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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】架橋コア-シェルマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20240315BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240315BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240315BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240315BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D3/50
A61Q13/00 102
A61K8/81
A61K8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560651
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022058073
(87)【国際公開番号】W WO2022207538
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/084028
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21172651.8
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨンタオ ウー
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC642
4C083AC682
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD352
4C083CC17
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD33
4C083KK03
4G005AA01
4G005AB14
4G005BA02
4G005BB05
4G005DB05W
4G005DB12W
4G005DB16W
4G005DC04Y
4G005DC05Y
4G005DC12Y
4G005DC32Y
4G005DC34Y
4G005DC42Y
4G005DC51Y
4G005DC58Y
4G005DD57W
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB03
4H003AB28
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA17
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、新しい調製方法による架橋コア-シェルマイクロカプセルスラリー、コア-シェルマイクロカプセル自体、ならびに付香性組成物および着香消費者製品におけるそれらの適用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、前記方法は、
a.多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマー、ならびに任意選択的に多官能性求核モノマーを、疎水性材料、好ましくは香油を含む油相に溶解して油相を形成するステップと、
b.安定剤と任意選択的に多官能性求核モノマーとの水溶液を調製して水相を形成するステップと、
c.前記油相を前記水相に添加して水中油型エマルションを形成するステップと、
d.任意選択的に、多官能性求核モノマーを前記水中油型エマルションに添加するステップと、
e.前記多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは前記(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーの重合、ならびに前記多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは前記(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと前記多官能性求核モノマーとの反応を介して架橋ポリマーシェルを形成する条件を適用するステップと
を含み、
前記多官能性求核モノマーは、ステップ(a)、(b)または(d)のうちの少なくとも1つにおいて添加される、
方法。
【請求項2】
前記多官能性エチレン性不飽和モノマーが、多官能性(メタ)アクリレートモノマーであって、好ましくは、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基、好ましくは少なくとも3個の(メタ)アクリレート基、好ましくは4個の(メタ)アクリレート基を含む多官能性(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記多官能性エチレン性不飽和モノマーが、多官能性ビニルモノマーであって、好ましくは、少なくとも2個のビニル基を含む多官能性ビニルモノマーである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーが、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG200ジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール-テトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDA-2)、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、((2,4,6-トリオキソシクロヘキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ))トリス(エタン-2,1-ジイル)トリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホスフェート、ビス[グリセリルジ(メタ)アクリレート]ホスフェート、2~6個のアクリレート基を有するウレタンアクリレートオリゴマー、3個以上のアクリレート基を有するポリエステル/ポリエーテルアクリレート、3個以上のアクリレート基を有するエポキシアクリレート、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記多官能性ビニルモノマーが、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,5-ヘキサジエン、アジピン酸ジビニル、フタル酸ジアリル、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシロキサン、トリアリルホスフェート、ジアリルアミン、硫化アリル、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルスルホン、テトラアリルオキシエタン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、イソフタル酸ジアリル、アリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、2,2-ビス(アリルオキシメチル)-1-ブタノール、ジアリルマロン酸ジエチル、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、トリアリルアミン、アジピン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ビス(ビニルスルホニル)メタン、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、またはそれらの混合物から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記多官能性求核モノマーが、多官能性チオール、多官能性アミンまたは多官能性アセトアセテートであって、チオール、アミン、アセトアセテートまたはそれらの混合物から選択される2個以上の基を含む多官能性チオール、多官能性アミンまたは多官能性アセトアセテートである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記多官能性求核モノマーが、チオール、アミンまたはアセトアセテートなどの少なくとも1つの求核性基を含有するシランである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記多官能性求核モノマーが、多官能性チオールモノマー、例えばトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,6-ヘキサンジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、2-アミノ-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、ベンゼン-1,4-ジチオール、トルエン-3,4-ジチオール、エチレングリコールビスメルカプトアセテート、エチレンビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコレート)、ジチオスレイトール、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、トリス[2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、またはチオシランモノマー、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、またはそれらの混合物から選択される多官能性チオールである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記安定剤がポリマー安定剤であり、好ましくは、前記ポリマー安定剤は、ポリビニルアルコール、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、大豆(タンパク質)、加水分解大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、乳タンパク質、乳清タンパク質、ペクチン、テンサイペクチン、セリシン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、およびそれらの混合物、好ましくはポリビニルアルコール、アラビアゴム、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
フリーラジカルの存在下での、前記多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと多官能性求核性モノマーとの反応を介して前記架橋ポリマーシェルを形成する前記条件が、フリーラジカル開始剤の添加、および/または触媒、好ましくは塩基触媒の添加を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
チオール基に対する(メタ)アクリレート基またはビニル基の官能基当量比が、1対1(1:1)より高く、好ましくは2対1(2:1)より高く、より好ましくは4対1(4:1)より高い、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、前記コア-シェルマイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香油を含むオイルコアと、
- 前記オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルと
を含み、
前記架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応によって得られる、
コア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項13】
コア-シェルマイクロカプセルであって、
- 疎水性材料、好ましくは香油を含むオイルコアと、
- 前記オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルであって、前記架橋ポリマーは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応を介して得られる、架橋ポリマーシェルと
を含む、コア-シェルマイクロカプセル。
【請求項14】
付香性組成物であって、
- 請求項1から11までのいずれか1項記載の方法によって得られるか、もしくは請求項12によって定義されるコア-シェルマイクロカプセルスラリー、または請求項13によって定義されるコア-シェルマイクロカプセルと、
- 香料担体および香料基剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、
- 任意選択的に少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、付香性組成物。
【請求項15】
着香消費者製品であって、
- 請求項1から11までのいずれか1項記載の方法によって得られるか、もしくは請求項12によって定義されるコア-シェルマイクロカプセルスラリー、または請求項13によって定義されるコア-シェルマイクロカプセルと、
- パーソナルケア、ホームケア、またはファブリックケア活性基剤と
を含み、
前記着香消費者製品は、好ましくは、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物、最も好ましくは制汗剤の形態のもの、シャンプーまたはヘアコンディショナーなどのヘアケア製品、シャワージェルなどのボディケア製品、口腔ケア製品、ランドリーケア製品、好ましくは洗剤またはファブリックソフトナーからなる群より選択される、
