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特表2024-513406ガス供給カップおよびガスマニホールドアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ガス供給カップおよびガスマニホールドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240315BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240315BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240315BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/44 J
H01L21/205
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560635
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 FI2022050201
(87)【国際公開番号】W WO2022207977
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】20215375
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115871
【氏名又は名称】ベネク・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Beneq Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ソイニネン,ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリン,ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション,ヨーナス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030DA06
4K030EA03
4K030HA01
4K030KA45
5F045AA03
5F045AA15
5F045BB08
5F045EB05
5F045EE02
(57)【要約】
本発明は、原子層堆積装置の固定ガスマニホールド構造体(2)に取り外し可能に設けられるガス供給カップ(1)に関する。ガス供給カップ(1)は、カップ底部(10);およびカップ底部(10)を囲むカップ壁部(20)を備える。カップ底部(10)は、カップ底部(10)を通り、カップ底部の外表面(11)からカップ底部の(10)の他方の側のカップ底部の内表面(12)にまで延在するガス供給チャネル(13)を備える。カップ壁部(20)は、カップ壁部(20)とカップ底部の内表面(12)とによってガス供給空間(30)が形成されるように、カップ底部(10)の内表面側にて、カップ底部(10)から離れる方向に、カップ底部(10)に対して横方向に延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積装置のガス供給カップ(1)であって、ガス供給カップ(1)は、
原子層堆積装置の固定ガスマニホールド構造体(2)に取り外し可能に設けられ、
カップ底部(10)であって、カップ底部(10)を通じて、カップ底部の外表面(11)からカップ底部(10)の反対側のカップ底部の内表面(12)に延在する複数のガス供給チャネル(13)を備える、カップ底部(10);および
カップ底部(10)を囲み、カップ底部(10)の内表面側にて、カップ壁部(20)とカップ底部の内表面(12)とによってガス供給空間(30)が形成されるように、カップ底部(10)から離れる方向に、カップ底部(10)に対して横方向に延在する、カップ壁部(20)
を備え、
ガス供給空間(30)よりもカップ底部(10)の外側にフランジ(40)が形成されるように、カップ壁部(20)は、カップ底部(10)の外表面側にて、カップ底部(10)から離れる方向に、少なくとも部分的にさらに延在する
ことを特徴とする、ガス供給カップ(1)。
【請求項2】
カップ底部の外表面(11)において、ガス供給チャネル(13)の入口開口部(13a)が、カップ底部の内表面(12)におけるガス供給チャネル(13)の出口開口部(13b)よりも小さくなるように、ガス供給チャネル(13)の少なくとも1つが、カップ底部(10)を通る円錐形状を形成することを特徴とする、請求項1に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項3】
