(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】新規カルボニル化触媒及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07F 5/06 20060101AFI20240315BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20240315BHJP
C07F 9/28 20060101ALI20240315BHJP
C07F 11/00 20060101ALI20240315BHJP
C07F 7/08 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C07F5/06 E CSP
C07F19/00
C07F9/28
C07F11/00 A
C07F7/08 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561315
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022022488
(87)【国際公開番号】W WO2022216491
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テダー,ジョナサン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルダース,アリスン・エム
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ジェフリー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー,キャサリン・エイ
【テーマコード(参考)】
4H048
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4H048AA01
4H048AA02
4H048VA20
4H048VA30
4H048VA45
4H048VA80
4H048VB10
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ43
4H049VR24
4H049VW01
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA02
(57)【要約】
エポキシドとの反応が改善され、ラクトンとの反応が回避され、金属中心へのポリマー結合が弱められるように立体特性を改善し、それによってより速い閉環が促進され;加水分解の影響を受けやすくないことによってカルボニル化触媒の安定性を改善し、それによって副生物が低減され、ラクトンを製造するために使用した後のカルボニル化触媒の回収率が改善され;ラクトン生成物のリリース時間が最小限に抑えられるように改善された立体及び電子特性を有し、それによって副反応が低減される、カルボニル化触媒として有用である化合物及び方法が本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式のうちの1つによる化合物。
【化1】
(式中、
Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、
R
1は、各出現ごとに別々に水素、アリール又はアルキル基であり、
R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール又はアルコキシド基であり、
R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
PLは、極性リガンドの残基であり、
Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属である。)
【請求項2】
Rが、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R
1が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R
2が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R
3が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
PLが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの残基であり、
Mが、各出現ごとに別々にアルミニウム又はクロムである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物を調製する方法であって、
次式
【化2】
のうちの1つによる化合物とメタル化剤を接触させて、次式
【化3】
による化合物のうちの1種を形成するステップ、及び
形成された化合物と金属カルボニルを、以下の化合物
【化4】
のうちの1種が形成されるような条件下で接触させるステップ
を含み、
式中、
Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、
R
1は、各出現ごとに別々に水素、アリール又はアルキル基であり、
R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール又はアルコキシド基であり、
R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R
4は、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンであり、
PLは、極性リガンドの残基であり、
Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属である、
方法。
【請求項4】
Rが、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R
1が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R
2が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R
3が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R
4が、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンであり、
PLが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの残基であり、
Mが、各出現ごとに別々にアルミニウム又はクロムである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
次式
【化5】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されるような条件下で接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、
前記ハロゲン化フェノールとハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンを、アルキルリチウムの存在下で、フェノール上のハロゲンをジ(アルキル又はアリール)ホスフェートで置き換える条件下で接触させて、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成するステップ、及び
前記ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとジアミン、オルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンを臭素及びトリアルキルアミンの存在下で接触させて、前記式の化合物を形成するステップ
によって調製することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
次式
【化6】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されるような条件下で接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、
形成されたハロゲン化フェノールとトリアルキルボレートをアルキルリチウム化合物の存在下で接触させて、ハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換えるステップ、及び
ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと窒素原子に隣接した炭素上にハロゲン基を有するビピリジン又はフェナントロリンをパラジウム触媒及びアルカリ金属炭酸塩の存在下で前記式の化合物のうちの1種を形成する条件下で接触させるステップ
によって調製することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
次式
【化7】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤及びハロゲン化シリルを、ハロゲン原子が芳香族環の2位及び6位の炭素原子に付加され、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップ、
形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物及びジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップ、及び
シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよい前記フェノールとo-フェニレンジアミン、エチレンジアミン又はシクロヘキサンジアミンの1種を、任意選択的にルイス酸若しくはブレンステッド酸触媒及びアルカリ金属若しくはアンモニウム塩の存在下で接触させて、前記式のうちの1つに対応する化合物のうちの1種を形成するステップ
によって調製することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項8】
ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとジアミン、オルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンを臭素及びトリアルキルアミンの存在下で接触させて、前記式の化合物を形成する前記ステップが、
ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールと臭素を接触させて、活性化ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成するステップ、及び
前記活性化ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとオルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンをトリアルキルアミンの存在下で接触させて、前記式の化合物を形成するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンが、クロロ-ジ(アリール)ホスフィン、クロロ-ジ(アルキル)ホスフィン、クロロ-ジ(アルコキシド)ホスフィン、又はいずれかの組合せの1種以上である、請求項5又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記トリアルキルアミンが、臭素酸を消費して、アンモニウム塩を形成するように構成されている、請求項5、8及び9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トリアルキルアミンが、1つ以上のトリブチルアミンを含む、請求項5及び8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
形成されたハロゲン化フェノールとトリアルキルボレートをアルキルリチウム化合物の存在下で接触させて、ハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換える前記ステップが、
ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと塩酸を接触させて、反応をクエンチするステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記トリアルキルボレートが、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、請求項6又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルカリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリウムを含む請求項6、12及び13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤及びハロゲン化シリルを、ハロゲン原子が芳香族環の2位及び6位の炭素原子に付加され、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させる前記ステップが、
