(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】広帯域RF通信を具現するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/033 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H04L7/033
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562499
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2021008454
(87)【国際公開番号】W WO2022215806
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046757
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523383819
【氏名又は名称】ポイント2 テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ヒョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ハン ホ
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA03
5K047BB01
5K047GG09
5K047GG10
5K047GG14
5K047GG45
5K047MM40
5K047MM47
(57)【要約】
本発明の一態様によると、位相を同期化するためのシステムであって、参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する第1PLL(Phase Locked Loop)部、および前記第1PLL部によって生成される前記第1クロックおよび受信信号を復号化(demodulation)することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する第2PLL部を含み、前記第2クロックは前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供され、前記受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)は前記第1クロックによって決定されるシステムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域RF通信を具現するためのシステムであって、
参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する第1PLL(Phase Locked Loop)部、および
前記第1PLL部によって生成される前記第1クロックおよび受信信号を復号化(demodulation)することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する第2PLL部を含み、
前記第2クロックは前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供され、
前記受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)は前記第1クロックによって決定される、システム。
【請求項2】
前記第1PLL部が初期状態であれば、任意の初期クロックが前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供されることによって初期搬送周波数を決定する前記第1クロックが生成され、
前記初期搬送周波数がターゲット搬送周波数に所定水準以上に近づく周波数ロック(frequency lock)が感知されると、前記第2クロックが前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供されることによって前記第1PLL部の第1クロックの位相と前記第2PLL部の第2クロックの位相が互いに同期化される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1クロックの位相と前記ベースバンド信号の位相が互いに同期化されることによって位相同期化(Phase Synchronization)が達成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
広帯域RF通信を具現するための方法であって、
第1PLL(Phase Locked Loop)部が参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する段階、および
第2PLL部が前記第1PLL部によって生成される前記第1クロックおよび受信信号を復号化することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する段階を含み、
前記第2クロックは前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供され、
前記受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)が前記第1クロックによって決定される、方法。
【請求項5】
前記第1PLL部が初期状態であれば、任意の初期クロックが前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供されることによって初期搬送周波数を決定する前記第1クロックが生成され、
前記初期搬送周波数がターゲット搬送周波数に所定水準以上に近づく周波数ロック(frequency lock)が感知されると、前記第2クロックが前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供されることによって前記第1PLL部の第1クロックの位相と前記第2PLL部の第2クロックの位相が互いに同期化される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1クロックの位相と前記ベースバンド信号の位相が互いに同期化されることによって位相同期化(Phase Synchronization)が達成される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
