(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】外科用吸引通気システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61M1/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562539
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022059469
(87)【国際公開番号】W WO2022218866
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ニコル グリューン
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング ホーマ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ラング
(72)【発明者】
【氏名】イザベル アー.ビリム
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077AA30
4C077BB02
4C077DD11
4C077DD12
4C077EE04
4C077LL02
4C077LL15
4C077PP08
4C077PP15
(57)【要約】
吸引キャニスタ又は吸引バッグとともに使用するためのフィルタシステムが開示されており、このフィルタシステムは、高い空気流及び液体保持性を維持しながら、粒子、煙エアロゾル、液体、エアロゾル化ウイルス及びエアロゾル化細菌を保持するための第一のフィルタ及び第二のフィルタを含む。第一のフィルタ及び第二のフィルタはそれぞれ、性能のために多層化されている。様々な例において、第一のフィルタ及び第二のフィルタは、吸引キャニスタ蓋の真空ポートと直接統合されるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ開口部と、前記チャンバ開口部の反対側のベース上に配置された出口ポートとを含む内部チャンバを画定するハウジング、
前記ハウジングに結合された第一の支持部材、
前記ハウジングの前記チャンバ開口部の上に配置された第一のフィルタ、及び、
前記第一の支持グリッドと前記第一のフィルタとの間に配置された第二のフィルタ、ここで、液体リザーバは前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとによって画定される、
を含む、フィルタシステム。
【請求項2】
前記第二のフィルタは、55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、そして9.3cm
2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流量を維持する、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項3】
前記液体リザーバは厚さが0.04ミリメートル~2ミリメートルである、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項4】
前記液体リザーバは厚さが2ミリメートル~15ミリメートルである、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項5】
前記液体リザーバは厚さが15ミリメートル~80ミリメートルである、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項6】
前記第一のフィルタは約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項7】
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタの第三の層を含む、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項8】
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとが互いに離隔するように前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとの間に配置された第二の支持部材を含む、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項9】
前記第一の支持部材に結合され、前記第一の支持部材から前記ハウジングとは反対方向に延在するスプラッシュガードをさらに含み、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項10】
前記スプラッシュガードは円錐形状を有し、前記スプラッシュガードの出口は前記スプラッシュガードの入口よりも広い、請求項9に記載のフィルタシステム。
【請求項11】
ポートを画定する蓋、及び、
前記ポートに統合されたフィルタシステム、ここで、前記フィルタシステムは、
約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する第一のフィルタ、ここで、前記第一のフィルタは第一の層及び第二の層を含み、前記第一の層は前記第二の層とは異なる材料を含む、及び、
55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、9.3cm
2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持する、第二のフィルタ、を含む、
を含む、フィルタリングアセンブリ。
【請求項12】
前記キャニスタポートは、前記フィルタシステムを通る空気流を維持するように構成された真空に連通可能に結合されている、請求項11に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項13】
前記吸引キャニスタは、柔軟側面を有する容器を含む、請求項11に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項14】
前記吸引キャニスタは剛性容器を含む、請求項11に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項15】
前記フィルタシステムは超音波溶接によって前記ポートに統合されている、請求項11に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項16】
前記フィルタシステムが前記ポートを覆うように、前記フィルタシステムは前記蓋に熱溶接される、請求項11に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項17】
前記第二のフィルタは疎水性である、請求項11記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項18】
前記第一のフィルタは、直径6ミクロン未満のポリマーフィラメントを含む第二の層を含む、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項19】
前記第一のフィルタは熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項20】
前記第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー又は非熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項21】
前記第一のフィルタは疎油性の第一の層を含む、請求項11記載のフィルタシステム。
【請求項22】
前記第一のフィルタは、0.5m
2/gより大きく、2m
2/g未満の比表面積を規定する、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項23】
前記第二のフィルタは熱可塑性テキスタイル層を含む、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項24】
ベースと、前記ベースの第一の側から延在して出口を画定するポートと、前記ベースの第二の側から延在する第一の壁と、前記ベースの前記第二の側から延在する第二の壁とを含むハウジング、ここで、前記第一の壁及び前記第二の壁は溝を画定する;
上部側壁を含む第一の支持部材であって、前記支持部材を前記ハウジングに結合するために前記ハウジングの前記溝内に受け入れられるように構成された第一の支持部材;
前記第一の支持部材に結合されたスプラッシュガード、ここで、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する;
前記スプラッシュガードの出口に配置された第一のフィルタ;
前記第一のフィルタと前記第一の支持部材との間に配置された第二の支持部材、;及び、
前記第一の支持部材と前記第二の支持部材との間に配置された第二のフィルタ;
を含む、フィルタシステム。
【請求項25】
前記ハウジングの前記ポートは、吸引キャニスタの真空ポートに結合されるように構成されている、請求項25に記載のフィルタシステム。
【請求項26】
前記スプラッシュガードは円錐形状を有し、前記スプラッシュガードの出口は前記スプラッシュガードの入口よりも広い、請求項25に記載のフィルタシステム。
【請求項27】
