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特表2024-513649高用量送達のための吸入器物品ホルダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】高用量送達のための吸入器物品ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A24F 42/20 20200101AFI20240319BHJP
   A61M 13/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A24F42/20
A61M13/00
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023551735
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 IB2022052332
(87)【国際公開番号】W WO2022195480
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21162955.5
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA12
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC13
4B162AC41
(57)【要約】
吸入器物品ホルダーは、吸入器物品に至る旋回吸入気流を誘発するように構成されている。ホルダーは、限定された回数の吸入にわたって高い用量の乾燥粉末をユーザーに送達するために、吸入器物品と協働するように構成されている。ホルダーおよび吸入器物品は吸入器システムを形成してもよく、本開示はこのシステムも対象とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品ホルダーであって、
ハウジング空洞を画定するハウジングと、
前記ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブであって、吸入器物品を受容するように配設されていて、前記ハウジング空洞内で前記ハウジング空洞の長軸方向軸に沿って第一の位置と第二の位置の間で移動可能であるスリーブと、を備え、前記スリーブは、
前記スリーブによって画定されたスリーブ空洞と、
吸入器物品を受容するように構成された第一の開放端と、
前記第一の開放端に対向する第二の端であって、前記第二の端を少なくとも部分的に閉じる端壁を備える、第二の端と、
前記端壁に固定された、かつ前記端壁から管状部材の開放端に至る第一の長さで前記スリーブ空洞の中に延びる管状部材であって、管状部材長軸方向軸を有する管状部材空洞を画定する管状部材と、
前記管状部材空洞の中に延びる少なくとも二つの空気吸込み口であって、前記少なくとも二つの空気吸込み口が前記管状部材長軸方向軸に直角に延び、前記少なくとも二つの空気吸込み口が、前記スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発するために、前記管状部材空洞に接線方向に入り、前記少なくとも二つの空気吸込み口がそれぞれ、前記端壁に隣接する前記管状部材空洞に入り、かつ前記少なくとも二つの空気吸込み口の各々が、約0.2mm~約0.5mmの範囲内の側方開口部寸法を有する、少なくとも二つの空気吸込み口と、を備え、
前記スリーブが前記第二の位置にある時に、前記端壁を通過するように、かつ前記スリーブ内に受容された前記吸入器物品を貫通するように配設された貫通要素と、を備える吸入器物品ホルダー。
【請求項2】
前記管状部材が、前記管状部材空洞の中に延びる三つの空気吸込み口を含み、前記三つの空気吸込み口が前記管状部材長軸方向軸に対して直角に延び、前記三つの空気吸込み口が前記管状部材空洞に接線方向に入って、前記スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発し、前記三つの空気吸込み口がそれぞれ、前記端壁に隣接する前記管状部材空洞に入る、請求項1に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項3】
前記三つの空気吸込み口の各々が、約0.25mm~約0.4mmの範囲内、または約0.27mm~約0.33mmの範囲内、または約0.3mmの側方開口部寸法を有する、請求項2に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項4】
前記管状部材が、前記管状部材空洞の中に延びる四つの空気吸込み口を含み、前記四つの空気吸込み口が前記管状部材長軸方向軸に対して直角に延び、前記四つの空気吸込み口が前記管状部材空洞に接線方向に入って、前記スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発し、前記四つの空気吸込み口がそれぞれ、前記端壁に隣接する前記管状部材空洞に入る、請求項1に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項5】
前記四つの空気吸込み口の各々が、約0.2mm~約0.3mmの範囲内、または約0.24mm~約0.3mmの範囲内、または約0.29mmの側方開口部寸法を有する、請求項4に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項6】
引き出し抵抗が、約30mmWG~約70mmWG、約50mmWG~約70mmWGの範囲内である、請求項2または請求項3に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項7】
引き出し抵抗が、約45mmWG~約110mmWGの範囲内である、請求項4または請求項5に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項8】
前記空気吸込み口がそれぞれ、前記空気吸込み口の前記側方開口部寸法未満の前記端壁までの距離値以内で前記管状部材空洞に入る、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項9】
前記空気吸込み口がそれぞれ、前記端壁と前記管状部材の交点にて前記管状部材空洞に入る、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項10】
前記管状部材が前記スリーブ空洞の中に延び、かつ吸入器物品の遠位端を受容するように構成された前記スリーブ空洞を有する環状凹部を形成する、請求項1~9のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項11】
前記管状部材が前記スリーブの長軸方向軸と同軸である、請求項1~10のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項12】
吸入器システムであって、
マウスピース端から遠位端に吸入器長軸方向軸に沿って延びる本体と、前記吸入器物品本体内に配置されたカプセルとを備える吸入器物品と、
請求項1~11のいずれかに記載の吸入器物品ホルダーであって、前記スリーブが、前記スリーブ空洞の中に受容された前記吸入器物品を保持する、ホルダーと、を備える吸入器システム。
【請求項13】
前記カプセルがカプセル空洞内に保持されていて、かつ前記スリーブの前記第二の端によって形成された旋回吸入気流を受容するように構成されていて、前記カプセル空洞が多孔性要素によって下流で境界付けられていて、かつ開放管状要素によって上流で境界付けられている、請求項12に記載の吸入器システム。
【請求項14】
前記カプセルが薬学的に活性な粒子を含有し、前記薬学的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する、請求項12または請求項13に記載の吸入器システム。
【請求項15】
