(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】トグル型縫合糸アンカーのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561784
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022023879
(87)【国際公開番号】W WO2022216960
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374150
【氏名又は名称】インテグリティ オーソピーディクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTEGRITY ORTHOPAEDICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ハワード ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ゼンズ-オルソン、ザック
(72)【発明者】
【氏名】ウェストリング、トーマス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】クロンプトン、デイビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラッベ、マルク
(72)【発明者】
【氏名】コナー、パトリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン トラン、ナサニエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
4C160LL59
(57)【要約】
トグル型縫合糸アンカーのシステムが開示される。複数の縫合糸アンカーは、単一の作業縫合糸によって直列に接続され、縫合糸アンカーの各々は、それ自体と連続する糸内に埋め込まれた前のアンカーとの間で作業縫合糸に張力がかかることを可能にする。さらに、各アンカーは、張力をかけた後に作業縫合糸を定位置に係止するためのループ型ロック機構を含む。これにより、埋め込まれた各縫合糸アンカーと直前に埋め込まれたアンカーとの間に独立して張力がかけられる縫合糸ステッチが形成される。全体として、埋め込まれたシステムは、骨への軟組織のより強固な固定のためのステッチの線または領域を形成するために高密度で互いに近接して配置することができる、単一のアンカーからアンカーへのステッチの連続的なアレイを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の作業縫合糸によって直列に接続されたトグル型縫合糸アンカーのシステムであって、
複数のトグル本体であって、各トグル本体は、近位端と、遠位端と、上面と、底面と、近位孔と、遠位孔とを有し、各孔は、前記上面から前記底面まで延びるとともに、前記トグル本体に沿って間隔を空けて配置されている、複数のトグル本体と、
前記複数のトグル本体を直列に接続する単一の作業縫合糸であって、前記単一の作業縫合糸は、前記上面から前記近位通路に入り、前記底面から出て、次いで前記底面から前記遠位通路を通って上方へ戻り、各トグル本体の前記上面から出るとともに、各トグル本体の前記底面に隣接して所定の長さの縫合糸が延びている、単一の作業縫合糸と、
少なくとも1つのトグル本体のための少なくとも1つの独立した縫合糸ロックであって、前記縫合糸ロックは、係止ループと、前記係止ループから延びる自由端とを有し、前記係止ループは、前記少なくとも1つのトグル本体の前記底面に隣接して前記単一の作業縫合糸の前記長さの一部を取り囲み、前記係止ループは、前記作業縫合糸が前記係止ループを通って摺動することを可能にする開位置と、前記作業縫合糸に係合して前記係止ループ内での前記作業縫合糸の摺動を防止する閉位置とを有し、前記縫合糸ロックは、前記自由端にかけられる張力に応答して前記係止ループを前記開位置から前記閉位置に移行させるように構成される、縫合糸ロックと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数のトグル本体は、少なくとも4つのトグル本体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、
前記少なくとも1つのトグル本体は、前記上面から前記底面まで延びる前記トグル本体を貫通する中間孔をさらに含み、前記中間孔は、前記近位孔と前記遠位孔との間に位置し、
前記少なくとも1つのトグル本体のための前記縫合糸ロックは、前記自由端が前記上面にて前記中間孔から外に延びるように、かつ前記係止ループが前記底面にて前記中間孔から外に延びるように、前記中間孔に対して位置決めされている、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
各トグル本体内の前記中間孔は、プラットフォームによって分割された上部および下部を有し、
各縫合糸ロックは、前記係止ループを少なくとも部分的に画定する摺動可能な結び目を含み、
各縫合糸ロックは、前記プラットフォームが前記摺動可能な結び目が前記底面から出ることを防止するように、前記中間孔に対して位置決めされる、システム。
【請求項5】
前記係止ループは第1および第2の脚部を有し、前記中間孔の前記下部は、前記係止ループの両方の脚部が横に並んで通過して前記底面から出ることを可能にするための楕円形を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記摺動可能な結び目は、前記係止ループを画定し、前記縫合糸ロックの前記自由端に張力がかけられることにより、前記係止ループを前記閉位置に配置するように前記摺動可能な結び目が移動する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記摺動可能な結び目は、少なくとも4連単結び目である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のトグル本体の各々のための縫合糸ロックを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステムであって、
前記複数のトグル本体は、第1のトグル本体と、少なくとも1つの追加のトグル本体とを含み、
前記第1のトグル本体には縫合糸ロックが設けられておらず、
前記単一の作業縫合糸は、前記第1のトグル本体に固定され、
各追加のトグル本体に対して縫合糸ロックが提供される、システム。
【請求項10】
各トグル本体は、前記近位通路の近位で前記トグル本体から近位および半径方向外向きの両方に延びる一対のフィンをさらに含み、各フィンの少なくとも一部は、前記トグル本体の最大横方向寸法を超えてさらに半径方向に延びている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
各縫合糸ロックの自由端は、前記係止ループを前記閉位置に配置するために前記自由端に張力がかけられた後に前記自由端の破断を可能にするための優先脆弱点を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
各トグル本体の前記遠位端は、各トグル本体の前記上面が各トグル本体の前記底面よりも長くなるようなものである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
各トグル本体は、約3mm未満の最大横方向寸法を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
各トグル本体は、約6mm乃至約10mmの範囲内の長さを有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記単一の作業縫合糸は、前記係止ループが使用中に締め付けられたときに少なくとも約25%減少する圧縮可能な断面積を有する編組マルチストランド縫合糸である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
各トグル本体の前記上面および前記底面は、略平坦であり、各トグル本体は、前記上面と前記底面とを接続する丸みを帯びた側面をさらに含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
各トグル本体の前記底面は、張力が前記単一の作業縫合糸にかけられるときに前記単一の作業縫合糸が通過するチャネルをさらに含み、チャネルは、張力がかけられたときに前記単一の作業縫合糸の動きを防止するための摩擦を提供する、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
人体全体にわたって、肩などの機能関節における運動の不可欠な要素として、腱および靭帯などの軟組織が骨へ多数付着している。肩関節は、関節を安定させるとともに所望の運動を引き起こす、被膜を形成する筋肉および腱の組み合わせである回旋筋腱板とともに機能する関節窩の窪みと接触する上腕骨の上腕骨頭を含む。回旋筋腱板筋の腱と上腕頭との間の接続の損傷、通常は腱の断裂が一般的である。これらの断裂は自己治癒しない。米国では、年間400万人を超える人々が肩痛のために外科医に紹介されており、これらの紹介のうち50万人を超える人が、回旋腱板を修復するための肩手術を受けていると推定される。
【0002】
有効な回旋筋腱板修復の必要性に応える骨および組織アンカーデバイスおよび方法を開発するために、過去30年にわたって多大な努力が費やされてきた。初期の方法およびデバイスは、4乃至6cmの大きな切開および三角筋の切断、次いで回旋筋腱板修復後の再付着を必要する切開手術技法を利用した。この方法は、高い成功率に起因して一部の外科医によって大きな断裂に対して今日でも依然として使用されているが、この手順は、三角筋機能不全、回復中の著しい疼痛、および長期間のリハビリ時間を伴う。切開手術の侵襲性および結果として生じるリハビリ時間に起因して、「ミニオープン」手順および関連デバイスが1990年代初期に開発された。この場合、外科医は、部分的関節鏡技術を使用した後、三角筋線維の切開および分割を使用して、修復のために回旋筋腱板腱にアクセスする。1990年代後半までに、全関節鏡視下手術を使用して、骨への回旋筋腱板腱付着の修復を完了するためのデバイスおよび器具がさらに開発された結果、外傷および回復時間がさらに短縮された。
【0003】
上腕頭への回旋筋腱板腱付着の関節鏡視下修復は、今日使用されている最も一般的な技術である。しかしながら、これらの全関節鏡視下手術は、実行して様々な結果を達成することが非常に困難であると認識されている。利用可能な技術を有する外科医の技能は、手術の成功に関連する既知の要因である。過去20年間の全ての関節鏡検査技術の進歩および経験をもってしても、全体的な平均回旋筋腱板修復失敗率が20%乃至40%であって、個々の研究においては4%乃至90%の非常にばらつきのある範囲であることを示す研究によって証明されるように、欠陥は存続している。研究結果は、失敗率が、大きなまたは大規模な腱断裂に対してはるかに高く、外科医毎、ならびに種々の患者因子、使用される機器、および完了される修復のタイプに関して、失敗率に大きな変動があることを示す。
【0004】
関節鏡視下回旋筋腱板修復不全(すなわち、「回旋筋腱板の再断裂」)の高い発生率の理由に関して、専門家の間で大きな論争がある。しかしながら、研究は、患者の可動性の欠如、機能障害、疼痛の増加、および/または付随する疼痛およびリハビリテーションを伴う後続のより侵襲性の手術の必要性の影響を回避すべく、関節鏡視下回旋筋腱板修復の失敗率を減少させる必要性があることを明確に示している。特に、ある程度の天然腱または修復腱不全を有するが、最初のまたは追加の手術もしくはリハビリテーションを受けるのではなく「それと共に生きる」ことを選択することによって、生活の質に影響を及ぼし、使用しないことによる継続的な関節劣化を促進する患者には大きな懸念がある。
【0005】
骨から引き裂かれた腱の修復のために使用される基本的な1つ以上のデバイスは、機械的構造が骨へのアンカーを提供する1つ以上の縫合糸アンカーであり、1つ以上の縫合糸が軟組織または腱への取り付けのために縫合糸アンカーから延びる。多くのタイプのアンカー技術が提案されており、手術で使用されている。先行技術の特許文献を調べると、過去25年にわたって改善された特徴を有する縫合糸アンカー、骨アンカー、腱修復システム、送達デバイスおよび方法のための1000を超える設計が示されているが、修復失敗率は依然として許容できず、骨への腱の関節鏡視下再付着の分野において、特に回旋筋腱板修復においてさらなる改善の必要性が示されている。
【0006】
概要
本発明者らは、とりわけ、解決されるべき課題が、好ましくは平均10%未満の低い失敗率で、外科医、患者特性、および修復に使用されるシステム/方法毎に失敗率の変動がほとんどなく、回旋筋腱板修復などにおける腱または他の軟組織を骨に関節鏡視下で固定するための新規および/または代替のデバイスおよび方法の必要性であることを認識した。開示されるデバイス、システム、および方法は、各要素によって解決される課題の説明とともに、本開示における特許請求の範囲に記載される特定の構造または方法の説明が後に続く要約の形態に含まれている。
【0007】
本開示は、骨付着またはフットプリントから少なくとも部分的に引き剥がされた腱を再付着するための全体的なシステムを含む。システムは、骨から引き剥がされた回旋筋腱板の腱の修復に有用であるが、他の軟組織および腱修復手術に使用可能である。システムは、最も一般的な断裂した棘上筋腱などの断裂した腱を腕の上腕頭に再付着させることによる回旋筋腱板の修復に特に有用である。より大きな断裂では、棘下筋腱も断裂する可能性があるため、このシステムによる修復が適している。修復は解剖学的修復であり、システム、デバイス、および方法が、腱と骨との間の以前の自然な解剖学的関係に非常に近い修復された腱および骨の組み合わせをもたらして、治癒を促進し、治癒した修復に痛みのない完全な機能を提供することを意味する。また、現在説明されているシステムを使用する解剖学的修復は、治癒を補助するとともに、手術後の機能を改善するために局所滑液を利用して、腱を適所に封止することができる。また、システムは、必要に応じて、部分的断裂を補強するとともに、全層断裂の領域を越えた面積を確保するために使用されてもよい。さらに、埋め込まれたシステムは、手術直後の修復の頑強な機能に起因して、回復およびリハビリ時間を劇的に減少させることができ、スリングを使用して可動性を制限する時間が短くてすみ、早期の理学療法が手術前の可動性および治癒中の強度を維持することを可能にする。現在開示されているシステムでは、平均故障率を10%未満に低減しながら、スリングを使用する時間および完全回復時間を少なくとも50%低減することができると考えられる。
【0008】
上述したように、好ましい例では、例示的な回旋筋腱板修復は、修復された腱が、完全に機能的な関節における天然の腱と骨との関係をほぼ複製するかまたは近似するという点で、解剖学的修復である。例えば、腱/複数の腱は、それが断裂した骨上の元のフットプリントに実質的かつ完全に再付着する。元のフットプリント面積は、解剖学的構造を修復しながら、腱の骨への再付着を治癒する最も大きな可能性を提供する。元のフットプリントに実質的に再付着するとは、フットプリントに元々付着していた残りの断裂した腱表面の実質的な部分がフットプリントに再付着することを意味する。現在のシステムは、各アンカーを経腱的(transtendinous)または腱貫通的に留置することができるため、元の腱付着に近づけることが可能である。したがって、断裂から露出した骨にアンカーを挿入した後、縫合糸通し器(腱が定位置にないときに縫合糸を通す)を使用して、外科医が、腱がフットプリントまで引っ張られると考える位置に近似させる現在のシステムとは異なり、アンカーを設置するときに腱は希望の位置に保持される。さらに、解剖学的修復は、関節が動いている間であっても治癒が促進されるように、骨と腱との境界面における微動を低減する。最後に、多数のアンカーを近接または高密度に配列するために、インプラント縫合糸で閉塞されない上腕骨近位部の小孔を実質的により多く利用することにより、治癒のための血液へのアクセスが改善される。