前記第一のフィルタは複数の層を含み、第一の層は第二の層とは異なる構造を含む、請求項25に記載のフィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、医療機器に使用されるフィルタシステムなどのフィルタシステムに関する。 具体的には、様々な例が医療用吸引キャニスタ用のフィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
外科手術を含む医療処置中に、吸引キャニスタシステムは、血液及び他の体液、及び、生理食塩水又はリンゲル液などのすすぎ液を含む流体を収集するために使用される。このような流体は医療処置中に体内に蓄積する可能性があり、処置後に除去され、封じ込められ、そして廃棄されなければならない。従来のキャニスタシステムは、カバー又は蓋によって閉じられた筒形キャニスタを含むことができる。筒形キャニスタはライナーを含むことができ、又はキャニスタはカバー又は蓋を有する柔軟側面容器又はバッグであることができる。蓋は、キャニスタを真空に動作可能に結合してキャニスタ内に大気圧を下回る圧力を作り出すための真空ポートを含む。収集管はまた、蓋の患者ポートに結合されることができ、吸引を生み出すために収集管の蓋端に真空が形成される。幅広のライザー部分を有する出口又は「オルト」ポート、キャップ付きの大きなアクセスポート、又は真空への流体の吸引を防止するように構成されたフロートバルブを含む、様々な取り付け又は接続要素もキャニスタシステムに含まれることができる。
【0003】
しばしば、キャニスタに動作可能に結合された真空は、対応する施設の幾つかのエリアに共通の真空システムの一部である。したがって、システムの残りの部分の汚染を避けるために、真空システムへの異物、粒子、エアロゾル、手術煙、バクテリア、ウイルス及び流体の侵入を最小限に抑えることが重要である。流体収集システムにおいて、流体及び/又は前記流体中の材料は真空システムの影響下で蒸発し、空気中に浮遊する可能性がある。汚染を軽減するために、キャニスタシステムの真空ポートにフィルタ要素が使用されることがあり、これはまとめてエアロゾルトラップとして知られている。エアロゾルトラップは、従来、真空ポートのキャニスタ側に組み立てられているが、そのすべてはフィルタアセンブリの構成要素を個別に取り扱う必要がある。従来のキャニスタは、上述の汚染物質を効果的にろ過するように構成されていない。代わりに、このようなろ過は、キャニスタと真空ポンプの間に接続された追加付属品を使用して試みられる。これらの追加付属品は、取得され、保管され、選択され、組み立てられ、使用されそして廃棄されなければならない。真空システムの汚染を防ぐ適切なろ過レベルに達するために、キャニスタ内でフィルタアセンブリを適切に組み立てるのに詳細なレベルが要求されるために、組み立てプロセス及び分解プロセスは時間及び労力がかかる。
【発明の概要】
【0004】
要旨
本開示の第一の態様において、フィルタシステムが開示される。フィルタシステムは、チャンバ開口部と前記チャンバ開口部の反対側のベース上に配置された出口ポートとを含む内部チャンバを画定する、ハウジング;前記ハウジングに結合された第一の支持部材;前記ハウジングの前記チャンバ開口部の上に配置された第一のフィルタ;及び、第一の支持グリッドと第一のフィルタとの間に配置された第二のフィルタを含み、液体リザーバは前記第一のフィルタと前記第二のフィルタによって画定される。
【0005】
本開示の第二の態様において、フィルタリングアセンブリが開示される。フィルタリングアセンブリは、ポートを画定する蓋と、前記ポートに統合されたフィルタシステムとを含む。フィルタシステムは、約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する第一のフィルタと、55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、9.3cm2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持する第二のフィルタとを含む。第一のフィルタは第一の層と第二の層を含み、前記第一の層は前記第二の層とは異なる材料を含む。
【0006】
本開示の第三の態様において、フィルタシステムが開示される。フィルタシステムはハウジングを含む。前記ハウジングは、ベースと、該ベースの第一の側から延在する出口を画定するポートと、前記ベースの第二の側から延在する第一の壁と、該ベースの第二の側から延在する第二の壁とを含み、前記第一の壁及び前記第二の壁は溝を画定する。フィルタシステムは、上部側壁を含む第一の支持部材であって、ハウジングの溝内に受容されて支持部材をハウジングに結合するように構成された第一の支持部材;入口及び出口を画定し、前記第一の支持部材に結合されたスプラッシュガード;前記スプラッシュガードの出口に配置された第一のフィルタ;前記第一のフィルタと前記第一の支持部材との間に配置された第二の支持部材;及び前記第一の支持部材と前記第二の支持部材との間に配置された第二のフィルタを含む。
【0007】
本開示の様々な態様において、第二のフィルタは、55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体流入圧力を有し、9.3cm2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持する。本開示の様々な態様において、液体リザーバは0.04ミリメートル~2ミリメートルの厚さを有する。本開示の様々な態様において、液体リザーバは2ミリメートル~15ミリメートルの厚さを有する。本開示の様々な態様において、液体リザーバは15ミリメートル~80ミリメートルの厚さを有する。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは、約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する。本開示の様々な態様において、液体リザーバは、第一のフィルタの第三の層を含む。本開示の様々な態様において、液体リザーバは、第一のフィルタと第二のフィルタとが互いに離間するように第一のフィルタと第二のフィルタとの間に位置する第二の支持部材を含む。本開示の様々な態様において、フィルタアセンブリは、第一の支持部材に結合され、該第一の支持部材からハウジングとは反対の方向に延在するスプラッシュガードを含み、該スプラッシュガードは入口及び出口を画定する。本開示の様々な態様において、スプラッシュガードは円錐形状を有し、スプラッシュガードの出口はスプラッシュガードの入口よりも広い。
【0008】
本開示の様々な態様において、キャニスタポートは、フィルタシステムを通る空気流を維持するように構成された真空に連通可能に結合されている。本開示の様々な態様において、吸引キャニスタは、柔軟側面を有する容器を含む。本開示の様々な態様において、吸引キャニスタは剛性容器を含む。本開示の様々な態様において、フィルタシステムは超音波溶接によってポートに統合される。本開示の様々な態様において、フィルタシステムがポートを覆うようにフィルタシステムは蓋に熱溶接される。本開示の様々な態様において、第二のフィルタは疎水性である。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは、直径6ミクロン未満のポリマーフィラメントを含む第二の層を含む。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは、熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー又は非熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは疎油性の第一の層を含む。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは、0.5m2/gより大きく、2m2/g未満の比表面積を画定する。本開示の様々な態様において、第二のフィルタは熱可塑性テキスタイル層を含む。
【0009】
本開示の様々な態様において、ハウジングのポートは、吸引キャニスタの真空ポートに結合されるように構成されている。本開示の様々な態様において、スプラッシュガードは円錐形状を有し、スプラッシュガードの出口はスプラッシュガードの入口よりも広い。本開示の様々な態様において、第一のフィルタは複数の層を含み、第一の層は第二の層とは異なる構造を含む。
【0010】
上述の実施形態は、まさに実施形態であり、本開示によって提供される発明概念の範囲を限定したり又はさもなければ狭めたりするために解釈されるべきではない。複数の実施形態が開示されるが、さらに他の実施形態は、例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0012】
【
図1】
図1は、少なくとも1つの実施形態による、膜及び膜支持体を含む第一のフィルタ及び第二のフィルタを含むフィルタシステムの1つの実施形態の分解図を示す。
【0013】
【
図2】
図2は、少なくとも1つの実施形態による、膜及び膜支持体を含む
図1の第二のフィルタの断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0014】
【
図3】
図3は、第一のフィルタの第一の層、第二の層、及び第三の層を含み、各層は少なくとも1つの実施形態による厚さを画定する、
図1の第一のフィルタの断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0015】
【
図4A】
