(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-26
(54)【発明の名称】押出しブロー成形の金型、成形機および方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/48 20060101AFI20240318BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240318BHJP
B29C 49/16 20060101ALI20240318BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B29C49/48
B29C49/04
B29C49/16
B29C49/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558224
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022058950
(87)【国際公開番号】W WO2022214462
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・コアン
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ショーサナン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AD18
4F202AH17
4F202AH55
4F202CA15
4F202CB12
4F202CB20
4F202CK42
4F202CK52
4F202CQ03
4F208AD18
4F208AH17
4F208AH55
4F208LA01
4F208LA07
4F208LB01
4F208LB12
4F208LD16
4F208LG04
4F208LG22
4F208LJ09
(57)【要約】
本発明は、2つの部分(1a、1b)をもつ押出しブロー成形加工の金型(1)であって、少なくとも1つの内部コンポーネント(30)をパリソン(20)の内側に固定する複数のゾーンを押圧によって同時に形成するように構成された複数の支承領域(5)を有する第1の成形面(11、11a、11b)を具備する少なくとも1つの第1のセクション(3)と、第2の成形面を具備する第2のセクション(4)とを有する金型(1)において、部分(1a、1b)の第2のセクション(4)が、金型(1)の部分(1a、1b)に付随する少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)に対して可動である、金型(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体(10)をパリソン(20)から押出しブロー成形加工する金型(1)であって、前記タンクは、前記中空体(10)の成形時に前記パリソン(20)の内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネント(30)を具備し、金型(1)は、互いに相手方に対して移動可能な2つの部分(1a、1b)を有し、互いが相手方に対して閉ざされたときに、加工すべき前記中空体(10)の所定の形状を複製するための成形面全体の内側を画定し、金型(1)の部分(1a、1b)の少なくとも一方が、
- 加工すべき前記中空体(10)の第1の部位の第1の成形面(11、11a、11b)を有する少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)であって、前記第1の成形面(11、11a、11b)が、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)を前記パリソン(20)の内側に固定するゾーンを押圧によって形成するように構成された少なくとも1つの支承領域(5)を備える、第1のセクション(3、3a、3b)と、
- 加工すべき前記中空体(10)の第2の部位の第2の成形面(12、12a、12b)を有する第2のセクション(4、4a、4b)と
を備え、
金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記第2のセクション(4、4a、4b)が、金型(1)の前記部分(1a、1b)に付随する前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)に対して、金型(1)の前記部分(1a、1b)の少なくとも中間閉位置と最終閉位置との間で可動である、金型(1)において、金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記第1の成形面(11、11a、11b)が、複数の支承領域(5)を有し、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)の複数の固定ゾーンを前記パリソン(20)の内側に押圧によって同時に形成するように構成されることを特徴とする、金型(1)。
【請求項2】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記第1の成形面(11、11a、11b)が、前記金型(1)の前記部分(1a、1b)に付随する前記支承領域(5)が含まれる外接面に沿って広がるように構成される、請求項1に記載の金型(1)。
【請求項3】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記第1の成形面(11、11a、11b)の前記外接面が、前記金型(1)の前記部分(1a、1b)に付随する前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)の前記支承領域(5)の周辺では少なくとも、所定の余裕距離をもち、それによって各々の固定ゾーン周辺での前記材料の波打ちを抑える、請求項2に記載の金型(1)。
【請求項4】
前記所定の余裕距離が、前記固定ゾーンの少なくとも周辺では1mm~60mmである、請求項3に記載の金型(1)。
【請求項5】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記第1の成形面(11、11a、11b)の前記外接面が、前記成形面全体の少なくとも30%である、請求項2から4のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項6】
前記金型(1)の各々の部分(1a、1b)が、少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)と1つの第2のセクション(4、4a、4b)とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項7】
前記金型(1)の各々の部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1の金型(1)セクション(3、3a、3b)が、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)そのものに前記パリソン(20)を押し付けて、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)そのものを前記中空体(10)の成形時に前記パリソン(20)の内側に固定するための前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)そのものの少なくとも2つの異なる固定ゾーンを形成するように構成された少なくとも1つの支承領域(5)を備える、請求項6に記載の金型(1)。