着香消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい調製方法による架橋コア-シェルマイクロカプセルスラリー、コア-シェルマイクロカプセル自体ならびに付香性組成物および着香消費者製品におけるそれらの適用に関する。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する問題の1つは、発香性化合物によって提供される嗅覚的利益が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性のために比較的急速に失われることにある。揮発性物質の放出速度を調整するためには、コアとなるペイロードを保護して、トリガーがかかったときに後で放出すべく、香料を含有するマイクロカプセルなどの送達システムが必要とされる。これらのシステムに関する産業界からの重要な要求は、物理的に解離または分解することなく、制約がある基剤中での懸濁に耐えることである。これは送達システムの安定性と呼ばれる。例えば、攻撃性の高い界面活性剤を多量に含有するフレグランス付きの個人用および家庭用クレンザーは、マイクロカプセルの安定性にとって非常に制約が多い。
【0003】
ポリウレアおよびポリウレタンをベースとするマイクロカプセルスラリーは、異なる基材上への適用後に長期間持続する心地よい嗅覚効果を提供することから、例えば香料産業において広く使用されている。これらのマイクロカプセルは、先行技術において広く開示されている(例えば、本出願人による国際公開第2007/004166号または欧州特許第2300146号明細書を参照されたい)。
【0004】
さらに、安定性および嗅覚性能の面での性能に加えて、環境に優しい送達システムに対する消費者の要求はますます重要になっており、新しい送達システムの開発を推進している。
【0005】
したがって、マイクロカプセルの性能、特に、消費者製品基剤などの制約がある媒体中での安定性の点、ならびに有効成分の送達に関して良好な性能、例えば、付香性成分の場合の嗅覚性能を提供する点で妥協することなく、より環境に優しい材料を使用した新しいマイクロカプセルを提供する必要性が依然として存在する。
【0006】
本発明は、二重架橋ポリマーシェルを有する新しいマイクロカプセルおよび当該マイクロカプセルを調製するための方法を提供することにより、上記問題の解決手段を提案するものである。
【0007】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセントを示す。
【0008】
「疎水性材料」とは、水と混合したときに二相分散体を形成する材料を意味する。本発明によれば、疎水性材料は、溶媒または活性成分のような「不活性」材料であり得る。一実施形態によれば、疎水性材料は、疎水性有効成分である。
【0009】
「有効成分」とは、単一の化合物または成分の組み合わせを意味する。
【0010】
「香油」とは、単一の付香性化合物または複数の付香性化合物の混合物を意味する。
【0011】
「消費者製品」または「最終製品」とは、消費者によって流通、販売および使用される準備が整った製造品を意味する。
【0012】
本発明における「マイクロカプセル」またはそれに類するものは、コア-シェル型からマトリックス型まで様々であり得る形態を有する。一実施形態によれば、それはコア-シェル型である。この場合、マイクロカプセルは、疎水性材料、典型的には香料をベースとするコアと、オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルとを含む。実際、本発明によれば、二重架橋シェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応を介して得られる。
【0013】
マイクロカプセルは、約1~3000ミクロンで構成される、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは1~500ミクロン、さらに好ましくは5~50ミクロンで構成されるミクロン範囲(例えば平均直径)のマイクロカプセルサイズ分布を有する。
【0014】
「粒子サイズ」とは、粒子が水相に分散されたときに、Malvern Instruments Ltd.(英国)のZetasizer Nano ZS機器を使用して動的光散乱(DLS)によって測定されたサイズ分布に基づく粒子の平均直径を意味する。
【0015】
「マイクロカプセルサイズ」とは、Malvern Mastersizer 3000における希釈サンプルのレーザー光散乱によって得られた、関連するカプセル、カプセル懸濁液の体積平均直径(D[4,3])を意味する。
【0016】
「PEG」とはポリエチレングリコールを意味する。当業者は、PEGがポリエーテル化合物であることを認識している。当業者は、PEGが、同様に使用される用語ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)も指すことを認識している。
【0017】
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、該方法は、
a.多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマー、ならびに任意選択的に多官能性求核モノマーを、疎水性材料、好ましくは香油を含む油相に溶解して油相を形成するステップと、
b.安定剤と任意選択的に多官能性求核モノマーとの水溶液を調製して水相を形成するステップと、
c.油相を水相に添加して水中油型エマルションを形成するステップと、
d.任意選択的に、多官能性求核モノマーを水中油型エマルションに添加するステップと、
e.多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応を介して架橋ポリマーシェルを形成する条件を適用するステップと
を含み、
多官能性求核モノマーは、ステップ(a)、(b)または(d)のうちの少なくとも1つにおいて添加される、
方法に関する。
【0018】
本発明によれば、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマー、ならびに任意選択的に多官能性求核モノマーを、疎水性材料、好ましくは香油を含む油相に溶解して油相を形成する。
【0019】
多官能性エチレン性不飽和モノマー
多官能性エチレン性不飽和モノマーという表現は、本明細書では、2個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を含有するモノマーとして理解される。
【0020】
特定の実施形態では、多官能性エチレン性不飽和モノマーは、多官能性(メタ)アクリレートモノマーである。
【0021】
多官能性(メタ)アクリレートモノマーという表現は、本明細書では、2個以上の重合可能なメタクリレート基および/またはアクリレート基を含むモノマーとして理解される。特定の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、2個以上の重合可能なメタクリレート基または2個以上のアクリレート基を含有するモノマーである。特定の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、2個以上の重合可能なアクリレート基を含有するモノマーである。
【0022】
特定の実施形態では、(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基、好ましくは少なくとも3個の(メタ)アクリレート基、好ましくは4個の(メタ)アクリレート基を含む。
【0023】
特定の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG200ジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDA-2)、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、((2,4,6-トリオキソシクロヘキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ))トリス(エタン-2,1-ジイル)トリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホスフェート、ビス[グリセリルジ(メタ)アクリレート]ホスフェート、2~6個のアクリレート基を有するウレタンアクリレートオリゴマー、3個以上のアクリレート基を有するポリエステル/ポリエーテルアクリレート、3個以上のアクリレート基を有するエポキシアクリレート、またはそれらの混合物からなる群より選択される。
【0024】
特定の実施形態では、多官能性エチレン性不飽和モノマーは、多官能性ビニルモノマーである。
【0025】
多官能性ビニルモノマーという表現は、本明細書では、2個以上の重合可能なビニル基を含有するモノマーとして理解される。
【0026】
特定の実施形態では、多官能性ビニルモノマーは、少なくとも2個のビニル基、好ましくは少なくとも3個のビニル基、より好ましくは4個のビニル基を含む。
【0027】
特定の実施形態では、多官能性ビニルモノマーは、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,5-ヘキサジエン、アジピン酸ジビニル、フタル酸ジアリル、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシロキサン、トリアリルホスフェート、ジアリルアミン、硫化アリル、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルスルホン、テトラアリルオキシエタン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、イソフタル酸ジアリル、アリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、2,2-ビス(アリルオキシメチル)-1-ブタノール、ジアリルマロン酸ジエチル、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、トリアリルアミン、アジピン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ビス(ビニルスルホニル)メタン、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、またはそれらの混合物から選択される。
【0028】
多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーは、c)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として好ましくは0.1~20重量%、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.5~7重量%の量で構成される。
【0029】
多官能性求核モノマー
多官能性求核モノマーという表現は、本明細書では、チオール、アミン、アセトアセテートもしくはそれらの混合物から選択される2個以上の求核性基を含有するモノマーとして理解されるか、またはチオール、アミンもしくはアセトアセテートなどの少なくとも1つの求核性基を含有するシランである。求核性基は、新たな化学結合を形成することによってエチレン性不飽和モノマーと反応することができる。
【0030】
一実施形態では、多官能性求核モノマーは、チオール、アミン、アセトアセテートもしくはそれらの混合物から選択される2個以上の基を含む、多官能性チオール、多官能性アミンまたは多官能性アセトアセテートである。
【0031】
特定の実施形態では、多官能性求核モノマーは、チオール、アセトアセテートもしくはそれらの混合物から選択される2個以上の基を含む、多官能性チオールまたは多官能性アセトアセテートである。
【0032】
特定の実施形態では、多官能性求核モノマーは、少なくとも1個の求核性チオール基と、シラン、チオール、アミンまたはアセトアセテートから選択される少なくとも1個の更なる反応性官能基とを含む。
【0033】
特定の実施形態では、多官能性求核モノマーは、2個以上のチオール基または1個のチオール基と更なる反応性官能基とを含む多官能性チオールモノマー、例えばトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,6-ヘキサンジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、2-アミノ-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、ベンゼン-1,4-ジチオール、トルエン-3,4-ジチオール、エチレングリコールビスメルカプトアセテート、エチレンビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコレート)、ジチオスレイトール、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、トリス[2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、またはチオシランモノマー、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、またはそれらの混合物から選択される。
【0034】
特定の実施形態では、多官能性求核モノマーは、2個以上のアミンからなる多官能性アミンモノマー、例えば、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4-アミノベンジルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、スペルミジン、スペルミン、アグマチン、トリス(2-アミノエチル)アミン、炭酸グアニジン、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、アミノグアニジン重炭酸塩、ビグアニド、シスタミン、1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、アミノ酸(例えば、リジン、シスチン、グルタミン、アルギニン)、キトサン、タンパク質(例えば、乳清タンパク質、カゼイネート、絹フィブロイン)、またはそれらの混合物から選択される。
【0035】
特定の実施形態では、多官能性求核モノマーは、2個以上のアセトアセテートからなる多官能性アセトアセテートモノマー、例えば、エチルジアセトアセテート、1,3-ブタンジオールジアセトアセテート、エチレンジアセトアセテート、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、2,2’-(4-メトキシベンザル)ビスエチルアセトアセテート、ネオペンチルグリコリコールビスアセトアセテート、エチレングリコールジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、ペンタエリスリトールテトラアセトアセテート、アセトアセテート官能化セルロース、アセトアセテート官能化デンプン、またはそれらの混合物から選択される。
