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特表2024-513660マイクログリッド内のデバイスを制御する手段と方法
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  • 特表-マイクログリッド内のデバイスを制御する手段と方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】マイクログリッド内のデバイスを制御する手段と方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240319BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240319BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20240319BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240319BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240319BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20240319BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/38 120
H02J13/00 301A
C25B9/23
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B15/02
H01M8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553292
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022056703
(87)【国際公開番号】W WO2022194868
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103560.5
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321003751
【氏名又は名称】エナプター エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】クラスコ ニコライ ヴィクトロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】アファナセンコ ニキータ ウラジーミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】シリン ドミトリー アレクサンドロヴィチ
【テーマコード(参考)】
4K021
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021CA11
4K021CA15
5G064AA01
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB06
5G066HB07
(57)【要約】
【解決手段】
マイクログリッドは、1つ以上の1次デバイスと1つ以上の補助デバイスとを少なくとも含む複数のデバイスを備えて、複数のデバイスは、デバイス間で情報を無線で通信するために、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように構成されており、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスを有してなるマイクログリッドであって、
複数の前記デバイスは、少なくとも、
・1つ以上の1次デバイスと、
・1つ以上の補助デバイスと、
を含み、
複数の前記デバイスは、前記デバイス間で情報を無線で通信するために、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように構成されており、
1つ以上の前記補助デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される、
ことを特徴とするマイクログリッド。
【請求項2】
前記1次デバイスは、電気化学デバイスである、
請求項1記載のマイクログリッド。
【請求項3】
前記電気化学デバイスは、電解装置である、
請求項2記載のマイクログリッド。
【請求項4】
前記電解装置は、AEM電解装置である、
請求項3記載のマイクログリッド。
【請求項5】
前記AEM電解装置は、乾式カソードを有する、
請求項4記載のマイクログリッド。
【請求項6】
1つ以上の前記補助デバイスは、前記1次デバイスについてのバランスオブプラントデバイスであって、好ましくは、1つの前記補助デバイスは、複数の前記1次デバイスについての前記バランスオブプラントデバイスを提供する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項7】
