IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プレシジョン ロボティクス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図1
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図2
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図3
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図4
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図5
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図6
  • 特表-パンチングリグ及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】パンチングリグ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240319BHJP
【FI】
A61B34/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547160
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 GB2022050351
(87)【国際公開番号】W WO2022180359
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2101970.8
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522063697
【氏名又は名称】プレシジョン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナディ タマス クサバ
(72)【発明者】
【氏名】ドンデス,エティエンヌ フランソワ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA12
4C130AA18
4C130AA19
4C130AA43
4C130AA49
4C130AA50
(57)【要約】
パンチングリグは、ベースと、ベースと係合可能であり且つ第1軸に沿ってベースに対して移動可能なアームであって、前記第1軸に垂直なチャンバー軸に沿って延びるチャンバーを含むアームと、第1端、第2端、及び第1端と第2端との間に位置決めされたストップを含む、チャンバー軸に沿って延びるようにチャンバー内でスライド可能に受け入れられるパンチと、第1端とストップとの間のパンチに沿ってスライド可能な重りと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチングリグであって、
ベースと、
前記ベースと係合可能であり、且つ第1軸に沿って前記ベースに対して移動可能である、前記第1軸に垂直なチャンバー軸に沿って延びるチャンバーを含むアームと、
第1端、第2端、及び前記第1端と前記第2端との間に位置決めされたストップを含む、前記チャンバー軸に沿って延びるように前記チャンバー内でスライド可能に受け入れられるパンチと、
前記第1端と前記ストップとの間の前記パンチに沿ってスライド可能な重りと、を含む、ことを特徴とするパンチングリグ。
【請求項2】
前記パンチは、前記第2端と前記ストップとの間に位置決めされたレストを含み、このレストは、前記パンチがチャンバーにスライド可能に受け入れられるときにアームに当接可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のパンチングリグ。
【請求項3】
前記パンチの第2端は、テーパ状及び/又は尖った先端を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のパンチングリグ。
【請求項4】
前記アームは、第1軸及び前記チャンバー軸に垂直な第2軸に沿ってベースに対して移動可能である、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載のパンチングリグ。
【請求項5】
支持梁と、前記ベースの上方で前記支持梁を支持するためのサポートとを含むサポートブリッジをさらに含み、前記支持梁は、複数の溝を含み、前記チャンバーは、各溝と位置合わせ可能である、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載のパンチングリグ。
【請求項6】
前記サポートは、前記ベースと前記支持梁の第1端との間に延びる第1脚、及び前記ベースと前記支持梁の第2端との間に延びる第2脚を含み、前記第1脚は第2脚から離間している、ことを特徴とする請求項5に記載のパンチングリグ。
【請求項7】
