(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】フローフォーミング装置およびフローフォーミング方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/16 20060101AFI20240319BHJP
B23Q 3/06 20060101ALI20240319BHJP
B21D 43/04 20060101ALI20240319BHJP
B21D 22/14 20060101ALI20240319BHJP
B21D 53/26 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B21D22/16 E
B23Q3/06 301D
B21D43/04 Z
B21D22/14 Z
B21D53/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551763
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022053236
(87)【国際公開番号】W WO2022184400
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202021101035.5
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511305449
【氏名又は名称】ライフェルト メタル スピニング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Leifeld Metal Spinning GmbH
【住所又は居所原語表記】Feldstr. 2-20 59229 Ahlen (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】ニリエス、ベネディクト
【テーマコード(参考)】
3C016
4E137
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CB03
4E137AA11
4E137BB04
4E137CA06
4E137EA18
4E137EA40
4E137GA11
4E137GB04
(57)【要約】
本発明は、ドラム状周囲部を有する実質的に回転対称の被加工物をフローフォーミングするためのフローフォーミング装置および方法に関する。フローフォーミング装置は、スピンドル軸を中心に回転駆動され得るスピンドルと、スピンドルに配置され、複数のクランプ要素を有するクランプ・デバイスであって、クランプ要素が、クランプ要素が被加工物の外周領域に所定のクランプ力で当接し、フォーミングのために被加工物をスピンドル上に保持するクランプ位置と、クランプ要素が、第1の作動デバイスによって、被加工物をスピンドルから解放するために規定の方法で被加工物から離間される解放位置との間で調節可能であり、フォーミング中に被加工物をスピンドル上に保持するためのクランプ力を、第1の作動デバイスによって加えることができるクランプ・デバイスと、被加工物のドラム状周囲部のフォーミングのために、ドラム状周囲部に半径方向および軸方向に送給可能である複数のフォーミング・ローラとを備える。本発明によれば、第2の作動デバイスがクランプ・デバイスに設けられ、第2の作動デバイスにより、クランプ要素の位置を、被加工物の直径に適合するように前記半径方向に設定することができ、制御デバイスが設けられ、制御デバイスにより、第2の作動デバイスを、フォーミングする被加工物の直径に応じて作動させることができ、クランプ要素が、被加工物の直径に応じて前記半径方向に事前位置決めされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム状周囲部(7)を有する実質的に回転対称の被加工物(5)をフローフォーミングするためのフローフォーミング装置であって、
- スピンドル軸を中心に回転駆動され得るスピンドル(20)と、
- 前記スピンドル(20)に配置され、複数のクランプ要素(50)を有するクランプ・デバイス(40)であって、前記クランプ要素(50)が、前記クランプ要素(50)が前記被加工物(5)の外周領域に所定のクランプ力で当接し、フォーミングのために前記被加工物(5)を前記スピンドル(20)上に保持するクランプ位置と、前記クランプ要素(50)が、第1の作動デバイス(60)によって、前記被加工物(5)を前記スピンドル(20)から解放するために規定の方法で前記被加工物(5)から離間される解放位置との間で調節可能であり、フォーミング中に前記被加工物(5)を前記スピンドル(20)上に保持するための前記クランプ力を、前記第1の作動デバイス(60)によって加えることができる前記クランプ・デバイス(40)と、
- 前記被加工物(5)の前記ドラム状周囲部(7)のフォーミングのために、前記被加工物(5)の前記ドラム状周囲部(7)に半径方向および軸方向に送給可能である複数のフォーミング・ローラ(30)とを備え、
- 第2の作動デバイス(70)が前記クランプ・デバイス(40)に設けられ、前記第2の作動デバイス(70)により、前記クランプ要素(50)の位置を、前記被加工物(5)の直径に適合するように前記半径方向に設定することができ、