1つ以上の前記1次デバイスのそれぞれは、1つ以上の前記補助デバイスのうちの少なくとも1つに物理的に接続されており、好ましくは、1つの前記補助デバイスは、複数の前記1次デバイスに物理的に接続されて、より好ましくは、前記物理的な接続は、前記デバイス間の流体または電気の移動を容易にする、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項8】
前記バランスオブプラントデバイスは、
‐前記物理的な接続を介して水を前記1次デバイスに供給する水タンク、
‐前記物理的な接続を介して前記1次デバイスから受け取る気体流れ、好ましくは水素気体流れを乾燥させる乾燥器、および/または
‐前記物理的な接続を介して前記1次デバイスから受け取る気体流れ、好ましくは水素気体流れを圧縮するコンプレッサ
のうちの少なくとも1つである、
請求項6と7とに記載のマイクログリッド。
【請求項9】
前記補助デバイスの前記制御は、1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの前記動作に関する前記通信情報に応じて前記補助デバイスを作動、停止、または再開させることを含む、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項10】
前記補助デバイスの前記制御は、前記補助デバイスにより実行されるプロセスについてプロセス設定値を設定すること、および/または1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの前記動作に関する前記通信情報に応じて前記補助デバイスの電力レベルを制御することを含む、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項11】
1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの前記動作に関する前記通信情報は、前記1次デバイスにより実行されるプロセスのパラメータの測定値を備えて、好ましくは、前記測定値は、前記1次デバイスのセンサにより取得される、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項12】
1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの前記動作に関する前記通信情報は、
・好ましくは、前記1次デバイスからの流体出力の圧力に関する圧力と、
・前記1次デバイスが電解装置である場合、好ましくは、電解質の温度に関する温度と、
・好ましくは、前記1次デバイスへの流体入力または前記1次デバイスからの前記流体出力の前記圧力に関する流量と、
・前記1次デバイスが作動しているかまたは停止しているかを示す作動状態と、
・電圧と、
・アンペア数と、
・前記1次デバイスのエネルギー需要と、
・水レベルと、
・水導電率と、
・エラーと、
・前記1次デバイスの累積駆動時間または累積停止時間と、
を備える、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項13】
1つ以上の3次デバイスを備えて、1つ以上の前記3次デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の前記補助デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項14】
少なくとも部分的に接続された前記メッシュネットワークは、完全に接続されたメッシュネットワークである、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項15】
前記メッシュネットワークはさらに、前記通信情報の記録のためにデータベースに接続されている、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項16】
前記メッシュネットワークは、インターネットに接続されている、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項17】
最短パスブリッジングは、前記1次デバイスと前記補助デバイスとの間の通信に使用される、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項18】
前記1次デバイスと前記補助デバイスとのうちの1つ以上は、中央計算/制御手段に接続されている、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項19】
前記デバイスのそれぞれは、前記デバイス間で情報を通信する通信モジュールを備える、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項20】
前記1次デバイスと前記補助デバイスとは、
・Bluetooth(登録商標)と、
・Wi-Fiと、
・無線と、
のうちのいずれか1つ以上を介して通信する、
請求項1乃至19のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項21】
ユーザは、別の計算デバイスから通信情報をリモートで監視し得る、
請求項1乃至20のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項22】
前記デバイスのそれぞれは、固有識別子コードを有する、
請求項1乃至21のいずれか一項に記載のマイクログリッド。
【請求項23】
電気化学デバイスまたはバランスオブプラントデバイスであって、