図4Aは、吸引キャニスタの蓋の一例に溶接された、
図1のフィルタシステムの上面図である。
【0016】
【
図4B】
図4Bは、少なくとも1つの実施形態による、吸引キャニスタの代表的な蓋に溶接された、
図1のフィルタシステムの斜視図である。
【0017】
【
図5A】
図5Aは、少なくとも1つの実施形態による、ハウジング及びスプラッシュガードを含むフィルタシステムの上面斜視図である。
【0018】
【
図5B】
図5Bは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの底面斜視図である。
【0019】
【
図5C】
図5Cは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの断面図である。
【0020】
【
図5D】
図5Dは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの分解断面図である。
【0021】
【
図5E】
図5Eは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの第一の支持部材の上面図である。
【0022】
【
図5F】
図5Fは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの第二の支持部材を示す、
図5Aのフィルタシステムの底面断面図である。
【0023】
【
図5G】
図5Gは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの第二の支持部材の第二の実施形態の上面図である。
【0024】
【
図5H】
図5Hは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの第二の支持部材の第三の実施形態の上面図である。
【0025】
【
図6A】
図6Aは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの変形実施形態の断面図である。
【0026】
【
図6B】
図6Bは、少なくとも1つの実施形態による、
図5Aのフィルタシステムの第二の変形実施形態の断面図である。
【0027】
【
図7】
図7は、少なくとも1つの実施形態による、吸引キャニスタの蓋を含む、
図5Aのフィルタシステムの結合の概略図である。
【0028】
【
図8】
図8は、少なくとも1つの実施形態による、フィルタシステムの煙粒子保持を試験するための試験設備の概略図である。
【0029】
【
図9】
図9は、少なくとも1つの実施形態による、本明細書に記載のとおりの第一のフィルタを含むフィルタシステムの煙保持能力を、第一のフィルタを含まないフィルタシステムと比較して、一定の煙に曝露した状態での経時的な標準化空気流のパーセンテージによって測定したグラフ図である。
【0030】
【
図10A】
図10Aは、少なくとも1つの実施形態による、代表的な吸引キャニスタの蓋に結合された、
図1のフィルタシステムの概略図である。
【0031】
【
図10B】
図10Bは、少なくとも1つの実施形態による、吸引キャニスタが脱イオン水で満たされている、
図10Aの吸引キャニスタ及びフィルタシステムの写真である。
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0034】
定義と用語
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値、及び記載された測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差又は性能を最適化するために行われた微調整などが原因であることができる。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0035】
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。言い換えれば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0036】
開示された実施形態の説明
図1は、手術を含む医療処置環境における排泄物などの汚染物質をろ過するための層状フィルタシステム100を示す。層状フィルタシステム100は、第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104であり、第二のフィルタ104は、膜106及び膜支持体108を含むことができる。第二のフィルタ104の膜106は、本明細書でさらに説明するように、体液、すすぎ流体、エアロゾル化された又は他の方法で流体に含まれる細菌及びウイルスに対するバリアを提供するように構成されている。膜支持体108は、第二のフィルタ104に強度及び支持を提供し、層状フィルタシステム100とキャニスタとの容易な統合を提供するために、溶接可能な材料、例えば、ポリエステル不織布材料又は熱可塑性プラスチックであることができる。幾つかの実施形態において、層状フィルタシステム100は、吸引キャニスタ蓋と統合又は結合されうる。
【0037】
膜106は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン、二フッ化ポリビニリデン、ポリエーテルスルホン又はエレクトロスピニングされたポリマー材料から形成されうる。膜106を形成する材料は、高い空気流を可能にし、液体バリア特性をもたらす疎水性及び/又は疎油性特性を有する。膜106は、16psiの水侵入圧力(WEP)以下の最大動作圧力において液体の通過に対して不透過性又は相対的に不透過性であることができるが、ガス及び/又は蒸気の通過に対しては高度に透過性を維持することができる。膜106は、約40ミクロン~約150ミクロンの厚さを画定することができ、その厚さは、約40ミクロン~約55ミクロン、約55ミクロン~約70ミクロン、約70ミクロン~約90ミクロン、約90ミクロン~約120ミクロン、又は約120ミクロン~約150ミクロンであることができる。
【0038】
膜支持体108は、テキスタイル層を含み、例えば熱可塑性テキスタイル(例えば、不織布ポリエステル)から形成され、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルもしくはポリエチレンテレフタレートから形成されうる。膜支持体108は、約60ミクロン~約600ミクロンの厚さを画定することができ、その厚さは、約60ミクロン~約110ミクロン、約110ミクロン~約150ミクロン、150ミクロン~約190ミクロン、約190ミクロン~約230ミクロン、約230ミクロン~約280ミクロン、約280ミクロン~約330ミクロン、約330ミクロン~約400ミクロン、約400ミクロン~約500ミクロン、又は約500ミクロン~約600ミクロンであることができる。
【0039】
第二のフィルタ104は、約100ミクロン~約750ミクロンの総厚を画定することができ、第二のフィルタは厚さが、約100ミクロン~約200ミクロン、約200ミクロン~約300ミクロン、約400ミクロン~約500ミクロン、約500ミクロン~約600ミクロン、又は約600ミクロン~約750ミクロンであることができる。様々な実施形態において、第二のフィルタ104は、55.5mN/mの表面張力で少なくとも10分間75kPa以上の液体流入圧力を維持し、9.3cm2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持するように構成される。
【0040】
1つの実施形態において、第二のフィルタは、高い液体保持力(すなわち、少なくとも8psiのバブルポイント)を保持し、細菌ろ過効率(BFE)及びウイルスろ過効率(VFE)の増加を示し、例えば、電気外科的処置の間に、1時間の連続煙にわたって約12リットル/分~約8リットル/分の空気流を維持する。幾つかの実施形態において、バブルポイントは、少なくとも7.5psi、少なくとも8psi、少なくとも8.5psi、又は7psi~8.5psi、8~9.5psi、又は8.5~10psiであることができる。
【0041】
図3は、第一のフィルタ102の断面の顕微鏡図である。様々な実施形態において、第一のフィルタ102は、約0.5m
2/g~約2m
2/gの比表面積を画定し、3つの層を含む。第一のフィルタ102の第一の層110は、約40ミクロン~約200ミクロンの厚さを画定し、第一の層は、約40ミクロン~約55ミクロン、約55ミクロン~約70ミクロン、約70ミクロン~約100ミクロン、約100ミクロン~約150ミクロン、又は約150ミクロン~約200ミクロンの厚さを有することができる。第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートポリアミドコポリマー、ポリブチレンテレフタレート又はそれらの組み合わせのフィラメントから形成されうる。各フィラメントは直径が約10ミクロン~約30ミクロンである。第一の層110は疎油性の特性を有することができる。
【0042】
第二の層112は、約140ミクロン~約1600ミクロンの厚さを画定し、第二の層は、約140ミクロン~約640ミクロン、約640ミクロン~約1140ミクロン、1140ミクロン~約1390ミクロン、又は約1390ミクロン~約1600ミクロンの厚さを有することができる。第二の層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ガラス、熱可塑性ポリマー又は非熱可塑性ポリマーから形成された複数のフィラメントを含む。各フィラメントは約0.8ミクロン~約8ミクロンの直径を有し、各フィラメントは約0.8ミクロン~約2ミクロン、約2ミクロン~約4ミクロン、又は約4ミクロン~約6ミクロンの直径を有することができる。
