(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】R-T-B磁石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20240319BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240319BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240319BHJP
C21D 6/00 20060101ALI20240319BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20240319BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20240319BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20240319BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20240319BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20240319BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240319BHJP
【FI】
H01F1/057
H01F1/057 130
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
C21D6/00 C
B22F9/04 C
B22F9/04 E
B22F3/00 F
B22F3/24 B
B22F3/24 K
B22F1/052
C22C33/02 J
B22F1/00 Y
B22F9/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544210
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022072248
(87)【国際公開番号】W WO2022193817
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110286616.X
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】福建省金龍稀土股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】牟維国
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB05
4K017BB09
4K017BB12
4K017BB13
4K017BB18
4K017CA07
4K017DA04
4K017EA03
4K017EA08
4K018AA27
4K018BA18
4K018BB04
4K018CA04
4K018CA11
4K018DA21
4K018FA08
4K018FA11
4K018KA45
5E040AA04
5E040AA19
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB03
5E040HB06
5E040HB11
5E040HB17
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN17
5E040NN18
5E062CD04
5E062CF01
5E062CG02
5E062CG03
5E062CG05
(57)【要約】
【課題】本発明は、R-T-B磁石及びその製造方法を開示する。
【解決手段】当該R-T-B磁石は、下記の成分を含み、R:≧30.0wt.%、前記Rは、希土類元素であり、Cu:0.16~0.6wt.%、Ti:0.4~0.8wt.%、Ga:≦0.2wt.%、B:0.955~1.2wt.%、Fe:58~69%、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率である。本発明におけるR―T―B磁石は、高い残留磁束密度、保磁力及び角型比が高くて、高温安定性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
R-T-B磁石であって、下記の成分を含み、
R:≧30.0wt.%、前記Rは、希土類元素であり、
Cu:0.16~0.6wt.%、
Ti:0.4~0.8wt.%、
Ga:≦0.2wt.%、
B:0.955~1.2wt.%、
Fe:58~69%、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率である、
ことを特徴とするR-T-B磁石。
【請求項2】
前記Rの含有量は、30.5wt.%以上であり、好ましくは、30.5~32wt.%であり、例えば30.6wt.%又は32wt.%であり、
及び/又は、前記Rは、Ndをさらに含み、
ここで、前記Ndの含有量は、好ましくは、29~31wt.%であり、例えば28.6wt.%、29.6wt.%、29.8wt.%、30wt.%、30.2wt.%、30.4wt.%、30.6wt.%又は31wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率であり、
及び/又は、前記Rは、Pr及び/又はRHをさらに含み、前記RHは、重希土類元素であり、
ここで、前記Prの含有量は、好ましくは、0.3wt.%以下であり、
ここで、前記RHの含有量は、好ましくは、2wt.%以下であり、例えば、0.2wt.%、0.4wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%、1wt.%又は2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率であり、
ここで、前記RHの種類は、好ましくは、Tb及び/又はDyを含み、
前記RがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、1.4wt.%以下であり、例えば0.2wt.%、0.4wt.%、0.5wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%又は1wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率であり、
前記RがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、0.5~2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率であり、
前記RHの原子百分率含有量と前記Rの原子百分率含有量との比は、0.1以下であってもよく、例えば0.02、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08又は0.09であり、前記の原子百分率含有量は、各成分の総含有量に占める原子百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項3】
前記Cuの含有量は、0.16~0.45wt.%であり、例えば0.16wt.%、0.21wt.%、0.34wt.%又は0.45wt.%であり、好ましくは、0.16~0.35wt.%であり、
及び/又は、前記Tiの含有量は、0.4~0.7wt.%であり、例えば0.4wt.%、0.45wt.%、0.55wt.%、0.6wt.%又は0.7wt.%であり、好ましくは、0.4~0.5wt.%であり、