【0009】
現在開示されているシステムを用いた新鮮な死体の研究において、修復された腱および骨の組み合わせは、再接着時に400ニュートン(N)以上の引張強度を示し、1サイクルあたり180Nのピーク荷重を修復された腱にかけるサイクルを行った場合、初期のサイクルクリープまたはギャップ形成は2ミリメートル(mm)未満であった。初期サイクルクリープは、腱が骨付着に対してどれだけ摺動または移動するかを測定するため、腱の骨に対する付着の剛性または堅牢性を測定する。初期サイクルクリープが低いと、治癒がより速くなり、スリング固定の必要性が少なくなる可能性がある。したがって、2mm未満、またはさらに1mm未満のクリープは、いくつかの例において好ましい結果である。言い換えれば、腱が、骨に対して圧縮された(すなわち、微動が低減された)状態で所定の位置に固定されたままである場合、腱が骨に対して前後に摺動することを含む状況と比較して、治癒プロセスはより迅速かつ予測可能に生じる。
【0010】
選択された実施形態では、解剖学的修復は、骨に対して腱上に一定の独立した力の多くの点を加える後続のアンカーまたは一連のアンカー縫合ステッチへのアンカーを作成するために、アンカー間に狭い間隔(縁から縁まで7mm未満、または孔中心から孔中心まで10mm未満)を伴う、(3mm未満の挿入のための骨孔サイズを必要とする)結び目のない小型アンカーの高密度アレイを必要とする。独立とは、縫合糸ステッチが壊れた場合に起きるように、1つの縫合糸ステッチが適切な力を加えることができなくなっても、他の縫合糸ステッチに影響を与えないことを意味する。当然、修復に利用されるアンカーの数は、断裂の大きさに依存する。
【0011】
回旋筋腱板断裂は、断裂の大きさ、および単列修復が完了したか複列修復が完了したかに基づいて4つのカテゴリーに分類されることが当技術分野で認識されている。小さな断裂は長さが1センチメートル(cm)未満であり、中程度の断裂は長さが1cm乃至3cmであり、大きな断裂は長さが3cm乃至5cmであり、大きな断裂は長さが5cmを超える。現在のデバイスでは、内側アンカーは骨を露出させる断裂領域に適合しなければならないので、外科医は、断裂のサイズによって利用可能な大きなアンカーに制限が課される。例えば、外科医は、小さな断裂に対して約1つの内側アンカーを使用し、中程度の断裂に対して1つまたは2つの内側アンカーを使用し、大きな断裂および大規模の断裂に対して2つまたは3つの内側アンカーを使用することができる。本出願の高いアンカー密度を用いた解剖学的修復では、外科医は、アンカーが腱を通して埋め込まれるため、断裂の大きさによって制限されず、小さな断裂に3つより多い内側アンカー、中程度の断裂に5つより多い内側アンカー、ならびに大きな断裂および大規模の断裂に6つより多い内側アンカーを使用することができる。これは、全層断裂の領域の外側にインプラントを留置して、部分層断裂の領域またはより脆弱な未断裂腱を補強することを含むことができる。さらに、本発明の縫合糸アンカーは、関節鏡視下で結び目を結ぶことの困難性に起因する結び目付き縫合糸アンカーにおいて見出された張力変動を排除しながら、埋め込みを促進し、外科医毎の再現性を最大化し、突出する結び目による肩の可動性を妨げないように、結び目のない張力付与および係止のために設計される。
【0012】
本開示の縫合糸アンカーは、バー又はトグル型のアンカーであり、骨取り付けのための基本構造は、約3mm未満の断面直径及び約6mm乃至約10mmの長さを有する薄い長尺状の及び/又は円筒形の本体である。所望に応じて、体内の他の用途において代替的なサイズを使用することができる。概して円筒形として説明されるが、円形送達管の中に留置される場合、特定の表面は、縫合糸ストランドがインプラントに沿って延びることを許容するように、平坦または溝付きに機械加工または成形され得ることが認識される。すなわち、本発明のアンカーは、円筒形ではなく、多角形、例えば六角形もしくは八角形、または他の断面形状であってもよい。アンカーは、以下の送達デバイスおよび方法に関して説明されるように、腱貫通的または経腱的インプラントである。経腱的であるため、断裂によって形成された孔内または腱フットプリントの外側など、腱が存在しない場所にのみアンカーを配置する必要がない。さらに、重要なことに、腱を通過する縫合糸が必要ない。
【0013】
今日使用されているアンカーを用いた経腱的埋め込みは、腱を損傷しながら、3mm乃至6mm径のアンカーを、錐で腱に形成された孔を通す作業を行うことを含む技術的課題を伴う。さらに、既知のより大きなアンカーのねじ山付きおよびフランジ付きタイプのアンカー保持部は、通過中に腱を損傷するであろう。
【0014】
トグル型アンカーでは、アンカーは、アンカーの軸方向外径よりもわずかに大きい骨の孔を通して挿入される。骨内で、アンカーは、トグル本体から延びる縫合糸に加えられる力がトグル本体の長さを上腕骨頭の皮質シェルの内面または下側に対して引っ張るように、約90度であるが少なくとも60度トグル留めされる(反転または回転されるともいう)。トグル本体が皮質シェルに向かって回転または移動する程度は、骨の質によって、ならびに年齢、性別、骨の孔の位置、および裂傷による骨の劣化の程度などの個々の患者の特性によって影響を受ける。本発明のトグル本体は、対象となる骨の品質の範囲にわたって適切な引き抜き強度でトグルし、着座するように設計される。
【0015】
トグル本体は、トグル本体を通して形成された少なくとも1つの通路を通過する、本明細書で作業縫合糸と称される、単一の縫合糸線と併せて機能する。通路の数は、作業縫合糸が通路に通されて所望の引張および係止機能を提供する方法と同様に、トグル本体の設計において変更され得る。いくつかの実施形態では、トグル本体は、長手方向軸に略垂直にトグル本体を貫通する3つの孔を含む。この実施形態では、作業縫合糸は、近位孔の上部を通過して底部から出た後、遠位孔の底部を通って上方へ戻り、上部から出る。作業縫合糸は、トグル本体の上部から外に延びるいずれかの作業縫合糸脚部を十分な力で引っ張ることによって、2つの孔を通して位置付けられるようにフロッシング可能(flossable)または摺動可能である。トグル本体の底面上では、ある長さの作業縫合糸が中間孔を通って長手方向に延びる。縫合糸または糸もしくは他の可撓性コードの別個の片を含むとともに中心孔を通って延びる縫合糸ロックは、調節可能もしくは圧潰可能なループまたはスライド可能な結び目を有し、ループが収縮することを許容し、中間孔を通過する際に作業縫合糸の一部の周囲に延びる。縫合糸ロックコードの他端は、中心孔の上部から延びている。縫合糸ロックの上端または近位端が引っ張られると、調節可能ループは、作業縫合糸に対してきつく結ばれてつぶれ、作業縫合糸の少なくとも一部を中心孔の中に引き込んで、作業縫合糸上に係止を形成することができるため、作業縫合糸は、摺動することができず、埋め込まれたときに全荷重下で摺動しない。
【0016】
いくつかの実施形態では、縫合糸ロックの締め付けは、作業縫合糸の小部分をアンカー内の中間孔の底部のスロットまたはチャネルの中に引き込む。作業縫合糸は、縫合糸が適切に引っ張られると、健全な係止を提供し、アンカーに対する作業縫合糸の摺動を防止する蛇行経路内に挟まれる。ロックの強度は、アンカーが皮質シェルに対して引っ張られるときに、作業縫合糸が、トグル本体に対する摩擦および縫合糸ロックによって加えられる摩擦を増大させるいくつかの約90度のターンを通過するときに、作業縫合糸がたどる全体的な蛇行経路によって高められる。
【0017】
個々のアンカーのそれぞれは、上腕骨頭の皮質シェルを貫通して穿孔された孔内の腱を通して適切に埋め込まれることを確実にする特徴を含む。アンカーは、この孔を通して長さ方向にスポンジ状または網状の骨に挿入される。インプラントは、インプラントの近位端に形成された窪みと嵌合する骨パンチの先端によって押される。嵌合面の窪みは、アンカーとパンチとの間の接触を維持するのを助ける一方で、アンカーの中心軸がパンチの中心軸と位置合わせされる挿入構成から、アンカーの中心軸がパンチの中心軸と位置合わせされないインプラント構成への、アンカーの枢動、回転、またはトグルも可能にするように形成される。回転またはトグリングは、2つの部分を有し得る。パンチがアンカーを押すために使用されるときに前進する間に、アンカーが皮質シェルを越えて海綿骨内に通過するときの軸方向の最初の変化と、以下に記載されるような作業縫合糸を使用して適用される張力下での軸方向の第2の変化とである。海綿質骨は、多くの患者特異的因子に依存して、非常に軟質で多孔性の細胞構造から硬質の細胞構造まで、位置および患者によって特性が大きく異なる。本発明のアンカーに含まれる特徴は、皮質シェルおよび海綿骨の変化の範囲にわたって、骨内での適切なトグル留め保持を保証する。
【0018】
選択された実施形態では、インプラントは、好ましくは、上側が下側よりもさらに長手方向に突出した状態で遠位面上に鋭角を含む。このように挿入されると、より長い部分が海綿骨に係合し、アンカー挿入中に回転を開始する。作業縫合糸の遠位部分および近位部分の両方が骨孔を通って上に延びている状態で、遠位作業縫合糸を選択的に引っ張ることができ、これによりインプラント本体をさらに回転させる。いくつかの例では、回転は、骨孔の中心軸に対して最大で約90度の角度であってもよいが、回転の程度は本発明の概念に必要ではない。硬い海綿質では、近位部分が海綿質の硬い層によって堅く保持されるため、引っ張ることによってトグル本体が孔から後退して出て腱の下に位置するので、遠位縫合糸を引っ張ることによって回転が生じない場合があることが分かっている。これを防止するために、インプラントは、送達時に骨孔の断面寸法よりも大きい断面寸法で近位および半径方向に突出するフィンを近位部分上に含む。フィンのサイズは、アンカーの後退を防止するだけでなく、フィンは、突出して海綿骨に引っ掛かり、回転を助けるように配置される。いくつかの例では、フィンだけでは完全な引き抜き力に対応することができず、むしろ、トグルアンカーも同様に回転しなければならないため、アンカーを引っ張る力は、回転するトグル本体の側壁によって伝えられる。
【0019】
単一の作業縫合糸は、セットとして使用される複数のアンカーを通して事前に張られ、事前に張られた鎖において1つのアンカーから後続のアンカーまで延びる張力をかけられた縫合糸ステッチを有する埋め込まれたアレイを形成する。前述したように、各アンカーは、作業縫合糸に沿って移動するのに十分な力が加えられた状態で摺動可能またはフロッシング可能(flossable)である。各アンカーは、標準的な縫合糸ロックまたは固定された摺動不能な縫合糸接続を有することができる鎖内の第1のアンカーを除いて、上述のような縫合糸ロックを備える。アンカーの鎖は、いくつかの好ましい実施形態において、約8乃至12の範囲のアンカーを有し得る。
【0020】
アンカーの高密度アレイは、外科医の裁量で修復されるべき断裂に応じて、比較的直線または曲線であり得る鎖または列でのアンカーの埋め込みによって形成される。アレイ内の各アンカーの連続的な経腱的埋め込みのために設計される送達デバイスシステムも、本明細書に開示される。送達システムは、アレイの埋め込みのために手術部位で使用される送達ツール遠位部分と、ハンドルと、アンカーおよび関連する縫合糸および縫合糸ロックを管理するための特徴とを有する近位部分とを含む。送達ツールの遠位部分は、アンカー送達管を含み、このアンカー送達管は、アンカーならびに関連する作業縫合糸および縫合糸ロックの通過を可能にするようなサイズである。送達ツールは、アンカー送達管を通過するための大きさである骨パンチと共に使用される。送達ツールの近位部分は、医師が、作業縫合糸上に事前に張られたアンカーをアンカー送達管内に導入することを可能にするように構成される。送達ツールの近位部分は、事前に糸が張られたアンカーを個別に収容するいくつかのカートリッジを支えるマガジンを受容するためのプラットフォームを含んでもよい。マガジンは、一度に1つのカートリッジがマガジンから取り出されるとともに、送達ツール上のスロット内に配置されることを可能にするカートリッジエゼクタを含んでもよい。個々のアンカーをカートリッジからアンカー送出管の近位端にある内腔に移送するために、プランジャが使用される。
【0021】
使用において、医師は、アンカーの導入のために、送達ツールの遠位端を所望の位置に配置する。そのような配置は、医師が骨パンチを使用して所望の場所を探ることを可能にするように、送達ツールの遠位端を越えて延びる骨パンチを用いて行われてもよい。次いで、医師は、腱に対して送達ツールの遠位端を押し付け、骨パンチの近位端に対して叩くことなどによって力を加えて、腱を通る経路を形成した後、骨孔を形成する。アンカー送達管の遠位端(ナブと呼ばれる)は、骨パンチが叩かれるときに、腱を通って少なくとも部分的に骨孔内に前進し得る。
【0022】
次いで、骨パンチを後退させる一方で、腱を通して骨孔内への位置合わせを維持するために、ナブを所定の位置に保持する。骨パンチが後退した状態で、カートリッジは、カートリッジエゼクタを使用してマガジンから取り外されるとともに、送達ツールの近位部分上のスロットに移送され、アンカーをカートリッジからアンカー送達管腔内への前進のための位置に移動させるべく、プランジャを押し下げる。骨パンチを再び前進させ、今度はアンカーの近位端を押し付け、最終的にアンカーをアンカー送達管から骨孔内に排出する。骨パンチがアンカーをアンカー送達管に押し下げると、骨パンチの先端が窪みと係合する。アンカー送達管は、アンカーがアンカー送達管を通過するときにフィンを圧縮して外側寸法を小さくするように、アンカーに対してサイズ決めされてもよい。
【0023】
アンカーがアンカー送達管から出ると、フィンは完全に弛緩した状態の直径まで拡張し、アンカーが骨孔から後退する可能性を低減する。いくつかの実施例では、フィンの弛緩した状態の直径は、骨孔のサイズよりも大きい。骨パンチは、骨パンチの先端がナブを越えて延びるように前進して、アンカーを骨に押し込む。アンカーが骨の中に前進すると、角度の付いた遠位表面が最初に骨に入り、アンカーを回し始めるかまたはトグル留めし始める。窪みは、アンカーが骨パンチの遠位先端に対してトルクを与えることなく回転可能に構成され、アンカーが前進するにつれてトグルすることを可能にする。次に、骨パンチをアンカー送出管内に後退させ、作業用縫合糸を操作して、アンカーを骨表面に平行な位置にトグル留めさせ続けるのが好ましいが、完全なトグル留めでなくても、特に硬い骨では使用可能なアンカー位置が得られることがある。アンカーとアンカー送達管との間の干渉および/またはアンカーのトグル中の作業縫合糸への損傷を防止するために、アンカー送達管は、ナブが送達ツール内に位置するように後退させられ得る。加えて、アンカー送達管および/またはナブを後退させることにより、フロッシング張力(flossing tension)を低減させることができ、張力がかけられるまで作業縫合糸のフロッシングが可能となり、以前のアンカーに対して張力がかけられると、トグルがさらに支援される。
【0024】
この第1のアンカーのみにおいて、作業縫合糸は、アンカーをトグルするために作業縫合糸を使用する前に、ロッキング縫合糸を使用して所定の位置に係止され得る。または、所望であれば、第2のアンカーが埋め込まれるまでアンカー間ステッチが形成され得ないため、第1のアンカーの埋め込みを開始する前でさえ、作業縫合糸は、ロッキング縫合糸を使用して所定の位置に係止され得る。いくつかの実施例では、第1のアンカーは、作業縫合糸に固定されてもよく、ロッキング縫合糸は、第1のアンカーのために省略されてもよい。第1のアンカーが骨内の十分な強度のある材料に設置されると(骨は、より硬い海綿骨であってもよいし、皮質シェルの下面に当接していてもよい)、送達デバイスは、手術の開始時と同じようにパンチピンを部分的に伸ばした状態で設置され、次のアンカーの埋め込みのために移動され得る。
【0025】
