(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】R-T-B磁石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20240319BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240319BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240319BHJP
C21D 6/00 20060101ALI20240319BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20240319BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20240319BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20240319BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240319BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01F1/057
H01F1/057 130
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
C21D6/00 C
B22F9/04 C
B22F9/04 E
B22F3/00 F
B22F3/24 B
B22F3/24 K
B22F1/00 Y
C22C33/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544211
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2022072252
(87)【国際公開番号】W WO2022193819
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110286519.0
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】福建省金龍稀土股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】牟維国
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB05
4K017BB08
4K017BB09
4K017BB12
4K017BB13
4K017CA07
4K017DA04
4K017EA03
4K017EA08
4K018AA27
4K018BA18
4K018CA04
4K018CA11
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4K018FA08
4K018FA11
4K018KA45
5E040AA04
5E040AA19
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB03
5E040HB06
5E040HB11
5E040HB17
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN17
5E040NN18
5E062CD04
5E062CF01
5E062CG02
5E062CG03
5E062CG05
(57)【要約】
【課題】本発明は、R-T-B磁石及びその製造方法を開示する。
【解決手段】当該R-T-B磁石は、下記の成分を含み、R:≧29wt.%、前記Rは、希土類元素であり、前記Rは、Ndを含み、前記Nd≧22wt.%、Ti+Nb:0.2~0.75wt.%、Cu:0.05~0.45wt.%、B:0.955~1.15wt.%、Fe:58~69wt.%、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、前記Tiと前記Nbとの質量比は、(1~5):1である。本発明は、R-T-B磁石内の添加元素間の配合関係を更に最適化し、当該成分を採用して、残留磁束密度、保磁力及び角型比などの磁気特性がいずれも優れたR-T-B磁石を製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
R-T-B磁石であって、
下記の成分を含み、
R:≧29wt.%、前記Rは、希土類元素であり、前記Rは、Ndを含み、
前記Nd≧22wt.%、
Ti+Nb:0.2~0.75wt.%、
Cu:0.05~0.45wt.%、
B:0.955~1.15wt.%、
Fe:58~69wt.%、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、前記Tiと前記Nbとの質量比は、(1~5):1である、
ことを特徴とするR-T-B磁石。
【請求項2】
前記Rの含有量は、30~32wt.%であり、例えば30wt.%、30.6wt.%、30.7wt.%又は31.2wt.%であり、
及び/又は、前記Ndの含有量は、25~31wt.%であり、例えば28.5wt.%、28.7wt.%、29.1wt.%、29.2wt.%、29.3wt.%、29.5wt.%、29.7wt.%又は30.4wt.%であり、
及び/又は、前記Rの種類はPr及び/又はRHを含み、前記RHは重希土類元素であり、
ここで、前記Prの含有量は、好ましくは、0.3wt.%以下であり、例えば0.2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率であり、
ここで、前記RHの含有量は、好ましくは、2.5wt.%以下であり、例えば0.5wt.%、0.8wt.%、1wt.%、1.1wt.%、1.4wt.%、2wt.%、2.2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率であり、
ここで、前記RHの種類は、好ましくは、Tb及び/又はDyを含み、
前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、0.5~1.4wt.%であり、例えば0.5wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%、1wt.%、1.1wt.%又は1.4wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率であり、
前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、0.5~2wt.%であり、例えば0.5wt.%、1wt.%、1.6wt.%又は2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率であり、