及び/又は、前記Gaの含有量は、0.01~0.19wt.%であり、例えば0.01wt.%、0.02wt.%、0.06wt.%又は0.19wt.%であり、好ましくは、0.01~0.06wt.%であり、
及び/又は、前記Bの含有量は、0.96~1.15wt.%であり、例えば0.96wt.%、1wt.%、1.04wt.%又は1.15wt.%であり、
及び/又は、前記Bの原子百分率含有量と前記R-T-B磁石におけるRの原子百分率含有量との比は、0.35以上であり、例えば0.401、0.420、0.436、0.437、0.438、0.455又は0.503であり、好ましくは、0.42~0.51であり、
及び/又は、前記Feの含有量は、66~68wt.%であり、例えば66.3wt.%、66.66wt.%、66.68wt.%、67.09wt.%、67.43wt.%、67.5wt.%、67.54wt.%、67.57wt.%、67.58wt.%、67.64wt.%、67.67wt.%、67.68wt.%、67.7wt.%、67.75wt.%又は67.8wt.%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項4】
前記R-T-B磁石は、Alをさらに含み、
ここで、前記Alの含有量は、好ましくは、0.18wt.%以下であり、例えば0.02wt.%、0.04wt.%、0.05wt.%、0.06wt.%、0.07wt.%又は0.14wt.%、より好ましくは、0.02~0.08wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率であり、
及び/又は、前記R-T-B磁石は、Coをさらに含み、
ここで、前記Coの含有量は、好ましくは、0.5~1.5wt%であり、例えば1wt.%、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項5】
前記R-T-B磁石には、好ましくは、Ti
xCu
yB
1-x-y相をさらに含み、xは、20~30であり、yは、20~30であり、1-x-yは、40~60であり、x、y、1-x-yは、それぞれ前記Ti
xCu
yB
1-x-y相におけるTi、Cu、Bの原子百分率含有量の割合を意味し、前記Ti
xCu
yB
1-x-y相は、結晶粒間三角領域に位置し、前記Ti
xCu
yB
1-x-y相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、1~5%であり、
ここで、前記xの値は、例えば、21、22、23、24、25又は27であり、
ここで、前記yの値は、例えば、21、22、23、24、25、26又は27であり、
ここで、前記1-x-yの値は、例えば、48、49、50、51、52、53、55又は58であり、
ここで、前記Ti
xCu
yB
1-x-y相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、好ましくは、2.5~4%であり、例えば2.9%、3.2%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%又は3.9%である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のR-T-B磁石。
【請求項6】
前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
23Cu
25B
52相を含み、前記Ti
23Cu
25B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.8wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
23Cu
24B
53相を含み、前記Ti
23Cu
24B
53相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30wt.%のNd、0.6wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
22Cu
26B
52相を含み、前記Ti
22Cu
26B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.2wt.%のNd、0.4wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.08wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
25Cu
25B
50相を含み、前記Ti
25Cu
25B
50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.4wt.%のNd、0.2wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.02wt.%のAl及び67.7wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
26B
50相を含み、前記Ti
24Cu
26B
50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.6wt.%のNd、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
22Cu
23B
55相を含み、前記Ti
22Cu
23B
55相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.2%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、1wt.%のCo、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び66.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
26Cu
25B
49相を含み、前記Ti
26Cu
25B
49相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.6wt.%のNd、1wt.%のCo、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び66.66wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
25B
51相を含み、前記Ti
24Cu
25B
51相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.2%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.19wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.5wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
23Cu
25B
52相を含み、前記Ti
23Cu
25B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、2.9%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.55wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.57wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
