(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563086
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022059962
(87)【国際公開番号】W WO2022219091
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】アル-ハジ アリ,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】アジェラル,ヌールディン
(72)【発明者】
【氏名】サッタル,ムバシャル
(72)【発明者】
【氏名】エロヴァイニオ,エルノ
(72)【発明者】
【氏名】スレイステル,ヘンリー
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401BA13
4F401CA22
4F401CA51
4F401CA53
4F401CA54
4F401CA55
4F401CA56
4F401CA58
4F401CB01
4F401CB18
4F401EA46
4F401EA54
4F401FA01Z
(57)【要約】
廃ポリマー材料が少なくとも1つのポリオレフィンを含み、少なくとも1つのポリオレフィンを含む廃ポリマー材料を得る工程;廃ポリマー材料を少なくとも1つの溶解溶媒と接触させて、ポリマー溶液と未溶解固体とのスラリー流を生成する工程;スラリー流をスクリーニングし、未溶解固体およびポリマー溶液流とを生成する工程;ポリマー溶液流をポリマーリーン蒸気流とポリマーリッチ凝縮流に気液分離する工程;ポリマーリッチ凝縮流から少なくとも1つのポリオレフィンを回収する工程、を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、廃ポリマー材料をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法であって、前記廃ポリマー材料(1)が少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含み、前記方法が以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と接触させて、ポリマー溶液(5)と未溶解固体(6)とのスラリー流(4)を生成する工程;
c)スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)とポリマー溶液(5)流とを生成する工程;
d)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程;
を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒(3)が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、方法。
【請求項2】
前記方法が、工程c)に続き工程d)に先行して以下の工程:
C’’)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン流(7)とポリマーリッチ流(8)とに液液分離する工程をさらに含み、前記ポリマーリッチ流(8)が工程d)に供給される、請求項1に記載の溶剤系リサイクル方法。
【請求項3】
工程c)が、ポリマー溶液(5)から未溶解固体(6)を固液分離する工程を含む、請求項2に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項4】
工程c)に続き工程c’’)に先行して実施される、ポリマー溶液(5)を受取り、均質化ポリマー溶液(5’)を得る均質化工程c’)をさらに含み、前記均質化ポリマー溶液(5’)が工程c’’)に供給される、請求項1~4のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項5】
前記方法が、工程a)に続き工程b)に先行して以下の工程:
a’)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの抽出溶媒(3e)で抽出する、または、廃ポリマー材料(1)を溶融する工程
をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項6】
前記工程a’)が、前記廃ポリマー材料(1)を溶融して溶融廃材料(1a)を生成する、請求項5に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項7】
工程a’)において、混合装置内で溶融廃材料(1a)が溶解溶媒(3)と混合される、請求項6に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項8】
工程c’’)が少なくとも2回実施され、第1工程c’’
1)のポリマーリーン流(7
1)が第2工程C’’
2)に供給される、請求項2~7のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項9】
工程d)が少なくとも2回実施され、第1工程d’)のポリマーリッチ凝縮流(10)が第2工程d’’)に供給される、請求項1~8のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法に関する。より詳細には、本発明は、バージン様ポリマーを生成し、プロセス設備の重負荷設備に対する要件が低く、好ましくは連続方式で実施できる、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積された廃プラスチックの処理という課題およびそれに対応する環境問題は、大衆および学識者から広く注目されている。そのため、プラスチック廃棄物全般の防止、特にプラスチック廃棄物の環境への流出防止の概念に加えて、廃プラスチック材料のリサイクルも重要なテーマとなっている。廃プラスチックを新しいプラスチック製品の資源に変えることができる。従って、廃プラスチック材料のリサイクルや再利用は、環境面と経済面を両立させることができる。
【0003】
90年代半ば、ヨーロッパのいくつかの国では、より差別化された廃棄物収集システム(リサイクル管理システム、循環経済法)が導入され、実際によりターゲットを絞った回収およびプラスチック材料と他の廃棄物との分別が可能になった。そのため、多かれ少なかれ効率的にポリマータイプを分離することで、処理後に最終的にポリマータイプが濃縮され、より容易にリサイクル可能な二次プラスチック材料片を得ることができる。適当な廃棄物収集システムの構築および、特には適当な廃棄物分離インフラの整備が、二次石油化学原料の供給源や市場を生み出すために、ここ数十年間に行われてきた。これと並行して、リサイクル可能なポリマー材料の達成可能な製品品質を向上させることを主な目標として、いくつかのプラスチックリサイクル方法が開発され、特に改良されてきた。
【0004】
一般的に知られているプラスチックリサイクルの種々の方法には、機械的な方法(マテリアルリサイクル)、高度な物理的または溶媒系(溶液)の方法および化学的な方法(原料リサイクル、熱分解やガス化などの熱化学、加溶媒分解)がある。これらの方法の中でも、機械的リサイクルおよび化学的リサイクルが最も広く実施されている。
【0005】