フランジ(40)が、ガス供給カップ(1)と位置合わせするために、固定ガスマニホールド構造体(2)の対向セクションに接続して配置される位置合わせセクション(41)を備え、これにより、ガス供給チャネル(13)が固定ガスマニホールド構造体(2)のそれぞれのガス供給チャネルと位置合わせされることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項4】
ガス供給カップ(1)が、ガス供給空間(30)に配置されるガス均質化表面(31)を備え、前記ガス均質化表面(31)は、カップ底部の内表面(12)から距離をおいて、カップ底部の内表面(12)に対して少なくとも部分的に平行に配置され、カップ底部の内表面(12)とガス均質化表面(31)との間にガス均質化ゾーン(32)を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のガス供給カップ(1)。
【請求項5】
ガス均質化ゾーン(32)を介して、ガス供給チャネル(13)からガス均質化ゾーン(32)の外側のガス供給スペース(30)にガスを流すために、ガス均質化表面(31)が、均質化表面(31)を通り、ガス均質化ゾーン(32)からガス均質化ゾーン(32)の外側のガス供給空間(30)までの通路(31a)を備えることを特徴とする、請求項4に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項6】
ガス供給カップ(1)がガス供給空間(30)に配置されるガス混合錐体(33)をさらに備え、カップ底部の内表面(12)とガス混合錐体(33)との間にガス混合ゾーン(34)を形成するため、前記ガス混合錐体(33)がカップ底部の内表面(12)から距離をおいて配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のガス供給カップ(1)。
【請求項7】
ガス混合錐体(33)は、ガス混合錐体(33)の頂点(35)がカップ底部の内表面(12)から最も離隔するように、ガス供給空間(30)に配置され、ガス混合ゾーン(34)からガス混合ゾーン(34)の外側のガス供給空間(30)への流路を供するため、カップ壁部(20)から距離を置いてガス混合錐体(33)を配置することにより、ガス混合錐体(33)とカップ壁部(20)との間にガス流動ゾーン(36)が設けられていることを特徴とする、請求項6に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項8】
ガス供給カップ(1)が、ガス供給空間(30)に配置されるガス混合錐体(33)をさらに備え、ガス均質化表面(31)とガス混合錐体(33)との間にガス混合ゾーン(34)を形成するため、ガス混合錐体(33)がガス均質化表面(31)から距離を置いて配置されることを特徴とする、請求項4または5に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項9】
ガス混合錐体(33)は、ガスガス混合錐体(33)の頂点(35)がガス均質化表面(31)から最も離隔するように、ガス供給空間(30)に配置され、ガス混合ゾーン(34)からガス混合ゾーン(34)の外側のガス供給空間(30)への流路を供するため、カップ壁部から距離を置いてガス混合錐体(33)を配置することにより、ガス混合錐体(33)とカップ壁(20)との間にガス流動ゾーン(36)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のガス供給カップ(1)。
【請求項10】
原子層堆積装置のガスマニホールドアセンブリであって、ガスマニホールドアセンブリが、
原子層堆積装置の固定部分として原子層堆積装置に設けられるガスマニホールド構造体(2);
カップ底部(10)を有し、カップ底部(10)を通じて、カップ底部の外表面(11)からカップ底部(10)の他方の側のカップ底部の内表面(12)に延在する複数のガス供給チャネル(13)を備えるガス供給カップ(1);および
ガスマニホールド構造体(2)に接続されるガス案内構造体(5)
を備え、
ガスマニホールド構造体(2)が、ガス源からマニホールド表面(21)に延在する複数のガス供給チャネル(23)を備え、
ガス供給カップ(1)は、カップ底部の外表面(11)がマニホールド表面(2)に対して配置されるように、ガスマニホールド構造体(2)と接続して取り外し可能に配置され、ガス供給カップ(1)のガス供給チャネル(13)は、連続的なガス供給チャネルを形成するためにガスマニホールド構造体(2)のそれぞれのガス供給チャネル(23)と位置合わせされ、
ガス案内構造体(5)が、ガスマニホールド構造体(2)と原子層堆積装置の反応チャンバとの間に延在し、ガス案内構造(5)は、ガス源から、ガスマニホールド構造体(2)のガス供給チャネル(23)を通り、ガス供給カップ(1)のガス供給チャネル(13)をさらに通り、原子層堆積装置の反応チャンバにまでガスを案内するように配置される
