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特表2024-513564衝撃打撃試験に基づく固形薬剤型の物理的強度またはロバスト性を評価するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-26
(54)【発明の名称】衝撃打撃試験に基づく固形薬剤型の物理的強度またはロバスト性を評価するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20240318BHJP
   G01N 3/303 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01N3/00 L
G01N3/303 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561648
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022024010
(87)【国際公開番号】W WO2022217043
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/173,102
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300022641
【氏名又は名称】アストラゼネカ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルフスバン,ファルハン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ブライアン
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA14
2G061AB04
2G061BA04
2G061CA20
2G061CB10
2G061CC12
2G061DA01
2G061DA12
2G061EA10
2G061EB03
2G061EC07
(57)【要約】
固形薬剤型試験装置および方法が提示される。固形薬剤型試験装置は、ストライカーコンポーネントと、衝撃プラットフォームと、センサデータ取得システムと、固形剤型配置機構とを含む。固形剤型配置機構は、互いに向かって可動である第1および第2プッシュコンポーネントを有して、固形剤型を衝撃部位に位置付ける。方法は、第1の複数の固形剤型に衝撃打撃試験を行うことと、複数のピーク衝撃力値を測定することとを含む。方法は、第2の複数の固形剤型に降下試験を行うことと、複数の物理的欠陥率を測定することとを含んでもよい。方法は、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明するモデルを決定することと、モデルに基づき、予測される物理的欠陥率を決定することとを含んでもよい。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカーコンポーネントと、
衝撃部位を提供するように構成されている衝撃プラットフォームと、
その中に前記ストライカーコンポーネントおよび前記衝撃プラットフォームが配置されている筺体であって、前記ストライカーコンポーネントを前記筺体内で前記衝撃部位の上方に脱着可能に吊るすように構成されている機構を含む筺体と、
前記ストライカーコンポーネントが、前記衝撃部位に向かって降下するように解放される際の、前記ストライカーコンポーネントの速度または運動エネルギーを示すセンサデータを取得するように構成されているセンサデータ取得システムと、
前記衝撃プラットフォームに連結されている第1プッシュコンポーネントおよび第2プッシュコンポーネントを有する固形剤型配置機構であって、前記第1プッシュコンポーネントは第1凹部を有し、前記第2プッシュコンポーネントは第2凹部を有し、前記衝撃部位は前記第1プッシュコンポーネントの前記第1凹部と前記第2プッシュコンポーネントの前記第2凹部との間に配置されている固形剤型配置機構と、を備え、
前記第1プッシュコンポーネントの前記第1凹部の凹部は、前記衝撃部位から離れている前記第1プッシュコンポーネントの内部に向かって内向きに延び、
前記第2プッシュコンポーネントの前記第2凹部の凹部は、前記衝撃部位から離れている前記第2プッシュコンポーネントの内部に向かって内向きに延び、
前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントは、互いに向かって可動に構成されて、前記第1凹部と前記第2凹部との間に配置される固形剤型を前記衝撃部位に位置付ける、固形薬剤型試験装置。
【請求項2】
前記第1凹部は、第1凹形角を形成し、前記第2凹部は、第2凹形角を形成し、
前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントは、前記固形剤型が前記衝撃部位に配置されている際に前記固形剤型を取り囲むように構成されている、請求項1に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントが互いに向かって動かされる際に前記第2凹部を受けるように適合される溝を形成する、請求項1または2に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項4】
前記筺体は、衝撃打撃試験の間に作られる破片を収容するための前記衝撃部位を取り囲む衝撃チャンバーを形成し、
前記固形薬剤型試験装置は、
(i)前記衝撃チャンバー内へと空気圧をかける気流を発生させるように構成されている気流ジェネレーター、または前記破片が前記衝撃チャンバーから離れていくことを防止するための負圧を発生させるように構成されているバキュームのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項5】
前記ストライカーコンポーネントは、前記衝撃部位に対向する丸みのある先端部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項6】
前記ストライカーコンポーネントは、1kg以下である質量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項7】
前記ストライカーコンポーネントは、0.5kg以下である質量を有する、請求項6に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項8】
前記筺体は、前記ストライカーコンポーネントが前記衝撃部位の上方で脱着可能に吊るされる最大距離を120cm、110cm、100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、40cm、30cm、20cm、10cm、5cm以下に制限する高さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項9】
第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットに衝撃打撃試験を行うことであって、前記衝撃打撃試験は、固形薬剤型試験装置のストライカーコンポーネントが前記第1の複数の錠剤または前記第1の複数の錠剤のセットを打撃して破壊することを含み、前記複数の錠剤の各錠剤または前記第1の複数のセットの各セットは、異なる各物理的特性を有する複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連付けられている、前記衝撃打撃試験を行うことと、
前記第1の複数の錠剤または前記第1の複数の錠剤のセットが前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けた衝撃力の各ピーク量を示す複数のピーク衝撃力値を前記衝撃打撃試験中に測定することであって、前記複数のピーク衝撃力値は、前記複数の錠剤種類に関連付けられている、前記複数のピーク衝撃力値を測定することと、
第2の複数の錠剤のセットに錠剤降下試験を行うことであって、前記錠剤降下試験は、前記第2の複数の錠剤のセットを固体表面に降下させることを含み、前記第2の複数のセットの各セットは、前記複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連付けられている、前記錠剤降下試験を行うことと、
前記錠剤降下試験に基づき、前記複数の錠剤種類に関連付けられている複数の物理的欠陥率を測定することと、
前記複数のピーク衝撃力値および前記複数の物理的欠陥率に基づき、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明するモデルを決定することと、
前記モデルに基づき、前記錠剤種類のうちの1つまたは追加の錠剤種類に対する予測される物理的欠陥率を決定することと、を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記複数の錠剤種類に関連付けられている前記異なる物理的特性は、前記錠剤種類ごとに、(i)前記錠剤種類の各製剤、または(ii)前記錠剤種類の各気孔率、のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の物理的欠陥率は、第1降下高さに関連付けられている第1の複数の物理的欠陥率であり、前記方法は、第2降下高さに関連付けられている第2の複数の物理的欠陥率を測定することをさらに備える、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の物理的欠陥率は、前記第2の複数の錠剤のセットの錠剤が前記錠剤降下試験中に前記固体表面へと降下される回数を示す第1降下回数に関連付けられている第1の複数の物理的欠陥率であり、前記方法は、第2降下回数に関連付けられている第2の複数の物理的欠陥率を測定することをさらに備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の錠剤種類の前記予測される物理的欠陥率を決定することは、
前記追加の錠剤種類に関連付けられている追加の錠剤に前記衝撃打撃試験を行うことであって、前記衝撃打撃試験は、前記ストライカーコンポーネントが前記追加の錠剤を打撃して破壊することを含む、前記衝撃打撃試験を行うことと、
前記追加の錠剤が前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けて壊れた衝撃力のピーク量を示す追加のピーク衝撃力値を測定することと、を含み、
前記追加の錠剤種類に対する前記予測される物理的欠陥率は、前記モデルおよび前記追加のピーク衝撃力値に基づいて決定される、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記衝撃打撃試験は、請求項1~8のいずれか一項に記載の固形薬剤型試験装置を使用して行われる、請求項9~13のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
固形薬剤型試験装置のストライカーコンポーネントが錠剤のセットを打撃して破壊する衝撃打撃試験中に前記固形薬剤型試験装置のセンサにより測定されるピーク衝撃力値を受信することであって、前記ピーク衝撃力値は、前記錠剤が前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けた衝撃力の平均ピーク量を示す、前記ピーク衝撃力値を受信することと、
前記ピーク衝撃力値に基づき、前記衝撃打撃試験で使用される前記錠剤のセットに関連付けられている錠剤種類に対する少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することであって、前記錠剤種類は、前記錠剤の物理的特性または物理的特性のセットに関連付けられており、前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率は、前記錠剤種類に属する錠剤が固体表面上に降下される場合に壊れる可能性を予測する、前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することと、を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することは、前記錠剤に対する複数の予測される物理的欠陥率を決定することを備え、前記複数の予測される物理的欠陥率は、前記錠剤が前記固体表面上へと降下されることができる複数の異なる降下高さに関連付けられている、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することは、前記錠剤に対する複数の予測される欠陥率を決定することを備え、前記複数の予測される物理的欠陥率は、前記錠剤の複数の異なる降下回数に関連付けられており、前記降下回数のそれぞれは、前記錠剤の1以上が前記固体表面上へと降下される回数を示す、請求項15または16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記ピーク衝撃力値に基づき、前記錠剤種類の前記錠剤が、壊れずにまたは前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率が所定の欠陥率閾値を超えることなく降下させることができる予測される最大高さを決定することをさらに備える、請求項15~17のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの物理的欠陥率は、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する記憶されたモデルに基づき決定される、請求項15~18のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃打撃試験に基づく錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレット等の固形薬剤型の物理的強度またはロバスト性を評価するための装置および方法を対象にしている。
【背景技術】
【0002】
固形薬剤型、例えば、錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレットは、薬または他の化合物がユーザの身体内に運ばれ得る態様を提供する。様々な薬剤または薬物製剤は、錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレットへと製造または形成され得る。いくつかの場合では、異なる製剤は、異なる機械的または他の物理的特性を有する錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレットを生み出し得る。
【発明の概要】
【0003】
上記を考慮して、本明細書中に提供されるのは、固形薬剤型、例えば、錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレットの靱性を評価するための固形薬剤型試験装置および方法である。一態様では、固形薬剤型試験装置は、ストライカーコンポーネントと、衝撃プラットフォームと、センサデータ取得システムと、ストライカーコンポーネント下に固形薬剤型を保持および適切に位置付けるための配置機構とを含む。配置機構は、互いに向かって可動となって固形薬剤型を衝撃部位に位置付ける第1プッシュコンポーネントと第2プッシュコンポーネントとを有する。方法は、第1の複数の固形薬剤型または第1の複数の固形薬剤型のセットに衝撃打撃試験を行うことと、複数のピーク衝撃力値を測定することとを含む。方法は、第2の複数の固形薬剤型のセットに落下試験を行うことと、複数の物理的欠陥率を測定することとをさらに含んでもよい。方法は、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明するモデルを決定することと、モデルに基づき予測される物理的欠陥率を決定することとをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本技術の上述および他の特性および態様は、以下の実施形態の説明から、および添付の図面に示されるように、よりよく理解されることが可能である。添付の図面は、本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を形成するが、本技術の本質を説明するためにさらに機能する。図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【0005】
図1A】本明細書中の実施形態による固形薬剤型試験装置の構成図を示す。
図1B】本明細書中の実施形態による固形薬剤型試験装置の構成図を示す。
図2A】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置の図を示す。
図2B】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置の図を示す。
