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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20240318BHJP
   H01Q 1/46 20060101ALI20240318BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20240318BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALN20240318BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q1/46
H01Q9/04
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558168
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022058394
(87)【国際公開番号】W WO2022214372
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21166968.4
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】テ フェルデ マート コルネリス ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クライネン マーク ペーター ポール
(72)【発明者】
【氏名】グロブ ティモン ルトガー
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA13
5J046RA12
5J047AB06
5J047AB13
(57)【要約】
ウェアラブルデバイスは、ハウジング内にある内部アンテナ、及び前記ハウジングがその上に取り付けられる外部の導体パッチを持つ。前記導体パッチは、前記アンテナの内部接地面の領域よりも大きい領域を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パッチ、
ハウジング、
前記ハウジング内に取り付けられるワイヤレス通信回路、及び
前記ハウジング内に取り付けられ、前記ワイヤレス通信回路に結合されるアンテナ
を有するウェアラブルデバイスにおいて、
前記アンテナは、接地面、前記接地面から離間されるアンテナ面、及び前記接地面と前記アンテナ面との間における給電結合を有し、
前記ハウジングは、前記導体パッチの上に取り付けられ、前記導体パッチは、前記接地面の領域よりも大きい領域を持つ
ウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記導体パッチは、前記ハウジングと前記導体パッチとの間における結合の領域よりも大きい領域を持つ、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記ハウジングは、平面図において5cmの最大寸法を持つ、請求項1又は2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、平面図において10cmから20cmの範囲にある領域を持つ、請求項3に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記導体パッチの領域は、20cmから40cmの範囲にある、請求項4に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
前記導体パッチをユーザの皮膚に取り付けるための接着剤層をさらに有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記接着剤層は、導電性接着剤である、請求項6に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記導体パッチと前記接地面との間に接地相互接続をさらに有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記接地面と前記アンテナ面との間に接地結合をさらに有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記アンテナは、前記アンテナ面、及び前記アンテナ面を前記接地面の上方に取り付けるための接続脚部を有する型打ち金属アンテナを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
前記アンテナは、金属被覆を備えるセラミックアンテナを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
前記アンテナは、前記ハウジングの表面に設けられる導電層を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項13】
