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特表2024-513424広帯域フェーズドアレイ・システムに有益なコンパクト遅延線および関連付けられた回路機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】広帯域フェーズドアレイ・システムに有益なコンパクト遅延線および関連付けられた回路機構
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/36 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H01Q3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560885
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2022057348
(87)【国際公開番号】W WO2022218651
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/229,181
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チャックラボーティ、スディプト
(72)【発明者】
【氏名】サドゥ、ブディサトワ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウーラム
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA11
5J021DB03
5J021FA10
5J021FA26
5J021GA02
5J021HA01
5J021HA05
(57)【要約】
フェーズドアレイ・システムは、能動遅延素子および受動遅延素子を有する同調可能遅延素子を含む。受動遅延素子による第2の解像度は、能動遅延素子による第1の解像度より小さく、解像度は、入力信号に適用された遅延に対応し、遅延素子が動作可能な位相のための個別のステップを有する。同調可能遅延素子の複数のセットに対して、較正プロセスは、遅延素子の1つのセットに対して、第nの能動遅延素子以外のすべて、および受動遅延素子を第1の位相に、および第nの能動遅延素子を第2の位相に設定する。遅延素子の第2のセットにおいて、能動遅延素子のすべてが、第1の位相に設定され、受動遅延素子が、第2の位相に設定される。位相差は、2つのセットの間で基準を満たすように、検出および調節される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
フェーズドアレイ・システムを備え、前記フェーズドアレイ・システムが、
少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備える同調可能遅延素子のセットを備え、前記少なくとも1つの能動遅延素子が、第1の解像度を提供し、前記少なくとも1つの受動遅延素子が、第2の解像度を提供し、
前記第2の解像度が、前記第1の解像度より小さく、前記解像度が、前記能動遅延素子または前記受動遅延素子のうちの対応する1つによって入力信号に適用された遅延に対応し、
前記第1の解像度が、前記少なくとも1つの能動遅延素子が動作可能な位相のための個別のステップの第1のセットであり、前記第2の解像度が、前記少なくとも1つの受動遅延素子が動作可能な位相のための個別のステップの第2のセットであり、前記第1のセットにおける個別のステップの数が、前記第2のセットにおける個別のステップの数より少ない、
装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの能動遅延素子に関して、前記遅延が、前記少なくとも1つの能動遅延素子内の電流を調節することによってプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの能動遅延素子が、少なくとも2つの異なる遅延を個別のステップの前記セットとして提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの能動遅延素子が、複数の遅延素子を備え、前記能動遅延素子が、
第1の入力ステージおよび第1のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第1の回路機構であって、前記第1の入力ステージが、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージに出力する、前記第1の回路機構と、
第2の入力ステージおよび第2のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第2の回路機構であって、前記第2の入力ステージが、前記第2のスケーリング・ファクタ・ステージに出力する、前記第2の回路機構と、
前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージからの出力を加算し、前記能動遅延素子への出力を生み出す加算器と
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の入力ステージが、インピーダンスZを備え、
前記第2の入力ステージが、インピーダンスZを備え、
およびZが、前記能動遅延素子の遅延、直流利得、または入力インピーダンスのうちの1つまたは複数を制御するインピーダンスである、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージが、前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージのためのそれぞれの第1の電圧の調節を介して、前記インピーダンスZまたはインピーダンスZのうちのそれぞれ1つの方への電流ステアリングを実施するように構成され、前記能動遅延素子が、第2の電圧が前記第1および第2の入力ステージに印加されるのに応答して、前記能動遅延素子における位相対周波数特性を可能にするように、前記インピーダンスZおよびZ、ならびに前記電流ステアリングの動作に基づいて構成され、前記第2の電圧が、遅延されることになる信号に対応する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
インピーダンスZが、抵抗器であり、インピーダンスZが、インダクタである、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の入力ステージが、入力電圧に連結された制御入力を有する第1のトランジスタであって、第1の入出力端子が、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージに連結され、第2の入出力端子が、第1の電流源に連結された、前記第1のトランジスタ、ならびに、前記入力電圧の逆に連結された制御端子を有する第2のトランジスタであって、第1の入出力端子が、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージに連結され、第2の入出力端子が、第2の電流源に連結された、前記第2のトランジスタという、差動構成の2つのトランジスタを備え、前記インピーダンスZが、前記第1の入力ステージにおいて前記第1および第2のトランジスタの前記第2の入出力端子の間で連結されており、
前記第2の入力ステージが、電圧に連結された制御端子を有する第1のトランジスタであって、第1の入出力端子が、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージに連結され、第2の入出力端子が、第1の電流源に連結された、前記第1のトランジスタ、ならびに、前記電圧の逆に連結された制御端子を有する第2のトランジスタであって、第1の入出力端子が、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージに連結され、第2の入出力端子が、第2の電流源に連結された、前記第2のトランジスタという、2つのトランジスタを備え、前記インピーダンスZが、前記第2の入力ステージにおいて前記第1および第2のトランジスタの前記第2の入出力端子の間で連結されている、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージが、前記インピーダンスZに向かう出力電流の量をステアリングすることによって、前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の電圧入力に応答するように構成された電流ステアリング・デバイスを備え、
前記第2のスケーリング・ファクタ・ステージが、前記インピーダンスZに向かう出力電流の量をステアリングすることによって、前記第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の電圧入力に応答するように構成された電流ステアリング・デバイスを備える、
請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のスケーリング・ファクタ・ステージにおける前記電流ステアリング・デバイスが、2つのトランジスタを備える差動構造の2つのセットを備え、各セットが、
前記第1の電圧に連結された制御端子、および変圧器またはバランに連結された第1の入出力端子を有する第1のトランジスタと、
前記第2の電圧に連結された制御端子、および供給電圧に連結された第1の入出力端子を有する第2のトランジスタと
を備え、
前記第1および第2のトランジスタの第2の入出力端子が、一緒に連結され、
前記セットのうちの第1のセットの前記第2の入出力端子が、前記第1の入力ステージへの第1の入力に連結され、
前記セットのうちの第2のセットの前記第2の入出力端子が、前記第1の入力ステージへの第2の入力に連結される、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
方法であって、
フェーズドアレイ・システム上で較正プロセスを実施することを含み、前記フェーズドアレイ・システムが、同調可能遅延素子の複数のセットを備え、前記セットが、少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備え、前記少なくとも1つの能動遅延素子が、解像度の第1のセットを提供し、前記受動遅延素子が、解像度の第2のセットを提供し、前記第1のセットの数が、前記第2のセットの数より少なく、前記較正プロセスが、
