(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-26
(54)【発明の名称】抗ウイルス剤としてのチオヌクレオシド
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240318BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240318BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240318BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240318BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240318BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P31/14
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/403
A61K31/661
A61K31/4178
A61K9/51
A61K31/675
A61K31/7068
C12N15/12 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562229
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022024290
(87)【国際公開番号】W WO2022217155
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シナジ, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】アンブラード, フランク
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ザンディ, ケイヴァン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA65
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB31
4C076CC35
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA52
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC41
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086BC38
4C086BC42
4C086CB05
4C086DA34
4C086EA17
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
ヒト対象または他の動物宿主におけるコロナウイルス感染症を予防、処置または治癒するための化合物、組成物及び方法。一実施形態では、化合物は、重症急性呼吸器症候群ウイルス、例えば、ヒトコロナウイルス229E、SARS、MERS、SARS-CoV-1、OC43、及びSARS-CoV-2の感染症を処置するために使用され得る。別の実施形態では、方法は、フラビウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、またはブニヤウイルスに感染した患者を処置するために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(A)または式(A1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化58】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
Y及びRは、独立して、H、OH、ハロ、任意に置換されたO連結アミノ酸、置換または非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換または非置換C
2-6アルケニル、置換または非置換C
2-6アルキニル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR’、SR’からなる群から選択され、各R’は、独立して、-C(O)-C
1-12アルキル、-C(O)-C
2-12アルケニル、-C(O)-C
2-12アルキニル、-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-C(O)O-C
1-12アルキル、-C(O)O-C
2-12アルケニル、-C(O)O-C
2-12アルキニル、-C(O)O-C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、及びC
3-6シクロアルキルであり、前記基は、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、ニトロ、及びシアノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
R
1及びR
1Aは、独立して、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、またはCF
3であり、R
1がMeである場合、それが結合した炭素は、全体的または部分的にRもしくはSまたはそれらの任意の混合物であり得、またはR
1及びR
1Aは、組み合わさってC
3-7シクロアルキル環を形成し得;
R
2は、H、CN、N
3、F、CH
2-ハロゲン、CH
2-N
3、O-CH
2-P-(OH)
3、置換または非置換C
1-8アルキル、置換または非置換C
2-8アルケニルまたは置換または非置換C
2-8アルキニルであり;
R
3は、H、F、N
3、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、O-(C
1-8)アルキル及びN
3からなる群から選択され、
R
5は、Sであり、
R
8及びR
8’は、独立して、H、OH、ハロ、任意に置換されたO連結アミノ酸、置換または非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換または非置換C
2-6アルケニル、置換または非置換C
2-6アルキニル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR’、SR’からなる群から選択され、各R’は、独立して、-C(O)-C
1-12アルキル、-C(O)-C
2-12アルケニル、-C(O)-C
2-12アルキニル、-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-C(O)O-C
1-12アルキル、-C(O)O-C
2-12アルケニル、-C(O)O-C
2-12アルキニル、-C(O)O-C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキルであり、前記基は、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、ニトロ、及びシアノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
R
4は、OH、任意に置換されたO連結アミノ酸、-O-C(O)-C
1-12アルキル、-O-C(O)-C
2-12アルケニル、-O-C(O)-C
2-12アルキニル、-O-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-O-C(O)O-C
1-12アルキル、-O-C(O)O-C
2-12アルケニル、-O-C(O)O-C
2-12アルキニル、-O-C(O)O-C
3-6シクロアルキル、OC
1-6アルキル、OC
1-6ハロアルキル、OC
1-6アルコキシ、OC
2-6アルケニル、OC
2-6アルキニル、OC
3-6シクロアルキル、O-P(O)R
6R
7、O-CH
2-P-(OH)
3、O-CH
2-P-(OH)
3、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがR
4のリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6及びR
7は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化59】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、及びヘテロアリール、例えば、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化60】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである、前記エステル
からなる群から選択され;
塩基は、
【化61】
からなる群から選択され、
X
1は、CH、C-(C
1-6)アルキル、C-(C
2-6)アルケニル、C-(C
2-6)アルキニル、C-(C
3-7)シクロアルキル、C-(C
1-6)ハロアルキル、C-(C
1-6)ヒドロキシアルキル、C-OR
22、C-N(R
22)
2、C-ハロ、C-CNまたはNであり、
X
1’は、CH、C-(C
1-6)アルキル、C-(C
2-6)アルケニル、C-(C
2-6)アルキニル、C-ハロ、C-CNまたはNであり、
R
9及びX
2は、独立して、H、OH、NH
2、ハロ(すなわち、F、Cl、Br、またはI)、SH、NHOH、O(C
1-10)アルキル、O(C
2-10)アルケン、O(C
2-10)アルキン、O(C
3-7)シクロアルキル、-O-C(O)-C
1-12アルキル、-O-C(O)-C
2-12アルケニル、-O-C(O)-C
2-12アルキニル、-O-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-O-C(O)O-C
1-12アルキル、-O-C(O)O-C
2-12アルケニル、-O-C(O)O-C
2-12アルキニル、-O-C(O)O-C
3-6シクロアルキル、S(C
1-10)アルキル、S(C
2-10)アルケン、S(C
2-10)アルキン、S(C
3-7)シクロアルキル、任意に不飽和のNH(C
1-10)アルキル、任意に不飽和のN((C
1-10)アルキル)
2、NH(C
3-7)シクロアルキル、任意に不飽和のNH(CO)(C
1-20)アルキル、任意に不飽和のNH(CO)O(C
1-20)アルキル、NHOH、任意に不飽和のNHO(CO)(C
1-20)アルキル、または任意に不飽和のNHO(CO)NH(C
1-20)アルキル、(C
1-3)アルキルであり、
R
9’は、OH、NH
2、SH、NHOH、-O-C(O)-C
1-12アルキル、-O-C(O)-C
2-12アルケニル、-O-C(O)-C
2-12アルキニル、-O-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-O-C(O)O-C
1-12アルキル、-O-C(O)O-C
2-12アルケニル、-O-C(O)O-C
2-12アルキニル、または-O-C(O)O-C
3-6シクロアルキルであり、
R
10は、HまたはFであり、
X
2’は、NまたはCHであり、
Wは、OまたはSである)。
【請求項2】
R
2は、Hまたは置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
3は、Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R
8及びR
8’は、OHである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
R
4は、OHまたはO-P(O)R
6R
7である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
塩基は、
【化62】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
R
9’は、OH、NH
2、またはNHOHである、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
塩基は、
【化63】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
X
2は、NH
2、OHまたはSHである、請求項10に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物は、
【化64】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(B)または(B1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化65】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、Y、R、R
1、R
1A、R
2、R
3、R
5、及びR
8’は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、及びヘテロアリール、例えば、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されている);
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化66】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである、前記エステル;及び
(c)
【化67】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)。
【請求項13】
R
2は、Hまたは置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R
3は、Hである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
R
8’は、OHである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
塩基は、である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
塩基は、である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(C)または(C1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化68】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
R、R
1、R
1A、R
2、R
3、R
5、R
8、R
8’及びYは、式Aに定義されているとおりであり、
Xは、OH、NH
2、SH、NHOH、-O-C(O)-C
1-12アルキル、-O-C(O)-C
2-12アルケニル、-O-C(O)-C
2-12アルキニル、-O-C(O)-C
3-6シクロアルキル、-O-C(O)O-C
1-12アルキル、-O-C(O)O-C
2-12アルケニル、-O-C(O)O-C
2-12アルキニル、または-O-C(O)O-C
3-6シクロアルキルであり、
Zは、HまたはFであり、
Wは、OまたはSである)。
【請求項20】
R
2は、Hまたは置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R
3は、Hである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
R
8及びR
8’は、OHである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
塩基は、である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
Rは、Hである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
Zは、Hである、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
Xは、OH、NH
2またはNHOHである、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
Wは、Oである、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
R
4は、OHまたはO-P(O)R
6R
7である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(D)または(D1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化69】
またはその薬学的に許容可能な塩またはそのプロドラッグ(式中、R、R
1、R
1A、R
2、R
3、R
5、R
8’及びYは、式Aに定義されているとおりであり、A及びDは、式Cに定義されているとおりである)。
【請求項31】
R
2は、Hまたは置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
R
3は、Hである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
R
8’は、OHである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
Yは、Hである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
Rは、Hである、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
Zは、Hである、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
Xは、OH、NH
2またはNHOHである、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
Wは、Oである、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
R
4は、OHまたはO-P(O)R
6R
7である、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(E)または(E1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化70】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
1A、R
2、R
3、及びR
4は、式Aに定義されているとおりであり、
R
30は、Sであり、
R
31は、OまたはSであり、
R
30がSである場合、R
31は、Oであり、
R
32及びR
33は、独立して、H、F、C
1-C
3アルキル、C
2-C
3アルケン、またはC
2-C
3アルキンである)。
【請求項42】
R
31は、Oである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
R
32及びR
33は、独立して、HまたはFである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
R
3は、Hである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
R
2は、N
3または置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
R
4は、OHまたはO-P(O)R
6R
7である、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
塩基は、
【化71】
である、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
X
1は、Nである、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(F)または(F1)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化72】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
1A、R
2、R
3、及びR
4は、式Aに定義されているとおりであり、
R
34は、Sであり、
R
35及びR
36は、独立して、H、FまたはCH
3である)。
【請求項51】
R
35及びR
36は、Hである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
R
34は、CH
2である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
R
4は、OHまたはO-P(O)R
6R
7である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
R
3は、Hである、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
R
2は、Hまたは置換もしくは非置換C
2-8アルキニルである、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
R
1及びR
1Aは、Hである、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物は、β-Dまたはβ-L構成で存在し得る、請求項1~56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記ウイルスは、コロナウイルスである、請求項1~56のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2、MERS、SARS、またはOC-43である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物と共投与される、請求項1~61のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記化合物は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグと共に投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記追加の活性化合物は、JAK阻害剤であり、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記1つ以上の追加の活性剤は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記1つ以上の追加の活性剤は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防する際に使用するための薬品の調製における請求項1~56のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項67】
前記感染症は、Coronaviridae感染症である、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2、MERS、SARS、またはOC-43である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2である、請求項67に記載の使用。
【請求項70】
前記薬品は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物をさらに含む、請求項66に記載の使用。
【請求項71】
前記薬品は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグをさらに含む、請求項66に記載の使用。
【請求項72】
前記薬品は、JAK阻害剤をさらに含み、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項66に記載の使用。
【請求項73】
前記薬品は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤をさらに含む、請求項66に記載の使用。
【請求項74】
前記薬品は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤をさらに含む、請求項66に記載の使用。
【請求項75】
前記薬品は、経皮組成物またはナノ粒子組成物である、請求項66に記載の使用。
【請求項76】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(A)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化73】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
R
1は、H、重水素、置換もしくは非置換C
1-8アルキル、置換もしくは非置換C
2-8アルケニル、置換もしくは非置換C
2-8アルキニルまたはN
3であり、
R
2及びR
2’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換もしくは非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換もしくは非置換C
2-6アルケニル、置換もしくは非置換C
2-6アルキニル、置換もしくは非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、
各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
但し、R
2及びR
2’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C
1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C
1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C
1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
R
3及びR
3’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換または非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換または非置換C
2-6アルケニル、置換または非置換C
2-6アルキニル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C
1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C
1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C
1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
但し、R
3及びR
3’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R
4は、H、重水素、CN、ハロ、N
3、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、置換または非置換(C
1-8)ハロアルキル及びN
3からなる群から選択され、
R
5及びR
5’は、独立して、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、またはCF
3であり、R
5がCH
3である場合、それが結合した炭素は、全体的または部分的にRもしくはSまたはそれらの任意の混合物であり得、またはR
5及びR
5’は、組み合わさってC
3-7シクロアルキル環を形成し得;
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化74】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化75】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択され;
塩基は、
【化76】
からなる群から選択され、
Yは、Hまたはハロであり、
Xは、NまたはCHであり、
Wは、OまたはSであり、
X
1及びX
1’は、独立して、CH、C-(C
1-6)アルキル、C-(C
2-6)アルケニル、C-(C
2-6)アルキニル、C-(C
3-7)シクロアルキル、C-(C
1-6)ハロアルキル、C-(C
1-6)ヒドロキシアルキル、C-OR
22、C-N(R
22)
2、C-ハロ、C-CNまたはNであり、
X
2及びX
2’は、独立して、H、ハロ、OR
9’またはNR
10R
10’であり、
R
9’は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12-アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R
10及びR
10’は、独立して、H、OH、L-アミノ酸アミド、D-アミノ酸アミド、(アシルオキシベンジル)アミド、(アシルオキシベンジル)アミン、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、PEGアミド、PEGカルバメート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質アミド、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、または脂質カルバメートであり、脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、但し、R
10及びR
10’は、両方がOHとはならない)。
【請求項77】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(B)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化77】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5、R
5’、R
7及びR
8は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化78】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル;及び
(c)
【化79】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)。
【請求項78】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(C)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化80】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
7は、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化81】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化82】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択される)。
【請求項79】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(D)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化83】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化84】
からなる群から選択され、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
4、R
5、R
5’及びR
6は、式Aに定義されているとおりである)。
【請求項80】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(E)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化85】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化86】
からなる群から選択され、X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5及びR
5’は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化87】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル;及び
(c)
【化88】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)。
【請求項81】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(F)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化89】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化90】
からなる群から選択され、X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化91】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化92】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択される)。
【請求項82】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHである、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHである、請求項81に記載の方法。
【請求項88】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルであり、R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項76に記載の方法。
【請求項89】
R
2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項78に記載の方法。
【請求項91】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルであり、R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項79に記載の方法。
【請求項92】
R
2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項80に記載の方法。
【請求項93】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項81に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物は、以下の化合物:
【化93】
【化94】
【化95】
【化96】
【化97】
【化98】
【化99】
【化100】
【化101】
【化102】
【化103】
【化104】
【化105】
【化106】
【化107】
【化108】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグのうちの1つである、請求項76に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物は、以下の化合物:
【化109】
【化110】
【化111】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグのうちの1つである、請求項77に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物は、以下の化合物:
【化112】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグのうちの1つである、請求項76に記載の方法。
【請求項97】
前記化合物は、以下の化合物:
【化113】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグのうちの1つである、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物は、
【化114】
、またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグである、請求項76に記載の方法。
【請求項99】
前記化合物は、β-Dまたはβ-L構成で存在し得る、請求項76~98のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
前記ウイルスは、コロナウイルスである、請求項76~98のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記コロナウイルスは、ヒトコロナウイルス229E、SARS、MERS、SARS-CoV-1、OC43、またはSARS-CoV-2である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2である、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記化合物は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物と共投与される、請求項76~98のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