第2および後続のアンカーでは、作業縫合糸の近位縫合糸部分および遠位縫合糸部分の両方が、送達デバイスを通って上方に延びる。アンカーの回転を引き起こすために引っ張られるのは作業縫合糸の遠位部分であり、その一方で、作業縫合糸がそのアンカーの両方の孔を通って摺動することも可能であるため、直前のアンカーの遠位孔まで延びる緩みが短縮される。いくつかの実施形態では、アンカーを回転させて骨孔内の適切な位置に固定するのを補助するために、作業縫合糸の近位部分に張力をかけることができることも認識される。アンカーをトグル留めした後に縫合糸を引っ張る間、引き抜きに対する反力を提供するために、送達ツールの外側管の遠位端が腱に押し付けられてもよい。これは、適切に張力をかけられた縫合糸ステッチが形成されるまで続けられ、その時点で、第2のまたは後続のアンカー上の縫合糸ロックが、個々の縫合糸ステッチにおける張力を維持するように作動する。ロッキング縫合糸近位延長部は、締め付け後に切断され得るか、または選択的に破断可能な縫合糸が使用され得、そのような破断可能部分は、摺動可能な結び目に近接してかつ近位側に位置付けられる。
【0026】
これは、上述したように、高密度アレイを形成するために埋め込まれる事前に糸が張られた鎖の所望の数のアンカーに対して繰り返される。理解され得るように、形成された縫合ステッチの数は、埋め込まれた鎖におけるアンカーの数から1を引いた数に等しい。さらに、ステッチの糸は、必要とされる堅牢な腱付着を形成するために、各ステッチが独立して張力をかけられて係止された状態で順次に連続している。ステッチの連続糸は、直線列、ジグザグ形状、弧などの所望の形状のステッチの列または鎖を形成することができる。列または鎖とは、縫合糸のステッチが、一連の埋め込まれたアンカーにおいて1つのアンカーから次のアンカーへと延びることを意味する。特に大きな断裂に対して、全体の修復アレイを共に形成する複数のアンカーアレイを埋め込むことによって、2つ以上の連続した一連のステッチを形成することができることが理解される。
【0027】
前述したように、縫合糸ステッチの端部間の距離(アンカー間の距離)は、クリープを低減すべく、骨に対して腱に一貫した力を提供するために、好ましくは、約7mm未満(孔の中心から孔の中心まで約10mm未満)である。埋め込まれたアンカーの1つの特に頑丈なアレイは、腱の力の長さまたは方向にほぼ垂直なステッチの列またはラインを形成するために、元の腱フットプリントの内側部分に埋め込まれた第1のアレイを含む。次に、少なくとも1つのアンカーが腱を貫通した状態で、第2のアレイを断裂の縁の近くに横方向に埋め込むことができ、少なくとも1つの他のアンカーが腱の縁の横方向に埋め込まれて、腱を骨に対して適切に再接近させる。横の列は、断裂の形状に基づいてジグザグパターンまたは他の適切なパターンで埋め込まれ得る。裂け目のサイズおよび位置に応じて、複数のパターンを利用することができる。
【0028】
上記の説明で明らかになるように、作業縫合糸および複数のロッキング縫合糸と組み合わせたアンカーの事前に張られたアレイは、アンカーおよびそれらの付随する縫合糸または縫合糸セクションを管理して、手順中に整然とした埋め込み、使用、および無菌状態を維持する構成要素を有する送達システムに対する強い必要性を生じる。さらに、小さなサイズのアンカーは、個々のアンカーのためのある種のホルダーまたはカートリッジを必要とする。本出願人らは、本明細書において、上述の送達デバイスと一体化する取り付け可能なマガジンおよびマルチカートリッジアセンブリを開示する。アセンブリは、所与のアレイ内の各アンカーのためのカートリッジを含み、個々のカートリッジは、アレイの完全性を維持するとともに、外科医がアレイ内の各アンカーに順次アクセスして使用可能にするように、カートリッジマガジン内に格納および管理される。
【0029】
アンカーの全体的な設計は、以下の特徴を含み得る。アンカーは、該アンカーがアンカー送達管およびナブを出るときにアンカーがトグルし始めることを促進するために、傾斜した先端面を有する遠位端を含んでもよい。アンカーは、底面及び上面を有し、底面は、傾斜した先端面のために上面よりも短い。アンカーは、挿入中に骨パンチの遠位先端を受容するための窪みまたはディンプルのいずれかの側に一対のフィンを有する近位端を含んでもよく、ディンプルは、骨パンチの遠位先端を緩く受容して、アンカーがアンカー送達管およびナブを出るときにアンカーがトグルし始めることを可能にする。フィンは、アンカー送達管内にある間に圧縮された後、アンカー送達管を出た後に開いて、アンカーがその最終位置にトグル留めされるときにアンカーの後退を妨げるように適合される。また、アンカーは、作業縫合糸を通すための近位孔および遠位孔と、係止ループまたはコードを通すことができる中間孔とを含む。中間孔は、係止クループの自由端が引っ張られるときに、係止クループが圧縮され得る表面を提供するプラットフォームを含んでもよく、係止ループが作業縫合糸を締め付けて固定することを可能にする。
【0030】
次に、作業縫合糸がアンカーの頂部から近位孔内に入り、底側から出て、次にアンカーの底側に沿って遠位孔まで通過するように、事前に糸が張られたアンカーを構成することができる。作業縫合糸は、遠位孔を通って上方に延びて上面から出てもよい。係止ループは、中間孔から延び、作業縫合糸を取り囲む。アンカーの事前に糸が張られたアレイは、単一の作業縫合糸に沿って配置された複数のアンカーを含むことができ、各アンカーはそれ自体の係止ループを有する。あるいは、アンカーの事前に糸が張られたアレイは、単一の作業縫合糸に永久的に固定された第1のアンカーと、単一の作業縫合糸に沿ってそれぞれ配置され、それ自体の係止ループをそれぞれ有する複数の追加のアンカーとを含むことができる。各係止ループは、いったん埋め込まれて張力をかけられると、アンカーの作業縫合糸をアンカーに係止するように張力がかけられ得る自由端を含んでもよい。
【0031】
以下は、いくつかの例示的かつ非限定的な例である。これらの例において識別される特定の特徴は、システム全体と併せて研究され得るものであり、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによってさらに理解され得る。
【0032】
例示的かつ非限定的な例は、連続したアンカーからアンカーに張力付与されかつ独立した係止された縫合糸ステッチを有する埋め込みアレイを形成するための予め糸通しされた直列接続された、縫合糸アンカーのシステムの形態をとり、前記システムは、少なくとも4つの長尺状のトグル本体であって、各トグル本体は、前記トグル本体を通る少なくとも第1および第2の孔を有し、各孔は前記トグル本体に沿って間隔を空けて位置されている、トグル本体と、前記少なくとも4つのトグル本体を直列接続する単一の連続する縫合糸であって、前記単一の連続する縫合糸は、前記第1の長手方向表面から前記第1の孔に入り、前記第2の長手方向表面から前記第1の孔から出て、次いで前記第2の長手方向表面から前記第2の孔を通って上方へ戻り、次のトグル本体に行く前に、前記第1の長手方向表面から前記第2の孔から出て、各トグル本体は、前記第1の孔と前記第2の孔との間で前記トグル本体の前記第2の長手方向表面に隣接して延びる所定の長さの前記単一の連続する縫合糸を有し、前記単一の連続する縫合糸は、力が加えられた場合に前記トグル本体の前記第1および第2の孔を通して摺動するように構成された、単一の連続する縫合糸と、各トグル本体のための個別の係止ループであって、前記第1の孔と前記第2の孔との間で前記トグル本体の前記第2の長手方向表面に隣接して延びる前記単一の連続する縫合糸の前記長さの一部を取り囲む前記個別の係止ループであって、各係止ループは、前記単一の連続する縫合糸が前記係止ループを通って摺動することを可能にする第1の位置と、前記単一の連続する縫合糸に係合して、張力付与後に前記単一の連続する縫合糸を各トグル本体にて係止すべく前記係止ループ内での摺動を防止する第2の位置との間で調節可能である係止ループと、を備える。
【0033】
追加的または代替的に、各トグル本体は、前記第1の長手方向表面から前記第2の長手方向表面まで前記トグル本体を通って延びる第3の孔をさらに備え、前記第3の孔は、前記第1の孔と前記第2の孔との間に位置し、前記係止ループの各々は、前記トグル本体を通過した後、前記第2の長手方向表面において前記第3の孔から延びている。追加的または代替的に、係止ループの各々はコードを含み、前記コードは、前記トグル本体の各々の前記第3の孔を通る前記コードの自由端が張力をかけられたときに前記係止ループの圧潰を許容する、少なくとも摺動可能に前記コードに結ばれた結び目を有する。追加的または代替的に、各トグル本体の前記第3の孔は、前記摺動可能な結び目を前記第1の長手方向表面から少なくとも部分的にその中に受容するための上部を有するとともに、前記摺動可能な結び目の通過を許容しない前記トグル本体内のプラットフォームで終端する。追加的または代替的に、各係止ループは第1および第2の脚部を有し、各トグル本体の前記第3の孔は、前記係止ループの各々の両方の脚部が横に並んで通過して各トグル本体の前記第2の長手方向表面から出ることを可能にするための楕円形を有する下部を含む。追加的または代替的に、摺動可能な結び目は、少なくとも4連単結び目である。
【0034】
別の例示的かつ非限定的な例は、単一の作業縫合糸によって直列接続されたトグル型縫合糸アンカーのシステムの形態をとり、前記システムは、複数のトグル本体であって、各トグル本体は、上面から底面まで延びる近位通路、中間通路、および遠位通路を備える長尺状の本体を有し、前記近位通路と前記遠位通路との間に前記中間通路が位置した状態で、各通路は前記長尺状の本体に沿って間隔を空けて配置されている、複数のトグル本体と、前記複数のトグル本体を直列に接続する単一の作業縫合糸であって、前記単一の作業縫合糸は、前記上面から前記近位通路に入って前記底面から出て、次いで前記底面から前記遠位孔を通って戻り、各トグル本体の前記上面から出るとともに、前記底面に隣接して前記中間通路を通り過ぎて延びる前記縫合糸が所定の長さである、単一の作業縫合糸と、前記底面にて前記中間通路から延びる各トグル本体のための独立した係止ループであって、各係止ループは、前記底面に隣接して前記中間通路を通り過ぎて延びる、各トグル本体の前記作業縫合糸の前記長さの一部を取り囲むとともに、前記縫合糸が前記係止ループを通って摺動することを可能にする第1の開位置と、前記縫合糸に係合して前記係止ループ内での摺動を防止する第2の閉位置とを有する係止ループと、を備える。
【0035】
追加的または代替的に、各トグル本体の前記長尺状の本体は、前記近位通路の近位で前記長尺状の本体から近位および半径方向外向きに延びる一対のフィンを有してもよく、各フィンの少なくとも一部は、前記長尺状の本体の最大横方向寸法を超えてさらに半径方向に延びている。追加的または代替的に、各トグル本体の前記係止ループは、前記中間通路底面から延びるとともに、前記中間通路を通して延びて前記上面にて前記中間通路から外へ延びる締付脚部を含む。追加的または代替的に、各トグル本体の前記係止ループは、前記中間通路を通る前記締付脚部が張力をかけられたときに前記係止ループの圧潰を許容するように、少なくとも摺動可能に結ばれた結び目を有するコードを含む。追加的または代替的に、各トグル本体の前記中間通路は、前記摺動可能な結び目を前記上面から少なくとも部分的にその中に受容するための上部を有し、前記摺動可能な結び目の通過を許容しない前記中間通路内のプラットフォームで終端する。追加的または代替的に、各係止ループは第1および第2の脚部を有し、各トグル本体の前記中間通路は、前記係止ループの両方の脚部が横に並んで通過して前記底面から出ることを可能にするための楕円形を有する下部を含む。追加的または代替的に、摺動可能な結び目は、少なくとも4連単結び目である。
【0036】
別の例示的かつ非限定的な例は、複数の縫合糸アンカーを接続する単一の連続作業縫合糸を備えるトグル型縫合糸アンカーシステムの形態をとり、前記トグル型縫合糸アンカーは、前記システムは、少なくとも6つのトグル本体と、各トグル本体は、略平坦な面および略平坦な底面ならびに丸みを帯びた側面を有する長尺状の本体を有し、前記丸みを帯びた側面は前記長尺状の本体の最大直径を画定し、各長尺状の本体は、前記上面から前記底面まで延びる近位孔、中間孔、および遠位孔を有し、各孔は、前記中間孔が前記近位孔と前記遠位孔との間に配置された状態で、前記長尺状の本体に沿って間隔を空けて配置されている、トグル本体と、単一の作業縫合糸であって、各長尺状の本体の前記底面から前記中間孔を通り過ぎて延びる縫合糸の長さを残しながら、前記上面から前記近位孔に入って前記底面から出て、次いで前記底面から前記遠位孔を通って戻って各トグル本体の前記上面から出るように連続して延びることによって、前記少なくとも6つのトグル本体の各々を通る単一の作業縫合糸と、前記少なくとも6つのトグル本体のためのロッキング縫合糸であって、各ロッキング縫合糸は、該ロッキング縫合糸に形成された圧潰可能なループを有し、前記圧潰可能なループが前記底面にて前記中間孔から延びるとともに、前記底面に沿って前記中間孔を通り過ぎて延びる前記作業縫合糸の前記一部を取り囲む状態で、前記圧潰可能なループは、前記中間孔を通って上方に延びて前記上面から出る前記ロッキング縫合糸の脚部上の張力に応答して閉塞する、ロッキング縫合糸とを備える。
【0037】
追加的に又は代替的に、前記ロッキング縫合糸の各々は、使用中に前記トグル本体の外側で延びるのに十分な長さを有する可撓性のコードである。追加的または代替的に、各アンカーの前記ロッキング縫合糸は、前記中間孔を通る前記締付脚部が張力をかけられたときに前記ループの圧潰を許容するように、少なくとも摺動可能に結ばれた結び目を有するコードを含む。追加的または代替的に、各アンカーの前記中間孔は、前記摺動可能な結び目を前記上面から少なくとも部分的にその中に受容するための上部を有し、前記摺動可能な結び目の通過を許容しない前記中間孔内のプラットフォームで終端する。追加的または代替的に、各圧潰可能なループは第1および第2の脚部を有し、各アンカーの前記中間孔は、前記圧潰可能なループの両方の脚部が横に並んで通過して前記底面から出ることを可能にするための楕円形を有する下部を含む。追加的または代替的に、摺動可能な結び目は、少なくとも4連単結び目である。追加的または代替的に、各アンカーの前記中間孔の楕円形部分は、前記ロッキング縫合糸上の張力に応答して引っ張られる前記作業縫合糸の少なくとも一部が前記中間孔の楕円形部分の中で移動可能にするようにサイズ決めされる。
【0038】
この概要は、本特許出願の主題を紹介することを意図している。排他的又は網羅的な説明を提供することは意図されていない。詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれる。
【0039】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図における同様の構成要素を説明することがある。異なる添え字を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なるインスタンスを表し得る。図面は、概して限定としてではなく、例として本明細書で議論される種々の実施形態を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】トグル型アンカーの予め糸通しされたアレイの図である。
【
図1B】縫合糸の糸通し経路を示すためにトグルアンカーを断面で示す
図1Aの別の図である。
【
図2H】作業縫合糸およびロッキング縫合糸が図示される開放位置にある、トグル本体の部分切り欠き図である。
【
図2I】図示される閉位置にある作業縫合糸およびロッキング縫合糸を有する、
図2Hのトグル本体の部分切り欠き図である。
【
図2J】ロッキング縫合糸と作業縫合糸との間の相互作用を示す概略図である。
【
図2K】ロッキング縫合糸と作業縫合糸との間の別の相互作用を示す概略図である。
【
図3A】いくつかの構成における例示的アンカー送達デバイスの斜視図である。
【
図3B】いくつかの構成における例示的アンカー送達デバイスの斜視図である。
【
図3C】いくつかの構成における例示的アンカー送達デバイスの斜視図である。
【