少なくとも1つの他のデバイスを備える少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークに接続する手段と、
無線通信手段であって、前記無線通信手段は、少なくとも1つの他の前記デバイスに情報を無線で送信するか、または少なくとも1つの他の前記デバイスから情報を無線で受信するように構成されており、前記情報は、前記メッシュネットワーク内の前記デバイスまたは少なくとも1つの他の前記デバイスの動作に関するものである、前記無線通信手段と、
を備える、
ことを特徴とする電気化学デバイスまたはバランスオブプラントデバイス。
【請求項24】
前記メッシュネットワーク内の少なくとも1つの他の前記デバイスの前記動作に関する受信情報に応じて前記デバイスを制御するように構成されたコントローラを備える、
請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
前記デバイスは、電解装置、好ましくはAEM電解装置、より好ましくは乾式カソードを有するAEM電解装置と、再生可能電源と、乾燥器と、水タンクと、コンプレッサと、のうちの1つ以上である、
請求項23または24記載のデバイス。
【請求項26】
マイクログリッド内のデバイスを制御する方法であって、前記マイクログリッドは、1つ以上の1次デバイスと1つ以上の補助デバイスとを少なくとも含む複数のデバイスを備えて、前記方法は、
前記デバイス間で情報を無線で通信するために、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように複数の前記デバイスを接続することと、
1つ以上の前記1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて1つ以上の前記補助デバイスのうちの少なくとも1つを制御することと、
を含む、
ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必ずしも限定されるわけではないが、1つ以上の乾燥器および/または水タンクに接続された1つ以上の電解装置の制御などの、マイクログリッド内の複数のデバイスの通信と制御とを容易にする改良された手段と方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
PVパネルなどの1つ以上の電源と、バッテリバンクの形態のエネルギー貯蔵部と、家庭電化製品または産業などの負荷と、を利用するマイクログリッドは知られている。より長期の季節的な貯蔵能力が向上することから、水素を導入したマイクログリッドは、より一般的なものになっている。このようなマイクログリッドは、電解装置と水素貯蔵部と燃料電池とを含む。コンプレッサや乾燥器などの補助構成要素も多くの場合、エネルギー貯蔵または産業用の手段としての水素のより効率的な貯蔵を可能にするために使用される。
【0003】
特に、再生可能エネルギーを使用した電解装置において生成されるグリーン水素の出現により、水素は、エネルギーの脱炭素において重要な因子とみなされている。水素は、長期のエネルギー貯蔵、産業プロセス、さらには、加熱エンジンまたは適合された燃焼エンジンに使用されて、電化への推進を補助してサポートし得る。
【0004】
デバイス間に有線の接続が存在しているのが一般的である。これは、より安全な場所において機能し得るが、自然または屋外では、マウスにより噛まれるなど、干渉を受けやすい。
【0005】
すべてのマイクログリッドが、単一の場所に位置しているわけではない。設置するのがより容易であって、維持するのがより安価かつ容易であって、齧歯動物の(および他の環境的)干渉に強く、遠隔または分散インフラストラクチャを可能にする、マイクログリッドが必要とされている。このようなマイクログリッドは、例えば、単一の所有ではなく、村または町に役立ち得る。
【0006】
現在、ゲートウェイまたはプログラマブルロジックコントローラ(PLC:programmable logic controllers)などのデバイスが、このようなグリッドを制御するために必要とされている。機能的であると同時に、設置するのがより容易なだけでなく、より安価であって、生態的影響と環境的影響とがより少ない、無線の代替物が必要とされている。
【0007】
本発明の態様の目的は、(必ずしも限定されるわけではないが、)1つ以上の乾燥器に接続された1つ以上の電解装置の動作状態に基づいた1つ以上の乾燥器の制御などの、マイクログリッド内の複数のデバイスの通信と制御とを容易にする、改良された手段と方法とを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される一態様によれば、マイクログリッドが提供されて、同マイクログリッドは、1つ以上の1次デバイスと1つ以上の補助デバイスとを少なくとも含む複数のデバイスを備えて、上記1次デバイスは、先行デバイスであって、上記補助デバイスは、後続デバイスであって、複数のデバイスは、デバイス間で情報を無線で通信するために、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように構成されており、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される。好ましくは、各デバイスは、既知の無線送受信機などのデータ/情報を無線で送受信する手段を備える。