広帯域RF通信を具現するためのシステムであって、
搬送周波数(carrier frequency)を利用して受信信号を復号化してベースバンド(baseband)信号を生成する復号化部、および
前記搬送周波数が前記ベースバンド信号のデータレート(data rate)と所定の関係を有するように制御する制御部を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広帯域RF通信を具現するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドサービス、高画質映像サービスなどが広く普及するにつれてデータセンター、コネクテッドカー、映像処理機器などで発生するデータトラフィックが急激に増加しており、これに伴い、集積回路(IC)を連結する入力/出力バス(I/O bus)のデータの送受信速度も高くなることが要求されている。
【0003】
去る数十年の間、費用効率性および電力効率性が優秀な伝導体基盤のインターコネクト(interconnect)(例えば、銅線など)が有線通信システムで広く適用されてきた。しかし、伝導体基盤のインターコネクトは、電磁誘導による表皮効果(skin effect)によって、チャネル帯域幅(channel bandwidth)に根本的な限界を有している。
【0004】
伝導体基盤のインターコネクトに対する代案として、データ送受信速度が速い光(optical)基盤のインターコネクトが紹介されて広く使われているが、光基盤のインターコネクトは設置およびメンテナンス費用が非常に大きいため、伝導体基盤のインターコネクトを完璧に代替することが難しいという限界が存在する。
【0005】
最近では、誘電体からなる導波管で構成される新しいインターコネクトが紹介されたことがある。このような新しいインターコネクト(別名、イーチューブ(E-TUBE))は金属と誘電体の長所をすべて有しているインターコネクトであって、費用および電力の側面での効率性が高く、短い範囲で速い速度のデータ通信を可能とする長所を有しているため、チップツーチップ(chip-to-chip)通信に活用され得るインターコネクトとして脚光を浴びている。
【0006】
一方、誘電体導波管をインターコネクトとして使うチップツーチップ(chip-to-chip)通信は事実上無線(RF)通信に該当し、既存の無線通信とは異なり、数十GHz以上の広帯域コヒーレント(coherent)通信を具現しなければならないため、このような広帯域コヒーレント通信システムの受信端で位相同期化を具現するための技術的手段を設ける必要がある。
【0007】
位相同期化を具現するための従来技術の一例として、I/Q復号化(demodulation)を利用する技術を想定して見ることができるが、この従来技術によると、I/Q位相(I/Q phase)を生成するためにシステムが非常に複雑にならざるを得ず、正確な復号化(demodulation)のために電力消耗が大きい高速アナログ-デジタルコンバータ(ADC)が要求されるという問題がある。
【0008】
従来技術の他の例として、
図1に図示された通り、送信端と受信端を連結する有線ライン(銅線など)11を通じて位相同期化のためのフォワードされたクロック(forwarded clock)を受信端に提供するRF通信システム10を想定して見ることができる。ところが、この従来技術に従っても、フォワードされた参照クロック12の伝送損失(transmission loss)を減らすために非常に低い周波数を使用しなければならないが、これによってフォワードされた参照クロック12(数百MHz)と位相ロックループ(PLL)が生成するクロック13(数十GHz)の間の比率(すなわち、PLL dividing ratio)が非常に高くなってノイズに敏感となり、その結果、RF位相曖昧性(phase ambiguity)が高くなることになる。また、この従来技術によると、位相同期化時にフォワードされた参照クロックにのみ依存して同期化を遂行するため、動的位相オフセット(dynamic phase offset)を追跡できなくなる技術的限界が存在する。
【0009】
そこで、本発明者は、広帯域RF通信でベースバンド信号を利用して位相同期化を具現できる新規かつ進歩した技術と、広帯域RF通信で搬送周波数(carrier frequency)とベースバンド信号のデータレート(data rate)の間の関係を設定する新規かつ進歩した技術を提案するところである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した問題点をすべて解決することをその目的とする。
【0011】
また、本発明は、参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する第1PLL(Phase Locked Loop)部、および第1PLL部によって生成される第1クロックおよび受信信号を復号化(demodulation)することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する第2PLL部を含み、第2クロックは参照クロックとして第1PLL部に提供され、受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)は第1クロックによって決定されるようにすることによって、広帯域RF通信でベースバンド信号を利用して位相同期化を具現することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、搬送周波数(carrier frequency)がベースバンド信号のデータレート(data rate)と所定の関係(例えば、整数倍の関係など)を有するように設定されるようにすることによって、広帯域RF通信を具現するにおいてネガティブ周波数ドメイン(negative frequency domain)から由来するサイドローブ(side lobe)が通信品質に及ぼす影響を最小化することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明の代表的な構成は次の通りである。
【0014】