【0036】
多官能性求核モノマーは、好ましくは、ステップc)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.3~7重量%の量で構成される。
【0037】
疎水性材料
油または油相とは、コア-シェルカプセルのコアを形成する約20℃で液体の有機相を意味する。
【0038】
本発明による疎水性材料は、溶媒または有効成分のような「不活性」材料であり得る。
【0039】
疎水性材料が有効成分である場合、それらは、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤、殺生物活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0040】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料と、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤および殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0041】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物活性剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0042】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、害虫駆除剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0043】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料を含む。
【0044】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料からなる。
【0045】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は殺生物活性剤からなる。
【0046】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は害虫駆除剤からなる。
【0047】
「香料」(または「香油」とも)とは、ここで意味されるのは、約20℃で液体である成分または組成物である。上記の実施形態のいずれか1つによれば、前述の香油は、付香性成分単独または付香性組成物の形態での成分の混合物であり得る。「付香性成分」として、ここでは、匂いを付与または調節することを主目的として使用される化合物を意味する。言い換えれば、そのような成分は、付香性成分であると見なされるためには、単に匂いを有するだけでなく、少なくとも組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。本発明の目的のために、香油はまた、付香性成分と、香料前駆体、エマルションまたは分散体などの付香性成分の送達をともに改善、強化または改変する物質との組み合わせ、ならびに持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物安定性、害虫駆除など、匂いを改変または付与することを凌駕する追加の利益を付与する組み合わせも含む。
【0048】
油相中に存在する付香性成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的ではなく、当業者はその一般的な知識に基づいて、意図した用途または適用および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの付香性成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環式化合物および精油などの様々な化学クラスに属し、前述の付香性共成分は天然由来または合成由来であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。
【0049】
特に、香料配合物において一般的に使用される付香性成分を以下に挙げることができ、例えば、
- アルデヒド系成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香-ハーブ系成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム系成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス系成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル系成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパン酸プロピル、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー系成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチルペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチルブタン酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル;
- グリーン系成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク系成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ[g]-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッデイ系成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリー油、パチュリー油のテルペン画分、Clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナールである。
【0050】
特定の実施形態によれば、香料または香料配合物は、(疎水性溶媒が存在する場合には疎水性溶媒に加えて使用することができるか、または疎水性溶媒が存在しない場合には疎水性溶媒の代わりとして使用することができる)フレグランス調節剤を含む。
【0051】
好ましくは、フレグランス調節剤は、以下のものを有するフレグランス材料として定義される:
i.22℃で0.0008トル未満の蒸気圧;
ii.3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP;
iii.12~20の原子分散力、1~7の双極子モーメント、および2.5~11の水素結合からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター;
iv.22℃で0.0008~0.08トルの蒸気圧範囲を有する化合物と溶解状態にある場合の、14~20の原子分散力、1~8の双極子モーメント、および4~11の水素結合からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター。
【0052】
好ましくは、例として、以下の成分を調節剤としてリストアップすることができるが、リストは以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ミュゲアルデヒド、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン。
【0053】
また、前述の成分は、プロ香料(properfume)またはプロフレグランス(profragrance)としても知られる様々なタイプの付香性化合物を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0054】
付香性成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させることができる。溶媒は、好ましくはアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastman社から入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性で高度に立体障害である。好ましくは、香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージはすべて香料の総重量に対する重量で定義される。最も好ましくは、香料は、本質的に溶媒を含まない。
【0055】
特定の実施形態によれば、香料は、3超のlog Pを有する少なくとも35%の付香性成分を含む。
【0056】
LogPは、推定オクタノール-水分配係数の常用対数であり、これは親油性の尺度として知られている。
【0057】
多くの付香性化合物のLogP値は、例えば、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)(カリフォルニア州アーバイン在)から入手可能なPomona92データベースで報告されており、これには原文献の引用も含まれている。LogP値は、同じくDaylight CISから入手可能な「CLOGP」プログラムによって計算するのが最も便利である。このプログラムは、Pomona92データベースで利用可能な場合、実験的logP値もリストアップする。「計算logP」(cLogP)は、HanschおよびLeoのフラグメントアプローチによって決定される(参照:A. Leo, in Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol. 4, C. Hansch, P. G. Sammens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p. 295, Pergamon Press, 1990)。フラグメントアプローチは、各香油成分の化学構造に基づいており、原子の数と種類、原子結合性、および化学結合を考慮に入れている。この物理化学的特性について最も信頼性が高く、広く使用されている推定値であるcLogP値は、好ましくは、本発明に有用な付香性化合物の選択において、実験的LogP値の代わりに使用される。
【0058】
特定の実施形態では、香油は、3超、好ましくは3.5超、さらにより好ましくは3.75超のlogPを有する少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%の成分を含む。
【0059】
好ましくは、香油は、その自重の10重量%未満の第一級アルコールと、その自重の15重量%未満の第二級アルコールと、その自重の20%未満の第三級アルコールとを含む。有利には、本発明で使用される香料は、いかなる第一級アルコールも含まず、15重量%未満の第二級アルコールおよび第三級アルコールを含む。
【0060】
特定の実施形態によれば、香料は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%の第1~6群、好ましくは第3~6群のバルキーな材料を含む。
【0061】
バルキーな材料という用語は、本明細書では、高い立体障害を有する、すなわち高い立体障害を提供する置換パターンを有する付香性成分として理解され、したがってバルキーな材料は、特に以下の群のうちの1つからのものである:
- 第1群:少なくとも1つの1~4ノードを含む置換基、好ましくは少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香性成分;
- 第2群:少なくとも1つの4以上のノードを含む置換基、好ましくは少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC以上、好ましくはC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む付香性成分;
- 第3群:フェニル環を含む付香性成分、または少なくとも1つの5以上のノードを含む置換基、好ましくは少なくとも1つの直鎖状もしくは分岐状のC以上、好ましくはC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基、もしくは少なくとも1つのフェニル置換基と任意選択的に1つ以上の1~3ノードを含む置換基、好ましくは1つ以上の直鎖状もしくは分岐状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基とで置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む付香性成分;
- 第4群:少なくとも2つの縮合もしくは連結した5員環もしくは6員環、好ましくは少なくとも2つの縮合もしくは連結したCおよび/またはC環を含む付香性成分;
- 第5群:カンファー様の環構造、すなわちブリッジ型に縮合した2つの5員環または6員環を含む付香性成分;
- 第6群:少なくとも1つの7~20員環、好ましくは少なくとも1つのC7またはC20環構造を含む付香性成分。
【0062】
この文脈で理解されるノードという用語は、更なる原子に対して少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは4つの結合を提供することができる任意の原子を意味する。本明細書で理解されるノードの特定の例は、炭素原子(更なる原子に対して最大4つの結合)、窒素原子(更なる原子に対して最大3つの結合)、酸素原子(更なる原子に対して最大2つの結合)および硫黄(更なる原子に対して最大2つの結合)である。この文脈で理解される更なる原子の特定の例は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子および水素原子であり得る。
【0063】
これらの各群からの成分の例は以下のものである:
- 第1群:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボン酸メチル(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、酢酸テルペニル、酢酸ジヒドロテルペニル、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクラノール、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(3ARS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、((6R)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 第2群:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在);
- 第3群:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イソ酪酸テルペニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、p-tert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、サリチル酸シクロヘキシル、炭酸2-メトキシ-4-メチルフェニルメチル、炭酸エチル2-メトキシ-4-メチルフェニル、炭酸4-エチル-2-メトキシフェニルメチル;
- 第4群:メチルセドリルケトン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8-イルと、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8-イルとの混合物、ベチベロール(vetyverol)、ベチベロン(vetyverone)、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、パーヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、オクタリノール(octalynol)、ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよび酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルならびにプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよびプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イル、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 第5群:カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在);
- 第6群:トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、アンブレットリドLG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデセノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、muscenone(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチルシクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデカノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、シクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 第7群:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0064】
好ましくは、香料は、上記で定義した第1群~第7群から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群~第7群の成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群、第4群、第6群または第7群からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0065】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、3を超えるlogP、好ましくは3.5を超えるlogP、さらにより好ましくは3.75を超えるlogPを有する成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0066】
好ましくは、本発明で使用される香料は、その自重の10%未満の第一級アルコールと、その自重の15%未満の第二級アルコールと、その自重の20%未満の第三級アルコールとを含む。有利には、本発明で使用される香料は、第一級アルコールを含まず、15%未満の第二級アルコールおよび第三級アルコールを含む。
【0067】
一実施形態によれば、油相(またはオイルコア)は、
- Log T<-4を有するハイインパクト香料原料を少なくとも15重量%含む香油25~100重量%と、
- 1.07g/cmより大きい密度を有する密度平衡材料0~75重量%と
を含む。
【0068】
「ハイインパクト香料原料」は、LogT<-4を有する香料原料として理解されたい。化学化合物の嗅覚閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子量によって部分的に決定される。便宜上、閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、すなわちLog[閾値](「LogT」)として提示される。
【0069】
「密度平衡材料」は、好ましくは1.07g/cmより大きい密度を有し、好ましくは低臭気を有するか、または無臭である材料として理解されたい。
【0070】
成分の密度は、その質量と体積との比(g/cm)として定義される。
【0071】
成分の密度を決定するいくつかの方法が利用可能である。
【0072】
例えば、エッセンシャルオイルのd20密度を測定するISO 298:1998の方法を参照することができる。
【0073】
付香性化合物の嗅覚閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(以下「GC」)を用いて決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、シリンジによって注入される香油成分の正確な量、正確な分割比、ならびに濃度および鎖長分布が既知の炭化水素標準を使用した炭化水素応答を決定するように校正される。空気の流量を正確に測定し、人間の吸入時間が12秒間続くと仮定して、サンプリングされた量を計算する。任意の時点での検出器の正確な濃度が分かるため、吸入量あたりの質量が分かり、ひいては付香性化合物の濃度が分かる。閾値濃度を決定するために、逆算された濃度の溶液がスニフポートに送られる。パネリストはGC流出液の匂いを嗅ぎ、匂いに気付いた保持時間を特定する。パネリスト全員の平均が、付香性化合物の嗅覚閾値濃度を決定する。嗅覚閾値の決定については、C. Vuilleumier et al., Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September, 2008, pages 54-61により詳しく説明されている。
【0074】
一実施形態によれば、Log T<-4を有するハイインパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンと(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンとを含む混合物、(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル、3-メチルインドール、(+-)-パーヒドロ-4α,8β-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチョロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(+-)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランとテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランとを含む混合物、4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランと(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランとを含む混合物、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニルアルデヒド(nonylenic aldehyde)、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、4-メチルフェニルイソブチレート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、β,2,2,3-テトラメチル-Δ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、δ-ダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-アミノ安息香酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、オクタラクトンγ、3-フェニル-2-プロペン酸エチル、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、酢酸パラクレジル、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、β-イオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール、(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-2-メチルペンタン酸エチル、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、酢酸アリル(シクロヘキシルオキシ)、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-ヘキセン酸シクロプロピルメチル、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、2-メチルプロパン酸4-ホルミル-2-メトキシフェニル、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-シアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、酢酸4-メトキシベンジル、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、酢酸アリル(2/3-メチルブトキシ)、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0075】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0076】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%で構成される量で含む。
【0077】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%のアルデヒド、ケトン、およびそれらの混合物を含む。
【0078】
したがって、オイルコアに含まれる残りの香料原料は、Log T>-4を有することができる。
【0079】
一実施形態によれば、Log T>-4を有する香料原料は、2-メチル酪酸エチル、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、プロピオン酸ベルジル、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、3-シクロヘキシルプロパン酸アリル、(Z)-3ヘキセニルアセテート、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、ヘプタン酸アリル、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、3-オキソブタン酸エチル、(2Z)-3-ヒドロキシ-2-ブテン酸エチル、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、ブタン酸エチル、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサン酸エチル、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、酢酸ベルジル、(3R)-1-〔(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル〕-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0080】
LogT<-4を有するハイインパクト香料原料の性質および1.07g/cmより大きい密度を有する密度平衡材料は、国際公開第2018115250号に記載されており、その内容は参照により含められる。
【0081】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば、微生物)を死滅させたり、その増殖および/または蓄積を低減もしくは防止したりすることができる化学物質を指す。殺生物剤は、医療、農業、林業、ならびに例えば、水、種子を含む農産物、および石油パイプラインの汚れを防止する産業において、一般的に使用される。殺生物剤は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む殺虫剤;ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/または抗寄生虫剤などの抗菌物質であり得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「害虫駆除剤」は、害虫を忌避または誘引し、その成長、発達またはその活動を減少、抑制または促進するのに役立つ物質を示す。害虫とは、動物、植物または菌類を問わず、植物または動物に侵入するか、または植物または動物にとって厄介な任意の生物を指し、害虫には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌およびその他の微生物が含まれる。