【0009】
したがって、マイクログリッドは、外部のハードウェアもしくはソフトウェアコントローラ、ゲートウェイ、またはPLCを必要とすることなく、補助デバイスの制御を可能にする。これは、マイクログリッドのより柔軟で効率的な設置を提供する。また、マイクログリッドはデバイス間の通信、特に、補助デバイスに対する、1次デバイスの動作に関する情報の通信を可能にして、その結果、補助デバイスは、1次デバイスの動作に応じて動作し得る。これは、補助デバイスのより効率的な制御を提供する。例えば、補助デバイスは、1次デバイスが作動する場合にのみ作動してもよく、それにより、補助デバイスの不必要な作動を防ぐ。同様に、補助デバイスの電力は、1次デバイスの動作に応じて調整されてもよく、その結果、補助デバイスは、1次デバイスの動作に基づいて、必要とされるものよりも多くの電力を使用することはない。
【0010】
好ましくは、1次デバイスは、電気化学デバイス、より好ましくは電解装置、さらにより好ましくはAEM(陰イオン交換膜)電解装置、さらにより一層好ましくは乾式カソードを有するAEM電解装置である。
【0011】
好ましくは、1つ以上の補助デバイスは、1次デバイスについてのバランスオブプラント設備であって、好ましくは、1つの補助デバイスは、複数の1次デバイスについてのバランスオブプラント設備を提供する。「バランスオブプラントデバイス」または「バランスオブプラント設備」という用語は、1次デバイスによる使用のために物質を1次デバイスに供給すること、または1次デバイスから出力される物質を処理することなどにより、1次デバイスの動作をサポートするデバイスを指すために使用される。このようなデバイスの例は、水を電解装置(すなわち、例示的な1次デバイス)に供給する水タンク、または電解装置からの気体流れの出力を処理する乾燥器もしくはコンプレッサである。
【0012】
好ましくは、1つ以上の1次デバイスのそれぞれは、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つに物理的に接続されて、好ましくは、1つの補助デバイスは、複数の1次デバイスに物理的に接続される。より好ましくは、物理的な接続は、デバイス間の(液体水、水蒸気、または水素もしくは酸素気体などの)流体の移動を容易にする。あるいは、例えば、デバイスのうちの1つが電気を電解装置に供給する再生可能電源、または電気を生成する水素燃料電池である場合、物理的な接続は、デバイス間の電気の移動を容易にし得る。
【0013】
好ましくは、バランスオブプラント設備は、
‐物理的な接続を介して水を1次デバイスに供給する水タンク(水タンクの場合、水タンクからの水の供給率は、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの水需要に関する通信情報に応じて制御され得る)、
‐物理的な接続を介して1次デバイスから受け取る気体流れ、好ましくは水素気体流れを乾燥させる乾燥器(乾燥器の場合、乾燥器の電力レベル/乾燥率は、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つから乾燥器への流体出力(例えば、水素気体出力)の流量もしくは圧力に関する通信情報に応じて制御され得る)、および/または
‐物理的な接続を介して1次デバイスから受け取る気体流れ、好ましくは水素気体流れを圧縮するコンプレッサ(コンプレッサの場合、コンプレッサの電力レベル/圧縮率は、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つからコンプレッサへの流体出力(例えば、水素気体出力)の流量もしくは圧力に関する通信情報に応じて制御され得る)のうちの少なくとも1つである。
【0014】
好ましくは、補助デバイスの制御は、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて補助デバイスを作動、停止、または再開させることを含む。このように、補助デバイスは、1次デバイスが作動する場合にのみ補助デバイスを作動させることにより、より効率的に動作する。
【0015】
好ましくは、補助デバイスの制御は、補助デバイスにより実行されるプロセスについてプロセス設定値を設定すること、および/または1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて補助デバイスの電力レベルを制御すること、を含む。
【0016】
好ましくは、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する情報は、1次デバイスにより実行されるプロセスのパラメータの測定値を備えて、好ましくは、測定値は、1次デバイスのセンサにより取得される。例えば、1次デバイスは、1次デバイスの動作のパラメータを監視する流量センサ、圧力センサ、温度センサなどを備えてもよい。これらのパラメータは、メッシュネットワークを通じて補助デバイスに通信されてもよく、補助デバイスの動作は、この通信情報に基づいて調整されてもよい。
【0017】
好ましくは、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する情報は、
・好ましくは、1次デバイスからの流体出力(例えば、水素気体出力)の圧力に関する圧力と、