ことを特徴とする、ガスマニホールドアセンブリ。
【請求項11】
ガス供給カップ(1)が、重力を用いてガスマニホールド構造体(2)に位置付けられ、ガス供給カップ(1)のガス供給チャネル(13)は、位置合わせ構造によってガスマニホールド構造体(2)のガス供給チャネル(23)と位置合わせされることを特徴とする、請求項10に記載のガスマニホールドアセンブリ。
【請求項12】
位置合わせ構造が、ガス供給カップ(1)のガス供給チャネル(13)をガスマニホールド構造体(2)のそれぞれのガス供給チャネル(23)と位置合わせするため、固定されたガスマニホールド構造体(2)における対向セクションに接続して配置されるガス供給カップ(1)の位置合わせセクション(41)を備えることを特徴とする、請求項11に記載のガスマニホールドアセンブリ。
【請求項13】
位置合わせセクション(41)が、ガス供給カップ(1)のフランジ(40)に接続して配置されることを特徴とする、請求項12に記載のガスマニホールドアセンブリ。
【請求項14】
ガス供給カップ(1)が、請求項1~9のいずれかに記載のものであることを特徴とする、請求項10~13のいずれかのガスマニホールドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ガス供給カップに関し、より詳細には、独立請求項1の前提部に規定されるガス供給カップに関する。
【0002】
本発明はさらに、ガスマニホールドアセンブリに関し、より詳細には、独立請求項10の前提部に規定されるガスマニホールドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明は、原子層堆積(ALD)装置に関し、原子層堆積中に、基板表面を交互にガス状前駆体に曝すことにより、基板上に膜を成長させる。これらのガス状前駆体が表面に曝されると、反応して表面に膜が形成される。膜が成長した部分は、頻繁に取り外して洗浄する必要がある。膜の成長は、気体が互いに接触して(または出会って、meet)混合される混合ポイントから開始する。このポイントは、例えば、原子層堆積装置内の混合管またはその他の部品であってよい。この部品と、この混合ポイントからポンプラインまでの他の部品は、洗浄のために取り外す必要がある。このような部品は一般に取り外しが困難であり、作業者が接続部を開いて洗浄する部品に到達できるようにするためには、装置全体を冷却する必要がある。このサイズの装置をゆっくり冷却・加熱するには、生産時間外の時間がかかる。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、ガス状前駆体が初めて接触する、アクセスが容易で取り外し可能な混合ポイントを提供することである。
【0005】
本発明の目的は、独立請求項に記載されていることを特徴とするガス供給カップおよびガスマニホールドアセンブリによって達成される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に開示されている。
【0006】
本発明は、プロセス時間を節約し、原子層堆積装置のメンテナンス時間を最小化するために、前駆体ガスが初めて接触する混合部について、原子層堆積装置から取り外して清浄なものと交換できる、取り外し可能でコンパクトな混合部を提供するという考えに基づいている。
【0007】
本発明に係るガス供給カップは、原子層堆積装置の固定ガスマニホールド構造体に取り外し可能に設けられる。固定ガスマニホールド構造体は、原子層堆積装置のガス源からの複数のガスチャネル(gas channels)を提供する。ガス供給カップは、ガスが供給される反応チャンバの前に、固定ガスマニホールド構造体と連通して設けられる。ガス供給カップは、カップ底部とカップ壁部を備える。カップ底部は、カップ底部の外表面から、カップ底部を通り、カップ底部の他方の側のカップ底部の内表面およびカップ壁部にまで延びるガス供給チャネルを備える。カップ壁部は、カップ底部を取り囲み、カップ底部の内表面側でカップ底部から離れる方向にカップ底部に対して横方向に延び、カップ壁部とカップ底部の内表面によってガス供給空間を形成する。さらに、カップ壁部は、カップ底部の外表面側において、少なくとも一部がカップ底部から離れる方向に延びており、カップ底部のガス供給空間とは反対側にフランジが形成されている。
【0008】