任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、及び
前記ハロゲン化フェノールとハロゲン化シリルを、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップ
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
ハロゲン化フェノールとハロゲン化シリルを、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させる前記ステップが、
ハロゲン化フェノール及びハロゲン化シリルと第三級アミンを接触させて、いずれの酸副生成物も消費し、その結果シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールが形成されるステップ
を含む、請求項7又は15に記載の方法。
【請求項17】
形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物を接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位を有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップが、
形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物を接触させて、シリルを2位又は6位に有するフェノールを形成するステップ、及び
前記シリルを2位又は6位に有するフェノールとジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位を有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップ
を含む、請求項7、15及び16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ハロゲン化シリルが、アリール基、アルキル基、又は両方の1つ以上で三置換されている、請求項7及び15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ハロゲン化シリルが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上を含む、請求項7及び15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
形成された化合物と金属カルボニルを、前記化合物のうちの1種が形成されるような条件下で接触させる前記ステップが、
形成された化合物、金属カルボニル、又は両方と極性リガンドを接触させ、その結果前記化合物のうちの1種が形成されるステップ
を含む、請求項3~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記アルキルリチウム化合物が、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、請求項3~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ハロゲン化剤が、臭素、N-ブロモスクシンイミド、ジブロモイソシアヌル酸、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記金属カルボニルが、NaCo(CO)
4、Co
2(CO)
8、HCo(CO)
4、又はそれらのいずれかの組合せを含む、請求項3~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、請求項3~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
メタル化剤が、(Et)
2AlCl、(Et)
3Al、CrCl
2、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上である、請求項3~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エポキシドからラクトンの生成において使用される新規触媒及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボニル化は、一酸化炭素とエポキシドを反応させて、ラクトンを製造するために使用することができるプロセスである。場合によっては、ラクトンを反応させて、ポリマーを製造するために追加のステップが講じられる。これらのラクトン又はそれらのポリマーは、プラスチック及び消毒剤として使用されることが多い。これらのラクトンを製造するとき、カルボニル化触媒を使用して、ラクトンを競争価格で生成する反応の効率を最適化する。カルボニル化触媒は高価であり、したがって新しいカルボニル化触媒及びそのカルボニル化触媒を単純な成分から合成する新しい技法が必要とされる。さらに、現在のカルボニル化触媒の中には、後で濾取する必要がある望ましくない副生物を生み出すおそれがあるものもある。いくつかのカルボニル化触媒は、米国特許US6,852,865、US8,481,756及びUS8,633,123で見ることができる。これらカルボニル化触媒のいくつかは、ゆるやかな反応時間をもたらすことがあり、不安定になるおそれがあり、触媒カルボニル化の経過中に失活することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,852,865号明細書
【特許文献2】米国特許第8,481,756号明細書
【特許文献3】米国特許第8,633,123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑み、カルボニル化反応において使用することができ、リサイクルすることができ、より長い触媒寿命を有し、ラクトン生成物の形成速度を速め及び/又は望ましくない副生物を回避することができる触媒が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
次式のうちの1つによる、エポキシド、無水コハク酸又はラクトンのうちの1種以上に対して触媒活性を有する化合物が開示される。
【0006】
【化1】
これらの化合物では、Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、R
1は、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール又はアルコキシド基であり、R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、R
4は、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンとすることができ、PLは、極性リガンドの残基であり、Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属である。
【0007】
上記の化合物を、次式
【0008】
【化2】
のうちの1つによる化合物とメタル化剤を接触させて、次式
【0009】
【化3】
による化合物のうちの1種を形成し、形成された化合物と金属カルボニルを、以下
【0010】
【化4】
(式中、R、R
1、R
2、R
3、R
4、PL及びMは以上に記載される。)
の化合物のうちの1種が形成されるような条件下で接触させることによって調製する方法が本明細書に開示される。方法は、形成された化合物、金属カルボニル又は両方と極性リガンドを、化合物のうちのその1種が形成されるように接触させるステップをさらに含むことができる。
【0011】
次式
【0012】
【化5】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されて、ハロゲン化フェノールを形成するような条件下で接触させることによって調製する方法が本明細書に開示される。方法は、ハロゲン化フェノールとハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンを、アルキルリチウムの存在下でフェノール上のハロゲンをジ(アルキル又はアリール)ホスフェートで置き換えて、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成する条件下で接触させるステップをさらに含む。方法は、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとジアミン、オルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンを臭素源及びトリアルキルアミンの存在下で接触させて、式の化合物を形成するステップをさらに含む。方法は、最初にジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールと臭素源を接触させて、活性化したジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成し、次に活性化ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとエチレンジアミン、オルトフェニレンアミン又はシクロヘキシルジアミンをトリアルキルアミンの存在下で接触させて、式の化合物を形成するステップをさらに含むことができる。
【0013】
次式
【0014】
【化6】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、2位及び/又は4位が水素、アルキル、又はアリール基で置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されて、ハロゲン化フェノールを形成するような条件下で接触させることによって調製する方法が本明細書に開示される。方法は、形成されたハロゲン化フェノールとトリアルキルボレートをアルキルリチウム化合物の存在下で接触させて、ハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換えるステップをさらに含む。方法は、ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと窒素原子に隣接した炭素上にハロゲン基を有するビピリジン又はフェナントロリンをパラジウム触媒及びアルカリ金属炭酸塩の存在下で式の化合物のうちの1種を形成する条件下で接触させるステップをさらに含む。トリアルキルアミンは、臭素酸を消費して、アンモニウム塩を形成し得る。方法は、ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと塩酸を接触させて、反応をクエンチするステップをさらに含むことができる。
【0015】
次式
【0016】
【化7】
の1つによる化合物のうちの1種を、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤及びハロゲン化シリルを、ハロゲン原子が芳香族環の2位及び6位の炭素原子に付加され、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させることによって調製する方法が本明細書に開示される。方法は、形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物及びジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップをさらに含む。方法は、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとo-フェニレンジアミン、エチレンジアミン又はシクロヘキサンジアミンのうちの1種を、任意選択的にルイス酸又はブレンステッド酸触媒及びアルカリ金属又はアンモニウム塩の存在下で接触させて、式のうちの1つに対応する化合物のうちの1種を形成するステップをさらに含む。方法は、最初に任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を接触させて、ハロゲン化フェノールを形成し、次にハロゲン化フェノールとハロゲン化シリルを、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップをさらに含むことができる。方法は、ハロゲン化フェノール及びハロゲン化シリルと第三級アミンを接触させて、いずれの酸副生成物も消費し、その結果シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールが形成されるステップをさらに含むことができる。方法は、最初に形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物を接触させて、シリルを2位又は6位に有するフェノールを形成し、次にシリルを2位又は6位に有するフェノールとジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位を有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップをさらに含むことができる。
【0017】
