(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】水素と酸素からの電気エネルギーの発生
(51)【国際特許分類】
F01K 23/10 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
F01K23/10 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561260
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022059372
(87)【国際公開番号】W WO2022218841
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021203730.5
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ユーレトツェク,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】グレーバー,カルステン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC07
(57)【要約】
本発明は、水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための装置及び方法に関し、内燃機関(2)、特にガスタービンと、該内燃機関(2)の排気ガスダクト(3)に接続された廃熱ボイラ(4)とを備え、該廃熱ボイラ(4)は1つの圧力段(5)のみを有する。本発明によれば、さらに水素酸素反応器(6)が設けられており、これに前記廃熱ボイラ(4)からの蒸気(7)、水(31)、酸素(8)及び水素(9)を供給することが可能であり、その結果、水素酸素反応器(6)内で蒸気(7)の供給のもとに酸素(8)と水素(9)が反応して水蒸気(10)が発生し、この反応において供給された水(31)が蒸発して追加の水蒸気が得られ、こうして生じた強く過熱された蒸気(10)を蒸気タービン(11)に供給することができ、蒸気タービン(11)に接続された発電機(12)により電力を供給することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための装置であって、内燃機関(2)、特にガスタービンと、前記内燃機関(2)の排気ガスダクト(3)に接続された廃熱ボイラ(4)とを備え、前記廃熱ボイラ(4)が1つの圧力段(5)のみを有する装置において、
さらに水素酸素反応器(6)が設けられており、これに前記廃熱ボイラ(4)からの蒸気(7)、水(31)、酸素(8)及び水素(9)を供給することが可能であり、
その結果、前記水素酸素反応器(6)内で蒸気(7)の供給のもとに酸素(8)と水素(9)が反応して水蒸気(10)が発生し、この反応中に、前記供給された水(31)が蒸発し、
追加の水蒸気が得られ、
こうして生じた強く過熱された蒸気(10)を蒸気タービン(11)に供給することができ、前記蒸気タービン(11)に接続された発電機(12)により電力を供給することができ、
この場合、前記水素酸素反応器(6)における反応を的確に制御するために、及び、前記水素酸素反応器からの蒸気出口温度の調整のために、導管(19)を介して前記廃熱ボイラ(4)からの高圧供給水(14)を前記水素酸素反応器(6)に注入することができる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
熱交換器(18)として設計された減温器(17)をさらに備え、
前記減温器の一次側が、前記蒸気タービン(11)と前記蒸気タービン(11)の下流に接続された復水器(24)との間で前記蒸気導管(10)に接続され、
前記減温器の二次側が前記導管(19)に接続されている、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記供給水(13)の予熱のために前記廃熱ボイラ(4)の上流に接続された復水予熱器(20)をさらに備え、
効率を高めるために、前記蒸気タービン(11)の1つ又は複数の抽気部(21)から蒸気を取り出すことができ、前記復水予熱器(20)に供給することができる、
請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記廃熱ボイラ(4)における蒸発圧力が、酸素水素反応によって確定される新鮮蒸気温度に応じて、中間過熱なしで前記蒸気タービン(11)の出口における湿りが回避されるように高く設定される、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記水素酸素反応器(6)の上流に接続された電気作動過熱器(22)をさらに備え、