ここで、前記RHの原子百分率含有量と前記Rの原子百分率含有量との比は、好ましくは、0.1以下であり、例えば0.02、0.04又は0.06である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項3】
前記Ti+Nbの含有量は、0.22~0.7wt.%であり、例えば0.22wt.%、0.28wt.%、0.35wt.%、0.38wt.%、0.45wt.%、0.58wt.%、0.59wt.%又は0.7wt.%であり、好ましくは、0.25~0.55wt.%であり、
及び/又は、前記Tiと前記Nbとの質量比は、(1.2~4.8):1であり、例えば1.2:1、1.8:1、2.5:1、3.5:1、3.8:1、4:1又は4.8:1であり、より好ましくは、(1.5~3.5):1であり、
及び/又は、前記Tiの含有量は、0.12~0.56wt.%であり、例えば0.12wt.%、0.18wt.%、0.25wt.%、0.3wt.%、0.35wt.%、0.48wt.%又は0.56wt.%であり、
及び/又は、前記Nbの含有量は、0.08~0.14wt.%であり、例えば0.08wt.%、0.1wt.%、0.11wt.%又は0.14wt.%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項4】
前記Cuの含有量は、0.06~0.39wt.%であり、例えば0.06wt.%、0.15wt.%、0.31wt.%、0.34wt.%、0.35wt.%、0.36wt.%、0.38wt.%又は0.39wt.%であり、
及び/又は、前記Bの含有量は、0.98~1.1wt.%であり、例えば0.99wt.%であり、
及び/又は、前記Bの原子百分率含有量と前記R-T-B磁石内のRの原子百分率含有量との比は、0.38以上であり、例えば0.4、0.41、0.42、0.43又は0.44であり、
及び/又は、前記Feの含有量は、65~69wt.%であり、例えば66.64wt.%、67.14wt.%、67.25wt.%、67.33wt.%、67.42wt.%、67.47wt.%、67.55wt.%、67.62wt.%、67.64wt.%、67.68wt.%、67.7wt.%、67.74wt.%、67.88wt.%、67.97wt.%又は68.34wt.%であり、
及び/又は、上記のR-T-B磁石は、Coをさらに含み、
ここで、前記Coの含有量は、好ましくは、1.2wt.%以下であり、例えば0.5wt.%又は1wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項5】
上記のR-T-B磁石は、Ti
xNb
1相を含み、前記Xは、3~5であり、前記Ti
xNb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
xNb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1~2%であり、
ここで、前記Ti
xNb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、例えば1.3%、1.4%、1.5%、1.6%又は1.7%である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のR-T-B磁石。
【請求項6】
上記のR-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.40%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.38wt.%のCu、0.3wt.%のTi、0.08wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.55wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
4Nb
1相を含み、前記Ti
4Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
4Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.40%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.48wt.%のTi、0.11wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.33wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
5Nb
1相を含み、前記Ti
5Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
5Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.70%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.36wt.%のCu、0.56wt.%のTi、0.14wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.25wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
5Nb
1相を含み、前記Ti
5Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
5Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.80%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.12wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.7wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.34wt.%のCu、0.25wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.62wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.35wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.47wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
4Nb
1相を含み、前記Ti
4Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
4Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.6%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.31wt.%のCu、0.48wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.42wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
5Nb
1相を含み、前記Ti
5Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
5Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.5wt.%のNd、1.1wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.74wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、30.4wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.14wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.5wt.%のNd、0.5wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び68.34wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、28.7wt.%のNd、2wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、28.5wt.%のNd、0.6wt.%のTb、1.6wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.7wt.%のNd、1wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.2wt.%のNd、1wt.%のTb、0.5wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.5wt.%、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.14wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、1wt.%、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び66.64wt.%のFeの成分を含み、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.35wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.15wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.88wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.06wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.97wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%であり、
又は、前記R-T-B磁石は、29.1wt.%のNd、0.2wt.%のPr、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti
3Nb
1相を含み、前記Ti
3Nb
1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B磁石。
【請求項7】
R-T-B磁石の製造方法であって、
請求項1~4及び6のいずれか1項に記載のR-T-B磁石の各成分の原料混合物を時効処理した後、冷却処理するステップを含み、
前記時効処理は、1段目時効処理及び2段目時効処理を含み、
前記冷却処理の速度は、20℃/min以上である、
ことを特徴とするR-T-B磁石の製造方法。
【請求項8】
前記1段目時効処理の温度は、860~920℃、例えば900℃であり、
及び/又は、前記1段目時効処理の時間は、2.5~4h、例えば3hであり、
及び/又は、前記2段目時効処理の温度は、460~530℃、例えば510℃であり、
及び/又は、前記2段目時効処理の時間は、2.5~4h、例えば3hであり、
及び/又は、前記冷却処理の速度は、20~40℃/minである、
ことを特徴とする請求項7に記載のR-T-B磁石の製造方法。
【請求項9】
前記時効処理の前に、溶解製錬、鋳造、水素破砕、微粉砕、磁場成形及び焼結処理をさらに含み、
ここで、前記溶解製錬の真空度は、例えば5×10
-2Paであり、
ここで、前記溶解製錬の温度は、例えば1550℃以下であり、
ここで、前記鋳造の温度は、好ましくは、1390~1460℃であり、例えば1450℃であり、
ここで、前記鋳造後に得られた合金鋳片の厚さは、好ましくは、0.25~0.40mmであり、例えば0.29mmであり、
ここで、前記水素破砕の工程は、水素吸収、脱水素、冷却処理の順に行われることが好ましく、前記水素吸収は、0.085MPaの水素圧力の条件下で行われることが好ましく、前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件下で行われることが好ましく、前記脱水素の温度は、好ましくは、480~520℃であり、例えば500℃であり、
ここで、前記微粉砕は、ジェットミル粉砕であることが好ましく、
ここで、前記磁場成形は、好ましくは、1.8T以上の磁場強度及び窒素雰囲気の保護下で行われ、例えば1.8~2.5Tであり、
ここで、前記焼結処理の温度は、好ましくは、1000~1100℃であり、例えば1080℃であり、
ここで、前記焼結処理の時間は、好ましくは、4~8hであり、例えば6hであり、
及び/又は、前記R-T-B磁石に重希土類元素が含まれる場合、上記の冷却処理の後に粒界拡散処理をさらに含み、
ここで、前記粒界拡散処理の温度は、好ましくは、800~900℃であり、例えば850℃であり、
ここで、前記粒界拡散の時間は、好ましくは、5~10hであり、例えば8hであり、