図3G】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3H】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3I】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3J】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3K】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3L】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3M】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3N】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図3O】いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切欠図である。
【
図4A】カートリッジをアンカー送達デバイスに固定するためのプランジャの特徴を示す。
【
図4B】カートリッジをアンカー送達デバイスに固定するためのプランジャの特徴を示す。
【
図4C】カートリッジをアンカー送達デバイスに固定するためのプランジャの特徴を示す。
【
図4D】カートリッジをアンカー送達デバイスに固定するためのプランジャの特徴を示す。
【
図5A】トグルアンカーを保持するためのカートリッジを示す。
【
図5B】トグルアンカーを保持するためのカートリッジを示す。
【
図5C】トグルアンカーを保持するためのカートリッジを示す。
【
図5D】トグルアンカーを保持するためのカートリッジを示す。
【
図6A】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6B】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6C】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6D】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6E】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6F】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6G】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6H】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【
図6I】本発明の例示的なアンカーを埋め込むためのステップと、連続的に張力がかけられかつ係止されたアンカーからアンカーへの単一の縫合糸のステッチのパターンとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、軟組織を骨に再付着させるための全体的なシステムを作成および使用するための複数の構成要素、デバイス、および方法を含む。関節鏡視下回旋筋腱板修復において、棘上筋腱などの断裂した腱の強固な修復を行うことは特に有用である。埋め込みおよび送達デバイスは、より速く、より容易で、より低い失敗率の解剖学的修復を可能にする。腱は、関節の運動中にほとんどクリープを生じることなく、元のフットプリントに適切な力でしっかりと取り付けられ、保持される。これにより、患者がスリングを付けている時間が減少し、腱の骨への再付着を治癒する速度が増加し、早期の理学療法が可動域および強度を維持することを可能にする。
【0042】
アンカー対アンカーの単一縫合ステッチの連続的なセットを有するアンカーの埋め込まれたアレイは、ミシン構築物に類似した縫い目様の取り付けを形成する。さらに、アンカーが小さな断面サイズ(直径3mm未満)を有するため、アンカーを互いに近接して(隣接するアンカー間で約7mm未満)配置することが可能である。これにより、アンカー対アンカーの縫合ステッチが形成される。この概念を開示されたアンカー設計と組み合わせることにより、隣接する縫合糸アンカーが埋め込まれる場合に、縫合糸のステッチを個々に締め付けて係止することが可能になる。これを何度も繰り返して、隣接するアンカー間に連続的に独立して張力がかけられて固定されたステッチを有するアンカーの列を埋め込むことができる。また、張力をかけられた縫合糸の張力成分は、腱(または他の結合組織)の上面に対してより垂直に加えられるため、関節運動中にクリープまたはスリップすることなく骨のフットプリントに対して腱が保持される。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態において、個々のアンカーは、以下に詳細に記載されるように、単独で機能しない。代わりに、各々は、そこを通る共通の連続的に配置された作業縫合糸を有する予め糸通しされたアレイの一部である。
図1Aは、事前に糸が張られたアレイ201を示す。各アンカー200は、アレイ内に連続して埋め込まれ得、次いで、埋め込まれたばかりのアンカーから直前に埋め込まれたばかりのアンカーまで延びる作業縫合糸セクションは、張力をかけられ得、次いで、2つのアンカー間の縫合糸ステッチが腱に対して力を提供して、腱を単一の縫われたステッチのように適所に保持するように、埋め込まれたばかりのアンカーで係止され得る。アレイによって、複数の連続したステッチが、縫われた継ぎ目と同様に形成され得る。
【0044】
図1Aには、個々のアンカー200の事前に糸が張られたアレイ201が示されている。アンカー200は、本明細書に記載されるアンカー100と形態および機能が類似していてもよい。示されたアレイは、代表的な鎖として4つのアンカー200を有する。4乃至12個のアンカーの鎖は、回旋腱板修復などの腱修復手術において有用であると考えられる。特定の一実施形態は、アレイ中に8つのアンカーを含む。
図1Aに示されるように、作業縫合糸115が一連のアンカー200を通して予め糸通しする方法は、縫合糸が締められるとき、それらが所望のようにトグルし、張力をかけてステッチを形成することを確実にするために重要である。図は、埋め込まれる第1のアンカー202、続いて第2のアンカー204、次に第3のアンカー206、最後に第4のアンカー208を示す。この埋め込み順序が理解されると、作業縫合糸115は、近位孔210の上部を通って下方に、第1のアンカー202の遠位孔211を通って上方に戻るように予め糸通しされている。次いで、作業縫合糸115は、第2のアンカー204まで続き、ここで、作業縫合糸は、近位孔212を通して下方に通され、第2のアンカー204の遠位孔213を通して上方に戻される。次に、作業縫合糸115は、第3のアンカー206まで続き、そこで近位孔214の上部に入り、第3のアンカー206の遠位孔215に戻る。次に、作業縫合糸は、第4のアンカー208まで続き、そこで近位孔216の上部に入り、第4のアンカー208の遠位孔217の底部を通って上に進む。アレイが4つ以上のアンカーである場合、事前の糸通しは、各後続アンカーに対して説明されるように継続する。
【0045】
図1Bは、
図1Aのアレイの断面図であり、アレイ201のアンカー200内への作業縫合糸115の糸通しをより明確に示す。また、ロッキング縫合糸116が中間通路内に配置される方法も、各係止ループ118が各アンカーに対して独立している状態で、上述のように各アンカー200に対して示されている。ロッキング縫合糸116は、それが締め付けられ、次いで摺動可能な結び目の上で破断され得るように、優先破断点を有することができる。これは、以下の
図2H乃至
図2Kにさらに示されるように、スライド可能な結び目のすぐ上の係止ループの自由端において、破断結び目を結ぶか、または切れ目を入れることによって達成され得る。いくつかの好ましい実施形態では、摺動可能な結び目は4個の単結び目であり、破断結び目は単結び目のすぐ上の自由端にある。縫合糸ロックは、作業縫合糸を係止するのに十分な所定位置に摺動可能な結び目を有する所望の張力で破断するように設計されてもよい。
【0046】
腱を骨に取り付けるための、張力がかけられ、独立して係止されたアンカー対アンカー縫合糸ステッチの埋め込まれた連続アレイを形成するために、外科医は、
図1Aおよび
図1Bに記載された事前に糸が張られたアレイ201から始める。第1のアンカー202は、腱を通して形成された骨孔内に埋め込まれ、作業縫合糸が係止される。次いで、第2のアンカー204は、第1のアンカー202に近接して、好ましくは7mm未満離れて埋め込まれる。第2のアンカーをトグル留めし、同時に、第2のアンカー204の遠位孔213から出る作業縫合糸115を引っ張ることによって、作業縫合糸に張力をかける。この位置での張力は、第2のアンカー204をトグル留めするだけでなく、第1のアンカー202に戻る作業縫合糸115を締め付けて、腱をフットプリントに対して保持する張力ステッチを形成する。次いで、第2のアンカー204は、ステッチが張力をかけられたままであり、他のステッチから分離または独立されるように係止される。このプロセスは、第3のアンカー206および第4のアンカー208等に対して繰り返される。1つの好ましいアレイでは、8つのアンカーが埋め込まれ、連続した列にある7つの張力がかけられて固定されたステッチが形成される。さらに、回旋筋腱板修復では、1つのアレイがフットプリントの内側部分の腱を横切って延び、第2のアレイが内側位置のより外側に延びるように、複数のアレイを埋め込むことができる。
【0047】
図2A乃至
図2Kは、腱を骨に付着させるための手術において使用することができる例示的なトグル本体またはトグル型アンカーの一連の図である。また、図は、アンカーおよび係止ループを通る通路内にスライド可能に配置された単一の作業縫合糸を示す。係止ループは、単一作業縫合糸の移動を可能にする開位置と、単一作業縫合糸の移動を防止する閉位置または係止位置とを有するように構成される。
【0048】
図2Aを参照すると、トグル本体100の形態にある代表的なアンカーの斜視図が示されている。トグル本体100は、近位端102および遠位端104によって画定される長さを有する長尺状の本体101であり得る。長尺状の本体101は、略円筒形の本体とすることができるが、他の形状も可能である。例えば、
図2Aに示されるように、トグル本体100は、概して円筒形であるが、上面105および底面107は、トグル本体100が丸みを帯びた送達管内にある場合に縫合糸のための空間を可能にする平坦な軸方向に延びる表面を有する。トグル本体100の長さは、その直径よりも実質的に長く、トグル本体100を小さな骨孔内に長さ方向又は軸方向に挿入することを可能にする。いったん挿入されると、今日使用されているほとんどのアンカーとは異なり、本体全体は、骨内に留まり、実質的にその全長が骨の内側の材料に対して圧縮されるように、ピボット留めまたはトグル留めされる。すなわち、トグル本体100の長手方向軸は、骨孔を通して挿入するために使用される方向から回転または旋回されることによって、除去を防止する。このアプローチは、除去には、単に周囲組織から解放されるのではなく、アンカー自体が破損することを要し、非常に小さい挿入孔(約3mm未満)を必要とするアンカーからの高い引き抜き強度(本明細書に開示されるアレイ内に埋め込まれるとき、アンカー破損前に600Nを上回る)を提供することを意味する。前述したように、また以下に詳細に説明するように、小さな挿入孔は、高密度アレイにおけるアンカーのより密接な配置を可能にする。
【0049】
トグル本体100は、いくつかの実施形態では、約6mm乃至約10mmの長さを有することができる。この長さは、埋め込まれる多数のアンカーのために骨の内側に十分な空間を残しながら、適切な強度を与える。トグル本体は、好ましくは、ポリマー材料、好ましくは、高度に生体適合性であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高引張強度材料から成形または機械加工される。MRI撮像が問題とならない用途では、トグル本体の一部または全部に金属を利用することができる。
【0050】
ここで
図2B(上面図)および
図2C(底面図)も参照すると、トグル本体100は、トグル本体100の断面を通るいくつかの孔または通路を含むことができることが分かる。図示されるように、トグル本体100は、近位孔または通路110、中間通路108、および遠位通路106を有する。通路106、108、110は、通路106、108、110が長尺状の本体101の断面を通って延びるように、上面105から底面107まで延びる。他の実施形態では、トグル本体は、単一の孔、2つの孔、または3つより多い孔を有するなど、より少ないまたはより多い孔または通路を有してもよい。図示される実施形態では、近位通路110および遠位通路106は、使用中にトグル本体100に対して摺動可能な共通作業縫合糸の一部を受容する。中間通路108は、アンカーのアレイにおいて使用される各アンカーに対して独立しているロッキング縫合糸を受容する。
【0051】
トグル本体100の遠位端104は、傾斜面を有する。図示のように、傾斜面は、下部長手方向面107よりも長い上部長手方向面105を形成する。換言すれば、上面は下面よりも遠位方向に長い距離だけ突出している。これは、挿入中にトグル本体の少なくとも部分的な回転を開始するために埋め込まれたときに、突出している遠位表面が海綿質の骨の中に入り込むので、トグル本体100の挿入中に有用である。本発明のトグル本体100は、腱を通して埋め込まれることが好ましいことに留意すると、トグル本体100が毎回トグルするか、または張力下で骨孔から引き出されてもよいが、腱の下にあるため見えないことが重要である。
【0052】
トグル本体100の近位端102は、1つまたは複数の突出フィン112を含むことができる。図示の実施形態は、2つのフィン112を含む。各フィン112は、外向きかつ近位方向に突出する。さらに、いくつかの実施形態では、図示のように、フィン112は、近位方向に延びるにつれて下方に突出する。フィン112の機能は、それぞれトグル本体100の遠位端面の図および近位端面の図である
図2Dおよび
図2Eを参照すると最もよく理解される。長尺状の本体101の一般的な最大断面または直径を示す基準円113が含まれる。埋め込みが配置される骨孔は、埋め込みを送達するために使用される送達管の内径と同様に、この寸法に厳密に一致するようにサイズ決めされる。対照的に、示されるように、フィン112はそれぞれ、長尺状の本体の外側断面または直径を越えて横方向に突出する。挿入の間、フィン112は、骨孔に適合するように、送達管の内径との接触による圧縮力下で内向きに撓む。
【0053】
いったん送達され、送達管の圧縮力から解放されると、フィン112は、骨孔より大きいサイズに弛緩する。いくつかの好ましい実施形態では、各フィン先端は、その特徴部が挿入される骨孔のサイズをさらに約0.5mm超えて延びる。また、そのようなフィン先端は、アンカー本体の残りの部分の最大外径を約0.5mm、例えば0.4mm乃至0.7mmの範囲を越えて延びるものとして説明されてもよい。この特徴部は、トグル本体100が適切にトグル留めされなかった場合に、張力下でトグル本体100が骨孔から後退しないようにする追加の保護手段を提供する。さらに、フィン112は、トグル本体100上の張力が、部分的にトグル留めされたアンカーに海綿骨を把持させ、アンカーをさらに回転させるように位決めされる。
【0054】
フィン112の代替設計も、
図2Fおよび
図2Gに示されている。これらの図におけるフィン112は、長尺状の本体101上の代替的な位置および近位側伸長部の方向を有する。
図2Fのフィン112は、最大寸法が送達中の管の直径で水平であるため、アンカーを送達管内の中心に維持するために、中心に位置する位置で最も幅広である。いくつかの例では、フィンは、埋め込まれたアンカーが腱を再付着させるのに必要な引き抜き強度を提供しない。先に述べたように、好ましい例では、アンカーの全長が内部骨構造に押し付けられて適切な引き抜き強度を提供するように、各アンカーがトグル式に動く。
【0055】
図2Bおよび