前記電気作動過熱器(22)によって、前記水素酸素反応器が作動していないときの前記蒸気の新鮮蒸気温度を、前記蒸気タービン(11)の出口での湿りが回避されるレベルにまで上昇させることができる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記廃熱ボイラ(4)が、第1の蒸気発生器(25)及び第2の蒸気発生器(26)を形成する複数の加熱面(23)と、第1の過熱器(27)を形成する複数の加熱面(23)とを有し、
前記第1の過熱器(27)が前記第1の蒸気発生器(25)の加熱面(23)と前記第2の蒸気発生器(26)の加熱面との間に配置されており、これにより、前記ガスタービン(2)の起動時に生じる可能性のある遅延が回避される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための方法であって、内燃機関(2)、特にガスタービンと、前記内燃機関(2)の排気ガスダクト(3)に接続された廃熱ボイラ(4)とを備え、前記廃熱ボイラ(4)が1つの圧力段(5)のみを有し、
さらに水素酸素反応器(6)が設けられており、前記水素酸素反応器(6)に前記廃熱ボイラ(4)からの蒸気(7)、水(31)、酸素(8)及び水素(9)が供給され、その結果、前記水素酸素反応器(6)内で酸素(8)と水素(9)が反応して水蒸気(10)が発生し、注入された前記水(31)により追加の水蒸気が発生し、
前記水蒸気が蒸気タービン(11)に供給され、前記蒸気タービン(11)に接続された発電機(12)により電力が発生し、導管(19)を介して前記水(31)として前記廃熱ボイラ(4)からの高圧の供給水(14)を前記水素酸素反応器(6)に注入することによって、前記水素酸素反応器(6)における反応、及び、前記水素酸素反応器(6)の出口の蒸気温度が的確に制御される、
方法。
【請求項8】
前記水蒸気の回路が、熱交換器(18)として設計された減温器(17)を備え、
前記減温器(17)の一次側が、熱を吸収するために、前記蒸気タービン(11)と前記蒸気タービン(11)の下流に接続された復水器(24)との間で前記蒸気導管に接続され、
前記減温器(17)の二次側が、熱を放出するために、前記導管(19)に接続されている、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに復水予熱器(20)を備え、前記復水予熱器(20)が前記廃熱ボイラ(4)の上流に接続され、前記供給水(13)により予熱され、
効率を高めるために、前記蒸気タービン(11)の1つ又は複数の抽気部(21)から水蒸気が取り出され、前記復水予熱器(20)に供給される、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記廃熱ボイラ(4)内の蒸発圧力が、前記水素酸素の反応により確定された新鮮蒸気温度に応じて、中間過熱なしで前記蒸気タービン(11)の出口における湿りが回避される高さに設定される、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
電気作動過熱器(22)をさらに備え、
前記電気作動過熱器(22)が前記水素酸素反応器(6)の上流に接続され、前記電気作動過熱器により、前記過熱器(22)が作動していないときの前記蒸気の新鮮蒸気温度を、前記蒸気タービン(11)の出口での湿りが回避されるレベルにまで上昇させることができる、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記廃熱ボイラ(4)が、第1の蒸気発生器(25)及び第2の蒸気発生器(26)を形成する加熱面と、第1の過熱器(27)を形成する加熱面(23)とを有し、
前記第1の過熱器(27)が前記第1の蒸気発生器(25)の加熱面(23)と前記第2の蒸気発生器(26)の加熱面との間に配置されており、これにより、前記ガスタービン(2)の起動時に生じる可能性のある遅延が回避される、
請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための装置及び方法に関する。
【0002】
従来の発電所では石炭や炭化水素などの化石燃料が燃焼され、それによって二酸化炭素(CO2)が大気中に放出されていた。最近国際的には、従来の発電所を将来的にクリーンな発電所に置き換えることが政治的な目標となっている。これらの発電所は、最良には燃焼生成物としてのCO2を全く含まず、さらに、窒素酸化物のような他の排出物もないものとされている。
【0003】
水素(H2)は、水素の燃焼によって反応生成物としての二酸化炭素(CO2)がまったく発生しないので、ここでの開発の焦点になっている。しかし、水素が広くカーボンニュートラルな燃料と見なされるかどうかは生成方法に依る。再生可能エネルギーで発電された電力により水の電気分解で製造される水素はCO2の排出なしで発生し、一般的にグリーン水素と呼ばれる。カーボンニュートラルな水素の製造はいずれにしても複雑でコストがかかる。
【0004】
水素は、例えばアンモニア合成及びそれに続く肥料製造のような別のシナリオにおいても必要とされる。カーボンニュートラルな水素の需要は大きく、今後さらに増大するであろう。これに対して供給は少なく、将来的にも希少材料となるであろう。水素を使って電気エネルギーを発生させる発電所は、経済的に運転できるためには、高効率が求められる。
