(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】NK細胞およびCD38-標的抗体を用いた癌治療
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240315BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240315BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240315BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240315BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240315BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240315BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240315BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
A61P43/00 121
C12N5/0783 ZNA
C12N15/13
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562500
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022023676
(87)【国際公開番号】W WO2022216826
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523383820
【氏名又は名称】アルティヴァ バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522492967
【氏名又は名称】ジーシー・セル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】GC CELL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リッテン、ジェイソン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ファレル、トーマス ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジョン キン チュアン
(72)【発明者】
【氏名】マンダル、ミリ
(72)【発明者】
【氏名】ソマンチ、シュリーニヴァス サイ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユスン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スンユ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ユ キョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BA21
4B065BB12
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4B065BB19
4B065BB34
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4C085AA13
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4H045AA11
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4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、特に、CD38+癌を患っている患者を治療する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の集団およびヒトCD38を標的とする抗体を患者に投与する段階を含み、前記NK細胞が、患者に対して同種異系であり、KIR-Bハプロタイプであり、患者に対してCD16 158V多形成がホモ接合性である、CD38+癌患者を治療する方法。
【請求項2】
前記癌が、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、前立腺癌、睾丸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記癌が、骨髄腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が、多発性骨髄腫である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記多発性骨髄腫が、高危険骨髄腫またはレナリドミド(lenalidomide)-抵抗性多発性骨髄腫である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者は、抗-CD38抗体を用いた治療後に再発した、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者は、自家幹細胞移植またはキメラ抗原受容体T-細胞療法(CAR-T)を用いた治療後に疾患の進行に移行した、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者は、NK細胞1×10
8~1×10
10個が投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者は、NK細胞1×10
9~8×10
9個が投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者は、NK細胞4×10
8、1×10
9、4×10
9または8×10
9個が投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が、ダラツムマブ(daratumumab)、イサツキシマブ(isatuximab)、またはこれらのバイオシミラーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が、ダラツムマブである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が、イサツキシマブである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者は、治療する前、リンパ球除去化学療法が施される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記リンパ球除去化学療法が、非-骨髄破壊性化学療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リンパ球除去化学療法が、シクロホスファミドおよびフルダラビンのうちの1つ以上を用いた治療を含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記リンパ球除去化学療法が、シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いた治療を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シクロホスファミドは、100-500mg/m
2/dayで投与される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記シクロホスファミドは、250mg/m
2/dayで投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シクロホスファミドは、500mg/m
2/dayで投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記フルダラビンは、10-50mg/m
2/dayで投与される、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記フルダラビンは、30mg/m
2/dayで投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
IL-2の投与を追加的に含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記患者にIL-2を1×10
6IU/m
2で投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者にIL-2を6,000,000IUで投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記IL-2の投与は、NK細胞の投与から1-4時間以内に行われる、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記NK細胞とヒトCD38を標的とする抗体の投与が、毎週行われる、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記NK細胞とヒトCD38を標的とする抗体の投与が、4-8週間毎週行われる、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記NK細胞の投与は、毎週または隔週で行われ、ヒトCD38を標的とする抗体の投与は、隔週でまたは毎月行われる、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記NK細胞およびヒトCD38を標的とする抗体の投与が、2週ごとに行われる、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記NK細胞および抗体の投与が、2週間隔の4回投与を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記NK細胞および抗体の投与が、2週間隔の8回投与を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記NK細胞およびヒトCD38を標的とする抗体の投与が、毎月行われる、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記NK細胞および抗体の投与が、1ヶ月間隔の8回投与を含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、NK細胞およびヒトCD38を標的とする抗体を毎週、隔週または毎月投与する1次コースと、NK細胞およびヒトCD38を標的とする抗体を毎週、隔週、毎月または2ヶ月間隔で投与する2次コースと、で投与することを含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記2次投与コースは、CD38+癌が進行するまで、NK細胞、ヒトCD38を標的とする抗体またはこれら両方ともに対する患者の不耐性によって投与を中断するまで、または患者がNK細胞、ヒトCD38を標的とする抗体またはこれら両方ともに対して毒性を経験するまで継続する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記NK細胞は、遺伝子組換えされていない、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記NK細胞は、少なくとも70%がCD56+およびCD16+である、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記NK細胞は、少なくとも85%がCD56+およびCD3-である、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記NK細胞は、1%以下がCD3+であり、NK細胞は、1%以下がCD19+であり、NK細胞は1%以下がCD14+である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記NK細胞の各投与が、NK細胞1×10
9~5×10
9個の投与である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者は、NK細胞を1次投与する前、CD38標的抗体の用量が投与される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞が、増幅された臍帯血ナチュラルキラー細胞を含む、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、CD16+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、NKG2D+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、NKp46+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、NKp30+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、DNAM-1+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、NKp44+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD3+細胞を含む、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD14+細胞を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD19+細胞を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD38+細胞を含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記ナチュラルキラー細胞が、CD16トランス遺伝子を含まない、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記ナチュラルキラー細胞が、外因性CD16タンパク質を発現しない、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞は、遺伝子操作されていない、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞は、同一の臍帯血供与体に由来する、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記NK細胞の集団が、増幅されたナチュラルキラー細胞を少なくとも1億個含み、例えば、2億、2億5千万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5千万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、900億、1000億、2000億、2500億、3000億、4000億、5000億、6000億、7000億、8000億、9000億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆または10兆個含む、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記NK細胞の集団が、以下を含む方法により生産された、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法:
(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含む種細胞(seed cell)を得る段階;
(b)前記種細胞でCD3+細胞を枯渇処理する段階;
(c)枯渇処理された種細胞を膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第1の複数のHut78細胞とともに培養することにより、ナチュラルキラー細胞を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞を生産し;
これによって増幅されたナチュラルキラー細胞の集団を生産する段階。
【請求項60】
前記NK細胞の集団が、以下を含む方法により生産された、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法:
(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含む種細胞を得る段階;
(b)前記種細胞でCD3+細胞を枯渇処理する段階;
(c)枯渇処理された種細胞を膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第1の複数のHut78細胞とともに培養することにより、ナチュラルキラー細胞を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を生産する段階;および
(d)膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第2の複数のHut78細胞とともに培養することにより、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞を生産し;
これによって増幅されたナチュラルキラー細胞の集団を生産する段階。
【請求項61】
前記NK細胞の集団が、段階(c)の後に、
(i)前記増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を複数の容器で冷凍する段階;および
(ii)前記増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の分液が収容された容器を解凍する段階を追加的に含む方法により生産され、
段階(d)において、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の増幅が、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の分液を増幅させることを含む、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記臍帯血が、KIR-Bハプロタイプであり、CD16 158V多形成に対してホモ接合性である供与体に由来する、請求項59~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記NK細胞の集団が、臍帯血からナチュラルキラー細胞を少なくとも10,000倍、例えば、15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍または70,000倍増幅することを含む方法により生産された、請求項59~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、増幅後に濃縮または分類しない、請求項59~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のCD16を発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKG2Dを発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp30を発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp44を発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp46を発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のDNAM-1を発現するNK細胞の百分率が、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い、請求項59~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
患者にステロイドを投与することを追加的に含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記ステロイドが、デキサメタゾン(dexamethasone)、メチルプレドニゾロン(prednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、ベタメタゾン(bethamethasone)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ステロイドが、デキサメタゾンおよび/またはメチルプレドニゾロンである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ステロイドの投与が、NK細胞の投与時点から1-4時間以内に行われる、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記ステロイドの投与が、NK細胞のADCC活性を低下させたり、または消去しない、請求項71~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記方法が、IL-2を、投与あたり、1×10
6IU/m
2または6×10
6IUで投与することを含む、請求項71~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
IL-2の投与は、NK細胞の投与時点から1-4時間以内に投与する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
増幅されたCD16
+/CD38
lowNK細胞の集団を含む組成物。
【請求項79】
前記NK細胞は、自然的に生成される異種的なNK細胞の集団より低いレベルにCD38を発現する、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記NK細胞が、CD38-標的抗体の存在下でCD38+腫瘍細胞に対してADCC活性を示す、請求項1または79に記載の方法または組成物。
【請求項81】
前記NK細胞が、KIR-AハプロタイプのNK細胞またはCD16 158V多形成がないNK細胞に比べて減少したフラトリサイド活性を示す、請求項1~80のいずれか1項に記載の方法または組成物。
【請求項82】
前記NK細胞が、CD38-標的抗体の存在下で自然的に生成される異種的なNK細胞の集団に比べて減少したフラトリサイド活性を示す、請求項1~81のいずれか1項に記載の方法または組成物。
【請求項83】
前記NK細胞が、CD38+癌治療時、NK細胞とCD38標的抗体との組み合わせの効能を減少させないレベルにフラトリサイドをCD38標的抗体の存在下で示す、請求項1~82のいずれか1項に記載の方法または組成物。
【請求項84】
前記NK細胞が、CD38
+であり、NK細胞が抗-CD38抗体の存在下でCD38+癌細胞に対してADCC活性を示し、前記細胞は、抗体の存在下でNK細胞に対してはADCC活性を実質的に示さない、請求項1~83のいずれか1項に記載の方法または組成物。
【請求項85】
下記の段階を含む、CD16
+/CD38
lowNK細胞の集団を生成する方法:
KIR-BハプロタイプまたはCD16 158V/V遺伝子型に対するホモ接合性を有する供与体からNK細胞を含む臍帯血サンプルを得る段階;および
NK細胞をCD4
+T細胞株の存在下で試験管内で増幅する段階。
【請求項86】
下記の段階を含む、CD16
+/CD38
lowNK細胞の集団を濃縮する方法:
KIR-BハプロタイプまたはCD16 158V/V遺伝子型に対するホモ接合性を有する供与体からNK細胞を含む臍帯血サンプルを得る段階;および
NK細胞をCD4
+T細胞株の存在下で試験管内で増幅する段階。
【請求項87】
NK細胞を含む臍帯血サンプルが、CD38
highNK細胞の集団を含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
NK細胞を含む臍帯血サンプルが、CD38
lowNK細胞の集団を含む、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記CD16
+/CD38
lowNK細胞の集団は、遺伝子操作されていない、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記CD16
+/CD38
lowNK細胞の集団は、CD38発現を変形するように遺伝子操作されていない、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
NK細胞と、NK細胞および癌細胞に独立に結合する抗原結合部位を含む抗体を投与する段階を含み;
前記NK細胞が、抗体に結合したNK細胞よりは抗体に結合した癌細胞を差別的に標的化する、癌を標的化する方法。
【請求項92】
NK細胞と、NK細胞および癌細胞に独立に結合する抗原結合部位を含む抗体を投与する段階を含み、前記抗原結合部位が、NK細胞よりは癌細胞に差別的に結合する、癌細胞を標的化する方法。
【請求項93】
下記の段階を含む、CD38+癌患者を治療する方法:
1)NK細胞の集団を投与する段階であって、
前記NK細胞は、CD38
+であり、
前記細胞は、抗-CD38抗体の存在下でCD38
+癌細胞に対するADCCを媒介し、
前記細胞は、抗-CD38抗体の存在下でNK細胞の集団の他のCD38
+NK細胞に対するADCCを実質的に媒介しない、段階;および
2)抗-CD38抗体を投与する段階。
【請求項94】
NK細胞が、患者に対して同種異系であり、KIR-Bハプロタイプであり、患者に対するCD16 158V多形成がホモ接合性である、請求項93に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年12月16日付の米国仮出願番号63/290,351および2021年4月8日付の米国仮出願番号63/172,424に対して優先権を主張する。これらの文献は全体内容として援用により本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー細胞は、腫瘍細胞とウイルス-感染した細胞を細胞溶解する固有の能力を有する先天的な免疫システムの細胞溶解性細胞である。NK細胞が受容体にエンゲージング(engaging)すれば、細胞溶解性顆粒の脱顆粒、標的細胞上のプログラムされた細胞死滅受容体の活性化および免疫調節性サイトカインの分泌によりエフェクター機能が促される。ナチュラルキラー細胞のエフェクター機能は、受容体活性化シグナル伝達と受容体阻害性シグナル伝達との間の均衡により制御される。古典的に、NK細胞は、CD56+およびCD3-細胞と定義されるが、これはCD56brightCD16-サイトカイン-分泌細胞と、CD56dimCD16+細胞溶解性細胞とに細分される。CD16と抗体オプソニン化された腫瘍細胞との間のエンゲージングは、休止中のNK細胞による細胞毒性およびサイトカイン分泌反応を誘発するのに十分である。
【0003】
抗体-依存的な細胞毒性(ADCC)は、結合した抗体の不変領域を認知するFc受容体を有する細胞によって抗体-コーティングされた標的細胞を殺す先天的な免疫システムの核心構成要素である。ADCCは、NK細胞によって表面に発現したFc受容体FCγRIII(CD16)を介して媒介される。ADCCは、特に兔疫グロブリンG1(IgG1)およびIG3サブクラスに属する抗体と組み合わせて、強力なNK細胞の作用機序として認識されている。
【0004】
多発性骨髄腫は、長期間(数ヶ月~数年)骨髄で生存する最終分化された非-分裂細胞でかつ主要機能が抗原-特異的な免疫グロブリンを生産する形質細胞の蓄積、およびクローン増殖を特徴とするB細胞悪性腫瘍である。骨髄障害も多発性骨髄腫を定義する特徴である。この疾患の兆候および症状としては、貧血、感染の危険が増加した免疫麻痺、高カルシウム血症、腎機能不全、貧血および/または骨溶解性病変による広範囲な骨損傷に起因する骨折と骨の痛みを含む。多発性骨髄腫と診断するためにはこのような症状がなければならず、最近は予測バイオマーカーの存在が確認されなければならない。多発性骨髄腫において特徴的なクローン形質細胞でよく発見される遺伝子異常には、14番染色体の重鎖遺伝子座(14q32)に関連する再発性転座、遺伝物質の獲得(染色体1q)または喪失(1p、13q、17p)、そして奇数番染色体のトリソミーがある。
【0005】
多発性骨髄腫の診断は全体癌の~2%を占め、特に血液癌の~10%を占める。2021年には34,920人が多発性骨髄腫と新規診断され、約12,410人がそれによって死亡したと推定された。この疾患は、女性(42%)よりは男性(58%)でより多く、白人またはアジア系よりは黒人で発病の可能性が(2~3倍)より高い。米国で平均診断年齢は69歳であり、多発性骨髄腫の年齢標準化発生率(age-adjusted incidence)は約100,000件あたり6.6件で比較的安定している。
【0006】
多発性骨髄腫疾患はゆっくりかつ意図的に進行する。大部分の患者は50代前半に未確定単クローン性免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance、MGUS)と称される無症状の基底病態が最初に発生する。MGUSからその次に重大な病態である無症状多発性骨髄腫(smoldering multiple myeloma、SMM)に進行する比率は年間約1%と遅い。患者はSMMに進行する前に最大15年間MGUSを患うことがある。SMMから症状性骨髄腫への進行も、最初の5年間年間約10%、その後には5年間3%、その後には1%と、同じく遅い。そのため、MGUSから多発性骨髄腫に進行する危険は20年かけて約18%と遅い。
【0007】
新規診断された患者は、自家造血幹細胞移植(ASCT)に対する適合性の有無によって分類することが多い。適格者に分類された患者は、疾患の負担を低減するために誘導療法を開始し、ASCTを施した後、維持療法でフォローアップされる。ASCTの不可能な患者は、ステロイド(例えば、デキサメタゾンまたはプレドニゾロン)、アルキル化剤およびアントラサイクリンなどの代替薬物で治療する。これらの製剤は最初は効果的であるが、患者に深刻な副作用を誘発しやすい。これとともに、これらの製剤は完治性ではなく、このような療法を受ける多発性骨髄腫患者のほとんどが再発する。現在、多発性骨髄腫に対する標準管理は、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(bortezomib)、カルフィルゾミブ(carfilzomib))、免疫調節剤(例えば、レナリドミド(lenalidomide))およびステロイドの組み合わせを含む。
【0008】
単クローン抗体(mAb)療法のような標的療法が癌治療を革新した。ダラツムマブ(daratumumab)は、多発性骨髄腫を再発状況で治療するための単一療法として許可されたmAbである。ダラツムマブは、プロテアソーム阻害剤または免疫調節剤およびコルチコステロイドと組み合わせて、非-治療の、再発性/難治性骨髄腫に対して許可された。このmAbは悪性形質細胞上で広く発現するCD38を標的とする。ダラツムマブは細胞死滅を誘導する様々な作用機序を有している:補体-依存的な細胞毒性、抗体-依存的な細胞性食細胞作用、アポトーシスおよびADCC。ダラツムマブの効能は、あいにくにもADCC反応の低下によって多発性骨髄腫患者で阻止されることがあり、そのため、臨床結果に否定的に作用する。ADCC反応を減少させることができる1つの機序はNK細胞の消失によるものである。
【0009】
しかし、NK細胞はCD38を発現し;もし、ダラツムマブが結合すれば、NK細胞は細胞溶解またはフラトリサイド(fratricide)を受けることがある。したがって、ダラツムマブの存在下でも細胞溶解しないNK細胞が必要である。このようなNK細胞はダラツムマブのADCC活性を改善して、患者の転帰を改善するはずである。最近、いくつかの抗癌剤の発見と開発にもかかわらず、多発性骨髄腫の予後不良によって、依然として改善された方法および治療剤が要求されている。
【0010】
2005年以来、同種異系NK細胞治療剤が臨床的に使用されているが、生産ソーシング(product sourcing)、拡張性および用量別の偏差による問題によってその活用性は限られている。同種異系NK細胞製品をダラツムマブと組み合わせれば、ADCC反応が経時的に消失する多発性骨髄腫患者において効能改善を達成できる。
【0011】
本発明は、当該技術分野における上記の問題とその他の問題を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
NK細胞は、その細胞表面受容体の複合アレイを介してのみならず、ADCCを介して腫瘍細胞とエンゲージングできる免疫細胞である。NK細胞は、ADCCを開始するために、自身の表面CD16受容体を介して抗体とエンゲージングできる。NK細胞は、CAR-T細胞療法およびその他の細胞療法に用いられるT細胞のような他の免疫細胞より優れているという利点がある。一つの例示的な利点として、NK細胞は、同種異系療法として用いることができるが、ある供与体に由来するNK細胞をHLAマッチング、遺伝子編集またはその他の遺伝子操作なしに、1人または複数の患者に安全に使用可能である。抗-腫瘍活性を有する同種異系NK細胞は、重症サイトカイン放出症侯群(CRS)および神経毒性または移植片対宿主疾患(GvHD)のようなT細胞療法に関連する多くの危険性なく、患者への安全な投与が可能である。
【0013】
同種異系NK細胞は癌患者に重大な治療オプションを提供することができる。一つの例示的な利点として、NK細胞は、他の細胞ベースの療法に関連するGVHD、神経毒性またはCRSの発病なく、耐薬性(tolerability)に優れている。他の例示的な利点として、NK細胞は、腫瘍細胞を識別して溶解するのに事前の抗原露出または特異的な抗原の発現を要求しない。他の例示的な利点として、NK細胞は、先天的な免疫を連結し、多重-クローン性適応免疫反応を起こして長期間の抗癌免疫記憶を構築する固有の能力を有している。このような特徴はすべて癌治療オプションとして潜在的なNK細胞の効果に寄与する。
【0014】
例えば、NK細胞は、免疫システムの他の構成要素を動員して活性化することができる。活性化されたNK細胞は、サイトカインおよびケモカイン、例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、およびシグナルを伝達してT細胞を腫瘍に動員するマクロファージ炎症性タンパク質1(MIP1)を分泌する。NK細胞はまた、直接腫瘍細胞を殺すことにより、適応免疫システムによって認知されるように腫瘍抗原を露出する。
【0015】
これとともに、多様な臍帯血バンクをNK細胞の供給源として用いることにより、臨床活性を強化するのに好ましい特徴(例えば、高親和性CD16およびキラー細胞免疫グロブリン-様受容体(KIR)B-ハプロタイプ)を有する臍帯血を選別することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願に記載されているように、同種異系NK細胞の投与は、例えば、単クローン抗体療法の進行中に患者のADCC反応を強化することができる。
【0017】
そこで、本発明は、何よりも、CD38+癌を患っている患者を治療する方法を提供する。
【0018】
本発明は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の集団およびヒトCD38を標的とする抗体を投与する段階を含み、NK細胞が、患者に対して同種異系であり、KIR-Bハプロタイプであり、患者に対するCD16 158V多形成がホモ接合性(homozygous for a CD16 158V polymorphism)である、CD38+癌を患っている患者を治療する方法を提供する。
【0019】
一部の実施形態において、癌は、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、前立腺癌、睾丸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0020】
一部の実施形態において、癌は、骨髄腫である。一部の実施形態において、癌は、多発性骨髄腫である。一部の実施形態において、多発性骨髄腫は、高危険骨髄腫またはレナリドミド(lenalidomide)-抵抗性多発性骨髄腫である。一部の実施形態において、患者は、抗-CD38抗体を用いた治療後に再発した。一部の実施形態において、患者は、自家幹細胞移植またはキメラ抗原受容体T-細胞療法(CAR-T)を用いた治療後に疾患の進行を経験したことがある。
【0021】
一部の実施形態において、患者にNK細胞を1×108~1×1010個投与する。一部の実施形態において、患者にNK細胞を1×109~8×109個投与する。一部の実施形態において、患者にNK細胞を4×108、1×109、4×109または8×109個投与する。
【0022】
一部の実施形態において、抗体は、ダラツムマブ(daratumumab)、イサツキシマブ(isatuximab)またはそのバイオシミラーである。一部の実施形態において、抗体は、ダラツムマブである。一部の実施形態において、抗体は、イサツキシマブである。一部の実施形態において、患者は、治療する前にリンパ球除去化学療法(lymphodepleting chemotherapy)を受ける。一部の実施形態において、リンパ球除去化学療法は、非-骨髄破壊性化学療法(non-myeloablative chemotherapy)である。一部の実施形態において、リンパ球除去化学療法は、シクロホスファミドおよびフルダラビンのうちの1つ以上を用いた治療を含む。一部の実施形態において、リンパ球除去化学療法は、シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いた治療を含む。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、100-500mg/m2/dayで投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、250mg/m2/dayで投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、500mg/m2/dayで投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、10-50mg/m2/dayで投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、30mg/m2/dayで投与される。
【0023】
一部の実施形態において、本方法は、IL-2の投与を追加的に含む。一部の実施形態において、IL-2は、患者に1×106IU/m2で投与される。一部の実施形態において、IL-2は、患者に6,000,000IUで投与される。一部の実施形態において、IL-2の投与は、NK細胞を投与した時点から1-4時間以内に行われる。
【0024】
一部の実施形態において、NK細胞およびヒトCD38標的抗体の投与は、毎週行われる。一部の実施形態において、NK細胞およびヒトCD38標的抗体は、4-8週間毎週投与する。一部の実施形態において、NK細胞の投与は、毎週または隔週で行われ、ヒトCD38標的抗体の投与は、隔週または毎月行われる。一部の実施形態において、NK細胞およびヒトCD38標的抗体の投与は、2週ごとに行われる。
【0025】
一部の実施形態において、NK細胞および抗体の投与は、2週間隔で4回投与を含む。一部の実施形態において、NK細胞および抗体の投与は、2週間隔で8回投与を含む。一部の実施形態において、NK細胞およびヒトCD38標的抗体の投与は、毎月行われる。一部の実施形態において、NK細胞および抗体の投与は、1ヶ月間隔で8回投与を含む。
【0026】
一部の実施形態において、本発明は、NK細胞およびヒトCD38標的抗体を毎週、隔週または毎月投与する1次コースと、NK細胞およびヒトCD38標的抗体を毎週、隔週、毎月または2ヶ月間隔で投与する2次コースと、で投与することを含む。一部の実施形態において、2次投与コースは、CD38+癌が進行するまで、またはNK細胞、ヒトCD38標的抗体またはこれら両方ともに対する患者の不耐性(intolerance)によって投与を中断するまで、または患者がNK細胞、ヒトCD38標的抗体またはこれら両方ともに対して毒性を示すまで継続する。
【0027】
一部の実施形態において、NK細胞は、遺伝子組換えされていない。一部の実施形態において、NK細胞の少なくとも70%がCD56+およびCD16+である。一部の実施形態において、NK細胞の少なくとも85%がCD56+およびCD3-である。一部の実施形態において、NK細胞の1%以下がCD3+であり、NK細胞の1%以下がCD19+であり、NK細胞の1%以下がCD14+である。一部の実施形態において、NK細胞の各投与は、NK細胞1×109~5×109個を投与することである。一部の実施形態において、NK細胞を1次投与する前、CD38標的抗体の用量が患者に投与される。
【0028】
一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞は、増幅された臍帯血ナチュラルキラー細胞である。
【0029】
一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でCD16+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でNKG2D+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でNKp46+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でNKp30+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でDNAM-1+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%でNKp44+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD3+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD14+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD19+細胞を含む。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満、例えば、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下または0%でCD38+細胞を含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、CD16トランス遺伝子を含まない。
【0030】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、外因性CD16タンパク質を発現しない。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞は、遺伝子操作されていない。
【0031】
一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞は、同一の臍帯血供与体に由来する。
【0032】
一部の実施形態において、NK細胞の集団は、増幅されたナチュラルキラー細胞を少なくとも1億個含み、例えば、2億、2億5千万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5千万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、900億、1000億、2000億、2500億、3000億、4000億、5000億、6000億、7000億、8000億、9000億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆または10兆個含む。
