(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】蛍光イメージング用超小型レンズシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240315BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240315BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240315BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
A61B1/00 511
A61B1/00 731
G02B23/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561331
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 KR2022002245
(87)【国際公開番号】W WO2022215853
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0045060
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519361461
【氏名又は名称】オソン メディカル イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バン,ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンラグ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ビョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,キリ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウンジャン
【テーマコード(参考)】
2H040
2H087
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA00
2H040BA01
2H040CA23
2H040GA02
2H087KA10
2H087LA01
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB03
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
4C161CC06
4C161FF40
4C161QQ04
(57)【要約】
蛍光イメージング用超小型レンズシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第3のレンズとを含む。前記第1のレンズは、互いに対向する第1の面及び第2の面を含むメニスカス形状を有し、前記第1の面は、凹であり、前記第1の面及び前記第2の面は、非球面である。前記第2のレンズは、前記第1のレンズに隣接し、互いに対向する第3の面及び第4の面を含み、前記第3の面及び前記第4の面は、凸であり、非球面である。前記第3のレンズは、前記第2のレンズに隣接し、互いに対向する第5の面及び第6の面を含み、前記第5の面及び前記第6の面は、凹であり、非球面である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の面及び第2の面を含むメニスカス形状を有し、前記第1の面は、凹であり、前記第1の面及び前記第2の面は、非球面である第1のレンズと、
前記第1のレンズに隣接し、互いに対向する第3の面及び第4の面を含み、前記第3の面及び前記第4の面は、凸であり、非球面である第2のレンズと、
前記第2のレンズに隣接し、互いに対向する第5の面及び第6の面を含み、前記第5の面及び前記第6の面は、凹であり、非球面である第3のレンズとを含むことを特徴とするレンズシステム。
【請求項2】
前記第1のレンズは、負の屈折力を有し、
前記第2のレンズは、正の屈折力を有し、
前記第3のレンズは、負の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項3】
更に、前記第3のレンズに隣接し、互いに対向する第7の面及び第8の面を含むガラスと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズの間に第9の面を有する絞りとを含むことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項4】
前記第1のレンズの前記第1の面からガラスの外側に位置した像面までの距離をTTL、前記レンズシステムの焦点距離をFとすると、
【数1】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項5】
前記第1のレンズの前記第1の面の曲率半径をR1、前記第2の面の曲率半径をR2とすると、