ガス供給カップは、円筒形の外表面を有する円周カップであることが好ましい。フランジは、固定ガスマニホールド構造体への取り付け構造を提供するために、付加的な形状を有するか、または円筒形の表面は、ある部分を欠いていてもよい。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つのガス供給チャネルは、カップ底部の外表面におけるガス供給チャネルの入口開口部がカップ底部の内表面におけるガス供給チャネルの出口開口部よりも小さくなるように、カップ底部を通る(または介するもしくは貫通する、through)円錐形状を形成する。円錐形状を有するガス供給チャネルは、好ましくはカップ底部の中間セクションまたはカップ底部の中央に設けられる。
【0010】
本発明によれば、フランジは、ガス供給チャネルが固定ガスマニホールド構造体のそれぞれのガス供給チャネル(または関連ガス供給チャネル、the relative gas feeding channels)と位置合わせするようにガス供給カップを位置合わせさせるため、固定ガスマニホールド構造体の対向セクション(またはカウンター部、a counter section)に接続するように配置される位置合わせセクション(またはアライメント部もしくは整列セクション、an alignment section)を備える。
【0011】
位置合わせセクションは、好ましくは突出部としてフランジに設けられ、そうでなければ対称的なフランジに不連続点を形成する。あるいは、フランジは対称ではなく、位置合わせセクションは、供給カップを固定ガスマニホールド構造体に正しく配置する位置合わせ部分を形成する。
【0012】
本発明によれば、ガス供給カップは、ガス供給空間に配置されるガス均質化表面を備える。前記ガス均質化表面は、カップ底部の内表面とガス均質化表面との間にガス均質化ゾーンを形成するために、カップ底部の内表面から距離をおいて、カップ底部の内表面と少なくとも部分的に平行に配置される。
【0013】
ガス均質化表面は、カップ底部に配置されたガス供給チャネルに少なくとも部分的に対向して設けられることが好ましい。ガス均質化表面は、カップ壁部またはカップ底部に接続されるプレートであってよい。プレートは、ガス供給カップの中央にガスの流路を提供する円弧形状であってよい。あるいは、プレートは、ガス供給空間の中心にカップ底部と平行に設けられ、プレートの縁とカップ壁部との間にガスの流路を供してもよい。あるいは、ガス均質化表面は、カップ壁部と均質化表面との間、およびガス供給空間の中央にガスの流路を提供してもよい。
【0014】
本発明によれば、ガス均質化表面は、ガス供給チャネルからガス均質化ゾーンを通じてガス均質化ゾーンの外側のガス供給スペースにガスが流れるようにするために、ガス均質化ゾーンから均質化表面を通じてガス均質化ゾーンの外側のガス供給スペースに至る通路を備える。ガス均質化表面の通路はガスの流路を供する。
【0015】
本発明によれば、ガス供給カップは、ガス供給空間に配置されるガス混合錐体(またはガス混合コーン、a gas mixing cone)をさらに備える。前記ガス混合錐体は、カップ底部の内表面とガス混合錐体との間にガス混合錐体を形成するために、カップ底部の内表面から距離をおいて配置される。ガス混合錐体は、カップ底部またはカップ壁部に接続されてよい。
【0016】
本発明によれば、ガス混合錐体は、ガス混合錐体の頂点がカップ底部の内表面から最も離隔するようにガス供給空間に配置される。また、ガス混合ゾーンからガス混合ゾーンの外側のガス供給空間への流路を提供するために、カップ壁部から距離をおいてガス混合錐体を配置することにより、ガス混合錐体とカップ壁部との間にガス流動ゾーンが設けられる。あるいは、ガス混合錐体は、ガス混合ゾーンからガス混合ゾーンの外側のガス供給空間へのガス流路を提供するために、錐体の上部に開口部を備えてもよい。
【0017】
本発明によれば、ガス供給カップは、ガス供給空間に配置されるガス混合ゾーンをさらに備える。前記ガス混合錐体は、ガス均質化表面とガス混合錐体との間にガス混合錐体を形成するために、ガス均質化表面から距離をおいて配置される。ガス混合錐体は、ガス均質化表面に接続されてもよく、代替的にまたは付加的には、カップ壁部に接続されてよく、代替的にまたは付加的には、カップ底部に接続されてもよい。
【0018】
本発明によれば、ガス混合錐体は、ガス混合錐体の頂点がガス均質化表面から最も離れるようにガス供給空間に配置される。また、ガス混合ゾーンからガス混合ゾーンの外側のガス供給空間への流路を提供するために、カップ壁部から距離をおいてガス混合錐体を配置することにより、ガス混合錐体とカップ壁部との間にガス流動ゾーンが設けられる。
【0019】
本発明の代替実施形態によれば、ガス混合錐体は、ガス混合錐体の頂点がガス均質化表面に最も近くなるようにガス供給空間に配置される。また、ガス混合ゾーンからガス混合ゾーンの外側のガス供給空間への流路を提供するために、カップ壁部から距離を置いてガス混合錐体を配置することにより、ガス混合錐体とカップ壁部との間にガス流路ゾーンが設けられる。
【0020】
本発明によれば、ガス混合錐体は、ガス混合凹面またはガス混合曲面で置き換えられ得る。