【0033】
一部の実施形態において、NK細胞の集団は、(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含む種細胞(seed cell)を得る段階;(b)種細胞でCD3+細胞を枯渇処理する段階;(c)枯渇処理された種細胞を膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第1の複数のHut78細胞とともに培養することにより、ナチュラルキラー細胞を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞を生産し、これによって増幅されたナチュラルキラー細胞の集団を生産する段階を含む方法により生産される。
【0034】
一部の実施形態において、NK細胞の集団は、(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含む種細胞を得る段階;(b)種細胞でCD3+細胞を枯渇処理する段階;(c)枯渇処理された種細胞を膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第1の複数のHut78細胞とともに培養することにより、ナチュラルキラー細胞を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を生産する段階;および(d)膜結合型IL-21、TNFα突然変異および4-1BBL遺伝子を発現するように操作された第2の複数のHut78細胞とともに培養することにより、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を増幅させて、増幅されたナチュラルキラー細胞を生産し;これによって増幅されたナチュラルキラー細胞の集団を生産する段階を含む方法により生産される。
【0035】
一部の実施形態において、NK細胞の集団は、段階(c)の後に、(i)増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を複数の容器で冷凍する段階;および(ii)増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の分液が収容された容器を解凍する段階を追加的に含む方法により生産されるが、ここで、段階(d)において、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の増幅は、増幅されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の分液を増幅させることを含む。
【0036】
一部の実施形態において、臍帯血は、KIR-Bハプロタイプであり、CD16 158V多形成に対してホモ接合性である供与体に由来する。
【0037】
一部の実施形態において、NK細胞の集団は、臍帯血からナチュラルキラー細胞を少なくとも10,000倍、例えば、15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍または70,000倍増幅させることを含む方法により生産される。
【0038】
一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団は、増幅後に濃縮または分類しない。
【0039】
一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のCD16を発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKG2Dを発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp30を発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp44を発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のNKp46を発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。一部の実施形態において、増幅されたナチュラルキラー細胞の集団中のDNAM-1を発現するNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0040】
一部の実施形態において、本方法は、ステロイドを患者に投与することを追加的に含む。一部の実施形態において、ステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン(prednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、ベタメタゾン(bethamethasone)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態において、ステロイドは、デキサメタゾンおよび/またはメチルプレドニソルロンである。一部の実施形態において、ステロイドは、NK細胞を投与した時点から1-4時間以内に投与する。一部の実施形態において、ステロイドの投与は、NK細胞のADCC活性を低下させたり、または消去しない。
【0041】
一部の実施形態において、本方法は、IL-2を、投与あたり、1×106IU/m2または6×106IUで投与することを含む。一部の実施形態において、IL-2は、NK細胞を投与した時点から1-4時間以内に投与する。
【0042】
また、本発明は、増幅されたCD16+/CD38lowNK細胞の集団を含む組成物を提供する。一部の実施形態において、NK細胞は、自然的に生成される異種的なNK細胞の集団より低いレベルにCD38を発現する。一部の実施形態において、NK細胞は、CD38-標的抗体の存在下でCD38+腫瘍細胞に対してADCC活性を発揮する。一部の実施形態において、NK細胞は、KIR-AハプロタイプのNK細胞またはCD16 158V多形成がないNK細胞に比べて減少したフラトリサイド活性を示す。一部の実施形態において、NK細胞は、CD38-標的抗体の存在下で自然的に生成される異種的なNK細胞の集団に比べて減少したフラトリサイド活性を示す。一部の実施形態において、NK細胞は、CD38+癌を治療するにあたりNK細胞およびCD38標的抗体の組み合わせの効能を減少させないレベルにフラトリサイドをCD38標的抗体の存在下で示す。一部の実施形態において、NK細胞は、CD38+であり、ここで、NK細胞は、抗-CD38抗体の存在下でCD38+癌細胞に対してADCC活性を発揮するが、抗体の存在下でNK細胞に対してはADCC活性を実質的に示さない。
【0043】
また、本発明は、KIR-BハプロタイプまたはCD16 158V/V遺伝子型に対するホモ接合性を有する供与体に由来するNK細胞を含む臍帯血サンプルを得る段階;およびNK細胞をCD4+T細胞株の存在下で試験管内で増幅する段階を含むCD16+/CD38lowNK細胞の集団を構築する方法を提供する。また、本発明は、KIR-BハプロタイプまたはCD16 158V/V遺伝子型に対するホモ接合性を有する供与体に由来するNK細胞を含む臍帯血サンプルを得る段階;およびNK細胞をCD4+T細胞株の存在下で試験管内で増幅する段階を含むCD16+/CD38lowNK細胞の集団を濃縮する方法を提供する。
【0044】
一部の実施形態において、NK細胞を含む臍帯血サンプルは、CD38highNK細胞の集団を含む。一部の実施形態において、NK細胞を含む臍帯血サンプルは、CD38lowNK細胞の集団を含む。一部の実施形態において、CD16+/CD38lowNK細胞の集団は、遺伝子操作されていない。一部の実施形態において、CD16+/CD38lowNK細胞の集団は、CD38の発現を変形するように遺伝子操作されていない。
【0045】
また、本発明は、NK細胞および癌細胞に独立に結合する抗原結合部位を含む抗体;およびNK細胞を投与することを含み、NK細胞が抗体に結合したNK細胞よりは抗体に結合した癌細胞を差別的に標的化する、癌細胞を標的化する方法を提供する。
【0046】
また、本発明は、NK細胞;およびNK細胞と癌細胞に独立に結合する抗原結合部位を含む抗体を投与することを含み、抗原結合部位がNK細胞よりは癌細胞に差別的に結合する、癌細胞を標的化する方法を提供する。
【0047】
さらに、本発明は、1)NK細胞の集団を投与する段階であって、NK細胞は、CD38+であり、前記細胞は、抗-CD38抗体の存在下でCD38+癌細胞に対してADCCを媒介し、前記細胞は、抗-CD38抗体の存在下でNK細胞の集団から他のCD38+NK細胞に対してはADCCを実質的に媒介しない段階;および2)抗-CD38抗体を投与する段階を含む、CD38+癌を患っている患者を治療する方法を提供する。
【0048】
一部の実施形態において、NK細胞は、患者に対して同種異系であり、KIR-Bハプロタイプであり、患者に対するCD16 158V多形成に対してホモ接合性である。
【0049】
他に断らない限り、本発明で使用されたすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における通常の当業者が共通して理解する意味と同一の意味を有する。本発明で利用するための方法および材料が本願に記載され;当該技術分野で公知の他の適切な方法および材料も利用可能である。材料、方法および例は例示したものに過ぎず、制限するものではない。本願に言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリおよびその他の参考文献は全体として援用により本願に取り込まれる。矛盾が生じた場合、定義を含む本明細書を優先する。
【0050】
下記の詳細な説明および図面から、そして請求項から、本発明の他の特徴および利点が明確になるであろう。
【0051】
援用による取り込み
本明細書に言及されたすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの個別刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別的に援用により取り込まれるもので、意図するものと同じ程度に援用により本願に取り込まれる。
【0052】
本発明の新規な特徴は、添付した請求項に詳細に記載される。特許または出願ファイルには有色で作成された1つ以上の図面が含まれている。有色の図面が含まれている本特許または特許出願公開公報の写本は、要求書と所定の手数料を支払えば特許庁から提供される。本発明の特徴および利点は、本発明の原理が適用された例示的な実施形態が記載された下記の詳細な説明と下記の添付した図面を参照してより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】NK細胞の増幅および刺激方法に対する例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】前臨床実験において臍帯血-由来NK細胞(CB-NK)が末梢血-由来NK細胞(PB-NK)に比べて培養増幅力が約10倍高いことを示す図である。
【
図3】臍帯血-由来医薬品において腫瘍-エンゲージングNK活性化免疫受容体の発現が末梢血起源と比較してより高くて一定であることを示す図である。
【
図4】増幅および刺激されたNK細胞の集団の表現型を示す図である。
【
図5】臍帯血-由来NK細胞増幅集団の一例としてAB-101医薬品を製造する核心的な段階を示す図である。
【
図6】AB-101の純度(n=9)を示す図である。
【
図7】GMP条件で製造したCD3-枯渇細胞、MCBおよびDPの純度を示す図である。
【
図8】GMP条件で製造したCD3-枯渇細胞、MCBおよびDPでのNK細胞受容体の発現を示す図である。
【
図9】フローサイトメトリー測定によるNK純度(CD56+/CD3-)を示す図である。
【
図10】臍帯血供与体3種に由来する増幅されたNK細胞のCD38+発現を示す図である。
【
図11】臍帯血供与体3種に由来するCD38+NK細胞のCD38+の平均蛍光強度を示す図である。
【
図13】解凍後AB-101の細胞生存性、純度およびCD38発現を示す図である。上左:解凍後AB-101の細胞生存性;上中央:CD56+CD3-によって定義されたAB-101の純度;上右:CD56+細胞上でCD16発現が確認される;下左:AB-101 CD56+細胞は、GMPロット(lot)でCD38発現率が低く、24時間培養した後に変化しない;下右:CD38発現の低い蛍光強度幾何平均。
【
図14】解凍後PB-NKの細胞生存性、純度およびCD38発現。上左:解凍後PB-NKの細胞生存性;上中央:CD56+CD3-として定義されるPB-NKの純度;上右:CD56+細胞上でCD16発現が確認される;下左:PB-NK CD56+細胞は、CD38発現性が高い;下右:CD38発現の高い蛍光強度幾何平均。
【
図15】多様な濃度でダラツムマブとともにインキュベーションした場合、AB-101細胞がフラトリサイドを行わないことを示す図である。
【
図16】ダラツムマブが補体-依存的な細胞毒性(CDC)を誘発することを示す図である。上左、上右および下左:AB-101細胞は、多様な濃度のダラツムマブとインキュベーションした場合、補体媒介細胞溶解を行わない;下右:対照群の腫瘍細胞株Daudiは、ダラツムマブの存在下でCDCにより細胞溶解する。
【
図17】Daudi細胞株でAB-101+ダラツムマブADCCに対するデキサメタゾンの影響(供与体3個の平均)を示す図である。
【
図18】NCI-H929細胞株でAB-101+ダラツムマブADCCに対するデキサメタゾンの影響(供与体3個の平均)を示す図である。
【
図19】RPMI8226細胞株でAB-101+ダラツムマブADCCに対するデキサメタゾンの影響(供与体3個の平均)を示す図である。
【
図20】K562細胞株でAB-101+ダラツムマブADCCに対するデキサメタゾンの影響(供与体3個の平均)を示す図である。
【
図21】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをDaudiに対して誘導することを示す図である。
【
図22】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをNCI-H929に対して誘導することを示す図である。
【
図23】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをRPMI-8226に対して誘導することを示す図である。
【
図24】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをMM.1Rに対して誘導することを示す図である。
【
図25】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをMM.1Sに対して誘導することを示す図である。
【
図26】ダラツムマブがAB-101細胞による有意なADCCをK562に対して誘導することを示す図である。
【
図27】ダラツムマブがAB-101細胞がサイトカインを分泌するように誘導することを示す図である。
【
図28】ダラツムマブがAB-101細胞がサイトカインを分泌するように誘導することを示す図である。
【
図29】ダラツムマブがAB-101細胞がサイトカインを分泌するように誘導することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、特に、NK細胞、例えば、増幅および刺激されたNK細胞、NK細胞の生産方法、NK細胞を含む薬学的組成物、およびNK細胞を用いた癌患者を治療する方法を提供する。
【0055】
I.ナチュラルキラー細胞の増幅および刺激
一部の実施形態において、NK細胞は、フィーダー細胞(feeder cell)を用いた培養および刺激によって、増幅および刺激される。
【0056】
NK細胞は、例えば、US2020/0108096またはWO2020/101361に記載されているように、増幅および刺激可能であり、これら2つの文献とも全体として援用により本明細書に取り込まれる。簡略に、供給源細胞(source cell)は、US2020/0108096に記載されているように、4-1BBL、膜結合型IL-21および突然変異TNFαを発現するように操作された、組換えられたHuT-78(ATCC(R) TIB-161TM)細胞上で培養することができる。
【0057】
適切なNK細胞はまた、本願に記載されているように、増幅および刺激可能である。
【0058】
一部の実施形態において、NK細胞は、(a)NK細胞、NK細胞を含む組成物、例えば、CD3(-)枯渇した細胞を提供する段階;および(b)フィーダー細胞および/または刺激因子を含む培地で培養して、増幅および刺激されたNK細胞の集団を生産する段階を含む方法により、増幅および刺激される。
【0059】
A.ナチュラルキラー細胞供給源
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、末梢血、末梢血リンパ球(PBL)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、臍帯血(umbilical cord bloodまたはcord blood)、単離されたNK細胞、誘導された万能性幹細胞に由来するNK細胞、胚幹細胞に由来するNK細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0060】
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、臍帯血単一ユニット(single unit)である。
【0061】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞(total nucleated cell)を1×107または約1×107~1×109または約1×109個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞を1×108または約1×108~1.5×108または約1.5×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞を1×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞を約1×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞を1×109個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、総有核細胞を約1×109個含む。
【0062】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、CD16+細胞を約20%~約80%含む。一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、CD16+細胞を20%または約20%~80%または約80%、約20%~70%または約70%、約20%~60%または約60%、約20%~50%または約50%、約20%~40%または約40%、約20%~30%または約30%、約30%~80%または約80%、約30%~70%または約70%、約30%~60%または約60%、約30%~50%または約50%、約30%~40%または約40%、約40%~80%または約80%、約40%~70%または約70%、約40%~60%または約60%、約40%~50%または約50%、約50%~80%または約80%、約50%~70%または約70%、約50%~60%または約60%、約60%~80%または約80%、約60%~70%または約70%、または約70%~80%または約80%含む。一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、CD16+細胞を80%以下含む。代案的に、一部のNK細胞供給源は、CD16+細胞を80%より高い濃度で含んでもよい。
【0063】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、MLG2A+細胞を40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下含む。
【0064】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でNKG2C+細胞を含む。
【0065】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でNKG2D+細胞を含む。
【0066】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でNKp46+細胞を含む。
【0067】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でNKp30+細胞を含む。
【0068】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でDNAM-1+細胞を含む。
【0069】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でNKp44+細胞を含む。
【0070】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でCD25+細胞を含む。
【0071】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でCD62L+細胞を含む。
【0072】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でCD69+細胞を含む。
【0073】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でCXCR3+細胞を含む。
【0074】
一部の実施形態において、NK細胞供給源、例えば、臍帯血ユニットは、40%以下、例えば、30%以下、例えば、20%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下でCD57+細胞を含む。
【0075】
一部の実施形態において、NK供給源中のNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子を含む。Hsu et al.,「The Killer Cell Immunoglobulin-Like Receptor(KIR)Genomic Region:Gene-Order,Haplotypes and Allelic Polymorphism」,Immunological Review190:40-52(2002)およびPyo et al.,「Different Patterns of Evolution in the Centromeric and Telomeric Regions of Group A and B Haplotypes of the Human Killer Cell Ig-like Receptor Locus」,PLoS One5:e15115(2010)を参照する。
【0076】
一部の実施形態において、NK供給源中のNK細胞は、CD16の158V/V変異体(すなわち、ホモ接合性CD16 15V多形成)を含む。Koene et al.,「FcγRIIIa-158V/F Polymorphism Influences the Binding of IgG by Natural Killer Cell FcgammaRIIIa,Independently of the FcgammaRIIIa-48L/R/H Phenotype」,Blood90:1109-14(1997)を参照する。
【0077】
一部の実施形態において、細胞供給源中のNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含む。
【0078】
一部の実施形態において、細胞供給源中のNK細胞は、遺伝子操作されていない。
【0079】
一部の実施形態において、細胞供給源中のNK細胞は、CD16トランス遺伝子(transgene)を含まない。
【0080】
一部の実施形態において、細胞供給源中のNK細胞は、外因性CD16タンパク質を発現しない。
【0081】
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、CD3+枯渇する。一部の実施形態において、本方法は、NK細胞供給源においてCD3+細胞を枯渇処理することを含む。一部の実施形態において、NK細胞供給源におけるCD3+細胞の枯渇処理は、NK細胞供給源をCD3結合抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含む。一部の実施形態において、CD3結合抗体またはその抗原結合断片は、OKT3、UCHT1およびHIT3a、およびこれらの断片からなる群より選択される。一部の実施形態において、CD3結合抗体またはその抗原結合断片は、OKT3またはその抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、ビーズ、例えば、磁気ビーズに付着する。一部の実施形態において、組成物におけるCD3+細胞の枯渇は、組成物をビーズに付着したCD3標的抗体またはその抗原結合断片と接触させてビーズ-結合したCD3+細胞を組成物から除去することを含む。組成物は、免疫磁気選別(immunomagnetic selection)によって、例えば、CliniMACS T細胞枯渇セット(LS Depletion set(162-01)Miltenyi Biotec)を用いてCD3を枯渇処理することができる。
【0082】
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、例えば、CD56発現に対するゲーティング(gating)によってCD56+濃縮される。
【0083】
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、例えば、CD56+CD3-発現細胞を選別することにより、CD56+濃縮およびCD3+枯渇が行われる。
【0084】
一部の実施形態において、NK細胞供給源は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、例えば、CD56+CD3-発現細胞を選別することにより、CD56+濃縮およびCD3+枯渇が達成される。
【0085】
B.フィーダー細胞
本発明は、NK細胞を増幅させるためのフィーダー細胞を開示する。これらのフィーダー細胞は、有利には、NK細胞を本願に記載の薬学的組成物を製造するのに適した個数に増幅可能にする。場合によっては、フィーダー細胞は、CD16の発現減少なく、よく他のタイプのフィーダー細胞上で細胞増幅を伴ったり、または他の方法を用いたNK細胞の増幅を許容する。場合によっては、フィーダー細胞は、冷凍/解凍サイクルの後、NK細胞がより高い比率で生存可能な状態で残っているように、または細胞が凍結中により長期間生存可能な状態で残っているように、増幅されたNK細胞を冷凍により良く耐えられるようにする。場合によっては、フィーダー細胞は、NK細胞がADCCなどの細胞毒性を高いレベルに維持し、生存を延長し、存続性を高め、高いレベルのCD16を強化または維持できるように許容する。場合によっては、フィーダー細胞は、疲労(exhaustion)または老化を有意なレベルに誘発することなくNK細胞を増幅できるように許容する。
【0086】
フィーダー細胞は、NK細胞を刺激し、この細胞がより速く増幅するように、例えば、基質、成長因子および/またはサイトカインを供給することにより補助するために用いることができる。
【0087】
NK細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、エプスタイン・バール・ウイルス-形質転換されたB-リンパ芽球細胞(例えば、EBV-LCL)、骨髄性白血病細胞(例えば、K562)およびCD4+T細胞(例えば、HuT)、およびこれらの派生物を含むが、これらに限定されない、多様なタイプのフィーダー細胞を用いて刺激することができる。
【0088】
一部の実施形態において、フィーダー細胞は、例えば、γ-放射線照射またはマイトマイシン-c処理によって不活性化される。
【0089】
本願に記載の方法での使用に適したフィーダー細胞は、例えば、US2020/0108096に記載されており、この文献は全体内容として援用により本明細書に取り込まれる。
【0090】
一部の実施形態において、フィーダー細胞は、不活性化されたCD4+T細胞である。一部の実施形態において、不活性化されたCD4+T細胞は、HuT-78細胞(ATCC(R) TIB-161TM)、またはその変異体または派生物である。一部の実施形態において、HuT-78誘導体は、H9(ATCC(R) HTB-176TM)である。
【0091】
一部の実施形態において、不活性化されたCD4+T細胞は、OX40Lを発現する。一部の実施形態において、不活性化されたCD4+T細胞は、OX40L(配列番号4)、またはその変異体を発現するHuT-78細胞、またはその変異体または派生物である。
【0092】
一部の実施形態において、フィーダー細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および突然変異TNFα(配列番号3)(「eHut-78細胞」)、またはこれらの変異体からなる群より選択される1つ以上の遺伝子を発現するように操作されたHuT-78細胞である。
【0093】
一部の実施形態において、不活性化されたCD4+T細胞は、HuT-78(ATCC(R) TIB-161TM)細胞またはOX40Lのオルソログ(ortholog)、またはその変異体を発現する変異体または派生物である。一部の実施形態において、フィーダー細胞は、4-1BBLオルソログまたはその変異体、膜-結合型IL-21オルソログまたはその変異体、および突然変異TNFαオルソログ、またはこれらの変異体からなる群より選択される1つ以上の遺伝子を発現するように操作されたHuT-78細胞である。
【0094】
一部の実施形態において、フィーダー細胞は、OX40L(配列番号4)を発現し、4-1BBL(配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および突然変異TNFα(配列番号3)(「eHut-78細胞」)、またはこれらの変異体または派生物を発現するように操作された、HuT-78細胞である。
【0095】
一部の実施形態において、フィーダー細胞は、例えば、実施例2に記載されているように、NK細胞とともに培養する前に、例えば、冷凍原液から増幅される。
【0096】
C.刺激因子
NK細胞はまた、フィーダー細胞に加えて、またはフィーダー細胞の代わりに、フィーダー細胞以外の他の1つ以上の刺激因子、例えば、シグナル伝達因子を用いて刺激することができる。
【0097】
一部の実施形態において、刺激因子、例えば、シグナル伝達因子は、本願に記載されているように、培養培地の構成成分である。一部の実施形態において、刺激因子、例えば、シグナル伝達因子は、本願に記載されているように、培養培地に対する補充剤である。
【0098】
一部の実施形態において、刺激因子は、サイトカインである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-27、IFN-α、IFN-β、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0099】
一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2とIL-15との組み合わせである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-15およびIL-18の組み合わせである。
【0100】
一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12とIL-15との組み合わせである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12とIL-18との組み合わせである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15とIL-18との組み合わせである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12、IL-15およびIL-18の組み合わせである。
【0101】
一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-18およびIL-21の組み合わせである。
【0102】
D.培養
NK細胞は、NK細胞供給源をフィーダー細胞および/またはその他の刺激因子と共培養することにより、増幅および刺激可能である。好適なNK細胞供給源、フィーダー細胞および刺激因子は本願に記載されている。
【0103】
場合によっては、得られた増幅されたNK細胞の集団は、増幅後に濃縮するか、および/または分類する。場合によっては、得られた増幅されたNK細胞の集団は、増幅後に濃縮および/または分類しない。
【0104】
また、本発明は、本願に記載の多様な培養組成物を含む、例えば、NK細胞を含む、組成物を記載する。例えば、KIR-BハプロタイプおよびCD16 158V多形成に対するホモ接合体を含む増幅された臍帯血-由来ナチュラルキラー細胞の集団と、複数の操作されたHuT78細胞とを含む組成物を記載する。
【0105】
また、本発明は、得られた増幅されたナチュラルキラー細胞の集団が収容された容器(vessel)、例えば、バイアル、クライオバッグなどを記載する。場合によっては、複数の容器は、得られた増幅されたナチュラルキラー細胞の集団の一部を含み、例えば、容器を少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、250個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、1100個または1200個含む。
【0106】
また、本発明は、本願に記載の多様な培養組成物、例えば、NK細胞を収容したバイオリアクタを記載する。例えば、本願に記載されているようなナチュラルキラー細胞供給源に由来するナチュラルキラー細胞と、例えば、本願に記載されているようなフィーダー細胞とを含む培養物を収容する。なお、本発明は、得られた増幅されたナチュラルキラー細胞の集団を収容したバイオリアクタを記載する。
【0107】
1.培養培地
本発明は、NK細胞を増幅するための培養培地を開示する。これらの培養培地は、有利には、NK細胞が本願に記載の薬学的組成物を製造するのに適した細胞数に増幅可能にする。場合によっては、培養培地は、よく他のヘルパー細胞上でまたは他の培地中に細胞増幅を伴って、CD16発現の低下なく、NK細胞を増幅させることができる。
【0108】
一部の実施形態において、培養培地は、基本培養培地(basal culture medium)であり、選択的に、例えば、本願に記載されているように、追加的な構成成分が添加された基本培養培地である。
【0109】
一部の実施形態において、培養培地、例えば、基本培養培地は、無-血清培養培地である。一部の実施形態において、培養培地、例えば、基本培養培地は、ヒト血漿および/または血清が添加された無血清培養培地である。
【0110】
適切な基本培養培地としては、DMEM、RPMI1640、MEM、DMEM/F12、SCGM(CellGenix(R)、20802-0500または20806-0500)、LGM-3TM(Lonza、CC-3211)、TexMACSTM(Miltenyi Biotec、130-097-196)、ALySTM 505NK-AC(Cell Science and Technology Institute,Inc.,01600P02)、ALySTM 505NK-EX(Cell Science and Technology Institute,Inc.,01400P10)、CTSTM AIM-VTM SFM(ThermoFisher Scientific、A3830801)、CTSTM OpTmizerTM(ThermoFisher Scientific、A1048501、ABS-001、StemXxVivo)、およびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
培養培地は、追加的な構成成分を含むか、または成長因子、シグナル伝達因子、営養分、抗原結合剤などのような追加的な構成成分が添加されてもよい。培養培地への添加は、培地を培養容器に投入する前に、投入と同時にまたは投入した後、それぞれの追加的な構成成分または構成成分を培養容器に投入することにより、行われる。追加的な構成成分または構成成分はともにまたは分離して添加されてもよい。分離して添加する場合、追加的な構成成分を同時に添加する必要はない。
【0112】
一部の実施形態において、培養培地は、血漿、例えば、ヒト血漿を含む。一部の実施形態において、培養培地に血漿、例えば、ヒト血漿を添加する。一部の実施形態において、血漿、例えば、ヒト血漿は、抗-凝固剤、例えば、トリソジウムシトレートを含む。
【0113】
一部の実施形態において、培地は、血漿、例えば、ヒト血漿を0.5%または約0.5%~10%または約10%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培地は、0.5%または約0.5%~9%または約9%、0.5%または約0.5%~8%または約8%、0.5%または約0.5%~7%または約7%、0.5%または約0.5%~6%または約6%、0.5%または約0.5%~5%または約5%、0.5%または約0.5%~4%または約4%、0.5%または約0.5%~3%または約3%、0.5%または約0.5%~2%または約2%、0.5%または約0.5%~1%または約1%、1%または約1%~10%または約10%、1%または約1%~9%または約9%、1%または約1%~8%または約8%、1%または約1%~7%または約7%、1%または約1%~6%または約6%、1%または約1%~5%または約5%、1%または約1%~4%または約4%、1%または約1%~3%または約3%、1%または約1%~2%または約2%、2%または約2%~10%または約10%、2%または約2%~9%または約9%、2%または約2%~8%または約8%、2%または約2%~7%または約7%、2%または約2%~6%または約6%、2%または約2%~5%または約5%、2%または約2%~4%または約4%、2%または約2%~3%または約3%、3%または約3%~10%または約10%、3%または約3%~9%または約9%、3%または約3%~8%または約8%、3%または約3%~7%または約7%、3%または約3%~6%または約6%、3%または約3%~5%または約5%、3%または約3%~4%または約4%、4%または約4%~10%または約10%、4%または約4%~9%または約9%、4%または約4%~8%または約8%、4%または約4%~7%または約7%、4%または約4%~6%または約6%、4%または約4%~5%または約5%、5%または約5%~10%または約10%、5%または約5%~9%または約9%、4%または約4%~8%または約8%、5%または約5%~7%または約7%、5%または約5%~6%または約6%、6%または約6%~10%または約10%、6%または約6%~9%または約9%、6%または約6%~8%または約8%、6%または約6%~7%または約7%、7%または約7%~10%または約10%、7%または約7%~9%または約9%、7%または約7%~8%または約8%、8%または約8%~10%または約10%、8%または約8%~9%または約9%、または9%または約9%~10%または約10%v/vで血漿、例えば、ヒト血漿で補充される。一部の実施形態において、培養培地は、ヒト血漿を0.8%~1.2%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、ヒト血漿を1.0%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、ヒト血漿を約1.0%v/v含むか、および/またはそれで補充される。
【0114】
一部の実施形態において、培養培地は、血清、例えば、ヒト血清を含む。一部の実施形態において、培養培地は、血清、例えば、ヒト血清で補充される。一部の実施形態において、血清は、不活性化され、例えば、熱によって不活性化される。一部の実施形態において、血清は濾過し、例えば、滅菌-濾過(sterile-filtered)する。
【0115】
一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを含む。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを2.0または約2.0~6.0または約6.0mM含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを2.0または約2.0~5.5または約5.5、2.0または約2.0~5.0または約5.0、2.0または約2.0~4.5または約4.5、2.0または約2.0~4.0または約4.0、2.0または約2.0~3.5または約3.5、2.0または約2.0~3.0または約3.0、2.0または約2.0~2.5または約2.5、2.5または約2.5~6.0または約6.0、2.5または約2.5~5.5または約5.5、2.5または約2.5~5.0または約5.0、2.5または約2.5~4.5または約4.5、2.5または約2.5~4.0または約4.0、2.5または約2.5~3.5または約3.5、2.5または約2.5~3.0または約3.0、3.0または約3.0~6.0または約6.0、3.0または約3.0~5.5または約5.5、3.0または約3.0~5.0または約5.0、3.0または約3.0~4.5または約4.5、3.0または約3.0~4.0または約4.0、3.0または約3.0~3.5または約3.5、3.5または約3.5~6.0または約6.0、3.5または約3.5~5.5または約5.5、3.5または約3.5~5.0または約5.0、3.5または約3.5~4.5または約4.5、3.5または約3.5~4.0または約4.0、4.0または約4.0~6.0または約6.0、4.0または約4.0~5.5または約5.5、4.0または約4.0~5.0または約5.0、4.0または約4.0~4.5または約4.5、4.5または約4.5~6.0または約6.0、4.5または約4.5~5.5または約5.5、4.5または約4.5~5.0または約5.0、5.0または約5.0~6.0または約6.0、5.0または約5.0~5.5または約5.5、または5.5または約5.5~6.0または約6.0mM含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを3.2mM~4.8mM含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを4.0mM含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルタミンを約4.0mM含むか、および/またはそれで補充される。
【0116】
一部の実施形態において、培養培地は、1つ以上のサイトカインを含む。一部の実施形態において、培養培地は、1つ以上のサイトカインで補充される。
【0117】
一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0118】