図2BB】本明細書中の実施形態によるベンチトップでの使用のためにサイズ決めされた錠剤試験装置の正面図および側面図を示す。
図2C】本明細書中の実施形態によるセンサデータ取得システムを示す。
図2D】本明細書中の実施形態によるストライカーコンポーネントのための様々なタップインサートを示す。
図2E】本明細書中の実施形態による多数の錠剤を同時に打撃するための多数の先端を有するストライカーコンポーネントを示す。
図2F】本明細書中の実施形態による、錠剤を供給するためのカルーセルを示す、およびバキュームベースのクリアリングシステムを示す。
図2G】本明細書中の実施形態による、錠剤を供給するためのカルーセルを示す、およびスクレーパーベースのクリアリングシステムを示す。
図3A】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置を示す。
図3B】本明細書中の実施形態による錠剤配置機構を示す。
図3C】本明細書中の実施形態による錠剤配置機構を示す。
図3D】本明細書中の実施形態による錠剤配置機構を示す。
図4A】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置で行われている衝撃打撃試験を示す。
図4B】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置で行われている衝撃打撃試験を示す。
図4C】本明細書中の実施形態による錠剤試験装置で行われている衝撃打撃試験を示す。
図5】本明細書中の実施形態による衝撃チャンバーの開口部に向けて気流を与えるための気流ジェネレーターを示す。
図6】本明細書中の実施形態による錠剤のバッチの錠剤またはサンプルの強度を評価するための方法を示すフローチャートである。
図7】本明細書中の実施形態による様々な製剤および気孔率に関連するピーク衝撃力値を示す。
図8A】本明細書中の実施形態による衝撃打撃試験中にストライカーコンポーネントによって錠剤に与えられている力を示す。
図8B】本明細書中の実施形態による衝撃打撃試験中にストライカーコンポーネントによって錠剤に与えられている力を示す。
図8C】本明細書中の実施形態による衝撃打撃試験中に錠剤に与えられるピーク衝撃力およびエネルギーの様々な値を示す。
図8D】本明細書中の実施形態による衝撃打撃試験中に錠剤に与えられるピーク衝撃力およびエネルギーの様々な値を示す。
図8E】本明細書中の実施形態による、衝撃打撃試験中に錠剤が破壊される状況に対する力のプロファイルと、錠剤が分解しない状況に対する力のプロファイルとを示す。
図9A】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図9B】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図9C】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図9D】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図9E】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図9F】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連するピーク衝撃力および物理的欠陥率の様々な値を示す。
図10A】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連する靱性を測定するために使用されてもよい応力歪曲線を示す。
図10B】本明細書中の実施形態による様々な錠剤種類に関連する靱性を測定するために使用されてもよい応力歪曲線を示す。
図11A】本明細書中の実施形態による様々なピーク衝撃力値に基づく予測される物理的欠陥率を示す。
図11B】本明細書中の実施形態による様々なピーク衝撃力値に基づく予測される物理的欠陥率を示す。
図12A】本明細書中の実施形態による、ピーク衝撃力に関連するp値およびR値と引張強度に関連するp値およびR値との間の比較を示す。
図12B】本明細書中の実施形態による錠剤の引張強度と物理的欠陥率との間の相関関係の相対的な欠けを示す。
図12C】本明細書中の実施形態による引張強度を物理的欠陥率に関連させようと試みる曲線に関連するエラー値を示す。
図13】本明細書中の実施形態によるピーク衝撃力値に基づき物理的欠陥率を予測する方法を示すフローチャートである。
図14】本明細書中の実施形態による物理的欠陥率とピーク衝撃力との関係を説明するモデルに基づく物理的欠陥率の予測を示す。
図15】本明細書中の実施形態による錠剤の摩損度値と物理的欠陥率との間の相関関係の相対的な欠けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書中に示されて説明される特定の実施例は、固形薬剤型およびその試験の例であり、本出願の範囲をいかなる方法でも限定することを意図しないと理解されるべきである。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途、内容が明確に指示しない限り、それらが指す用語の複数形も厳密には含む。
【0007】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明または本発明の適用および用途を限定することを意図しない。この実施形態の説明は、錠剤のバッチの錠剤またはサンプル等の固形薬剤型の物理的強度またはロバスト性を評価または算定するという状況におけるものであるが、本発明は、役立つと考えられる、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレット等の固形薬剤型、ならびにそのバッチのサンプルの物理的強度またはロバスト性を評価または算定するという状況で使用されてもよい。さらに、先の技術分野、背景技術、発明の概要、または以下の詳細な説明で示される明確なまたは黙示的ないかなる理論によっても縛られる意図はない。
【0008】
本願の一態様は、例えば、錠剤コアのコーティング工程、包装工程、および/もしくは検査工程中での製造施設、倉庫設備、薬局、病院、患者の家、または錠剤の製造施設から薬局、病院、家、またはまた別の場所への配送中の環境等の錠剤が曝され得る様々な環境での力または状況に耐えるそれらの能力を算定するために、錠剤のバッチのサンプルまたはサブセットである固形薬剤型の物理的強度またはロバスト性を評価または算定することに関し、本明細書中に使用される「錠剤(tablet)」は、錠剤コア、コーティング錠、および素錠を指してもよい。例えば、錠剤は、これらの環境において固体表面上へと誤って降下される、または加工中に力、例えば、コーティング工程中に錠剤コアが受ける力に曝されることがあり、これらの錠剤の物理的強度またはロバスト性を評価することは、例えば、特定の高さから降下された、および/または特定の回数降下された場合の錠剤に関連する物理的欠陥率を予測、またはそうでない場合は、決定することを含み得る。このような評価または算定は、薬剤または薬品の製剤等の錠剤の製剤が、十分に頑丈な機械的または他の物理的特性を生み出して、錠剤が、錠剤の曝され得る状況または事象に耐えることを可能にするかどうかを決定するために使用されてもよい。いくつかの場合では、錠剤のバッチのサンプルまたはサブセットの物理的強度を算定することは、例えば、硬度試験を介したそれらの引張強度を決定することと、引張強度を錠剤の強度の指標として使用すること(引張強度は、例えば、Sotax HT100から生成される薬局方硬度試験データおよび錠剤寸法ならびにK.T.ピット&M.G.ヒースリーの「粉体工学」169~175ページで議論されているピットの方程式を使用する圧縮ツール寸法から算出されてもよい)とを含み得る。しかしながら、引張強度等のパラメータは、自由落下する錠剤が固体表面に衝突する等のエネルギーの急速な伝達をカバーしない。このような事象は、落下する錠剤に衝撃または他の力を与えるかもしれず、錠剤を破砕、またはそうでない場合は、破壊するかもしれない。いくつかの場合では、錠剤または錠剤の製剤は、硬度試験を介して決定されて、高い引張強度を有するかもしれないが、衝撃、衝突、またはエネルギーの急速な伝達を含む他の事象を対処する能力は依然として低いこともある。このように、硬度試験および引張強度パラメータは、大規模製造設定での錠剤の物理的欠陥率の予測可能性が不十分で、製造される錠剤の予測される物理的ロバスト性と実際の物理的ロバスト性とのずれに繋がるかもしれない。
【0009】
ある実施形態では、ピーク衝撃力パラメータは、錠剤の物理的強度を算定するために使用されてもよい。より具体的には、ピーク衝撃力値とも呼ばれるピーク衝撃力パラメータの値は、錠剤のバッチに対する物理的欠陥率を予測するために使用されてもよい。ピーク衝撃力値は、例えば、ストライカーコンポーネントが錠剤のバッチの1以上のサンプルを打撃して破壊する衝撃打撃試験を行うことによって測定されてもよい。試験中、錠剤に与えられる力のピーク量または錠剤のセットに与えられる力のピーク量の平均が測定されてもよい。なぜなら、これらの測定は、エネルギーの急速な伝達のより良好な指標であり、これらは錠剤の物理的強度を算定する、またはさらに具体的には、錠剤に対する物理的欠陥率を予測するためのより良好な能力を提供するかもしれない。
【0010】
ある実施形態では、ピーク衝撃力パラメータは、錠剤(例えば、素錠、コーティング錠、非コーティングテーブル、など)または錠剤のバッチ(例えば、錠剤コア、コーティング錠、非コーティングテーブル、など)の、靱性とも呼ばれる、衝撃靱性の間接的な測定結果または近似値として使用されてもよい。いくつかの場合では、錠剤のバッチのサンプルまたはサブセットの靱性は、錠剤の応力歪曲線下の領域を決定することによってなどして、直接的に測定されてもよい。このような場合、錠剤のバッチの錠剤またはサンプルの直接的に測定される靱性は、錠剤のバッチに対する物理的欠陥率を予測するために使用されてもよい。ある実施形態では、コンピュータシステムまたは他のデバイスは、衝撃打撃試験中に錠剤が受ける力を示すセンサデータを受信してもよい。いくつかの実装例では、コンピュータシステムは、センサデータに基づいて、衝撃打撃試験中に錠剤が破壊されたか、またはまた別の物理的欠陥を被ったかどうかを決定するように構成されてもよい。
【0011】
ある実施形態では、衝撃打撃試験は、衝撃部位の上方で脱着可能に吊るされるストライカーコンポーネントを使用する固形薬剤型または錠剤試験装置で行われてもよい。いくつかの実装例では、錠剤試験装置は、固形薬剤型または錠剤が衝撃部位を中心として、ストライカーコンポーネントの真下に配置されるように、固形薬剤型または錠剤を配置するための固形薬剤型または錠剤配置機構(錠剤センタリング機構または錠剤保持部とも呼ばれる)を含んでもよい。錠剤配置機構として実装される場合、機構は、このように、落下するストライカーコンポーネントによって錠剤の中心が打撃されるように、錠剤の中心がストライカーコンポーネントの先端の中心と整列する場所に錠剤を配置してもよい。いくつかの実装例では、錠剤配置機構は、錠剤の曲率に対応するための凹部を有してもよい。凹部は、錠剤と係合すると、衝撃部位に向かって錠剤を押してもよい。いくつかの実装例では、錠剤試験装置は、衝撃部位を取り囲む衝撃チャンバーに向けて気流を向かわせるためのチャネルを含んでもよい。気流は、衝撃打撃試験中に生成され得る破片または他の物質が錠剤試験装置の筺体から出ていく可能性を減少させ得る。ある実施形態では、錠剤試験装置は、衝撃打撃試験ごとにまたは数回の衝撃打撃試験ごとに廃棄物収集または廃棄物除去を行うように構成されている廃棄物収集装置またはコンポーネントを含んでもよい。廃棄物収集または廃棄物除去は、例えば、衝撃部位から錠剤を自動で除去することを含み得、除去される錠剤は、破壊されたものであってもよいし、そうでない場合は、衝撃打撃試験を受けたものでもよい。いくつかの場合では、錠剤配置機構は、衝撃打撃試験を新しい錠剤に行うことができるように、錠剤が除去された後に、新しい錠剤を自動で取得し、新しい錠剤を衝撃部位に配置するように構成されていてもよい。ある実施形態では、錠剤試験装置は、衝撃プラットフォーム上へと錠剤を自動で載置すること、錠剤配置機構に衝撃プラットフォーム上の衝撃部位に錠剤を自動で配置させること、ストライカーコンポーネントを錠剤上に解放して錠剤を打撃させること、錠剤を打撃することに関するセンサデータまたは他の測定値を収集すること、廃棄物収集装置に衝撃プラットフォームから錠剤を自動で除去させること、次の錠剤を衝撃プラットフォーム上へと載置することで工程を繰り返すことによって、錠剤試験工程を自動化するように構成されていてもよい。このような方法で、錠剤試験装置は、カルーセル方式で錠剤のバッチのサンプルまたはサブセットを自動で試験できてもよい。
【0012】
図1Aは、錠剤のバッチの錠剤またはサンプル等の固形薬剤型の一の機械的性質または複数の機械的性質を評価するための、および/または錠剤の機械的または物理的強度またはロバスト性を算定するためのシステム1000の構成図を提供する。いくつかの場合では、システム1000は、医薬錠剤、食事療法錠剤、もしくは他の摂取可能錠剤または丸薬、チュアブルガム、ウエハース、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、およびペレットのためのこのような剤型のいずれかを製造する医薬または他の製造施設の一部であってもよい。例えば、システム1000は、製造者による、薬剤師、医者、患者、またはその他の人による取り扱いに耐えられるほど錠剤のバッチが十分に強固か、またはそうでない場合は、頑丈となるかどうかを予測するために使用されることによって、製造施設または研究/開発施設内で品質管理工程を提供するために使用されてもよい。このような取り扱いには、錠剤が硬い表面上へと降下する等の事象、または錠剤を破壊するか、そうでない場合は、錠剤内に物理的欠陥を招く可能性のある衝撃または力を錠剤に与えるかもしれない他の事象が含まれ得る。
【0013】
図1Aの実施形態では、システム1000は、固形薬剤型試験装置1100と、コンピュータシステム1200とを含んでもよい。以下により詳細に説明されているように、固形薬剤型試験装置1100は、錠剤に衝撃打撃試験を行うために、さらに具体的に言うと、錠剤を打撃することに関わる力またはエネルギーの量を測定するセンサデータを生成するために使用されてもよい。ある実施形態では、固形薬剤型試験装置1100は、ストライカーコンポーネント1120および衝撃プラットフォーム1130等の固形薬剤型試験装置1100の様々なコンポーネントが配置されている筺体1110を含んでもよい。衝撃プラットフォーム1130は、固形薬剤型が配置されることが可能な基板または表面として構成されてもよい。より詳細には、衝撃プラットフォーム1130は、ストライカーコンポーネント1120が衝撃プラットフォーム1130と、または衝撃部位の真上に配置されている固形薬剤型とぶつかる衝撃部位を含んでもよい。例えば、ストライカーコンポーネント1120は、衝撃プラットフォーム1130の上に吊るされてもよい。本例では、衝撃部位は、ストライカーコンポーネント1120の真下にある衝撃プラットフォーム1130の上面上の位置であってもよい。筺体1110は、衝撃プラットフォーム1130上の衝撃部位の上方でストライカーコンポーネント1120を脱着可能に吊るすように構成されているストライカー機構を含んでもよい。ストライカー機構は、衝撃打撃試験の一環として、ストライカーコンポーネント1120を解放することができてもよく、ストライカーコンポーネント1120が重力の影響下で衝撃部位に向かって落下または降下できるようにする。落下するストライカーコンポーネント1120は、衝撃部位に配置されている固形薬剤型(存在する場合)を叩いても、またはそうでない場合は、打撃してもよい。いくつかの場合では、ストライカーコンポーネント1120は、十分な運動量またはエネルギーで錠剤を打撃してもよく、錠剤を多数の個片へと破砕、またはそうでない場合は、破壊させる。
【0014】
ある実施形態では、固形薬剤型試験装置1100は、固形薬剤型試験装置1100を使用して行われる衝撃打撃試験に関連するセンサデータを取得し、またはそうでない場合は、生成するためのセンサデータ取得システム1140を含んでもよい。上述のように、センサデータは、衝撃部位にある固形薬剤型に向かって落下している際のストライカーコンポーネント1120の速度または運動エネルギー、および/または、ストライカーコンポーネント1120によって固形薬剤型に与えられる力の量等のパラメータを測定、またはそうでない場合は、示してもよい。いくつかの場合では、センサデータ取得システム1140は、センサデータを生成するための1以上のセンサを含んでもよい。例えば、1以上のセンサは、落下している際のストライカーコンポーネント1120の速度または運動エネルギーを測定するように構成されている第1センサを含んでもよく、ストライカーコンポーネント1120が固形薬剤型を打撃する際に固形薬剤型にストライカーコンポーネント1120によって与えられるエネルギーの量を測定するように構成されている第2センサを含んでもよい。いくつかの実装例では、センサデータ取得システム1140は、センサデータを記憶するように構成されていてもよい。例えば、センサデータ取得システム1140は、回路、例えば、1以上のセンサからセンサデータを受け取るように構成されているA/D変換器(DAC)および/またはデジタル信号処理(DSP)回路を含んでもよい、および/または、センサデータを記憶するための非一時的でコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、ソリッドステートドライブまたはハードディスクドライブ)を含んでもよい。
