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特表2024-513435それ自体のエネルギー源を有するエナジーチェーン及びそのためのチェーンリンク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】それ自体のエネルギー源を有するエナジーチェーン及びそのためのチェーンリンク
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/16 20060101AFI20240315BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561200
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022059015
(87)【国際公開番号】W WO2022214487
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202021101817.8
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト ヘイバリング
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA05
5G371AA07
5G371BA01
5G371CA02
5G371CA03
(57)【要約】
エナジーチェーンは、特に、第2のストランド12に対して第1のストランド11とともに、ストランド間に偏向アーク15を形成しつつ可動である、チェーンリンク2と、エナジーチェーン上又はエナジーチェーン内に配置された、電気エネルギーを消費する少なくとも1つの負荷、特に、エナジーチェーン1の動作パラメータを検出するためのチェーンリンクにおける少なくとも1つのセンサモジュールと、を備える。本発明によると、エナジーチェーン1は、エナジーチェーン1、特に可動の第1のストランド11及び/又は偏向アーク15が移動される場合にエナジーチェーン1の機械的エネルギー、特に運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように設計されるとともに消費機器負荷に給電するために消費機器負荷に接続された又は接続可能なエネルギーコンバータ18を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が他方に対して可動な2接続点間でケーブル、ホースなどのようなラインをガイドするためのエナジーチェーン(1)であって、
相互に接続されて相互に対して回動可能なチェーンリンク(2)であって、前記エナジーチェーンが、特に、第2のストランド(12)に対して第1のストランド(11)とともに、前記ストランド間に偏向アーク(15)を形成しつつ可動である、チェーンリンク(2)と、
前記エナジーチェーン上又はエナジーチェーン内に配置された、電気エネルギーを消費する少なくとも1つの負荷であって、特に、前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するためのチェーンリンクにおける少なくとも1つのセンサモジュール(10)と、
を備え、
前記エナジーチェーン(1)、特に可動の前記第1のストランド(11)及び/又は前記偏向アーク(15)が移動される場合に前記エナジーチェーン(1)の機械的エネルギー、特に運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように設計され、前記負荷に給電するために該負荷に接続された又は接続可能なエネルギーコンバータ(14;18;40;50)を含むエナジーチェーン(1)。
【請求項2】
特に請求項1に記載のエナジーチェーン(1)のためのチェーンリンク(2)であって、
前記エナジーチェーン(1)上又はエナジーチェーン(1)内の負荷に給電するための電気エネルギーを提供するように設計されたエネルギーコンバータ(14;18;40;50;73)を含むチェーンリンク(2)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記エネルギーコンバータ(14;18;50)は、電磁誘導によって発電するための誘導コイル(8;31;52)を備える、請求項1に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項4】
前記エナジーチェーン又はチェーンリンクは、前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するために少なくとも1つのセンサモジュール(10)、特に、監視システムと無線で協働するセンサモジュール(10)を含み、前記少なくとも1つのセンサモジュール(10)は前記エネルギーコンバータ(18)によって電気エネルギーの供給を受ける、請求項1若しくは3に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項5】
前記エナジーチェーンはトラックローラー(53)を有するローラーチェーンとして設計され、又は前記チェーンリンクが少なくとも1つのトラックローラー(53)を含み、前記エネルギーコンバータ(50)が、回転発電機の形態で設計され、前記トラックローラー(53)の回転動作から電気エネルギーを生成するために関連するトラックローラー(53)に配置された、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項6】
前記トラックローラーは少なくとも1つの永久磁石(51)を備え、前記ローラーチェーンリンクは、好ましくは、前記チェーンリンク(2)のサイドプレートにおける予め作製されたレセプタクルに収容された少なくとも1つの誘導コイルを含む、請求項5に記載の装置(1;2)。
【請求項7】
多数の磁石(4)を有する発電機がエネルギーコンバータ(18)として設けられ、前記磁石は、前記エナジーチェーン(1)の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するための動作時に前記エネルギーコンバータ(18)の誘導コイル(8)と協働し、好ましくは、前記磁石は前記誘導コイル(8)とともにリニア発電機を構成し、
多数の永久磁石(4)が、少なくとも前記エナジーチェーン(1)の長手部分に設けられ、かつ/又は
多数の永久磁石及び/又は電磁石が、前記エナジーチェーンに対して側方に配置されたホルダ(16)に設けられた、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1及び3に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項8】
前記永久磁石(4)の各々が、前記エナジーチェーン(1)のチェーンリンク(2)の独立したクロスバー(6)又は分離バーに、好ましくは、他方のストランドに面するクロスバー(6)の外側面に及び/又は取外し可能に固定されたクロスバーに設けられた、請求項7に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのエネルギーコンバータ(18)が、振動エネルギーコンバータ(14)として設計され、特に前記エナジーチェーン(1)のドライバ側長手二分体の内部に又はそれに対して取り付けられた、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項10】