前記接地面を画定する導体領域、及び前記ワイヤレス通信回路を担持する回路領域を有するプリント回路基板を有する、請求項1乃至12の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項14】
センサデータを収集するためのセンサを有し、前記ワイヤレス通信回路は、前記アンテナを用いて前記センサデータをワイヤレスで送信するためのものである、請求項1乃至13の何れか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデータをワイヤレスでで報告するウェアラブルデバイス、例えばセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、心拍数及び呼吸数のような生体信号、並びに例えば、活動レベル及び(例えば、転倒を検出するために)姿勢を検出するための運動信号を測定するための、ワイヤレスでセンサデータを通信するウェアラブル健康パッチがよく知られている。生体信号ではなく、例えば温度及び湿度のような周囲条件のためのセンサを実装するウェアラブルデバイスもよく知られている。
【0003】
従って、例えば、皮膚伝導度測定、PPG測定、加速度計を用いた運動測定、温度測定、湿度測定及び照明レベルの測定などのための多くの異なるセンサの種類が実現可能である。
【0004】
適切なワイヤレス通信システムの例は、WiFi、Bluetooth(登録商標)、LoRa、4G及び5Gである。しかしながら、如何なる所望するワイヤレス通信モダリティもウェアラブルデバイスに組み込まれるだろう。
【0005】
ワイヤレス通信は、アンテナをウェアラブルデバイスに組み込むことを必要とする。アンテナは、例えば、主要なセンサの構成要素及び回路を担持する回路基板上にプリントされることができる。代わりに、アンテナは、表面実装部品としてプリント回路基板上に取り付けられる、又はハウジングに接続され、ばねクリップ或いはケーブルによってアンテナ回路に接続されるセラミックチップアンテナとすることもできる。アンテナは、小型化を考慮して設計されており、それに応じて効率を損なうことになる。
【0006】
ウェアラブルデバイスからのワイヤレス信号の範囲は、アンテナの出来栄えに大きく依存する。アンテナの設計は、低消費電力と組み合わせてロングレンジ(long range)が必要とされるとき特に重要である。
【0007】
小さいウェアラブルデバイスに使用されるような小型の平面アンテナは、最適な範囲及び消費電力を提供しない。ホイップ(Whip)アンテナ又はスタブ(stub)アンテナは、より効率的であるが、これらアンテナは、そのサイズを理由に、例えばウェアラブル生体センサのようなウェアラブルデバイスには適さない。
【0008】
上述した効率の低さ、故に限られた範囲及び高い消費電力につながる1つの特定の問題は、例えばセンサ信号が収集される場所のような、センサが装着される身体に対しアンテナが近いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、現在健康パッチに用いられているアンテナは、小型化と効率との間で妥協している。これらアンテナは、最適な範囲及び消費電力を提供していない。特定の問題は、小型化されるウェアラブルデバイスでは、アンテナの接地面(ground plane)が低周波数では小さすぎることである。これは、効率及び帯域幅を減らす。
【0010】
米国特許出願公開第2019/0356042号明細書は、アンテナ層及び接地面を持つアンテナ構造を組み込み、シールドを設けるために、前記アンテナ構造とユーザの身体との間に追加の金属要素を持つウェアラブルデバイスを開示している。しかしながら、このアンテナ構造の寸法は、例えば時計のようなデバイスのサイズに制約されたままである。
【0011】
ワイヤレスのウェアラブルデバイスで使用するための改善されたアンテナ構成が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を提供する。
【0013】
本発明の一態様による例によれば、
導体パッチ、
ハウジング、
前記ハウジング内に取り付けられるワイヤレス通信回路、及び
前記ハウジング内に取り付けられ、前記ワイヤレス通信回路に結合されるアンテナ
を有するウェアラブルデバイスが提供され、前記アンテナは、接地面、前記接地面から離間されるアンテナ面、及び前記接地面と前記アンテナ面との間における給電結合(feed coupling)を有し、前記ハウジングは、前記導体パッチの上に取り付けられ、前記導体パッチは、前記接地面の領域よりも大きい領域を持つ。
【0014】
導体パッチは、ユーザの皮膚に適用するために使用される。
【0015】
このウェアラブルデバイスは、ハウジング内にアンテナを内蔵するが、ハウジングの外側に導体パッチがさらに存在する。この導体パッチは、アンテナの内部接地面のサイズを効果的に拡張する。このようにして、センサのハウジングの全体的なパッケージ、及び皮膚との境界面を使用して、アンテナ機能を最適化する。
【0016】
前記導体パッチは、前記ハウジングと前記導体パッチとの間の結合(カップリング)領域よりも大きい領域を持つ。言い換えると、(ウェアラブルデバイスが取り付けられている皮膚を上から、すなわち平面図で見たとき)導体パッチはハウジングよりも大きい。それによって、導体パッチは、接地面の領域を拡張するように機能する。