図2Cの上面図および底面図は、近位通路110、中間通路108、および遠位通路106の詳細を示す。特に、中間孔は、長尺状の本体101内に、断面の途中まで形成されたプラットフォーム114を有する。すなわち、この例では、中間通路108は、その長さに沿って途中でサイズまたは形状の変化を有し、プラットフォーム114を画定する。底面図から、中間通路108は、スロット付きまたは楕円形または部分111でプラットフォーム114から続くが、上面図からは円形プロファイルを有することが分かる。これらの通路の機能は、代表的なコードまたは縫合糸115、116がトグル本体100上に事前に張られている
図2Hおよび
図2Iの断面斜視図に詳細に示されている。
【0056】
最初に、本明細書で作業縫合糸115と呼ばれる単一の縫合糸があり、この縫合糸は、上面から近位通路110内に延び、底面で外に延びる。次いで、作業縫合糸115は、底面から遠位通路106を通って上方に延び、上面を通って外に出る。これにより、作業縫合糸115の部分117が、底面に沿って中間通路108を通り過ぎて又は隣接して延びる。作業縫合糸115は、遠位通路106および近位通路110を通ってフロッシングされ得るか、または摺動可能であり、これは、張力が加えられたときにトグル本体100が作業縫合糸115上を摺動することができることを意味する。次に、近位通路110と遠位通路106との間でトグル本体100の外面に隣接して延びる作業縫合糸115の部分117の一部を取り囲む係止ループ118がある。係止ループ118は、作業縫合糸115が係止ループ118を通して自由に摺動する、
図2Hに示されるような第1の開位置と、係止ループ118が部分117に係合し、それが係止ループ118内で摺動することを防止する、
図2Iに示されるような第2の閉位置とを有する。
【0057】
いくつかの実施例は、作業縫合糸115として、または係止ループ118内で使用されることができる、縫合糸、コード、または糸を指す。これらの要素は、例えば、天然材料(例えば、絹)および/または合成材料(例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、およびポリジオキサノンであり、これらの各々は、吸収性縫合糸としての使用について公知である)、ならびに/あるいはナイロンおよびポリプロピレン(これらは、代表的には、非吸収性である)から形成され得る。抗菌、抗ウィッキングまたは潤滑性コーティングを含む様々なコーティングも同様に適用され得る。より広義には、これらの要素115、118は、外科的手術での使用のために適合された任意の十分に生体適合性の金属、天然材料、プラスチック、または他の人工材料等、外科的環境において物体を一緒に結合するために使用され得る任意のアイテムを含んでもよい。モノフィラメントまたはより複雑な構造(編組、織物、巻線、撚り糸、被覆部材または多層部材などを含む)が使用され得る。
【0058】
図示の実施形態では、係止ループ118は、トグル本体100の底面から中間通路108を通って延びる。係止ループ118は、中間通路108を通って延びる縫合糸ロック116の自由端または近位端121が張力をかけられたときに係止ループ118の圧潰を許容するように、少なくとも摺動可能な結び目120が結ばれたコードまたは縫合糸を含む。図示されるように、中間通路108の上部は、その中に摺動可能な結び目120の少なくとも一部を受容するようにサイズ決めされる。次いで、摺動可能な結び目120は、プラットフォーム114の表面に接触し、これは、結び目が底部の開口に向かって通過することを許容にしない。中間通路108の下側楕円部分113は、係止ループ118の両方の脚部が、好ましくはスロット方向に並んで通過することを許容するスロットまたは楕円である。これらの構成要素の相互作用は、トグル本体100に対して作業縫合糸115を係止する。
【0059】
図示されているように、特に
図2Cおよび
図2Iに見られるように、トグル本体100の底部は、近位通路110と遠位通路106との間の底面107に形成されたチャネル125を含む。作業縫合糸115に張力が加えられると、作業縫合糸はこのチャネル125内に引き上げられる。このチャネルは、そのような動きに対する摩擦抵抗を増加させることによって、縫合糸がそこを通ってフロッシングまたは移動することをより抑制するようなサイズであるが、縫合糸を係止しない。さらに、作業縫合糸は、遠位通路106および近位通路110の底部の開口において2つのほぼ90度の角度の屈曲を有し、これもフロッシングすることをより困難にするが、作業縫合糸115を係止しない。作業縫合糸115の周りを閉じるとともに、それをスロットまたは楕円形部分113に向かって引き込む係止ループ118は、累積摩擦が作業縫合糸115の滑りを防止するように、作業縫合糸を係止する構造である。
【0060】
図2H乃至
図2Kに示される例示的な例では、縫合糸ロック116の自由端121は、摺動結び目120の近位で係止ループ118から離れるように構成されている。破断結び目が122に示されており、これは縫合糸ロックに脆弱さを導入する方法の一例である。破断結び目122は、縫合糸ロック116が破断したときに、摺動結び目120が無傷で固定されたままとなるのに十分な距離だけ摺動結び目120の上方に位置し、例えば3乃至10mm前後だけ摺動結び目の近位側に位置する。破断結び目122ではなく、切れ目または他の脆弱点が、縫合糸ロック116の所望のまたは優先的な破損点に付与されてもよい。
【0061】
図2Jおよび
図2Kは、2つの異なる実施形態において、係止ループ118が作業縫合糸115の部分117を楕円形部分113内に引き込む方法を示す。作業縫合糸115の部分117がスロット113に入る程度は、ループがどれだけきつく閉じられるか、ロッキング縫合糸のサイズ、およびスロット開口のサイズに依存する。好ましい実施形態では、作業縫合糸115の断面の少なくとも一部は、スロット壁の縁表面が有意な摩擦を提供し、係止を補助するように、スロット内に引き込まれる。別の例では、優先破損点は、破損が生じる前に係止ループ118がスロット内に引き込まれることを可能にするように設計される。
【0062】
係止ループ118は、中間通路108の設計と組み合わされて、骨への組織固定中に縫合糸トグル本体100内で引っ張られたときに摺動可能な作業縫合糸115をロックするためのアセンブリである。係止ループ118は、作業縫合糸115の一部分を取り囲み、係止ループ118を圧潰することによって、作業縫合糸115の断面を圧縮して、張力がかけられた場合に作業縫合糸115をロックする。縫合糸ロック116は、好ましくは、ループ118を形成するためにその中に結ばれた少なくとも1つの摺動可能な結び目120を有する縫合糸から形成され、第2の通路108を通る締付脚部121が引っ張られたときにループ118がつぶれることを可能にする。第2の通路108は、摺動可能な結び目120を少なくとも部分的にその中に受容するための上部を有し、摺動可能な結び目の通過を許容しないトグル本体100内のプラットフォーム114で終端する。第2の通路は、係止ループの両方の脚部が横に並んで通過して通路から出ることを可能にするための楕円形を有する下部を含む。特に好ましい結び目は、4連単結び目である。しかしながら、必要に応じて、他の摺動可能な結び目120を使用してもよい。さらに、第2の通路楕円形部分は、係止コード上の張力に応答して、作業縫合糸115の少なくとも一部の移動がその中で引っ張られることを可能にするようにサイズ決めされる。作業縫合糸115は、係止ループが使用中に締め付けられたときに少なくとも約25%減少する圧縮可能な断面積を有する編組マルチストランド縫合糸であることが好ましい。作業縫合糸115は、いくつかの実施形態では、丸形および/または編組番号2(braided No.2)の縫合糸であってもよい。他のサイズおよびタイプの縫合糸が使用されてもよい。
【0063】
また、
図2Iおよび
図2Kに示されるように、摺動結び目120が締められ、作業縫合糸が少なくとも部分的にスロット内に引き込まれた後、係止ループ116内の優先破断点(上記の破断結び目または切れ目等)が破断し、摺動結び目の上方の距離にある係止ループ上の123で自由端を残す一方、縫合糸係止124の近位部分の残りを廃棄することができる。いくつかの例では、縫合糸ロックのより近位の部分がカートリッジに固定されるため、医師は、以下でさらに説明するように、カートリッジ自体を引っ張ることによって、図示されるように縫合糸ロックを破壊することができる。一例では、優先破損点は、破損が生じる前に作業縫合糸115への係止ループ118の締め付けを可能にするように設計される。例えば、係止ループおよび優先破損点は、13.3乃至44.5ニュートン(3乃至10ポンド)の力、より好ましくは22.2乃至31.1ニュートン(5乃至7ポンド)の力、または所望に応じてそれ以上またはそれ以下の範囲の引張強度下で破壊するように構成されてもよい。係止ループ118を作業縫合糸上に締め付けるために必要とされる引張強度は、いくつかの実施例では、例えば、2.2乃至13.3ニュートン(0.5乃至3ポンド)、または3.3乃至8.9ニュートン(0.75乃至2ポンド)、または4.4ニュートン(約1ポンド)の範囲内の量だけ、優先破損点を破壊するために必要とされる引張強度未満であってもよい。
【0064】
アレイ中の個々のアンカーの経腱的埋め込みのための1つの好ましいアンカー送達デバイス300が、
図3Aに示されている。送達デバイス300は、本明細書に開示され、
図2A乃至
図2Kに関して以下に詳述されるアンカー、および
図1A乃至
図1Bに開示されるアレイを埋め込むのに特に有用である。
【0065】
図3A乃至
図3Cは、いくつかの構成における例示的アンカー送達デバイスの斜視図であり、
図3D乃至
図3Fは、
図3A乃至
図3Cに対応するアンカー送達デバイスの遠位端の拡大図である。
図3Aから始めると、送達デバイス300は、ピストルグリップ型のハンドル311とトリガー312とを含む近位ハウジング310を有する銃に類似する部品であってもよく、トリガーは、(以下でさらに説明されるように)該トリガーを握った状態で保持すると、ばね保持解放位置から係合位置に移動する。トリガー312は、近位筐体310内の可動内部特徴部に連結され、以下に説明される埋め込み中に所望の機能を提供する。送達デバイス300は、近位ハウジング310から遠位に延びる長尺状の管306を含む。
図3Dの拡大図に示されるように、長尺状の管306は、アンカーが管の中央管腔を通過するときに縫合糸を受容するための、管306の長さにわたる長手方向スロット307を含む。
【0066】
図3Aはまた、近位ハウジング310が、遠位パンチヘッド322および近位パンチヘッド323を有する骨パンチと関連付けられることを示す。近位パンチヘッド323は、その近位側にタッピング面324を有する。組み合わされた要素322および323は、パンチヘッドアセンブリを形成する。
図3D(
図3Aの構成に対応する)に示されるように、骨パンチは、腱を通して探索するように適合され、および/または腱を掴んで位置決めを補助するように適合されたテーパ状先端321を有するパンチピン320を含む。位置決めは、分離した腱のために、腱を元のフットプリントに位置決めすることを含み得る。いくつかの例では、分層関節側断裂または全層断裂と関節部分層断裂との組み合わせなどの部分断裂を修復する場合など、別個のステップとしての位置決めを省略または制限することができる。腱は、完全に断裂または分離された腱を、それが再付着され得る元のフットプリントなどの位置に配置することによって、または部分的断裂を修復または別様に対処するためにアンカーを適用するときに医師がそれを有することを所望する場所に腱が位置するとき、部分的断裂とともに、骨に固定するための位置に配置されると見なされ得る。
【0067】
パンチピン320及び先端部は、骨に打ち込まれて骨孔を形成するように構成されており、テーパ状先端部321は、本明細書に開示されるいくつかの方法において、アンカーの近位端に係合して該アンカーの近位端に対して押すために使用される。パンチピン320は、近位ハウジング310および長尺状の管306を通って延びる。パンチピン320は、近位パンチヘッド323に固定され、遠位パンチヘッド322内で摺動可能である。遠位パンチヘッド322は、送達デバイスの近位ハウジング310にスナップラッチする。近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322は、近位パンチヘッド323が遠位パンチヘッド322に対して押されてラッチされるときにパンチピン320を完全に伸長した位置に保持するばね仕掛け機構によって接続される。近位パンチヘッド323が遠位パンチヘッド322との密接な接続から解放されると、ばね荷重により、パンチピン320が部分的に後退した位置まで近位方向に後退し、パンチピン320の短い遠位部分のみが長尺状の管306を越えて延び、潜在的な埋め込み部位を探る際に使用される。埋め込みツールのそのような構成は、
図3Aおよび
図3Dに示され、パンチピン320は、長尺状の管306の遠位先端から延びる唯一の部品であり、遠位パンチヘッド322は、近位ハウジング310にラッチされ、近位パンチヘッド323は、遠位パンチヘッド322にラッチされない。また、近位ハウジング310上には、以下の
図4Aに示されるように、埋め込まれるアレイの個々のアンカーを保持するカートリッジを運ぶマガジンを受容するための受け器398が含まれる。
【0068】
図3Bおよび対応する
図3Eは、送達デバイス300の別の構成を示す。
図3Bから始めると、(
図3Aと同様に)トリガー312が弛緩位置に留まり、押し下げられていないことが分かる。ここで、近位パンチヘッド323は遠位パンチヘッド322にラッチされる。パンチヘッドを一緒にラッチすることにより、
図3Eに示すように、パンチピン320の遠位端が長尺状の管306の遠位端からさらに延びる。ここで、長尺状の管306がその中に配置されたアンカー送達管330を有するという点で、追加の要素が示されている。近位パンチヘッド323を遠位パンチヘッド322と共にラッチ留めする動作は、アンカー送達管330を遠位方向に前進させ、アンカー送達管330の遠位部分を長尺状の管306の遠位端を通過させる。また、アンカー送出管330は、縫合糸を通すための長尺状の管の長手方向スロット307と位置合わせされた長手方向スロット331を有する。
図3Bおよび
図3Eに示されるように構成されたアンカー送達デバイス300を用いて、デバイスは、外科医が、外科用マレットなどを用いてタッピング面324を叩いて、パンチピン320およびその先端321を骨の中に押し込んで骨孔を形成する準備ができている。
【0069】
図3Cおよび
図3Fは、送達デバイスの次の構成を示す。ここで、遠位パンチヘッド322はもはや近位ハウジング310と係合しておらず、近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322は互いにラッチされていない。遠位パンチヘッド322およびハウジング310の係合解除、ならびに近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322の係合解除は、以下でさらに説明されるように、トリガー311の作動によって引き起こされる。以下の
図6A乃至
図6Gの方法を示す図に記載されるように、この構成は、骨孔が形成された後に生じ、埋め込みのためにアンカー/縫合糸をアンカー送達管に導入するために使用される。手術におけるそのようなステップを容易にするために、ナブ332と称されるアンカー送達管330の一部は、
図3Fによって示されるように、長尺所の管306の遠位端から延びたままである。骨パンチが後退または除去されると、アンカー送達管330は、開放管腔333を画定し、以下に詳述されるように、再挿入された骨パンチの補助によって、アンカーが導入されるとともに、アンカーが開放管腔333を通過することを可能にする。また、
図3Fで強調されるように、随意に、伸長管306の遠位端は、308で示されるようにテーパ状であってもよい。テーパ308は、いくつかの実施例では、アンカーの操作中および/または2つのアンカー間の縫合の引張中に、腱の外側に対する力を維持するために使用可能な鈍い遠位先端を伴う長尺状の管306を提供する。
【0070】
高レベルでは、手順は以下のように理解され得る。
図3A/