- 制御デバイスが設けられ、前記制御デバイスにより、前記第2の作動デバイス(70)を、フォーミングする前記被加工物(5)の前記直径に応じて作動させることができ、前記クランプ要素(50)が、前記被加工物(5)の前記直径に応じて前記半径方向に事前位置決めされることを特徴とするフローフォーミング装置。
【請求項2】
前記クランプ要素(50)が、前記第1の作動デバイス(60)によって、前記クランプ位置と前記解放位置との間で前記軸方向および/または前記半径方向に調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載のフローフォーミング装置。
【請求項3】
前記第1の作動デバイス(60)が、好ましくは油圧で動作する少なくとも1つの作動シリンダ(62)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のフローフォーミング装置。
【請求項4】
各クランプ要素(50)に作動シリンダ(62)が割り当てられ、前記作動シリンダ(62)により、前記クランプ要素(50)がそれぞれ前記クランプ位置と前記解放位置との間で変位可能であることを特徴とする、請求項3に記載のフローフォーミング装置。
【請求項5】
各クランプ要素(50)が、回転可能な円板(74)に、円板軸(72)に対して偏心して取り付けられ、前記円板軸(72)が、前記スピンドル軸に平行に向けられ、
前記第2の作動デバイス(70)が、前記クランプ要素(50)と共に前記円板(74)を回すためのアクチュエータ(78)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項6】
各クランプ要素(50)が、前記半径方向に変位可能または旋回可能なキャリッジ(73)に取り付けられ、
前記第2の作動デバイス(70)が、前記キャリッジ(73)を前記半径方向に変位または旋回させるように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項7】
前記スピンドル軸が垂直に配置され、
前記クランプ・デバイス(40)が、前記スピンドル(20)から吊り下げられて配置され、
被加工物(5)を下方からクランプすることができることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項8】
少なくとも1つの排出口が設けられることと、
吸引デバイスが設けられ、前記吸引デバイスにより、前記少なくとも1つの排出口を通して空気および/または煙を吸引することができることとを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項9】
弾性的および/または柔軟であるように構成されている中心センタリング・ピン(44)が、前記クランプ・デバイス(40)に配置されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項10】
前記被加工物(5)に関するデータ、特に前記被加工物(5)の直径に関するデータを供給するための前記制御デバイスが、制御ステーションに、および/または前記被加工物(5)の前記直径を使用して前記被加工物(5)を特定するための少なくとも1つのセンサに接続されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項11】
それぞれの個別の被加工物(5)の柔軟なフォーミングのために、前記制御デバイスが、フォーミング中に前記フォーミング・ローラ(30)の運動を制御することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項12】
少なくとも1つの外側フォーミング・ローラ(30a)と少なくとも1つの内側フォーミング・ローラ(30b)とが設けられ、前記少なくとも1つの外側フォーミング・ローラ(30a)および前記少なくとも1つの内側フォーミング・ローラ(30b)が、前記被加工物(5)の前記ドラム状周囲部(7)の外周および内周に当接し、壁厚が変化する壁厚プロファイルをフォーミングおよび形成するために、前記制御デバイスによって互いに対して前記軸方向および前記半径方向に調節可能であり、および/または、前記少なくとも1つの内側フォーミング・ローラ(30b)のピッチ角度が可変であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項13】
2つの交換可能なスピンドル(20a、20b)が設けられ、第1の交換可能なスピンドル(20a)が作業チャンバ内に位置する一方、第2の交換可能なスピンドル(20b)が装填位置および/または取出し位置に位置し、前記2つの交換可能なスピンドル(20a、20b)が、互いに対して交互に変位可能であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項14】
測定デバイスが配置され、前記測定デバイスにより、フォーミングの前および/または後に、前記被加工物(5)の加工に関連する寸法およびデータを特定することができることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項15】