27Cu
25B
48相を含み、前記Ti
27Cu
25B
48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.7wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.43wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
25Cu
25B
50相を含み、前記Ti
25Cu
25B
50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.34wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.54wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
24B
52相を含み、前記Ti
24Cu
24B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.7%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1.04wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
21Cu
21B
58相を含み、前記Ti
21Cu
21B
58相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、31wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、0.96wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び66.3wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
25Cu
23B
52相を含み、前記Ti
25Cu
23B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.9%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.8wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.14wt.%のAl及び67.58wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
26B
50相を含み、前記Ti
24Cu
26B
50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.45wt.%のCu、0.6wt.%のTi、1.15wt.%のB、0.06wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.09wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
27Cu
23B
50相を含み、前記Ti
27Cu
23B
50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.16wt.%のCu、0.4wt.%のTi、0.96wt.%のB、0.01wt.%のGa、0.07wt.%のAl及び67.8wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
25B
51相を含み、前記Ti
24Cu
25B
51相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.4wt.%のTi、1wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.75wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
26Cu
26B
48相を含み、前記Ti
26Cu
26B
48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.1wt.%のNd、0.5wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
25Cu
27B
48相を含み、前記Ti
25Cu
27B
48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、28.6wt.%のNd、2wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.5wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.03wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
27Cu
28B
45相を含み、前記Ti
27Cu
28B
45相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、0.5wt.%のTb、0.5wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.48wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び67.63wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti
24Cu
24B
52相を含み、前記Ti
24Cu
24B
52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項7】
R-T-B磁石の製造方法であって、
請求項1~4及び6のいずれか1項に記載のR-T-B磁石の各成分の原料混合物を時効処理及び時効処理するステップを含む、
ことを特徴とするR-T-B磁石の製造方法。
【請求項8】
前記焼結処理の温度は、1000~1100℃、例えば1080℃であり、
及び/又は、前記焼結処理の時間は、4~8hであり、例えば6hであり、
及び/又は、前記時効処理は、1段目時効処理と2段目時効処理を含み、
ここで、前記1段目時効処理の温度は、好ましくは860~920℃であり、例えば880℃又は900℃であり、前記1段目時効処理の時間は、好ましくは2.5~4hであり、例えば3hであり、
ここで、前記2段目時効処理の温度は、好ましくは460~530℃であり、例えば500℃、510℃又は520℃であり、前記2段目時効処理の時間は、好ましくは2.5~4hであり、例えば3hであり、
及び/又は、前記R-T-B磁石が重希土類元素をさらに含む場合、前記時効処理の後に粒界拡散をさらに含み、
ここで、前記粒界拡散の温度は、800~900℃であってもよく、例えば850℃であり、前記粒界拡散の時間は、5~10hであってもよく、例えば8hであり、
ここで、前記R-T-B磁石内の重希土類元素の添加方式は、好ましくは、0~80%の重希土類元素を溶解製錬時に添加し、且つ残部の重希土類元素を溶解製錬時に添加する方式を採用し、例えば25%、30%、40%、50%又は67%であり、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%より大きい場合、40~67%のTbを溶解製錬時に添加し、残部を粒界拡散時に添加し、又は、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTb及びDyである場合、前記Tbを溶解製錬時に添加し、前記Dyを粒界拡散時に添加し、又は、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%以下である場合、又は、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がDyである場合、前記R-T-B磁石内の重希土類元素を粒界拡散時に添加し、