図3Dに示される構成におけるアンカー送達デバイス300を用いて、医師は、アンカーが埋め込まれるべき場所を識別するために、手術部位を探索してもよい。所望の位置が特定されると、医師は、骨パンチのタッピング面324に力を加えて、骨パンチを腱に押し通し、パンチピン320の遠位先端321を使用して骨孔を形成する。医師がこのように骨パンチを前進させると、近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322は互いにラッチされて、
図3B/
図3Eに示すような構成を形成する。また、長尺状の管に対して骨パンチを前進させるのと同じ動作によって、長尺状の管306の遠位端を越えてアンカー送達管330およびナブ332が前進する。次に、トリガー311を作動させて骨パンチを解放し、骨パンチを近位方向に押して、
図3C/
図3Fに示すような構成を形成する。埋め込みツール300は、形成された骨孔との位置合わせを維持するためにナブ332を使用して定位置に保持される。いくつかの実施例では、ナブの一部が骨孔に挿入される。次に、アンカーがアンカー送達管330内に導入され、骨パンチアセンブリを使用してアンカーを前進させるために力が加えられた状態で、アンカー送達管の管腔333を遠位端まで通される。アンカーの完全な挿入は、骨孔に対して所望の位置合わせでナブ332を保持するために腱に対する圧力を維持し、遠位パンチヘッド323が近位ハウジング310とラッチし、近位パンチヘッド322が遠位パンチヘッド322とラッチするまで、近位パンチヘッド323を遠位方向に押すことによって確認可能である。ここで、トリガー311が再び作動されるが、以下に説明される機構により、アンカーの挿入後のトリガーのこの第2の作動は、アンカー送達管330およびナブ332を長尺状の管306の遠位端の中に後退させ、骨パンチを後退させるように、ばね力とともに正の後退力を印加する。ナブが後退した状態で、医師は、ナブ332が作業縫合糸を損傷する可能性なしに、作業縫合糸を使用してアンカーのトグルを操作することができる一方、長尺状の管306の遠位先端を腱に押し付けることによって、腱および骨に対する力を維持することができる。アンカーをトグル留めした後、送達ツール300は埋め込み位置から引き戻され、縫合糸ロックは縫合糸係止コードを引っ張ることによって固定される。アンカーが一連のアンカーのうちの第2のアンカー、即ち後続のアンカーである場合、医師は、送達デバイスを次の位置に移動させる前に、長尺状の管306を用いて腱に対する圧力を維持しながら、作業縫合糸を締め付けてステッチを形成してもよい。次いで、送達デバイスはリセットされ、
図3A/
図3Dの構成が再び想定される。
【0071】
ここで、図面に示される例示的実施例の詳細な機構を参照すると、
図3G乃至
図3Iは、いくつかの構成におけるアンカー送達デバイスの部分切り欠き図である。
図3Gは、概して
図3A/
図3Dの構成に対応するものであり、遠位パンチヘッド322は、近位ハウジング310にラッチされ、近位パンチヘッド323は、遠位パンチヘッドに対してラッチされず、パンチヘッドばね325が伸長位置にあることに留意することによって図面において確認され得る。ナブカプラバー355が図示されており、ナブカプラバー355は、該ナブカプラバー355と相互作用するリッジを有する近位パンチヘッドピン356を介して近位パンチヘッドによって前方に押される。このデバイスは、スライドストップ350およびエゼクタ352を含む。次に、エゼクタ352は、一端がトリガー312に、他端がエゼクタ352に枢動可能に取り付けられたトリガーカプラ313に固定される。エゼクタ352は、図示の構成ではそれ自体の近位端において、遠位パンチヘッド322に当接している。アンカー送達管は、その近位端において、ナブサブカプラ340に接続され、このナブサブカプラ自体は、ナブばね343によって近位ハウジング310に対してばね過重が付与されている。
図3Dに関して述べたように、この構成では、アンカー送達管ナブは長尺状の管内に後退しており、これは、ナブばね343が図示のように弛緩状態にあることを意味する。
【0072】
図3Hは、概して
図3B/
図3Eの構成に対応するものであり、遠位パンチヘッド322は、近位ハウジング310にラッチされ、近位パンチヘッド323は、遠位パンチヘッド322に対してラッチされ、パンチヘッドばね325が圧縮位置にあることに留意することによって図面において確認され得る。また、遠位パンチヘッド322とラッチすべく、近位パンチヘッド323を押すのと同じ動作は、ナブカプラバー355を遠位方向に押し、次に、ナブサブカプラ340およびアンカー送達管を遠位方向に押し、ナブばね343を圧縮し、アンカー送達管を前進させるため、
図3Eによって示されるように、ナブが長尺状のシャフトの遠位端から延びる。また、この移動は、スライドストップ350およびナブサブカプラ340の並置を変化させ、これらは見て分かるように、ここで、ナブサブカプラ340の近位縁部がスライドストップ350の上部の遠位に位置決めされる。
【0073】
図3Iは、
図3B/
図3Eの構成から
図3C/
図3Fの構成への構成の変更を強制するためのトリガー312の使用を示す。ここで、トリガー312は、グリップ311に対して引き込まれる。トリガーカプラ313は、エゼクタ352を近位方向に移動させ、ハウジング310に対する近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322のラッチ力に打ち勝って、近位パンチヘッド323および遠位パンチヘッド322を互いに結合しているラッチを係合解除し(以下の
図3R参照)、骨パンチを後退させる。しかしながら、ナブ332は、スライドストップ350がナブサブカプラ340と係合し、それが近位方向に移動するのを阻止するので、長尺状の管306内に後退しない。ナブばね343は、圧縮されたままである。
【0074】
図3Jは、近位ハウジングの部分切り欠き図として、後方から見た拡大図を示す。ここでは、ナブサブカプラ340は位置345でスライドストップ350に当接することが分かる。スライドストップ350は、ピン357上に支持されており、以下でさらに説明するように、横方向の動きを可能にする。ピン357は、
図3Jに示す位置に向かってスライドストップ350を横方向に押すスライドストップばね359を担持する。スライドストップ350の追加の機能が
図3Kに示されており、
図3Kは、(スライドストップばね359が省略された状態で)部分的な切欠きを見るための別の角度を提供する。ここで、スライドストップ350は、
図3I/
図3Jに示されるステップにおいてナブサブカプラ340に当接する部分である延長部351を含む。エゼクタ352上の斜面353も見え、斜面353は、エゼクタ352を押し下げることによってエゼクタフック354が対応するナブサブカプラフック346と係合することを防止するために延長部351を押す。見て分かるように、この構成におけるスライドストップ350は、ナブサブカプラ340の近位方向への移動を制限することによって、ナブが後退することを防止するとともに、エゼクタフック354がナブサブカプラフック346と係合することを防止する。
【0075】
図3L乃至
図3Nは、アンカー送達デバイスの内部構成要素の相互作用をさらに示す部分切欠図である。
図3Lは、ナブサブカプラ340およびエゼクタ352からのスライドストップ350の分離を示す。
図4A乃至
図4Dにおいて以下に示されるように挿入されるプランジャ制御アーム385は、ナブサブカプラ340が延長部351と係合することができないようにスライドストップを横方向に押すとともに、エゼクタ352が近位方向に移動されるときに延長部351をもはや押圧しないようにスライドストップをピン357に沿って移動させる。したがって、スライドストップばね359は圧縮され、次の骨穴を形成するために打ち込まれたときにナブサブカプラ340が再び前進させられるまで圧縮されたままである。代替的な構成では、ナブサブカプラ340からのスライドストップ350の分離は、所望であれば、プランジャ動作を使用するのではなく、アイテム385をハウジング上のスイッチまたはレバーに結合させることによって達成され得る。スライド停止ばね359の位置は例示的なものであり、他の構成および位置を使用することができる。
【0076】
スライドストップ350の移動は、
図3Mで強調されるように、トリガーが続いて引かれるときに異なる相互作用が生じることを可能にする。ここで、トリガーが握られると、スライドストップはもはや他の部品の動きをブロックしていないため、スライドストップは
図3Mの図から省略されている。アセンブリは、近位パンチヘッドと遠位パンチヘッドとが互いにラッチされ、遠位パンチヘッドが近位ハウジングにラッチされることにより、スライドストップが横方向に移動しても、トリガー作動まで伸長したままである。ここで、ナブサブカプラ340の近位端は、近位方向に自由に移動することが分かる。さらに、エゼクタフック354は、対応するナブサブカプラフック346と係合することができるため、エゼクタ352がトリガーによって近位方向に押されたときに、正の後退力をエゼクタ352によって加えることができる。フック346および354が相互作用することを確実にするために、エゼクタ352の下側の斜面358がプランジャ制御アーム385を押圧する。結果として生じる動作は、
図3Nの図によって示され、
図3Nは、トリガー作動を介して印加される力およびナブばね343によって印加される力を使用して、所望されるときにナブの後退を可能にしながら、どのようにナブサブカプラ340がスライドストップ350を越えてどのように移動するかを示す。
【0077】
図3Oは、トリガーの第2の作動中のアンカー送達デバイスの部分切欠図である。ここで、トリガー312は、グリップ311に対して握りしめられ、トリガーバー313は、エゼクタ352を近位方向に押し、遠位パンチヘッド322を近位ハウジング310からラッチ解除する。スライドストップが邪魔にならないように横方向に移動されると、ナブサブカプラ340は、トリガーバー313、エゼクタ352、およびフック354、346(
図3M)を介してトリガー311によって加えられる正の力の下で、同様に近位方向に押される。正の力とは、トリガー311、トリガーバー313、エゼクタ352、およびフック354、346の機械的連結などによって、ばね力よりも大きい力が加えられていることを意味する。さらに、ナブばね343は、ナブを近位方向に移動させるための力を提供し、ナブが別のアンカーの配置のために再び使用されるまで、長尺状の管306の内側の後退位置にナブを保持する。
【0078】
図3Pおよび
図3Qは、例示的なアンカー送達管の特徴を示す。アンカー送達管330は、この例では、使用中に縫合糸および縫合糸ロックコードが通過することができるスロット331を有する。内側管腔は333で示されるように画定され、内側管腔を通してアンカーおよび骨パンチが通過することができる。所望であれば、アンカー送達管330の下面は、335で示されるように、アンカー送達管330の下側を通過する縫合糸336を収容するために、刻み目もしくは内部溝またはチャネルを備えて、プレス加工(stamp)または他の方法で形成され得る。そのようなプレス加工は、使用される縫合糸のサイズ、ならびにアンカーおよびアンカー送達管の管腔333の特徴がどれだけ密接に整列するかに応じて、いくつかの例では必要でない場合がある。アンカー送達管の近位端は、近位ハウジング310内に固定するために、337で示される追加の材料と共に形成されてもよく、またはそれに追加されてもよい。
【0079】
代替構成では、アンカー送達管は、スロット付き円筒形状を有する比較的短いナブ部分に結合されるプッシュワイヤによって置換されてもよい。ナブ部分は、例えば、3乃至5センチメートルの長さを有し得るため、ナブ部分の一部が長尺状の管から完全に出ることなく、長尺状の管306の管腔内から延びることができる。次いで、プッシュワイヤは、長尺状の管の上方で近位ハウジングまで延びることができ、次いで、そこでナブサブカプラ340に物理的に結合される。従って、全長アンカー送達管は、所望であれば、より短いナブ部分で置換され得る。プッシュワイヤ(およびアンカー送達管)は、骨パンチがその近位端において(例えば、プッシュワイヤまたはナブサブカプラに取り付けられたプッシャまたはリンク機構を含むことによって)、所望であれば、またはその遠位端において(例えば、ナブおよび/または短いアンカー送達管と相互作用するように骨パンチの遠位端に向かって肩部を提供することによって)前進させられるとき、遠位方向に押され得る。
【0080】
図3R、骨パンチアセンブリの結合部を示す。
図3Rでは、347において傾斜面を有するその近位端を含むエゼクタ352が示されている。347における傾斜面は、それ自体が近位パンチヘッドの一部であるラッチアーム348と位置合わせされる。ラッチアーム348は、遠位パンチヘッドの一部であり、パンチヘッドばね325を担持するばね基部349と係合して示されている。理解され得るように、トリガーが押し下げられると、エゼクタ352は、近位方向に移動し、ラッチアーム348に係合し、ラッチアーム348を外向きに押し、ラッチアーム348をばね基部349から係合解除し、近位パンチヘッドを遠位パンチヘッドから解放する。いくつかの実施例では、医師は、トリガーを軽く引っ張り、近位パンチヘッドを遠位パンチヘッドから解放させることによって、パンチピンおよび尖った遠位先端を後退させること等によって、遠位パンチヘッドをハウジングから係合解除させることなく、本操作を行ってもよい。その結果、この特徴により、医師は、パンチピンの遠位先端がアンカー送達デバイスのナブおよび/または外側管の遠位端を越えてどれだけ延びるかを容易に制御することができる。
【0081】
図4A乃至
図4Dは、アンカーを個々のカートリッジから送達デバイスに送達するためのプランジャと、アンカー送達デバイス上にカートリッジを保持するためのマガジンとの特徴を図示する。
図4Aから始めると、送達デバイスは、概して、310の近位ハウジングとともに、300で示される。近位ハウジングの一方の側には、プランジャ380が摺動可能に配置および保持可能な受け器370がある。受け器の上部は、埋め込まれるアンカーを担持するカートリッジ392を受けるためのスロット372を含む。カートリッジ392は、該カートリッジ392から延びる作業縫合糸393の少なくとも第1および第2の端部を有することが分かる。
【0082】
送達デバイスは、例えば、関節鏡視下手術を行うために形成される肩ポータルであり得る、患者ポータル402を有する患者400に対して示される。図示される例では、除去されたカートリッジ392が、その両側に延びる作業縫合糸393とともに示される。医師は、カートリッジ392内に収容されたアンカーのいずれかの側で一定量の緩みが利用可能であるように作業縫合糸393をフロッシングするために、カートリッジをマガジンおよび送達デバイス、ならびにポータル402から引き離すことができる。この操作の目的は、アンカーが送達デバイスを通って患者の中へ前進させられるときに、この通過を容易にするのに十分な緩みがあることを確実にすることである。すなわち、送達および埋め込みの間にアンカーを通して縫合糸をフロッシングすることが可能であるが、アンカーの所定位置への前進を比較的容易にするために、埋め込み前に緩みを生成することが好ましい場合がある。アンカーが配置されると、外科医が作業縫合糸に張力をかけて、トグル留めされているアンカーと以前に配置されたアンカーとの間にステッチを形成する際に、余分な緩みを取り除くことができる。
【0083】
プランジャ380の反対側には、近位ハウジング310に解放可能に固定することができ、複数のカートリッジ391を担持するマガジン390がある。カートリッジ391/392を一度に排出するためのカートリッジ排出器が394で示されている。マガジンは、その中に7つのカートリッジ391を有して示されており、8番目のカートリッジ392は既に排出されている。図示の例では、作業縫合糸393が長尺状の管306内および患者ポータル402内に延びていることが分かるので、少なくとも1つの追加のカートリッジがすでに排出されて使用されている。マガジンが受け器398(
図3A)上に担持されることも理解されるであろう。マガジンおよびその使用に関するさらなる詳細は米国特許出願第17/551,811号、発明の名称「軟組織を骨に取り付けるための結び目のない微小縫合糸アンカーおよびアンカーアレイを埋め込むための送達デバイス」に見出すことができ、その開示は、参照により本明細書に援用される。