前記サポートブリッジは、前記ベースに着脱可能に取り付け可能である、ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のパンチングリグ。
【請求項8】
フェルール内で腱を圧着する方法であって、
前記腱を前記フェルールに挿通するステップと、
第1方向から支持されるようにフェルールを溝内に置くステップと、
腱を緊張させるステップと、
第1方向とは反対の第2方向からフェルールをパンチングするステップと、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記第1方向から支持されるように前記フェルールを溝内に置く前記ステップは、前記フェルールを下方から支持するステップを含み、前記フェルールを前記第2方向からパンチングする前記ステップは、前記フェルールを上方からパンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フェルールをパンチングする前記ステップは、
チャンバーを前記フェルールと位置合わせするステップと、
前記チャンバーを通って延びてフェルール上に置くためにパンチを位置決めするステップと、
前記パンチに衝突するために重りを落下させるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記フェルールをパンチングする前記ステップは、前記フェルール上の第1箇所及び第2箇所で前記フェルールをパンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記フェルール上の前記第1箇所で前記フェルールをパンチングする前記ステップは、前記フェルール上の前記第1箇所で前記フェルールを第1所定の回数パンチングするステップを含み、前記フェルール上の前記第2箇所で前記フェルールをパンチングする前記ステップは、前記フェルール上の前記第2箇所で前記フェルールを第2所定の回数パンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記腱は、第1端と第2端を含み、腱を緊張させる前記ステップは、
前記フェルールに対して固定化されるように前記第1端を固定するステップと、
前記第2端を緊張ワイヤの第1端に取り付けるステップと、
前記緊張ワイヤの第2端から所定の重りを吊り下げ、それによって腱を緊張させるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
腱を前記フェルールに挿通する前記ステップは、複数の腱及びそれらのそれぞれのフェルールの各々に対して繰り返され、
前記フェルールを溝内に置く前記ステップは、各フェルールを複数の溝のそれぞれの1つに置くステップを含み、
前記腱を緊張させる前記ステップは、各腱を緊張させるステップを含み、
前記第2方向から前記フェルールをパンチングする前記ステップは、各フェルールに対して繰り返される、ことを特徴とする請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のフェルールは、駆動モジュールの一部を形成し、前記フェルールは、互いに対して移動可能であり、前記方法は、各フェルールをそれぞれの溝内に置く前に、複数のフェルールを固定化する更なるステップを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動モジュールは、駆動モジュールが係合したときに各フェルールを固定化するように構成されたハウジングと係合可能であり、前記複数のフェルールを固定化する前記ステップは、前記駆動モジュールをハウジングに係合させ、前記ハウジングと係合している駆動モジュールをロックするステップを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体をパンチングするためのパンチングリグ及び物体をパンチングする方法に関し、特に、フェルールをパンチングする方法に関するが、これに限定されない。本発明は、限定的ではないが、特に、腱駆動手術用ロボット器具を製造、維持及び/又は修理する分野での応用を有し、フェルール内で緊張させられながら腱を圧着するために使用され得る。本発明はまた、手術分野外の腱駆動ロボティクス又は他のタイプの腱駆動器具に適用されてもよい。
【0002】
本明細書では、本発明は、主に、サージカルロボティクスの分野における応用に関連して説明される。しかしながら、これは、例示のみを目的としており、他の分野における本発明の応用を排除するものではない。
【背景技術】
【0003】
既知の手術用ロボット器具は、駆動モジュールと、駆動モジュールから延びるシャフトと、シャフトに結合された関節部と、関節部に結合されたエンドエフェクタとを含む。駆動モジュールは、ドライバモジュールが結合可能なモータによって駆動される複数のアクチュエータを含んでもよい。例えば、各アクチュエータは、ドライバモジュールからシャフトを通って、それらが回転可能なジョイントに取り付けられる関節部又はエンドエフェクタまで延びる腱に取り付けられてもよい。従って、関節部及びエンドエフェクタは、ドライバモジュールにおけるアクチュエータを制御することによって作動して、異なる腱を引っ張ることができる。言い換えれば、作動部及びエンドエフェクタは、腱によって駆動されるものである。