【請求項8】
金型(1)の前記部分(1a、1b)のうちの1つだけが、少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)と1つの第2のセクション(4、4a、4b)とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項9】
前記金型(1)の各々の部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1の金型セクション(3、3a、3b)が、前記最終閉位置では、前記金型(1)の前記部分(1a、1b)に付随するその第2のセクション(4、4a、4b)によって取り囲まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項10】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)が、前記中空体(10)の成形時に前記パリソン(20)を吸引するための少なくとも1つの吸引要素(14a、14b)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項11】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)が、前記中空体(10)の前記第1の部位とともに成形されることになる部品(30、31)の把持要素(15、15a)、加熱要素(16、16’、16a、16’a)、および把持(15、15a)加熱(16、16’、16a、16’a)複合要素の中から選ばれる要素を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項12】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)が、前記パリソン(20)の内側に加圧気体を導入するためのブロー器具(13、13a)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項13】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)および/または前記第2のセクション(4、4a、4b)が、前記中空体(10)の部位を冷却するための冷却装置(17、17a、17b)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項14】
前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3、3a、3b)が、複数の第1のセクション(3、3a、3b)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項15】
自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体(10)をパリソンから押出しブロー成形する機械(100)であって、請求項1から14のいずれか1項に記載の金型(1)を備えることを特徴とする機械(100)。
【請求項16】
自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体(10)をパリソン(20)から押出しブロー成形する方法であって、前記タンクは、前記中空体(10)の成形時に前記パリソン(20)の内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネント(30)を備える方法において、
a) 前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)および溶融状態の前記パリソン(20)を、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)が前記パリソン(20)によって取り囲まれるように、2つの部分(1a、1b)に開かれた金型(1)内に導入するステップであって、前記金型(1)の少なくとも1つの部分(1a、1b)が、前記金型(1)の成形面全体の第1の成形面(11)と第2の成形面(12)の内側をそれぞれ画定する少なくとも1つの第1のセクション(3)と1つの第2のセクション(4)とを備える、ステップと、
b) 前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3)を移動させて、前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3)によって前記パリソン(20)が前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)に押し付けられ、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)が前記パリソン(20)の内側に固定される中間閉位置に前記金型(1)を持っていくステップであって、前記第1の成形面(11)が、前記パリソン(20)の内側に前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)の複数の固定ゾーンを押圧によって同時に形成するように構成される、ステップと、
c) 前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の第2のセクション(4)を前記金型(1)の前記部分(1a、1b)の前記少なくとも1つの第1のセクション(3)に対して移動させて、前記金型(1)の2つの前記部分(1a、1b)が互いに閉ざされ、加工すべき前記中空体(10)の所定の形状を複製するための前記成形面全体の内側が画定される最終閉位置に前記金型(1)を持っていくステップと、
d) 加圧気体を用いて前記金型(1)の前記成形面全体に前記パリソン(20)を張り付けるようにして前記パリソン(20)のブローを行うステップと、
e) 加工された前記中空体(10)を取り出すために前記金型(1)を開けるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記ステップa)と前記ステップb)との間で前記パリソン(20)の内側に加圧気体を導入して前記パリソン(20)の予備ブローを行う、請求項16に記載の成形の方法。
【請求項18】
前記ステップb)で、前記少なくとも1つの内部コンポーネント(30)が、溶接、リベット接合または機械的アンカー留めによって前記パリソン(20)の内側に固定される、請求項16または17に記載の成形の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形加工する金型に関し、タンクは、中空体の成形時にパリソンの内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネントを備える。より具体的には、本発明は、加工すべき中空体の所定の形状を複製するための成形面全体を備える金型のキャビティの内側を画定する複数のセクションを含む2つの部分をもつ金型に関する。
【0002】
また、本発明は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形する機械にも関する。
【0003】