【数2】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記第2のレンズの焦点距離をf2、前記レンズシステムの焦点距離をFとすると、
【数3】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項7】
前記第1のレンズのアッベ数をVd1、前記第3のレンズのアッベ数をVd3とすると、
【数4】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項8】
前記第2のレンズの焦点距離をf2、前記第3のレンズの焦点距離をf3とすると、
【数5】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項9】
前記非球面は、下記式6と定義され、
【数6】
ここで、zは、前記レンズシステムの頂点から光軸方向への距離、hは、前記光軸に垂直な方向への距離、cは、前記頂点での曲率半径、kは、円錐定数、Aは、4次非球面係数、Bは、6次非球面係数、Cは、8次非球面係数、Dは、10次非球面係数であることを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項10】
特定範囲の光源の波長だけが通過するように、前記第1の乃至第6の面のうち、少なくとも1つの面にコーティングが行われ、
前記コーティングされた面の接線角度は、±5°以下であることを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超小型レンズシステムに関し、より詳しくは、蛍光画像に基づく癌精密診断のための蛍光分子画像内視鏡に適用可能であり、さらには、使い捨て内視鏡及び光学画像診断機器などへの活用が可能な蛍光イメージング用超小型レンズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、特に、消化器癌の増加により、消化器疾患に対する精密診断が可能な内視鏡技術の開発が増加している傾向にある。
【0003】
一方、従来の一般内視鏡の場合、組織の形態学的観察にのみ依存しているため、精密診断が必要な場合、組織検査が伴わなければならないが、このような組織検査で疑われる部位の他、周辺部位まで組織を生検しなければならないので、不要な部位に対する損傷や出血を発生することになる。
【0004】
このような従来の内視鏡が有する問題を解決するために、最近は、内視鏡観察に際して、組織の病変を直接診断することができる様々な光学的な接近技術が開発されており、大韓民国登録特許第10-1889914号でのように、内視鏡に超小型カメラモジュールを結合することで、前記のような光学的診断が可能なシステムが代表的である。
【0005】
但し、このような光学モジュールが結合された内視鏡装置の場合、光学レンズの性能が最も重要であるが、これは、光学レンズの性能によって、病変診断の能力が決まるためである。
【0006】
特に、このような光学レンズの性能を向上するためには、光学系のF値と焦点距離を適切に調節し、解像力が十分考慮された設計が必要であり、さらには、光学レンズのコーティング方法や、光学フィルタの選定及び組立方法などが最適に選択されなければならない。
【0007】
しかし、現在まで、このような最適化した光学レンズの設計に関する技術が開発されていない実情である。
【0008】
これに関する先行技術文献としては、大韓民国登録特許第10-1889914号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このようなことで着眼されたものであって、本発明の目的は、光損失を最小化し、且つ、低価の内視鏡システムの提供が可能であり、高い解像力を基に、蛍光画像に基づく癌精密診断を行うことができる蛍光イメージング用超小型レンズシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記本発明の目的を実現するための一実施形態に係るレンズシステムは、第1のレンズと、第2のレンズと、第3のレンズとを含む。前記第1のレンズは、互いに対向する第1の面及び第2の面を含むメニスカス形状を有し、前記第1の面は、凹であり、前記第1の面及び前記第2の面は、非球面である。前記第2のレンズは、前記第1のレンズに隣接し、互いに対向する第3の面及び第4の面を含み、前記第3の面及び前記第4の面は、凸であり、非球面である。前記第3のレンズは、前記第2のレンズに隣接し、互いに対向する第5の面及び第6の面を含み、前記第5の面及び前記第6の面は、凹であり、非球面である。
【0011】
前記第1のレンズは、負の屈折力を有し、前記第2のレンズは、正の屈折力を有し、前記第3のレンズは、負の屈折力を有する。
【0012】
更に、前記第3のレンズに隣接し、互いに対向する第7の面及び第8の面を含むガラスと、前記第1のレンズと前記第2のレンズの間に第9の面を有する絞りとを含む。
【0013】
前記第1のレンズの前記第1の面からガラスの外側に位置した像面までの距離をTTL、前記レンズシステムの焦点距離をFとすると、
【0014】
【0015】