一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を150または約150~2,500または約2,500IU/ml含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を200または約200~2,250または約2,250、200または約200~2,000または約2,000、200または約200~1,750または約1,750、200または約200~1,500または約1,500、200または約200~1,250または約1,250、200または約200~1,000または約1,000、200または約200~750または約750、200または約200~500または約500、200または約200~250または約250、250または約250~2,500または約2,500、250または約250~2,250または約2,250、250または約250~2,000または約2,000、250または約250~1,750または約1,750、250または約250~1,500または約1,500、250または約250~1,250または約1,250、250または約250~1,000または約1,000、250または約250~750または約750、250または約250~500または約500、500または約500~2,500または約2,500、500または約500~2,250または約2,250、500または約500~2,000または約2,000、500または約500~1,750または約1,750、500または約500~1,500または約1,500、500または約500~1,250または約1,250、500または約500~1,000または約1,000、500または約500~750または約750、750または約750~2,250または約2,250、750または約750~2,000または約2,000、750または約750~1,750または約1,750、750または約750~1,500または約1,500、750または約750~1,250または約1,250、750または約750~1,000または約1,000、1,000または約1,000~2,500または約2,500、1,000または約1,000~2,250または約2,250、1,000または約1,000~2,000または約2,000、1,000または約1,000~1,750または約1,750、1,000または約1,000~1,500または約1,500、1,000または約1,000~1,250または約1,250、1,250または約1,250~2,500または約2,500、1,250または約1,250~2,250または約2,250、1,250または約1,250~2,000または約2,000、1,250または約1,250~1,750または約1,750、1,250または約1,250~1,500または約1,500、1,500または約1,500~2,500または約2,500、1,500または約1,500~2,250または約2,250、1,500または約1,500~2,000または約2,000、1,500または約1,500~1,750または約1,750、1,750または約1,750~2,500または約2,500、1,750または約1,750~2,250または約2,250、1,750または約1,750~2,000または約2,000、2,000または約2,000~2,500または約2,500、2,000または約2,000~2,250または約2,250、または2,250または約2,250~2,500または約2,500IU/ml含むか、および/またはそれで補充される。
【0119】
一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を64μg/l~96μg/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を80μg/l(約1,333IU/ml)含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、IL-2を約80μg/l含むか、および/またはそれで補充される。
【0120】
一部の実施形態において、培養培地は、IL-2およびIL-15の組み合わせを含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、IL-2、IL-15およびIL-18の組み合わせを含むか、および/またはそれで補充される。 一部の実施形態において、培養培地は、IL-2、IL-18およびIL-21の組み合わせを含むか、および/またはそれで補充される。
【0121】
一部の実施形態において、培養培地は、グルコースを含むか、および/またはグルコースで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルコースを0.5または約0.5~3.5g/lまたは約3.5g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、0.5または約0.5~3.0または約3.0、0.5または約0.5~2.5または約2.5、0.5または約0.5~2.0または約2.0、0.5または約0.5~1.5または約1.5、0.5または約0.5~1.0または約1.0、1.0または約1.0~3.0または約3.0、1.0または約1.0~2.5または約2.5、1.0または約1.0~2.0または約2.0、1.0または約1.0~1.5または約1.5、1.5または約1.5~3.0または約3.0、1.5または約1.5~2.5または約2.5、1.5または約1.5~2.0または約2.0、2.0または約2.0~3.0または約3.0、2.0または約2.0~2.5または約2.5、または2.5または約2.5~3.0または約3.0g/lでグルコースを含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルコースを1.6~2.4g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルコースを2.0g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、グルコースを約2.0g/l含む。
【0122】
一部の実施形態において、培養培地は、ソジウムピルベートを含むか、および/またはソジウムピルベートで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、ソジウムピルベートを0.1または約0.1~2.0または約2.0mM含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、0.1または約0.1~1.8または約1.8、0.1または約0.1~1.6または約1.6、0.1または約0.1~1.4または約1.4、0.1または約0.1~1.2または約1.2、0.1または約0.1~1.0または約1.0、0.1または約0.1~0.8または約0.8、0.1または約0.1~0.6または約0.6、0.1または約0.1~0.4または約0.4、0.1または約0.1~0.2または約0.2、0.2または約0.2~2.0または約2.0、0.2または約0.2~1.8または約1.8、0.2または約0.2~1.6または約1.6、0.2または約0.2~1.4または約1.4、0.2または約0.2~1.2または約1.2、0.2または約0.2~1.0または約1.0、0.2または約0.2~0.8または約0.8、0.2または約0.2~0.6または約0.6、0.2または約0.2~0.4または約0.4、0.4または約0.4~2.0または約2.0、0.4または約0.4~1.8または約1.8、0.4または約0.4~1.6または約1.6、0.4または約0.4~1.4または約1.4、0.4または約0.4~1.2または約1.2、0.4または約0.4~1.0または約1.0、0.4または約0.4~0.8または約0.8、0.4または約0.4~0.6または約0.6、0.6または約0.6~2.0または約2.0、0.6または約0.6~1.8または約1.8、0.6または約0.6~1.6または約1.6、0.6または約0.6~1.4または約1.4、0.6または約0.6~1.2または約1.2、0.6または約0.6~1.0または約1.0、0.6または約0.6~0.8または約0.8、0.8または約0.8~2.0または約2.0、0.8または約0.8~1.8または約1.8、0.8または約0.8~1.6または約1.6、0.8または約0.8~1.4または約1.4、0.8または約0.8~1.4または約1.4、0.8または約0.8~1.2または約1.2、0.8または約0.8~1.0または約1.0、1.0または約1.0~2.0または約2.0、1.0または約1.0~1.8または約1.8、1.0または約1.0~1.6または約1.6、1.0または約1.0~1.4または約1.4、1.0または約1.0~1.2または約1.2、1.2または約1.2~2.0または約2.0、1.2または約1.2~1.8または約1.8、1.2または約1.2~1.6または約1.6、1.2または約1.2~1.4または約1.4、1.4または約1.4~2.0または約2.0、1.4または約1.4~1.8または約1.8、1.4または約1.4~1.6または約1.6、1.6または約1.6~2.0または約2.0、1.6または約1.6~1.8または約1.8、または1.8または約1.8~2.0または約2.0mMでソジウムピルベートを含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、ソジウムピルベートを0.8~1.2mM含む。一部の実施形態において、培養培地は、ソジウムピルベートを1.0mM含む。一部の実施形態において、培養培地は、ソジウムピルベートを約1.0mM含む。
【0123】
一部の実施形態において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを0.5または約0.5~3.5または約3.5g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、0.5または約0.5~3.0または約3.0、0.5または約0.5~2.5または約2.5、0.5または約0.5~2.0または約2.0、0.5または約0.5~1.5または約1.5、0.5または約0.5~1.0または約1.0、1.0または約1.0~3.0または約3.0、1.0または約1.0~2.5または約2.5、1.0または約1.0~2.0または約2.0、1.0または約1.0~1.5または約1.5、1.5または約1.5~3.0または約3.0、1.5または約1.5~2.5または約2.5、1.5または約1.5~2.0または約2.0、2.0または約2.0~3.0または約3.0、2.0または約2.0~2.5または約2.5、または2.5または約2.5~3.0または約3.0g/lで炭酸水素ナトリウムを含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを1.6~2.4g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを2.0g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを約2.0g/l含む。
【0124】
一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミン、例えば、本願に記載のヒトアルブミン溶液を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、20%アルブミン溶液、例えば、20%ヒトアルブミン溶液を0.5%または約0.5%~3.5%または約3.5%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、20%アルブミン溶液、例えば、20%ヒトアルブミン溶液を0.5または約0.5%~3.0または約3.0%、0.5%または約0.5%~2.5または約2.5%、0.5%または約0.5%~2.0または約2.0%、0.5%または約0.5%~1.5または約1.5%、0.5%または約0.5%~1.0または約1.0%、1.0または約1.0%~3.0または約3.0%、1.0または約1.0%~2.5または約2.5%、1.0または約1.0%~2.0または約2.0%、1.0または約1.0%~1.5または約1.5%、1.5または約1.5%~3.0または約3.0%、1.5または約1.5%~2.5または約2.5%、1.5または約1.5%~2.0または約2.0%、2.0%または約2.0%~3.0または約3.0%、2.0%または約2.0%~2.5または約2.5%、または2.5%または約2.5%~3.0または約3.0%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、20%アルブミン溶液、例えば、20%ヒトアルブミン溶液を1.6%~2.4%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、20%アルブミン溶液、例えば、20%ヒトアルブミン溶液を2.0%v/v含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、20%アルブミン溶液、例えば、20%ヒトアルブミン溶液を約2.0%v/v含む。
【0125】
一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを2または約2~6または約6g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを2または約2~5.5または約5.5、2または約2~5.0または約5.0、2または約2~4.5または約4.5、2または約2~4または約4、2または約2~3.5または約3.5、2または約2~3または約3、2または約2~2.5または約2.5、2.5または約2.5~6または約6、2.5または約2.5~5.5または約5.5、2.5または約2.5~5.5または約5.5、2.5または約2.5~5.0または約5.0、2.5または約2.5~4.5または約4.5、2.5または約2.5~4.0または約4.0、2.5または約2.5~3.5または約3.5、2.5または約2.5~3.0または約3.0、3または約3~6または約6、3または約3~5.5または約5.5、3または約3~5または約5、3または約3~4.5または約4.5、3または約3~4または約4、3または約3~3.5または約3.5、3.5または約3.5~6または約6、3.5または約3.5~5.5または約5.5、3.5または約3.5~5または約5、3.5または約3.5~4.5または約4.5、3.5または約3.5~4または約4、4または約4~6または約6、4または約4~5.5または約5.5、4または約4~5または約5、4または約4~4.5または約4.5、4.5または約4.5~6または約6、4.5または約4.5~5.5または約5.5、4.5または約4.5~5または約5、5または約5~6または約6、5または約5~5.5または約5.5、または5.5または約5.5~6または約6g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを3.2~4.8g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを4g/l含む。一部の実施形態において、培養培地は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを約4g/l含む。
【0126】
一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188で補充される。一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188を0.1または約0.1~2.0または約2.0g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188を0.1または約0.1~1.8または約1.8、0.1または約0.1~1.6または約1.6、0.1または約0.1~1.4または約1.4、0.1または約0.1~1.2または約1.2、0.1または約0.1~1.0または約1.0、0.1または約0.1~0.8または約0.8、0.1または約0.1~0.6または約0.6、0.1または約0.1~0.4または約0.4、0.1または約0.1~0.2または約0.2、0.2または約0.2~2.0または約2.0、0.2または約0.2~1.8または約1.8、0.2または約0.2~1.6または約1.6、0.2または約0.2~1.4または約1.4、0.2または約0.2~1.2または約1.2、0.2または約0.2~1.0または約1.0、0.2または約0.2~0.8または約0.8、0.2または約0.2~0.6または約0.6、0.2または約0.2~0.4または約0.4、0.4または約0.4~2.0または約2.0、0.4または約0.4~1.8または約1.8、0.4または約0.4~1.6または約1.6、0.4または約0.4~1.4または約1.4、0.4または約0.4~1.2または約1.2、0.4または約0.4~1.0または約1.0、0.4または約0.4~0.8または約0.8、0.4または約0.4~0.6または約0.6、0.6または約0.6~2.0または約2.0、0.6または約0.6~1.8または約1.8、0.6または約0.6~1.6または約1.6、0.6または約0.6~1.4または約1.4、0.6または約0.6~1.2または約1.2、0.6または約0.6~1.0または約1.0、0.6または約0.6~0.8または約0.8、0.8または約0.8~2.0または約2.0、0.8または約0.8~1.8または約1.8、0.8または約0.8~1.6または約1.6、0.8または約0.8~1.4または約1.4、0.8または約0.8~1.4または約1.4、0.8または約0.8~1.2または約1.2、0.8または約0.8~1.0または約1.0、1.0または約1.0~2.0または約2.0、1.0または約1.0~1.8または約1.8、1.0または約1.0~1.6または約1.6、1.0または約1.0~1.4または約1.4、1.0または約1.0~1.2または約1.2、1.2または約1.2~2.0または約2.0、1.2または約1.2~1.8または約1.8、1.2または約1.2~1.6または約1.6、1.2または約1.2~1.4または約1.4、1.4または約1.4~2.0または約2.0、1.4または約1.4~1.8または約1.8、1.4または約1.4~1.6または約1.6、1.6または約1.6~2.0または約2.0、1.6または約1.6~1.8または約1.8、または1.8または約1.8~2.0または約2.0g/l含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188を0.8~1.2g/l含む。一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188を1.0g/l含む。一部の実施形態において、培養培地は、Poloxamer188を約1.0g/l含む。
【0127】
一部の実施形態において、培養培地は、1つ以上の抗生剤を含むか、および/またはそれで補充される。
【0128】
例示的な第1培養培地を表1に示す。
【0129】
【0130】
例示的な第2培養培地を表2に言及する。
【0131】
【0132】
2.CD3結合抗体
一部の実施形態において、培養培地は、CD3結合抗体またはその抗原結合断片を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、CD3結合抗体またはその抗原結合断片は、OKT3、UCHT1およびHIT3a、またはその変異体からなる群より選択される。一部の実施形態において、CD3結合抗体またはその抗原結合断片は、OKT3またはその抗原結合断片である。
【0133】
一部の実施形態において、CD3結合抗体またはその抗原結合断片とフィーダー細胞は、NK細胞および/または培養培地を添加する前に培養容器に投入される。
【0134】
一部の実施形態において、培養培地は、5または約5ng/ml~15または約15ng/mlでOKT3を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、5または約5~12.5または約12.5、5または約5~10または約10、5または約5~7.5または約7.5、7.5または約7.5~15または約15、7.5または約7.5~12.5または約12.5、7.5または約7.5~10または約10、10または約10~15または約15、10または約10~12.5または約12.5、または12.5または約12.5~15または約15ng/mlでOKT3を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、10ng/mlでOKT3を含むか、および/またはそれで補充される。一部の実施形態において、培養培地は、約10ng/mlでOKT3を含むか、および/またはそれで補充される。
【0135】
3.培養容器
様々な容器が本発明の内容に符合する。一部の実施形態において、培養容器は、フラスコ、ボトル、ディッシュ、マルチウェルプレート、ローラーボトル、バッグおよびバイオリアクタからなる群より選択される。
【0136】
一部の実施形態において、培養容器は、親水性になるように処理される。一部の実施形態において、培養容器は、付着および/または増殖を促進するように処理される。一部の実施形態において、培養容器の表面は、血清、コラーゲン、ラミニン(laminin)、ゼラチン、ポリ-L-リジン、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、およびこれらの組み合わせでコーティングされる。
【0137】
一部の実施形態において、様々な培養段階に様々なタイプの培養容器が用いられる。
【0138】
一部の実施形態において、培養容器は、100mlまたは約100ml~1,000lまたは約1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、培養容器は、125mlまたは約125ml、250mlまたは約250ml、500mlまたは約500ml、1lまたは約1l、5lまたは約5l、10lまたは約10l、または20lまたは約20lの体積を有する。
【0139】
一部の実施形態において、培養容器は、バイオリアクタである。
【0140】
一部の実施形態において、バイオリアクタは、ロッキングベッド(rocking bed)(波動運動)バイオリアクタである。一部の実施形態において、バイオリアクタは、撹拌型タンクバイオリアクタ(stirred tank bioreactor)である。一部の実施形態において、バイオリアクタは、回転壁容器(rotating wall vessel)である。一部の実施形態において、バイオリアクタは、灌流バイオリアクタ(perfusion bioreactor)である。一部の実施形態において、バイオリアクタは、単離/増幅自動システム(isolation/expansion automated system)である。一部の実施形態において、バイオリアクタは、自動または半自動バイオリアクタである。一部の実施形態において、バイオリアクタは、使い捨てバッグバイオリアクタである。
【0141】
一部の実施形態において、バイオリアクタは、約100ml~約1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、約10l~約1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、約100l~約900lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、約10l~約800lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、約10L~約700l、約10l~約600l、約10l~約500l、約10l~約400l、約10l~約300l、約10l~約200l、約10l~約100l、約10l~約90l、約10l~約80l、約10l~約70l、約10l~約60l、約10l~約50l、約10l~約40l、約10l~約30l、約10l~約20l、約20l~約1,000l、約20l~約900l、約20l~約800l、約20l~約700l、約20l~約600l、約20l~約500l、約20l~約400l、約20l~約300l、約20l~約200l、約20l~約100l、約20l~約90l、約20l~約80l、約20l~約70l、約20l~約60l、約20l~約50l、約20l~約40l、約20l~約30l、約30l~約1,000l、約30l~約900l、約30l~約800l、約30l~約700l、約30l~約600l、約30l~約500l、約30l~約400l、約30l~約300l、約30l~約200l、約30l~約100l、約30l~約90l、約30l~約80l、約30l~約70l、約30l~約60l、約30l~約50l、約30l~約40l、約40l~約1,000l、約40l~約900l、約40l~約800l、約40l~約700l、約40l~約600l、約40l~約500l、約40l~約400l、約40l~約300l、約40l~約200l、約40l~約100l、約40l~約90l、約40l~約80l、約40l~約70l、約40l~約60l、約40l~約50l、約50l~約1,000l、約50l~約900l、約50l~約800l、約50l~約700l、約50l~約600l、約50l~約500l、約50l~約400l、約50l~約300l、約50l~約200l、約50l~約100l、約50l~約90l、約50l~約80l、約50l~約70l、約50l~約60l、約60l~約1,000l、約60l~約900l、約60l~約800l、約60l~約700l、約60l~約600l、約60l~約500l、約60l~約400l、約60l~約300l、約60l~約200l、約60l~約100L、約60l~約90l、約60l~約80l、約60l~約70l、約70l~約1,000l、約70l~約900l、約70l~約800l、約70l~約700l、約70l~約600l、約70l~約500l、約70l~約400l、約70l~約300l、約70l~約200l、約70l~約100l、約70l~約90l、約70l~約80l、約80l~約1,000l、約80l~約900l、約80l~約800l、約80l~約700l、約80l~約600l、約80l~約500l、約80l~約400l、約80l~約300l、約80l~約200l、約80l~約100l、約80l~約90l、約90l~約1,000l、約90l~約900l、約90l~約800l、約90l~約700l、約90l~約600l、約90l~約500l、約90l~約400l、約90l~約300l、約90l~約200l、約90l~約100l、約100l~約1,000l、約100l~約900l、約100l~約800l、約100l~約700l、約100l~約600l、約100l~約500l、約100l~約400l、約100l~約300l、約100l~約200l、約200l~約1,000l、約200l~約900l、約200l~約800l、約200l~約700l、約200l~約600l、約200l~約500l、約200l~約400l、約200l~約300l、約300l~約1,000l、約300l~約900l、約300l~約800l、約300l~約700l、約300l~約600l、約300l~約500l、約300l~約400l、約400l~約1,000l、約400l~約900l、約400l~約800l、約400l~約700l、約400l~約600l、約400l~約500l、約500l~約1,000l、約500l~約900l、約500l~約800l、約500l~約700l、約500l~約600l、約600l~約1,000l、約600l~約900l、約600l~約800l、約600l~約700l、約700l~約1,000l、約700l~約900l、約700l~約800l、約800l~約1,000l、約800l~約900l、または約900l~約1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、約50lの体積を有する。
【0142】
一部の実施形態において、バイオリアクタは、100ml~1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、10l~1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、100l~900lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、10l~800lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、10l~700l、10l~600l、10l~500l、10l~400l、10l~300l、10l~200l、10l~100l、10l~90l、10l~80l、10l~70l、10l~60l、10l~50l、10l~40l、10l~30l、10l~20l、20l~1,000l、20l~900l、20l~800l、20l~700l、20l~600l、20l~500l、20l~400l、20l~300l、20l~200l、20l~100l、20l~90l、20l~80l、20l~70l、20l~60l、20l~50l、20l~40l、20l~30l、30l~1,000l、30l~900l、30l~800l、30l~700l、30l~600l、30l~500l、30l~400l、30l~300l、30l~200l、30l~100l、30l~90l、30l~80l、30l~70l、30l~60l、30l~50l、30l~40l、40l~1,000l、40l~900l、40l~800l、40l~700l、40l~600l、40l~500l、40l~400l、40l~300l、40l~200l、40l~100l、40l~90l、40l~80l、40l~70l、40l~60l、40l~50l、50l~1,000l、50l~900l、50l~800l、50l~700l、50l~600l、50l~500l、50l~400l、50l~300l、50l~200l、50l~100l、50l~90l、50l~80l、50l~70l、50l~60l、60l~1,000l、60l~900l、60l~800l、60l~700l、60l~600l、60l~500l、60l~400l、60l~300l、60l~200l、60l~100L、60l~90l、60l~80l、60l~70l、70l~1,000l、70l~900l、70l~800l、70l~700l、70l~600l、70l~500l、70l~400l、70l~300l、70l~200l、70l~100l、70l~90l、70l~80l、80l~1,000l、80l~900l、80l~800l、80l~700l、80l~600l、80l~500l、80l~400l、80l~300l、80l~200l、80l~100l、80l~90l、90l~1,000l、90l~900l、90l~800l、90l~700l、90l~600l、90l~500l、90l~400l、90l~300l、90l~200l、90l~100l、100l~1,000l、100l~900l、100l~800l、100l~700l、100l~600l、100l~500l、100l~400l、100l~300l、100l~200l、200l~1,000l、200l~900l、200l~800l、200l~700l、200l~600l、200l~500l、200l~400l、200l~300l、300l~1,000l、300l~900l、300l~800l、300l~700l、300l~600l、300l~500l、300l~400l、400l~1,000l、400l~900l、400l~800l、400l~700l、400l~600l、400l~500l、500l~1,000l、500l~900l、500l~800l、500l~700l、500l~600l、600l~1,000l、600l~900l、600l~800l、600l~700l、700l~1,000l、700l~900l、700l~800l、800l~1,000l、800l~900l、または900l~1,000lの体積を有する。一部の実施形態において、バイオリアクタは、50lの体積を有する。
【0143】
4.細胞増幅および刺激
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットをフィーダー細胞と共培養して、増幅および刺激されたNK細胞を生産する。
【0144】
一部の実施形態において、共培養は、本願に記載の培養培地、例えば、培養培地の例#1(表1)または培養培地の例#2(表2)で行われる。
【0145】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を1×107または約1×107~1×109または約1×109個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を1×108または約1×108~1.5×108または約1.5×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を1×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を約1×108個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を1×109個含む。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットは、増幅する前に、総有核細胞を約1×109個含む。
【0146】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットとフィーダー細胞との共培養に由来する細胞は回収および冷凍し、例えば、本願に記載の冷凍保存組成物中に回収および冷凍する。一部の実施形態において、共培養物に由来する冷凍細胞は、注入用-完成医薬品(infusion-ready drug product)である。一部の実施形態において、共培養物に由来する冷凍細胞は、注入用-完成医薬品を生産するための、例えば、本願に記載されているように、1つ以上の追加的な共培養段階により生産するためのマスター細胞バンク(MCB)として用いられる。このため、例えば、ナチュラルキラー細胞供給源は、本願に記載されているように増幅および刺激して、注入用-完成医薬品への使用に適した増幅および刺激されたNK細胞をいかなる中間産物も作らずに生産可能である。ナチュラルキラー細胞供給源はまた、本願に記載されているように増幅および刺激して、中間産物、例えば、1次マスター細胞バンク(MCB)を生産することができる。1次MCBは、注入用-完成医薬品への使用に適した増幅および刺激されたNK細胞を生産するか、または代案的に、他の中間産物、例えば、2次MCBを生産するのに用いることができる。2次MCBは、注入用-完成医薬品への使用に適した増幅および刺激されたNK細胞を生産するか、または代案的に、他の中間産物、例えば、3次MCBなどを生産するのに用いることができる。
【0147】
一部の実施形態において、共培養物に接種されるフィーダー細胞:ナチュラルキラー細胞供給源またはMCB細胞の比率は、1:1または約1:1~4:1または約4:1である。一部の実施形態において、フィーダー細胞:ナチュラルキラー細胞供給源またはMCB細胞の比率は、1:1または約1:1~3.5:1または約3.5:1、1:1または約1:1~3:1または約3:1、1:1または約1:1~2.5:1または約2.5:1、1:1または約1:1~2:1または約2:1、1:1または約1:1~1.5または約1.5:1、1.5:1または約1.5:1~4:1または約4:1、1.5:1または約1.5:1~3.5:1または約3.5:1、1.5:1または約1.5:1~3:1または約3:1、1.5:1または約1.5:1~2.5:1または約2.5:1、1.5:1または約1.5:1~2:1または約2:1、2:1または約2:1~4:1または約4:1、2:1または約2:1~3.5:1または約3.5:1、2:1または約2:1~3:1または約3:1、2:1または約2:1~2.5:1または約2.5:1、2.5:1または約2.5:1~4:1または約4:1、2.5:1または約2.5:1~3.5:1または約3.5:1、2.5:1または約2.5:1~3:1または約3:1、3:1または約3:1~4:1または約4:1、3:1または約3:1~3.5:1または約3.5:1、または3.5:1または約3.5:1~4:1または約4:1である。一部の実施形態において、共培養物に接種されるフィーダー細胞:ナチュラルキラー細胞供給源またはMCB細胞の比率は、2.5:1である。一部の実施形態において、共培養物に接種されるフィーダー細胞:ナチュラルキラー細胞供給源またはMCB細胞の比率は、約2.5:1である。
【0148】
一部の実施形態において、共培養は、使い捨て培養バッグで、例えば、1l使い捨て培養バッグで行われる。一部の実施形態において、共培養は、バイオリアクタで、例えば、50lバイオリアクタで行われる。一部の実施形態において、1次接種した後、共培養物に培養培地を添加する。
【0149】
一部の実施形態において、共培養は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、またはそれより長期間行う。一部の実施形態において、共培養は、最大16日間行う。
【0150】
一部の実施形態において、共培養は、37℃または約37℃で行われる。
【0151】
一部の実施形態において、共培養は、pH7.9または約pH7.9で行われる。
【0152】
一部の実施形態において、共培養は、50%以上の溶存酸素(DO)レベルで行われる。
【0153】
一部の実施形態において、例示的な培養培地#1(表1)は、MCBを生産するために使用され、培養培地#2(表2)は、注入用-完成医薬品に適した細胞を生産するために使用される。
【0154】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば、臍帯血単一ユニットとフィーダー細胞との共培養で細胞、例えば、MCB細胞または注入用-完成医薬品細胞50×108または約50×108~50×1012または約50×1012個が作られる。一部の実施形態において、このような増幅で細胞、例えば、MCB細胞または注入用-完成医薬品細胞50×108または約50×108~25×1010または約25×1010、10×108または約10×108~1×1010または約1×1010、50×108または約50×108~75×109または約75×109、50×108または約50×108~50×109または約50×109、50×108または約50×108~25×109または約25×109、50×108または約50×108~1×109または約1×109、50×108または約50×108~75×108または約75×108、75×108または約75×108~50×1010または約50×1010、75×108または約75×108~25×1010または約25×1010、75×108または約75×108~1×1010または約1×1010、75×108または約75×108~75×109または約75×109、75×108または約75×108~50×109または約50×109、75×108または約75×108~25×109または約25×109、75×108または約75×108~1×109または約1×109、1×109または約1×109~50×1010または約50×1010、1×109または約1×109~25×1010または約25×1010、1×109または約1×109~1×1010または約1×1010、1×109または約1×109~75×109または約75×109、1×109または約1×109~50×109または約50×109、1×109または約1×109~25×109または約25×109、25×109または約25×109~50×1010または約50×1010、25×109または約25×109~25×1010または約25×1010、25×109または約25×109~1×1010または約1×1010、25×109または約25×109~75×109または約75×109、25×109または約25×109~50×109または約50×109、50×109または約50×109~50×1010または約50×1010、50×109または約50×109~25×1010または約25×1010、50×109または約50×109~1×1010または約1×1010、50×109または約50×109~75×109または約75×109、75×109または約75×109~50×1010または約50×1010、75×109または約75×109~25×1010または約25×1010、75×109または約75×109~1×1010または約1×1010、1×1010または約1×1010~50×1010または約50×1010、1×1010または約1×1010~25×1010または約25×1010、または25×1010または約25×1010~50×1010または約50×1010個が生産される。
【0155】
一部の実施形態において、増幅で、細胞、例えば、MCB細胞または注入用-完成医薬品細胞をそれぞれ6億または約6億~10億または約10億個ずつ収容する、バイアル60または約60~100または約100個が作られる。一部の実施形態において、増幅で細胞、例えば、MCB細胞または注入用-完成医薬品細胞をそれぞれ8億または約8億個含むか、またはそれらで構成された、バイアル80または約80個が生産される。
【0156】
一部の実施形態において、増幅は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えば、NK細胞の細胞数に対して細胞、例えば、MCB細胞の細胞数を100倍または約100倍~500倍または約500倍増加させる。一部の実施形態において、増幅は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えば、NK細胞の細胞数に対して細胞数、例えば、MCB細胞の細胞数を100倍または約100倍~500倍または約500倍、100倍または約100倍~400倍または約400倍、100倍または約100倍~300倍または約300倍、100倍または約100倍~200倍または約200倍、200倍または約200倍~450倍または約450倍、200倍または約200倍~400倍または約400倍、100倍または約100倍~350倍または約350倍、200倍または約200倍~300倍または約300倍、200倍または約200倍~250倍または約250倍、250倍または約250倍~500倍または約500倍、250倍または約250倍~450倍または約450倍、200倍または約200倍~400倍または約400倍、250倍または約250倍~350倍または約350倍、250倍または約250倍~300倍または約300倍、300倍または約300倍~500倍または約500倍、300倍または約300倍~450倍または約450倍、300倍または約300倍~400倍または約400倍、300倍または約300倍~350倍または約350倍、350倍または約350倍~500倍または約500倍、350倍または約350倍~450倍または約450倍、または350倍または約350倍~400倍または約400倍増加させる。
【0157】
一部の実施形態において、増幅は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えば、NK細胞の細胞数に対して細胞、例えば、MCB細胞の細胞数を100倍または約100倍~70,000倍または約70,000倍増加させる。一部の実施形態において、増幅は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えば、NK細胞の細胞数に対して細胞、例えば、MCB細胞の細胞数を少なくとも10,000倍、例えば、15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍または70,000倍増加させる。