EUの公共回収および事前分別システムは、2018年にプラスチック回収率が76[重量%(Ger)]に達したが、高度な機械的リサイクル方法に関して、直接的なプラスチック材料のリサイクル率は低いレベルであった(例えば、2018年にはドイツでは12[%])。今日、高度な機械的リサイクルには、シュレッダー、振動、回転ふるい、分光法[例えばNIR/VIS]でサポートされる高度な分別方法、および、リサイクル可能なプラスチック材料の表面から発生する有機物、生物学的物質、および部分的な悪臭汚染物質を低減するための洗浄作業などの分離工程が含まれ、また、ポリマー種類が濃縮され、より均質なポリマーリサイクル片を達成している。これにより、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリスチレン(PS)のような、プラスチックタイプに富むなど、特にポリオレフィンに富んだ二次固形ストリーム(PO含有率>85重量%;<重量95%)が得られる。次いで、これらの分離された固形ストリームは、顆粒に加工(押出)され、製品に変換される特定の材料に加工される。とはいえ、達成可能な製品の品質は比較的低いままであり、食品接触用途および高性能用途の両方を実現することはできないため、今日、機械的にリサイクルされた材料として、植木鉢、ペンキバケツまたはシャンプーボトルなどの製品が一般的である。
【0006】
特に、改良された、かつ、より良い選別方法(例えば、着色フレーク選別)の実施が、特定のポリマータイプ片内の高濃度化および、二次洗浄操作の両方に影響を及ぼし、有害な汚染物質等をより効率的に低減したり、最終的な二次ポリマー原料の製品品質を向上したりすることが望ましい。後者は、排出量を可能な限り低くする一方で、総エネルギー消費量の増加に相まって、複雑なプロセス設計、廃水処理、排ガス処理、中間製品の乾燥などに関する追加支出を含む。
【0007】
しかしながら、多層材料やフィルム、または混合されたフレキシブルフィルム廃材のような廃材成分に起因して、機械的ポリマーリサイクルを高品質の最終用途に直接再製造することが困難であるという課題が依然としてある。さらに、特に歴史的に適用されてきた重合技術(ポリマー密度、平均分子量、分子量分布、分子構造、架橋度などの材料特性を定義する)および歴史的に適用されてきたコンパウンド技術(添加剤、フィラー濃度、および最終的には複数の顔料組成物)に関する、ポリマータイプ材料混合物の予測可能な、かつ、制御可能な均質性の低さに重要な理由を見出すことができる。これらの品質に関する要因はすべて、機械的に処理されたバルク固形混合物の内部に留まり、機械的分別および適用される精製方法ではカバーできず、最善の場合、リサイクル可能なポリマー材料混合物の表面で相互作用する。
【0008】
高度な機械的ポリマーリサイクルにおける低品質を克服するためのさらなるアプローチは、最終用途(非食品)に対して許容可能で市場性のある品質を達成するために、機械的ポリマーリサイクル品をバージンポリマーとブレンドすることであり、これにより、機械的にリサイクルされたポリマー材料の実施可能な含有量は、特に高品質/高性能の最終用途に関して低レベル(数[重量%])にとどまる。
【0009】
2番目に生じているプラスチックリサイクルルートは、加溶媒分解とサーモケミカル(熱化学)処理に関する化学的リサイクルまたは原料リサイクルである。2018年には、化学的プラスチックリサイクルの技術シェア率は、合計で2[%]未満であった。技術予測によると、サーモケミカルリサイクルのシェア率は2030年までに2[%]未満(2018年)から13[%]まで大幅に増加するはずである。しかし、化学的プラスチックリサイクルは、事前分別および事前処理された固形プラスチック廃材を回収し、石油化学産業用の原料を得るという有望な機会を提供し、これを再びプラスチック並びに化学製品および燃料にも加工できる。プラスチック固形混合物の重合体構造を分解し、より短い炭化水素をモノマー構成要素まで分解するためには、熱、触媒および溶媒を適用する必要がある。特定の技術にもよるが、化学的リサイクルのアプローチは、混合プラスチック片および不純物に対する許容度が非常に高く、したがって主に汚染されたポリマー材料混合物や二次ポリマー原料を扱うことができる。それにもかかわらず、ポリオレフィン系材料混合物とヘテロ原子ポリマー(N/O/S、ハロゲン)との相互汚染は好ましくは回避されなければならない。
【0010】
それにもかかわらず、特にサーモケミカルプラスチック加工、特にポリオレフィンリサイクル技術の抽象化は、むしろ、周知の伝統的なサーモケミカルのユニット操作を適用することにより、化石系の原油留分をすでに化石系の二次ポリマーリサイクル材料へ置き換えることを示し、それは二次原料源にコスト的に適合させる必要がある。熱を大量に消費する吸熱性のC-C結合やC-H結合の切断(クラッキング、分解)に関するエネルギー需要は残っているため、最終的に投入される総エネルギーは、原油からバージンポリマーへの加工と比較して著しく高く-主に、短鎖分子の分解(例えば、原油分別のナフサなど)は、長鎖および分岐ポリマーの分解に取って代わられる。それとは別に、過度にエネルギーを消費する熱分解が残っている。さらに、必要な適用エネルギーキャリアを再生可能/持続可能なエネルギーキャリアに容易に切り替えられない限り、このような方法のCO2排出量も高くなる。
【0011】
第3のプラスチックリサイクルルートは、先進的な物理的リサイクルまたは溶媒系リサイクル(SbR)であり、2018年にはドイツにおいて、1%未満のプラスチックリサイクル市場シェアを示した。SbR処理では、ポリマーは最初に適当な溶媒に溶解され、その後、非溶媒の添加(溶解/沈殿)によって溶解ポリマーの溶解度が低下する、および/または、熱的ユニット操作(蒸発、乾燥など)により、固化したポリマーから溶媒を好ましくは完全に分離することによってポリマーの固化が起こる。
【0012】
ポリオレフィン-SbR方法は、従来のPO重合方法と類似しており、それにより、モノマー(オレフィン)および一時的に形成されたオリゴマー(ワックス)および短鎖ポリマーに対する溶媒は、溶解度の限界を超える(重合中に長鎖ポリオレフィンが形成される)まで、例えば精製留分(ケロシンなど)であり、最終的なポリオレフィンはポリオレフィン-溶媒スラリーを形成して沈殿する(例えばChevronスラリー方法)。特別なポリオレフィン方法は、溶液PO重合方法であり、これにより、オレフィンは最初にパラフィン系溶媒ブレンドに溶解され、重合され、最終的なポリオレフィンは、減圧やフラッシュ脱揮によって工程条件が大きく変化するまで溶液中に留まる。
【0013】
一般的に知られる廃プラスチック材料の溶媒系リサイクル方法の枠組みは、不純物の除去、溶解、およびポリマーの再沈殿/再結晶化および/または脱揮を含む。具体的には、1以上のポリマーを1以上の溶媒に溶解し、その後、各ポリマーを選択的に沈殿/結晶化させる。理想的には、溶媒が対象ポリマーまたは対象ポリマー以外の全ての他のポリマーのいずれかを溶解できれば、選択的溶解に使用できる。
【0014】
一般的に、廃プラスチック材料の溶媒系リサイクル方法によってバージン様ポリマーを製造することが望まれているが、バージン様とは、汚染がなく、顔料を含まず、臭いがなく、均質で、かつ一般的に重合したてのポリマーと同様の特性を持つものと定義される。高品質でバージン様な再生樹脂の必要性は、食品包装のような食品および医薬品に接触する用途において特に重要である。不純物および混合着色剤で汚染されていることに加え、再生樹脂製品の多くは化学組成において不均質であることが多く、再生ポリプロピレンにポリエチレンが混入する、およびその逆などといった、かなりの量のポリマー汚染が含まれる可能性がある。
【0015】