最後に、本発明は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形する方法に関し、タンクは、中空体の成形時にパリソンの内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネントを備える。
【背景技術】
【0004】
特許文献1では、出願人は、内部コンポーネントまたは内部コンポーネントアセンブリが装備される燃料タンクの加工用金型について記載している。金型の空洞部は複数の可動ロッドを有しており、各々の可動ロッドの自由端には、溶融状態のパリソンを局所的に押して内部コンポーネントのゾーンと接するところまで持っていき、押圧によってパリソンの内側に内部コンポーネントの固定部を形成するための支承面が設けられる。特許文献2には別の例が記載されている。
【0005】
可動ロッドの支承面はその断面積によって画定され、内部コンポーネントに固定すべきゾーンが多いほど、用意しなければならない可動ロッドも増える。可動ロッドの自由端は、典型的にはおよそ4000mm2の支承面を有し、それは金型の表面積全体の2%未満である。6つの可動ロッドでは、金型の表面積の12%未満である。また、コンポーネントアセンブリに含まれる内部コンポーネントが多いほど、用意しなければならない可動ロッドも増える。それでは金型の設計が複雑化し、その製作コストも膨らむため、歓迎されることではない。
【0006】
また、出願人は、パリソンが可動ロッドによって内部コンポーネントのゾーンの方に押される部分では、パリソンの材料がその固定ゾーンの向きに引き伸ばされ、パリソンの厚みがその固定部のレベルで減ずることにも気づいた。これは、固定部で材料の厚みが減少すれば内部コンポーネントの固定欠陥を生じる可能性があるため、望ましくない。また、固定部レベルで見られる厚みの減少は、しばしば別の変形も伴う。この別の変形とは、固定部の周りにおける材料の波打ちである。タンクがその加工中に被る変形が大きければ大きいほど、得られるタンクの機械的強度は低下することになるため、これも望ましいことではない。可動ロッドが増えれば増えるほど、上に挙げたリスクが一段と高まることは明らかである。
【0007】
出願人はまた、可動ロッドが金型の冷却回路に含まれていないため、可動ロッドが増えることが金型の冷却温度の均一性の低下につながるということにも気づいた。金型の冷却温度の均一性の低下は加工中のタンクの変形を引き起こす可能性があり、これは好ましいことではない。
【0008】
上述のような金型の別の欠点は、可動ロッドの増加が可動ロッドの動作機構の増加をもたらし、それによってその金型が装着される押出しブロー成形機の大型化や複雑化を招くことになるという点である。
【0009】
そのため、1つ(または複数)の内部コンポーネントを備えるタンクの加工コストは、その(またはそれらの)内部コンポーネントを固定するために必要な可動ロッドの数が増えれば、その分かさむことがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 2008/138869
【特許文献2】US 2014/265052
【特許文献3】WO 2007/090453
【特許文献4】EP 1 211 196
【特許文献5】EP 3 946 905
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、1つ(または複数)の内部コンポーネントを具備するタンクを、パリソンの内側の内部コンポーネントの固定部の数にかかわりなしに、変形を生じることなく、より少ないコストで加工することが保証される金型を供給することによって、上述の欠点に対処することを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形加工する金型であって、タンクは、中空体の成形時にパリソンの内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネントを具備し、金型は、互いに相手方に対して移動可能な2つの部分を有し、互いが相手方に対して閉ざされたときに、加工すべき中空体の所定の形状を複製するための成形面全体の内側を画定し、金型の部分の少なくとも一方が、
- 加工すべき中空体の第1の部位の第1の成形面を有する少なくとも1つの第1のセクションであって、該第1の成形面が、該少なくとも1つの内部コンポーネントをパリソンの内側に固定するゾーンを押圧によって形成するように構成された少なくとも1つの支承領域を備える、第1のセクションと、
- 加工すべき中空体の第2の部位の第2の成形面を有する第2のセクションと
を備え、
金型の部分の第2のセクションが、金型の部分に付随する少なくとも1つの第1のセクションに対して、金型の部分の少なくとも中間閉位置と最終閉位置との間で可動である、金型において、金型の部分の第1の成形面が、複数の支承領域を有し、該少なくとも1つの内部コンポーネントの複数の固定ゾーンをパリソンの内側に押圧によって同時に形成するように構成されることを特徴とする、金型に関する。
【0013】
有利には、本発明によれば、金型は、1つまたは複数の内部コンポーネントを、複数の可動ロッドの助けを借りることなく固定することができ、その場合、可動ロッドは、1つ(または複数)の内部コンポーネントの複数の固定ゾーンにパリソンを同時に押し付けることができるだけの十分な広さのある成形面を有する金型セクションによって置き換えられる。
【0014】
本発明は、コスト面での利得のほか、パリソンと固定ゾーンが接触する際のパリソンの材料の局所的な変形を防ぐこともできる。これは、第1の成形面が、1つ(または複数)の内部コンポーネントとパリソンの内側との各固定ゾーンの間に広がること、つまり、特にそれらを包含することによる。このような形をとることにより、各々の固定ゾーンのあたりで材料の厚さが減ずることはなく、その固定ゾーンの周囲における材料の波打ちも防ぐ。
【0015】
本発明による金型の別の利点は、その金型を装着した押出しブロー成形機の大型化や複雑化を防ぐことができるところにあり、それは固定ゾーンの数やタンク完成時の内部コンポーネントの数がどうあろうと変わらない。
【0016】
本発明は、任意選択による以下の特徴のいずれか1つまたは複数を単独で、または組み合わせて備えるものであることもできる。
【0017】
金型の部分の第1の成形面は、金型の部分に付随する支承領域が含まれる外接面に沿って広がるように構成することができる。そして、第1の成形面を有する各々の部分は、中間閉位置ではパリソンに向かう1つだけの面を有し、それによって、第1の成形面とは別の各支承領域によって、金型の部分の該少なくとも1つの内部コンポーネントの所定の複数の固定ゾーンまたはすべての固定ゾーンに従って、パリソンを同時に固定する。
【0018】
金型の部分の第1の成形面の外接面は、金型の部分に付随する該少なくとも1つの内部コンポーネントの支承領域の少なくとも周辺では、所定の余裕距離をもつことができ、それによって各々の固定ゾーン周辺での材料の波打ちを抑える。すると、第1の成形面は、より広い1つだけの面を該少なくとも1つの内部コンポーネントの固定ゾーンの周辺に備えることにより、パリソンの内側の該少なくとも1つの内部コンポーネントの固定ゾーンの近辺に極端な起伏の差を生じるのを防げることがわかる。少なくとも支承領域周辺における所定の余裕距離は、1mm~60mmであることができる。
【0019】