【0158】
一部の実施形態において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、細胞を、例えば、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適したNK細胞を5億または約5億~15億または約15億個生産する。一部の実施形態において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、細胞を、例えば、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適したNK細胞を5億または約5億~15億または約15億、5億または約5億~12億5千または約12億5千、5億または約5億~10億または約10億、5億または約5億~7億5千または約7億5千、7億5千または約7億5千~15億または約15億、5億または約5億~12億5千または約12億5千、7億5千または約7億5千~10億または約10億、10億または約10億~15億または約15億、10億または約10億~12億5千または約12億5千、または12億5千または約12億5千~15億または約15億個生産する。
【0159】
一部の実施形態において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、細胞を、例えば、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適したNK細胞をそれぞれ7億5千または約7億5千~12億5千または約12億5千個ずつ含む、細胞、例えば、注入型-完成医薬品細胞のバイアルを50または約50~150または約150個生産する。一部の実施形態において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、細胞を、例えば、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適したNK細胞をそれぞれ10億または約10億個含むか、またはそれらで構成された、バイアル100個または約100個を生産する。
【0160】
一部の実施形態において、増幅は、初期MCB細胞数と比較して、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適した細胞数、例えば、NK細胞数を100倍または約100倍~500倍または約500倍増加させる。一部の実施形態において、増幅は、初期MCB細胞数と比較して、細胞数を、例えば、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適したNK細胞の細胞数を100倍または約100倍~500倍または約500倍、100倍または約100倍~400倍または約400倍、100倍または約100倍~300倍または約300倍、100倍または約100倍~200倍または約200倍、200倍または約200倍~450倍または約450倍、200倍または約200倍~400倍または約400倍、100倍または約100倍~350倍または約350倍、200倍または約200倍~300倍または約300倍、200倍または約200倍~250倍または約250倍、250倍または約250倍~500倍または約500倍、250倍または約250倍~450倍または約450倍、200倍または約200倍~400倍または約400倍、250倍または約250倍~350倍または約350倍、250倍または約250倍~300倍または約300倍、300倍または約300倍~500倍または約500倍、300倍または約300倍~450倍または約450倍、300倍または約300倍~400倍または約400倍、300倍または約300倍~350倍または約350倍、350倍または約350倍~500倍または約500倍、350倍または約350倍~450倍または約450倍、350倍または約350倍~400倍または約400倍増加させる。
【0161】
一部の実施形態において、増幅は、初期MCB細胞数と比較して、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適した細胞数、例えば、NK細胞数を100倍または約100倍~70,000倍または約70,000倍増加させる。一部の実施形態において、増幅は、初期MCB細胞数と比較して、MCBおよび/または注入用-完成医薬品への使用に適した細胞数、例えば、NK細胞数を少なくとも10,000倍、例えば、15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍または70,000倍増加させる。
【0162】
本願に記載されているように増幅および刺激中に細胞を操作する実施形態において、増幅および刺激されたすべての細胞が必ずしもうまく操作されるわけではなく、例えば、うまく形質導入されるわけではなく、例えば、異種のタンパク質、例えば、本願に記載されているように、CARおよび/またはIL-15を含む異種のタンパク質を含むベクターでうまく形質導入されたわけではない。このため、本願に記載の方法は、操作された細胞、例えば、本願に記載の操作された細胞を非-操作細胞から分類することを追加的に含むことができる。
【0163】
一部の実施形態において、操作された細胞、例えば、形質導入された細胞は、操作された細胞の抗原に特異的な試薬、例えば、操作された細胞の抗原を標的化するが、非-操作細胞を標的化しない抗体を用いて、非-操作細胞、例えば、非-形質導入細胞から分類する。一部の実施形態において、操作された細胞の抗原は、CARの構成成分、例えば、本願に記載のCARの構成成分である。
【0164】
細胞を抗原に基づいて細胞分離するためのシステムは、商業的に入手可能であり、例えば、CliniMACS(R)分類システム(Miltenyi Biotec)がある。
【0165】
一部の実施形態において、操作された細胞、例えば、形質導入された細胞は、フローサイトメトリー測定を用いて非-操作細胞、例えば、非-形質導入細胞から分類する。
【0166】
一部の実施形態において、分類した操作された細胞は、MCBとして用いられる。一部の実施形態において、分類した操作された細胞は、注入用-完成医薬品の構成成分として用いられる。
【0167】
一部の実施形態において、操作された細胞、例えば、形質導入された細胞は、微細流体細胞の分類方法を用いて非-操作細胞、例えば、非-形質導入細胞から分類する。微細流体細胞の分類方法は、例えば、Dalili et al.,「A Review of Sorting,Separation and Isolation of Cells and Microbeads for Biomedical Applications:Microfluidic Approaches」,Analyst144:87(2019)に言及されている。
【0168】
一部の実施形態において、増幅および刺激された細胞の1%または約1%~99%または約99%がうまく操作され、例えば、うまく形質導入され、例えば、異種のタンパク質、例えば、本願に記載されているように、CARおよび/またはIL-15を含む異種のタンパク質を含むベクターでうまく形質導入される。一部の実施形態において、増幅および刺激された細胞の1%または約1%~90%または約90%、1%または約1%~80%または約80%、1%または約1%~70%または約70%、1%または約1%~60%または約60%、1%または約1%~50%または約50%、1%または約1%~40%または約40%、1%または約1%~30%または約30%、1%または約1%~20%または約20%、1%または約1%~10%または約10%、1%または約1%~5%または約5%、5%または約5%~99%または約99%、5%または約5%~90%または約90%、5%または約5%~80%または約80%、5%または約5%~70%または約70%、5%または約5%~60%または約60%、5%または約5%~50%または約50%、5%または約5%~40%または約40%、5%または約5%~30%または約30%、5%または約5%~20%または約20%、5%または約5%~10%または約10%、10%または約10%~99%または約99%、10%または約10%~90%または約90%、10%または約10%~80%または約80%、10%または約10%~70%または約70%、10%または約10%~60%または約60%、10%または約10%~50%または約50%、10%または約10%~40%または約40%、10%または約10%~30%または約30%、10%または約10%~20%または約20%、20%または約20%~99%または約99%、20%または約20%~90%または約90%、20%または約20%~80%または約80%、20%または約20%~70%または約70%、20%または約20%~60%または約60%、20%または約20%~50%または約50%、20%または約20%~40%または約40%、20%または約20%~30%または約30%、30%または約30%~99%または約99%、30%または約30%~90%または約90%、30%または約30%~80%または約80%、30%または約30%~70%または約70%、30%または約30%~60%または約60%、30%または約30%~50%または約50%、30%または約30%~40%または約40%、40%または約40%~99%または約99%、40%または約40%~90%または約90%、40%または約40%~80%または約80%、40%または約40%~70%または約70%、40%または約40%~70%または約70%、40%または約40%~60%または約60%、40%または約40%~50%または約50%、50%または約50%~99%または約99%、50%または約50%~90%または約90%、50%または約50%~80%または約80%、50%または約50%~70%または約70%、50%または約50%~60%または約60%、60%または約60%~99%または約99%、60%または約60%~90%または約90%、60%または約60%~80%または約80%、60%または約60%~70%または約70%、70%または約70%~99%または約99%、70%または約70%~90%または約90%、70%または約70%~80%または約80%、80%または約80%~99%または約99%、80%または約80%~90%または約90%または90%または約90%~99%または約99%がうまく操作され、例えば、うまく形質導入され、例えば、異種のタンパク質、例えば、本願に記載されているように、CARおよび/またはIL-15を含む異種のタンパク質を含むベクターでうまく形質導入される。
【0169】
一部の実施形態において、1次MCBまたは2次MCBの冷凍細胞を解凍して培養する。一部の実施形態において、1次MCBまたは2次MCBの1つの冷凍細胞バイアル、例えば、細胞、例えば、1次MCBまたは2次MCB細胞を8億または約8億個ずつ含む1つのバイアルを解凍して培養する。一部の実施形態において、冷凍した1次または2次MCB細胞は、追加的なフィーダー細胞とともに培養して、2次または3次MCBとしてまたは注入型-完成医薬品への使用に適した細胞を生産する。一部の実施形態において、1次または2次MCBの共培養物から細胞を回収して冷凍する。
【0170】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞供給源、1次MCBまたは2次MCBの共培養物から細胞を回収し、冷凍保存組成物、例えば、本願に記載の冷凍保存組成物中に冷凍する。一部の実施形態において、細胞は、収穫した後に洗浄する。すなわち、本発明は、活性化および刺激されたNK細胞を含む、例えば、本願に記載の方法により生産された活性化および刺激されたNK細胞を含む、例えば、本願に記載の方法により生産された収獲および洗浄した活性化および刺激されたNK細胞を含む、薬学的組成物、および冷凍保存組成物、例えば、本願に記載の冷凍保存組成物を提供する。
【0171】
一部の実施形態において、細胞は、冷凍保存組成物と、例えば、本願に記載されているように、冷凍する前に、混合する。一部の実施形態において、細胞は、クライオバッグ(cryobag)で冷凍する。一部の実施形態において、細胞は、クライオバイアル(cryovial)で冷凍する。
【0172】
一部の実施形態において、本方法は、増幅および刺激したNK細胞の集団からNK細胞を単離することを追加的に含む。
【0173】
NK細胞を増幅および刺激する工程の一例を
図1に示す。
【0174】
5.操作
一部の実施形態において、本方法は、NK細胞を、例えば、異種のタンパク質、例えば、本願に記載の異種のタンパク質、例えば、CARおよび/またはIL-15を含む異種のタンパク質を発現するように操作することを追加的に含む。
【0175】
一部の実施形態において、NK細胞を本願に記載の異種のタンパク質を発現するように操作することは、NK細胞を本願に記載の異種のタンパク質を暗号化するポリ核酸を含むベクターで形質転換、例えば、安定的に形質転換することを含む。適切なベクターは本願に記載される。
【0176】
一部の実施形態において、NK細胞を本願に記載の異種のタンパク質を発現するように操作することは、異種のタンパク質を遺伝子編集(例、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)遺伝子編集、ARCUS遺伝子編集、CRISPR-Cas9遺伝子編集またはmegaTAL遺伝子編集)によりアデノ-随伴ウイルス(AAV)技術と組み合わせて導入することを含む。
【0177】
一部の実施形態において、NK細胞は、本願に記載の異種のタンパク質を発現するように、例えば、フィーダー細胞を含む培地で組成物を培養する間、または培養した後に、操作される。
【0178】
一部の実施形態において、本方法は、NK細胞を、例えば、遺伝子または遺伝子産物を発現するか、過剰発現、ノックアウトまたはノックダウンするように操作することを追加的に含む。
【0179】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、遺伝子操作されていない。
【0180】
A.増幅および刺激されたNK細胞の特性
例えば、本願に記載されているように、生体外増幅および刺激した後、増幅および刺激されたNK細胞の集団は、人体で自然的に生じ得ない数/密度(例、前述の通り)を有するだけでなく、その表現型特徴(例、遺伝子発現および/または表面タンパク質発現)も出発供給物質またはその他のNK細胞の自然生成集団とは異なる。
【0181】
場合によっては、出発NK細胞供給源は、ただ1つの個体、例えば、生体外増幅しない単一の臍帯血ユニットに由来するサンプルである。このため、場合によっては、増幅および刺激されたNK細胞は、共通系統を共有し、すなわち、これらがすべて出発NK細胞供給源の増幅から生成され、よって、それ自体が単一有機体に由来する細胞集団のクローン増幅により遺伝子型を共有する。しかし、これらの細胞は、自然的には生体外増幅で達成される密度で発生できず、また、出発NK細胞供給源とは表現型特徴に差が存在する。
【0182】
場合によっては、増幅および刺激されたNK細胞の集団は、増幅されたナチュラルキラー細胞を少なくとも1億、例えば、2億、2億5千万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5千万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、900億、1000億、2000億、2500億、3000億、4000億、5000億、6000億、7000億、8000億、9000億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆または10兆個含む。
【0183】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、CD56+CD3-細胞を少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0184】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、遺伝子操作されていない。
【0185】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、CD16トランス遺伝子を含まない。
【0186】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、外因性CD16タンパク質を発現しない。
【0187】
増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、表面発現を、例えば、CD16、CD56、CD3、CD38、CD14、CD19、NKG2D、NKp46、NKp30、DNAM-1およびNKp44のうちの1以上の表面発現を特徴とする。
【0188】
本願で言及される表面タンパク質の発現レベルは、場合によっては、言及された特定のタンパク質に対して陽性選別しなくても、達成される。例えば、場合によっては、NK細胞供給源、例えば、単一臍帯血ユニットは、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、例えば、CD56+CD3-発現に対してゲーティングすることにより、CD56+濃縮およびCD3(+)枯渇処理されるが、増幅および刺激を行う間に他の表面タンパク質発現に対する選別は行わない。
【0189】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、NKG2D+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0190】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、NKp46+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0191】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、NKp30+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0192】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、DNAM-1+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0193】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、NKp44+細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0194】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD94+(KLRD1)細胞を少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%含む。
【0195】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD3+細胞を20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%含む。
【0196】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD14+細胞を20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%含む。
【0197】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD19+細胞を20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%含む。
【0198】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CXCR+細胞を20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%含む。
【0199】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD122+(IL2RB)細胞を20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%含む。
【0200】
本願に記載されているように、本発明者らは、驚くべきことに、本願に記載の方法により増幅および刺激したNK細胞が増幅および刺激工程によりCD16を高いレベルに発現して、CD16発現レベルが高い細胞集団が構築されることを知るようになった。CD16の高い発現性は、増幅された細胞がADCCを開示するのに重要なCD16を発現するように操作する必要性を省き、これは本願に記載の増幅および刺激方法の驚くべき予想外の利点である。このため、一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD16+NK細胞を50%以上、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%含む。
【0201】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、CD16+NK細胞を50%以上、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%含む。
【0202】
一部の実施形態において、CD16を発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0203】
一部の実施形態において、NKG2Dを発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0204】
一部の実施形態において、NKp30を発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0205】
一部の実施形態において、DNAM-1を発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0206】
一部の実施形態において、NKp44を発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0207】
一部の実施形態において、NKp46を発現する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する、増幅および刺激されたNK細胞の百分率は、臍帯血に由来する種細胞中のナチュラルキラー細胞の百分率と同一であるか、またはそれより高い。
【0208】
本願に記載されているように、本発明者らは、驚くべきことに、本願に記載の方法により増幅および刺激されたNK細胞がCD38を低いレベルに発現するということを知るようになった。CD38は、特定の癌療法で(例えば、多発性骨髄腫および急性骨髄性白血病)有効な標的である。例えば、Jiao et al.,「CD38:Targeted Therapy in Multiple Myeloma and Therapeutic Potential for Solid Cancerrs」,Expert Opinion on Investigational Drugs29(11):1295-1308(2020)を参照する。しかし、ダラツムマブのような抗-CD38抗体をNK細胞とともに投与する場合、NK細胞が天然的にCD38を発現するので、フラトリサイド(fratricide)が増加する危険が存在する。しかし、本願に記載の方法により増幅および刺激されたNK細胞は、CD38を低いレベルに発現するので、よって、予想されるフラトリサイドが解消する。他のグループでは、CD38発現を低下させるためにゲノム編集のような操作方法に依存していたが(例、Gurney et al.,「CD38 Knockout Natural Killer Cells Expressing an Affinity Optimized CD38 Chimeric Antigen Receptor Successfully Target Acute Myeloid Leukemia with Reduced Effector Cell Fratricide」,Haematologica doi:10.3324/haematol.2020.271908(2020)参照)、本願に記載の方法により増幅および刺激されたNK細胞は、遺伝子操作しなくてもCD38を低いレベルに発現するので、本願に記載されているように増幅および刺激されたNK細胞を、例えば、ダラツムマブのようなCD38抗体と組み合わせて用いて、例えば、CD38+癌を治療するのに驚くべき予想外の利点を提供する。
【0209】
このため、一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、CD38+細胞を80%以下で、例えば、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下または20%以下でCD38+細胞を含む。
【0210】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、80%以下でCD38+細胞を、例えば、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下または20%以下でCD38+細胞を含む。
【0211】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、CD38+細胞を80%以下で、例えば、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下または20%以下で、CD16+NK細胞を50%以上、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%含む。
【0212】
一部の実施形態において、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、前述のように、例えば、ただ1つの臍帯血ユニットの増幅および刺激に由来する増幅および刺激されたNK細胞は、KIR受容体系のKIR B対立遺伝子およびCD16の158V/V変異体を両方とも含み、以下を含む:i)50%以上、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%のCD16+NK細胞;および/またはii)80%以下のCD38+細胞、例えば、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下または20%以下のCD38+細胞;および/またはiii)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のNKG2D+細胞;および/またはiv)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のNKp46+細胞;および/またはv)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のNKp30+細胞;および/またはvi)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のDNAM-1+細胞;および/またはvii)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のNKp44+細胞;および/またはviii)少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のCD94+(KLRD1)細胞;および/またはix)20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD3+細胞;および/またはx)20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD14+細胞;および/またはxi)20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD19+細胞;および/またはxii)20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%のCXCR+細胞;および/またはxiii)20%以下、例えば、10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD122+(IL2RB)細胞。
【0213】
一部の実施形態において、フィーダー細胞の残留シグネチャー(residual signature)が、例えば、残留細胞の存在によって(例えば、特定の表面タンパク質を発現する細胞を検出することにより)またはフィーダー細胞によって発現した残留核酸および/またはタンパク質によって検出されてもよいが、フィーダー細胞が増幅および刺激されたNK細胞に存続するものではない。
【0214】
例えば、場合によっては、本願に記載の方法は、操作されたフィーダー細胞、例えば、ナチュラルキラー細胞などのナチュラルキラー細胞供給源中の細胞によって発現しない配列を発現するように操作された、前述のeHuT-78フィーダー細胞を用いて、ナチュラルキラー細胞を増幅および刺激することを含む。例えば、操作されたフィーダー細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および突然変異TNFα(配列番号3)(「eHut-78細胞」)、またはこれらの変異体からなる群より選択される1つ以上の遺伝子を発現するように操作できる。
【0215】
これらのフィーダー細胞が増幅および刺激されたNK細胞で存続しなくてもよいが、増幅および刺激されたNK細胞は、フィーダー細胞に由来する細胞、タンパク質および/または核酸を検出可能な残留量で保有することができる。したがって、増幅および刺激されたNK細胞においてこのような残留物の存在は、例えば、細胞自体(例えば、フローサイトメトリー測定によって)、これらの細胞によって発現したタンパク質、および/またはこれらの細胞によって発現した核酸を検出することにより、検出することができる。
【0216】
このため、本発明はまた、残留フィーダー細胞(生存細胞または死滅細胞)または残留フィーダー細胞の細胞性不純物(例えば、残留フィーダー細胞のタンパク質またはその一部、および/または核酸のような遺伝物質またはその一部)を含む増幅および刺激されたNK細胞の集団を記載する。場合によっては、増幅および刺激されたNK細胞は、残留フィーダー細胞、例えば、eHuT-78フィーダー細胞を0%より高くかつ0.3%以下のレベルで含む。
【0217】
場合によっては、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、残留4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)、および/または突然変異TNFα(配列番号3)、またはこれらの一部を暗号化する残留フィーダー細胞を含む。場合によっては、膜-結合型IL-21は、CD8膜貫通ドメインを含む。
【0218】
場合によっては、増幅および刺激されたNK細胞は、例えば、サンプルにおいてフィーダー細胞特異的なタンパク質または核酸配列(すなわち、ナチュラルキラー細胞によって発現しないタンパク質または核酸配列)の相対的な比率によって、例えば、qPCRによって、例えば、本願に記載されているように測定したことによって、0%超過および0.2%以下のフィーダー細胞の残留率%を含む。
【0219】
一部の実施形態において、残留フィーダー細胞は、CD4(+)T細胞である。一部の実施形態において、残留フィーダー細胞は、操作されたCD4(+)T細胞である。一部の実施形態において、残留フィーダー細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および突然変異TNFα(配列番号3)(「eHut-78細胞」)、またはこれらの変異体からなる群より選択される1つ以上の遺伝子を発現するように操作されたものである。このため、場合によっては、フィーダー細胞特異的なタンパク質は、4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および/または突然変異TNFα(配列番号3)である。したがって、フィーダー細胞特異的な核酸は、4-1BBL(UniProtKB P41273、配列番号1)、膜-結合型IL-21(配列番号2)および/または突然変異TNFα(配列番号3)、またはその一部を暗号化する核酸である。場合によっては、膜-結合型IL-21は、CD8膜貫通ドメインを含む。
【0220】
非常に多様な種々の方法を用いて、生物学的サンプルにおいて核酸またはタンパク質遺伝子産物の存在を分析および検出することができる。本願に使用されているように、「検出」は、化合物および/または基質(例、細胞、タンパク質および/または核酸)の共存または存在を発見、確認または検証するために使用する方法を指すことができる。一部の実施形態において、検出方法を用いてタンパク質を検出することができる。一部の実施形態において、検出は、化学発光または蛍光手法を含むことができる。一部の実施形態において、検出は、抗体を用いてタンパク質全体またはタンパク質の特異的なエピトープと特異的に反応する免疫学に基づく方法(例えば、定量的酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、ウェスタンブロッティングまたはドットブロッティング)を含むことができる。一部の実施形態において、検出は、タンパク質の免疫沈降を含むことができる(Jungblut et al.,J Biotechnol.31;41(2-3):111-20(1995);Franco et al.,Eur J Morphol.39(1):3-25(2001))。一部の実施形態において、検出方法を用いて核酸(例えば、DNAおよび/またはRNA)を検出することができる。一部の実施形態において、検出は、ノーザンブロット分析、ヌクレアーゼ保護分析(nuclease protection assay、NPA)、インサイチュー混成化または逆転写-重合酵素連鎖反応(RT-PCR)を含むことができる(Raj et al.,Nat.Methods5,877-879(2008);Jin et al.,J Clin Lab Anal.11(1):2-9(1997);Ahmed,J Environ Sci Health C Environ Carcinog Ecotoxicol Rev.20(2):77-116(2002))。
【0221】
このため、本発明はまた、操作されたフィーダー細胞、例えば、本願に記載のeHuT-78フィーダー細胞と共培養した、増幅および刺激されたNK細胞の集団、例えば、本願に記載の方法を用いて増幅および刺激されたNK細胞の集団を検出する方法を記載する。
【0222】
II.ナチュラルキラー細胞の操作
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、CAR-NKおよび/またはIL-15を発現するNKを生産するように操作される。
【0223】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、増幅および刺激する間に、例えば、本願に記載の増幅および刺激する間に操作、例えば、形質導入される。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、増幅および刺激する間に、例えば、本願に記載されているように、MCBを生産する間に、操作される。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、増幅および刺激する間に、例えば、注射用-完成医薬品への使用に適したNK細胞を生産する間に、および/または前述のようにMCBを生産する間に、操作される。このため、一部の実施形態において、NK細胞は、宿主細胞であり、本発明は、異種のタンパク質、例えば、前述のような異種のタンパク質を発現するNK宿主細胞を提供する。
【0224】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、増幅および刺激する前に操作される。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、増幅および刺激した後に操作される。
【0225】
一部の実施形態において、NK細胞は、ベクターを用いた形質導入によって操作される。好適なベクターは本願に記載されており、例えば、レンチウイルスベクター、例えば、異種のタンパク質、例えば、本願に記載の異種のタンパク質を含むレンチウイルスベクターがある。一部の実施形態において、NK細胞は、本願に記載されているように、第1MCBを生産する間に形質導入される。
【0226】
一部の実施形態において、NK細胞は、感染多重度(multiplicity of infection)1または約1~40または約40ウイルス粒子数/細胞で形質導入される。一部の実施形態において、NK細胞は、1または約1、5または約5、10または約10、15または約15、20または約20、25または約25、30または約30、35または約35、または40または約40ウイルス粒子数/細胞の感染多重度で形質導入される。
【0227】
A.キメラ抗原受容体
一部の実施形態において、異種のタンパク質は、融合タンパク質であり、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を含む融合タンパク質は、NK細胞に、例えば、増幅および刺激工程中に導入される。
【0228】
一部の実施形態において、CARは、以下の1つ以上を含む:シグナル配列、細胞外ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン、および1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン配列。一部の実施形態において、CARは、スペーサー配列を追加的に含む。
【0229】
一部の実施形態において、CARは、(N-末端からC-末端方向に)シグナル配列、細胞外ドメイン、ヒンジ、スペーサー、膜貫通ドメイン、第1シグナル伝達ドメイン配列、第2シグナル伝達ドメイン配列および第3シグナル伝達ドメイン配列を含む。
【0230】
一部の実施形態において、CARは、(N-末端からC-末端方向に)シグナル配列、細胞外ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン、第1シグナル伝達ドメイン配列、第2シグナル伝達ドメイン配列および第3シグナル伝達ドメイン配列を含む。
【0231】
一部の実施形態において、細胞外ドメインは、抗体またはその抗原-結合部分を含む。
【0232】
一部の実施形態において、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、CD28細胞内シグナル伝達配列である。一部の実施形態において、CD28細胞内シグナル伝達配列は、配列番号5を含むか、または配列番号5で構成される。
【0233】
一部の実施形態において、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、OX40Lシグナル伝達配列である。一部の実施形態において、OX40Lシグナル伝達配列は、配列番号8を含むか、または配列番号8で構成される。
【0234】
一部の実施形態において、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン配列である。一部の実施形態において、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列は、配列番号11を含むか、または配列番号11で構成される。
【0235】
一部の実施形態において、CARは、CD28細胞内シグナル伝達配列(配列番号5)、OX40L細胞内シグナル伝達配列(配列番号8)およびCD3ζ細胞内シグナル伝達配列(配列番号11)を含む。
【0236】
一部の実施形態において、CARは、配列番号19を含むか、または配列番号19で構成された細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0237】
一部の実施形態において、CARは、OX40L細胞内シグナル伝達ドメイン配列を含まない。
【0238】
一部の実施形態において、CARは、CD28細胞内シグナル伝達配列(配列番号5)とCD3ζ細胞内シグナル伝達配列(配列番号11)を含むが、OX40L細胞内シグナル伝達ドメイン配列は含まない。
【0239】
B.IL-15
一部の実施形態において、NK細胞は、IL-15、例えば、ヒトIL-15(UniProtKB#P40933;NCBI Gene ID#3600)、例えば、溶解性ヒトIL-15またはそのオルソログ、または前述の任意のものの変異体を発現するように操作される。一部の実施形態において、IL-15は、切断部位を追加的に含む融合タンパク質の一部として発現する。一部の実施形態において、IL-15は、T2Aリボソームスキップ配列部位(時々、自己-切断部位と言及される)を含むポリタンパク質の一部として発現する。
【0240】
一部の実施形態において、IL-15は、配列番号16を含むか、またはそれで構成される。
【0241】
一部の実施形態において、T2A切断部は、配列番号14を含むか、または配列番号14で構成される。
【0242】
一部の実施形態において、IL-15は、CAR、例えば、本願に記載のCARを含む融合タンパク質の一部として発現する。
【0243】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、(N-末端からC-末端方向に)CAR、切断部位およびIL-15を含む。
【0244】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、配列番号20を含む。
【0245】
C.阻害性受容体
一部の実施形態において、NK細胞は、1つ以上の阻害性受容体遺伝子の発現を変更するように、例えば、低下させるように操作される。
【0246】
一部の実施形態において、阻害性受容体遺伝子は、HLA-特異的な阻害性受容体である。一部の実施形態において、阻害性受容体遺伝子は、HLA-非特異的な阻害性受容体である。
【0247】
一部の実施形態において、阻害性受容体遺伝子は、KIR、CD94/NKG2A、LILRB1、PD-1、IRp60、Siglec-7、LAIR-1、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0248】
D.ポリ核酸、ベクターおよび宿主細胞
また、本発明は、融合タンパク質またはその一部を暗号化するポリ核酸、例えば、本願に提供された配列の表に示しているように、本願に記載のポリペプチドを暗号化するポリヌクレオチド配列を提供する。
【0249】
さらに、本発明は、ポリ核酸を含むベクター、およびこのようなベクターを含む細胞、例えば、NK細胞を提供する。
【0250】
一部の実施形態において、ベクターは、レンチウイルスベクターである。例えば、Milone et al.,「Clinical Use of Lentiviral Vectors」,Leukemia32:1529-41(2018)を参照する。一部の実施形態において、ベクターは、レトロウイルスベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、非-ウイルス性ベクター、例えば、ピギーバック非-ウイルスベクター(PBトランスポゾン、例えば、Wu et al.,「piggyback is a Flexible and Highly Active Transposon as Compared to Sleeping Beauty,Tol2,and Mos1 in Mammalian Cells」,PNAS103(41):15008-13(2006))、スリーピングビューティー非-ウイルス性ベクター(SB transposon、例えば、Hudecek et al.,「Going Non-Viral:the Sleeping Beauty Transposon System Breaks on Through to the Clinical Side」,Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology52(4):355-380(2017)参照)、またはmRNAベクターである。