前記振動エネルギーコンバータ(14)は、少なくとも1つの誘導コイル(8)、該誘導コイル(8)を支持するための特に少なくとも1つのバネ要素を備える少なくとも1つのベアリングユニット、及び少なくとも1つの永久磁石(4)を備え、それにより可変の磁界が前記エナジーチェーン(1)の往復動作によって前記誘導コイル(8)内に生成されるとともに電圧が該誘導コイル内に誘導され、前記永久磁石が、好ましくは管状ガイド(35)に可動に実装された、請求項9に記載の装置(1;2)。
【請求項11】
前記エネルギーコンバータ(18)は、
当接状態にある2つのチェーンリンク間の機械的圧力から電圧を生成するために配置された圧電構成要素、又は
対向する前記ストランド上を摺動する際に圧電的に電圧を生成するために、前記対向するストランドに面するチェーンリンクの走行部に配置された圧電構成要素
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項12】
前記エネルギーコンバータ(18)は電気エネルギーを生成するための太陽電池を備え、該太陽電池が、好ましくはチェーンリンクのクロスバー又は分離バーに一体化された、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項2に記載のチェーンリンク。
【請求項13】
必要に応じて前記負荷又はある負荷に給電するための前記エネルギーコンバータ(18)によって不連続に生成される電力を蓄電するために、電気エネルギー蓄電ユニット、特に蓄電池又は容量蓄電ユニットが、前記エナジーチェーン(1)又は前記チェーンリンク(2)に設けられた、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1から12のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2から12のいずれか一項に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項14】
前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するためのセンサモジュール(10)が設けられ、該センサモジュールは電力供給のために前記エネルギーコンバータ(18)に接続され、かつ/又は電力供給のための前記エネルギーコンバータ(18)が前記センサモジュールに集積され、前記センサモジュール(10)は、好ましくは前記エネルギー蓄電ユニットを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1から13のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2から13のいずれか一項に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項15】
前記センサモジュール(10)は前記1以上のエネルギーコンバータ(18)によって排他的に給電され、監視システム及び/又は可搬端末と無線で協働し、前記センサモジュール(10)は、好ましくは、少なくとも1つの加速度センサ、温度センサ及び無線データ送信ユニットを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記トラックローラーは、複数の周方向に分散された永久磁石(51)を備える、請求項5に記載のエナジーチェーン(1)のためのトラックローラーを有するローラーチェーンリンク。
【請求項17】
前記チェーンリンク(2)は前記ラインのための受容空間(7)を画定し、前記エネルギーコンバータ(14;18;40)は前記受容空間において、特に、前記チェーンリンク(2)のサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー上又はサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー内に側方に設けられ、かつ/又は
対応するエネルギーコンバータ(14;18;40)を有する複数のチェーンリンク(2)が設けられ、かつ/若しくは
前記チェーンリンク(2)は、関節状に、特に、相互に対して平面内で回動可能に相互に接続されて偏向アークを形成する、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置(1;2)、特に請求項1から15のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2から16のいずれか一項に記載のチェーンリンク(2)。
【請求項18】
前記エナジーチェーン(1)又は前記チェーンリンク(2)に設けられ、少なくとも1つの動作パラメータを検出するセンサモジュールに電力を供給するための請求項1に記載のエナジーチェーン(1)又は請求項2に記載のチェーンリンク(2)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、可動ラインガイドの分野に関する。特に、本発明は、ケーブル、ホースなどのようなラインを動的にガイドするためのエナジーチェーン及びそのためのチェーンリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
エナジーチェーンは、少なくとも一方が他方に対して可動又は変位可能な2接続点間でラインを保護するのに使用される。エナジーチェーンは、通常は、相互に関節状とされ及び/又は回動可能(pivotable)に接続されるとともにラインのための受容空間を形成するチェーンリンクからなり、任意のタイプの柔軟なライン、例えば、電力及び/若しくは信号供給のためのケーブル、又は液体若しくは気体の作動媒体の供給のためのホースを保護することができる。
【0003】
エナジーチェーンは、通常は、移動機械又はシステムの構成要素に供給するための産業機械及びシステムの構成要素として、例えば、ベース、すなわち、固定点とそれに対して可動なドライバとの間で少なくとも1本の供給ラインの保護された案内のために設けられる。それらは、そこにガイドされる供給ラインを、動作時のキンキング又は過負荷及び場合によっては外部の影響にも起因するダメージから保護するように作用する。エナジーチェーンは、通常は移動ストランド、定置ストランド、及びそれらの間に移動ストランドの半分の速度で移動する偏向アークを構成する。
【0004】
種々の設計のエナジーチェーンが知られている。移動上側ストランドが定置下側ストランド又は摺動レール上を摺動又は転動する摺動又は転動型のエナジーチェーンが、特に、比較的長い移動距離のために、例えば、港湾クレーンにおいて使用される。より短い移動距離については、自己支持移動ストランドを有する自己支持エナジーチェーンが使用されることが多い。
【0005】
同様に多種多様な設計の被ガイドラインが、少なくとも1つの可動外部負荷(エナジーチェーンの外部)に電力、データ及び/又は媒体を供給するのに一般的に使用され、通常は定置接続点において通常は1以上の供給源から開始する。
【0006】