前記管状部材および前記スリーブが環状凹部を形成し、かつ前記吸入器物品の前記遠位端が前記環状凹部と嵌合する、請求項12~14のいずれか一項に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は吸入器物品ホルダーに関し、吸入器物品ホルダーは、吸入器物品ホルダーの中に受容された吸入器物品の中に旋回吸入気流を発生するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切であるわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である場合があり、または可動部品を伴う場合がある。
【0003】
吸入器物品は、乾燥粉末を含有するカプセルを保持してもよい。これらのカプセルは、カプセル壁を通して開口を貫通することによって起動されてもよい。ユーザーは、消耗品のマウスピース側から吸煙する(引き出すまたは吸入する)。この作用は、乾燥粉末吸入器を通して空気を強制的に流す。肺機能が損なわれている消費者は、これらの乾燥粉末吸入器を操作する、または乾燥粉末を自分の肺の中に送達するのが困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸入器物品を起動し、消費中に吸入器物品を保持し、かつ限定された回数の吸入にわたって高い用量の乾燥粉末をユーザーに送達する吸入器物品用ホルダーを提供することが望ましい。吸入器物品を起動することができる吸入器物品用の薄型で再使用可能なホルダーを含む吸入器システムを提供することが望ましいことになる。リサイクル可能な材料から作製された吸入器物品を提供することが望ましいことになる。限定された回数の吸入以内の、従来の喫煙方法での吸入量または空気流量以内の吸入量または空気流量で、粒子の全用量を肺に提供する粉末吸入器を提供することが望ましいことになる。数回の吸入で乾燥粉末を提供するための吸入器システムを提供することが望ましいことになる。単一の吸入で乾燥粉末を提供するための吸入器システムを提供することが望ましいことになる。従来の紙巻たばこと同様の形態を有する吸入器物品を用いて粉末を送達することも望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は吸入器物品用ホルダーを対象とする。ホルダーは、消費中に吸入器物品への旋回吸入気流を誘発するように構成されている。ホルダーは、限定された回数の吸入にわたって高い用量の乾燥粉末をユーザーに送達するために、吸入器物品と協働するように構成されている。例えば、ホルダーおよび吸入器物品は、5回以下の吸入にわたって、乾燥粉末の全用量をユーザーに送達してもよい。ホルダーおよび吸入器物品は吸入器システムを形成してもよく、本開示はこのシステムも対象とする。
【0006】
本発明の一態様によると、ハウジング空洞を画定するハウジングと、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブと、ハウジング空洞内に位置付けられた貫通要素とを含む吸入器物品ホルダーが提供されている。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設されていて、またハウジング空洞内で、ハウジング空洞の長軸方向軸に沿って、第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。スリーブは、スリーブによって画定されたスリーブ空洞と、吸入器物品を受容するように構成された第一の開放端と、第一の開放の反対側の第二の端とを含む。第一の開放端は、角度を有してもよい。第二の端は、第二の端を少なくとも部分的に閉じる端壁を含む。管状部材は端壁に固定されていて、端壁から管状部材開放端に至る第一の長さでスリーブ空洞の中に延びている。管状部材は、管状部材長軸方向軸を有する管状部材空洞を画定する。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞の中に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。少なくとも二つの空気吸込み口はそれぞれ、スリーブ側壁を通して管状部材空洞に入り、少なくとも二つの空気吸込み口の各々は、約0.2mm~約0.5mmの範囲の横方向開口寸法を有する。少なくとも二つの空気吸込み口はそれぞれ、スリーブ側壁を通して、かつ端壁に隣接して管状部材空洞に入り、少なくとも二つの空気吸込み口の各々は、約0.2mm~約0.5mmの範囲内の側方開口部寸法を有する。スリーブが第二の位置にある時に、貫通要素は、端壁を通過するように、かつスリーブ内に受容された吸入器物品を貫通するように配設されている。
【0007】
本発明の別の態様によると、吸入器システムは、吸入器物品と、本明細書に記載の吸入器物品用ホルダーとを含む。吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に吸入器長軸方向軸に沿って延びる本体と、吸入器物品本体内に配置されたカプセルとを含む。スリーブは、スリーブ空洞の中に受容された吸入器物品を保持する。
【0008】
有利なことに、再使用可能なホルダーの中に旋回発生構造を組み込むことは、吸入器物品の構造を単純化し、吸入器システムの複雑さを低減する場合がある。記載のホルダー構成は、約5リットル/分以下の吸入量で動作する、5回以下の吸入、または3回以下の吸入を用いて、カプセル内に含有された乾燥粉末の少なくとも75重量%または実質的に全質量を排出してもよい。旋回吸入気流を受容する吸入器物品は、製造がより簡単であり、また旋回吸入気流を誘発または形成するための構造を組み込む吸入器物品よりも単純な構造を有する場合がある。より単純な吸入器物品はまた、より少ない環境負荷を呈する場合がある。
【0009】
吸入器物品ホルダーおよび吸入器物品は、任意の所望の乾燥粉末の吸入のために使用されてもよい。一実施形態によると、吸入器物品によって含有されたカプセルは、一つ以上の薬学的に活性な薬剤を含有する粒子を含む乾燥粉末を含有する。薬学的に活性な薬剤の例としては、ニコチン、アナタビン、ヒドロキシクロロキン、エピネフリン、メラトニン、カフェイン、アシクロビルなどの抗ウイルス化合物、サリチル酸、アセクロフェナクまたはケトプロフェンなどの抗炎症化合物、メトホルミンまたはグリピジドなどの抗糖尿病化合物、オクスプレノロールなどの降圧剤化合物、プロメタジンなどの制吐化合物、セプロキセチンなどの抗うつ薬化合物、ピコタミドなどの抗凝固化合物、クレンブテロールなどの気管支拡張薬、またはベータラパコンなどの抗がん化合物が挙げられる。カプセルは、任意の乾燥粉末の薬学的に活性な薬剤を含有してもよい。
【0010】
薬学的に活性な薬剤は、薬剤の薬学的に許容可能な塩を含んでもよい。適切な塩としては例えば、乳酸の塩(「乳酸塩」)、酒石酸の塩(「酒石酸塩」または「酒石酸水素塩」)、アスパラギン酸の塩(「アスパラギン酸塩」)、ピルビン酸の塩(「ピルビン酸塩」)、クエン酸の塩(「クエン酸塩」)、サリチル酸の塩(「サリチル酸塩」)、グルタミン酸の塩(「グルタミン酸塩」)、ゲンチジン酸の塩(「ゲンチジン酸塩」)、安息香酸の塩(「安息香酸塩」)、フマル酸の塩(「フマル酸塩」)、塩酸の塩(「塩酸塩」)、アルファ-レソルシル酸の塩(「アルファ-レソルシル酸塩」)、ベータ-レソルシル酸の塩(「ベータ-レソルシル酸塩」)、シュウ酸の塩(「シュウ酸塩」)、p-アニス酸の塩(「アニス酸塩」)、グルタル酸の塩(「グルタル酸塩」)、およびこれに類するものが挙げられる。
【0011】
カプセルは、5mg以上、または10mg以上の乾燥粉末粒子を保持または含有してもよい。カプセルは、900mg以下、600mg以下、300mg以下、または150mg以下の乾燥粉末粒子を保持または含有してもよい。カプセルは、5mg~300mg、10mg~200mg、または25mg~100mg、または30mg~75mgの乾燥粉末粒子を保持または含有してもよい。
【0012】