【0005】
将来の電気エネルギーは、太陽や風力のような再生可能なエネルギー源から発電されると想定される。ここで、特に、再生可能エネルギーが十分な程度にまで利用可能でない場合には、従来型の発電所をまだ利用しなければならないだろう。このことは、従来の発電所にとっては、運転可能時間数が大幅に制限されることを意味する。したがって、有利な特定投資コストのために、そのような発電所が求められる。
【0006】
例えば、水素又は水素と天然ガスの混合物を空気で燃焼させて発電するガスタービン又はガスエンジンのような内燃機関は公知である。これらの内燃機関を用いて、その内燃機関の排気ガスの熱を従来の水蒸気回路を介して使用する発電所コンセプトも実施可能である。しかし、その効率は現時点では純粋な天然ガス燃焼式のガス・蒸気複合発電所よりも低い。
【0007】
また、電気エネルギーが水素の使用によって発生させる燃料電池も知られている。しかし、燃料電池は、現在では内燃機関と比較して特定投資コストが非常に高い。これが将来的に変化することも見込めない。内燃機関と比較して高い効率は、経済性のためには運転時間があまりにも少ないので、系統連携された発電所設備においては重要であるとは考えられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、非常に高い効率と最低の特定投資コストを同時に組み合わせた、排出物が殆どなく、柔軟に使用可能な、グリーンなエネルギー発生コンセプトのための装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
装置に関する本発明の課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0010】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための本発明による装置は、内燃機関、特にガスタービン、及び、その内燃機関の排気ガスダクトに接続された廃熱ボイラを備え、この廃熱ボイラは1つの圧力段のみを有する。本発明によれば、さらに水素酸素反応器(H2-O2 Reaktor)が設けられており、この反応器に廃熱ボイラからの蒸気、水、酸素、及び、水素を供給することができ、その結果、この水素酸素反応器内で酸素と水素の反応が生じて水蒸気が発生し、この反応中に、上記の導入された水が蒸発して追加の水蒸気が発生可能であり、この場合、こうして生じた強く過熱された水蒸気を蒸気タービンに供給することができ、蒸気タービンに接続された発電機が電力を供給することができ、水素酸素反応器内の反応の的確な制御のために、及び、水素酸素反応器からの蒸気の出口温度の調整のために、導管を介して廃熱ボイラからの高圧供給水(14)を水素酸素反応器内に注入することができる。
【0011】
ここで本発明は、従来式のガスタービン又はガスエンジン、及び、従来式の廃熱ボイラを使用するという考えに基づいている。この内燃機関はここでは、全て水素燃焼、又は、一部は水素と天然ガス燃焼とすることができる。この廃熱ボイラは、圧力段が1つだけであり、したがって、圧力レベルは1つだけである。この廃熱ボイラは適度に過熱された蒸気のみが、又は、飽和蒸気のみでも、発生するように設計されている。
【0012】
本発明によれば、さらに1つの水素酸素反応器が設けられ、これが、廃熱ボイラにより供給される水蒸気雰囲気中で水素と酸素を反応させる。この反応により燃焼生成物である水蒸気が生じる。すなわち、燃焼生成物と廃熱ボイラの水蒸気回路内の循環媒体は同一種類である。
【0013】
本発明により特別な方法で、従来式のガスタービン及び1つの圧力レベルにおいて軽度に過熱された蒸気を供給する従来式の廃熱ボイラが、水素酸素反応器と結合して、強く過熱された蒸気を発生することができ、同時に、排気ガス中の熱を理想的に活用できることが、認識される。水素と酸素の反応で発生する高圧高温の水蒸気を水蒸気回路に導入し、循環媒体として復水器で規定されるレベルまで活用することができる。
【0014】
燃料としての水素により天然ガスを一部分だけ置換する場合、本発明により、水素が最大のメリットを有するところで水素を使用することが可能となる。水素を水蒸気回路で使用することにより、燃料質量流量に基づく効率をガスタービンでの使用と比較して大幅に向上させることができる。
【0015】
水素酸素反応器の運転においては、特に水素のできるだけ完全な転換と、酸素のやや低い程度の転換に留意すべきである。水素は、水素脆化により蒸気タービンに使用される材料の特性に悪影響を及ぼし、腐食を生じさせる可能性がある。水素のできるだけ完全な転換を保証するために、一定の過剰の酸素が存在するようにこの装置を制御することが好ましい。必要に応じ、過剰酸素は、好適に、水蒸気回路の復水器の真空システムにより排出することができる。あるいは、過剰酸素は、水蒸気回路の他の領域の酸素をさらに避けるために、他の手段、例えばメンブランガス抜き器によって除去することもできる。特に、廃熱ボイラの上流に低温供給水のための予熱区間が接続されている場合、その領域においてもその回路から非凝縮性ガスを除去する必要性が生じる。