ここで、前記粒界拡散の後に、再度2段目時効処理を行うことが好ましく、前記再度2段目時効処理は、例えば460~530℃であり、具体的には、例えば500℃、510℃又は520℃であり、前記2段目時効処理の時間は、例えば2.5~4hであり、具体的には、例えば3hである、
ことを特徴とする請求項7に記載のR-T-B磁石の製造方法。
【請求項9】
前記焼結処理の前に、溶解製錬、鋳造、水素破砕、微粉砕及び磁場成形のステップをさらに含み、
ここで、前記溶解製錬の温度は、好ましくは1550℃以下であり、
ここで、前記鋳造の温度は、1390~1460℃であってもよく、例えば1400、1420℃又は1430℃であり、
ここで、前記水素破砕の工程は、水素吸収、脱水素、冷却処理の順に行われるものであってもよく、
ここで、前記粉砕の後に得られた粉体の粒径は、4.1~4.4μmであってもよく、例えば4.1μm、4.2μm又は4.3μmであり、
ここで、前記磁場成形の磁場強度は、好ましくは1.8~2.5Tであり、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のR-T-B磁石の製造方法。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載のR-T-B磁石の製造方法によって製造されたR-T-B磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R-T-B磁石及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネオジウム鉄ホウ素永久磁石材料は、重要な希土類機能材料として、優れた総合的な磁気特性を有し、電子業界、電気自動車等の多くの分野に広く適用されている。ただし、現在、ネオジム鉄ホウ素磁石材料は温度安定性が悪いため、高温領域での応用が制限されている。
【0003】
例えば、中国特許文献CN102412044Aは、23~30%のNd、0.5~8%のDy、0.2~0.5%のTi、2.5~4%のCo、0.2~3.8%のNb、0.05~0.7%のCu、0.01~0.9%のGa、0.6~1.8%のBを含んだネオジム鉄ホウ素磁石材料を開示している。この特許文献では、Ti、GaおよびCoを複合添加することによって、材料の耐食性を大幅に高めるとともに、Dyの代わりにGaが材料に一部の作用を果たし、コストを低減したことのみを記載している。ただし、この特許では、これは磁石材料の性能にどのように影響するかについては、これ以上検討していない。その実施例は、各成分の質量パーセント含有量、28.3%のNb、3.2%のDy、0.3%のTi、2.7%のCo、0.7%のNb、0.4%のCu、0.25%のGa、1.2%のBを開示している。この磁石材料の配合は、各元素のネオジム鉄ホウ素系磁石材料に対する磁気特性の向上を十分に活用することができず、良い保磁力、残留磁束密度および高温安定性を兼ね備えた磁石材料を得ることができない。
【0004】
現在、総合的な磁気性能がより良い磁石材料を得るため、従来技術におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の配合をさらに最適化する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ネオジウム鉄ホウ素磁石材料の成分により得られた磁石の残留磁束密度、保磁力、高温安定性及び角型比が同時に高いレベルに達することができないという従来技術に存在する欠陥を解決するために、R-T-B磁石及びその製造方法を提供する。本発明におけるR-T-B磁石中の特定元素の種類と特定含有量との間の配合により、残留磁束密度、保磁力及び角型比が高くて、高温安定性も優れた磁石材料を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、主に、以下の技術考案を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0007】
本発明には、R-T-B磁石が提供され、下記の成分を含み、R:≧30.0wt.%、前記Rは、希土類元素であり、
Cu:0.16~0.6wt.%、
Ti:0.38~0.8wt.%、
Ga:≦0.2wt.%、
B:0.955~1.2wt.%、
Fe:58~69%、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率である。
【0008】
本発明において、前記Rの含有量は、好ましくは、30.5wt.%以上であり、より好ましくは、30.5~32wt.%であり、例えば30.6wt.%又は32wt.%である。
【0009】
本発明において、前記Rは、一般的にNdをさらに含むことができる。
【0010】
ここで、前記Ndの含有量は、好ましくは、29~31wt.%であり、例えば28.6wt.%、29.6wt.%、29.8wt.%、30wt.%、30.2wt.%、30.4wt.%、30.6wt.%又は31wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0011】
本発明において、前記Rは、一般的にPr及び/又はRHをさらに含むことができ、前記RHは、重希土類元素である。
【0012】
ここで、前記Prの含有量は、好ましくは、0.3wt.%以下である。
【0013】
ここで、前記RHの含有量は、好ましくは、2wt.%以下であり、例えば、0.2wt.%、0.4wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%、1wt.%又は2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0014】
ここで、前記RHの種類は、好ましくは、Tb及び/又はDyを含む。
【0015】
前記RがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、1.4wt.%以下であり、例えば0.2wt.%、0.4wt.%、0.5wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%又は1wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0016】
前記RがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、0.5~2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0017】
ここで、前記RHの原子百分率含有量と前記Rの原子百分率含有量との比は、0.1以下であってもよく、例えば0.02、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08又は0.09であり、前記の原子百分率含有量は、各成分の総含有量に占める原子百分率を意味する。
【0018】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは、0.16~0.45wt.%であり、例えば0.16wt.%、0.21wt.%、0.34wt.%又は0.45wt.%であり、より好ましくは、0.16~0.35wt.%である。
【0019】