【0251】
III.冷凍保存
A.冷凍保存組成物
本発明は、冷凍保存組成物、例えば、静脈内投与に、例えば、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞を静脈内投与するのに適した冷凍保存組成物を提供する。一部の実施形態において、薬学的組成物は、冷凍保存組成物および細胞、例えば、本願に記載のNK細胞を含む。
【0252】
1.アルブミン
【0253】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えば、ヒトアルブミンタンパク質(UniProtKB Accession P0278、配列番号21)、またはその変異体を含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えば、ヒトアルブミンタンパク質のオルソログ、またはその変異体を含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えば、ヒトアルブミンの生物学的活性部分、またはその変異体を含む。
【0254】
一部の実施形態において、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンは、溶液として提供され、これはまた、本願においてアルブミン溶液またはヒトアルブミン溶液と称される。このため、一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、アルブミン溶液、例えば、ヒトアルブミン溶液であるか、またはこれを含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、無血清アルブミン溶液である。
【0255】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、静脈内使用に適合する。
【0256】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、アルブミンを40または約40~200または約200g/l含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを40または約40~50または約50g/l含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを約200g/l含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、アルブミン、例えば、ヒトアルブミンを200g/l含む。
【0257】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、95%以上がアルブミンタンパク質、例えば、ヒトアルブミンタンパク質であるタンパク質組成物を含む。一部の実施形態において、タンパク質の96%、97%、98%または99%またはそれ以上がアルブミン、例えば、ヒトアルブミンである。
【0258】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ソジウムを追加的に含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ソジウムを100または約100~200または約200mmol含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ソジウムを130または約130~160または約160mmol含む。
【0259】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ポタシウムを追加的に含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ポタシウムを3mmol以下含む。一部の実施形態において、アルブミン溶液は、ポタシウムを2mmol以下で追加的に含む。
【0260】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、1つ以上の安定化剤を追加的に含む。一部の実施形態において、安定化剤は、ソジウムカプリレート、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(本願においてまた、次のように称される:アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファン)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(また、次のように称される:N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトリプトファンおよびN-アセチル-DL-トリプトファン)からなる群より選択される。一部の実施形態において、溶液は、溶液中のタンパク質1gあたり、1つ以上の安定化剤をそれぞれ0.1mmol未満で含む。一部の実施形態において、溶液中のタンパク質1gあたり、安定化剤をそれぞれ0.05または約0.05~0.1または約0.1、例えば、0.064または約0.064~0.096または約0.096mmol含む。一部の実施形態において、溶液は、溶液中のタンパク質1gあたり、全体安定化剤を0.1mmol未満で含む。一部の実施形態において、溶液は、溶液中のタンパク質1gあたり、全体安定化剤を0.05または約0.05~0.1または約0.1、例えば、0.064または約0.064~0.096または約0.096mmol含む。
【0261】
一部の実施形態において、アルブミン溶液は、水中の、アルブミンタンパク質が95%以上のタンパク質組成物、ソジウム、ポタシウムおよびソジウムカプリレート、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(本願においてまた、次のように称される:アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファン)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(また、次のように称される:N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトリプトファンおよびN-アセチル-DL-トリプトファン)からなる群より選択される1つ以上の安定化剤で構成される。
【0262】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、アルブミン溶液、例えば、本願に記載のアルブミン溶液を10%v/vまたは約10%v/v~50%または約50%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、10%または約10%~50%または約50%、10%または約10%~45%または約45%、10%または約10%~40%または約40%、10%または約10%~35%または約35%、10%または約10%~30%または約30%、10%または約10%~25%または約25%、10%または約10%~20%または約20%、10%または約10%~15または約15%、15%または約15%~50%または約50%、15%または約15%~45%または約45%、15%または約15%~40%または約40%、15%または約15%~35%または約35%、15%または約15%~30%または約30%、15%または約15%~25%または約25%、15%または約15%~20%または約20%、20%または約20%~50%または約50%、20%または約20%~45%または約45%、20%または約20%~40%または約40%、20%または約20%~35%または約35%、20%または約20%~30%または約30%、20%または約20%~25%または約25%、25%または約25%~50%または約50%、25%または約25%~45%または約45%、25%または約25%~40%または約40%、25%または約25%~35%または約35%、25%または約25%~30%または約30%、30%または約30%~50%または約50%、30%または約30%~45%または約45%、30%または約30%~40%または約40%、30%または約30%~35%または約35%、35%または約35%~50%または約50%、35%または約35%~45%または約45%、35%または約35%~40%または約40%、40%または約40%~50%または約50%、40%または約40%~45%または約45%、または45%または約45%~50%または約50%v/vで本願に記載のアルブミン溶液を含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%v/vで本願に記載のアルブミン溶液を含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%v/vで本願に記載のアルブミン溶液を含む。
【0263】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、20または約20~100または約100g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、20または約20~100または約100、20または約20~90または約90、20または約20~80または約80、20または約20~70または約70、20または約20~60または約60、20または約20~50または約50、20または約20~40または約40、20または約20~30または約30、30または約30~100または約100、30または約30~90または約90、30または約30~80または約80、30または約30~70または約70、30または約30~60または約60、30または約30~50または約50、30または約30~40または約40、40または約40~100または約100、40または約40~90または約90、40または約40~80または約80、40または約40~70または約70、40または約40~60または約60、40または約40~50または約50、50または約50~100または約100、50または約50~90または約90、50または約50~80または約80、50または約50~70または約70、50または約50~60または約60、60または約60~100または約100、60または約60~90または約90、60または約60~80または約80、60または約60~70または約70、70または約70~100または約100、70または約70~90または約90、70または約70~80または約80、80または約80~100または約100、80または約80~90または約90、または90または約90~100または約100g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。
【0264】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、20g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、40g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、70g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、100g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。
【0265】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約20g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約40g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約70g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約100g/lでアルブミン、例えば、ヒトアルブミンを含む。
【0266】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、安定化剤、例えば、アルブミン安定化剤を追加的に含む。一部の実施形態において、安定化剤は、ソジウムカプリレート、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(本願においてまた、次のように称される:アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファン)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(また、次のように称される:N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトリプトファンおよびN-アセチル-DL-トリプトファン)からなる群より選択される。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、組成物中のタンパク質、例えば、アルブミンタンパク質1gあたり、1つ以上の安定化剤をそれぞれ.1mmol未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、組成物中のタンパク質、例えば、アルブミンタンパク質1gあたり、安定化剤をそれぞれ0.05または約0.05~0.1または約0.1、例えば、0.064または約0.064~0.096または約0.096mmol含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、冷凍保存組成物中のタンパク質、例えば、アルブミンタンパク質1gあたり、全体安定化剤を0.1mmol未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、冷凍保存組成物中のタンパク質、例えば、アルブミンタンパク質1gあたり、全体安定化剤を0.05または約0.05~0.1または約0.1、例えば、0.064または約0.064~0.096または約0.096mmol含む。
【0267】
2.デキストラン
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストランまたはその誘導体を含む。
【0268】
デキストランは、約95%がα-D-(1-6)連結で構成されたアンハイドログルコースポリマー((C6H10O5)nと名付けられる)である。デキストラン分画は、分子量約1,000ダルトン~約2,000,000ダルトンで提供される。これは番号(デキストランX)で、例えば、デキストラン1、デキストラン10、デキストラン40、デキストラン70などで表示し、ここで、Xは、平均分子量を1,000ダルトンで割ったものである。そのため、例えば、デキストラン40は、平均分子量が40,000ダルトンまたは約40,000ダルトンである。
【0269】
一部の実施形態において、デキストランの平均分子量は、1,000ダルトンまたは約1,000ダルトン~2,000または約2,000,000ダルトンである。一部の実施形態において、デキストランの平均分子量は、40,000ダルトンまたは約40,000ダルトンである。一部の実施形態において、デキストランの平均分子量は、70,000ダルトンまたは約70,000ダルトンである。
【0270】
一部の実施形態において、デキストランは、デキストラン40、デキストラン70、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態において、デキストランは、デキストラン40である。
【0271】
一部の実施形態において、デキストラン、例えば、デキストラン40は、溶液として、また、本願で言及されるように、デキストラン溶液としてまたはデキストラン40溶液として提供される。したがって、一部の実施形態において、組成物は、デキストラン溶液、例えば、デキストラン40溶液を含む。
【0272】
一部の実施形態において、デキストラン溶液は、静脈内使用に適合する。
【0273】
一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を約5%~約50%w/w含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、5%または約5%~50%または約50%、5%または約5%~45%または約45%、5%または約5%~40%または約40%、5%または約5%~35%または約35%、5%または約5%~30%または約30%、5%または約5%~25%または約25%、5%または約5%~20%または約20%、5%または約5%~15または約15%、5%または約5%~10%または約10%、10%または約10%~50%または約50%、10%または約10%~45%または約45%、10%または約10%~40%または約40%、10%または約10%~35%または約35%、10%または約10%~30%または約30%、10%または約10%~25%または約25%、10%または約10%~20%または約20%、10%または約10%~15または約15%、15%または約15%~50%または約50%、15%または約15%~45%または約45%、15%または約15%~40%または約40%、15%または約15%~35%または約35%、15%または約15%~30%または約30%、15%または約15%~25%または約25%、15%または約15%~20%または約20%、20%または約20%~50%または約50%、20%または約20%~45%または約45%、20%または約20%~40%または約40%、20%または約20%~35%または約35%、20%または約20%~30%または約30%、20%または約20%~25%または約25%、25%または約25%~50%または約50%、25%または約25%~45%または約45%、25%または約25%~40%または約40%、25%または約25%~35%または約35%、25%または約25%~30%または約30%、30%または約30%~50%または約50%、30%または約30%~45%または約45%、30%または約30%~40%または約40%、30%または約30%~35%または約35%、35%または約35%~50%または約50%、35%または約35%~45%または約45%、35%または約35%~40%または約40%、40%または約40%~50%または約50%、40%または約40%~45%または約45%、または45%または約45%~50%または約50%w/wでデキストラン、例えば、デキストラン40を含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%w/wでデキストラン、例えば、デキストラン40を含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%w/wでデキストラン、例えば、デキストラン40を含む。
【0274】
一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を25または約25g/l~200または約200g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を35または約35~200または約200、25または約25~175または約175、25または約25~150または約150、25または約25~125または約125、25または約25~100または約100、25または約25~75または約75、25または約25~50または約50、50または約50~200または約200、50または約50~175または約175、50または約50~150または約150、50または約50~125または約125、50または約50~100または約100、50または約50~75または約75、75または約75~200または約200、75または約75~175または約175、75または約75~150または約150、75または約75~125または約125、75または約75~100または約100、100または約100~200または約200、100または約100~175または約175、100または約100~150または約150、100または約100~125または約125、125または約125~200または約200、125または約125~175または約175、125または約125~150または約150、150または約150~200または約200、150または約150~175または約175、または175または約175~200または約200g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を25、50、75、100、125、150、175または200g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を100g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、または約200g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、デキストラン、例えば、デキストラン40を約100g/l含む。
【0275】
一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコース(また、次のように称される:デキストロース)を追加的に含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを10または約10g/l~100または約100g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを10または約10~100または約100、10または約10~90または約90、10または約10~80または約80、10または約10~70または約70、10または約10~60または約60、10または約10~50または約50、10または約10~40または約40、10または約10~30または約30、10または約10~20または約20、20または約20~100または約100、20または約20~90または約90、20または約20~80または約80、20または約20~70または約70、20または約20~60または約60、20または約20~50または約50、20または約20~40または約40、20または約20~30または約30、30または約30~100または約100、30または約30~90または約90、30または約30~80または約80、30または約30~70または約70、30または約30~60または約60、30または約30~50または約50、30または約30~40または約40、40または約40~100または約100、40または約40~90または約90、40または約40~80または約80、40または約40~70または約70、40または約40~60または約60、40または約40~50または約50、50または約50~100または約100、50または約50~90または約90、50または約50~80または約80、50または約50~70または約70、50または約50~60または約60、60または約60~100または約100、60または約60~90または約90、60または約60~80または約80、60または約60~70または約70、70または約70~100または約100、70または約70~90または約90、70または約70~80または約80、80または約80~90または約90、80または約80~100または約100、80または約80~90または約90、または90または約90~100または約100g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを10、20、30、40、50、60、70、80、90または100g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを50g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100g/l含む。一部の実施形態において、デキストラン溶液は、グルコースを50g/l含む。
【0276】
一部の実施形態において、デキストラン溶液は、水中の、デキストラン、例えば、デキストラン40、およびグルコースで構成される。
【0277】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、本願に記載のデキストラン溶液を10%または約10%v/v~50%または約50%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン溶液、例えば、本願に記載のデキストラン溶液を10%または約10%~50%、10%または約10%~45%または約45%、10%または約10%~40%または約40%、10%または約10%~35%または約35%、10%または約10%~30%または約30%、10%または約10%~25%または約25%、10%または約10%~20%または約20%、10%または約10%~15または約15%、15%または約15%~50%または約50%、15%または約15%~45%または約45%、15%または約15%~40%または約40%、15%または約15%~35%または約35%、15%または約15%~30%または約30%、15%または約15%~25%または約25%、15%または約15%~20%または約20%、20%または約20%~50%または約50%、20%または約20%~45%または約45%、20%または約20%~40%または約40%、20%または約20%~35%または約35%、20%または約20%~30%または約30%、20%または約20%~25%または約25%、25%または約25%~50%または約50%、25%または約25%~45%または約45%、25%または約25%~40%または約40%、25%または約25%~35%または約35%、25%または約25%~30%または約30%、30%または約30%~50%または約50%、30%または約30%~45%または約45%、30%または約30%~40%または約40%、30%または約30%~35%または約35%、35%または約35%~50%または約50%、35%または約35%~45%または約45%、35%または約35%~40%または約40%、40%または約40%~50%または約50%、40%または約40%~45%または約45%、または45%または約45%~50%または約50%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン溶液、例えば、本願に記載のデキストラン溶液を10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン溶液、例えば、本願に記載のデキストラン溶液を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%v/v含む。
【0278】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン、例えば、デキストラン40を10または約10~50または約50g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン、例えば、デキストラン40を10または約10~50または約50、10または約10~45または約45、10または約10~40または約40、10または約10~35または約35、10または約10~30または約30、10または約10~25または約25、10または約10~20または約20、10または約10~15または約15、15または約15~50または約50、15または約15~45または約45、15または約15~40または約40、15または約15~35または約35、15または約15~30または約30、15または約15~25または約25、15または約15~20または約20、20または約20~50または約50、20または約20~45または約45、20または約20~40または約40、20または約20~30または約30、20または約20~25または約25、25または約25~50または約50、25または約25~45または約45、25または約25~40または約40、25または約25~35または約35、25または約25~30または約30、30または約30~50または約50、30または約30~45または約45、30または約30~40または約40、30または約30~35または約35、35または約35~50または約50、35または約35~45または約45、35または約35~40または約40、40または約40~50または約50、40または約40~45または約45、または45または約45~50または約50g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン、例えば、デキストラン40を10、15、20、25、30、30、35、40、45または50g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、デキストラン、例えば、デキストラン40を約10、約15、約20、約25、約30、約30、約35、約40、約45、または約50g/l含む。
【0279】
3.グルコース
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを含む。
【0280】
一部の実施形態において、本願に記載されているように、冷凍保存組成物は、グルコースを含むデキストラン溶液を含む。
【0281】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを含まないデキストラン溶液を含む。一部の実施形態において、例えば、デキストラン溶液にグルコースが含まれない場合、グルコースは、冷凍保存組成物に別途に添加される。
【0282】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを5または約5~25または約25g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを5または約5~25または約25、5または約5~20または約20、5または約5~15または約15、5または約5~10または約10、10または約10~25または約25、10または約10~20または約20、10または約10~15または約15、15または約15~25または約25、15または約15~20または約20、または20または約20~25または約25g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5または25g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを12.5g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを約5、約7.5、約10、約12.5、約15、約17.5、約20、約22.5、または約25g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを約12.5g/l含む。
【0283】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを2.75%w/v未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを27.5g/l未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを2%w/v未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを1.5%w/v未満で含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、約1.25%w/v以下含む。
【0284】
4.ジメチルスルホキシド
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO、メチルスルホキシドおよびメチルスルフィニルメタンともいう)を含む。
【0285】
一部の実施形態において、DMSOは、本願においてDMSO溶液とも言及される溶液として提供される。このため、一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を含む。
【0286】
一部の実施形態において、DMSO溶液は、静脈内使用に適合する。
【0287】
一部の実施形態において、DMSO溶液は、DMSOを1.1g/ml含む。一部の実施形態において、DMSO溶液は、DMSOを約1.1g/ml含む。
【0288】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を1%または約1%~10%または約10%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を1%または約1%~10%または約10%、1%または約1%~9%または約9%、1%または約1%~8%または約8%、1%または約1%~7%または約7%、1%または約1%~6%または約6%、1%または約1%~5%または約5%、1%または約1%~4%または約4%、1%または約1%~3%または約3%、1%または約1%~2%または約2%、2%または約2%~10%または約10%、2%または約2%~9%または約9%、8%または約8%、2%または約2%~7%または約7%、2%または約2%~6%または約6%、2%または約2%~5%または約5%、2%または約2%~4%または約4%、2%または約2%~3%または約3%、3%または約3%~10%または約10%、3%または約3%~9%または約9%、3%または約3%~8%または約8%、3%または約3%~7%または約7%、3%または約3%~6%または約6%、3%または約3%~5%または約5%、3%または約3%~4%または約4%、4%または約4%~10%または約10%、4%または約4%~9%または約9%、4%または約4%~8%または約8%、4%または約4%~7%または約7%、4%または約4%~6%または約6%、4%または約4%~5%または約5%、5%または約5%~10%または約10%、5%または約5%~9%または約9%、5%または約5%~8%または約8%、5%または約5%~7%または約7%、5%または約5%~6%または約6%、6%または約6%~10%または約10%、6%または約6%~9%または約9%、6%または約6%~8%または約8%、6%または約6%~7%または約7%、7%または約7%~10%または約10%、7%または約7%~9%または約9%、7%または約7%~8%または約8%、8%または約8%~10%または約10%、8%または約8%~9%または約9%、または9%または約9%~10%または約10%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を5%含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%v/v含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSO溶液を約5%含む。
【0289】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを11または約11~110または約110g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを11または約11~110または約110、11または約11~99または約99、11または約11~88または約88、11または約11~77または約77、11または約11~66または約66、11または約11~55または約55、11または約11~44または約44、11または約11~33または約33、11または約11~22または約22、22または約22~110または約110、22または約22~99または約99、22または約22~88または約88、22または約22~77または約77、22または約22~77または約77、22または約22~66または約66、22または約22~55または約55、22または約22~44または約44、22または約22~33または約33、33または約33~110または約110、33または約33~99または約99、33または約33~88または約88、33または約33~77または約77、33または約33~66または約66、33または約33~55または約55、33または約33~44または約44、44または約44~110または約110、44または約44~99または約99、44または約44~88または約88、44または約44~77または約77、44または約44~66または約66、44または約44~55または約55、55または約55~110または約110、55または約55~99または約99、55または約55~88または約88、55または約55~77または約77、55または約55~66または約66、66または約66~110または約110、66または約66~99または約99、66または約66~88または約88、66または約66~77または約77、77または約77~119または約119、77または約77~88または約88、88または約88~110または約110、88または約88~99または約99、または99または約99~110または約110g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを11、22、33、44、55、66、77、88、99または110g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを55g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを約11、約22、約33、約44、約55、約66、約77、約88、約99、または約110g/l含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、DMSOを約55g/l含む。
【0290】
5.緩衝剤
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、緩衝剤溶液、例えば、静脈内投与に適した緩衝剤溶液を含む。
【0291】
緩衝剤溶液としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンゲル液、Tyrodeの緩衝剤、Hankの平衡塩溶液(Hank’s balanced salt solution)、Earleの平衡塩溶液、塩水およびトリスなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0292】
一部の実施形態において、緩衝剤溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0293】
6.例示的な冷凍保存組成物
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、以下の構成成分を含むか、またはそれらで構成される:1)アルブミン、例えば、ヒトアルブミン、2)デキストラン、例えば、デキストラン40、3)DMSO、および4)緩衝剤溶液。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、グルコースを追加的に含む。一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、1)アルブミン、例えば、ヒトアルブミン、2)デキストラン、例えば、デキストラン40、3)グルコース、4)DMSO、および5)緩衝剤溶液で構成される。
【0294】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、1)本願に記載のアルブミン溶液、2)本願に記載のデキストラン溶液、3)本願に記載のDMSO溶液、および4)緩衝剤溶液を含む。
【0295】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、1)本願に記載のアルブミン溶液、2)本願に記載のデキストラン溶液、3)本願に記載のDMSO溶液、および4)緩衝剤溶液で構成される。
【0296】
一部の実施形態において、冷凍保存組成物は、細胞培養培地を含まない。
【0297】
一実施形態において、冷凍保存組成物は、約40mg/mlヒトアルブミン、25mg/mlデキストラン40、12.5mg/mlグルコースおよび55mg/ml DMSOを含む。
【0298】
一実施形態において、冷凍保存組成物は、水中の、約40mg/mlヒトアルブミン、25mg/mlデキストラン40、12.5mg/mlグルコース、55mg/ml DMSO、および0.5ml/mlの100%リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、またはそれらで構成される。
【0299】
一実施形態において、冷凍保存組成物は、約32mg/mlヒトアルブミン、25mg/mlデキストラン40、12.5mg/mlグルコースおよび55mg/ml DMSOを含む。
【0300】
一実施形態において、冷凍保存組成物は、水中の、約32mg/mlヒトアルブミン、25mg/mlデキストラン40、12.5mg/mlグルコース、55mg/ml DMSO、および0.54ml/mlの100%リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、またはそれらで構成される。
【0301】
冷凍保存組成物の例を表3に示す。
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
B.冷凍保存法
本願に記載の冷凍保存組成物は、細胞、例えば、治療学的細胞、例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、例えば、本願に記載のNK細胞を冷凍保存するために用いることができる。
【0306】
一部の実施形態において、細胞は、動物細胞である。一部の実施形態において、細胞は、ヒト細胞である。
【0307】
一部の実施形態において、細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態において、免疫細胞は、好塩球、好酸球、好中球、肥満細胞、単核球、大食細胞、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0308】
一部の実施形態において、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、本願に記載の方法により増幅および刺激される。
【0309】
一部の実施形態において、細胞の冷凍保存は、細胞を本願に記載の冷凍保存組成物またはその構成成分と混合して組成物、例えば、薬学的組成物を製造する段階、および混合物を冷凍する段階を含む。
【0310】
一部の実施形態において、細胞の冷凍保存は、細胞を含む組成物を、本願に記載の冷凍保存組成物またはその構成成分と混合して組成物、例えば、薬学的組成物を製造する段階;混合物を冷凍する段階を含む。一部の実施形態において、細胞を含む組成物は、細胞および緩衝剤を含む。好適な緩衝剤は本願に記載されている。
【0311】
一部の実施形態において、細胞の冷凍保存は、細胞および緩衝剤、例えば、PBSを含む組成物を、アルブミン、デキストランおよびDMSO、例えば、本願に記載されているように含む組成物と混合する段階;混合物を冷凍する段階を含む。