【0017】
ウェアラブルデバイスは、好ましくは、導体パッチを皮膚に取り付けるための接着剤層をさらに有する。この接着剤層は、ウェアラブルデバイスをユーザに取り付けるために使用される。
【0018】
前記接着剤層は、皮膚との電気接続を提供する導電性接着剤でもよいし、又は代わりに、前記接着剤層は、皮膚との電気接続を遮断する非導電性接着剤でもよい。アンテナの観点から、どちらのオプションも可能である。
【0019】
ウェアラブルデバイスは、導体パッチと接地面との間に接地相互接続をさらに有する。前記導体パッチは、接地面との直接的(ガルバニック)な電気接続が存在しない場合、遮蔽層(screening layer)/シールド層(shielding layer)として機能することができる一方、接地相互接続の使用は、導体パッチが実質的に接地層の一部となるが、ハウジングの外部にあるように、導体パッチとの電気接続を提供する。
【0020】
ウェアラブルデバイスは、接地面とアンテナ面との間に接地結合(ground coupling)をさらに有する。これは、アンテナ面との給電結合に加えて、特定のアンテナ設計において使用される短絡ピン(short pin)として機能する。
【0021】
前記アンテナは、板状逆F型アンテナ(planar inverted F antenna)を有してもよい。この種類のアンテナは、ワイヤレスモバイル通信の信号を送信及び受信するのに使用されることがよく知られている。
【0022】
前記アンテナは、アンテナ面、並びに前記アンテナ面を接地面上及び接地面の上に取り付けるための接続脚部を有する型打ち金属アンテナ(stamped metal antenna)を有してもよい。
【0023】
前記アンテナは、代わりに、金属被覆を備えるセラミックアンテナを有してもよい。
【0024】
前記アンテナは、代わりに、ハウジングの表面上に設けられる導電層を有してもよい。この導電層は、例えば、ステッカーとして又はレーザ直接構造化処理を用いることによって適用されてもよい。
【0025】
市販のアンテナ部品が使用されてもよい。
【0026】
ウェアラブルデバイスは、接地面を画定する導体領域、及びワイヤレス通信回路を担持する回路領域を有するプリント回路基板を有してもよい。
【0027】
ウェアラブルデバイスは、例えば、ワイヤレスセンサデバイスであり、センサデータを収集するためのセンサをさらに有し、前記ワイヤレス通信回路は、アンテナを用いて前記センサデータをワイヤレスで送信するためのものである。
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面が参照される。
図1図1は、ウェアラブルデバイスの実施形態を側面図で示す。
図2図2は、図1のウェアラブルデバイスを平面図で示す。
図3図3は、図1及び図2のウェアラブルデバイスのより詳細な例を斜視図で示し、内部の構成要素を示すために透明である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0031】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、これら説明及び例は、単に例示を目的とし、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら並びに他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
【0032】
本発明は、ハウジング内にある内部アンテナ、及び前記ハウジングがその上に取り付けられる外部の導体パッチを持つウェアラブルデバイスを提供する。この導体パッチは、アンテナの内部接地面の領域よりも大きい領域、好ましくは、前記ハウジングの領域よりも大きい領域を持ち、この領域がユーザの皮膚に適用される。一実施形態において、導体パッチを介したウェアラブルデバイスと皮膚との結合を使用して、アンテナ性能、例えば動作帯域幅及び電力効率を改善する。
【0033】
図1は、被験者の皮膚40に取り付けられる、ハウジング20を有するセンサ形式のウェアラブルデバイス10を示す。前記ハウジングは、導体パッチ30上に取り付けられ、ハウジング20と導体パッチ30とを組み合わたせたものが、接着剤層32を用いて被験者の皮膚に取り付けられることができる。ハウジング20内にアンテナが設けられる。
【0034】
例えば、皮膚との電気接触が望まれる場合、接着剤層32は、導電性接着剤でもよい。しかしながら、非導電性接着剤が使用されてもよい。接着剤の材料特性は、アンテナの機能に関連しない。接着剤層32は、生体適合性材料である。
【0035】
導体パッチ30は、例えば、銀、ニッケル、スズ、銅又はこれら金属の組み合わせのような様々な金属から形成されることができる。例えば、グラファイトのような導電性の非金属が使用されてもよい。その厚さは、例えば、10μmから200μmの間である。
【0036】