【0043】
第三の層114は、第一の層110と同様に、約40ミクロン~約200ミクロンの厚さを画定し、第一の層は厚さが約40ミクロン~約55ミクロン、約55ミクロン~約70ミクロン、約70ミクロン~約100ミクロン、約100ミクロン~約150ミクロン、又は約150ミクロン~約200ミクロンであることができる。第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートポリアミドコポリマー、ポリブチレンテレフタレート又はそれらの組み合わせのフィラメントから形成されうる。各フィラメントの直径は約10ミクロン~約30ミクロンである。
【0044】
上述の第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104を含む層状フィルタシステム100は、
図4A及び4Bに示されるように、溶接によって従来の吸引キャニスタ蓋118の真空ポート116に統合されうる。この統合方法は、2段階の統合を含むことができ、第二のフィルタ104(
図1)は、1つの工程でキャニスタ蓋118の真空ポート116を覆うようにキャニスタ蓋118に熱溶接され、第一のフィルタ102は、別の工程でキャニスタ蓋118及び第二のフィルタ104に熱溶接される。他の実施形態において、第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104は、第二のフィルタ104がキャニスタ蓋118の最も近くに配置されるように、それぞれ、単一工程でキャニスタ蓋118に溶接されうる。したがって、各実施形態において、真空ポート116に吸引が適用されると、ろ過される媒体はいずれも、最初に第一のフィルタ102を通過し、次に、第二のフィルタ104を通過して真空ポート116から出る。幾つかの実施形態において、層状フィルタシステム100は、超音波溶接又は熱溶接によって真空ポート116と統合されうる。吸引キャニスタ蓋118は、柔軟性側面容器もしくはライナー(
図10A~10C)、カップ、剛性容器もしくは他の比較的弾性のある壁の容器、又はカップとライナーの両方を含む代表的な吸引キャニスタに対応しうる。
【0045】
図5A~5Fは、フィルタシステム200の別の実施形態を示す。フィルタシステム200は、ポート出口204を画定するハウジング202、第一の支持部材236、第二の支持部材270及びスプラッシュガード210を含む。ハウジング202は、ポート出口204を画定する上部212を含む。ポート出口204は、本明細書でさらに説明するように、上部212の上面216からスプラッシュガード210の反対方向に延在するポート側壁214によってさらに画定されうる。ハウジング側壁218は、上部212の底面220からポート側壁214とは反対の方向に延在する。ハウジング側壁218は、上部212がハウジング側壁218から外側に延在するフランジ222を画定するように、上部212に対して配置されうる。あるいは、ハウジング側壁218は、上部212の外周224と同一平面になるように配置されてもよいし、あるいはハウジング側壁218に対してより大きい又はより小さいフランジ222を形成するように配置されてもよい。
【0046】
図5C及び5Dは、フィルタシステム200の様々な構成要素を縦断面で示す。
図5C及び5Dに示されるように、ハウジング202は、ハウジング側壁218とほぼ同心に配置された内壁226を含むことができる。内壁226及びハウジング側壁218の内面228は、本明細書でさらに説明するように、協働してフィルタシステム200の組み立てのための結合ギャップ230を画定する。側壁段差232は、ハウジング側壁218の内面228の上部に配置されることができ、1つ以上の内壁段差234は、ハウジング202の内壁226の上部の片側又は両側に配置されうる。
【0047】
第一の支持グリッド又は第一の支持部材236は、本明細書でさらに説明されるように、結合ギャップ230を介してハウジング202に結合される。第一の支持部材236は、上部側壁238及び下部側壁240を含み、それぞれがフィルタシステム200の組み立てを容易にするために形成されている。上部側壁238は、ハウジング202によって形成される結合ギャップ230と実質的に一致する形状で形成される。幾つかの実施形態において、上部側壁238の厚さは、結合ギャップ230の一般的な厚さと一致する。上部側壁238はまた、側壁段差232及び内壁段差234の少なくとも1つとの止まり嵌め又は締まり嵌めを容易にするためのレッジ242を含むことができる。
図5C及び5Dに示されるように、上部側壁238は、側壁段差232及び内壁段差234の両方に対応するレッジを含まなくてもよい。他の実施形態において、上部側壁238はレッジ242を含まなくてもよい。さらに他の実施形態において、第一の支持部材236は、溶接又はねじ切りによってハウジング202に結合することができる。第一の支持部材236がねじ切り又は締まり嵌めによってハウジング202に結合される実施形態において、ゴムシール又はOリングなどの可撓性シールを第一の支持部材236とハウジング202の間に配置して、流体密シールを容易にすることができ、ここで、液体及び/又は気体は第一の支持部材236とハウジング202との間を通過できない。
【0048】
図示されるように、上部側壁238の外面252は、第一の支持部材236がハウジング202に結合されたときに、外面252がハウジング側壁218の内面228に接触するようなサイズの外径250を画定する。上部側壁238の内面254は内径256及び内周257を画定し、第一の支持部材236のグリッド部分259は内周257によって画定される領域にまたがる。
図5C~5Eに示されるように、グリッド部分259は、第一の支持部材236の中心付近で直交する第一のアーム260及び第二のアーム261を含む。他の実施形態において、グリッド部分259は、市松模様、スポークパターン、Y-形状、内周257によって画定される領域にわたる別の配置又はパターンを形成するために、より多くのアームを含むことができる。さらに他の実施形態において、グリッド部分259は、内周257によって画定される領域にわたる単一のアームのみを含むことができる。グリッド部分259のアーム260、261は、第一の支持部材236の内周257によって画定される領域内に複数の開口部255を画定する。複数の開口部255は、第一の支持部材236の内周257によって画定される領域の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%を構成する。
【0049】
図5Dにより明確に示されるように、ハウジング溝244は、第一の支持部材236の下側壁240の外面246上に画定される。溝244は、ハウジング側壁218の内面228の下部に位置する隆起部248に対応する。結合されると、ハウジング202の隆起部248は、第一の支持部材236の溝244内に受け入れられる。リム258は、下部側壁240の外面246から下部側壁240の下端に沿って延在している。結合されると、リム258は、ハウジング側壁218の底端262に接触して、フィルタシステム200にさらなる支持を提供する。
【0050】
本明細書でさらに説明するように、フィルタシステム200の残りの部分の組み立てを容易にするために、下部側壁240の内面266に第二の溝264は画定される。下部側壁240の内面266は、本明細書でさらに説明されるように、フィルタシステム200の追加の構成要素を受け入れるための下部直径268を画定する。
図5Cに示されるように、下部直径268は内径256よりも大きくてよい。他の実施形態において、本明細書でさらに説明される残りの構成要素が下部側壁240によって適切に受け入れられる限り、下部直径268は、内径256より小さいか、又は実質的に同じであることができる。
【0051】
第二のフィルタ104は、第一の支持部材236の下部側壁240内のグリッド部分259の下に配置されている。図示されているように、第二のフィルタ104は、下部側壁240の内面266に密に適合するような形状及びサイズになっており、下部側壁240の内面266と接触することができる。したがって、第二のフィルタ104は、上部側壁238の内径256より大きいか、又は少なくとも実質的に同じサイズであることができる。好ましくは、第二のフィルタ104は、第二のフィルタ104を通る空気流が、第一の支持部材236のグリッド部分259によって大きく阻害されることのないように、第一の支持部材236のグリッド部分259によって画定される第一の支持部材236の開口部を覆う。フィルタシステム200に挿入された第二のフィルタ104は膜支持体108(
図1)を含まなくてもよい。
【0052】
さらに
図5Fを参照すると、第二の支持グリッド又は支持部材270は第二のフィルタ104の下に挿入される。第二の支持部材270は、第二の支持部材270の外周275及び内周277を画定する境界271を含み、第二の支持部材270は第二の支持部材270の内周277により画定される領域をまたがる第二のグリッド部分273をさらに含む。第二のグリッド部分273は、第二の支持部材270の中心付近で直交する第一のアーム279と第二のアーム281とを含む。他の実施形態において、第二のグリッド部分273は、より多くのアームを含み、