【0015】
図1Bは、固形剤型配置機構1150と、衝撃チャンバー1115とを含む、固形薬剤型試験装置1100の実施形態であってもよい、本明細書中の実施形態による固形薬剤型試験装置1100Aを示す。ある実施形態では、固形剤型配置機構1150は、固形剤型を、衝撃打撃試験の開始前にストライカーコンポーネント1120の真下に配置させるように、錠剤、小型錠剤、丸薬、チュアブルガム、ウエハ、ディスク、カプレット、薬用キャンディー、トローチ、インプラント、顆粒、またはペレット等の固形剤型を衝撃プラットフォーム1130上の衝撃部位に向かって押す、またはそうでない場合は、動かすように構成されていてもよい。いくつかの実装例では、衝撃チャンバー1115は、筺体1110の一部であり、衝撃プラットフォーム1130を取り囲むチャンバーであってもよい。衝撃チャンバー1115は、固形剤型がストライカーコンポーネント1120によって打撃される際に発生し得る破片を捕集、またはそうでない場合は、収容するために使用されてもよい。より詳細には、衝撃チャンバー1115は、破片内の医薬品または他の物質に曝されることから衝撃打撃試験をモニタリングしている技能工または他の人員を保護するように筺体1110の外の環境に破片が拡散することを防止してもよい。
【0016】
ある実施形態では、図1Aおよび1Bのコンピュータシステム1200は、センサデータを処理するように構成されていてもよい。いくつかの実装例では、データ処理は、例えば、(i)固形剤型が壊れるまでにどのくらいの衝撃力に耐えることができるかと、(ii)降下の結果として固形剤型が経験する物理的欠陥の可能性との関係、またはまた別の関係を説明するモデルを決定することを含み得る。いくつかの実装例では、データ処理は、固形剤型または固形剤型のバッチのうちの物理的欠陥率に関する予測を生成することを含み得、物理的欠陥は、固形剤型のバッチの1つが硬い表面上へと降下される際、または、また別の種類の物理的衝撃を経験する際に経験する物理的欠陥の可能性を示してもよい。
【0017】
ある実施形態では、コンピュータシステム1200は、例えば、少なくとも1つの処理回路(例えば、コンピュータプロセッサ)と、非一時的でコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、ソリッドステートドライブ)とを含んでもよい。処理回路は、センサデータの処理を行うように構成されていてもよい。いくつかの場合では、処理回路は、非一時的でコンピュータ読み取り可能な媒体上またはその中に記憶されている指示を実行することによってセンサデータを処理してもよい。コンピュータシステム1200は、固形薬剤型試験装置1100から分離した独立型のデバイス(例えば、デスクトップコンピュータまたはサーバ)であってもよいし、固形薬剤型試験装置1100の一部(例えば、固形薬剤型試験装置1100内に埋め込まれている演算回路またはチップ)であってもよい。
【0018】
図2Aおよび2Bは、固形薬剤型試験装置試験装置1100、1100Aの実施形態であってもよい本明細書の実施形態による錠剤試験装置2100を示す。錠剤試験装置2100は、床置きシステムとして構成されているが、これは例としてであって、限定するものではなく、下記のようにベンチトップまたはテーブルトップシステムも本開示の範囲内におさまる。より具体的には、図2Aは、錠剤試験装置2100の正面図である一方、図2Bは、図2AのA-A線に沿って切断された錠剤試験装置2100の断面図である。図2Aに示されるように、錠剤試験装置2100は、その中に錠剤試験装置2100の様々なコンポーネントが配置される筺体2110を含む。ある実施形態では、筺体2110は、ストライカーコンポーネントチャンバー2111および衝撃チャンバー2115等の1以上のチャンバーを形成してもよく、これらは以下により詳細に説明されている。図2Bに示されるように、ストライカーコンポーネントチャンバー2111は、壁2111Aおよび2111B等の1以上の壁によって囲まれていてもよい一方、衝撃チャンバー2115は、壁2115Aおよび2115B等の1以上の壁によって囲まれていてもよい。図2Aは、ユーザ指示または他のユーザ入力を受け取るように構成されていてもよいユーザ入力デバイス2170を有する錠剤試験装置2100をさらに示す。例えば、ユーザ入力デバイス2170は、衝撃打撃試験を行うことに関連する1以上のユーザ指示を受け取るように構成されていてもよい。
【0019】
ある実施形態では、ストライカーコンポーネントチャンバー2111は、図2Bに示すように、衝撃ストライカー2120(タップとも呼ばれる)を収容するチャンバーであってもよい。ストライカーコンポーネントチャンバー2111は、衝撃チャンバー2115上方にストライカーコンポーネント2120を脱着可能に吊るすストライカー機構2113をさらに収容してもよい。ストライカー機構2113は、その中でストライカーコンポーネント2120が、衝撃部位2132に配置されている錠剤2300または他の物体を叩いても、またはそうでない場合は、打撃してもよい、衝撃チャンバー2115内の開口部2114を通して衝撃部位2132上へとストライカーコンポーネント2120を落下または降下させるように、ストライカーコンポーネント2120を解放するように構成されていてもよい。このように、衝撃チャンバー2115は、衝撃部位2132を収容してもよく、打撃することによって生成され得る破片を捕集、またはそうでない場合は、収容するように使用されてもよい。いくつかの実装例では、固形薬剤型または錠剤試験装置1100、1100A、2100は、ストライカーコンポーネントがもう一度解放されて別の衝撃打撃試験を行うことができるように、それが降下された後にストライカーコンポーネントを上昇させるように構成されているモータまたは他のアクチュエータを含んでもよい。
【0020】
ある実施形態では、衝撃部位2132は、衝撃プラットフォーム1130の実施形態であってもよい衝撃プラットフォーム2130によって提供されてもよく、衝撃プラットフォーム2130は、衝撃チャンバー2115に収容されてもよく、ストライカーコンポーネント2120との衝撃または他の衝突を受けるための基板を提供してもよい。例えば、衝撃プラットフォーム2132は、(平坦な上面を形成するために)平坦であるまたは(凸形上面または凹形上面を形成するために)外向きまたは内向きに湾曲する上面を提供する物体または装置であってもよい。このような場合、衝撃部位2132は、衝撃プラットフォーム2130の平坦な上面にある、中央位置等の位置であってもよい。衝撃プラットフォーム2130は、円筒形状、長方形形状、または任意の他の形状を有してもよい。ある実施形態では、錠剤試験装置2100は、錠剤配置機構1150の実施形態であってもよい錠剤配置機構2150を含んでもよく、錠剤配置機構2150は、衝撃プラットフォーム2130の上面に配置されている。錠剤配置機構2150は、衝撃部位2132を取り囲む、および/または衝撃部位2132から等距離のコンポーネントを有してもよい、および錠剤を衝撃部位2132に向かって押す、またはそうでない場合は、動かすように、さらに具体的に言うと、錠剤の中心が衝撃部位2132のすぐ上となるように、錠剤が衝撃部位2132を中心として配置されるように構成されてもよい。いくつかの実装例では、錠剤2300配置機構が一旦、錠剤を衝撃部位に動かすと、そのコンポーネントは錠剤から外れるように錠剤2300から離れてもよい。その結果、錠剤配置機構2150はもはや錠剤2300に接していない。錠剤2300との接触から外れることで、錠剤配置機構2150は、衝撃打撃試験との干渉を回避してもよく、衝撃打撃試験中に生成されるセンサデータに影響を与えることを回避してもよい。錠剤配置機構は以下により詳細に説明されている。
【0021】
ある実施形態では、ストライカーコンポーネント2120(タップとも呼ばれる)は、ステンレス鋼のような金属製の細長いロッド等の剛性部品であってもよい。ストライカーコンポーネント2120は、解放または降下されるように構成されて、衝撃プラットフォーム2130の衝撃部位2132と共に衝撃を生み出す。いくつかの実装例では、ストライカーコンポーネント2120は、平らな先端部または丸みのある先端部等の先端部2121、またはさらに具体的には、衝撃部位2132に対向する先端部を有してもよく、衝撃部位2132は、ストライカーコンポーネント2120が錠剤2300に衝撃を与えると、またはそうでない場合は、打撃すると、衝撃部位2132に配置された錠剤2300の中心に接触するように構成されている。本明細書の実施形態では、先端部2121は、ステンレス鋼のような金属製であってもよい。
【0022】
ある実施形態では、ストライカーコンポーネント2120は、先端部2121が円形プロファイルを有する細長いシリンダの形状の本体を有してもよい。図2Dは、ストライカーコンポーネント2120Dに取り付けられて、平坦面でその先端部として機能してもよい平坦タップインサート2121Aと、ストライカーコンポーネント2120Dに取り付けられて、丸みのある面でその先端部として機能してもよい半球タップインサート2121Bとを示す。従って、いくつかの場合では、ストライカー先端部は、ステンレス鋼のような金属製のインサートまたはタップインサートによって形成されてもよく、これは、ストライカーコンポーネント2120Dのために図2Dに示されているようなストライカーコンポーネントの細長いシリンダまたは他の構成物を形成するシャフトに挿入、またはそうでない場合は、取り付けられてもよい。単純に上述を再度述べるが、例えば、平坦な先端部2121は平坦なタップインサート2121Aから形成されてもよく、一方で、丸みのある先端部2121は半球タップインサート2121Bまたは他の湾曲したタップインサートから形成されてもよい。いくつかの場合では、シリンダの直径は、様々な錠剤の直径またはまた別の寸法(例えば、長さまたは幅)と同様であってもよい。一例として、シリンダの直径は、例えば、5mmから12mmまでの範囲であってもよい。
【0023】
本明細書の実施形態では、ストライカーコンポーネント、先端部、および/または先端部またはタップインサートは、製造、包装、保管、および輸送のその様々な段階で錠剤が接触し得る物質を模倣して選択された非剛体素材からなってもよい。このような実施形態では、ストライカーコンポーネント、先端部および/または先端部もしくはタップインサートは、非剛体または軟質エラストマーまたはポリマー材料からなってもよい。他の実施形態では、ストライカーコンポーネント、先端部および/または先端部もしくはタップインサートは、非剛体厚紙または他のこのような包装材から形成されてもよい。
【0024】
ある実施形態では、図2Bおよび2Cを参照して、ストライカーコンポーネント2120は、ストライカーコンポーネント2120に追加の質量または重量を提供するように、ストライカーコンポーネント2120の本体に着脱可能に取り付けられてもよい1以上の物体2122を含んでもよい。例えば、1以上の物体2122は、ストライカーコンポーネント2120の本体の一部の周囲に滑り込んでもよい1以上のディスクを含んでもよい。いくつかの実装例では、特定の降下距離に対して、1以上の物体2122を含むストライカーコンポーネント2120の合計質量は、錠剤を破壊するには十分だが、錠剤を完全に破砕するには十分に大きくない範囲内で、ストライカーコンポーネント2120と医薬錠剤または他の錠剤との間に衝撃の力をかけるように、十分に小さくてもよい。いくつかの場合では、特定の降下距離に対して、ストライカーコンポーネント2120の合計質量は、1kg以下または0.5kg以下であってもよい。
【0025】
ある実施形態では、図2Eに示されるストライカーコンポーネント2120Eは、同時に多数の錠剤に衝撃を与えるように構成されている多数の先端部またはタップインサートを有してもよい。このように、多数の先端部またはタップインサートは、錠剤のバッチのサンプルもしくはサブセットまたは他の固形薬剤型に衝撃打撃試験を行うことができる速度を上げるように、多数の錠剤の並列処理の実行のために使用されてもよい。図2Eでは、ストライカーコンポーネント2120Eは、先端部またはタップインサート2121A、2121B、2121C、2121D、2121Eを含む。いくつかの場合では、多数の先端部は、先端部の2D配列(多数の先端部の母材とも呼ばれる)を形成してもよい。本実施形態では、ストライカーコンポーネントの重量、または、さらに具体的に言うとタップ重量またはタップ質量は、図2Cのストライカーコンポーネントに関連して増加してもよい。ストライカーコンポーネント2120Eの重量または質量は、図2Eのストライカーコンポーネント2120Eが特定の高さから落下し、多数の錠剤と衝突した際に、全ての錠剤を破壊する合理的な見込みを有する十分な力を与えることができるように、あるレベルまで上げてもよい。本実施形態ではさらに、各センサが、先端部によって打撃される各錠剤に各先端部によって与えられる力の量を示すセンサデータを収集するように、先端部またはタップインサート2121A、2121B、2121C、2121D、2121Eのそれぞれの中に配置またはそれらに取り付けられてもよい。
【0026】
本明細書の実施形態では、錠剤試験装置2100F、2100Gは、図2Fおよび2Gに示されているもののようなサンプル充填ステーション2400F、2400Gを含んでもよい。図2Fおよび2Gの例では、サンプル充填ステーション2400F、2400Gは、その衝撃プラットフォーム上の1以上の位置に1以上の錠剤を供給するためのカルーセルを形成してもよい。いくつかの場合では、サンプル充填ステーション2400Gは、図2Gに示すように、衝撃プラットフォーム2130Gの位置2131G(錠剤供給位置とも呼ばれる)に一度に1つの錠剤を供給してもよい。いくつかの場合では、サンプル充填ステーション2400Fは、図2Fに示すように、衝撃プラットフォーム2130Fの多数の錠剤供給位置2131Fに同時に多数の錠剤を供給するように構成されていてもよい。いくつかの場合では、錠剤供給位置は、衝撃プラットフォーム2130F、2130Gの表面内のウェルまたは他の刻み目であってもよく、ウェルは供給された錠剤を保持してもよい。図2Fの例では、多数の錠剤供給位置2131Fは、ウェルのライン(例えば、列)に配置されてもよい。いくつかの場合では、サンプル充填ステーション2400F、2400Gは、溝付きカルーセルとして構成されてもよく、各溝は、供給される各セットの錠剤を含んでもよい。例えば、各溝は、異なる種類の錠剤を収容するように使用されてもよい。
【0027】
本明細書の実施形態では、図2Fおよび2Gの衝撃プラットフォーム2130F、2130Gは、1以上の錠剤供給位置2131F、2131Gから1以上の衝撃部位2132F、2132Gまで1以上の供給された錠剤を回転させるように、回転可能であってもよい。いくつかの場合では、衝撃プラットフォーム2130F、2130Gは、1以上の供給された錠剤を中間位置に、またはさらに具体的には、アライメントステーション2402F、2402Gへと回転させてもよい。アライメントステーション2402F、2402Gでは、錠剤試験装置は、例えば、単一の供給された錠剤または多数の供給された錠剤が、その中にそれらが供給されるウェルの各中心等の所望の位置の中心に置かれることを確実にするために一対のプッシュコンポーネントまたは複数の対のプッシュコンポーネントを使用する錠剤配置機構を含んでもよい。このようなアライメント動作は、供給された錠剤が衝撃試験ステーション2404F、2404Gへと回転した際に、それらが、図2Fに示されるようにストライカーコンポーネント2120Eの各先端部2121A、2121B、2121C、2121D、2121Eの真下に、または図2Gに示されるようにストライカーコンポーネント2120の先端部2121の下を中心に集まることをより確実にすることができる。
【0028】
本明細書の実施形態では、衝撃試験ステーション2404F、2404Gは、ストライカーコンポーネントが衝撃プラットフォーム2130F、2130Gに向かって落下する際に、ストライカーコンポーネント2120、2120Eの1以上の先端部からの衝撃を受けてもよい1以上の衝撃部位を含むように構成されている。ストライカーコンポーネント2120、2120Eは、本明細書に開示されるように、衝撃打撃試験の一環として使用されてもよく、錠剤が衝撃試験ステーションへと回転される際に供給された錠剤を破壊することを意図してもよい。
【0029】