前記セットのうちの第1のセットにおける第nの能動遅延素子を除く前記能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、前記セットにおける前記受動遅延素子を前記第1の位相に設定し、前記セットにおける前記第nの能動遅延素子を第2の位相に設定することと、
前記セットのうちの第2のセットにおける前記能動遅延素子のすべてを前記第1の位相に設定し、前記セットにおける前記受動遅延素子を前記第2の位相に設定することと、
同調可能遅延素子の前記第1および第2のセットの出力間の位相差を検出し、前記位相差が基準を満たすまで、前記第nの能動遅延素子の前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの前記第1および第2の入力を調節することと、
前記第nの能動遅延素子への前記第1および第2の入力を較正ポイントとして指示する1つまたは複数のコードを格納することと
を含む、方法。
【請求項12】
同調可能遅延素子の前記第1のセットにN個の能動遅延素子があり、前記較正プロセスが、
同調可能遅延素子の前記第1のセットにおける前記N個の能動遅延素子のそれぞれに対して、前記第1のセットにおける前記第nの能動遅延素子を除く前記能動遅延素子のすべてを前記第1の位相に設定し、前記セットにおける前記第nの能動遅延素子を前記第2の位相に設定すること、同調可能遅延素子の前記第1および第2のセットの出力間の前記位相差を検出すること、前記第1および第2の入力を調節すること、ならびに格納すること、を実施すること、
をさらに含み、
較正ポイントが、同調可能遅延素子の前記第1のセットにおける前記N個の能動遅延素子のそれぞれのために格納される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記位相差が基準を満たすまで、前記第nの能動遅延素子の前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの前記第1および第2の入力を調節することが、
一定のバイアスを前記第1および第2の入力に設定することと、
前記一定のバイアスに加算または減算されるバイアスの量に対応するコードを設定することと
を含み、前記第1および第2の入力の総バイアスが、前記コードに対応するバイアスに加算される前記一定のバイアスであり、前記較正ポイントが、前記コードを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コードが、電圧の変化ΔVに対応し、前記第1の入力が、電圧V1であり、前記第2の入力が、電圧V2であり、V1=V0+ΔVおよびV2=V0-ΔVであり、ここで、V0が、静止動作をサポートするバイアス電圧である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージが、対応するスケーリング・ファクタαおよびβを有し、前記較正プロセスが、
同調可能遅延素子の前記第1のセットにおける前記N個の能動遅延素子のそれぞれに対して前記較正プロセスを実施し、複数の異なる周波数に対して、前記複数の異なる周波数にわたって前記N個の能動遅延素子のそれぞれに対する較正ポイントを生ずることと、
前記能動遅延素子の遅延が正確に実現されるように、対応する能動遅延素子が、選択された周波数範囲にわたって動作するように最適化される前記スケーリング・ファクタαおよびβを判定するために、前記複数の異なる周波数にわたって前記N個の能動遅延素子のそれぞれに対する少なくとも前記較正ポイントを使用して、最小2乗平均(LMS)アルゴリズムを実施することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、通信システムに関し、より詳細には、遅延線およびフェーズドアレイ・アンテナ・システムを有する通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
同調可能RF(無線周波数)遅延線の細密解像度は、ビーム・ステアリングを伴うフェーズドアレイ・レーダーなど、多くの用途で非常に重要である。RF遅延線のほとんどの従来の実装形態は、複数のスイッチを使用して、線に沿った静電容量およびインダクタンスの値を変える。解像度を改善するために、スイッチ、キャパシタ、およびインダクタのユニット・サイズは、減少させるべきである。それでも、寄生効果および損失により、実装可能な最小サイズには限界がある。
【0003】
同調可能素子を有する伝送回線が使用可能であるが、波形の波長に匹敵する寸法になる。個別のトランジスタまたは集積回路に比べて、伝送回線のサイズにはコストがかかる。
【0004】
したがって、広帯域性能は挑戦的なものである。
【発明の概要】
【0005】
本セクションは、例示のためのものであり、限定するためのものではない。
【0006】
例示的実施形態では、装置は、フェーズドアレイ・システムを備える。フェーズドアレイ・システムは、少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備える同調可能遅延素子のセットを備え、少なくとも1つの能動遅延素子が、第1の解像度を提供し、少なくとも1つの受動遅延素子が、第2の解像度を提供する。第2の解像度は、第1の解像度より小さく、解像度は、能動遅延素子または受動遅延素子のうちの対応する1つによって入力信号に適用された遅延に対応する。第1の解像度は、少なくとも1つの能動遅延素子が動作可能な位相のための個別のステップの第1のセットであり、第2の解像度は、少なくとも1つの受動遅延素子が動作可能な位相のための個別のステップの第2のセットである。第1のセットにおける個別のステップの数は、第2のセットにおける個別のステップの数より少ない。
【0007】
別の例示的実施形態は、フェーズドアレイ・システムおよび制御回路機構を備える装置である。フェーズドアレイ・システムは、同調可能遅延素子の複数のセットを備え、セットは、少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備える。少なくとも1つの能動遅延素子は、解像度の第1のセットを提供し、受動遅延素子は、解像度の第2のセットを提供する。第1のセットの数は、第2のセットの数より少ない。能動遅延素子は、第1の入力ステージおよび第1のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第1の回路機構であって、第1の入力ステージが、第1のスケーリング・ファクタ・ステージに出力し、第1のスケーリング・ファクタ・ステージが、第1のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力に基づいて第1のスケーリング・ファクタを調節する、第1の回路機構と、第2の入力ステージおよび第2のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第2の回路機構であって、第2の入力ステージが、第2のスケーリング・ファクタ・ステージに出力し、第2のスケーリング・ファクタ・ステージが、第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力に基づいて第1のスケーリング・ファクタを調節する、第2の回路機構と、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージからの出力を加算し、能動遅延素子への出力を生み出す加算器であって、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力を調節することが、解像度の第1のセットのうちの個々の1つを選択する、加算器とを備える。制御回路機構は、フェーズドアレイ・システムに連結され、少なくとも第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力を使用することによって、少なくとも1つの能動遅延素子のための遅延、および同調可能遅延素子の複数のセットに対する少なくとも1つの受動遅延素子のための遅延を、選択および設定するように構成される。
【0008】
さらなる例示的実施形態では、方法は、フェーズドアレイ・システム上で較正プロセスを実施することを含む。フェーズドアレイ・システムは、同調可能遅延素子の複数のセットを備え、セットは、少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備える。少なくとも1つの能動遅延素子は、解像度の第1のセットを提供し、受動遅延素子は、解像度の第2のセットを提供する。第1のセットの数は、第2のセットの数より少ない。較正プロセスは、セットのうちの第1のセットにおける第nの能動遅延素子を除く能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、このセットにおける受動遅延素子を第1の位相に設定し、このセットにおける第nの能動遅延素子を第2の位相に設定することを含む。較正プロセスは、また、セットのうちの第2のセットにおける能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、このセットにおける受動遅延素子を第2の位相に設定することを含む。較正プロセスは、同調可能遅延素子の第1および第2のセットの出力間の位相差を検出し、位相差が基準を満たすまで、第nの能動遅延素子の第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の入力を調節することをさらに含む。較正プロセスは、第nの能動遅延素子への第1および第2の入力を較正ポイントとして指示する1つまたは複数のコードを格納することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実時間遅延を伴うブロードバンド・タイムド・アレイのための回路機構、ならびに対応する入力および出力信号のブロック図である。
図1A図1の回路機構の遅延のグラフである。
図1B図1の回路機構の位相のグラフである。
図2図1の実時間遅延を伴うタイムド・アレイが、狭帯域位相シフタを有するフェーズドアレイによって狭帯域近似を介して、どのように近似可能であるかを示す図である。
図3A】ビーム・スクインティングの図である。
図3B】フェーズドアレイへの非実時間遅延効果についてのシンボル間干渉の図である。
図4A】能動構成要素を使用したオール・パス・フィルタのブロック図である。