図5Gに示されるような市松模様(これは、上述の第一の支持部材236にも適用することができる)、スポークパターン又は、第二の支持部材270の内周277によって画定される領域をまたがる別の配置又はパターンを形成することができる。さらに他の実施形態において、第二のグリッド部分273は内周277によって画定される領域にまたがる単一のアームのみを含むことができる。第二のグリッド部分273のアーム279、281は、第二の支持部材270の内周277によって画定される領域内に複数の開口部272を画定する。複数の開口部は、内周277によって画定される領域の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%を構成することができる。
図6Aに示され、本明細書でさらに説明されるとおりの実施形態などのさらに他の実施形態において、第一のフィルタ102の第三の層114は、本明細書で記載されそして
図5Hに示すような第二の支持部材270によって提供される機能を提供することができる。
【0053】
再び
図5C及び5D参照すると、第二の支持部材270は、下部側壁240の内面266に密に適合するような形状及びサイズであり、第二のフィルタ104が第二の支持部材270を実質的に覆い、そして第二の支持部材270によって画定される開口部272を少なくとも覆うような形状及びサイズに第二のフィルタ104と同様にすることができる。第一のフィルタ102は、第二の支持部材270の下に配置されている。図示されているように、第一のフィルタ102は、第一のフィルタ102が第二の支持部材270によって画定された開口部272を覆うように、第二の支持部材より若干小さいか、又は実質的に同じサイズであることができる。
【0054】
第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104は、第二の支持部材270によって分離されている。言い換えれば、第二の支持部材270の厚さは、第二のフィルタ104及び第一のフィルタ102が互いに接触しないように、第二のフィルタ104と第一のフィルタ102との間に距離を提供する。第二の支持部材270によって画定される開口部272は、第一のフィルタ102を通過する可能性のあるあらゆる液体を捕捉し、第二のフィルタ104の飽和及び真空システムへの液体の漏れを軽減するために前記液体を保持するための液体リザーバを形成する。上述したように、第二のフィルタ104は、第二のフィルタ104内への又は第二のフィルタ104を通る液体の通過を妨げるために、疎水性及び/又は疎油性の材料、コーティング又は表面処理から形成される。
【0055】
スプラッシュガード210は、スプラッシュガード210を第一の支持グリッド236に結合するために、第二の溝264内に受容されるように構成された上部リム274を含む。スプラッシュガード210は、第一のフィルタ102がスプラッシュガードの上部リム274によって画定されるベース開口部276を覆うように第一のフィルタ102を支持し、そして第一のフィルタ102は、スプラッシュガード210と第二の支持グリッド270との間に効果的に挟まれる。上述したように、第一のフィルタ102は、第二の支持部材270及び第二のフィルタ104を支持する。言い換えると、スプラッシュガード210は、第一の支持部材236と協働して、第一のフィルタ102、第二の支持部材270及びそれらの間の第二のフィルタ104を挟み込み、第一のフィルタ102、第二の支持部材270及び第二のフィルタ104をフィルタシステム200内の所定の位置に保持する。
【0056】
図示のように、スプラッシュガード210は、フィルタシステム200の内部を吸引キャニスタ内の液体から保護するように構成された円錐台形状又は他の形状を有することができる。換言すれば、スプラッシュガード210は、フィルタシステム200を通る大量の空気流を促進し続けながら、フィルタシステム200への不要な材料の侵入を軽減するような形状にすることができる。フィルタシステム開口部278は、スプラッシュガードの頂点に配置され、それにより、上述のように真空を介してフィルタシステム200に引き込まれる空気及び材料の侵入を可能にする。
図5A及び5Bに示されるように、フィルタシステム200の外側でアクセス可能な唯一の構成要素は、ハウジング202、第一の支持部材236のリム258及びスプラッシュガード210を含む。フィルタシステム200は、フィルタシステム200が、本明細書でさらに説明されるように統合される真空ポートに対応してほぼ円形である。他の実施形態において、フィルタシステム200は、真空ポートと統合するために必要に応じて、楕円形、正方形、長方形又は他の形状を含む他の形状であってもよい。
【0057】
ここで
図6A及び6Bを参照すると、フィルタシステムの追加の任意選択の実施形態が示されている。幾つかの実施形態において、
図6Aに示されるように、フィルタシステム300は第二の支持部材270を含まなくてもよい。そのような実施形態において、第二のフィルタ104及び第一のフィルタ102は、一緒に直接積み重ねられ、スプラッシュガード210と第一の支持部材336との間に挟まれることができる。上述したとおりの第一のフィルタ102の第三の層は、フィルタシステムが第二の支持部材270を含まないときに、液体リザーバを形成する際に、第二の支持部材270に対して同様の間隔又はギャップ機能を果たすことができる。第三の層、又はさもなければ第二の支持部材270によって形成されるかどうかに関係なく、フィルタシステムの様々な実施形態において、液体リザーバは、例えば、0.04mm~80mmの厚さを有することができるが、様々な寸法が考えられる。
【0058】
幾つかの実施形態において、第二の支持部材270の厚さは変化することができる(例えば、変化する厚さを有するリザーバを作成する)。フィルタシステム400などの幾つかの実施形態において、第二の支持部材270は、
図5Dに示される第二の支持部材270と比較してはるかに大きな厚さを画定する第二の支持部材470に置き換えられる。第二の支持部材470は、比較的厚いリザーバを形成する。図示されるように、
図6A及び6Bの変更例において、第一の支持部材436の下部側壁440の厚さは、第二の支持部材470の厚さに直接対応しており、その結果、第一のフィルタ102、第二のフィルタ104及び第二の支持部材470が第一の支持部材436とスプラッシュガード210との間にぴったりと挟まれることができる。
【0059】
さらに、
図5C、6A及び6Bを比較すると、上述したように、第一の支持部材236の構造は、システムの構成要素の変動及び含まれる構成要素のサイズの変動に適応するように変更することができる。幾つかの実施形態において、第一の支持部材236をハウジング202に結合するための上述の結合機構は、記載のフィルタシステム200、300及び400の間でほぼ一貫しているが、第一の支持部材236の結合構造は、記載の変化に適応するように変更されうる。幾つかの実施形態において、
図5C~5Dに示されるような第一の支持部材236の結合構造は、上述のようにハウジング202によって画定される結合ギャップ230に対応する単一の上部側壁238を含む。
【0060】
図6Aに示されるように、第一の支持部材336は、ハウジング202の内壁226に接触するように構成された内壁382と、ハウジング202の隆起部248と係合するように構成されたリップ386を有する外壁384とからなる上部側壁338を含むことができる。上部側壁338の内壁382と外壁384は、ハウジング202によって画定された結合ギャップ230を埋めるように離間されている。第一の支持部材336は、第一の支持部材236に関連して上述したように下部側壁340をさらに含むが;下部側壁340の外面346からリム358が延在する代わりに、リム358は、上部側壁338と下部側壁340との中間の位置で第一の支持部材336から外方に延在し、その結果、下部側壁340はハウジング202の外部でリム358の下に延在する。下部側壁340の残りの構造は、特にスプラッシュガード210との結合機構を考慮すると、フィルタシステム200に関連して説明した第一の支持部材236と一貫する。
【0061】
次に、
図6Bに示すとおりの第一の支持部材436を参照すると、上部側壁438は逆L字形を有し、長手方向部分488は、ハウジング側壁218の内面228と接触して結合ギャップ230内に延在し、長手方向部分488は、第一の支持部材236との関係で上述したように、ハウジング202の隆起部248と係合する溝490を画定する。横方向部分492は、長手方向部分488から内向きに延在し、ハウジング202の内壁226の下に適合する一方、第二の支持部材470、第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104のスプラッシュガード210との挟み込みを容易にする。延在部494は、横方向部分492から上方に延在して内壁226に接触し、その結果、上部側壁438は延在部494及び上部側壁438の長手方向部分488の組み合わせを介して結合ギャップ230にまたがる。
【0062】
フィルタシステム300の第一の支持部材336と同様に、フィルタシステム400において、第一の支持部材436は、第一の支持部材236と同様の下部側壁340をさらに含む。しかしながら、下部側壁440の外面446からリム458が延在する代わりに、リム458は、上部側壁438と下部側壁440との中間の位置で第一の支持部材436から外向きに延在し、その結果、下部側壁440はハウジング202の外部でリム458の下に延在する。下部側壁440の残りの構造は、少なくともスプラッシュガード210との結合機構に関して、フィルタシステム200に関連する第一の支持部材236と一貫している。