【0021】
本発明に係る原子層堆積装置のガスマニホールドアセンブリは、ガスマニホールド構造体と、ガスマニホールド構造体に連結して取り外し可能に配置されるガス供給カップと、ガスマニホールド構造体に連結するガス案内構造体とを備える。ガスマニホールド構造体は、原子層堆積装置の固定部分として原子層堆積装置に設けられる。ガスマニホールド構造体は、ガス源からマニホールド表面まで延びる複数のガス供給チャネルを備える。ガス供給カップは、カップ底部を有し、カップ底部を通じてカップ底部の外表面からカップ底部の反対側のカップ底部の内表面にまで延びる複数のガス供給チャネルを備える。ガス供給カップは、カップ底部の外表面がマニホールド表面に対して配置されるように、ガスマニホールド構造体と解放可能に連結して配置される。ガス供給カップのガス供給チャネルは、連続ガス供給チャネルを形成するために、ガスマニホールド構造体のそれぞれのガス供給チャネルと位置合わせされる。ガス案内構造体は、ガスマニホールド構造体と原子層堆積装置の反応チャンバとの間に延在する。ガス案内構造体は、ガスマニホールド構造体のガス供給チャネルを介して、さらにガス供給カップのガス供給チャネルを介して、原子層堆積装置の反応チャンバにガス源からのガスを案内するように配置される。
【0022】
本発明によれば、ガス供給カップは、重力を利用してガスマニホールド構造体に配置される。ガス供給カップのガス供給チャネルは、位置合わせ構造体によってガスマニホールド構造体のガス供給チャネルに位置合わせされる。ガス供給カップは、ガスマニホールド構造体に接続して配置され、他の構成要素を用いずに、重力によってガスマニホールド構造体に接続される。洗浄のためにガス供給カップを取り外す際には、ガス供給カップをガスマニホールド構造体から持ち上げるだけでよい。
【0023】
本発明によれば、位置合わせ構造体は、ガス供給カップのガス供給チャネルをガスマニホールド構造体のそれぞれのガス供給チャネルに位置合わせするために、固定ガスマニホールド構造体の対向セクションに接続するように配置されるガス供給カップの位置合わせセクションを備える。
【0024】
本発明によれば、位置合わせセクションは、ガス供給カップのフランジと連結して配置される。
【0025】
本発明によれば、様々な実施形態で説明したガス供給カップを、上述のガスマニホールドアセンブリに使用できる。
【0026】
本発明の利点は、反応前駆体ガスの膜成長が、容易にガス供給カップのみに制限されることである。ガス供給カップは、作動毎に原子層堆積装置から取り外すことができる。ガス供給カップは固定ガスマニホールド構造体に位置付けられる。ガス供給カップの位置は、ガス供給カップのガス供給チャネルとガスマニホールド構造体のガス供給チャネルが互いに接する(または合う、meet)ようにロックされる。ガス供給カップは、追加の構成要素またはロック部品を必要とすることなく、カップ構造および/またはガスマニホールド構造体を介してロックされる。
【0027】
さらに、本発明の利点は、ガス供給チャネルがカップ底部に設けられるため、ガス供給カップの壁部をできるだけ薄くすることができることである。これにより、ガス供給カップの直径は約150mm~300mmであることができ、重量は約10~20kgであり得ることから、重量が低減されるため、有利である。
【0028】
カップは、重力を利用して位置付けられているため、原子層堆積装置のメンテナンスドアを介して、持ち上げるだけで取り外すことができる。
【0029】
本発明のガス供給カップでは、原子層堆積装置の反応器を冷却することなく洗浄を実施できるため、重要な洗浄問題が解決される。
【0030】
添付の図面を参照して、具体的な実施形態により、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明に係るガス供給カップを示す。
図2図2は、底部側からみた本発明に係るガス供給カップを示す。
図3図3は、本発明に係るガスマニホールドアセンブリを示す。
図4図4は、本発明に係るガスマニホールドアセンブリの固定ガスマニホールド構造体を示す。
図5図5は、本発明に係るガスマニホールドアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