【0016】
水素酸素反応器内の反応を的確に制御するために、導管を介して廃熱ボイラからの供給水を水素酸素反応器内に注入することができる。供給水を注入することにより、水素酸素反応器内の反応に的確に影響を与えることができる。これにより、例えばフラッシュバックを防止することができ、反応器出口における蒸気温度を的確に調整することが可能となる。このために、この供給水は適切な箇所(例えば、水素と酸素の反応ゾーン、又は、反応器出口の混合区画)で水素酸素反応器に注入される。この供給水は、廃熱ボイラからの、好ましくはエコノマイザ出口からの、高圧供給水である。
【0017】
出力を高める目的のために、さらに、廃熱ボイラの上流で取り出された低温の供給水を混合することが有利である。この低温の供給水は以下の理由で特に好適である。なぜなら、発電所の設計、例えば必要な新鮮蒸気パラメータによっては、ガスタービン排気ガスの廃熱はすでに最適に活用されていてそれ以上の熱は利用できないが、それに対応してさらに増大した蒸気タービン出力が望まれるからである。低温の供給水の混合は効率には悪影響を及ぼすが、このことは特定投資コストの低減のために甘受される。
【0018】
廃熱ボイラは、例えば、自然循環型として、又は、強制貫流型としても構成することができる。後者は、特に非常に高い蒸発圧力の場合、プラントの柔軟性の向上(例えば、起動時間の短縮)を約束する。
【0019】
プラントの効率を高めるために、蒸気タービンの1つ又は複数の抽気部を使用することが可能であり、これらは対応する熱交換器を介して凝縮水及び/又は供給水を低価値の蒸気により加熱し、その結果、廃熱ボイラ内及び/又は水素酸素反応器内でより高価値の蒸気を発生させることが可能になる。
【0020】
本発明の特別な一展開形態では、熱交換器として形成された減温器が復水器の上流に接続されている。ここでは、熱を吸収するために、この減温器の一次側は、蒸気タービンとその下流に接続された復水器との間で蒸気導管に接続されている。熱を放出するために、この減温器の二次側は、廃熱ボイラで予熱されていない追加の供給水を水素酸素反応器に供給するための導管に接続されている。この減温器は、水素酸素反応器により例えば1300°Cで圧力150×105Pa(150bar)の非常に高い新鮮蒸気パラメータが発生される場合に必要である。この場合、蒸気タービン出口には依然として強く過熱された蒸気が存在し、これは減温器によって減温されて、次に復水器内で凝縮される。新鮮蒸気の圧力と温度が非常に高く選択された場合には、廃熱ボイラを自然循環(ドラム)ボイラとしてではなく強制貫流ボイラとして設計するのが有利であろう。
【0021】
廃熱ボイラ内の蒸発圧力は、好適には、水素酸素の反応を介して確定された新鮮蒸気温度(Frischdampftemperatur)に応じて、蒸気タービン出口の湿りが回避できるような高さにのみ設定される。廃熱ボイラでの過熱は、追加の蒸気発生器圧力段なしに、排気ガスの熱が最適に利用されるような高さにのみ選択される。焦点は排気ガスの熱の最適利用にあり、同時に、非常に簡単で安価なコンセプトが実施されなければならないので、蒸発圧力は、水素酸素の反応を介して確定された新鮮蒸気温度に応じて、中間過熱がなくても、それぞれの復水器圧力で蒸気タービン出口において翼エロージョンを生じさせる湿りの問題が無いような高さにのみ選定される。
【0022】
本発明の別の有利な一実施形態は、さらに、水素酸素反応器の上流に接続されている電気的に作動される過熱器を含み、これにより、水素酸素反応器が動作していないとき、蒸気タービンの出口における湿りが回避されるまで、その蒸気の新鮮蒸気温度を上げることができる。現在でも不十分な水素インフラストラクチャー、及び、その結果として生じるであろう水素の供給不足を考慮すると、水素/酸素の補給がなくても水素酸素反応器の継続運転が保証されるというオプションが循環路に設けられていると、好都合であろう。
【0023】
本発明の有利な一展開形態では、その廃熱ボイラは、第1の蒸気発生器及び第2の蒸気発生器を形成する複数の加熱面と、第1の過熱器を形成する複数の加熱面とを有し、この第1の過熱器は、ガスタービンの起動時に生じる可能性のある遅延を回避すべく、第1の蒸気発生器及び第2の蒸気発生器の加熱面の間に配置されている。これは、廃熱ボイラが無圧で過熱器がまだ乾いており、したがって冷却されていない場合でも、ガスタービンを常に最大の勾配で起動できるという利点を提供する。
【0024】
基本的に、水素酸素反応器によって発生された蒸気を地域熱供給ネットワークに提供することも有利である。この目的のために、蒸気タービンは、それに対応して複数の抽気部を備えるか、あるいは必要に応じて背圧タービンとして設計することができる。
【0025】
方法に関する本発明の課題は、請求項9に記載した特徴により解決される。本発明の装置に関する利点は、同様に本方法にも適用できる。