産業における機械及び処理のインテリジェントネットワーキングの過程において、情報及び通信技術(「Industry 4.0」)並びに追加の機能性及び処理の最適化を追求するための関連する取組みの補助を受けて、多数の分野、特に工業生産において革新が行われている。その一例は、監視システム、特に無線監視システムであり、それらは、例えば、生産ラインの、以前に監視されなかったが保守を要する構成要素に統合される。この背景において、監視に使用される少なくとも1つの電気エネルギーの負荷であってエナジーチェーン上又はエナジーチェーン内に配置されたものによってエナジーチェーン自体を拡張することが既に提案されている。
【0007】
具体的には、特に、監視動作のために及び/又は保守間隔を決定するために又は予防的保守のために、Industry 4.0の意味でインテリジェントな機能を提供する対応のセンサ及び通信モジュールによって拡張されたエナジーチェーンが既に提案されている。
【0008】
特許文献1は、そのようなエナジーチェーンのための監視システムの例を記載する。例えば、イグス社(D-51147 Cologne)製の商品名EC.Mで提供されるモジュールが市販されている。エナジーチェーンの初期取付け及び後付けのためにこのモジュールを用いると、特許文献1にも記載されるように(その図6A図9参照)、加速度、速度、温度及び他の必要なデータなどの値が記録可能となり、特に、故障のない最小運転時間を計算するために又は運用寿命を予測するために使用可能となり、無線送信が可能となる。
【0009】
そのような装置は、所望の情報及び通信技術を実現する電子装置を必要とし、したがって電力が送電又は給電されなければならない。
【0010】
これに対する単純な解決手段は、エナジーチェーン内に敷設される追加の供給ラインによって送電することとなる。
【0011】
特許文献1において提案されるように、有線での電力供給を回避するために、モジュール内に独立したエネルギー蓄電部を有することも考えられる。例えば、バッテリが、エネルギー蓄電部として考えられる。
【0012】
供給ラインを介したエネルギー供給は、既存のエナジーチェーンシステム内へのセンサの後付けを複雑化し、例えば、エナジーチェーンの受容空間が既に完全に充填されている場合など、全ての環境下で可能なわけではない。またさらに、そのような追加の供給ラインは、それがその摩耗関連の制限された運用寿命に達すると更新されなければならないことにもなる。
【0013】
バッテリが定期的な間隔で交換されなければならないように、エネルギー蓄電部、すなわち、バッテリを介した電力供給も比較的保守集約型となる。これは、高い材料及び労働コストに加えて、特に多数のエナジーチェーン及び複数のモジュールを各々が有する大型システムでは、システム又は機械の無用に長い休止期間をもたらしてしまい、すなわち、高い可用性のアプリケーションには実用的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2018/115528号
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の第1の課題は、上記モジュール及びセンサの電力供給を、上記の不利益が少なくとも部分的に解消される程度に、又は既存のエナジーチェーン設備への情報及び通信技術、特にパラメータ若しくは状態を記録するセンサ技術又は他のIoT技術(モノのインターネット)の複雑でない後付けが可能となる程度に改善することである。
【0016】
本発明は、この問題を請求項1の特徴を有するエナジーチェーンによって、またさらに、それとは独立して請求項2に記載のチェーンリンクによって解決する。
【0017】
エナジーチェーンは、ラインを非定置の移動接続点までガイドするものである。エナジーチェーンは、少なくとも一部の区間において、特に交互に前後に移動されるものである。動作は、通常は、供給を受ける機械又はシステムの部品によって実行され、それ自体がアプリケーションに応じて移動される。
【0018】
本発明は、特にエナジーチェーン上又はエナジーチェーン内の負荷に供給可能とするように、特に移動ストランド及び/又は偏向アークにおいてエナジーチェーン内に意図するように発生する機械的エネルギー、特に運動エネルギーを利用するといった、考えてみると単純に見える基本概念に基づく。
【0019】
この知見に基づいて、本発明の第1のコアとなる態様に係る請求項1の前段部に記載の包括的なエナジーチェーンでは、エナジーチェーンの意図する動作の間にエナジーチェーンに伝達されるエナジーチェーンの機械的エネルギー、特に運動エネルギーを利用し、この機械的又は運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように設計されたエネルギーコンバータが設けられることが提案される。機械的又は運動エネルギーは、通常は、供給を受ける機械又はシステムの移動する部品からエナジーチェーンに伝達される。
【0020】
エナジーチェーン上又はエナジーチェーン内でそれ自体で結果として生成された電気エネルギーは、単に、アプリケーションに応じてエナジーチェーンに設けられた負荷に供給するために使用可能となる。この驚くほど単純なアプローチによって、電気エネルギーを自律的にかつ可能な限り保守なしで生成し、給電を確保することが可能となる。
【0021】
したがって、本発明のコアとなる概念によると、エナジーチェーンは、電気エネルギーをそれ自体で生成してこのエネルギーを1以上の負荷、特にエナジーチェーン内又はエナジーチェーン上に、いわゆる「内部負荷」として配置され又はそれとともに移動するように配置された負荷に送給するように設計又は展開される。これにより、他の供給ラインを接続点の1つからエナジーチェーンを通じて負荷まで敷設する必要がなくなり、又は使用済みバッテリを交換する必要がなくなる。
【0022】
エネルギーコンバータは、特に好ましくは、機械的、特に運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように設計され得る。原則として、任意の適宜の電気機械エネルギーコンバータが、この目的のために使用可能である。ただし、これは必須ではなく、例えば、他のコンバータ原理、例えば、太陽電池も、補完又は代替として使用可能である。
【0023】
一方、電気機械エネルギーコンバータは特に好ましく、それ自体は公知の種々の原理、例えば、特に転動ローラーチェーンの場合には回転動作を変換する回転発電機、長手方向の移動動作を利用するリニア発電機、振動発電機若しくは振動コンバータ、又は同様のいわゆるエネルギーハーベスタなどが、エナジーチェーンにおいて使用可能である。圧電コンバータも考えられる。
【0024】
したがって、本発明の更なる態様によると、請求項2に記載の単一のチェーンリンクは、エナジーチェーン上又はエナジーチェーン内の負荷に、すなわち、場合によっては他のチェーンリンク上又はチェーンリンク内の負荷にも供給するのに使用可能な電気エネルギーを提供するように設計されたエネルギーコンバータを含むように、本発明に応じて装備可能となる。
【0025】
以下において、文言「装置」は、簡潔には、エナジーチェーン又はチェーンリンクのいずれかを意味し、そして、記載される特徴の大部分はその両方に同様に当てはまる。用語「移動ストランド」は、意図するように移動されるエナジーチェーンの長さ部分を意味し、動作時の移動距離又は瞬間位置に応じた可変長のものである。用語「定置」又は「静止」ストランドは、移動ストランドに対して静止している瞬間的な視点でのエナジーチェーンの長さ部分を意味する。ただし、原則として、アプリケーションに応じて、チェーンの両端又は両ストランドが移動されてもよい。偏向アークとは、ケーブルを保護するように所定の最小半径を維持しながら回動可能なチェーンリンクが偏向されるストランド間の移動又は動作転換部のことをいう。