【0084】
プランジャおよびレシーバのさらなる詳細が
図4Bおよび
図4Cに示されている。
図4Bから始めると、プランジャ自体が、受け部370に対して伸長位置にある380で示されている。スロット372は、近位ハウジング310の上面図に見ることができる。カートリッジ(図示せず)がスロット372内に配置されると、プランジャは、
図4Cに示されるように押し下げられ得る。そうすることで、アンカーをカートリッジから送達デバイスの長さを通して孔内に横方向に移動させる。次に、アンカーは、骨パンチを近位ハウジングを通してアンカー送出管腔の下方に前進させることによって挿入される準備が整う。
図4Bに戻って参照すると、アンカーは、カートリッジ392がスロット372に挿入されたときにアンカーが線374に沿って概ね位置するようにカートリッジ392内に担持され、アンカー送達管の中線は概ね376で示されている。プランジャは、376においてアンカー送達管の正中線に対して横方向にアンカーを押すことによってアンカーを送達のために準備し、骨パンチがアンカーをアンカー送達管に押し下げるように前進させられるまでアンカーを適所に保持する。
【0085】
加えて、プランジャが押し下げられると、近位ハウジング内で前述した構成の変化が生じる。特に、本明細書に示される例示的な例では、プランジャを押下することにより、上述したスライドストップ350を、ナブサブカプラ340の進路から、および排出器352の進路から横方向に移動させ、アンカーが挿入された後、ナブの後退が可能となる。いくつかの例では、アンカー送達デバイスは、骨パンチがアンカー送達管の管腔を下方に延びているのに対して、プランジャがその延びている位置から押下位置に作動することを許容しない。すなわち、いくつかの例では、医師が最初にトリガーを作動させた後に骨パンチが後退させられるまで、プランジャを完全に押し下げることができない。
【0086】
図4Dは、分離したプランジャを示す。ここで、プランジャ380は、アンカーの下に位置するアンカプラットフォーム383と、カートリッジの整合スロット内に延びる整合バー382とを含む、アンカープッシャ384を含むことが分かる。プランジャ制御アーム385も図示されている。制御アーム385は、アンカーが完全に埋め込まれた後にアンカー送達管およびナブの後退を可能にするためにスライドストップ350を横方向に移動させる前述の要素である。また、制御アーム385は、適所にあるとき、エゼクタ352を上方に押して、エゼクタ(したがってトリガー)のナブサブカプラへの結合を確実にするように機能し、ナブサブカプラは次に、アンカー送達管およびナブに取り付けられる。ガイドアーム381は、プランジャ380が摺動して受け部370に出入りする際に、プランジャ380を案内するために使用される。
【0087】
図3Mに戻って参照すると、プランジャラッチ386(
図4Dでは見えない)は、制御アーム385上に担持される。プランジャラッチ386は、プランジャが完全に挿入されると、プランジャキャッチ387に対して静止し、プランジャ380が外れることを防止する。エゼクタ352がナブサブカプラ340を引き戻すために使用されるとき、エゼクタ352の底部は、制御アーム385を近位方向に押し、
図3Mに示されるように、ナブおよび骨パンチが少なくとも最初に後退させられると、プランジャラッチ386が解放されることを可能にする。プランジャ380の本体は、いくつかの例では、オーバートラベルを可能にして制御アーム385およびプランジャラッチ386のラッチングを確実にする波形ばね(図示されていないが、プランジャ380の本体内に存在する)を用いて、アンカープッシャ384に接続することができる。プランジャラッチ386が解放されると、波形ばね(または提供される場合、別のばね)は、プランジャをその伸長位置に押し戻す。また、スライドストップは、ばね圧力下で元の位置に戻るように移動し得る。
【0088】
代替構成では、制御アーム385は、プランジャの一部でなくてもよく、代わりに、近位ハウジング上のスイッチまたはレバーに結合されてもよく、医師が、プランジャを使用せずに、トリガー動作のモードを決定することを可能にする。この目的のために、
図4Aの部材399は、例えば、スライドストップの位置を制御するためのスイッチまたはボタンとして使用され得る。
【0089】
別の代替形態では、スロット372は、アンカー送達管の中心軸376(
図4B)と一直線に直接配置されてもよく、カートリッジからの横方向移動ではなく、アンカーは、アンカー送達管を直接下方に前進させるための位置に配置されてもよい。一例として、スロット372は、代わりに
図4Bの位置372Aに配置されてもよく、その場合、プランジャ380および受け器370は省略され得る。例えば、医師は、事前に糸が張られたアンカーを滅菌パッケージから取り出し、アンカーを中央に配置されたスロット内に直接配置することができる。あるいは、医師は、カートリッジを挿入することによって、372Aのような中央スロットにアンカーを配置することができる。本明細書のいくつかの例は、アンカーの側方除去のために構成されるカートリッジを示すが、カートリッジが中心に位置するスロット(372A)内に挿入される代替案では、
図5A/5Bに示されるようなカートリッジは、代わりに、軸方向におけるアンカーの除去を可能にする、527で示されるような開口部を有してもよい(そのようなアレイは、ボス512を省略してもよく、および/または軸方向移動を可能にするように、ボス512の上部に位置付けられる作業縫合糸を有する)。他の代替構成も同様に使用することができる。
【0090】
埋め込み手術に関して要約すると、医師は、
図3Aの構成を使用して手術部位を探索し、アンカーが配置される位置を特定する。次に、医師は、骨パンチを前進させる近位パンチヘッドを軽く叩くかまたは強く叩く。骨パンチが前進させられると、近位パンチヘッドが遠位パンチヘッドとラッチし、
図3Bの構成をとり、ナブを外側長尺状管の遠位端の遠位に押し進める。タッピング力が加えられると、骨パンチピンおよび先端の各々が腱を通って骨の中に延び、ナブが押されて骨孔と位置合わせされ、ナブを骨孔と少なくとも部分的に係合させる。動作のこの順序は一例では有用であるが、所望であれば、探索の前にパンチヘッドを一緒にラッチすることなどによって、ステップを所望に応じて並べ替えることができる。
【0091】
次いで、医師は、一度目のトリガーを引く。プランジャは、この時点では係合/押下されていないため、トリガー作動は、骨パンチが後退することになるが、アンカー送達管の端部におけるナブの後退は引き起こさない。カートリッジは、マガジンから取り出され、作業縫合糸においてカートリッジの両側に緩みを生じるようにマガジンから延び、送達デバイスハウジング上のカートリッジを受容するためのスロットに挿入される。カートリッジ配置の前または後に、骨パンチは、骨パンチの遠位先端をプランジャの場所の近位に配置する位置まで後退させられ、プランジャがここで押し下げられることを可能にする。カートリッジを所定位置に配置し、骨パンチを後退させた状態で、プランジャを使用してアンカーを押してアンカー送出管と整列させる。次に、骨パンチを前進させて、アンカーをアンカー送出管の遠位先端部に対して出し入れする。骨パンチの完全な伸長は、近位パンチヘッドを遠位パンチヘッドにラッチすることによって実証され、遠位パンチヘッドは、送達ツールの近位ハウジングにラッチされる。
【0092】
医師は再びトリガーを握りしめる。トリガーのこの第2の作動は、プランジャが完全に挿入された状態で行われ、プランジャの挿入がスライドストップをナブサブカプラの経路から移動させ、エゼクタをそれに係合させ、ナブならびに骨孔の骨の型抜き部分を能動的に引っ張るので、トリガーの作動が骨パンチならびにアンカー送達管を後退させることを意味する。エゼクタがばね作用下でプランジャを解放するように制御バーを押すと、同じトリガー作用がプランジャも解放する。
図6A乃至
図6Iで説明したように、残っているのは、次のアンカーに移動する前に、アンカーのトグルを完了し、作業縫合糸に張力をかけ、続いて縫合糸ロックを固定するステップである。図示されていないが、アンカー送達ツールは、任意選択で、骨パンチがデバイスから完全に外れることを防止するためのパンチ止めを含むことができる。
【0093】
図5A乃至
図5Dは、トグルアンカーを保持するためのカートリッジを示す。
図5Aから始めると、カートリッジ500が、ユーザ/医師によって把持されるように適合されたハンドル502とともに示されている。内側ホルダーは510で示され、カバー520によって囲まれている。内側ホルダー510は、上側アンカー支持体511とボス512との間にアンカー100を固定する。
図5Aに示す構成では、カートリッジは、アンカー100を取り外すことができないという点で「閉鎖」されている。
【0094】
図5Bは、アンカー100がもはやカバー520によって固定されていない「開」位置に上げられたカバー520を示す。カバーは、522、524で2つのチャネルを画定する。第1のチャネル522は、カートリッジ500から出る作業縫合糸のための経路を提供し、第2のチャネル524は、以下にさらに詳述されるように、縫合糸ロックのための経路を提供する。カバーは、必要に応じて、取り扱い中にアンカー100が不用意に外れるのを防止するために、閉位置にばね付勢されてもよい。あるいは、カバーは、挿入中に圧力が加えられるまでカバーを閉位置に保持するための戻り止めを含むことができる。加えて、上部アンカー支持体511およびボス512は、アンカー100が脱落しないように所定の位置に保持されるように離間している。
【0095】
前述したように、代替的な設計は、スロット527と整列して開いた内側ホルダー510を有して、横方向ではなく軸方向にアンカーを除去することを可能にし得る。そのような代替例では、一例において、上側アンカー支持体511およびボス512は、アンカー100が
図5Bに示されるように位置516に保持されるように、内側ホルダー上のより高い位置に配置される。
【0096】
図5Cは、再びカバーを下にした閉位置にあるカートリッジ500を示す。ここで、作業縫合糸530は、第1のチャネル522を通過して示されている。縫合糸ロックも同様に示されており、縫合糸ロックの自由端540は第2のチャネル524を通過し、係止ループは542で示されている。見て分かるように、ボス512は、作業縫合糸530をアンカー510の下側から離して保持し、アンカー510をカートリッジから解放する前に作業縫合糸のフロッシングをより容易にする。すなわち、アンカー510の底部側は、そこを通る作業縫合糸のフロッシングをより困難にするチャネルを含み得るので、作業縫合糸530をアンカー100の底部側から離して保つことは、フロッシングをより容易にし得る。また、作業縫合糸530がアンカー100の底部側の近くに引っ張られるとき、フロッシング時に案内されなければならない経路は、ほぼ90度の第1および第2のターンを含み、作業縫合糸530がフロッシングされるときに摩擦を増加させる。したがって、ボス512は、いくつかの例では、フロッシングをより容易にすることが分かる。他の例では、ボス512は、作業縫合糸がそれに巻き付かないように設計されてもよく、代わりに、アンカー100の底部側上の単純な支持体が提供されてもよく、作業縫合糸は、次いで、支持体とアンカーの底部側との間に静置される。図示されるように配置される作業縫合糸を有することは、図示される例におけるプランジャの挿入によって放出されるまで、アンカーを定位置に保定することを補助し得ることにも留意されたい。
【0097】
図5Dは、カートリッジ500の背面を示す。ここで注目すべきは、係止ループ542の自由端540がチャネルに入り、次いでスプール514に至ることである。一例では、自由端540は、結び目などによってスプール514に取り付けられるため、自由端は、それがもはやスプールを解くことができない点に到達する前に、選択された距離(例えば、10乃至20cm)だけ引っ張られ得る。医師が係止ループを使用しようとするとき、カートリッジ500を把持し、スプールが切れるまで引っ張ることができる。次いで、医師は、以下および上で説明されるように、係止ループが破断結び目(または他の優先破断点)において破断するまで、カートリッジを、ひいては係止ループの自由端を引っ張ることができる。その結果、医師は、カートリッジを手で把持して、係止ループを容易に係止し、係止ループの自由端を破断することができ、特別な工具を必要とせず、かつ/または係止ループの自由端の長尺状のコードを把持しようと試みる必要がない。スプール514は、係止ループの自由端540をスプール514上に巻き付けるために工具を挿入してねじることを可能にする内部機構515を含むことが分かる。トグル留めするステップおよび/または張力をかけるステップと同様に、アンカー送達ツールの遠位端は、係止ループが締め付けられるとともに、自由端が取り外されるときに、腱に外圧を加えるために使用され得る。
【0098】
図5Eは、
図5A乃至
図5Dのカートリッジと
図4A乃至
図4Dのようなプランジャとの相互作用を示す。アンカー送達ツールの近位ハウジングの残りの部分は省略されているが、カートリッジを受容するためのスロット内へのカートリッジ500の挿入は、カバー520を開位置に上昇させていることが理解され得る。次に、プランジャを図示の位置に摺動させる。プランジャが押し下げられると、アンカープッシャ構造584がカートリッジを通過し、アンカー支持体383および整合レール382がカートリッジを通過する。レール382は、上部アンカー支持体511の両側を通り、プランジャが押し下げられたときに作業縫合糸がカートリッジから確実に解放されるようにする。図から分かるように、制御バー385が挿入され、上述したスライドストップを移動させる機能を実行する。
【0099】
例示的なマガジンおよびその使用に関するさらなる詳細は、米国特許出願第17/551,811号、発明の名称「軟組織を骨に取り付けるための結び目のない微小縫合糸アンカーおよびアンカーアレイを埋め込むための送達デバイス」に見出すことができ、その開示は、参照により本明細書に援用される。図示される例示的なアンカー埋め込みシステムは、本開示のアンカーシステムがどのように埋め込まれ得るかの一例に過ぎないことに留意されたい。例えば、図示されるように骨パンチの遠位端を近位ハウジングに完全に引き戻すシステムは、必要でない場合がある。各骨アンカーのための別個のカートリッジが埋め込みシステム内に示されており、他の例では、いくつかのアンカーが、例えば、順次装填のために、長手方向に1つのカートリッジ内に一緒に配置されてもよい。別のアンカー送達ツールは、例えば、2021年4月8日に出願された米国仮特許出願第63/172,629号、発明の名称「軟組織を骨に取り付けるための微小縫合糸アンカーおよびアンカーアレイ埋め込むための送達デバイス」に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。カートリッジからのアンカーの横方向解放ではなく、軸方向解放が使用されてもよい。いくつかの例では、カートリッジを完全に省略することができる。必要に応じて、任意の適切な埋め込みシステムを使用することができる。
【0100】
図6A乃至
図6Gには、個々のアンカーおよびアンカーのアレイを埋め込むための例示的な方法が示されている。さらに、
図6Hおよび
図6Iは、本方法を使用することから生じ得る、独立して張力をかけられ、係止されるアンカー間連続ステッチを有する、回旋筋腱板腱の表面上に埋め込まれた例示的な縫合ステッチアレイを示す。
【0101】
最初に
図6Aを参照すると、埋め込み方法を説明するために、肩回旋筋腱板600の選択部分の概略図が示されている。図は、外側皮質シェル層604および内側海綿骨材料606を含むように示された上腕骨頭602の一部を含む。腱、この場合は棘上筋腱608が、フットプリントに付着している上腕骨頭の一部に重なって示されている。方法は、経腱的または腱修復によるものである。腱608は、最初に、元の取り付けのフットプリント内の骨への再取り付けのために所望の位置に配置される。次いで、
図3A乃至
図3Rの送達デバイスまたは同様のものを利用して、腱608を通してトグル型縫合糸アンカーを埋め込む。最初に、