を満たす。
【0016】
前記第1のレンズの前記第1の面の曲率半径をR1、前記第2の面の曲率半径をR2とすると、
【0017】
【0018】
を満たす。
【0019】
前記第2のレンズの焦点距離をf2、前記レンズシステムの焦点距離をFとすると、
【0020】
【0021】
を満たす。
【0022】
前記第1のレンズのアッベ数をVd1、前記第3のレンズのアッベ数をVd3とすると、
【0023】
【0024】
を満たす。
【0025】
前記第2のレンズの焦点距離をf2、前記第3のレンズの焦点距離をf3とすると、
【0026】
【0027】
を満たす。
【0028】
前記非球面は、下記式6と定義され、
【0029】
【0030】
ここで、zは、前記レンズシステムの頂点から光軸方向への距離、hは、前記光軸に垂直な方向への距離、cは、前記頂点での曲率半径、kは、円錐定数、Aは、4次非球面係数、Bは、6次非球面係数、Cは、8次非球面係数、Dは、10次非球面係数である。
【0031】
特定範囲の光源の波長だけが通過するように、前記第1の乃至第6の面のうち、少なくとも1つの面にコーティングが行われ、前記コーティングされた面の接線角度は、±5°以下である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、蛍光イメージング用超小型レンズシステムが、3つのレンズが一列に配列されるように構成し、それぞれのレンズの形状、構造、及び設計を前記のように設計して、バンドパスフィルタコーティングが可能な屈折面を少なくとも一面に有し、使用する造影剤の特性によって、コーティングが適用可能であって、コンパクトな光学系構成が可能であり、光学系の製造コストを減らすことができる。
【0033】
また、コーティングが可能な屈折面に対して、1つの造影剤だけではなく、2つ以上の造影剤の特性に合わせて、マルチコーティングが可能であって、蛍光画像取得の使用範囲を拡大することができる。
【0034】
すなわち、屈折面の少なくとも1つに、特定範囲の光源の波長だけが通過するようにコーティングが行われ、この場合、コーティングされた面の接線角度が±5°以下を維持することで、入射光に対する波長別透過率特性を一定の水準以上確保することができる。
【0035】
特に、3つのレンズを用いて、画角100°以上の広角画像を提供して、生体内の相対的に広い領域に対する蛍光画像の取得が可能であり、非球面が含まれた光学系にもかかわらず、変曲点を最小化し、生産容易性を考えてレンズ形状を設計することで、製作コストを減らし、蛍光分子画像内視鏡だけではなく、使い捨て内視鏡及び光学画像診断機器などにも効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る蛍光イメージング用超小型レンズシステムを示す模式図である。
【0037】
【
図2】
図2は、
図1におけるレンズシステムの縦方向球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示すグラフである。
【0038】
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態による蛍光イメージング用超小型レンズシステムを示す模式図である。
【0039】
【
図4】
図4は、
図3におけるレンズシステムの縦方向球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示す模式図である。
【0040】
【
図5】
図5は、
図1又は
図3のレンズシステムにおいて、接線角度が±5°を超えない屈折面に対するFITC(fluorescein isothio-cyanate)造影剤の放射(emission)波長領域のコーティングシミュレーション結果を示すグラフである。
【0041】
【
図6】
図6は、
図1又は
図3のレンズシステムにおいて、接線角度が±5°を超えない屈折面に対するICG(indocyanine green)造影剤の放射波長領域のコーティングシミュレーション結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
<符号の説明>
【0043】
1、2: レンズシステム
10、11: 第1のレンズ
【0044】
20、21: 第2のレンズ
30、31: 第3のレンズ
【0045】
40、41: ガラス
50、51: 絞り
【0046】
60、61: 像面
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明を実施するための具体的な内容
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、実施形態を本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されるべきである。各図面を説明しながら、同様な参照符号を同様な構成要素に付している。第1、第2など用語は、様々な構成要素を説明することに用いられるが、前記構成要素は、前記用語に限定されてはいけない。
【0048】