【0063】
フィルタシステムがそれぞれの状況に応じた様々なニーズ又は目標を満たすように構成されるように、フィルタシステムが存在する環境、及び利用される真空システム及び/又は吸引キャニスタに応じて、本明細書で記載される以外の他の変更がフィルタシステム200に対して行われてよい。特に、第二の支持部材270の厚さは、上述したように変化しうる。さらに、スプラッシュガードはフィルタシステムに含まれても又は含まれなくてもよい。設計構成要素の変更に加えて、組み立て方法も変更されうる。幾つかの実施形態において、フィルタシステムの構成要素は、射出成形、付加製造又は他の既知の製造方法によって製造されうる。
【0064】
図7はキャニスタ蓋500を示す。キャニスタ蓋500は、キャニスタ蓋及び吸引キャニスタの幾つかの変形例を包含しうる一般的なキャニスタ蓋を表す。キャニスタ蓋500は、医療用チューブ(図示せず)を介して蓋500を患者に流体的に結合するように構成された患者ポート502を含む。キャニスタ蓋500はさらに、上述したように蓋500を真空システムに流体的に結合するように構成された真空ポート504を含む。
図7に示されるように、フィルタシステム200のポート側壁214は、動作時にポート出口204が真空ポート504及び真空システムと流体連通するように、真空ポート504によって受け入れられるように構成されている。ポート側壁214は、例示的には、真空ポート504と同様の形状及びサイズを画定し、それによって、ポート側壁214は真空ポート504内に締まり嵌め又はさもなければ止まり嵌めを形成し、その結果、真空システムによって生成された空気流は蓋500から出て真空システムに入る前にフィルタシステム200を通過しなければならない。
【実施例】
【0065】
試験方法
バブルポイント圧力
バブルポイント圧力は、キャピラリーフローポロメーター(フロリダ州ボイントンビーチのQuantachrome Instrumentsのモデル3Gzh)を使用して、ASTM F31 6-02に従って測定された。サンプル膜をサンプルチャンバー内に置き、20.1ダイン/cmの表面張力を有するSilwick Silicone Fluid(Porous Materials Inc.から入手可能)で濡らすことができる。サンプルチャンバの底部クランプは直径2.54cmで、膜(Quantachrome部品番号75461ステンレススチールフィルタ)を支持するための厚さ0.159cmを画定する多孔質金属ディスクインサートを有していた。
【0066】
煙保持
連続的なエアロゾル負荷下で高い空気流を維持しながらの煙保持は、
図8に示される概略図によって示される実験設備600を使用して試験された。実験設備600は、第一の圧力調整器601を介して圧縮空気供給源604に接続された入口を備えたエアロゾル発生器602を含んでいた。エアロゾル発生器602の出口は、7cm
2の活性フィルタ面積を有する試験されるフィルタシステム606に接続された。エアロゾル発生器602は、圧力調整器1を使用して60psiに設定された。エアロゾル発生器602は、Mesa LaboratoriesInc.,10 Park Place, Butler, NJ07405、U.S.A.によって生成されたデータを含む表1に示すように、システムの陽圧に応じて1.8μm~2.0μmの範囲の鉱油エアロゾルを発生した。
【表1】
【0067】
ベンチュリノズル608を、圧力センサ612、水トラップ614及び双方向空気流センサ616を介して試験フィルタシステム606に接続した。ベンチュリノズル608を、第二の圧縮空気供給源610からの圧縮空気で加圧し、それにより真空が発生した。第二の圧力調整器618を使用して、真空圧力を-50kPaに設定した。エアロゾル発生器602によって生成されたエアロゾルを、ベンチュリノズル608によって生成された真空によって試験フィルタシステム606を通して引いた。試験フィルタシステム606は60分間にわたって真空圧及びエアロゾル処理を受けた。試験フィルタシステム606を通る空気流を、双方向空気流センサ616を用いて測定し、一方、圧力センサ612を、真空圧を監視し、試験フィルタシステム606を出る圧力を監視するために使用した。
【0068】
ウイルスろ過効率
ウイルスろ過効率(「VFE」)試験をMS-2コリファージウイルスを使用して実施した。MS-2コリファージは、直径約23nm、分子量3.6x106ダルトンの非エンベロープ一本鎖RNAモデルウイルスである。特に、MS-2コリファージビリオンは、ジカビリオン、SARS-CoV-2ビリオン、HIVビリオン、T4バクテリオファージビリオン及びミミウイルスビリオンよりもサイズが比較的小さい。VFE試験は、テスト全体を通じて細胞の生存性を促進するために、1x108プラーク形成単位を超える負荷と90%以上の相対湿度で実施した。MS-2コリファージ懸濁液をエアロゾル化し、本明細書に開示されるとおりの第一のフィルタ及び第二のフィルタを有するフィルタシステムに導入した。エアロゾル化溶液中のMS-2コリファージの濃度を、フィルタシステムを通過させる前後で測定し、比較した。
【0069】
細菌ろ過効率
細菌ろ過効率(「BFE」)試験を、直径0.4μm~1.0μmのグラム陰性菌であるブレバンディモナスディミヌタ細菌を用いて実施した。ブレバンディモナスディミヌタ細菌は、バチルス属細菌、PM2.5細菌、赤血球及びPM10細菌よりもサイズが比較的小さい。BFE試験は、テスト全体を通じて細胞の生存性を促進するために、1x108コロニー形成単位を超える負荷と90%以上の相対湿度で実施した。ブレバンディモナスディミヌタ懸濁液をエアロゾル化し、本明細書に開示されるとおりの第一のフィルタ及び第二のフィルタを有するフィルタシステムに導入した。エアロゾル化溶液中のブレバンディモナスディムニタの濃度を、フィルタシステムを通過させる前後で測定し、比較した。
【0070】
VFE試験及びBFE試験における上述のフィルタシステムの効率を、下記式に従って測定した。
【数1】
本明細書に記載のとおりのVFE及びBFEの測定に使用される試験方法に関する追加情報は、PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology、1月/2月、2005、Technical Report No.40、ガスの滅菌ろ過、セクション7.2.4 チャレンジ試験方法に掲載されており、それを参照により本明細書に組み込む。
【0071】
水侵入圧力
本明細書で規定されるとおりの膜層を通る水の侵入を測定するために、Mullen RTMテスター(シリアル番号:8240+92+2949、米国マサチューセッツ州チコピーのBF Perkins製)を使用して水侵入圧力試験を実施した。膜層の試験サンプルは、厚さ1.27cm、各辺の長さ10.16cmを画定する正方形プレキシガラスシートで作られた一対の試験固定具の間にクランプされた。下部固定具には、サンプルの一部を水で加圧する能力があった。水の侵入の証拠の指標として機能するために、1枚のpH紙をサンプルの上に置いた。pH紙の色が変化するまで、サンプルに少しずつ圧力を加えて加圧した。対応する破過圧力又は侵入圧力を水侵入圧力として記録し、3つの測定値の平均も記録した。
【0072】
例
例1
層状フィルタシステム100、200の膜106を、上述のようにバブルポイント試験に供した。以下の表2で「焼結PE1」、「焼結PE2」、「焼結PE3」と表示されている従来のフィルタも試験した。表2に示すように、従来のフィルタのバブルポイントは試験装置の検出限界を下回っており、したがって<1psiと記録した。膜106は8.5psiのバブルポイントと記録した。
【表2】
【0073】
バブルポイント試験の成功は、本明細書に記載のとおりのフィルタシステム100、200が、血液及びすすぎ流体を含む外科廃棄物を外科用キャニスタ内に保持し、外科用器具、病院職員、病院環境の保護及びこのような外科用キャニスタが使用される処置中の汚染からの患者の保護を容易にするように構成されていることを示す。
【0074】
例2
ここで
図109を参照すると、
図9に提供される仕様に従って、様々なフィルタシステムの煙保持性を上述のように試験した。フィルタシステムに-50kPaの真空圧を1時間加え、真空圧によりエアロゾル粒子とフィルタシステムの相互作用を引き起こした。
【0075】
図9に示すように、ライン902は、膜のみの実施形態106が手術煙粒子の通過を防止できるが、継続的な外科的吸引がもはや不可能になるまで試験ウィンドウの最初の6分間に空気流量が約15.5リットル/分から1リットル/分未満に有意に低下したことを示している。ライン900は、本開示の膜106及び第一のフィルタ102を含むフィルタシステムの性能を示す。示されているように、連続的なエアロゾル負荷下での空気流の低下は、第一のフィルタを追加すると有意に減少した。空気流量は、試験期間の最初の15分間で約15.5リットル/分から約12.3リットル/分に低下し、試験期間の最初の 30分間で約11.2リットル/分に、最初の45分間で約10.5リットル/分に、試験期間の終わりに約10.2リットル/分に低下した。
【0076】
ライン904は、本開示の膜106及び第一のフィルタ102の2つの層を含むフィルタシステムの性能を示す。継続的なエアロゾル負荷下での空気流の低下は、2つ目の第一のフィルタを追加すると有意に減少した。空気流は、試験期間の最初の15分間で約 15.5リットル/分から約14.8リットル/分に低下し、試験期間の最初の30分間で約14.7リットル/分に試験期間の最初の45分間で約12.8リットル/分に、試験期間の終了時に約13.7リットル/分に達した。