本明細書の実施形態では、回転可能な衝撃プラットフォーム2130F、2130Gは、1以上の供給された錠剤が各ストライカーコンポーネントによって破壊、またはそうでない場合は、打撃された後に、1以上の供給された錠剤を衝撃試験ステーション2404F、2404Gからクリアリングステーション2406F、2406Gへとさらに回転させるように構成されていてもよい。クリアリングステーション2406F、2406Gは、破壊された錠剤の破片または他のかけらが錠剤試験装置2100F、2100Gの他の領域を汚染することを防ぐように、衝撃チャンバー内の部分に向かって1以上の供給された錠剤(この時点で破壊された錠剤であってもよい)の破片または他のかけらを除去するように構成されていてもよい。図2Fの例では、クリアリングステーション2406Fは、例えば、錠剤試験装置2100Fの廃棄物区画に向かって破壊された錠剤の破片または他のかけらを吸引してもよい負圧を発生するように構成されているバキュームを含んでもよい。このような例では、錠剤試験装置2100Fは、(錠剤試験装置の残りの領域に対して)その衝撃チャンバーで負圧を作ることを容易にするように気密であってもよい。図2Gの例では、クリアリングステーション2406Gは、衝撃プラットフォーム2130Gの上面から1以上の破壊された錠剤の破片または他のかけらを一掃するように構成されていてもよいスクレーパー2408を含んでもよい。破片または他のかけらは、例えば、こすり落とされて、衝撃プラットフォーム2130Gの下に配置される廃棄物区画に向かって落下してもよい。
【0030】
本明細書の実施形態では、図2Bおよび2Cをさらに参照して、ストライカー機構2113が、筺体2110内および衝撃部位2132上でストライカーコンポーネント2120を脱着可能に吊るすように構成されていてもよい。例えば、ストライカー機構2113は、それからストライカーコンポーネント2120がぶら下がる、またはそうでない場合は、吊るされる、装置、ブロック、または他の物体であってもよい、基部2113Cを含んでもよい。いくつかの実装例では、基部2113Cは、可動式ラッチ、ストッパ、またはその上でストライカーコンポーネント2120が留まる他のコンポーネントを含んでもよい。このようなコンポーネントは、ストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132に向かって落下することを防止してもよい。ある実施形態では、基部2113Cは、ストライカーコンポーネント2120をこれ以上支持しない位置へとラッチまたはストッパを後退させる、またはそうでない場合は、移動させるように構成されているソレノイド等のアクチュエータを含んでもよい。ラッチまたはストッパのこのような動きは、ストライカーコンポーネント2120を解放し、このようにしてストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132に向かって落下することを許可してもよい。いくつかの場合では、本例でのアクチュエータは、ユーザ入力デバイス2170を介して受信されたユーザ指示等のユーザ指示に基づいて、起動、停止、またはそうでない場合は、制御されてもよい。例えば、ユーザ入力デバイス2170は、ストライカーコンポーネント2120の降下を引き起こすユーザ指示をユーザが入力できるようにするユーザインタフェースを提供してもよい。このような例では、基部2113Cのアクチュエータは、ユーザ指示に応じて起動されてもよい。
【0031】
ある実施形態では、基部2113Cは、ストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132の上に吊るされている高さ、従って、ストライカーコンポーネント2120が解放される解放高さRH(降下高さとも呼ばれる)を制御して衝撃部位2132に向かって降下するように構成されているリフター装置(タップリフターとも呼ばれる)であってもよい。解放高さRHを上げることは、適切/特定の質量のストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132にある錠剤2300に与えるエネルギーの量または衝撃力を増加させ得る一方で、解放高さを下げることは、適切/特定の質量のストライカーコンポーネント2120が錠剤2300に与えるエネルギーの量または衝撃力を減少させ得る。本明細書による実施形態では、所望の衝撃力は、ストライカーコンポーネントの質量に対する適切な解放高さRHを選択することによって実現されてもよく、いかなる所望の衝撃力も、衝撃部位における所望の衝撃力を提供するストライカーコンポーネントの重量および各解放高さを正しく選択することによって実現されてもよい。いくつかの実装例では、基部2113Cは、ストライカー機構2113の支持フレームまたは支持構造を形成してもよい1以上のレール2113A、2113Bに沿って動くことまたは動かされることでストライカーコンポーネント2120の解放高さRHを制御してもよい。より具体的には、1以上のレール2113A、2113Bは、基部2113Cがストライカーコンポーネント2120を上昇または下降させるにつれて、基部2113Cの動きをガイドする細長いバーまたはロッドであってもよいし、それを含んでもよい。ある実施形態では、機構2130は、1以上のレール2113A、2113Bに沿って基部2113Cを上昇または下降させるための力を発生するように構成されているモータまたは空気圧式アクチュエータ等のアクチュエータを含んでもよい。このアクチュエータは、基部2113C内に配置されてもよいし、筺体2110内の他の場所または筺体2110外にでも配置されてもよい。アクチュエータが基部2113Cの外に配置されているのであれば、錠剤試験装置2100は、アクチュエータにより生成された力を基部2113Cへと伝達するように構成されているチェーン等の伝達コンポーネントを含んでもよい。アクチュエータが基部2113C内に配置されているのであれば、このようなアクチュエータは、ストライカーコンポーネント2120を基部2113Cから解放するために使用されるいかなるアクチュエータからも分離されてもよい。
【0032】
ある実施形態では、錠剤試験装置2100は、図2BBに正面および側面図で示されているベンチトップ錠剤試験装置2100BB等のベンチトップまたはテーブルトップ機器として適切な装置を提供するために十分に小さなサイズを有してもよい。ベンチトップ錠剤試験装置2100BBは、相対的に短い高さ、例えば、実験室のベンチまたはテーブル上での設置および作業により適切な、130cmから140cmの高さHを有してもよい筺体2110BBを含む。一例では、高さHは、上述の通りに加重されてもよいストライカーコンポーネント(不図示)が、衝撃部位2132BBの上方に脱着可能に吊るされることができる(解放高さRH)最大距離を120cm、110cm、100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、40cm、30cm、20cm、10cm、5cm以下に制限してもよい。例として、筺体2110BBの高さHは、140cm、130cm、120cm、110cm、100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、またはより小さい数値であってもよい。上記で説明されている縮小された解放高さRHは、衝撃打撃試験が行われるために、衝撃部位において十分な衝撃力、すなわち具体的には、衝撃打撃試験中に医薬錠剤または他の錠剤を破壊するために十分に提供するより大きな質量のストライクコンポーネントを必要としてもよい。より大きな質量は、先に説明されたように、既存のストライカーコンポーネントに質量を追加することによって実現されてもよいし、より重い材料のストライカーコンポーネントを選択することによって実現されてもよい。ベンチトップ錠剤試験装置2100BBは、錠剤試験装置2100、3100を参照して本明細書に説明されている全てまたは殆どの特徴、例えば、ストライカーコンポーネントチャンバーおよび衝撃チャンバー等の1以上のチャンバー、衝撃チャンバーの上方にストライカーコンポーネントを脱着可能に吊るすためのストライカー機構、ストライカーコンポーネントを追加するための追加の質量または重量、衝撃チャンバー内に位置しており、錠剤配置機構を有する衝撃プラットフォームを含んでもよく、これらの構造のそれぞれはベンチまたはテーブルトップ用途にあうように適切にサイズ決めされている。
【0033】
ある実施形態では、錠剤試験装置2100は、衝撃打撃試験の様々な態様を測定するセンサデータを生成するように構成されている、センサデータ取得システム1140の実施形態であってもよい、図2Cに示すような、センサデータ取得システム2140を含んでもよい。例えば、センサデータ取得システム2140は、少なくともセンサ2141とセンサ2142とを含んでもよい。センサ2141は、ストライカーコンポーネント2120が物体と衝突する、物体に衝撃を与える、またはそうでない場合は、物体を打撃する際に、ストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132にある錠剤2300または他の物体に与える衝撃力を測定するように構成されている、例えば、歪ゲージ力センサまたは他のセンサであってもよい。一例では、図2Cに示されるように、センサ2141は、ストライカーコンポーネント2120の先端部2121に配置されてもよい。ある実施形態では、センサ2142は、ストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132に向かって落下、またはそうでない場合は、動く際にストライカーコンポーネント2120の運動エネルギーまたは速度を測定するように構成されているレーザーセンサまたは他のセンサであってもよい。いくつかの場合では、センサデータ取得システム2140は、有線または無線接続2144を介してセンサ2141、2142によって生成されるセンサデータを受信または収集するように構成されている通信回路2143を含んでもよい。センサデータが図1Aおよび1Bのコンピュータシステム1200により処理されるのであれば、コンピュータシステム1200は、通信回路2143を介してセンサデータを受信してもよい。ある実施形態では、センサデータ取得システムのセンサ(例えば、2141)は、衝撃プラットフォーム上またはその中に配置され、ストライカーコンポーネント2120が衝撃部位2132に衝撃を与える力を測定するように構成されていてもよい。特定の実装例では、センサは、衝撃部位2132の真下および衝撃プラットフォーム内等の固定位置に静的に配置されてもよい。
【0034】
図3Aは、固形薬剤型または錠剤試験装置1100、1100A、2100の実施形態であってもよい錠剤試験装置3100を示し、錠剤試験装置3100は、ストライカーコンポーネントチャンバー3111および衝撃チャンバー3115を形成する筺体3100を含む。ストライカーコンポーネントチャンバー3111は、ストライカーコンポーネント3120と、ストライカーコンポーネント3120を衝撃チャンバー3115の上方で脱着可能に吊るすように構成されている機構3113とを含んでもよい。衝撃チャンバー3115は、衝撃プラットフォーム3130と、衝撃プラットフォーム3130の上面に配置される錠剤配置機構3150とを含んでもよい。いくつかの場合では、図3Aに示されるコンポーネントは、図2A~2Cに示される実施形態に対して上記で説明されている同様のコンポーネントの実施形態であってもよい。
【0035】
上述のように、固形薬剤型または錠剤試験装置1100/2100/3100は、固形剤型または錠剤配置機構1150/2150/3150を含んでもよい。図3Bおよび3Cは、衝撃部位に向かって錠剤を押す、またはそうでない場合は、動かすように、さらに具体的に言うと衝撃部位を中心とするように錠剤を置くように構成されていてもよい錠剤配置機構3150の実施形態を示す。このような配置は、衝撃打撃試験の開始前に錠剤をストライカーコンポーネントの真下に配置させてもよい。より具体的には、錠剤配置機構3150は、衝撃プラットフォーム3130の上面に配置されてもよく、衝撃プラットフォーム3130の上面に取り付け、またはそうでない場合は、連結されている第1プッシュコンポーネント3151と第2プッシュコンポーネント3152とを含んでもよい。本例では、衝撃部位3132は、第1プッシュコンポーネント3151と第2プッシュコンポーネント3152との間に配置されてもよい。本例での第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、手動でまたは図3Bの矢印3701、3702によって指される方向に沿ってアクチュエータ(例えば、モータ)を介して、互いに向かって可動であってもよい。より具体的には、錠剤配置機構3150は、図3Bおよび3Cに示すように、開放構成を有してもよく、その中において第1コンポーネント3151および第2コンポーネント3152は錠剤をその空間に設置するための空間をそれらの間に有している。錠剤配置機構3150は、図3Dに示されているが、錠剤または他の物体を衝撃部位3132に向かって押すように、さらに具体的に言うと、錠剤が衝撃部位3132を中心とするように、プッシュコンポーネント3151、3152を互いに対しておよび衝撃部位3132に近付くように動かすことで、開放構成から閉鎖構成(例えば、モータを介して)へと可動または調整可能であってもよい。いくつかの場合では、第1プッシュコンポーネントおよび第2プッシュコンポーネントは、互いに向かって等しい量だけ動かされると、それらによって錠剤が衝撃部位に向けて押されるように、衝撃部位から等距離であってもよい。錠剤が一度衝撃部位3132に中心的に設置されると、プッシュコンポーネント3151、3152は、開放構成に戻るように動かされてもよく、開放構成においてプッシュコンポーネント3151、3152は、それらが錠剤ともはや接触しないように錠剤から離れるように動かされる。
【0036】
いくつかの場合では、衝撃プラットフォーム3130は、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152を衝撃プラットフォーム3130に連結させるが、それでも第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152が衝撃プラットフォーム3130の上面に沿って互いに向かってまたは互いから離れるように動くことを許可する、バネ等の1以上の連結コンポーネントを含んでもよい。
【0037】
ある実施形態では、第1プッシュコンポーネント3151は、錠剤が衝撃部位の特定の側(例えば、左側)にある場合に錠剤の片側(例えば、左側)に嵌るように使用されてもよい凹部を提供してもよい、第1凹部3151Aを有してもよい。このようなシナリオでは、第1プッシュコンポーネント3151が第2プッシュコンポーネント3152に向かって右向き方向に動かされている時に、第1プッシュコンポーネント3151が衝撃部位に向けて右向き方向に錠剤を押してもよい。同様に、第2プッシュコンポーネント3152は、錠剤の他の側(例えば、右側)に嵌るように使用されてもよい凹部を提供してもよい第2凹部3152Aを有してもよい。第2プッシュコンポーネント3152が第1プッシュコンポーネントに向かって左向き方向に動かされている時に、錠剤が衝撃部位のもう一方の側(例えば、右側)にある場合、第2プッシュコンポーネント3152が衝撃部位に向けて左向き方向に錠剤を押してもよい。より具体的には、第1プッシュコンポーネント3151の第1凹部3151Aにより形成される凹部は、第1プッシュコンポーネント3151の中央部等の内部3151Dに向かって内方へ延びて、その結果、衝撃部位3132から離れるように延びてもよい。同様に、第2プッシュコンポーネント3152の第2凹部3152Aにより形成される凹部は、第2プッシュコンポーネント3152の内部3152Dに向かって内方へ延びて、その結果、衝撃部位3152から離れるように延びてもよい。図3Bおよび3Cに示されるように、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、第1プッシュコンポーネント3151の第1凹部3151Aと第2プッシュコンポーネント3152の第2凹部3152Aとの間に衝撃部位3132が配置されてもよいように、衝撃部位3132を取り囲んでもよい。より詳細には、衝撃部位は第1プッシュコンポーネント3151と第2プッシュコンポーネント3152との間の空間の中央位置として残ってもよい。第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152が互いに向かって動かされる際に、その動きは第1凹部3151Aおよび第2凹部3152Aを衝撃部位3132に位置付けてもよく、従って、錠剤が衝撃部位3132を中心とするように錠剤を衝撃部位3132に設置してもよい。
【0038】