【0004】
幾つかの既知の手術用ロボット器具の駆動モジュールは、腱に取り付けられてから、キャプスタンの周りに腱を包み込み、必要に応じて腱を緊張するように回転され得るキャプスタンアクチュエータを含む。しかしながら、このようなアクチュエータは、低侵襲手術器具に必要な小規模で製造すると高価であり、手術器具の使用時にアクチュエータを駆動するモータにアクチュエータを結合するための複雑で正確な方法が必要となる場合がある。
【0005】
幾つかの既知の手術用ロボット器具は、直線的に移動するアクチュエータを備えた駆動モジュールを含み、特に、駆動モジュールは、外科手術手技で使用するための無菌性を確保するために使い捨ての単回使用の部品であることが好ましいため、必要な規模でよりコスト効率よく製造することができる。しかしながら、手術用ロボット器具内で互いに平行に且つ互いに近接して位置決めされるアクチュエータのため、腱が緊張している間に各リニアアクチュエータに腱を取り付けることは困難である。腱をアクチュエータに圧着することは、信頼性の高い取り付けを提供するが、既知の圧着工具は大きすぎ且つ/又はかさばりすぎて、緊密に詰め込まれたアクチュエータにアクセスできない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1態様によれば、パンチングリグが提供される。このパンチングリグは、
ベースと、ベースと係合可能であり且つ第1軸に沿ってベースに対して移動可能なアームであって、前記第1軸に垂直なチャンバー軸に沿って延びるチャンバーを含むアームと、第1端、第2端、及び第1端と第2端との間に位置決めされたストップを含む、チャンバー軸に沿って延びるようにチャンバー内でスライド可能に受け入れられるパンチと、第1端とストップとの間のパンチに沿ってスライド可能な重りと、を含む。
本発明の第1態様によれば、ユーザーは、アームの動きを介してチャンバーを位置決めして、例えば腱への圧着を必要とするフェルールなどのパンチングされる物体と位置合わせすることができる。パンチは、チャンバー軸に沿ってチャンバーを通って延び、第2端が物体上に置かれるように位置決めすることができる。次に、重りは、ストップに衝突するまで第1端からパンチを滑り落ちるように落下させることができる。ストップに衝突すると、重りは、パンチに力を与え、その力が第2端を介して物体に伝達される。
【0007】
重り及びパンチ、特に第1端とストップとの間のパンチの一部は、パンチが重りをガイドしてチャンバー軸に沿って落下し、制御された安全な方式でストップに衝突するようにそれぞれ適合されてもよい。例えば、本発明の幾つかの実施形態では、重りは開き口を含んでもよく、パンチは、第1端からストップまで延びる細長い部材を含んでもよい。この細長い部材は、重りがストップに向かって落下するときにパンチの上方にスライドするように、開き口内にスライド可能に受け入れられる。本発明の他の実施形態では、パンチは、重りがストップに向かって落下するときにパンチ内で少なくとも部分的にスライドするように、第1端とストップとの間で重りをスライド可能に受け入れるように適合されてもよい。
【0008】
重りは、所定の重さを有するように適合されてもよく、物体が既知の力でパンチングされるように、所定の高さから落下してもよい。所定の重さ及び所定の高さはそれぞれ、使用時にパンチによって加えられる力を変えるために変更することができる。例えば、重りは、必要に応じて全体の重さを増減できるように、モジュール化することができる。また、第1端は、重りが第1端から落下するとストップまで所定の距離だけ落下するように、ストップから所定の距離にあってもよい。パンチはまた、第1端とストップとの間に、所定の高さまで落とすように重りをどこから落下させるべきかを示す1つ以上のインジケータを含んでもよい。
【0009】
重りは、落下した後に、再び落下することができるように再位置決めされてもよい。従って、パンチング動作は、容易且つ迅速に繰り返すことができる。パンチング動作の合間に、アームは、第1軸に沿って移動して、同じ物体に対して異なる方式でチャンバーを位置合わせしたり、新たな物体とチャンバーを位置合わせしたりすることができる。例えば、パンチングリグは、複数のフェルールの各々をそれぞれの腱に圧着するために、互いに隣り合って位置決めされた複数のフェルールをパンチングするために使用されてもよい。チャンバーを正確に再位置決めする能力により、複数の物体を一貫して素早く連続してパンチングすることが可能になる。
【0010】
本発明の実施形態では、パンチは、第2端とストップとの間に位置決めされたレストを含んでもよい。このレストは、パンチがチャンバーにスライド可能に受け入れられるときにアームに当接可能である。