図1に、カップ底部10と、カップ底部10を取り囲むカップ壁部20とを備える本発明に係るガス供給カップ1を示す。カップ底部10は、カップ底部の外表面11と、カップ底部の内表面12と、カップ底部の外表面11からカップ底部の内表面12までカップ底部10を通じて延びる複数のガス供給チャネル13とを有する。カップ底部の外表面11は、カップ底部の外表面11から突出したフランジ40によって囲まれている。カップ底部の外表面11が破線で示されているのは、カップ底部の外表面11が実際にはこの視点からは示されないためである。図1では、カップ壁部20がカップ底部の外表面11からフランジ40として延びていることが示されているものの、フランジをカップ底部の外表面11にも設けて、カップ壁部20とフランジ40とが、ガス供給カップ1の連続した外表面を形成することなく分離されるようにされてもよい。フランジ40は、カップ底部の外表面11と共に、固定ガスマニホールド構造体2の接触空間を形成する。ガス供給カップ1の接触空間40aは、ガス供給カップ1が重力によって接続される固定ガスマニホールド構造体2のマニホールドベース22を受けるように配置される。マニホールドベース22は、カップ底部の外表面11に接触するマニホールド表面21を備える。また、図1には、カップ壁部20とカップ底部の内表面12とによって形成されるガス供給空間30も示されている。ガス供給空間30は、ガス供給チャネル13から供給される前駆体ガスが初めて接触するためのプラットフォームを形成する。
【0033】
図2は、本発明に係るガス供給カップ1を底面側から示している。図には、ガス供給チャネル13への入口開口部13aを備えるカップ底部の外表面11が示されている。カップ壁部20は、フランジ40がカップ底部の外表面11の周囲に形成されるように、カップ底部10を越えて延在する。フランジ40は、ガス供給チャネル13が固定ガスマニホールド構造体2のそれぞれのガス供給チャネルと位置合わせするようにガス供給カップ1を位置合わせするために、固定ガスマニホールド構造体2の対向セクションに接続するように配置される位置合わせセクション41を備える。図2に示す本実施形態において、位置合わせセクション41は、フランジ40から接触空間40aに向かって突出した部分である。しかしながら、位置合わせ部分41は、ガス供給カップのカップ底部の外表面11を固定ガスマニホールド構造体2のマニホールド表面21に対して正しい方向に位置付けるのに適した別の形状を備えていてもよい。
【0034】
図3には、ガス供給空間30がガス均質化表面31およびガス混合錐体33を備えている実施形態が示されている。ガス均質化表面31は、カップ底部の内表面12とガス均質化表面31との間にガス均質化ゾーン32を形成するために、カップ底部の内表面12から距離をおいて、カップ底部の内表面12に対して少なくとも部分的に平行に配置される。ガス均質化表面31は、少なくとも一部分がガス供給チャネル13に対向するか、または少なくとも幾つかのガス供給チャネル13に対向して設けられる。ガス均質化表面31の形状は任意である。図3には、ガス均質化表面31が、中間に開口部が残るようにカップ壁部20に従って円周弧状に配置されるプレートである実施形態が示されている。
【0035】
また、図3には、ガス供給空間30内に設けられ、ガス均質化表面31を形成するプレートに接続されるガス混合錐体33が示されている。ガス混合錐体33は、ガス均質化表面31とガス混合錐体33との間にガス混合ゾーン34を形成するために、ガス均質化表面31から距離をおいて配置される。ガス混合錐体33は、ガス供給カップ1の開口部を向く頂点35を有する。ガス供給カップ1の開口部は、カップ底部の内表面12に対向し、カップ壁部20に囲まれている。ガス混合錐体33は、ガス均質化表面31が存在しない場合にはカップ底部の内表面11とガス混合錐体33との間に、またはガス均質化表面31とガス混合錐体33との間にガス混合ゾーン34を形成する。
【0036】
ガス均質化ゾーン32では、ガス供給チャネル13からのガスが均質化され、ガス混合ゾーン36では、ガスは、ガス供給カップ1から流出する前に混合される。混合錐体33とカップ壁部20は、ガスを混合ゾーン32からガス供給空間30に流し、さらにガス供給カップ1から流出させるための流路を供する。したがって、ガス混合錐体33は、ガス混合ゾーン34からガス混合ゾーン34の外側のガス供給空間30への流路を提供するために、カップ壁部20から距離をおいて配置される。
【0037】
さらに、図3には、本発明に係るガスマニホールドアセンブリが示されている。ガス供給カップ1は、重力によってガスマニホールド構造体2に接続される。これは、ガス供給カップ1とガスマニホールド構造体2を共に接続する接続部品がないことを意味する。ガス供給カップ1は、カップ底部の外表面11がガスマニホールド構造体2のマニホールド表面21に配置されるように、ガスマニホールド構造体2に設けられる。ガス供給源(図示せず)から、ガスマニホールド構造体2を通り、ガスマニホールド表面21およびガス供給カップ1のカップ底部の外表面11を介して、ガス供給カップ1のガス供給チャネル13を通り、最終的にガス供給カップのカップ壁部20内のガス供給空間30にまで延び、原子層堆積装置の反応器にまで供給される連続したガス供給チャネルを形成するため、ガス供給カップ1のガス供給チャネル13は、ガスマニホールド構造体2のそれぞれのガス供給チャネル23と位置合わせされる。