ある実施形態では、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、錠剤をはめ込んで、錠剤を、衝撃部位3132を中心に配置、またはそうでない場合は、設置するためによく適していてもよい。より詳細には、様々な錠剤は、凸側またはより一般的には凸形状を有してもよい。例えば、いくつかの錠剤は、反対側が外向きに湾曲している環状または楕円形状を有してもよい。第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、錠剤の凸形状を補完する凹形状を有してもよい。例として、図3Bおよび3Cの第1プッシュコンポーネント3151の第1凹部3151Aは、錠剤の第1凸側を嵌め込むように構成されている第1凹形角3151Eを形成してもよい。本例では、第2プッシュコンポーネント3152の第2凹部3152Aは、錠剤の第2凸側を嵌め込むように構成されている第2凹形角3152Eを形成してもよい。凹形角3151E、3152Eは、それぞれ、曲線角度を有する湾曲角であってもよいし、それぞれ、曲線角度のないより鋭い角であってもよい。凹形角3151E、3152Eは、一方または両方の角を嵌め込んだ際に、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152が互いに向かって動かされている時に錠剤が衝撃部位3132に向けて押されるようにしてもよい。ある実施形態では、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、衝撃部位3132がプッシュコンポーネント3151、3152から等距離であるように配置されてもよい。例えば、衝撃部位3132は、第1凹形角3151Eおよび第2凹形角3152Eから等距離であってもよい。
【0039】
ある実施形態では、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、錠剤を衝撃部位に中心的に設置するために十分に近い距離までプッシュコンポーネント3151、3152を衝撃部位に近付けることを可能にするように、錠剤配置機構3150が開放構成から閉鎖構成へと動く際に互いと一時的に接合、またはそうでない場合は、嵌め込まれる相補部を有してもよい。例えば、図3Cに示されるように、第1プッシュコンポーネント3151の第1凹部3151Aは、1以上の溝3151B、3151Cを形成してもよい。1以上の溝3151B、3151Cは、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152が互いに向かって動かされる際に第2凹部3152を受けるように構成されていてもよい。より詳細には、第2凹部3152は、第2プッシュコンポーネント3152から突き出る第1サブ部3152Bおよび第2サブ部3152Cを含んでもよい。本例では、溝3151Bは第1サブ部3152Bを受けるように構成されていてもよく、一方で溝3151Cは第2サブ部3152Cを受けるように構成されていてもよい。言い換えると、サブ部3152B、3152Cは、溝3151B、3151C内へとスライド可能であってもよい。第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152のこれらの相補構造は、衝撃部位3132に向けて物体を押し、図3Dに示すように、物体が衝撃部位3132を中心に配置されるように、それらが互いに近付くおよび衝撃部位3132に近付くように動くことを許可してもよい。ある実施形態では、プッシュコンポーネント3151、3152が一度、開放構成から閉鎖構成へと動かされたら、錠剤または他の物体を衝撃部位3132に設置するために、プッシュコンポーネントは開放構成に戻ってもよい。プッシュコンポーネントが開放構成へと戻ると、それらは錠剤から外れて、ストライカーコンポーネントが衝撃打撃試験中に錠剤に向かって落下している時に錠剤と接触しないようになってもよい。
【0040】
図4Aおよび4Bは、重力の影響下で錠剤3300上に降下することで錠剤3300を打撃するストライカーコンポーネント3120を示す。図4Aおよび4Bは、ストライカーコンポーネント3120が錠剤3300上に降下されているまたは落下している間に錠剤配置機構3150が錠剤3300から外れるように、ストライカーコンポーネント3120が錠剤3300上に降下されているまたは落下している間に錠剤配置機構3150が開放構成にある状態を示すシナリオを示す。このような構成では、錠剤配置機構3150、すなわち、具体的には、第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152は、ストライカーコンポーネント3120との干渉を避け、どれほどの力がストライカーコンポーネント3120から錠剤3300に与えられるかの測定との干渉を避けてもよい。図4Cは、錠剤3300に行われている衝撃打撃試験の結果を示す。より具体的には、衝撃打撃試験は、ストライカーコンポーネント3120が解放されて錠剤3300に衝撃を与えると、ストライカーコンポーネント3120が十分な力またはエネルギーを与えて錠剤3300を破壊するように、十分な質量を有する、および/または十分な高さから解放されるストライカーコンポーネント3120を含み得る。例えば、図4Cは、ストライカーコンポーネント3120からの衝撃の力の結果、錠剤3300から錠剤3300の一部が壊れて離れる際に作られる錠剤3300中の間隙3300Aを示す。以下により詳細に説明されているように、本明細書のいくつかの実施形態は、センサデータで作られる測定に基づき錠剤が実際に衝撃打撃試験の結果として破壊されたのかどうかを決定することで、錠剤破壊イベントを検出することを含み得る。
【0041】
上述のように、衝撃チャンバー1115、2115、3115は、衝撃部位2132、3132を取り囲んでもよく、衝撃打撃試験中に作られ得る破片を収容するために使用されてもよい。例えば、ストライカーコンポーネント、例えば、2120からの衝撃は、分散粉末の形態の破片を作ることがある。粉末は、固形薬剤型または錠剤試験装置の筺体1110、2110、3100の外の人員に露出されてしまうと、健康への悪影響があるかもしれない医薬物質を含むおそれがある。このように、衝撃チャンバー1115、2115、3115は、その中に破片を捕集するために使用されてもよい。ある実施形態では、図2Fに示すように、衝撃チャンバーは、負圧を作るためにバキュームに接続されて、衝撃チャンバーから汚染空気が漏れ出ることを防止してもよい。
【0042】
例えば、図5は、破片が衝撃チャンバー2115から漏れ出ないようにし得る気流を発生させるように構成されていてもよい錠剤試験装置2100を示す。より具体的には、錠剤試験装置2100は、開口部2114、すなわち、具体的には、ストライカーコンポーネント2120が衝撃チャンバー2115内を通過して衝撃部位2132に到達するようにできる穴を含んでもよい。本実施形態では、衝撃チャンバー2115は、気密に互いに接続され、気密に上壁および底壁に接続されている壁2115A、2115B、211C、および2115Dを有してもよい。一例では、壁2115Dと2115Cとは、それぞれ、衝撃チャンバー2115の正面壁と背面壁とであってもよく、一方で、壁2115Aと2115Bとは、それぞれ、衝撃チャンバーの側壁であってもよい。このように、壁2115A、2115B、2115C、および2115Dは、破片が衝撃チャンバー2115から横方向に漏れ出ることを防止してもよい。しかしながら、破片は、開口部2114を通じて漏れ出る恐れがある。このようなことが起こる可能性を減らすために、錠剤試験装置2100は、ファンまたは空気圧ポンプ等の気流ジェネレーター2180または気流を発生させるように構成されている圧縮空気に接続される導管を含んでもよい。本実施形態では、錠剤試験装置は、気流ジェネレーター2180に直接的または間接的に接続される、1以上のチャネル2123A、2123B(例えば、チューブ、ホース、またはパイプ)を有してもよい。1以上のチャネル2123A、2123Bは、開口部2114の周囲に出口を有してもよく、気流ジェネレーター2180によって生成される気流が開口部2114に近い領域(例えば、図5に示すように開口部2114のすぐ上)に到達できるようにしてもよい。このように、気流ジェネレーター2180および1以上のチャネル2123A、2123Bは、開口部2114を介して衝撃チャンバー2115内へと空気圧をかけてもよい。空気圧は、衝撃チャンバー2115から破片が漏れ出る可能性を減らし得る。いくつかの実装例では、衝撃チャンバー2115は、開口部2114を介して衝撃チャンバー2115に進入する気流のための出口を提供するフィルタ2116を含んでもよい。フィルタ2116は、衝撃打撃試験により作られ、気流により運ばれるいかなる破片も除去するように構成されてもよく、こうして、破片が衝撃チャンバー2115から漏れ出ることをさらに防止する。いくつかの実装例では、衝撃チャンバー2115は、環境制御を提供するように構成されてもよい。より詳細には、衝撃チャンバー2115は、衝撃打撃試験に標準化された状況を作るように衝撃部位における温度または他の環境条件を制御するように構成されていてもよい。
【0043】
図6は、錠剤または錠剤のバッチのサンプルもしくはサブセットの強度を評価する錠剤試験装置を使用してもよい方法6000を示す。方法は、物理的に壊れるまでに様々な錠剤が吸収、またはそうでない場合は、耐えることができる衝撃力がどれほどかを決定することを含み得る。ある実施形態では、方法6000は、このような衝撃力と、特定の状況または一連の状況において錠剤に起こる物理的欠陥の可能性を示す物理的欠陥率との関係を決定することを含み得る。いくつかの場合では、方法6000は、この関係を使用して、他の状況および/または他の錠剤のバッチまたは錠剤の種類に対する物理的欠陥率を予測してもよい。ある実施形態では、方法6000は、例えば、医薬錠剤または他の錠剤を製造する製造施設、および/もしくは研究/開発施設により、すなわち、具体的には施設の人員により行われてもよい。いくつかの場合では、方法600は、錠剤製造工程または錠剤(製剤)開発の一環として行われてもよい。
【0044】
ある実施形態では、方法6000は、第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットに衝撃打撃試験が行われる、ステップ6002から開始されてもよい、またはそうでない場合は、ステップ6002を含んでもよい。いくつかの場合では、第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットは、異なる物理的特性を有する複数の錠剤種類に関連してもよい。言い換えると、第1の複数の錠剤の各錠剤は、複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連してもよいし、第1の複数の錠剤のセットの錠剤の各セットは、複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連してもよい。例えば、衝撃打撃試験が第1の複数の錠剤に行われるのであれば、第1の複数の錠剤は、第1錠剤種類、例えば、錠剤種類1に属する第1錠剤、第2の錠剤種類、例えば、錠剤種類2に属する第2錠剤などを含んでもよい。衝撃打撃試験が第1の複数の錠剤のセットに行われるのであれば、第1の複数の錠剤のセットは、第1錠剤種類に属する錠剤の第1セット、例えば、10または20個の錠剤や、第2錠剤種類に属する錠剤の第2セットなどを含んでもよい。このように、衝撃打撃試験は、異なる錠剤種類と関連するセンサデータを生成するために使用されてもよい。
【0045】
いくつかの場合では、錠剤種類は、製造される錠剤のバッチに関連してもよい。言い換えると、同じバッチの錠剤は、共通の錠剤種類に属してもよい。いくつかの場合では、錠剤種類に関する物理的特性は、錠剤の形状および/またはサイズ等の錠剤種類と関連する錠剤に関する物理的特性に関係してもよい。例えば、錠剤の形状は、錠剤が楕円形状か、円形状を有するかどうか、および/または錠剤が平面を有するかどうかに関係してもよい。いくつかの場合では、特定の錠剤または錠剤種類に関する物理的特性は、例えば、錠剤または錠剤種類の製剤、錠剤の形状、および/または錠剤が製造される方法によって影響され得る。錠剤が製造される方法は、パラメータ値または錠剤を製造するために使用される製造技術に関係し得るまたはそれらによって影響され得る。例えば、錠剤が粉末を圧縮することに基づいて製造されるのであれば、パラメータ値は粉末を圧縮するために使用される圧縮圧の量が関連する。粉末は直接圧縮により直接的に圧縮されてもよいし、圧縮前に乾式造粒または湿式造粒技術を使用して顆粒を形成するように造粒されてもよい。このような例では、錠剤を製造する方法は、錠剤または錠剤種類の気孔率等の物理的特性に影響し得る。他の例では、錠剤が製造される方法は、錠剤コアが様々な力を受け得る錠剤コアへのコーティング工程の使用に関係してもよい。このような例では、錠剤をコーティングする方法は、錠剤または錠剤種類の気孔率等の物理的特性にさらに影響し得る。さらに他の例では、錠剤が製造される方法は、例えば、ホットメルトエクストルージョンを使用して3Dプリンティング等の型成形または付加製造の使用に関係してもよい。
【0046】
ある実施形態では、錠剤の製剤は、どの材料が錠剤に含まれているか、またはより一般的に、錠剤の定性的および/または定量的組成に関係してもよい。錠剤に含まれる材料は、医薬品有効成分(API)または補形薬のカテゴリの1つへと分けられてもよい。錠剤製剤内の補形薬は、次のカテゴリのうちの1以上へとさらに分類されてもよい。充填材、崩壊剤、結合剤(溶液バインダまたはドライバインダ)、流動促進剤、潤滑剤/付着防止剤(例えば、M.E.オールトン、薬剤学-製剤設計の科学、第2版を参照)。
【0047】
ある実施形態では、錠剤製剤を説明する定性的組成は、補形薬および/または特定の物質のこのような分類を一覧にしてもよい。充填材の例としては、MCC(例えば、MCC Avicel PH 102101、Emcocel 90M等)、マンニトール(例えば、Pearlitol 50c、Pearlitol 120c、またはPearlitol 160c)が挙げられる。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、例えば、ExploTabまたはGlycolys LVが挙げられる。結合剤の例としては、プラスドンK29/32、ポビドンおよびコリドンK30が挙げられる。流動促進剤の例としては、コロイド状シリカおよびタルクが挙げられる。潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムおよびジベヘン酸グリセリルが挙げられる。
【0048】
ある実施形態では、定量的組成は、各物質の量と並んで特定の物質を一覧にしてもよい。量は、重量または割合として表されてもよい。充填材は、採用される場合、約10から約75重量パーセント(例えば、約15から約70重量パーセント)の間の乾燥製剤の範囲であり、崩壊剤は、採用される場合、約0.5と10.0重量パーセントとの間(例えば、約5重量パーセント)の乾燥製剤の範囲であり、結合剤は、採用される場合、例えば、約2から約8重量パーセントの間の乾燥製剤の範囲であり、流動促進剤は、採用される場合、約0.1と10.0重量パーセントとの間の乾燥製剤の範囲であり、潤滑剤は、採用される場合、約0.25と2.5重量パーセントとの間の乾燥製剤の範囲である。
【0049】
いくつかの例では、即時放出錠剤の形態のもの等の経口製剤で使用される充填材(希釈剤/担体とも呼ばれる)は、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム(第二リン酸カルシウム二水和物および無水リン酸水素カルシウムを含む)、第三リン酸カルシウム、ラクトース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、マンニトール、ソルビトール、でんぷん(例えば、トウモロコシ、じゃがいも、または米)、グルコース、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、等を含んでもよい。一例では、希釈剤/担体は、単体で使用されてもよいし、マンニトール等の他の希釈剤/担体と併用で使用されてもよい第二リン酸カルシウムおよび微結晶セルロースを含んでもよい。ある実施形態では、即時放出錠剤の製剤は、1以上の補形薬を含んで、錠剤の最終的な組成の物理的および/または化学的性質を改善する、および/または製造の工程を容易にしてもよい。このような補形薬は、経口薬物送達のための即時放出製剤の製剤で使用されてもよく、1以上の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリルアルコール、または、フマル酸ステアリルナトリウム)、流動促進剤(例えば、タルクまたはコロイド状シリカ)、1以上の結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、低分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低分子量のメチルセルロース(MC)、低分子量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、低分子量のヒドロキシエチルセルロース(HEC)、でんぷん(例えば、トウモロコシ、じゃがいも、または米)、または低分子量のカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンまたは結合剤としての用途の低分子量のHPMC、1以上のpH調整剤(例えば、有機酸(例えば、クエン酸)またはそのアルカリ金属(例えば、ソジウム)塩、マグネシウムの酸化物、アルカリまたはアルカリ土類金属(例えば、ソジウム、カルシウム、またはカリウム)硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、プロピオン酸塩、またはソルビン酸塩)、1以上の崩壊剤(例えば、グリコール酸でん粉ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、でんぷん(例えば、トウモロコシ、じゃがいも、または米)またはアルギン酸塩)、着色剤、香料、等張化剤、コーティング剤、または防腐剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0050】