【0026】
一実施形態では、エナジーチェーンは、予知保全を実施し又は故障を回避するために少なくとも1つのセンサモジュールを負荷として含み得る。特に、センサモジュールは、それまで移動した距離、又は移動サイクル数、動作速度、温度などの少なくとも1つの動作パラメータを検出するように設計され得る。好ましくは、少なくとも1つのセンサモジュールは、クラウドシステムなどのような上位監視システムとの無線通信のために設計される。そのような監視システムは、予知保全又は予測的保守を可能とするとともに運用寿命の使用を最適化するために、送信された動作パラメータからエナジーチェーン及び/又は個々のチェーンリンクの予想残存運用寿命を特定又は計算することができる。
【0027】
無線通信センサモジュールがエネルギーコンバータによって電気エネルギーの供給を受ける場合、センサモジュールは、完全に自律的にかつ保守なしで運用され得る。特に、エネルギーコンバータは、例えばエナジーチェーンが移動している間にのみ中断し、又は例えばセンサモジュールに接続されるとともにエネルギーコンバータを介して充電される容量若しくは蓄電池によって概ね中断なしに、負荷、例えば、センサモジュールに給電することができる。
【0028】
無線通信センサモジュールとともに、保守を必要とする供給ラインも、交換されるべきバッテリも不要であり、特に、使用可能な機械的又は運動エネルギーの強度が動作摩耗に起因してエナジーチェーンの摩耗とともに本質的に増加するので、本発明は特に有利である。そして、重要なアプリケーションにおけるエネルギー供給の信頼性は、本質的なものとなる。
【0029】
長い移動距離のための転動エナジーチェーンに対する特に有利な実施形態は、エネルギーコンバータが電磁誘導の原理に基づいて回転発電機の形態で設計されるものである。回転発電機は、関連するトラックローラーに動作可能に接続され又はそこに配置され、トラックローラーの回転動作又は回転エネルギーを用いることができる。回転発電機は、好ましくは、チェーンリンクに固定されてトラックローラー上の少なくとも1つの励磁磁石が相互作用する誘導巻線を備える。この目的のため、複数の永久磁石が、好ましくはトラックローラーに一体化されてもよく、チェーンリンクのサイドプレートに取り付けられた少なくとも1つの誘導コイルと相互作用し得る。ローラーチェーンを有する適切なサイドプレートがあれば、この設計によっても、とりわけ、ローラーを交換してコイルユニットを実装することによる後付けが可能となる。この解決手段は、小型かつ強固に実現され得るものであり、比較的高いエネルギー収率が可能となる。
【0030】
好ましくは、複数の永久磁石であって、好ましくは周方向に及び/又は周囲の外側に交互の極方向で偶数個の永久磁石が、搬送ホイールの周囲にわたって均等に分散される。個々の分散された磁石の代替として、例えば、異なる極領域を有する丸い磁石が回転子として使用されてもよく、分散された個々の磁石は軽量であり、場合によっては既存のトラックローラーに一層容易に一体化又は後付けされ得る。
【0031】
一方、代替的に、サイドプレートにおける励磁磁石及び/又は搬送ホイールにおける誘導コイルが、回転発電機に設けられてもよい。永久磁石に代えて又はそれに加えて、場合によっては発電原理を用いる電磁石を用いることも考えられる。
【0032】
動作パラメータを測定するためのセンサが、そのような回転発電機に一体化されてもよい。回転発電機に割り当てられたトラックローラーによって移動される距離は、例えば、回転速度の形態で特定され、少なくとも1つの処理電子装置ユニットに無線送信され得る。回転発電機によってそれまでに発電された電力の測定値は、これが特定のローラーチェーンリンクの移動距離に直接依存し、結果としてエナジーチェーン又はその部品の残存運用寿命を推定するのにも使用可能であるため、価値のある情報を与えるものでもある。
【0033】
例えば、支持されないエナジーチェーンにも適する本発明に係る装置の他の実施形態は、特に、電気リニア発電機の原理に係る発電機が、チェーン長に沿って分散された多数の磁石と相互作用することに供する。この目的のため、電気エネルギーへのエナジーチェーンの運動エネルギーの有効な変換は、特に、エネルギーコンバータの誘導コイル内の磁石によって動作時に達成され得る。磁石は、エネルギーコンバータの巻線とともにリニア発電機を構成し得る。この目的のため、多数の磁石、好ましくは、永久磁石が、例えば、少なくともエナジーチェーンの長手部分に、特に、定置ストランドの固定点に向く長手二分体に固定子として設けられてもよい。代替的又は追加的に、多数の永久磁石及び/又は電磁石が、ガイドチャネルの側壁など、エナジーチェーンに対して側方に配置された支持体に設けられてもよい。エネルギー収率を高めるために、それぞれの誘導巻線を有する複数のエネルギーコンバータユニットが、チェーン長に沿って、好ましくは、通常は最も長い動作ストロークを行うドライバ側のチェーンの3分の1の領域に分散配置されてもよい。
【0034】
原則として、エネルギーコンバータ自体がほとんど又は全く保守なしに運用可能となるように、誘導コイルを介して可能な限り摩耗なしでかつ接触なしで機械的又は運動エネルギーの変換を実行する解決手段が有利である。
【0035】
本発明に係る装置の一実施形態では、センサモジュールは、電磁誘導によって発電するための少なくとも1つの集積誘導コイルを含み得る。このような集積設計は、追加の配線を必要とせずに、永久磁石及び少なくとも1つのセンサモジュールのみがエナジーチェーンに取り付けられるだけでよいので、既存のエナジーチェーン設備への容易な設置及び複雑でない後付けを確実にすることができる。
【0036】
エナジーチェーンに取り付けられた永久磁石を有する実施形態では、各永久磁石は、n番目毎のチェーンリンクに、特にエナジーチェーンのチェーンリンクのクロスバー又は分離バー上に設けられ得る。他のストランドに面するクロスバーの外側面における永久磁石の配置構成は、永久磁石と誘導コイルの間の距離を最小化するために及び磁束を増加させるために特に効率的である。エネルギー収率をさらに高めるために、永久磁石は、好ましくは、ドライバ側に定置ストランドの後方3分の1の領域に配置されればよく、それにより、エネルギーコンバータは可能な限り高い頻度で永久磁石と交差する。誘導コイルはまた、好ましくは、ここでは1以上のクロスバーに、好ましくはラインのための受容空間の外側に、例えば、長手方向に対して垂直かつサイドプレートに平行なコイル軸で取り付けられる。
【0037】
代替的又は追加的に、エネルギーコンバータは、移動ストランドの動作エネルギーを変換する振動エネルギーコンバータ又は一種の振動発電機を備え得る。この場合、エネルギーコンバータは、例えば、ドライバ側の第1のストランドの移動端部領域に取付け可能である。振動エネルギーコンバータの有利な効果は、比較的小型でかつ安価な設計が市場で入手可能であり、それは、例えば、モジュールに集積された場合、容易に後付けすることができることである。例えば、独立して取り付けられなければならない永久磁石などの更なる要素の必要が回避可能となり、それは材料コストだけでなく設置及び後付けの労力を大幅に軽減する。特に、振動エネルギーコンバータは、例えば、いわゆるエネルギーハーベスタとして比較的小型となり、場合によってはマイクロメカニカルなものとなり得る。