図3Cのように、埋め込み送達管330および長尺状の管306の遠位端から延びる遠位ナブ332を用いて、送達デバイスが設定される。骨パンチ320は、ナブ332の遠位端を越えて延びるように遠位に完全に挿入され、ナブが定位置に係止されるように定位置に係止される。構成されたデバイスは、
図6Aに示されるように所望のアンカー配置で腱上に配置されるとともに、外側管状部材の遠位端が腱と接触するまで打ち込まれる。この時点で、ナブ332は、皮質シェル604の少なくとも一部分を通って延び(より薄い骨では、ナブ332は、海綿骨606内に延びることができる)、骨パンチ320の遠位端は、海綿骨606内により深く延びている。トグリングを確実にすべく所望の埋め込み深さを達成するために、骨パンチは、約20mm以上の距離だけ長尺状の管306の遠位端を越えて延びている。さらに、骨穴とのナブの位置合わせを確実にするために、ナブ部分332は、長尺状の管306の遠位端を越えて約6乃至約10mmの距離だけ延びる。
【0102】
図6Bに示されるように、骨パンチ320は、次いで、長尺状の管306およびナブ部分332を適所に維持しながら後退させられ、ナブ部分332は、骨に形成された穴との位置合わせを提供する。ナブ部分332による骨孔とのそのような位置合わせがなければ、腱の下の位置が失われ、骨パンチが移動する孔を充填する傾向がある腱を通してアンカーを供給することが非常に困難になる。いくつかの実施例では、上述したように、本方法のこのステップは、埋め込みツール上のトリガーを押下することによって行われてもよく、埋め込みツールは、骨パンチ320に正の後退力を印加しながら、ある状況下で(例えば、スライドストップが定位置にある状態で)延びるナブ部分332を維持するように構成される。
【0103】
第1のトグル型アンカーは、長尺状の管306の内側のアンカー送達管の近位部分に移送または挿入される。次に、
図6Cに示すように、骨パンチ320をアンカー送出管の管腔内に再挿入し、遠位方向に前進させる。
図6Cに示すように、アンカーのトグル本体100は、骨パンチ320によって遠位端から押し出される。骨パンチ320は、その元の深さまで遠位方向に前進し続けて、トグル本体100を骨の中に押し込む。角度の付いた遠位端を有するトグル本体100を用いてアンカーの近位端を骨の中に深く押し込むと、トグル本体100の回転が引き起こされるか、または少なくとも開始されることが分かっている。この最初の回転は、身体の外側で作業縫合糸115上の張った部分を引っ張る際に、継続した回転を確実にする。
【0104】
図6Eに示されるように、骨パンチ320およびナブ332は、次いで、トリガーによる正の力の印加によって(上記の実施例に示されるように)、およびばね作用を用いて後退させられる。これは、ナブ332が作業縫合糸を切断しないこと、またはほつれないことを確実にする。骨孔は図面に示されたままである。次いで、遠位通路から延びる作業縫合糸の遠位部分は、トグル本体上の近位フィンによって補助されるように、アンカーのトグルを完了するために引っ張られる。これは
図6Eに示されている。作業6Fに示すように、作業縫合糸に張力をかけ続けながら、トグル本体100を骨の皮質シェルの内面に向かって引っ張る。このステップを支援するために、アンカー送達ツールの遠位端を腱に対して押圧して、トグル留めおよび/または縫合糸の張力付与中の引き抜きに対する反力を提供することができ、すなわち、アンカーがトグル留めされ、縫合糸が張力付与されると、トグル本体100は、皮質シェルに到達し、皮質シェルを押圧することができる。断裂フットプリントの縁または外側において、および/または上腕骨の大管と小管との間など、特に皮質シェルが薄い領域には、追加の反力が印加され得る。
図6Gに示すように、作業縫合糸115が引っ張られると、ロッキング縫合糸が引っ張られて、作業縫合糸115の周りで係止ループ118を閉じ、トグル本体100に対して作業縫合糸を固定する。いくつかの例では、ロッキング縫合糸は、このステップ中に、アンカー100の中心孔にあるか、またはその内側にある結び目で破断されるため、
図6Gは、長尺状の管306内に戻るように延びる作業縫合糸のみを示す。
【0105】
第1のアンカーの埋め込みによって、作業縫合糸115は、第2のアンカーが埋め込まれるまで、ステッチを形成するために引っ張られ得ないので、単純に係止される。いくつかの例では、アンカーの鎖内の第1のアンカーは、この目的のために予め係止され得る。他の例では、外科医は、埋め込み時に第1のアンカー縫合糸ロックを係止する。したがって、好ましい方法では、第2のアンカーは、縫合糸ロックが異なって係合される程度を除いて、上記のステップを繰り返して埋め込まれる。アンカーをトグル留めするために作業縫合糸が引っ張られると、第1のアンカーと第2のアンカーとの間の緩んだ作業縫合糸が引っ張られて、張力のかかったステッチを形成する。縫合糸に張力をかけている間、長尺状の管306の遠位端は、腱の外側表面に対して維持されて、皮質シェルにおける引き抜きまたは起こり得る骨折を防止することができる。一旦適切に引っ張られると、第2のアンカーは係止される。これらのステップは、アレイ中の残りのアンカーについて繰り返される。
【0106】
図6Hおよび
図6Iに示すように、上記の方法およびデバイスを使用することにより、間隔が狭く、個々に張力がかけられ、締め付けられた連続ステッチの列を作成することができる。好ましいパターンは、
図6Hに示されるように、腱の方向にほぼ垂直なステッチの列を含む。回旋筋腱板修復において、これらは全て、元の腱フットプリントの内側部分に配置される。いくつかの好ましい実施形態では、特に回旋筋腱板修復において、第2の列のアンカーも埋め込まれる。第2の列は、第1の列の側方に埋め込まれ、元のフットプリントの側方部分にいくつかのアンカーを配置し、フットプリントの側方に他のアンカーを配置して断裂した腱の縁を押さえるためのジグザグパターンを含むことができる。裂け目のサイズおよび形状に応じて、他の構成も可能である。例えば、小さな裂け目では、
図6Iに示すように、単一のジグザグ列のステッチを使用することができる。また、アンカーは、完全にまたは部分的に断裂した腱の周辺/縁を補強するために、腱の付着部分の上にステッチを作成するように配置されてもよい。
【0107】
アンカー自体、事前に糸が張られたアンカーアレイ、縫合ロック、カートリッジ、マガジン、およびアンカー送達ツールの比較的完全な説明を上述した。このように、本発明の範囲が開示され、全ての構成要素または部品が一緒に使用される必要はない。例えば、送達ツールは、他のアンカー、カートリッジ、マガジン等と共に使用するように構成されてもよい。同様に、アンカーは、他の作業縫合糸および縫合糸ロック構成、他のカートリッジ、マガジンおよび送達ツールとともに異なる構成で使用されてもよい。したがって、示された全体の組合せは、様々な方法で変更することができる。
【0108】
これらの非限定的な例の各々は、単独で存在し得るか、または他の例のうちの1つ以上との種々の順序もしくは組み合わせで組み合わせられてもよい。
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれている。図面は、例示として、特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示されているかまたは説明されているものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示されるかまたは説明される要素のみが提供される例をも考慮している。さらに、本発明者らは、本明細書に図示されるかまたは記載される特定の例(またはその例の1つまたは複数の態様)に関して、または本明細書に図示されるかまたは記載される他の例(またはそれら例の1つまたは複数の態様)に関して、図示されるかまたは説明される要素(またはそれら要素の1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは順列を使用する例をも考慮している。
【0109】
本明細書と参照により援用された文書との間で一貫性のない使用法がある場合、この明細書の使用法が優先される。本明細書では、「一」または「1つ」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という他の例または使用法とは無関係に、1つまたは2以上を含むために使用されている。さらに特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数値要件を課すことを意図するものではない。
【0110】
上記の説明は、例示を目的としたものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討することにより、当業者などによれば、他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするため、連邦規則法典第37巻のセクション1.72(b)に準拠するように提供されている。それは、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解した上で提出される。
【0111】
また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために、様々な特徴が一緒にグループ化され得る。これは、請求項に記載されていない開示された機能が任意の請求項に不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、革新的な主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にあってもよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で有効であり、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができると考えられる。保護の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の作業縫合糸によって直列に接続されたトグル型縫合糸アンカーのシステムであって、
複数のトグル本体であって、各トグル本体は、近位端と、遠位端と、上面と、底面と、近位孔と、遠位孔とを有し、各孔は、前記上面から前記底面まで延びるとともに、前記トグル本体に沿って間隔を空けて配置されている、複数のトグル本体と、
前記複数のトグル本体を直列に接続する単一の作業縫合糸であって、前記単一の作業縫合糸は、前記上面か
ら近位通路に入り、前記底面から出て、次いで前記底面か
ら遠位通路を通って上方へ戻り、各トグル本体の前記上面から出るとともに、各トグル本体の前記底面に隣接して所定の長さの縫合糸が延びている、単一の作業縫合糸と、
少なくとも1つのトグル本体のための少なくとも1つの独立した縫合糸ロックであって、前記縫合糸ロックは、係止ループと、前記係止ループから延びる自由端とを有し、前記係止ループは、前記少なくとも1つのトグル本体の前記底面に隣接して前記単一の作業縫合糸の前記長さの一部を取り囲み、前記係止ループは、前記作業縫合糸が前記係止ループを通って摺動することを可能にする開位置と、前記作業縫合糸に係合して前記係止ループ内での前記作業縫合糸の摺動を防止する閉位置とを有し、前記縫合糸ロックは、前記自由端にかけられる張力に応答して前記係止ループを前記開位置から前記閉位置に移行させるように構成される、縫合糸ロックと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数のトグル本体は、少なくとも4つのトグル本体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
請求項
1に記載のシステムであって、
前記少なくとも1つのトグル本体は、前記上面から前記底面まで延びる前記トグル本体を貫通する中間孔をさらに含み、前記中間孔は、前記近位孔と前記遠位孔との間に位置し、
前記少なくとも1つのトグル本体のための前記縫合糸ロックは、前記自由端が前記上面にて前記中間孔から外に延びるように、かつ前記係止ループが前記底面にて前記中間孔から外に延びるように、前記中間孔に対して位置決めされている、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
各トグル本体内の前記中間孔は、プラットフォームによって分割された上部および下部を有し、
各縫合糸ロックは、前記係止ループを少なくとも部分的に画定する摺動可能な結び目を含み、
各縫合糸ロックは、前記プラットフォームが前記摺動可能な結び目が前記底面から出ることを防止するように、前記中間孔に対して位置決めされる、システム。
【請求項5】
前記係止ループは第1および第2の脚部を有し、前記中間孔の前記下部は、前記係止ループの両方の脚部が横に並んで通過して前記底面から出ることを可能にするための楕円形を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記摺動可能な結び目は、前記係止ループを画定し、前記縫合糸ロックの前記自由端に張力がかけられることにより、前記係止ループを前記閉位置に配置するように前記摺動可能な結び目が移動する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記摺動可能な結び目は、少なくとも4連単結び目である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のトグル本体の各々のための縫合糸ロックを備える、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステムであって、
前記複数のトグル本体は、第1のトグル本体と、少なくとも1つの追加のトグル本体とを含み、
前記第1のトグル本体には縫合糸ロックが設けられておらず、
前記単一の作業縫合糸は、前記第1のトグル本体に固定され、
各追加のトグル本体に対して縫合糸ロックが提供される、システム。
【請求項10】
各トグル本体は、前記近位通路の近位で前記トグル本体から近位および半径方向外向きの両方に延びる一対のフィンをさらに含み、各フィンの少なくとも一部は、前記トグル本体の最大横方向寸法を超えてさらに半径方向に延びている、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
各縫合糸ロックの自由端は、前記係止ループを前記閉位置に配置するために前記自由端に張力がかけられた後に前記自由端の破断を可能にするための優先脆弱点を含む、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
各トグル本体の前記遠位端は、各トグル本体の前記上面が各トグル本体の前記底面よりも長くなるようなものである、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
各トグル本体は
、3mm未満の最大横方向寸法を有する、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
各トグル本体は
、6mm乃至約10mmの範囲内の長さを有する、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記単一の作業縫合糸は、前記係止ループが使用中に締め付けられたときに少なくと
も25%減少する圧縮可能な断面積を有する編組マルチストランド縫合糸である、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
各トグル本体の前記上面および前記底面は、略平坦であり、各トグル本体は、前記上面と前記底面とを接続する丸みを帯びた側面をさらに含む、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
各トグル本体の前記底面は、張力が前記単一の作業縫合糸にかけられるときに前記単一の作業縫合糸が通過するチャネルをさらに含み、チャネルは、張力がかけられたときに前記単一の作業縫合糸の動きを防止するための摩擦を提供する、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】