少なくとも1つの冷却デバイスおよび/または1つの熱防護デバイスが、前記被加工物(5)のセミホット・フォーミングおよび/またはホット・フォーミングのために設けられていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項16】
急速解放クランプ・デバイスが、少なくとも1つの外側フォーミング・ローラ(30a)および/または少なくとも1つの内側フォーミング・ローラ(30b)の軸受部における内側支持体(38)および/または外側支持体(34)に配置され、前記急速解放クランプ・デバイスにより、半自動または全自動のローラ変更を行うことができることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項17】
前記被加工物(5)が、フォーミング領域において、クランプ領域およびセンタリング領域とは異なる温度を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置。
【請求項18】
特に請求項1から17のいずれか一項に記載のフローフォーミング装置を用いて、ドラム状周囲部(7)を有する実質的に回転対称の被加工物(5)をフローフォーミングする方法であって、
- 前記被加工物(5)が、クランプ・デバイス(40)によってスピンドル(20)にクランプされ、前記クランプ・デバイス(40)が複数のクランプ要素(50)を有し、前記クランプ要素(50)が、前記クランプ要素(50)が前記被加工物(5)の外周領域に所定のクランプ力で当接し、フォーミングのために前記被加工物(5)を前記スピンドル上に保持するクランプ位置と、前記クランプ要素(50)が、前記被加工物(5)を前記スピンドル(20)から解放するために規定の方法で前記被加工物(5)から離間される解放位置との間で調節可能であり、フォーミング中に前記被加工物(5)を前記スピンドル(20)上に保持するための前記クランプ力が、第1の作動デバイス(60)によって加えられ、
- 前記スピンドル(20)が、スピンドル軸を中心に回転駆動され、
- 前記ドラム状周囲部(7)のフォーミングのために、複数のフォーミング・ローラ(30)が前記被加工物(5)に半径方向および軸方向に送給され、
- 第2の作動デバイス(70)が前記クランプ・デバイス(40)に設けられ、前記第2の作動デバイス(70)により、前記クランプ要素(50)の位置が、前記被加工物(5)の直径に適合され、前記クランプ要素(50)が前記半径方向に設定され、
- 制御デバイスが設けられ、前記制御デバイスにより、前記第2の作動デバイス(70)が、フォーミングする前記被加工物(5)の前記直径に応じて作動され、前記クランプ要素(50)が、前記被加工物(5)の前記直径に応じて前記半径方向に事前位置決めされるようになっていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、ドラム状周囲部を有する実質的に回転対称の被加工物をフローフォーミングするためのフローフォーミング装置であって、スピンドル軸を中心に回転駆動され得るスピンドルと、スピンドルに配置され、複数のクランプ要素を有するクランプ・デバイスであって、クランプ要素が、クランプ要素が被加工物の外周領域に所定のクランプ力で当接し、フォーミングのために被加工物をスピンドル上に保持するクランプ位置と、クランプ要素が、第1の作動デバイスによって、被加工物をスピンドルから解放するために規定の方法で被加工物から離間される解放位置との間で調節可能であり、フォーミング中に被加工物をスピンドル上に保持するためのクランプ力を、第1の作動デバイスによって加えることができる前記クランプ・デバイスと、被加工物のドラム状周囲部のフォーミングのために、ドラム状周囲部に半径方向および軸方向に送給可能である複数のフォーミング・ローラとを有するフローフォーミング装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、請求項18の前文によるフローフォーミング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特に車両用ホイールの製造のための被加工物のフローフォーミング中、円板状またはポット状の被加工物を回転させ、出発被加工物の壁厚を変化させることによって、ドラム状壁領域が形成される。この動作中、非常に大きな周方向の力が、被加工物において軸方向および周方向に発生する。被加工物をスピンドル上で回転駆動されるようにスピンドルに固定して確実に保持するために、十分に大きなクランプ力を被加工物に及ぼすことのできるクランプ・デバイスが、駆動スピンドルに設けられる必要がある。フローフォーミング装置において発生する加工力は、例えば、材料機械加工の旋盤において発生し得る加工力よりも何倍も大きくなり得る。
【0004】
フローフォーミングにおいて、被加工物をスピンドル上の正確な位置に保持するのに必要なクランプ力を加えるために、通常、カウンタホルダによって、被加工物をスピンドルに対して軸方向に押し付けることが知られている。この場合、大きな軸方向クランプ力を、軸方向に動作する油圧シリンダによって加えることができる。
【0005】