【0026】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための本発明による法は、内燃機関、特にガスタービン、及び、この内燃機関の排気ガスダクトに接続され、1つの圧力段のみを有する廃熱ボイラを含む。
【0027】
さらに、水素酸素反応器が設けられており、これに廃熱ボイラからの蒸気、水、酸素、及び、水素が供給されるので、この水素酸素反応器内で酸素と水素が反応して水蒸気が発生し、さらに、注入された水の蒸発によって追加の水蒸気が発生し、この水蒸気が蒸気タービンに供給され、この蒸気タービンに接続された発電機により電力が発生する。
【0028】
水素酸素反応器における反応は、好適に、廃熱ボイラからの供給水が導管を介して水素酸素反応器内に注入されることによって的確に制御される。
【0029】
好適には、廃熱ボイラのエコノマイザ出口からの高圧供給水が使用される。
【0030】
水素酸素反応器の下流の蒸気パラメータが非常に高い場合には{例えば、150×105Pa(150bar)で1300℃}、好適に、熱交換器として形成された減温器が水蒸気回路内で復水器の上流に組み込まれ、この減温器の一次側は、熱を吸収するために、蒸気タービンとその下流に接続された復水器との間で蒸気導管に接続され、減温器の二次側は、熱を放出するために、1つの導管に接続される。
【0031】
また、1つ又は複数の復水予熱器/供給水予熱器が設けられると有利であり、その場合、効率向上のために、蒸気タービンの1つ又は複数の抽気部から水蒸気が取り出され、加熱のためにこれらの予熱器に供給される。
【0032】
廃熱ボイラ内の蒸発圧力は、好適に、水素酸素の反応により確立される新鮮蒸気温度に依存して、中間過熱がなくても蒸気タービン出口の湿りが回避されるような高さにのみ設定される。
【0033】
特別な一展開形態では、さらに、電気的に作動される過熱器が水素酸素反応器の上流に設けられており、これにより、その蒸気の新鮮蒸気温度を、必要に応じて(水素酸素反応器が運転されていないか、低減された出力でのみ運転されている場合)、蒸気タービン出口における湿りが回避されるように、高めることができる。
【0034】
本発明の特別な一実施形態では、廃熱ボイラは、第1の蒸気発生器と第2の蒸気発生器を形成する複数の加熱面と、第1の過熱器を形成する複数の加熱面とを有し、この第1の過熱器は第1の蒸気発生器の加熱面と第2の蒸気発生器の加熱面の間に配置されており、その結果、ガスタービンの起動時に生じる可能性のある遅延を回避することができる。
【0035】
本発明は、ガスタービンの燃料として水素を全体的に、又は、部分的に使用する従来のガス・蒸気複合発電所(GuD)に比べて多数の利点を有する。
【0036】
一般的に、及び、特に天然ガスを水素で部分的にのみ置換する場合の効率は、同一のガスタービンに基づくガス・蒸気複合発電所(GuD)の場合よりも高い。
その理由は下記による。
・新鮮蒸気の圧力及び温度を、ガスタービンの排気ガス温度レベルにより得られるであろうレベルよりも高いレベルに選択することができる、
・ガスタービンの排気ガス中に含まれている熱がより良好に利用される、すなわち、煙突出口の排気ガス温度がより低い、
・水素と酸素の反応で発生された高温かつ高圧の水蒸気を循環媒体とみなすことができ、これを復水器において規定されるレベルまで利用することができる、
・ガスタービン燃料ガス中の水素含有量が天然ガスと比較して高くなった場合、フラッシュバックや窒素酸化物放出等の制御を維持するために、今日でも燃焼温度を大幅に下げる必要がある。これとは対照的に、反応器内の温度は著しく低く、さらに、供給水の注入によって非常に正確に制御することができる。すなわち、水素燃焼の持つポテンシャルをより良好に活用することができる。
・燃料として天然ガスを部分的にのみ置換する場合、最大のメリットがあるところで水素が使用される。水蒸気回路に水素を使用することにより、燃料質量流量に基づく効率は50%を超え、これはガスタービンの効率を大幅に上回る。
【0037】
その出力はそれどころか相対的に大幅に増大し、効率優位性を部分的に犠牲にしても、ガス・蒸気複合発電所(GuD)よりさらに増大させることができる。新鮮蒸気のパラメータが今日では難なく実現でき、効率がGuDと同等であることを考慮すると、特定コストの改善のために蒸気タービンの出力を2倍以上にすることが可能であり、その結果、これはガスタービンの出力を超える。
【0038】
相対的に改善された出力と効率がほゞ同一のコストで達成される。というのは、節約とコスト増加がほゞ均衡するからである。このことは、節約に関しては以下のように明らかである。
・この廃熱ボイラには(GuD発電所で通常使用されている複数の圧力段ではなく)1つの圧力段しかなく、これは安価な鋼で作られており、過熱器又は中間過熱器のための高価な高温加熱面はない。したがって、これに対応する最終注入及び中間注入も不要である。