前記化合物は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、モルヌピラビル、PF-07321332、PF-07304814、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグと共に投与される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記追加の活性化合物は、JAK阻害剤であり、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記1つ以上の追加の活性剤は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記1つ以上の追加の活性剤は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防する際に使用するための薬品の調製における請求項76~98のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項109】
前記感染症は、Coronaviridae感染症である、請求項108に記載の使用。
【請求項110】
前記コロナウイルスは、ヒトコロナウイルス229E、SARS、MERS、SARS-CoV-1、OC43、またはSARS-CoV-2である、請求項109に記載の使用。
【請求項111】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2である、請求項109に記載の使用。
【請求項112】
前記薬品は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物をさらに含む、請求項108に記載の使用。
【請求項113】
前記薬品は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、モルヌピラビル、PF-07321332、PF-07304814またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグをさらに含む、請求項108に記載の使用。
【請求項114】
前記薬品は、JAK阻害剤をさらに含み、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項108に記載の使用。
【請求項115】
前記薬品は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤をさらに含む、請求項108に記載の使用。
【請求項116】
前記薬品は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤をさらに含む、請求項108に記載の使用。
【請求項117】
前記薬品は、経皮組成物またはナノ粒子組成物である、請求項108に記載の使用。
【請求項118】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(A)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化115】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
R
1は、H、重水素、置換もしくは非置換C
1-8アルキル、置換もしくは非置換C
2-8アルケニル、置換もしくは非置換C
2-8アルキニルまたはN
3であり、
R
2及びR
2’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換もしくは非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換もしくは非置換C
2-6アルケニル、置換もしくは非置換C
2-6アルキニル、置換もしくは非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、
各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
但し、R
2及びR
2’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C
1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C
1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C
1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
R
3及びR
3’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換または非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換または非置換C
2-6アルケニル、置換または非置換C
2-6アルキニル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C
1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C
1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C
1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
但し、R
3及びR
3’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R
4は、H、重水素、CN、ハロ、N
3、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、置換または非置換(C
1-8)ハロアルキル及びN
3からなる群から選択され、
R
5及びR
5’は、独立して、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、またはCF
3であり、R
5がCH
3である場合、それが結合した炭素は、全体的または部分的にRもしくはSまたはそれらの任意の混合物であり得、またはR
5及びR
5’は、組み合わさってC
3-7シクロアルキル環を形成し得;
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化116】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化117】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択され;
塩基は、
【化118】
であり、
Yは、Hまたはハロであり、
Xは、NまたはCHであり、
Wは、OまたはSであり、
X
1及びX
1’は、独立して、CH、C-(C
1-6)アルキル、C-(C
2-6)アルケニル、C-(C
2-6)アルキニル、C-(C
3-7)シクロアルキル、C-(C
1-6)ハロアルキル、C-(C
1-6)ヒドロキシアルキル、C-OR
22、C-N(R
22)
2、C-ハロ、C-CNまたはNであり、
X
2及びX
2’は、独立して、H、ハロ、OR
9’またはNR
10R
10’であり、
R
9’は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12-アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R
10及びR
10’は、独立して、H、OH、L-アミノ酸アミド、D-アミノ酸アミド、(アシルオキシベンジル)アミド、(アシルオキシベンジル)アミン、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、PEGアミド、PEGカルバメート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質アミド、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、または脂質カルバメートであり、脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、但し、R
10及びR
10’は、両方がOHとはならない)。
【請求項119】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(B)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化119】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化120】
であり、
R
1、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5、R
5’、R
7及びR
8は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化121】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル;及び
(c)
【化122】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)。
【請求項120】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(C)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化123】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化124】
であり、
R
1、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
7は、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
前記脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化125】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化126】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択される)。
【請求項121】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(D)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化127】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化128】
であり、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
4、R
5、R
5’及びR
6は、式Aに定義されているとおりである)。
【請求項122】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(E)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化129】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化130】
であり、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5及びR
5’は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化131】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル;及び
(c)
【化132】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)。
【請求項123】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防するための方法であって、処置または予防量の式(F)の化合物をその処置または予防を必要とする患者に投与することを含む、前記方法:
【化133】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化134】
であり、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化135】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化136】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、前記エステル
からなる群から選択される)。
【請求項124】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項118に記載の方法。
【請求項125】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項119に記載の方法。
【請求項126】
R
1はHであり、R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHである、請求項120に記載の方法。
【請求項127】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項121に記載の方法。
【請求項128】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHであり、R
5及びR
5’はHまたはMeである、請求項122に記載の方法。
【請求項129】
R
2はHであり、R
2’はOHまたはOR
7であり、R
3はHであり、R
3’はOHまたはOR
7であり、R
4はHである、請求項123に記載の方法。
【請求項130】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルであり、R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項118に記載の方法。
【請求項131】
R
2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項119に記載の方法。
【請求項132】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項120に記載の方法。
【請求項133】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルであり、R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項121に記載の方法。
【請求項134】
R
2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項122に記載の方法。
【請求項135】
R
2’及びR
3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C
1-12アルキルである、請求項123に記載の方法。
【請求項136】
前記化合物は、β-Dまたはβ-L構成で存在し得る、請求項118~135のいずれかに記載の方法。
【請求項137】
前記ウイルスは、コロナウイルスである、請求項118~135のいずれかに記載の方法。
【請求項138】
前記コロナウイルスは、ヒトコロナウイルス229E、SARS、MERS、SARS-CoV-1、OC43、またはSARS-CoV-2である、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2である、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記化合物は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物と共投与される、請求項118~135のいずれかに記載の方法。
【請求項141】
前記化合物は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、モルヌピラビル、PF-07321332、PF-07304814、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグと共に投与される、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
前記追加の活性化合物は、JAK阻害剤であり、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項140に記載の方法。
【請求項143】
前記1つ以上の追加の活性剤は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤を含む、請求項140に記載の方法。
【請求項144】
前記1つ以上の追加の活性剤は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤を含む、請求項140に記載の方法。
【請求項145】
Coronaviridae、Flaviviridae、Picornaviridae、Bunyaviridae、またはTogaviridae感染症を処置または予防する際に使用するための薬品の調製における請求項118~135のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項146】
前記感染症は、Coronaviridae感染症である、請求項145に記載の使用。
【請求項147】
前記コロナウイルスは、ヒトコロナウイルス229E、SARS、MERS、SARS-CoV-1、OC43、またはSARS-CoV-2である、請求項146に記載の使用。
【請求項148】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV2である、請求項146に記載の使用。
【請求項149】
前記薬品は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、及び区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性化合物をさらに含む、請求項145に記載の使用。
【請求項150】
前記薬品は、レムデシビル、N-ヒドロキシシチジン、モルヌピラビル、PF-07321332、PF-07304814またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグをさらに含む、請求項145に記載の使用。
【請求項151】
前記薬品は、JAK阻害剤をさらに含み、前記JAK阻害剤は、Jakafi、トファシチニブ、もしくはバリシチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項145に記載の使用。
【請求項152】
前記薬品は、抗凝固剤または血小板凝集阻害剤をさらに含む、請求項145に記載の使用。
【請求項153】
前記薬品は、ACE-2阻害剤、CYP-450阻害剤、またはNOX阻害剤をさらに含む、請求項145に記載の使用。
【請求項154】
前記薬品は、経皮組成物またはナノ粒子組成物である、請求項145に記載の使用。
【請求項155】
前記化合物は、NS5A阻害剤と組み合わせて投与される、請求項1~65、76~107、または118-144のいずれかに記載の方法。
【請求項156】
前記NS5A阻害剤は、ダクラタスビルである、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記薬品はまた、NS5A阻害剤を含む、請求項66~75、108~117、または145~154のいずれかに記載の使用。
【請求項158】
前記NS5A阻害剤は、ダクラタスビルである、請求項157に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コロナウイルス感染症を処置または予防するための化合物、方法及び組成物が開示される。より具体的には、所定のヌクレオシド及びヌクレオチドアナログ、薬学的に許容可能な塩、またはその他の誘導体、ならびにコロナウイルス、特にSARS-CoV-2の処置におけるその使用が開示される。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルスは、Coronaviridae科におけるCoronavirinae亜科に属するウイルスの種であり、ポジティブセンス一本鎖RNAゲノム及びらせん対称のヌクレオカプシドを有するエンベロープウイルスである。
【0003】
コロナウイルスは主に、哺乳動物及び鳥類の上部呼吸器及び消化管に感染するが、いくつかの既知の株は、ヒトにも感染する。コロナウイルスは、ヒト成人及び小児において有意な割合のすべての一般的な風邪を引き起こすと考えられている。
【0004】
コロナウイルスは、主に冬及び春先の季節に、ヒトにおいて風邪を引き起こす。コロナウイルスはまた、肺炎、直接的ウイルス性肺炎または二次性細菌肺炎、気管支炎、直接的ウイルス性気管支炎または二次性細菌気管支炎、及び重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こし得る。
【0005】
コロナウイルスはまた、牧場動物及び飼いならされたペットにおいて様々な疾患を引き起こし、その一部は、深刻であり得、農業に対する脅威である。ニワトリにおいて、感染性気管支炎ウイルス(IBV)であるコロナウイルスは、気道だけでなく、尿生殖管も標的とする。そのウイルスは、ニワトリ全体を通して異なる器官に広がり得る。
【0006】
牧場動物の経済的に有意なコロナウイルスには、ブタコロナウイルス(伝染性胃腸炎コロナウイルス、TGE)及びウシコロナウイルスが含まれ、その両方は、若年動物において下痢をもたらす。ネココロナウイルス:2つの型、ネコ腸コロナウイルスは、マイナーな臨床的有意性の病原体であるが、このウイルスの自発的変異は、高い死亡率に関連する疾患であるネコ感染性腹膜炎(FIP)をもたらし得る。2つのタイプのイヌコロナウイルス(CCoV)が存在し、一方は、軽度の胃腸疾患を引き起こし、一方は、呼吸疾患を引き起こすことが見出されている。マウス肝炎ウイルス(MHV)は、特に実験マウスのコロニーの間で、高い死亡率を有する流行性ネズミ疾病を引き起こすコロナウイルスである。
【0007】
MHVのいくつかの株は、多発性硬化症のためのネズミモデルとして使用されているマウスにおいて進行性脱髄性脳炎を引き起こす。
【0008】
より最近では、コロナウイルスパンデミックは、米国及び世界の健康及び経済に対して二重の脅威を引き起こしている。COVID-19は、中国の湖北省武漢市において2019日12月に最初に同定され、進行中の2019~2020パンデミックをもたらした。COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる。その疾患の一般的な症状には、発熱(88%)、空咳(68%)、息切れ(19%)、及び嗅覚の喪失(15~30%)が含まれる。合併症には、肺炎、ウイルス性敗血症、急性窮迫症候群、下痢、腎臓疾患、心臓障害及び脳炎が含まれ得る。2022年1月の時点で、世界の感染者の総数は、3億600万人を超え、少なくとも550万人が死亡し、Johns Hopkins University Coronavirus Resource Centerによれば、米国ではおよそ6000万人がコロナウイルス陽性と判定され、80万人超が死亡している。その疾患の地域伝染は、200ヶ国超で記録されている。危険因子には、旅行やウイルス曝露が含まれ、予防は、ソーシャルディスタンス及び隔離によって補助される。
【0009】
これらの感染症のための現行の処置は主に、根底にあるウイルス性感染症を処置するのではなく、症状を対症的に最小化することである。例えば、患者は、疼痛を緩和するために鎮痛剤で処置され得、エンテロウイルス心臓炎を有する患者は、合併症、例えば、不整脈、心外膜液、及び心不全のために処置され得る。
【0010】
新たな抗ウイルス剤、これらの薬剤を含む組成物、及びコロナウイルスを処置するためにこれらの薬剤を使用する処置方法を提供することが有利であろう。本開示は、そのような薬剤、組成物及び方法を提供する。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、宿主においてコロナウイルス及び/または他のウイルス性感染症を処置または予防するための化合物、方法及び組成物に関する。その方法は、SARS-CoV-2、MERS、SARS、及びOC-43を含むがこれらに限定されないコロナウイルスまたは他のウイルス性感染症による感染症を処置または予防するための本明細書に記載の少なくとも1つの化合物の治療的または予防的有効量、またはそれらの生物学的活性を低減するために十分な量を投与することを伴う。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、フラビウイルス、Picornaviridae、Togavirodae及びBunyaviridaeによる感染症を処置または予防するために使用され得る。
【0012】
一実施形態では、本開示は、コロナウイルス及び他のウイルス性感染症を標的とし、よって、これらのウイルスに感染した患者における感染症の排除及び/または処置を補助するために強力な選択的抗ウイルス剤を使用する方法に関する。
【0013】
この実施形態の一態様では、使用される化合物には、本明細書に記載の特定のヌクレオシド阻害剤の1つ以上が含まれる。
【0014】
別の実施形態では、一実施形態では、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と組み合わせた、シチジン及びウリジンアナログの組み合わせを含む、本明細書に記載の化合物の1つ以上を含む薬学的組成物が開示される。これらの組成物は、これらの感染症のうちの1つを予防するために、及び/またはこれらのウイルスのうちの1つの生物学的活性を低減するために、コロナウイルスまたは他のウイルス性感染症に感染した宿主を処置するために使用され得る。組成物には、任意に、抗SARS-CoV-2化合物及び生物学的薬剤、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、例えば、レムデシビル、GS-441524、N4-ヒドロキシシチジン、及び米国特許番号9,809,616に開示される他の化合物、及びそれらのプロドラッグ、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV2特異的ヒトモノクローナル抗体、ならびに区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤を含む、他の抗ウイルス化合物または生物学的薬剤との、本明細書に記載の化合物の1つ以上の組み合わせが含まれ得る。
【0015】
さらに別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の特定のヌクレオシド化合物を調製するためのプロセスに関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つ以上の位置で重水素化されている。化合物がヌクレオシドである場合、重水素化は、化合物の糖部位、化合物の塩基部分、及び/または化合物のプロドラッグ部分上で、任意の位置で、1つ以上の位置に存在し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、経口を考慮する場合、より多くの薬物を血漿に到達させ、トリホスフェートとして腸内で捕捉されないようにするためにエステルプロドラッグが調製された。
【0018】
別の実施形態では、薬物の経口バイオアベイラビリティを改善するためにエステルプロドラッグが調製された。
【0019】
本開示は、以下の詳細な説明を参照してより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】化合物8のIV投薬(15mg/kg)後の経時的な血漿レベルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載の化合物は、細胞ベースのアッセイにおいてCoronaviridaeに対する阻害活性を示す。そのため、化合物は、宿主におけるCoronaviridae感染症を処置または予防するために、またはウイルスの生物学的活性を低減するために使用され得る。宿主は、Coronaviridaeウイルスに感染した哺乳動物、特にヒトであり得る。化合物はまた、Flaviviridae、Picornaviridae、Togavirodae及びBunyaviridaeウイルスに対して有効である。方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の1つ以上を投与することを伴う。
【0022】
薬学的に許容可能な担体または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む薬学的製剤も開示される。一実施形態では、製剤には、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物及び少なくとも1つのさらに治療剤が含まれる。
【0023】
本開示は、以下の定義を参照してより良好に理解されるであろう:
【0024】
I.定義
用語「独立して」は、独立して適用される可変要素が、適用毎に独立して変わることを示すために本明細書で使用される。よって、R”XYR”(式中、R”は、「独立して、炭素または窒素」である)などの化合物において、両方のR”が炭素であり得、両方のR”が窒素であり得、または一方のR”が炭素であり得、他方のR”が窒素であり得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「鏡像異性的に純粋」は、少なくともおよそ95%、好ましくは、およそ97%、98%、99%または100%のその化合物の単一のエナンチオマーを含む化合物組成物を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に含まない」または「実質的に非存在下で」は、少なくとも85~90重量%、好ましくは95%~98重量%、さらにより好ましくは、99%~100重量%のその化合物の指定されたエナンチオマーを含む化合物組成物を指す。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化合物は、エナンチオマーを実質的に含まない。
【0027】
同様に、用語「単離された」は、少なくとも85~90重量%、好ましくは95%~98重量%、さらにより好ましくは、99%~100重量%の化合物を含み、残りは他の化学的種またはエナンチオマーを含む化合物組成物を指す。
【0028】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、置換及び非置換アルキル基の両方を含む、飽和直鎖、分岐状、または環式の第1級、第2級、または第3級炭化水素を指す。アルキル基は、当業者に知られているように、例えば、Greene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991(参照により本明細書に組み込まれる)に教示されているように、保護されていない、または必要に応じて保護された、ハロ、C1-6ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C1-6アシル、アリール、C1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C1-6-アルキルアミノ、アリールアミノ、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモニル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネートを含むがこれらに限定されない、反応を妨害しないまたはプロセスにおいて改善を提供する任意の部位で任意に置換され得る。CF3及びCH2CF3が具体的に含まれる。
【0029】
その文脈において、C(アルキル範囲)という用語が使用される場合は常に、その用語には、独立して、具体的かつ個別に提示されているかのようにそのクラスの各メンバーが含まれる。用語「アルキル」には、C1-22アルキル部位が含まれ、用語「低級アルキル」には、C1-6アルキル部位が含まれる。関連するアルキルラジカルは、接尾辞「-アン」を接尾辞「-イル」で置き換えることによって命名されることが当業者に理解される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「架橋アルキル」は、ビシクロまたはトリシクロアルカン、例えば、2:1:1ビシクロヘキサンを指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「スピロアルキル」は、単一の(第4級)炭素原子で結合された2つの環を指す。
【0032】
用語「アルケニル」は、それが1つ以上の二重結合を含有するという理由で、線状または分岐状の不飽和炭化水素ラジカルを指す。本明細書に開示されるアルケニル基は、限定されないがアルキル部位上の置換基について記載されたもの含むがこれらに限定されない、反応プロセスに不利に影響しない任意の部位で任意に置換され得る。アルケニル基の非限定的な例には、エチレン、メチルエチレン、イソプロピリデン、1,2-エタン-ジイル、1,1-エタン-ジイル、1,3-プロパン-ジイル、1,2-プロパン-ジイル、1,3-ブタン-ジイル、及び1,4-ブタン-ジイルが含まれる。
【0033】
用語「アルキニル」は、それが1つ以上の三重結合を含有するという理由で、線状または分岐状の不飽和非環式炭化水素ラジカルを指す。アルキニル基は、アルキル部位について上述されたもの含むがこれらに限定されない、反応プロセスに不利に影響しない任意の部位で任意に置換され得る。好適なアルキニル基の非限定的な例には、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、ペンチン-2-イル、4-メトキシペンチン-2-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-1-イル、ヘキシン-2-イル、及びヘキシン-3-イル、3,3-ジメチルブチン-1-イルラジカルが含まれる。
【0034】
用語「アルキルアミノ」または「アリールアミノ」は、1つまたは2つのアルキルまたはアリール置換基をそれぞれ有するアミノ基を指す。
【0035】
用語「脂肪アルコール」は、本明細書で使用される場合、鎖に4~26個の炭素、好ましくは鎖に8~26個の炭素、最も好ましくは、鎖に10~22個の炭素を有する直鎖第1級アルコールを指す。正確な鎖長は、源に応じて変わる。代表的な脂肪アルコールには、ラウリル、ステアリル、及びオレイルアルコールが含まれる。それらは、無色の油性液体(より少ない炭素数の場合)またはワックス状の固体であるが、非純粋サンプルは黄色に見え得る。脂肪アルコールは通常、偶数の炭素原子及び末端炭素に結合された単一のアルコール基(-OH)を有する。一部は不飽和であり、一部は分岐状である。それらは、産業において広く使用されている。脂肪酸と同様に、それらは、しばしば、12個の炭素を有するアルコール、例えばドデカノールである「C12アルコール」など、分子における炭素原子の数によって総称的に称される。
【0036】
用語「保護された」は、本明細書で使用される場合、及び別途定義されない限り、そのさらなる反応を防止するためにまたは他の目的のために酸素、窒素、またはリン原子に付加された基を指す。多様な酸素及び窒素保護基が有機合成の当業者に知られており、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis(上掲)に記載されている。
【0037】
用語「アリール」は、単独でまたは組み合わせて、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系であって、そのような環が、ペンダント様式で一緒に結合されていてもよく、または縮合されていてもよいものを意味する。アリールの非限定的な例には、フェニル、ビフェニル、もしくはナフチル、または芳香族環からの水素の除去後に残存する他の芳香族基が含まれる。アリールという用語には、置換及び非置換部位の両方が含まれる。アリール基は、アルキル部位について上述されたもの含むがこれらに限定されない、プロセスに不利に影響しない任意の部位で任意に置換され得る。置換アリールの非限定的な例には、ヘテロアリールアミノ、N-アリール-N-アルキルアミノ、N-ヘテロアリールアミノ-N-アルキルアミノ、ヘテロアラルコキシ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アリールチオ、モノアリールアミドスルホニル、アリールスルホンアミド、ジアリールアミドスルホニル、モノアリールアミドスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アロイル、ヘテロアロイル、アラルカノイル、ヘテロアラルカノイル、ヒドロキシアラルキル、ヒドロキシヘテロアラルキル、ハロアルコキシアルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールオキシアルキル、飽和ヘテロシクリル、部分的飽和ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、及びヘテロアリールアルケニル、カルボアラルコキシが含まれる。
【0038】