本発明において、前記Tiの含有量は、好ましくは、0.4~0.7wt.%であり、例えば0.4wt.%、0.45wt.%、0.55wt.%、0.6wt.%又は0.7wt.%であり、より好ましくは、0.4~0.5wt.%である。
【0020】
本発明において、前記Gaの含有量は、好ましくは、0.01~0.19wt.%であり、例えば0.01wt.%、0.02wt.%、0.06wt.%又は0.19wt.%であり、より好ましくは、0.01~0.06wt.%である。
【0021】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは、0.96~1.15wt.%であり、例えば0.96wt.%、1wt.%、1.04wt.%又は1.15wt.%である。
【0022】
本発明において、前記Bの原子百分率含有量と前記R-T-B磁石におけるRの原子百分率含有量との比は、0.35以上であってもよく、例えば0.401、0.420、0.436、0.437、0.438、0.455又は0.503であり、好ましくは、0.42~0.51であり、前記原子百分率含有量は、各成分の全含有量に占める原子百分率を意味する。
【0023】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは、66~68wt.%であり、例えば66.3wt.%、66.66wt.%、66.68wt.%、67.09wt.%、67.43wt.%、67.5wt.%、67.54wt.%、67.57wt.%、67.58wt.%、67.64wt.%、67.67wt.%、67.68wt.%、67.7wt.%、67.75wt.%又は67.8wt.%である。
【0024】
本発明において、一般的に、前記R-T-B磁石は、Alをさらに含んでもよい。
【0025】
ここで、前記Alの含有量は、好ましくは、0.18wt.%以下であり、例えば0.02wt.%、0.04wt.%、0.05wt.%、0.06wt.%、0.07wt.%又は0.14wt.%、好ましくは、0.02~0.08wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0026】
本発明において、一般的に、前記R-T-B磁石は、Coをさらに含んでもよい。
【0027】
ここで、前記Coの含有量は、好ましくは、0.5~1.5wt%であり、例えば1wt.%、wt.%は、各成分の総質量に占める質量百分率である。
【0028】
本発明において、当業者に知られているように、前記R-T-B磁石は、製造過程中に不可避的な不純物、例えばC及び/又はOをさらに導入することができる。
【0029】
本発明者らは、R-T-B磁石の配合を最適化することによって、前記特定含有量のCu、Ti、Gaなどの元素間の組み合わせで得られたR-T-B磁石の保磁力、高温安定性および角型比などの磁気特性が著しく向上したことを発見した。さらなる分析によって、本願の上記特定配合でR-T-B磁石を製造した後、R-T-B磁石中に特定面積割合のTixCuyB1-x-y相を形成し、当該物相の存在のため、結晶粒の成長を顕著に阻害し、磁石中の主相結晶粒の寸法をより均一にし、本発明の総合磁気特性に優れたR-T-B磁石を得ることができることを発見した。
【0030】
本発明において、前記R-T-B磁石には、好ましくは、TixCuyB1-x-y相をさらに含み、xは、20~30であり、yは、20~30であり、1-x-yは、40~60であり、ここで、x、y、1-x-yは、それぞれ前記TixCuyB1-x-y相におけるTi、Cu、Bの原子百分率含有量の割合を意味する。前記TixCuyB1-x-y相は、結晶粒間三角領域に位置し、前記TixCuyB1-x-y相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、1~5%である。本発明において、前記TixCuyB1-x-y相の面積又は前記「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積は、一般的にFE-EPMAによる検出時に、検出された前記R-T-Bの断面にそれぞれ占める面積を意味する。
【0031】
ここで、前記xの値は、例えば、21、22、23、24、25又は27である。
【0032】
ここで、前記yの値は、例えば、21、22、23、24、25、26又は27である。
【0033】
ここで、前記1-x-yの値は、例えば、48、49、50、51、52、53、55又は58である。
【0034】
ここで、前記TixCuyB1-x-y相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、好ましくは、2.5~4%であり、例えば2.9%、3.2%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%又は3.9%である。
【0035】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti23Cu25B52相を含み、前記Ti23Cu25B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0036】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.8wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti23Cu24B53相を含み、前記Ti23Cu24B53相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%である。
【0037】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30wt.%のNd、0.6wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti22Cu26B52相を含み、前記Ti22Cu26B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%である。
【0038】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30.2wt.%のNd、0.4wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.08wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti25Cu25B50相を含み、前記Ti25Cu25B50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0039】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30.4wt.%のNd、0.2wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.02wt.%のAl及び67.7wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu26B50相を含み、前記Ti24Cu26B50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0040】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30.6wt.%のNd、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti22Cu23B55相を含み、前記Ti22Cu23B55相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.2%である。