ここで、前記R-T-B磁石内の重希土類元素の添加方式は、好ましくは、0~80%の重希土類元素を溶解製錬時に添加し、且つ残りの重希土類元素を粒界拡散時に添加する方式を採用し、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり、且つTbが0.5wt.%より大きい場合、25~50%のTbを溶解製錬時に添加し、残部を粒界拡散時に添加し、又は、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTb及びDyである場合、上記のTb溶解製錬時に添加し、上記のDyを粒界拡散時に添加し、又は、例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり、且つTbが0.5wt.%以下である場合又は前記R-T-B磁石内の重希土類元素がDyである場合、前記R-T-B磁石内の重希土類元素を粒界拡散時に添加する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のR-T-B磁石の製造方法。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載のR-T-B磁石の製造方法によって製造された、
ことを特徴とするR-T-B磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R-T-B磁石及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネオジウム鉄ホウ素永久磁石材料は、重要な希土類機能材料として、優れた総合的な磁気特性を有し、電子業界、電気自動車等の多くの分野に広く適用されている。しかしながら、従来のネオジウム鉄ホウ素磁石材料の総合的な磁気特性が悪く、特性がより優れた製品を製造することができなく、社会的需要を満足することができない。
【0003】
例えば、中国特許文献CN108831650Aは、ネオジウム鉄ホウ素材料にチタン、ジルコニウム、ニオブ、ガリウムをそれぞれ0.05~0.5%複合添加することにより、少量で複数種添加する原則を採用して、材料内の重希土類元素の用量を減少するとともに、各ブランドの2段目時効温度を統一し、2段目時効の普遍性を向上させることができる、ネオジウム鉄ホウ素磁石材料及びその製造方法を開示する。この4種類の複合元素の添加は、結晶粒を微細化するとともに粒界の希土類リッチ相の流動性を向上させる目的を達成し、材料の各項目の性能指標、特に固有保磁力及び角型比を向上させ、重稀土類用量を減少するとともに製品の角型比を改善し、製品の一貫性と高温安定性を向上させる。当該特許の実施例5の成分には、以下の質量含有量の成分を含み、30.3%のPrNd、0%のDy、0.97%のB、0.5%のCo、0.15%のCu、0.1%のAl、0.08%のTi、0.1%のNb、0.2%のGa、0.05%のZr、残部はFeである。ジェットミルを採用して3.0μmの微粉を製造し、焼結温度は1040℃であり、1段目時効温度は900℃、2段目時効温度は520℃である製造工程により、残留磁束密度が14.4、Hcjが12.5、最大エネルギー積が50.82、角型比が97%であるネオジウム鉄ホウ素磁石材料を得た。しかしながら、当該磁石材料の成分はさらに最適化されておらず、得られた磁石材料の保磁力は低いレベルにあり、高温時の磁気特性温度性も低いレベルにあり、より高く要求される製品には適用できない。
【0004】
製造後に高保磁力、高残留磁束密度、保磁力の高温安定性、高角型比の総合的な磁気特性に優れた磁石材料を得るように、ネオジウム鉄ホウ素磁石の成分を求めることが、現在解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ネオジウム鉄ホウ素磁石材料の成分により得られた磁石の残留磁束密度、保磁力、高温安定性及び角型比が同時に高いレベルに達することができないという従来技術に存在する欠陥を解決するために、R-T-B磁石及びその製造方法を提供する。本発明におけるR-T-B磁石中の特定元素の種類と特定含有量との間の配合により、残留磁束密度、保磁力及び角型比が高くて、高温安定性も優れた磁石材料を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は主に以下の技術考案により上記のような技術的課題を解決する。
【0007】
本発明には、R-T-B磁石が提供され、下記の成分を含み、R:≧29wt.%、前記Rは、希土類元素であり、前記Rは、Ndを含み、
前記Nd≧22wt.%、
Ti+Nb:0.2~0.75wt.%、
Cu:0.05~0.45wt.%、
B:0.955~1.15wt.%、
Fe:58~69wt.%、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、前記Tiと前記Nbとの質量比は、(1~5):1である。
【0008】
本発明において、前記Rの含有量は、好ましくは、30~32wt.%であり、例えば30wt.%、30.6wt.%、30.7wt.%又は31.2wt.%である。
【0009】
本発明において、前記Ndの含有量は、好ましくは、25~31wt.%であり、例えば28.5wt.%、28.7wt.%、29.1wt.%、29.2wt.%、29.3wt.%、29.5wt.%、29.7wt.%又は30.4wt.%である。
【0010】
本発明において、前記Rの種類は、一般的にPr及び/又はRHをさらに含み、前記RHは、重希土類元素である。
【0011】
ここで、前記Prの含有量は、好ましくは、0.3wt.%以下であり、例えば0.2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である。
【0012】
ここで、前記RHの含有量は、2.5wt.%以下であってもよく、例えば0.5wt.%、0.8wt.%、1wt.%、1.1wt.%、1.4wt.%、2wt.%又は2.2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である。
【0013】
ここで、前記RHの種類は、好ましくは、Tb及び/又はDyを含む。
【0014】
前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、0.5~1.4wt.%であり、例えば0.5wt.%、0.6wt.%、0.8wt.%、1wt.%、1.1wt.%又は1.4wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である。
【0015】
前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、0.5~2wt.%であり、例えば0.5wt.%、1wt.%、1.6wt.%又は2wt.%であり、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である。
【0016】
ここで、前記RHの原子百分率含有量と前記Rの原子百分率含有量との比は、0.1以下であってもよく、例えば0.02、0.04又は0.06であり、前記の原子百分率含有量は、各成分の総含有量に占める原子百分率を意味する。
【0017】