カプセルは風味粒子を含有してもよい。カプセル内で風味粒子が薬学的に活性な粒子とブレンドされている、または組み合わせられている時に、風味粒子は、ユーザーに送達される各吸入もしくは「吸煙」に対して望ましい風味を提供する量で存在してもよい。薬学的に活性な粒子は、乾燥粉末の40重量%以上、60重量%以上、または80重量%以上を占めてもよい。薬学的に活性な粒子は、乾燥粉末の50重量%~90重量%、または60重量%~85重量%、または70重量%~80重量%を占めてもよい。
【0013】
カプセルは任意の適切な材料で作製されてもよい。例えば、カプセルは、高分子材料、ゼラチン、または充填可能なカプセルを作製するために適切な任意の他の材料で作製されてもよい。一つの実施形態において、カプセルは高分子材料、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)から作製されている。例えば、カプセルは、サイズ1のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ2のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ3のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ4のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ1のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ2のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ3のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ4のゼラチンカプセルであってもよい。
【0014】
活性化されたカプセルは、カプセル内から乾燥粉末を放出するための単一の開口のみを含む。単一の開口は、約1.5mm~約0.7mm、または1.2mm~約0.8mmの範囲内の側方寸法開口部を有してもよい。
【0015】
例えば、1.2mm~約0.8mmの範囲内の最大側方寸法開口部を有し、40~60グラムの乾燥粉末を含有する単一の開口で活性化されたサイズ3またはサイズ4のカプセルは、本明細書に記載の吸入器システムを利用して、約2秒の持続時間を有する各々約5リットル/分の流量の2回以下の吸入で、カプセルの単一の開口から少なくとも75重量%または少なくとも80重量%の乾燥粉末を放出してもよい。
【0016】
吸入器物品ホルダーは、限定された回数の吸入にわたって高い用量の乾燥粉末をユーザーに送達するために、吸入器物品と協働するように構成されている。例えば、ホルダーおよび吸入器物品は、5回以下の吸入にわたって、カプセル内に含有された乾燥粉末の実質的に全用量をユーザーに送達してもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、4回以下の吸入にわたって、カプセル内に含有された乾燥粉末の実質的に全用量をユーザーに送達してもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、3回以下の吸入にわたって、カプセル内に含有された乾燥粉末の実質的に全用量をユーザーに送達してもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、2回以下の吸入にわたって、カプセル内に含有された乾燥粉末の実質的に全用量をユーザーに送達してもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、単一の吸入にわたって、カプセル内に含有された乾燥粉末の実質的に全用量をユーザーに送達してもよい。「乾燥粉末の実質的に全用量」とは、カプセルの中に含有された総乾燥粉末の少なくとも75%重量を意味する。
【0017】
吸入は、従来の喫煙方法の吸入空気流量以内である、吸入流量で吸入器物品を通って流れてもよい。吸入は、5リットル/分未満、または2リットル/分から5リットル/分、または3リットル/分から5リットル/分、または4リットル/分から5リットル/分の範囲内の吸入流量で、吸入器物品を通って流れてもよい。
【0018】
各吸入は、ユーザーの通常の吸入呼吸と等しい持続時間で吸入器物品を通って流れてもよい。各吸入は、約1~4秒の範囲内の持続時間で吸入器物品を通って流れてもよい。各吸入は、約1~3秒の範囲内の持続時間で吸入器物品を通って流れてもよい。各吸入は、約1.5~2.5秒の範囲内の持続時間で吸入器物品を通って流れてもよい。各吸入は、約2秒の持続時間で吸入器物品を通って流れてもよい。
【0019】
カプセルは、0.5~10マイクロメートル、または0.5~5マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径(以下「MMAD」)粒子サイズを有する粒子を含む薬学的に活性な粉末を含有してもよい。一つの実施形態において、カプセルは、ニコチン粒子を含むニコチン粉末を含有し、ニコチン粒子は、0.5~10マイクロメートル、または0.5~5マイクロメートルの範囲内のMMAD粒子サイズを有する。カプセルは、10マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上、または40マイクロメートル以上のMMAD粒子サイズを有する風味粒子をさらに含有してもよい。風味粒子は、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、または120マイクロメートル以下のMMAD粒子サイズを有してもよい。風味粒子は、20マイクロメートル~200マイクロメートル以下、または40マイクロメートル~120マイクロメートルのMMAD粒子サイズを有してもよい。一部の実施形態において、カプセルは、0.5マイクロメートル~10マイクロメートル、または0.5マイクロメートル~5マイクロメートルの範囲内のMMAD粒子サイズを有するニコチン粒子と、20マイクロメートル~200マイクロメートルまたは50マイクロメートル~150マイクロメートルのMMAD粒子サイズを有する風味粒子とを含有する。
【0020】
一部の場合において、カプセルは、ニコチンを含む薬学的に活性な粒子を含有する。例えば、カプセルは、ニコチン塩を含む乾燥粉末を含有してもよい。乾燥粉末は、糖もしくは糖アルコール、アミノ酸、風味剤、鎮咳薬、または吸入可能な粉末での使用に適切な他の薬学的に許容可能な成分などの他の構成成分をさらに含有してもよい。一つの実施形態において、カプセルは、ニコチン粒子を含むニコチン粉末を含有し、ニコチン粒子は、ニコチン塩、糖もしくは糖アルコール、およびアミノ酸を含む。ニコチン粉末粒子は、少なくとも選択された粒子、または各粒子がニコチン塩、糖もしくは糖アルコール、およびアミノ酸を含む、複合材料粒子であってもよい。カプセルは、風味粒子、または鎮咳薬粒子、または風味と鎮咳薬粒子の両方をさらに含んでもよい。風味および鎮咳薬粒子は本書において、集合的に風味粒子と呼ばれる。
【0021】
粉末系内またはニコチン粒子内のニコチンは、薬学的に許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物としては例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチン粒子は、アミノ酸を含むことが好ましい。好ましくはアミノ酸は、L-ロイシンなどのロイシンであってもよい。アミノ酸(L-ロイシンなど)にニコチンを含む粒子を提供することは、粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減する場合があり、それ故にニコチン粒子の凝集およびニコチン粒子の表面への接着を低減する場合がある。同様に、風味を含む粒子への接着力も低減される場合がある。粉末系は自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でさえも、各粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。