【0041】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、1wt.%のCo、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び66.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti26Cu25B49相を含み、前記Ti26Cu25B49相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%である。
【0042】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30.6wt.%のNd、1wt.%のCo、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び66.66wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu25B51相を含み、前記Ti24Cu25B51相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.2%である。
【0043】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.19wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.5wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti23Cu25B52相を含み、前記Ti23Cu25B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、2.9%である。
【0044】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.55wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.57wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti27Cu25B48相を含み、前記Ti27Cu25B48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0045】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.7wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.43wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti25Cu25B50相を含み、前記Ti25Cu25B50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%である。
【0046】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.34wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.54wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu24B52相を含み、前記Ti24Cu24B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.7%である。
【0047】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1.04wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti21Cu21B58相を含み、前記Ti21Cu21B58相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.6%である。
【0048】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、31wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、0.96wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び66.3wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti25Cu23B52相を含み、前記Ti25Cu23B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.9%である。
【0049】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.8wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.14wt.%のAl及び67.58wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu26B50相を含み、前記Ti24Cu26B50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%である。
【0050】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.45wt.%のCu、0.6wt.%のTi、1.15wt.%のB、0.06wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.09wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti27Cu23B50相を含み、前記Ti27Cu23B50相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0051】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.16wt.%のCu、0.4wt.%のTi、0.96wt.%のB、0.01wt.%のGa、0.07wt.%のAl及び67.8wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu25B51相を含み、前記Ti24Cu25B51相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%である。
【0052】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、1wt.%のTb、0.21wt.%のCu、0.4wt.%のTi、1wt.%のGa、0.04wt.%のAl及び67.75wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti26Cu26B48相を含み、前記Ti26Cu26B48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0053】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、30.1wt.%のNd、0.5wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.45wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.05wt.%のAl及び67.67wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti25Cu27B48相を含み、前記Ti25Cu27B48相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.4%である。