しかしながら、被加工物がカウンタホルダによってフローフォーミング装置に軸方向にクランプされると、フォーミングするドラム状被加工物の壁内の内部空間が、完全にまたは少なくとも部分的に占有される。これは、占有された内部空間を、加工空間として使用できなくなることを意味する。
【0006】
EP3351313A1は、内側フォーミング・ローラを送給するための内部空間が、車両用ホイールのフォーミングに必要である、一般的な種類のフローフォーミング装置を記載している。全体として、ドラム状被加工物の領域が、少なくとも1つの内側ローラと少なくとも1つの関連する外側ローラとの間に形成されている、フローフォーミング装置が記載されている。被加工物をクランプするために、外側クランプ爪を有するクランプ・デバイスが設けられ、外側クランプ爪により、フローフォーミング中に、被加工物が半径方向外縁部に保持される。クランプ爪は、直線変位経路と作動デバイスとを有し、作動デバイスにより、クランプ爪は、解放位置と被加工物を保持するためのクランプ位置との間で調節可能である。作動デバイスは、クランプ爪を調節し、必要なクランプ力を被加工物に加えて、被加工物をスピンドル上に保持する。
【0007】
この種類のクランプ・デバイスでは、クランプ移動は、所望の大きなクランプ力での効率的なクランプを確実にするために、できるだけ小さく設定される必要がある。特に被加工物の外径が変化すると、クランプ・デバイスは、対応する送給経路およびクランプ経路に関して再調節される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の基礎となる目的は、被加工物の特に効率的な加工を可能にする、フローフォーミング装置および被加工物をフローフォーミングする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、一方で、請求項1の特徴を有するデバイスによって実現され、他方で、請求項18の特徴を有する方法によって実現される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示される。本発明は、原則として、そのようなフローフォーミング装置を使用して被加工物をフローフォーミングする方法をさらに含む。
【0010】
本発明によるフローフォーミング装置は、第2の作動デバイスがクランプ・デバイスに設けられ、第2の作動デバイスにより、クランプ要素の位置を、被加工物の直径に適合するように半径方向に設定することができることと、制御デバイスが設けられ、制御デバイスにより、第2の作動デバイスを、フォーミングする被加工物の直径に応じて作動させることができ、クランプ要素が、被加工物の直径に応じて半径方向に事前位置決めされることとを特徴とする。
【0011】
本発明の基本的な概念は、クランプ・デバイスを有するフローフォーミング装置を提供することであって、クランプ・デバイスは、クランプ要素を調節するための第1の作動デバイスを有し、第1の作動デバイスは、クランプ要素の同一または実質的に同一の調節経路を常に確実にし、クランプ要素の意図した調節経路の後に、所望のクランプ力が第1の作動デバイスによって実現されるようになっている。加えて、本発明によるフローフォーミング装置のクランプ・デバイスは、第2の作動デバイスを有し、第2の作動デバイスにより、半径方向におけるクランプ要素の事前位置決めを、被加工物の直径に適合するように設定することができる。この事前位置決めは、制御デバイスによって自動的に制御され、制御デバイスは、加工する被加工物についての情報、特にフォーミングする被加工物の直径に基づいて第2の作動デバイスを作動させ、したがって、第1の作動デバイスによる実際のクランプ運動のために、クランプ要素の適切な事前位置決めを準備する。
【0012】
本発明は、被加工物の外側における特に良好なクランプを確実にするだけではなく、被加工物のフローフォーミングを大きなフォーミング力でも確実に行うことができるようになっている。事前位置決めは、被加工物の実際のクランプに必要な時間を短縮することもできるため、被加工物の加工中の非生産時間の割合を低下させる。これにより、装置の利用が向上し、コストが低下する。
【0013】
加えて、本発明の利点は、制御デバイスを介した、第2の作動デバイスによるクランプ要素の自動的な事前位置決めにより、高い加工柔軟性を実現することができることである。したがって、クランプ・デバイスに対する時間のかかる修正なしで、異なる直径を有する多数の被加工物を、略任意の順序で効率的にフローフォーミングすることができる。被加工物の種類に変更があるとき、すなわち、異なる出発寸法および直径の被加工物を加工するときのみ、第2の作動デバイスを作動させることが好ましい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、クランプ要素が、第1の作動デバイスによって、クランプ位置と解放位置との間で軸方向および/または半径方向に調節可能であることである。特に、クランプ要素は、第1の作動デバイスによって、最初に半径方向に、次に軸方向に送給され、実際のクランプ力が、クランプ要素の軸方向運動にのみによって生じ、またはクランプ要素の軸方向運動によってかなりの程度まで生じる。これにより、被加工物を、特定の信頼性を有してスピンドルに押し付けて、スピンドル上に保持することができる。