【0022】
本開示は、「吸入器物品ホルダー」と呼ばれる吸入器物品用ホルダーを対象とする。吸入器物品ホルダーは、一つ以上の貫通要素を含む。吸入器物品ホルダーは、消耗品吸入器物品を受容し、カプセルを貫通することによって吸入器物品内のカプセルを起動し、消費中に吸入器物品の中に旋回吸入気流を誘発するように構成されている。吸入器物品ホルダーおよび吸入器物品は、本開示が対象とする吸入器システムを形成してもよい。吸入器物品ホルダーは、単一の貫通要素を含んでもよい。
【0023】
本明細書に記載の吸入器物品ホルダーは、カプセルを包含する吸入器物品と組み合わせられてもよい。吸入器物品は、カプセルを貫通することによって吸入器物品を起動するために使用されてもよく、これは吸入器物品ホルダーの貫通要素を用いてカプセルを穿刺することによってカプセルの信頼性のある起動を提供する。粒子は、貫通したカプセルの周りに気流を引き出す、または作り出すのに伴い、カプセルから放出されてもよい。それ故に、吸入器システムは、乾燥粉末粒子を消費者に送達する。吸入器物品ホルダーは吸入器物品と別個であるが、消費者は、吸入器物品内で放出される乾燥粉末粒子を消費しながら、吸入器物品と吸入器物品ホルダーの両方を利用する。複数のこれらの吸入器物品は、吸入器物品ホルダーと組み合わせられて、システムまたはキットを形成してもよい。単一の吸入器物品ホルダーは、各吸入器物品内に包含されたカプセルを起動(穿孔または貫通)するために、かつ確実な起動を提供するために、10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用されてもよい。吸入器物品は、各吸入器物品について、吸入器物品の活性化の視覚的な表示(マーキング)を随意に提供してもよい。
【0024】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に吸入器長軸方向軸に沿って延びる細長い管状本体を備える。マウスピース端は、近位端、または下流端である。遠位端は上流端である。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界付けられた、および中央通路を画定する開放管状要素によって上流で境界付けられた本体内に画定されている。吸入器物品ホルダーの中への挿入前に、吸入器物品の遠位端は閉鎖されていてもよい。吸入器物品ホルダーの中への挿入後に、吸入器物品の遠位端は開放されてもよい。吸入器物品の遠位端は、吸入器物品ホルダーの中への吸入器物品の導入に伴い、吸入器物品の遠位端が開いてもよいように、吸入器物品ホルダー内の相補的構造と相互作用してもよい。吸入器物品ホルダーの中に導入された時に、吸入器物品の遠位端は、本体の遠位端からカプセル空洞に延びる開放空気吸込み口開口を形成する中央通路を有する。カプセルはカプセル空洞内に配置されていて、中央通路はカプセルよりも小さい直径を有してもよい。それ故に、カプセルは中央通路を通過しなくてもよく、カプセル空洞内に保持される。
【0025】
吸入器物品は気流経路を有する。気流は、ユーザーからの吸入(または吸煙)によって吸入器物品の中に導入される。吸入器物品ホルダーは、旋回吸入気流を作り出す。この旋回吸入気流は、吸入器物品に導入される。吸入器物品の遠位端または最上流端は、旋回吸入気流を受容するように構成された開放管状要素の開放中央通路を画定する開放開口を含む。
【0026】
旋回吸入気流は次いで、カプセル空洞の中に下流に続き、カプセル空洞の中のカプセルの回転を誘発する。活性化されたカプセルは次いで、マウスピースを通して消費者に至る下流の旋回吸入気流の中に粒子の用量を放出する。それ故に、旋回吸入気流は吸入器物品から上流に作り出され、また旋回吸入気流は吸入器物品の遠位端または最上流端に入る。
【0027】
出願人は、記載の吸入器物品ホルダー内の旋回空気発生構造の中への空気吸込み口の数、サイズ、定置が、使用中に乾燥粉末の異なるカプセル枯渇をもたらすことを発見した。具体的に、吸入器物品ホルダー内の旋回空気発生構造の中への空気吸込み口の数、サイズ、定置が、カプセルのスピンの速度およびカプセルの振盪周波数を変化させる。各空気吸込み口が0.2mm~0.5mm、または0.2mm~0.4mm、または0.2mm~0.3mmの範囲内の側方サイズまたは直径を有する旋回空気発生構造の中に三つまたは四つの空気吸込み口が利用されている時に、総乾燥粉末の少なくとも75重量%が、2回の吸入(各々、約4~約5リットル/分の速度で約2秒の間)以内にカプセルから引き出される。引き出し抵抗は、30mmWG~約110mmWGの範囲内であってもよい。
【0028】
吸入器物品ホルダーは、吸入器物品を受容するためのハウジング空洞と、ハウジング空洞内に吸入器物品を保持するように構成されたスリーブとを備えるハウジングを含む。ハウジング空洞は、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジングの中に閉鎖端まで延びる単一のハウジング開口部によって画定されている。単一のハウジング開口部は、吸入器物品を受容するように構成されている。
【0029】
スリーブは、ハウジング空洞内に包含されていて、ハウジングの長軸方向軸に沿って第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。スリーブは、ハウジング長軸方向軸に沿って第一の位置と第二の位置の間で摺動可能であってもよい。第一の位置において、スリーブは、単一のハウジング開口部に隣接して位置する。第二の位置において、スリーブは、長軸方向軸に沿った横方向距離で単一のハウジング開口部からさらに離れている。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設および構成されている。
【0030】
スリーブは、第一の開放端から、第一の開放端と反対側の第二の端に延び、スリーブの長軸方向軸に沿って円筒状管腔またはスリーブ空洞を画定する。スリーブの開放端は、単一のハウジング開口部と整列し、また吸入器物品を受容するように構成されている。第二の端は、第二の端を少なくとも部分的に閉じる端壁を含む。スリーブの開放端は角度を有してもよい。この角度は、吸入器物品が装置の中に導入される時に、吸入器物品の中へのスリーブの開放端の挿入を容易にする場合がある。加えて、角度を有する開放端は、プラスチック型からの部品の取り外しを容易にすることによって、スリーブ部品の製造を容易にする場合がある。
【0031】
管状部材は端壁に固定されていて、端壁から管状部材開放端に至る第一の長さでスリーブ空洞の中に延びる。管状部材は、管状部材長軸方向軸を有する管状部材空洞を画定する。管状部材長軸方向軸は、スリーブの長軸方向軸と同軸であることが好ましい。
【0032】
少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞の中に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。
【0033】
二つ、三つ、または四つの空気吸込み口は、カプセルからの乾燥粉末の少なくとも75重量%または少なくとも80重量%を、2回以下の吸入を用いてカプセルの単一の開口を介して分与するように配設および構成されている。少なくとも二つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接する管状部材空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口の各々は、約0.2mm~約0.5mmの範囲内の側方開口部寸法を有する。
【0034】