【0077】
従来のフィルタ(例えば、焼結ポリエチレンフィルタ)も試験したが、手術煙粒子を保持できないことが判明した。上述のような連続1時間のエアロゾル負荷の後に、焼結ポリエチレンフィルタの出口と対応するバクテリアフィルタの上部で油の薄膜を検出し、エアロゾルが従来のフィルタを通過できることが示された。従来のフィルタをエアロゾルが容易に通過することができるため、フィルタは目詰まりし又は本来の空気量が低下することがない。この油膜は、上述した膜106又は第一のフィルタ102を含むフィルタシステムの出口では観察されなかった。煙保持試験の成功は、本明細書に開示されるとおりの第一のフィルタを含むフィルタシステムが、可能な最大空気流量の大部分を維持しながら、少なくとも1時間、手術煙環境内で使用できることを示す。
【0078】
例3
上述のVFE試験は、最大99.99999%の最小ウイルスろ過効率、又は7の対数減少値という結果を提供した。これは、外科用吸引容器製造者が主張するとおりの最大99.99%の最小ウイルスろ過効率、又は、4の対数減少値の結果のみを提供しうる従来のフィルタに対してろ過能力の改善を実証しており、一方、幾つかの試験は従来のフィルタで最小ウイルスろ過効率が最大98%という結果を提供することが示されている。
【0079】
例4
上述のBFE試験は、最大99.99999%の最小細菌ろ過効率、又は7の対数減少値という結果を提供した。これは、外科用吸引容器製造者が主張するとおりの最大99.99%の最小細菌ろ過効率、又は、4の対数減少値の結果のみを提供しうる従来のフィルタに対してろ過能力の改善を実証しており、一方、幾つかの試験は従来のフィルタで最小ウイルスろ過効率が最大98%という結果を提供することが示されている。
【0080】
例5
上述のような層状フィルタシステム100は、吸引キャニスタ蓋の真空ポートを覆うように吸引キャニスタ蓋に溶接され、
図10Aに示すように、吸引キャニスタ蓋はライナーと結合されて、蓋とライナーとのアセンブリを作製し、蓋とライナーとのアセンブリを
図10Bに示されるように脱イオン水で満たした。再び
図1~3を簡単に参照すると、フィルタシステム100は第一のフィルタ102及び第二のフィルタ104を含み、第一のフィルタ102は、0.5m
2/gより大きく2m
2/g未満の比表面積を画定し、3つの層を含み、第二のフィルタ104は、ePTFE膜又は電界紡糸ポリマーを含む膜などの膜106と、熱可塑性テキスタイルから形成されうるテキスタイル膜支持体108とを含む。第二のフィルタ104は、230ミクロンの総厚さを画定し、55.5mN/mの表面張力で少なくとも10分間75kPa以上の液体侵入圧力を維持し、9.3cm
2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流量を維持するように構成される。
【0081】
第一のフィルタ102の第一の層110は疎油性の特性を有し、約80ミクロン~約200ミクロンの厚さを画定し、複数のフィラメントを有し、各フィラメントは約17ミクロン~約25ミクロンの直径を有する。第二の層112は約320ミクロンの厚さを画定し、複数のフィラメントを有し、各フィラメントは約3ミクロン~約6ミクロンの直径を有し、第二の層112は、熱可塑性フィラメント、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー又は非熱可塑性フィラメントを有することができる。第三の層は、厚さと組成の点で第一の層と同様である。
【0082】
再び
図10A~10Cを参照すると、蓋とライナーとのアセンブリを剛性容器に入れ、真空ポンプ(メデラポンプ「ドミナントフレックス」)に接続し、真空ポンプを最大動作設定、-88kPaで11分間動作させた。フィルタシステムとの液体接触を11分間継続した後でも、液体の漏れは観察されなかった。同様の実験において、蓋とライナーとのアセンブリを
図10Cに示す位置で一晩反転させた。別の実験において、蓋とライナーとのアセンブリに8時間にわたる別の液体反転試験を受けさせ、蓋とライナーとのアセンブリに差圧10kPaでの長時間の水侵入圧力試験を受けさせた。これらの実験のいずれにおいても、液体の漏れは観察されなかった。
【0083】
例示的な実施形態は、吸引キャニスタ又は吸引バッグとともに使用するためのフィルタシステムを含むが、他の実施形態において、上述のフィルタシステムは、マスクの製造又は環境システムのフィルタリングなど、そのようなろ過が必要とされる他の用途に利用することができる。換言すれば、本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で上述された。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
例示的な実施形態は、吸引キャニスタ又は吸引バッグとともに使用するためのフィルタシステムを含むが、他の実施形態において、上述のフィルタシステムは、マスクの製造又は環境システムのフィルタリングなど、そのようなろ過が必要とされる他の用途に利用することができる。換言すれば、本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で上述された。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
本開示は更に以下の態様を含んでいる:
《態様1》
チャンバ開口部と、前記チャンバ開口部の反対側のベース上に配置された出口ポートとを含む内部チャンバを画定するハウジング、
前記ハウジングに結合された第一の支持部材、
前記ハウジングの前記チャンバ開口部の上に配置された第一のフィルタ、及び、
前記第一の支持グリッドと前記第一のフィルタとの間に配置された第二のフィルタ、ここで、液体リザーバは前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとによって画定される、
を含む、フィルタシステム。
《態様2》
前記第二のフィルタは、55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、そして9.3cm
2
の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流量を維持する、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様3》
前記液体リザーバは厚さが0.04ミリメートル~2ミリメートルである、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様4》
前記液体リザーバは厚さが2ミリメートル~15ミリメートルである、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様5》
前記液体リザーバは厚さが15ミリメートル~80ミリメートルである、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様6》
前記第一のフィルタは約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様7》
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタの第三の層を含む、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様8》
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとが互いに離隔するように前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとの間に配置された第二の支持部材を含む、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様9》
前記第一の支持部材に結合され、前記第一の支持部材から前記ハウジングとは反対方向に延在するスプラッシュガードをさらに含み、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する、態様1に記載のフィルタシステム。
《態様10》
前記スプラッシュガードは円錐形状を有し、前記スプラッシュガードの出口は前記スプラッシュガードの入口よりも広い、態様9に記載のフィルタシステム。
《態様11》
ポートを画定する蓋、及び、
前記ポートに統合されたフィルタシステム、ここで、前記フィルタシステムは、
約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する第一のフィルタ、ここで、前記第一のフィルタは第一の層及び第二の層を含み、前記第一の層は前記第二の層とは異なる材料を含む、及び、
55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、9.3cm
2
の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持する、第二のフィルタ、を含む、
を含む、フィルタリングアセンブリ。
《態様12》
前記キャニスタポートは、前記フィルタシステムを通る空気流を維持するように構成された真空に連通可能に結合されている、態様11に記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様13》
前記吸引キャニスタは、柔軟側面を有する容器を含む、態様11に記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様14》