【0083】
一実施形態によれば、香料配合物は、
- 0~60重量%の疎水性溶媒(香料配合物の総重量を基準とする)と、
- 40~100重量%の香油(香料配合物の総重量を基準とする)と、
任意選択的に更なる疎水性有効成分と
を含み、香油は、以下の特性のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてを有する:
・ 少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、3超のlog P、好ましくは3.5超のlog Pを有する付香性成分、
・ 少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の、先に定義した第1群~第6群、好ましくは第3群~第6群のバルキーな材料および
・ 少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%の、先に定義したLog T<-4を有するハイインパクト香料材料。
【0084】
特定の実施形態によれば、香料は、0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0085】
特定の実施形態によれば、疎水性溶媒は、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチル、ケイ皮酸ベンジル、およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される密度平衡材料である。
【0086】
特定の実施形態では、疎水性溶媒は、閉じ込められた香油と適合するハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0087】
「ハンセン溶解度パラメーター」という用語は、ポリマーの溶解度を予測するために使用されるチャールズ・ハンセンによって提案された溶解度パラメーターアプローチを指し、液体の気化の全エネルギーがいくつかの個々の部分からなるという基礎に基づいて開発されたと理解される。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」を計算するには、(原子)分散力、(分子)永久双極子-永久双極子力、および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせなければならない。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」は、(δD+δΡ+δH0.5で計算され、式中、δDはハンセン分散値(以下では原子分散力とも呼ばれる)、δΡはハンセン分極率値(以下では双極子モーメントとも呼ばれる)、δΗはハンセン水素結合(「h結合」)値(以下では水素結合とも呼ばれる)である。パラメーターおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press (Copenhagen, 1967)を参照されたい。
【0088】
香料と溶媒との間の溶解度パラメーターのユークリッド差は、(4*(δD溶媒-δDフレグランス+(δP溶媒-δPフレグランス+(δH溶媒-δHフレグランス0.5で計算され、式中、δD溶媒、δP溶媒、およびδH溶媒は、それぞれ、溶媒のハンセン分散値、ハンセン偏光度値、およびハンセンh結合値であり、δDフレグランス、δPフレグランス、およびδHフレグランスは、それぞれ、フレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極率値、およびハンセンh結合値である。
【0089】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0090】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0091】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、任意の有効成分(例えば香料)を含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、好ましくは、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱物油、およびそれらの混合物からなる群において選択されるものと、任意選択的に親水性溶媒、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択されるものとを含み、好ましくはそれからなる。
【0092】
疎水性活性材料、好ましくは香油を含む油相は、好ましくは、c)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として1~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~40重量%の量で構成される。
【0093】
本発明によれば、安定剤と任意選択的に多官能性求核モノマーとの水溶液を調製して水相を形成する。
【0094】
安定剤
本発明によれば、安定剤を水溶液に添加する。特定の実施形態では、安定剤を水溶液に添加してエマルションを形成する。一実施形態によれば、安定剤はコロイド安定剤である。一実施形態によれば、安定剤はポリマー安定剤である。ポリマー安定剤は、エマルションとしての油/水界面を安定化させることができるポリマーである。一実施形態によれば、安定剤はコロイド粒子安定剤である。コロイド粒子安定剤は、水相中で懸濁液を形成し、油/水界面に吸着して油滴(ピッカリングエマルション)を安定化させることができる。
【0095】
一実施形態によれば、安定剤は乳化剤である。乳化剤とは、水に親和性のある極性基(親水性)と油に親和性のある非極性基(親油性)との両方を有する化合物を意味する。親水性部分は水相に溶解し、疎水性部分は油相に溶解して液滴の周りに皮膜を提供する。
【0096】
特定の実施形態では、ポリマー安定剤は、ポリビニルアルコール、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えば大豆タンパク質、米タンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解大豆タンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシンパウダー、アカシアガム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、大豆(タンパク質)、加水分解大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、乳タンパク質、乳清タンパク質、ペクチン、テンサイペクチン、セリシン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0097】
本発明によれば、油相を水相に添加して水中油型エマルションを形成する。
【0098】
特定の実施形態では、分散体は、約0.01%~10.0%の少なくとも安定剤を含み、パーセンテージは、ステップc)またはd)の後に得られるような水中油型エマルションの総重量に対するw/w基準で表される。本発明のさらに別の態様では、分散体は、約0.02%~5.0%、好ましくは0.05~3%の少なくとも安定剤を含む。本発明のさらに別の態様では、分散体は、約0.1重量%~3重量%、好ましくは0.1重量%~2.0重量%の少なくとも安定剤を含む。
【0099】
ポリマー安定剤は、好ましくは、c)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として0.01~5.0重量%、好ましくは0.05~3.0重量%の量で構成される。
【0100】
本発明によれば、条件を適用して、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応を介して架橋ポリマーシェルを形成する。
【0101】
それにより、ラジカル重合によるなど、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基間の重合反応と、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基と少なくとも1つの求核性官能基との間の反応とを可能にする反応条件を適用しなければならないことが理解される。特定の実施形態では、反応条件は、ラジカル重合によるなど、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基間の重合反応と、同時に多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基と少なくとも1つの求核性官能基との反応を可能にする方法で適用される。別の特定の実施形態では、反応条件は、ラジカル重合によるなど、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基間の重合反応と、異なる時間、例えば後の時間において、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基と少なくとも1つの求核官能基との間の重合反応とを可能にする方法で適用される。
【0102】
特定の実施形態では、フリーラジカルの存在下での、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマーと多官能性求核性モノマーとの反応を介して架橋ポリマーシェルを形成する条件は、フリーラジカル開始剤の添加、および/または触媒、好ましくは塩基触媒の添加を含む。
【0103】
反応条件が、ラジカル重合によるなど、多官能エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基間の重合反応と、同時に多官能エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基と少なくとも1つの求核性官能基との重合反応とを可能にする方法で適用される場合には、フリーラジカル開始剤および/または触媒、好ましくは塩基触媒を同時に添加してもよい。反応条件が、ラジカル重合によるなど、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基間の重合反応と、後の時間において、多官能性エチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和官能基と少なくとも1つの求核性官能基との間の重合反応とを可能にする方法で適用される場合には、フリーラジカル開始剤および/または触媒、好ましくは塩基触媒を異なる時間に添加してもよい。
【0104】
フリーラジカル開始剤は、本明細書では、ラジカル種を生成し、ラジカル反応を促進することができる化合物として理解される。これらの物質は一般に、弱い結合、すなわち結合解離エネルギーが小さい結合を有する。
【0105】
特定の実施形態では、フリーラジカル開始剤は、有機過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、tert-ブチルペルアセテート、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの群より選択される熱ラジカル開始剤;またはアゾ化合物、例えば2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル)バレロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩の群より選択される熱ラジカル開始剤;または無機過酸化物、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸モノナトリウム塩、過酸化水素の群より選択される熱ラジカル開始剤である。特定の実施形態では、フリーラジカル開始剤は、ベンジルおよびベンゾイン化合物、例えば4,4’-ジメチルベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4,4’-ジメトキシベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタールの群より選択される光ラジカル開始剤;またはアセトフェノン化合物、例えばアセトフェノン、4-エトキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-アセトフェノール、3-アセトフェノール、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4’-tert-ブチル-2’,6’-ジメチルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルフォリノブチロフェノン、4-フェノキシアセトフェノンの群より選択される光ラジカル開始剤;またはベンゾフェノン化合物、例えばベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイルビフェニル、ベンゾイルギ酸メチル、4-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸メチル、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンの群より選択される光ラジカル開始剤;またはチオキサントン化合物、例えばチオキサンテン-9-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、N-メチルフェノチアジンの群より選択される光ラジカル開始剤;またはカンファーキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、9,10-フェナントレンキノン、1,4-ジベンゾイルベンゼンの群より選択される光ラジカル開始剤である。
【0106】