本開示は、エチレンオキシド、β-プロピオラクトン及び/又は無水コハク酸の1つ以上に対して触媒活性を有する、ホスファサレン、ホスファサルフ、ホスファサルシリガンド、6,6’-ジ(3,5-二置換-2-ヒドロキシベンゼン)-2,2’-ビピリジン(「Rdhbpy(H)2」[式中、Rは、各出現ごとに水素、アルキル又はアリールである。])若しくは6,6’-ジ(3,5-二置換-2-ヒドロキシベンゼン)-2,2’-フェナントロリン(「Rdhphen(H)2」[式中、Rは、各出現ごとに水素、アルキル又はアリールである。])リガンド及び/又はシリル置換サレン、サルフ若しくはサルシリガンドを含むカルボニル化触媒を提供する。本開示は、立体及び電子の品質を改善し、反応収率を改善し、反応時間を低減し、副生物を低減し、触媒寿命を延ばし、触媒安定性を高め、カルボニル化反応後により容易に回収可能である、ホスファサレン、ホスファサルフ、ホスファサルシリガンド、Rdhbpy(H)2若しくはRdhphen(H)2リガンド及び/又はシリル置換サレン、サルフ若しくはサルシリガンドを含むカルボニル化触媒を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームを示す図である。
【
図2】ホスファサレン、ホスファサルフ、ホスファサルシリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームを示す図である。
【
図3】
Rdhbpy(H)
2又は
Rdhphen(H)
2リガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームを示す図である。
【
図4】
Rdhbpy(H)
2リガンドを含むルイス酸を有する単離されたカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルを示す図である。
【
図5】ピリジン又はフェナントロリンリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒からのβ-プロピオラクトン(bPL)形成のインサイチューモニタリングを示すReactIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示はいくつかの実施形態に関連して記載されているが、開示された実施形態に限定されるべきでなく、それどころか添付の特許請求の範囲内に含まれるさまざまな修正及び等価な構成を含むように意図され、その範囲は、法の下で許されるような修正及び等価な構造すべてを包含するように最も広い解釈を与えられるべきであることを理解すべきである。
【0020】
本明細書で使用するとき1つ以上とは、記載された成分の少なくとも1つ又は1つより多くが開示されているように使用され得ることを意味する。本明細書に開示されたポリマー又は構造を調製するのに使用された材料又は反応物に対して残渣とは、本明細書に開示された方法の結果として包含後にポリマー又は構造に残存する材料のその一部分を意味する。本明細書で使用するとき実質的にすべてとは、参照されたパラメータ、組成物、構造若しくは化合物の90%より多くが、定義された基準を満たし、参照されたパラメータ、組成物若しくは化合物の95%より多く、99%より多くが、定義された基準を満たし、又は参照されたパラメータ、組成物若しくは化合物の99.5%より多くが、定義された基準を満たすことを意味する。本明細書で使用するとき一部分とは、組成物、流れ又は両方の中の成分の全量未満を意味する。本明細書で使用するとき沈殿物とは、液体及び固体化合物のスラリー又はブレンド中の固体化合物を意味する。本明細書で使用するとき相とは、固体沈殿物又は相をいくつかに分ける目に見える境界がない系の液体若しくは気体の異なった均質な状態を意味する。重量部とは、組成物全体の全重量に対してある成分の部数を意味する。本明細書で使用するとき触媒成分とは、金属中心化合物、金属カルボニル、ルイス酸、ルイス酸誘導体、金属カルボニル誘導体又はそれらのいずれかの組合せを意味する。本明細書で使用するとき触媒は、少なくともカチオン化合物及びアニオン化合物を含む。本明細書で使用するとき有機化合物は、金属原子を含まない化合物であればいずれも含む。本明細書で使用するとき無機化合物は、少なくとも1個の金属原子を含む化合物を含む。本明細書で使用するとき組成物は、単一の容器内に含めることができる流れ、反応物流、生成物流、スラリー、沈殿物、液体、固体、気体又はそれらのいずれかの組合せ中のすべての成分を含む。
【0021】
エポキシドとの反応が改善され、ラクトンとの反応が回避され、金属中心へのポリマー結合が弱められるように立体特性を改善するカルボニル化触媒として有用である化合物及び方法が本明細書に開示され、それによってより速い閉環が促進され、加水分解の影響を受けやすくないことによってカルボニル化触媒の安定性が改善される。これにより、低減された副生物、ラクトンを製造するために使用した後のカルボニル化触媒の改善された回収率、並びにラクトン生成物のリリース時間が最小限に抑えられ、それによって副反応が低減されるように改善された立体及び電子特性という利点がもたらされる。
【0022】
カルボニル化触媒は、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンド、Rdhbpy(H)2若しくはRdhphen(H)2リガンド、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸を含むことができ、エポキシドと一酸化炭素が反応して、本明細書に記載された1種以上のラクトンを形成するカルボニル化反応を触媒するように機能し得る。本明細書に記載されたカルボニル化触媒は、アジリジンと一酸化炭素を反応させて、ラクタムを形成するためにも使用され得る。
【0023】
ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドは、以下の化合物1、2及び/又は3の構造を有することができる:
【0024】
【化8】
(構造中、R
1は、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基とすることができ、
R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール、又はアルコキシド基とすることができる)。
【0025】
以下に記載するメタル化ステップ後に、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを含むルイス酸前駆体が形成され、ルイス酸前駆体は、以下の化合物4、5及び/又は6の構造を有することができる:
【0026】
【化9】
(構造中、R
1及びR
2については、化合物1、2及び3に記載されており、
R
4は、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンとすることができ、
Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属とすることができる)。
【0027】
カルボニル化触媒を形成するために、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを含むルイス酸前駆体は、以下に記載するように金属カルボニル添加剤と反応される。ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシを含むルイス酸前駆体を有する最終のカルボニル化触媒は、以下の化合物7、8及び/又は9の構造を有することができる:
【0028】
【化10】
(構造中、R
1、R
2及びMについては、化合物1~6に関して記載されており、
PLは、ジエチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランなど極性リガンドの残基とすることができる)。
【0029】
Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドは、以下の化合物10及び/又は11の構造を有することができる:
【0030】
【化11】
(構造中、Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基である)。
【0031】
以下に記載するメタル化ステップ後に、Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドを含むルイス酸前駆体が形成され、ルイス酸前駆体は以下の化合物12及び/又は13の構造を有することができる:
【0032】
【化12】
(構造中、R、M及びR
4については、化合物1~11に関して記載される)。
【0033】
カルボニル化触媒を形成するために、Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドを含むルイス酸前駆体は、以下に記載するように金属カルボニル添加剤と反応する。Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドを含むルイス酸前駆体を有する最終のカルボニル化触媒は、以下の化合物14及び/又は15の構造を有することができる:
【0034】
【化13】
(構造中、R、M及びPLについては、化合物1~13に関して記載される)。
【0035】
シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドは、以下の化合物16、17及び/又は18の構造を有することができる:
【0036】
【化14】
(構造中、Rは、化合物1~15に記載されており、
R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基とすることができる)。
【0037】
以下に記載するメタル化ステップ後に、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸前駆体が形成され、ルイス酸前駆体は、以下の化合物19、20及び/又は21の構造を有することができる:
【0038】
【化15】
(構造中、R、R
3、R
4及びMについては、化合物1~18に関して記載される)。
【0039】
カルボニル化触媒を形成するために、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸前駆体は、以下に記載するように金属カルボニル添加剤と反応する。シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸前駆体を有する最終のカルボニル化触媒は、以下の化合物22、23及び/又は24の構造を有することができる:
【0040】
【化16】
(構造中、R、R
3、M及びPLについては、化合物1~21に関して記載される)。
【0041】
カルボニル化反応は、1種以上のエポキシド、ラクトン又は両方と一酸化炭素を触媒の存在下で接触させるステップを含むことができる。このステップは、1つ以上の入口、2つ以上の入口、3つ以上の入口又は複数の入口を有する反応器中で行うことができる。1種以上のエポキシド、ラクトン、一酸化炭素及び触媒は、単一の入口、複数の入口に添加され得、又はそれぞれが別々の入口に別々の若しくは組み合わせたフィード流として添加され得る。カルボニル化反応は、1つ以上の生成物流又は組成物を生成することができる。
【0042】
カルボニル化反応において使用されるエポキシドは、少なくとも2個の炭素原子及び1個の酸素原子を含むいずれかの環式アルコキシドであってよい。例えば、エポキシドは、式(I)によって示される構造を有することができる:
式(I):
【0043】
【化17】
(式中、式(I)の文脈の中でR
1及びR
2は、水素;C
1~C
15アルキル基;ハロゲン化アルキル鎖;フェニル基;任意選択的に置換されている脂肪族又は芳香族アルキル基;任意選択的に置換されているフェニル;任意選択的に置換されているヘテロ脂肪族アルキル基;任意選択的に置換されている3~6員炭素環;及び任意選択的に置換されている3~6員ヘテロ環基からなる群からそれぞれ独立的に選択され、R
1及びR
2は任意選択的に、介在原子と一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含む3~10員の置換又は非置換環を形成することができ又はそれらのいずれかの組合せとすることができる)。
【0044】
カルボニル化反応により形成されたラクトンは、少なくとも1個の炭素原子及び2個の酸素原子を有するいずれかの環式カルボン酸エステルであってよい。例えば、ラクトンは、アセトラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン又はそれらの組合せであってよい。本出願においてプロピオラクトン又はラクトンが使用又は記載されているいずれにおいても、別のラクトンをプロセス、ステップ又は方法において適用可能又は使用可能であり得る。プロピオラクトンがカルボニル化反応において使用又は生成される場合、プロピオラクトンは、式(II)に対応する構造を有することができる:
式(II):
【0045】
【化18】
(式中、式(II)の文脈の中でR
1及びR
2は、水素;C
1~C
15アルキル基;ハロゲン化アルキル鎖;フェニル基;任意選択的に置換されている脂肪族又は芳香族アルキル基;任意選択的に置換されているフェニル;任意選択的に置換されているヘテロ脂肪族アルキル基;任意選択的に置換されている3~6員炭素環;及び任意選択的に置換されている3~6員ヘテロ環基からなる群からそれぞれ独立的に選択され、R
1及びR
2は任意選択的に、介在原子と一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含む3~10員の置換又は非置換環を形成することができ又はそれらのいずれかの組合せとすることができ)。
【0046】