【0011】
本発明のこのような実施形態では、パンチの第2端は、レストがアームに当接するまで、チャンバーを通過することができる。レストがアームに当接するとき、パンチは、第1端がアームの上方に位置決めされ且つ第2端がアームの下方に位置決めされてチャンバーのいずれかの側に延びるように、保持される。
【0012】
レストにより、アームは、パンチが完全にチャンバーを通って落ちる危険性なしに移動することができる。物体をパンチングする準備をするときに、パンチは、レストがアームに当たるのではなく、第2端が物体上に置かれるように位置決めされてもよい。これにより、力は、アームではなく、パンチングされる物体に伝達されるようになる。
【0013】
本発明の実施形態では、パンチの第2端は、テーパ状及び/又は尖った先端を含んでもよい。
【0014】
本発明のこのような実施形態では、力は、パンチングされる物体により正確に伝達することができる。さらに、パンチングされる物体と接触するパンチの表面積が減少するため、加えられる圧力は大きくなる。
【0015】
パンチは、第1端から第2端の先端まで延びる単一の部材として一体的に形成されてもよく、この部材は、第1と第2端との間に位置決めされたストップ及びレストの両方を含む。あるいは、パンチは、互いに取り付け可能であり、オプションで着脱可能に取り付け可能な部分で形成されてもよい。例えば、第1部分は、第1端からストップまで延びる細長い部材であってもよく、第2部分は、ストップとレストとの間に延びるより厚い部材であってもよく、第3部分は、レストから第2端まで延びる別の細長い部材であってもよい。例えば、第1及び第3部分はそれぞれ中間の第2部分にねじ込むことができる。さらに、先端は、パンチに着脱可能に取り付け可能な別個の先端部であってもよい。これにより、パンチは、用途に応じて異なる部分を交換できるという点で、モジュール化することができる。例えば、第1部分は交換可能であり、重りを落下させることができる異なる所定の高さを提供することができる。先端部は交換可能であり、異なる物体をパンチングために先端の鋭さ/鈍さを変えることができる。
【0016】
本発明の実施形態では、アームは、第1軸及びチャンバー軸に垂直な第2軸に沿ってベースに対して移動可能であってもよい。
【0017】
本発明のこのような実施形態では、チャンバーは、パンチングされる1つ又は複数の物体に対してより自由に位置決めされてもよい。これにより、物体を単一の位置にして、物体を様々な箇所でパンチングする能力を向上させることができる。例えば、複数のフェルールをパンチングすることができるだけでなく、パンチングリグは、パンチングリグのベースに対して複数のフェルールを再位置決めする必要なく、複数のフェルールの各々を複数の箇所でパンチングするために使用することができる。
【0018】
本発明の実施形態では、パンチングリグは、支持梁とベースの上方で支持梁を支持するためのサポートとを含むサポートブリッジをさらに含んでもよい。支持梁は、複数の溝を含み、チャンバーは、各溝と位置合わせ可能である。
【0019】
本発明のこのような実施形態では、複数のフェルールは、パンチングされる前に溝内に位置決めされてもよい。フェルールは、例えば手術用ロボット器具などの腱駆動器具の一部を形成してもよい。腱駆動器具によって支持されながらフェルールがパンチングされる場合、特に腱駆動器具に存在する可能性のある製造公差を考慮すると、パンチングリグに対するフェルールの高さは不明であろう。フェルールをサポートブリッジの溝内に置くことで、フェルールは、チャンバー及びパンチに対して既知の一貫した高さに位置決めされ得る。
【0020】
支持梁は、ベースの上方に持ち上げられ、サポートによって支持されて、腱駆動器具がフェルールを介して支持梁から吊り下げられるようにすることができる。
【0021】
本発明の実施形態では、サポートは、ベースと支持梁の第1端との間に延びる第1脚、及びベースと支持梁の第2端との間に延びる第2脚を含んでもよく、第1脚は第2脚から離間している。
【0022】
本発明のこのような実施形態では、サポートブリッジは、フェルールが溝に容易に位置決めされ、一方、フェルールがパンチングされる際に腱駆動器具が安定するように形作られ、支持され得る。
【0023】
本発明の実施形態では、サポートブリッジは、ベースに着脱可能に取り付け可能であってもよい。
【0024】
本発明のこのような実施形態では、サポートブリッジは、パンチングの前又は後に腱駆動器具のより簡単な位置決めを可能にするために移動可能であってもよい。サポートブリッジは、サポートブリッジを必要としない他の物体のパンチングを容易にするために取り外されてもよい。サポートブリッジは、例えば、異なるタイプの器具に属するフェルールのパンチングを容易にするために、サポートブリッジの他の実施形態と交換可能であってもよい。
【0025】