【0312】
一部の実施形態において、細胞の冷凍保存は、細胞および緩衝剤、例えば、PBSを1:1で含む組成物を40mg/mlアルブミン、例えば、ヒトアルブミン、25mg/mlデキストラン、例えば、デキストラン40、12.5mg/mlグルコースおよび55mg/ml DMSOを含む組成物と混合する段階を含む。
【0313】
一部の実施形態において、細胞および緩衝剤、例えば、PBSを含む組成物は、細胞を2×107または約2×107~2×109または約2×109細胞/ml含む。一部の実施形態において、細胞および緩衝剤、例えば、PBSを含む組成物は、2×108細胞/mlを含む。一部の実施形態において、細胞および緩衝剤、例えば、PBSを含む組成物は、約2×108細胞/mlを含む。
【0314】
一部の実施形態において、細胞冷凍保存は、細胞、緩衝剤、例えば、PBS、アルブミン、例えば、ヒトアルブミン、デキストラン、例えば、デキストラン40およびDMSOを混合する段階;混合物を冷凍する段階を含む。
【0315】
一部の実施形態において、混合物は、1×107または約1×107~1×109または約1×109細胞/mlを含む。一部の実施形態において、混合物は、1×108細胞/mlを含む。一部の実施形態において、混合物は、約1×108細胞/mlを含む。
【0316】
適切なアルブミン、デキストランおよびDMSOの範囲は上記に記載される。
【0317】
一部の実施形態において、組成物は、-135℃以下で冷凍する。
【0318】
一部の実施形態において、組成物は、制御された速度で冷凍する。
【0319】
IV.抗体
本願に記載の方法への使用に適したCD20標的抗体は、表6に記載された抗体およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。
【0320】
【0321】
一部の実施形態において、CD38標的抗体は、ダラツムマブ(またはそのバイオシミラー)、イサツキシマブ(またはそのバイオシミラー)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0322】
一部の実施形態において、抗体は、静脈内または皮下投与される。
【0323】
V.薬学的組成物
本発明は、本願に記載のナチュラルキラー細胞を含む薬学的組成物および本願に記載の薬学的組成物の投薬単位(dosage unit)を提供する。
【0324】
場合によっては、投薬単位は、細胞を1億~15億、例えば、1億、2億、3億、4億、5億、6億、7億、8億、9億、10億、11億、12億、13億、14億または15億個含む。
【0325】
薬学的組成物は、典型的に薬剤学的に許容可能な担体を含む。本願に使用されているように、用語「薬剤学的に許容可能な担体」は、薬学的投与に適した、食塩水、溶媒、分散媒質、コーティング剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などがある。
【0326】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、a)本願に記載のナチュラルキラー細胞;およびb)冷凍保存組成物を含む。
【0327】
好適な冷凍保存組成物は本願に記載される。
【0328】
一部の実施形態において、組成物は、冷凍する。一部の実施形態において、組成物は、少なくとも3ヶ月間、例えば、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間または少なくとも36ヶ月間冷凍保存する。
【0329】
一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞の少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%が解凍後に生存する。
【0330】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、a)本願に記載の冷凍保存組成物;およびb)治療学的細胞を含む。
【0331】
一部の実施形態において、治療学的細胞は、動物細胞である。一部の実施形態において、治療学的細胞は、ヒト細胞である。
【0332】
一部の実施形態において、治療学的細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態において、免疫細胞は、好塩球、好酸球、好中球、肥満細胞、単核球、大食細胞、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0333】
一部の実施形態において、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態において、ナチュラルキラー細胞は、本願に記載の方法により増幅および刺激される。
【0334】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、c)緩衝剤溶液を追加的に含む。適切な緩衝剤溶液は、例えば、冷凍保存組成物について本願に記載された通りである。
【0335】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、細胞を1×107細胞/mlまたは約1×107~1×109細胞/mlまたは約1×109細胞/ml含む。一部の実施形態において、薬学的組成物は、細胞を1×108細胞/ml含む。一部の実施形態において、薬学的組成物は、細胞を約1×108細胞/ml含む。
【0336】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、抗体またはその抗原結合断片、例えば、本願に記載の抗体を追加的に含む。
【0337】
薬学的組成物は、典型的に意図した投与経路に合わせて剤形化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、真皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与などがある。
【0338】
適切な薬学的組成物を剤形化する方法が当該技術分野で公知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,2005;and the books in the series Drugs and the Pharmaceutical Sciences:a Series of Textbooks and Monographs(Dekker、NY)を参照する。例えば、非経口、真皮内または皮下用途に使用される溶液剤または懸濁剤は、以下のような成分を含むことができる:無菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水、固定オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒;抗細菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸;緩衝剤、例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート、および緊張度調節剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いてpHを滴定可能である。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチックで作製されたアンプル、使い捨てシリンジまたは多重投薬バイアル内に封入することができる。
【0339】
注射用途に適した薬学的組成物は、無菌注射溶液剤または分散剤を即席製造するための無菌酸剤および無菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液を網羅することができる。静脈内投与する場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などがある。いずれの場合も、組成物は無菌性でなければならず、容易に注射できるほど流動性でなければならない。これは製造および保管条件で安定的でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒質であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤を用いることにより、分散剤の場合、必要な粒子サイズを維持することにより、そして界面活性剤を用いることにより、維持することができる。微生物作用の防止は、多様な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成できる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖類、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に添加することが好ましい。組成物に、吸収を遅延する物質、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを含有させることにより、注射用組成物の吸収を遅らせることができる。
【0340】
無菌注射用溶液は、活性化合物を必要な量で適切な溶媒に前記列挙した成分の1つまたはその組み合わせとともに投入し、必要に応じて濾過滅菌を行うことにより、製造することができる。一般的に、分散剤は、活性化合物を基本分散媒質と前記列挙されたものに由来する他の必須成分を含む無菌ビヒクルに投入することにより製造する。無菌注射用溶液剤を製造するための無菌酸剤の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって活性成分と以前に滅菌-濾過した溶液に由来する任意の追加的な所望の成分の粉末が得られる。
【0341】
VI.治療方法
本願に記載のNK細胞は、癌またはその他の増殖性障害の治療用途を有する。
【0342】
このため、また、本発明は、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞、およびCD38標的抗体、例えば、本願に記載の抗体を投与することを含む、障害、例えば、癌、例えば、CD38+癌に関連する障害を患っている患者を治療する方法を提供する。
【0343】
また、本発明は、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞、およびCD38標的抗体、例えば、本願に記載の抗体を投与することを含む、必要な個体において癌細胞または癌細胞集団の再発、生長、増殖、移動および/または転移を防止、減少および/または阻害する方法を提供する。
【0344】
さらに、本発明は、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞、およびCD38標的抗体、例えば、本願に記載の抗体を投与することを含む、必要な個体において抗癌療法に対する反応を強化、改善および/または高める方法を提供する。
【0345】
また、本発明は、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞、およびCD38標的抗体、例えば、本願に記載の抗体を投与することを含む、必要な個体において免疫システムを誘発する方法を提供する。
【0346】
本願に記載の方法は、異常なアポトーシス工程または分化工程に関連する障害、例えば、細胞増殖性障害または細胞性分化障害、例えば、固形腫瘍および造血癌のような癌を治療する方法を含む。一般的に、本方法は、本願に記載されているような治療剤を治療学的有効量で必要な個体または治療が必要と決定された個体に投与することを含む。一部の実施形態において、本方法は、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞およびCD38標的抗体、例えば、本願に記載の抗体を含む治療剤を治療学的有効量で投与することを含む。
【0347】
本願に使用されているように、用語「治療」、「治療する」および「治療する」は、異常なアポトーシス工程または分化工程に関連する障害の退行、緩和、開始遅延または進行阻害を意味する。例えば、治療は、腫瘍サイズまたは生長速度の減少を達成することができる。本願に記載の化合物を異常なアポトーシス工程または分化工程に関連する病態を治療するために治療学的有効量で投与すれば、特に腫瘍サイズの低下または生長速度の減少、再発危険または頻度減少、再発遅延、転移減少、生存性増加および/または罹患率および死亡率の減少が達成されるはずである。一部の実施形態において、治療剤は、1つ以上の症状が発現した後に投与することができる。他の実施形態において、治療剤は、症状がない状態で投与してもよい。例えば、治療剤は、症状が開始される前に(例えば、症状の病歴に照らしておよび/または遺伝学的またはその他の感受性要因に照らして)感受性個体に投与してもよい。治療剤はまた、症状が解消した後も、例えば、再発を防止または遅延するために引き続き投与可能である。
【0348】
本願に使用されているように、用語「阻害」は、癌および/または癌細胞の増殖に関連して、細胞毒性、営養分の枯渇またはアポトーシスの誘導によって、個別的にまたは他の癌細胞と集合的に癌細胞の生長、分裂、成熟または生存性の阻害および/または癌細胞の死滅誘発を意味する。
【0349】
本願に使用されているように、疾患または障害、またはその1つ以上の症状の進行「遅延」は、疾患、障害またはその症状の発生を遅らせたり、妨げたり、遅くしたり、遅滞させたり、安定化したりおよび/または延期することを意味する。遅延は、疾患の病歴および/または治療中の個体によって多様な時間の長さであってもよい。当該技術分野における当業者に自明なように、十分なまたは著しい遅延は、事実上、個体において疾患、障害またはその症状が発生しないという点で、予防を包括する。例えば、癌発生を「遅延する」方法は、当該方法を利用しない場合と比較して、所定の時間範囲の間疾患の発生確率を低下させたり、および/または所定の時間範囲の間疾患の程度を低下させる方法である。このような比較は、統計学的に有意な個体数を用いた臨床実験に基づくことができる。
【0350】
本願に使用されているように、「予防」または「予防する」は、疾患の臨床症状が発生しないように疾患または障害が開始されないように防止する用法を指す。したがって、「予防」は、疾患の兆候が個体から検出可能になる前に、および/または疾患の特定の病期に到達する前に(例えば、癌がまだ転移していない患者に治療学的物質の投与)個体に療法(例えば、治療学的物質の投与)を実施することに関連がある。個体は、疾患または障害発生の危険があったり、または疾患進行の危険がある、例えば、癌転移危険がある個体、例えば、疾患または障害の発生または開始に関連することが知られた1つ以上の危険因子を有する個体であってもよい。例えば、個体は、癌の発生または進行に関連する突然変異を保有することができる。さらに、予防は、疾患または障害の開始に対して完璧な防止が達成されないことが理解される。場合によっては、予防は、疾患または障害の発病危険の低下を含む。危険の低下は、疾患または障害の発病危険の完璧な消滅を達成しなくてもよい。
【0351】
(例えば、抗腫瘍反応、癌細胞の転移に関連して)「増加した」または「強化された」程度は、本願に言及された量または水準に対して1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍またはそれより高い倍数(例えば、100倍、500倍、1000倍)の増加を指す(言及された整数間の1より大きいすべての整数および少数値を網羅する、例えば、2.1、2.2、2.3、2.4など)。これはまた、本願に言及された量または水準に対する少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%または少なくとも1000%の増加を網羅することができる。
【0352】
(例えば、腫瘍サイズ、癌細胞の増殖または生長に関連して)「減少した」または「低下した」または「より少ない」量は、本願に言及された量または水準に対して1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍またはそれより高い倍数(例えば、100倍、500倍、1000倍)の減少を指す(言及された整数間の1より大きいすべての整数および少数値を網羅する、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8など)。これはまた、本願に言及された量または水準に対する少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%または少なくとも1000%の減少を網羅することができる。
【0353】
A.障害
本願に開示された方法および製造された組成物は、細胞増殖性障害のような多数の障害を標的化する用途を有する。本発明において、このようなアプローチの利点は、同種異系細胞を、外因性抗体によって標的化される特定の増殖性細胞を標的とするために、外因性抗体の投与と組み合わせて用いることである。本発明のこのようなアプローチおよび薬学的組成物を用いることにより、化学療法または放射線療法のような既存の療法とは異なり、増殖性細胞に無差別的に影響を及ぼす全身薬物または毒素を投与しなくても、潜在的に有害な増殖活性を示す細胞を特異的に標的とすることができる。
【0354】
細胞増殖性障害および/または分化障害の例としては、癌、例えば、癌腫、肉腫、転移性障害または造血新生物障害、例えば、白血病などがある。転移性腫瘍は、非-制限的に前立腺、結腸、肺、乳房および肝起源などの多様な原発性腫瘍タイプに起源することができる。
【0355】
本願に使用されているように、用語「癌」、「過増殖性」および「新生物」は、自律的な生長能力、すなわち急速に増殖する細胞生長を特徴とする異常状態または病態を有する細胞を指す。過増殖性および新生物疾患状態は病的に、すなわち疾患状態が特徴的であるかまたは疾患状態であるものに分類することができるか、または非-病的であって、すなわち正常状態ではないが、疾患状態とは関連のないものに分類することができる。この用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲段階に関係なく、すべてのタイプの癌性生長または発癌過程、転移性組織または悪性に転換された細胞、組織、または臓器を網羅することを意味する。「病的過増殖性」細胞は、悪性腫瘍生長を特徴とする疾患状態で生ずる。非-病的過増殖性細胞に対する例としては、傷の回復に関連する細胞増殖を含む。
【0356】
用語「癌」または「新生物」は、肺、乳房、甲状腺、リンパ系、胃腸および泌尿生殖器で発生するなどの多様な臓器システムの悪性のみならず、腺癌腫、例えば、大部分の大腸癌、腎細胞癌腫、前立腺癌および/または睾丸腫瘍、非-小細胞性肺癌腫、小腸癌および食道癌のような悪性を網羅する。
【0357】
用語「癌腫」は、当該技術分野で理解され、呼吸系癌腫、胃腸系癌腫、泌尿生殖器系癌腫、睾丸癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫および黒色腫などの上皮または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。一部の実施形態において、疾患は、腎臓癌または黒色腫である。癌腫の例としては、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織に起因する癌腫などがある。この用語はまた、例えば、癌腫組織および肉腫組織で構成された悪性腫瘍を含む、癌肉腫症を網羅する。「腺癌腫」は、腺組織に由来したり、または腫瘍細胞が認知可能な腺構造に起源する癌腫を指す。
【0358】
用語「肉腫」は、当該技術分野で理解され、間葉由来悪性腫瘍を指す。
【0359】
増殖性障害に対する追加的な例としては、造血新生物障害がある。本願に使用されているように、用語「造血新生物障害」は、造血起源の、例えば、骨髄、リンパ系または赤血球系統またはこれらの前駆細胞に起源する、過形成/新生物細胞を伴う疾病を含む。好ましくは、疾患は、ほとんど未分化された急性白血病(poorly differentiated acute leukemias)、例えば、赤血球芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から発生する。付加的な骨髄性障害の例としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)があるが、これらに限定されるものではなく(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267-97);リンパ系悪性としては、B-系急性リンパ芽性白血病(ALL)およびT-系ALLをはじめとするALL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ芽性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)があるが、これらに限定されるものではない。悪性リンパ腫の追加的な形態としては、非-ホジキンリンパ腫およびその変形形態、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン疾患およびリード・シュテルンベルグ疾患があるが、これらに限定されるものではない。
【0360】
一部の実施形態において、癌は、以下からなる群より選択される:急性リンパ芽性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌腫、カポジ肉腫、AIDS-関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、典型的な奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド、心臓腫瘍、髄芽腫、生殖細胞腫、原発性CNSリンパ腫、子宮頸癌、胆管癌、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌、胎児腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、感覚神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外生殖細胞腫、性腺外生殖細胞腫、眼癌(例えば、眼内黒色腫または網膜芽腫)、卵管癌、骨の線維性組織球腫、骨肉腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓腫瘍、肝細胞癌、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、島細胞腫、膵神経内分泌腫瘍、腎臓(腎細胞)癌腫、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、口唇および口腔癌、肝臓癌、肺癌(例えば、非-小細胞性肺癌、小細胞性肺癌、胸膜肺芽腫および気管気管支腫瘍)、リンパ腫、男性乳癌、骨の悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌腫、中皮腫、転移性癌、転移性扁平上皮癌、正中線癌腫(midline tract carcinoma)、口腔癌、多発性内分泌腺腫症症侯群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、骨髄増殖性新生物、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非-ホジキンリンパ腫、口腔癌、口唇および口腔癌、口咽頭癌、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、卵巣癌、膵臓癌、膵神経内分泌腫瘍、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、脳下垂体部腫瘍、形質細胞新生物、多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、姙娠性乳癌(pregnancy and breast cancer)、中枢神経系原発悪性リンパ腫、原発性腹膜癌、前立腺癌、直腸癌、再発癌、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(例えば、小児横紋筋肉腫、小児血管腫瘍、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫、軟組織肉腫、子宮肉腫)、セザリー症侯群、皮膚癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平細胞癌腫、頸部扁平上皮癌、胃癌、T-細胞リンパ腫、睾丸癌、咽喉癌、鼻咽頭癌、口咽頭癌、下咽頭癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、気管気管支腫瘍、腎盂と尿管の移行上皮癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、血管腫瘍、外陰部癌およびウィルムス腫瘍。
【0361】
一部の実施形態において、癌は、固形腫瘍である。
【0362】
一部の実施形態において、癌は、転移性である。
【0363】
一部の実施形態において、癌は、CD38+癌である。
【0364】
一部の実施形態において、CD38+癌は、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、前立腺癌、睾丸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0365】
一部の実施形態において、CD38+癌は、前立腺癌である。
【0366】
一部の実施形態において、CD38+癌は、リンパ腫である。
【0367】
一部の実施形態において、CD38+癌は、多発性骨髄腫である。
【0368】
B.患者
本発明において、組成物および方法に適した患者は、細胞増殖性および/または分化性障害、例えば、癌を患っていたり、診断されるか、または患っていると疑われる患者を含む。本発明に言及された施術を受けた患者は、一般的に本発明の方法および組成物により良く反応するが、その理由は部分的に薬学的組成物が同種異系であり、一般的に増殖する細胞を標的化するよりは抗体によって標的細胞を識別するからである。そのため、オフ-標的効果がほとんどなく、患者は実質的に有害なオフ-標的効果なしに治療用法を完了する可能性がより大きい。
【0369】
一部の実施形態において、本発明に提供された治療方法を用いて、細胞増殖性障害および/または分化障害、例えば、癌と診断されたか、または患っていると疑われる個体(例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス)を治療することができる。一部の実施形態において、個体は、哺乳類である。一部の実施形態において、個体は、ヒトである。
【0370】
本願に使用されているように、個体は、例えば、ヒトをはじめとする哺乳類を指す。
【0371】
一部の実施形態において、哺乳類は、アルマジロ、ロバ、コウモリ、クマ、ビーバー、ネコ、チンパンジー、ウシ、コヨーテ、シカ、イヌ、イルカ、ゾウ、キツネ、パンダ、テナガザル、キリン、ヤギ、ホリネズミ、ハリネズミ、カバ、ウマ、ザトウクジラ、ジャガー、カンガルー、コアラ、ヒョウ、シシ、リャマ、オオヤマネコ、モグラ、サル、マウス、イッカク、オランウータン、サカマタ、カワウソ、牡ウシ、ブタ、シロクマ、ヤマアラシ、ピューマ、ウサギ、ラクーン、ラット、サイ、ヒツジ、リス、トラ、セイウチ、イタチ、オオカミ、シマウマ、ヤギ、ウマ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0372】
一部の実施形態において、哺乳類は、ヒトである。
【0373】
個体、例えば、ヒト個体は、子供、例えば、0歳または約0歳~14歳または約14歳であってもよい。個体は、若者、例えば、15歳または約15歳~24歳または約24歳であってもよい。個体は、成人、例えば、25歳または約25歳~64歳または約64歳であってもよい。個体は、高齢者、例えば、65歳以上であってもよい。
【0374】
一部の実施形態において、個体は、細胞増殖性障害および/または分化障害、例えば、癌、例えば、腫瘍に関連する1つ以上の症状が発生したヒトであってもよい。本発明に提供された任意の治療方法を用いて多様な病期の癌を治療することができる。例えば、癌病期は、初期、進行した、局所進行、寛解、不応性、寛解後再発および進行性(progressive)を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、個体は、癌の初期病期である。他の実施形態において、個体は、癌の進行した病期である。多様な実施形態において、個体は、1期、2期、3期または4期癌を患っている。本発明に記載の治療方法は、腫瘍の減少または縮小を促進したり、腫瘍生長または癌細胞の増殖を減少または阻害したり、および/または腫瘍細胞の殺傷を誘導、増加または促進することができる。一部の実施形態において、個体は、癌寛解状態である。本発明に記載の治療方法は、癌の転移または再発を防止したり、または遅延することができる。
【0375】
一部の実施形態において、個体は、診断されたか、または診断されていない細胞増殖性障害および/または分化障害、例えば、癌の発病危険があるか、または遺伝学的にまたは他のもの(例えば、危険因子)が存在する。
【0376】
本願に使用されているように、「危険がある」個体は、治療する病態、例えば、細胞増殖性障害および/または分化障害、例えば、癌の発病危険がある個体である。一般的に、「危険がある」個体は、検出可能な疾患があるか、または検出可能な疾患がなくてもよいし、本発明に記載の治療方法の前に検出可能な疾患が発現したか、または発現しなくてもよい。「危険がある」とは、個体が、疾患または病態の発病と関連性がある測定可能な媒介変数および当該技術分野で公知の、いわゆる1つ以上の危険因子を有することを意味する。例えば、危険がある個体は、癌の発病に関連する測定可能な媒介変数である1つ以上の危険因子を有することができる。このような1つ以上の危険因子を有する個体は、このような危険因子がない個体より癌発病確率がより高い。一般的に、危険因子は、例えば、年齢、性別、人種、規定食、以前疾患の病歴、前駆疾患の存在、遺伝学的(例、遺伝性)考慮事項および環境露出を含むことができる。一部の実施形態において、癌発病危険がある個体は、例えば、親戚の中で疾患を患ったことのある個体、および遺伝子または生化学マーカー分析により決定された危険を有する個体を網羅する。
【0377】
これとともに、個体は、化学療法、放射線療法、免疫療法、手術、またはこれらの組み合わせのような1つ以上の標準療法を施していてもよい。このため、化学療法、放射線療法、免疫療法、手術、またはこれらの組み合わせを施す前、施す間にまたは施した後に、1つ以上のキナーゼ阻害剤が投与されてもよい。
【0378】
特定の実施形態において、個体は、(i)1つ以上の化学療法治療剤に対して実質的に不応性であるか、または(ii)化学療法で治療された後に再発した状態であるか、または(i)および(ii)両方であるヒトであってもよい。一部の実施形態において、個体は(標準または実験的化学療法をはじめとする)化学療法治療剤2種以上、3種以上または4種以上に対して不応性である。
【0379】
一部の実施形態において、患者は、CD38+癌と診断されたことがあるか、またはCD38+癌と診断された。
【0380】
一部の実施形態において、患者は、癌の生検または外科的サンプルに対する免疫組織化学的染色によってCD38+癌と診断されたことがあるか、またはCD38+癌と診断された。一部の実施形態において、患者は、発色性インサイチュー混成化によってCD38+癌と診断されたか、または診断されたことがある。一部の実施形態において、患者は、癌の生検または外科的サンプルに対する蛍光インサイチュー混成化によってCD38+癌と診断されたことがあるか、またはCD38+癌と診断された。一部の実施形態において、患者は、遺伝子分析によって、例えば、CD38突然変異癌、例えば、CD38遺伝子の体細胞突然変異の識別によってCD38+癌と診断されたことがあるか、またはCD38+癌と診断された。
【0381】
一部の実施形態において、患者は、自家造血幹細胞移植(ASCT)の対象者ではない多発性骨髄腫患者である。一部の実施形態において、患者は、ASCT施術を受けた後、再発性または難治性である。
【0382】
場合によっては、患者は、1つ以上のステロイド、アルキル化剤、および/またはアントラサイクリン、プロテアソーム阻害剤または免疫調節剤からなる群より選択される治療剤が投与された後、再発性であるか、または難治性である癌を有する、多発性骨髄腫患者である。
【0383】
一部の実施形態において、患者は、表7に記載された1つ以上の突然変異セット、CD38遺伝子に挿入または欠損多形成、CD38遺伝子のコピー数変異、CD38遺伝子のメチル化突然変異、またはこれらの組み合わせを含む癌を有している。
【0384】
一部の実施形態において、患者は、癌、例えば、CD38+癌に関連する染色体転座を有している。一部の実施形態において、患者は、癌、例えば、CD38+癌に関連する融合遺伝子を有している。
【0385】
一部の実施形態において、患者は、癌、例えば、CD38+癌に関連する染色体転座を有している。一部の実施形態において、患者は、癌、例えば、CD38+癌に関連する融合遺伝子を有している。
【0386】
【0387】
【0388】
C.リンパ球除去
一部の実施形態において、患者は、治療する前にリンパ球除去される。
【0389】
例示的なリンパ球除去性化学療法用法は、関連する有用なバイオマーカーに加えて、WO2016/191756およびWO2019/079564に記載されており、これらの文献は全体として援用により本明細書に取り込まれる。特定の実施形態において、リンパ球除去化学療法用法は、患者にシクロホスファミド投与(200mg/m2/day~2000mg/m2/day)およびフルダラビン投与(20mg/m2/day~900mg/m2/day)を含む。
【0390】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、シクロホスファミド250または約250~500または約500mg/m2投与、例えば、シクロホスファミド250または約250~500または約500、250、400、500、約250、約400または約500mg/m2の投与を含む。
【0391】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、フルダラビン20または約20mg/m2/day~40または約40mg/m2/day、例えば、30または約30mg/m2/dayの投与を含む。
【0392】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、シクロホスファミドとフルダラビン両方の投与を含む。
【0393】
一部の実施形態において、患者は、シクロホスファミド(250mg/m2/day)およびフルダラビン(30mg/m2/day)の静脈内投与によってリンパ球除去処理される。
【0394】
一部の実施形態において、患者は、シクロホスファミド(500mg/m2/day)およびフルダラビン(30mg/m2/day)の静脈内投与によってリンパ球除去処理される。
【0395】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、NK細胞を1次投与する前の最大5日以内に行われる。一部の実施形態において、リンパ球除去は、NK細胞を1次投与する前の最大7日以内に行われる。
【0396】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、NK細胞を1次投与する5日前から始まり、連続3日間毎日(すなわち、-5日から-3日)行われる。
【0397】
一部の実施形態において、リンパ球除去は、-5日、-4日および-3日目に行われる。
【0398】
D.投与
1.NK細胞
一部の実施形態において、NK細胞は、薬学的組成物、例えば、本願に記載の薬学的組成物の一部として投与される。細胞は解凍した後、場合によっては、その凍結防止剤が即席投与に適した場合には、何らかの追加的な操作なく、投与する。所定の個体に対して、治療用法は、よく共通バッチまたは供与体に由来するNK細胞の分液または用量を複数個経時的に投与することを含む。
【0399】
一部の実施形態において、NK細胞、例えば、本願に記載のNK細胞は、投与あたり、NK細胞1×108または約1×108~8×109または約8×109個投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、投与あたり、細胞1×108または約1×108、1×109または約1×109、4×109または約4×109、または8×109または約8×109個投与される。
【0400】
一部の実施形態において、NK細胞は、毎週投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、4週または約4週間毎週投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、8週間または約8週間毎週投与される。
【0401】
一部の実施形態において、NK細胞は、4週または約4週間隔週で投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、8週または約8週間隔週で投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、9、10、11、12、13、14、15または16、または約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、または約16週間隔週で投与される。
【0402】
一部の実施形態において、NK細胞は、4ヶ月または約4ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、8ヶ月または約8ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、12ヶ月または約12ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、16ヶ月または約16ヶ月間毎月投与される。
【0403】
一部の実施形態において、1次投与コースは、前述のように、NK細胞の毎週、隔週または毎月投与を含み、2次投与コースは、NK細胞の毎週、隔週または毎月投与を含む。一部の実施形態において、2次投与コースは、患者が癌進行、毒性または不耐性を経験するまで継続する。
【0404】
一部の実施形態において、NK細胞は、注入用-対応媒質(infusion-ready media)、例えば、本願に記載されているように、静脈内投与に適した冷凍保存組成物中に冷凍保存される。
【0405】
一部の実施形態において、NK細胞は、バイアルあたり、細胞が1×108または約1×108~8×109または約8×109個収容されたバイアルで冷凍保存される。一部の実施形態において、NK細胞は、1回用量を収容するバイアルで冷凍保存される。
【0406】
一部の実施形態において、細胞は、投与する前、例えば、37℃の水槽で解凍する。
【0407】
一部の実施形態において、解凍したバイアルのNK細胞は、1回投与容器、例えば、投与バッグに、例えば、バイアルアダプダおよび無菌シリンジを用いて無菌的に移す。NK細胞は、容器からY型血液/溶液セットフィルタによりIV注入として、重力によって患者に投与することができる。
【0408】
一部の実施形態において、NK細胞は、解凍後できるだけ早く、好ましくは、90分以内に、例えば、80分以内、70分以内、60分以内、50分以内、40分以内、30分以内、20分以内または10分以内に投与する。一部の実施形態において、NK細胞は、解凍後30分以内に投与する。
【0409】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、シリンジを通して静脈内投与する。
【0410】
一部の実施形態において、患者に医薬品1ml、4mlまたは10mlをシリンジを通して静脈内投与する。
【0411】
2.抗体
【0412】
一部の実施形態において、本願に記載のNK細胞、例えば、本願に言及されたNK細胞を含む薬学的組成物は、抗体、例えば、本願に記載の抗体、例えば、CD38抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態において、抗体は、薬学的組成物の一部としてNK細胞とともに投与される。一部の実施形態において、抗体は、NK細胞と分離して、例えば、個別薬学的組成物の一部として投与される。抗体は、NK細胞を投与する前、投与した後、または投与と同時に投与されてもよい。
【0413】
一部の実施形態において、抗体の用量または投与は、患者に抗体1,800mgを投与することを含む。
【0414】
一部の実施形態において、抗体は、NK細胞を投与する前に投与される。一部の実施形態において、抗体は、NK細胞を投与した後に投与される。
【0415】
一部の実施形態において、NK細胞は、抗体投与を完了した後、少なくとも30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分または240分に投与される。
【0416】
一部の実施形態において、NK細胞は、抗体を投与した後、翌日に投与される。
【0417】
一部の実施形態において、NK細胞は、各投与時に投与され、抗体は、投与の一部でのみ投与される。例えば、一部の実施形態において、NK細胞は、1週あたり1回投与され、抗体は、隔週または1ヶ月あたり1回投与される。
【0418】
一部の実施形態において、抗体は、毎週投与される。一部の実施形態において、抗体は、4週または約4週間毎週投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、8週間または約8週間毎週投与される。
【0419】
一部の実施形態において、抗体は、4週または約4週間隔週で投与される。一部の実施形態において、抗体は、8週または約8週間隔週で投与される。一部の実施形態において、抗体は、9、10、11、12、13、14、15または16、または約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、または約16週間隔週で投与される。
【0420】
一部の実施形態において、抗体は、4ヶ月または約4ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、8ヶ月または約8ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、12ヶ月または約12ヶ月間毎月投与される。一部の実施形態において、NK細胞は、16ヶ月または約16ヶ月間毎月投与される。
【0421】
一部の実施形態において、抗体は、初期8回は毎週、次の8回は隔週、そして、その後の投与は4週間隔で伝達され、投与は疾患が進行するまで継続してもよい。
【0422】
一部の実施形態において、1次投与コースは、抗体の、前述したように、毎週、隔週または毎月投与を含み、2次投与コースは、抗体の毎週、隔週または毎月投与を含む。一部の実施形態において、1次投与コースは、前述のように、抗体およびNK細胞の毎週、隔週または毎月投与を含み、2次投与コースは、抗体およびNK細胞の毎週、隔週または毎月投与を含む。一部の実施形態において、2次投与コースは、患者が癌の進行、毒性または不耐性を経験するまで継続する。
【0423】
一部の実施形態において、抗体は、8週間毎週投与される。一部の実施形態において、抗体は、8週間2週ごとに投与される。
【0424】
一部の実施形態において、抗体の用量は、細胞を1次投与する前に提供される。一部の実施形態において、抗体の減量された用量が細胞を1次投与する前に提供される。
【0425】
3.サイトカイン
一部の実施形態において、サイトカインを患者に投与する。
【0426】