図4B】オール・パス・フィルタの構造図である。
図5】例示的な実施形態による、直列オール・パス・フィルタリング・アプローチを使用した例示的な可変遅延線の概観の図である。
図5A】例示的な実施形態における、遅延素子のより詳細な例を用いた、図5の例示的な可変遅延線の図である。
図6】例示的な実施形態における、オール・パス(AP:all-pass)、ロー・パス(LP:low-pass)、またはハイ・パス(HP:high-pass)フィルタリング・アプローチに関するスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。
図7】変形1(1)スケーリングの例示的な実施形態における、AP、LP、またはHPフィルタリング・アプローチに関するスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。
図8】変形2(2)スケーリングの例示的な実施形態における、AP、LP、またはHPフィルタリング・アプローチに関するスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。
図9】例示的な実施形態による、広帯域実時間遅延の較正のために構成された例示的な遅延線および関連付けられた回路機構の図である。
図10A】例示的な実施形態による、ハイブリッド遅延較正のための隣接チャネルとの位相比較の図である。
図10B】例示的な実施形態による、ビーム・フォーミング・アレイの状況において実施されるハイブリッド遅延較正のための隣接チャネルとの位相比較の図である。
図11】例示的な実施形態による、位相シフタ・チェーンとも呼ばれる2つの遅延線の較正のためのフローチャートである。
図12】例示的な実施形態による、フェーズ・アレイ用途のための例示的な同調可能遅延線の使用の図である。
図13】誘導性装荷(inductive loading)を伴う単一の能動遅延素子510のシミュレーション結果の図である。
図14A】振幅を示す、標準的なプロセス(P)および温度(T)コーナに対するシミュレーション結果の図である。
図14B】位相を示す、標準的なプロセス(P)および温度(T)コーナに対するシミュレーション結果の図である。
図15A】振幅を示す、標準的なP、Tコーナに対する群遅延変動のシミュレーション結果の図である。
図15B】位相および群遅延を示す、標準的なP、Tコーナに対する群遅延変動のシミュレーション結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「例示的」という単語は、「例、事例、または例証として機能すること」を意味するために本明細書で使用される。「例示的」として本明細書で説明されるどの実施形態も、他の実施形態より好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。この「発明を実施するための形態」で説明される実施形態のすべてが、当業者が本発明を行うか使用することを可能にするために提供される例示的実施形態であり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0011】
上述のように、広帯域性能は挑戦的な可能性がある。例示的実施形態は、例えば、例示的実施形態において、粗位相シフト(coarse phase-shift)のためのスタガード・アナログ(例えば、能動)遅延セルと、T線ベースの細密遅延線(fine delay line)とを組み合わせることによって、様々な問題に対処する。これにより、従来技術に比べて、エリアが小さく、電力が低くなる。追加として、複数のスタガード位相シフタ・ステージは、プロセス不変の広帯域性能につながる可能性がある。
【0012】
スタガード・アナログ(例えば、能動)遅延セルについて、「スタガード」という用語は、周波数応答を指している。すなわち、(第Nのステージの出力が第(N+1)のステージの入力に提供されるという意味で)直列にN個のステージがあり、第Nのステージの最大利得の周波数が、第(N+1)のステージの最大利得の周波数に比べてわずかにシフトされる場合、2つのステージ(一般的な意味では、N個のステージ)の組み合わされた周波数応答、つまり全体の周波数応答は、広い温度範囲にわたって実質的に一定になる。
【0013】
したがって、周波数応答のスタガリングは、全体の(直列の)周波数応答を、広い周波数範囲にわたってほぼ一定にし、プロセス不変性をもたらす。各プロセス・コーナに関するPVT(プロセス、電圧、温度)を測定するとき、相互コンダクタンスgを調節することができる。
【0014】
例示的実施形態を説明する前に、例示的実施形態が属する技術領域の概観を示すことが役に立つ。1つのこのような領域は、実時間遅延を伴うブロードバンド・タイムド・アレイ100、つまり図1に示された回路機構を含む。図1では、τ、・・・、(N-1)τ、Nτと示された、N個の時間遅延110がある。(N個の増幅器115のうちの)対応する各増幅器115と、(N個のアンテナ120のうちの)アンテナ120との間に距離dがある。入力信号105は、時間におけるτpulseによって信号が生じたように示されており(参照番号130参照)、同時に電力が示されている。このパルスは、また、f周辺を中心とし、帯域幅BWを有する、周波数における電力周波数スペクトルを生じる(参照番号140参照)。N個のアンテナ120のアレイからの出力信号150が示されており、この場合、個々の信号は、θだけオフセットされ、ここで、Δx=d sin(θ)である。
【0015】
図1Aによって示されているように、導入された遅延(τ)は、τの線形倍数(linear multiple)である。図1Bは、位相(θ)が関数θ=-ωτであることを示している。図1Aの3τの線が、図1Bの一番下の位相曲線に対応し、図1Aのτの曲線が、図1Bの一番上の曲線に対応することに留意されたい。
【0016】
ブロードバンド・タイムド・アレイ100のための実時間遅延は、実際に達成するための難題になることがある。類似の結果を達成するための1つの潜在的な方式は、フェーズドアレイ近似の使用を通じたものである。図2に移ると、この図は、図1の実時間遅延を伴うタイムド・アレイが、狭帯域位相シフタを有するフェーズドアレイによって狭帯域近似を介して、どのように近似可能であるかを示す。
【0017】
ブロードバンド・タイムド・アレイ100が、図1Bのように、ブロック260に示されている(参照番号210参照)。参照番号230で指示されたように、周波数ω周辺の狭帯域近似が実施され、これにより、フェーズドアレイ200が、N個の時間遅延110(τ、・・・、(N-1)τ、Nτとして示された図1参照)ではなく、N個の位相シフタθ、・・・、(N-1)θ、Nθを含むことになる。θ=ωτが使用され、参照番号220は、これが、実時間遅延の、θ周辺を中心とするときの、妥当な近似であることを指示する。
【0018】
フェーズドアレイ200は、実時間遅延を伴うブロードバンド・タイムド・アレイ100の妥当な近似を行おうとするが、これには問題がある。特に、フェーズドアレイへの非実時間遅延効果の現象がある。実時間遅延特性のない位相シフタの使用は、ビーム・スクインティング(図3A参照)およびシンボル間干渉(図3B参照)の原因となり、レーダー信号帯域幅を制限する。図3Aのビーム・スクインティングについては、Garakouiら、「Phased-array antenna beam squinting related to frequency dependency of delay circuits」、2011 8th European Radar Conference、マンチェスター、英国、2011年、416~419頁を参照されたく、これは、「ビーム・スクインティングは、言葉では、アンテナ・パターンが、周波数fにおいて指し示す方向であったθではなく、周波数f+Δfにおけるθ+Δθを指し示すことを意味する」と述べている。
【0019】
図3Bのシンボル間干渉については、Jangら、「A 1-GHz 16-Element Four-Beam True-Time-Delay Digital Beamformer」、IEEE Journal of Solid-State Circuits、第54巻、no.5、1304~1314頁、2019年5月、doi:10.1109/JSSC.2019.2894357を参照されたく、ここでは、図3Bは、図3(a)としてそこに示されており、参照は、「図3(a)では、D1~D4がデータ・シンボルを表す。アンテナ1がD2を受信し、その一方で、他のアンテナがD1を受信する。D1とD2は独立しているので、D2は、D1の歪みにすぎず、アレイの性能は、ビーム・フォーミング後に悪化する。この現象は、その後のシンボル(D2)が現在のシンボル(D1)と干渉するので、アレイISIと呼ばれる」と述べている。
【0020】
複数の位相シフタのカテゴリがある。1つは、狭帯域位相シフタである。1つの例は、RTPS(反射型位相シフタ)と呼ばれ、この場合、位相は、反射エンドにあるバラクタで絶えず制御可能であるが、動作帯域幅が制限され、制御に対する損失変動が相対的に大きい。Arun Natarajanら、「W-Band Dual-Polarization Phased-Array Transceiver Front-End in SiGe BiCMOS」、IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques、第63巻、no.6、2015年6月を参照されたい。Hanxiang Zhangら、「A Microstrip line Reflection-Type Phase Shifter for 60 GHz Phased Array」、2019IEEE/MTT-S International Microwave Symposiumも参照されたい。もう1つは、個別のスイッチを有する人工伝送回線などの、ブロードバンド位相シフタである。W.H.Woods、A.Valdes-Garcia、H.Ding、およびJ.Rascoe、「CMOS millimeter wave phase shifter based on tunable transmission lines」、Proceedings of the IEEE 2013 Custom Integrated Circuits Conference、サンノゼ、カリフォルニア州、米国、2013年、1~4頁、doi:10.1109/CICC.2013.6658442を参照されたい。