本発明の第2態様によれば、フェルール内で腱を圧着する方法が提供される。この方法は、腱をフェルールに挿通するステップと、第1方向から支持されるようにフェルールを溝内に置くステップと、腱を緊張させるステップと、第1方向とは反対の第2方向からフェルールをパンチングするステップと、を含む。
【0026】
本発明の第2態様によれば、フェルールは、腱が張力を受けている間に、一方向から支持され、反対の方向からパンチングされることにより、腱に圧着され得る。これは、他の方向からのアクセスが制限されている場合、例えば、フェルールが並列配置で互いに隣接して位置決めされた複数のフェルールのうちの1つである場合に有利となり得る。
【0027】
フェルールをパンチングするステップは、本発明の第1態様によるパンチングリグ又は任意の他の適切な装置を使用して実行することができる。
【0028】
本発明の実施形態では、第1方向から支持されるようにフェルールを溝内に置く前記ステップは、フェルールを下方から支持するステップを含んでもよく、フェルールを第2方向からパンチングする前記ステップは、フェルールを上方からパンチングするステップを含む。
【0029】
本発明のこのような実施形態では、フェルールは、溝内に置かれ、フェルールに作用する重力によって溝により支持されてもよい。また、フェルールのパンチングは、重力を利用してフェルールに力を与えることによって実行されてもよい。
【0030】
本発明の実施形態では、フェルールをパンチングするステップは、チャンバーをフェルールと位置合わせするステップと、チャンバーを通って延びてフェルール上に置くためにパンチを位置決めするステップと、パンチに衝突するために重りを落下させるステップと、を含んでもよい。
【0031】
本発明のこのような実施形態では、フェルールをパンチングするステップは、正確に、確実に、そして繰り返し可能に実行することができる。フェルール内で腱を圧着する方法を製造方法の一部として使用すると、製造される製品の品質が向上する可能性がある。さらに、重りは、所定の重さであってもよく、既知の力がパンチに、ひいてはフェルールに加えられるように、所定の高さから落下してもよい。これにより、方法のユーザーは、フェルールの構造的完全性を損なう可能性のある過大な力の適用を回避しながら、フェルールが腱に確実に取り付けられるのに十分な力で圧着されることを確実にすることができる。
【0032】
本発明の実施形態では、フェルールをパンチングするステップは、フェルール上の第1箇所及び第2箇所でフェルールをパンチングするステップを含んでもよい。
【0033】
本発明のこのような実施形態では、フェルールを2つの箇所でパンチングして腱に圧着すると、フェルールの腱への確実な取り付けを容易にすることができる。
【0034】
本発明の実施形態では、フェルール上の第1箇所でフェルールをパンチングする前記ステップは、フェルール上の第1箇所でフェルールを第1所定の回数パンチングするステップを含んでもよく、フェルール上の第2箇所でフェルールをパンチングする前記ステップは、フェルール上の第2箇所でフェルールを第2所定の回数パンチングするステップを含んでもよい。
【0035】
本発明のこのような実施形態では、第1及び第2箇所でそれぞれフェルールをパンチングするための第1及び第2所定の回数は、フェルールが腱に確実に取り付けられることを確保するために決定されてもよい。フェルールをパンチングする回数が増えるほど、取り付けはより確実になる。しかしながら、一定の数のパンチを超えると、取り付けの改善が無視できるようになり、更なるパンチを実行するのに必要な時間が無駄になる可能性がある。
【0036】
第1及び第2所定の数は、等しくてもよいし、異なってもよい。
【0037】
本発明の実施形態では、腱は第1端及び第2端を含み、腱を緊張させるステップは、フェルールに対して固定化されるように第1端を固定するステップと、第2端を緊張ワイヤの第1端に取り付けるステップと、緊張ワイヤの第2端から所定の重りを吊り下げ、それによって腱を緊張させるステップと、を含んでもよい。
【0038】
腱は、手術用ロボット器具などの腱駆動器具を一部を形成してもよい。腱の第1端は、回転可能なジョイントなど、腱の作動によって駆動可能な器具の構成要素に取り付けられてもよく、腱の第1端を固定するステップは、それが取り付けられる構成要素を固定化することを含んでもよい。
【0039】
フェルールは、直線的に移動可能なアクチュエータの一部を形成してもよい。フェルールに対して固定化されるように腱の第1端を固定するステップは、フェルールを固定化することをさらに含んでもよい。
【0040】
重りは、腱に十分な張力を与えて器具にたるみがないことを保証すると同時に、器具が効果的に作動するには硬すぎないこと、及び張力度が腱の引張強度に近すぎないことを保証するように決定されてもよい。
【0041】