例えば、316Lステンレス鋼又はバイオメディカルグレードグラファイトのような生体適合性材料が導体パッチ30に使用されてもよい。生体適合性でない材料については、例えば導体パッチ30の両側にシールドを備えるような、追加のシールド層が、皮膚との直接的な接触を防ぐために使用されてもよい。
【0037】
導体パッチ30の主な目的は、アンテナ性能を向上させることである。しかしながら、導体パッチ30は、検知用途にも使用することができる。例えば、シングルリードECGセンサ又はバイオインピーダンスセンサの検知構造が導体パッチ30内に埋め込まれてもよいし、又は人体と電気接触する別の導電層の一部でもよい。
【0038】
導体パッチ30は、(例えば、皮膚伝導度を測定するために)(センサの)別個の接触電極が皮膚にアクセスするのを可能にするため、又は光信号が通過することを可能にするための開口を含んでもよい。
【0039】
この目的のための小さな開口は、アンテナの性能に大きな悪影響を及ぼさない。好ましくは、導体パッチ30は連続層であるが、例えばRF電流が自由に通過できるように、コンデンサと接続されるセグメントを備える分割層も可能である。
【0040】
ハウジング20内には、ワイヤレス通信回路23、バッテリー50(又は環境発電システム(energy harvesting system)があってもよい)及びアンテナがある。
【0041】
前記アンテナは、ワイヤレス通信回路23に結合され、接地面22及びこの接地面から離間されるアンテナ面24を有する。前記接地面と前記アンテナ面との間に給電結合26が設けられる。主な電界は、アンテナ面と接地面との間にある。
【0042】
前記接地面は、プリント回路基板の導体領域として形成される。
【0043】
前記プリント回路基板は、バッテリー50だけでなくワイヤレス通信回路も担持する。このプリント回路基板は、給電結合26に接続するための給電パッド、及び前記給電パットと前記ワイヤレス通信回路との間の導体トレースとを画定し、それによって、アンテナ(特に、アンテナ面)をワイヤレス通信回路23に電気接続する。
【0044】
ワイヤレス通信回路23(及び他の回路)は、図1に示されるように、アンテナの場所から横方向にオフセットされるのではなく、アンテナ面の下にあってもよい。前記アンテナは、例えばプリント回路基板全体を覆ってもよい。
【0045】
バッテリーのような高度な部品は、アンテナの性能に悪影響を及ぼす。より一般的には、アンテナが拾う電気部品(例えば、DC/DCコンバータ)のノイズが原因による自己汚染のリスクも増大する。しかしながら、大きいアンテナの利点は、これらの悪影響より勝っている。
【0046】
導体パッチ30は、接地面の領域(すなわち、プリント回路基板の接地面の導体領域)よりも大きい領域を持つ。
【0047】
示される例において、導体パッチ30は、ハウジングの平面図の領域よりも大きい。
【0048】
例として、ハウジングは、(平面図において)5cmの最大寸法を持つことができる。小型の身体装着装置に対し、セルラーモバイルネットワークオペレータによって定義される特定のカテゴリがある。これらの種類のデバイスのアンテナ要件は、例えば携帯電話のような他のデバイスのアンテナ要件よりも寛大である。このカテゴリに分類するために、何れかの方向(例えば、対角線方向)における最大寸法は、5cm未満である。
【0049】
例として、、ハウジングは、約4cm×3cm又は5cm×2.5cmの寸法を持つことができ、故に、10cmから20cm、例えば12cmから15cmの範囲にある領域を持つことができる。
【0050】
ハウジングの厚さは、例えば、1cmから2cmの範囲である。
【0051】
例として、導体パッチは、(平面図において)6cm×5cmの寸法を持つことができる。より一般的には、導体パッチの領域は、例えば、20cmから40cmの範囲にある。ハウジングは、(平面図において)導体パッチによって完全に囲まれてもよい。
【0052】
図1は、接地面22とアンテナ面24との間に任意の接地結合27をさらに示す。これは、短絡ピンとして機能し、その使用は、アンテナ構造の種類に依存する。
【0053】
図1は、導体パッチ30と接地面22との間に任意の接地相互接続28をさらに示す。
【0054】
導体パッチ30は、接地面から絶縁され、遮蔽層として機能してもよいし、又は接地面、故にプリント回路基板によって担持される回路の接地電位に電気接続されてもよい。
【0055】
デバイス製造の一部として、接地相互接続28と導体パッチ30との間に電気接触が作られる。接着剤層32が工場で塗布されることもできる。ユーザは、次いで、例えば、被覆層を取り除いた後、既に塗布された接着剤層を皮膚に貼るだけでよい。
【0056】
或いは、導体パッチの層が工場でハウジングに取り付けられ(例えば、はんだ付けされ)、次いで、ユーザが別個の接着剤を塗布して皮膚に固定する。
【0057】
本発明によって達成される性能の向上は、接地面が導体パッチ30によって拡張されるからであり、特に、アンテナ効率を増大させ、アンテナのパターンを身体から離れる方に向けるからである。人体の組成(例えば、脂肪及び筋肉の量)に対する感度の低下も存在する。導体パッチ30は、容量結合、誘導結合を介して、又は接地相互接続28を用いて接地面22に結合する。