金型の部分の第1の成形面の外接面は、成形面全体の少なくとも30%であることが好ましい。実施形態により、すなわち、金型の1つの部分だけ、または金型の2つの部分が少なくとも1つの第1のセクションを有している場合、その少なくとも1つの第1の金型セクションの百分比率合計は、それぞれ成形面全体の少なくとも30%、または少なくとも60%となることは直ちにわかる。しかし、金型の部分の第1の成形面の外接面は、本発明の枠から外れることなく、成形面全体の20%から40%までであることが可能で、すなわち、たとえば、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%または40%であることができる。
【0020】
そのため、第1の実施形態によれば、金型の各々の部分は、少なくとも1つの第1のセクションと1つの第2のセクションとを備えることができ、第2の実施形態によれば、金型の部分のうちの1つだけが、少なくとも1つの第1のセクションと1つの第2のセクションとを備える。典型的には、第2の実施形態では、金型の第1の部分は、少なくとも1つの第1のセクションと1つの第2のセクションを備え、金型の第2の部分は、単一ブロックセクションのみを備えることができる。
【0021】
金型の各々の部分の少なくとも1つの第1の金型セクションは、最終閉位置では、金型の部分に付随するその第2のセクションによって取り囲まれることが好ましい。そのため、該少なくとも1つの内部コンポーネントは、中空体の中に完全に包み込まれる。
【0022】
第1の実施形態では、金型の各々の部分の少なくとも1つの第1の金型セクションは、該少なくとも1つの内部コンポーネントそのものにパリソンを押し付けて、該少なくとも1つの内部コンポーネントそのものを中空体の成形時にパリソンの内側に固定するための該少なくとも1つの内部コンポーネントそのものの少なくとも2つの異なる固定ゾーンを形成するように構成された少なくとも1つの支承領域を備えることができる。金型の第1の部分の少なくとも1つの第1のセクションの少なくとも1つの支承領域は、金型の第2の部分の少なくとも1つの第1のセクションの支承領域の少なくとも1つの部分に対して心合せされ、すなわちその鉛直上に位置し、内部コンポーネントのほぼ対向する2つの領域をパリソンの内側の2つの別々の領域に同時に固定することが理解される。それにより、第1の金型セクション同士は該少なくとも1つの内部コンポーネントを締め付ける万力のように働く。
【0023】
どのような実施形態であれ、金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションは、とりわけ支承領域の1つなどに、中空体の成形時にパリソンを吸引するための少なくとも1つの吸引要素を備えることができる。それにより、パリソンは第1の成形面に確実に張り付けられ、それによってパリソンの局所的変形も防ぐことができる。
【0024】
金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションは、該少なくとも1つの内部コンポーネントであってもなくてもよい1つの部品であって、中空体の第1の部位とともに成形されることになる部品の把持要素、加熱要素、および把持加熱複合要素の中から選ばれる要素を備えることができる。そのため、中空体の第1の部位に対してその成形時に部品を連結することができる。一例では、把持要素はクランプまたは吸引要素であり、加熱要素は電気加熱器である。一例では、部品は金属製のファスナまたは繊維補強材である。別の例では、加熱要素はハイドロヒータである。
【0025】
金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションは、パリソンの内側に加圧気体を導入するためのブロー器具を備えることができる。1つの例では、ブロー器具はブローニードルである。ブロー器具が必要である場合、この形をとることで、得られるタンクの蒸発性能や機械的性能の低下を来したり、加工中にタンクが被る変形のリスクを高めたりすることになりかねない第2の金型セクション内へのブロー器具の配置を回避することができる。
【0026】
金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションは、中空体の第1の部位を冷却するための第1の冷却装置を備えることができる。それにより、中空体の加工中にその第1の部位のいかなる変形も防ぐことができる。
【0027】
金型の部分の第2のセクションは、中空体の第2の部位を冷却するための第2の冷却装置を備えることができる。それにより、中空体の加工中にその第2の部位のいかなる変形も防ぐことができる。
【0028】
有利には、第1の冷却装置と第2の冷却装置は、同じ冷却回路の一部をなす。それにより、金型の温度を均一にすることができる。
【0029】
金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションは、金型のモジュール性を高めるために複数の第1のセクションを有するものであることができる。
【0030】
本発明は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形する機械であって、上述のような金型を備えることを特徴とする機械にも関する。そのため、その成形機は、その金型に付随するすべての利点の恩恵に与かる。
【0031】
本発明は、最後に、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体をパリソンから押出しブロー成形する方法であって、タンクは、中空体の成形時にパリソンの内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネントを備える方法において、
a) 該少なくとも1つの内部コンポーネントおよび溶融状態のパリソンを、該少なくとも1つの内部コンポーネントがパリソンによって取り囲まれるように、2つの部分に開かれた金型内に導入するステップであって、金型の少なくとも1つの部分が、金型の成形面全体の第1の成形面と第2の成形面の内側をそれぞれ画定する少なくとも1つの第1のセクションと1つの第2のセクションとを備える、ステップと、
b) 金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションを移動させて、金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションによってパリソンが該少なくとも1つの内部コンポーネントに押し付けられ、該少なくとも1つの内部コンポーネントがパリソンの内側に固定される中間閉位置に金型を持っていくステップであって、第1の成形面が、パリソンの内側に該少なくとも1つの内部コンポーネントの複数の固定ゾーンを押圧によって同時に形成するように構成される、ステップと、
c) 金型の部分の第2のセクションを金型の部分の少なくとも1つの第1のセクションに対して移動させて、金型の2つの部分が互いに閉ざされ、加工すべき中空体の所定の形状を複製するための成形面全体の内側が画定される最終閉位置に金型を持っていくステップと、
d) 加圧気体を用いて金型の成形面全体に該パリソンを張り付けるようにしてパリソンのブローを行うステップと、
e) 加工された中空体を取り出すために金型を開くステップと
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0032】
本発明による成形の方法は、好ましくは押出し成形されたパリソンを使用する。本発明によれば、各々の内部コンポーネントの周りにパリソンを押出し成形するか、またはパリソン内に各々の内部コンポーネントを挿入するかして、各々の内部コンポーネントがパリソンによって取り囲まれる。内部コンポーネントがパリソン内に挿入される場合は、パリソンは、ロボットを使って開いた金型内に導かれる。