空気吸込み口を端壁のより近くに定置することは、吸入器物品の分与特性を向上する。空気吸込み口を管状部材開放端から最も遠くに定置することは、吸入器物品の分与特性を向上する。少なくとも二つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁の近くの管状部材空洞に入る。管状部材は、端壁から開放端に至る第一の長さ値を有する。少なくとも二つの空気吸込み口は、端壁からの第一の長さ値の第一の25%以内で管状部材空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口は、端壁からの第一の長さ値の第一の10%以内で管状部材空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口は、端壁からの第一の長さ値の第一の5%以内で管状部材空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口は、各空気吸込み口の側方開口部寸法未満の端壁までの距離値以内で管状部材空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口は、端壁と管状部材の交点にて管状部材空洞に入る。
【0035】
三つの空気吸込み口が管状部材空洞の中に延びる時に、総乾燥粉末の少なくとも75%重量が、2回の吸入(各々、約4~約5リットル/分の速度で約2秒の間)以内にカプセルから引き出される。三つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。三つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。三つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接する管状部材空洞に入る。三つの空気吸込み口の各々は、0.25mm~0.4mmの範囲内、または0.27mm~0.33mmの範囲内、または約0.3mmの側方開口部寸法または直径を有する。引き出し抵抗は、30mmWG~約70mmWG、または50mmWG~約70mmWGの範囲内であってもよい。
【0036】
四つの空気吸込み口が管状部材空洞の中に延びる時に、総乾燥粉末の少なくとも75%重量が、2回の吸入(各々、約4~約5リットル/分の速度で約2秒の間)以内にカプセルから引き出される。四つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。四つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。四つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接する管状部材空洞に入る。四つの空気吸込み口の各々は、0.2mm~0.3mmの範囲内、または0.24mm~0.3mmの範囲内、または約0.29mmの側方開口部寸法または直径を有する。引き出し抵抗は、45mmWG~約110mmWGの範囲内であってもよい。
【0037】
スリーブ端壁は、貫通要素が端壁を通過し、スリーブ管腔の中に延びることを可能にするために、開口を含む。空気吸込み口は、スリーブの周りの環状空間からスリーブ円筒状管腔の中への気流連通を提供する。空気吸込み口および管状部材は、スリーブ円筒状管腔の中に、かつ吸入器物品カプセル空洞の中に直接、回転または旋回吸入気流を誘発するように構成されている。この旋回吸入気流または回転吸入気流は、カプセルを回転させてカプセル内に含有された乾燥粉末を放出するために、吸入器物品の中に送られてもよい。
【0038】
吸入器物品ホルダーは、空洞のハウジング内表面に固定された、かつ空洞のハウジング内表面から延びる貫通要素を含んでもよい。貫通要素は、ハウジングの長軸方向軸に沿ってスリーブの端壁を通して、かつスリーブ空洞の中に延びるように構成されている。貫通要素は、スリーブが第一の位置から第二の位置に移動するのに伴い、受容された吸入器物品のカプセルに接触し、それを貫通する。スリーブを第二の位置から第一の位置に移動することは、カプセルから貫通要素を除去し、カプセル内の開口を露出させ、この開口は吸入空気がカプセルを回転するにつれてカプセル内に含有された乾燥粒子をカプセルから放出することを可能にする。
【0039】
吸入器物品ホルダーは、スリーブを貫通要素から離れるように付勢するように構成されたばね部材をさらに含んでもよい。ばね部材は、スリーブを第二の位置から離れて第一の位置に至るように付勢してもよい。ばね部材は、スリーブの第一の位置において弛緩した状態であってもよい。ばね部材は、第二の位置において圧縮された状態であってもよい。貫通要素は、ばね部材内に配置されていることが好ましい。
【0040】
スリーブは、スリーブの長軸方向の長さに沿って延びる細長いスロットを含んでもよい。ハウジングは、ハウジング空洞の内表面から延びるピンをさらに含んでもよい。ピンは、第一の位置と第二の位置の間で移動する際にスリーブの整列を維持するように、細長いスロットと嵌合するように構成されてもよい。
【0041】
内部ハウジングは、ハウジング空洞内に含有されてもよい。内部ハウジングは、スリーブの少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジングは、貫通要素の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジングは、ばね部材をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0042】
管状要素はスリーブ空洞の中に延びてもよく、また吸入器物品の遠位端を受容するように構成されたスリーブ空洞を有する環状凹部を形成してもよい。管状要素はスリーブ空洞の中に延びてもよく、また吸入器物品の遠位端を保持するように構成されたスリーブ空洞を有する環状凹部を形成する。管状要素はスリーブ空洞内に受容された吸入器物品の遠位端の中に延びるように構成されてもよい。吸入空気の実質的にすべては、管状部材長軸方向軸に対して接線方向である方向で管状要素に入る。
【0043】
有利なことに、受容された吸入器物品と嵌合するスリーブの第二の反対側の端上に特徴を提供することは、旋回誘発スリーブから、スリーブ内に受容された吸入器物品への確実な気流接続を向上する場合がある。環状凹部は、締まり嵌めを有する吸入器物品の遠位端を保持するように構成されてもよい。環状凹部と吸入器の遠位端との間の締まり嵌めはまた、吸入器物品がスリーブまたは関連付けられたホルダーから外れないように、スリーブ内に受容された吸入器物品の安全な係合を提供する場合がある。
【0044】
別段の記載がない限り、ここで「粒子サイズ」という用語は、粒子または粒子の組の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を指すために使用される。こうした値は、特徴付けられる粒子と同じ空気動力学的挙動を有する、1gm/cm3の密度を有する球の直径として定義される空気動力学的粒子径の分布に基づく。
【0045】
具体的に、粉末系については、空気動力学的粒子サイズ分布の単一の数値記述子として最も幅広く適合されている指標のうちの一つである、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が一般的に参照される。MMADは、粒子サンプルに対して統計的に導出された数値であり、一例として、5マイクロメートルのMMADは、総サンプル質量の50パーセントが、5マイクロメートル未満の空気動力学径を有する粒子中に存在すること、および総サンプル質量の残りの50パーセントが、5マイクロメートルよりも大きい空気動力学径を有する粒子中に存在することを意味する。本発明の文脈において、粉末系を記述する時に、「粒子サイズ」という用語は粉末系のMMADを指すことが好ましい。
【0046】