生成物流又は組成物は、プロピオラクトン、ポリプロピオラクトン、無水コハク酸、ポリエチレングリコール、ポリ-3-ヒドロキシプロピオネート、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテル、未反応のエポキシド、それらのいずれかの誘導体、エポキシドと一酸化炭素の反応に由来する他のいずれかのモノマー若しくはポリマー又はそれらのいずれかの組合せを含めて1種以上の有機化合物を含むことができる。生成物流又は組成物は、金属カルボニル、金属カルボニル誘導体、金属中心化合物、ルイス酸、ルイス酸誘導体又はそれらのいずれかの組合せなどの触媒成分を含む1種以上の無機化合物を含むことができる。金属カルボニル誘導体は、カルボニル化触媒における使用のためのアニオン性金属カルボニル成分を形成するように処理することができる、1つ以上の金属及び1個以上のカルボニル基を含む化合物である。ルイス酸誘導体は、カルボニル化触媒における使用のためのカチオン性ルイス酸に処理することができる、1種以上の望ましくない化合物に金属中心で結合している1種以上の金属中心ルイス酸を含む化合物である。生成物流又は組成物は、プロピオラクトンを形成するプロセスにおいて消費も使い切りもされていなかった触媒を含むことがある。生成物流又は組成物は、1種以上の未反応のエポキシド又は一酸化炭素を含むことがある。
【0047】
本明細書に記載されたカルボニル化触媒を製造するために、フェノールは、ハロゲン化ステップにおいてハロゲン化されて、カルボニル化触媒のルイス酸の基盤を形成し得る。フェノールと極性溶媒及びハロゲン化剤は、ハロゲン原子が4位及び/又は6位の炭素原子に付加されて、ハロゲン化フェノールを形成するような条件下で接触され得る。フェノール及びハロゲン化剤は、約1:1以上、約2:3以上又は約1:2以上のモル比で添加され得る。フェノールは、2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されていてよい。ハロゲン化ステップは、ハロゲン化剤及びフェノールの置換基に応じて非プロトン性又はプロトン性である極性溶媒中で行われ得る。ハロゲン化ステップは、室温及び周囲空気中で行われ得る。フェノールとハロゲン化剤を混合した後、ハロゲン化反応は、磁気撹拌子を使うなどして公知の手段によって撹拌してよい。ハロゲン化反応は、約1時間以上、約1.5時間以上、又は約2時間以上撹拌してよい。ハロゲン化反応は、約3.5時間以下、約3時間以下又は約2.5時間以下撹拌してよい。反応は、例えば重炭酸ナトリウムの添加によってクエンチされ得、その反応によって水性層及び有機層が分離される。ハロゲン化フェノールは、本明細書に記載されたいずれかの技法又はいずれか公知の技法を使用して単離され得る。例えば、ハロゲン化フェノールは、単純な有機/水性抽出を用いて単離されて、水性層を除去することができ、有機層は、MgSO4又はNa2SO4を添加し、塩基性アルミナと共に撹拌し、次いでシリカゲル及び珪藻土の組合せで濾過することによって乾燥することができる。
【0048】
ハロゲン化フェノールを製造及び単離した後、ハロゲン化フェノールは、シリル化ステップにおいてシリル基でさらに修飾され得る。ハロゲン化フェノールと極性非プロトン性溶媒及びハロゲン化シリルは、ハロゲン化フェノールの1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換されて、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンを形成するような条件下で接触され得る。ハロゲン化フェノール及びハロゲン化シリルは、約1:1のモル比で添加され得る。このシリル化ステップは、ヒドロキシル基のシリルエーテル基への変換を促進するように機能する触媒の存在下で行われ得る。このシリル化ステップは、ヒドロキシルのシリルエーテルへの変換中に形成されるいずれの酸も消費することができる捕捉剤の存在下で行われ得る。捕捉剤は、第三級アミンの1つ以上を含むことができる。捕捉剤は、トリエチルアミンの1つ以上を含むことができる。捕捉剤及びハロゲン化フェノールは、約1:1、約1.1:1又は約1.2:1のモル比で添加され得る。ハロゲン化シリルの添加前に、非プロトン性溶媒及びハロゲン化フェノールは、約-10℃以上、約-5℃以上又は約0℃以上に冷却され得る。非プロトン性溶媒及びハロゲン化フェノールは、約15℃以下、約10℃以下又は約5℃以下に冷却され得る。ハロゲン化シリルの添加後に、次いでシリル化ステップは、室温まで温まらせ、撹拌させ得る。材料の添加後に、シリル化ステップは、室温で約3時間以下、約2.5時間以下又は約2.0時間以下撹拌させ得る。シリル化ステップは、室温で約0.5時間以上、約1.0時間以上又は約1.5時間以上撹拌させ得る。撹拌した後、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンは、いずれか公知の手段又は本明細書で述べたいずれかの手段を使用して単離され得る。例えば、溶媒を真空濾過によって除去することができ、残留している生成物流を非極性溶媒に溶解することができ、生成物流を珪藻土などの濾過床で濾過し、非極性溶媒を真空濾過によって除去することができる。
【0049】
ハロゲン化フェノールを製造及び単離した後、ハロゲン化フェノールは、脱離ステップにかけられて、フェノール上のハロゲン原子をジ(アリール又はアルキル)ホスフェートで置き換え得る。ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物及びハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンと接触されて、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成し得る。ハロゲン化フェノール及びハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンは、約1:1以上のモル比で添加され得る。アルキルリチウムは、フェノール上のハロゲン原子を置き換えるのに十分な量が添加され得る。最初に、ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒に溶解され、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。極性非プロトン性溶媒及びハロゲン化フェノールは、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物と接触されて、中間体組成物を形成し得る。中間体組成物は、およそ室温(すなわち、約25℃)まで温められてよく、約0.5時間以上、約0.75時間以上又は約1.0時間以上撹拌され得る。中間体組成物は、約2.25時間以下、約1.75時間以下又は約1.25時間以下撹拌され得る。
【0050】
撹拌した後、ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンの添加前に、ハロゲン化フェノール、アルキルリチウム化合物又はそれらの残基を極性非プロトン性溶媒中に含む中間体組成物は、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。中間体組成物は、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、中間体組成物内のいずれの化合物も単離することなく、ハロゲン化フェノール、アルキルリチウム化合物又はそれらの残基を極性非プロトン性溶媒中に含む中間体組成物は、ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンと接触されて、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを生成物組成物中に形成し得る。ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンと接触した後、生成物組成物は、およそ室温(すなわち、約25℃)まで温められてよく、約0.5時間以上、約1.0時間以上又は約1.5時間以上撹拌され得る。生成物組成物は、約3.0時間以下、約2.5時間以下又は約2.0時間以下撹拌され得る。生成物組成物は、緩衝液で洗浄することができ、有機相は、有機/水性抽出など本明細書で述べた又は当業者に公知のいずれかの手段によって除去することができる。緩衝液は、リン酸カリウムであってよい。したがって、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、他のいずれかの公知の単離又は抽出手段によって生成物流から除去又は単離され得る。脱離ステップは、窒素など不活性ガス下及び/又はドライボックス若しくはシュレンクライン中で行われ得る。
【0051】
ハロゲン化フェノールを製造及び単離した後、ハロゲン化フェノールは、脱離ステップにかけられて、フェノール上のハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換え得る。このステップでは、ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物及びトリアルキルボレートと接触されて、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールを形成し得る。ハロゲン化フェノール、アルキルリチウム及びトリアルキルボレートは、約1:2:1以上のモル比で添加され得る。最初に、ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒に溶解され、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。極性非プロトン性溶媒及びハロゲン化フェノールは、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、ハロゲン化フェノールは、極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物と接触されて、中間体組成物を形成し得る。中間体組成物は、およそ室温(すなわち、約25℃)まで温められてよく、約0.5時間以上、約0.75時間以上又は約1.0時間以上撹拌され得る。中間体組成物は、約2.25時間以下、約1.75時間以下又は約1.25時間以下撹拌され得る。撹拌した後、トリアルキルボレートの添加前に、中間体組成物は、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に再冷却され得る。極性非プロトン性溶媒及びハロゲン化フェノールは、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。
【0052】
冷却した後、ハロゲン化フェノール、アルキルリチウム化合物又はそれらの残基を極性非プロトン性溶媒中に含む中間体組成物は、トリアルキルボレートと接触されて、6位にホウ酸エステルを含むフェノールを生成物組成物中に形成し得る。トリアルキルボレートと接触した後、生成物組成物は、室温まで温められてよく、約30時間以下、約24時間以下又は約18時間以下撹拌され得る。生成物組成物は、約6時間以上、約12時間以上又は約18時間以上撹拌され得る。続いて、酸は、6位にホウ酸エステルを含むフェノールを非プロトン性溶媒中に含む生成物流と接触されて、加水分解を触媒し、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールを形成し得る。酸としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、過塩素酸又はそれらのいずれかの組合せを挙げることができる。酸は、約1.6以上、約1.8以上又は約2.0以上のモル濃度を有することができる。酸は、約2.4以下、約2.2以下又は約2.0以下のモル濃度を有することができる。加水分解した後、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールは、いずれか公知の技法又は本明細書に記載された技法、例えば水性/有機抽出を使用して単離され得る。脱離ステップは、窒素などの不活性ガス下及び/又はドライボックス若しくはシュレンクライン中で行われ得る。
【0053】
2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンを製造した後、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンは、脱離ステップにかけられて、2位が1個のハロゲンをアルデヒドと交換し、6位が他のハロゲンと交換するシリル基を再配置し得る。このステップでは、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンは、極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物及びジメチルホルムアミドと接触されて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールを形成し得る。ハロゲン化フェノール、アルキルリチウム及びジメチルホルムアミドは、約1:4:4のモル比で添加され得る。最初に、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンは、極性非プロトン性溶媒に溶解され得、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。極性非プロトン性溶媒及び2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンは、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンを極性非プロトン性溶媒中でアルキルリチウム化合物と接触させて、中間体組成物を形成し、0℃まで温められてよく、約0.5時間以上、約1.0時間以上又は約1.5時間以上撹拌され得る。他の実施例では、中間体組成物は、室温まで温められてよい。中間体組成物は、約3.0時間以下、約2.5時間以下又は約2.0時間以下撹拌され得る。