【0038】
振動エネルギーコンバータを有する有利な実施形態では、この振動エネルギーコンバータは、自由に振動可能となるようにベアリングユニットによって支持される励振器として少なくとも1つの誘導コイル及び少なくとも1つの永久磁石を有する。ベアリングユニットは、特に、永久磁石の弾力的実装のための少なくとも1つのバネ要素を備え得る。永久磁石は、例えば、管状ガイド内に遊びを有して実装された棒磁石であり得る。振動エネルギーコンバータを用いれば、エナジーチェーンの往復動作によって、例えば、エナジーチェーンの長手方向への又はそれに対して垂直に永久磁石が発振して、電圧を誘導する誘導コイル内の可変磁界が形成可能となる。
【0039】
腕時計の機構と同様に、小型回転発電機を駆動する機械的駆動装置とフライホイールマスの組合せもコンバータとして考えられ、それにより、駆動サイクル間でも比較的一定に発電される。特に、フライホイールマスは、チェーンリンクが偏向アークにおいて回動(旋回)する毎にそれが再度作動又は偏向されるような態様で実装可能である。
【0040】
本発明に係る装置の他の実施形態では、エネルギーコンバータは、機械的圧力から電圧を生成するために設けられた圧電構成要素を備え得る。圧電構成要素は、例えば、隣接チェーンリンク間の相互作用する制止部間に配置され得る。
【0041】
エネルギーコンバータの一実施形態では、これは、振動エネルギーコンバータなどの上述した実施形態に対して代替的に又は好ましくは追加して、電気エネルギーを生成するための太陽電池を備えていてもよく、それにより、エナジーチェーンの停止時であっても太陽電池によって電気エネルギーが生成可能となる。
【0042】
したがって、有利な実施形態では、エネルギーコンバータは、エナジーチェーンのチェーンリンク又はセンサモジュールに取り付けられた太陽電池の形態となり得る。
【0043】
他の実施形態では、太陽電池の形態でのみエネルギーコンバータを設けて、それにより、電気エネルギーへの運動エネルギーの変換が行われないようにすることが有利となり得る。これは、例えば、特にエナジーチェーンを低重量とする必要がある設置環境において、有利となり得る。それにより、動作エネルギーコンバータは、永久磁石及び他の電気機械構成要素によってもたらされるその自重のために不利となり、さらに、例えば、磁気要素が使用され得ないアプリケーションでは、誘導生成器の使用は可能でない。
【0044】
本発明に係る装置の更なる有利な実施形態は、電気エネルギー蓄電ユニット、特に蓄電池又は容量蓄電ユニットを含み、必要に応じて当該負荷又はある負荷に給電するためのエネルギーコンバータによって不連続に生成される電力を蓄電することができる。
【0045】
本発明に係る装置の一実施形態は、エナジーチェーンの動作パラメータを検出するためのセンサモジュールを提供し、そのパラメータが電力供給のためのエネルギーコンバータに関連付けられ、かつ/又はそのセンサモジュールには電力供給のためのエネルギーコンバータが集積される。センサモジュールは、好ましくはエネルギー蓄電ユニットを備え、これは充電回路を介してエネルギーコンバータに接続される。そのような集積設計によって、設置労力が大幅に軽減されることが確実となり得る。
【0046】
本発明に係る装置の更なる有利な実施形態は、センサモジュールが1以上のエネルギーコンバータによって排他的に給電され、監視システム及び/又は可搬端末と無線で相互作用することを規定する。センサモジュールは、好ましくは、少なくとも1つの加速度センサ、1つの温度センサ、及び1つの無線データ送信ユニットを備える。無線データ送信は、特に、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi又はLTEなどのモジュールデータネットワークを介して行われ得る。
【0047】
以下に、本発明の更なる有利な特徴及び効果を、添付図面を参照して一部の好適な例示的実施形態に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A図1Aは、エネルギーコンバータを含む本発明に係るエナジーチェーンの例示的実施形態の模式断面図を示し、自己支持可動ストランドを示す。
図1B図1Bは、エネルギーコンバータを含む本発明に係るエナジーチェーンの例示的実施形態の模式断面図を示し、摺動可動ストランドを示す。
図1C図1Cは、本発明に係るエナジーチェーンで用いられる集積誘導コイル及び集積センサを有するエネルギーコンバータの例示的実施形態の原理図を示す。
図1D図1Dは、クロスバーに取り付けられた2つの永久磁石を有する例示的実施形態のチェーンリンクの斜視図を示す。
図2図2は、自己支持上側ストランドを有する本発明に係るエナジーチェーンの例示的実施形態の模式縦断面図を示す。
図3A図3Aは、振動エネルギーコンバータ、補助モジュール及びセンサモジュールを有する例示的実施形態の断面図を示す。
図3B図3Bは、図3Aに示すような振動エネルギーコンバータの原理図を示す。
図4図4は、圧電素子の形態のエネルギーコンバータを有する関節状ジョイントによって接続された2つのチェーンリンクの縦断面を示す。
図5A図5Aは、エネルギーコンバータとして回転発電機を有するローラーチェーンのローラーチェーンリンクのサイドプレートを有する特に好適な例示的実施形態を内部からの断面図で示す。
図5B図5Bは、エネルギーコンバータとして回転発電機を有するローラーチェーンのローラーチェーンリンクのサイドプレートを有する特に好適な例示的実施形態を内部からの斜視図で示す。
図6図6は、太陽電池の形態のエネルギーコンバータを含む本発明に係るエナジーチェーンの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1図6において、エナジーチェーンは、模式的にのみ示され、全体として符号1で示される。エナジーチェーン1は、平面内で相互に対して回動可能でありかつそれ自体公知の構造を有し得るチェーンリンク2を備える。動作において、エナジーチェーン1は、可動ストランド11及び静止又は定置ストランド12に分割され得る。ストランド11、12は移動位置に応じて可変長を有し、移動ストランド11が移動するにつれてその位置を変化させる偏向アーク15によって接続される。またさらに、エナジーチェーン1は、相互に可動に接続されるとともに受容空間7を与える複数の個々のチェーンリンク2からなる。エナジーチェーン1の長手方向における最後のチェーンリンク2の各々は、端部固定部5A、5B、すなわち、機械又はシステムに定置ストランド12を固定するための定置端部固定部5A(固定点)及び供給を受ける機械又はシステムの相対的に可動な部品のドライバに可動ストランド11を固定するためのドライバ側端部固定部5Bを有する。図面は水平方向に可動なエナジーチェーン1を示すが、これは異なる態様で配置されてもよく、例えば、鉛直に吊下げられてもよい。
【0050】
図1A図1D及び図2に示す例では、エナジーチェーン1はいずれも、それ自体の発電機をエネルギーコンバータ18として備える。エナジーチェーン1は、自己支持可動ストランド11(図1A図2)又は摺動若しくは転動ストランド11(図1B)を備える。