・1次デバイスが電解装置である場合、好ましくは、電解質の温度に関する温度と、
・好ましくは、1次デバイスへの流体入力(例えば、液体水入力)または1次デバイスからの流体出力の圧力に関する流量と、
・1次デバイスが作動しているかまたは停止しているかを示す作動状態と、
・電圧と、
・アンペア数と、
・1次デバイスのエネルギー需要と、
・水レベルと、
・水導電率と、
・エラーと、
・1次デバイスの累積駆動時間または累積停止時間と、
を備える。
【0018】
好ましくは、マイクログリッドは、1つ以上の3次デバイスを備えて、1つ以上の3次デバイスのうちの少なくとも1つの動作は、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される。したがって、マイクログリッドのデバイスは、1次デバイスと補助デバイスと3次デバイスとを有する階層チェーンを形成してもよく、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御されて、1つ以上の3次デバイスのうちの少なくとも1つは、1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて制御される。
【0019】
本機構の例は、少なくとも1つの再生可能電源と少なくとも1つの電解装置と少なくとも1つの乾燥器とのメッシュネットワークを備えるマイクログリッドである。再生可能電源は、1次デバイスとして機能して、電解装置は、補助デバイスとして機能して、乾燥器は、3次デバイスとして機能する。電解装置は、再生可能電源が十分な電力出力を提供している場合にのみ作動してもよく(例えば、太陽光電源について、電解装置は、日中の時間にのみ作動してもよく)、したがって、補助デバイス(電解装置)は、1次デバイス(再生可能電源)の動作に関する情報(例えば、電圧またはアンペア数)に応じて制御される(作動する)。次いで、乾燥器は、電解装置が十分な水素出力を生成している場合にのみ作動してもよく、したがって、3次デバイス(乾燥器)は、補助デバイス(電解装置)の動作に関する情報(例えば、流量または出力圧力)に応じて制御される(作動する)。
【0020】
1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する情報は、1次デバイスに関して上記で列挙されたものと同じでもよい。同様に、3次デバイスの制御は、補助デバイスに関して上記で列挙されたものと同じでもよい(例えば、作動、停止、再開、またはプロセス設定値の設定)。
【0021】
好ましくは、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークは、完全に接続されたメッシュネットワークである。このように、すべてのデバイスは、ネットワークを通じて直接的にまたは間接的にすべての他のデバイスと通信し得る。
【0022】
好ましくは、メッシュネットワークはさらに、通信情報の記録のためにデータベースに接続される。このように、すべてのデバイスは、ネットワークを通じて直接的にすべての他のデバイスと通信し得る。
【0023】
好ましくは、メッシュネットワークは、インターネットに接続される。
【0024】
好ましくは、最短パスブリッジングは、1次デバイスと補助デバイスとの間の通信に使用される。
【0025】
好ましくは、1次デバイスと補助デバイスとのうちの1つ以上は、中央計算/制御手段に接続される。
【0026】
好ましくは、各デバイスは、デバイス間で情報を通信する通信モジュールを備える。
【0027】
好ましくは、1次デバイスと補助デバイスとは、
・Bluetooth(登録商標)と
・Wi-Fiと
・無線と
のうちのいずれか1つ以上を介して通信する。
【0028】
好ましくは、ユーザは、別の計算デバイスから通信情報をリモートで監視し得る。
【0029】
好ましくは、各デバイスは、固有識別子コードを有する。
【0030】
本明細書に開示される別の態様によれば、マイクログリッド内のデバイスを制御する方法が提供されて、マイクログリッドは、1つ以上の1次デバイスと1つ以上の補助デバイスとを少なくとも含む複数のデバイスを備えて、上記1次デバイスは、先行デバイスであって、上記補助デバイスは、後続デバイスであって、方法は、デバイス間で情報を無線で通信するために、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように複数のデバイスを接続することと、1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に関する通信情報に応じて1つ以上の補助デバイスのうちの少なくとも1つを制御することと、を含む。
【0031】
本明細書で使用される「メッシュネットワーク」または「メッシュワーク」という用語は、ローカルネットワークトポロジーを意味するために使用されて、同ローカルネットワークトポロジーでは、デバイスは、直接的に、動的に、および/または非階層的に他のデバイスに接続可能であって、ネットワークを通じてデータをルーティングするように互いに協働する。接続されたデバイスは、メッシュネットワーク内でノードを形成する。メッシュネットワークはまた、接続されたデバイスに加えて他のノード、例えば、インフラストラクチャノードを備えてもよい。このように1つのノードに依存しないことにより、すべてのノードは、必要な場合に情報の中継に関与することが可能になる。