【0054】
撹拌した後、単離ステップなしで、中間体組成物は、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。中間体組成物は、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物及び/又はそれらの残基を極性非プロトン性溶媒中に含む中間体組成物は、ジメチルホルムアミドと接触されて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールを生成物組成物中に形成し得る。ジメチルホルムアミドに加えて、極性非プロトン性溶媒に希釈したクエンチ剤が添加されて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールを形成し得る。クエンチ剤としては、NH4Cl(水性)を挙げることができる。冷却した後、ジメチルホルムアミドの添加後に、生成物組成物は、約0℃まで温められ、約0.5時間以上、約0.75時間以上又は約1.0時間以上撹拌され得る。生成物組成物は、約2.25時間以下、約1.75時間以下又は約1.25時間以下撹拌され得る。シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールの形成後に、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールは、水性/有機抽出などいずれか公知の技法又は本明細書に述べられたいずれかの技法を使用して精製又は単離され得る。すべての脱離ステップは、窒素などの不活性ガス下及び/又はドライボックス若しくはシュレンクライン中で行われ得る。
【0055】
ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを単離した後、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、付加ステップにかけられて、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを形成し得る。例えば、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドは、上記の化合物1、2及び/又は3の構造を有することができる。
【0056】
このステップでは、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、極性非プロトン性溶媒及びトリアルキルアミンの存在下で臭素及びジアミンと接触されて、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを形成し得る。ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノール、臭素及びジアミンは、約2:2:1以上のモル比で添加され得る。最初に、窒素流(すなわち、グローブボックス又はシュレンクライン)下で、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、非プロトン性溶媒に溶解され、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。極性非プロトン性溶媒及びジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。冷却した後、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールは、極性非プロトン性溶媒中で臭素と接触されて、中間体組成物を形成し得、中間体組成物は、室温(すなわち、約25℃)まで温められてよく、約0.25時間以上、約0.50時間以上又は約0.75時間以上撹拌され得る。中間体組成物は、約2.0時間以下、約1.50時間以下又は約1.25時間以下撹拌され得る。撹拌した後、中間体組成物は、約90℃以下、約85℃以下又は約80℃以下に冷却され得る。中間体組成物は、約65℃以上、約70℃以上又は約75℃以上に冷却され得る。
【0057】
冷却した後、臭素、ジアルキル若しくはジアリールホスフェート置換フェノール及び/又はそれらの残基を極性非プロトン性溶媒中に含む中間体組成物は、トリアルキルアミンの存在下でジアミンと接触されて、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを生成物組成物中に形成し得る。接触させた後、生成物組成物は、室温(すなわち、約25℃)まで温められ、終夜撹拌され得る。例えば、生成物組成物は、約12時間以上、約18時間以上又は約23時間以上撹拌され得る。生成物組成物は、約36時間以下、約30時間以下又は約25時間以下撹拌され得る。撹拌した後、臭化アンモニウムなどいずれの副生成物も、重力濾過などいずれか公知の濾過技法を使用して組成物から沈殿され得る。ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドは、いずれか公知の技法又は本明細書に記載されたいずれかの技法によって生成物組成物から単離され得る。例えば、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドは、溶媒を回転蒸発により除去し、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシを追加の沈殿ステップ及びカラムクロマトグラフィーにおける追加の精製ステップにかけることによって、生成物組成物から単離され得る。すべての付加ステップは、窒素など不活性ガス下及び/又はドライボックス若しくはシュレンクライン中で行われ得る。
【0058】
6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールを単離した後、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールは、鈴木反応ステップにかけられて、Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドを形成し得る。例えば、Rdhbpy(H)2又はRdhphen(H)2リガンドは、化合物10及び/又は11の構造を有することができる。
【0059】
この鈴木反応ステップでは、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノールは、1種以上の極性溶媒、アルカリ金属炭酸塩及びパラジウム触媒の存在下で、窒素原子に隣接した1個以上のハロゲンを含むジブロモビピリジン又はジブロモフェナントロリンと接触されて、化合物10及び/又は11のリガンドを生成物組成物中に形成し得る。1種以上の極性溶媒は、反応において1種以上の化合物を溶解する溶媒の組合せであってよい。1種以上の極性溶媒は、プロトン性、非プロトン性又はプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との組合せであってよい。6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノール及び窒素原子に隣接した1個以上のハロゲンを含むジブロモビピリジン又はジブロモフェナントロリンは、約2:1以上のモル比で添加され得る。追加的に、臭素酸は、6位にボロンジヒドロキシド基を含むフェノール及びジブロモビピリジン又はジブロモフェナントロリンの組合せに約2:2:1以上のモル比で添加され得る。パラジウム触媒は、約2モルパーセント以上、約3モルパーセント以上又は約4モルパーセント以上の溶液として添加され得る。パラジウム触媒は、約8モルパーセント以下、約7モルパーセント以下又は約6モルパーセント以下の溶液として添加され得る。アルカリ金属炭酸塩は、約1.6M以上、約1.8M以上又は約2.0M以上の溶液として添加され得る。アルカリ金属炭酸塩は、2.6以下、約2.4以下又は約2.2以下の溶液として添加され得る。材料を接触させた後、鈴木反応ステップは、還流させながら約72時間以下、約96時間以下又は約120時間以下実施され得る。鈴木反応ステップは、還流させながら約24時間以上、約48時間以上又は約70時間以上実施され得る。還流後に、化合物10及び/又は11のリガンドは、本明細書に記載された又は当業者に公知のいずれか公知の抽出技法を使用して、生成物組成物から除去される。例えば、化合物10及び/又は11のリガンドは、極性非プロトン性溶媒などリガンドを溶解する溶媒を添加し、ブライン(すなわち、水性溶液)を添加し、ブラインを抽出し、極性非プロトン性溶媒を蒸発させて、乾燥リガンドを残すことによって除去され得る。鈴木反応ステップは、窒素など不活性ガス下及びドライボックス及び/又はシュレンクライン中で実施され得る。
【0060】
シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールを単離した後、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールは、縮合ステップにかけられて、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを形成し得る。例えば、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドは、化合物16、17及び/又は18の構造を有することができる。このステップでは、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールは、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを生成物組成物中に形成せざるを得ない極性溶媒中、ルイス酸又はブレンステッド酸及びアルカリ金属又はアンモニウム塩の存在下でジアミンと接触され得る。他の実施例では、反応は、ジアミン並びにシリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノールが極性溶媒中で接触され得るようにルイス酸又はブレンステッド酸を含まなくてよい。これらのステップは、周囲空気中で完了され得、室温(例えば、約25℃)で完了され得、又は極性溶媒の還流時に完了され得る。シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有するフェノール並びにジアミンは、約1:2以上のモル比で添加され得る。ルイス酸又はブレンステッド酸は、縮合反応を触媒するのに十分な量が添加され得る。シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドは、いずれか公知の技法又は本明細書に記載されたいずれかの技法によって生成物組成物から単離され得る。例えば、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドは、生成物組成物が冷却した後に重力濾過によって沈殿物として回収され得る。
【0061】
ホスファサレン、ホスファサルフ若しくはホスファサルシリガンド、Rdhbpy(H)2若しくはRdhphen(H)2リガンド又はシリル置換サレン、サルフ若しくはサルシリガンドを形成した後、リガンドは、メタル化ステップにかけられて、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を形成し得る。ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸は、上記の化合物4、5、6、12、13、19、20及び/又は21の構造を有することができる。ルイス酸のハロゲン又はアルキル基は、ルイス酸の金属中心に結合され得る。メタル化ステップでは、金属アルキル化合物は、室温で非極性溶媒中ホスファサレン、ホスファサルフ若しくはホスファサルシリガンド、Rdhbpy(H)2若しくはRdhphen(H)2リガンド又はシリル置換サレン、サルフ若しくはサルシリガンドと接触されて、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を形成し得る。金属アルキル化合物及びホスファサレン、ホスファサルフ若しくはホスファサルシリガンド、Rdhbpy(H)2若しくはRdhphen(H)2リガンド又はシリル置換サレン、サルフ若しくはサルシリガンドは、約1:1のモル比で添加され得る。メタル化ステップは、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を形成するのに十分ないずれかの時間撹拌され得る。例えば、メタル化ステップは、約36時間以下、約30時間以下又は約24時間以下撹拌され得る。メタル化ステップは、約12時間以上、約18時間以上又は約22時間以上撹拌され得る。メタル化ステップは、窒素など不活性ガス下及びドライボックス及び/又はシュレンクライン中で実施され得る。メタル化ステップは、開放空気中で実施され得、又はドライボックス若しくはシュレンクラインなど酸素及び水を含まない不活性雰囲気中で実施され得る。メタル化ステップは、参照により本明細書全体に組み込まれる米国特許第8,633,123号明細書に記載されているメタル化ステップと同様であり得る。メタル化ステップが完了した後、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸は、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸の重力濾過による回収などいずれか公知の技法を使用して単離され得る。ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を形成するためのステップは、ドライボックス又はシュレンクライン中、水分及び酸素を含まない条件下、例えば窒素のような不活性ガス下で行われ得る。