【0051】
永久磁石4及び/又は電磁石が、エネルギーコンバータ18の誘導巻線又は誘導コイル8による電磁誘導によって発電するための励磁磁石として、定置ストランド12の多数のチェーンリンク2に設けられる。図1A図1D及び図2では、永久磁石4は、エネルギーコンバータ18とともにリニア電気誘導発電機を構成する。可動ストランド内に少なくとも1つの誘導コイルを備えるエネルギーコンバータ18の位置は、図1A及び1Bに例示としてのみ示され、例えば、エナジーチェーンのドライバ5Bに近いドライバ側の3分の1の領域において、常に移動距離に応じて選択されるべきである。このように、エネルギーコンバータ18は、磁界の変化数、すなわち、エネルギー収率を最大化するために、可能な限り高い頻度で永久磁石4の磁界を横断し得る。
【0052】
図1Bは、図1Aに示すような本発明に係るエナジーチェーン1の更なる実施形態を記載する。図1Aに示す実施形態との本質的な相違は、可動ストランド11は、定置ストランド12に載置されてその上を摺動し、すなわち、誘導コイル8と永久磁石4の間の距離が減少することである。
【0053】
図1Cは、図1A及び1Bに示す本発明に係るエナジーチェーンの実施形態で使用可能となるようなエネルギー自律アセンブリを示す。このアセンブリは、追加の機能、特に、IoT機能又は状態若しくは動作パラメータを記録するためのセンサ技術によってエナジーチェーンを拡張するように設計される。この目的のため、特に、エナジーチェーン1の温度又は材料状態、例えば、摩耗状態などの動作パラメータを特定し、それらを上位監視ユニットに、特に無線で送信するセンサモジュール10が設けられる。誘導コイル8は、変換ユニット9に接続される。変換ユニット9には、少なくとも1つのセンサモジュール10又はそのセンサモジュール10に給電するための電気エネルギー蓄電部に送給するために、少なくとも1つの誘導コイル8によって誘導された電力を変換するための整流電子部品、平滑電子部品などが装備される。
【0054】
図1Dに、国際公開第2018/115528号に係るチェーンリンク2を示す。チェーンリンク2は、取外し不能及び/又は取外し可能に取り付けられたクロスバー6の1つに取り付けられた2つの永久磁石4を備える。この場合、永久磁石4は、磁気ホルダ21、例えば、射出成形部品によってクロスバー6に後に取り付けられてもよく、結果として迅速かつ容易な設置を可能とする。同様に、誘導コイル8はまた、射出成形部品(不図示)の形態の適宜寸法取りされたホルダによってチェーンリンクに取り付けられてもよい。
【0055】
図2に、エネルギーコンバータ18を有するエナジーチェーン1の他の実施形態を、自己支持上側ストランド11とともに示す。エナジーチェーン1の可動上側ストランド11は、長手方向にホルダレール16に沿って延在する。レール16は、エナジーチェーン1が移動される場合にその可動ストランド11においてエネルギーコンバータ18と相互作用する複数の永久磁石4及び/又は電磁石を備え、それにより、電圧がエネルギーコンバータ18に設けられた誘導コイル8に誘導される。更なる実施形態は、逆側の同一の第2のホルダレール16の使用に備えるものである。これは、磁石4の数を増加させて、より大きな磁束を達成する。
【0056】
図3Aは、例えば、好ましくは再充電可能な容量蓄電ユニット(不図示)を介してセンサモジュール10に給電するための振動エネルギーコンバータ14の形態の代替のエネルギーコンバータを有する本発明に係るエナジーチェーン1の実施形態の断面図を示す。図3Aのセンサモジュール10は、2つの選択されたチェーンリンク間のリンク-ピンの接続の摩耗を検出する。振動エネルギーコンバータ14は、さらに、少なくとも1つの集積回路を有する補助モジュール17に給電し、それは、とりわけ、センサモジュール10によって生成されたデータを処理し、そのデータを、好ましくは無線で、例えば、WLAN、Bluetooth(登録商標)などによって監視ユニットに送信する。振動エネルギーコンバータ14並びにモジュール17及び10の各々は、クロスバー6への固定のために上側面及び下側面にクロスバーレセプタクル30を有する。エネルギーコンバータ14並びにモジュール17及び10は、それ自体公知の分離バーと同様の態様で受容空間7におけるクロスバー6間に固定され、ここでは、例えば、3個のチェーンリンクにわたって分散される。例えば、単一のチェーンリンク内に完全に収容され、又はそのクロスバーに取り付けられる、例えば、振動エネルギーコンバータ14を有するセンサモジュール10など、より小型の設計も可能となる。
【0057】
図3Bに、振動エネルギーコンバータ14の形態の例示的エネルギーコンバータを原理模式図で示す。振動エネルギーコンバータ14は、例えば、強力ネオジム棒磁石の形態の永久磁石32、2つの渦巻バネ33及び誘導コイル31を備える。リセットのための2つの渦巻バネ33の各々は、それらの端部の一方によって保持点34に固定され、自由端はいずれも棒磁石32に固定され、それにより、棒磁石32は、2つの保持点34間でかつ誘導コイル31内で偏向が発生した後に可能な限り長く発振可能となる。棒磁石32は、摩擦なしに軸方向に変位可能となるように管状又は中空筒状ガイド35内に実装される。この配置構成は、図3Aに示すように、棒磁石32又は中空筒状ガイド35のガイド軸によって、特に可動ストランド11の移動方向に平行に、又は可動ストランド11の移動方向に垂直に配置され得る。
【0058】
振動エネルギーコンバータ14では、棒磁石32は、往復運動によって、偏向アーク15における偏向によって、及び/又は可動ストランド11の振動若しくは発振によって振動させられる。動作軸は、ここでは、偏向アーク15におけるチェーンリンク2の偏向が棒磁石32の発振をもたらすような態様で配置され得る。エネルギーコンバータ14は、エナジーチェーン1の、可能な限り高い頻度でチェーンリンクが動作を行う長手位置、例えば、チェーン長の中央領域に設けられるべきである。代替的に、例えば、エナジーチェーン1の長手方向に前後に移動する場合の運動エネルギーが、例えば、ドライバ5Bの付近で使用されてもよい。
【0059】
図4は、第1のチェーンリンク41及び第2のチェーンリンク42の、独国登録実用新案第29607492号に記載のチェーンリンク接続に一体化されたエネルギーコンバータの実施形態を模式的に示す。エネルギーコンバータは、制止部に挿通されるとともに、例えば、制止部44の上側又は下側制止面45、46から突出する変形可能な圧電素子40によって構成される。2つのチェーンリンク41、42が相互に向かって回動して伸張位置となると、圧電素子40は上側又は下側制止面45、46を通じて他方のチェーンリンク41の対向制止部による圧力を受け、その結果、張力が他方のチェーンリンクにおいて生成される。
【0060】
図5A図5Bに、サイドプレート3を断面で示す。このサイドプレートは、転動エナジーチェーン1のチェーンリンク2の原理に対応し、これは長い移動距離に特に適する。図5Aでは、例えば、国際公開第99/57457号に記載のチェーンリンク2は、2本のクロスバー(ここでは取外し可能、不図示)によって接続された2枚の対向サイドプレート3からなる。国際公開第99/57457号に記載のエナジーチェーン1の可動ストランド11は、必要な牽引力を減少させ又は最大使用可能長を増加させ、すなわち、より長い移動距離を可能とするために、定置ストランド12の定置下側ストランドの狭面上の走行面上をトラックローラー53で移動する。トラックローラー53は、ここでは、横方向に特に、エナジーチェーン1の長手方向及びサイドプレート3の高さ方向によって画定される平面に対して垂直に存在する回転軸周りに実装される。