例として、いくつかの場合における錠剤の組成は、リン酸カルシウム(リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、およびリン酸三カルシウム)、ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、ソルビトール、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム等の希釈剤のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの場合では、希釈剤は、微結晶セルロースおよびマンニトールも含む。いくつかの場合では、錠剤の組成は、下記の潤滑剤のうちの1つ以上を含んでもよい。ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、等。いくつかの場合では、錠剤の組成は、コロイド状シリカ等の流動促進剤を含んでもよい。いくつかの場合では、錠剤の組成は、下記の結合剤のうちの1つ以上を含んでもよい。ポリビニルピロリドン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、低分子量のHPMC、低分子量のMC、低分子量のHPC等。好適な結合剤は、微結晶セルロースを含む。いくつかの場合では、錠剤の組成は、下記のpH調整剤のうちの1つ以上を含んでもよい。有機酸(例えば、クエン酸等)またはそのアルカリ金属(例えば、ソジウム)塩、無機酸(例えば、炭酸またはリン酸)の薬学的に許容される塩(例えば、ソジウム、マグネシウム、またはカルシウム塩)、マグネシウムの酸化物、さらに、アルカリ、およびアルカリ土類金属(例えば、ソジウム、カルシウム、カリウムなど)硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、プロピオン酸塩、およびソルビン酸塩。他のさらなる補形薬は、着色剤、香料、可溶化剤(例えば、SDS)、コーティング剤、防腐剤などを含んでもよい。
【0051】
さらなる例では、錠剤の1つの製剤は、微結晶セルロース(MCC)、マンニトール(MAN)、および/またはリン酸二カルシウム(CDPA)等の材料を含む組成を含んでもよい。製剤は、錠剤コアの周囲にコーティングをさらに含んでもよいし、このようなコーティングが欠けていてもよい。
【0052】
このように、一例では、異なる錠剤種類は、異なるそれぞれの製剤、または製剤の異なるそれぞれの組み合わせ、および製造される錠剤の気孔率に関係してもよい。例えば、図7は、異なる錠剤種類それぞれ(例えば、錠剤種類1、錠剤種類2、錠剤種類3など)と関連する様々なデータ点701、702、703、704、711、712、713、714、721、722、723、724、731、732、733、734を示す。本例では、各錠剤種類は、特定の気孔率と特定の製剤の各組み合わせに関連してもよい。例として、データ点701は、約7.5%の気孔率と、マンニトール(そしてMCCはなし)を有する粉末が目標引張強度1MPaまで圧縮されて平坦面を有する錠剤を形成する製剤とを有する錠剤に関連する第1錠剤種類のピーク衝撃力値を示してもよい。ピーク衝撃力値は、以下により詳細に説明されているように、壊れる前に第1錠剤種類の錠剤が吸収、またはそうでない場合は、耐えることができる衝撃力がどれほどかを示し得る。
【0053】
ある実施形態では、第1の複数の錠剤に衝撃打撃試験が行われるのであれば、このような衝撃打撃試験は、例えば、錠剤種類につき単一の錠剤のみを含み得る。例えば、第1の複数の錠剤は、第1錠剤種類に属する単一の錠剤、第2錠剤種類に属する単一の錠剤、第3錠剤種類に属する単一の錠剤等を含んでもよい。このような例では、衝撃打撃試験は、錠剤のそれぞれを破壊するために必要な力の量を示す、以下に説明されている、例えば、単一のピーク衝撃力値を生成してもよい。単一のピーク衝撃力値は、破壊された錠剤が属する各錠剤種類に関連してもよい。
【0054】
ある実施形態では、衝撃打撃試験が第1の複数の錠剤のセットに行われるのであれば、衝撃打撃試験は、セットごとの平均ピーク衝撃力値を生成してもよい。錠剤の特定のセットの平均ピーク衝撃力値は、錠剤のセットを破壊するために必要な力の平均量を示してもよい。例えば、セットのうちの1つが、例えば、特定の錠剤種類に関連付けられている10個の錠剤を含むのであれば、衝撃打撃試験は、そのセットの10個の錠剤を破壊するために必要な10個の各ピーク衝撃力値を決定するために行われてもよい。このような例では、衝撃打撃試験は、錠剤種類に関連付けられている平均ピーク衝撃力値を決定するために使用されてもよく、平均ピーク衝撃力値は、10個の各ピーク衝撃力値の平均であってもよい。
【0055】
上述のように、衝撃打撃試験は、装置1100、2100、3100等の固形薬剤型または錠剤試験装置で行われてもよい。例えば、衝撃打撃試験は、第1の複数の錠剤または固形剤型の第1錠剤または固形剤型を衝撃プラットフォーム1130、2130、3130上の衝撃部位2132、3132に設置することと、固形剤型または錠剤配置機構1150、2150、3150で衝撃部位2132、3132に第1錠剤または固形剤型を中心的に設置することとを含み得る。例として、錠剤配置機構1150、2150、3150は、上記で説明されている開放構成から、その中で第1プッシュコンポーネント3151および第2プッシュコンポーネント3152等の固形剤型または錠剤配置機構1150、2150、3150の様々なコンポーネントが衝撃部位2132、3132に近付くように動かされる閉鎖構成へと動かされてもよい。固形薬剤型または錠剤試験装置は、衝撃部位2132の上方に最初は吊るされるストライカーコンポーネント1120、2120、3120を有してもよく、ステップ6002は、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120を落下させて第1錠剤または固形剤型を打撃させるように固形薬剤型または錠剤試験装置1100、2100、3100のストライカーコンポーネント1120、2120、3120を解放することを含み得る。例えば、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120は、ユーザ入力デバイス2170に入力されるユーザ指示を介して解放されてもよい。本例では、衝撃打撃試験は、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120によって打撃された後の第1錠剤または固形剤型を除去することをさらに含み得る。いくつかの場合では、除去は手作業で行われてもよい。他の場合では、除去は自動で行われてもよい。例えば、錠剤試験装置2100は、廃棄物除去装置またはコンポーネントを含んでもよい。廃棄物除去装置またはコンポーネントは、錠剤試験装置2100から衝撃打撃試験の結果として作られた可能性のある錠剤破片または他の廃棄物を除去するように構成されている廃棄物濾過コンポーネントを含んでもよい。いくつかの場合では、除去は、例えば、固形剤型または錠剤配置機構1150、2150、3150を閉鎖構成から開放構成へと動かすことを含み得る。
【0056】
ある実施形態では、衝撃打撃試験は、上記の動作、ステップ6002をより多くの錠剤または固形剤型で繰り返してもよい。例として、第1の複数の錠剤が10個の錠剤種類それぞれに関連付けられている10個の錠剤を含むのであれば、10個の錠剤全てが衝撃部位2132、3132に置かれ、ストライカーコンポーネント1120、3120、3120により打撃されるように、上記の動作があと9回繰り返されてもよい。他の例として、衝撃打撃試験が10セットの錠剤で行われるのであれば、各セットは異なる各錠剤種類と関連付けられ、5個の錠剤を含み、50個の錠剤全てが衝撃部位2132、3132に置かれ、ストライカーコンポーネントにより打撃されるように、上記の動作があと49回繰り返されてもよい。さらに他の例として、錠剤試験装置が多数の先端部を有するストライカーコンポーネントを含むのであれば、錠剤試験装置は多数の錠剤に同時に衝撃打撃試験を行ってもよい。例えば、ストライカーコンポーネントが5×5の先端部(すなわち、25個の先端部)の2D配列を有するのであれば、錠剤試験装置は、25個の錠剤に同時に衝撃打撃試験を行うことが可能であってもよく、その後、別の25個の錠剤に衝撃打撃試験を繰り返して、合計50個の錠剤に衝撃打撃試験が行われるようにしてもよい。
【0057】
ある実施形態では、衝撃打撃試験は、第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットの各錠剤が衝撃打撃試験の結果として破壊される可能性を最大とする方法で行われてもよい。例えば、衝撃打撃試験は、十分な合計質量、例えば、1kgを有し、および/または、衝撃部位2132、3132の上方で十分な高さ、例えば、30cmに吊るされるストライカーコンポーネント1120、2120、3120を含んで、ストライカーコンポーネントが衝撃部位に到達した際の、蓄積された運動量および/または運動エネルギーが錠剤を破壊するのに十分となるように、例えば、間隙3300Aを作ることにより、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120が解放されて衝撃部位2132、3132に向かって落下する際に、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120が落下中に十分な運動量および/または運動エネルギーを蓄積することを確実にしてもよい。ある実施形態では、図8Cに関してより詳細に以下で説明されるように、コンピュータシステム1200は、衝撃打撃試験の間に力のプロファイルを測定するセンサデータに基づき、錠剤が実際に破壊されたかどうかを検出または決定するように構成されていてもよい。
【0058】
ある実施形態では、方法6000は、衝撃打撃試験中に、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120から第1の複数の錠剤または固形剤型が衝撃打撃試験中に受けた衝撃力の各ピーク量を示す複数のピーク衝撃力値、または第1の複数の錠剤または固形剤型のセットが衝撃打撃試験中に受けた衝撃力の各平均ピーク量を測定することを含むステップ6004を含んでもよい。いくつかの場合では、ピーク衝撃力は、錠剤が衝撃打撃試験中に崩壊するまでに耐えた力のピーク量、または錠剤のセットが衝撃打撃試験中に崩壊するまでに耐えた力のピーク量の平均を示してもよい。本例の複数のピーク衝撃力値は、第1の複数の錠剤種類のそれぞれに関連してもよい。
【0059】
上述のように、方法6000は、錠剤または固形剤型が損壊する事象を検出することを含んでもよい。このような検出動作は、実際に力が錠剤を破壊したのかどうか、錠剤に与えられる衝撃力を測定するセンサデータに基づき決定することを含み得る。このような決定は、例えば、時間関数としてストライカーコンポーネントによって錠剤に与えられる力関数に関係してもよい衝撃力のプロファイルに基づき行われてもよい。より詳細には、図8Eは、3つの各錠剤がストライカーコンポーネントからの衝撃力によって破壊される3つの場合と、別の3つの各錠剤がストライカーコンポーネントからの衝撃力にも拘わらず破壊されずに残っている3つの場合とに関連付けられている衝撃力のプロファイルを示す。いくつかの実装例では、このような決定は、力のプロファイルが、その期間の間に力の値が時間関数として実質的に平坦なままで、所定の閾値を超える持続時間を有するプラトー形状を形成する期間を有するかどうかを検出することを含み得る。力のプロファイルのこのような形状は、力のプロファイルに関連付けられている錠剤が破壊されていないことを示してもよい。その一方で、力のプロファイルが、力の値がピークに向かって増加し、プラトーを形成することなく減少する形状を有するとすれば、このような力のプロファイルは、力のプロファイルに関連付けられている錠剤が衝撃打撃試験中にそれに与えられた力によって破壊されたことを示してもよい。
【0060】
いくつかの場合では、衝撃打撃試験が特定の錠剤種類の単一の錠剤または固形剤型に行われる場合、ステップ6004は、ストライカーコンポーネントにより錠剤に与えられる力のピーク量を示すピーク衝撃力値、さらに具体的に言うと、単一の錠剤を破壊することにおいてどのくらいの衝撃力を要するかを測定することを含み得る。いくつかの場合では、衝撃打撃試験が特定の錠剤種類の錠剤のセットに行われる場合、ステップ6004は、錠剤のセットに与えられる衝撃力のピーク量の平均、すなわち、具体的には、錠剤のセットを破壊することにおいてどのくらいの衝撃力が平均で要するかを測定することを含み得る。
【0061】
いくつかの場合では、ステップ6004は、センサデータ取得システム、例えば、センサデータ取得システム1140、2140の支援によりまたは支援で行われてもよい。例えば、ストライカーコンポーネント2120内に埋め込まれる歪ゲージ力センサ2141は、第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットごとに、各ピーク衝撃力を測定してもよい。本例では、ステップ6004は、センサ2141により生成されるセンサデータを受信する、製造または研究/開発施設の人員および/またはコンピュータシステム、例えば、コンピュータシステム1200をさらに含み得る。センサデータは、センサ2141から直接受信されてもよいし、通信回路、例えば、通信回路2143を介して受信されてもよい。
【0062】
図8Aおよび8Bは、異なる時間の点においてどれほどの力がストライカーコンポーネント1120、2120、3120により衝撃部位2132、3132にある錠剤、例えば、錠剤3300に与えられるか、および/またはどれほどの力がストライカーコンポーネントから錠剤によって吸収されるかを示してもよいデータのグラフを示す。グラフは、例えば、ステップ6004で収集されたセンサデータを表してもよいし、それに基づいてもよい。例えば、図8Aは、衝撃打撃試験が第1錠剤を破壊している際に収集または生成されるデータを表してもよく、一方で図8Bは、衝撃打撃試験が第2錠剤を破壊している際に収集または生成されるデータを表してもよい。一例では、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120が錠剤、例えば、錠剤3300と衝突する、衝撃を与える、またはそうでない場合は、打撃する時に、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120が急に減速してもよい。センサ2141またはまた別のセンサは、異なる時間の点においてどれほどストライカーコンポーネント1120、2120、3120が加速または減速するかを測定してもよい。このような測定は、どれほどの力(衝撃力とも呼ばれる)をストライカーコンポーネント1120、2120、3120が時間関数として錠剤3300に与えているのかの近似値を求める、またはそうでない場合は、示すために使用されてもよい。より詳細には、センサデータは、ストライカーコンポーネント1120、2120、3120により錠剤3300に与えられるピーク衝撃力値および/またはストライカーコンポーネント1120、2120、3120から錠剤によって吸収されるエネルギーを示してもよい。いくつかの場合では、ステップ6004は、コンピュータシステム1200が図8Aおよび8Bのグラフを形成するもの等の力の値を、センサデータ取得システム、例えば、センサデータ取得システム2140によって生成されるセンサデータに基づき、算出することを含み得る。上述のように、衝撃打撃試験は、第1の複数の錠剤の各錠剤を破壊する可能性を最大とする方法で行われてもよい。さらに上述のように、コンピュータシステムまたは他のデバイスは、錠剤に衝撃打撃試験を行うことにより収集されるセンサデータに基づき、錠剤が実際に破壊されたかどうかを決定してもよい。このように、ステップ6004は、第1の複数の錠剤を破壊することに関連付けられているピーク衝撃力値を測定することを含み得る。例えば、ステップ6004が図8Aおよび8Bに表されたデータに基づくのであれば、ステップ6004は、第1錠剤を破壊することに関連付けられている799Nのピーク衝撃力値および第2錠剤を破壊することに関連付けられている804Nのピーク衝撃力値を決定することを含み得る。図8Cおよび8Dは、様々な製剤および様々な錠剤形状の10個の錠剤のセットから決定される平均ピーク衝撃力値の例を示す。