【0062】
上記のハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸の1つを形成及び単離した後、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸は、触媒形成ステップにかけられて、カルボニル化触媒を形成し得る。カルボニル化触媒は、化合物7、8、9、14、15、22、23及び/又は24における上記の構造の1つを有することができる。触媒形成ステップは、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を極性リガンド、金属カルボニル添加剤又は両方と接触させて、カルボニル化触媒を形成するステップを含むことができる。ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸は、約1:1のモル比で添加され得る。金属カルボニル添加剤は、少なくともアニオン性である金属カルボニル並びに金属中心化合物のアルキル基又はハロゲンを切断及び結合するように構成されているカチオン基を含むことができる。カチオン基は、アルカリ金属、(R4)3Si-[式中、R4は、フェニル、ハロフェニル、水素、アルキル、アルキルハロ、アルコキシ又はそれらのいずれかの組合せから独立的に選択される。]、金属カルボニルをイオン結合しかつ/若しくはそのイオンバランスを保つのに十分ないずれかの対イオン又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上であってよい。金属カルボニル添加剤がアルキル基を切断又は脱カップリングする実施例では、アルキル基は、カチオン基とカップリングすることができ、アルキル基及びカチオン基は、本明細書に記載されたいずれの濾過又は除去手段を介しても除去され得る。金属カルボニル添加剤がハロゲンを金属中心化合物から切断し、極性化合物と接触される実施例では、ハロゲンは、金属カルボニル添加剤のカチオン基と結合し、極性化合物を含むルイス酸が形成される。いずれの副生成物も、本明細書に記載された他のいずれかの除去又は分離ステップによって除去され得る。金属カルボニル添加剤がアルキル基を切断又は脱カップリングした後、ルイス酸は、極性リガンドと組み合わさって、カチオン種を形成することができる。次いで、極性リガンドを含むルイス酸は、金属カルボニル添加剤のアニオン性金属カルボニルと接触し、再生カルボニル化触媒を形成する。
【0063】
カルボニル化触媒を形成するためのステップは、水分及び酸素を含まない条件下で行われ得る。例えば、触媒形成ステップは、ドライグローブボックス内、シュレンクライン又は反応器で、不活性雰囲気(すなわち、窒素)下で行われ得る。触媒形成ステップは、窒素、アルゴン又は他のいずれかの不活性ガス下で行われ得る。触媒形成ステップ中、ルイス酸、極性リガンド、金属カルボニル又はそれらのいずれかの組合せは、カルボニル化触媒を形成するのに十分な時間撹拌することによって接触及び撹拌され得る。成分を撹拌する時間は、約5分間以上、約30分間以上、約60分間以上であってよい。成分を撹拌する時間は、約24時間以下、約12時間以下又は約6時間以下であってよい。触媒形成ステップにおける成分は、周囲温度及び/又は圧力下で完了され得る。再生触媒を製造するための追加のステップは、US6,852,865B2及びUS8,481,756B1で見ることができ、それらのそれぞれが、参照によりそれらの全体として本明細書に含まれる。
【0064】
本明細書で教示された濾過、単離又は除去するステップは、組成物から、カルボニル化触媒又はカルボニル化触媒のいずれかの前駆体の形成に干渉するおそれがある望ましくないいずれの成分も除去するように機能する。例えば、溶媒、ポリマー、未反応の酸化合物、無機化合物、有機化合物又はそれらのいずれかの組合せの1種以上は、カルボニル化触媒がハロゲン又はアルキル化合物を含むルイス酸から再生され、無水コハク酸、プロピオラクトン又はエポキシドのうちの1種以上に関して触媒活性を有し得るように組成物から除去され得る。濾過、単離又は除去するステップは、真空濾過、重力濾過、遠心、デカンテーション、沈殿、相層抽出又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上を含むことができる。濾過、単離又は除去するステップは、溶媒、ポリマー、未反応の酸化合物、無機化合物、有機化合物又はそれらのいずれかの組合せ及びハロゲン若しくはアルキル基を含むルイス酸、リガンド又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を分離するのに十分ないずれの方法も利用し得る。濾過、単離又は除去するステップは、沈殿物など単一のタイプの化合物を一度に除去し得、又は溶媒に溶解しているすべての成分など化合物の集まりを一度に除去し得る。濾過又は除去するステップは、1つ以上の有機相、水性相、固相(すなわち、沈殿物)、1つ以上の気相若しくは蒸気相又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上を含む多重相を形成するステップを含むことができる。本明細書に記載された1つ以上の分離又は除去ステップ/方法は、リガンド、ハロゲン若しくはアルキル基を含むルイス酸又はそれらのいずれかの組合せを含む望ましくないいずれの成分も組成物から分離又は除去するのに十分ないずれの温度、圧力、撹拌速度、時間又はそれらのいずれかの組合せでも行われ得る。
【0065】
本明細書に記載されたカルボニル化触媒は、エポキシドと一酸化炭素の反応を触媒して、1種以上のプロピオラクトン及び他の生成物を生成するように機能する。カルボニル化触媒は、少なくともアニオン性である金属カルボニル及びカチオン性であるルイス酸を含む。
【0066】
カルボニル化触媒の金属カルボニルは、カルボニル化触媒のアニオン成分を提供するように機能する。カルボニル化触媒は、金属カルボニルの1つ以上、2つ以上又は混合物を含むことができる。金属カルボニルは、エポキシドを開環し、得られた金属炭素結合へのCOの挿入を促進することができ得る。いくつかの実施例では、金属カルボニルは、アニオン性金属カルボニル部分を含むことができる。他の実施例では、金属カルボニル化合物は、中性金属カルボニル化合物を含むことができる。金属カルボニルは、金属カルボニルヒドリド又はヒドリド金属カルボニル化合物を含むことができる。金属カルボニルは、1つ以上の反応成分とインサイチュで反応して、初めに用意された化合物と異なる活性種をもたらすプレ触媒であってよい。金属カルボニルは、アニオン性金属カルボニル種を含む。いくつかの実施例では、金属カルボニルは、一般式[QdM’e(CO)w]y+[式中、Qは任意選択のリガンドであり、M’は金属原子であり、dは、0と8を含めて0~8の整数であり、eは、1と6を含めて1~6の整数であり、wは、例えば安定なアニオン性金属カルボニル錯体をもたらす数値であり、yは、アニオン性金属カルボニル種の電荷である。]を有することができる。金属カルボニルは、周期表5族、7族若しくは9族の金属のモノアニオン性カルボニル錯体又は周期表4族若しくは8族の金属のジアニオン性カルボニル錯体を含むことができる。金属カルボニルは、コバルト、マンガン、ルテニウム又はロジウムを含むことができる。例示的な金属カルボニルとしては、[Co(CO)4]-、[Ti(CO)e]2-、[V(CO)6]-、[Rh(CO)4]-、[Fe(CO)4]2-、[Ru(CO)4]2-、[Os(CO)4]2-、[Cr2(CO)10]2-、[Fe2(CO)8]2-、[Tc(CO)5]-、[Re(CO)5]-及び[Mn(CO)5]-を挙げることができる。金属カルボニルは、方法で使用されるカルボニル化触媒中における2種以上のアニオン性金属カルボニル錯体の混合物であってよい。
【0067】
ハロゲン化剤は、ハロゲン原子をフェノールにカップリングするように機能することができる。ハロゲン化剤は、フェノールにカップリングされ得る1個以上のハロゲンを含むいずれかの化合物であってよい。ハロゲン化剤は、N-ブロモスクシンイミド、臭素(すなわち、Br2)、ジブロモイソシアヌル酸又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。
【0068】
アルキルリチウム化合物は、フェノール上のハロゲン基を別の化合物で置き換えるように機能し得る。アルキルリチウム化合物は、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム又はそれらのいずれかの組合せであってよい。n-ブチルリチウムが使用される場合、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’-ジメチルプロピレン尿素又はそれらのいずれかの組合せなどn-ブチルリチウムを活性化するための添加剤が使用され得る。
【0069】
ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンは、フェノール化合物に二置換ホスフィン基を形成するように機能し得る。ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンは、クロロ-ジ(アリール)ホスフィン、クロロ-ジ(アルキル)ホスフィン又は両方の1種以上を含む。
【0070】
ハロゲン化シリルは、フェノール基にシリルエーテルを形成するように機能し得る。ハロゲン化シリルは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素の1種以上を含むことができる。ハロゲン化シリルは、例えばSi(R3)3の構造[構造中、R3は、化合物1~24に関して以上に記載されている。]を有する三置換シリコーン基を含むことができる。
【0071】
トリアルキルボレートは、鈴木カップリング反応に適した化合物を形成するように機能し得る。トリアルキルボレートは、ホウ酸トリメチル又はそれらのいずれかの組合せであってよい。
【0072】
本明細書で使用されるジアミンは、2個の置換フェノール基を接続することによってリガンドを形成するように機能し得る。ジアミンは、少なくとも2個の炭素原子によって分けられている少なくとも2個のアミン基を含むいずれの置換化合物であってもよい。ジアミンは、エチレンジアミン、オルトフェニレンアミン、オルトシクロヘキシルジアミン又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。
【0073】
トリアルキルアミンは、トリブチルアンモニウムブロミドなどアンモニウム塩の形で生成されたHBrを消費するのに十分な化合物であってよい。トリアルキルアミンは、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。
【0074】
ルイス酸又はブレンステッド酸触媒は、縮合反応を触媒するように機能し得る。ルイス酸又はブレンステッド酸触媒は、ギ酸、酢酸、塩化アルミニウム又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。
【0075】
アルカリ金属炭酸塩は、ボロンジヒドロキシドを分解するように機能し得る。アルカリ金属炭酸塩は、Na2CO3又はそのいずれかの組合せの1種以上を含むことができる。アルカリ金属炭酸塩の代わりに、アルカリ金属、アルコキシド及び/又はアルカリ金属ヒドロキシドは、使用されて、ボロンジヒドロキシドを分解し得る。
【0076】
金属アルキル化合物は、1つ以上のリガンドに金属を配位させて、ハロゲン又はアルキル基を含むルイス酸を形成するように機能し得る。金属アルキル化合物は、金属及び/又は1つ以上のアルキル基及び/又はハロゲン基を含むいずれの化合物であってもよい。金属アルキル化合物の金属は、アルミニウム、クロム又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。金属アルキル化合物は、CrCl2、(Et)2AlCl又は(Et)3Al又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上を含むことができる。
【0077】