前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。 本出願で使用した用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使用されており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なることを意図しない限り、複数の表現をも含む。
【0049】
本出願で、「含む」又は「からなる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又は、これらを組み合わせたことが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又は、これらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0050】
異なって定義されない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、一般的に理解されることと同一の意味を有している。一般に使用される辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解析されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解析されない。
【0051】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態に係る蛍光イメージング用超小型レンズシステムを示す模式図である。
図2は、
図1のレンズシステムの縦方向球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示すグラフである。
【0053】
図1に示しているように、本実施形態による蛍光イメージング用超小型レンズシステム1(以下、レンズシステムという)は、第1のレンズ10と、第2のレンズ20と、第3のレンズ30と、ガラス40と、絞り50とを含む。
【0054】
この場合、前記第1のレンズ10は、撮影の対象となる物体5に隣接して配置されることで、前記物体5から、前記第1のレンズ10、絞り50、第2のレンズ20、第3のレンズ30、及びガラス40の順に配置され、前記ガラス40の外側には、像面60が配置される。
【0055】
この場合、前記像面60は、前記ガラス40に隣接して配置される別の構造物の外面、又は、前記レンズシステム1の外側面と定義され、さらには、前記像面60は、CCD又はCMOSなどのイメージセンサに該当する。
【0056】
また、
図1では、前記レンズが左から右に配置されることを例示しているが、これは、例示的な配列に過ぎず、前記レンズは、下側から上側に配置可能であり、撮影の対象である物体5から一列に配置されると、様々な方向への配列が可能であることは自明である。
【0057】
より具体的に、前記第1のレンズ10は、所定の厚さで形成され、互いに対向する第1の面(S1)及び第2の面(S2)を含む。
【0058】
前記第1の面(S1)は、前記物体5に向かう方向に位置し、前記第2の面(S2)は、前記第1の面(S1)の反対方向に向かって位置する。
【0059】
この場合、前記第1の面(S1)及び前記第2の面(S2)は、非球面であり、前記第1の面(S1)は、凹に形成され、前記第2の面(S2)は、凸に形成される。
【0060】
すなわち、前記第1の面(S1)は、前記物体5に向かって凹に形成され、前記第2の面(S2)は、後述する前記絞り50に向かって、凸に形成される。
【0061】
かくして、前記第1のレンズ10は、全体として、メニスカス形状を有する。
【0062】
また、前記第1のレンズ10は、負の屈折力を有する。
【0063】
前記絞り50は、所定の絞り面(S9)を有し、前記第1のレンズ10と前記第2のレンズ20の間に配置される。
【0064】
前記第2のレンズ20は、前記絞り50を挟んで、前記第1のレンズ10に隣接して配置され、これにより、前記第1のレンズ10が、前記物体5と前記絞り50の間に位置することになる。
【0065】
前記第2のレンズ20は、所定の厚さで形成され、互いに対向する第3の面(S3)及び第4の面(S4)を含む。
【0066】
前記第3の面(S3)は、前記第1のレンズ10に向かう方向に位置し、前記第4の面(S4)は、前記第3の面(S3)の反対方向に向かって位置する。
【0067】
この場合、前記第3の面(S3)及び前記第4の面(S4)は、非球面、すなわち、球面の一部に該当せず、全て凸に形成される。
【0068】
すなわち、前記第3の面(S3)は、前記絞り50に向かって突出して形成され、前記第4の面(S4)は、外部、すなわち、後述する前記第3のレンズ30に向かって凸に形成される。
【0069】
また、前記第2のレンズ20は、正の屈折力を有する。
【0070】
一方、前記第3のレンズ30は、前記第2のレンズ20に隣接して配置され、これにより、前記第2のレンズ20が、前記絞り50と前記第3のレンズ30の間に位置することになる。
【0071】