EP3339361(A1)には、廃ポリマーを110~170℃の温度および1,100~2,100psigの圧力でn-ブタンと接触させる工程を含むポリマー溶媒系リサイクル方法が記載されている。この工程は4回繰り返される。続いて、この工程の残渣を、130~180℃および2,000~3,000psigでn-ブタンに再度溶解する。さらに、非溶解ポリマーの沈殿と除去が行われ、130~180℃、350~20,000psigで純粋なシリカ床、続いて酸化アルミニウム(ゼオライト)床を用いる吸着工程が追加される。次いで、ポリマーを溶媒から沈殿させる。
【0016】
この方法の欠点は、処理中に使用する圧力が高いことであり、プラントの材料強度を十分に考慮する必要があるため、頑丈な設備が必要となり、高い投資費用が生じる。
【0017】
DE102016015199 A1は、産業廃棄物の分離、特にポリアミド、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンの分離に大気溶解法を使用している。溶媒は、沸点温度が80~140℃の高級無極性ガソリン(ケロシン)留分である。
【0018】
この方法の欠点は、中間ポリマー生成物中の残留溶媒含有量が高いことである(最大5体積%)。これらの不要な溶媒の除去には、薄膜エバポレーター(低スループット)および乾燥器による複雑で高価な後処理プロセスが必要である。排ガスには炭化水素が含まれているため、大量の排ガス処理プラントが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3339361号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102016015199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、一般に、従来技術で知られているポリマー溶媒系リサイクル方法、特にポリオレフィン溶媒系リサイクル方法は、費用および労力が高いという欠点を有する高圧法であるか、または、特に溶媒除去の観点でプロセス処理後に問題を引き起こすため、バージン様の再生ポリオレフィンを提供できない高沸点溶媒を対象とするかのいずれかである。
【0021】
さらに、従来技術に記載されているポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法の多くは、連続方法が不可能な方法で設計されている。すでに述べたように、問題の1つは高圧法の技術にあり得る。しかしながら、供給法の技術と分別も、連続的に方法を実行する可能性に影響を及ぼす可能性がある。
【0022】
したがって、本発明の目的は、バージン様ポリオレフィンの製造を可能にし、材料強度、スタッフの経験および費用の観点から要求が低い、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法を見出すことである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、ポリオレフィンの連続的な溶媒系リサイクル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
驚くべきことに、前記目的は、廃ポリマー材料が少なくとも1つのポリオレフィンを含み、少なくとも1つのポリオレフィンを含む廃ポリマー材料を得る工程;廃ポリマー材料を少なくとも1つの溶解溶媒と接触させて、ポリマー溶液と未溶解固体とのスラリー流を生成する工程;スラリー流をスクリーニングし、未溶解固体およびポリマー溶液流とを生成する工程;ポリマー溶液流をポリマーリーン蒸気流とポリマーリッチ凝縮流に気液分離する工程;ポリマーリッチ凝縮流から少なくとも1つのポリオレフィンを回収する工程、を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、廃ポリマー材料をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法によって達成できることが判明した。
【0025】
本発明の方法の利点は、溶媒系リサイクル方法が従来技術で示されるよりも低圧力で実施でき、同時に最終ポリマーから溶媒を容易かつ経済的に除去する能力を維持できることである。さらに、リサイクルされた溶媒を溶媒系リサイクル方法に再導入できるため、エネルギーおよび材料需要、並びに費用をさらに削減する。さらに、この方法で使用されるユニット操作数が少ないため、メンテナンスの労力とダウンタイムの可能性が低減される。さらに、本発明の方法は、リサイクル中で1より多いポリマーを分離できる。最後に、生成されたポリマーは、有意な量のポリマー相互汚染がなく、本質的に無色であり、本質的に無臭である(すなわち、バージン様)。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、LCSTの概念と液液分離を理解するための一般的な相図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の方法の最も一般的な実施形態の概略図を示す。
【
図3】
図3は、追加の均質化工程および液液分離工程を含む、本発明の方法の最も一般的な実施形態の概略図を示す。
【
図4】
図4は、(複数の)液液分離工程を含む、本発明の好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図5】
図5は、前処理工程として抽出工程を含む、本発明の好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の好ましい前処理工程a’)の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<定義>
本明細書で使用される「揮発性」または「揮発性化合物」という表現は、本発明の方法で分離されるポリオレフィンと比較して著しく低い分子量を有する化合物として理解すべきである。このような化合物は、通常、フラッシュセパレータに曝される場合ガス状で存在する。一般に、揮発性化合物は揮発性炭化水素の混合物である。好ましくは、揮発性炭化水素の混合物は少なくとも1つの溶媒を含む。
【0028】
「フラッシュセパレータ」は、何十年も前から従来技術において既知である(低圧セパレータとしても知られる)。当該技術分野で周知なように、液体供給物は、減圧下で操作されるフラッシュ容器に送られる。それにより、液相の一部が蒸発し、オーバーヘッド流(または蒸気流)として低圧セパレータから取り出すことができる。次いで、液相に残留する部分は、底部流または液体流としてフラッシュ容器から取り出される。フラッシュ容器内に気相と液相の両方が存在するような条件下での低圧セパレータの操作が、この状況を説明するものである。
【0029】
本明細書で使用される「重力式分離器」または「液液分離器」は、二相(すなわち、液体/液体)系を分離できる容器を含む。より低い相対密度を有する液相(ポリマーリーン流)は容器の上端から抜き出され、一方、より高い相対密度を有する液相(この場合、ポリマーリッチ流)は容器の下端から抜き出される。
【0030】
本発明の方法は、廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法であって、前記廃ポリマー材料(1)が少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含み、前記方法が以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と接触させて、ポリマー溶液(5)と未溶解固体(6)とのスラリー流(4)を生成する工程;