特定の実施形態では、フリーラジカル開始剤は、温和な条件下でラジカル種を生成することができる酸化還元系である。酸化還元系の例としては、過酸化水素と金属塩(例えば第1鉄イオン、第1銅イオン、コバルトイオン)、有機過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド)と金属塩(例えば第1銅イオン、コバルトイオン)、有機過酸化物と第三級アミン、無機過酸化物(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)と第1鉄イオン、無機過酸化物と亜硫酸塩、無機過酸化物とチオ硫酸塩が挙げられる。
【0107】
ラジカル開始剤は、好ましくは、ステップc)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として0.001~2.0重量%、好ましくは0.001~1.0重量%、より好ましくは0.001~0.5重量%の量で構成される。
【0108】
触媒とは、本明細書では、その存在により化学反応の速度を増加させることができる化合物と理解される。塩基触媒とは、本明細書では、その存在によって化学反応の速度を増加させることができ、ブレンステッド塩基またはルイス塩基である化合物と理解される。
【0109】
特定の実施形態では、触媒は、塩基触媒、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、金属炭酸塩、アルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物系触媒である。
【0110】
特定の実施形態では、触媒は、ルイス塩基の群より選択される求核性触媒、例えば第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ピリジン系触媒(例えば、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリドナフチリジン、4-ピロリジノピリジン(4-PPY))、アミジン系触媒(例えば、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン(DBN))、イミダゾール、ホスフィン系触媒(例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン)である。
【0111】
特定の実施形態では、架橋ポリマーシェル形成のための反応中に触媒は使用されない。
【0112】
触媒は、好ましくは、ステップc)またはd)の後に得られるエマルションの総重量を基準として0.01~10.0重量%、好ましくは0.02~5.0重量%、より好ましくは0.05~3.0重量%の量で構成される。
【0113】
特定の実施形態では、チオール基に対する(メタ)アクリレート基またはビニル基の官能基当量比は、1対1(1:1)より高く、好ましくは2対1(2:1)より高く、より好ましくは4対1(4:1)より高い。
【0114】
特定の実施形態では、架橋を促進するために適用される条件は、5~90℃、好ましくは10~80℃で構成される温度での反応を含む。
【0115】
特定の実施形態では、架橋を促進するために適用される条件は、UV放射の存在下での反応を含む。
【0116】
特定の実施形態では、架橋を促進するために適用される条件は、増大した圧力、好ましくは大気圧より高い圧力を含む。
【0117】
特定の実施形態では、架橋を促進するために適用される条件は、1~24時間、好ましくは30分~8時間の反応時間を含む。
【0118】
特定の実施形態では、架橋を促進するために適用される条件は、反応中の不活性ガス保護を含む。より特定の実施形態では、不活性ガスは窒素である。
【0119】
特定の実施形態では、ステップe)の最後に、またはステップe)の間に、非イオン性多糖類、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体(例えば国際公開第2021185724号に記載されている)およびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを本発明のスラリーに添加して、マイクロカプセルに外側コーティングを形成することもできる。
【0120】
非イオン性多糖類ポリマーは当業者に周知であり、例えば国際公開第2012/007438号、第29頁第1行~第25行目および国際公開第2013/026657号、第2頁第12行~第19行目および第4頁第3行~第12行目に記載されている。好ましい非イオン性多糖類は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される。
【0121】
カチオン性ポリマーは当業者に周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、また好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方の窒素測定の化学試験の下に記載されているケルダール法によって決定することができる。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の一部を形成することができるか、またはそれに直接接続された側部置換基が持つことのできる第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を含有するものから選択される。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000~3.5Mダルトン、より好ましくは50,000~1.5Mダルトンである。
【0122】
特定の実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドに基づくカチオン性ポリマーを用いることになる。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、およびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群より選択されることになる。
【0123】
市販品の具体例としては、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、製造元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550もしくはStyle(ポリクオタニウム-11~68もしくはビニルピロリドンの四級化コポリマー、製造元:BASF)、またはJaguar(登録商標)(C13SもしくはC17、製造元:Rhodia)も挙げることができる。
【0124】
特定の実施形態では、約0%~5%w/w、さらには約0.1%~2%w/wで構成される上述のポリマーの量が添加され、パーセンテージは、ステップc)、またはd)、またはステップe)のスラリーの後に得られるエマルションの総重量に対するw/w基準で表される。当業者であれば、前述の添加されたポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに組み込まれ/沈着することが明確に理解される。
【0125】
多官能性求核モノマーは、本発明のステップ(a)、(b)または(d)のいずれか1つにおいて添加されてもよい。多官能性求核モノマーは、好ましくは、ステップ(a)、(b)または(d)のうちの1つにおいて一度に添加されてもよい。
【0126】
本発明はまた、少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、コア-シェルマイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香油を含むオイルコアと、
- オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルと
を含み、
架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応によって得られる、
コア-シェルマイクロカプセルスラリーに関する。
【0127】
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、疎水性材料を含むオイルコアを含む。
【0128】
オイルコアは、本明細書で上述したような油相に基づいており、本明細書で上述した定義および実施形態は、スラリー中に構成されるコア-シェルマイクロカプセルのオイルコアに準用される。
【0129】
特定の実施形態では、オイルコアは香料を含む。
【0130】
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルを含み、架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核性モノマーとの反応によって得られる。
【0131】
架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマーからの重合、および多官能性エチレン性不飽和モノマーと多官能性求核性モノマーとの反応によって得ることができ、本明細書で上述したような対応する定義および実施形態は、スラリー中に構成されるコア-シェルマイクロカプセルの架橋ポリマーシェルに準用される。
【0132】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルは、得られたコア-シェルマイクロカプセルスラリーを乾燥することによって単離される。乾燥は、得られたコア-シェルマイクロカプセルスラリーを、噴霧乾燥などの乾燥ステップに供して、マイクロカプセルをそのまま、すなわち粉末状で提供することによって達成することができる。
【0133】
そのような乾燥を行うために当業者に知られている任意の標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーは、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または変性デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルジネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体などのポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥して粉末形態のマイクロカプセルを提供することができる。
【0134】
本発明はまた、
- 疎水性材料、好ましくは香油を含むオイルコアと、
- オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルであって、架橋ポリマーが、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応を介して得られる、架橋ポリマーシェルと
を含む、コア-シェルマイクロカプセルに関する。
【0135】
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、疎水性活性材料を含むオイルコアを含む。
【0136】
オイルコアは、本明細書で上述したような油相に基づいており、本明細書で上述した定義および実施形態は、コア-シェルマイクロカプセルのオイルコアに準用される。
【0137】
特定の実施形態では、オイルコアは香料を含む。
【0138】
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、オイルコアを取り囲む架橋ポリマーシェルを含み、架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーの重合、ならびに多官能性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび/または多官能性ビニルモノマーと多官能性求核モノマーとの反応によって得られる。
【0139】
架橋ポリマーシェルは、多官能性エチレン性不飽和モノマーからの重合、および多官能性エチレン性不飽和モノマーと多官能性求核性モノマーとの反応によって得ることができ、本明細書で上述したような対応する定義および実施形態は、コア-シェルマイクロカプセルの架橋ポリマーシェルに準用される。
【0140】
特定の実施形態では、シェル材料は、生分解性材料を含む。
【0141】
特定の実施形態では、シェルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0142】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0143】
それにより、コア、シェルおよびコーティングなどのすべての構成要素を含むコア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有することができることが理解される。
【0144】
特定の実施形態では、オイルコア、好ましくは香油は、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0145】
OECD301Fは、経済協力開発機構による生分解性に関する標準試験法である。
【0146】
生分解性を測定するための典型的なシェルの抽出方法は、Gasparini and all in Molecules 2020, 25,718に開示されている。
【0147】
一実施形態によれば、本発明のマイクロカプセル(第1のタイプのマイクロカプセル)は、第2のタイプのマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0148】
本発明の別の対象は、
- 第1のタイプのマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセルと、
- 第2のタイプのマイクロカプセルと
を含み、
第1のタイプのマイクロカプセルと第2のタイプのマイクロカプセルとは、それらの疎水性材料および/または担体材料(シェルもしくはマトリックス)および/またはそれらのコーティング材料の点で異なる、
マイクロカプセル送達システムである。
【0149】
本発明のマイクロカプセルは、有効成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、
(i)本明細書で上述したようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたは本明細書で上述したようなコア-シェルマイクロカプセルと、
(ii)化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌成分、真菌成分、医薬または農薬成分、除菌成分、防虫剤または昆虫誘引剤、およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される有効成分と