【0015】
原則として、作動デバイスを、任意の方法で、例えば、再循環ボールねじによって構成することができる。本発明のさらなる発展によれば、第1の作動デバイスが、好ましくは油圧で動作する少なくとも1つの作動シリンダを有する点で、特に大きな作動力を実現することができる。作動シリンダは、それ自体で、または円板ばねアセンブリなどの少なくとも1つのさらなる力発生要素との併用で、必要なクランプ力を発生させることができる。
【0016】
各クランプ要素に作動シリンダが割り当てられ、作動シリンダにより、調節要素がクランプ位置と解放位置との間で変位可能である点で、全体的なクランプ力をさらに増大させることができる。解放位置で、クランプ要素はそれぞれ被加工物からある程度まで離間し、被加工物をスピンドルから取り外すことができ、新たな被加工物を挿入できるようになっている。
【0017】
原則として、個別のクランプ要素が、事前位置決めのために変位可能なキャリッジに設けられてよい。本発明のさらなる発展によれば、各クランプ要素が、回転可能な円板に、円板軸に対して偏心して取り付けられ、円板軸が、スピンドル軸に平行に向けられ、第2の作動デバイスが、クランプ要素と共に円板を回すためのアクチュエータを備えることが特に適切である。原則として、回すためのアクチュエータを、それぞれの回転可能な円板に割り当てることができる。単一のアクチュエータ、特に調節ホイールが、すべての円板を回すために設けられることが特に有利である。調節ホイールを、第2の作動デバイスの対応するドライブ・ピニオンを介して制御し作動させることができる。原則として、フローフォーミング装置に、水平に向けられたスピンドル軸が設けられていてよい。
【0018】
あるいは、本発明の一実施形態によれば、ここでは、クランプ要素が、半径方向に変位可能または旋回可能なキャリッジに取り付けられ、第2の作動デバイスが、キャリッジを半径方向に変位または旋回させるように構成されていることが好ましい。それぞれのクランプ要素を変位させクランプするための作動シリンダが、キャリッジに配置されていてもよい。
【0019】
本発明のさらなる発展によれば、スピンドル軸が垂直に配置され、クランプ・デバイスが、スピンドルに対して吊り下げられて配置され、被加工物を下方からクランプすることができる点で、特に小型の設計が実現される。このような被加工物の垂直な吊下げにより、特に、自動装填および取出しデバイス、特にマニピュレータ・アームおよび/またはロボットによる被加工物の取外しが容易になる。クランプ・デバイスが解放されると、被加工物を、好ましくは同じマニピュレータおよび/またはロボットによって、簡単な方法で下方に取り外すことができる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの排出口が設けられ、吸引デバイスが設けられ、吸引デバイスにより、少なくとも1つの排出口を通して空気および/または煙を吸引できることが有利である。排出口は、特に吊下げ配置の場合に、クランプ・デバイスの領域に設けられ得ることが好ましい。1つまたは複数の排出口を介して、特に油または冷却液の成分を含む蒸気を、作業チャンバから効率的に除去し、冷却および潤滑流体を回収するために、分離デバイスおよび/または再利用デバイスに供給することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは弾性的および/または柔軟にセンタリングするように構成されている中心センタリング・ピンが、クランプ・デバイスに配置され、異なる内径を有する被加工物を確実かつ正確にセンタリングできるようになっている点で、加工がさらに改良される。これにより、クランプ前またはクランプ中における、スピンドル上の被加工物の確実かつ緩やかなセンタリングが可能になる。
【0022】
本発明の一実施形態の変形例によれば、被加工物に関するデータ、特に被加工物の直径に関するデータを供給するための制御デバイスが、制御ステーションに、および/または直径を使用して被加工物を検出するための少なくとも1つのセンサに接続されている点で、特に効率的な加工フローが実現される。中央制御ステーションを介して、フローフォーミング装置に、現在加工する予定の被加工物の種類についての情報を常に供給することができる。多数の可能な前加工ステーションを含むカオス的製造の場合、被加工物の種類、特に直径を、制御デバイスに接続された少なくとも1つのセンサによって検出することができる。供給されるデータに応じて、必要であれば、クランプ要素を事前位置決めするための第2の作動デバイスを、制御デバイスを介して作動させることができる。
【0023】
さらに、それぞれの個別の被加工物の柔軟なフォーミングのために、制御デバイスが、フォーミング中にフォーミング・ローラの運動を制御することが有利である。したがって、加工する被加工物の種類に応じて、フォーミング・ローラを、制御デバイスによって規定の方法で変位させて、所望の壁厚プロファイルおよび所望の被加工物の輪郭を形成することができる。本発明によるフローフォーミング装置を用いて、さらに少数またはさらに個別の被加工物の柔軟かつ効率的な製造をこのように実現することができる。
【0024】