c)スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)とポリマー溶液(5)流とを生成する工程;
d)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程
を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒(3)が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、方法である。
【0031】
廃ポリマー材料(1)には、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PUR)およびポリアミド(PA)などの種々のプラスチックが含まれ得る。好ましくは、廃ポリマー材料(1)は、75重量%を超える、より好ましくは80重量%を超える、最も好ましくは85重量%を超えるポリオレフィン含有量を有する。廃ポリマー材料(1)は、酸化防止剤、食品残留物、残留香料成分、染料および顔料などの一般的な添加剤、および一般に製造および使用によってプラスチック廃材に必然的に導入される成分などの廃棄不純物をさらに含み得る。汚染に加えて、多くのリサイクル樹脂製品は化学組成が不均質であることが多く、リサイクルPP中のPE汚染やその逆など、大量のポリマー汚染を含む場合がある。
【0032】
本発明の方法によってリサイクルされるポリオレフィン(2)は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィン類の混合物であり得る。しかし、好ましくは、ポリオレフィン(2)は単一のポリオレフィン類を含み、好ましくは単一のポリオレフィン類からなる。最も好ましくは、ポリオレフィン(2)はポリプロピレンを含み、好ましくはポリプロピレンからなる。後者の場合、ポリエチレン残留物は、同じ溶解溶媒(3)を用いて上昇した温度および増加した滞留時間で再度溶解し、本発明に従って分離できると理解すべきである。
【0033】
一般に、溶解溶媒(3)は、ポリオレフィン、特にポリオレフィン(2)を溶解できなければならない。したがって、溶解溶媒(3)は、非極性溶媒またはその混合物であることが好ましい。したがって、前記溶媒は、好ましくは炭化水素または炭化水素の混合物である。より好ましくは、溶解溶媒(3)は、ポリオレフィンのパラフィン性(「Similia similibus solventum」)によるパラフィン系溶媒またはパラフィン系溶媒の混合物である。芳香族炭化水素溶媒は、良好な溶媒特性で知られているため考慮され得る。それにもかかわらず、芳香族炭化水素の欠点は、ポリスチレンの溶解を促進することにある。一方、例えば、n-アルカンはポリスチレンを溶解しないことが知られている。最も重要なのは、溶媒がPET、PVC、PA、PC、PURなどの極性ポリマー、または、セルロース若しくはリグニンなどのバイオ系画分を溶解しないことである。さらに、溶解溶媒(3)の1bar圧力における沸点は70℃以上でなければならない。したがって、好ましくは、溶解溶媒は、低沸点溶媒および高沸点溶媒、またはそれらの混合物のリストから選択される。低沸点溶媒には、トルエンおよびキシレンなどのn-アルカン並びに芳香族炭化水素が含まれる。低沸点溶媒の利点は、溶解したポリオレフィンから蒸発によってそれらを分離できることである。高沸点溶媒には、パラフィン系軽油または真空軽油が含まれる。このような溶媒は、製品からの除去が困難であるという欠点を有する。したがって、好ましくは、溶解溶媒(3)は、1バールの圧力で70℃を超え、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは100℃以下、最も好ましくは90℃以下の沸点を有するn-アルカンまたはその混合物から選択される。最も好ましくは、溶解溶媒(3)は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、およびn-デカン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
廃ポリマー材料(1)を得る工程a)は、廃棄物を水溶液および/または苛性溶液で洗浄して廃棄ポリマーから不要な物質を除去することを含む、一般廃棄物から廃ポリマー材料(1)を調製する工程を含む(
図2~5を参照)。さらに、工程a)において、廃棄ポリマー片のサイズは、好ましくは切断、ミーリングおよび剪断、またはそれらの混合によって、好ましくは縮小される。
【0034】
廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と接触させる工程b)は、好ましくは溶解工程である(
図2参照)。したがって、好ましくは、ポリオレフィン(2)は溶解溶媒(3)に溶解される(
図2~5を参照)。一方、得られるスラリー(4)は、ポリマー溶液(5)以外に未溶解固体(6)を依然として含み得る。このような固体は、溶解溶媒(3)またはポリマーに溶解しない顔料または添加剤などの非ポリマー固体のいずれかであり得る。このようなポリマーは、使用する溶媒に溶解できない極性ポリマー、または溶解工程で用いられる条件下で溶解できない非極性ポリマーのいずれかであり得る。好ましくは、ポリマー溶液(5)中の溶解ポリマーはポリオレフィン(2)である。
【0035】
接触工程b)は、単一の対象とするポリオレフィンのみが溶解溶媒(3)によって溶解される状態で実施できる。このような構成は、対象のポリオレフィンが廃ポリマー材料(1)中に存在する他のすべてのポリオレフィンよりも低い温度で溶解する場合に特に適用可能である。工程b)の別の実施形態において、条件は、2つ以上のポリオレフィンでさえ、すなわちポリマーAおよびポリマーBを溶解するように選択される。そのような場合、後続の液液分離工程は、可溶化されたポリマーを互いに分離するのに有益である(下記参照)。主にポリプロピレンは、ポリプロピレンの溶解度パラメーターに類似する/近似するハンセン溶解度パラメーターを有する非極性溶媒を用いて、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物から溶解できる。前記条件は、好ましくは100~300℃、より好ましくは110~290℃、最も好ましくは120~280℃の温度を示すように選択される。好ましくは、工程b)で使用される圧力は、5~50バール、好ましくは7~45バール、最も好ましくは10~40バールの範囲である。
【0036】
廃ポリマー材料(1)は、固体または溶融状態のいずれかで溶解溶媒(3)と接触させ得る。好ましくは、廃ポリマー材料(3)は溶融され、ポリマー材料と溶解溶媒(3)の両方の迅速かつ完全な混合が可能になり、すなわちポリマー材料を完全に溶解するのに必要な時間を短縮する(
図6参照)。一般に、ポリマー材料の溶解に必要な時間を短縮すると、連続的な方法での溶解工程の実施が支持される。ポリオレフィン(2)を溶解するのに必要な時間をさらに短縮するために、好ましくは、廃ポリマー材料(1)と溶解溶媒(3)とのスラリーを撹拌する。好ましくは、溶解工程b)は1時間以内で行われる。
【0037】
工程c)において、未溶解固体(6)は、好ましくは、固液分離によってポリマー溶液(5)から除去される(
図2~5を参照)。好ましくは、工程c)は、熱濾過、スクリューコンベア上での排出、遠心分離、濾過、および固体/液体抽出、またはそれらの混合から選択できる。未溶解固体(6)を収集し、別の工程で溶解して、その中に含まれる他のポリマー画分を回収できる。工程c)は、一連の流れの固液分離であってもよい。