前記第3のレンズ30は、所定の厚さで形成され、互いに対向する第5の面(S5)及び第6面(S6)を含む。
【0072】
前記第5の面(S5)は、前記第2のレンズ20に向かう方向に位置し、前記第6面(S6)は、前記第5の面(S5)の反対方向に向かって位置する。
【0073】
この場合、前記第5の面(S5)及び前記第6面(S6)も、非球面であり、凹に形成される。
【0074】
すなわち、前記第5の面(S5)は、前記第2のレンズ20に向かって凹に形成され、前記第6面(S6)は、外部、すなわち、後述する前記ガラス40に向かって凹に形成される。
【0075】
また、前記第3のレンズ30は、負の屈折力を有する。
【0076】
前記ガラス40は、前記第3のレンズ30と前記像面60の間に配置され、互いに対向する第7の面(S7)及び第8の面(S8)を含む。
【0077】
この場合、前記第7の面(S7)及び前記第8の面(S8)の断面の形状は、
図1に示しているように、凹又は凸形状を有することなく、互いに対向する2つの面は、平行に延在する。
【0078】
一方、本実施形態における前記レンズシステム1は、下記式1乃至式6を満たし、これにそれぞれの式の内容と意味について説明する。
【0079】
まず、前記レンズシステム1は、前記第1のレンズ10の第1の面(S1)から、前記ガラス40の外側に位置する像面60までの距離をTTL、前記レンズシステム1全体の焦点距離をFとすると、下記式(1)を満たす。
【0080】
【0081】
前記式1は、前記レンズシステム1の全体長さを定義しており、前記式1の下限値である3.5未満の場合、前記全体長さが短くなり、光学系をより小さいサイズに構成することはできるものの、レンズの公差管理及び製作性が顕著に低下する。
【0082】
また、前記像面60に入射される主光線角度が増加し、このように、前記主光線角度が増加することになると、周辺光量比に対する補正が難しく、前記像面60における中心に比して周辺部の明るさが減少することになる。
【0083】
一方、前記式1における上限値である5.0を超えると、前記レンズシステム1の全体長さが長くなるので、超小型光学系の構成が難しくなるという問題がある。
【0084】
これにより、前記式1の条件を満たすことが必要である。
【0085】
また、前記レンズシステム1は、前記第1のレンズ10の第1の面(S1)の曲率半径をR1、第2の面(S2)の曲率半径をR2とすると、下記式2を満たす。
【0086】
【0087】
前記式2は、前記第1のレンズ10の形状を定義しており、前記式2の下限値である0.45未満の場合、前記第1のレンズ10は、屈折能減少により収差補正が難しくなり、全体的な光学系の長さが増加する。
【0088】
これとは異なり、前記式2の上限値である0.6を超えると、前記第1のレンズ10は、広角画角を確保することに有利ではあるものの、前記第1の面(S1)の曲率が増加して、製作性が顕著に低下する。
【0089】
これにより、前記式2の条件を満たすことが必要である。
【0090】
また、前記レンズシステム1は、前記第2のレンズ20の焦点距離をf2、前記レンズシステム1の焦点距離をFとすると、下記式3を満たす。
【0091】
【0092】
前記式3は、前記第2のレンズ20の焦点距離及び形状を定義しており、前記式3の下限値である0.8未満の場合、前記第2のレンズ20の屈折力が増加して、小型化には有利であるものの、曲率の増加により、球面収差及びコマ収差が増加することになる。また、前記第2のレンズ20の製作及び公差管理が難しくなるという問題がある。
【0093】
一方、前記式3の上限値である1.0を超える場合、前記第2のレンズ20の焦点距離の増加による屈折力減少により、光学系の小型化に不利であり、各種収差の補正に限界があって、光学性能が低下する。
【0094】
これにより、前記式3の条件を満たすことが必要である。
【0095】
また、前記レンズシステム1は、前記第1のレンズ10のアッベ数をVd1、前記第3のレンズ30のアッベ数をVd3とすると、下記式4を満たす。
【0096】
【0097】
前記式4は、光学系の収差補正及び性能向上のためのものであり、前記第1のレンズ10は、前記第2のレンズ20と同一のアッベ数を有するガラス素材からなる。そこで、前記第1のレンズ10及び前記第2のレンズ20のアッベ数を、前記第3のレンズ30のアッベ数よりも大きく維持することで、色収差を減少させ、解像度を向上させ、小型化を具現することができる。
【0098】
これにより、前記式4の条件を満たすことが必要である。
【0099】
また、前記レンズシステム1は、前記第2のレンズ20の焦点距離をf2、前記第3のレンズ30の焦点距離をf3とすると、下記式5を満たす。
【0100】
【0101】
前記式5は、前記第2のレンズ20及び前記第3のレンズ30の焦点距離を満たす式であって、前記式5の下限値である0.4未満の場合、像面湾曲補正が難しくなり、光学系の全体的な性能が低下する。
【0102】
また、前記式5の上限値である0.65を超える場合、像面60に入射する主光線角度が増加し、周辺光量比が減少する。また、像面湾曲及び性能補正は有利であるものの、前記第2のレンズ20の製作性が低下し、前記第2のレンズ20及び前記第3のレンズ30の公差管理が難しくなるという問題を引き起こす。