用語「アルカリール」または「アルキルアリール」は、アリール置換基を有するアルキル基を指す。用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アルキル置換基を有するアリール基を指す。
【0039】
用語「ハロ」には、本明細書で使用される場合、クロロ、ブロモ、ヨード及びフルオロが含まれる。
【0040】
用語「アシル」は、カルボン酸エステルであって、エステル基の非カルボニル部位が、直鎖、分岐状、または環状アルキルまたは低級アルキル、メトキシメチルを含むがこれらに限定されないアルコキシアルキル、ベンジル、アリールオキシアルキル、例えば、フェノキシメチルを含むがこれらに限定されないアラルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、またはI)、アルキル(C1、C2、C3、及びC4を含むがこれらに限定されない)またはアルコキシ(C1、C2、C3、及びC4を含むがこれらに限定されない)で任意に置換されたフェニルを含むがこれらに限定されないアリール、メタンスルホニルを含むがこれらに限定されないアルキルまたはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル、モノ、ジまたはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、及びトリアルキルシリル(例えば、ジメチル-t-ブチルシリルまたはジフェニルメチルシリル)から選択されるものを指す。エステルにおけるアリール基は、最適には、フェニル基を含む。用語「低級アシル」は、非カルボニル部位が低級アルキルであるアシル基を指す。
【0041】
用語「アルコキシ」及び「アルコキシアルキル」は、アルキル部位を有する線状または分岐状オキシ含有ラジカル、例えば、メトキシラジカルを包含する。用語「アルコキシアルキル」はまた、アルキルラジカルに結合した1つ以上のアルコキシラジカル(すなわち、モノアルコキシアルキル及びジアルコキシアルキルラジカルを形成するために)を有するアルキルラジカルを包含する。「アルコキシ」ラジカルは、「ハロアルコキシ」ラジカルを提供するために、1つ以上のハロ原子、例えば、フルオロ、クロロまたはブロモでさらに置換され得る。そのようなラジカルの例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、テトラフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、及びフルオロプロポキシが含まれる。
【0042】
用語「アルキルアミノ」は、アミノラジカルにそれぞれ結合した1または2個のアルキルラジカルを含有する「モノアルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」を示す。アリールアミノという用語は、アミノラジカルにそれぞれ結合した1または2個のアリールラジカルを含有する「モノアリールアミノ」及び「ジアリールアミノ」を示す。用語「アラルキルアミノ」は、アミノラジカルに結合したアラルキルラジカルを包含する。アラルキルアミノという用語は、アミノラジカルにそれぞれ結合した1または2個のアラルキルラジカルを含有する「モノアラルキルアミノ」及び「ジアラルキルアミノ」を示す。アラルキルアミノという用語は、アミノラジカルに結合した1個のアラルキルラジカル及び1個のアルキルラジカルを含有する「モノアラルキルモノアルキルアミノ」をさらに示す。
【0043】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書で使用される場合、酸素、硫黄、窒素及びリンを指す。
【0044】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、本明細書で使用される場合、芳香族環に少なくとも1つの硫黄、酸素、窒素またはリンを含む芳香族を指す。
【0045】
用語「複素環式」、「ヘテロシクリル」、及びシクロヘテロアルキルは、環に少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、窒素、またはリンが存在する非芳香族環式基を指す。
【0046】
ヘテロアリール及び複素環式基の非限定的な例には、フリル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、キナゾリニル、シノリニル、フタラジニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、チオフェン、フラン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリミジンまたはピリダジン、及びプテリジニル、アジリジン、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、チアジン、ピリジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、オキサジラン、フェナジン、フェノチアジン、モルホリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル、5-アザシチジニル、5-アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、アデニン、N6-アルキルプリン、N6-ベンジルプリン、N6-ハロプリン、N6-ビニルプリン、N6-アセチレンプリン、N6-アシルプリン、N6-ヒドロキシアルキルプリン、N6-チオアルキルプリン、チミン、シトシン、6-アザピリミジン、2-メルカプトピリミジン、ウラシル、N5-アルキルピリミジン、N5-ベンジルピリミジン、N5-ハロピリミジン、N5-ビニルピリミジン、N5-アセチレンピリミジン、N5-アシルピリミジン、N5-ヒドロキシアルキルプリン、及びN6-チオアルキルプリン、ならびにイソオキサゾリルが含まれる。ヘテロ芳香族基は、アリールのために上述したように任意に置換され得る。複素環式またはヘテロ芳香族基は、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、アミド、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換され得る。ヘテロ芳香族は、所望により部分的にまたは全体的に水素化され得る。非限定的な例として、ジヒドロピリジンは、ピリジンの代わりに使用され得る。複素環式またはヘテロアリール基上の官能性酸素及び窒素基は、必要に応じてまたは所望により保護され得る。好適な保護基は、当業者によく知られており、それには、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル、及びt-ブチルジフェニルシリル、トリチルまたは置換トリチル、アルキル基、アシル基、例えば、アセチル及びプロピオニル、メタンスルホニル、及びp-トルエンスルホニルが含まれる。複素環式またはヘテロ芳香族基は、アリールについて上述したものを含むがこれらに限定されない、反応に不利に影響しない任意の部位で置換されていてもよい。
【0047】
用語「宿主」は、本明細書で使用される場合、細胞株及び動物、好ましくは、ヒトを含むがこれらに限定されない、ウイルスが複製し得る単細胞または多細胞生物を指す。代替的には、宿主は、ウイルスゲノムの一部を保有している場合があり、その複製または機能は、本明細書に記載の化合物によって改変され得る。宿主という用語は、感染細胞、ウイルスゲノムのすべてまたは一部でトランスフェクションされた細胞及び動物、特に、霊長類(チンパンジーを含むがこれらに限定されない)及びヒトを具体的に指す。本開示のほとんどの動物の適用において、宿主は、ヒトである。しかしながら、獣医学的適用は、所定の適応において、本開示によって明確に企図される(例えば、チンパンジーを処置する際に使用するため)。
【0048】
ヌクレオシドという用語にはまた、リボヌクレオシドが含まれ、代表的なリボヌクレオシドは、例えば、Journal of Medicinal Chemistry,43(23),4516-4525(2000),Antimicrobial Agents and Chemotherapy,45(5),1539-1546(2001)、及びPCT WO2000069876に開示されている。
【0049】
用語「ペプチド」は、あるアミノ酸のカルボキシル基によって別のアミノ酸のアミノ基に連結された2~100個のアミノ酸を含有する天然または合成化合物を指す。
【0050】
用語「薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ」は、患者に投与されると、化合物を提供する任意の薬学的に許容可能な形態(例えば、エステル)化合物を記載するために明細書を通して使用される。薬学的に許容可能な塩には、薬学的に許容可能な無機または有機塩基及び酸に由来するものが含まれる。好適な塩には、薬学的分野でよく知られている多数の他の酸の中でも、アルカリ金属、例えば、カリウム及びナトリウム、アルカリ土類金属、例えば、カルシウム及びマグネシウムに由来するものが含まれる。
【0051】
薬学的に許容可能なプロドラッグは、本明細書に記載の化合物を形成するために宿主において代謝、例えば加水分解または酸化される化合物を指す。プロドラッグの典型的な例には、活性化合物の機能的部位上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が含まれる。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、または脱リン酸化されて活性化合物を生成し得る化合物が含まれる。本明細書に記載の化合物のプロドラッグ形態は、抗ウイルス活性を保有し得、そのような活性を示す化合物を形成するために代謝され得、またはその両方である。
【0052】
II.活性化合物
一実施形態では、化合物は、式(A)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
R
1は、H、重水素、置換もしくは非置換C
1-8アルキル、置換もしくは非置換C
2-8アルケニル、置換もしくは非置換C
2-8アルキニルまたはN
3であり、
R
2及びR
2’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換もしくは非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換もしくは非置換C
2-6アルケニル、置換もしくは非置換C
2-6アルキニル、置換もしくは非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、
各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
但し、R
2及びR
2’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
R
3及びR
3’は、独立して、H、重水素、OH、SH、NH
2、ハロ、置換または非置換C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、置換または非置換C
2-6アルケニル、置換または非置換C
2-6アルキニル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、シアノ、シアノアルキル、アジド、アジドアルキル、OR
7、及びSR
7からなる群から選択され、各R
7は、独立して、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
任意の置換基は、ハロ、C
1-12ハロアルキル、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、C
3-7シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、C
1-12アシル、アリール、ヘテロアリール、C
1-6アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジ-C
1-12-アルキルアミノ、アリールアミノ、C
1-12アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバメート、ホスホン酸、ホスホネート、ボロン酸及びボロン酸エステルからなる群から選択され;
但し、R
3及びR
3’は、両方がOH、SH、NH
2、OR
7またはSR
7とはならず、
R
4は、H、重水素、CN、ハロ、N
3、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、置換または非置換(C
1-8)ハロアルキル及びN
3からなる群から選択され、
R
5及びR
5’は、独立して、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、またはCF
3であり、R
5がCH
3である場合、それが結合した炭素は、全体的または部分的にRもしくはSまたはそれらの任意の混合物であり得、またはR
5及びR
5’は、組み合わさってC
3-7シクロアルキル環を形成し得;
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化2】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化3】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、エステル
からなる群から選択され、
塩基は、
【化4】
からなる群から選択され、
Yは、Hまたはハロであり、
Xは、NまたはCHであり、
Wは、OまたはSであり、
X
1及びX
1’は、独立して、CH、C-(C
1-6)アルキル、C-(C
2-6)アルケニル、C-(C
2-6)アルキニル、C-(C
3-7)シクロアルキル、C-(C
1-6)ハロアルキル、C-(C
1-6)ヒドロキシアルキル、C-OR
22、C-N(R
22)
2、C-ハロ、C-CNまたはNであり、
X
2及びX
2’は、独立して、H、ハロ、OR
9’またはNR
10R
10’であり、
R
9’は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12-アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R
10及びR
10’は、独立して、H、OH、L-アミノ酸アミド、D-アミノ酸アミド、(アシルオキシベンジル)アミド、(アシルオキシベンジル)アミン、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換されたC
1-12アルキル、任意に置換されたC
2-12アルケニル、任意に置換されたC
2-12アルキニル、任意に置換されたC
3-6シクロアルキル、PEGアミド、PEGカルバメート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質アミド、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、または脂質カルバメートであり、脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、但し、R
10及びR
10’は、両方がOHとはならない)である。
【0053】
別の実施形態では、化合物は、式Bの化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5、R
5’、R
7及びR
8は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化6】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、エステル、及び
(c)
【化7】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)である。
【0054】
別の実施形態では、化合物は、式Cの化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基、R
1、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、-P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
7は、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-C
1-12R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)S-R’、任意に置換された-C(S)S-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、及び任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、脂質エステル、または脂質カルボネートであり、
脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシ)であり、
R’は、C
1-16アルキル、C
2-16アルケニル、C
2-16アルキニル、またはC
3-7シクロアルキルであり、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化9】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化10】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、エステル
からなる群から選択される)である。
【0055】
また別の実施形態では、化合物は、式Dの化合物:
【化11】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化12】
からなる群から選択され、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
4、R
5、R
5’及びR
6は、式Aに定義されているとおりである)である。
【0056】
さらなる実施形態では、化合物は、式Eの化合物:
【化13】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化14】
からなる群から選択され、X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3、R
4、R
5及びR
5’は、式Aに定義されているとおりであり、
Aは、OまたはSであり、
Dは、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化15】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキルであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、エステル、及び
(c)
【化16】
(式中、R
30は、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、置換または非置換(C
2-10)アルケン、置換または非置換(C
2-10)アルキン、C
1-4(アルキル)アリール、アリール、ヘテロアリール、及びC
1-6ハロアルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される)である。
【0057】
また別の実施形態では、化合物は、式Fの化合物:
【化17】
またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグ(式中、
塩基は、
【化18】
からなる群から選択され、
X
1、X
1’、X
2’、X
2、R
2、R
2’、R
3及びR
3’は、式Aに定義されているとおりであり、
R
4’は、H、重水素、CN、置換または非置換(C
1-8)アルキル、置換または非置換(C
2-8)アルケニル、置換または非置換(C
2-8)アルキニル、及び置換または非置換(C
1-8)ハロアルキルからなる群から選択され、
R
6’は、-OR
6、-P(O)R
7R
8、及びモノ、ジ、またはトリホスフェートからなる群から選択され、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pもしくはS
pまたはそれらの任意の混合物であり得、
R
6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステル、N-置換L-アミノ酸エステル、N-置換D-アミノ酸エステル、N,N-二置換L-アミノ酸エステル、N,N-二置換D-アミノ酸エステル、(アシルオキシベンジル)エステル、(アシルオキシベンジル)エーテル、任意に置換されたビス-アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された(アシルオキシベンジル)エステル、任意に置換された-C(O)-R’、任意に置換された-C(O)O-R’、任意に置換された-C(O)SR’、任意に置換された-C(S)SR’、PEGエステル、PEGカルボネート、任意に置換された-CH
2-O-C(O)-R’、任意に置換された-CH
2-O-C(O)O-R’、任意に置換された-CH
2-CH
2-S-C(O)-R’、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、脂質エステル、脂質カルボネート(脂質は、任意に置換されたC
12-22アルキル、任意に置換されたC
12-22アルケニル、任意に置換されたC
12-22アルキニルまたは任意に置換されたC
12-22アルコキシである)、O-P(O)R
8R
8’、またはモノ、ジ、もしくはトリホスフェートであり、キラリティーがリン中心で存在する場合、それは、全体的または部分的にR
pまたはS
pまたはその任意の混合物であり得、
R
8及びR
8’は、独立して、
(a)OR
15(式中、R
15は、H、
【化19】
、Li、Na、K、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
3-6シクロアルキル、任意に置換された-C(NR’)OR’、任意に置換された-C(NR’)SR’、任意に置換された-C(NR’)N(R’)
2、任意に置換された-O-C(O)N(R’)
2、C
1-4(アルキル)アリール、ベンジル、C
1-6ハロアルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキル、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルケン、C
2-3(アルキル)OC
1-20アルキン、アリール、例えば、フェニル、及びヘテロアリール、例えば、ピリジニルからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは、(CH
2)
0-6CO
2R
16及び(CH
2)
0-6CON(R
16)
2からなる群から独立して選択される0~3個の置換基で任意に置換されており;
R
16は、独立して、H、置換または非置換C
1-20アルキル、置換または非置換C
1-20アルケン、置換または非置換C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、C
1-5アルケン、C
1-5アルキン、C
3-7シクロアルキルまたはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルである);及び
(b)D-またはL-アミノ酸のエステル
【化20】
であって、R
17及びR
18は、独立して、H、C
1-20アルキル、C
1-20アルケン、C
1-20アルキンであり、脂肪アルコールまたはC
1-20アルキルに由来する炭素鎖は、C
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、シクロアルキル-C
1-6アルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換ヘテロアリールで任意に置換されており;置換基は、C
1-5アルキル、またはC
1-6アルキル、アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)-アミノ、フルオロ、C
3-10シクロアルキル、もしくはシクロアルキルで置換されたC
1-5アルキルであり;R
17Aは、HまたはC
1-2アルキルである、エステル
からなる群から選択される)である。
【0058】
式Aの化合物の一実施形態では、R1はHであり、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHであり、R5及びR5’はHまたはMeである。
【0059】
式Bの化合物の一実施形態では、R1はHであり、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHであり、R5及びR5’はHまたはMeである。
【0060】
式Cの化合物の一実施形態では、R1はHであり、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHである。
【0061】
式Dの化合物の一実施形態では、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHであり、R5及びR5’はHまたはMeである。
【0062】
式Eの化合物の一実施形態では、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHであり、R5及びR5’はHまたはMeである。
【0063】
式Fの化合物の一実施形態では、R2はHであり、R2’はOHまたはOR7であり、R3はHであり、R3’はOHまたはOR7であり、R4はHである。
【0064】
式Aの化合物の一実施形態では、R2’及びR3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルであり、R6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C1-12アルキルである。
【0065】
式Bの化合物の一実施形態では、R2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルである。
【0066】
式Cの化合物の一実施形態では、R2’及びR3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルである。
【0067】
式Dの化合物の一実施形態では、R2’及びR3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルであり、R6は、H、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-C(O)-C1-12アルキルである。
【0068】
式Eの化合物の一実施形態では、R2’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルである。
【0069】
式Fの化合物の一実施形態では、R2’及びR3’は、OH、L-アミノ酸エステル、D-アミノ酸エステルまたは任意に置換された-O-C(O)-C1-12アルキルである。
【0070】
式Aの代表的な化合物には、以下のものが含まれる:
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。
【0071】
式Bの代表的な化合物には、以下のものが含まれる:
【化38】
【化39】
【化40】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。
【0072】
式Dの代表的な化合物には、以下のものが含まれる:
【化41】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。
【0073】
これらの実施形態のいずれかでは、化合物は、β-Dまたはβ-L構成で存在し得る。
【0074】
III 立体異性及び多型
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有し、ラセミ体、ラセミ混合物、個々のジアステレオマーまたはエナンチオマーとして存在し得、すべての異性体形態は、本開示に含まれる。キラル中心を有する本明細書に記載の化合物は、光学的活性形態及びラセミ形態で存在し得、光学的活性形態及びラセミ形態で単離され得る。いくつかの化合物は、多型を示し得る。本開示は、本明細書に記載の有用な特性を保有する、本明細書に記載の化合物のラセミ、光学的活性、多型、または立体異性形態、またはそれらの混合物を包含する。光学的活性形態は、例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割によって、光学的活性出発物質からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によってまたは酵素的分割によって調製され得る。それぞれの化合物を精製し、次いで化合物を誘導体化して本明細書に記載の化合物を形成するか、または化合物自体を精製することができる。
【0075】
化合物の光学的活性形態は、再結晶化技術によるラセミ形態の分割、光学的活性出発物質空の合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によるものを含むがこれらに限定されない当該技術分野で知られている任意の方法を使用して調製され得る。
【0076】
光学的活性物質を得るための方法の例には、少なくとも以下のものが含まれる。
【0077】
i)結晶の物理的分離:個々のエナンチオマーの巨視的結晶が手作業で分離される技術。この技術は、別々のエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち、物質が凝集体であり、結晶が視覚的に区別できる場合に使用され得る;
ii)同時結晶化:個々のエナンチオマーがラセミ体の溶液からを別々に結晶化される技術であり、後者が固体状態で凝集体である場合にのみ可能である;
iii)酵素的分解:酵素を用いたエナンチオマーについての異なる反応速度によるラセミ体の部分的または完全分離の技術;
iv)酵素的不斉合成:合成の少なくとも1つの工程が、所望のエナンチオマーの鏡像異性的に純粋なまたは濃縮された合成前駆体を得るための酵素的反応を使用する合成技術;
v)化学的不斉合成:キラル触媒またはキラル補助を使用して達成され得る、生成物において不斉(すなわち、キラリティー)を生成する条件下でアキラル前駆体から所望のエナンチオマーが合成される合成技術;
vi)ジアステレオマー分離:ラセミ化合物が、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換する鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助)と反応させられる技術。次いで得られたジアステレオマーは、それらのその時のより区別される構造的差異によりクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離され、キラル補助が後に除去されて所望のエナンチオマーが得られる;
vii)一次及び二次不斉変換:ラセミ体からのジアステレオマーが平衡化して、所望のエナンチオマーからジアステレオマーの溶液中の優勢をもたらす、または所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先的結晶化が、最終的に原理上は物質のすべてが所望のエナンチオマーから結晶ジアステレオマーに変換されるように平衡を乱す技術。次いで所望のエナンチオマーは、ジアステレオマーから遊離される;
viii)動的分割:この技術は、動的条件下でキラル非ラセミ試薬または触媒でのエナンチオマーの非均等な反応速度によるラセミ体の部分的または完全な分割(または部分的に分割された化合物のさらなる分割)の達成を指す;
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成:所望のエナンチオマーが、非キラル出発物質から得られ、立体化学全体性が合成の過程にわたって損なわれない、または最小限にしか損なわれない合成技術;
x)キラル液体クロマトグラフィー:ラセミ体のエナンチオマーが、固定相とのそれらの異なる相互作用により液体移動相中で分離される技術(キラルHPLCによるものを含むがこれらに限定されない)。固定相は、キラル物質から生成され得、または移動相は、異なる相互作用を誘発するための追加のキラル物質を含有し得る;
xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ体が蒸発させられ、エナンチオマーが、固定された非ラセミキラル吸着剤相を含有するカラムを用いて気体移動相中でそれらの異なる相互作用により分離される技術;
xii)キラル溶媒での抽出:特定のキラル溶媒への1つのエナンチオマーの優先的溶解によりエナンチオマーが分離される技術;
xiii)キラル膜を通した輸送:ラセミ体が薄膜障壁と接触して配置される技術。障壁は、典型的には、2つの混和性流体(ラセミ体を含有するもの)を分離し、駆動力、例えば、濃度または圧力差は、膜障壁を介する優先的な輸送を引き起こす。分離は、ラセミ体の1つのエナンチオマーのみが通過することが可能な膜の非ラセミキラル特質の結果として生じる。
【0078】
シミュレート化移動床クロマトグラフィーを含むがこれらに限定されないキラルクロマトグラフィーが一実施形態で使用される。様々なキラル固定相が市販されている。
【0079】
IV.塩またはプロドラッグ製剤
化合物が安定な非毒性酸または塩基塩を形成するために十分に塩基性または酸性である場合、薬学的に許容可能な塩としての化合物の投与が適切であり得る。薬学的に許容可能な塩の例は、生理的許容可能アニオンを形成する酸で形成された有機酸付加塩、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩及びα-グリセロリン酸塩である。硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及びカルボン酸塩を含むがこれらに限定されない好適な無機塩も形成され得る。所定の経皮用途の場合、本明細書に記載の化合物の脂肪酸塩を使用することが好ましい場合がある。脂肪酸塩は、角質層への透過を補助し得る。好適な塩の例には、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、カプリル酸、及びカプリン酸との化合物の塩が含まれる。
【0080】
薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野でよく知られている標準的な手順を使用して、例えば、十分に塩基性の化合物、例えば、アミンを好適な酸と反応させ、生理的に許容可能なアニオンを得ることによって得られ得る。化合物が複数のアミン基を含むそれらの場合、塩は、多数のアミン基を伴って形成され得る。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も生成され得る。
【0081】
プロドラッグは、非活性(または有意に活性が低い)形態で投与され、その後in vivoで活性代謝産物に代謝される薬理学的物質である。より低い用量でより多くの薬物を所望の標的へ到達させることがしばしば、プロドラッグの使用の理論的根拠であり、通常、より良好な吸収、分布、代謝、及び/または排泄(ADME)特性に起因する。プロドラッグは通常、経口バイオアベイラビリティを改善するために設計され、消化管からの低い吸収が通常は制限要因である。また、プロドラッグストラテジーの使用は、その意図された標的についての薬物の選択性を増加させ得、よって、オフターゲットの潜在性を低減する。
【0082】
V.処置方法
一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、コロナウイルス感染症(具体的にはSARS-CoV-2感染症、例えば、SARS-CoV-2、MERS、SARS、及びOC-43を含む)を予防、処置または治癒するために使用され得る。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、フラビウイルス、Picornaviridae、Togavirodae及びBunyaviridaeによる感染症を予防、処置または治癒するために使用され得る。
【0083】
その方法は、コロナウイルス感染症、またはフラビウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、もしくはブニヤウイルス感染症による感染症を処置、治癒または予防するための本明細書に記載される少なくとも1つの化合物の治療的または予防的有効量、またはそれらの生物学的活性を低減するために十分な量を投与することを伴う。
【0084】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、細胞におけるコロナウイルス、フラビウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、またはブニヤウイルスプロテアーゼを阻害するために使用され得る。方法には、細胞を有効量の本明細書に記載の化合物と接触させることが含まれる。
【0085】
コロナウイルス、フラビウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、もしくはブニヤウイルス、またはその遺伝子断片に感染したヒトを含むがこれらに限定されない宿主は、薬学的に許容可能な担体または希釈剤の存在下で有効量の活性化合物または薬学的に許容可能なプロドラッグもしくはその塩を患者に投与することによって処置され得る。活性物質は、任意の適切な経路、例えば、経口、非経口、静脈内、皮内、経皮、皮下、または局所に、液体または固体形態で投与され得る。
【0086】