・(GuD発電所におけるような複数の新鮮蒸気導管、ならびに、さらにしばしば追加される低温及び高温の中間過熱用の導管の代わりに)比較的低温の新鮮蒸気導管(したがって安価な鋼鉄で作られている)が、ボイラから水素酸素反応器まで1本だけ存在し、この導管は好適に蒸気タービンにできるだけ近づけて配置され、それによって、その下流で必要な高温対応の新鮮蒸気導管をできるだけ短くすることができる。
・循環水追加供給のためのデミン水処理設備が不要である。基本的には、相応の再冷却システムを備えたこの発電所は、水を使わない発電所であるのみならず、実際には水を製造する発電所である。これは、水素と酸素を製造し、原材料として水を必要とする電解槽が現場で稼動されない場合、又は、ブルー水素が空気から得られる酸素と組み合わせて使用される場合に有効である。
【0039】
本発明は、水素酸素反応器のほかに追加要素として、場合によっては、蒸気タービンのターボセット及び循環ポンプ(高圧蒸気質量流量)での調整装置として、酸素供給システム、及び、再冷却システムの拡張を必要とする。
【0040】
再冷却システムの拡張は、空気復水器及び加熱マージンが制限された貫流冷却器の場合には、加圧プロセスにより可能なボイラ内の複数のエコバイパス切り替えの広範な利用により、全面的又は部分的に構成することができる。というのは、通常ならばこの構成を決定する蒸気バイパス運転の間に、排気ガスを介して多量の熱を排出することができるからである。
【0041】
更なる利点は、GuD発電所に比べて大きく改善された柔軟性から生ずる。これは特に以下のように生じる。
・ガスタービンからの高温の排気ガス流に曝される第1の加熱面は、これまでのような起動プロセスの期間中は冷却されない過熱器加熱面ではなく、常時冷却される蒸気発生器加熱面であるので、ガスタービンはボイラが冷えているときでもフル勾配で起動することができ、その結果、対応する起動時間が短縮される。
・過熱器加熱面が全く存在しないか、又は、好適に蒸気発生器加熱面の間に配置されているので、ボイラへの負担を大幅に少なくして、発電所の急速な起動が可能である。従って、これが起動中及び起動直後に冷たい排気ガス/空気と接触することはなく、従って、過熱器加熱面が「クエンチ(Quenchen 急冷)」する可能性はない。
・高温領域(水素酸素反応器、弁を含む蒸気タービン入口、接続管路)が空間的に非常に狭い範囲に配置されているので、運転停止中に暖房マットによる保温に特に適している。このように、蒸気タービンは非常に早い段階で起動することができ、これは蒸気タービンに入る新鮮蒸気の温度を水素酸素反応器を介して非常に良好に制御するのに役立つ。
・水素酸素反応器による温度調整が可能なこと、及び、これへの水注入量制御により、さらに非常に迅速に作動する負荷制御(過負荷に関しても)が可能となる。
【0042】
全体として、これにより、これまで反応が遅かった蒸気部分がガスタービンと同様に速やかに反応し、ガスタービンがなくても発電所の出力増加に寄与することができる。この状況も特に追加装備の場合には非常に有効である。というのは、オープンなガスタービンプロセスの選択は、元々それに伴う柔軟性に基づいていたからである。
【0043】
全体的に又は部分的に水素を燃焼させるガスタービン、それをベースとし従来式の水蒸気回路を有するGuD発電所、及び、大気中の酸素で水素を燃焼させる他の全てのプロセスとの比較におけるこのコンセプトの更に重要な利点は、水素と酸素の反応で発生した水が大気中に放出されず、従って、特に水不足の場合には、水という貴重な資源を他の用途に利用できることである。水素燃焼のために大気中の酸素を使用する前述のプロセスに対するさらなる利点は、窒素が存在しないので窒素酸化物も発生せず、大気中に放出されないことである。
【0044】
以下に本発明を図面によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】水素と酸素から電気エネルギーを発生させる本発明による装置
【
図3】複数の個別の予熱器を備えた、本発明による装置の一展開形態
【
図4】貫流ボイラを備えた、本発明による装置の一展開形態
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための本発明による装置1を示す。この装置は、ガスタービン2と、ガスタービンの排気ガスダクト3に接続された廃熱ボイラ4と、水素酸素反応器6と、蒸気タービン11とを備える。ガスタービン2及び廃熱ボイラ4は従来式の構成部品である。ガスタービン2は、全部水素を、又は、一部を水素及び天然ガスを燃焼することができる。廃熱ボイラ4は、1つの圧力段5のみを有し、わずかに過熱された蒸気を供給するように設計されている。水素酸素反応器6には、廃熱ボイラ4からの蒸気、酸素8、水素9、及び、水31を別々の導管を介して供給することができる。
【0047】