【0032】
本明細書で使用される「1次デバイス」という用語と「先行デバイス」という用語とは、交換可能に使用される場合がある。
【0033】
本明細書で使用される「補助デバイス」という用語と「後続デバイス」という用語とは、交換可能に使用される場合がある。
【0034】
好ましい実施形態では、1次/先行デバイスは、少なくとも1つの補助/後続デバイスに物理的に接続されて、より好ましくは、物理的な接続は、デバイス間の(液体水、水蒸気、または水素もしくは酸素気体などの)流体の移動を伴う。好ましくは、1次/先行デバイスは、電解装置などの電気化学デバイスであって、補助/後続デバイスは、乾燥器および/または水タンクなどのバランスオブプラント(BOP:balance of plant)デバイスである。乾燥器は好ましくは、貯蔵および/または使用の前に、電解装置により生成される気体流れ(例えば、水素)を受け取って乾燥させるために、各電解装置の出口に物理的に接続される。水タンクは好ましくは、電解装置において電気化学プロセスで使用するために水の供給を電解装置に提供するように、各電解装置の入口に物理的に接続される。複数の1次デバイスは、単一の補助デバイスを共有し得ることがさらに想定される。
【0035】
本発明の目的は、乾燥器または水タンクなどの補助デバイスが、物理的に接続された1次デバイス(例えば、電解装置)の起動時に自動的に作動することを確実にする手段を提供することである。
【0036】
単一のマイクログリッドは、単一のメッシュネットワークまたは複数のメッシュネットワークのいずれかを備えてもよく、メッシュネットワークの数は、共有される補助デバイスにより決定されることが想定される。
【0037】
1次デバイスおよび/または補助デバイスにより送信および/または受信されるデータは、圧力と、温度と、流量と、オン/オフ状態と、電圧と、アンペア数と、エネルギー需要と、エラーと、デバイスの累積駆動時間と、水レベルと、水導電率と、のうちのいずれか1つ以上を含み得ることが想定される。これらのパラメータのそれぞれは、所定の設定値に対してチェックされてもよく、上記設定値は、使用時にユーザにより修正されてもよい。
【0038】
本発明の実施形態では、マイクログリッドは、インターネット/クラウドなどの無線通信ネットワークにルータまたは同等のデバイスにより接続されるように適合された、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを備えることが想定される。メッシュネットワークは、インターネット接続を有していない隔離された「アイランド」(すなわち、ローカル)モードにおいても機能し得る。
【0039】
本発明の実施形態では、マイクログリッドは、性能データを記録して任意選択的に分析するためにデータベースに接続されるように適合された、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを備えることが想定される。
【0040】
部分的に接続されたメッシュネットワークで十分であることが想定されるが、完全に接続されたメッシュネットワークが先行デバイスと後続デバイスとの間に形成されることがより有益である。
【0041】
あるいは、部分的に接続されたメッシュネットワークに依拠した実施形態において最大の機能を確実にするために、すべてのデバイスが、必要な場合にメッシュネットワーク内の他のデバイスを介して互いに通信し得ることを確実にするように、最短パスブリッジングなどのアルゴリズムが採用され得ることが想定される。
【0042】
先行デバイスが電解装置である実施形態では、好ましくは、同先行デバイスは、AEM電解装置である。より一層好ましくは、同先行デバイスは、乾式カソードを用いて動作するAEM電解装置である。
【0043】
好ましい実施形態では、先行デバイスと後続デバイスとは、中央計算手段/制御手段を用いてメッシュネットワークを介して通信するように適合されてもよい。追加のタイプの先行デバイスと後続デバイスとが存在し得ることも想定される。例えば、再生可能電源が、先行デバイスであってもよいが、電解装置からの出力に依存するコンプレッサが、後続デバイスを構成してもよい。
【0044】
各デバイスは、通信モジュールを備えて、上記通信モジュールは、無線で送信されたデータの送信と受信とを容易にするように適合されることが想定される。
【0045】
任意の無線周波数または周波数帯域が使用され得ることが想定されるが、使用に関する制限は、特定の目的に対して存在する。したがって、好ましい実施形態では、デバイスは、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fiを介して通信するように適合されてもよい。無線周波数を使用して、より大きい範囲がカバーされてもよい。ある実施形態では、データの明確な送信と受信とを確実にするために、増幅器および/もしくはハイパスフィルタ、または他の既知の構成要素と同様に、より大きいアンテナが必要とされ得る。本発明は必ずしも、このような特徴により限定されることを意図したものではない。
【0046】