を含む、組成物である。
【0150】
本発明はまた、
- 本明細書で上述したようなもしくは本明細書の上記で定義したような方法によって得られるコア-シェルマイクロカプセルスラリー、または本明細書で上述したようなもしくは本明細書の上記で定義したような方法によって得られるコア-シェルマイクロカプセルと、
- 香料担体および香料基剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、
- 任意選択的に少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、付香性組成物に関する。
【0151】
付香性組成物は、付香性組成物の総重量を基準として0.1~30重量%のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルを含み得る。
【0152】
付香性組成物は、有効成分をさらに含み得る。有効成分は、好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌成分、真菌成分、医薬または農薬成分、除菌成分、防虫剤または昆虫誘引剤、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0153】
特定の実施形態では、付香性組成物は、遊離香油を含む。
【0154】
「遊離香料」とは、本明細書では、付香性組成物中に含まれ、コア-シェルマイクロカプセルに閉じ込められていない香料または香油と理解される。
【0155】
付香性組成物は、付香性組成物の総重量を基準として0.1~30重量%の有効成分、好ましくは遊離香料を含み得る。
【0156】
特定の実施形態では、マイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルの総量は、付香性組成物の総重量を基準として0.05~5重量%であり、遊離香油の総量は、付香性組成物の総重量を基準として0.05~5重量%である。
【0157】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルに閉じ込められた香料配合物の総香油と総遊離香油とは、付香性組成物中に1:20~20:1、好ましくは10:1~1:10の重量比で存在する。
【0158】
付香性組成物は、少なくとも1つの付香性共成分と、任意選択的に香料アジュバントとをさらに含み得る。
【0159】
「付香性共成分」とは、ここでは、快楽的効果を付与するために付香性の調製物または組成物において使用され、上記で定義したマイクロカプセルではない化合物と理解される。言い換えれば、そのような成分は、付香性成分であると見なされるためには、単に匂いを有するだけでなく、組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。付香性組成物中に存在する付香性共成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、意図する使用または応用および所望の有機的な効果に従ってそれらを選択することが可能である。一般論として、これらの付香性共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環化合物および精油などの多様な化学物質クラスに属し、前述の付香性共成分は天然由来または合成由来であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。また、前述の共成分は、様々なタイプの付香性化合物(プロ香料としても知られる)を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0160】
「香料アジュバント」とは、ここでは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのような追加された付加的な利益を付与することができる成分と理解される。付香性基剤に一般的に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な説明を網羅することはできないが、前述の成分が当業者に周知であることは言及する必要がある。
【0161】
一実施形態によれば、本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル(第1のタイプの送達システム)は、第2のタイプの送達システム、好ましくはマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0162】
したがって、特定の実施形態によれば、付香性組成物は、
- 第1のタイプの送達系としての本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルと、
- 第2のタイプの送達システムと
を含み、
第1のタイプの送達システムと第2のタイプの送達システムとは、それらの付香性配合物および/または担体材料(シェルもしくはマトリックス)および/または外側コーティングの点で異なる。
【0163】
本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルは、有利には、多くの適用分野で使用することができ、着香消費者製品に使用することができる。
【0164】
本発明はまた、
- 本明細書で上述したようなもしくは本明細書の上記で定義したような方法によって得られるコア-シェルマイクロカプセルスラリー、または本明細書で上述したような、もしくは本明細書の上記で定義したような方法によって得られるコア-シェルマイクロカプセルと、
- パーソナルケア、ホームケア、またはファブリックケア活性基剤と
を含む、着香消費者製品に関する。
【0165】
特定の実施形態では、着香消費者製品は、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物、好ましくは制汗剤の形態のもの、シャンプーまたはヘアコンディショナーなどのヘアケア製品、シャワージェルなどのボディケア製品、口腔ケア製品、ランドリーケア製品、好ましくは洗剤またはファブリックソフトナーからなる群より選択される。
【0166】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体形態で使用することができるだけでなく、粉末消費者製品に適用可能な粉末形態でも使用することもできる。
【0167】
本発明の消費者製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能的」香料に属する製品などの着香消費者製品に使用することができる。機能的な香料には、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物、好ましくは制汗剤の形態のもの、シャンプーまたはヘアコンディショナーなどのヘアケア製品、シャワージェルなどのボディケア製品、口腔ケア製品、ランドリーケア製品、好ましくは洗剤またはファブリックソフトナーからなる群より選択される。
【0168】
特に、液体消費者製品であって、
- 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
- 水または水混和性の親水性有機溶媒と、
- 本明細書で上述したような付香性組成物またはコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルと
を含む、液体消費者製品。
【0169】
また、粉末消費者製品であって、
- 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
- 本明細書で上述したような付香性組成物またはコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルと
を含む、粉末消費者製品。
【0170】
明確にするために、「着香消費者製品」とは、それが適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、もしくは家庭用表面)または空気中(芳香剤、消臭剤など)に、様々な利益の中でも付香性効果をもたらすことが期待される消費者製品を意味していることに言及する必要がある。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、「基剤」とも呼ばれる機能性配合物を、利益剤、中でも本発明による有効量のマイクロカプセルとともに含む製造製品である。
【0171】
着香消費者製品の他の成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、前述の製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品の基剤配合物は、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0172】
適切な着香消費者製品の非限定的な例は、ファイン香料、スプラッシュもしくはオーデ香料、コロン、シェーブローションもしくはアフターシェーブローション、液体もしくは固形洗剤、シングルチャンバーもしくはマルチチャンバーユニットドーズ洗剤、ファブリックソフトナー、ファブリックリフレッシャー、液体もしくは固形セントブースター(PEG/尿素もしくは塩)、ドライヤーシート、アイロンウォーター、ペーパー、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品、シャンプー、カラーリング剤、カラーケア製品、ヘアシェーピング製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、ヘアコンディショニング製品、バニシングクリーム、デオドラントもしくは制汗剤、ヘアリムーバー、タンニングもしくは日焼け製品、ネイル製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、オイルもしくはジェル、またはフット/ハンドケア製品、衛生製品、フレッシュナー、「すぐに使える」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、調度品ケア、ワイプ、食器用洗剤もしくは硬質表面用洗剤、皮革ケア製品、カーケア製品であり得る。
【0173】
特定の実施形態では、着香消費者製品は、液体もしくは固形洗剤、ファブリックソフトナー、液体もしくは固形セントブースター(例えば、PEG/尿素もしくは塩を使用)、シャンプー、シャワージェル、ヘアコンディショニング製品(例えば、リーブオンまたはリンス・オフ)、デオドラントもしくは制汗剤である。
【0174】
本発明の別の対象は、
- パーソナルケア活性基剤と、
- 本明細書で上述したようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルまたは上記で定義した付香性組成物と
を含み、
消費者製品はパーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0175】
本発明の送達システムを組み込むことができるパーソナルケア活性基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0176】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、調製着色料もしくはヘアスプレー)、化粧料(例えば、バニシングクリーム、ボディローションもしくはデオドラントもしくは制汗剤)、スキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、もしくは衛生製品)、口腔ケア製品(歯磨き粉もしくはマウスウォッシュ組成物)またはファインフレグランス製品(例えば、オードトワレ-EdT)からなる群において選択される。
【0177】
本発明の別の対象は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性基剤と、
- 本明細書で上述したようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルまたは上記で定義した付香性組成物と
を含み、
消費者製品は、ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0178】
本発明の送達システムを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0179】
ホームケアまたはファブリックケア組成物は、好ましくは、ファブリックソフトナー、液体洗剤、粉末洗剤、液体セントブースターおよび固形セントブースターからなる群より選択される。
【0180】
後述の液体消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および水を含むものと理解されたい。
【0181】
後述の固形消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および補助剤(例えば漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚れ放出または汚れ懸濁ポリマー、粒状酵素粒子、腐食防止剤、消泡剤、抑制剤(sud suppressing agents)、染料、フィラー、およびそれらの混合物)を含むものと理解されたい。
【0182】
ファブリックソフトナー
本発明の対象は、以下のものを含むファブリックソフトナー組成物の形態の消費者製品である:
- ファブリックソフトナー活性基剤であって、好ましくは、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクワット)、Hamburgエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましくは使用される、ファブリックソフトナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0183】
液体洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む液体洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 液体洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、液体洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0184】