【0033】
押出し成形されたパリソンは、内部コンポーネントをパリソンとの衝突の危険なく挿入できるように引き伸ばすことが可能で、その引伸ばしは、しかるべき装置によって行うことができる。1つの例では、本発明による成形の方法は、たとえば特許文献1で符号6を与えられているもののようなタイプのパリソンを開いた状態で保持するためのパリソン引張器具を使用する。この器具は、パリソンの縁どうしをつかんで間隔を保持するクランプ、ジョーまたはアゴであることができる。この器具は、ロボットによって駆動することができる。
【0034】
本発明は、任意選択による以下の特徴のいずれか1つまたは複数を単独で、または組み合わせて備えるものであることもできる。
【0035】
好ましくは、ステップa)とステップb)との間でパリソンの内側に加圧気体を導入して該パリソンの予備ブローを行う。このような気体導入は、特許文献1のステップb)に従って行うことができるもので、それによってパリソンの厚さを均一にしながらパリソンを膨らませることなどを行う。ステップd)よりも低い圧力での気体の導入は、当業者には周知の様々な方法で行うことができる。何ら限定的でない例として、予備ブローのための気体の導入は、ステップd)を行うために使用されるブロー器具によって、金型に取り付けられた専用器具によって、内部コンポーネントを支える中空のロッドによって、またはパリソンの押出しヘッドに備えられたノズルによって行うことができる。
【0036】
ステップb)で、該少なくとも1つの内部コンポーネントは、溶接、リベット接合または機械的アンカー留めによってパリソンの内側に固定することができる。
【0037】
本発明のその他の特徴および利点は、何ら限定的でない例として、添付の図面を参照しながら行う以下の説明を通して明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態による、開位置の金型の透過部分側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、中間閉位置の金型の透明部分側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、開位置の金型の部分の正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による、開位置の金型の部分の斜視図である。
【
図5】本発明による金型の第1の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図6】本発明による金型の第1の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図7】本発明による金型の第1の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図8】本発明による金型の第2の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図9】本発明による金型の第2の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図10】本発明による金型の第2の実施形態の連続する各位置における概略断面図である。
【
図11】本発明による金型の部分の断面図であって、吸引要素を示した図である。
【
図12】本発明による金型の部分の断面図であって、ブロー器具を示した図である。
【
図13】本発明による金型の部分の断面図であって、非作動状態の把持要素を示した図である。
【
図14】本発明による金型の部分の断面図であって、作動状態の把持要素を示した図である。
【
図15】本発明による金型の部分の断面図であって、非作動状態の把持電気加熱複合要素を示した図である。
【
図16】本発明による金型の部分の断面図であって、非作動状態の把持ハイドロ加熱複合要素を示した図である。
【
図17】本発明による金型の部分の断面図であって、冷却装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
異なる図面の間で同一または類似の要素に対しては、同じ符号が、時に添字を伴った形で与えられる。そうした場合、それぞれの構造や機能について逐一説明を繰り返すことはない。
【0040】
以下では、向きは図面の向きとする。具体的には、「より上」、「より下」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、「前方へ」、「後方へ」は、各図面に示されている向きに関してのものを一般に意味する。
【0041】
「タンク」とは、液体を多様かつ多岐にわたる使用条件および環境条件のもとで貯蔵することのできる封止されたタンクをいう。本発明による金型を使って加工されるタンクは、プラスチック材料製の壁によって製造される。タンクの壁は、内側面と外側面を有する。内側面はタンクの内部容積の方を向いた面であり、外側面はタンクの外部容積の方を向いた面である。
【0042】
「プラスチック材料」とは、少なくとも1つの合成樹脂ポリマーを含んだあらゆる物質をいう。これにはあらゆるタイプのプラスチック材料が適合する。特に適したプラスチック材料は、熱可塑性材料のカテゴリーに属するものである。
【0043】
「熱可塑性材料」とは、熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマーおよびその混合物をいう。「ポリマー」という用語は、単独重合体のことも共重合体(特に二元共重合体、または三元共重合体)のこともいう。こうした共重合体の例としては、これだけに限らないが、ランダム分布した共重合体、シーケンシャル共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体がある。
【0044】
溶融温度が分解温度よりも低いあらゆるタイプの熱可塑性の重合体または共重合体が適している。少なくとも摂氏10度(10℃)にわたる溶融範囲を有する熱可塑性合成材料であれば、とりわけ好適である。そうした材料の例としては、分子量が多分散の材料がある。
【0045】
具体的には、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミドおよびそれらの共重合体が使用可能である。また、重合体または共重合体の混合物を使用することも、また、ポリマー材料を、無機、有機および/または天然のフィラー、たとえば、これだけに限らないが、炭素、塩およびその他の無機誘導体、天然繊維またはポリマー繊維などとの混合物の形で使用することもできる。さらに、前述の重合体または共重合体の少なくとも1つを含む一体化された積層からなる多層構造のものを利用することもできる。
【0046】
しばしば利用される重合体は、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(PEHD)では優れた結果が得られている。
【0047】
1つの例では、本発明による金型を用いて加工されるタンクは、少なくとも1つの熱可塑性材料の層と、有利には液体および/または気体に対するバリア材料からなるものであることができる少なくとも1つの追加の層とを備える多層構造もつ燃料タンクである。好ましくは、バリア層の性状および厚さは、タンクの壁と接する液体および気体の浸透性が最大限制限されるように選択される。好ましくは、この層はバリア材料、すなわち燃料不透過性の樹脂、たとえばEVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体部分加水分解物)のような材料を主体としたものである。あるいは、燃料に対する不透過性をもたせるように、タンクに表面処理(フッ素化またはスルホン化)を施すことができる。