重りを使用して腱を緊張させることによって、腱を緊張させるステップを信頼性が高く、繰り返し可能にすることができる。従って、器具及び器具が適用される応用に対して正しい量の張力を受けるように、複数の腱駆動器具を確実に製造及び/又は修理することができる。例えば、これにより、使用される器具間の性能のばらつきが最小限になるように、交換可能な腱駆動器具を製造する能力が向上する可能性がある。
【0042】
本発明の実施形態では、腱をフェルールに挿通するステップは、複数の腱及びそれらのそれぞれのフェルールの各々に対して繰り返されてもよい。フェルールを溝内に置くステップは、各フェルールを複数の溝のそれぞれの1つに置くステップを含んでもよい。腱を緊張させるステップは、各腱を緊張させるステップを含んでもよい。第1及び第2箇所でフェルールをパンチングするステップは、各フェルールに対して繰り返されてもよい。
【0043】
本発明のこのような実施形態では、複数のフェルールは、複数の腱のそれぞれに圧着することができ、腱の各々が同時に緊張させられ、フェルールは、次々と素早く連続して圧着することができる。
【0044】
本発明の実施形態では、前記複数のフェルールは、駆動モジュールの一部を形成してもよく、前記フェルールは、互いに対して移動可能であってもよく、前記方法は、各フェルールをそれぞれの溝内に置く前に、複数のフェルールを固定化する更なるステップを含んでもよい。
【0045】
本発明のこのような実施形態では、駆動モジュールは、手術用ロボット器具などの腱駆動器具の一部を形成してもよい。駆動モジュールは、直線的かつ互いに平行に移動可能な複数のアクチュエータを含んでもよい。各アクチュエータは、フェルールのそれぞれの1つを含む。複数のフェルールを固定化することにより、フェルールをパンチングできる容易さ及び繰り返し性が向上する可能性がある。また、複数のフェルールを固定化することにより、緊張している間にそれぞれの腱上の特定の位置に各フェルールを圧着する繰り返し性が向上する可能性もある。
【0046】
本発明の実施形態では、前記駆動モジュールは、駆動モジュールが係合したときに各フェルールを固定化するように構成されたハウジングと係合可能であり、前記複数のフェルールを固定化する前記ステップは、前記駆動モジュールをハウジングに係合させ、前記ハウジングと係合している駆動モジュールをロックするステップを含む。
【0047】
本発明のこのような実施形態では、ハウジングは、ハウジングが駆動モジュールと係合しながら各アクチュエータを固定位置にロックし、それによってフェルールを固定化するように適合化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
ここでは、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明の実施形態を説明する。
図1】本発明の第1態様の実施形態によるパンチングリグの模式図である。
図2】それぞれ、図1に示されるパンチングリグの一部を形成するパンチ及び重りの模式図である。
図3】3a及び3bは、図1に示されるパンチングリグの2段階の使用での模式図である。
図4図1に示されるパンチングリグの一部の拡大透視図(close-up view)である。
図5図1に示されるパンチングリグの一部を形成するサポートブリッジの模式図である。
図6】緊張リグとともに使用される、図1に示されるパンチングリグの模式図である。
図7】本発明の第2態様による方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
最初に図1を参照すると、本発明の第1態様の実施形態によるパンチングリグは、一般に参照番号2で指定されている。パンチングリグ2は、ベース4、アーム6、パンチ10及び重り12を含む。アーム6は、ベース4と係合可能であり、第1軸14及び第2軸16に沿ってベースに対して移動可能である。
【0050】
アーム6は、ベース4から離間し、第1軸14及び第2軸16に垂直なチャンバー軸18に沿って延びるチャンバー8を含む。
【0051】
今、図1及び2を参照すると、パンチ10は、第1端20、第2端22、第1端20と第2端22との間に位置決めされたストップ24、及び第2端22とストップ24との間に位置決めされたレストを含む。本発明のこの実施形態では、パンチ10は、長細い実質的に円筒形の部材である。しかしながら、パンチは、任意の適切な断面形状のアスペクト比、すなわち、パンチの長さと幅との間の比を有してもよい。
【0052】
パンチ10は、チャンバー8内でスライド可能に受け入れられる。しかしながら、レスト25は、パンチ10がチャンバー8内にスライド可能に受け入れられるときに、アーム6に当接可能である。よって、パンチ10は、チャンバー8を通ってスライドすることができ、ここで、レスト25がアーム6に当接するまで、第2端22が最初にチャンバー8を通過する。従って、パンチ10は、第2端22がチャンバー8から延びる一方、レスト25がアーム6上に置かれるように位置決めされてもよい。
【0053】
第2端22は、パンチング力をより正確に加えることができるようにテーパ状の尖った先端26を含む。
【0054】