金属カルボニル添加剤は、カルボニル化触媒を組み合わせて形成するのに適したルイス酸に金属カルボニルを送達するように機能する。金属カルボニル添加剤は、ハロゲン又はアルキル基をルイス酸から分離させて、ルイス酸及び金属カルボニルの組合せを含むカルボニル化触媒を形成するように機能し得る。金属カルボニル添加剤は、少なくとも本明細書に記載された金属カルボニル及びカチオン化合物を含む。カチオン化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム又はそれらのいずれかの組合せを挙げることができる。金属カルボニル添加剤は塩であってよい。金属カルボニル添加剤は、R3Si-[式中、Rは、フェニル、ハロフェニル、水素、アルキル、アルキルハロ、アルコキシ又はそれらのいずれかの組合せから独立的に選択される。]の形をしたケイ素塩であってよい。金属カルボニル添加剤は、NaCo(CO)4、Co2(CO)8、HCo(CO)4又はそれらのいずれかの組合せであってよい。メタル化ステップ後にハロゲンを含むルイス酸が形成される場合、NaCo(CO)4が、カルボニル化触媒を形成するために使用され得る。アルキル基を含むルイス酸が形成される場合、Co2(CO)8又はHCo(CO)4が、カルボニル化触媒を形成するために使用され得る。
【0078】
いくつかのルイス酸では、1つ以上の極性リガンドは、M又はその組合せに配位し、金属原子の配位原子価を満たし得る。極性リガンドは溶媒であってよい。極性リガンドは、少なくとも2個の自由原子価電子を有するいずれの化合物であってもよい。極性リガンドは非プロトン性であってよい。化合物は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、二硫化炭素、ピリジン、エポキシド、エステル、ラクトン又はそれらの組合せであってよい。
【0079】
溶媒は、本明細書に記載された1種以上の化合物を溶解するように機能する極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒又は非極性溶媒であってよい。1種の溶媒は、本明細書に記載された1種以上の化合物の溶解度を高める他の1種以上の溶媒に可溶であり得る。第1の溶媒が、第1の溶媒に混和可能な第2の溶媒と組み合わされて、第2の溶媒に不溶な成分を沈殿させ得る。溶媒は、別の水性相層、別の有機相層、沈殿物又はいずれかの若干の組合せとは異なる有機相又は水性相層を形成するように選択され得る。溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、スルホラン、トルエン、ピリジン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン又はそれらのいずれかの組合せの1種以上であってよい。
【0080】
いくつかの技法が、本開示の教示を示すように理論化された。各教示は、単に本開示の例に過ぎず、教示をいずれか単一の技法に限定するものではない。
【0081】
図1は、シリル置換サレン、サルフ又はサルシリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームである。1当量の適切な4-置換フェノールに対して2当量のBr
2を単離した後、撹拌子を装備した反応容器に、10mLのTHF溶媒中の0.01molの量の適切な予め単離された2,6-ジブロモフェノールを添加する。溶液を氷浴(0℃)で冷却し、わずかな過剰のトリエチルアミン(0.012mol)を添加し、続いてわずかな過剰の適切な三置換クロロシランを添加する。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで溶媒を減圧方法によって除去する。残渣をヘキサンに溶解し、珪藻土で濾過し、溶媒をもう一度除去して、所望の生成物を得る。撹拌子を装備した反応容器において、ジエチルエーテル(3.0mL)中適切な2,6-ジブロモフェノールシリルエーテル(0.0015mol)を-78℃に冷却し、4当量のt-ブチルリチウム(0.006mol)で処理する。反応は、0℃で1.5時間撹拌される。同じ反応容器で、反応混合物は、-78℃に冷却され、0.006molのDMFが添加され、0℃で1時間撹拌される。次いで、反応を5.0mLの飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、75mLのジエチルエーテルで希釈する。有機相及び水性相が分離され、有機相は乾燥されて、所望の生成物を得る。リガンド合成は、シリルサリチルアルデヒドとオルトフェニレンジアミンを2.2対1の比で反応させることによって完了される。0.004molの量のサリチルアルデヒドを30mLのエタノール(EtOH)に溶解し、0.00176molのオルト-フェニレンジアミンに添加し、終夜還流する。シリル基を含むサリチルアルデヒド前駆体のアルデヒドとジアミンの間の縮合反応の標準方法を使用して、続いて温度を下げ、EtOHからリガンドが沈殿した後に、生成物を重力濾過によって単離する。リガンドが形成された後に、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのトルエン溶媒中の0.1molのリガンド(1.0M)が投入される。1当量のEt
2AlClを溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。溶液から沈殿した後に、生成物が濾過によって回収される。カルボニル化触媒を形成するために、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのTHF溶媒中の0.1molの金属化リガンド(1.0M)が投入される。1当量のNaCo(CO)
4を溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。生成物を濾過して、NaCl副生成物を除去する。生成物は、貧溶媒ヘキサンの添加により触媒をTHF溶媒から沈殿させることにより回収され、その生成物は次いで濾過により回収される。
【0082】
図2は、ホスファサレン、ホスファサルフ又はホスファサルシリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームである。反応容器に、300mLのアセトニトリル中の適切な2,4-二置換フェノール(0.1mol)が投入される。反応は、0℃に冷却され、0.1molのN-ブロモスクシンイミドが添加され、室温で終夜撹拌される。反応混合物はNa
2SO
3で洗浄され、相が分離される。次いで、有機層を回収し、溶媒を回転蒸発により除去する。単離した後、不活性雰囲気下の反応容器に、50mLのジエチルエーテル中の適切な2-ブロモ-4,6-二置換フェノール(0.014mol)を添加し、温度を-78℃に下げる。冷却した溶液に、わずかな過剰の0.0295molのn-ブチルリチウムをゆっくり添加する。反応混合物を1時間室温に戻す。続いて、反応混合物を-78℃に冷却し、0.014molの適切なクロロホスフィン(R
2PCl)を添加し、室温で終夜撹拌する。溶液は、KH
2PO
4で洗浄される。層を分離し、有機層を乾燥し、溶媒を回転蒸発により除去する。不活性雰囲気下の反応容器に、60mLのジクロロメタン溶媒中の適切な2,4-二置換-6-(R
2ホスファンイル)フェノール(0.00512mol)を添加する。温度を-78℃に下げ、液体臭素(0.00512mol)をゆっくり添加し、次いで室温で2時間撹拌する。反応混合物の温度を再び-78℃に下げ、0.00256molのトリブチルアミン及び0.00256molのエチレンジアミンをゆっくり添加し、室温で終夜撹拌する。混合物を濾過し、濾液を減圧下で乾燥する。その油をTHF中で撹拌して、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製された白色固体を得る。リガンドが形成された後に、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのトルエン溶媒中の0.1molのリガンド(1.0M)が投入される。1当量のEt
2AlClを溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。溶液から沈殿した後に、生成物が濾過により回収される。カルボニル化触媒を形成するために、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのTHF溶媒中の0.1molの金属化リガンド(1.0M)が投入される。1当量のNaCo(CO)
4を溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。生成物を濾過して、NaCl副生成物を除去する。生成物は、貧溶媒ヘキサンの添加により触媒をTHF溶媒から沈殿させることにより回収され、その生成物は次いで濾過により回収される。
【0083】
図3は、
Rdhbpy(H)
2又は
Rdhphen(H)
2リガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒を形成する合成スキームである。不活性雰囲気下の反応容器に、100mLの溶媒中の0.10molの2,4-二置換フェノール(1.0M反応)が投入される。1当量(0.10mol)のBr
2が-78℃で添加され、室温で2時間撹拌される。次いで、反応混合物を50mLの飽和NaHCO
3溶液でクエンチし、有機層及び水性層を分離する。MgSO
4又はNa
2SO
4で乾燥した後の有機相を、塩基性アルミナでスラリーにし、次いでシリカゲルと珪藻土の組合せで濾過する。単離した後、不活性雰囲気下の反応容器に、200mLのジエチルエーテル溶媒中の2-ブロモ-4,6-二置換フェノール(0.0175mol)(約0.1M)が投入される。溶液の温度を-78℃に下げ、わずかな過剰のn-ブチルリチウム(n-BuLi)(0.042mol)を反応容器にゆっくり添加する。付加後に、反応を室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物の温度を再び-78℃に下げ、0.0282molのホウ酸トリメチルを添加する。反応を室温に到達させ、18時間撹拌する。次いで、反応の温度を0℃に下げ、2M HCl溶液でクエンチする。有機相及び水性相を分離し、溶媒の減圧蒸発により生成物を回収する。続いて、不活性雰囲気下の反応容器に、250mLのトルエン中の0.00637molのジブロモピリジンリンカーリガンド(6,6’-ジブロモビピリジン又は2,9-ジブロモ-1,10-フェナントロリン)、0.0127molの先に合成された3,5-二置換-2-ヒドロキシ-フェニル)ボロン酸、30mLのMeOH、60mLの2M Na
2CO
3及び5mol%のPd(PPh
3)
4が投入される。混合物を不活性雰囲気下に72時間還流する。冷却した後、有機相及び水性相を分離し、有機溶媒を減圧下で除去して、所望のリガンドを得る。リガンドが形成された後、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのトルエン溶媒中の0.1molのリガンド(1.0M)が投入される。1当量のEt
2AlClを溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。溶液から沈殿した後に、生成物を濾過により回収する。カルボニル化触媒を形成するために、不活性雰囲気下の反応容器に、100mLのTHF溶媒中の0.1molの金属化リガンド(1.0M)が投入される。1当量のNaCo(CO)
4を溶液にゆっくり添加し、室温で終夜撹拌させておく。生成物を濾過して、NaCl副生成物を除去する。生成物は、貧溶媒ヘキサンの添加により触媒をTHF溶媒から沈殿させることにより回収され、その生成物は次いで濾過により回収される。
【0084】
列挙実施形態
以下の実施例は、本発明を例示するために記載されており、その範囲を限定するものではない。すべての部及び百分率は、別段の指示がない限り重量による。
【0085】
実施形態1.次式のうちの1つによる化合物。
【0086】
【化19】
(式中、
Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、
R
1は、各出現ごとに別々に水素、アリール又はアルキル基であり、
R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール又はアルコキシド基であり、
R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
PLは、極性リガンドの残基であり、
Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属である)。
【0087】
実施形態2.Rが、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R1が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R2が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R3が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
PLが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はそれらの組合せの残基であり、
Mが、各出現ごとに別々にアルミニウム又はクロムである、
実施形態1に記載の化合物。
【0088】
実施形態3.実施形態1又は2に記載の化合物を調製する方法であって、
次式
【0089】
【化20】
のうちの1つによる化合物とメタル化剤を接触させて、次式
【0090】
【化21】
による化合物のうちの1種を形成するステップ、及び
形成された化合物と金属カルボニルを、以下の化合物
【0091】
【化22】
のうちの1種が形成されるような条件下で接触させるステップ
を含み、
式中、