【0021】
別の技術は、能動構成要素を使用したオール・パス・フィルタである。図4Aは、能動構成要素を使用したオール・パス・フィルタのブロック図を示しており、図4Bは、オール・パス・フィルタの構造図を示している。Garakouiら、「Compact Cascadable gm-C All-PassTrue Time Delay Cell With Reduced Delay Variation Over Frequency」、IEEE Journal of Solid-State Circuits、第50巻、no.3、2015年3月、693~703頁を参照されたい。オール・パス・フィルタの以前の実装形態は、gm-C(相互コンダクタンス-静電容量)構造のカスケードを使用する。図4Aは、2つの増幅器1および2、増幅器ブロック410、および加算器420を示している。構造図は、増幅器が、相互コンダクタンス-gを有する相互コンダクタ増幅器であることを示しており、増幅器ブロック410は、キャパシタC、値1/gを有する抵抗器、および相互コンダクタンス-2gを有する別の相互コンダクタ増幅器を備える。これらのオール・パス・フィルタには、以下の問題がある。
【0022】
1)これらは本来、非線形である。
【0023】
2)2つの能動ステージのカスケードが、より大きい歪みにつながる。
【0024】
3)静電容量の使用が、低いQファクタにより、mmW(ミリメートル波)周波数では抑制されている。
【0025】
4)これらは、インピーダンス・マッチを提供するために追加のステージを必要とする。
【0026】
5)位相シフトを調節するための同調メカニズムが提供されない。
【0027】
別の可能性は、T線(伝送回線)周辺の能動相互コンダクタを使用することである。W.LeeおよびA.Valdes-Garcia、「Tunable Delay Line Using Distributed Inductive/Capacitive Miller Effect」、2018 IEEE/MTT-S International Microwave Symposium-IMS、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、米国、2018年、1445~1448頁、doi:10.1109/MWSYM.2018.8439492を参照されたい。
【0028】
例示的実施形態が属する技術領域の概観が示されたので、例示的実施形態が説明される。説明されたものとは対照的に、例示的実施形態は、直列オール・パス・フィルタリング・アプローチを使用した可変遅延線を含む。
【0029】
図5および図5Aに移ると、図5は、例示的な実施形態による、直列オール・パス・フィルタリング・アプローチを使用した例示的な可変遅延線の概観を示し、図5Aは、遅延素子のより詳細な例を用いた、図5の例示的な可変遅延線を示している。
【0030】
図5および図5Aでは、遅延線500は、複数の遅延素子510、510-1、・・・を含み、この場合、これらの遅延素子500のそれぞれは、類似のものであると考えられ、1つの遅延素子510が、図5に概観として、および図5Aにさらに詳細に、示されている。T線またはアナログ・タイプなどの、細密遅延素子530もあり、これらは、図5Aでは実時間遅延素子とも呼ばれる。これらの例では、遅延線500の入力501は、遅延素子510に接続され、遅延線500の出力は、遅延素子530の出力である。遅延素子510は、遅延素子510によって引き起こされる遅延が、典型的には、「細密」遅延素子530によって引き起こされる遅延より大きいので、本明細書では、「粗」遅延素子と呼ばれることもある。粗510および細密530遅延素子の順序は変更可能である。複数の粗遅延素子510および単一の細密遅延素子530が示されているが、これは、変更されてもよい(例えば、単一の粗遅延素子510が使用されてもよく、もしくは複数の細密遅延素子530が使用されてもよく、または粗遅延素子510だけが使用されてもよい)ことにも留意されたい。
【0031】
図5では、遅延素子は、遅延素子であることを指示するために、Dで示されている。一方で、図5Aでは、粗遅延素子510は、ゼロもしくは45度、またはおそらくゼロ、22.5、および45度、またはゼロもしくは90度、あるいは同様のものなどへの、(矢印で指示された)調節可能な位相Φを有するものと想定され、細密遅延素子530は、ゼロから45度までの位相シフトのうちの1パーセントの位相など、極めて小さく増加し得る、より細密な位相ψを有するものと想定される。
【0032】
遅延素子510(および530)はまた、位相シフタであると考えられてもよく、位相はまた、遅延素子によって修正されることが指摘される。明瞭さのために、それでもこの回路機構は、本明細書では主に遅延素子と呼ばれることになる。
【0033】
図5の概観では、粗遅延素子510は、遅延線500における第1の粗遅延素子への入力501でもある電圧Vを有する入力591を有し、出力598を有するものとして示されている。粗遅延素子510-1への入力591は、前の遅延素子510の出力598であるはずである。すなわち、所与の遅延素子510-1への入力は、遅延線500における前の遅延素子510の出力から来る。
【0034】
入力591は、2つの縮退した入力(i/p)ステージ590、つまり、ステージ1 590-1、およびステージ2 590-2に分けられ、これらのそれぞれが、対応するスケーリング・ファクタ・ステージ595、つまりファクタ1(α)595-1およびファクタ2(β)595-1に連結される。スケーリング・ファクタαおよびβは、図5Aを参照して説明されたステージ595を介して作り出され、操作される。スケーリング・ファクタ595の出力596-1、596-2は、加算器597によって加算され、この出力は、遅延素子510の出力595である。
【0035】
図5(および図5A)を参照しながら、以下のコメントが加えられる。
【0036】
[1]入力591は、2つの入力ステージ590-1、590-2に提供される。入力591は、シングル・エンドまたは差動でもよい。
【0037】
[2]入力ステージ1 590-1および2 590-2は、異なる個別の位相シフトを提供する(前述のゼロおよび45、またはゼロ、22.5、および45度など、様々な組合せが可能である)。
【0038】
[3]スケーリング・ファクタαおよびβが、(例えば、電流ステアリングを介して)電流モードで実装される。
【0039】
[4]2つの経路596-1、596-2の合計は、ゼロおよび極になり、合計は、電流モードで実施される。
【0040】
[5]極およびゼロは、オール・パス・フィルタの形成につながり、これは、遅延を実現する。
【0041】
[6](受動L/C、インダクタンス/静電容量、構成要素を使用して)広帯域ロードを使用して、出力マッチングが行われてもよい。
【0042】
[7]このステージ(粗遅延素子510)の迂回は、β=0に設定することによって実施される(典型的な例は、抵抗素子を使用するステージ1 590-1、および反応素子を使用するステージ2 590-2を含む)。
【0043】
[8]縮退が、線形性を改善し、i/pトランジスタ間のマッチングを改善する。
【0044】
図5Aでは、遅延素子510は、変圧器(Xfmr)またはバラン520、ならびに2つの回路580および585を備える。図5Aからの入力591は、V+およびV-として示されており、すなわち、電圧V+およびその逆のV-を有する1つの入力591である。回路580は、縮退した入力(i/p)ステージ1 590-1、およびスケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1のための回路機構を含む。スケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1は、スケーリング・ファクタαに対応するトランジスタのセット540を含み、セットは、トランジスタ540-1、540-2、540-3、および540-4を含む。回路580は、トランジスタ550-1および550-2、インピーダンス570、ならびに電流源560-1および560-2を含む、縮退したi/pステージ1 590-1も含む。回路585は、縮退した入力(i/p)ステージ2 590-2、およびスケーリング・ファクタ2(β)ステージ595-2のための回路機構を含む。スケーリング・ファクタ1(β)ステージ595-2は、スケーリング・ファクタβに対応するトランジスタのセット545を含み、セットは、トランジスタ545-1、545-2、545-3、および545-4を含む。縮退したi/pステージ2 590-2は、トランジスタ555-1および555-2、インピーダンス575、ならびに電流源565-1および565-2を含む。
【0045】
縮退したi/pステージ590は、また、これらが、対応する{Q1,Q2}を介して入力電圧を出力電流にコンバートするので、相互コンダクタと呼ばれてもよく、{Q1,Q2}は、トランジスタ550-1および550-2については{Q1A,Q1B}であり、トランジスタ555-1および555-2については{Q2A,Q2B}であり、スケーリング・ファクタ・ステージ595は、電流ステアリング・デバイスであると考えられてもよい。これらの内部の構造は、差動構造と呼ばれ、これらは、構造的対称性をもたらす。例えば、トランジスタ540-1、540-2、トランジスタ540-3、540-4、トランジスタ545-1、545-2、トランジスタ545-3、545-4、トランジスタ550-1、550-2、およびトランジスタ555-1、555-2のそれぞれが、差動構造である。
【0046】
図示のトランジスタは、BJT(バイポーラ接合トランジスタ)である。基本的な技術は、MOS(金属酸化物半導体)トランジスタまたはBJTのどちらかと共に作動するはずである。BJTに関しては、端子は、ベース、エミッタ、およびコレクタであるはずである。MOSに関しては、対応する端子は、ゲート、ソース、およびドレインであるはずである。ベースまたはゲート端子は、制御端子であると考えられてもよく、ベース/エミッタまたはソース/ドレインは、入出力端子であることが可能である。
【0047】
この場合の加算器597は、変圧器またはバラン520との間を行き来する信号線への接続を含む。出力598は、対応する電流iinおよびioutであるものとして示されている。
【0048】