【0063】
図9A~9Fは、方法6000のステップ6006の結果として測定されてもよいピーク衝撃力値を示す。より詳細には、図面は、X軸が異なる錠剤種類の錠剤を破壊することに関連付けられている平均ピーク衝撃力値を表す。例えば、図9Aのグラフは、錠剤種類1に関連する錠剤のセットが約400Nの平均ピーク衝撃力値を有することを示すデータを表す。このデータ点は、例えば、錠剤種類1に属する、またはそうでない場合は、関連付けられている、例えば、5個の錠剤のセットにステップ6002で衝撃打撃試験を行うこと、および5個の錠剤に与えられるまたは5個の錠剤により吸収されるピーク衝撃力値の平均を決定することで決定されたものでもよい。上述のように、ピーク衝撃力値は、壊れるまでに5個の錠剤が耐えた最大力を示してもよい。ある実施形態では、図9A~9Fは、錠剤種類1から10のそれぞれに関連付けられている平均ピーク衝撃力値をそれぞれ示してもよいが、以下により詳細に説明されるように、錠剤降下試験が行われる異なる状況に関連付けられていてもよい。
【0064】
いくつかの実装例では、ステップ6004は、ピーク衝撃力値を測定することの代わりに、またはそれに加えて、衝撃打撃試験の間に錠剤または固形剤型によって吸収されるエネルギーの量を測定する、またはそうでない場合は、決定することを含み得る。図8Aおよび8Bに示されるように、吸収されるエネルギーの量は、図8Aおよび8Bの曲線下面積を決定するように、図面の力の値を積分することにより決定されてもよい。例えば、図8Cおよび8Dは、錠剤に与えられるまたは吸収されるピーク衝撃力と、錠剤に与えられるまたは吸収されるエネルギーの量との両方を示すデータを示す。いくつかの実装例では、ステップ6004は、ピーク衝撃力値を測定することの代わりに、またはそれに加えて、第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットの靱性パラメータを測定することを含み得る。いくつかの場合では、錠剤の靱性パラメータは、図10Aおよび10Bに示される応力歪曲線等の錠剤の応力歪曲線下面積を算出することに基づき測定されてもよい。
【0065】
図6に戻り、方法6000は、ある実施形態において、第2の複数の錠剤または固形剤型のセットに錠剤または固形剤型落下試験を行うことを含むステップ6006を含んでもよい。第2の複数の錠剤のセットもまた、ステップ6002に関して上記で説明されている複数の錠剤種類に関連付けられていてもよい。言い換えると、第2の複数の錠剤のセットの各セットは、複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連してもよい。例えば、第2の複数の錠剤は、第1錠剤種類、例えば、錠剤種類1に属する錠剤のセット、例えば、100個の錠剤を含んでも、第2錠剤種類、例えば、錠剤種類2に属する錠剤のセット、例えば、100個の錠剤などを含んでもよい。
【0066】
ある実施形態では、錠剤降下試験は、第2の複数の錠剤のセットを固体、またはそうでない場合は、剛体表面に落下させること、および錠剤が壊れる、または降下された結果、物理的欠陥を経験する割合がどれほどかを検査することを含んでもよい。例えば、錠剤降下試験は、多数の錠剤のセット、例えば、100個の錠剤を固体表面の上方に保持し、錠剤のセットを解放して固体表面上へと降下させることを許可することで、特定の錠剤種類に関連付けられている錠剤のセットに行われてもよい。錠剤の保持および降下は、手作業で行われてもよいし、自動的に行われてもよいし、一度に1つの錠剤に行ってもよいし、同時に錠剤のセットのいくつかまたは全てに行ってもよい。
【0067】
ある実施形態では、錠剤降下試験は、錠剤が降下される異なる状況をシミュレーションしてもよい。状況は、例えば、降下高さ、降下回数、またはそれらの組み合わせに関係してもよい。このような実施形態では、異なる状況は、異なる降下高さ、異なる降下回数、またはそれらの異なる組み合わせに関係してもよい。例として、異なる状況は、錠剤がたった一度だけ1メートルの高さから降下される第1組み合わせ、錠剤が5回、1メートルの高さから降下される第2状況、錠剤が10回、1メートルの高さから降下される第3状況、錠剤がたった一度だけ2メートルの高さから降下される第4状況、錠剤が5回、2メートルの高さから降下される第5状況、および錠剤が10回、2メートルの高さから降下される第6状況を含み得る。これらの状況は、例えば、図9A~9Fに示されるデータを生成するために使用されてもよい。例えば、錠剤降下試験は、特定の錠剤種類、例えば、錠剤種類1に関連付けられている、例えば、600個の錠剤のセットに行われてもよい。本例では、錠剤降下試験は、上記で説明されている状況ごとに錠剤の異なる各サブセットを降下させることを含み得る。このように、錠剤降下試験は、本例では、上記で説明されている第1状況を使用して100個の錠剤の第1サブセットを固体表面へと降下させること、上記で説明されている第2状況を使用して100個の錠剤の第2サブセットを固体表面へと降下させること、上記で説明されている第3状況を使用して100個の錠剤の第3サブセットを固体表面へと降下させること、上記で説明されている第4状況を使用して100個の錠剤の第4サブセットを固体表面へと降下させること、上記で説明されている第5状況を使用して100個の錠剤の第5サブセットを固体表面へと降下させること、および上記で説明されている第6状況を使用して100個の錠剤の第6サブセットを固体表面へと降下させることを含み得る。上記の例では、錠剤降下試験は、他の錠剤種類、錠剤種類2、錠剤種類3などに関連してもよい錠剤の他のセットを降下させることを含み得る。
【0068】
図6に戻り、方法6000は、ある実施形態において、錠剤降下試験に基づき、複数の錠剤種類に関連付けられている複数の物理的欠陥率を測定することを含んでもよいステップ6008を含んでもよい。例えば、図9Aは、錠剤種類1から10に関連付けられている複数の物理的欠陥率を表すデータ点を示す。例として、データ点は、69%の物理的欠陥率を有する錠剤種類1を示す。図9B~9Fは、複数の錠剤種類に関連付けられている、および錠剤降下試験が行われる他の状況に関連付けられている他の各複数の物理的欠陥率をそれぞれ示してもよい。
【0069】
ある実施形態では、錠剤種類の物理的欠陥率を測定することは、錠剤種類に関連付けられている錠剤のセットまたはサブセット中のいくつの錠剤が破壊、またはそうでない場合は、降下の結果として物理的欠陥を経験したかを自動的にまたは手作業で数えること、およびどれほどの比率または割合の錠剤のセットが物理的欠陥を経験したかを算出することを含み得る。例として、錠剤降下試験が、上記で説明されている、錠剤種類1に関連付けられている、例えば、100個の錠剤の第1サブセットをたった一度だけ1メートルの高さから降下させることを含むとすれば、ステップ6008は、サブセットの錠剤のいくつが降下の結果として破壊されたまたは物理的欠陥を経験したかを数えることを含み得る。例えば、69個の錠剤が物理的欠陥を経験したと数えられたのであれば、ステップ6008は、錠剤種類1に関連付けられている錠剤がたった一度だけ1メートルの高さから降下された場合、物理的欠陥割合(物理的欠陥率とも呼ばれる)が69%の関連錠剤種類1があると決定することを含み得る。
【0070】
ある実施形態では、上記で説明されている複数の物理的欠陥率は、第1の複数の物理的欠陥率であってもよく、ステップ6008は、第2の複数の物理的欠陥率、第3の複数の物理的欠陥率などを測定または決定することを含み得る。複数の物理的欠陥率のそれぞれは、錠剤が降下される降下高さと降下回数との組み合わせ等の特定の状況に関連してもよい。例として、図9Aは、錠剤降下試験で錠剤がたった一度だけ1メートルの高さから降下される場合の、錠剤種類1から10それぞれに関連付けられている第1の複数の物理的欠陥率を示すデータを表してもよく、一方で、図9Bは、錠剤降下試験で錠剤が5回、1メートルの高さから降下される場合の、錠剤種類1から10それぞれに関連付けられている第2の複数の物理的欠陥率を示すデータを表してもよい。上記の実施形態は落下試験を行うことから物理的欠陥率を取得することを説明しているが、物理的欠陥率は、他のいかなる試験を使用して取得されてもよい。
【0071】
図6に戻り、方法6000は、ある実施形態において、複数のピーク衝撃力値および複数の物理的欠陥率に基づき、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明するモデルを決定することを含むステップ6010を含んでもよい。ある実施形態では、モデルは、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する数式または関数を含んでもよいし、それらによって説明されてもよい。例えば、図9Aは、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との間の数式または関数を表す曲線901を示す。曲線901またはその対応する数式は、曲線当てはめ作業を行うことによって決定されてもよい。このような作業は、図9Aのデータ点に最良に適合する曲線を決定することを含み得る。上記で説明されているように、図9Aのデータ点のそれぞれは、錠剤種類1から10のうちの1つに関連付けられている各平均ピーク衝撃力値および錠剤種類に関連付けられている各物理的欠陥率を示してもよい。平均ピーク衝撃力値は、衝撃打撃試験を介して決定されたものでもよく、対して、物理的欠陥率は、錠剤降下試験を介して決定されたものでもよい。
【0072】
ある実施形態では、モデルは、それぞれが、降下高さと降下回数との特定の組み合わせ等の錠剤降下試験が行われる特定の状況に関連してもよい、多数の曲線または数式に基づき決定されてもよい。例えば、モデルは、図9A~9Fそれぞれの曲線901、902、903、904、905、および906、または曲線によって表される数式を含んでもよいし、それらによって説明されてもよい。曲線901~906は、錠剤降下試験が行われる異なる状況に関連してもよい。
【0073】
ある実施形態では、方法6000は、ステップ6010のモデルに基づき、錠剤が降下される他の状況の、および/または他の錠剤種類の予測される物理的欠陥率を決定するステップを含んでもよい。例えば、予測は、錠剤種類11等の他の錠剤種類、および/または1.5メートルの高さから5回の降下または2メートルの高さから4回の降下等の降下回数と降下高さとの他の組み合わせに行われてもよい。いくつかの場合では、このようなステップは、製造施設の人員によりおよび/またはコンピュータシステム1200により行われてもよい。
【0074】
いくつかの場合では、このような予測を決定することは、追加の錠剤または錠剤のセットに衝撃打撃試験を行って、ピーク衝撃力値を決定すること、およびピーク衝撃力値を使用して予測される物理的欠陥率を決定する、またはより一般的には、追加の錠剤または錠剤のセットの物理的強度またはロバスト性を判断することを含み得る。例えば、ステップは、例えば、錠剤種類11に関連付けられている追加の錠剤または追加の錠剤のセットに衝撃打撃試験を行うこと、および衝撃打撃試験中に追加の錠剤または追加の錠剤のセットがストライカーコンポーネントから受けた衝撃力のピーク量を示す、すなわち、具体的には、衝撃打撃試験中に壊れるまでに追加の錠剤によって耐えられた最大の力の量を示す、ピーク衝撃力値を測定することを含み得る。本例では、ステップは、上記で説明されているモデルに基づき、およびピーク衝撃力値に基づき、錠剤種類11の予測される物理的欠陥率を決定してもよい。いくつかの場合では、ピーク衝撃力値は、追加の錠剤のセットを破壊することに関する平均ピーク衝撃力値であってもよい。図11Aは、様々な錠剤種類の予測される物理的欠陥率を示し、予測は、錠剤種類に属する錠剤に衝撃打撃試験を行うことから導かれるピーク衝撃力値に基づいてもよい。いくつかの場合では、予測される物理的欠陥率は、錠剤が2メートルの高さから5回降下される状況等の錠剤が降下される特定の状況に関するものであってもよい。このような場合、予測は、図9Eの曲線905または図11Bの曲線1105等のこのような状況に関連付けられている曲線を使用することを含み得る。例えば、図11Aの予測は、例えば、曲線1105の508N、234N、および128Nに対応する物理的欠陥率の値を決定することを含み得る。
【0075】
他の例として、上記のステップ6010は、例えば、ステップ6006の錠剤降下試験の間に錠剤が降下された状況とは異なる追加の状況での予測される物理的欠陥率を決定することを含み得る。例えば、ステップは、錠剤種類の錠剤が4回、2メートルの高さから降下される状況での錠剤種類1、錠剤種類2、錠剤種類11、錠剤種類12、またはまた別の錠剤種類の予測される物理的欠陥率を決定することを含み得る。このような状況は、錠剤降下試験がステップ6006のために行われる状況を表す、図9A~9Fに示されるものとは異なってもよい。このような例では、ステップは、ステップ6010のモデルによって直接的に表される状況に関連付けられている物理的欠陥率であってもよく、上記で説明されている追加の状況に最も近い1つ以上の中間物理的欠陥率を決定することを含み得る。例えば、追加の状況が、錠剤が4回、2メートルの高さから降下されることに関係するのであれば、中間物理的欠陥率は、図9Dおよび9Eに示すように、錠剤が一度2メートルの高さから降下される状況に関連付けられている第1物理的欠陥率と、錠剤が5回、2メートルの高さから降下される状況に関連付けられている第2物理的欠陥率とを含んでもよい。本例では、上記で説明されている予測ステップは、上記で説明されている中間物理的欠陥率に基づく、追加の状況(2メートルの高さから4回の降下)での物理的欠陥率を推定してもよい。
【0076】
上記で説明されているように、本開示の一態様は、錠剤を破壊することに関するピーク衝撃力の測定を使用して、錠剤または錠剤のバッチの物理的強度またはロバスト性を判断する、すなわち、具体的には、錠剤のバッチの物理的欠陥率(または錠剤が物理的欠陥を経験するであろう可能性を示すまた別のパラメータ)を予測することに関する。より具体的には、ピーク衝撃力値は、錠剤のバッチが経験すると予測される物理的欠陥率に関する強力な指標または強力な予測因子を提供してもよい。例えば、図12Aは、ピーク衝撃力に関連付けられているp値およびR値と、引張強度に関連付けられているp値およびR値とを比較するデータを示す。パラメータのためのp値は、物理的欠陥率におけるばらつきを説明するためにそのパラメータがいかに有益かを示してもよいし、すなわち、具体的には、物理的欠陥率がそのパラメータにより影響されているという仮説をそのパラメータが支持するかどうかを示してもよい。図12Aに示すように、ピーク衝撃力値は低いp値を有してもよい。低いp値、例えば、0.05未満のp値は、物理的欠陥率はピーク衝撃力値におけるばらつきによって影響されないという帰無仮説等の帰無仮説は正確でない可能性が高いと示してもよい。言い換えると、ピーク衝撃力値の低いp値は、物理的欠陥率がピーク衝撃力値におけるばらつきによって影響される、またはピーク衝撃力値におけるばらつきに相関性を持つという仮説を示してもよいし、その仮説と少なくとも一貫していてもよい。図12Aにさらに示されるように、引張強度のp値は、ピーク衝撃力値のp値より非常に高くてもよい。パラメータの高いp値、例えば、0.05より大きなp値は、パラメータが物理的欠陥率に対して限られた影響しかない、または全く影響がないことを示してもよい。図12Bは、錠剤中の引張強度と物理的欠陥率との間に相関関係が欠けていることを示す付加データを提供する。図12Aは、引張強度と物理的欠陥率との関係を説明する曲線または数式よりも、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する近似曲線または数式により高いR値があることをさらに示す。より高いR値は、曲線の当てはめを行うために使用されるデータ点と比較すると、近似曲線はエラーのレベルがより低いことを示してもよい。図12Cは、引張強度と物理的欠陥率とを結びつける試みで使用される近似曲線のR値を示す。図12Cが示すように、このような曲線のR値は、ピーク衝撃力を物理的欠陥率に結びつける、図11Bのような曲線のRに対すると、より低い。このように、図11B、12A、および12Cのデータは、引張強度等の他のパラメータに対すると、ピーク衝撃力値が物理的欠陥率により大きな影響および物理的欠陥率を正確に予測するより高い能力を有する。より一般的に言うと、ピーク衝撃力値は、他のパラメータよりも高い能力を発揮して、錠剤の物理的強度またはロバスト性を判断してもよい。図15は、物理的欠陥率を予測する、摩損度等の他のパラメータの限られた能力をさらに説明する。摩損度試験は、錠剤機械的強度に合格または不合格基準を与える定性的試験である(例えば、合格:破壊された錠剤がなく、1%未満の重量減少、または不合格:単体の錠剤のいずれかが破壊されているおよび/または1%を超える重量減少)。このような試験は、試験条件(固定された降下高さと固定された降下回数)でのデータのみを提供し、試験条件(衝撃の多寡)を超えて推定するのに使われる能力がない、または限られた能力しかないかもしれない。さらに、摩損度試験では、破壊された錠剤によって吸収されるエネルギーを測定する能力が欠けていてもよいため、特定の錠剤が破壊されている、またはチップしている理由を説明できないかもしれない。