本発明において、前記Ti+Nbの含有量は、好ましくは、0.22~0.7wt.%であり、例えば0.22wt.%、0.28wt.%、0.35wt.%、0.38wt.%、0.45wt.%、0.58wt.%、0.59wt.%又は0.7wt.%であり、より好ましくは、0.25~0.55wt.%である。当業者に知られているように、前記Ti+Nbは、前記R-T-B磁石におけるTiの質量含有量とNbの質量含有量との総和を意味する。
【0018】
本発明において、前記Tiと前記Nbとの質量比は、好ましくは、(1.2~4.8):1であり、例えば1.2:1、1.8:1、2.5:1、3.5:1、3.8:1、4:1又は4.8:1であり、より好ましくは、(1.5~3.5):1である。
【0019】
本発明において、前記Tiの含有量は、好ましくは、0.12~0.56wt.%であり、例えば0.12wt.%、0.18wt.%、0.25wt.%、0.3wt.%、0.35wt.%、0.48wt.%又は0.56wt.%である。
【0020】
本発明において、前記Nbの含有量は、好ましくは、0.08~0.14wt.%であり、例えば0.08wt.%、0.1wt.%、0.11wt.%又は0.14wt.%である。
【0021】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは、0.06~0.39wt.%であり、例えば0.06wt.%、0.15wt.%、0.31wt.%、0.34wt.%、0.35wt.%、0.36wt.%、0.38wt.%又は0.39wt.%である。
【0022】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは、0.98~1.1wt.%であり、例えば0.99wt.%である。
【0023】
本発明において、前記Bの原子百分率含有量と前記Rの原子百分率含有量との比は、0.38以上であってもよく、例えば0.4、0.41、0.42、0.43又は0.44であり、前記の原子百分率含有量は、各成分の全含有量に占める原子百分率を意味する。
【0024】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは、65~69wt.%であり、例えば66.64wt.%、67.14wt.%、67.25wt.%、67.33wt.%、67.42wt.%、67.47wt.%、67.55wt.%、67.62wt.%、67.64wt.%、67.68wt.%、67.7wt.%、67.74wt.%、67.88wt.%、67.97wt.%又は68.34wt.%である。
【0025】
本発明において、上記のR-T-B磁石は、当分野における通常の添加元素、例えばCoをさらに含んでもよい。
【0026】
ここで、前記Coの含有量は、好ましくは、1.2wt.%以下であり、例えば0.5wt.%又は1wt.%、wt.%は、各成分の総質量に占める百分率である。
【0027】
本発明において、当業者に知られているように、上記のネオジウム鉄ホウ素磁石材料は、一般的に製造過程中に不可避的な不純物、例えばC、O、Mn及びAlのうちの1つ又は複数をさらに導入することができる。
【0028】
本発明において、発明者らは、上記の特定元素及びその含有量間の配合により、R-T-B磁石として製造された後、保磁力及び角型比等の磁気特性が明らかに改善された磁石材料を得ることができることを見出した。さらに分析した結果、上記特定成分の原料からなる磁石は、R-T-B磁石として製造された後、Ndリッチ相と主相粒子との間に特定面積割合のTixNb1相が形成され、前記Xは、3~5であり、さらに、結晶粒の成長が著しく抑制され、結晶粒を微細化し、さらに、磁石材料の性能を向上させる。
【0029】
本発明において、上記のR-T-B磁石には、好ましくは、TixNb1相をさらに含み、前記Xは、3~5であり、前記TixNb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置する。当業者が上記のTixNb1相から分かるように、サブスクリプトのうちの「x」及び「1」は、一般的に、それぞれ前記TixNb1相におけるTiの原子百分率含有量及び前記TixNb1相におけるNbの原子百分率含有量の比を意味する。
【0030】
本発明において、当業者に知られているように、上記のNdリッチ相は、一般的に、上記の主相粒子を被覆している。従って、本発明において、前記R-T-B磁石における主相粒子は、一般的にTixNb1相及びNdリッチ相によって順次に被覆されている。
【0031】
ここで、前記TixNb1相の面積と主相粒子の総面積との比が、好ましくは、1~2%であり、例えば1.3%、1.4%、1.5%、1.6%又は1.7%である。当業者に知られているように、上記の主相粒子は、一般的に、Nd2Fe14B相を意味する。本発明において、前記TixNb1相の面積又は前記主相粒子の総面積は、一般的にFE-EPMAによる検出時に、検出された前記R-T-Bの断面にそれぞれ占める面積を意味する。
【0032】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.40%である。
【0033】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.38wt.%のCu、0.3wt.%のTi、0.08wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.55wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti4Nb1相を含み、前記Ti4Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti4Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.40%である。
【0034】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.48wt.%のTi、0.11wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.33wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti5Nb1相を含み、前記Ti5Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti5Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.70%である。