特に、本発明によるフローフォーミング装置のさらなる発展により、少なくとも1つの外側フォーミング・ローラと少なくとも1つの内側フォーミング・ローラとが設けられ、これらのフォーミング・ローラが、被加工物のドラム状周囲部の外周および内周にそれぞれ当接し、壁厚が変化する壁厚プロファイルをフォーミングおよび形成するために、制御デバイスによって互いに対して軸方向および半径方向に調節可能であり、および/または、少なくとも1つの内側フォーミング・ローラのピッチ角度が可変である点で、特に高い柔軟性が実現される。このようにして、個別の輪郭および壁厚プロファイルを、ほとんどすべての個別の被加工物について、大量生産と同じ効率で製造することができる。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態は、2つの交換可能なスピンドルが設けられ、第1の交換可能なスピンドルが作業チャンバ内に位置する一方、第2の交換可能なスピンドルが装填および/または取出し位置に位置し、2つの交換可能なスピンドルが、互いに対して交互に可動であることである。2つの交換可能なスピンドルは、反転して変位可能であってもよく、2つの交換可能なスピンドルは、作業チャンバ内の作業位置と、被加工物の装填または取出しのための2つの装填位置および/または取出し位置のうちの一方とを交互にとる。例えば、タレット機構が設けられていてよい。個別の交換可能なスピンドルは、互いに異なる装填位置および取出し位置を有することもでき、それぞれの交換可能なスピンドルは、その後、これらの位置からそれぞれの作業チャンバ内に変位する。これにより、迅速な装填および/または取出しが可能になり、したがって、全体的な加工時間がより速くなる。
【0026】
本発明のさらなる発展によれば、測定デバイスが配置され、測定デバイスにより、フォーミングの前および/または後に、被加工物の加工に関連する寸法およびデータを特定できることが有利である。測定デバイスは、被加工物を特定するための光学センサおよび/または熱センサを特に有することができる。測定デバイスは、特に制御デバイスと通信する。
【0027】
原則として、フローフォーミング装置は、コールド・フォーミング方法のために設計される。ある加工について、少なくとも1つの冷却デバイスおよび/または1つの熱防護デバイスを、被加工物のセミホット・フォーミングおよび/またはホット・フォーミングのために設けることが有利であり得る。特に、軽金属ホイールの形成のために、被加工物の標的を定めた温度制御を、このようにして実現し調節することができる。ホット・フォーミングでは、被加工物ブランクの温度を、被加工物ブランクがフローフォーミング装置の作業領域に導入される前に、高温計または温度センサによって測定することもできる。
【0028】
内側支持体および外側支持体のローラが、フローフォーミング装置の標準的な汎用ローラとして構成されることが好ましい。しかしながら、特定のホイール形状またはホイール・ハブ形状は、ローラの変更を必要とすることがある。本発明によるフローフォーミング装置の柔軟性に関するさらなる改良は、急速解放クランプ・デバイスが、外側フォーミング・ローラおよび/または少なくとも1つの内側フォーミング・ローラの少なくとも1つの軸受部における内側支持体および/または外側支持体に配置され、急速解放クランプ・デバイスにより、半自動または全自動のローラ変更を行うことができることで、実現することができる。ローラの形状を、特定の被加工物の対応する輪郭経路に効率的に適合させることができる。これにより、フローフォーミング装置によって実現可能な被加工物の形状の多様性がさらに増大する。
【0029】
フォーミング中の標的を定めた温度制御のために、被加工物が、フォーミング領域において、クランプ領域および/またはセンタリング領域とは異なる温度を有することも有用であり得る。スポークの領域は、フォーミング領域よりも低い温度を有することが好ましい。特に、フォーミング・ローラが係合する、被加工物のフォーミング領域または作業領域に、高い温度が設けられてよい。
【0030】
本発明は、特に前述したフローフォーミング装置のうちの1つを用いて、ドラム状周囲部を有する実質的に回転対称の被加工物をフローフォーミングする方法であって、被加工物が、クランプ・デバイスによってスピンドルにクランプされ、クランプ・デバイスが複数のクランプ要素を有し、クランプ要素が、クランプ要素が被加工物の外周領域に所定のクランプ力で当接し、フォーミングのために被加工物をスピンドル上に保持するクランプ位置と、クランプ要素が、第1の作動デバイスによって、被加工物をスピンドルから解放するために規定の方法で被加工物から離間される解放位置との間で調節され、フォーミング中に被加工物をスピンドル上に保持するためのクランプ力が、第1の作動デバイスによって加えられ、スピンドルが、スピンドル軸を中心に回転駆動され、ドラム状周囲部のフォーミングのために、複数のフォーミング・ローラが被加工物に半径方向および軸方向に送給され、特に、第2の作動デバイスがクランプ・デバイスに設けられ、第2の作動デバイスにより、クランプ要素の位置が、被加工物の直径に適合され、クランプ要素が半径方向に調節され、制御デバイスが設けられ、制御デバイスにより、第2の作動デバイスが、フォーミングする被加工物の直径に応じて作動され、クランプ要素が、被加工物の直径に応じて半径方向に事前位置決めされるようになっていることを特徴とする方法をさらに含む。