本発明の一態様によると、広帯域RF通信を具現するためのシステムであって、参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する第1PLL(Phase Locked Loop)部、および前記第1PLL部によって生成される前記第1クロックおよび受信信号を復号化(demodulation)することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する第2PLL部を含み、前記第2クロックは前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供され、前記受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)は前記第1クロックによって決定されるシステムが提供される。
【0015】
また、本発明の他の態様によると、広帯域RF通信を具現するための方法であって、第1PLL(Phase Locked Loop)部が参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロックを生成する段階、および第2PLL部が前記第1PLL部によって生成される前記第1クロックおよび受信信号を復号化することによって生成されるベースバンド(baseband)信号に基づいて第2クロックを生成する段階を含み、前記第2クロックは前記参照クロックとして前記第1PLL部に提供され、前記受信信号に対する復号化に使われる搬送周波数(carrier frequency)が前記第1クロックによって決定される方法が提供される。
【0016】
また、本発明のさらに他の態様によると、広帯域RF通信を具現するためのシステムであって、搬送周波数(carrier frequency)を利用して受信信号を復号化してベースバンド(baseband)信号を生成する復号化部、および前記搬送周波数が前記ベースバンド信号のデータレート(data rate)と所定の関係を有するように制御する制御部を含むシステムが提供される。
【0017】
この他にも、本発明を具現するための他のシステムおよび他の方法がさらに提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ベースバンド信号に基づいて動作する位相ロックループ(PLL)を利用して位相を同期化するため、外部ノイズに強靭(robust)になる効果が達成される。
【0019】
本発明によると、I/Q位相(I/Q phase)を生成するために非常に複雑なシステムを具現する必要がなく、正確な復号化(demodulation)のために電力消耗が大きい高速アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を採用する必要もないため、位相同期化に必要とされるリソースを画期的に減らすことができるようになる効果が達成される。
【0020】
また、本発明によると、外部制御なしに動的位相オフセットを追跡して位相同期化を具現できるようになる効果が達成される。
【0021】
また、本発明によると、フォワードされた参照クロックを利用せずとも位相同期化を具現できるため、フォワードされた参照クロック12と位相ロックループ(PLL)が生成するクロック13の間の高い比率によってノイズに敏感になったり、RF位相曖昧性(phase ambiguity)が高くなる問題を回避できるようになる効果が達成される。
【0022】
また、本発明によると、数十GHz以上の広帯域RF通信でコヒーレント(coherent)システムを具現できるようになる効果が達成される。
【0023】
また、本発明によると、ネガティブ周波数ドメイン(negative frequency domain)から由来するサイドローブ(side lobe)の影響を最小化できるため、広帯域RF通信を具現するにおいて時間ドメインで現れ得るジッタ(deterministic jitter)を画期的に減らすことができるようになる効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術に係るRF通信システムの構成を例示的に示す図面である。
【0025】
【
図2】本発明の一実施例に係る広帯域RF通信システムの受信端の構成を例示的に示す図面である。
【0026】
【
図3-6】本発明の他の実施例により搬送周波数とデータレート間の関係による通信品質の差を例示的に示す図面である。
【0027】
【
図7-8】本発明の一実施例に係る広帯域RF通信システムの受信端がベースバンド信号を利用して位相を同期化する動作を例示的に示す図面である。
【0028】
【
図9】本発明の一実施例により位相同期化過程をシミュレーションした結果を例示的に示す図面である。
【0029】
【符号の説明】
【0030】
10:従来技術に係るRF通信システム
【0031】
100:本発明に係る広帯域RF通信システムの受信端
【0032】
110:第1PLL部
【0033】
120:第2PLL部
【0034】
130:復号化部
【0035】
140:制御部
【発明を実施するための形態】
【0036】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として図示する添付図面を参照する。これら実施例は当業者が本発明を充分に実施できるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに異なるが相互に排他的である必要はないということが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定形状、構造および特性は一実施例に関連して本発明の精神および範囲を逸脱することなく他の実施例で具現され得る。また、それぞれの開示された実施例内の個別の構成要素の位置または配置は本発明の精神および範囲を逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味で取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるのであれば、その請求項が主張するものと均等なすべての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。図面で類似する参照符号は多様な側面に亘って同一または類似する機能を指し示す。