一部の実施形態において、サイトカインは、薬学的組成物の一部としてNK細胞とともに投与される。一部の実施形態において、サイトカインは、NK細胞とは別に、例えば、別の薬学的組成物の一部として投与される。
【0427】
一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2である。
【0428】
一部の実施形態において、IL-2は、皮下投与する。
【0429】
一部の実施形態において、IL-2は、NK細胞の投与を終了した後、1-4時間または約1~約4時間で投与する。一部の実施形態において、IL-2は、NK細胞の投与を完了した後、少なくとも1時間の時点で投与する。一部の実施形態において、IL-2は、NK細胞の投与を完了した後、最大4時間以内に投与する。一部の実施形態において、IL-2は、NK細胞の投与を完了した後、最小1時間経過時から最大4時間以内に投与する。
【0430】
一部の実施形態において、IL-2は、最大10,000,000IU/m2、例えば、最大1,000,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000または10,000,000IU/m2で投与される。
【0431】
一部の実施形態において、IL-2は、1,000,000または約1,000,000、2,000,000または約2,000,000、または3,000,000または約3,000,000、または4,000,000または約4,000,000、または5,000,000または約5,000,000、または6,000,000または約6,000,000、または7,000,000または約7,000,000、または8,000,000または約8,000,000、または9,000,000または約9,000,000、または10,000,000または約10,000,000IU/m2で投与される。
【0432】
一部の実施形態において、IL-2は、1×106IU/m2または約1×106IU/m2で投与される。一部の実施形態において、IL-2は、2×106IU/m2または約2×106IU/m2で投与される。
【0433】
一部の実施形態において、IL-2は、患者に1×106IU/m2未満で投与される。
【0434】
一部の実施形態において、IL-2は、均一用量(flat dose)で患者に投与される。一部の実施形態において、均一用量6,000,000IUまたは約6,000,000IUが患者に投与される。
【0435】
一部の実施形態において、IL-2は、患者に投与しない。
【0436】
E.投与
「有効量」は、有利なまたは所望の結果を達成するのに十分な量である。例えば、治療学的含有量は、所望の治療学的効果を達成する量である。このような量は、疾患または疾患症状の開始を防止するのに必要な量、すなわち予防学的有効量と同一であるか、または異なっていてもよい。有効量は、1回以上の投与、適用または投与量で投与される。治療学的化合物の治療学的有効量(すなわち、有効な投与量)は、選択した治療学的化合物によって決定される。組成物は、2日間隔で1回を含めて、1日あたり1回以上または1週間あたり1回以上投与することができる。当該技術分野における当業者であれば、非-制限的に疾患または障害の重症度、以前の治療、個体の一般的な健康状態および/または年齢および存在するその他の疾患を含めて、一部の因子が個体を効果的に治療するのに要求される投与量および時間に影響を及ぼしうることが分かるであろう。これとともに、本発明に記載の治療学的化合物を治療学的有効量で用いて個体を治療することは、単一治療または一連の治療を含むことができる。
【0437】
治療学的化合物の投与量、毒性および治療学的効能は、細胞培養物または実験動物において、例えば、LD50(集団の50%で致命的な用量)およびED50(集団の50%で治療学的に有効な用量)を決定するための標準薬学的手順によって決定可能である。毒性と治療学的効果との間の用量比率が治療指数であり、これはLD50/ED50の比率で表現することができる。治療指数が高い化合物が好ましい。毒性副作用がある化合物を使用してもよいが、非-感染細胞に対する潜在的な損傷を最小化して副作用を低減するために、このような化合物が発病した組織部位に標的伝達するシステムを設計するのに注意しなければならない。
【0438】
ヒトに使用するための投与量範囲を公式化するのに細胞培養分析および動物実験から得られたデータを用いることができる。このような化合物の投与量は、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度範囲内であってもよい。投与量は、採用された投薬形態および活用された投与経路によってこのような範囲内で異なっていてもよい。本発明の方法に用いられる任意の化合物の場合、治療学的有効量は、まず、細胞培養分析で推定することができる。用量は、細胞培養で決定されたように、IC50(すなわち、症状の最大阻害の1/2を達成する試験化合物の濃度)を含む循環性血漿濃度範囲を達成するように動物モデルで公式化することができる。このような情報を用いてヒトに有用な用量をより正確に決定することができる。血漿内レベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定可能である。
【0439】
F.組み合わせ療法
一部の実施形態において、本方法は、本願に記載のNK細胞およびCD38標的抗体を他の療法、例えば、抗体、NK細胞エンゲージャー(engager)、抗体薬物接合体(ADC)、化学療法薬物、例えば、小分子薬物、免疫チェックポイント阻害剤、およびこれらの組み合わせと組み合わせ投与することを含む。
【0440】
1.小型分子/化学療法薬物
一部の実施形態において、追加的な療法は、小分子薬物である。一部の実施形態において、追加的な療法は、化学療法薬物である。一部の実施形態において、追加的な療法は、小分子化学療法薬物である。このような小分子薬物は、適応NK細胞療法が追加される現行の標準管理治療用法を含むことができる。場合によっては、本願に記載のNK細胞の使用は、所望の効果を達成するのに必要な小分子薬物の効能を強化したり、小分子薬物の量を低減したり、または小分子薬物の毒性減少などによって、小分子薬物の効果を強化することができる。
【0441】
一部の実施形態において、薬物は、ステロイドである。場合によっては、ステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベタメタゾン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態において、薬物は、プロテアソーム阻害剤である。場合によっては、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(bortezomib)、カルフィルゾミブ(carfilzomib)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態において、薬物は、化学治療剤である。一部の実施形態において、化学治療剤は、メルファラン、レナリドミド(lenalidomide)、サリドマイド(thalidomide)、ポマリドミド(pomalidomide)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態において、追加的な療法は、任意のステロイド、プロテアソーム阻害剤、および前述の化学治療剤の組み合わせなどの、複数の小分子薬物の使用を含む。例えば、追加的な療法は、ボルテゾミブ、メルファランおよびプレドニゾンを投与することを含むことができる。他の例として、追加的な療法は、レナリドミドおよびデキサメタゾンを投与することを含むことができる。さらに他の例として、追加的な療法は、ボルテゾミブ、サリドマイドおよびデキサメタゾンを投与することを含むことができる。さらに他の例として、追加的な療法は、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンを投与することを含むことができる。さらに他の例として、追加的な療法は、ポマリドミドおよびデキサメタゾンを投与することを含むことができる。さらに他の例として、追加的な療法は、カルフィルゾミブおよびデキサメタゾンを投与することを含むことができる。このような実施形態の一部は、例えば、本願に記載のチェックポイント阻害剤などの免疫調節剤を投与することを追加的に含むことができる。
【0442】
一部の実施形態において、薬物は、[(1S,2S,3R,4S,7R,9S,10S,12R,15S)-4-アセチルオキシ-1,9,12-トリヒドロキシ-15-[(2R,3S)-2-ヒドロキシ-3-[(2-メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニルアミノ]-3-フェニルプロパノイル]オキシ-10,14,17,17-テトラメチル-11-オキソ-6-オキサテトラシクロ[11.3.1.03,10.04,7]ヘプタデス-13-エン-2-イル]ベンゾエート(ドセタキセル)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0443】
一部の実施形態において、薬物は、[(1S,2S,3R,4S,7R,9S,10S,12R,15S)-4,12-ジアセチルオキシ-15-[(2R,3S)-3-ベンズアミド-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル]オキシ-1,9-ジヒドロキシ-10,14,17,17-テトラメチル-11-オキソ-6-オキサテトラシクロ[11.3.1.03,10.04,7]ヘプタデス-13-エン-2-イル]ベンゾエート(パクリタキセル)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0444】
一部の実施形態において、薬物は、6-N-(4,4-ジメチル-5H-1,3-オキサゾール-2-イル)-4-N-[3-メチル-4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル]キナゾリン-4,6-ジアミン(ツカチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0445】
一部の実施形態において、薬物は、ペンチルN-[1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-メチルオキソラン-2-イル]-5-フルオロ-2-オキソピリミジン-4-イル]カルバメート(カペシタビン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0446】
一部の実施形態において、薬物は、アザニド;シクロブタン-1,1-ジカルボン酸;プラチナ(2+)(カルボプラチン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0447】
一部の実施形態において、薬物は、メチル(1R,9R,10S,11R,12R,19R)-11-アセチルオキシ-12-エチル-4-[(12S,14R)-16-エチル-12-メトキシカルボニル-1,10-ジアザテトラシクロ[12.3.1.03,11.04,9]オクタデカ-3(11),4,6,8,15-ペンタエン-12-イル]-10-ヒドロキシ-5-メトキシ-8-メチル-8,16-ジアザペンタシクロ[10.6.1.01,9.02,7.016,19]ノナデカ-2,4,6,13-テトラエン-10-カルボキシレート(ビノレルビン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0448】
一部の実施形態において、薬物は、N-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6-[5-[(2-メチルスルホニルエチルアミノ)メチル]フラン-2-イル]キナゾリン-4-アミン(ラパチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0449】
一部の実施形態において、薬物は、(E)-N-[4-[3-クロロ-4-(ピリジン-2-イルメトキシ)アニリノ]-3-シアノ-7-エトキシキノリン-6-イル]-4-(ジメチルアミノ)but-2-エンアミド(ネラチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0450】
一部の実施形態において、薬物は、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-[(5-ピペラジン-1-イルピリジン-2-イル)アミノ]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン(パルボシクリブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0451】
一部の実施形態において、薬物は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-[(5-ピペラジン-1-イルピリジン-2-イル)アミノ]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0452】
一部の実施形態において、薬物は、N-[5-[(4-エチルピペラジン-1-イル)メチル]ピリジン-2-イル]-5-フルオロ-4-(7-フルオロ-2-メチル-3-プロパン-2-イルベンズイミダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(アベマシクリブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0453】
一部の実施形態において、薬物は、(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-12-[(2R)-1-[(1S,3R,4R)-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシシクロヘキシル]プロパン-2-イル]-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-2,3,10,14,20-ペントン(エベロリムス)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0454】
一部の実施形態において、薬物は、(2S)-1-N-[4-メチル-5-[2-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]-1,3-チアゾール-2-イル]ピロリジン-1,2-ジカルボキサミド(アルペリシブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0455】
一部の実施形態において、薬物は、4-[[3-[4-(シクロプロパンカルボニル)ピペラジン-1-カルボニル]-4-フルオロフェニル]メチル]-2H-フタラジン-1-オン(オラパリブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0456】
一部の実施形態において、薬物は、(11S,12R)-7-フルオロ-11-(4-フルオロフェニル)-12-(2-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2,3,10-トリアザトリシクロ[7.3.1.05,13]トリデカ-1,5(13),6,8-テトラエン-4-オン(タラゾパリブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0457】
一部の実施形態において、薬物は、N-[2-[2-(ジメチルアミノ)エチル-メチルアミノ]-4-メトキシ-5-[[4-(1-メチルインドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ]フェニル]プロプ-2-エンアミド(オシメルチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0458】
一部の実施形態において、薬物は、N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリン-4-イルプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0459】
一部の実施形態において、薬物は、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0460】
一部の実施形態において、薬物は、(E)-N-[4-(3-クロロ-4-フルオロアニリノ)-7-[(3S)-オキソラン-3-イル]オキシキナゾリン-6-イル]-4-(ジメチルアミノ)but-2-エンアミド(アファチニブ)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0461】
一部の実施形態において、薬物は、アザン(azane);ジクロロプラチナ(シスプラチン、プラチノール)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0462】
一部の実施形態において、薬物は、アザニド;シクロブタン-1,1-ジカルボン酸;プラチナ(2+)(カルボプラチン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0463】
一部の実施形態において、薬物は、4-アミノ-1-[(2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]ピリミジン-2-オン(ゲムシタビン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0464】
一部の実施形態において、薬物は、(2S)-2-[[4-[2-(2-アミノ-4-オキソ-3,7-ジヒドロピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル]ベンゾイル]アミノ]ペンタン二酸(ペメトレキセド)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0465】
一部の実施形態において、薬物は、N,N-ビス(2-クロロエチル)-2-オキソ-1,3,2λ5-オキサザホスフィナン-2-アミン(シクロホスファミド)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0466】
一部の実施形態において、薬物は、(2R,3S,4S,5R)-2-(6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル)-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-3,4-ジオール(フルダラビン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0467】
一部の実施形態において、薬物は、(7S,9S)-7-[(2R,4S,5S,6S)-4-アミノ-5-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル]オキシ-6,9,11-トリヒドロキシ-9-(2-ヒドロキシアセチル)-4-メトキシ-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(ドキソルビシン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0468】
一部の実施形態において、薬物は、メチル(1R,9R,10S,11R,12R,19R)-11-アセチルオキシ-12-エチル-4-[(13S,15S,17S)-17-エチル-17-ヒドロキシ-13-メトキシカルボニル-1,11-ジアザテトラシクロ[13.3.1.04,12.05,10]ノナデカ-4(12),5,7,9-テトラエン-13-イル]-8-ホルミル-10-ヒドロキシ-5-メトキシ-8,16-ジアザペンタシクロ[10.6.1.01,9.02,7.016,19]ノナデカ-2,4,6,13-テトラエン-10-カルボキシレート(ビンクリスチン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0469】
一部の実施形態において、薬物は、(8S,9S,10R,13S,14S,17R)-17-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,11-ジオン(プレドニゾン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0470】
一部の実施形態において、薬物は、N,3-ビス(2-クロロエチル)-2-オキソ-1,3,2λ5-オキサザホスフィナン-2-アミン(イホスファミド)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0471】
一部の実施形態において、薬物は、(5S,5aR,8aR,9R)-5-[[(2R,4aR,6R,7R,8R,8aS)-7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-4,4a,6,7,8,8a-ヘキサヒドロピラノ[3,2-d][1,3]ジオキシン-6-イル]オキシ]-9-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-5a,6,8a,9-テトラヒドロ-5H-[2]ベンゾフロ[6,5-f][1,3]ベンゾジオキソール-8-オン(エトプシド)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0472】
一部の実施形態において、薬物は、(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7,8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(デキサメタゾン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0473】
一部の実施形態において、薬物は、(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7,8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(シタラビン)またはその薬剤学的に許容可能な塩である。
【0474】
2.NK細胞エンゲージャー
一部の実施形態において、追加的な療法は、NK細胞エンゲージャー(NK cell engager)、例えば、二重特異性または三重特異性抗体である。
【0475】
一部の実施形態において、NK細胞エンゲージャーは、CD16と、疾患-関連抗原、例えば、癌-関連抗原、例えば、本願に記載の癌抗原、例えば、CD38に対する二重特異性抗体である。一部の実施形態において、NK細胞エンゲージャーは、CD16と、疾患-関連抗原2種、例えば、癌-関連抗原、例えば、本願に記載の抗原に対する三重特異性抗体である。
【0476】
3.チェックポイント阻害剤
一部の実施形態において、追加的な療法は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0477】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0478】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、VISTA阻害剤、BTLA阻害剤、TIM-3阻害剤、KIR阻害剤、LAG-3阻害剤、TIGIT阻害剤、CD-96阻害剤、SIRPα阻害剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0479】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG-3(CD223)阻害剤、TIM-3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、A2aR阻害剤、CD73阻害剤、NKG2A阻害剤、PVRIG/PVRL2阻害剤、CEACAM1阻害剤、CEACAM5阻害剤、CEACAM6阻害剤、FAK阻害剤、CCL2阻害剤、CCR2阻害剤、LIF阻害剤、CD47阻害剤、SIRPα阻害剤、CSF-1阻害剤、M-CSF阻害剤、CSF-1R阻害剤、IL-1阻害剤、IL-1R3阻害剤、IL-RAP阻害剤、IL-8阻害剤、SEMA4D阻害剤、Ang-2阻害剤、CELVER-1阻害剤、Axl阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0480】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、表8に列挙された物質、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0481】
【0482】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体である。
【0483】
一部の実施形態において、PD-1ペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、トリパリマブ(toripalimab)、セミプリマブ-rwlc(cemiplimab-rwlc)、シンチリマブ(sintilimab)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0484】
一部の実施形態において、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、アベルマブ(avelumab)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0485】
一部の実施形態において、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(ipilimumab)である。
【0486】
一部の実施形態において、PD-1阻害剤は、表9に示した阻害剤の群より選択される。
【0487】
【0488】
【0489】
【0490】
一部の実施形態において、PD-L1阻害剤は、表10に示した阻害剤の群より選択される。
【0491】
【0492】
【0493】
一部の実施形態において、CTLA-4阻害剤は、表11に示した阻害剤の群より選択される。
【0494】
【0495】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、小分子薬物である。小分子チェックポイント阻害剤は、例えば、WO2015/034820A1、WO2015/160641A2、WO2018/009505A1、WO2017/066227A1、WO2018/044963A1、WO2018/026971A1、WO2018/045142A1、WO2018/005374A1、WO2017/202275A1、WO2017/202273A1、WO2017/202276A1、WO2018/006795A1、WO2016/142852A1、WO2016/142894A1、WO2015/033301A1、WO2015/033299A1、WO2016/142886A2、WO2016/142833A1、WO2018/051255A1、WO2018/051254A1、WO2017/205464A1、US2017/0107216A1、WO2017/070089A1、WO2017/106634A1、US2017/0174679A1、US2018/0057486A1、WO2018/013789A1、US2017/0362253A1、WO2017/192961A1、WO2017/118762A1、US2014/199334A1、WO2015/036927A1、US2014/0294898A1、US2016/0340391A1、WO2016/039749A1、WO2017/176608A1、WO2016/077518A1、WO2016/100608A1、US2017/0252432A1、WO2016/126646A1、WO2015/044900A1、US2015/0125491A1、WO2015/033303A1、WO2016/142835A1、WO2019/008154A1、WO2019/008152A1およびWO2019023575A1に言及されている。
【0496】
一部の実施形態において、PD-1阻害剤は、2-[[4-アミノ-1-[5-(1-アミノ-2-ヒドロキシプロピル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-4-オキソブチル]カルバモイルアミノ]-3-ヒドロキシプロパン酸(CA-170)である。
【0497】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、(S)-1-(3-ブロモ-4-((2-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)ベンジル)ピペリジン-2-カルボン酸である。
【0498】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、ペプチドである。例えば、Sasikumar et al.,「Peptide and Peptide-Inspired Checkpoint Inhibitors:Protein Fragments to Cancer Immunotherapy」,Medicine in Drug Discovery 8:100073(2020)を参照する。
【0499】
VII.変異体
一部の実施形態において、本願に記載の融合タンパク質またはその構成要素、または本願に記載のNK細胞遺伝子型は、(例、本願に提供された)例示的な配列のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%または100%同一であり、例えば、本願に記載の突然変異を含み、またはこれに加えて、例えば、保存的な突然変異で置換された例示的な配列の残基として最大1%、2%、5%、10%、15%または20%の差を有する。好ましい実施形態において、変異体は、親配列の所望の活性を維持する。
【0500】
核酸配列2種の配列同一性を確認するために、配列を最適に比較するために整列する(例えば、最適に整列するために第1アミノ酸または核酸配列および第2アミノ酸または核酸配列のいずれか1つまたは両方にギャップが導入され、非-相同的な配列は比較の目的では無視できる)。比較の目的で整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも80%であり、一部の実施形態において、少なくとも90%または100%である。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でヌクレオチドを比較する。第1配列のある位置に第2配列の対応する位置と同一のヌクレオチドが存在すれば、その分子はその位置で同一である(本願に使用されているように、核酸の「同一性」は、核酸の「相同性」と同一である)。配列2種間の同一性%は、配列2個を最適に整列するために導入されるべき各ギャップの長さとギャップの個数を考慮した、配列に共有された同一の位置個数に対する関数である。
【0501】
対象ポリペプチドまたは核酸配列(すなわち、クエリ)および第2ポリペプチドまたは核酸配列(すなわち、標的)間の同一性%は、当該技術分野の技術内で多様な方式で、例えば、Smith Waterman整列(Smith,T.F.and M.S.Waterman(1981)J Mol Biol147:195-7);GeneMatcher PlusTM、Schwarz and Dayhof(1979)Atlas of Protein Sequence and Structure,Dayhof,M.O.,Ed,pp353-358に取り込まれているような「BestFit」(Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,482-489(1981));BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool;(Altschul,S.F.,W.Gish,et al.(1990)J Mol Biol215:403-10)、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTALまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのように公開的に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて決定する。これとともに、当該技術分野における当業者は、比較中の配列の長さ全体に対して最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムなどの、整列を決定するための適切な媒介変数を決定することができる。一般的に、標的タンパク質または核酸の場合、比較の長さは、標的の任意の長さ、最大で、および標的の全長長さなど(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%)であってもよい。本発明の目的において、同一性%は、クエリ配列の全長長さを基準とする。
【0502】
本発明の目的において、配列2種の配列比較および同一性%の決定は、Blossum62スコアリングマトリクスを用い、ギャップペナルティ12、ギャップ延長ペナルティ4およびフレームシフトギャップペナルティ5を適用して達成することができる。
【0503】
保存的な置換は、典型的に下記の群内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。
【0504】
VIII.定義
【0505】
他に断らない限り、本願に使用されたすべての技術用語、表記法およびその他の技術および科学用語または用語法は、請求内容の属する技術分野における当業者が通常理解する意味と同じ意味があると意図される。場合によっては、通常理解される意味を有する用語が明確性および/または容易な参照のために本願で定義されるが、本発明においてこのような定義を含むことが必ずしも当該技術分野で一般的に理解されるものと実質的な差異を意味すると解釈されてはならない。
【0506】
本出願全体において、多様な実施形態が範囲形式で提示される。範囲形式の記述は、主に便宜性および簡潔性のためのものに過ぎず、開示内容の範囲に変更できない制限として解釈されてはならない。このため、範囲の記述はできるだけすべての下位範囲のみならず、その範囲に属する個々の数値を具体的に言及するものと見なさなければならない。例えば、1~6のような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのような下位範囲のみならず、その範囲に属する個々の数値、例えば、1、2、3、4、5および6を具体的に言及するものと見なさなければならない。これは範囲の幅に関係なく適用される。
【0507】
本明細書および請求項に使用されているように、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈上、他に明示されない限り、複数の参照を包括する。例えば、用語「サンプル」は、サンプルの混合物をはじめとする複数のサンプルを包括する。
【0508】
用語「確認」、「測定」、「評価」、「判定」、「検定」および「分析」は、本発明において相互互換的にしばしば測定タイプを指すために使用される。これらの用語は、要素の存在または不在を決定(例、検出)することを含む。これらの用語は、定量的な、定性的なまたは定量および定性的な決定を網羅することができる。評価は、相対的または絶対的であってもよい。「の存在の検出」は、それが文脈によって存在の有無を確認すること以外にも、存在する何らかの量を決定することを包括することができる。
【0509】
用語「個体」、「個人」または「患者」は、本発明においてしばしば相互互換的に使用される。
【0510】
用語「生体内」は、個体の身体で行われる現象を示すために使用される。
【0511】
用語「生体外」は、個体の身体外部で行われる現象を示すために使用される。生体外分析は、個体で行われない。むしろ、これは個体から分離されたサンプルに対して行われる。サンプルに対して行われる生体外分析の一例が「試験管内」分析である。
【0512】
用語「試験管内」は、物質が得られる生物学的供給源から分離されるように実験試薬を収容するための容器内で行われる現象を指すために使用される。試験管内分析は、生きている細胞または死滅細胞を用いた細胞ベースの分析を網羅することができる。また、試験管内分析は、無傷の細胞を用いない無-細胞性分析を網羅することもできる。
【0513】
本願に使用されているように、数字の用語「約」は、当該数字の10%がその数字から追加または控除されることを意味する。範囲の用語「約」は、その範囲から最低値の10%を引いた値から最大値の10%を加えた値までを意味する。
【0514】
本願に使用されているように、用語「緩衝剤溶液」は、弱酸とその対塩基、またはその逆で構成された混合物からなる水性溶液を指す。
【0515】
本願に使用されているように、用語「細胞培養培地」は、糖、アミノ酸、多様な営養分、無機物質などのように細胞の生長および増殖に必須の因子を含む、試験管内細胞生長および増殖のための混合物を指す。
【0516】
本願に使用されているような緩衝剤溶液は、細胞培養培地ではない。
【0517】
本願に使用されているように、用語「バイオリアクタ」は、溶存酸素濃度、溶存二酸化炭素濃度、pHおよび温度などの細胞培養に影響を及ぼす一連の条件を引き続き統制可能な培養装置を指す。
【0518】
本願に使用されているように、用語「ベクター」は、これに連結された他の核酸を増幅させることができる核酸分子を意味する。この用語は、自己-複製性核酸構造としてベクターのみならず、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターを網羅する。一部のベクターは、本発明の核酸分子またはポリヌクレオチドを伝達するのに適合する。一部のベクターは、それに作動可能に連結された核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本願において発現ベクターと言及される。
【0519】
用語「作動可能に連結された」は、2以上の核酸配列またはポリペプチド要素が通常物理的に連結されており、互いに機能的な関係で存在することを意味する。例えば、プロモーターがコーディング配列の転写または発現を開始または調節できれば、そのプロモーターは、コーディング配列に作動するように連結されたものであり、この場合、コーディング配列は、プロモーター「の統制下」にあると理解されなければならない。
【0520】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、相互互換的に使用され、このような細胞の子孫を含めて外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、継代培養回数とは関係なく1次操作された(例、形質転換された)細胞およびこれに由来する子孫を網羅する、「操作された細胞」、「形質転換体」、および「形質転換された細胞」を包括する。子孫は、親細胞と核酸の構成が完全に同一でなくてもよいし、突然変異を含むことができる。本来形質転換された細胞から選別または選択されたものと同一の機能または生物学的活性を有する突然変異子孫も本発明に含まれる。
【0521】
適切な場合、宿主細胞は、本願に記載されているような融合タンパク質を暗号化するポリヌクレオチドで安定的にまたは一時的に形質感染できる。
【0522】
本発明に使用されたセクションの見出しは単なる構成上の理由に過ぎず、記述した発明の内容を制限すると解釈されてはならない。
【実施例】
【0523】
IX.実施例
以下の実施例は単に例示的な目的として含まれるに過ぎず、本発明の範囲を制限すると意図されない。
【0524】
実施例1:規格品NK細胞療法プラットフォーム
NK細胞を増幅および刺激する方法の一例を
図1に示す。
【0525】
受容体CD16の高親和性変異体(158V/V変異体、例えば、Koene et al.,「FcγRIIIa-158V/F Polymorphism Influences the Binding of IgG by Natural Killer Cell FcgammaRIIIa,Independently of the FcgammaRIIIa-48L/R/H Phenotype」,Blood90:1109-14(1997)参照)およびKIR-B遺伝子型(KIR受容体系のKIR B対立遺伝子、例えば、Hsu et al.,「The Killer Cell Immunoglobulin-Like Receptor(KIR)Genomic Region:Gene-Order,Haplotypes and Allelic Polymorphism」,Immunological Review190:40-52(2002);およびPyo et al.,「Different Patterns of Evolution in the Centromeric and Telomeric Regions of Group A and B Haplotypes of the Human Killer Cell Ig-like Receptor Locus」,PLoS One5:e15115(2010)参照)を有するFDA-許可された冷凍臍帯血単一ユニットをNK細胞供給源として選択した。
【0526】
臍帯血ユニットを解凍し、遠心分離して冷凍媒質を除去した。その後、細胞調製物においてQuadroMACS細胞選別システム(Miltenyi)およびCD3(T細胞)MicroBeadsを用いてT細胞を枯渇処理した。総有核細胞(TNC)6×10
8個の集団をMicroBeadsで標識し、QuadroMACS装置および緩衝剤を用いて分離した。T細胞を枯渇処理した後、主に単核球とNK細胞である残りの細胞を洗った後、抗生剤-非含有媒質(CellgroSCGM)中に収集した。細胞調製物は、以後、総有核細胞数、生存性およびCD3+細胞%に対して分析した。
図1に示されるように、臍帯血NK細胞はCD3枯渇処理された。
【0527】
CD3-細胞調製物を増殖培地入りの気体透過性細胞増幅バッグに接種した。細胞は、複製不完全操作されたHuT-78(eHUT-78)フィーダー細胞と共培養してマスター細胞バンク(MCB)集団に対して増幅を強化した。CellgroSCGM培養培地を最初に抗-CD3抗体(OKT3)、ヒト血漿、グルタミンおよびIL-2で補充した。
【0528】
図1に示すように、共培養段階のいずれかの段階中に、選択的にNK細胞を、例えば、レンチウイルスベクターを用いてNK細胞にCARを導入するように操作した。
【0529】
細胞は、静置培養として、5%CO2平衡空気雰囲気下、37℃で12-16日間、2-4日間隔で培地を追加的に交換しながら、培養した。培養物が100倍以上に増幅されれば、培養された細胞を回収した後、冷凍媒質に懸濁してクライオバッグに充填した。この場合、このような共培養中にバッグまたはバイアルあたり細胞108個のバッグまたはバイアル80個が作られた。クライオバッグを速度制御型凍結器(controlled rate freezer)を用いて-150℃以下の気相液体窒素(LN2)タンクで冷凍した。FDA-許可された臍帯型ユニットに由来するこのような冷凍保存したNK細胞をマスター細胞バンク(MCB)として用いた。
【0530】