【0048】
「パリソン」とは、一般に押出しによるほぼ筒状の単一部品からなる予備成形品であって、成形後、すなわち溶融状態のパリソンを金型によってタンクを得るために必要とされる形状および寸法にする作業を終えた後は、タンクの壁となる予備成形品をいう。
【0049】
「内部コンポーネント」とは、通風、補強、流体の圧送、流体のレベル測定、タンク内の流体の波動による騒音の低減など、タンクにおいて果たすべき一定の機能を有するコンポーネントをいう。1つの例では、内部コンポーネントは、タンクの内側面の対向する2つの側面の間をつなぐ補強支柱である。
【0050】
金型の「第1のセクション」と「第2のセクション」とは、それぞれ、金型の部分の少なくとも1つに位置する成形要素の第1の要素と第2の要素をいう。
【0051】
「第1の成形面」とは、中空体の第1の部位の成形スペースを画定する金型の少なくとも1つの第1のセクションの内側面をいう。この内側面は、底面と、その底面から突き出た部分とを備える。
【0052】
「第2の成形面」とは、中空体の第2の部位の成形スペースを画定する金型の第2のセクションの内側面をいう。この内側面は、底面と、その底面から突き出た部分とを備える。
【0053】
「第1の成形面は成型面全体の少なくとも30%に当たる」とは、第1の成形面の面積が、成形面全体の面積の100%に厳密に満たない限りで、成形面全体の面積の30%以上であることをいう。
【0054】
有利には、成形の2つの部分の成形面の合計は、成形面全体に等しい。そのため、金型の2つの部分は、タンクの中空体全体を加工するものとして十分である。
【0055】
「プラスチック溶接」とは、熱可塑性材料製の2つの部品を溶接するために用いられる技法を総称していう。例を挙げると、プラスチック溶接は、内部コンポーネントとパリソンのそれぞれの材料が溶接に対応できるものである限りにおいて、金型の少なくとも1つの第1のセクションの各々の支承領域の押圧によって、溶融状態にあるパリソンの内部と、該少なくとも1つの内部コンポーネントの固定ゾーンとの境界に接触圧力を加えることからなるものであることができる。プラスチック溶接を円滑にするため、該少なくとも1つの内部コンポーネントの固定ゾーンは、あらかじめ加熱することによって軟化させ、溶融させることが好ましい。
【0056】
「リベット接合」とは、内部コンポーネントをパリソンに固定するために利用される技法の総称であり、特に内部コンポーネントとパリソンのそれぞれの材料が溶接に対応できるものでない場合に、金型の少なくとも1つの第1のセクションの各々の支承領域の押圧によって、パリソンの一部分がそのクリープによって内部コンポーネントの凹所内に入り込むようにする。パリソンが硬化すると、リベット接合は、凹所の形状によって、硬化したパリソンに対するコンポーネントの脱落を妨げることができる。パリソンおよびコンポーネントの凹所の硬化後の形状の例は、特許文献3の
図1および
図2にそれぞれ5および3の符号で示されている。
【0057】
「機械的アンカー留め」とは、内部コンポーネントをパリソンに固定するために利用される技法の総称であり、特に内部コンポーネントとパリソンのそれぞれの材料が溶接に対応できるものでない場合に、金型の第1のセクションの各々の支承領域の押圧によって、内部コンポーネントの一部分がパリソンの中にそのクリープによって入り込むようにする。パリソンが硬化すると、機械的アンカー留めは、パリソン内に入り込んだ内部コンポーネントの形状によって、硬化したパリソンに対する内部コンポーネントの脱落を妨げることができる。パリソンおよび内部コンポーネントの貫入部分の硬化後の形状の例は、文献特許文献4の
図10にそれぞれ116および102の符号で示されている。
【0058】
当業者であれば周知の押出しブロー成形機器が、本明細書に記す例外を除き、通常と変わらない形で採り入れられる。そのため、内部コンポーネント支持部(ロッドなど)、ブロー手段、パリソンの加工手段、内部コンポーネントの周りのパリソン分離案内手段のような通常機器、または特許文献1(特に符号3、6、7および7’)などで説明されているような予備ブローを行うためのパリソンの封止手段については、本明細書では逐一記さない。
【0059】
以下の実施形態は例である。説明では1つまたは複数の実施形態を参照するが、それだからと言って、各々の参照事例が必ずしも同じ実施形態に関するものであるわけでもなければ、特徴が1つの実施形態にのみ当てはまるわけでもない。様々な実施形態の個々の特徴が、他の実施形態を提供するために組み合わされ、かつ/または入れ替えられてもよい。
【0060】
本明細書では、ある特定の要素またはパラメータについて、たとえば第1の要素または第2の要素、第1のパラメータおよび第2のパラメータ、さらには第1の基準および第2の基準、などというように番号が振られることがある。それらは、要素、パラメータまたは基準として似通ったものでありながら、同一ではないものを区別し、命名するためだけの番号付けである。その番号付けは、要素間、パラメータ間または基準間に優先順位を付けるものではなく、本明細書の枠を外れることなしにそれぞれの呼び名を容易に入れ替えることができる。この番号付けはまた、たとえば何らかの基準によって評価するための時間的な順序を生じさせるものでもない。
【0061】
図1および
図2は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体10をパリソン20から押出しブロー成形加工するための金型1を示しており、タンクは、中空体の成形時にパリソンの内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネント30を備える。より具体的には、
図1は開位置にある金型1を示しており、
図2は中間閉位置にある金型を示している。以下に説明するように、中空体10は、金型1が最終閉位置(
図7および
図10に図示)にあるときに得られる。
【0062】
金型1は、互いに相手方に対して移動可能な2つの部分1aおよび1bであって、(
図7および
図10に示すように)互いが相手方に対して閉ざされたときに、加工すべき中空体10の所定の形状を複製するための成形面全体、またはキャビティ2の内側を画定する、2つの部分を備える。
【0063】
本発明によれば、金型1の部分1a、1bの少なくとも一方は、
- 加工すべき中空体10の第1の部位の第1の成形面11、11a、11bを有する少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bであって、該第1の成形面11、11a、11bが、パリソン20の内側を該少なくとも1つの内部コンポーネント30と固定するゾーンを押圧によって形成するように構成された少なくとも1つの支承領域5を備える、第1のセクション3、3a、3bと、
- 加工すべき中空体10の第2の部位の第2の成形面12、12a、12bを有する第2のセクション4、4a、4bと
を備える。
【0064】
金型1の部分1a、1bの第2のセクション4、4a、4bは、金型1の部分1a、1bに付随するその少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bに対して、金型1の部分1a、1bの少なくとも1つの中間閉位置(
図2、
図6および
図9に図示)と、金型1の部分1a、1bの最終閉位置(
図7および