前記吸引キャニスタは剛性容器を含む、態様11に記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様15》
前記フィルタシステムは超音波溶接によって前記ポートに統合されている、態様11に記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様16》
前記フィルタシステムが前記ポートを覆うように、前記フィルタシステムは前記蓋に熱溶接される、態様11に記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様17》
前記第二のフィルタは疎水性である、態様11記載のフィルタリングアセンブリ。
《態様18》
前記第一のフィルタは、直径6ミクロン未満のポリマーフィラメントを含む第二の層を含む、態様11に記載のフィルタシステム。
《態様19》
前記第一のフィルタは熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、態様11に記載のフィルタシステム。
《態様20》
前記第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー又は非熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、態様11に記載のフィルタシステム。
《態様21》
前記第一のフィルタは疎油性の第一の層を含む、態様11記載のフィルタシステム。
《態様22》
前記第一のフィルタは、0.5m
2
/gより大きく、2m
2
/g未満の比表面積を規定する、態様11に記載のフィルタシステム。
《態様23》
前記第二のフィルタは熱可塑性テキスタイル層を含む、態様11に記載のフィルタシステム。
《態様24》
ベースと、前記ベースの第一の側から延在して出口を画定するポートと、前記ベースの第二の側から延在する第一の壁と、前記ベースの前記第二の側から延在する第二の壁とを含むハウジング、ここで、前記第一の壁及び前記第二の壁は溝を画定する;
上部側壁を含む第一の支持部材であって、前記支持部材を前記ハウジングに結合するために前記ハウジングの前記溝内に受け入れられるように構成された第一の支持部材;
前記第一の支持部材に結合されたスプラッシュガード、ここで、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する;
前記スプラッシュガードの出口に配置された第一のフィルタ;
前記第一のフィルタと前記第一の支持部材との間に配置された第二の支持部材、;及び、
前記第一の支持部材と前記第二の支持部材との間に配置された第二のフィルタ;
を含む、フィルタシステム。
《態様25》
前記ハウジングの前記ポートは、吸引キャニスタの真空ポートに結合されるように構成されている、態様25に記載のフィルタシステム。
《態様26》
前記スプラッシュガードは円錐形状を有し、前記スプラッシュガードの出口は前記スプラッシュガードの入口よりも広い、態様25に記載のフィルタシステム。
《態様27》
前記第一のフィルタは複数の層を含み、第一の層は第二の層とは異なる構造を含む、態様25に記載のフィルタシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ開口部と、前記チャンバ開口部の反対側のベース上に配置された出口ポートとを含む内部チャンバを画定するハウジング、
前記ハウジングに結合された第一の支持部材、
前記ハウジングの前記チャンバ開口部の上に配置された第一のフィルタ、及び、
前記第一の支持グリッドと前記第一のフィルタとの間に配置された第二のフィルタ、ここで、液体リザーバは前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとによって画定される、
を含む、フィルタシステム。
【請求項2】
前記第二のフィルタは、55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、そして9.3cm
2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流量を維持する、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項3】
前記液体リザーバは厚さが0.04ミリメートル~
15ミリメートルである、請求項1
又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項4】
前記液体リザーバは厚さが15ミリメートル~80ミリメートルである、請求項1
又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項5】
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタの第三の層を含む、請求項1
又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項6】
前記液体リザーバは、前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとが互いに離隔するように前記第一のフィルタと前記第二のフィルタとの間に配置された第二の支持部材を含む、請求項1
又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項7】
前記第一の支持部材に結合され、前記第一の支持部材から前記ハウジングとは反対方向に延在するスプラッシュガードをさらに含み、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する、請求項1
又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項8】
前記スプラッシュガードは円錐形状を有し、前記スプラッシュガードの出口は前記スプラッシュガードの入口よりも広い、請求項
7に記載のフィルタシステム。
【請求項9】
ポートを画定する蓋、及び、
前記ポートに統合されたフィルタシステム、ここで、前記フィルタシステムは、
約120ミクロン~約2000ミクロンの厚さを画定する第一のフィルタ、ここで、前記第一のフィルタは第一の層及び第二の層を含み、前記第一の層は前記第二の層とは異なる材料を含む、及び、
55.5mN/mの表面張力で10分間75kPa以上の液体侵入圧力を有し、9.3cm
2の有効面積で11.5kPaの圧力損失で20リットル/分を超える空気流を維持する、第二のフィルタ、を含む、
を含む、フィルタリングアセンブリ。
【請求項10】
前記キャニスタポートは、前記フィルタシステムを通る空気流を維持するように構成された真空に連通可能に結合されている、請求項
9に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項11】
前記フィルタシステムは、
溶接によって前記ポートに統合され、又は前記ポートを覆うように前記蓋に溶接されている、請求項9又は10に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項12】
前記第二のフィルタは疎水性である、請求項
9又は10に記載のフィルタリングアセンブリ。
【請求項13】
前記第一のフィルタは、直径6ミクロン未満のポリマーフィラメントを含む第二の層を含む、請求項
9又は10に記載のフィルタシステム。
【請求項14】
前記第一のフィルタは熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、請求項
9又は10に記載のフィルタシステム。
【請求項15】
前記第一のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー又は非熱可塑性フィラメントを含む第二の層を含む、請求項
9又は10に記載のフィルタシステム。
【請求項16】
前記第一のフィルタは疎油性の第一の層を含む、請求項
9又は10記載のフィルタシステム。
【請求項17】
前記第一のフィルタは、0.5m
2/gより大きく、2m
2/g未満の比表面積を規定する、請求項
9又は10に記載のフィルタシステム。
【請求項18】
前記第二のフィルタは熱可塑性テキスタイル層を含む、請求項
9又は10に記載のフィルタシステム。
【請求項19】
ベースと、前記ベースの第一の側から延在して出口を画定するポートと、前記ベースの第二の側から延在する第一の壁と、前記ベースの前記第二の側から延在する第二の壁とを含むハウジング、ここで、前記第一の壁及び前記第二の壁は溝を画定する;
上部側壁を含む第一の支持部材であって、前記支持部材を前記ハウジングに結合するために前記ハウジングの前記溝内に受け入れられるように構成された第一の支持部材;
前記第一の支持部材に結合されたスプラッシュガード、ここで、前記スプラッシュガードは入口及び出口を画定する;
前記スプラッシュガードの出口に配置された第一のフィルタ;
前記第一のフィルタと前記第一の支持部材との間に配置された第二の支持部材、;及び、
前記第一の支持部材と前記第二の支持部材との間に配置された第二のフィルタ;
を含む、フィルタシステム。
【請求項20】
前記ハウジングの前記ポートは、吸引キャニスタの真空ポートに結合されるように構成されている、請求項
19に記載のフィルタシステム。
【請求項21】
前記第一のフィルタは複数の層を含み、第一の層は第二の層とは異なる構造を含む、請求項
19又は20に記載のフィルタシステム。
【国際調査報告】