スケーリング・ファクタαは、ロードにステアリングされる(例えば、バイアス)電流の小部分を表し、スケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1においてV-Vだけ変化可能である。同様に、スケーリング・ファクタβは、ロードにステアリングされる電流の小部分を表し、スケーリング・ファクタ2(β)ステージ595-2においてV-Vだけ変化可能である。粗遅延素子のための回路機構が固定されると、スケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1におけるV-Vのための、およびスケーリング・ファクタ2(β)ステージ595-2のための電圧は、位相がどのように選択されるかである。
【0049】
粗遅延素子510の粗遅延は、バイアス電流または縮退素子あるいはその両方を用いて、実数および虚数の増幅器相互コンダクタンスgを変化させることによって、個別のステップにおいて同調可能である。実数または虚数あるいはその両方の部分における相互コンダクタンスのスケーリングは、遅延の変化につながる。ZおよびZは、遅延、DC(直流)利得、および入力インピーダンス・マッチングを制御するインピーダンスであり、これらの機能は、独立または相互依存にされることが可能である。縮退は、縮退を使用しないことに比べて、より高い線形性、および入力インピーダンス・マッチをもたらすことができる。縮退について、これは、抵抗器、キャパシタ、もしくはインダクタ、またはその組合せ、あるいは、粗遅延素子510の(例えば、位相を含む)遅延を調節するための他の回路機構のさらなる追加を含んでもよい。これらの縮退素子は、図示していない。
【0050】
縮退は、よく知られており、広く使用されてきた技術である。縮退の考え方は、任意の増幅器(電圧/電流から電圧/電流であることが可能であり、すべての組合せが、増幅器のどのタイプが対処されるかに依存する)は、増幅器が線形のままである(すなわち、出力が、入力に対して実質的に線形の)入力範囲を有するというものである。静止電流に基づいて、出力信号は、最大値を有し、したがって、より低い利得を有する入力における、より大きい振幅で、同じ出力信号が取得されるはずである。低減された利得は、縮退として知られており、増幅器は、縮退のないものより大きい入力スイングにわたって線形的に動作する。
【0051】
を誘導素子として使用することは、実質的に一定のままの入力インピーダンスにつながり、50Ωの入力マッチを実現することが可能である。したがって、1つの例は、Zが抵抗器であり、Zがインダクタであるというものであるが、他の構成が可能である。Zが、値=Lのインダクタであるとき、これは、Z=jωLの周波数ドメイン・インピーダンスになる。
【0052】
分析のために、Zを、値Rを有する抵抗器として、ならびに、Zを、大きいQファクタおよびインダクタンスLを有するインダクタとして使用する例が、選ばれる。入力電流に対する以下の分析を考える。
【0053】
【数1】

ここで、vinは、入力電圧Vであり、sは、ラプラス演算子s=σ+iωであり、または
【0054】
【数2】

である。
【0055】
ここで、ZおよびZが、等しい相互コンダクタンスを有する、すなわち、gm1=gm2=gであると考える。これは、以下の通り、等式を簡素化する。
【0056】
【数3】
【0057】
R≪1について、および
【数4】

である。
【0058】
可変遅延線500は、オール・パス(AP)、ロー・パス(LP)、またはハイ・パス(HP)フィルタリング・アプローチのために使用されてもよい。図6は、例示的な実施形態における、AP、LP、またはHPフィルタリング・アプローチのためのスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。周波数に対する一定利得により、最初の2つの(AP)行が、実行ケースとして選ばれてもよく、その一方で、他の選択肢が、周波数による利得変動につながることがある。
【0059】
別の例示的なケースは、変形1(1)スケーリングであり、この場合、gR=1である。このケースでは、
【数5】

である。積gRに応じて、遅延素子は、gR=1を使用した、スケーリング・ファクタの調節を必要とすることがある。図7は、変形1(1)スケーリングのための例示的な実施形態における、AP、LP、またはHPフィルタリング・アプローチのためのスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。図6と同様に、周波数に対する一定利得により、最初の2つの(AP)行が、実行ケースとして選ばれてもよく、その一方で、他の選択肢が、周波数による利得変動につながることがある。
【0060】
別の例示的なケースは、変形2スケーリングであり、この場合、gR=2である。このケースでは、
【数6】

である。積gRに応じて、遅延素子は、gR=2を使用した、スケーリング・ファクタの調節を必要とすることがある。図8は、変形2(1)スケーリングのための例示的な実施形態における、AP、LP、またはHPフィルタリング・アプローチのためのスケーリング・ファクタ、出力電流、および位相シフトのテーブルである。図6および図7と同様に、周波数に対する一定利得により、最初の2つの(AP)行が、実行ケースとして選ばれてもよく、その一方で、他の選択肢が、周波数による利得変動につながることがある。
【0061】
さらに別の例は、ジェネリック・スケーリングに関し、この場合、gR=Nである。このケースでは、
【数7】

である。遅延は、以下の通りである。
【数8】

追加として、
【数9】

であり、これは、Nを修正することによってスケーリング可能な「事実上の」相互コンダクタンスである。すなわち、
【数10】

は、スケーリング・ファクタである。また、
【数11】

は、位相を示す。
【0062】
遅延線の実装形態のための例示的実施形態が説明されてきた。遅延線の使用についての追加の詳細がここで提供される。
【0063】
遅延線を較正することが有益になることがある。広帯域実時間遅延の較正について、これに関する例示的な理論は、以下を含む。
【0064】
1)インダクタンス値は、P、T(プロセス、温度)コーナにわたって同じままである。
【0065】
2)Qファクタは、P、Tコーナで変化する。
【0066】
3)1つの例は、複数の周波数に対して遅延線を励起し、例えば、最小2乗平均(LMS)アルゴリズムを使用して、遅延を測定することである。
【0067】
4)位相差は、隣接遅延素子からの出力を観察することによって検知されてもよい。
【0068】
5)受動遅延素子530の精度は、ベンチマークとして使用されてもよい。
【0069】
6)粗遅延素子510は、一度に1つずつ較正されてもよい。
【0070】
1つの可能な較正手順は以下の通りである。
【0071】
1)バイアス電流を変化させることによって、相互コンダクタンス(g)を変化させる。
【0072】
2)DACの2つの部分を使用し、これらのうちの1つは、定数gを提供する固定部分である。
【0073】
3)DACの第2の部分を使用し、これは、LMSに基づくDACの訂正部分である。
【0074】
4)一度に1つの周波数ずつ、ハイブリッド遅延セルに複数の周波数を提供する。
【0075】
5)最小2乗平均(LMS)の数学的フィット(mathematical fit)を実施して遅延を完結させる。LMSアルゴリズムを使用することによって意図されることは、遅延が正確に実現されるように、広い周波数範囲にわたって動作するように位相シフタが最適化されるように、スケーリング・ファクタ(例えば、係数)αおよびβが判定されることである。
【0076】
図9を参照すると、この図は、例示的な実施形態によるデバイス900(レシーバまたはトランスミッタなど)に実装される、広帯域実時間遅延の較正のために構成された例示的な遅延線500-1および関連付けられた回路機構を示す。制御回路機構910が示されており、この例では、DAC(デジタル-アナログ・コンバータ)920、930、および940、ならびに(CPC(コンピュータ・プログラム・コード)950を備える)1つまたは複数のメモリ960を備える。制御回路機構910は、1つまたは複数の特殊用途もしくは汎用プロセッサ、または特定用途向けシステム・プロセッサ、または、マイクロコントローラもしくはDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)などの他のプロセッサを備えてもよい。代替または追加として、制御回路機構910は、プログラマブル・ロジック・デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、超大規模集積(VLSI)回路、または同様のものなどの他のハードウェアを備えてもよい。制御回路機構910は、例えば、1つまたは複数のメモリ960内のコンピュータ・プログラム・コード950を介して、プログラム可能でもよい。1つまたは複数のメモリ960は、リード・オンリ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、ソリッド・ステート・メモリ、または任意の他のメモリを含んでもよい。CPC950または制御回路機構910あるいはその両方は、本明細書で説明されるプロセスを実行するように、および本明細書で獲得または使用されるデータを格納するようにプログラムされたような、プログラムおよびデータ・ストレージを有してもよい。CPC950が使用されることを想定して、1つまたは複数のメモリ960およびコンピュータ・プログラム・コード950は、制御回路機構910によって、本明細書で説明されるような動作のうちの1つまたは複数をデバイス900に実施させるように構成されてもよい。
【0077】
この例は、3つのDAC920、930、および940を備える制御回路機構910を有する。これは、参照の容易さ、および明瞭さのためのものであり、これらのDACは、単一のDACもしくは他の対応する回路機構に組み合わされることも、さらに再分割されることも可能である。DAC920は、定数gを提供するDACの固定部分である。DAC930は、定数gに追加される訂正を適用する訂正部分である。訂正部分930は、格納されたコードを使用してもよく、この場合、各コードは、D2x(下記参照)のための特定の出力に対応する。DAC940は、具体的には、細密遅延素子530のためのものであり、さらに、細密遅延素子530の位相を調節するための出力を生み出す。
【0078】