重り12、第1端20とストップ24との間でパンチ10に沿ってスライド可能であり、ストップ24に当接可能である。より具体的には、本発明のこの実施形態では、重り12は、第1端20をスライド可能に受け入れることができる開き口28を含む。
【0055】
ストップ24は、第1端20とレスト25との間に位置決めされ、これは、重り12がパンチ10の上方に落下すると、重り12がストップ24に衝突するまでパンチ10に沿って滑り落ちるが、アーム6に衝突しないことを意味する。これにより、重り12がパンチ10ではなくアーム6に力を伝達することが防止される。
【0056】
本発明のこの実施形態では、ストップ24及びレスト25は両方とも、第1端20及び第2端22の両方よりも大きな直径を有するパンチ10の一部として形成される。しかしながら、発明の他の実施形態では、ストップ24及びレスト25は、パンチ10の一部を形成する2つの別々の特徴であってもよい。例えば、ストップ24及びレスト25の一方又は両方は、突起、リップ、リッジ、あるいは、必要に応じて、重りがストップ24に衝突するか、レスト25がアーム6に当接することを可能にする、断面形状又はサイズの任意の他の適切な変化を含んでもよい。
【0057】
今、図3a及び3bを参照すると、使用中、アーム6を、先端26が物体140に当たり、レスト25がアーム6の上方に持ち上げられるように、パンチ10がパンチングされる物体140と位置合わせする位置に移動させることができる。次に、図3aに示すように、重り12を、第1端20とのレベルなど、ストップ24の上方の所定の高さに位置決めすることができる。次に、図3bに示すように、重り12を所定の高さから落下させて、ストップ24に衝突するまでチャンバー軸18に沿って落とすことができる。ストップ24に衝突すると、重り12は、パンチ10に力を与え、この力は、第2端22、より具体的には先端26を介して物体140に伝達される。レスト24がアーム6から離間するようにパンチ10を物体140の上方に置くことにより、重り12からの力がパンチ10を介して物体140ではなくアーム6に伝達されるのを防ぐ。
【0058】
今、図1及び4を参照すると、パンチングされる物体は、駆動モジュール40である。
【0059】
駆動モジュール40は、サポートブリッジ30上に置かれるように位置決めされる。これにより、パンチングされる駆動モジュール40の部分をパンチングリグ2に対して既知の高さに位置決めし、腱駆動器具が自立型である場合に腱駆動器具に存在する可能性のある製造公差の影響を排除することができる。
【0060】
図4は、駆動モジュール40が複数の腱42及び複数のアクチュエータ44を含むことを示す。駆動モジュール40は、手術用ロボット器具の一部を形成してもよい。ここで、器具のエンドエフェクタは、関連するアクチュエータ44の動きを介して腱42の1つを引っ張ることによって駆動される。アクチュエータ44が腱42を引っ張ることができるようにするために、各アクチュエータ44は、それぞれの腱42に圧着され得るフェルール46を含む。
【0061】
パンチングリグ2は、図4に示すように、複数のフェルール46を複数の腱42に圧着するために使用することができる。
【0062】
テーパ状の尖った先端26は、フェルールなどの小さな構成要素の正確なパンチングを容易にする。
【0063】
今、を参照すると図5、サポートブリッジ30は、支持梁32と、ベース4の上方で支持梁32を支持するためのサポート34とを含む。支持梁32は、複数の溝33を含み、チャンバー8は、図2に示すように、各溝33と位置合わせ可能である。サポート34は、互いに離間した第1脚36と第2脚38を含む。各脚36、38は、ベース4と支持梁32のそれぞれの端との間に延びる。
【0064】
図1及び4に示すように、パンチングリグ2を使用してフェルール46をパンチングし、それらを腱42に圧着するとき、フェルール46は、下方から支持されるように溝33内に置かれるために位置決めされてもよい一方、チャンバー8及びパンチ10は、フェルール46に上方から力を与え、それによってフェルール46をそれぞれの腱42の周りで圧縮するように適切に位置決めされてもよい。次に、アーム6を移動させて、チャンバー8及びパンチ10を再位置決めし、各フェルール46に対して、オプションで各フェルール46上の複数の箇所でパンチングプロセスを繰り返すことができる。
【0065】
今、図6を参照すると、パンチングリグ2は、緊張リグ50と組み合わせて使用することができる。緊張リグ50は複数の緊張ワイヤ52を含み、各緊張ワイヤ52は第1端54と第2端56を含む。ここで、第1端54は、図4に1つの緊張ワイヤ52及び腱42のみを示されるが、複数の腱42に取り付け可能である。各緊張ワイヤ52の各第2端56は、それぞれの重り58に取り付け可能である。それぞれの緊張ワイヤ52から重り58を吊り下げることによって、緊張ワイヤ52及び関連する腱42の両方は、重り58の重さに応じてある程度の張力下に置かれる。
【0066】