【0054】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、28.6wt.%のNd、2wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.5wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.03wt.%のAl及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti27Cu28B45相を含み、前記Ti27Cu28B45相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0055】
本発明の1つの具体的な実施例における前記R-T-B磁石は、29.6wt.%のNd、0.5wt.%のTb、0.5wt.%のDy、0.21wt.%のCu、0.48wt.%のTi、1wt.%のB、0.02wt.%のGa、0.06wt.%のAl及び67.63wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量が各成分総質量で占める質量百分率であり、前記R-T-B磁石の結晶粒間三角領域には、Ti24Cu24B52相を含み、前記Ti24Cu24B52相の面積と「ネオジムリッチ相及び結晶粒間三角領域」の総面積との比は、3.5%である。
【0056】
本発明は、前記R-T-B磁石の製造方法をさらに提供し、当該方法は、前記R-T-B磁石の各成分の原料混合物を焼結処理及び時効処理を行うステップを含む。
【0057】
本発明において、前記焼結処理の温度は、本分野における通常の温度、好ましくは1000~1100℃、さらには例えば1080℃とすることができる。
【0058】
本発明において、前記焼結処理は、真空条件下で行われることが好ましく、例えば5×10-3Paの真空条件で行われる。
【0059】
本発明において、前記焼結処理の時間は、当分野における通常のものを採用することができ、一般的に4~8hであり、例えば6hである。
【0060】
本発明において、前記時効処理は、当分野における通常の時効工程を採用することができ、一般的に1段目時効処理と2段目時効処理を含む。
【0061】
ここで、前記1段目時効処理の温度は、当分野における通常のものを採用することができ、好ましくは860~920℃であり、例えば880℃又は900℃である。
【0062】
ここで、前記1段目時効処理の時間は、当分野における通常のものを採用することができ、好ましくは2.5~4hであり、例えば3hである。
【0063】
ここで、前記2段目時効処理の温度は、当分野における通常のものを採用することができ、好ましくは460~530℃であり、例えば500℃、510℃又は520℃である。
【0064】
ここで、前記2段目時効処理の時間は、好ましくは2.5~4hであり、例えば3hである。
【0065】
本発明において、前記R-T-B磁石が重希土類元素をさらに含む場合、前記時効処理の後に一般的に粒界拡散をさらに含む。
【0066】
ここで、前記粒界拡散は、当分野における通常の工程であってもよく、重希土類元素を粒界拡散することが一般的である。
【0067】
前記粒界拡散の温度は、800~900℃であってもよく、例えば850℃である。前記粒界拡散の時間は、5~10hであってもよく、例えば8hである。
【0068】
ここで、前記R-T-B磁石内の重希土類元素の添加方式は、当分野における通常のものを参照すればよく、一般的に、0~80%の重希土類元素を溶解製錬時に添加し、且つ残部を粒界拡散時に添加する方式を採用し、例えば25%、30%、40%、50%又は67%である。溶解製錬時に添加される重希土類元素は、例えばTbである。
【0069】
例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%より大きい場合、40~67%のTbを溶解製錬時に添加し、残部を粒界拡散時に添加する。例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTb及びDyである場合、前記Tbを溶解製錬時に添加し、前記Dyを粒界拡散時に添加する。例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%以下である場合、又は、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がDyである場合、前記R-T-B磁石内の重希土類元素を粒界拡散時に添加する。
【0070】
ここで、前記粒界拡散の後に、再度2段目時効処理を行うことは一般的である。当該再度2段目時効処理の温度と時間範囲は、前述した通りである。温度は、例えば500℃である。時間は、例えば3hである。
【0071】
本発明において、当業者に知られているように、前記焼結処理の前に、一般的に、当分野における通常の溶解製錬、鋳造、水素破砕、微粉砕及び磁場成形の工程をさらに含む。
【0072】
ここで、前記溶解製錬の真空度は、例えば5×10-2Paである。
【0073】
ここで、前記溶解製錬の温度は、例えば1550℃以下である。
【0074】
ここで、前記溶解製錬は、一般的に高周波真空誘導溶解炉で行われる。
【0075】
ここで、前記鋳造の工程は、例えばストリップ鋳造方法を採用する。
【0076】
ここで、前記鋳造の温度は、1390~1460℃であってもよく、例えば1400、1420℃又は1430℃である。
【0077】
ここで、前記鋳造後に得られた合金鋳片の厚さは、0.25~0.40mmであってもよく、例えば0.29mmである。
【0078】
ここで、前記水素破砕の工程は、一般的に水素吸収、脱水素、冷却処理の順に行われるものであってもよい。
【0079】
前記水素吸収は、0.085MPaの水素圧力の条件下で行われることができる。
【0080】
前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件下で行われることができる。前記脱水素の温度は、480-520℃であってもよく、例えば500℃である。
【0081】
ここで、前記微粉砕の工程は、ジェットミル粉砕であることができる。
【0082】
ここで、前記粉砕の後に得られた粉体の粒径は、4.1~4.4μmであることができ、例えば4.1μm、4.2μm又は4.3μmである。
【0083】
ここで、前記微粉砕時のガス雰囲気は、酸化ガス含有量が1000ppm以下で行われることであってもよく、前記酸化ガス含有量は、酸素又は水分の含有量を意味する。
【0084】
ここで、前記微粉砕時の圧力は、例えば0.68MPaである。
【0085】
ここで、前記微粉砕の後、一般的に潤滑剤、例えばステアリン酸亜鉛をさらに添加する。
【0086】
ここで、前記潤滑剤の添加量は、前記微粉砕後に得られた粉体質量の0.05~0.15%であってもよく、例えば0.12%である。
【0087】
ここで、前記磁場成形は、1.8T以上の磁場強度及び窒素雰囲気の保護下で行われ、例えば1.8~2.5Tの磁場強度下で行われる。
【0088】
本発明は、前記製造方法を採用して得られたR-T-B磁石をさらに提供する。