DAC920は、定数gのバイアスであるD1を出力し、DAC930は、D2xを出力し、ここで、「x」は、A、B、C、・・・であり、第xの遅延素子係数のための訂正DAC信号である(および、訂正DAC930は、較正から調節される)。(それぞれの各粗遅延素子500、500-1、500-2、・・・に対応するバイアス1、バイアス2、バイアス3、・・・のような)バイアスは、D1とD2xとの合計であり、スケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1におけるV-Vのための、およびスケーリング・ファクタ2(β)ステージ595-2のための電圧を調節する。したがって、1つの遅延素子510のための単一のバイアスは、定数gのバイアス、ならびに、スケーリング・ファクタ1(α)ステージ595-1におけるV、Vのための2つ、およびスケーリング・ファクタ2(β)ステージ595-2におけるV、Vのための別の2つという、4つまでの他の信号を含んでもよい。スケーリング・ファクタ・ステージ595-1および595-2において、より少ない信号を有することも可能である。
【0079】
プロセス、電圧、および温度(P、V、T)較正のための1つの例示的な手順は、以下の通りである。これは、1つの可能なプロセスの概観であり、図11は、このようなプロセスの別の例を含む。
【0080】
1)動作の周波数(F1)を選ぶ。
【0081】
2)位相シフタ・チェーン1(PS1)、および位相シフタ・チェーン2(PS2)のために2つの隣接遅延素子を利用する。
【0082】
3)(min=最小位相およびmax=最大位相である、2つの設定、minまたはmaxのいずれかにおける)粗1 510および粗2 510-1遅延素子のための固有の設定を保つ。
【0083】
4)粗3 510-2を最も低い目標位相シフト(例えば、0°、ゼロ度)に、および細密遅延530を既知の固有位相シフト(例えば、45°)に設定する:PS1。
【0084】
5)粗3を45°位相シフトおよび0°を細密位相シフトに設定する:PS2。
【0085】
6)以下の方法のうちの1つによってPS1とPS2との間の位相誤差に差を作る。(a)信号の減算、(b)ベクトル積がゼロになるように乗算する(例えば、ミキサ・ベースのアプローチ)、または(c)ビーム・パターンにおけるヌル検出を実施する。
【0086】
7)複数の周波数F2、F3、・・・において上記のステップを実施する。
【0087】
8)LMSアルゴリズムを使用して、D2Cを設定することによってエラーを最小化する。
【0088】
9)粗1および粗2遅延素子のために上記のステップを個別に繰り返す。
【0089】
10)D2AおよびD2Bのための設定を取得する。
【0090】
11)デジタル・アルゴリズムは、必要な場合、さらなる精度のための較正の後、残余誤差を補償することができる。
【0091】
位相誤差の差(上記の(6)参照)を判定するための1つの例は、位相比較器を使用することである。図10Aは、例示的な実施形態による、ハイブリッド遅延較正のための隣接チャネルの位相比較を示している。2つの位相シフタ・チェーンPS1 1000-1およびPS2 1000-2が示されており、対応する出力1040-1および1040-2を介して位相比較器1010に連結して示されている。位相シフタ・チェーンPS1 1000-1およびPS2 1000-2のそれぞれは、前述のような遅延線500の1つのバージョンである。位相シフタ・チェーンPS1 1000-1は、いくつかの粗遅延素子510を含む能動広帯域時間遅延部分1020-1、および細密遅延素子530を含む受動広帯域実時間遅延部分1030-1を含む。位相シフト・チャネルPS2 1000-2は、いくつかの粗遅延素子510を含む能動広帯域時間遅延部分1020-2、および細密遅延素子530を含む受動広帯域実時間遅延部分1030-3を含む。
【0092】
位相比較器1010は、複数の方式で実行可能である。例えば、これは、位相検出器を使用すること、またはビームフォーマのヌルを測定することなど、ベースバンド実装形態を使用して実施されてもよい。代替として、これは、ミキサを位相検出器として使用すること、または減算器アプローチを使用することなど、RF実装形態を使用して実施されてもよい。
【0093】
図10Bに移ると、この図は、例示的な実施形態による、ビーム・フォーミング・アレイの状況において実施されるハイブリッド遅延較正のための隣接チャネルの位相比較を示している。ビーム・フォーミング・アレイのために使用される複数の(K個の)位相シフタチャネル1000-1、1000-2、・・・、1000-kがある。各位相シフタチャネル1000は、複数の(N個の)能動ステージ1020および1つの受動ステージ1030を含む。この図は、位相シフタチャネル1000-2、・・・、1000-kが、ゼロ度に設定されたそのN個の能動ステージ1020を有し、45度に設定されたその受動ステージ1030を有するとき、位相シフタチャネル1000-1がどのようにテストされ得るかを示す。一方で、位相シフタチャネル1000-1における第nの粗遅延素子の「n」および対応する矢印は、45度など、様々な粗値に設定された遅延素子を指示する。
【0094】
広帯域実時間遅延の較正に関して、以下の観察が行われる。
【0095】
1)BEOL(配線工程)ベースのインダクタンスおよび静電容量は、PVTコーナにわたって同じままである。
【0096】
2)Qファクタは、PVTコーナで変化するが、位相に影響を及ぼさない。
【0097】
3)広い周波数範囲にわたって能動位相シフタの遅延較正を実施する必要はない。
【0098】
発明者は、受動同調可能な遅延の精度をベンチマークとして使用して能動構成要素を較正することが、遅延線を較正するための1つの方式であると判定してきた。
【0099】
図11は、例示的な実施形態による、位相シフタ・チェーンとも呼ばれる、2つの遅延線の較正のためのフローチャートである。図11は、上記で既に簡潔に説明されたことを、より詳細に説明している。図11はまた、例示的な1つまたは複数の方法の動作、コンピュータ可読メモリ上で具体化されたコンピュータ・プログラム命令の実行の結果、ハードウェアで実行されるロジックによって実施される機能、または例示的実施形態による機能を実施するための相互接続された手段、あるいはその組合せを示す。図11の動作は、制御回路機構910によって制御されることが想定される。制御回路機構910は、このフローのいくつかまたはすべてのためにユーザによって供給された(例えば、コンピュータ・プログラム・コード950における)プログラムに従ってもよいことに留意されたい。DAC920および930は、制御回路機構910によって制御される。
【0100】
図11のフローは、ブロック1105で始まり、ブロック1110において、制御回路機構910は、定数gのバイアスを設定するようにDAC920を構成する。制御回路機構910は、ブロック1115において、N個の周波数のセット{F,F,F,・・・,F}を選択する。ブロック1120において、制御回路機構910は、DAC930のDAC訂正のための中間コードを設定する。中間コードは、訂正が変動され得るコードの範囲の中間にあるコードであり、この場合、コードは、スケーリング・ファクタ・ステージ595、つまりファクタ1(α)595-1およびファクタ2(β)595-1のための訂正に対応する。例えば、1つの例は、V-V、またはΔVによって与えられる訂正項を有する。典型的に、これが実行され得る1つの方式は、V=V+ΔVおよびV=V-ΔVであり、ここで、Vは、静止動作をサポートするバイアス電圧である。ブロック1120(および、ブロック1130も参照)は、したがって、スケーリング・ファクタ・ステージ595、つまりファクタ1(α)595-1およびファクタ2(β)595-1のためにΔVのうちの1つまたは複数を設定することを含んでもよい。これらは、独立して設定されてもよく、または2つは、単一の電圧差に関するものでもよい。定数gのバイアスと、中間コードに対応するバイアス(または複数のバイアス)に対応するバイアスとの加算である、印加された総バイアスがある。
【0101】
フローは、ブロック1121に進み、ここでブロック1130および1125が実施される。ブロック1130において、位相シフタ・チェーンPS1(遅延線500)に対して、能動素子(「能動」)であると指示された粗遅延素子510が、[1:n-1,n+1:N]に対してゼロ度(0°)に設定される。言い換えれば、N個の遅延素子510があり、第nのもの以外のすべてが、ゼロ度に設定される。PS1に対して、能動[n]が、45°に設定される。受動素子(「受動」)であると指示された細密遅延素子530は、ゼロ度(0°)設定に設定される。ブロック1125において、位相シフタ・チェーンPS2(別の遅延線500)に対して、能動素子(「能動」)であると指示された粗遅延素子510はすべて、[1:N]に対してゼロ度(0°)に設定される。言い換えれば、N個の遅延素子510があり、すべてがゼロ度に設定される。PS2に対して、受動素子(「受動」)であると指示された細密遅延素子530は、45度(45°)設定に設定される。
【0102】
ブロック1135において、位相差(PD)が検出される。ブロック1140は、PDがゼロであるかどうかを判定する。PDがゼロ以外の場合、ブロック1180=いいえであり、フローは、ブロック1185に進み、ここで、第nの能動[n]遅延素子510のためのPS1のDACコードが調節され、フローは、ブロック1120に戻る。これは、コードの増加または減少でもよく、次に、ブロック1185が実施され、電流方向(増加もしくは減少)に進むべきか、または方向を変えるべきかについての判定が行われてもよいことに留意されたい。例えば、増加が以前に行われ、これが、より高いPDの原因になった場合、ブロック1185において、減少が行われてもよい。
【0103】
PDがゼロ(例えば、または、ゼロのいくつかの分散範囲内)の場合、ブロック1145は、はいであり、フローは、ブロック1150に進み、ここで、すべての能動セグメント(すなわち、粗遅延素子510)が行われたかどうかが判定される。行われていない場合、ブロック1174は、いいえであり、フローは、ブロック1175に進み、ここで、n=n+1であり、フローは、ブロック1130に戻る。すべての能動セグメントが行われた場合、ブロック1155は、はいであり、ブロック1170において、すべての周波数が行われたことについて判定される。行われていない場合、ブロック1172=いいえであり、ブロック1115における周波数のセットと共に、次の周波数が1190において選ばれる。ブロック1165におけるLMS分析のために、DAC訂正コードが、LMSアルゴリズムによる使用のために周波数ごとに格納されることに留意されたい。
【0104】