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)及びSARS-Cov2を含むがこれらに限定されないコロナウイルス属内のいくつかの種が存在する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、またはSARS-Cov2感染症を改善及び/または処置し得る。有効量の本明細書に記載の化合物は、これらのウイルスに感染した対象に投与され、及び/またはこれらのウイルスに感染した細胞を有効量の本明細書に記載の化合物と接触させることによって投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、これらのウイルスの複製を阻害し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、これらの感染症の1つ以上の症状を改善し得る。症状には、極度の疲労、倦怠感、頭痛、高熱(例えば、>100.4°F.)、無気力、混乱、発疹、食欲喪失、筋肉痛、悪寒、下痢、空咳、鼻水、咽頭痛、息切れ、呼吸問題、血液酸素レベルの緩やかな下降(例えば、低酸素症)及び肺炎が含まれるがこれらに限定されない。
【0087】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の化合物を含む薬学的組成物を対象に投与することを含み得る、Togaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を処置及び/または改善する方法に関する。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物を対象に投与することを含み得る、Togaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品の製造において本明細書に記載の1つ以上の化合物を使用することに関する。
【0088】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む薬学的組成物と接触させることを含み得る、Togaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、Togaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品の製造において本明細書に記載の1つ以上の化合物を使用することに関する。
【0089】
いくつかの実施形態では、Togaviridaeウイルスは、アルファウイルスであり得る。アルファウイルスの1種は、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、VEEV感染症を改善及び/または処置し得る。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、VEEVによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品に製造され得る。また他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、VEEVによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、VEEVは、動物間流行性サブタイプであり得る。いくつかの実施形態では、VEEVは、風土病サブタイプであり得る。本明細書に記載されるように、ウイルスのベネズエラウマ脳炎複合体には、抗原バリアントによってさらに分けられる複数のサブタイプが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、VEEVの複数のサブタイプ、例えば、サブタイプ2、3、4、5または6に対して有効であり得る。いくつかの実施形態では、化合物は、VEEVサブタイプIを処置、改善及び/または予防するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、VEEVの複数の抗原バリアントに対して有効であり得る。いくつかの実施形態では、化合物は、VEEV感染症の1つ以上の症状を改善し得る。VEEVに感染した対象によって示される症状の例には、インフルエンザ様症状、例えば、高熱、頭痛、筋肉痛、疲労、嘔吐、吐き気、下痢、及び咽頭炎が含まれる。脳炎を有する対象は、以下の症状の1つ以上を示す:傾眠、ひきつけ、混乱、光恐怖症、昏睡及び脳、肺(複数可)及び/または消化管の出血。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトであり得る。他の実施形態では、対象は、ウマであり得る。
【0090】
チクングンヤ(CHIKV)は、別のアルファウイルス種である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、CHIKV感染症を改善及び/または処置し得る。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、CHIKVによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品に製造され得る。また他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、CHIKVによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、CHIKV感染症の1つ以上の症状は、有効量の化合物をCHIKVに感染した対象に投与することによって及び/またはCHIKV感染細胞を有効量の本明細書に記載の化合物と接触させることによって改善され得る。CHIKV感染症の臨床的症状には、発熱、発疹(例えば、点状出血及び/または丘疹発疹)、筋肉痛、関節痛、疲労、頭痛、吐き気、嘔吐、結膜炎、味覚喪失、光恐怖症、不眠症、無力化関節痛及び関節炎が含まれる。
【0091】
アルファウイルスの他の種には、バーマフォレストウイルス、マヤロウイルス(MAYV)、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス(RRV)、セムリキフォレストウイルス、シンドビスウイルス(SINV)、ウナウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE)及び西部ウマ脳脊髄炎(WEE)が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)の1つ以上と接触させること及び/または有効量の前記化合物(複数可)の1つ以上を対象(例えば、ウイルスに感染した対象)に投与すること含み得る、アルファウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得、アルファウイルスは、バーマフォレストウイルス、マヤロウイルス(MAYV)、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス(RRV)、セムリキフォレストウイルス、シンドビスウイルス(SINV)、ウナウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE)及び西部ウマ脳脊髄炎(WEE)から選択され得る。
【0092】
Coronaviridaeウイルスの別の属は、ルビウイルスである。本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む薬学的組成物と接触させることを含み得る、ルビウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、ルビウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品の製造において本明細書に記載の1つ以上の化合物を使用することに関する。本明細書に記載のさらに他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることによって、ルビウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得る本明細書に記載の1つ以上の化合物に関する。
【0093】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の化合物を含む薬学的組成物を対象に投与することを含み得る、Bunyaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を処置及び/または改善する方法に関する。本明細書に開示される他の実施形態は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の化合物を含む薬学的組成物をウイルス感染症に罹患しているものとして同定された対象に投与することを含み得る、Bunyaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を処置及び/または改善する方法に関する。
【0094】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む薬学的組成物と接触させることを含み得る、Bunyaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、Bunyaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品の製造において本明細書に記載の1つ以上の化合物を使用することに関する。本明細書に記載のさらに他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることによって、Bunyaviridaeウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得る本明細書に記載の1つ以上の化合物に関する。
【0095】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、または本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む薬学的組成物と接触させることを含み得る、Bunyaviridaeウイルスの複製を阻害する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、Bunyaviridaeウイルスの複製を阻害するための薬品の製造において本明細書に記載の1つ以上の化合物を使用することに関する。本明細書に記載のさらに他の実施形態は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることによって、Bunyaviridaeウイルスの複製を阻害するために使用され得る本明細書に記載の化合物に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、BunyaviridaeウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、それによりRNAの複製を阻害し得る。いくつかの実施形態では、Bunyaviridaeウイルスのポリメラーゼは、Bunyaviridaeウイルスに感染した細胞を本明細書に記載の化合物と接触させることによって阻害され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、ブニヤウイルスであり得る。他の実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、ハンタウイルスであり得る。また他の実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、ナイロウイルスであり得る。さらにまた他の実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、フレボウイルスであり得る。いくつかの実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、オルトブニヤウイルスであり得る。他の実施形態では、Bunyaviridaeウイルスは、トスポウイルスであり得る。
【0097】
フレボウイルス属の種は、リフトバレー熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、リフトバレー熱ウイルス感染症を改善及び/または処置し得る。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、リフトバレー熱ウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するための薬品に製造され得る。また他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の化合物は、ウイルスに感染した細胞を有効量の前記化合物(複数可)と接触させることを含み得る、リフトバレー熱ウイルスによって引き起こされる感染症を改善及び/または処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、リフトバレー熱ウイルスの複製を阻害し得、前記化合物は、リフトバレー熱ウイルスに感染した対象に投与され、及び/または前記化合物は、リフトバレー熱に感染した細胞を接触させる。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、リフトバレー熱ウイルスの眼形態、髄膜脳炎形態、または出血熱形態の1つ以上の複製を改善、処置、及び/または阻害し得る。いくつかの実施形態では、リフトバレー熱ウイルス感染症の1つ以上の症状が改善され得る。リフトバレー熱ウイルス性感染症の症状の例には、頭痛、筋肉痛、関節痛、頸部硬直、光に対する感受性、食欲喪失、嘔吐、筋痛症、発熱、疲労、背痛、目まい、体重減少、眼型症状(例えば、網膜病変、かすみ目、視力低下及び/または永久的な視力喪失)、髄膜脳炎型症状(例えば、激しい頭痛、記憶喪失、幻覚、混乱、失見当識、目まい、ひきつけ、無気力及び昏睡)ならびに出血熱型症状(例えば、黄疸、血液嘔吐、糞便における通過血液、紫斑発疹、斑状出血、鼻及び/または歯茎からの出血、月経過多及び静脈穿刺部位からの出血)が含まれる。
【0099】
フレボウイルス属の別の種は、血小板減少症症候群ウイルスである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、血小板減少症症候群ウイルスの複製を改善、処置、及び/または阻害し得る。いくつかの実施形態では、化合物は、血小板減少症症候群を伴う重度発熱(SFTS)を改善及び/または処置し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、SFTSの1つ以上の症状を改善し得る。臨床的症状には、以下のものが含まれる:発熱、嘔吐、下痢、多臓器不全、血小板減少症、白血球減少症、及び上昇した肝臓酵素レベル。
【0100】
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHF)は、ナイロウイルス属内の種である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスの複製を改善、処置、及び/または阻害し得る。CCHFに感染した対象は、以下の症状のうちの1つ以上を有する:インフルエンザ様症状(例えば、高熱、頭痛、筋肉痛、疲労、嘔吐、吐き気、下痢、及び/または咽頭炎)、出血、気分不安定、動揺、精神混乱、咽喉点状出血、鼻血、血尿、嘔吐、黒色便、膨潤性及び/または疼痛性肝臓、播種性血管内凝固症、急性腎不全、ショック及び急性窮迫症候群。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、CCHFの1つ以上の症状を改善し得る。
【0101】
カリフォルニア脳炎ウイルスは、Bunyaviridae科の別のウイルスであり、オルトブニヤウイルス属のメンバーである。カリフォルニア脳炎ウイルス感染症の症状には、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐、頭痛、腹痛、無気力、局所神経知見、局所運動異常、麻痺、眠気、精神的敏捷性及び方向性の欠如ならびに発作が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、カリフォルニア脳炎ウイルスの複製を改善、処置、及び/または阻害し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、カリフォルニア脳炎ウイルス性感染症の1つ以上の症状を改善し得る。
【0102】
ハンタウイルス属内のウイルスは、腎臓症候群を伴うハンタウイルス出血熱(HFRS)(ハンタンリバーウイルス、ドブラバ・ベオグラードウイルス、サーレマーウイルス、ソウルウイルス、及びプーマラウイルスなどのウイルスによって引き起こされる)及びハンタウイルス肺症候群(HPS)を引き起こし得る。HPSを引き起こし得るウイルスには、ブラッククリークカナルウイルス(BCCV)、ニューヨークウイルス(NYV)、シンノンブルウイルス(SNV)が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、HFRSまたはHPSを改善及び/または処置し得る。HFRSの臨床的症状には、頬及び/または鼻の赤み、発熱、悪寒、手のひらの発汗、下痢、倦怠感、頭痛、吐き気、腹部及び背痛、呼吸問題、胃腸問題、頻拍、低酸素血症、腎不全、タンパク尿及び利尿が含まれる。HPSの臨床的症状には、インフルエンザ様症状(例えば、咳、筋肉痛、頭痛、無気力及び急性呼吸不全に悪化し得る息切れ)が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、HFRSまたはHPSの1つ以上の症状を改善し得る。
【0103】
Coronaviridae、Togaviridae、Hepeviridae及び/またはBunyaviridaeウイルス性感染症を処置及び/または改善するための方法の有効性を決定するための様々な指標が当業者に知られている。好適な指標の例には、ウイルス負荷の低減、ウイルス複製の低減、セロコンバージョンへの時間の低減(患者血清におけるウイルス検出不能)、臨床的アウトカムにおける罹患率または死亡率の低減、及び/または疾患反応の他の指標(複数可)が含まれるがこれらに限定されない。さらなる指標には、1つ以上の全体的な生活の質の健康指標、例えば、疾病継続期間の低減、疾病重症度の低減、正常な健康及び正常な活動に戻るまでの時間の低減、及び1つ以上の症状の軽減までの時間の低減が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、未処置の対象である対象と比較して前述した指標の1つ以上の低減、軽減または前向きな兆候をもたらし得る。
【0104】
VI.組み合わせまたは代替療法
一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、抗ウイルス剤であり得る少なくとも1つの他の活性剤と共に用いられ得る。この実施形態の一態様では、少なくとも1つの他の活性剤は、融合阻害剤、侵入阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、例えば、PF-07304814(Pfizer)またはPF-07321332(Pfizer)(比較的少ない用量のリトナビルと、任意に共投与される)、ポリメラーゼ阻害剤、抗ウイルスヌクレオシド、例えば、レムデシビル、GS-441524、AT-527(ATEA)、N4-ヒドロキシシチジン、モルヌピラビル(N4-ヒドロキシシチジンプロドラッグ)、及び米国特許番号9,809,616に開示される他の化合物、及びそれらのプロドラッグ、4’-フルオロウリン及びそのプロドラッグ、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、JAK阻害剤、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)阻害剤、CR3022を含むSARS-CoV特異的ヒトモノクローナル抗体、ならびに区別されるまたは未知のメカニズムの薬剤からなる群から選択される。
【0105】
ウミフェノビル(Arbidolとしても知られている)は、代表的な融合阻害剤である。
【0106】
代表的な侵入阻害剤には、カモスタット、ルテオリン、MDL28170、SSAA09E2、SSAA09E1(カテプシンL阻害剤として作用する)、SSAA09E3、及びテトラ-O-ガロイル-β-D-グルコース(TGG)が含まれる。これらの化合物の一部の化学式が以下に提供される:
【化42】
他の侵入阻害剤には、以下のものが含まれる:
【化43】
レムデシビル、ソホスブビル、リバビリン、IDX-184及びGS-441524は、以下の式を有する:
【化44】
【化45】
【0107】
また、サイトカインストームを阻害する化合物、血栓を対処する抗凝固剤及び/または血小板凝集阻害剤、COVID-19などのウイルスによってヘモグロビンから放出される鉄イオンをキレートする化合物、シトクロムP-450(CYP450)阻害剤及び/またはNOX阻害剤を投与することができる。
【0108】
代表的なNOX阻害剤は、PCT/US2018/067674に開示されており、それには、AEBSF、アポシアニン、DPI、GK-136901、ML171、プルンバギン、S17834、VAS2870、VAS3947、GKT-831、GKT771、GTL003またはそのアミドチアジアゾール誘導体(AU2015365465、EP20140198597;及びWO2015/59659に記載されているような)、CN104147001及びCN20131179455に記載されているようなシサンドリンB)、米国公開番号2015045387、GB20110016017、及びWO201200725に記載の二芳香族及び三芳香族化合物、JP2015227329、JP20140097875、及びJP20150093939に記載のメトキシフラボン誘導体、米国公開番号2015368301、TN2015000295、米国公開番号201514689803、米国公開番号201462013916、PCT WO201450063、及びEP20130150187に記載されているようなNOX2ds-tat及びPR-39などのペプチド、米国公開番号2014194422、米国特許番号9428478、米国公開番号201214123877、米国公開番号201161496161、及びPCT WO2012US41988に記載のピペラジン誘導体、KR101280198、KR20110025151、及びKR20090082518に開示されているピラゾール誘導体、HK1171748、PCT WO201054329、及びEP20090171466に開示されているピラゾリンジオン誘導体、KR20130010109、KR20130002317、EP20100153927、PCT WO201150667、EP20100153929、及びPCT WO2011IB50668に開示されているピラゾロピペリジン誘導体、KR20170026643、HK1158948、HK1141734、HK1159096、HK1159092、EP20080164857、PCT WO200954156、PCT WO200954150、EP20080164853、PCT WO200853390、米国公開番号20070896284、EP20070109555、PCT WO200954148、EP20080164847、PCT WO200954155、及びEP20080164849に記載のピラゾロピリジン誘導体、EP2886120、米国公開番号2014018384、米国公開番号20100407925、EP20110836947、GB20110004600、及びPCT WO201250586に開示されているキナゾリン及びキノリン誘導体、米国公開番号2010120749、米国特許番号8,288,432、米国公開番号20080532567、EP20070109561、米国公開番号20070908414、及びPCT WO200853704に開示されているテトラヒドロインドール誘導体、米国公開番号2016083351、米国公開番号201414888390、米国公開番号201361818726、及びPCT WO201436402に開示されているテトラヒドロイソキノリン誘導体、TW201325588及びTW20110147671に記載のスコポレチン、ならびにTW201713650及びPCTWO201554662に開示されている2,5-二置換ベンゾキサゾール及びベンゾチアゾール誘導体が含まれる。代表的なNOX阻害剤にはまた、PCTWO2011062864に開示されているものが含まれる。
【0109】
例示的なNox阻害剤にはまた、2-フェニルベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール-5-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(2,4-ジメチルフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(4-フルオロフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(2,4-ジメチルフェニル)-5-フルオロベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、5-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(2-クロロ-6-メトキシフェニル)-5-フルオロベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、5-フルオロ-2-フェニルベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール-5-イル)-5-フルオロベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、メチル4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、メチル4-(5-フルオロ-3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、エチル4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、tert-ブチル4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、メチル2-メトキシ-4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、メチル3-クロロ-4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾニトリル、メチル2-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、2-(4-アセチルフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(4-ニトロフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、メチル6-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ニコチネート、6-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ニコチノニトリル、2-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-ベンジルベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、N-メチル-4-(3-オキソベンゾ[d]イソチアゾール-2(3H)-イル)ベンズアミド、2-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(2,4-ジメチルフェニル)-l-メチル-lH-インダゾール-3(2H)-オン、2-(4-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-インダゾール-3(2H)-オン、2-(2,4-ジメチルフェニル)-lH-インダゾール-3(2H)-オン、1-メチル-2-フェニル-1H-インダゾール-3(2H)-オン、2-(l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(5-フェニル-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(5-(エチルチオ)-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(5-(メチルチオ)-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、5-フルオロ-2-(l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(5-(tert-ブチル)-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(5-(4-ブロモフェニル)-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン 2、-(4-メチルチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール-3(2H)-オン、2-(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール-5-イル)-4,5-ジフルオロベンゾ[d][l,2]セレナゾール-3(2H)-オン、2-(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール-5-イル)-5-フルオロベンゾ[d][l,2]セレナゾール-3(2H)-オン、2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][l,4]ジオキシン-6-イル)-5-フルオロベンゾ[d][l,2]セレナゾール-3(2H)-2-(4-(l,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)ベンゾ[d][l,2]セレナゾール-3(2H)-オン、2-(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール-5-イル)-6、7-ジメトキシベンゾ[d][l,2]セレナゾール-3(2H)-オン、メチル4-(3-オキソベンゾ[d][l,2]セレナゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、メチル4-(3-オキソイソチアゾロ[5,4-b]ピリジン-2(3H)-イル)ベンゾエート、及びエチル4-(3-オキソイソチアゾール-2(3H)-イル)ベンゾエート、ならびにその薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグが含まれる。
【0110】
追加の代表的なNOX阻害剤には、
【化46】
が含まれる。
【0111】
【0112】
それらの重水素化アナログ、またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグが含まれる。
【0113】
一実施形態では、NOX阻害剤は、エブセレン、ネオプテリン、APBA、ディアポシニン、もしくはその重水素化アナログ、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである。
【0114】
別の実施形態では、NOX化合物は、PCTWO2010/035221に開示されているものである。
【0115】
また別の実施形態では、化合物は、PCTWO2013/068972に開示されているNOX阻害剤であり、これは、
4-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-5-(ピラジン-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(4-クロロフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピラジン-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5-[(l-メチル-lH-ピラゾール-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(2-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-5-[(2-メトキシピリジン-4-イル)メチル]-4-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-メトキシフェニル)-4-メチル-5-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-5-[(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル]-4-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(2-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-[(1-メチル-1H-ピラゾ-1-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-メチル-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-クロロフェニル)-5-(ピラジン-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-クロロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-メトキシフェニル)-4-(3-メトキシフェニル)-5-[(1-メチル-1H-ピラゾ-1-3-イル)メチル]-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-[(1-メチル-1H-ピラゾ-1-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-メトキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-5-[(1-メチル-1H-ピラゾ-1-3-イル)メチル]-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-メトキシフェニル)-4-(3-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-クロロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-[(2-メトキシピリジン-4-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2,6-ジフルオロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-メチル-5-[(l-メチル-lH-ピラゾール-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-5-メチル-4-[3-(メチルアミノ)フェニル]-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-メトキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2-フルオロフェニル)-5-(ピリジン-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-クロロフェニル)-5-(l,3-チアゾール-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-[3-(ジメチルアミノ)フェニル]-5-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(ピリジン-4-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-(2-クロロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-[3-(ジメチルアミノ)フェニル]-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2,6-ジフルオロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
4-(2-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)-5-(ピラジン-2-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;
2-(2-クロロフェニル)-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-5-(ピリジン-3-イルメチル)-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン;及び
2-(2-クロロフェニル)-4-[3-(ジメチルアミノ)フェニル]-5-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル]-lH-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオンからなる群から選択される。