図10に図示)との間で可動である。
【0065】
有利には、本発明によれば、金型1の部分1a、1bの第1の成形面11、11a、11bは、
図3および
図4に示すように複数の支承領域5を有しており、支承領域5が該少なくとも1つの内部コンポーネント30の複数の固定ゾーンをパリソン20の内側に押圧によって同時に形成するように構成される。
【0066】
そのため、金型1の部分1a、1bの第1の成形面11、11a、11bは、
図3に示すように、金型1の部分1a、1bの支承領域5を、さらには金型1の部分1a、1bに付随する支承領域5全体を含んだ外接面Sc(
図3の破線)に沿って広がるように構成することができる。
図3に破線で示された外接面Scは1つの例に過ぎず、支承領域5は互いに直線セグメントで連結されたものでなくてもよく、本発明の枠から外れることなく、曲線セグメントで連結されてもよいことは、言うまでもない。
【0067】
そして、第1の成形面11、11a、11bを有する各々の部分1a、1bは、中間閉位置(
図2、
図6、
図9に図示)ではパリソン20に向かう1つだけの面を有しており、それによって、第1の成形面11、11a、11bとは別の各支承領域5によって、金型1の部分1a、1bの該少なくとも1つの内部コンポーネント30の所定の複数の固定ゾーンまたはすべての固定ゾーンに従って、パリソンを同時に固定する。
【0068】
各々の第1の成形面11、11a、11bの外接面Scは、金型1の部分に付随する該少なくとも1つの内部コンポーネント30の支承領域5の少なくとも周辺では、所定の余裕距離をもつことができ、それによって各々の固定ゾーン周辺での材料の波打ちが抑えられる。支承領域5の少なくとも周辺の所定の余裕距離は、1mm~60mmであることができる。当然のことながら、所定の余裕距離は、各々の支承領域5についても、または各々の支承領域の間でも、必ずしも一定である必要はない。
図3は、別の例の外接面Scの周辺で所定の余裕距離が一定でない第1の成形面11の例を破線で示したものであるが、本発明はそれだけに限られるものではない。
【0069】
金型1の部分1a、1bの第1の成形面11、11a、11bの外接面は、成形面全体の少なくとも30%であることが好ましい。実施形態により、すなわち、金型1の部分1a、1bのうち1つだけ、または金型1の2つの部分1a、1bが、金型1の少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bを有している場合、金型1のその少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bの百分比率合計は、それぞれ成形面全体の少なくとも30%、または少なくとも60%となることは直ちにわかる。しかし、金型の部分1a、1bの第1の成形面11、11a、11bの外接面Scは、本発明の枠から外れることなく、成形面全体の20%から40%の範囲であることが可能で、すなわち、たとえば、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%または40%であることができる。
【0070】
図5~
図7は、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体10をパリソン20から押出しブロー成形する機械100を示している。機械100は、上で第1の実施形態に従って紹介した金型1を備える。
図5は金型1が開位置(金型1開)、
図6は金型1が中間閉位置、
図7は金型が最終閉位置にあるところを示している。
【0071】
中間閉位置では、金型1の少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bが金型1の第2のセクション4、4a、4bから突出する。最終閉位置では、金型1の第2のセクション4、4a、4bが、位置を変えていない金型1の少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bを取り囲み、第1の成形面11、11a、11bおよび第2の成形面12、12a、12bが一体となって成形面全体、またはキャビティ2を形成する。
【0072】
金型1の少なくとも1つの第1のセクション3、3a、3bは、該少なくとも1つの内部コンポーネント30にパリソン20を押し付けて、該少なくとも1つの内部コンポーネント30そのものを中空体10の成形時にパリソン20の内側に固定するための該少なくとも1つの内部コンポーネント30そのものの少なくとも2つの異なる固定ゾーンを形成するように構成された支承領域5を備える。
【0073】
有利には、各々の支承領域5は、中空体10の成形時に、該少なくとも1つの内部コンポーネント30をパリソン20の内側に固定するための溶接、リベット接合または機械的アンカー留めが可能となるように構成される。それにより、各々の支承領域は、溶接、リベット接合および機械的アンカー留めを容易にするための幾何形状、機械的特徴および/または材料を含むことができる。何ら限定的でない例として、支承領域5は、パリソンおよび内部コンポーネントの固定ゾーンの溶融温度を上回る溶融温度をもつ材料からなる平坦面を備えることができ、それによって、支承領域の押圧によって少なくとも1つの溶接による固定ゾーンが、パリソンと内部コンポーネントの固定ゾーンとの間に形成されるようにする。追加として、または代替法として、支承領域は、リベット接合を容易にするための突出部および/または機械的アンカー留めを容易にするための凹所を備えることもできることは言うまでもない。
【0074】
金型1の第1の部分1aは、金型1の少なくとも1つの第1のセクション3aを備え、金型1の第2の部分1aは、金型1の少なくとも1つの別の第1のセクション3bを備える。金型1の少なくとも1つの第1のセクション3aは、金型1の少なくとも1つの別の第1のセクション3bに対して、金型1の開位置と中間閉位置との間で可動である。金型1の各々の部分1a、1bの少なくとも1つの第1のセクション3a、3bは、開位置から中間閉位置に、またその逆に移行するための第1のアクチュエータ6を備える。
【0075】
金型1の第1の部分1aは、金型1の1つの第2のセクション4aを備え、金型1の第2の部分1bは、金型1の別の第2のセクション4bを備える。金型1の第2のセクション4a、4bは、金型1の中間閉位置と最終閉位置との間で互いに相手方に対して可動である。金型1の各々の第2のセクション4a、4bは、中間閉位置から最終閉位置に、またその逆に移行するための第2のアクチュエータ7を備える。
【0076】
図11に示した例では、金型の少なくとも1つの第1のセクション3は、少なくとも1つの支承領域5に、中空体10の成形時にパリソン20を吸引するための少なくとも1つの吸引要素14bを備える。第1の成形面11の底もまた、少なくとも1つの吸引要素14aを備えることも見て取れる。さらに、複数の吸引要素14aが互いに連結されており、連絡路14cを通して、真空機械のような吸引装置(図示せず)と連通する様子もわかる。そのため、パリソン20は、第1の成形面11に確実に張り付けられ、それによってパリソン20の局所的変形も防ぐ。
【0077】
図13~
図16に示した例では、金型1の少なくとも1つの第1のセクション3は、該少なくとも1つの内部コンポーネント30であってもなくてもよい1つの部品31であって、中空体10の第1の部位とともに成形されることになる部品の把持要素15、加熱要素16、16’、把持15と加熱16、16’の複合要素の中から選ばれる要素を備え、その場合、把持要素はクランプ15aまたは吸引要素であることができる。