すべての周波数が行われた場合、ブロック1160=はいであり、LMSアルゴリズムが実行され、DACが完結され(ブロック1165)、DAC920のためのgのバイアス、および粗遅延素子のそれぞれのための訂正DAC930のためのコードが、知られていること、および格納されることを意味する。フローは、ブロック1167で終わる。
【0105】
図11は、2つの遅延素子を含むが、これは、3つ以上の遅延素子を有するフル・フェーズドアレイに拡張可能である。差動較正は、フェーズドアレイにおけるすべての素子をカバーするように隣接素子に対して繰り返される。
【0106】
追加として、図11は、能動遅延素子に関するゼロおよび45度の例であるが、能動遅延素子が、より多くの位相(例えば、90度も)または異なる位相(例えば、0、22.5、および45度)を有する場合、例えば、受動遅延素子がこれらの位相をサポートする限り、同じプロセスが実施されてもよい。
【0107】
図12は、例示的な実施形態による、フェーズ・アレイ用途のための例示的な同調可能遅延線の使用の図である。デバイス900-1は、レシーバであり、16個の素子1220-0から1220-15を備え、これらのそれぞれが、60GHz入力を受け入れ、LNA(低ノイズ増幅器)を有し、その後に、対応する遅延線500-0から500-15、およびVGA(可変利得増幅器)が続く。デジタル・ビーム・テーブル1050-0から1050-15は、対応する遅延線500-0から500-15およびVGAを送り込む。これらは、受動/能動結合器ブロック1230に入力され、受動/能動結合器ブロック1230は、第1のステージにおいて16個の受動結合器1235、次いで、第2のステージにおいて4つの受動結合器、次いで、2つの能動結合器1240、および最終的に、レシーバ・コア1210に出力する単一の受動結合器を含む。
【0108】
レシーバ・コア1210は、少なくともレシーバ・コア1210を制御するために使用されるデジタルI/O(入力/出力)レジスタ・アレイおよびビーム制御1260を備える。合成器からx3(3倍)を受け入れる乗算器があり、合成器は、また、16.66GHzから18.52GHzまでを出力する除算器(÷2)に出力し、除算器は、IQ位相回転器に出力する。乗算器は、8.33GHzから9.26GHzまでの周波数調節を行う周波数調節器に、次いで、増幅器に出力する。増幅器の出力は、AM検出器、別の乗算器、周波数調節器、増幅器、別の周波数調節器、および別の増幅器に進み、I出力を作り出す。増幅器の出力は、また、FM弁別器、別の乗算器、周波数調節器、増幅器、別の周波数調節器、および別の増幅器に進み、Q出力を作り出す。
【0109】
デバイス900-1はまた、デバイスの動作を制御する制御回路機構1210を備えてもよい。これは、制御回路機構910を含み、デバイスにおける他の素子と共に、16個の素子1220-0から1220-15のそれぞれを制御するはずである。
【0110】
図13に移ると、この図は、誘導性装荷を有する単一の能動遅延素子510のシミュレーション結果を示す。4つの曲線が示されており、曲線1310および1320は、デシベル(dB)での振幅に関するものであり(右の垂直軸V(db)参照)、曲線1330および1340は、1310および1320にそれぞれ対応し、位相を度で示している(左の垂直軸V(度)参照)。水平軸は、24.0から30.0GHzまでの周波数(GHz)である。ポイント1310-1は、1.699dBであり、ポイント1310-2は、1.378dBである。ポイント1320-1は、1.506dBであり、ポイント1320-2は、1.558dBである。ポイント1330-1は、-10.39189度であり、ポイント1330-2は、-47.75134度である。ポイント1340-1は、-47.35073度であり、ポイント1340-2は、-94.09481度である。
【0111】
図示のように、振幅差は、帯域<200mdBにわたり、線形の位相、帯域にわたる~10度の変動がある。2つの能動遅延素子510を使用する場合、それぞれが、この例として、45度シフトを提供することができる。したがって、2つの遅延素子から{0,45,90}度を取得してもよい。45度補間のための受動細密遅延線の追加。これは、チャネルあたり4倍、受動位相シフタのサイズを低減させてもよい。
【0112】
また、図13は、以下を示すために使用されてもよい。例示的実施形態の1つの態様は、能動で粗の可変遅延素子510における固有位相対周波数特性を可能にすることである。1つのアイデアは、説明された受動遅延素子と同様に、広い周波数範囲にわたって実時間遅延のように能動遅延素子がふるまうようにする、位相-周波数勾配を作り出すことである。能動遅延は、ずっと狭いエリアをとり、全体の利益を提供する。
【0113】
より詳細な位相対周波数勾配に関して、実時間遅延は、図1Bに示されているような、特定の位相対周波数勾配を有する。物理的な遅延は、実時間遅延に対応し、この場合、低周波数に、所与の位相シフト(θ=2πflow/遅延)に対応する遅延があるが、より高い周波数では、遅延は、同じままであるが、位相シフトが増加する(θ=2πfhigh/遅延>θ(flow>fhigh))。典型的には、能動位相シフタは、この特性を有していない。その代わりに、能動位相シフタは、典型的には、図1Aに示されたものに類似の特性を提供する。図3Aおよび図3B、ならびに図4Aおよび図4Bの比較可能な例で示されているように、図1Bの位相プロフィールを有することは、図1Aの位相プロフィールを有することより好ましい。これを達成するために、本明細書の例示的な回路は、図13によって示されているように、能動回路にもかかわらず、この図1Bのような特性を有することができる。すなわち、図13は、周波数に伴う位相の、図1Bのような特性変動を示す。
【0114】
デバイス900および同様のものは、プロセス、電圧、および温度(P、V、T、またはPVT)変動ならびに対応するコーナについてテストされてもよい。図14Aおよび図14Bは、標準的なプロセス(P)および温度(T)コーナにわたるシミュレーション結果を示しており、ここで、図14Aは、振幅を示し、図14Bは、位相を示す。図15Aおよび図15Bは、標準的なP、Tコーナにわたる群遅延変動のシミュレーション結果を示し、ここで、図15Aは、振幅を示し、図15Bは、位相および群遅延を示す。
【0115】
使用され得る命名法で説明された、以下を含む、このためにコーナを測定するためのいくつかの選択肢がある。命名法S_HV_LTは、これが、「低速」プロセス・コーナ(第1のアルファベットS)と、高電圧(第2の項HV)および低温度(第3の項LT)であることを意味する。命名法S/F/Nは、低速/高速/公称を意味する。命名法HV/NV/LVは、高電圧、公称電圧、低電圧を意味する。命名法HT/NT/LTは、高温、公称温度、低温を意味する。基本的に、これらは、トランジスタのプロセス、電圧、および温度変動に対するデザインの堅牢性を監視するために使用される。温度は、接合部温度であり、周囲の温度ではない。図14A図14B図15A図15Bでは、以前の命名法を介して、以下の命名法が示され、解釈される:F_HV_LT、N_NV_RT、N_NV_NT、N_NV_HT、およびS_LV_HT。
【0116】
図14Aおよび図14Bについて、2つの位相設定にわたる実質的に一定の位相差を達成するために、マルチ・セクション・スタガード・セグメント(例えば、遅延素子510)が直列に使用可能である。バイアス電流は、変動を補償するために、P、T追跡タイプであることも可能である。
【0117】
図15Aおよび図15Bについて、これらは、前に示された位相対周波数プロットの位相導関数を提供する。これは、単一のステージだけのためのものであり、直列アプローチによって変動を低減させることが可能である。
【0118】
例示的実施形態は、例えば、ベクトル変調ベースの実装形態と、マイクロ波技術を使用した実時間遅延実装形態との間の、ハイブリッド遅延アプローチを実装するものと考えられてもよい。これは、従来技術とは対照的である。
【0119】
1つの従来技術は、ベクトル変調ベースの実装形態であり、これは、相対的に狭帯域幅を有するものと考えられてもよく、解像度は、DAC(デジタル-アナログ・コンバータ)ベースのもの、またはそうでなければ、デジタル制御によるものでもよく、入力マッチングは、50Ω入力インピーダンスに対して機能する。エリアは、相対的にコンパクトなものでもよく、入力は、直角位相である。構造/構成は、能動であり、利得をもたらす。別の従来技術であるマイクロ波技術を使用した実時間遅延実装形態について、帯域幅は、相対的に広くてもよく、解像度は、DAC(デジタル-アナログ・コンバータ)ベースのもの、またはそうでなければ、デジタル制御によるものでもよい。このための入力マッチングは、損失を低減させるのに好まれる低インピーダンスを有し、エリアは、(例えば、伝送回線により)相対的に大きい。入力は、単相または差動位相であることが可能であり、構造/構成は、一般に受動であり、損失をもたらす。
【0120】
対照的に、本明細書のハイブリッド遅延アプローチは、これらのうちの両方の有益な要素を組み合わせる。例えば、例示的実施形態は、広い帯域幅に適用可能でもよく、広い帯域幅または実時間遅延は、フェーズドアレイ・アプリケーションに有益である。解像度は、DAC(デジタル-アナログ・コンバータ)ベースのものでもよく、デジタル制御を提供する。デジタル制御は、容易な再構成/較正に好まれる。例示的実施形態は、50Ω入力インピーダンスなどの入力マッチングを提供してもよい。50Ω入力インピーダンスは、アーキテクチャにおけるシームレスなインターフェースおよび配置のためのいくつかの用途において好まれる。エリアは、例示的実施形態のためにコンパクトでもよく、所与のエリアについて、トランジスタおよび同様のものの使用は、例えば、伝送回線の使用に比べて、より多くの密度を提供する。コンパクトなエリアを有することは、損失を低減させ、アレイ素子の数を増加させるためのいくつかの実装形態に好まれる。例示的実施形態のための入力は、単相または差動位相でもよく、シングル・エンド/差動は、信号分配のための特定の用途において好まれ、例えば、バランを使用して、互いの間でコンバート可能である。例示的実施形態の構造は、信号利得が、低電力を保つために、いくつかの実装形態で必要とされ得るので、利得を提供することなど、ハイブリッドでもよい。
【0121】
下記に現れる特許請求の範囲の範囲、解釈、または用途を何らかの方式で限定することなく、本明細書で開示された実例の実施形態のうちの1つまたは複数の技術的効果および利点が、以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0122】