【0061】
図5A図5Bは、転動エナジーチェーン1又はサイドプレート3の、本発明に係る更なる展開をトラックローラー53とともに示す。この更なる展開は、回転発電機50の形態のエネルギーコンバータに備えるものであり、この場合では、トラックローラー53における励磁磁石51及びサイドプレート3における少なくとも1つの誘導コイル52を有する。他の、例えば、反転した配置構成も考えられる。回転発電機50は、トラックローラー53の回転動作を利用することによって発電する。従来の発電とは異なり、回転発電機50は、回転磁石ではなく、トラックローラー53の周囲にわたって分散された複数の個々の強力永久磁石を励磁磁石51、例えば、ネオジム磁石として備える。好ましくは交互の極方向で偶数個の励磁磁石51が、トラックローラー53に取り付けられる。トラックローラー53が回転すると、回転し、場合によっては交番する励磁磁石51の磁界によって起電される電圧が誘導コイル52内に誘導される。生成された電圧を整流し、かつ場合によっては平滑するための又はエネルギー蓄電部に送電するための回路など、電源のための公知の設計の更なる標準的な回路構成要素は、不図示である。
【0062】
図5Aによる例では、誘導コイル52は、サイドプレート3の内面54においてチェーンリンク2の受容空間7に実装される。励磁磁石51は、それらの磁界の主方向をトラックローラー53の回転軸に平行にして配向される。有利な実施形態では、誘導コイル52は、励磁磁石51と誘導コイル52の間の距離を減少させるようにチェーンリンク2における予め作製されたレセプタクルに設けられる。これは、磁束を増加させ、結果として誘導電力の増加をもたらす。
【0063】
図5Bに示す例では、誘導コイル52は、サイドプレート3内のレセプタクル55に配置される。レセプタクル55はサイドプレート3によって予め作製され、それは、好ましくは、プラスチックから射出成形され、結果として絶縁レセプタクル55を形成する。図5Aとは逆に、図5Bにおける励磁磁石51は、それらの極方向又は主磁束をトラックローラー53の回転軸に関して放射状として配向される。好ましくは、偶数個の励磁磁石51、ここでは、例えば、各々60°の角度間隔の6個の励磁磁石51が、周方向に均等に分散され、かつ極を誘導巻線52に向かって交番させて設けられる。図5Bはまた、1つのみの誘導コイル52を示す。ただし、複数の誘導コイル52が、搬送ホイールの周囲に隣接して設けられてもよい。図5Bに示す配置構成のアセンブリは、受容空間7内の大きな容積を必要とせず、それ自体公知のローラーチェーンの後付けを可能とする。
【0064】
1以上の回転発電機50を用いてローラーチェーンにトラックローラー53を装備又は後付けする代わりに、上側ストランド11の動作から電気エネルギーを生成するために、基本的には1以上のチェーンリンク2を有する摺動チェーンであるチェーンに対して、トラックローラー53及び回転発電機50を選択的に装備することも考えられる。
【0065】
図6は、チェーンリンク2の外側面に取り付けられた太陽電池63の形態のエネルギーコンバータを有するエナジーチェーン1の他の実施形態を示す。複数の太陽電池63が、チェーンリンク2の外側面における異なる位置に、すなわち、偏向アーク15に対して径方向外向きに取り付けられる。太陽電池63は、それらが少なくとも1つの光源に曝露される限りは発電する。太陽電池63は、例えば、休止状態においてもセンサモジュール10が情報を送信できるようにする場合に、エナジーチェーン1が静止していたとしても存在し得る任意のエネルギー蓄電部を充電するために、電気機械発電機、例えば、図3A図3Bに係る振動エネルギーコンバータに加えて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0066】
図1A図1D
1 エナジーチェーン
2 チェーンリンク
3 サイドプレート
4 永久磁石
5A、5B 端部固定部
6 クロスバー
7 受容空間
8 誘導コイル
9 変換ユニット
10 センサモジュール
11 上側ストランド/可動ストランド
12 下側ストランド/静止ストランド
14 エネルギーコンバータ(振動エネルギーコンバータ)
15 偏向アーク
16 ガイドチャネル
17 補助モジュール
18 エネルギーコンバータ
21 磁気ホルダ
図3A図3B
30 クロスバーレセプタクル
31 誘導コイル
32 棒磁石
33 渦巻バネ
34 保持点
35 ガイド
図4
40 圧電素子
41 第1のチェーンリンク
42 第2のチェーンリンク
43 回動ベアリング
44 制止部
45 上側制止面
46 下側制止面
図5A図5B
3 サイドプレート
50 エネルギーコンバータ(回転発電機)
51 永久磁石
52 誘導コイル
53 トラックローラー
54 内面
55 レセプタクル
図6
1 エナジーチェーン
11 可動ストランド
12 静止ストランド
15 偏向アーク
63 太陽電池
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が他方に対して可動な2接続点間でケーブル、ホースなどのようなラインをガイドするためのエナジーチェーン(1)であって、
相互に接続されて相互に対して回動可能なチェーンリンク(2)であって、前記エナジーチェーンが、特に、第2のストランド(12)に対して第1のストランド(11)とともに、前記第1のストランド(11)と前記第2のストランド(12)と間に偏向アーク(15)を形成しつつ可動である、前記チェーンリンク(2)と、
前記エナジーチェーン(1)上又は前記エナジーチェーン(1)内に配置された、電気エネルギーを消費する少なくとも1つの負荷であって、特に、前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するための前記チェーンリンク(2)における少なくとも1つのセンサモジュール(10)と、
を備え、
前記エナジーチェーン(1)の可動の前記第1のストランド(11)及び/又は前記エナジーチェーン(1)の前記偏向アーク(15)が移動される場合に前記エナジーチェーン(1)の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気機械発電機として設計され、前記負荷に給電するために該負荷に接続された又は接続可能な少なくとも1つのエネルギーコンバータ(14;18;40;50)を含む
エナジーチェーン(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエネルギーコンバータ(14;18;50)は、電磁誘導によって発電するための誘導コイル(8;31;52)を備える、
請求項1に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項3】
前記エナジーチェーン、前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するために少なくとも1つのセンサモジュール(10)、特に、監視システムと無線で協働するセンサモジュール(10)を含み、