【0038】
また、さらにより好ましくは、工程c)において、ポリマー溶液(2)中に依然として可溶な他の不要な物質も、前記ポリマー溶液(2)からスクリーニングされる。そのような物質には、添加剤、着色剤、酸化防止剤、臭気およびそれらの混合物が含まれる。最も好ましくは、スクリーニング工程は、不要な材料の脱着によって行われる。好ましくは、脱着方法は、不要な物質が吸着する、または不要な物質が吸収される収着助剤の助けを借りて実施される。収着助剤は、サイズ排除、イオン排除、イオン交換、その他のメカニズムによって不要な物質を結合することもある。さらに、廃ポリマー材料中に一般的に見られる顔料および他の材料は、極性化合物である可能性があり、収着助剤と優先的に相互作用する可能性があるため、少なくともわずかに極性であってもよい。極性-極性相互作用は、アルカンなどの非極性溶媒が溶解工程の溶媒として使用される場合に特に有利である。
【0039】
収着助剤は、好ましくは、無機物質、炭素系物質、およびそれらの混合物からなる群から選択される。無機物質の非限定的な例は、酸化ケイ素(シリカ)、シリカゲル、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、非晶質火山ガラス、再生ガラス、砂、石英、珪藻土、ゼオライト、パーライト、粘土、フラー土、ベントナイト粘土、金属有機骨格(MOF)、共有結合性有機骨格(COF)、およびゼオライト性イミダゾレート骨格(ZIF)である。炭素系物質の非限定的な例は、無煙炭、カーボンブラック、コークス、および活性炭である。本発明の一実施形態において、前記無機物質は、酸化ケイ素(シリカ)、シリカゲル、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、非晶質火山ガラス、再生ガラス、砂、石英、珪藻土、ゼオライト、パーライト、粘土、フラー土、ベントナイト粘土、金属有機骨格(MOF)、共有結合性有機骨格(COF)、ゼオライトイミダゾレート骨格(ZIF)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、前記無機物質は、酸化ケイ素(シリカ)、シリカゲル、酸化アルミニウム(アルミナ)、非晶質火山ガラス、再生ガラス、砂、石英、珪藻土、ゼオライト、粘土、フラー土、ベントナイト粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明のさらに別の実施形態において、前記炭素系物質は、無煙炭、カーボンブラック、コークス、活性炭、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
溶液の好ましい実施形態において、その後ポリマー溶液(5)は、ポリマーリーン流(7)とポリマーリッチ流(8)への液液分離の工程c’’)に供給される。特定の温度および圧力条件下では、ポリマー溶液は2つの異なる液相に相分離する可能性があり、1つは溶解ポリマーが「希薄(lean)」な液相、もう1つは溶解ポリマーが「豊富(rich)」な液相である。相分離は、「曇点」としても知られる下限臨界溶液温度(LCST)で生じる(
図1参照)。この相分離現象は、当技術分野において長年にわたって周知である。相分離に関する詳細は、例えば、de Loos等、「Liquid-Liquid Phase Separation in Linear Low Density Polyicular Solvent Systems」、Fluid Phase Equilibria 117(1996)、40-47、Irani等、「Lower Critical Solution Temperature Behavior of Ethylene Propylene Copolymers in Multicomponent Systems」、Journal of Applied Polymer Science、31巻、1879-1899(1986)、Chan等、「Fluid-Liquid Transitions of Poly(ethylene-co-octene-1) in Supercritical Ethylene Solutions」、Ind.Eng.Chem.Res.2000、39、4370-4375、Nagy等、「High pressure phase equilibria in the system linear low density polyethylene+isohexane:Experimental results and modelling」、J.of Supercritical Fluids 40(2007)、125-133、「Handbook of Polymer Synthesis,Characterization,and Processing」、初版、著者Enrique Saldivar-Guerra、Eduardo Vivaldo-Lima、2013年John Wiley & Sons社により公開、特に15巻、317~334頁、並びに、これらの文献で引用される文献中に見出される。
【0041】
曇点での温度の上昇または圧力の低下は、さらなる相分離につながる。言い換えると、相分離は、より高い温度および/またはより低い圧力によって促進される。曇点は、圧力、温度、溶液組成、および重合に用いる溶媒によって部分的に決まる。
【0042】
図1を参照して、L/L分離工程における2つのポリマーの分離原理を以下に説明する。この図では、2つのポリマー(A)および(B)の相図が簡略化されて示されており、V-L-L領域の境界を定める関数は両方のポリマーで等しいと想定されている。したがって、この関数を超える条件下では、ポリマーと溶媒はさらなる蒸気相を生じることなく存在する。それにもかかわらず、この凝縮領域は再び単相領域とL-L領域とに分けることができ、混合物は2つの液相で存在し、一方の液相は主にポリマーを含み、他方の液相は主に溶媒を含む。両方の領域は、圧力依存関数である下限臨界溶液温度(LCST)によって互いに分割される。ポリマー(A)および(B)の両方がポリマー溶液中に存在する場合、別の領域、すなわち(B)のLCSTと(A)のLCSTとの間に存在する。この領域において、ポリマー(A)は依然として液相中に可溶化されており、ポリマー(B)はすでに分離されている。したがって、このような系においては、ポリマー(B)をポリマーリッチ流で分離できるのに対して、ポリマー(A)はポリマーリーン流で分離できる。次いで、ポリマーリーン流を再度L/L分離工程に供することができる(
図4参照)。
図1の略図からわかるように、圧力(単相領域で開始する場合、低減)または温度(単相領域から開始する場合、増加)を調整することにより、LCST関数間の領域に到達できる。ただし、V-L-L領域に達するまで圧力を下げるべきではない。
【0043】
工程c’’)を採用する場合(
図3および4参照)、ポリマーリッチ流(8、8
1、8
2)が工程d)(
図4のd
1およびd