1)提案された遅延線は、広帯域フェーズドアレイ・システムのためのエリアを低減させることができる。
【0123】
2)提案された遅延線は、(受動遅延線と違って)電力利得を提供することができる。
【0124】
3)例示的な提案された遅延線は、50Ωへの入力インピーダンス・マッチを提供してもよい。
【0125】
4)例示的実施形態は、シングル・エンドまたは差動として使用可能である。例えば、例示的実施形態は、シングル・エンドおよび差動信号経路のために構成可能である。
【0126】
5)例示的実施形態は、(Zを同調可能伝送回線として使用し、または小さいステップでαおよびβを変化させることによって)継続的な遅延を提供するために使用可能である。
【0127】
6)例示的実施形態は、g~1/Rを行うことによってP、T変動を追跡するために行われることが可能である。
【0128】
7)遅延セルの順序(粗、細密)は、より多くの機能を提供するために変更可能である。
【0129】
8)例示的実施形態は、歪みキャンセラ、画像排除ミキサ、またはクロック遅延の代わりに使用可能である。
【0130】
9)本明細書の技術は、RF(無線周波数)ビーム・フォーミング、LO(局部発振器)ビーム・フォーミング、またはIF(中間周波数)ビーム・フォーミングを実現するために使用可能であり、広い柔軟性につながる。より詳しくは、2つの波形IFおよびLOを乗算するデカルト的アプローチでは、2つの項LO+IFおよびLO-IFを得る。ビーム・フォーミングは、実際には、異なる位相シフトをアレイの異なる素子に提供すること、ならびに、LOおよびIFのどちらかで行われることが可能であることを意味し、RFは、LOおよびIF項の線形合計および差であるので、これらのうちのどちらか1つにおける位相シフトは、RFドメインにおける同じ位相シフトになる。
【0131】
必要に応じて、本明細書で論じられる異なる機能は、互いに異なる順序で、または同時に、あるいはその両方で実施されてもよい。さらに、必要に応じて、上述の機能のうちの1つまたは複数は、任意選択でもよく、または、組み合わされてもよい。
【0132】
本発明の様々な態様は、独立請求項で説明され、本発明の他の態様は、説明される実施形態、または独立請求項の特徴を有する従属請求項、あるいはその両方からの特徴の他の組合せを含むが、単に、特許請求の範囲において明示的に説明される組合せではない。
【0133】
上記は、本発明の実例の実施形態を説明するが、これらの説明は、限定的な意味で考察されるべきではないことも本明細書では指摘される。むしろ、添付の特許請求の範囲に規定されたような本発明の範囲から逸脱することなく行われ得るいくつかの変形形態および変更形態がある。
【0134】
本発明の好ましい実施形態では、同調可能遅延素子の複数のセットを備え、セットが、少なくとも1つの能動遅延素子および少なくとも1つの受動遅延素子を備え、少なくとも1つの能動遅延素子が、解像度の第1のセットを提供し、受動遅延素子が、解像度の第2のセットを提供し、第1のセットの数が、第2のセットの数より少なく、能動遅延素子が、第1の入力ステージおよび第1のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第1の回路機構であって、第1の入力ステージが、第1のスケーリング・ファクタ・ステージに出力し、第1のスケーリング・ファクタ・ステージが、第1のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力に基づいて第1のスケーリング・ファクタを調節する、第1の回路機構と、第2の入力ステージおよび第2のスケーリング・ファクタ・ステージを備える第2の回路機構であって、第2の入力ステージが、第2のスケーリング・ファクタ・ステージに出力し、第2のスケーリング・ファクタ・ステージが、第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力に基づいて第1のスケーリング・ファクタを調節する、第2の回路機構と、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージからの出力を加算し、能動遅延素子への出力を生み出す加算器であって、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力を調節することが、解像度の第1のセットのうちの個々の1つを選択する、加算器と、フェーズドアレイ・システムに連結され、少なくとも第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの入力を使用することによって、少なくとも1つの能動遅延素子のための遅延、および同調可能遅延素子の複数のセットに対する少なくとも1つの受動遅延素子のための遅延を、選択および設定するように構成された制御回路機構とを備える、フェーズドアレイ・システムを備える装置がここで提供される。好ましくは、第1の入力ステージは、インピーダンスZ1を備え、第2の入力ステージは、インピーダンスZ2を備え、Z1およびZ2は、能動遅延素子の遅延、直流利得、または入力インピーダンスのうちの1つまたは複数を制御するインピーダンスである。好ましくは、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージは、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージのためのそれぞれの第1の電圧の調節を介して、インピーダンスZ1またはインピーダンスZ2のうちのそれぞれ1つの方への電流ステアリングを実施するように構成され、能動遅延素子は、第2の電圧が第1および第2の入力ステージに印加されるのに応答して、能動遅延素子における位相対周波数特性を可能にするように、インピーダンスZ1およびZ2、ならびに電流ステアリングの動作に基づいて構成され、第2の電圧は、遅延されることになる信号に対応する。好ましくは、インピーダンスZ1は、抵抗器であり、インピーダンスZ2は、インダクタである。好ましくは、第1のスケーリング・ファクタ・ステージは、インピーダンスZ1に向かう出力電流の量をステアリングすることによって、第1のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の電圧入力に応答するように構成された電流ステアリング・デバイスを備え、第2のスケーリング・ファクタ・ステージは、インピーダンスZ2に向かう出力電流の量をステアリングすることによって、第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の電圧入力に応答するように構成された電流ステアリング・デバイスを備える。好ましくは、少なくとも1つの能動遅延素子は、同調可能遅延素子のセットのための複数の能動遅延素子を備え、制御回路機構は、同調可能遅延素子のセットのうちの少なくとも2つのための較正プロセスを実施するように構成され、較正プロセスは、制御回路機構が、セットのうちの第1のセットにおける第nの能動遅延素子を除く能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、このセットにおける受動遅延素子を第1の位相に設定し、このセットにおける第nの能動遅延素子を第2の位相に設定することと、制御回路機構が、セットのうちの第2のセットにおける能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、このセットにおける受動遅延素子を第2の位相に設定することと、制御回路機構が、同調可能遅延素子の第1および第2のセットの出力間の位相差を検出し、位相差が基準を満たすまで、第nの能動遅延素子の第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の入力を調節することと、制御回路機構が、第nの能動遅延素子への第1および第2の入力を較正ポイントとして指示する1つまたは複数のコードを格納することとを含む。好ましくは、同調可能遅延素子の第1のセットにN個の能動遅延素子があり、較正プロセスは、制御回路機構が、同調可能遅延素子の第1のセットにおけるN個の能動遅延素子のそれぞれに対して、第1のセットにおける第nの能動遅延素子を除く能動遅延素子のすべてを第1の位相に設定し、このセットにおける第nの能動遅延素子を第2の位相に設定すること、同調可能遅延素子の第1および第2のセットの出力間の位相差を検出すること、第1および第2の入力を調節すること、ならびに格納すること、を実施することをさらに含み、較正ポイントが、同調可能遅延素子の第1のセットにおけるN個の能動遅延素子のそれぞれのために格納される。好ましくは、位相差が基準を満たすまで、第nの能動遅延素子の第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージへの第1および第2の入力を調節することは、制御回路機構が、一定のバイアスを第1および第2の入力に設定することと、制御回路機構が、一定のバイアスに加算または減算されるバイアスの量に対応するコードを設定することとを含み、第1および第2の入力の総バイアスが、コードに対応するバイアスに加算される一定のバイアスであり、較正ポイントが、コードを含む。好ましくは、コードは、電圧の変化ΔVに対応し、第1の入力は、電圧V1であり、第2の入力は、電圧V2であり、V1=V0+ΔV、および、V2=V0-ΔVであり、ここで、V0は、静止動作をサポートするバイアス電圧である。好ましくは、第1および第2のスケーリング・ファクタ・ステージは、対応するスケーリング・ファクタαおよびβを有し、較正プロセスは、同調可能遅延素子の第1のセットにおけるN個の能動遅延素子のそれぞれに対して較正プロセスを実施し、複数の異なる周波数に対して、複数の異なる周波数にわたってN個の能動遅延素子のそれぞれに対する較正ポイントを生ずることと、能動遅延素子の遅延が正確に実現されるように、対応する能動遅延素子が、選択された周波数範囲にわたって動作するように最適化されるようなスケーリング・ファクタαおよびβを判定するために、複数の異なる周波数にわたってN個の能動遅延素子のそれぞれに対する少なくとも較正ポイントを使用して、最小2乗平均(LMS)アルゴリズムを実施することとをさらに含む。
図1
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
【国際調査報告】