【0103】
これにより、前記式5の条件を満たすことが必要である。
【0104】
さらには、前記レンズシステム1が含む前記第1のレンズ10の前記第1の面(S1)及び前記第2の面(S2)は、非球面であり、前記第2のレンズ20の前記第3の面(S3)及び前記第4の面(S4)も非球面であり、前記第3のレンズ30の前記第5の面(S5)及び前記第6の面(S6)も非球面役であることは、前述した通りである。
【0105】
この場合、前記非球面は、下記式6と定義される。
【0106】
【0107】
ここで、zは、前記レンズシステム1の頂点から光軸方向への距離、hは、前記光軸に垂直な方向への距離、cは、前記頂点での曲率半径、kは、円錐定数、Aは、4次非球面係数、Bは、6次非球面係数、Cは、8次非球面係数、Dは、10次非球面係数である。
【0108】
一方、前記
図1のレンズシステム1を実際設計した例として、前記条件式である式1至式6を満たすレンズシステムの設計値は、下記表1及び表2の通りであり、下記表1及び表2により設計された前記レンズシステム1が有する縦方向球面収差(longitudinal spherical aberration)、非点収差(astigmatism)、及び歪曲収差(distortion)は、
図2に示した通りである。
【0109】
この場合、下記表1及び表2により例示的に設計される前記レンズシステム1において、F値(絞り値)は4であり、画角(FOV)は100°、前記レンズシステム1全体の有効焦点距離(EFL)は、0.615mm、前記第1のレンズ10の焦点距離(f1)は、-1.832mm、前記第2のレンズ20の焦点距離(f2)は、0.571mm、前記第3のレンズ30の焦点距離(f3)は、-1.241mm、前記第1のレンズ10の第1の面(S1)から前記像面60までの距離(TTL)は、2.553mmである。
【0110】
一方、前記
図2における前記縦方向球面収差及び非点収差はそれぞれ、656.27nm、546.07nm、486.13nmの波長を有する光について示しており、前記非点収差及び歪曲収差は、546.07nmの波長を有する光について示している。
【0111】
以上のように、前記条件式である式1乃至式6を満たすレンズシステム1を、下記表1及び表2のように設計することができ、これにより、蛍光イメージング用超小型レンズシステムを具現することができる。
【0112】
【0113】
【0114】
図3は、本発明の他の実施形態による蛍光イメージング用超小型レンズシステムを示す模式図である。
図4は、
図3におけるレンズシステムの縦方向球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示す模式図である。
【0115】
本実施形態における前記レンズシステム2は、
図1で説明した前記レンズシステム1と同様な構成を含むので、前記レンズシステム2の構成について重複する説明は、省略する。
【0116】
すなわち、
図3に示しているように、本実施形態における前記レンズシステム2が含む第1のレンズ11、第2のレンズ21、第3のレンズ31、ガラス41、絞り51、及び像面61は、
図1のレンズシステム1における前記第1のレンズ10、第2のレンズ20、第3のレンズ30、ガラス40、絞り50、及び像面60と実質的に同一である。
【0117】
これにより、前記レンズシステム2も、前記式1乃至式6で説明した条件式を同じく満たす。
【0118】
但し、前記レンズシステム2は、下記表3及び表4と同じ設計で変形設計可能であり、このように設計された前記レンズシステム2は、前記条件式である式1乃至式6を満たす。
【0119】
また、下記表3及び表4により設計された前記レンズシステム2が有する縦方向球面収差、非点収差、及び歪曲収差は、
図4に示した通りである。
【0120】
この場合、下記表3及び表4により例示的に設計される前記レンズシステム2において、F値(絞り値)は4であり、画角(FOV)は、100°、前記レンズシステム2全体の有効焦点距離(EFL)は、0.603mm、前記第1のレンズ11の焦点距離(f1)は、-2.007mm、前記第2のレンズ21の焦点距離(f2)は、0.503mm、前記第3のレンズ31の焦点距離(f3)は、-0.850mm、前記第1のレンズ11の第1の面(S1)から前記像面61までの距離(TTL)は、2.503mmである。
【0121】
一方、前記
図4における前記縦方向球面収差及び非点収差はそれぞれ、656.27nm、546.07nm、486.13nmの波長を有する光について示しており、前記非点収差及び歪曲収差は、546.07nmの波長を有する光について示している。
【0122】
【0123】
以上のように、前記条件式である式1乃至式6を満たすレンズシステム2を、前記表3及び表4のように設計することができ、これにより、内視鏡用超小型広角レンズシステムを具現することができる。
【0124】
【0125】
さらには、
図1及び