固形洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む固形洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 固形洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、固形洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0185】
シャンプー/シャワージェル
本発明の対象は、以下のものを含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品である:
- シャンプーまたはシャワージェル活性基剤であって、好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホ酢酸塩、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸ベースの界面活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、シャンプーまたはシャワージェル活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0186】
リンス・オフコンディショナー
本発明の対象は、以下のものを含むリンス・オフコンディショナー組成物の形態の消費者製品である:
- リンス・オフコンディショナー活性基剤であって、好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、リンス・オフコンディショナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0187】
固形セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む固形セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 好ましくは尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、糖類、例えばスクロース、単糖類、二糖類、多糖類およびデンプンなどの誘導体、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、およびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物からなる群より選択される固体担体、
- 粉末形態の、上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0188】
液体セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む液体セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 水性相、
- 本質的に1つまたは2つ以上の非イオン性界面活性剤からなる界面活性剤系であって、界面活性剤系は10~14の平均HLBを有し、好ましくは、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノグリセリルエステルおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミン酸化物およびそれらの組み合わせからなる群において選択される、界面活性剤系、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤およびそれらの混合物からなる群において選択されるリンカー、ならびに
- スラリーの形態の、上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0189】
ヘアカラーリング
本発明の対象は、以下のものを含む酸化性ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品である:
- 酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相であって、前述の染料前駆体および前述のカップリング化合物が、酸化剤の存在下で、好ましくは組成物の総重量を基準にして85~99.95重量%で構成される量で酸化性染毛剤を形成する、酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0190】
付香性組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、以下のものを含む付香性組成物の形態である:
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%のマイクロカプセルであって、好ましくは先に定義したようにスラリーの形態のマイクロカプセル、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 付香性組成物の総重量を基準として20~90%、好ましくは40~90%のエタノール。
【0191】
次に、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求されるような本発明は、これらの実施例によって決して限定されることを意図していないことを理解されたい。
【0192】
本発明の実施例
実施例1
i)メタクリレートモノマー(EGDMA)およびチオール(TMTP)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0193】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0194】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)をエマルションに添加し、DBUを触媒として使用し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で1時間反応させた。
【0195】
【表1】
【0196】
実施例2
i)アクリレートモノマー(PETA)および油溶性開始剤/触媒(BPO)を香油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0197】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0198】
iii)チオールモノマー(TMTP)および酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)をエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で1時間反応させた。
【0199】
【表2】
【0200】
実施例3
i)メタクリレートモノマー(EGDMA)、チオール官能化シランおよび油溶性開始剤/触媒を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0201】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0202】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)をエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で1時間反応させた。
【0203】
【表3】
【0204】
実施例4
i)アクリレートモノマー(TMPTA)および油溶性開始剤/触媒(BPO)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0205】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0206】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)とアミン(DETA)とをエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で2時間反応させた。
【0207】
【表4】
【0208】
実施例5
i)メタクリレートモノマー(EGDMA)、アミノシランおよび油溶性開始剤/触媒(BPO)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0209】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0210】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)をエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および50℃で4時間反応させた。
【0211】
【表5】
【0212】
実施例6
iv)アクリレートモノマー(PETA)、アミノシランおよび油溶性開始剤/触媒(BPO)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0213】
v)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0214】
vi)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)をエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および50℃で4時間反応させた。
【0215】
【表6】
【0216】
実施例7
i)メタクリレートモノマー(EGDMA)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0217】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0218】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)と、アセトアセテート(CAA)と、触媒(DBU)とをエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で3時間反応させた。
【0219】
【表7】
【0220】
実施例8
i)メタクリレートモノマー(EGDMA)を油に溶解して油相とした。ポリマー安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。
【0221】
ii)油相と水相とをホモジナイザーで混合してO/Wエマルションを形成し、エマルションをNで脱気した。
【0222】
iii)酸化還元開始剤(APSおよびNaHSO)と、アセトアセテート(SAA)と、触媒(DBU)とをエマルションに添加し、N雰囲気下、室温で2時間および80℃で3時間反応させた。
【0223】
【表8】
【0224】
実施例9:香料組成物
純粋なフレグランス成分、例えば(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート)および(4-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート)をカプセル化し、これらはアクリレートおよびチオールと反応しない。
【0225】
実施例10:性能判定
i)サイズ測定:マイクロカプセルスラリーの平均サイズ(D[4,3])は、Malvern Instruments Ltd.(英国)のMastersizer 3000機器を使用して測定した。
【0226】
ii)ゼータ電位測定:マイクロカプセルのゼータ電位は、Malvern Instruments Ltd.(英国)のZetasizer Nano ZSを使用して調べた。
【0227】
iii)保存安定性:マイクロカプセルの保存安定性は、マイクロカプセルスラリーを、基剤中の香油量が0.2%のソフトナー基剤(表10を参照されたい)に分散させ、37℃で3日間保存することにより測定した。マイクロカプセルから基剤に漏出した香料を溶媒で抽出し、GC-MSによって定量化した。
【0228】
a)結果
【表9】
【0229】
b)結論
二重架橋シェルを有するマイクロカプセルは、ソフトナー基剤においてより安定であり、低透過性を示す。
【0230】
実施例11:ファブリックコンディショナー組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を、下記の表に記載のファブリックコンディショナー(ソフトナー)基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.2%を得た。
【0231】
【表10】
【0232】
実施例12:液体洗剤組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を、下記の表に記載の液体洗剤基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.22%を得た。
【0233】
【表11】
【0234】
実施例13:リンス・オフコンディショナー
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を、下記の表に記載のリンス・オフコンディショナーに分散させて、カプセル化された香油の濃度0.5%を得た。
【0235】
【表12】
【0236】
実施例14:シャンプー組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0237】
【表13-1】
【表13-2】
【0238】
実施例15:制汗剤ロールオンエマルション組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0239】
【表14】
【0240】
A部とB部とを別々に75℃に加熱し、撹拌下でA部をB部に添加し、混合物を10分間均質化する。次いで、混合物を撹拌下で冷却し、混合物が45℃に達したら撹拌しながらC部をゆっくりと添加し、混合物が35℃に達したら撹拌しながらD部をゆっくりと添加する。次いで、混合物を室温に冷却する。
【0241】
実施例16:シャワージェル組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例1~8を参照されたい)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0242】
【表15】
【国際調査報告】