【0037】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して添付された図面を参照して詳細に説明することにする。
【0038】
本明細書で、RF通信システムは、RF信号を送信する送信端およびRF信号を受信する受信端で構成されるトランシーバー(transceiver)を包括する最広義の概念として理解されるべきである。
【0039】
広帯域RF通信システムの構成
【0040】
以下では、本発明の具現のために重要な機能を遂行する広帯域RF通信システムの内部構成および各構成要素の機能について詳察することにする。
【0041】
図2は、本発明の一実施例に係る広帯域RF通信システムの受信端の構成を例示的に示す図面である。
【0042】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る広帯域RF通信システム100の受信端は、第1PLL部110、第2PLL部120、復号化部130および制御部140を含むことができる。
【0043】
まず、本発明の一実施例によると、第1PLL部(すなわち、
図2のRF PLL)110は参照クロック(reference clock)に基づいて第1クロック101を生成する機能を遂行することができる。
【0044】
次に、本発明の一実施例によると、第2PLL部(すなわち、
図2のBB PLL)120は第1PLL部110によって生成される第1クロック101および受信信号を復号化(demodulation)することによって生成されるベースバンド(BB:baseband)信号104に基づいて第2クロック102を生成する機能を遂行することができる。すなわち、本発明の一実施例によると、第2クロック102の位相はベースバンド信号104の位相と同期化され得る。
【0045】
次に、本発明の一実施例によると、復号化部130は第1PLL部110によって生成される第1クロック101によって決定される搬送周波数を利用して受信信号(すなわち、RF信号)103を復号化することによってベースバンド信号104を生成する機能を遂行することができる。
【0046】
次に、本発明の一実施例によると、制御部140は初期搬送周波数がターゲット搬送周波数とほぼ同一の値となる周波数ロックが感知されるかどうかにより第1PLL部110に提供される参照クロックを決定する機能を遂行することができる。後述するように、本発明の一実施例によると、初期搬送周波数を生成するために第1PLL部110に参照クロックとして提供される初期クロックは予め定められる値で設定され得る。例えば、初期クロックは「ターゲット搬送周波数/X(ここで、Xは整数であってもよく、整数でなくてもよい)」で設定され得、このような場合、本発明の一実施例に係る制御部140は、「初期搬送周波数/X」の値と「ターゲット搬送周波数/X」の値間の差が予め設定された水準より小さくなれば周波数ロックが発生したものと感知することができる。
【0047】
具体的には、本発明の一実施例によると、第1PLL部110によって生成される第1クロック101は第2PLL部120および復号化部130に提供され得、第2PLL部120によって生成される第2クロック102は参照クロックとして第1PLL部110に提供され得、受信信号103に対する復号化に使われる搬送周波数は第1クロック101によって決定され得る。
【0048】
したがって、本発明の一実施例によると、第1PLL部110によって生成される第1クロック101と復号化部130によって生成されるベースバンド信号104を利用して第2PLL部120を駆動させることができ、第2PLL部120によって生成される第2クロック102を利用して第1PLL部110を駆動させることができるため、第1PLL部110の第1クロック101の位相と第2PLL部120の第2クロック102の位相が互いに同期化され、ひいては広帯域RF通信システムの受信端で位相同期化がなされ得るようになる。すなわち、本発明の一実施例によると、第2PLL部120によってベースバンド信号104と位相同期化された(phase locked)第2クロック102が第1PLL部110の参照クロックとなり得るため、RF位相同期化がなされ得るようになる。
【0049】
図7および
図8は、本発明の一実施例に係る広帯域RF通信システムの受信端がベースバンド信号を利用して位相を同期化する動作を例示的に示す図面である。
【0050】
まず、
図7を参照すると、第1PLL部110が初期状態である場合、任意の初期クロック105が参照クロックとして第1PLL部110に提供され得、これに伴い、第1PLL部110の発進部111は前記初期クロック105に基づいて第1クロック101を生成することができ、このように生成される第1クロック101によって初期搬送周波数(例えば、第1クロックの6倍)が決定され得る。そして、前記のように決定される初期搬送周波数は時間が経過するほど次第にターゲット搬送周波数に近づき得る。
【0051】
次に、
図8を参照すると、初期搬送周波数がターゲット搬送周波数に所定水準以上に近づく周波数ロック(frequency lock)が感知されると、制御部140は第2クロック102が参照クロックとして第1PLL部110に提供されるように経路を制御でき、これに伴い、第1PLL部110の位相と第2PLL部120の位相が互いに同期化され得るようになる。
【0052】
具体的には、
図8を参照すると、第2クロック102に対して周波数分割が適用されたクロック(すなわち、
図8のPIクロック)が第1PLL部110の参照クロックとして利用され得、これに伴い、第1PLL部110の発進部111がPIクロックと位相ロック(phase locked)され得、その結果、第1PLL部110および第2PLL部120の両方において第1PLL部110の発進部111がベースバンド信号104と位相ロックされ得るようになる。すなわち、第1クロック101により決定される搬送周波数がベースバンド信号104と位相ロックされることにより、位相同期化が達成される。
【0053】
以上で詳察した通り、本発明の一実施例によると、フォワードされたクロック、I/Q復号化または外部制御なしにベースバンドPLL(すなわち、第2PLL部120)を利用して動的位相オフセットを追跡して位相同期化(Phase Synchronization)を達成できるようになる。