図3を参照して説明した前記レンズシステム1、2の実際設計値は、下記表5でのように、前記式1及び式5を全て満たす。
【0126】
【0127】
この場合、下記表1乃至表5により示された前記レンズシステム1、2、及び前記
図2及び
図4により確認される設計数値は、一例に過ぎず、様々に前記式1乃至式6を満たす範囲で、様々に設計できることは、自明である。
【0128】
一方、本実施形態による前記レンズシステム1、2の場合、前記第1乃至第3のレンズのそれぞれの第1乃至第8の面、すなわち、屈折面のそれぞれに特定範囲の光源の波長だけが通過するように、コーティングが行われることができる。
【0129】
この場合、コーティングが行われる屈折面は、それぞれのレンズシステム1、2において、前記第1乃至第8の面のうち、少なくとも1つの面に行われ、このように、屈折面にコーティングが行われることによって、特定範囲の光源の波長だけが通過するように、すなわち、バンドパスフィルタ(band pass filter)としての機能を行うことができる。
【0130】
但し、このように屈折面に対するコーティングが行われる場合、前記コーティングされた面の接線角度は、±5°以下を満たすべきである。この場合、接線角度とは、前記レンズシステム1、2が構成する光学系の光軸に垂直な平面に対して、レンズ面の高さによる接点での勾配と定義される。
【0131】
以上のように、屈折面に対するコーティングを、前記接線角度の条件を満たして行われることによって、前記レンズシステム1、2によっては、特定範囲の光源の波長だけが通過することになる。
【0132】
図5は、
図1又は
図3のレンズシステムにおいて、接線角度が±5°を超えない屈折面に対するFITC(fluorescein isothio-cyanate)造影剤の放射波長領域のコーティングシミュレーション結果を示すグラフである。
【0133】
すなわち、前記レンズシステム1、2において、屈折面に対するコーティングを行って、FITC(fluorescein isothio-cyanate)造影剤の放射波長領域範囲を、特定領域に制限することができる。
【0134】
例えば、
図5でのように、前記レンズシステム1、2が、FITC造影剤の放射波長領域範囲を制限する場合、遮断範囲(blocking range)は、400nm乃至490nm、570nm乃至700nmであり、中心波長、すなわち、バンドパスフィルタの最大透過率は、530nmであり、帯域幅、すなわち、波長範囲は、約50nmであることと確認される。
【0135】
図6は、
図1又は
図3のレンズシステムにおいて、接線角度が±5°を超えない屈折面に対するICG(indocyanine green)造影剤の放射波長領域のコーティングシミュレーション結果を示すグラフである。
【0136】
同様に、前記レンズシステム1、2で屈折面に対するコーティングを行って、ICG(indocyanine green)造影剤の放射波長領域範囲を、特定領域に制限することができる。
【0137】
例えば、
図6でのように、前記レンズシステム1、2が、ICG造影剤の放射波長領域範囲を制限する場合、遮断範囲は、350nm乃至790nm、880nm乃至1050nmであり、中心波長、すなわち、バンドパスフィルタの最大透過率は、832nmであり、帯域幅、すなわち、波長範囲は、約50nmであることと確認される。
【0138】
以上のように、前記レンズシステム1、2は、屈折面に対するコーティングを行うことで、特定領域の波長だけが通過可能なバンドパスフィルタとしての機能を行うことができる。
【0139】
前記のような本発明の実施形態によると、蛍光イメージング用超小型レンズシステムが、3つのレンズが一列に配列されるように構成し、それぞれのレンズの形状、構造、及び設計を前記のように設計して、バンドパスフィルタコーティングが可能な屈折面を少なくとも一面に有し、使用する造影剤の特性によって、コーティングが適用され、コンパクトな光学系構成が可能で、光学系の製造コストを減らすことができる。
【0140】
また、コーティングが可能な屈折面に対して、1つの造影剤だけではなく、2つ以上の造影剤特性に合うように、マルチコーティングが可能であって、蛍光画像取得の使用範囲を拡大することができる。
【0141】
すなわち、屈折面の少なくとも1つに特定範囲の光源の波長だけが通過するようにコーティングが行われ、この場合、コーティングされた面の接線角度が±5°以下を維持することで、入射光に対する波長別透過率特性を一定の水準以上確保することができる。
【0142】
特に、3つのレンズを用いて、画角100°以上の広角画像を提供して、生体内の相対的に広い領域に対する蛍光画像の取得が可能であり、非球面が含まれた光学系にもかかわらず、変曲点を最小化し、生産容易性を考えてレンズ形状を設計することで、製作コストを減らして、蛍光分子画像内視鏡だけではなく、使い捨て内視鏡及び光学画像診断機器などにも効果的に適用可能である。
【0143】
前記では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。
【国際調査報告】