粉末系のMMADは、カスケードインパクターを用いて測定されることが好ましい。カスケードインパクターは、エアロゾル粒子の空気動力学的サイズ分類を決定するための空中浮遊粒子のサンプリングおよび分離に広範に使用されている器具である。実際に、カスケードインパクターは、粒子サイズ、密度、速度の関数である粒子慣性の基準で、入ってくるサンプルを個別の画分へと分離する。カスケードインパクターは典型的に、一連のステージを備え、その各々は、特定のノズル配設および収集面を有するプレートを備える。ステージ数が増えるにつれてノズルサイズと総ノズル面積の両方が減少するため、サンプルを含んだ空気は器具を通して進むにつれて速度が増加する。各ステージで、十分な慣性力を有する粒子は、主流の気流から外れて収集面に衝突する。従って、任意の所与の流量で、各ステージは、カットオフ径(収集される粒子のサイズを画定する数値)に関連付けられる。ステージ数が増えると、速度が増加し、そのためステージカットオフ径が減少する。それ故に、所与のステージに関連付けられたカットオフ径は、試験に使用される気流量の関数である。使用時の性能を反映するために、ネブライザーは15L/分で定期的に試験され、乾燥粉末吸入器は最大100L/分の流量で試験されてもよい。
【0047】
本発明の文脈において、粉末系のMMADは、次世代インパクター(NGI)170(Copley Scientific AGから入手可能)を用いて測定されることが好ましい。NGIは、七つのステージとマイクロオリフィスコレクター(MOC)を有する高性能で高精度な粒子分類カスケードインパクターである。NGIの特徴および動作原理は、例えばMarple et al.,Journal of Aerosol Medicine-Volume 16,Number 3(2003)に記述されている。測定は、摂氏20±3度、および35±5パーセントの相対湿度で実行されることがより好ましい。
【0048】
乾燥粉末製剤は典型的に、約15重量パーセント以下の水分、好ましくは約10パーセント以下の水分、なおより好ましくは約6重量パーセント以下の水分を含有する。乾燥粉末製剤は、約5重量パーセント以下の水分、またはさらに約3重量パーセント以下の水分、またはさらに約1重量パーセント以下の水分を含有することが最も好ましい。
【0049】
「引き出し抵抗」または「RTD」という用語は、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下で気流が横断した時の、標本の二つの端の間の静的圧力差を指す。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定することができる。
【0050】
パーセンテージとして報告されたすべての値は、総重量に基づく重量パーセントであると見なされる。
【0051】
本明細書で使用されているすべての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0052】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0053】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で採用されているが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0054】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「備える(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0055】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、「有意に」と同じ意味を有し、関連する用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%修飾すると理解されることができる。ここで使用される「実質的に~ではない」という用語は、「有意に~ではない」と同じ意味を有し、また「実質的に」と逆の意味を有し、すなわち関連する用語を10%以下、5%以下、または2%以下だけ修飾すると理解されることができる。
【0057】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流がホルダー、吸入器物品、および吸入器システムの本体を通して引き出される際の吸入気流の方向に関して記述されるホルダー、吸入器物品、および吸入器システムの要素の相対的な位置を指す。
【0058】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0059】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、例示的な吸入器システムの概略断面図である。
図2図2は、例示的な吸入器物品ホルダーの斜視分解組立図である。
図3A図3Aは、吸入器物品が吸入器物品ホルダーの中に受容されていて、また第二の位置においてカプセルを貫通している、例示的な吸入器システムの概略断面図である。
図3B図3Bは、第一の位置において貫通要素がカプセルから引っ込められている、図3Aの例示的な吸入器システムの概略断面図である。
図4図4は、吸入器システムを通る吸入気流経路を図示する図3Bの別の概略断面図である。
図5図5は、例示的なスリーブの断面概略図である。
図6図6は、1~4個の接線方向空気吸込み口を有する例示的な管状部材の断面概略図である。
図7図7は、1~4個の接線方向空気吸込み口を有する例示的な管状部材の断面概略図である。
図8図8は、1~4個の接線方向空気吸込み口を有する例示的な管状部材の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
実施例1. ハウジング空洞を画定するハウジングと、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブと、ハウジング空洞内に位置付けられた貫通要素とを含む、備える、吸入器物品ホルダー。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設されていて、またハウジング空洞内で、ハウジング空洞の長軸方向軸に沿って、第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。スリーブは、スリーブによって画定されたスリーブ空洞と、吸入器物品を受容するように構成された第一の開放端と、第一の開放の反対側の第二の端とを含む。第二の端は、第二の端を少なくとも部分的に閉じる端壁を含む。管状部材は端壁に固定されていて、端壁から管状部材開放端に至る第一の長さでスリーブ空洞の中に延びている。管状部材は、管状部材長軸方向軸を有する管状部材空洞を画定する。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞の中に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。少なくとも二つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接して管状部材空洞に入り、少なくとも二つの空気吸込み口の各々は、約0.2mm~約0.5mmの範囲内の側方開口部寸法を有する。スリーブが第二の位置にある時に、貫通要素は、端壁を通過するように、かつスリーブ内に受容された吸入器物品を貫通するように配設されている。
実施例2. 管状部材が、管状部材空洞の中に延びる三つの空気吸込み口を含む、実施例1の吸入器物品ホルダー。三つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。三つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。三つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接する管状部材空洞に入る。
実施例3. 三つの空気吸込み口の各々が、約0.25mm~約0.4mmの範囲内、または約0.27mm~約0.33mmの範囲内、または約0.3mmの側方開口部寸法を有する、実施例2の吸入器物品ホルダー。