【0054】
図9は、本発明の一実施例により位相同期化過程をシミュレーションした結果を例示的に示す図面である。
【0055】
図9を参照すると、初期状態で任意の初期クロックが参照クロックとして第1PLL部に提供されることによって生成される第1クロックによって決定される初期搬送周波数(約13.8GHz)(910)が時間が経つにつれてターゲット搬送周波数(14GHz)に近づくことになることを確認することができる。
【0056】
引き続き、
図9を参照すると、初期搬送周波数とターゲット搬送周波数が予め設定された水準以上に近づく周波数ロック(frequency lock)が発生すれば(920)、第2クロックが参照クロックとして第1PLL部に提供され、これに伴い、位相が同期化され、時間ドメインで現れるジッタ(jitter)も画期的に減ることになることを確認することができる(930)。
【0057】
他の実施例
【0058】
図3~
図6は、本発明の他の実施例により搬送周波数(carrier frequency)とデータレート(data rate)の間の関係による通信品質の差を例示的に示す図面である。
【0059】
まず、
図3を参照すると、ベースバンド信号のデータレートが56Gbps(28GHzに該当する)であり、搬送周波数(310)が70GHzに設定されて、搬送周波数とデータレートが所定の関係(例えば、整数倍の関係など)を満足させることができない場合、ネガティブ周波数ドメインから由来するサイドローブが影響を与えて信号のヌル深さ(null depth)が深刻に減ることになる。
【0060】
次に、
図4を参照すると、ベースバンド信号のデータレートが56Gbps(28GHzに該当する)であり、搬送周波数410が84GHzに設定されて、搬送周波数とデータレートが所定の関係(すなわち、(搬送周波数)/(データレート)=3)を満足させる場合(すなわち、(搬送周波数)/(データレート)=3)、ネガティブ周波数ドメインから由来するサイドローブが信号のヌル深さ(null depth)に特別な影響を与えなくなる。
【0061】
前記のように、搬送周波数とデータレートが所定の関係を満足させることができないことによって信号のヌル深さが減る問題は、ベースバンド信号でも同様に現れ得る。
【0062】
次に、
図5および
図6を参照すると、搬送周波数とデータレートが所定の関係を満足させる場合のアイダイアグラム(eye diagram)(
図5および
図6の(b))とそうでない場合のアイダイアグラム(
図5および
図6の(a))を比較することによって、搬送周波数とデータレートが所定の関係を満足させる場合がそうでない場合に比べて信号のヌル深さの損失が少なく、これによって時間ドメインで限定的ジッタ(deterministic jitter)も小さく現れることを確認することができる。
【0063】
以上で詳察したところに基づいて、本発明の他の実施例に係る広帯域RF通信システム(図示されず)は、通信品質を高めるために、搬送周波数がベースバンド信号のデータレートと所定の関係を有するように設定されるようにすることができる。例えば、搬送周波数はデータレートの整数倍に該当する値で設定され得る。
【0064】
具体的には、本発明の他の実施例によると、広帯域RF通信システムの制御部(図示されず)は、搬送周波数とベースバンド信号のデータレートが相互間に所定の関係を満足するようにするために、搬送周波数の基礎となるクロック(すなわち、受信端のPLLによって生成されるクロック)の周波数が所定の値となるように制御する機能を遂行することができる。
【0065】
例えば、ベースバンド信号のデータレートが56Gbps(28GHzに該当する)であり、所定の関係(すなわち、(搬送周波数)/(データレート)=3)を満足させるために搬送周波数が84GHzに設定されなければならない場合を仮定することができる。このような場合、本発明の他の実施例に係る制御部140は、受信端のPLLによって生成されるクロックの周波数が14GHzとなるように制御でき、このように生成されたクロックに6倍という比率がかけられて84GHzという搬送周波数が生成され得るようになる。
【0066】
また、本発明の他の実施例によると、広帯域RF通信システムの復号化部(図示されず)は、前記のようにベースバンド信号のデータレートと所定の関係を有するように生成される搬送周波数を利用して受信信号(すなわち、広帯域RF信号)を復号化することによって、ベースバンド信号を生成する機能を遂行することができる。
【0067】
一方、以上の他の実施例において、搬送周波数とベースバンド信号のデータレートが整数倍の関係を有する場合について主に説明されたが、本発明で想定され得る搬送周波数とベースバンド信号のデータレートの間の関係が必ずしも前記言及されたところに限定されるものではなく、ネガティブ周波数ドメインから由来するサイドローブが及ぼす影響を減らすという本発明の目的を達成できる範囲内でいくらでも変更され得ることを明らかにしておく。
【0068】
一方、以上の他の実施例において、搬送周波数とベースバンド信号のデータレートが所定の関係を有するようにする構成が、本発明の一実施例に係る位相同期化システムおよび方法に必ずしも適用されなければならないものではないことを明らかにしておく。すなわち、本発明の一実施例に係る位相同期化システムおよび方法は、搬送周波数とベースバンド信号のデータレートの間の関係を別途に設定しないまま、位相同期化を具現してもよい。
【0069】
以上で、本発明に係る広帯域RF通信システムに含まれる構成要素に関する細部事項またはパラメータについて具体的に説明されたが、本発明に係る広帯域RF通信システムの構成が必ずしも前記列挙されたところに限定されるものではなく、本発明の目的または効果を達成できる範囲内でいくらでも変更され得ることを明らかにしておく。
【0070】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正および変形を試みることができる。
【0071】
したがって、本発明の思想は前記説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等にまたは等価的に変形された全てのものは本発明の思想の範疇に属するものと言える。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】