図13および
図14の例では、クランプ15aは、アクチュエータ15bによって開位置(
図13)から閉位置(
図14)に移行し、たとえば特許文献5で説明されているように、パリソン20を部品31に対して押し当てることができる。
図15の例にある加熱要素16は、電気加熱装置16aである。一方、
図16の例の加熱要素16’は、パリソン20を少なくとも局所的に再加熱するためのハイドロヒータ16’aである。部品31は、一例では、金属製のファスナまたは繊維補強材である。
【0078】
図12に示した例では、金型1の少なくとも第1のセクション3は、パリソン20の内側に加圧気体を導入するためのブロー器具13を備える。
図12で見て取れるように、ブロー器具13は、ステップd)を実行するためにパリソン20に穴をあけることができるブローニードル13aを備える。ニードル13aは、少なくとも1つの第1のセクション3内の引込位置から第1の成形面11底の突出位置に、またその逆に移行するように、アクチュエータ13bによって第1の成形面11に対して可動に取り付けられていることも見て取れる。
【0079】
図17に示した例では、金型1の部分1aの少なくとも1つの第1のセクション3および/または第2のセクション4は、中空体10の部位を冷却するための冷却装置17を備えている。金型1の少なくとも1つの第1のセクション3aは、中空体10の第1の部位を冷却するための冷却要素17aを備える。金型1の第2のセクション4aは、中空体10の第2の部位を冷却するための冷却要素17bを備える。当然のことながら、冷却要素17a、17bは、冷却装置17と同じハイドロ回路の一部をなすものであることができる。
【0080】
図5~
図7にさらに示されているのは、自動車両用プラスチック材料製タンクの中空体10をパリソン20から押出しブロー成形する方法であって、タンクは、中空体10の成形時にパリソン20の内側に固定される少なくとも1つの内部コンポーネント30を備える方法において、
a) 該少なくとも1つの内部コンポーネント30および溶融状態のパリソン20を、該少なくとも1つの内部コンポーネント30がパリソン20によって取り囲まれるように、2つの部分1a、1bに開かれた金型1内に導入するステップであって、該金型1の部分1a、1bのうち少なくとも1つが、金型1の成形面全体の第1の成形面11と第2の成形面12の内側をそれぞれ画定する少なくとも1つの第1のセクション3と1つの第2のセクション4を備える、ステップと、
b) 金型1の部分1a、1bの少なくとも1つの第1のセクション3を移動させて、少なくとも1つの第1のセクション3によってパリソン20が該少なくとも1つの内部コンポーネント30に押し付けられ、該少なくとも1つの内部コンポーネント30がパリソン20の内側に固定される中間閉位置に金型1を持っていくステップであって、第1の成形面11が、パリソン20の内側に該少なくとも1つの内部コンポーネント30の複数の固定ゾーンを押圧によって同時に形成するように構成される、ステップと、
c) 金型1の部分1a、1bの第2のセクション4を金型1の部分1a、1bの少なくとも1つの第1のセクション3に対して移動させて、金型1の2つの部分1a、1bが互いに閉じ、加工すべき中空体10の所定の形状を複製するための成形面全体の内側を画定する最終閉位置に金型1を持っていくステップと、
d) 加圧気体を用いて金型1の成形面全体に該パリソン20を張り付けるようにしてパリソン20のブローを行うステップと、
e) 加工された中空体10を取り出すために金型1を開くステップと
を含むことを特徴とする方法である。
【0081】
好ましくは、ステップa)とステップb)との間でパリソン20の内側に加圧気体を導入して該パリソンの予備ブローを行う。このような気体導入は、特許文献1のステップb)に従って行うことができるもので、それによってパリソンの厚さを均一にしながらパリソンを膨らませることなどができる。ステップd)よりも低い圧力での気体の導入は、当業者には周知の様々な方法で行うことができる。何ら限定的でない例として、予備ブローのための気体の導入は、ステップd)を行うために使用されるブロー器具によって、金型に取り付けられた専用器具によって、内部コンポーネントを支える中空ロッドによって、またはパリソンの押出しヘッドに備えられたノズルによって行うことができる。
【0082】
有利には、ステップb)で、該少なくとも1つの内部コンポーネント30は、溶接、リベット接合または機械的アンカー留めによってパリソン20の内側に固定される。
【0083】
金型1の最終閉位置では、10バール(1MPa)前後のブロー圧力でステップd)のブローが行われる。ブロー圧力が金型の少なくとも1つの第1のセクション3を介してアクチュエータ6に作用することがないように、応力は、成形機100と一体をなす支持プレート9に伝えられる。
【0084】
図8~
図10は、金型1の第2の実施形態を示している。第2の実施形態は、金型1の第2の部分1bが単一成型セクション8をなすところが、第1の実施形態とは異なる。つまり、
図8~
図10では、
図5~
図7の第1の実施形態にあった金型1の部分1bの少なくとも1つの第1のセクション3bおよび第2のセクション4bが、単一成型セクション8に置き換えられている。それにより、金型1の構成に必要な部品の数が減らされて、金型1をよりシンプルなものにすることができる。
【0085】
本発明は、紹介した実施形態および変形形態だけに限定されるものではなく、当業者にはそれ以外の実施形態および変形形態も明らかとなろう。したがって、上記の実施形態は例に過ぎない。説明では1つまたは複数の実施形態を参照しているが、それだからと言って、各々の参照事例が必ずしも同じ実施形態に関するものであるわけでもなければ、特徴が1つの実施形態にのみ当てはまるわけでもない。様々な実施形態の個々の特徴が、他の実施形態を提供するために組み合わされ、かつ/または入れ替えられてもよい。何ら限定的でないものとして、第2の実施形態では、成形機100をさらに一段とシンプルにするために、単一のアクチュエータ7を使用して第2のセクション4aを単一成型セクション8の方に移動させる(したがって単一成型セクションの方は止まったまま)ことも考えられる。同様に、図面では、金型1の部分1a、1bの第1のセクション3a、3bは1つのみの存在が示されているが、金型1の少なくとも1つの第1のセクション3a、3bが複数の第1のセクション3a、3bを、たとえば2つ、3つ、4つ、5つ6つ、7つ、8つ、9つ、または10の第1のセクション3a、3bを備えることも考えられる。
【符号の説明】
【0086】
1 金型
1a 金型の第1の部分
1b 金型の第2の部分
2 金型のキャビティ
3、3a、3b 金型の第1のセクション
4、4a、4b 金型の第2のセクション
5 支承領域
6 第1のアクチュエータ
7 第2のアクチュエータ
8 単一成型セクション
9 支持プレート
10 中空体
11、11a、11b 第1の成形面
12、12a、12b 第2の成形面
13 ブロー器具
13a ブローニードル
13b ブローニードルのアクチュエータ
14 吸引要素
14a 底の吸引要素
14b 支承領域5の吸引要素
14c 吸引装置への連絡路
15 把持要素
15a クランプ
15b アクチュエータ
16、16’ 加熱要素
16a 電気加熱器
16’a ハイドロヒータ
17 冷却装置
17a 第1のセクション3aの冷却要素
17b 第2のセクション4aの冷却要素
20 パリソン
30 内部コンポーネント
31 部品
100 押出しブロー成形機
【国際調査報告】