2)に導入される。工程c’’)の液液分離は、好ましくは120~250℃の温度および10~100バールの圧力で行われる。一般に、工程c’’)は、液相からポリマーを分離するために使用できる。したがって、工程b)において、1つのポリオレフィンのみがポリマー溶液に溶解する場合、工程c’’)を実施し得るが、本発明の方法の残りの工程d)およびe)に起因して、実施する必要はない。しかしながら、工程b)において2以上のポリオレフィンがポリマー溶液に溶解する場合、工程c’’)を、ポリマーリッチ流が一方のポリオレフィンを運び、ポリマーリッチ流が他方のポリオレフィンを運ぶという点で、ポリマー溶液を分離するために使用できる。この場合、これらの各流れは、本発明の方法の後続工程d)およびe)に供される。ポリマー溶液が2を超えるポリオレフィンを含む場合、工程c’’)の第1の液液分離工程の条件は、好ましくは、1つのポリオレフィンがポリマーリッチ流にあり、他の2つのポリオレフィンがポリマーリーン流にあるように選択される。ポリマーリーン流は再び、工程c’’)の第2の液液分離工程に供され、残りの2つのポリマーが互いに分離される(
図4参照)。したがって、2つ以上のポリマーがポリマー溶液(5)に溶解している場合、工程c’’)は、一連の液液分離工程となり得る。
【0044】
上述の工程c’’)を含む本発明のさらにより好ましい実施形態において、工程c)に続き工程c’’)に先行して、別の工程c’)が実施される(
図3参照)。この工程において、工程c)から取り出されたポリマー溶液(5)が再び均質化される。
【0045】
これにしたがって、ポリマー溶液(5)は、好ましくはタンク内で撹拌される。そこでは、混合物は、ポリオレフィン(2)が溶解溶媒(3)に完全に溶解することを確保する条件下に保たれる。好ましくは、該条件は工程b)の条件と同様に選択される。さらに、系内、つまりタンク内に気相が存在しないことを確実にする。したがって、工程c’)を出る流れは、1つの相流である。条件は、好ましくは100~300℃、より好ましくは110~290℃、最も好ましくは120~280℃の温度を示すように選択される。好ましくは、工程b)で用いられる圧力は、5~50バール、好ましくは7~45バール、最も好ましくは10~40バールの範囲である。好ましくは、工程c’)は、120~250℃の温度および10~100バールの圧力でポリマー溶液(5)流を提供するために実施される。工程c’)により、均質化されたポリマー溶液(5’)が得られ、次いで、これが液液分離工程c’’)に供給される。
【0046】
工程c’’)からのポリマーリーン流(7)が主に溶媒を含む場合、溶媒の精製後に接触工程b)に再導入できる(
図3および4参照)。溶媒の精製には、好ましくは、溶媒分子よりも低分子量および高分子量の分子の除去が含まれる。ポリマー溶液(5)中に1つのポリマーのみが溶解しており、工程c’’)で1つの液液分離工程が採用される場合、ポリマーリーン流(7)は主に溶媒を含む。しかしながら、2つ以上のポリマーがポリマー溶液に溶解している場合、先行する液液分離工程のポリマーリーン流に依然としてポリマーが含まれているため、ポリマーリーン流(7)は工程c’’)の最後の液液分離工程のポリマーリーン流である。
【0047】
ポリマーリーン流を接触工程b)に再循環させることには、消費するエネルギーおよび材料を少なくし、経済的かつ環境的に好ましい方法をもたらすという利点がある。
【0048】
ポリマーリッチ流(8)をポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに分離する気液分離工程d)は、好ましくはフラッシュ分離工程として実施される(
図2~5を参照)。好ましくは、工程d)は、ポリマーリッチ流(8)中の揮発性化合物を、主としてポリマーを含む凝縮相から蒸発させる条件下で実施される。工程d)で使用される温度は、好ましくは100~400℃、より好ましくは130~300℃、最も好ましくは170~250℃である。また好ましくは、工程d)で使用される圧力は、好ましくは1~15バール、より好ましくは1~5バール、最も好ましくは1~3バールである。工程d)が方法中の唯一のフラッシュ分離工程である場合、圧力条件は真空条件を下限として選択できる。それにしたがって、工程d)を出るポリマーリッチ凝縮流(10)は、150~250℃、好ましくは170~230℃、最も好ましくは190~210℃に冷却される。最も好ましくは、工程d)は、170~250℃の温度および1~3bargの圧力で実施されることが好ましい。
【0049】
ポリマーリーン蒸気流(9)は、精製後、工程b)で起こる溶解の要件に温度および圧力を調整した後、接触工程b)に再導入できる(
図2~5を参照)。
【0050】
工程d)は複数回、好ましくは連続して3回まで繰り返すことができる。したがって、そのような設定では、第1の工程d)を出たポリマーリーン蒸気相(8)は、再び第2のフラッシュ分離工程d’)に供され、それによって第2のポリマーリーン蒸気相(8’)が生成され、これは再度、第3のフラッシュ分離工程d’’)に供され得る。フラッシュ分離工程d)からd’’)は、それぞれ、ポリマーリッチ凝縮流(10)を生成し、これらを一緒に、または互いに別々にさらに処理できる。工程d)を連続して複数回実施する場合、圧力を工程ごとに低下させ、温度を工程ごとに上昇させる。したがって、工程d)の温度および圧力について記載する好ましいレベルは、工程d)、d’)およびd’’)で使用される温度および圧力を好ましくは決定する。液液分離工程c’’)が工程d)の前に採用される場合、圧力は工程d)に入る前にすでに10バール未満であってもよい。したがって、工程d)の条件をそれぞれ変更する必要がある。すなわち、工程c’’)のポリマーリッチ流の圧力を増加するか、工程d)の温度を増加するかのいずれかである。
【0051】
ポリマーリッチ凝縮流(10)、各ポリマーリッチ凝縮流(10)~(10
2)、または、ポリマーリッチ凝縮流(10)~(10
2)の組合せからポリマーを回収する工程e)は、好ましくは押出機で実施される(
図2~5を参照)。さらにより好ましくは、工程e)は脱揮押出機で実施される。より好ましくは、押出機は、大気条件では後方脱気手段を有し、真空条件では前方脱気ドームを有する。最も好ましくは、押出機は、脱気ドーム間への水の注入を利用する。
【0052】
したがって、
図2による好ましい実施形態において、少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と、好ましくは10~40バールの圧力および120~280℃の温度で接触させて、ポリマー溶液(5)および未溶解固体(6)のスラリー流(4)を生成する工程;
c)好ましくは固液分離および/または脱着によって、スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)およびポリマー溶液(5)流を得る工程;
d)ポリマー溶液(5)流を、好ましくは170~250℃の温度および1~3bargの圧力で、ポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)に気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程;
を含む。
【0053】
さらに、
図3による好ましい実施形態において、少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と、好ましくは10~40バールの圧力および120~280℃の温度で接触させて、ポリマー溶液(5)および未溶解固体(6)のスラリー流(4)を生成する工程;
c)好ましくは固液分離および/または脱着によって、スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)およびポリマー溶液(5)流を得る工程;
c’)好ましくは10~40バールの圧力および120~280℃の温度で、ポリマー溶液(5)を均質化し、均質化されたポリマー溶液(5’)を得る工程;