医薬品を製造するために、MCBから得られた冷凍細胞バッグを解凍した後、冷凍媒質を除去した。解凍した細胞は使い捨て培養バッグに接種し、フィーダー細胞、例えば、eHUT78フィーダー細胞と共培養して医薬品を生産した。この場合、臍帯血ユニット1つあたり医薬品ロット数千個を生産するために細胞を50lバイオリアクタで培養し(例えば、冷凍バイアル4,000-8,000個、それぞれ109細胞/バイアル)、これを冷凍保存組成物と混合した後、冷凍バイアルのような複数の保管容器に入れて冷凍した。この医薬品は直接注入用に利用可能な規格品注入用対応製品(off-the-shelf infusion ready product)である。各医薬品ロット1つは患者数百~数千人に注入可能である(例えば、患者100-1,000人、例として、標的用量4×109細胞)。
【0531】
実施例2:フィーダー細胞の増幅
一例として、適切なフィーダー細胞、例えば、eHut-78細胞を冷凍ストックから解凍し、125mlフラスコでRPMI1640(Life Technologies)89%v/v、不活性化されたウシ胎児血清(FBS)(Life Technologies)(10%v/v)およびグルタミン(hyclone)(2mM)を含む培養培地中に、37℃または約37℃で、3-7%CO2または約3-7%CO2下、18-24日または約18-24日間増幅および培養した。細胞は2-3日ごとに125ml-2lフラスコに分けた。細胞を遠心分離により回収し、ガンマ線を照射した。回収および放射線処理された細胞を2ml冷凍バイアルで冷凍保存媒質(Cryostor CS10)と混合した後、速度制御型凍結器で5分あたり約15℃の冷却速度で最終温度-90℃または約-90℃まで冷凍し、以後、液体窒素タンクまたは冷凍庫に移して、最終温度-150℃または約-150℃まで冷却した。
【0532】
冷凍した後、細胞生存率はオリジナル細胞数の70%以上であり(ここで、少なくとも1.0×108生存細胞/ml)、細胞の85%以上がtmTNF-αを発現し、細胞の85%以上がmbIL-21+を発現し、細胞の85%以上が4-1BBLを発現した。
【0533】
実施例3:NK細胞の増幅および刺激
一例として、好適なNK細胞は4-1BBL、膜結合型IL-21および突然変異TNFα(「eHut-78P細胞」)を発現するように形質導入されたHuT-78細胞をフィーダー細胞として用いて製造することができる。フィーダー細胞を1%(v/v)CellGro媒質に懸濁し、ガンマ線放射線装置で20,000cGyで照射した。種細胞(例えば、CD3-枯渇したPBMCまたはCD3-枯渇した臍帯血細胞)をフィーダー細胞上でヒト血漿、グルタミン、IL-2およびOKT-3を含むCellGro培地中に静置培養として37℃で培養した。2-4日間隔で細胞を分けた。総培養時間は19日である。NK細胞を遠心分離により回収して冷凍保存した。解凍したNK細胞を以下で構成された注入媒質中に患者に投与する:リン酸緩衝生理食塩水(PBS 1x、FujiFilm Irvine)(50%v/v)、アルブミン(ヒト)(20%v/v OctaPharmaアルブミン溶液:ヒトアルブミン≧96%のタンパク質200g/l、ソジウム130-160mmol;≦2mmolポタシウム、0.064-0.096mmol/gタンパク質N-アセチル-DL-トリプトファン、0.064-0.096mmol/gタンパク質、カプリル酸、ad.1000mlの水)、デキストラン40/デキストロース(25%v/v Hospiraデキストラン40/デキストロース注射液、以下を含むUSP:10g/100mlデキストラン40および5g/100ml含水デキストロース(dextrose hydrous)水溶液)およびジメチルスルホキシド(DMSO)(5%v/v Avantor DMSL溶液、密度1.101g/cm3、20℃)。
【0534】
ある場合には、種細胞はCD3-枯渇した臍帯血細胞である。細胞分画は、CliniMACS T細胞枯渇セット((LS Depletion set(162-01)Miltenyi Biotec)を用いた免疫磁気選別によって、CD3細胞を枯渇させることができる。
【0535】
好ましくは、臍帯血種細胞はF158でV/V多形成(Fc gamma RIIIa-158 V/V遺伝子型)(Musolino et al.2008J Clin Oncol26:1789)を有するCD16を発現するように選別する。好ましくは、臍帯血種細胞はKIR-Bハプロタイプである。
【0536】
実施例4:KIR-BおよびCD16 158V/Vに対して選別した臍帯血NK細胞は増幅後にCD38を低いレベルに発現する
KIR-BおよびCD16 158v/vに対して選別した互いに異なる供与者から得られた2種の臍帯血を用いて、実施例1に記載されているようにNK細胞を増幅して、AB-101細胞を構築し、そして、1つの非-選別供与者臍帯血(対照群)でも構築した。フローサイトメトリー測定によって得られた細胞純度(CD56+CD3-%)を
図9に示す。
図10および
図11に示しているように、CD38発現は、非-選別NK細胞と比較して、KIR-B/158V/V NK細胞で集団(陽性%、
図10)、そして個別的(陽性細胞の平均蛍光強度、
図11)にもより低かった。
【0537】
実施例5:増幅および刺激されたNK-細胞の表現型
一例として、臍帯血ユニットに由来するNK細胞は、実施例1に記載の増幅および刺激工程によりeHut-78細胞を用いて増幅および刺激した。
図4に示すように、得られた増幅および刺激されたNK細胞の集団は、一貫して高いCD16(158V)および活性化NK細胞受容体発現性を示した。
【0538】
実施例6:AB-101
AB-101は、患者、例えば、単クローン抗体またはNK細胞エンゲージャーを用いて治療した患者においてADCC抗-腫瘍反応を強化するように考案された生体外増幅および活性化されたエフェクター細胞を含む、普遍的で、規格品の、冷凍保存された、同種異系臍帯血由来NK細胞療法製品である。AB-101は、Tリンパ球の枯渇処理によりNK細胞に対して濃縮され、IL-2および抗-CD3抗体(OKT3)が補充された操作済みの複製不完全性T細胞フィーダー細胞を用いて共培養された、臍帯血由来単核細胞(CBMC)で構成される。
【0539】
AB-101は、FDA許可された臍帯血に由来する、特に治療学的単クローン抗体(mAb)と組み合わせ使用して血液および固形腫瘍を治療するために考案された、同種異系NK-細胞製品である。AB-101製造工程は、以下の属性を有するNK細胞生産物を作製する:
【0540】
・一貫性あるNK細胞プロファイル。抗体が結合するCD16および腫瘍抗原-結合性/活性化受容体、例えば、NKG2D、NKp46、Nkp30およびNKp44のような表面受容体の高い発現性。
【0541】
・KIR-B-ハプロタイプ。KIR-Bハプロタイプは、ハプロ同種移植状況(haploidentical transplant setting)で臨床成果の改善および同種異系の状況でより高い治療学的潜在性に関連性がある。
【0542】
・CD16 F158V多形成。mAb Fc-結合する高親和性CD16 F158V変異体は、改善された抗体依存的な細胞性細胞毒性(ADCC)を促進すると見られる。
【0543】
・非-変形のNK細胞。遺伝子強化または遺伝子編集は、AB-101医薬品に必要でないか、またはその一部である。
【0544】
AB-101の構成成分および組成物を表12に列挙する。AB-101は、成熟したNK細胞を意味する自然細胞毒性受容体NKp30およびNKp46を発現するNK細胞(CD16+、CD56+)で構成される。AB-101は、T細胞、B細胞および大食細胞(≦0.2%CD3+、≦1.0%CD19+、≦1.0%CD14+)を極少量含む。AB-101の培養に使用したeHuT-78Pフィーダー細胞の残留率はこの医薬品の≦0.2%である。
【0545】
【0546】
初期安定性実験は、AB-101が、気相液体窒素下、最大6ヶ月間安定的であることを示す。6ヶ月後の期間で製品安定性を評価するための長期安定性実験は進行中であり、最新安定性情報は分析認証書に収録される。
【0547】
AB-101医薬品の作製は、以下のような核心的な段階で構成される(
図5):
・FDA許可された臍帯血ユニット(Hemacord、BLA125937)解凍。
・臍帯血ユニット(CBU)から冷凍-保存媒質の除去
・FDA許可されたVario MACS細胞選別システム(Miltenyi)を用いたCD3枯渇
・操作されたフィーダー細胞(eHuT-78細胞)を用いたバッグでの増幅および共培養
・AB-101マスター細胞バンク(約バッグ200個)に対する検査および冷凍保存
・解凍(バッグ1個)、増幅および操作されたHuT-78細胞を用いた共培養
・バイオリアクタで追加的な増幅
・回収および充填(1×10
9NK細胞/バイアル)
・AB-101医薬品の冷凍保存(バイアル約150個)
・濃度、純度、効力および安定性を確認するための広範囲な特性究明。
【0548】
表13に示すように、このような作製工程は高純度および活性のAB-101医薬品NK細胞を大量に再現可能に生産する。データポイントは独立した臍帯血ユニット3個から得られた結果を示す。
【0549】
【0550】
純度:eHuT-78P残留物(eHuT-78P細胞残留物)
AB-101医薬品においてeHuT-78P細胞残留物をフローサイトメトリー測定(FACS)によって測定する。FACSを用いて生きているCD3+4-1BBLhigh+ eHuT-78Pを定量することにより、AB-101 DP内のeHuT-78残留物を検出する。eHuT-78は、皮膚Tリンパ球としてCD3を発現するHuT-78細胞株に由来するものであるので、順次に、一重項、7-AADおよびCD3+4-1BBL+をゲーティングするFACSゲーティング戦略を利用する。HuT-78細胞株に4-1BBリガンド(4-1BBL)、膜腫瘍壊死因子-α(mTNF-α)および膜結合型IL-21(mbIL-21)を形質導入した。遺伝子3種を強く発現するeHuT-78単一細胞を選別し、研究、マスターおよびワーキング細胞バンクを順次に確立した。これら遺伝子3種のうち、4-1BBLがAB-101細胞バンクおよび最終医薬品において最も強く発現することが確認されたことから、FACSゲーティング戦略にこれを用いた。
【0551】
効力(AB-101 DP細胞:K562細胞10:1での細胞毒性)
K562腫瘍細胞に対する細胞性細胞毒性能力を評価してAB-101医薬品の効力を決定する。医薬品の細胞毒性は、蛍光測定分析で評価する。K562腫瘍細胞を30μMカルセイン-AM(Molecular probe)で37℃で1時間染色する。医薬品サンプルと標識された腫瘍細胞を96ウェルプレートで、3セットで37℃および5%CO2下、4時間光遮断下に共培養する。自発的な最大放出を提供するために、標的に10%FBSまたは2%トリトン-X100が添加されたRPMI1640培地を添加する。バックグラウンド蛍光を決定するために、それぞれのウェルに10%FBSまたは2%トリトン-X100が添加されたRPMI1640培地を添加する。蛍光リーダーを用いて励起485nmおよび放出535nmで蛍光を測定する。特異的な細胞毒性%を下記式によって計算する。
【0552】
【0553】
効力(AB-101 DP細胞:Ramos細胞10:1での細胞毒性)
前述の同一の方法および計算を用いてRamos腫瘍細胞に対する細胞性細胞毒性能力を評価してAB-101医薬品の効力を決定する。この検査に対する詳細事項は確認中である。
【0554】
実施例7:AB-101表現型特性の究明
様々なAB-101バッチにおいて抗体-エンゲージングCD16および活性化、阻害性およびケモカイン受容体の発現だけでなく、純度をフローサイトメトリー測定により決定した。
【0555】
AB-101純度は細胞表面マーカーを用いて測定した:AB-101バッチは>99%CD3-CD56+NK細胞と<0.1%CD3+、CD14+およびCD19+細胞を含むことが観察された。AB-101でCD16発現を測定した。AB-101細胞のうち95.11±2.51%がCD16+であり、CD16のMFI平均および中央値はそれぞれ15311±6186および13097±5592であった。NK細胞は多様なNK特異的な活性化および阻害性受容体を発現することが知られている。検査した多様なAB-101バッチにおいて、細胞の>80%がCD16、NKG2A、NKG2D、CD94、NKp30、2B4、Tim-3、CD44を発現し、細胞の40~70%はNKp44、NKp46、DNAM-1を発現し、細胞の約30%はCD161およびCD96を発現し、細胞の15%はCXCR3を発現し、細胞の5%未満はその他の活性化阻害受容体を発現した。
【0556】
作製工程の互いに異なる3つの段階で細胞の表現型特徴を評価するために、本実験にAB-101のGMPバッチ2個を含めた:CD3+細胞枯渇処理した後の臍帯血細胞;中間産物としてマスター細胞バンク(MCB)、およびAB-101最終医薬品(DP)。CD3枯渇した細胞、MCBおよびDPそれぞれで純度およびNK細胞受容体を測定した。その結果によれば、まず、CBに由来するNK細胞は未成熟NK表現型を示すことが確認された。NK表現型は作製工程中に成熟した。MCB段階では細胞の90%以上がすでに成熟したNK細胞で現れる表現型特徴を発現し、その他の細胞タイプマーカーは<0.1%であった。CD3枯渇した細胞から、MCBまで、そして最終的にDPまで作製工程を通してNK細胞-特異的な受容体のほとんどは発現レベルが増加した。
【0557】
略語リスト:NK:ナチュラルキラー細胞;mAb:単クローン抗体;TNF-α:腫瘍壊死因子α;CXCR:CXCケモカイン受容体;DNAM-1:DNAXアクセサリー分子-1;CRACC:CD2-様受容体-活性化細胞毒性細胞;ILT2:Ig-様転写体2;Tim-3:T-細胞免疫グロブリンムチン-3;7AAD:7-アミノ-アクチノマイシンD;ULBP:UL16-結合タンパク質;MICA/B:MHCクラスIチェーン-関連タンパク質AおよびB;RAE1:リボ核酸流出1;H60:NKG2DはクラスI MHC分子に関連する細胞表面リガンド2種と相互作用する;MULT1:マウスUL16-結合タンパク質-様転写体1;MHC:主組織適合性複合体;HLA:ヒト白血球抗原。
【0558】
AB-101の純度は、NK細胞に対してはCD3-CD56+細胞、T細胞に対してはCD3+細胞、単核球に対してはCD14+細胞、B細胞に対してはCD19+細胞として表示する。AB-101バッチ計9個で純度を測定した。その結果、CD3-CD56+細胞は99.27±0.59%(平均±SD)、CD3+細胞は0.02±0.03%、CD14+細胞は0.10±0.12%、そしてCD19+細胞は0.02±0.04%であった(
図6)。したがって、AB-101は高純度のNK細胞で構成され、不純物として他のタイプの細胞はほとんど存在しないことが検証された。
【0559】
GMP条件で作製したCD3枯渇した細胞、MCBおよびDPの純度の比較
AB-101のGMPバッチ2個を用いてAB-101出発材料(CD3枯渇した細胞)、中間産物(マスター細胞バンク、MCB)および最終医薬品(DP)の純度を分析した。CD3枯渇した細胞分画において細胞の50~60%はNK細胞であり、その百分率はMCBおよびDPで90%以上に増加した。CD3枯渇した細胞分画の20~30%はCD14+細胞およびCD19+細胞であり、このような細胞百分率はMCBおよびDPで0.1%未満に減少し、これはAB-101 MCBおよびAB-101の最終医薬品の純度を示す(
図7、表14)。
【0560】
【0561】
GMP条件で作製したCD3枯渇した細胞、MCBおよびDPでのNK細胞受容体の比較
AB-101のGMPバッチをさらに用いて、AB-101出発材料(CD3枯渇した細胞)、中間産物(マスター細胞バンク、MCB)および最終医薬品(DP)で多様なNK細胞受容体の発現を分析した。AB-101出発材料(CD3枯渇した細胞)と比較した場合、いくつかのNK細胞およびCD16、NKG2D、NKG2C、NKp30、NKp44、NKp46およびDNAM-1のような活性化受容体がMCBおよび最終医薬品においてより高いレベルに発現したことが観察された。CD57発現は、AB-101出発材料(CD3枯渇した細胞)と比較して、MCBおよび最終医薬品でより低かった(
図8、表15)。全般的に、データはMCBおよび最終医薬品においてNK細胞活性化受容体の発現増加を示し、これはAB-101が腫瘍に対して効果的であることを意味する。
【0562】
【0563】
結び
表面マーカー分析の使用で、AB-101製品の同一性および純度とバッチ間の一貫性が立証された。さらに、NK-特異的な活性化および阻害細胞表面マーカーに対する広範囲な評価により作製増幅工程後、AB-101製品の一貫したプロファイルが確立された。CB由来NK細胞は、末梢血(PB)由来NK細胞と比較して、NKG2Aの高発現およびNKG2C、CD62L、CD57、IL-2R、CD16、DNAM-1の低発現のような未成熟表現型を有するものであり、また、未成熟表現型を有するCB由来NK細胞は、腫瘍細胞に対して細胞毒性が低いことが知られている。本実験のデータは、同種異系臍帯血(CB)に由来するNK細胞製品、すなわちAB-101が腫瘍細胞に対して潜在的により優れた細胞毒性を意味する主要活性化受容体を高いレベルに発現することを立証する。
【0564】
実施例8:AB-101毒性学
NSGマウスのGLP実験においてAB-101の非-臨床的な毒性を評価した。本実験はAB-101の急性および遅延性毒性プロファイルを評価するように設計した。AB-101を2つの用量水準、すなわち0.5×107および2×107細胞/動物で本実験で検査した。提案された検査用量範囲は最初のヒト実験(4×109細胞/用量)で提供することを計画したヒト等価最高用量よりも多く露出する水準に製品を提供するように設計した。相対成長率(Nair2016)に基づいて、0.5×107細胞/マウスは14×109細胞/ヒトに相応し、2×107細胞/マウスは56×109細胞/ヒトに相応するが、これは体重70kgの患者に対して推定したものである。AB-101は8週間毎週1回尾静脈を通して静脈内投与した。8次(すなわち、最後の投与)投与した後、3日目にAB-101の急性毒性を評価した。8次投与後28日の回復期間終了時点で遅延性毒性を評価した。各動物において生存性、体重、臨床観察結果および促進(palpation)を本実験の生涯期間に記録した。すべての動物において安楽死の時点で肉眼剖検し、血液分析のためのサンプル収集、臨床化学および組織病理学的分析を行った。
【0565】
各群は、両性での所見を評価し、統計的検証力分析(powered statistical analysis)のために、各性別あたり10匹ずつ動物計20匹で構成した。AB-101処理群と比較するために、ビヒクル処理対照群も含めた。処置の偏りを最小化するために、動物はコンピュータ-生成された(体重の順)ランダムな手順によって用量群に割り当て、雌および雄を別途にランダム割り当てた。本実験はデータ記録などを含めてGLP指針を守った。
【0566】
評価した用量水準のどの用量でもAB-101の投与に関連する死亡および有害な臨床的な観察結果は記録されなかった。現れたすべての軽微な観察結果はマウスで一般的な結果であり、AB-101の投与に関連するものとは見なされなかった。体重および臓器重量の変化は用量群の間で類似しており、処置後評価した日付でも類似していた(急性毒性群の場合に53日、遅延毒性群の場合に78日)。急性または遅延性毒性群において安楽死の時点で動物から確認された血液学および臨床化学媒介変数または肉眼剖検所見でAB-101-関連の変化はなかった。統計的有意性に関係なく、個体間および平均臨床化学数値間ですべての変動は散発的であり、生物学的および手順-関連偏差と一貫性があり、および/またはそのサイズがわずかであると見なされ、よって、AB-101の投与とは関係ないと見なされた。AB-101-関連の顕微鏡的所見はなかった。結論的に、GLP毒性実験の結果は、最大2×107細胞/投与/動物で繰り返し投与したNSGマウスでAB-101が十分な耐薬性であることを示唆する。
【0567】
実施例9:NK細胞の冷凍保存
図5に示された工程によりAB-101細胞を準備した。培養期間終了時点で、Sartorius kSep
(R)400の使い捨て自動遠心分離システムを用いて、相対遠心力(RCF):800-1200g下、流速60~120ml/minで細胞を回収し、リン酸緩衝液(PBS)で2回洗った。洗った後、(1)アルブミン(ヒト);(2)デキストラン40;(3)DMSO;および(4)PBSを用いて、標的濃度1×10
8細胞/mlで、AB-101細胞を剤形化した(冷凍保存組成物の例#1、表4)。懸濁物剤形を10ml AT-Closed vial
(R)に目標体積11mlで充填した後、表示し、速度制御型冷凍庫に入れて、≦-135℃で冷凍保存した。
【0568】
初期放出検査データとして時間=0に安定性実験を行った。安定性保存冷凍庫は温度を≦-135℃に維持するように設定された検証済みの気相LN2保存冷凍庫である。無菌性時点で、バッチサイズの10%または4個のバイアルのうちより大きい方を検査した。検査物は臨床的な解凍条件を模倣するために37℃で解凍した。
【0569】
表16に示すように、冷凍保存したAB-101の生存性および活性が少なくとも9ヶ月間保存されることが確認された。
【0570】
【0571】
投与する直前までの取扱時、AB-101の安定性特徴を把握するために、「ベッドサイド(bedside)」短期安定性実験を行った。サンプルを解凍した後、10mlシリンジに移して濾過し、内容物はファルコン試験管で保管し、表示された指定時間に所定の温度でおいた。採取した産物を分析した。AB-101ロット2種に対する短期安定性データを表17に示す。
【0572】
【0573】
実施例10:KIR-BおよびCD16 158v/vに対して選別した臍帯血NK細胞は増幅後にCD38発現性が低い
KIR-BおよびCD16 158v/vに対して選別した互いに異なる供与者から得られた2種の臍帯血を用いて、実施例6に記載されているようにNK細胞を増幅して、AB-101細胞を構築し、そして、1つの非-選別供与者臍帯血(対照群)でも構築した。フローサイトメトリー測定により得られた細胞純度(CD56+CD3-%)を
図9に示す。
図10および
図11に示すように、CD38発現は、非-選別NK細胞と比較して、KIR-B/158 v/v NK細胞で集団(陽性%、
図10)、そして個別的(陽性細胞の平均蛍光強度、
図11)にもより低かった。
【0574】
実施例11:AB-101の表面タンパク質発現
実施例1に記載されているように、NK細胞を増幅させた。出発物質としてNK細胞供給源(CD56+/CD3-発現に対してゲーティングした臍帯血、n=3)の表面タンパク質発現を、増幅して得られたNK細胞(n=16)と比較した。
図12に示すように、CD16発現は得られた細胞で高く、出発細胞に比べて増加した。NKG2D、CD94、NKp30、NKp44およびNKp46の発現も増加したのに対し、CXCR4およびCD122の発現は減少した。
【0575】
実施例12:試験管内AB-101+ダラツムマブ実験
互いに異なるロットのAB-101と互いに異なるロットのPB-NK細胞(末梢血由来CD56+NK細胞)を対象に解凍時の生存性、純度およびCD38発現について評価した。
【0576】
解凍時のAB-101細胞は生存性が94.85%±0.92%であり(
図13)、(CD56
+CD3
-によって定義される)NK細胞の純度は98.60%±0.76%、そしてCD56
+CD16
+集団は87.43±8.61%(平均±SD)であった。
【0577】
AB-101細胞上でCD38発現を解凍時、そして10%FBSおよび1000IU/ml IL-2が添加されたRPMI1640培地で24時間培養した後、調べた。解凍時、そして解凍後24時間経過時、CD38発現%(平均±SD)は、AB-101供与体ロット21AB101PG004(それぞれ22.3%±0.85%および23.4±0.57%)、20AB101PG005(それぞれ21.5%±2.55%および21.2±0.71)で低く、変化はないことが確認された。CD38発現の蛍光強度幾何平均は、AB-101ロット、すなわち21AB101PG004(それぞれ9806±86.27および10340±1476.44)および20AB101PG005(それぞれ8979±90.51および9056±1443.91)で低く、変化がなかった。AB-101ロット19AB101PN004の場合、CD38発現強度はこれら2つの時点ともにおいて高くて変化がなく、MFIはそれぞれ31735±747.51および28396.00±3162.18であった。各供与体に対して2個のバイアルに由来する細胞を用いてデータを入手した(各供与体に対して2個のバイアルを調べる)。
【0578】
比較として、健康な供与体3人に由来するPB-NK細胞は、生存性(93.27%±4.82%)、純度(93.8%±2.43%)およびCD16発現性(95.13%±0.74%)に優れていたが、AB-101細胞と比較してCD38発現性が高かった(
図14)。平均的に、CD56+PB-NK細胞は、解凍時に88.47%±7.98%がCD38を発現し、24時間培養した後、87.67%±8.6%がCD38を発現した。供与体全体におけるCD38発現のMFIは、解凍時および培養後それぞれ25,467.33±6318.3および19429.67±3870.87であった。
【0579】
NK生存性に及ぼすダラツムマブの影響をフラトリサイド分析および補体固定分析を利用して多様な濃度のダラツムマブの存在下で調べた。
【0580】
NK細胞フラトリサイドに対するダラツムマブの影響を確認するために、AB-101細胞を多様な濃度のダラツムマブの存在下で4時間培養した。細胞生存性は、300μg/ml~0.41μg/mlの範囲の濃度でIgG1対照群抗体またはダラツムマブの存在下で影響なく維持された。本データは、AB-101細胞がダラツムマブの存在下でADCCによってお互いに殺さなかったことを示す(
図15)。興味深いことに、AB-101供与体ロット19AB101PN004は、高いCD38表面発現性にもかかわらずフラトリサイドを示していなかった。
【0581】
補体媒介細胞溶解の影響を調べるために、AB-101細胞をIgG対照群抗体またはダラツムマブとともにヒト補体血清の存在下でインキュベーションした。バーキットリンパ腫細胞株Daudiを分析対照群に含めた。AB-101細胞は、CD38発現にもかかわらずダラツムマブおよび補体の存在下で細胞溶解しないのに対し、腫瘍細胞株Daudiは、本実験で検査した最も低いダラツムマブ濃度(0.41μg/ml)で飽和レベルの細胞溶解に到達した(
図16)。
【0582】
結び
ダラツムマブ作用機序は、オプソニン化された腫瘍細胞に対するADCCおよびCDC反応(de Weers M,Tai Y-T,van der Veer MS,et al.Daratumumab,a novel therapeutic human CD38 monoclonal antibody,induces killing of multiple myeloma and other hematological tumors.J Immunol2011(Feb1);186(3):1840-8)と、大食細胞媒介ADCP(Overdijk MB,Verploegen S,Bogels M,et al.Antibody-mediated phagocytosis contributes to the anti-tumor activity of the therapeutic antibody daratumumab in lymphoma and multiple myeloma.MAbs2015;7(2):311-21)を誘発するものである。ナチュラルキラー細胞はCD38を発現するので、よって、ダラツムマブ投与患者において枯渇する。そのため、ダラツムマブ治療時に枯渇せずに耐える同種異系NK細胞療法を補うことが好ましい(Naeimi Kararoudi M,Nagai Y,Elmas E et al.CD38 deletion of human primary NK cells eliminates daratumumab-induced fratricide and boosts their effector activity.Blood2020(Nov19);136(21):2416-27;Gurney M,Stikvoort A,Nolan E,et al.CD38 knockout natural killer cells expressing an affinity optimized CD38 chimeric antigen receptor successfully target acute myeloid leukemia with reduced effector cell fratricide.Haematologica2020(Dec30);Online ahead of print.doi:10.3324/haematol.2020.271908;Woan KV,Kim H,Bjordahl R,et al.Harnessing features of adaptive NK cells to generate iPSC derived NK cells for enhanced immunotherapy.Cell Stem Cell2021(Dec2);28(12):2062 2075.e5)。AB-101とダラツムマブとの臨床組み合わせに対する適合性を評価するために、AB-101細胞上のCD38の発現を調べ、AB-101の生存性に対するダラツムマブの影響を調べた。
【0583】
本願に報告されたデータは、AB-101 GMP lot細胞の<23%がCD38を低い強度で発現することを立証する。AB-101細胞上にCD38発現がダラツムマブの存在下でフラトリサイドまたはCDCを誘導しなかった。このような結果は、以下のような臨床所見と一致する:
【0584】
・MM細胞上のCD38発現強度は、GEN501およびSIRUS実験でダラツムマブに対する臨床反応と正の相関関係があることが立証された(Nijhof IS,Casneuf T,van Velzen J,et al.CD38 expression and complement inhibitors affect response and resistance to daratumumab therapy in myeloma.Blood2016(Aug18);128(7):95 70)。
【0585】
・MM患者の大多数から回収した末梢血単核細胞は、ダラツムマブの存在下でADCCを引き続き誘導し、これは活性NK細胞の存在を意味する(Casneuf T,Adams III HC,van de Donk NWCJ,et al.Deep immune profiling of patients treated with lenalidomide and dexamethasone with or without daratumumab.Leukemia2021;35:573 584;Wang Y,Zhang Y,Hughes T,et al.Fratricide of NK cells in daratumumab therapy for multiple myeloma overcome by ex vivo-expanded autologous NK cells.Clin Cancer Res2018(Aug15);24(16):4006-17)。
【0586】
・ダラツムマブで治療した後、MM患者に存在するNK細胞レパートリーは、CD38low/であった(Wang Y,Zhang Y,Hughes T,et al.Fratricide of NK cells in daratumumab therapy for multiple myeloma overcome by ex vivo-expanded autologous NK cells.Clin Cancer Res2018(Aug15);24(16):4006-17)。
【0587】
・末梢血NK細胞の大部分が表面にCD38を非常に強く発現し、一部の下位セットはCD38low/-である。結果的に、ダラツムマブは、循環するNK細胞の大部分に対して枯渇効果を有する。これとは対照的に、本発明では、AB-101 GMP lot細胞の大部分は、CD38発現に対して陰性であり、細胞の下位セット(<23%)はCD38lowであることが究明された。AB-101細胞の低いCD38陽性率%は、ダラツムマブと組み合わせるためにCD38ノックアウトして生産した末梢血-由来NK細胞に類似していた(Naeimi Kararoudi M,Nagai Y,Elmas E et al.CD38 deletion of human primary NK cells eliminates daratumumab-induced fratricide and boosts their effector activity.Blood2020(Nov19);136(21):2416-27;Gurney M,Stikvoort A,Nolan E,et al.CD38 knockout natural killer cells expressing an affinity optimized CD38 chimeric antigen receptor successfully target acute myeloid leukemia with reduced effector cell fratricide.Haematologica2020(Dec30);Online ahead of print.doi:10.3324/haematol.2020.271908)。
【0588】
興味深いことに、AB-101供与体のうちの1つ(Engineering Lot)は、CD38を強く発現したが、この細胞はダラツムマブの存在下でフラトリサイドまたはCDC機序により細胞溶解しなかった。この供与体は、GMP lotとは異なり、KIR-BハプロタイプまたはCD16 158V/V対立遺伝子に対して選別したものではない。結論的に、AB-101 GMP lot細胞は、CD38発現性が低く、ダラツムマブ-誘導性フラトリサイドおよびCDCに抵抗し、CD38発現をノックアウトするための遺伝子編集なくてもダラツムマブと組み合わせるのに適合する。
【0589】
実施例13:AB-101+ダラツムマブADCCにステロイドが及ぼす影響
互いに異なる3種のロットのAB-101細胞にデキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロンを48時間以下のような濃度で、IL-2 50IU/mlまたは500IU/mlの存在下で処理した:デキサメタゾン0.1μM、1μM、10μM;メチルプレドニゾロン0.08μg/ml、0.4μg/ml、2μg/ml。ステロイド処理したAB-101細胞を洗った後、以下のような細胞株と(また、+およびIgG対照群)5:1のE:T比率で共培養した:K562、Daudi、RPMI-8226およびNCI-H929。
【0590】
K562の場合、デキサメタゾン処理時、1つの細胞ロットを除けば、検査したすべての濃度でAB-101細胞の基底細胞毒性が減少した。AB-101と500IU/ml IL-2処理時に細胞毒性が回復した。AB-101細胞にデキサメタゾン処理時、ステロイド処理中に、特に500IU/ml IL-2と組み合わせる場合、DaudiおよびNCI-H929に対する基底細胞毒性が強化された。デキサメタゾン処理は、AB-101細胞のADCC潜在性を阻害しなかった。
図17、
図18、
図19および
図20を参照する。メチルプレドニゾロンも類似のパターンを示した。これはステロイド処理とAB-101+ダラツムマブとの組み合わせが有利であることを示す。
【0591】
実施例14:ダラツムマブはサイトカイン分泌を誘導する
細胞株
本実験で使用した細胞株を表18に列挙する。
【0592】
【0593】
AB-101細胞による抗体依存的な細胞性細胞毒性反応に対するダラツムマブ濃度の影響
ダラツムマブ濃度がADCCに及ぼす影響を調べるために、AB-101細胞をCD38+多発性骨髄腫細胞株MM.1SおよびCD38-細胞株K562と5:1のE:T比率で共培養した。ダラツムマブまたは対照群IgGを共培養物に300μg/ml~0.4μg/mlの範囲の濃度で添加した。共培養4時間後、サンプルをフローサイトメトリー測定によって分析した。ダラツムマブは、IgG1対照群抗体と比較して、MM.1S腫瘍細胞株に対してADCCを誘発した。ピークADCCはダラツムマブ1~11μg/mlで観察された。ADCC分析の対照群として用いたK562は、予想した通り、ダラツムマブまたはIgG対照群間でAB-101細胞の細胞毒性には差がないことが観察された。
【0594】
本実験の観察結果に基づき、本実験において後続のADCC分析にはダラツムマブ濃度2μg/mlを選択した。
【0595】
短期的な抗体依存的な細胞性細胞毒性
ダラツムマブと組み合わせたAB-101細胞のADCC潜在性を多発性骨髄腫細胞株-RPMI8226、NCI-H929、MM.1SおよびMM.1Rに対して検査した。CD38を高度に発現するバーキットリンパ腫細胞株Daudiと、CD38発現が欠乏したCML細胞株K562をそれぞれ陽性対照群および陰性対照群として用いた。AB-101および腫瘍標的をE:T比率10:1、5:1、2.5:1、1.25:1、0.6:1および0.3:1で2μg/mlダラツムマブまたは対照群IgG1抗体の存在下で共培養した。4時間共培養した後、サンプルをフローサイトメトリー測定によって分析した。
【0596】
各腫瘍細胞株に対するAB-101供与体3種のADCCを検査した。Daudiの場合、ダラツムマブ-媒介ADCC平均は、10:1のE:T比率で79.46%±4.72%(平均±SD)から0.31:1の比率で36.99%±11.68%の範囲であるのに対し、IgG1対照群の場合、10:1のE:T比率では48.96%±9.98%であり、0.31:1のE:T比率では10.2%±3.58%であった(
図21、
図22、
図23、
図24、
図25および
図26)。多発性骨髄腫細胞株NCI-H929に対するADCCは、10:1のE:T比率で46.44%±11.19%から0.31:1のE:T比率で3.38%±0.77%の範囲であり;RPMI8226の場合には、10:1のE:T比率で58.22%±8.71%から0.31:1のE:T比率で8.75%±2.31%の範囲であり;MM.1Rの場合には、10:1のE:T比率で42.36%±11.02%から0.31:1のE:T比率で4.88%±2.77%の範囲であり;MM.1Sの場合には、10:1のE:T比率で19.84%±7.32%から0.31:1のE:T比率で2.34%±2.33%の範囲であった。K562細胞株は、予想の通り、IgG1対照群抗体と比較して、ダラツムマブの存在下でAB-101媒介細胞溶解に差がなかった。K562に対する特異的な細胞溶解%は、10:1のE:T比率でダラツムマブの存在下で36.88%±5.98%であり、これと比較して、IgG1対照群抗体の存在下では37.52%±8.55%であった。
【0597】
ダラツムマブは、IgG1対照群と比較して、AB-101細胞からより強いADCC反応を誘発した。ADCCレベルはE:T比率に依存的であった。ダラツムマブの存在下で腫瘍細胞の細胞溶解の改善は、Daudi、NCI-H929、RPMI8226の場合、すべてのE:T比率で、MM.1Rの場合、E:T比率上位3種でIgG1対照群よりも著しく高かった。MM.1Sは、10:1のE:T比率を除けば、細胞溶解に有意な差を示していなかかった。予想の通り、K562細胞溶解は、IgG1群とダラツムマブ群との間で類似していた。
【0598】
統計学的分析は、GraphPad PrismソフトウェアでIgG対照群とダラツムマブとの間にノンパラメトリックなウィルコクソン対応-対符号順位検定(non-parametric Wilcoxon Matched-Pairs Signed Rank Test)で行った。有意性は調整されたP値で示す。
【0599】
ダラツムマブによって誘導された試験管内サイトカイン分泌
ダラツムマブに対する反応でAB-101細胞の活性化誘導サイトカイン分泌を多発性骨髄腫細胞株-RPMI8226、NCI-H929、MM.1S、MM.1Rに対して、そして陽性対照群および陰性対照群としてそれぞれDaudiおよびK562とともに検査した。AB-101および腫瘍細胞の共培養は、2μg/mlダラツムマブまたはIgG1対照群抗体の存在下で1:1のE:T比率(100,000エフェクター細胞/ウェル)に設定した。アレイの分析物をELISAによってIFNγおよびTNFαを分析した。
【0600】
分析群は、(1)腫瘍細胞単独、(2)AB-101単独、(3)AB-101+腫瘍細胞、(4)AB-101+腫瘍細胞+IgG1対照群、および(5)AB-101+腫瘍細胞+ダラツムマブを含む(
図27、
図28、
図29)。供与体21AB101PG004によるIFNγ分泌は、Daudi(920.33±24.42pg/ml/10
6細胞)およびRPMI8226(595.33±25.97pg/ml/10
6細胞)に対して、IgG1対照群に比べて、ダラツムマブの存在下で、より優れており(Daudi:298.00±11.53pg/ml/10
6細胞およびRPMI8226:284.33±48.99pg/ml/10
6細胞);供与体19AB101PN004は、Daudi(525.33±54.59pg/ml/10
6細胞)に対してIgG1対照群(130.67±14.57pg/ml/10
6細胞)に比べて、ダラツムマブの存在下でIFNγをより多く分泌した。その他の細胞株はこれらの供与体からダラツムマブ依存的なIFNγ分泌を誘発することができなかった。
【0601】
同じく、供与体21AB101PG004は、Daudiに対してIgG1対照群(281.33±48.75pg/ml/106細胞)に比べて、ダラツムマブ(726.00±374.01pg/ml/106細胞)の存在下でTNF-αをより多く分泌し、19AB101PN004は、MM.1R(697.67±223.55pg/ml/106細胞)に対してIgG対照群(308.00±80.54pg/ml/106細胞)と比較して、TNF-αをより多く分泌した。
【0602】
供与体20AB101PG005は、IgG1対照群と比較して、ダラツムマブの存在下で検査したすべての腫瘍細胞株に対してIFNγを実質的により高い量で分泌した。20AB101PG005も、IgG1対照群と比較して、ダラツムマブの存在下でDaudi(2002.67±645.34pg/ml/106細胞)、RPMI8226(1791.67±586.29pg/ml/106細胞)およびNCI-H929(1752.67±639.66pg/ml/106細胞)に対してTNF-αをより多く分泌した。
【0603】
K562は、ダラツムマブとは関係なく供与体3種ともにおいてIFNγおよびTNFαをより高いレベルで分泌させた。
【0604】
考察および結び
本発明で発表されたデータは、AB-101細胞がダラツムマブと組み合わせた場合、ADCCを介して多発性骨髄腫細胞株を細胞溶解できることを立証する。抗-腫瘍機能は、AB-101とIgG1対照群との組み合わせよりも著しく優れていた。AB-101細胞はまた、前-炎症性/免疫調節性サイトカインIFNγおよびTNFαをより高いレベルで分泌することにより、ダラツムマブ媒介活性化に反応した。
【0605】
AB-101 GMP lot細胞は、CD16受容体発現率%が高く(21AB101PG004=86.3%および20AB101PG005=93.1%)、CD38発現に対しては天然的に陰性であり、細胞の一部(<23%)はCD38lowであった。本実験で検査したAB-101供与体3種は、ダラツムマブによって誘導されるフラトリサイドに鈍感であった。総合的に、これらのデータは、AB-101細胞が多発性骨髄腫適応症に対する臨床環境でダラツムマブと効果的に併用できるという仮説を裏付ける。
【0606】
【0607】
【0608】
【0609】
その他の実施形態
本発明が詳細な説明とともに記述されたが、上述した説明は例示のためのものに過ぎず、添付した特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではないことが理解されなければならない。他の側面、利点および修正も添付した特許請求の範囲に属する。
【配列表】
【国際調査報告】