水素酸素反応器は、その内部で酸素8と水素9が反応し、水蒸気10が得られるように設計されている。この反応により燃焼生成物である水蒸気が得られる。水蒸気10は強く過熱されており(蒸気7と水31の供給により許容蒸気温度が調整される)、蒸気導管10を介して蒸気タービン11に供給される。蒸気タービン11は、電力を供給できる発電機12に接続されている。水素と酸素の反応で発生した高圧高温の水蒸気は、このように水蒸気回路に導入され、復水器で規定されたレベルまで循環媒体として活用することができる。熱をより良く活用すると、煙突出口の排気ガス温度をより低くすることができる。水素を水蒸気回路内で使用することにより、ガスタービンでの使用と比較して、燃料の質量流量に基づく効率を非常に大幅に向上させることができる。
【0048】
図2は、本発明による装置の複数の展開形態を示す。この場合、これらの展開形態は、互いに組み合わせて、又は、別々に実施することができる。
【0049】
水素酸素反応器6における反応及び出力上昇を的確に制御するために、廃熱ボイラ4からの供給水13が導管19を介して水素酸素反応器6に注入される。供給水13は、ここでは高圧の供給水14とすることができ、廃熱ボイラ4のエコノマイザ15の出口で取り出されると有利である。
【0050】
効率をさらに高めるために、
図2において、復水予熱器20が追加して設けられており、これは供給水13の予熱のために廃熱ボイラ4の上流に接続されている。この復水予熱器20は、蒸気タービン11の1つ又は複数の抽気部21から取り出される水蒸気で加熱される。
【0051】
必要な場合に(例えば、水素酸素反応器が運転休止中に)、蒸気タービン11の出口での湿りが回避される程度まで蒸気の新鮮蒸気温度を上昇させることができるように、
図2では、水素酸素反応器6の上流に電気的に作動される過熱器22が追加して設けられている。この電気作動過熱器22により、水素/酸素の補給がなくても、水素酸素反応器の継続運転を確実に行うことができる。
【0052】
ガスタービン2の起動時の遅延の可能性を回避するために、
図2には、第1の蒸気発生器25及び第2の蒸気発生器26の複数の加熱面23の間に過熱器27が配置されている。このことにより、廃熱ボイラ4が無圧で、過熱器27がまだ乾燥しており、したがって冷却されていない場合でも、ガスタービン2を常にフル勾配で起動できるという利点が得られる。
【0053】
図3は、
図1による本発明の実施形態に基づいている。
図3は、蒸気タービン11の複数の抽気部に接続された複数の個別の予熱器30を備えた、本発明による装置の展開形態を示している。
【0054】
図4は、さらに
図1に基づいている。
図4は、強制貫流ボイラ16及び減温器17を有する本発明による装置の展開形態を示す。新鮮蒸気の圧力及び温度が非常に高く選択された場合には、廃熱ボイラ4を自然循環(ドラム)ボイラとしてよりむしろ強制貫流ボイラとして設計することが有利である。減温器17は熱交換器18として設計されており、この熱交換器は、エネルギー吸収のために、一次側が、蒸気タービン11と蒸気タービン11の下流に接続された復水器24との間で蒸気導管10に接続されており、熱放出のために、二次側が、廃熱ボイラ4からの供給水を水素酸素反応器6に送るための導管19に接続されている。この減温器17は、水素酸素反応器6で、例えば1300℃で圧力150×10
5Pa(150bar)の非常に高い新鮮蒸気パラメータが発生するときに必要となる。この場合、蒸気タービン11の出口には依然として強く過熱された蒸気が存在し、この蒸気は減温器17によって除熱されて、次に復水器24で腹水される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための装置であって、内燃機関
(2)と、前記内燃機関(2)の排気ガスダクト(3)に接続された廃熱ボイラ(4)とを備え、前記廃熱ボイラ(4)が1つの圧力段(5)のみを有する装置において、
さらに水素酸素反応器(6)が設けられており、これに前記廃熱ボイラ(4)からの蒸気(7)、水(31)、酸素(8)及び水素(9)を供給することが可能であり、
その結果、前記水素酸素反応器(6)内で蒸気(7)の供給のもとに酸素(8)と水素(9)が反応して水蒸気(10)が発生し、この反応中に、前記供給された水(31)が蒸発し、
追加の水蒸気が得られ、
こうして生じた強く過熱された
水蒸気(10)を蒸気タービン(11)に供給することができ、前記蒸気タービン(11)に接続された発電機(12)により電力を供給することができ、
この場合、前記水素酸素反応器(6)における反応を的確に制御するために、及び、前記水素酸素反応器からの蒸気出口温度の調整のために、導管(19)を介して前記廃熱ボイラ(4)からの高圧供給水(14)を前記水素酸素反応器(6)に注入することができる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
熱交換器(18)として設計された減温器(17)をさらに備え、
前記減温器の一次側が、前記蒸気タービン(11)と前記蒸気タービン(11)の下流に接続された復水器(24)との間で
蒸気導管(10)に接続され、