【0035】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.36wt.%のCu、0.56wt.%のTi、0.14wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.25wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti5Nb1相を含み、前記Ti5Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti5Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.80%である。
【0036】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.12wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.7wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%である。
【0037】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.34wt.%のCu、0.25wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.62wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0038】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.35wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.47wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti4Nb1相を含み、前記Ti4Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti4Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.6%である。
【0039】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.31wt.%のCu、0.48wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.42wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti5Nb1相を含み、前記Ti5Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti5Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0040】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.5wt.%のNd、1.1wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.74wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%である。
【0041】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、30.4wt.%のNd、0.8wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.14wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0042】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.5wt.%のNd、0.5wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び68.34wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%である。
【0043】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、28.7wt.%のNd、2wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%である。
【0044】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、28.5wt.%のNd、0.6wt.%のTb、1.6wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0045】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.7wt.%のNd、1wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%である。
【0046】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.2wt.%のNd、1wt.%のTb、0.5wt.%のDy、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%である。
【0047】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.5wt.%、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.14wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0048】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、1wt.%、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び66.64wt.%のFeの成分を含み、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0049】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.35wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.68wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0050】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.15wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.88wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0051】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.3wt.%のNd、1.4wt.%のTb、0.06wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.97wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.3%である。
【0052】
本発明の1つの好適な実施例における前記R-T-B磁石は、29.1wt.%のNd、0.2wt.%のPr、1.4wt.%のTb、0.39wt.%のCu、0.18wt.%のTi、0.1wt.%のNb、0.99wt.%のB及び67.64wt.%のFeの成分を含み、wt.%は、各成分の質量と各成分の総質量との比であり、上記のR-T-B磁石は、Ti3Nb1相を含み、前記Ti3Nb1相は、Ndリッチ相と主相粒子との間に位置し、前記Ti3Nb1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.5%である。
【0053】
本発明は、上記R-T-B磁石の製造方法をさらに提供し、当該方法は、上記のR-T-B磁石の各成分の原料混合物を時効処理した後、冷却処理するステップを含み、
前記時効処理は、1段目時効処理及び2段目時効処理を含み、
前記冷却処理の速度は、20℃/min以上である。
【0054】
本発明において、前記1段目時効処理の工程は、当分野における通常のものを採用することができる。
【0055】
ここで、前記1段目時効処理の温度は、860~920℃であってもよく、例えば900℃である。
【0056】
ここで、前記1段目時効処理の時間は、2.5~4hであってもよく、例えば3hである。
【0057】
本発明において、前記2段目時効処理の工程は、当分野における通常のものを採用することができる。
【0058】
ここで、前記2段目時効処理の温度は、460~530℃であってもよく、例えば510℃である。
【0059】
ここで、前記2段目時効処理の時間は、2.5~4hであってもよく、例えば3hである。
【0060】
本発明において、前記冷却処理の速度は、好ましくは、20~40℃/minである。上記の冷却処理は、時効処理後の材料を冷却する操作である。
【0061】
本発明において、当業者に知られているように、前記時効処理の前に、一般的に、溶解製錬、鋳造、水素破砕、微粉砕、成形及び焼結処理をさらに含む。
【0062】
ここで、前記溶解製錬は、当分野における通常の溶解製錬工程を採用することができる。
【0063】
前記溶解製錬の真空度は、例えば5×10-2Paである。
【0064】
前記溶解製錬の温度は、例えば1550℃以下である。
【0065】
上記の溶解製錬は、一般的に高周波真空誘導溶解炉で行われる。
【0066】
ここで、前記鋳造の工程は、当分野における通常のものを採用することができ、例えばストリップ鋳造方法を採用する。
【0067】
前記鋳造の温度は、1390~1460℃であってもよく、例えば1450℃である。
【0068】
前記鋳造後に得られた合金鋳片の厚さは、0.25~0.40mmであってもよく、例えば0.29mmである。
【0069】
ここで、前記水素破砕の工程は、一般的に水素吸収、脱水素、冷却処理の順に行われるものであってもよい。
【0070】
前記水素吸収は、0.085MPaの水素圧力の条件下で行われることができる。
【0071】
前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件下で行われることができる。前記脱水素の温度は、480-520℃であってもよく、例えば500℃である。
【0072】
ここで、前記微粉砕の工程は、当分野における通常の工程、例えばジェットミル粉砕を採用することができる。
【0073】
前記微粉砕時のガス雰囲気は、酸化ガス含有量が1000ppm以下で行われることであってもよく、前記酸化ガス含有量は、酸素又は水分の含有量を意味する。
【0074】
前記微粉砕時の圧力は、例えば0.68MPaである。
【0075】
前記微粉砕の後、一般的に潤滑剤、例えばステアリン酸亜鉛をさらに添加する。前記潤滑剤の添加量は、前記微粉砕後に得られた粉体質量の0.05~0.15%であってもよく、例えば0.12%である。
【0076】
ここで、前記成形の工程は、当分野における通常の工程を採用することができ、例えば磁場成形法を採用する。
【0077】
前記成形は、1.8T以上の磁場強度及び窒素雰囲気の保護下で行われ、例えば1.8~2.5Tの磁場強度下で行われる。
【0078】
ここで、前記焼結処理の工程は、当分野における通常のものであってもよい。前記焼結処理の温度は、1000~1100℃であってもよく、例えば1080℃である。前記焼結処理の時間は、4~8hであってもよく、例えば6hである。前記焼結処理は、真空条件下で行われることが好ましく、例えば5×10-3Paの真空条件で行われる。
【0079】
本発明において、上記のR-T-B磁石が重希土類元素をさらに含む場合、前記冷却処理の後に一般的に粒界拡散をさらに含む。
【0080】
ここで、上記の粒界拡散は、当分野における通常の工程であってもよく、重希土類元素を粒界拡散することが一般的である。
【0081】
前記粒界拡散の温度は、800~900℃であってもよく、例えば850℃である。前記粒界拡散の時間は、5~10hであってもよく、例えば8hである。
【0082】
ここで、前記R-T-B磁石内の重希土類元素の添加方式は、当分野における通常のものを参照すればよく、一般的に、0~80%の重希土類元素を溶解製錬時に添加し、且つ残部を溶解製錬時に添加する方式を採用し、例えば25%、28%、30%、40%、50%又は67%である。溶解製錬時に添加される重希土類元素は、例えばTbである。
【0083】
例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%より大きい場合、25~50%のTbを溶解製錬時に添加し、残部を粒界拡散時に添加する。例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTb及びDyである場合、上記のTbを溶解製錬時に添加し、上記のDyを粒界拡散時に添加する。例えば、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がTbであり且つTbが0.5wt.%以下である場合、又は、前記R-T-B磁石内の重希土類元素がDyである場合、前記R-T-B磁石内の重希土類元素を粒界拡散時に添加する。
【0084】
本発明は、上記の製造方法を採用して得られたR-T-B磁石をさらに提供する。
【0085】
本分野の周知常識に準拠したうえで、上記の各好適な条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各好適な実例が得られる。
【0086】