【0058】
アンテナに近接する材料の物理的特性が、そのアンテナの性能及び設計を決定する。身体装着デバイス上のアンテナを最適化することは、皮膚及び身体の物理的特性を理由に困難である。この皮膚及び身体は、良好な導体として又は良好な絶縁体として機能しない。また、これらの特性には、幅があり、人ごとに及び身体上の位置によって異なる。
【0059】
導体パッチ30は、アンテナと皮膚との間に、明確に画定される導電性の面を提供し、これが、特に、アンテナ面の下に離間した接地面を備えるアンテナ設計のために、より良好なアンテナ性能をもたらす。これは、接着剤層を介した皮膚への電気接続の有無にかかわらず適用される。
【0060】
アンテナ面は、接地面とは異なる面にあり、接地面よりも身体から離れている。そのような種類のアンテナは、板状逆F型(PIFA)アンテナ、パッチアンテナ又はモノポールアンテナである。
【0061】
PIFAアンテナは、例えば、接地結合27を含むが、他の種類のアンテナは、この結合を必要としなくてもよい。接地結合27を使用しない場合、アンテナは、その形状に応じて、パッチ型又はモノポール型のアンテナとなる。
【0062】
アンテナ面24は、単純な金属面とすることができるが、アンテナの共振周波数は通例、既知の方法でスロットを追加することによって、所望の周波数まで下げられる。
【0063】
本発明は、離間した接地面及びアンテナ面を備えるアンテナ設計に特に関することに留意されたい。アンテナが接地面と同じ面にあるシステムの場合、導電性接着剤があることによって性能は低下する。この性能の低下が生じるのは、導電性接着剤が接地面にだけでなく、アンテナ自身にも影響を及ぼすからである。
【0064】
図2は、図1のデバイスを平面図で示す。
【0065】
図3は、図1及び図2に概略的に示される種類のウェアラブルデバイスの一例の3Dの斜視図を示す。
【0066】
アンテナは、アンテナ面及びこのアンテナ面を接地面の上方に取り付けるための接続脚部を有する型打ち金属アンテナ有する。従って、市販のアンテナ部品が使用されてもよい。
【0067】
ウェアラブルデバイスは、ワイヤレスセンサデバイスとすることができ、さらにセンサデータ(例えば、バイオセンサ信号、周囲信号又は運動信号)を収集するためのセンサを有することができ、ワイヤレス通信回路は、アンテナを用いて前記センサデータをワイヤレス送信するためのものである。
【0068】
シミュレーションを使用すると、全体的な放射効率の増大は、前記任意の接地相互接続28を使用しなければに1dBであることが分かっている。また、アンテナの身体内への放射も少なくなり、これは人体組織の導電性によって電力が失われる。もう1つの利点は、比吸収率(SAR)が低下することであり、その結果、人体が電磁放射に曝されるのが減る。
【0069】
導体パッチと接地面(故に、プリント回路基板上の電子機器)との間のガルバニック接地相互接続28の使用もシミュレーションされ、アンテナ効率を2.7dBの全効率利得までさらなる増加をもたらした。
【0070】
上記の例は、アンテナ面、及びこのアンテナ面を接地面の上方に取り付けるための接続脚部を有する型打ち金属アンテナを利用する。しかしながら、金属被覆を備えるセラミックアンテナ又はハウジングの表面上に設けられる導電層のような他のアンテナ設計が使用されてもよい。
【0071】
本発明は、センサーパッチを参照して説明されてきた。ワイヤレス通信機能を備えるそのようなパッチは、例えば、心拍数、呼吸数、姿勢、活動レベルを測定するため及び転倒検出のための、ウェアラブルバイオセンサ並びに呼吸センサとして使用することが知られている。
【0072】
しかしながら、本発明は一般的に、アンテナ性能を維持しつつ、アンテナ及び関連するワイヤレス通信回路をコンパクトな方法でハウジング内に設ける方法に関する。
【0073】
送信(又は受信)されるデータは、センサデータでなくてもよく、デバイスにおいて生成又は検知される任意のデータでよく、このデータが送信される。代わりに、アンテナ及び通信回路がデバイスを制御するための命令を受信するのに使用されてもよい。従って、デバイスは、センサではなくアクチュエータでもよい。もちろん、アクチュエータは、検知機能及びアクチュエータ機能の両方を持つことができ、ワイヤレス通信は、ワイヤレストランシーバ回路を用いて双方向であってもよい。
【0074】
開示される実施形態に対する変形例は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において“有する”という言葉は、それ以外の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べなくても、それらが複数あることを排除するものではない。請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。相互に異なる従属請求項に挙げられる手段は、有利に組み合わされることができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】