実施例4. 管状部材が、管状部材空洞の中に延びる四つの空気吸込み口を含む、実施例1の吸入器物品ホルダー。四つの空気吸込み口は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。四つの空気吸込み口は、管状部材空洞に接線方向で入り、スリーブ空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。四つの空気吸込み口はそれぞれ、端壁に隣接する管状部材空洞に入る。
実施例5. 四つの空気吸込み口の各々が、約0.2mm~約0.3mmの範囲内、または約0.24mm~約0.3mmの範囲内、または約0.29mmの側方開口部寸法を有する、実施例4の吸入器物品ホルダー。
実施例6. 引き出し抵抗が、約30mmWG~約70mmWG、約50mmWG~約70mmWGの範囲内である、実施例2または実施例3の吸入器物品ホルダー。
実施例7. 引き出し抵抗が、約45mmWG~約110mmWGの範囲内である、実施例4または実施例5の吸入器物品ホルダー。
実施例8. 空気吸込み口がそれぞれ、空気吸込み口の側方開口部寸法未満の端壁までの距離値以内で管状部材空洞に入る、実施例1~7のいずれかの吸入器物品ホルダー。
実施例9. 空気吸込み口がそれぞれ、端壁と管状部材の交点にて管状部材空洞に入る、実施例1~8のいずれかの吸入器物品ホルダー。
実施例10. 管状部材がスリーブ空洞の中に延び、かつ吸入器物品の遠位端を受容するように構成されたスリーブ空洞を有する環状凹部を形成する、実施例1~9のいずれかの吸入器物品ホルダー。
実施例11. 管状部材がスリーブの長軸方向軸と同軸である、実施例1~10のいずれかの吸入器物品ホルダー。
実施例12. 吸入器物品と、実施例1~11のいずれかに記載の吸入器物品用ホルダーとを備える吸入器システム。吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に吸入器長軸方向軸に沿って延びる本体と、吸入器物品本体内に配置されたカプセルとを含む。スリーブは、スリーブ空洞の中に受容された吸入器物品を保持する。
実施例13. カプセルがカプセル空洞内に保持されていて、かつスリーブの第二の端によって形成された旋回吸入気流を受容するように構成されていて、カプセル空洞が多孔性要素によって下流で境界付けられていて、かつ開放管状要素によって上流で境界付けられている、実施例12の吸入器物品システム。
実施例14. 前記カプセルが薬学的に活性な粒子を含有する、実施例12または実施例13の吸入器システム。薬学的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する。
実施例15. 管状部材およびスリーブが環状凹部を形成し、かつ吸入器物品の遠位端が環状凹部と嵌合する、実施例12~14の吸入器システム。
実施例16. スリーブの開放端が角度を有する、実施例10または実施例15の吸入器システム。
【0062】
概略図は必ずしも実寸に比例していなく、また例示の目的で提示されていて、限定するものではない。図面は本開示に記載の一つ以上の態様を図示する。しかし当然のことながら、図面に図示されていない他の態様は、本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【0063】
図1は、例示的な吸入器システム10の概略断面図である。図2は、例示的な吸入器物品ホルダー30の斜視分解組立図である。図3Aは、吸入器物品20が吸入器物品ホルダー30内に受容されていて、吸入器物品ホルダー30が第二の位置または圧縮された位置にある時に、カプセル25が貫通要素50によって貫通されている、例示的な吸入器システム10の概略断面図である。図3Bは、第一の位置または弛緩した位置において貫通要素50がカプセル25から引っ込められている、図3Aの例示的な吸入器システム10の概略断面図である。図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路(矢印)を図示する図3Bの別の概略断面図である。
【0064】
吸入器物品ホルダー30は、別個の消耗品吸入器物品20を受容するように、かつ消費中に吸入器物品20の中に、および吸入器物品20を通して旋回吸入気流を誘発するように構成されている。吸入器物品ホルダー30および吸入器物品20は、吸入器システム10を形成する。吸入器物品20は消費者による使用中に、吸入器物品ホルダー30の中に留まる。吸入器物品ホルダー30は、受容された吸入器物品20に入る旋回吸入気流を誘発するように構成されている。
【0065】
例示的な吸入器物品20は、マウスピース端21から遠位端23に延びる本体22を含む。カプセル空洞24が本体22内に画定されている。カプセル25はカプセル空洞24内に包含されている。上述の乾燥粉末粒子は、カプセル25内に含有されてもよい。カプセル25は、カプセル25の本体を通して開口部を形成するように貫通されてもよく、また吸入空気は、吸入器物品20を通って流れて、貫通したカプセル25から、吸入気流の中に、およびマウスピース端21の外に乾燥粉末粒子を放出してもよい。
【0066】
吸入器物品ホルダー30は、ハウジング内表面34および外表面35によって画定されたハウジング空洞を画定するハウジング32を含む。スリーブ40はハウジング空洞内に位置付けられている。スリーブ40は、吸入器物品20を受容するように配設されていて、またスリーブ40は、ハウジング空洞内で、ハウジング空洞の長軸方向軸に沿って、第一の位置(図3B)と第二の位置(図3A)の間で移動可能である。
【0067】
貫通要素50は、図3Aに図示する通りにスリーブ40が第二の位置にある時に、スリーブ40内に受容された吸入器物品20内のカプセル25を貫通するように配設されている。貫通要素50は、ハウジング32の長軸方向軸に沿って、スリーブ40の中に延びるように構成されてもよい。吸入器物品ホルダー30は、スリーブ40および任意の受容された吸入器物品20を貫通要素50から離れるように付勢するように構成されたばね部材60を含んでもよい。
【0068】
スリーブ40は、第一の開放端42から反対側の第二の端44に延び、スリーブ40の長軸方向軸に沿ってスリーブ空洞45または円筒状管腔を画定する。スリーブ空洞45は、使用中に吸入器物品20を定位置に保持するのを支援するために、管腔内部に隆起またはその他の構造を随意に有してもよい。スリーブの第一の開放端42は、単一のハウジング開口部36と整列する。第二の端44は、第二の端を少なくとも部分的に閉じる端壁48を含む。端壁48は、貫通要素50が端壁48を通過し、スリーブ40の空洞の中に延びることを可能にするために、開口を含む。
【0069】
管状部材46は端壁48に固定されていて、端壁48からスリーブ40の空洞の中に至る第一の長さで延びる。管状部材46は、管状部材長軸方向軸を有する管状部材空洞を画定する。第一の長さは、約5mmであってもよい。管状部材46は、約5.5mmの外径、および約4mmの内径を有してもよい。受容された吸入器物品20の開放遠位端23は、管状部材46との締まり嵌めを提供するために、約5.5mmの内径を有してもよい。
【0070】
少なくとも二つの空気吸込み口47は、管状部材46の空洞の中に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口47は、管状部材長軸方向軸に対して直角に延びる。少なくとも二つの空気吸込み口47は、管状部材46の空洞に接線方向で入り、スリーブ40の空洞に入る吸入空気で旋回気流パターンを誘発する。少なくとも二つの空気吸込み口47はそれぞれ、スリーブ40の側壁を通して管状部材46の空洞に入る。少なくとも二つの空気吸込み口47はそれぞれ、端壁48に隣接する管状部材46の空洞に入ってもよい。少なくとも二つの空気吸込み口47の各々は、約0.2mm~約0.5mmの範囲内の側方開口部寸法を有する。
【0071】
管状部材46は、スリーブ40の周りの環状空間からスリーブ空洞45の中への気流連通を提供する、二つ以上の吸入空気吸込み口47を含む。この管状部材46は、スリーブ空洞45の中に、かつ吸入器物品カプセル空洞24の中に直接、回転または旋回吸入気流を誘発するように構成されている。この旋回または回転吸入気流は、吸入器物品20の中に送られてカプセル25を回転させ、カプセル25内に含有された乾燥粉末を放出してもよい。