c’’)好ましくは120~250℃の温度および10~100バールの圧力で、均質化ポリマー溶液流(5’)をポリマーリーン流(7)とポリマーリッチ流(8)とに液液分離し、好ましくはポリマーリーン流を工程b)に戻す工程;
d)ポリマーリッチ流(8)を、好ましくは170~250℃の温度および1~3bargの圧力で、ポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程;
を含む。
【0054】
さらに、
図3による好ましい実施形態において、少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法は、以下の工程:
a)少なくとも2つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と、好ましくは10~40バールの圧力および120~280℃の温度で接触させて、ポリマー溶液(5)および未溶解固体(6)のスラリー流(4)を生成する工程;
c)好ましくは固液分離および/または脱着によって、スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)およびポリマー溶液(5)流を得る工程;
c’)場合により、好ましくは10~40バールの圧力および120~280℃の温度で、ポリマー溶液(5)を均質化し、均質化されたポリマー溶液(5’)を得る工程;
c’’
1)均質化ポリマー溶液流(5’)またはポリマー溶液流(5)を、好ましくは120~250℃の温度および10~100バールの圧力で、第1のポリオレフィン(2
1)を含むポリマーリーン流(7
1)と、第2のポリオレフィン(2
2)を含むポリマーリッチ流(8
1)とに液液分離し、好ましくはポリマーリーン流を工程b)に戻す工程;
c’’
2)ポリマーリーン流(7
1)を、好ましくは120~250℃の温度および10~100バールの圧力で、第2のポリマーリーン流(7
2)と第2のポリオレフィン(2
2)を含む第2のポリマーリッチ流(8
2)とに液液分離し、好ましくは第2のポリマーリーン流(7
2)を工程b)に戻す工程;
d
1)ポリマーリッチ流(8
1)を、好ましくは170~250℃の温度および1~3bargの圧力で、ポリマーリーン蒸気流(9
1)とポリマーリッチ凝縮流(10
1)とに気液分離し、好ましくはポリマーリーン蒸気流(9
1)を工程b)に戻す工程;
d
2)第2のポリマーリッチ流(8
2)を、好ましくは170~250℃の温度および1~3bargの圧力で、第2のポリマーリーン蒸気流(9
2)と第2のポリマーリッチ凝縮流(10
2)とに気液分離し、好ましくは第2のポリマーリーン蒸気流(9
2)を工程b)に戻す工程;
e
1)ポリマーリッチ凝縮流(10
1)から第2のポリオレフィン(2
2)を回収する工程;
e
2)ポリマーリッチ凝縮流(10
2)から第1のポリオレフィン(2
1)を回収する工程;
を含む。
【0055】
この特定の実施形態は、該方法において2つのポリマーを同時に溶解できるため、単一の連続した方法で分離でき、方法の経済性を向上させるという利点を有する。
【0056】
好ましくは、本発明の方法は、廃ポリマー材料(1)を得る工程a)に続く前処理工程a’)と、廃ポリマー材料(1)を溶解溶媒(3)と接触させる工程b)とを含む(
図5参照)。このような前処理工程は、抽出工程および/または溶融工程を含むことができる。好ましくは、前処理工程a’)は溶融工程を含む。本発明の特に好ましい実施形態において、前処理工程a’)は、第1の抽出工程、その後の溶融工程、および場合により前記溶融工程に続く別の第2の抽出工程を含む。
【0057】
前処理工程a’)が抽出工程を含む場合、廃ポリマー材料(1)を抽出溶媒(3e)と接触させて、廃ポリマー材料(1)中に存在する不要な物質を除去する。したがって、抽出溶媒(3e)は、1バールの圧力において溶解溶媒(3)と同じ沸点を有することが好ましい。より好ましくは、抽出溶媒(3e)は溶解溶媒(3)と同一である。一般に、工程a’)で選択される条件は、工程b)の条件より穏やかであるが、より穏やかとは、より低い温度およびより低い圧力を定義する。一般に、工程a’)の条件は、対象とするポリオレフィンを溶解せず、他の成分のみを溶解するように選択される。
【0058】
前処理工程a’)が溶融工程を含む場合、廃ポリマー材料(1)が押出機に供給され、初めにそこでポリマーが溶融される(
図6参照)。続いて、かつ好ましくは、ポリマー溶融物を溶融ポンプに供給して、溶融物内の圧力を高める。溶融物中の圧力が高いと、溶融物ふるい(melt sieves)を介して材料の固体粒子や不純物を選別する能力が高まるという利点がある。さらに、ポリマー材料の後の分離工程への供給が確実になされる。
【0059】
前処理工程a’)が溶融工程を含む場合、抽出溶媒(3e)は、好ましくは溶融ポンプの下流の混合装置内で溶融ポリマーと混合される。これにより、抽出溶媒(3e)と溶融ポリマーとの急速な混合が促進される。溶融ポリマーと抽出溶媒(3e)との混合物における抽出溶媒(3e)の最終濃度は、好ましくは1.0~95重量%である。好ましくは、混合装置は静止型ミキサーまたは動的ミキサーであり、より好ましくはメンテナンス費用が低いという利点を有する静止型ミキサーである(
図6参照)。
【0060】
抽出溶媒(3e)と溶融ポリマーとの混合中に、均質なポリマー混合物を生成できる。このような場合、抽出溶媒(3e)が溶解工程b)で使用される溶解溶媒(3)と同一であると有利である。このような設定には、溶解工程b)における溶解時間が大幅に短縮されるという利点がある。さらに、この方法は連続的な方法で実施できる。
【0061】
抽出溶媒(3e)がポリマー溶融物から再度除去される場合、この工程は、溶融工程に続く第2の抽出工程とみなすことができる。
【0062】
抽出溶媒(3e)の添加は、単一工程または複数工程で行うことができる。複数の工程は、抽出と溶解をさらに促進できる。工程a’)で使用される温度および圧力は、好ましくは150~250℃および50~150バールである。
【0063】
ポリマーを溶融する工程の主な利点は、好ましくは溶融物を濾過でき、したがって溶融状態にない不純物を工程b)の前に除去できることである。さらに、脱気ドームを追加で使用する場合、このような設定は、水や揮発性物質などの気体成分を脱気する可能性をもたらす。別の利点は、溶融嵩密度が固体ポリマーと比較して比較的高いことである。これにより流動性が向上し、該ポリマーを接触工程b)に供給することが容易になる。さらに、この方法は連続モードで実施でき、抽出工程を削除することで簡素化できる。最後に、方法から抽出工程を除く場合、必要な溶媒サイクルは1回だけであり、該方法の複雑さがさらに低減されるだけでなく、必要な材料とエネルギーの消費も低減される。
【符号の説明】
【0064】
1:廃ポリマー材料
1a:溶融廃ポリマー材料
2:ポリオレフィン
3:溶解溶剤
3e:抽出溶媒
4:未溶解固体とポリマー溶液とのスラリー
5:ポリマー溶液
6:未溶解固体
7:ポリマーリーン流(液液分離工程で生成)
8:ポリマーリッチ流(液液分離工程で生成)
9:ポリマーリーン蒸気流(気液分離工程で生成)
10:ポリマーリッチ凝縮流(気液分離工程で生成)
a):廃ポリマー材料(1)を得る工程
a’):廃ポリマー材料(1)を前処理する工程
b):ポリオレフィン(1)を溶解する工程
c):ポリマー溶液をスクリーニングする工程
c’):ポリマー溶液を均質化する工程
c’’):ポリマー溶液(5)からポリオレフィンを液液分離する工程
d):ポリマー溶液(5)またはポリマーリッチ流(8)のいずれかの溶媒からポリマーを気液分離する工程