【0031】
特にエネルギー効率の高いフローフォーミング装置は、チャックを有する少なくとも1つの主スピンドルにブレーキをかけたときに、回復の選択肢を有する。チャックの軽量設計にかかわらず、かなりの質量を加速または減速する必要がある。第1の交換可能なスピンドルの回復したエネルギーを使用して、第2の交換可能なスピンドルおよび/またはフライホイールの質量のエネルギー貯蔵を加速することが好ましい。あるいは、正味の再生フィードバックによるエネルギー回復も可能である。
【0032】
フローフォーミング装置の可用性を特に高めるために、2つの交換可能なスピンドルを有する装置を、単一のスピンドルの装置として経済的に動作させることもできる。低容量の利用、原料の不足、交換可能なスピンドルの保守または故障、ならびに/あるいは、上流および/もしくは下流ラインまたはシステムの故障の場合に、フローフォーミング装置を、1つのスピンドルのみで動作させ続けることができる。
【0033】
以下で、図面に概略的に示す好ましい例示的な実施形態を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】保護ハウジングならびに装填および取出しデバイスのない、本発明によるフローフォーミング装置の斜視図である。
【
図2】クランプされた被加工物を断面で示す、本発明によるフローフォーミング装置のクランプ・デバイスの拡大図である。
【
図3】
図2によるクランプ・デバイスの拡大部分断面詳細斜視図である。
【
図4】
図2および
図3によるクランプ・デバイスの調節機構の別の拡大部分断面詳細斜視図である。
【
図5】本発明によるフローフォーミング装置の代替クランプ・デバイスの断面図である。
【
図7】
図5および
図6によるクランプ・デバイスの斜視図である。
【
図8】クランプ要素が右半分において解放位置で示されている、
図5~
図7によるクランプ・デバイスの別の断面図である。
【
図9】クランプ中の中間位置が右半分に示されている、
図5~
図8によるクランプ・デバイスの別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明および
図1によるフローフォーミング装置10は、作業チャンバを囲む計3本の垂直柱14を含むベースフレーム12を有する。計2本の回転駆動スピンドル20が、板状カバー領域16に取り付けられ、リニア・ドライブ22によって、外側装填および取出し位置と中央作業位置との間で交互に可動に取り付けられ、直線的に摺動可能である。
【0036】
被加工物5を持ち上げて吊下げ位置で保持するためのクランプ・デバイス40が、作業チャンバに対して下向きに対向する、各スピンドル20の下面に設けられている。周囲に沿って分散された爪状のクランプ要素50が、被加工物5をクランプするためにドラム状クランプ・デバイス40に配置されている。これについては、より詳細に後述する。
【0037】
垂直柱14のそれぞれに、半径方向および垂直に調節可能なフォーミング・ローラ30が設けられ、これらのフォーミング・ローラ30は、原則として角度が付けられていてもよく、外側フォーミング・ローラ30aが、外側支持体34にそれぞれ回転可能に取り付けられ、内側フォーミング・ローラ30bが、内側支持体38にそれぞれ回転可能に取り付けられている。
図2に明確に示すように、内側ローラ30bは、被加工物5の内部空間内で進むように構成され、外側ローラ30aは、被加工物5の外周を加工するように構成されている。外側ローラ30aと内側ローラ30bとは、軸方向および半径方向に変位可能である。
【0038】
図2によれば、ドラム状被加工物5、特に車両用ホイールの鋳造または鍛造ブランクが、クランプ・デバイス40にクランプされ、クランプ・デバイス40から吊り下げられている。被加工物5は、中心孔を含むハブ6を有し、その中心孔に、クランプ・デバイス40のセンタリング・ピン44がセンタリングのために係合する。圧力嵌合および形状嵌合保持のために、いくつかの爪状クランプ要素50が、被加工物5の半径方向外側上縁部に送給され、被加工物5がクランプ・デバイス40に対して軸方向に押し付けられる。
【0039】
外側フォーミング・ローラ30aおよび内側フォーミング・ローラ30bはそれぞれ、互いに対して対になって、被加工物5のドラム状周囲部7に送給され、フォーミング・ギャップを設定するように互いに対して半径方向におよび/または軸方向に変位して、ドラム状周囲部7をフローフォーミングすることができ、壁厚が変化する個別の壁厚プロファイルをフォーミングすることができるようになっている。特に、車両用タイヤを受け入れるための厚いハンプとリム・フランジとをドラム状周囲部7に形成することができる。
【0040】
以下で、
図3および
図4と併せて、本発明によるフローフォーミング装置10のクランプ・デバイス40の構造について、より詳細に説明する。ドラム状クランプ・デバイス40は、略ポット状のハウジング42を有し、ハウジング42に、第1の作動デバイス60が、爪状クランプ要素50を垂直クランプ方向で軸方向に調節するために設けられている。クランプ要素50を下部解放位置と上部クランプ位置との間で動かすために、クランプ要素50は、作動シリンダ62および/または昇降板64に接続された昇降軸52に配置されている。