【0116】
代表的なCYP450阻害剤には、アミオダロン、アムロジピン、アピゲニン、アプレピタント、ベルガモッチン(グレープフルーツ)、ブプレノルフィン、ブプロピオン、カフェイン、カフェストール、カンナビジオール、セレコキシブ、クロラムフェニコール、クロルフェニラミン、クロルプロマジン、シメチジン、シナカルセット、シプロフロキサシン、シタロプラム、クラリスロマイシン、クレマスチン、クロフィブラート、クロミプラミン、クロトリマゾール、コビシスタット、コカイン、クルクミン(ターメリック)、シクリジン、デラビルジン、デシプラミン、ジスルフィラム、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジチオカルバメート、ドンペリドン、ドキセピン、ドキソルビシン、デュロキセチン、エキナセア、エンタカポン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、フェルバメート、フェノフィブラート、フラボノイド(グレープフルーツ)、フルオロキノロン(例えば、シプロフロキサシン)、フルオキセチン、フルボキサミン、フルコナゾール、フルバスタチン、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、ゲストデン、ハロファントリン、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イマチニブ、インドメタシン、インジナビル、インターフェロン、イソニアジド、イトラコナゾール、JWH-018、ケトコナゾール、レトロゾール、ロバスタチン、レボメプロマジン、メマンチン、メチルフェニデート、メトクロプラミド、メサドン、チアマゾール、メトキサレン、メチラポン、ミべフラジル、ミコナゾール、ミドドリン、ミフェプリストン、オオアザミ、モクロベミド、モダフィニル、モンテルカスト、モクロベミド、ナリンゲニン(グレープフルーツ)、ネファゾドン、ネルフィナビル、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチン、ニコチンアミド、ニルタミド、ノルフロキサシン、オルフェナドリン、パロキセチン、ペルフェナジン、ピロカルピン、ピペリン、フェニルブタゾン、プロベネシド、プロメタジン、プロトンポンプ阻害剤(例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール)、クエルセチン、キニジン、ラニチジン、リスペリドン、リトナビル、サキナビル、セレグリン、セルトラリン、スターフルーツ、セントジョーンズワート、スルコナゾール、スルファメトキサゾール、スルファフェナゾール、テリスロマイシン、テニポシド、テルビナフィン、チアゾリジンジオン、チオリダジン、チクロピジン、チコナゾール、チオテパ、トリメトプリム、トピラマート、トラニルシプロミン、トリペレナミン、バレリアン、バルプロ酸、ベラパミル、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、及びズクロペンチキソールが含まれるがこれらに限定されない。
【0117】
代表的なACE-2阻害剤には、スルフヒドリル含有薬剤、例えば、アラセプリル、カプトプリル(capoten)、及びゾフェノプリル、ジカルボキシレート含有薬剤、例えば、エナラプリル(vasotec)、ラミプリル(altace)、キナプリル(accupril)、ペリンドプリル(coversyl)、リシノプリル(listril)、ベナゼプリル(lotensin)、イミダプリル(tanatril)、トランドラプリル(mavik)、及びシラザプリル(inhibace)、及びホスホネート含有薬剤、例えば、ホシノプリル(fositen/monopril)が含まれる。
【0118】
例えば、感染症を処置または予防するために使用される場合、活性化合物またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容可能な塩は、上記式のものを含むがこれらに限定されない別の抗ウイルス剤と組み合わせてまたは代替として投与され得る。通常、組み合わせ療法では、有効な投薬量の2つ以上の薬剤が一緒に投与される一方で、代替療法中に、有効な投薬量の各薬剤が連続して投与される。投薬量は、薬物の吸収、不活性化、及び排泄速度、ならびに当業者に知られている他の要因に依存する。投薬量値は、軽減されるべき病態の重症度と共に変わることが留意されるべきである。任意の特定の対象について、具体的な投薬レジメン及びスケジュールは、個々の必要性及び組成物を投与するまたは投与を管理する者の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであることをさらに理解されたい。
【0119】
本明細書に記載の化合物との組み合わせのための多数の薬剤がGhosh et al.,“Drug Development and Medicinal Chemistry Efforts Toward SARS-Coronavirus and Covid-19 Therapeutics,” ChemMedChem 10.1002/cmdc.202000223に開示されている。
【0120】
本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用され得る抗ウイルス剤の非限定的な例には、以下に挙げられるものが含まれる。
【0121】
サイトカインストームを阻害するための化合物
炎症性反応は、その活性化を通して、「サイトカインストーム」としても知られている有害な全身性炎症を予防するために制御されなければならない。IL-10及びトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)などの抗炎症特性を有する多数のサイトカインがこの原因である。各サイトカインは、炎症性反応の異なる部分に作用する。例えば、Th2免疫反応の生成物は、Th1免疫反応を抑制し、その逆も同様である。
【0122】
炎症を解消することにより、患者への長期損傷をほとんどまたは全く伴わずに周囲細胞への付随的な損傷を最小化することができる。したがって、ウイルス性感染症を阻害するために本明細書に記載の化合物を使用することに加えて、サイトカインストームを阻害する1つ以上の化合物が共投与され得る。
【0123】
サイトカインストームを阻害する化合物には、基礎的免疫経路、例えば、ケモカインネットワーク及びコリン作用性抗炎症経路を標的とする化合物が含まれる。
【0124】
JAK阻害剤、例えば、JAK1及びJAK2阻害剤は、サイトカインストームを阻害し得、いくつかの場合では、抗ウイルス性でもある。代表的なJAK阻害剤には、米国特許番号10,022,378に開示されているもの、例えば、Jakafi、トファシチニブ、及びバリシチニブ、ならびにLY3009104/INCB28050、パクリチニブ/SB1518、VX-509、GLPG0634、INC424、R-348、CYT387、TG 10138、AEG3482、及びその薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグが含まれる。
【0125】
またさらなる例には、CEP-701(レスタウルチニブ)、AZD1480、INC424、R-348、CYT387、TG10138、AEG3482、7-ヨード-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(4-アミノフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アクリルアミド、7-(3-アミノフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アクリルアミド、N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、メチル2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート、N-(4-モルホリノフェニル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼン-スルホンアミド、N,N-ジメチル-3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、1-エチル-3-(2-メトキシ-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)ウレア、N-(4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、2-メトキシ-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェノ-l,2-シアノ-N-(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、N-(シアノメチル)-2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミド、N-(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、1-エチル-3-(4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)-2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレア、N-(3-ニトロフェニル)-7-フェニルチエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-ヨード-N-(3-ニトロフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N1-(7-(2-エチルフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミン、N-tert-ブチル-3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、N1-(7-ヨードチエノ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミン、7-(4-アミノ-3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(2-エチルフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセタミド、N-(シアノメチル)-N-(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、N-(シアノメチル)-N-(4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、N-(3-(5-メチル-2-(4-モルホリノフェニルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、4-(5-メチル-2-(4-モルホリノフェニルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-(5-メチル-2-(4-モルホリノフェニルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、7-ヨード-N-(4-モルホリノフェニル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(2-イソプロピルフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-ブロモ-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N7-(2-イソプロピルフェニル)-N2-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2,7-ジアミン、N7-(4-イソプロピルフェニル)-N2-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2,7-ジアミン、7-(5-アミノ-2-メトキシフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンズアミド、7-ヨード-N-(3-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(2-メトキシピリジン-3-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、(3-(7-ヨードチエノ[3,2-d]ピリミジン-2-イルアミノ)フェニル)メタノール、N-tert-ブチル-3-(2-(3-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、N-tert-ブチル-3-(2-(3-(ヒドロキシメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-モルホリノフェニル)-7-(4-ニトロフェニルチオ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2--アミン、N-tert-ブチル-3-(2-(3,4,5-トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、7-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-N-(3,4-ジメトキシフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-tert-ブチル-3-(2-(3,4-ジメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、7-(2-アミノピリミジン-5-イル)-N-(3,4-ジメトキシフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)チエノ[3,2-d]-ピリミジン-2-アミン、N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-ヨード-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-tert-ブチル-3-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、2-シアノ-N-(4-メチル-3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、エチル3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゾエート、7-ブロモ-N-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3-(2-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、N-(シアノメチル)-3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンズアミド、N-tert-ブチル-3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンズアミド、N-tert-ブチル-3-(2-(4-(1-エチルピペリジン-4-イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ-[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、tert-ブチル-4-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7--イル)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート、7-ブロモ-N-(4-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン--2-アミン、N-tert-ブチル-3-(2-(4-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニルアミノ)-チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-7-(1H-ピラゾール-4-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(シアノメチル)-3-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンズアミド、N-tert-ブチル-3-(2-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]-ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、tert-ブチルピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンジルカルバメート、3-(2-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンゼンスルホンアミド、7-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-N-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)チエノ-[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、tert-ブチル4-(2-(4-(1-エチルピペリジン-4-イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル-)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート、7(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、tert-ブチル5-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)-1H-インドール-1-カルボキシレート、7-(2-アミノピリミジン-5-イル)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、tert-ブチル4-(2-(-4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジ-ヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート、tert-ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンジルカルバメート、N-(3-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、N-(4-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、N-(3-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、7-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)チエノ-[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(2-メトキシ-4-(2-(4-(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)アセトアミド、7-ブロモ-N-(3,4,5-トリメトキシフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、(3-(2-(3,4,5-トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2-d
]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタノール、(4-(2-(3,4,5-トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタノール、(3-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタノール、(4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)フェニル)メタノール、N-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンジル)メタンスルホンアミド、tert-ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)ベンジルカルバメート、N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-7-(3-(ピペラジン-1-イル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(6-(2-モルホリノエチルアミノ)ピリジン-3-イル)-N-(3,4,5-トリメトキシフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(2-エチルフェニル)-N-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-(4-(アミノメチル)フェニル)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(4-(1-エチルピペリジン-4-イルオキシ)フェニル)-7-(1H-ピラゾール-4-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(2,4-ジメトキシフェニル)-7-フェニルチエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、7-ブロモ-N-(3,4-ジメトキシフェニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-フェニルチエノ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン、ならびにその薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグが含まれる。
【0126】
サイトカインストームを下方制御するHMGB1抗体及びCOX-2阻害剤が使用され得る。そのような化合物の例には、アクテムラ(Roche)が含まれる。セレブレックス(セレコキシブ)、COX-2阻害剤が使用され得る。IL-8(CXCL8)阻害剤も使用され得る。
【0127】
ケモカイン受容体CCR2アンタゴニスト、例えば、PF-04178903は、肺免疫病理を低減し得る。
【0128】
選択的α7Ach受容体アゴニスト、例えば、GTS-21(DMXB-A)及びCNI-1495が使用され得る。これらの化合物は、TNF-αを低減する。敗血症の後期メディエーターであるHMGB1は、IFN-γ経路を下方制御し、IL-10及びSTAT3メカニズムのLPS誘導抑制を防止する。
【0129】
血栓を処置または予防するための化合物
Covid-19などのコロナウイルスを含む、呼吸器感染症を引き起こすウイルスは、肺血栓、及び心臓も損傷させ得る血栓に関連し得る。
【0130】
本明細書に記載の化合物は、血栓形成を阻害する化合物、例えば、抗凝血剤、または既存の血栓を分解する化合物、例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、Integrilin(エプチフィバチド)、アブシキシマブ(ReoPro)またはチロフィバン(Aggrastat)と共投与され得る。
【0131】
抗凝血剤は、血栓が形成することを防止し、既存の血栓がより大きくなることを維持する。2つの主要なタイプの抗凝血剤が存在する。抗凝固剤、例えば、ヘパリンまたはワルファリン(Coumadinとも呼ばれる)は、血柱を生成するための生物学的プロセスを減速させ、抗血小板凝集薬、例えば、Plavix、アスピリンは、血小板と呼ばれる血液細胞が共に凝集して血柱を形成することを防止する。
【0132】
例として、Integrilin(登録商標)は、典型的には、診断後可能な限り早く投与される180mcg/kgの静脈内ボーラスの投薬量で投与され、最大で96時間の療法の間、2mcg/kg/分の連続注入(初期ボーラス後)を伴う。
【0133】
代表的な血小板凝集阻害剤には、糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシン再取り込み阻害剤、及びアデノシン二リン酸(ADP)受容体阻害剤が含まれる。これらは、抗凝固剤と組み合わせて任意に投与され得る。
【0134】
代表的な抗凝固剤には、クマリン(ビタミンKアンタゴニスト)、未分画ヘパリン(UFH)、低分子量ヘパリン(LMWH)、及び超低分子量ヘパリン(ULMWH)を含むヘパリン及びその誘導体、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、及びイドラビオタパリヌクスを含む第Xa因子の合成五糖類阻害剤、直接的に作用する経口抗凝固剤(DAOC)、例えば、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン及びベトリキサバン、ならびに抗トロンビンタンパク質治療剤/トロンビン阻害剤、例えば、二価薬物ヒルジン、レピルジン、及びビバリルジン及び一価アルガトロバンが含まれる。
【0135】
代表的な血小板凝集阻害剤には、プラバスタチン、Plavix(クロピドグレル重硫酸塩)、Pletal(シロスタゾール)、Effient(プラスグレル)、Aggrenox(アスピリン及びジピリダモール)、Brilinta(チカグレロル)、カプラシズマブ、Kengreal(カングレロール)、Persantine(ジピリダモール)、Ticlid(チクロピジン)、Yosprala(アスピリン及びオメプラゾール)が含まれる。
【0136】
小分子共有結合性CoV 3CLpro阻害剤
代表的な小分子共有結合性CoV 3CLpro阻害剤には、以下の化合物が含まれる:
【化48】
【0137】
非共有結合性CoV 3CLpro阻害剤
代表的な非共有結合性CoV 3CLpro阻害剤には、以下のものが含まれる:
【化49】
【化50】
【0138】
SARS-CoV PLpro阻害剤
代表的なSARS-Cov PLpro阻害剤には、以下のものが含まれる:
【化51】
【0139】
追加の化合物には、以下のものが含まれる:
【化52】
【0140】
使用され得る追加の化合物
組み合わせ療法において使用され得る追加の化合物及び化合物クラスには、以下のものが含まれる:モノクローナル抗体(mAb)を含む抗体、アルビドール(Arbidol)(ウミフェノビル)、アクテムラ(トシリズマブ)、APN01(Aperion Biologics)、ARMS-1(セチルピリジニウムクロリド(CPC)が含まれる)、ASC09(Ascletis Pharma)、AT-001(Applied Therapeutics Inc.)及び他のアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)、ATYR1923(aTyr Pharma,Inc.)、アビプタジル(Relief Therapeutics)、アズブジン、ベムセンチニブ、BLD-2660(Blade Therapeutics)、ベバシズマブ、ブレンソカチブ、カルケンス(Calquence)(アカラブルチニブ)、カモスタットメシル酸塩(TMPRSS2阻害剤)、カムレリズマブ、CAP-1002(Capricor Therapeutics)、CD24Fcm、クレブジン、(OncoImmune)、CM4620-IE(CalciMedica Inc.、CRACチャネル阻害剤)、コルヒチン、回復血漿、CYNK-001(Sorrento Therapeutics)、DAS181(Ansun Pharma)、デスフェラール(Desferal)、ジピリダモール(ペルサンチン)、ドシパルスタットナトリウム(DSTAT)、デュベリシブ、エクリズマブ、EIDD-2801(Ridgeback Biotherapeutics)、エマパルマブ、ファドラシクリブ(CYC065)及びセリシクリブ(ロスコビチン)(サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤)、ファルキシガ(Farxiga)(ダパグリフロジン)、ファビラビル/ファビピラビル/T-705/アビガン、ガリデシビル、ガノボ(Ganovo)(ダノプレビル)、ギレンヤ(Gilenya)(フィンゴリモド)(スフィンゴシン1-ホスフェート受容体調節剤)、ギムシルマブ、IFX-1、イラリス(Ilaris)(カナキヌマブ)、静脈内免疫グロブリン、イベルメクチン(インポーチンα/β阻害剤)、カレトラ(Kaletra)/アルビア(Aluvia)(ロピナビル/リトナビル)、NS5A阻害剤、例えば、ダクラスタビル(Daclastavir)、ケブザラ(Kevzara)(サリルマブ)、キネレト(Kineret)(アナキンラ)、LAU-7b(フェンレチニド)、レンジルマブ、レロンリマブ(PRO140)、LY3127804(抗Ang2抗体)、ロイキン(Leukine)(サルグラモスチム、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、及びテルミサルタン(Telmisartan)(アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト)、メプラズマブ(Meplazumab)、メタブロク(Metablok)(LSALTペプチド、DPEP1阻害剤)、メチルプレドニゾロン及び他のコルチコステロイド、MN-166(イブジラスト、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)阻害剤)、MRx-4DP0004(bifidobacterium breveの株、4D Pharma)、ナファモスタット(セリンプロテアーゼ阻害剤)、ノイラミニダーゼ阻害剤様タミフル(オセルタミビル)、ニタゾキサニド(ヌクレオカプシド(N)タンパク質阻害剤)、ニボルマブ、OT-101(Mateon)、ノバフェロン(人工インターフェロン)、オパガニブ(イエリバ(yeliva))(スフィンゴシンキナーゼ-2阻害剤)、オチリマブ(Otilimab)、PD-1ブロック抗体、ペグインターフェロン、例えば、ペグインターフェロンラムダ、ペプシド(Pepcid)(ファモチジン)、ピクリデノソン(Piclidenoson)(A3アデノシン受容体アゴニスト)、プレズコビックス(Prezcobix)(ダルナビル)、PUL-042(Pulmotect,Inc.,トル様受容体(TLR)結合剤)、レビフ(Rebif)(インターフェロンベータ-1a)、RHB-107(アパモスタット)(セリンプロテアーゼ阻害剤、RedHill Biopharma Ltd.)、セリネクソール(核外搬出の選択的阻害剤(SINE))、SNG001(Synairgen、吸入インターフェロンベータ-1a)、ソルナチド(Solnatide)、間葉幹細胞を含む幹細胞、マルチステム(MultiStem)(Athersys)、及びPLX(Pluristem Therapeutics)、シルバント(Sylvant)(シルツキシマブ)、チモシン、TJM2(TJ003234)、トラジピタント(Tradipitant)(ニューロキニン-1受容体アンタゴニスト)、トルバダ(Truvada)(エムトリシタビン及びテノホビル)、ウルトミリス(Ultomiris)(ラブリズマブ-cwvz)、バゼゲパント(Vazegepant)(CGRP受容体アンタゴニストまたはブロッカー)、ならびにキソフルザ(Xofluza)(バロキサビルマルボキシル)。
【0141】
再利用される抗ウイルス剤
他のウイルスに対して活性である薬剤を含む多数の薬学的薬剤がCovid-19に対して評価されており、活性を有すると見出されている。これらの化合物のいずれかは、本明細書に記載の化合物と組み合わされ得る。代表的な化合物には、ロピナビル、リトナビル、ニクロサミド、プロマジン、PNU、UC2、シナンセリン(SQ10,643)、カルミダゾリウム(C3930)、タンニン酸、3-イソテアフラビン-3-ガレート、テアフラビン-3,3’-ジガレート、グリチルリチン、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン、ネルフィナビル、ニクロサミド、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、5-ベンジルオキシグラミン、リバビリン、インターフェロン、例えば、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、及びそのペグ化バージョン、ならびにこれらの化合物とリバビリン、クロルプロマジン塩酸塩、トリフルプロマジン塩酸塩、ゲムシタビン、メシル酸イマチニブ、ダサチニブ、及びイマチニブとの組み合わせが含まれる。
【0142】
VIII.薬学的組成物
Coronviridaeウイルス、または本明細書に記載の他のウイルスに感染したヒトを含むがこれらに限定されない宿主は、薬学的に許容可能な担体または希釈剤の存在下で有効量の活性化合物または薬学的に許容可能なプロドラッグもしくはその塩を患者に投与することによって処置され得る。活性物質は、任意の適切な経路、例えば、経口、非経口、静脈内、皮内、皮下、または局所に、液体または固体形態で投与され得る。
【0143】
化合物の好ましい用量は、患者が回復するまで、1日当たりレシピエントの体重の約0.01~約10mg/kg、より一般的には約0.1~5mg/kg、好ましくは、約0.5~約2mg/kgの範囲となる。いくつかの場合では、化合物は、最大で10μMの用量で投与され得、これは、長期間投与される場合は比較的高用量とみなされる場合があるが、本明細書に記載のウイルスの1つ以上の感染期間中投与される場合には許容可能であり得、これは典型的には数日から数週間のオーダーである。
【0144】
薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグの効果的投薬量範囲は、送達される親化合物の重量に基づいて計算され得る。塩またはプロドラッグがそれ自体で活性を示す場合、効果的投薬量は、塩またはプロドラッグの重量を使用して上述したように、または当業者に知られている他の手段によって推定され得る。
【0145】
化合物は、限定されないが単位投薬形態当たり7~600mg、好ましくは70~600mgの活性成分を含有するものを含むがこれらに限定されない任意の好適な単位投薬形態で好都合に投与される。5~400mgの経口投薬量が通常は好都合である。
【0146】
薬物組成物中の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、不活性化及び排泄速度ならびに当業者に知られている他の要因に依存するであろう。投薬量値はまた、緩和される病態の重症度に応じて変わるであろうことが留意されるべきである。任意の特定の対象のため、特定の投薬レジメンは、個々のニーズ及び組成物を投与するまたは投与を管理する者の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであること、及び本明細書で示される濃度範囲は、例示にすぎず、請求された組成物の範囲または実施を限定することは意図されていないことをさらに理解されたい。活性成分は、一度に投与され得、または様々な時間間隔で投与される多数のより少ない用量に分割され得る。
【0147】
活性化合物の好ましい投与様式は、経口である。経口組成物には通常、不活性希釈剤または食用担体が含まれる。それらは、ゼラチンカプセルに包含され、または錠剤に圧縮され得る。経口治療投与の目的のため、活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。薬学的に適合性の結合剤、及び/またはアジュバント物質は、組成物の一部として含まれ得る。
【0148】
錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分、または同様の特質の化合物のいずれかを含有し得る:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンまたはラクトース、崩壊剤、例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterote);流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリン;または香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味料。投薬単位形態がカプセルである場合、それは、上記のタイプの物質に加えて、液体担体、例えば、脂肪油を含有し得る。また、単位投薬形態は、投薬量単位の物理的形態を修飾する様々な他の物質、例えば、糖のコーティング、シェラック、または腸溶剤を含有し得る。
【0149】
化合物は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハ、チューインガムなどの成分として投与され得る。シロップは、活性化合物(複数可)に加えて、甘味剤としてのスクロースならびに所定の防腐剤、色素及び着色剤及び香料を含有し得る。
【0150】