カップ壁部20はガスマニホールド構造体2によって囲まれ、これによってカップ壁部20とガスマニホールド構造体2との間に空間が供される。図3に示す実施形態において、複数のガス供給チャネル13のうちの1つは、カップ底部の外表面11におけるガス供給チャネル13の入口開口部13aがカップ底部の内表面12におけるガス供給チャネル13の出口開口部13bよりも小さくなるように、カップ底部10を通る円錐形状を形成する。また、図3には、ガス供給空間30に設けられる均質化表面31が示されている。均質化表面31はカップ壁部20に連結して形成される。均質化ゾーン32からガス混合ゾーン34にガスを流すため、ガス供給空間30の中央部分は解放されたままになっている。ガス混合ゾーン34は、ガス混合錐体33によって形成される。本実施形態において、ガス混合錐体33は、均質化表面31に接続される。また、ガス混合錐体33は、均質化表面31の開放中央部分を取囲む。これにより、開口部を通って流れるガスがガス混合錐体33に入る。
【0038】
カップ底部10は、カップ壁20の少なくとも3倍の厚さであることが好ましい。厚いカップ底部10は、ガス供給チャネル13からの前駆体ガスが、ガス供給チャネル13内への堆積膜の浸透を防止するガスバリア流を形成するという利点を供する。これにより、カップ底部の外表面11に膜が堆積しないようになる。
【0039】
また、図3には、ガス供給カップ1のガス供給チャネル13がガスマニホールド構造体2のそれぞれのガス供給チャネル23と位置合わせされ、連続的なガス供給チャネルを形成するように、マニホールド表面21を備えるマニホールドベース(manifold base)22がカップ底部の外表面11と接触して配置されることが示されている。
【0040】
図4には、本発明に係るガスマニホールドアセンブリの固定ガスマニホールド構造体2が示されている。固定ガスマニホールド構造体2は、さらに、固定ガスマニホールド構造体2に接続される封止フランジ24を備える。封止フランジ24は、ガス供給カップ1のカップ壁部20と共に、ガス供給カップ1の外壁と封止フランジ24の内壁24aとの間の同軸開口部を形成するように配置される。同軸開口部は不活性ガスを供給するために用いられ、これにより、ガス供給カップ1の外側における膜の成長を防ぐガスバリアが存在することになる。これにより、ガス供給カップ1が前駆体ガスが初めて接触する場合に膜成長が起こる唯一の部分となり、原子層堆積装置から容易に除去できるという利点がもたらされる。
【0041】
また、図4には、ガス供給カップ1が位置付けられるマニホールド表面21も示されている。カップ底部の外表面11は、ガス供給カップ1のガス供給チャネル3がガスマニホールド構造体2のそれぞれのガス供給チャネル23と位置合わせされるように、マニホールド表面21に対して配置される。また、図4には、ガス供給カップ1の位置合わせセクション41に対応する、ガスマニホールドベース22に設けられるガスマニホールド構造体2の位置合わせセクション25も示されている。
【0042】
図5には、本発明に係るガスマニホールドアセンブリが示されている。ガスマニホールドアセンブリは、原子層堆積装置の固定部分として原子層堆積装置に設けられるガスマニホールド構造体2、ガスマニホールド構造体2と接続して設けられるガス供給カップ2、および、ガスマニホールド構造体と接続し、原子層堆積装置の反応チャンバ50にまで延びるガス案内構造体50を備える。ガスマニホールド構造体2は、ガス源から、マニホールド表面21、さらにはカップ底部10に設けられるガス供給カップ1のガス供給チャネル13にまで延びるガス供給チャネル23を備える。ガス供給チャネル13は、カップ底部10を通じて延在する。ガス供給カップ1は、ガスマニホールド構造体2と接続して、取り外し可能に配置される。これにより、カップ底部の外表面11は、マニホールド表面21に対して配置され、ガスマニホールド表面21に位置付けられる。連続したガス供給チャネルを形成するため、ガス供給カップ1のガス供給チャネル13は、ガスマニホールド構造2のそれぞれのガス供給チャネル23と位置合わせされる。ガス供給カップから反応チャンバにまでガスを案内するため、ガスマニホールドアッセンブリは、ガスマニホールド構造体2と原子層堆積装置の反応チャンバ50との間に延在するガス案内構造体5を備える。ガス供給カップ1は、ガスマニホールド構造体2の封止フランジ24内に設けられ、封止フランジ24は、ガス案内構造体5に接続される。
【0043】
以上、図示される実施例を参照して、本発明を説明した。しかしながら、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々変更され得るものである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】