前記少なくとも1つのセンサモジュール(10)は前記エネルギーコンバータ(18)によって電気エネルギーの供給を受ける、
請求項1に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項4】
前記エナジーチェーンはトラックローラー(53)を有するローラーチェーンとして設計され、
記エネルギーコンバータ(50)が、回転発電機の形態で設計され、前記トラックローラー(53)の回転動作から電気エネルギーを生成するために関連する前記トラックローラー(53)に配置された
請求項1から3のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項5】
前記トラックローラー(53)は、少なくとも1つの永久磁石(51)を備え、
前記ローラーチェーンリンクは、好ましくは、前記チェーンリンク(2)のサイドプレートにおける予め作製されたレセプタクルに収容された少なくとも1つの誘導コイルを含む
請求項4に記載のエナジーチェーン(1)
【請求項6】
多数の磁石(4)を有する発電機が前記エネルギーコンバータ(18)として設けられ、前記磁石は、前記エナジーチェーン(1)の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するための動作時に前記エネルギーコンバータ(18)の前記誘導コイル(8)と協働し、好ましくは、前記磁石は前記誘導コイル(8)とともにリニア発電機を構成し、
多数の永久磁石(4)が、少なくとも前記エナジーチェーン(1)の長手部分に設けられ、
かつ/又は
多数の永久磁石及び/又は電磁石が、前記エナジーチェーンに対して側方に配置されたホルダ(16)に設けられた
請求項2に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項7】
前記永久磁石(4)の各々が、前記エナジーチェーン(1)の前記チェーンリンク(2)の独立したクロスバー(6)又は分離バーに、好ましくは、他方のストランドに面するクロスバー(6)の外側面に及び/又は取外し可能に固定されたクロスバーに設けられた
請求項6に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのエネルギーコンバータ(18)が、振動エネルギーコンバータ(14)として設計され、特に前記エナジーチェーン(1)のドライバ側長手二分体の内部に又はそれに対して取り付けられた
請求項1から3のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項9】
前記振動エネルギーコンバータ(14)は、少なくとも1つの誘導コイル(8)、該誘導コイル(8)を支持するための特に少なくとも1つのバネ要素を備える少なくとも1つのベアリングユニット、及び少なくとも1つの永久磁石(4)を備え、
それにより可変の磁界が前記エナジーチェーン(1)の往復動作によって前記誘導コイル(8)内に生成されるとともに電圧が該誘導コイル内に誘導され、前記永久磁石が、好ましくは管状ガイド(35)に可動に実装された、
請求項8に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項10】
必要に応じて前記負荷又はある負荷に給電するための前記エネルギーコンバータ(18)によって不連続に生成される電力を蓄電するために、電気エネルギー蓄電ユニット、特に蓄電池又は容量蓄電ユニットが、前記エナジーチェーン(1)に設けられた
請求項1から3のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項11】
前記エナジーチェーン(1)の動作パラメータを検出するためのセンサモジュール(10)が設けられ、
該センサモジュール電力供給のために前記エネルギーコンバータ(18)に接続され、かつ/又は電力供給のための前記エネルギーコンバータ(18)が前記センサモジュールに集積され、
前記センサモジュール(10)は、好ましくは前記エネルギー蓄電ユニットを備える
請求項1から3のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項12】
前記センサモジュール(10)は、1以上の前記エネルギーコンバータ(18)によって排他的に給電され、監視システム及び/又は可搬端末と無線で協働し、
前記センサモジュール(10)は、好ましくは、少なくとも1つの加速度センサ、温度センサ及び無線データ送信ユニットを備える、
請求項11に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項13】
前記チェーンリンク(2)は前記ラインのための受容空間(7)を画定し、前記エネルギーコンバータ(14;18;40)は前記受容空間において、特に、前記チェーンリンク(2)のサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー上又はサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー内に側方に設けられ
かつ/又は
対応するエネルギーコンバータ(14;18;40)を有する複数のチェーンリンク(2)が設けられ、
つ/又は
前記チェーンリンク(2)は、関節状に、特に、相互に対して平面内で回動可能に相互に接続されて偏向アークを形成する
請求項1から3のいずれか一項に記載のエナジーチェーン(1)。
【請求項14】
請求項1に記載のエナジーチェーン(1)のためのチェーンリンク(2)であって、
該チェーンリンク(2)は、前記ラインのための受容空間(7)を画定し、
前記チェーンリンク(2)は、前記エナジーチェーン(1)が移動される場合に前記エナジーチェーン(1)の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記エナジーチェーン(1)上又はエナジーチェーン内の消費機器に給電するための電気エネルギーを提供する電気機械発電機として設計されたエネルギーコンバータ(14;18;40;50;73)を含み、
前記エネルギーコンバータ(14;18;50)は、電磁誘導によって発電するための誘導コイル(8;31;52)を備える、
チェーンリンク(2)。
【請求項15】
前記チェーンリンクは、ローラーチェーンリンクとして設計され、少なくとも1つのトラックローラー(53)を含み、
前記エネルギーコンバータ(50)が、回転発電機の形態で設計され、前記トラックローラー(53)の回転動作から電気エネルギーを生成するために前記トラックローラー(53)に配置された、
請求項14に記載のチェーンリンク。
【請求項16】
前記トラックローラー(53)は、複数の周方向に分散された永久磁石(51)を備え、
かつ/又は
前記トラックローラー(53)は、少なくとも1つの永久磁石(51)を備え、前記誘導コイルは、前記チェーンリンク(2)のサイドプレート(3)における予め作製されたレセプタクルに収容され、
かつ/又は
前記エネルギーコンバータ(14;18;40)が、前記受容空間において、特に、前記チェーンリンク(2)のサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー上又はサイドプレート(3)、クロスバー(6)若しくは分離バー内に側方に設けられた、
請求項14又は15に記載のチェーンリンク。
【国際調査報告】