【0077】
図13は、ピーク衝撃力値を使用して物理的欠陥率に関する予測を行うために行われてもよい方法13000を示す。以下により詳細に説明されているように、方法13000は、衝撃打撃試験および錠剤降下試験を使用して上記で決定されたモデル等のモデルに基づき行われてもよい。いくつかの実装例では、方法13000は、コンピュータシステム1200等のコンピュータシステムにより行われてもよい。
【0078】
ある実施形態では、方法13000は、コンピュータシステム1200が、錠剤試験装置のストライカーコンポーネントが錠剤または錠剤のセットを打撃または破壊する、衝撃打撃試験の間に、錠剤試験装置、例えば、1100、2100、3100のセンサによって測定されるピーク衝撃力値を受信する、ステップ13002を含んでもよい。錠剤または錠剤のセットは、錠剤種類11等の特定の錠剤種類に属してもよい。ピーク衝撃力値は、衝撃打撃試験中にストライカーコンポーネント、例えば、1120、2120、3120から錠剤または錠剤のセットが受ける衝撃力のピーク量を示してもよい。衝撃打撃試験が錠剤のセットに行われるのであれば、ピーク衝撃力値は、錠剤のセットがそれぞれ受ける力のピーク量の平均であってもよい。いくつかの場合では、ピーク衝撃力は、衝撃打撃試験中に壊れるまで錠剤が耐えた力の最大量または壊れるまで錠剤のセットのそれぞれが耐えた力の最大量の平均であってもよい。
【0079】
ある実施形態では、方法13000は、コンピュータシステム1200がピーク衝撃力値に基づき、衝撃打撃試験で使用される錠剤または錠剤のセットに関連付けられている、錠剤種類、例えば、錠剤種類11の少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定するステップ13004を含んでもよい。上記で説明されているように、錠剤種類は、製剤と物理的形状または気孔率との組み合わせ等の錠剤の物理的特性または物理的特性のセットに関連付けられている。本例では、少なくとも1つの予測される物理的欠陥率は、固体表面に降下された際に錠剤種類に属する錠剤が壊れる可能性を予測してもよい。
【0080】
ある実施形態では、少なくとも1つの物理的欠陥率は、上記で説明されているモデル等の、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する記憶されたモデルに基づき決定されてもよい。例えば、モデルは、図14に示されている曲線等のピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する曲線または数式を含んでもよいし、それらによって説明されてもよい。上記で説明されているように、ピーク衝撃力値は、単一の錠剤に与えられる力のピーク量または錠剤のセットに与えられる力のピーク量の平均を説明してもよい。図14の例では、少なくとも1つの物理的欠陥率は、ステップ13002で決定されるピーク衝撃力に対応する曲線上の値として決定されてもよい。
【0081】
ある実施形態では、少なくとも1つの予測される物理的欠陥率は、5回降下されるおよび/または2メートルの高さから降下される際等の錠剤が固体表面上に降下されるまたは降下されることが可能な特定の状況に関連付けられている第1の予測される物理的欠陥率を含んでもよい。いくつかの場合では、方法13000は、錠剤が固体表面上へと降下されるまたは降下されることが可能な複数の状況の複数の予測される物理的欠陥率を決定してもよい。例えば、錠剤の複数の予測される物理的欠陥率は、錠剤が固体表面上に降下されることが可能な、複数の異なる降下高さ、複数の異なる降下回数、および/または降下高さと降下回数との複数の異なる組み合わせに関連してもよい。上述のように、このような予測を行うことは、いくつかの場合では、中間物理的欠陥率から予測される物理的欠陥率を推測することを含み得る。
【0082】
ある実施形態では、方法13000は、ピーク衝撃力値に基づき、壊れずにまたは少なくとも1つの予測される物理的欠陥率が所定の欠陥率閾値を超えることなく、錠剤種類の錠剤が降下されることが可能な予測される最大高さ、および/または壊れずにまたは少なくとも1つの予測される物理的欠陥率が所定の欠陥率閾値を超えることなく、錠剤種類の錠剤が降下されることが可能な予測される最大回数を決定することを含み得る。このような決定は、錠剤または錠剤の製剤の物理的強度またはロバスト性、および/または製剤がその物理的強度を高めるために調整される必要があるかどうかを評価するために使用されてもよい。
【0083】
以上、様々な実施形態が説明されてきたが、本技術の説明および例のみとして提示されており、限定する目的ではない。本技術の精神と範囲から逸脱することなく、形態と細部に様々な変更を施すことができることは、関連技術の当業者には明らかであろう。このように、本技術の幅および範囲は、上述の実施形態のいずれかによって限定されるべきでなく、添付の請求項およびその等価物に従ってのみ定義されるべきである。また、本明細書に説明されている各実施形態および本明細書で引用した各参考文献の各特性は、他のいかなる実施形態の特性と組み合わせて使用可能であることも理解されよう。本明細書に説明されている全ての特許および組み込まれる刊行物は参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2BB
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカーコンポーネントと、
衝撃部位を提供するように構成されている衝撃プラットフォームと、
その中に前記ストライカーコンポーネントおよび前記衝撃プラットフォームが配置されている筺体であって、前記ストライカーコンポーネントを前記筺体内で前記衝撃部位の上方に脱着可能に吊るすように構成されている機構を含む筺体と、
前記ストライカーコンポーネントが、前記衝撃部位に向かって降下するように解放される際の、前記ストライカーコンポーネントの速度または運動エネルギーを示すセンサデータを取得するように構成されているセンサデータ取得システムと、
前記衝撃プラットフォームに連結されている第1プッシュコンポーネントおよび第2プッシュコンポーネントを有する固形剤型配置機構であって、前記第1プッシュコンポーネントは第1凹部を有し、前記第2プッシュコンポーネントは第2凹部を有し、前記衝撃部位は前記第1プッシュコンポーネントの前記第1凹部と前記第2プッシュコンポーネントの前記第2凹部との間に配置されている固形剤型配置機構と、を備え、
前記第1プッシュコンポーネントの前記第1凹部の凹部は、前記衝撃部位から離れている前記第1プッシュコンポーネントの内部に向かって内向きに延び、
前記第2プッシュコンポーネントの前記第2凹部の凹部は、前記衝撃部位から離れている前記第2プッシュコンポーネントの内部に向かって内向きに延び、
前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントは、互いに向かって可動に構成されて、前記第1凹部と前記第2凹部との間に配置される固形剤型を前記衝撃部位に位置付ける、固形薬剤型試験装置。
【請求項2】
前記第1凹部は、第1凹形角を形成し、前記第2凹部は、第2凹形角を形成し、
前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントは、前記固形剤型が前記衝撃部位に配置されている際に前記固形剤型を取り囲むように構成されている、請求項1に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記第1プッシュコンポーネントおよび前記第2プッシュコンポーネントが互いに向かって動かされる際に前記第2凹部を受けるように適合される溝を形成する、請求項1記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項4】
前記筺体は、衝撃打撃試験の間に作られる破片を収容するための前記衝撃部位を取り囲む衝撃チャンバーを形成し、
前記固形薬剤型試験装置は、
(i)前記衝撃チャンバー内へと空気圧をかける気流を発生させるように構成されている気流ジェネレーター、または前記破片が前記衝撃チャンバーから離れていくことを防止するための負圧を発生させるように構成されているバキュームのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項5】
前記ストライカーコンポーネントは、前記衝撃部位に対向する丸みのある先端部を有する、請求項1記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項6】
前記ストライカーコンポーネントは、1kg以下である質量を有する、請求項1記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項7】
前記ストライカーコンポーネントは、0.5kg以下である質量を有する、請求項6に記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項8】
前記筺体は、前記ストライカーコンポーネントが前記衝撃部位の上方で脱着可能に吊るされる最大距離を120cm、110cm、100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、40cm、30cm、20cm、10cm、5cm以下に制限する高さを有する、請求項1記載の固形薬剤型試験装置。
【請求項9】
第1の複数の錠剤または第1の複数の錠剤のセットに衝撃打撃試験を行うことであって、前記衝撃打撃試験は、固形薬剤型試験装置のストライカーコンポーネントが前記第1の複数の錠剤または前記第1の複数の錠剤のセットを打撃して破壊することを含み、前記第1の複数の錠剤の各錠剤または前記第1の複数のセットの各セットは、異なる各物理的特性を有する複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連付けられている、前記衝撃打撃試験を行うことと、
前記第1の複数の錠剤または前記第1の複数の錠剤のセットが前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けた衝撃力の各ピーク量を示す複数のピーク衝撃力値を前記衝撃打撃試験中に測定することであって、前記複数のピーク衝撃力値は、前記複数の錠剤種類に関連付けられている、前記複数のピーク衝撃力値を測定することと、
第2の複数の錠剤のセットに錠剤降下試験を行うことであって、前記錠剤降下試験は、前記第2の複数の錠剤のセットを固体表面に降下させることを含み、前記第2の複数のセットの各セットは、前記複数の錠剤種類の各錠剤種類に関連付けられている、前記錠剤降下試験を行うことと、
前記錠剤降下試験に基づき、前記複数の錠剤種類に関連付けられている複数の物理的欠陥率を測定することと、
前記複数のピーク衝撃力値および前記複数の物理的欠陥率に基づき、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明するモデルを決定することと、
前記モデルに基づき、前記複数の錠剤種類のうちの1つまたは追加の錠剤種類に対する予測される物理的欠陥率を決定することと、を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記複数の錠剤種類に関連付けられている前記異なる物理的特性は、前記複数の錠剤種類ごとに、(i)前記錠剤種類の各製剤、または(ii)前記錠剤種類の各気孔率、のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記複数の物理的欠陥率は、第1降下高さに関連付けられている第1の複数の物理的欠陥率であり、前記方法は、第2降下高さに関連付けられている第2の複数の物理的欠陥率を測定することをさらに備える、請求項9記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記複数の物理的欠陥率は、前記第2の複数の錠剤のセットの錠剤が前記錠剤降下試験中に前記固体表面へと降下される回数を示す第1降下回数に関連付けられている第1の複数の物理的欠陥率であり、前記方法は、第2降下回数に関連付けられている第2の複数の物理的欠陥率を測定することをさらに備える、請求項9記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記追加の錠剤種類の前記予測される物理的欠陥率を決定することは、
前記追加の錠剤種類に関連付けられている追加の錠剤に前記衝撃打撃試験を行うことであって、前記衝撃打撃試験は、前記ストライカーコンポーネントが前記追加の錠剤を打撃して破壊することを含む、前記衝撃打撃試験を行うことと、
前記追加の錠剤が前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けて壊れた衝撃力のピーク量を示す追加のピーク衝撃力値を測定することと、を含み、
前記追加の錠剤種類に対する前記予測される物理的欠陥率は、前記モデルおよび前記追加のピーク衝撃力値に基づいて決定される、請求項9記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記衝撃打撃試験は、請求項1記載の固形薬剤型試験装置を使用して行われる、請求項9記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
固形薬剤型試験装置のストライカーコンポーネントが錠剤のセットを打撃して破壊する衝撃打撃試験中に前記固形薬剤型試験装置のセンサにより測定されるピーク衝撃力値を受信することであって、前記ピーク衝撃力値は、前記錠剤のセットが前記衝撃打撃試験中に前記ストライカーコンポーネントから受けた衝撃力の平均ピーク量を示す、前記ピーク衝撃力値を受信することと、
前記ピーク衝撃力値に基づき、前記衝撃打撃試験で使用される前記錠剤のセットに関連付けられている錠剤種類に対する少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することであって、前記錠剤種類は、前記錠剤のセットの物理的特性または物理的特性のセットに関連付けられており、前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率は、前記錠剤種類に属する前記錠剤のセットが固体表面上に降下される場合に壊れる可能性を予測する、前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することと、を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することは、前記錠剤のセットに対する複数の予測される物理的欠陥率を決定することを備え、前記複数の予測される物理的欠陥率は、前記錠剤のセットが前記固体表面上へと降下されることができる複数の異なる降下高さに関連付けられている、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率を決定することは、前記錠剤のセットに対する複数の予測される物理的欠陥率を決定することを備え、前記複数の予測される物理的欠陥率は、前記錠剤のセットの複数の異なる降下回数に関連付けられており、前記複数の異なる降下回数のそれぞれは、前記錠剤のセットの1以上が前記固体表面上へと降下される回数を示す、請求項15記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記ピーク衝撃力値に基づき、前記錠剤種類の前記錠剤のセットが、壊れずにまたは前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率が所定の欠陥率閾値を超えることなく降下させることができる予測される最大高さを決定することをさらに備える、請求項15記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの予測される物理的欠陥率は、ピーク衝撃力値と物理的欠陥率との関係を説明する記憶されたモデルに基づき決定される、請求項15記載のコンピュータ実装方法。
【国際調査報告】