e):ポリオレフィン(2)を回収する工程
【0065】
工程c’’)およびd)は連続して複数回発生する可能性があるため、それらはc’’1またはd2と表すことができるが、該インデックスは工程の連続処理の順序を示していると理解すべきである(つまり、1→1番目、2→2番目)。同じことが、前記複数の工程の下流に続く流(ストリーム)およびその下流に続く工程にも当てはまる(すなわち、e2)。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法であって、前記廃ポリマー材料(1)が少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含み、前記方法が以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と接触させて、ポリマー溶液(5)と未溶解固体(6)とのスラリー流(4)を生成する工程;
c)スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)とポリマー溶液(5)流とを生成する工程;
d)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程;
を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒(3)が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、方法。
【請求項2】
前記方法が、工程c)に続き工程d)に先行して以下の工程:
C’’)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン流(7)とポリマーリッチ流(8)とに液液分離する工程をさらに含み、前記ポリマーリッチ流(8)が工程d)に供給される、請求項1に記載の溶剤系リサイクル方法。
【請求項3】
工程c)が、ポリマー溶液(5)から未溶解固体(6)を固液分離する工程を含む、請求項2に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項4】
工程c)に続き工程c’’)に先行して実施される、ポリマー溶液(5)を受取り、均質化ポリマー溶液(5’)を得る均質化工程c’)をさらに含み、前記均質化ポリマー溶液(5’)が工程c’’)に供給される、請求項
2に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項5】
前記方法が、工程a)に続き工程b)に先行して以下の工程:
a’)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの抽出溶媒(3e)で抽出する、または、廃ポリマー材料(1)を溶融する工程
をさらに含む、請求項
1に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項6】
前記工程a’)が、前記廃ポリマー材料(1)を溶融して溶融廃材料(1a)を生成する、請求項5に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項7】
工程a’)において、混合装置内で溶融廃材料(1a)が溶解溶媒(3)と混合される、請求項6に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項8】
工程c’’)が少なくとも2回実施され、第1工程c’’
1)のポリマーリーン流(7
1)が第2工程C’’
2)に供給される、請求項
2に記載の溶媒系リサイクル方法。
【請求項9】
工程d)が少なくとも2回実施され、第1工程d’)のポリマーリッチ凝縮流(10)が第2工程d’’)に供給される、請求項
1に記載の溶媒系リサイクル方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
工程c’’)およびd)は連続して複数回発生する可能性があるため、それらはc’’1またはd2と表すことができるが、該インデックスは工程の連続処理の順序を示していると理解すべきである(つまり、1→1番目、2→2番目)。同じことが、前記複数の工程の下流に続く流(ストリーム)およびその下流に続く工程にも当てはまる(すなわち、e2)。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
[1]廃ポリマー材料(1)をリサイクルするための溶媒系リサイクル方法であって、前記廃ポリマー材料(1)が少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含み、前記方法が以下の工程:
a)少なくとも1つのポリオレフィン(2)を含む廃ポリマー材料(1)を得る工程;
b)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの溶解溶媒(3)と接触させて、ポリマー溶液(5)と未溶解固体(6)とのスラリー流(4)を生成する工程;
c)スラリー流(4)をスクリーニングして、未溶解固体(6)とポリマー溶液(5)流とを生成する工程;
d)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン蒸気流(9)とポリマーリッチ凝縮流(10)とに気液分離する工程;
e)少なくとも1つのポリオレフィン(2)をポリマーリッチ凝縮流(10)から回収する工程;
を含み、前記少なくとも1つの溶解溶媒(3)が、1バールで70℃以上の沸点温度を有する、方法。
[2]前記方法が、工程c)に続き工程d)に先行して以下の工程:
C’’)ポリマー溶液(5)流をポリマーリーン流(7)とポリマーリッチ流(8)とに液液分離する工程をさらに含み、前記ポリマーリッチ流(8)が工程d)に供給される、前記[1]に記載の溶剤系リサイクル方法。
[3]工程c)が、ポリマー溶液(5)から未溶解固体(6)を固液分離する工程を含む、前記[2]に記載の溶媒系リサイクル方法。
[4]工程c)に続き工程c’’)に先行して実施される、ポリマー溶液(5)を受取り、均質化ポリマー溶液(5’)を得る均質化工程c’)をさらに含み、前記均質化ポリマー溶液(5’)が工程c’’)に供給される、前記[1]~[4]のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
[5]前記方法が、工程a)に続き工程b)に先行して以下の工程:
a’)廃ポリマー材料(1)を少なくとも1つの抽出溶媒(3e)で抽出する、または、廃ポリマー材料(1)を溶融する工程
をさらに含む、前記[1]~[4]のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
[6]前記工程a’)が、前記廃ポリマー材料(1)を溶融して溶融廃材料(1a)を生成する、前記[5]に記載の溶媒系リサイクル方法。
[7]工程a’)において、混合装置内で溶融廃材料(1a)が溶解溶媒(3)と混合される、前記[6]に記載の溶媒系リサイクル方法。
[8]工程c’’)が少なくとも2回実施され、第1工程c’’
1
)のポリマーリーン流(7
1
)が第2工程C’’
2
)に供給される、前記[2]~[7]のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
[9]工程d)が少なくとも2回実施され、第1工程d’)のポリマーリッチ凝縮流(10)が第2工程d’’)に供給される、前記[1]~[8]のいずれかに記載の溶媒系リサイクル方法。
【国際調査報告】