化合物またはその薬学的に許容可能なプロドラッグもしくは塩はまた、所望の作用を損なわない他の活性物質と、または所望の作用を補完する物質、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤または他の抗ウイルス化合物と混合され得る。非経口、皮内、皮下、または局所用途のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩及び張力の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物は、アンプル、使い捨て可能なシリンジまたはガラスもしくはプラスチックから作製された複数用量のバイアルに封入され得る。
【0151】
静脈内に投与される場合、好ましい担体は、生理学的生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0152】
経皮製剤
いくつかの実施形態では、組成物は、経皮製剤の形態、例えば、FDAが承認したアゴニストロチゴチン経皮(Neuproパッチ)において使用されるものに存在する。別の好適な製剤は、「Transdermal Therapeutic System for Treating Parkinsonism」という名称の米国公開番号20080050424に記載されているものである。この製剤には、シリコーンまたはアクリレートベースの接着剤が含まれ、活性物質のための増加した溶解性を有する添加剤が、活性物質のためのマトリックスの溶解能力を増加させるために有効な量で含まれ得る。
【0153】
経皮製剤は、支持層、活性物質含有自己接着性マトリックス、使用前に除去される保護フィルムを含む単一相マトリックスであり得る。より複雑な実施形態は、非接着層及び制御膜も含有し得る複数層マトリックスを含有する。ポリアクリレート接着剤が使用される場合、それは、多価金属イオン、例えば、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、またはチタンイオン、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート及びチタンアセチルアセトネートと架橋され得る。
【0154】
シリコーン接着剤が使用される場合、それらは、典型的には、ポリジメチルシロキサンである。しかしながら、他の有機残基、例えば、エチル基またはフェニル基が、原理上はメチル基の代わりに存在し得る。活性化合物はアミンであるため、アミン耐性接着剤を使用することが有利であり得る。代表的なアミン耐性接着剤は、例えば、EP0180377に記載されている。
【0155】
代表的なアクリレートベースのポリマー接着剤には、アクリル酸、アクリルアミド、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、オクチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0156】
接着剤は、活性物質のための好適な溶解能力を有さなければならず、活性物質は、マトリックス内で移動することができ、接触表面を介して皮膚に到達することができなければならない。当業者は、活性物質の適切な経皮輸送を有する経皮製剤を容易に製剤化し得る。
【0157】
所定の薬学的に許容可能な塩は、経皮製剤において使用するためにより好ましい傾向があり、それはそれらが、活性物質が角質層の障壁を通過することを補助し得るからである。例には、脂肪酸塩、例えば、ステアリン酸及びオレイン酸塩が含まれる。オレイン酸及びステアリン酸塩は、比較的脂溶性であり、皮膚における透過向上剤としても作用し得る。
【0158】
透過向上剤も使用され得る。代表的な透過向上剤には、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールまたはその脂肪酸エステル、N-メチルピロリドン、テルペン、例えば、リモネン、アルファ-ピネン、アルファ-ターピネオール、カルボン、カルベオール、リモネンオキシド、ピネンオキシド及び1,8-ユーカリプトールが含まれる。
【0159】
パッチは通常、活性剤をエタノールまたは別の好適な有機溶媒に溶解または懸濁し、次いで撹拌しながら接着剤溶液を添加することによって調製され得る。追加の補助物質が、接着剤溶液、活性物質溶液または活性物質含有接着剤溶液のいずれかに添加され得る。次いで溶液が好適なシート上にコーティングされ、溶媒が除去され、支持層がマトリックス層上に積層され、パッチが積層体全体から型抜きされ得る。
【0160】
ナノ粒子組成物
本明細書に記載の化合物はまた、ナノ粒子組成物の形態で投与され得る。一実施形態では、制御放出ナノ粒子製剤は、投与されるナノ粒子活性剤及び投与後に薬剤の放出を長期化する速度制御ポリマーを含む。この実施形態では、組成物は、投与後に、約2~約24時間または最大で30日以上の範囲の期間、活性剤を放出し得る。活性剤のナノ粒子形態を含む代表的な制御放出製剤は、例えば、米国特許番号8,293,277に記載されている。
【0161】
ナノ粒子組成物は、それらの表面上に吸着された、またはそれと会合した非架橋表面安定化剤を有する本明細書に記載の活性剤の粒子を含み得る。
【0162】
ナノ粒子の平均粒子サイズは、典型的には、約800nm未満、より典型的には約600nm未満、さらにより典型的には約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約100nm未満、または約50nm未満である。この実施形態の一態様では、活性剤の粒子の少なくとも50%は、光散乱技術によって測定される場合、約800、600、400、300、250、100、または50nm未満の平均粒子サイズをそれぞれ有する。
【0163】
多様な表面安定化剤は、典型的には、粒子が塊状化または凝集することを防止するためにナノ粒子組成物と共に使用される。代表的な表面安定化剤は、ゼラチン、レシチン、デキストラン、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、非結晶性セルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、チロキサポール、ポロキサマー、ポロキサミン、ポロキサミン908、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、スクロースステアレート及びスクロースジステアレートの混合物、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、SA9OHCO、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-D-グルコピラノシド、n-デシル-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-D-マルトシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-D-グルコピラノシド、及びオクチル-D-チオグルコピラノシドからなる群から選択される。リゾチームもまた、ナノ粒子組成物のための表面安定化剤として使用され得る。所定のナノ粒子、例えば、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)-ナノ粒子は、静脈内(IV)または皮下(SQ)によって与えられた場合に肝臓を標的とすることが知られている。
【0164】
ナノ粒子が製剤化され得る代表的な速度制御ポリマーには、キトサン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアセテートフタレート、アラビアゴム、寒天、グアーガム、シリアルガム、デキストラン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、ワックス、シェラック、水素化植物油、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリ(エチレン)オキシド、アルキルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、親水性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、アクリルまたはメタクリル酸及びそれらのそれぞれのエステルに由来するポリマー、ならびにアクリルまたはメタクリル酸及びそれらのそれぞれのエステルに由来するコポリマーが含まれる。
【0165】
ナノ粒子組成物を作製する方法は、例えば、いずれとも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」についての米国特許番号5,518,187及び5,862,999;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」についての米国特許番号5,718,388;及び「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」についての米国特許番号5,510,118に記載されている。
【0166】
ナノ粒子組成物はまた、例えば、「Use of Ionic Cloud Point Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」についての米国特許番号5,298,262;「Method to Reduce Particle Size Growth During Lyophilization」についての米国特許番号5,302,401;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」についての米国特許番号5,318,767;「Novel Formulation For Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」についての米国特許番号5,326,552;「Method of X-Ray Imaging Using Iodinated Aromatic Propanedioates」についての米国特許番号5,328,404;「Use of Charged Phospholipids to Reduce Nanoparticle Aggregation」についての米国特許番号5,336,507;「Formulations Comprising Olin 10-G to Prevent Particle Aggregation and Increase Stability」についての米国特許番号5,340,564;「Use of Non-Ionic Cloud Point Modifiers to Minimize Nanoparticulate Aggregation During Sterilization」についての米国特許番号5,346,702;「Preparation and Magnetic Properties of Very Small Magnetic-Dextran Particles」についての米国特許番号5,349,957;「Use of Purified Surface Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」についての米国特許番号5,352,459;いずれとも「Surface Modified Anticancer Nanoparticles」についての米国特許番号5,399,363及び5,494,683;「Water Insoluble Non-Magnetic Manganese Particles as Magnetic Resonance Enhancement Agents」についての米国特許番号5,401,492;「Use of Tyloxapol as a Nanoparticulate Stabilizer」についての米国特許 番号5,429,824;「Method for Making Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」についての米国特許番号5,447,710;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」についての米国特許番号5,451,393;「Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」についての米国特許番号5,466,440;「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」についての米国特許番号5,470,583;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbamic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」についての米国特許番号5,472,683;「Nanoparticulate Diagnostic Dimers as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」についての米国特許番号5,500,204;「Nanoparticulate NSAID Formulations」についての米国特許番号5,518,738;「Nanoparticulate Iododipamide Derivatives for Use as X-Ray Contrast Agents」についての米国特許番号5,521,218;「Nanoparticulate Diagnostic Diatrizoxy Ester X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」についての米国特許番号5,525,328;「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」についての米国特許番号5,543,133;「Surface Modified NSAID Nanoparticles」についての米国特許番号5,552,160;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」についての米国特許番号5,560,931;「Polyalkylene Block Copolymers as Surface Modifiers for Nanoparticles」についての米国特許番号5,565,188;「Sulfated Non-ionic Block Copolymer Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticle Compositions」についての米国特許番号5,569,448;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」についての米国特許番号5,571,536;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carboxylic Anydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」についての米国特許番号5,573,749;「Diagnostic Imaging X-Ray Contrast Agents」についての米国特許番号5,573,750;「Redispersible Nanoparticulate Film Matrices With Protective Overcoats」についての米国特許番号5,573,783;「Site-specific Adhesion Within the GI Tract Using Nanoparticles Stabilized by High Molecular Weight,Linear Poly(ethylene Oxide)Polymers」についての米国特許番号5,580,579;「Formulations of Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」についての米国特許番号5,585,108;「Butylene Oxide-Ethylene Oxide Block Copolymers Surfactants as Stabilizer Coatings for Nanoparticulate Compositions」についての米国特許番号5,587,143;「Milled Naproxen with Hydroxypropyl Cellulose as Dispersion Stabilizer」についての米国特許番号5,591,456;「Novel Barium Salt Formulations Stabilized by Non-ionic and Anionic Stabilizers」についての米国特許番号5,593,657;「Sugar Based Surfactant for Nanocrystals」についての米国特許番号5,622,938;「Improved Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents and Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents」についての米国特許番号5,628,981;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbonic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」についての米国特許番号5,643,552;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」についての米国特許番号5,718,388;「Nanoparticles Containing the R(-)Enantiomer of Ibuprofen」についての米国特許番号5,718,919;「Aerosols Containing Beclomethasone Nanoparticle Dispersions」についての米国特許番号5,747,001;「Reduction of Intravenously Administered Nanoparticulate Formulation Induced Adverse Physiological Reactions」についての米国特許番号5,834,025;「Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV)Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」についての米国特許番号6,045,829;「Methods of Making Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV)Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」についての米国特許番号6,068,858;「Injectable Formulations of Nanoparticulate Naproxen」についての米国特許番号6,153,225;「New Solid Dose Form of Nanoparticulate Naproxen」についての米国特許番号6,165,506;「Methods of Treating Mammals Using Nanocrystalline Formulations of Human Immunodefi
ciency Virus(HIV)Protease Inhibitors」についての米国特許番号6,221,400;「Nebulized Aerosols Containing Nanoparticle Dispersions」についての米国特許番号6,264,922;「Methods for Preventing Crystal Growth and Particle Aggregation in Nanoparticle Compositions」についての米国特許番号6,267,989;「Use of PEG-Derivatized Lipids as Surface Stabilizers for Nanoparticulate Compositions」についての米国特許番号6,270,806;「Rapidly Disintegrating Solid Oral Dosage Form」についての米国特許番号6,316,029、「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」についての米国特許番号6,375,986;「Bioadhesive nanoparticulate compositions having cationic surface stabilizers」についての米国特許番号6,428,814;「Small Scale Mill」についての米国特許番号6,431,478;及び「Methods for targeting drug delivery to the upper and/or lower gastrointestinal tract」についての米国特許番号6,432,381に記載されており、これらのすべては、参照により具体的に組み込まれる。また、「Controlled Release Nanoparticulate Compositions」についての2002年1月31日に公開された米国特許出願番号20020012675 A1は、ナノ粒子組成物を記載しており、参照により具体的に組み込まれる。
【0167】
非晶質小粒子組成物は、例えば、「Particulate Composition and Use Thereof as Antimicrobial Agent」についての米国特許番号4,783,484;「Method for Making Uniformly Sized Particles from Water-Insoluble Organic Compounds」についての米国特許番号4,826,689;「Method for Making Uniformly-Sized Particles From Insoluble Compounds」についての米国特許番号4,997,454;「Ultrasmall,Non-aggregated Porous Particles of Uniform Size for Entrapping Gas Bubbles Within and Methods」についての米国特許番号5,741,522;及び「Ultrasmall Porous Particles for Enhancing Ultrasound Back Scatter」についての米国特許番号5,776,496に記載されている。
【0168】
所定のナノ製剤は、制御された様式で内腔内に薬物を放出することによって薬物の吸収を向上させ得、よって、溶解性の問題を低減する。腸壁は、栄養素を吸収するように及び病原体及びマクロ分子に対する障壁として作用するように設計されている。小さな両親媒性及び脂溶性分子は、脂質二重層内に分布し、受動的拡散によって腸上皮細胞を通過することによって吸収されるのに対し、ナノ製剤吸収は、腸壁の固有の特質により、より複雑になり得る。ナノ粒子経口吸収に対する第1の物理的障害は、腸及び結腸の内腔表面を覆う粘液障壁である。粘液障壁は、区別される層を含有し、所定のナノ製剤の吸収を阻止する潜在性を有するムチンと呼ばれる重度にグリコシル化されたタンパク質から主に構成される。修飾は、増加した粘液透過特性を有するナノ製剤を生成するように行われ得る(Ensign et al.,“Mucus penetrating nanoparticles:biophysical tool and method of drug and gene delivery,” Adv Mater 24:3887-3894(2012))。
【0169】
粘液コーティングが通過されると、腸上皮細胞を通るナノ製剤の輸送は、細胞表面結合、エンドサイトーシス、細胞内トラフィッキング及びエキソサイトーシスを含むいくつかの工程によって制御され得、複数の細胞内構造の潜在的関与を伴うトランスサイトーシス(細胞の内部を通る輸送)をもたらす。その上、ナノ製剤はまた、パラサイトーシスと定義される、開口された緊密な接続を介して細胞間を移動し得る。クラスリン媒介及びカベオラ媒介エンドサイトーシス及びマクロピノサイトーシスを伴う非食作用経路は、経口経路によるナノ製剤吸収の最も一般的なメカニズムである。
【0170】
非経口投与は、所望の作用部位を直接的に標的とすること及び長期間の薬物作用などの様々な利益を提供し得る。経皮投与は、ナノ製剤、例えば、固体脂質ナノ粒子(SLN)及びNEのために最適化されており、これは、良好な生体適合性、より低い細胞傷害性及び所望の薬物放出調節によって特性化される(Cappel and Kreuter,“Effect of nanoparticles on transdermal drug delivery.J Microencapsul 8:369-374(1991))。ナノ製剤の鼻投与により、それらは、エンドサイトーシスによる経粘膜経路を介してまたは担体もしくは受容体媒介輸送プロセスを介して鼻粘膜を透過することが可能となり(Illum,“Nanoparticulate systems for nasal delivery of drugs:a real improvement over simple systems?” J.Pharm.Sci 96:473-483(2007))、その例は、マウスにおける脳透過及び薬物効率を増加させるためのチザニジンのキトサンナノ粒子の鼻投与である(Patel et al.,“Improved transnasal transport and brain uptake of tizanidine HCl-loaded thiolated chitosan nanoparticles for alleviation of pain,” J.Pharm.Sci 101:690-706(2012))。肺投与は、広い表面積及び接近の比較的容易性を提供する。粘液障壁、気管気管支領域における代謝酵素及び肺胞におけるマクロファージは、典型的には、薬物透過に対する主要な障壁である。粒子サイズは、気管支樹におけるナノ製剤の拡散を決定する主要な要因であり、ナノサイズの領域の粒子は、肺胞領域に到達する可能性がより高く、1~5μmの直径を有する粒子は、細気管支に沈着することが予期される(Musante et al.,“Factors affecting the deposition of inhaled porous drug particles,” J Pharm Sci 91:1590-1600(2002))。おそらく空気-血液障壁を通過できないことにより、より大きな粒子について吸収に対する制限が示されている。粒子は、薬物を徐々に放出し得、これは結果的に血流に透過し得、または、代替的に、粒子は、肺胞マクロファージによって貪食され得る(Bailey and Berkland,“Nanoparticle formulations in pulmonary drug delivery,” Med.Res.Rev.,29:196-212(2009))。
【0171】
所定のナノ製剤は、吸収部位における生物学的膜を通る最小の透過を有し、これらのため、静脈内投与は、身体内の効率的な分布を得るための好ましい経路であり得る(Wacker,“Nanocarriers for intravenous injection-The long hard road to the market,” Int.J.Pharm.,457:50-62.,2013)。
【0172】
ナノ製剤の分布は、使用される送達システム、ナノ製剤の特徴、個体間のばらつき、ナノ製剤からの薬物喪失の速度に応じて広く変化し得る。所定のナノ粒子、例えば、固体薬物ナノ粒子(SDN)は、薬物吸収を改善し、これは全身循環でそれらをインタクトとすることを必要としない。他のナノ粒子は、吸収プロセスを生き残り、よって、含有される薬物の分布及びクリアランスを変化させる。
【0173】
所定のサイズ及び組成のナノ製剤は、向上した透過可能性及び保持作用などの、よく特性化されたプロセスを介して組織内を拡散し得る一方で、他のものは、特定の細胞集団に蓄積し、これにより特定の器官を標的とすることが可能となる。複雑な生物学的障壁は、外因性化合物から器官を保護し得、血液脳関門(BBB)は、多くの治療剤に対する障害を表す。内皮細胞、ミクログリア、周皮細胞及び星状細胞を含む多くの異なるタイプの細胞は、BBBに存在し、これは、高い活性の流出メカニズムと共に、極端に限定的密着結合を示し、ほとんどの薬物の透過を制限する。BBBを介する輸送は、典型的には、特定のトランスポーターによって運ばれる小さな脂溶性分子及び栄養素に限定される。脳へのナノ製剤の拡散を制御する最も重要なメカニズムの1つは、脳毛細管内皮細胞によるエンドサイトーシスである。
【0174】
最近の研究は、粒子特性をナノ製剤侵入経路及びヒトBBB内皮障壁における処理と相関させ、非被覆ナノ粒子がBBBを介して制限された透過を有すること及び表面修飾がエンドサイトーシスの効率及びメカニズムに影響を及ぼし得ることを示している(Lee et al.,“Targeting rat anti-mouse transferrin receptor monoclonal antibodies through blood-brain barrier in mouse,” J.Pharmacol.Exp.Ther.292:1048-1052(2000))。したがって、BBBを通過し、本明細書に記載の化合物の1つ以上を送達する表面修飾ナノ粒子は、本発明の範囲内である。
【0175】
肝臓におけるマクロファージは、身体内のマクロファージの総数の主要なプールである。肝臓におけるクッパー細胞は、オプソニン化された粒子の選択的貪食のための多数の受容体(補体タンパク質に対する及びIgGの断片結晶化可能部分に対する受容体)を保有する。貪食は、マクロファージを標的とし、本明細書に記載の化合物の局所送達(すなわち、マクロファージ内の送達)を提供するためのメカニズムを提供し得る(真実?)。
【0176】
ポリエチレングリコール(PEG)に連結されたナノ粒子は、受容体と最小限の相互作用を有し、これは単核食作用システムによる貪食を阻害する(Bazile et al.,“Stealth Me.PEG-PLA nanoparticles avoid uptake by the mononuclear phagocytes system,” J.Pharm.Sci.84:493-498(1995))。
【0177】
代表的なナノ製剤には、無機ナノ粒子、SDN、SLN、NE、リポソーム、ポリマー性ナノ粒子及びデンドリマーが含まれる。本明細書に記載の化合物は、ナノ製剤内に含有され、または、時に無機ナノ粒子及びデンドリマーと同様に、表面に結合され得る。複数のナノ製剤クラスの要素を含有するハイブリッドナノ製剤も使用され得る。
【0178】
SDNは、不十分な水溶性の薬物の経口バイオアベイラビリティ及び曝露を改善し得る脂質非含有ナノ粒子である(Chan,“Nanodrug particles and nanoformulations for drug delivery,” Adv.Drug.Deliv.Rev.63:405(2011))。SDNには、薬物及び安定化剤が含まれ、「トップダウン」(高圧ホモジネーション及び湿式製粉)またはボトムアップ(溶媒蒸発及び沈殿)アプローチを使用して生成される。
【0179】
SLNは、室温で固体である1つの脂質(または複数の脂質)、乳化剤及び水からなる。利用される脂質には、トリグリセリド、部分的グリセリド、脂肪酸、ステロイド及びワックスが含まれるがこれらに限定されない。SLNは、脂溶性が高い薬物を送達するために最も好適である。
【0180】
非混合性液体に分散した1000nm未満の液滴は、NEとして分類される。NEは、疎水性及び親水性薬剤の両方のための担体として使用され、経口で、経皮的に、静脈内に、鼻腔内に、及び眼に投与され得る。経口投与は、慢性療法のために好ましい場合があり、NEは、小分子、ペプチド及びタンパク質の経口バイオアベイラビリティを有効に向上させ得る。
【0181】
ポリマー性ナノ粒子は、典型的にはサイズが約200~800nmの固体粒子であり、それには、合成及び/または天然ポリマーが含まれ得、貪食を最小化するために任意にペグ化され得る。ポリマー性ナノ粒子は、従来の製剤と比較して薬物及び他の物質のバイオアベイラビリティを増加させ得る。それらのクリアランスは、ポリマーの選定を含むいくつかの要因(ポリマーサイズ、ポリマー電荷及び標的化リガンドを含む)に依存し、100nmよりも大きな正に荷電したナノ粒子は、主に肝臓を介して排除される(Alexis et al.,Factors affecting the clearance and biodistribution of polymeric nanoparticles.Mol Pharm 5:505-515(2008))。
【0182】
デンドリマーは、直径が一般的に10~20nmである木様のナノ構造化ポリマーである。
【0183】
リポソームは、リン脂質二重層を含む球状ベシクルである。多様な脂質が利用され得、分解レベルの制御の程度を可能とする。経口投薬に加えて、リポソームは、静脈内(McCaskill et al.,2013)、経皮(Pierre and Dos Santos Miranda Costa,2011)、硝子体内(Honda et al.,2013)及び経肺(Chattopadhyay,2013)を含む、多くの方法で投与され得る。リポソームは、合成ポリマーと組み合わされて脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子を形成し得、身体内の特定の部位を標的とするそれらの能力を延長させる。リポソーム封入薬物のクリアランス速度は、リポソームの薬物放出及び破壊の両方(食細胞免疫細胞によるリポソームの取り込み、凝集、pH感受性分解など)によって決定される(Ishida et al.,“Liposome clearance,” Biosci Rep 22:197-224(2002))。
【0184】
これらのナノ粒子製剤の1つ以上は、本明細書に記載の活性剤を血液脳関門を通ってマクロファージに、及び適切な場合は他の位置に送達するために使用され得る。
【0185】
制御放出製剤
好ましい実施形態では、活性化合物は、埋込物及びマイクロカプセル化送達システムを含むがこれらに限定されない、制御放出製剤などの、身体からの急速な排泄に対して化合物を保護する担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。例えば、腸溶性コーティング化合物は、胃酸による切断を保護するために使用され得る。そのような製剤の調製のための方法は、当業者に明らかになる。好適な物質はまた、商業的に入手され得る。
【0186】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に標的化されたリポソームを含むがこれらに限定されない)もまた、薬学的に許容可能な担体として好ましい。これらは、例えば、米国特許番号4,522,811(参照により組み込まれる)に記載されているように、当業者に知られている方法に従って調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(複数可)(例えば、ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、及びコレステロール)を、後に蒸発させる無機溶媒に溶解し、容器の表面上に乾燥脂質の薄膜を残すことによって調製され得る。次いで活性化合物の水溶液が容器に導入される。容器は次いで、手によって回転させられて、脂質物質を容器の側面から遊離させ、脂質凝集体を分散させ、それによりリポソーム懸濁液を形成する。
【0187】
本明細書に記載の実施形態を説明する際に使用される用語は、一般的に使用されており、当業者に知られている。本明細書で使用される場合、以下の略語は、示される意味を有する:
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
Liq. 液体
M モル濃度
MeOH メタノール
min 分
rtまたはRT 室温
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
THF テトラヒドロフラン
【0188】
IX.活性化合物を調製するための一般的方法
活性化合物の容易な調製のための方法は、当該技術分野で知られており、既知の選択的組み合わせ方法に由来する。本明細書に開示される化合物は、以下に詳細に記載されるように、または当業者に知られている他の方法によって調製され得る。詳細のバリエーションは、趣旨から逸脱することなく、また、本開示の範囲をどのようにも限定することなく当業者によって成されることが理解されるであろう。
【0189】
いくつかの化合物のため、本明細書に記載の合成は、例示的であり、本明細書に記載される式の追加の化合物を調製するための出発点として使用され得る。これらの化合物は、本明細書に示され、記載されるそれらの合成スキームを含む、様々な方法で調製され得る。当業者は、開示される合成の修飾を認識すること及び本明細書の開示に基づいて経路を考案することができるであろう;すべてのそのような修飾及び代替経路は、特許請求の範囲内である。
【0190】
様々な反応スキームが以下にまとめられている。
【0191】
スキーム1は、ヌクレオシド3への合成アプローチである。
【0192】
スキーム2は、化合物8の合成への酵素的アプローチである。)
【0193】
本明細書に記載のスキームでは、ヌクレオシド塩基が、反応工程中に干渉し、または分解され、もしくはそうでなければ変換される可能性がある官能基を含む場合、そのような官能基は、除去され得る好適な保護基を使用して保護され得る。保護された官能基があれば、後に脱保護され得る。
【0194】
【化53】
スキーム1:ヌクレオシド3への合成アプローチ。
【0195】
一般式3の化合物は、H2SO4の存在下での例えば、アセトンでの2’,3’ヒドロキシル基の選択的保護と、それに続くEDCなどのカップリング剤の存在下での保護されたアミノ酸との、またはEt3NまたはNaHなどの塩基の存在下での酸クロリド、カルボネートクロリドまたはクロロメチルエステル誘導体とのカップリングと、それに続く適切な脱保護によってヌクレオシド1から調製され得る。