【0089】
本分野の周知常識に準拠したうえで、前記各好適な条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各好適な実例が得られる。
【0090】
本発明で使用される試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0091】
本発明の積極的な進歩効果は、本発明のR-T-B磁石が特定含有量のCu、Ti、Gaなどの元素間の配合によって、各元素間の配合関係を最適化し、R-T-B磁石を製造する過程でミクロ構造を最適化し、それにより保磁力、高温安定性および角型比などの磁気特性が高い磁石材料を得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】
図1は、実施例1におけるTi
23Cu
25B
52相を有するR-T-B磁石のSEMによるマップであり、ここで、
図1の矢印aが示す位置は、結晶粒間三角領域におけるTi
23Cu
25B
52相である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明は前記実施例の範囲に制限されるものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の方法および条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。
実施例1
【0094】
表1に示すR-T-B磁石の成分に従って原料を調製し、以下の製造工程に従う。
(1)溶解製錬の工程:調製した原料(表1において、0.4wt.%のTbを溶解製錬時に添加し、残りの0.6wt.%は、下記の粒界拡散時に添加する)を真空度が5×10-2Paである高周波真空誘導溶解炉に入れ、1550℃以下の温度で溶融液を溶解製錬した。
(2)鋳造の工程:ストリップ鋳造方法を採用して、厚さが0.29mmである合金鋳片を得、鋳造の温度は、1420℃である。
(3)水素破砕工程:水素吸収、脱水素、冷却処理を行った。水素吸収は、0.085MPaの水素圧力の条件下で行われる。脱水素は、真空引きしながら昇温する条件下で行われ、脱水素温度は、500℃である。
(4)微粉砕工程::酸化ガス含有量が100ppm以下である雰囲気下でジェットミル粉砕を行って得られる粉体の粒径は4.2μmであり、酸化ガスは、酸素又は水分含有量を意味する。ジェットミル粉砕の研磨室の圧力は、0.68MPaである。粉砕後に、潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を添加し、添加量は、混合後の粉末重量の0.12%である。
(5)磁場成形の工程:磁場成形法を採用して、成形は、1.8~2.5Tの磁場強度と窒素雰囲気の保護下で行われた。
(6)焼結の工程:焼結処理は、5×10-3Paの真空条件で焼結、冷却を行う。1080℃下で6hの焼結を行い、冷却の前に、ガス圧が0.05MPaに達するようにArガスを導入することができる。
(7)時効処理:1段目時効の温度は900℃、時間は3hであり、2段目時効の温度は510℃、時間は3hである。
(8)粒界拡散処理:粒界拡散処理により、磁石材料に残りの0.6wt.%のTbを拡散し、粒界拡散処理の温度は850℃、時間は8hである。粒界拡散の後に、再度2段目時効処理を行い、温度は、500℃であり、時間は、3hである。
【0095】
実施例2~21及び比較例1~5におけるR-T-B磁石は、下記表1の成分で原料を調製し、実施例1の製造工程に従って製造される。ここで、実施例2、3、7、9~18及び比較例1~4には、いずれも溶解製錬時に0.4wt%のTbを添加し、残りのTbは粒界拡散によりR-T-B磁石に入り込み、実施例4、5、19及び20における重希土類元素は、いずれも粒界拡散工程で添加され、実施例21におけるTbは、溶解製錬時に添加され、Dyは、粒界拡散時に添加される。
効果実施例1
【0096】
1、成分測定:実施例1~21及び比較例1~5におけるR-T-B磁石に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)で測定した。試験結果は、表1に示す通りである。
【0097】
(表1)実施例1~21及び比較例1~4におけるR-T-B磁石の成分(wt.%)
【0098】
備考:/は、当該元素が含まれていないことを示す。最終製品のR-T-B磁石は、製造中にC、O及びMnが不可避的に導入され、各実施例および比較例で計算された含有量百分率の分母には、これらの不純物が含まれていない。一方、表1中の実施例15は、Alを0.14wt.%含んでおり、周知のように、当該Alの含有量の一部は、製造過程で導入された不純物であり、残りの実施例と比較例では0.08重量部以下のAlは、製造過程で導入されたものである。
【0099】
2、磁気特性試験
実施例1~21及び比較例1~5におけるR-T-B磁石は、PFMパルス式BH減磁曲線試験装置で試験されて、残留磁束密度(Br)、固有保磁力(Hcj)、最大エネルギー積(BHmax)及び角型比(Hk/Hcj)のデータを得ており、試験結果は、下記の表2に示す通りである。
【0100】
【0101】
3、ミクロ構造の試験
FE-EPMAによる検出:実施例1~21及び比較例1~5におけるR-T-B磁石の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA,日本電子株式会社(JEOL),8530F)を採用して検出した。まず、FE-EPMA面走査によりR-T-B磁石内のCu、Ti、B等の元素の分布を決定し、次に、FE-EPMA単点定量分析によりTi-Cu-B相における各元素の含有量を決定し、試験条件は、加速電圧15kv、プローブビーム電流50nAである。
【0102】
図1に示すように、
図1は、FE-EPMA検出によって得られた実施例1におけるR-T-B磁石のSEMによるマップである。SEMによるマップによってTi-Cu-B相の位置を確定し、これが結晶粒間三角領域にあり、さらにTi-Cu-B相の面積が占める割合を計算する。
図1の矢印aが示す位置は、結晶粒間三角領域における単点定量分析のCu-Nb-Fe相である。
【0103】
測定と計算によってわかるように、実施例1ではR-T-B磁石の結晶粒間三角領域にTi-Cu-B相が形成されており、このTi-Cu-B相中のTi、CuおよびBの原子パーセントは、23:25:52であり、Ti23Cu25B52相と示されている。Ti23Cu25B52相の面積と「結晶粒間三角領域及びネオジムリッチ相」の総面積との比(表3中では、物相の面積が占める割合と略称)は、3.5%である。当該Ti-Cu-B相の面積と「結晶粒間三角領域とネオジムリッチ相」の総面積とは、FE-EPMA検出時に、検出されたR-T-B磁石の断面(前述した垂直配向面)に占める面積をそれぞれ意味する。
【0104】
実施例1~21及び比較例1~5のR-T-B磁石におけるFE-EPMA検出結果は、下記表3に示す通りである。
【0105】
【0106】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、当業者は、これが単なる例示的なものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲によって限定されていることを理解するだろう。当業者は、本発明の原理と本質を逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変更または修正を加えることができるが、これらの変更および修正は、いずれも本発明の保護範囲にある。
【国際調査報告】