Rは、各出現ごとに別々に水素、アルキル又はアリール基であり、
R
1は、各出現ごとに別々に水素、アリール又はアルキル基であり、
R
2は、各出現ごとに別々にアルキル、アリール又はアルコキシド基であり、
R
3は、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R
4は、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンであり、
PLは、極性リガンドの残基であり、
Mは、各出現ごとに別々にルイス酸金属である、
方法。
【0092】
実施形態4.Rが、各出現ごとに別々にアルキル又はアリール基であり、
R1が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R2が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R3が、各出現ごとに別々にアルキル基であり、
R4が、各出現ごとに別々にアルキル基又はハロゲンであり、
PLが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はそれらの組合せの残基であり、
Mが、各出現ごとに別々にアルミニウム又はクロムである、
実施形態3に記載の方法。
【0093】
実施形態5.次式
【0094】
【化23】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されるような条件下で接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、
ハロゲン化フェノールとハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンを、アルキルリチウムの存在下でフェノール上のハロゲンをジ(アルキル又はアリール)ホスフェートで置き換える条件下で接触させて、ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成するステップ、及び
ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとジアミン、オルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンを臭素及びトリアルキルアミンの存在下で接触させて、式の化合物を形成するステップ
によって調製することを含む、実施形態3又は4に記載の方法。
【0095】
実施形態6.次式
【0096】
【化24】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
2位及び/又は4位が水素、アルキル又はアリール基で置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を、ハロゲン原子が6位の炭素原子に付加されるような条件下で接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、
形成されたハロゲン化フェノールとトリアルキルボレートをアルキルリチウム化合物の存在下で接触させて、ハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換えるステップ、及び
ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと窒素原子に隣接した炭素上にハロゲン基を有するビピリジン又はフェナントロリンをパラジウム触媒及びアルカリ金属炭酸塩の存在下で式の化合物のうちの1種を形成する条件下で接触させるステップ
によって調製することを含む、実施形態3又は4に記載の方法。
【0097】
実施形態7.次式
【0098】
【化25】
のうちの1つによる化合物のうちの1種を、
4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤及びハロゲン化シリルを、ハロゲン原子が芳香族環の2位及び6位の炭素原子に付加され、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、シリルエーテル基は4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップ、
形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物及びジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップ、及び
シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールと、o-フェニレンジアミン、エチレンジアミン又はシクロヘキサンジアミンのうちの1種を、任意選択的にルイス酸若しくはブレンステッド酸触媒及びアルカリ金属若しくはアンモニウム塩の存在下で接触させて、式のうちの1つに対応する化合物のうちの1種を形成するステップ
によって調製することを含む、実施形態3又は4に記載の方法。
【0099】
実施形態8.ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとジアミン、オルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンを臭素及びトリアルキルアミンの存在下で接触させて、式の化合物を形成するステップが、
ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールと臭素を接触させて、活性化ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールを形成するステップ、及び
活性化ジアルキル又はジアリールホスフェート置換フェノールとオルトフェニレンアミン又はオルトシクロヘキシルジアミンをトリアルキルアミンの存在下で接触させて、式の化合物を形成するステップ
を含む、実施形態5に記載の方法。
【0100】
実施形態9.ハロ-ジ(アリール又はアルキル)ホスフィンが、クロロ-ジ(アリール)ホスフィン、クロロ-ジ(アルキル)ホスフィン、クロロ-ジ(アルコキシド)ホスフィン又はいずれかの組合せの1種以上である、実施形態5又は8に記載の方法。
【0101】
実施形態10.トリアルキルアミンが、臭素酸を消費して、アンモニウム塩を形成するように構成されている、実施形態5又は8~9のいずれか一形態に記載の方法。
【0102】
実施形態11.トリアルキルアミンが、1つ以上のトリブチルアミンを含む、実施形態5又は8~10のいずれか一形態に記載の方法。
【0103】
実施形態12.形成されたハロゲン化フェノールとトリアルキルボレートをアルキルリチウム化合物の存在下で接触させて、ハロゲン原子をボロンジヒドロキシド基で置き換えるステップが、
ボロンジヒドロキシド基を含むフェノールと塩酸を接触させて、反応をクエンチするステップ
を含む、実施形態6に記載の方法。
【0104】
実施形態13.トリアルキルボレートが、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、実施形態6又は12に記載の方法。
【0105】
実施形態14.アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムを含む、実施形態6、12又は13のいずれか一形態に記載の方法。
【0106】
実施形態15.4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤及びハロゲン化シリルを、ハロゲン原子が芳香族環の2位及び6位の炭素原子に付加され、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップが、
任意選択的に置換されていてよいフェノールとハロゲン化剤を接触させて、ハロゲン化フェノールを形成するステップ、及び
ハロゲン化フェノールとハロゲン化シリルを、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、シリルエーテル基は4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップ
を含む、実施形態7に記載の方法。
【0107】
実施形態16.ハロゲン化フェノールとハロゲン化シリルを、1位のヒドロキシル基がシリルエーテル基に変換され、シリルエーテル基は4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいような条件下で接触させるステップが、
ハロゲン化フェノール及びハロゲン化シリルと第三級アミンを接触させて、いずれの酸副生成物も消費し、その結果シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位に有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールが形成されるステップ
を含む、実施形態7又は15に記載の方法。
【0108】
実施形態17.形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物を接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位を有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップが、
形成された2,6-ハロゲン化1-シリルエーテル置換ベンゼンとアルキルリチウム化合物を接触させて、シリルを2位又は6位に有するフェノールを形成するステップ、及び
シリルを2位又は6位に有するフェノールとジメチルホルムアミドを接触させて、シリル及びアセトアルデヒド基を2位及び6位を有し、4位が水素、アルキル又はアリール基で任意選択的に置換されていてよいフェノールを形成するステップ
を含む、実施形態7又は15~16のいずれか一形態に記載の方法。
【0109】
実施形態18.ハロゲン化シリルが、アリール基、アルキル基、又は両方の1つ以上で三置換されている、実施形態7又は15~17のいずれか一形態に記載の方法。
【0110】
実施形態19.ハロゲン化シリルが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらのいずれかの組合せの1つ以上を含む、実施形態7又は15~19のいずれか一形態に記載の方法。
【0111】
実施形態20.形成された化合物と金属カルボニルを、化合物のうちの1種が形成されるような条件下で接触させるステップが、
形成された化合物、金属カルボニル、又は両方と極性リガンドを接触させ、その結果その化合物のうちの1種が形成されるステップ
を含む、実施形態1~19のいずれか一形態に記載の方法。
【0112】
実施形態21.アルキルリチウム化合物が、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、実施形態1~20のいずれか一形態に記載の方法。
【0113】
実施形態22.ハロゲン化剤が、臭素、N-ブロモスクシンイミド、ジブロモイソシアヌル酸、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、実施形態1~21のいずれか一形態に記載の方法。
【0114】
実施形態23.金属カルボニルが、NaCo(CO)4、Co2(CO)8、HCo(CO)4、又はそれらのいずれかの組合せを含む、実施形態1~22のいずれか一形態に記載の方法。
【0115】
実施形態24.極性リガンドが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む、実施形態1~23のいずれか一形態に記載の方法。
【0116】
実施形態25.メタル化剤が、(Et)2AlCl、(Et)3Al、CrCl2、
又はそれらのいずれかの組合せの1種以上である、実施形態1~24のいずれか一形態に記載の方法。
【実施例】
【0117】
以下の実施例は、本発明を例示するために記載されており、その範囲を限定するものではない。すべての部及び百分率は、別段の指示がない限り重量による。
【0118】
NMR分析は、Bruker Advance III-HD分光計を400.3MHzで作動させて実施される。試験する前に、試料をTHF-d8に溶解する。
【0119】
再生触媒の触媒活性をトラッキングするインサイチューFTIR分析は、反応器の底に直接添付されたシリコーンチップ付きセンチネルを装備したMettler Toledo ReatIR 45mで実施される。
【0120】
図4は、は、ビピリジン又はフェナントロリンリガンドを含むルイス酸を有する単離されたカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、Et
2AlClで金属化され、NaCo(CO)
4と反応し、単離に成功した
tbudhbpy(H)
2リガンドに由来の所望の触媒を示す。入口の像は、Et
2AlClで金属化された
tbudhbpy(H)
2リガンドの芳香族領域を考慮して拡大してされる。
【0121】
図5は、ピリジン又はフェナントロリンリガンドを含むルイス酸を有するカルボニル化触媒によるβ-プロピオラクトン(BPL)形成のインサイチューモニタリングを示すReactIRスペクトルである。カルボニル化触媒は、BPL(上のライン)で良好な触媒活性を有し、エチレンオキシド(中間のライン)でいくらかの触媒活性を有し、無水コハク酸(下のライン)で最小活性を有することが示される。
【国際調査報告】