【0196】
【化54】
スキーム2.化合物8の合成への酵素的アプローチ。
【0197】
一般式8の化合物はまた、ACS Omega 2021,6,15,10396-10402及びスキーム2に記載の化学作用を適応することによって製造され得る。
【0198】
一般式A及びBの化合物はまた、J.Am.Chem.Soc.2000,122,30,7233-7243;J.Med.Chem.2006,49,5,1624-1634;Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids(2001),20(4-7),743-746;European Journal of Organic Chemistry(1999),(3),691-696;Journal of Organic Chemistry(1971),36(1),108-10;Nucleosides&Nucleotides(1992),11(8),1467-79;Journal of Medicinal Chemistry(1975),18(8),784-7;Tetrahedron Letters(2006),47(4),591-594に記載の化学作用を適応することによって調製され得る。
【0199】
一般式C及びFの化合物はまた、Bioorganic&Medicinal Chemistry(2007),15(16),5519-5528;Chemistry&Biology(Oxford,United Kingdom)(2013),20(3),416-423;Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids(2007),26(6-7),573-577;WO2004096286A2;US20110288053A1に記載の化学作用を適応することによって調製され得る。
【0200】
一般式D及びEの化合物はまた、WO2021/159044A1;Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry(1972-1999)(1991),(1),43-8;Bioorganic Chemistry(2015),58,18-25;Tetrahedron Letters(1985),26(37),4467-70;Journal of Medicinal Chemistry(2006),49(22),6614-6620;Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1969),34(12),3755-68;Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry(1972-1999)(1973),(7),665-9;Organic & Biomolecular Chemistry(2011),9(3),676-678に記載されている化学作用を適応することによって調製され得る。
【0201】
一般式A~Fのモノホスフェートプロドラッグはまた、Chem Rev.2014;114(18):9154-9218に記載の化学作用を適応することによって調製され得る。
【0202】
重水素の組み込み:
ヌクレオシド抗ウイルス剤の糖部分における代謝の部位(複数可)での重水素での水素の単一または多重置き換え(炭素-水素結合から炭素-重水素結合)は、代謝の速度を減速させるであろうことが予期される。これは、比較的長い半減期、及び身体からのより遅いクリアランスを提供し得る。治療ヌクレオシドの遅い代謝は、追加の利点を治療剤候補に付与することが予測されるのに対し、他の物理的または生化学的特性は、影響を受けない。細胞内加水分解または重水素交換は、重水(D2O)の遊離をもたらす。
【0203】
アミノ酸、フェノール、糖類、及び塩基に重水素を組み込むための方法は、当業者によく知られている。代表的な方法は、米国特許番号9,045,521に開示されている。
【0204】
多様な酵素的及び化学的方法が、高レベルの重水素組み込み(D/H比)を提供するために糖及びヌクレオシド段階の両方での重水素組み込みのために開発されてきた。重水素交換の酵素的方法は通常、低いレベルの組み込みを有する。酵素的組み込みは、重水素化モノヌクレオチドブロックの単離のために必要とされる厄介な単離技術のため、さらなる問題を有する。Schmidt et al.,Ann.Chem.1974,1856;Schmidt et al.,Chem.Ber.,1968,101,590は、2’,3’-O-イソプロピリデンアデノシン-5’-カルボン酸からまたはメチル-2,3-イソプロピリデン-ベータ-D-リボフラノシドウロン酸から調製された5’,5’-2H2-アデノシンの合成を記載しており、Dupre,M.and Gaudemer,A.,Tetrahedron Lett.1978,2783.Kintanar,et al.,Am.Chem.Soc.1998,110,6367は、5’-ジュウテリオアデノシン及び5’(R/S)-重水素化チミジンンのジアステレオ異性体混合物が、重水素化ホウ素ナトリウムまたは重水素化リチウムアルミニウムを使用して適切な5’-アルデヒドの還元で得られ得ることを報告した(98原子%の2H組み込み)。Berger et al.,Nucleoside & Nucleotides 1987,6,395は、2H2O/ピリジン混合物(1:1)中のアルデヒドの加熱と、それに続くNaBD4でのアルデヒドの還元による2’デオキシグアノシンの5’-アルデヒド誘導体の5’または4’-ジュウテリオ-2’-デオキシグアノシンへの変換を記載した。
【0205】
Ajmera et al.,Labelled Compd.1986,23,963は、4’-重水素標識ウリジン及びチミジンを得るための手順を記載した(98原子%の2H)。Sinhababu,et al.,J.Am.Chem.Soc.1985,107,7628)は、重水素化ホウ素ナトリウムを使用する1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-β-D-ヘキサフラノス-3-ウロースの1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-3-ジュウテリオ-β-D-リボヘキソフラノースへの立体選択的還元及びその後のヌクレオシド合成へのさらなる進行により糖合成中のアデノシンのC3’での重水素組み込み(97原子%の2H)を実証した。Robins,et al.,Org.Chem.1990,55,410は、酢酸中の重水素化ホウ素ナトリウムによる2’-O-tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)3-ケトヌクレオシドの還元による事実上完全な立体選択性でのアデノシンのC3’での95%超の原子2H組み込みの合成を報告した。David,S.and Eustache,J.,Carbohyd.Res.1971,16,46 and David,S.and Eustache,J.,Carbohyd.Res.1971,20,319は、2’-デオキシ-2’(S)-ジュウテリオ-ウリジン及びシチジンの合成を記載した。合成は、1-メチル-2-デオキシ-2’-(S)-ジュウテリオリボフラノシドの使用によって行われた。
【0206】
Radatus,et al.,J.Am.Chem.Soc.1971,93,3086は、2’-一重水素化(RまたはS)-2’-デオキシシチジンを合成するための化学的手順を記載した。これらの構造は、選択的2-一重水素化-2-デオキシ-D-リボースから合成され、これは、重水素化リチウムアルミニウムでの2,3-デヒドロ-ヘキソピラノースの立体特異的還元及び得られたグリカールの酸化により得られた。Wong et al.J.Am.Chem.Soc.1978,100,3548は、ケテンジチオアセタール誘導体の形成及びLiAlD4還元を伴う反応順序によってD-アラビノースからデオキシ-1-ジュウテリオ-D-エリスロ-ペントース、2-デオキシ-2(S)-ジュウテリオ-D-エリスロ-ペントース及び2-デオキシ-1,2(S)-ジジュウテリオ-D-エリスロ-ペントースを得ることを報告した。
【0207】
Pathak et al.J.,Tetrahedron 1986,42,5427)は、LiAlD4での適切なメチル2,3-アンヒドロ-ベータ-D-リボまたはベータ-D-リキソフラノシドの還元的開口による8つすべての2’または2’-ジュウテリオ-2’-デオキシヌクレオシドの立体特異的合成を報告した。Wu et al.J.Tetrahedron 1987,43,2355は、糖のC2’の酸化及びその後のNaBD4またはLiAlD4での還元から開始し、続いて重水素化トリブチルスズによって脱酸素する、デオキシ及びリボヌクレオシドの両方についての、すべての2’,2’’-ジジュウテリオ-2’-デオキシヌクレオシドの合成を記載した。Roy et al.J.Am.Chem.Soc.1986,108,1675は、2’,2’-ジジュウテリオ-2’-デオキシグアノシン及びチミジンが、2H2O中の2-デオキシリボース5-ホスフェートアルドラーゼ酵素を使用して2-デオキシリボース5-ホスフェートから調製され得、およそ90原子%の重水素化を達成することを報告した。同様に、4’,5’,5’-2H3-グアノシンの合成が行われ得る。
【0208】
そのため、糖残基の各位置は、選択的に標識され得ることが明らかである。
【0209】
立体特異的重水素化の有用な代替的方法は、多重水素化糖類を合成するために開発された。この方法は、2H2O中で重水素化ラネーニッケル触媒を使用してヒドロキシル保有炭素(すなわち、ヒドロキシル保有炭素のメチレン及びメチンプロトン)での水素の重水素との交換を用いた。
【0210】
十分に重水素化されたデオキシ及びリボヌクレオシドを合成するために様々な技術が利用可能である。よって、1つの方法では、重水素化ラネーニッケル-2H2Oと糖類との交換反応、2’、3’及び4’位で特異的に標識された多数の重水素化ヌクレオシドを調製した。手順は、ラネーニッケル-2H2O交換反応によるメチルベータ-D-アラビノピラノシドの2’、3’及び4’位での重水素化と、それに続く重水素化トリブチルスズによる‘2-ヒドロキシル基の還元的脱離からなることでメチルベータ-D-2’,2’,3’,4’-2H4-2-デオキシリボピラノシドを得、これは、メチルベータ-D-2’,2’,3’,4’-2H4-2’-デオキシリボフラノシドに変換され、グリコシル化されて様々な2’,2’,3’,4’-2H4-ヌクレオシドが得られた(H3’及びH4’について>97原子%の2H組み込み。
【0211】
重水素化フェノール類の合成は、例えば、Hoyer,H.(1950),Synthese des pan-Deutero-o-nitro-phenols.Chem.Ber.,83:131-136に記載されている。この化学は、重水素標識を有する置換フェノール類を調製するために採用され得る。例えば、ホスホルアミデートプロドラッグにおいてフェノキシ基を調製するために重水素化フェノール類、及びそれらの置換アナログが使用され得る。
【0212】
重水素化アミノ酸の合成は、例えば、Matthews et al.,Biochimica et Biophysica Acta(BBA)-General Subjects,Volume 497,Issue 1,29 March 1977,Pages 1-13に記載されている。これらの及び類似する技術は、本明細書に記載のヌクレオシドのホスホルアミデートプロドラッグを調製するために使用され得る重水素化アミノ酸を調製するために使用され得る。
【0213】
本明細書に記載の化合物の重水素化アナログを合成するための1つの方法は、1’-CN置換を有する重水素化リボフラノシドを合成すること;及び核酸塩基を重水素化リボフラノシドに結合させて重水素化ヌクレオシドを形成することを伴う。プロドラッグ、例えば、ホスホルアミデートプロドラッグは、ヌクレオシド上の5’-OH基を修飾することによって形成され得る。重水素化フェノール及び/または重水素化アミノ酸が使用される場合、重水素化ホスホルアミデートプロドラッグを調製することができる。
【0214】
別の方法は、1’-CN置換を有するリボフラノシドを合成すること、及び重水素化核酸塩基を結合させて重水素化ヌクレオシドを形成することを伴う。この方法は、追加の重水素化を提供するために重水素化フラノシドを使用して任意に実施され得る。上述した方法と同様に、ヌクレオシドは、プロドラッグ形態に変換され得、プロドラッグ形態は、追加の重水素化を任意に含み得る。
【0215】
第3の方法は、1’-CN置換を有するリボフラノシドを合成すること、核酸塩基を結合させてヌクレオシドを形成すること、及びホスホルアミデート合成における重水素化アミノ酸またはフェノールアナログの一方または両方を使用してヌクレオシドをホスホルアミデートプロドラッグに変換することを伴う。
【0216】
したがって、上述した技術を使用して、本明細書に記載のヌクレオシド化合物の糖、塩基、及び/またはプロドラッグ部分において1つ以上の重水素原子を提供し得る。
【実施例】
【0217】
具体的な例
本明細書に記載の特定の代表的化合物は、以下の例及び反応順序に従って調製された:その例及び反応順序を示す図は、本開示の理解を補助するために例示として提供されており、その後に続く特許請求の範囲に示される発明をどのようにも限定するものと解釈されるべきではない。本発明の化合物はまた、本明細書に記載の追加の化合物を生成するために後の例において中間体として使用され得る。いずれの反応においても、得られた収率を最適化する試みは必ずしもなされていない。当業者は、反応時間、温度、溶媒及び/または試薬における通例的バリエーションを介してそのような収率を増加させる方法を知っているであろう。
【0218】
無水溶媒は、Aldrich Chemical Company,Inc.(Milwaukee,WI)及びEMD Chemicals Inc.(Gibbstown,NJ)から購入した。試薬は、商業的源から購入した。別途記述されない限り、例で使用された物質は、容易に利用可能な商業的供給業者から入手され、または化学合成の当業者に知られている標準的な方法によって合成された。融点(mp)は、電熱デジタル融点測定装置で測定し、補正されていない。1H及び13C NMRスペクトルは、Varian Unity Plus 400スペクトロメーターで室温で取得し、内部テトラメチルシランからのダウンフィールドのppmで報告した。重水素交換、脱カップリング実験または2D-COSYを実施してプロトン割り当てを確認した。シグナル多重性は、s(シングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブレットのダブレット),t(トリプレット)、q(クワドルプレット)、br(ブロード)、bs(ブロードシングレット)、m(マルチプレット)によって表される。すべてのJ-値は、Hzである。質量スペクトルは、エレクトロスプレー技術を使用してMicromass Platform LCスペクトロメーターで決定した。元素分析は、Atlantic Microlab Inc.(Norcross、GA)によって実施された。分析TLCは、Whatman LK6Fシリカゲルプレートで実施され、分取TLCは、Whatman PK5Fシリカゲルプレートで実施された。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルでまたは逆相高速液体クロマトグラフィーを介して行われた。
【0219】
実験
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(8)及び4-アミノ-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-オン(9)をTakashi Naka,Noriaki Minakawa,Hiroshi Abe,Daisuke Kaga,and Akira Matsuda The Stereoselective Synthesis of 4‘-β-thioribonucleosides via the Pummerer Reaction J.Am.Chem.Soc.2000,122,30,7233-7243で報告された手順に従って合成した。
【0220】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(8):1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 3.44-3.41 (m, 1H), 3.82-3.80 (m, 2H), 4.18 (t, J = 3.8 Hz, 1H), 4.31-4.28 (m, 1H), 5.78 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.07 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 8.1 Hz, 1H);MS(ESI):C9H13N2O5Sについて計算されたm/z[M+H]+:261.3、実測値:261.0。
【0221】
4-アミノ-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-オン(9):1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 3.84-3.43 (m, 1H), 3.84 (d, J = 4.84 Hz, 2H), 4.13-4.11(m, 1H), 4.23-4.21 (m, 1H), 5.95 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.06 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 7.6 Hz, 1H)。MS(ESI):C9H14N3 O4Sについて計算されたm/z[M+H]+:260.3、実測値:260.0。
【0222】
【0223】
1-((3aS,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-テトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(10):無水アセトン(5mL)中の化合物8(30mg、0.115mmol)の溶液に2,2-ジメトキシプロパン(1.0ml)及び触媒量のccH2SO4を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。Et3N(0.5ml)を混合物に徐々に添加し、溶媒を減圧下で除去し、残基をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=30:1~5:1)によって精製して10(35mg、82%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 1.34 (s, 3H), 1.57 (s, 3H), 3.71-3.69 (m, 1H), 3.83-3.81 (m, 2H), 4.90-4.87 (m, 1H), 4.96-4.94 (m, 1H), 5.74 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 8.1 Hz, 1H)。MS(ESI):C12H17N2O5Sについて計算されたm/z[M+H]+:301.3、実測値:301.0。
【0224】
イソプロピル((S)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロチオフェン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(13):無水DMF(1mL)及びTHF(1mL)中の10(15mg、0.050mmol、1.00eq.)の撹拌溶液にtert-ブチル塩化マグネシウム(200μL、THF中の1M溶液、4.0eq)を0℃で徐々に添加した。添加後、混合物を0℃で15分間撹拌した。上記混合物にイソプロピル((S)-(パーフルオロフェノキシ)-(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート11(34mg、0.075mmol、1.5eq)を滴下して添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌し、混合物を冷水でクエンチし、水相をEtOAc(20mL×3)で抽出した。混合有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して粗化合物12を提供した。粗化合物12を2mLの90%のHCOOH/H2O(V:V)に溶解し、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残基をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=30:1~10:1)によって精製して13(9.0mg、50%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 1.27-1.24 (m, 6H), 1.38-1.36 (m, 3H), 3.59-3.58 (m, 1H), 3.96-3.91 (m, 1H), 4.18-4.17 (m, 1H), 4.28-4.26 (m, 1H), 4.38-4.32 (m, 2H), 5.03-4.97 (m, 1H), 5.72 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.08 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.30-7.23 (m, 3H), 7.42-7.38 (m, 2H), 8.05 (d, J = 8.1 Hz, 1H)。31P NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 3.44;MS(ESI):C21H28N3NaO9PSについて計算されたm/z[M+Na]+:552.4、実測値:552.1。
【0225】
【0226】
4-アミノ-1-((3aS,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-テトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-オン(14):無水アセトン(5mL)中の化合物9(45mg、0.174mmol)の溶液に2,2-ジメトキシプロパン(1.0ml)及び触媒量のccH2SO4を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。Et3N(0.5ml)を混合物に徐々に添加し、溶媒を減圧下で除去し、残基をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=30:1~5:1)によって精製して14(34mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 1.34 (s, 3H), 1.57 (m, 3H), 3.70-3.68 (m, 1H), 3.82-3.80 (m, 2H), 4.90-4.88 (m, 1H), 4.94-4.92 (m, 1H), 5.97 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 7.5 Hz, 1H)。
【0227】
イソプロピル((S)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロチオフェン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート(16):無水DMF(1mL)及びTHF(2mL)中のヌクレオシド14(30mg、0.100mmol、1.00eq.)の撹拌溶液にtert-ブチルマグネシウムクロリド(400μL、0.400mmol、4.0eq.、THF中の1M溶液)を0℃で徐々に添加した。添加の完了後、混合物を0℃で15分間撹拌した。上記混合物にイソプロピル((S)-(パーフルオロフェノキシ)-(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネート11(68mg、0.150mmol、1.5eq)を滴下して添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を冷水でクエンチし、水相をEtOAc(20mL×3)で抽出した。混合有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して粗化合物15を提供した。粗化合物15を4mLの90%HCOOH/H2O(V:V)に溶解し、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残基をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=30:1~10:1)によって精製して16(9.1mg、59%)を得た。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 1.26-1.24 (m, 6H), 1.38-1.36 (m, 3H), 3.64-3.60 (m, 1H), 3.96-3.92 (m, 1H), 4.16-4.14 (m, 1H), 4.26-4.24 (m, 1H), 4.40-4.33 (m, 2H), 5.03-4.97 (m, 1H), 5.97 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.30-7.21 (m, 3H), 7.38-7.42 (m, 2H), 8.13 (d, J = 8.0 Hz, 1H).31P NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 3.44;MS(ESI):C21H30N4O8PSについて計算されたm/z[M+H]+:529.5、実測値:529.4。
【0228】
【0229】
1-((2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロチオフェン-2-イル)-4-(ヒドロキシアミノ)ピリミジン-2(1H)-オン(17)の合成。H2O(2mL)中の9(12mg、0.046mmol、1eq)の溶液にNH2OH.HCl(64mg、0.93mmol、20eq)を添加した。混合物を、TLCが9の化合物17への完全な変換を示すまで(24時間)室温で撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、残基をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHシステム)によって使用して精製して6.0mgの化合物9を47%の収率で生成した。無色の粉末。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 3.40 (s, 1H), 3.81-3.73 (m, 2H), 4.24-4.23 (m, 1H), 4.32-4.30 (m, 1H), 5.72 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.11 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.0 Hz, 1H)。MS(ESI):C9H14N3O5Sについて計算されたm/z[M+H]+:276.3、実測値:276.0。
【0230】
実施例2
細胞毒性アッセイ
化合物の毒性を先行記載されているようにVero、ヒトPBM、CEM(ヒトリンパ芽球様)、MT-2、及びHepG2細胞において評価した(Schinazi R.F.,Sommadossi J.-P.,Saalmann V.,Cannon D.L.,Xie M.-Y.,Hart G.C.,Smith G.A.& Hahn E.F.Antimicrob.Agents Chemother.1990,34,1061-67を参照されたい)。シクロヘキシミドを陽性細胞傷害対照として含め、溶媒に曝露された未処置細胞を陰性対照として含めた。細胞傷害性IC50またはCC50を先行記載された中央値有効法を使用して濃度-反応曲線から得た(Chou T.-C.& Talalay P.Adv.Enzyme Regul.1984,22,27-55;Belen’kii M.S.& Schinazi R.F.Antiviral Res.1994,25,1-11を参照されたい)。結果が以下の表8に示されている:
【0231】
実施例3
HepG2細胞におけるミトコンドリア毒性アッセイ:
i)細胞成長及び乳酸生成に対する化合物の効果:HepG2細胞の成長に対する効果は、0μM、0.1μM、1μM、10μM及び100μMの薬物の存在下で細胞をインキュベートすることによって決定され得る。細胞(1ウェル当たり5x104個)は、10%ウシ胎仔血清、1%ピルビン酸ナトリウム、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンが補充された非必須アミノ酸を有する最小必須培地において12ウェルの細胞培養クラスターに播種され、37℃で4日間インキュベートされ得る。インキュベート期間の最後に、細胞数は、血球計を使用して決定され得る。Pan-Zhou X-R,Cui L,Zhou X-J,Sommadossi J-P,Darley-Usmer VM.“Differential effects of antiretroviral nucleoside analogs on mitochondrial function in HepG2 cells,” Antimicrob.Agents Chemother.2000;44:496-503によっても教示されている。
【0232】
乳酸生成に対する化合物の効果を測定するために、ストック培養物からのHepG2細胞は、希釈され、12ウェルの培養プレートにおいて1ウェル当たり2.5x104個の細胞で播種され得る。様々な濃度(0μM、0.1μM、1μM、10μM及び100μM)の化合物が添加され得、培養物は、加湿された5%CO2雰囲気中で37℃で4日間インキュベートされ得る。4日目に、各ウェルにおける細胞の数が決定され、培地が収集され得る。次いで培地が濾過され得、培地中の乳酸含有量が、比色分析乳酸アッセイ(Sigma-Aldrich)を使用して決定され得る。乳酸生成物は、ミトコンドリア機能障害のためのマーカーとみなされ得るので、試験化合物の存在下で成長した細胞において検出された乳酸生成の上昇したレベルは、薬物が誘導した細胞傷害効果を示す。
【0233】
ii)ミトコンドリアDNA合成に対する化合物の効果:ミトコンドリアDNA含有量を正確に定量するためのリアルタイムPCRアッセイが開発されている(Stuyver LJ,Lostia S,Adams M,Mathew JS,Pai BS,Grier J,Tharnish PM,Choi Y,Chong Y,Choo H,Chu CK,Otto MJ,Schinazi RF.Antiviral activities and cellular toxicities of modified 2’,3’-dideoxy-2’,3’-didehydrocytidine analogs.Antimicrob.Agents Chemother.2002;46:3854-60を参照されたい)。このアッセイは、ミトコンドリアDNA含有量に対する化合物の効果を決定する本出願に記載されたすべての研究において使用され得る。このアッセイでは、低継代数のHepG2細胞が、コラーゲンがコーティングされた96ウェルプレートにおいて5,000細胞/ウェルで播種される。試験化合物は、0μM、0.1μM、10μM及び100μMの最終濃度を得るために培地に添加される。培養7日目に、細胞核酸が市販のカラム(RNeasy96キット;Qiagen)を使用することによって調製され得る。これらのキットは、RNA及びDNAを共精製し、それにより、総核酸がカラムから溶出される。ミトコンドリアシトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COXII)遺伝子及びβ-アクチンまたはrRNA遺伝子が、標的及び参照増幅の両方のための好適なプライマー及びプローブを用いてマルチプレックスQ-PCRプロトコルを使用して5μlの溶出した核酸から増幅され得る。COXIIの場合、以下のセンス、プローブ及びアンチセンスプライマーがそれぞれ使用され得る:5’-TGCCCGCCATCATCCTA-3’、5’-テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン-TCCTCATCGCCCTCCCATCCC-TAMRA-3’及び5’-CGTCTGTTATGTAAAGGATGCGT-3’。β-アクチン遺伝子(GenBankアクセッション番号E01094)のエクソン3の場合、センス、プローブ、及びアンチセンスプライマーは、それぞれ、5’-GCGCGGCTACAGCTTCA-3’、5’-6-FAMCACCACGGCCGAGCGGGATAMRA-3’及び5’-TCTCCTTAATGTCACGCACGAT-3’である。rRNA遺伝子のためのプライマー及びプローブは、Applied Biosystemsから市販されている。すべての遺伝子について均等な増幅効率が得られるので、比較CT方法が、ミトコンドリアDNA合成の潜在的阻害を調べるために使用され得る。比較CT方法は、標的(COXII遺伝子)の量が内因性参照(β-アクチンまたはrRNA遺伝子)の量に対して正規化され、キャリブレータ(7日目で薬物なしの対照)と比べられる算術式を使用する。このアプローチのための算術式は、2-ΔΔCTによって与えられ、ΔΔCTは、(平均標的試験サンプルについてのCT-標的対照についてのCT)-(平均参照試験についてのCT-参照対照についてのCT)である(Johnson MR,K Wang,JB Smith,MJ Heslin,RB Diasio.Quantitation of dihydropyrimidine dehydrogenase expression by real-time reverse transcription polymerase chain reaction.Anal.Biochem.2000;278:175-184を参照されたい)。薬物の存在下で成長した細胞中のミトコンドリアDNA含有量の減少は、ミトコンドリア毒性を示す。
【0234】
実施例4
ミトコンドリア毒性-Glu/Gal
プロトコル概要
HepG2細胞が、96または384ウェルの組織培養ポリスチレンプレートに播種される。24時間後、細胞は、様々な濃度で試験化合物が投薬され、ガラクトースまたはグルコースのいずれかが補充された培地において72時間インキュベートされる。ガラクトース含有培地中で成長した細胞が、グルコース含有培地中で成長した細胞よりも試験化合物に対して感受性である場合、試験化合物は、ミトコンドリア毒性を引き起こすと言われる。
【0235】
目的:ガラクトースまたはグルコースのいずれかを含有する培地中で成長したHepG2細胞の試験化合物に対する感受性を測定すること。
【0236】
実験手順
HepG2ヒト肝細胞癌細胞が、10%ウシ胎仔血清及び抗生物質が補充されたガラクトースまたはグルコースのいずれかを含有する培地を含有する96または384ウェルの組織培養ポリスチレンプレートに播種され、一晩インキュベートされる。細胞は、増加する濃度の試験化合物が投薬され(最終DMSO濃度0.5%;8点用量反応曲線のための100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03μMの典型的最終試験化合物濃度;濃度当たりn=3の反復)、細胞は72時間インキュベートされる。適切な対照が、品質コントロールとして同時に使用される。細胞生存性は、Hoechst染色及びHCSリーダーによる細胞カウントを使用して測定される。
【0237】
実施例5
Neuro2A細胞におけるミトコンドリア毒性アッセイ
本明細書に記載の化合物がニューロン毒性を引き起こす潜在性を推定するために、マウスNeuro2A細胞(American Type Culture Collection 131)がモデルシステムとして使用され得る(Ray AS,Hernandez-Santiago BI,Mathew JS,Murakami E,Bozeman C,Xie MY,Dutschman GE,Gullen E,Yang Z,Hurwitz S,Cheng YC,Chu CK,McClure H,Schinazi RF,Anderson KS. Mechanism of anti-human immunodeficiency virus activity of beta-D-6-cyclopropylamino-2’,3’-didehydro-2’,3’-dideoxyguanosine.Antimicrob.Agents Chemother.2005,49,1994-2001を参照されたい)。50%(CC50)によって細胞成長を阻害するために必要な濃度は、記載されるように、3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド染色ベースのアッセイを使用して測定され得る。既定濃度の薬物での細胞乳酸及びミトコンドリアDNAレベルの変動は、上述したように行われ得る。ddC及びAZTが対照ヌクレオシドアナログとして使用され得る。
【0238】
実施例6
骨髄細胞傷害性のためのアッセイ