緊張リグ2は、複数のプライマリプーリ60、複数のセカンダリプーリ62及び複数の補助プーリ64をさらに含む。各緊張ワイヤ52は、それぞれのプライマリ、セカンダリ及び補助プーリ60、62、64と係合可能である。
【0067】
複数のプライマリプーリ60の位置決めにより、複数の腱42の各々が、それぞれのフェルールと実質的に同軸に延びながら緊張させられることが可能になる。複数の補助プーリ64は、複数の緊張ワイヤ52が互いに離れて複数のセカンダリプーリ62に向かって上方に向かうように位置決めされる。複数のセカンダリプーリ62は2列で離間し、各列のプーリは互いにオフセットされて、全体として余分な空間を占有せずにさらに離間する。セカンダリプーリ62の間隔は、複数の重り6が互いに干渉することなく下方に吊り下げられるために十分な空間を提供する。
【0068】
今、図7を参照すると、フェルール内で腱を圧着する、本発明の第2態様による方法は、一般に参照番号100で指定されている。方法100は、以下に説明するステップ101、102、103及び104を含み、図1~4に示されるパンチングリグ2及び図6に示される緊張リグ50を使用して実行することができる。それに応じて、ステップ101~105は、図1~6の特徴を参照して説明される。しかしながら、方法100は任意の適切な装置を使用して実行できることを理解されたい。
【0069】
ステップ101
複数の腱42の各々を複数のフェルール46のそれぞれ1つに挿通する。
【0070】
ステップ102
第1方向から支持されるようにフェルール46を溝33内に置く。
【0071】
ステップ102は、例えば図2に示すように、サポートブリッジ30を使用してフェルール46を下方から支持するステップを含んでもよい。
【0072】
ステップ103
腱42を緊張させる。
【0073】
腱42は第1端と第2端を含み、ステップ103は、フェルール46に対して固定化されるように第1端を固定するステップを含んでもよい。例えば、第1端は、1つ以上の腱の作動によって駆動される手術用ロボット器具に固定されてもよい。ステップ103は、第2端を緊張ワイヤ52の第1端に取付けるステップと、緊張ワイヤ52の第2端から所定の重り58を吊り下げ、それによって腱42を緊張させるステップとをさらに含んでもよい。
【0074】
ステップ104
第1方向とは反対の第2方向からフェルール46をパンチングし、それによってフェルール46を腱42に圧着する。
【0075】
ステップ104は、例えば図1~4に示すように、パンチングリグ2を使用してフェルール46を上方からパンチングするステップを含んでもよい。特に、ステップ104は、チャンバー8をフェルール46と位置合わせするステップと、チャンバー8を通って延びてフェルール46上に置かれるようにパンチ10を位置決めするステップと、パンチ10に衝突するために重り12を落下させるステップとを含んでもよい。
【0076】
さらに、ステップ104は、フェルール46の腱42への確実な取り付けを確実にするために、フェルール46上の第1箇所で第1所定の回数、フェルール46上の第2箇所で第2所定の回数、フェルール46をパンチングするステップを含んでもよい。パンチングリグ2を使用すると、複数のパンチングを正確かつ迅速に連続して実行する能力、及びフェルールを静止状態に保ちながらフェルール46を複数の箇所で正確にパンチングする能力が向上する可能性がある。
【0077】
ステップ101~104は、複数のフェルール内で複数の腱を圧着するために実行され得る。ステップ101は、複数の腱42及びそれらのそれぞれのフェルール46に対して繰り返される。ステップ102は、各フェルール46を複数の溝33のそれぞれの1つに置くステップを含む。ステップ103は、各腱42を緊張させるステップを含む。ステップ104は、フェルール46ごとに繰り返される。
【0078】
複数のフェルール46は、例えば図4に示すように、フェルールが互いに対して移動可能である駆動モジュール40の一部を形成してもよい。それに応じて、方法100は、各フェルール46をそれぞれの溝33内に置く前に、複数のフェルール46を固定化する更なるステップをさらに含んでもよい。本発明の幾つかの実施形態では、駆動モジュール40は、駆動モジュール40が係合されたときに各フェルール46を固定化するように構成されたハウジングと係合可能であってもよい。従って、複数のフェルール46を固定化するステップは、駆動モジュール40をハウジングに係合させ、ハウジング40と係合している駆動モジュール40をロックするステップとを含んでもよい。
【0079】
本発明の所与の態様、特徴、又はパラメーターの好み及び選択肢は、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の他のすべての態様、特徴、及びパラメーターのあらゆる好み及び選択肢と組み合わせて開示されたと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】