本発明で使用される試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0087】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にあり、即ち、本発明は、特定の配合関係のTi及びNb、並びにNd、Cu等の元素により、R-T-B磁石の成分をさらに最適化し、得られたR-T-B磁石の保磁力が著しく向上し、残留磁束密度、高安定性能及び角型比等の磁気特性も同時に高いレベルにある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】実施例1におけるR-T-B磁石のFE-EPMA検出結果である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明は上記の実施例の範囲に制限されるものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の方法および条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。
実施例1
【0090】
下記表1に示す実施例1のR-T-B磁石の成分に従って原料を調製し、原料混合物(表1の配合において、0.4wt.%のTbを溶解製錬時に添加する)に対して溶解製錬、鋳造、水素破砕、微粉砕、磁場成形、焼結、時効処理、冷却処理及び粒界拡散を順に行って得られた。ここで、原料混合物には重希土類元素が含まれていない。
【0091】
ここで、溶解製錬は、真空度が5×10-2Paである高周波真空誘導溶解炉で行われ、溶解製錬の温度は、1550℃以下である。
【0092】
ストリップ鋳造方法を採用して鋳造を行い、厚さが0.29mmである合金鋳片を獲得する。鋳造の温度は、1450℃である。
【0093】
水素破砕は、水素吸収、脱水素、冷却処理の順に行われるものである。水素吸収は、0.085MPaの水素圧力の条件下で行われる。脱水素は、真空引きしながら昇温する条件下で行われ、脱水素温度は、500℃である。
【0094】
微粉砕工程:ジェットミル粉砕は、酸化ガス含有量が100ppm以下である雰囲気下で行われる。酸化ガスは、酸素又は水分含有量を意味する。ジェットミル粉砕の研磨室の圧力は、0.68MPaである。粉砕後に、潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を添加し、添加量は、混合後の粉末重量の0.12%である。
【0095】
磁場成形は、1.8~2.5Tの磁場強度と窒素雰囲気の保護下で行われた。
【0096】
焼結処理は、5×10-3Paの真空条件と1080℃下で6hの焼結を行い、そして、冷却し、気圧が0.05MPaに達するように冷却の前にArガスを導入することができる。
【0097】
時効処理:1段目時効の温度は900℃、時間は3hであり、2段目時効の温度は510℃、時間は3hである。
【0098】
冷却処理の速度は、20℃/minである。
【0099】
粒界拡散処理:残りの重希土類元素(1wt.%のTb)を溶融した後、材料表面に付着して、850℃下で8hの粒界拡散を行う。
【0100】
2、実施例2~21及び比較例1~8におけるR-T-B磁石の原料の成分及び冷却処理の速度は、表1に示す通りであり、その他の製造工程は実施例1と同様である。ここで、実施例2~10、16~21及び比較例1~8には、いずれも溶解製錬時に0.4wt%のTbを添加し、残りのTbは粒界拡散によりR-T-B磁石に入り込み、実施例11における0.4wt%Tbは、粒界拡散のみによりR-T-B磁石に入り込み、実施例13及び実施例15におけるTbは、溶解製錬時に添加され、Dyは、粒界拡散によりR-T-B磁石に入り込む。
効果実施例1
【0101】
1、成分測定:実施例1~21及び比較例1~8におけるR-T-B磁石に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)で測定した。試験結果は、表1に示す通りである。
【0102】
(表1)
R-T-B磁石の成分及び含有量(wt.%)
備考:/は、当該元素が含まれていないことを示す。上記の各実施例及び比較例のR-T-B磁石にはGa及びZrが検出されず、最終製品のR-T-B磁石は、製造中にC、O、Mn及びAlが不可避的に導入され、各実施例及び比較例に記載された含有量百分率は、これらの不純物を含まない。
2、磁気特性試験
【0103】
実施例1~21及び比較例1~8におけるR-T-B磁石は、PFMパルス式BH減磁曲線試験装置で試験されて、残留磁束密度(Br)、固有保磁力(Hcj)、最大エネルギー積(BHmax)及び角型比(Hk/Hcj)のデータを得ており、試験結果は、下記の表2に示す通りである。
【0104】
【0105】
FE-EPMAによる検出:実施例1~21及び比較例1~8におけるR-T-B磁石の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA,日本電子株式会社(JEOL),8530F)を採用して検出した。まず、FE-EPMA面走査によりR-T-B磁石内のTi及びNb元素の分布を決定し、次に、FE-EPMA単点定量分析によりTixNb1相(xは、3~5である)中のTi及びNb元素の含有量を決定し、試験条件は、加速電圧15kv、プローブビーム電流50nAである。
【0106】
図1に示すように、
図1は、FE-EPMA検出によって得られた実施例1におけるR-T-B磁石の元素分布及び含有量を示す図である。単点定量分析の結果、本発明の実施例1におけるR-T-B磁石の主相粒子とNdリッチ相との間にTi
3Nb
1相が形成され、且つTi
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積との比は、1.4%であり、当該Ti
3Nb
1相の面積と主相粒子の総面積は、FE-EPMA検出時に、検出されたR-T-B磁石の断面(前述した垂直配向面)に占める面積をそれぞれ意味する。実施例1~21及び比較例1~8におけるFE-EPMA検出結果は、下記表3に示す通りである。
【0107】
【表3】
備考:/は、当該物相が形成されないことを意味する。
【0108】
上記の実験データから分かるように、発明者らが設計した上記のR-T-B磁石の成分は、磁石材料として製造された後、残留磁束密度、保磁力及び角型比等がいずれも高いレベルにあり、総合的な磁気特性に優れた磁石材料を得ることができ、高要求の分野への適用を満足することができる。ミクロ構造に対するさらなる解析により、発明者らは、上記の特定成分のR-T-B磁石が磁石材料として製造された後、主相粒子とネオジムリッチ相との間に特定面積割合を有したTixNb1相(xは、3~5である)を形成し、当該特定物相の存在によって、磁石材料の磁気特性、特に固有保磁力Hcjを著しく向上させる。
【国際調査報告】