【0072】
内部ハウジング70は、ハウジング空洞内に含有されてもよい。内部ハウジング70は、スリーブ40の少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジング70は、貫通要素50の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジング70は、ばね部材60をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0073】
環状カバー38は、内部ハウジング70およびスリーブ40をハウジング空洞の中に固定してもよい。環状カバー38は、吸入器物品20を受容するために単一のハウジング開口部36を画定する。環状カバー38は、ピン要素39を用いてハウジング32に固定されてもよい。
【0074】
図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路を図示する。吸入気流150は、ユーザーの吸入によって装置の中に導入される。吸入空気150は、吸入吸込み口37を画定する、受容された吸入器物品20の外表面と環状カバー38との間で吸入器物品ホルダー30に入る。装置の中へのこの吸入吸込み口37は、受容された吸入器物品20と同軸の環状開口部を画定してもよい。
【0075】
一旦ハウジング空洞の内部に入ると、吸入空気150は、スリーブ40の長さに沿ってスリーブ40の第二の端44に進む。次いで、吸入空気150は、管状部材46の空気吸込み口47に入り、スリーブ空洞45内で旋回または回転吸入気流150を形成する。次いで、この旋回または回転吸入空気は、吸入器物品20の遠位端23の中に、かつカプセル空洞24の中に直接送られる。旋回吸入気流はカプセル25を回転または撹拌し、乾燥粉末粒子は吸入気流内に同伴されている。次いで、同伴した吸入気流は、マウスピース端21を介して吸入器物品の外に流れ出て、ユーザー100に流れる。図4において、吸入気流150の経路が矢印で図示されている。
【0076】
図5は、例示的なスリーブ40の断面概略図である。図6図8は、2~4個の接線方向空気吸込み口47を有する例示的な管状部材46の断面概略図である。
【0077】
スリーブ40は、第一の開放端42から反対側の第二の端44に延び、スリーブ空洞45を画定する。第二の端44は、第二の端44を少なくとも部分的に閉じる端壁48を含む。
【0078】
スリーブ40の第二の端44は、管状部材空洞49を画定する管状部材46を含む。管状部材46は、端壁48から開放端43に延びる。開放端43は、角度を有してもよい。この角度は、吸入器物品20が装置の中に導入される時に、吸入器物品20の中への管状部材46の挿入を容易にする場合がある。管状部材空洞49は、スリーブ空洞45と流体連通している。管状部材46の開放端43は、スリーブ空洞45の中に延びる。管状部材46は、空気が管状部材空洞49の中に入ることを可能にする少なくとも二つの空気吸込み口47を含む。少なくとも二つの空気吸込み口47は、管状部材空洞49に対して接線方向である方向で延びる。
【0079】
管状部材空洞49は、端壁48から開放端43に長軸方向に延びてもよく、約5mmの距離を有する長さを画定する。少なくとも二つの空気吸込み口47は、端壁48から管状部材空洞49の長さの第一の2mm(第一の40%)以内で管状部材空洞49に入ってもよい。少なくとも二つの空気吸込み口47は、端壁48から管状部材空洞49の長さの第一の1.5mm(第一の30%)以内で管状部材空洞49に入ってもよい。少なくとも二つの空気吸込み口47は、端壁48から管状部材空洞49の長さの第一の1mm(第一の20%)以内で管状部材空洞49に入ってもよい。少なくとも二つの空気吸込み口47は、端壁48から管状部材空洞49の長さの第一の0.5mm(第一の10%)以内で管状部材空洞49に入ってもよい。
【0080】
吸入器物品20の遠位端23は、管状部材46上に摺動する。吸入空気吸込み口47は、管状部材49に対して正接で管状部材46に入り、受容された吸入器物品20に対して旋回吸入気流を形成する。管状部材46は、スリーブ空洞45の中に延び、吸入器物品20の遠位端23を受容するように構成されたスリーブ空洞45を有する環状凹部41を形成する。管状部材46によって形成された突出部は、吸入器物品20の開放遠位端23の中に摺動する。管状部材46は、スリーブ空洞45内に受容された吸入器物品20の遠位端23の中に延びるように構成されている。
【0081】
図6図9は、二つ~四つの接線方向空気吸込み口47を有する管状部材空洞49を有する例示的な管状部材46の断面概略図である。管状部材46の内径は約4mmである。図6は、各々が約0.4mm~約0.5mmの直径または側方開口部寸法を有する、相互から180度にて管状部材46に入る、二つの接線方向空気吸込み口47を図示する。図7は、各々が約0.3mm~約0.4mmの直径または側方開口部寸法を有する、相互から120度にて管状部材46に入る、三つの接線方向空気吸込み口47を図示する。図8は、各々が約0.25mm~約0.3mmの直径または側方開口部寸法を有する、相互から90度にて管状部材46に入る、四つの接線方向空気吸込み口47を図示する。
【実施例
【0082】
吸入試験は、本明細書に記載の吸入器システム上で実施された。すべての試験は、50mgのニコチン塩粉末および風味粒子(75%のニコチン塩:25%の風味粒子の重量比)を含有するサイズ3のカプセルを有する吸入器物品を利用した。ニコチン塩粒子は、約1~3マイクロメートルのMMADを有した。風味粒子は、約50~100マイクロメートルのMMADを有した。カプセルは直径1.2mmの貫通要素を用いて活性化されて、カプセル内に単一の開口を形成した。各試験は、各吸入に対して75ml/秒で約2秒の間、吸入器システムを通して吸入気流を提供した。
【0083】
図7に図示する通りの三つの空気吸込み口を有する吸入器システムは、0.36mm(実施例A)および0.30mm(実施例B)の直径または側方開口部寸法を有して、相互から120度で管状部材に入る状態で試験された。
【0084】
実施例Aは、約35mmWGのRTDを有し、二回の吸入後にカプセルから総乾燥粉末用量の約75重量%を放出した。
【0085】
実施例Bは、約60mmWGのRTDを有し、二回の吸入後にカプセルから総乾燥粉末用量の約80重量%を放出した。
【0086】
図8に図示する通りの四つの空気吸込み口を有する吸入器システムは、0.3mm(実施例C)および0.25mm(実施例D)の直径または側方開口部寸法を有して、相互から120度で管状部材に入る状態で試験された。
【0087】
実施例Cは、約50mmWGのRTDを有し、二回の吸入後にカプセルから総乾燥粉末用量の約75重量%を放出した。
【0088】
実施例Dは、約100mmWGのRTDを有し、二回の吸入後にカプセルから総乾燥粉末用量の約75重量%を放出した。
【0089】
出願人は、空気吸込み口が管状部材の端壁の近くに位置すると、これらの結果が実現されることを発見した。
【0090】
比較のために、出願人は、図7に図示する通りの三つの空気吸込み口を有する吸入器システムが、0.85mm(実施例C1)の直径または側方開口部寸法を有して、相互から120度で管状部材に入る状態で試験されたことを検査した。ここで試験は、各吸入に対して40ml/秒で約2秒の間、吸入器システムを通して吸入気流を提供した。
【0091】
比較実施例C1は約35mmWGのRTDを有し、またカプセルから総乾燥粉末用量の約75重量%の放出を達成するために、12~20回の吸入で概して均一であった各吸入で、より低い用量の粉末を送達した。
【0092】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±2%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】