィルムの敏感化に寄与することを判別した。出願人は、高い表面電流を生成するが、熱が消散して組織を傷つけないようにバースト間に十分な時間を残す、低いデューティサイクルを有する短い持続時間のバーストを評価した。これらは予想外の治療結果を提供した。最初に思いつく考えは、バイオフィルムの減少は主にフィルムの温度の関数であるというものでありうるが、出願人は、断続的に適用される低パルス幅などの特性が、抗生物質と組み合わされた場合に、インプラントの周囲の組織を害する可能性がある高温に頼る必要なく、バイオフィルムを減少させることができることを判別することができた。
【0203】
このように、予期せぬ結果が生じた。予想は、抗生物質と組み合わせた低レベルのエネルギーはバイオフィルムを減少させないであろうということであった。
【0204】
〔実施例84〕前記金属インプラント上の温度を、2分より長い間、50~80℃の間に維持することを含む、実施例51~83いずれか一項に記載の方法。
【0205】
〔実施例85〕患者に抗生物質を投与することと;組織熱施与の、付随した上昇なしにインプラント表面上で治療的である熱施与を許容するために、曝露と曝露の間に十分な冷却時間をもって、患者内の金属インプラントに短い持続時間のAMF曝露を繰り返し施すこととを含む、方法。
【0206】
〔実施例86〕組織熱施与の、付随した上昇なしにインプラント表面上で治療的である熱施与を許容するように構成された少なくとも1つのAMFパラメータを調整するステップを含み、前記少なくとも1つのAMFパラメータは、インプラント上の最大温度、患者へのAMFインパルスの印加の持続時間、および施与当たりの曝露数のうちの少なくとも1つを含む、実施例85に記載の方法。
【0207】
有意な電流を依然として発生させながら、低温の処置を非侵襲的に誘導する能力は、実施形態を従来のシステム/方法と区別する。また、より低い温度の処置が望ましいので、より低い電力増幅器が必要とされる。そのような増幅器は、より大きな増幅器よりも手頃であり、より小さなサイズの診療所にとってシステムをより手頃にするはずである。
【0208】
実施形態は、ユーザーインターフェースを含んでいてもよい。そのようなユーザーインターフェースは、タッチスクリーンを含んでいてもよい。そのような実施形態は、処置を提供するためのいかなるインターネット接続も必要とせずに、独立型機器として動作しうる。しかしながら、処置の前に患者撮像データをダウンロードするために無線接続を使用してもよい。実施形態は、臨床場面(たとえば、外来患者または手術室)において使用されてもよい。整形外科医が最初にシステムを使用してもよいが、操作は、整形外科医の監督および指揮の下で技師に委譲されてもよい。技師は、システムをセットアップし(たとえば、デバイスの電源を入れ、適切な患者記録/画像をダウンロードし、処置トランスデューサ・コイルを患者処置領域の上または周囲に配置する)、処置の持続時間にわたって患者と一緒にいることができる。
【0209】
実施形態は、安全センサー(たとえば、処置されるインプラントに隣接する組織を監視する音響センサー)から高温信号が受信される場合、または処置トランスデューサ・コイルの駆動において何らかの異常が検出される場合、論理を介して、処置の中断を提供してもよい。異常は、コイル短絡(過電流)、コイル開放(不足電流)、ガントリアーム移動などを含む。
【0210】
ユーザーインターフェースの実施形態は、名前、患者ID番号、日付および時間、インプラントを選択するためのメニュー、確認ボタンを伴うインプラントの画像等の患者データ入力フィールドを含んでいてもよい。よって、本明細書で言及されるプロトコルは、さまざまな物理的パラメータを有する、あるタイプのインプラントの選択に基づいて選択されうる。ユーザーインターフェースは、選択された処置パラメータを表示してもよい。
【0211】
ユーザーインターフェースは、位置決め情報のためのエリアを含んでいてもよい(たとえば、オペレータが処置トランスデューサ・コイル位置情報を入力する)。画面は、インプラントの画像、「正しく位置決め済み」ボタン(オペレータが処置トランスデューサの正しい位置を確認するため)、および「処置開始」ボタンを含んでいてもよい。ユーザーインターフェースは、処置情報のためのエリアを含んでいてもよい。画面は、選択された処置パラメータの表示、処置の時間表示(プログレスバー)、「処置停止」ボタン、および「処置完了」インジケータを含んでいてもよい。ユーザーインターフェースは、エラー情報(たとえば、処置および他の動作が停止されている)のためのエリアを含んでいてもよい。画面は、エラー:「処置が停止されました」および「エラーの原因」(たとえば、過温度、オペレータが所定の処置時間より前に停止した、高/低処置パワー)を示してもよい。
【0212】
参考文献
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0213】
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補足参考文献
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【0216】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、当業者は、それらからの多数の修正および変形を理解するであろう。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内に入るそのようなすべての修正および変形を包含することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
【国際調査報告】