【0041】
クランプ位置で、被加工物5がクランプ要素50によって、対応するカウンタホルダ54に対して上方に押し付けられ、カウンタホルダ54は、第2の作動デバイス70の板状円板74に、それぞれのクランプ要素50と共に取り付けられている。円板74は外歯を有し、外歯は、中間歯車76を介して、外歯歯車として構成されている中央アクチュエータ78に接続されている。中央アクチュエータ78の回転運動は、中間歯車76を介してそれぞれの円板74に回転運動を伝える。円板74には、昇降軸52を有するクランプ要素50が、円板軸72に対して偏心して取り付けられている。したがって、回転運動は、クランプ要素50と回転中心軸との間の半径方向距離を変化させ、被加工物5の直径の変化に適合させるためのクランプ要素50の半径方向の事前位置決めを、中央アクチュエータ78の調節によって簡単に行うことができるようになっている。
【0042】
中央アクチュエータ78の周囲に沿って、クランプ要素50およびカウンタホルダ54をそれぞれ有する複数の円板74が配置されて、被加工物5を周囲に沿って均一にクランプする。
【0043】
軸方向クランプのために、クランプ力が、クランプ要素50および/または昇降板64のそれぞれの作動シリンダ62によって発生し、昇降板64は、すべてのクランプ要素50の均一な作動のための軸方向昇降機構(図示せず)によって起動させることができる。昇降軸52の上端部のばねデバイス68を使用して、予め負荷を加え、厚さの差を補償することができる。原則として、被加工物5をクランプするための追加の軸方向クランプ力を、ばねクランプ・デバイス68を介して加えることもできる。
【0044】
クランプ要素50およびカウンタホルダ54の同心運動のために、半径方向溝状ガイドが、各クランプ要素50のガイド円板65に設けられている。
【0045】
中心直径の調節のために、位置検出を伴う中心調節要素が、駆動スピンドル20の上方に設けられ、駆動スピンドル20は、駆動軸を介してマルチスプライン・カップリング79に接続され、クランプ要素50の対応する調節力および遠心力に対抗することができる。
【0046】
本発明によるフローフォーミング装置10の代替クランプ・デバイス40が、
図5~
図9に示されている。
図5によれば、クランプ・デバイス40は、ドラム状ベース本体を有し、その端面に、複数のクランプ要素50、具体的には8個のクランプ要素50が、被加工物5をクランプするように被加工物5の周囲に沿って分散して配置されている。各クランプ要素50は、回転中心軸に平行な板状キャリッジ73上で、関連する作動シリンダ62と共に調節可能である。キャリッジ73は、ドラム状ベース本体の半径方向を向くガイド溝に沿って半径方向に変位するように取り付けられている。中心センタリング・ピン44が、被加工物5をセンタリングするために設けられ、被加工物5の対応する中央開口部に軸方向に入ることができる。
【0047】
被加工物5をクランプするために、クランプ要素50は、最初に、
図8の右半分に概略的に示す解放位置にある。この解放位置で、第2の作動デバイスのキャリッジ73は半径方向に外方に変位する。同時に、
図8に示すように、クランプ要素50は、作動シリンダ62によって軸方向上方に変位する。
【0048】
すべてのクランプ要素50がこの解放位置にあるときに、被加工物5を配置し、センタリング・ピン44によって、回転軸に対して同心にセンタリングすることができる。
【0049】
キャリッジ73は、好ましくは作動シリンダ(図示せず)によって、より詳細には第2の作動デバイス(図示せず)を介して、クランプ要素50が被加工物5に半径方向に接触するまで、半径方向内方に変位する。これは、
図9の右半分に明確に示されている。
【0050】
このキャリッジ73を用いた第2の作動デバイスによる事前位置決めから始まって、被加工物5をクランプ要素50によってしっかりとクランプすることができるようになり、
図5~
図7に明確に示す状態が実現される。このために、クランプ要素50は、作動シリンダ62を介して下方に変位し、それにより、被加工物5は、クランプ・デバイス40のベース本体に押し付けられ、しっかりとクランプされる。被加工物5を解放するためには、
図8による初期位置または解放位置まで、クランプ要素50を逆の順序で変位させることができる。
【0051】
本発明のこの変形例においても、クランプ要素50の事前位置決めを、好ましくは半径方向に直線状に変位可能なキャリッジ73を用いて、第2の作動デバイスによって行うことができる。これにより、クランプ・デバイスは、異なる外径を有する被加工物5に効率的にクランプすることができる。
【0052】
原則として、クランプまたはセンタリング・ピン44を、代わりにジョー・チャックとして構成して、ジョー・チャックが、内部ボアにクランプする、および/または鋳造ブランクのスプルー・ピンに外側からクランプすることができるようにしてもよい。
【0053】
原則として、クランプ要素50を、代わりに、旋回運動によりクランプするように、被加工物5に対して軸方向に送給してもよい。
【国際調査報告】