前記減温器の二次側が前記導管(19)に接続されている、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記供給水(13)の予熱のために前記廃熱ボイラ(4)の上流に接続された復水予熱器(20)をさらに備え、
効率を高めるために、前記蒸気タービン(11)の1つ又は複数の抽気部(21)から蒸気を取り出すことができ、前記復水予熱器(20)に供給することができる、
請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記廃熱ボイラ(4)における蒸発圧力が、酸素水素反応によって確定される新鮮蒸気温度に応じて、中間過熱なしで前記蒸気タービン(11)の出口における湿りが回避されるように高く設定される、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記水素酸素反応器(6)の上流に接続された電気作動過熱器(22)をさらに備え、
前記電気作動過熱器(22)によって、前記水素酸素反応器が作動していないときの前記蒸気の新鮮蒸気温度を、前記蒸気タービン(11)の出口での湿りが回避されるレベルにまで上昇させることができる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記廃熱ボイラ(4)が、第1の蒸気発生器(25)及び第2の蒸気発生器(26)を形成する複数の加熱面(23)と、第1の過熱器(27)を形成する複数の加熱面(23)とを有し、
前記第1の過熱器(27)が前記第1の蒸気発生器(25)の加熱面(23)と前記第2の蒸気発生器(26)の加熱面との間に配置されており、これにより、前記
内燃機関(2)の起動時に生じる可能性のある遅延が回避される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
水素と酸素から電気エネルギーを発生させるための方法であって、内燃機関
(2)と、前記内燃機関(2)の排気ガスダクト(3)に接続された廃熱ボイラ(4)とを備え、前記廃熱ボイラ(4)が1つの圧力段(5)のみを有し、
さらに水素酸素反応器(6)が設けられており、前記水素酸素反応器(6)に前記廃熱ボイラ(4)からの蒸気(7)、水(31)、酸素(8)及び水素(9)が供給され、その結果、前記水素酸素反応器(6)内で酸素(8)と水素(9)が反応して水蒸気(10)が発生し、注入された前記水(31)により追加の水蒸気が発生し、
前記水蒸気が蒸気タービン(11)に供給され、前記蒸気タービン(11)に接続された発電機(12)により電力が発生し、導管(19)を介して前記水(31)として前記廃熱ボイラ(4)からの高圧の供給水(14)を前記水素酸素反応器(6)に注入することによって、前記水素酸素反応器(6)における反応、及び、前記水素酸素反応器(6)の出口の蒸気温度が的確に制御される、
方法。
【請求項8】
前記水蒸気の回路が、熱交換器(18)として設計された減温器(17)を備え、
前記減温器(17)の一次側が、熱を吸収するために、前記蒸気タービン(11)と前記蒸気タービン(11)の下流に接続された復水器(24)との間で
蒸気導管に接続され、
前記減温器(17)の二次側が、熱を放出するために、前記導管(19)に接続されている、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに復水予熱器(20)を備え、前記復水予熱器(20)が前記廃熱ボイラ(4)の上流に接続され、前記供給水(13)により予熱され、
効率を高めるために、前記蒸気タービン(11)の1つ又は複数の抽気部(21)から水蒸気が取り出され、前記復水予熱器(20)に供給される、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記廃熱ボイラ(4)内の蒸発圧力が、前記水素酸素の反応により確定された新鮮蒸気温度に応じて、中間過熱なしで前記蒸気タービン(11)の出口における湿りが回避される高さに設定される、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
電気作動過熱器(22)をさらに備え、
前記電気作動過熱器(22)が前記水素酸素反応器(6)の上流に接続され、前記電気作動過熱器により、前記過熱器(22)が作動していないときの前記蒸気の新鮮蒸気温度を、前記蒸気タービン(11)の出口での湿りが回避されるレベルにまで上昇させることができる、請求項7から
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記廃熱ボイラ(4)が、第1の蒸気発生器(25)及び第2の蒸気発生器(26)を形成する加熱面と、第1の過熱器(27)を形成する加熱面(23)とを有し、
前記第1の過熱器(27)が前記第1の蒸気発生器(25)の加熱面(23)と前記第2の蒸気発生器(26)の加熱面との間に配置されており、これにより、前記
内燃機関(2)の起動時に生じる可能性のある遅延が回避される、
請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】