初代ヒト骨髄単核細胞は、Cambrex Bioscience(Walkersville,MD)から商業的に得られ得る。CFU-GMアッセイは、50単位/mLのヒト組換え顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子の存在下で二重層軟寒天を使用して行われるのに対し、BFU-Eアッセイは、1単位/mLのエリスロポエチンを含有するエチルセルロースマトリックスを使用した(Sommadossi JP,Carlisle R.Toxicity of 3’-azido-3’-deoxythymidine and 9-(1,3-dihydroxy-2-propoxymethyl)guanine for normal human hepatopoietic progenitor cells in vitro.Antimicrob.Agents Chemother.1987;31:452-454;Sommadossi,JP,Schinazi,RF,Chu,CK,and Xie,MY.Comparison of cytotoxicity of the(-)and(+)enantiomer of 2’,3’-dideoxy-3’-thiacytidine in normal human bone marrow progenitor cells.Biochem.Pharmacol.1992;44:1921-1925を参照されたい)。各実験は、3名の異なるドナーからの細胞において2連で実施され得る。AZTは、陽性対照として使用される。細胞は、37℃で5%CO2で化合物の存在下で14~18日間インキュベートされ得、50個を超える細胞のコロニーが、IC50を決定するために倒立顕微鏡を使用してカウントされ得る。50%阻害濃度(IC50)は、薬物の濃度の対数対BFU-E生存画分の最小二乗線状回帰分析によって得られ得る。統計的分析は、独立した対応のないサンプルについてスチューデントのt検定を用いて実施され得る。
【0239】
実施例7
in vitroヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼ(POLRMT)アッセイ
POLRMT(INDIGO Biosciences)を用いるin vitro RNAヌクレオチド組み込みアッセイは、先行記載されているように実施され得る(Arnold et al.2012)。簡潔には、32P-放射性標識RNAプライマー(5’-UUUUGCCGCGCC)が、3モル濃度余剰の適切なDNA鋳型(5’-GGGAATGCANGGCGCGGC(位置Nは、A、T、またはCによって置き換えられ得る)にハイブリダイズされ得る。125nMのPOLRMTが、500nMの5’-放射性標識RNA/DNAハイブリッド、10mMのMgCl2及び100μMの対応するヌクレオシドトリホスフェートとインキュベートされ得る。非ヌクレオシドアナログの場合、100μMの阻害剤が100μMのUTPとして同時に添加され得る。組み込みは、30℃で2時間進行させられ得、反応は、10mMのEDTA及びホルムアミドの添加によって停止される。サンプルは、20%変性ポリアクリルアミドゲルで可視化される。データは、各ヌクレオシドトリホスフェートアナログについての生成物画分を対応する天然ヌクレオシドトリホスフェートのものに対して正規化することによって分析され得る。
【0240】
実施例8
DNAポリメラーゼ及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγのエキソヌクレアーゼ活性に対するヌクレオチドアナログの効果
i)ヒトポリメラーゼγの精製:ポリメラーゼγの組換え大及び小サブユニットは、先行記載されているように精製され得る(Graves SW,Johnson AA,Johnson KA.Expression,purification,and initial kinetic characterization of the large subunit of the human mitochondrial DNA polymerase.Biochemistry.1998,37,6050-8;Johnson AA,Tsai Y,Graves SW,Johnson KA.Human mitochondrial DNA polymerase holoenzyme:reconstitution and characterization.Biochemistry 2000;39:1702-8を参照されたい)。タンパク質濃度は、ポリメラーゼγの大及び小サブユニットのそれぞれについて234,420、及び71,894M-1cm-1の吸光係数で、280nmで分光光度法で決定され得る。
【0241】
ii)ヌクレオチド組み込みの動態分析:前定常状態動態分析が、ヌクレオシド-TP及び天然dNTP基質に対するDNAポリメラーゼγについての組み込みの触媒的効率(k/K)を決定するために実施され得る。これにより、この酵素が修飾アナログを組み込み、毒性を予測する相対的能力の決定が可能となった。DNAポリメラーゼγによるヌクレオチドアナログの組み込みの前定常状態動態分析は、本質的に先行記載されているように行われるであろう(Murakami E,Ray AS,Schinazi RF,Anderson KS.Investigating the effects of stereochemistry on incorporation and removal of 5-fluorocytidine analogs by mitochondrial DNA polymerase gamma:comparison of D- and L-D4FC-TP.Antiviral Res.2004,62,57-64;Feng JY,Murakami E,Zorca SM,Johnson AA,Johnson KA,Schinazi RF,Furman PA,Anderson KS.Relationship between antiviral activity and host toxicity:comparison of the incorporation efficiencies of 2’,3’-dideoxy-5-fluoro-3’-thiacytidine-triphosphate analogs by human immunodeficiency virus type 1 reverse transcriptase and human mitochondrial DNA polymerase.Antimicrob Agents Chemother.2004,48,1300-6を参照されたい)。簡潔には、50mMのトリス-HCl、100mMのNaCl(pH7.8)中のポリメラーゼγの大(250nM)及び小(1.25mM)サブユニットの事前インキュベートされた混合物及び60nMのDNA鋳型/プライマーが、MgCl2(2.5mM)及び様々な濃度のヌクレオチドアナログを含有する溶液に添加され得る。反応物はクエンチされ、先行記載されているように分析され得る。データは、上述したものと同じ方程式に当てはめられ得る。
【0242】
iii)ヒトポリメラーゼγ3’5’エキソヌクレアーゼ活性のためのアッセイ:ヒトポリメラーゼγエキソヌクレアーゼ活性が、dNTPの非存在下で切断生成物の形成の速度を測定することによって研究され得る。反応は、50mMのトリス-HCl、100mMのNaCl(pH7.8)中のポリメラーゼγ大サブユニット(40nM)、小サブユニット(270nM)、及び1,500nMの鎖末端鋳型/プライマーの事前インキュベートされた混合物にMgCl2(2.5mM)を添加することによって開始され、指定された時点で0.3MのEDTAでクエンチされ得る。すべての反応混合物は、20%変性ポリアクリルアミドシーケンシングゲル(8Mの尿素)で分析され、Bio-Rad GS-525分子画像システムで画像化され、Molecular Analyst(Bio-Rad)で定量されるであろう。早期時点から形成された生成物は、時間の関数に応じてプロットされるであろう。データは、Sigma Plot(Jandel Scientific)で線形回帰によってフィッティングされるであろう。の傾きは、エキソヌクレアーゼ活性についてのkexoを計算するために反応における活性酵素濃度によって除算され得る(Murakami E,Ray AS,Schinazi RF,Anderson KS.Investigating the effects of stereochemistry on incorporation and removal of 5- fluorocytidine analogs by mitochondrial DNA polymerase gamma:comparison of D- and L-D4FC-TP.Antiviral Res.2004;62:57-64;Feng JY,Murakami E,Zorca SM,Johnson AA,Johnson KA,Schinazi RF,Furman PA,Anderson KS.Relationship between antiviral activity and host toxicity:comparison of the incorporation efficiencies of 2’,3’-dideoxy-5-fluoro-3’-thiacytidine-triphosphate analogs by human immunodeficiency virus type 1 reverse transcriptase and human mitochondrial DNA polymerase.Antimicrob Agents Chemother.2004;48:1300-6を参照されたい)。
【0243】
実施例9
NTPによるヒトDNAポリメラーゼの阻害
研究目的
ヌクレオシド-トリホスフェートアナログがヒトDNAポリメラーゼアルファ、ベータ及びガンマを阻害するかどうかを決定すること及びIC50値を計算すること。
【0244】
物質及び方法
ヒトDNAポリメラーゼアルファ-酵素は、Chimerx(cat#1075)から購入され、いくつかの改変を伴ってそれらの推奨に基づいてアッセイされ得る。2’-Me-UTPを無機ピロホスファターゼ(Sigma)で処置して任意のピロホスフェート混入物質を除去した。500μMの2’-Me-UTPの最終濃度が1mMのDTT、50mMのトリス、50mMのNaCl、6mMのMgCl2、及び1単位のピロホスファターゼと37℃で1時間インキュベートされ、それに続いて95℃で10分間不活性化され得る。0.05単位のヒトDNAポリメラーゼアルファ及び48ntDNA鋳型(5’-CAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACCTGAAAGC)にアニールする5’末端放射性標識24ntDNAプライマー(5’-TCAGGTCCCTGTTCGGGCGCCACT)の混合物は、20μlの最終反応体積中の60mMトリス-HCl(pH 8.0)、5mM酢酸マグネシウム、0.3mg/mlウシ血清アルブミン、1mMジチオスレイトール、0.1mMスペルミン、0.05mMの各dCTP、dGTP、dTTP、dATP中の0~100μMの増加する濃度の化合物と5分間37℃で混合され得る(すべての濃度は、混合後の最終濃度を表す)。反応は、0.3M(最終)EDTAと混合することによって停止され得る。生成物は、20%ポリアクリルアミドゲルで分離され、Bio-Rad Molecular Imager FXで定量される。実験からの結果は、Graphpad PrismまたはSynergySoftware Kaleidagraphを使用してIC50値を決定するために、用量反応方程式(y分+((y最大)-(y最小)))/(1+(化合物濃度)/IC50)^スロープ)にフィッティングされ得る。データは、対照に対して正規化され得る。
【0245】
ヒトDNAポリメラーゼベータ-酵素は、Chimerx(cat#1077)から購入され、いくつかの改変を伴ってそれらの推奨に基づいてアッセイされ得る。0.1単位のヒトDNAポリメラーゼベータ及び48ntDNA鋳型(5’-CAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACCTGAAAGC)にアニールする5’末端放射性標識24ntDNAプライマー(5’-TCAGGTCCCTGTTCGGGCGCCACT)の混合物は、20μlの最終反応体積中の50mMトリス-HCl(pH8.7)、10mM KCl、10mM MgCl2、0.4mg/mlウシ血清アルブミン、1mMジチオスレイトール、15%(v/v)グリセロール、0.05mMの各dCTP、dGTP、dTTP、dATP中の0~100μMの増加する濃度の化合物と5分間37℃で混合され得る(すべての濃度は、混合後の最終濃度を表す)。反応は、0.3M(最終)EDTAと混合することによって停止され得る。生成物は、20%ポリアクリルアミドゲルで分離され、Bio-Rad Molecular Imager FXで定量され得る。実験からの結果は、Graphpad PrismまたはSynergySoftware Kaleidagraphを使用してIC50値を決定するために、用量反応方程式(y分+((y最大)-(y最小)))/(1+(化合物濃度)/IC50)^スロープ)にフィッティングされ得る。データは、対照に対して正規化され得る。
【0246】
ヒトDNAポリメラーゼガンマ-酵素は、Chimerx(cat#1076)から購入され、いくつかの改変を伴ってそれらの推奨に基づいてアッセイされ得る。0.625単位のヒトDNAポリメラーゼガンマ及び36ntDNA鋳型(5’-TCTCTAGAAGTGGCGCCCGAACAGGGACCTGAAAGC)にアニールする5’末端放射性標識24ntDNAプライマー(5’-TCAGGTCCCTGTTCGGGCGCCACT)の混合物は、20μlの最終反応体積中の50mMトリス-HCl(pH7.8)、100mM NaCl、5mM MgCl2、及び0.05mMの各dCTP、dGTP、dTTP、dATP中の0~100μMの増加する濃度の化合物と200分間37℃で混合され得る(すべての濃度は、混合後の最終濃度を表す)。反応は、0.3M(最終)EDTAと混合することによって停止され得る。生成物は、20%ポリアクリルアミドゲルで分離され、Bio-Rad Molecular Imager FXで定量され得る。実験からの結果は、Graphpad PrismまたはSynergySoftware Kaleidographを使用してIC50値を決定するために、用量反応方程式(y分+((y最大)-(y最小)))/(1+(化合物濃度)/IC50)^スロープ)にフィッティングされ得る。データは、対照に対して正規化され得る。
【0247】
実施例10
HepG2細胞における細胞薬理学
HepG2細胞は、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から得られ、非必須アミノ酸、1%ペニシリン-ストレプトマイシンが補充された最小必須培地中で225cm2の組織培養フラスコ内で成長させられる。培地は、3日毎に更新され、細胞は、週1回継代培養される。30mLのトリプシン-EDTAへの10分の曝露及び培地での3回の連続洗浄での接着単層の剥離後、コンフルエントHepG2細胞が、6ウェルプレートにおいて1ウェル当たり2.5x106個の細胞の密度で播種され、特定の期間、10μMの[3H]標識活性化合物(500dpm/pmol)に曝露される。
【0248】
細胞は、37℃で5%CO2雰囲気下で維持される。選択された時点で、細胞は、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄される。
【0249】
細胞内活性化合物及びそのそれぞれの代謝産物は、細胞ペレットを60%メタノールと-20℃で一晩インキュベートし、それに続いて氷浴中で追加の20palの低温メタノールで1時間抽出することによって抽出される。次いで抽出物は、組み合わされ、穏やかな濾過空気流下で乾燥させられ、HPLC分析まで-20℃で保存される。
【0250】
実施例11
Vero、Calu-3及びCaco-2細胞における細胞薬理学
Vero、Calu-3及びCaco-2細胞を12ウェルプレートにおいて1ウェル当たり1x106で播種し、細胞培養インキュベーター内で37℃で5%CO2の加湿雰囲気でインキュベートした。その後、接着細胞を10μMのRS-3995に曝露した。4時間の時点で、薬物含有培地を除去し、細胞を氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。細胞を、20nMのddATPを含有する70%氷冷メタノールに-20℃で一晩再懸濁した。次いで上清を空気流下で乾燥させ、乾燥したサンプルをLC-MS/MSによって分析されるまで-20℃で保存した。分析前に、各サンプルを200μLの移動相中で再溶解した。
【0251】
クロマトグラフィー分離及び検出をTSQ Quantivaトリプル四重極質量分析計(Thermo Scientific,Waltham,MA)に連結されたVanquish Flexシステム(Thermo Scientific,Waltham,MA)で実施した。分析物をKinetex EVO-C18カラム(100X2.1mm、2.6μm)(Phenomenex,Torrance,CA)を使用して250μL/分の流速で分離した。移動相Aは、水中の2mMの一塩基性リン酸アンモニウム及び3mMのヘキシルアミンからなり、移動相Bは、アセトニトリルからなっていた。LCグラジエントは、7分で2%から60%までの移動相Bに増加し、次いで初期条件に戻した。ポジティブ及びネガティブモード(スプレー電圧:3200V(ポジティブ)または2500V(ネガティブ);シースガス:35Arb;補助ガス:20Arb;イオン移行管温度:350℃;蒸発器温度:380℃)での選択された反応モニタリングを使用して標的を検出した。
【0252】
【0253】
実施例12
MERSアッセイ
細胞及びウイルス:
ヒト肺癌細胞(A-549)が一次抗ウイルスアッセイのために使用され、American Type Culture Collection(ATCC、Rockville、Md.,USA)から得られ得る。その細胞は、10%ウシ胎仔血清が補充された最小必須培地(0.15%のNaCHO3を有するMEM、Hyclone Laboratories,Logan,Utah,USA)中で継代され得る。化合物を有効性について評価する場合、血清は、2%の最終濃度に低減され得、培地は、ゲンタマイシン(Sigma-Aldrich,St.Louis,Mo.)を50μg/mLで含有し得る。MERS-Coウイルスは、検出可能なウイルス細胞変性効果をもたらさなかったので、A549細胞におけるウイルス複製は、Vero76細胞において感染した化合物処置されたA549細胞からのウイルス上清液を力価測定することによって検出され得る。
【0254】
Vero76細胞は、ATCCから得られ得、5%ウシ胎仔血清が補充された0.15%NaCHO3を有するMEM中で通例的に継代され得る。化合物を評価する場合、血清は、2%の最終濃度まで低減され、50μg/mLのゲンタマイシンが補充され得る。
【0255】
中東コロナウイルス株EMC(MERS-CoV)は、Ron Fouchier(Erasmus Medical Center,Rotterdam,the Netherlands)によって細胞培養で増幅されたヒトからのオリジナルの単離物であり、Centers for Disease Control(Atlanta,Ga.)から入手した。
【0256】
対照:
Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1、天然に存在しない組換えI型インターフェロン(Blatt,L.,et al.,J.Interferon Cytokine Res.(1996)16(7):489-499 and Alberti,A.,BioDrugs(1999)12(5):343-357)がすべての抗ウイルスアッセイにおいて陽性対照薬物として使用され得る。Infergen=0.03ng/mL。
【0257】
抗ウイルスアッセイ:
ウイルスは、感染多重度=0.001までMEMに希釈され得、各化合物は、半対数の8つの希釈系列を使用してMEM+2%FBSに希釈され得る。化合物がコンフルエントA549細胞の96ウェルプレートにまず添加され、続いて5分以内にウイルスが添加され得る。各試験化合物希釈は、3連で阻害について評価され得る。播種後、プレートは、37℃で4日間インキュベートされ得る。プレートは次いで-80℃で凍結され得る。
【0258】
ウイルス生成低減アッセイ:
抗ウイルスアッセイからの各ウェルからの感染性ウイルス生成が決定され得る。抗ウイルスアッセイからの各プレートが解凍され得る。試験された各化合物濃度でのサンプルウェルはプールされ、Vero76細胞においてCPEアッセイによって感染性ウイルスについて力価測定され得る。ウェルは、CPEについてスコア化され、ウイルス力価が計算され得る。次いでウイルス生成の90%低減が回帰分析によって計算され得る。これは、未処置ウイルス対照と比較した場合、力価が1log10の阻害を表していた。
【0259】
実施例13
HCoV-OC43及びSARS-CoV-2感染症に対する化合物の有効性を決定すること
ウイルス
HCoV-OC43をATCC(Manasas,VA)から入手し、SARS-CoV-2は、BEI Resources(NR-52281:USA-WA/2020)によって提供された。HCoV-OC43及びSARS-CoV-2を適切な細胞中でそれぞれ増殖させ、TCID50法によって力価測定し、それに続いてさらなる使用まで-80℃でアリコートを保存した。
【0260】
細胞及び培地:
細胞傷害及び抗ウイルス研究について、以下の不死化/形質転換細胞株を使用した:ヒト結腸上皮細胞(Caco-2;ATCC(登録商標)HTB-37(商標)、Manassas,VA,USA)、ヒト気管支上皮細胞(Calu-3;ATCC(登録商標)HTB-55(商標)、Manassas,VA,USA)、レンチウイルス形質導入を介してヒトACE-2受容体を発現するヒト小肺胞細胞(A549hACE2;Dr.Susan Weiss(Lei et al 2021)からの親切な贈り物)、及びアフリカミドリサル腎臓細胞(Vero;ATCC(登録商標)CCL-81(商標)、Manassas,VA,USA)。培地組成物は、(1)Caco-2及びCalu-3:イーグル最小必須培地(EMEM)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100U/mLペニシリン-ストレプトマイシン(pen-strep)、及び2μMのL-グルタミン(L-glut)、(2)A549hACE2及びVero:ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、10%FBS、100U/mLのpen-strepであった。標準的な空気-液体界面を介して(ALI;StemCell Technologies 2021)または特注の頂部突出肺オルガノイドとして(HBO;Lee and LeCher et al非公開)3Dで培養された培養当たり単一のドナーに由来する分化した初代正常ヒト気管支/気管細胞(NHBE)(Lonza Biosciences CC-2540s,Basal,Switzerland)において追加の研究を実施した。HBTECをカスタムPneuma-Cult(商標)Ex Plus培地(Stem Cell Technologies,Vancouver,B.C.)中で増殖させ、特注のPneuma-Cult(商標)ALI培地(ALI;Stem Cell Technologies,Vancouver,B.C.)またはヒドロコルチゾン及び硫酸ヘパリンが補充されたPneuma-Cult(商標)オルガノイド頂部突出培地(HBO;Stem Cell Technologies,Vancouver,B.C.)中で分化させた。すべての実験について、細胞を37℃で95%O2、5%CO2インキュベーター内で成長させた。
【0261】
抗ウイルススクリーニングアッセイ:
標準的な抗ウイルススクリーニングのため、細胞(Caco-2、Calu-3単層、Ace-2h549、及びVero)を96ウェルプレートにおいてコンフルエンシー(1x105細胞)まで成長させた。用量-反応曲線を2%熱不活化FBS(ΔFBS)を含有するそれぞれの基礎培地中で対象となる化合物の2倍段階希釈物(0~10μM)で細胞を処置することによって実施し、次いで0.1(Vero)または1.0(Caco2、Calu-3、A549hACE2)のMOIで48時間(Vero)または72時間(Caco2、Calu-3、A549hACE2)SARS-CoV2に感染させた。細胞/上清を下流RNA抽出(RNeasy96抽出キット;Qiagen(著作権)、Hilden,Germany)のために150μLのRLT緩衝液(Qiagen(著作権)、Hilden,Germany)に収集し、次にqRT-PCRをしてウイルス負荷を検出した。
【0262】
進化した抗ウイルスアッセイもまた、以下の改変を伴ってALI-Calu-3、ALI-NHBE、及びHBO-NHBEにおいてリード化合物を用いて用量-反応アッセイによって実施した:ALI-Calu3-1.8x104細胞を96ウェルの1.0μm細孔トランスウェルインサート(Corning,USA)に播種した。3日後、培地を頂部チャンバーから除去し、細胞をさらに1週間ALIで培養した。ALI-NHBEs-1.5x105細胞を24ウェルのコラーゲンが被覆された0.4μm細孔トランスウェルインサート(Corning,USA)に播種した。3日後、培地を頂部チャンバーから除去し、細胞をALIでさらに3週間培養した。両方のALI培養物について、化合物を示された希釈でバソラテラルチャンバーに添加した。細胞を頂部表面上でHEPES緩衝塩溶液(HBSS)で3回洗浄して余剰の粘液を除去し、次いで50μLのSARS-CoV-2(MOI1.0)を頂部チャンバーに添加することによって5時間の吸着の間で感染させ、その後、ウイルスを除去し、細胞を追加の3日間ALIで保持した。HBO培養物の場合、3x103細胞をMatrigel(登録商標)Basement Membrane Matrix(Corning,USA)を有するハンギングドロップ懸濁液に播種して1ウェル当たり単一のオルガノイドを生成し、21日間培養した。順次希釈された化合物及びウイルス(MOI1.0)をウェルに3日間直接的に添加した。Calu3-ALI及びHBO感染培養物を150μLのRLT緩衝液(Qiagen(著作権),Hilden,Germany)に収集したのに対し、NHBE-ALI培養物を300μLのTrizol(商標)試薬に収集し、RNAを製造業者のプロトコル(ThermoFisher Scientific,USA)に従ってフェニル-クロロホルム法によって抽出した。すべての感染は、Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratoriesの5版のガイドラインに従ってEmory UniversityでBSL-3レベル実験室において行われた。すべての実験を2連または3連で独立して3回実施した。
【0263】
qRT-PCRアッセイによるSARS-CoV-2生成阻害アッセイ:
ウイルス生成阻害アッセイを先行記載されているように実施した(Zandi et al 2020)。簡潔には、ウイルスRNAをSARS-CoV2非構造タンパク質3(nsp3)に対するプライマーと共に6-カルボキシフルオレセイン(FAM)標識プローブを使用してリアルタイムPCRによって検出した。(SARS-CoV-2 FWD:AGA AGA TTG GTT AGA TGA TGA TAG T;SARS-CoV-2 REV:TTC CAT CTC TAA TTG AGG TTG AAC C;SARS-CoV-2プローブ:56-FAM/TC CTC ACT GCC GTC TTG TTG ACC A/3BHQ_1)非感染細胞から単離されたRNAをウイルス検出のための陰性対照として使用した。RNAをMastermix(qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標);Quantabio、USA)中の最適化された10μMのプライマー/プローブミックスに添加し、製造業者のプロトコルに従ってStepOne PlusリアルタイムPCR(Roche,Germany)で実行した。CT値を再現群から計算し、次いでウイルス生成を標準曲線を介して定量した。化合物の有効濃度中央値(EC50)及び90%阻害効果を有する濃度(EC90)をGraphPad Prism、バージョン7(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)を使用して計算し、平均±標準偏差として報告した。
【0264】
ネオングリーンレポーターアッセイによるSARS-CoV-2生成阻害:
ネオングリーンレポーターを介するウイルス生成阻害アッセイを先行記載されているように実施した(Tao et al 2021)。簡潔には、細胞を、MOI0.1(Vero)でネオングリーン発現icSARS-CoV-2-mNG感染性クローン(Xie et al 2020)を用いたこと以外は上述したように化合物の存在または非存在下で感染させた。培養物を、対照ウェルにおいてネオングリーン発現について毎日モニタリングした。感染から48(Vero)、72(Caco-2、Calu-3、A549hACE2、ALI-NHBE、及びHBO-NHBE)、または96(ALI-NHBE、及びHBO-NHBE)時間後、すべてのウェルを画像化し、化合物の抗ウイルス活性を対照からの平均相対蛍光の低減率として決定した。
【0265】
2つの方法のうちの1つを用いて画像を得た:(1)生細胞をLAXソフトウエア(Leica Biosystems)を使用してpE-300蛍光ハウジングを有するLeica FC 7000 GT顕微鏡で画像化し、画像をImage Jソフトウエアで処理し、細胞を下流qRT-PCRのためにRLT緩衝液に収集した、または(2)細胞をBSL3からの除去のために4%パラホルムアルデヒド中で30分間直接的に固定化し、1%ND-40-PBS緩衝液中で透過処理し、DAPI対比染色し、Cytation5細胞画像化多モードリーダーで画像化し、Gen5ソフトウエア(Biotek,Winooski,VT)で定量した。非感染ウェルは、バックグラウンド蛍光についての陰性対照指標として機能した。
【0266】
抗SARS-CoV-2活性が以下の表2~5に示されており、毒性データが以下の表6に示されている:
【表2】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
マウス血漿サンプルにおける化合物8の定量及びノンコンパートメントPK分析:
方法:
-CD-1マウスに化合物8をPO(30mg/kg、3匹のマウス)またはIV(15mg/kg、3匹のマウス)によって投与した。血漿サンプルを30分、2時間、4時間、及び7時間の時点で収集した。
【0273】
サンプル調製:
-20μLのマウス血漿を100μLのMeOHと混合した。
-上清を空気乾燥させ、次いで200μLのH2O中で再溶解した。
-LC-MS分析に供した。
-較正曲線範囲:50nM~100μm。
【0274】
LC-MS/MS条件:
-機器:TSQ Quantiva、カラム:Kinetex XB-C8(50X2.1mm、2.6μm)
-LC緩衝液:A):0.1%ギ酸、及びB):アセトニトリル
-LCグラジエント:0~0.3分、2%B;0.3~3分、2%~80%B;3~3.2分、80%B;3.2~3.5分、80%~2%B;3.5~8分、2%B
【0275】
HepG2細胞における化合物8のミトコンドリア毒性:
-MtDNAについてのCC50 >100μM(100μMで<1%の阻害)
-rDNAについてのCC50 >100μM(100μMで36.32%の阻害)
【0276】
参考文献:
Li,Y.,Renner,D.M.,Comar,C.E.,Whelan,J.N.,Reyes,H.M.,Cardenas-Diaz,F.L.,and Weiss,S.R.(2021).SARS-CoV-2 induces double-stranded RNA-mediated innate immune responses in respiratory epithelial-derived cells and cardiomyocytes.Proceedings of the National Academy of Sciences,118(16).
Stem Cell Technologies.Model the human airway in vitro as ALI cultures or airway organoids.
Lee,J.H.and LeCher,J.C.,et al(2021).Apical-out human bronchial organoid models for SARS-CoV-2 infection studies.Unpublished Study.
Zandi,K.,Amblard,F.,Musall,K.,Downs-Bowen,J.,Kleinbard,R.,Oo,A.,and Schinazi,R.F.(2020).Repurposing nucleoside analogs for human coronaviruses.Antimicrobial agents and chemotherapy,65(1),e01652-20.
Tao,S.,Zandi,K.,Bassit,L.,Ong,Y.T.,Verma,K.,Liu,P.,and Schinazi,R.F.(2021).Comparison of anti-SARS-CoV-2 activity and intracellular metabolism of remdesivir and its parent nucleoside.Current Research in Pharmacology and Drug Discovery,2,100045.
Xie,X.,Muruato,A.,Lokugamage,K.G.,Narayanan,K.,Zhang,X.,Zou,J.,and Shi,P.Y.(2020).An infectious cDNA clone of SARS-CoV-2.Cell host & microbe,27(5),841-848.
【0277】
ヒト肺上皮及び単球系のSARS-CoV-2感染症のモデルにおける評価:
ウイルスを用いたin vitroトランスイミグレーション実験及び感染。H441 Club細胞株を50/50のDMEM/F12中の2%v/vのUltroser G(Crescent Chemical,Islandia,NY)を用いて空気液体界面で2週間ラット尾部コラーゲン(Sigma)で被覆されたAlvetex骨格(ReproCELL,Glasgow,UK)上で成長させた。次いでフィルターを反転させ、ウェルの底において新たな培地に入れた。ウイルス(PR8:A/Puerto Rico/8/1934;OC43;またはNR-52281、SARS-CoV-2単離物USA-WA1/2020)が、感染多重度(MOI)が0.1となるように培地に添加され、24時間インキュベートされる。この設定は、BSL3条件で実施するデリケートなプロセスであるトランスイミグレーションの前にフィルターの手動反転を必要とする。よって、上皮細胞を感染させなければならないが、細胞は浸水し、もはやALIではなく、これは肺炎を連想させる結果を導入し得る。フィルターを、追加の薬物を有するまたは有しないLTB4(100nM)及びCCL2(250pg/mL)を有するRPMI培地に移した。薬物を1または10uMの最終濃度で使用した。未処置条件は、ビヒクル対照として0.01%v/vのDMSOを含有していた。血液単球をRosetteSep(StemCell)を使用して精製した。合計で約106個の細胞をトランスイミグレーションのためにAlvetex骨格上に負荷し、これを24時間生じさせた。トランスイミグレーション後、TriPure(Roche)を上皮細胞に添加し、-80℃で凍結させた。
【0278】
血漿安定性:
450μLのヒト、マウスまたはハムスター血漿を10μMの化合物に曝露し、37℃でインキュベートした。0、5、15、30、60、90及び120分で、50μLの血漿サンプルを200μLの氷冷メタノール(70%)と混合した。50μLの上清を乾燥させ、100μLのH2O中で再構成した。プロパンセリンブロミドを陽性対照として使用した。次いで上清をLC-MS分析に供した(LC-MS条件:機器:Thermo TSQ Quantiva.カラム:Kinetex C88(50x2.1mm、2.6μm)。LC緩衝液:A):0.1%ギ酸、及びB):アセトニトリル。
【0279】
細胞薬理学:
化合物の取り込み及び排出をHAE細胞、ならびに多様な他の細胞において細胞培養で測定する。細胞培養は、HAE細胞を0.15×106個/ウェルの密度で播種することを伴い、他の細胞を1×106個/ウェルの密度で播種した。取り込みを測定するために、化合物を10μMの濃度で4時間細胞中でインキュベートする。細胞からの化合物の排出を測定するために、細胞を10μMの濃度で24時間事前処置し、その時に培地を取り換え、次いで細胞を0、2、4、6、8、12、24、及び32時間の時点で採取する。
【0280】
LC-MS/MS:TSQ Quantiva.緩衝液A:3mMヘキシルアミンを有する2mMのNH3H2PO4;緩衝液B:アセトニトリル;流速;250μL/分。HPLCカラム:Kinetex EVO C18 100X2.1mm、2.6μm。MS検出:SRMモード。
【0281】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されない。実際に、記載されるものに加えて本発明の様々な修飾が、前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかになる。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。
【0282】
様々な刊行物が本明細書で引用されており、その開示は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】