好ましい実施形態では、マイクログリッドは、ネットワーク内の各デバイスの状態をユーザがリモートで監視することを可能にして、インターネットに接続されるようにさらに適合されたメッシュネットワークを備える。上記リモートの監視は、ラップトップ、PC、タブレット、または携帯電話などの計算デバイスからの安全な接続により容易となる。あるいは、ユーザは、例えば、通信モジュールのうちの1つにおいて動作するローカルウェブインターフェースを使用してメッシュネットワークの状態をチェックし得る。
【0047】
好ましい実施形態では、計算手段での使用のためにアプリケーションが提供されてもよく、上記アプリケーションは、先行デバイスと後続デバイスとの識別の自動構成を可能にするように適合されることが想定される。
【0048】
安全な接続を確実にする手段は既知であって、本発明の対象ではないため、これ以上は述べない。
【0049】
監視と通信との目的で、各デバイスが固有識別子コードを備えることは、有益であり得る。これは、製造もしくは設置の時に提供され得るか、またはユーザにより選択/入力されてもよい。
【0050】
より効率的な制御と、柔軟で効率的な設置と有用性とは、本発明により提供される利点の単なる一部であるが、本発明は、マイクログリッドを制御する従来技術に対する明確な利点である、外部のハードウェアもしくはソフトウェアコントローラ、ゲートウェイ、またはPLCの必要性を除去する利点を有する。さらに、先行デバイス(例えば、電解装置)についての単一のウェブインターフェースは、メッシュネットワーク全体を管理するために、加えて、Modbusなどを介した先行デバイス(例えば、電解装置)に対する単一の接続だけを管理するために使用され得る。
【0051】
好ましい実施形態では、メッシュワークは、2.4GHzでIEEE802.11a/b/g/n規格に基づいて動作する。少なくとも2つのデバイス、好ましくは、1つの電解装置や1つの乾燥器などの少なくとも1つの先行デバイスと、少なくとも1つの後続デバイスと、が存在することが想定される。より好ましくは、単一の後続デバイス(例えば、乾燥器)は、複数の先行デバイス(例えば、電解装置)にサービス提供し得ることが想定される。例えば、生成された気体水素から水または他のコンタミナントを除去するために、単一の乾燥器によりサービス提供される2つ以上の電解装置が存在してもよい。好ましい実施形態では、先行の1個から100個までの数の電解装置、または1個と50個との間の数もしくは1個と20個との間の数の同デバイスに従うように構成された1つの乾燥器が存在してもよい。一部の実施形態では、1つの乾燥器は、2個と10個との間の数の電解装置または2個と7個との間の数の電解装置により、動作可能に制御されてもよい。例示的な実施形態では、1つの乾燥器は、5つの電解装置により動作し得るが、先行デバイスの数は、需要やネットワーク容量や物理的なスペースなどの物理的な考慮事項と他の考慮事項とに基づいて、前述のとおり選択され得る。
【0052】
あるいは、本発明は、1つ以上の補助デバイスを共有する1つ以上の1次デバイスに適用されてもよい。共有される1次デバイスと補助デバイスとの各ブロックは、マイクログリッド内の単一のネットワークを形成する。マイクログリッド内のネットワークの相互リンクが提供され得ることが想定される。例えば、気体流れ(例えば、水素)の移動のための物理的な通信が提供されてもよい。あるいは、より幅広いマイクログリッドを監視して管理する目的で、情報のみが共有されてもよい。
【0053】
メッシュワーク全体かまたは部分的なメッシュワークかに関わらず、マスタルータは、信頼性のある通信を確実にするために、信号強度により決定されてもよいことが想定される。この趣旨で診断手段は提供されてもよく、マスタルータは変更されてもよい。
【0054】
マイクログリッドが、1次/先行デバイスとしての少なくとも1つの電解装置と補助/後続デバイスとしての少なくとも1つの乾燥器とを備える乾燥器制御(メッシュ)ネットワークを備える場合、乾燥器は、電解装置のうちの少なくとも1つが定常状態で動作していると判定された場合にのみ開始するように構成されてもよく、この定常状態は、電解装置が所定の状態に達したことを示す。電解装置が定常状態で動作しているかどうかの判定は好ましくは、ネットワークを通じて電解装置から送信されるデータに基づいており、データは好ましくは、電解装置内の流体または電解装置から出力される流体の流量および/または圧力(例えば、電解装置から出力される水素などの気体流れの流量および/または圧力)に関するものである。好ましい実施形態では、この定常状態は、1つ以上の電解装置が特定の流量および/または最適圧力で水素を生成している場合に生じ得る。最適圧力は、好ましくは、1バールから100バールまで、より好ましくは2バールと50バールとの間、より一層好ましくは10バールから30バールまでの範囲内、実質的に20バールの任意の妥当な圧力に設定されてもよい。一部の管轄では、これはより低いため、乾燥器は、2バールと6バールとの間、実質的に4バールで機能するように較正されてもよい。すべての他の(すなわち、定常状態でない)場合、乾燥器は、自動的にオフにされてもよい。あるいは、乾燥器は、任意のレベルの水素が電解装置により生成されている場合にオンになるように構成されてもよい。補助構成要素はまた、最後に接続された1次デバイス(例えば、電解装置)がオフになる場合に、または最後のオフから所定時間後に、オフになるように適合されてもよい。
【0055】
1次デバイス(例えば、電解装置)から補助デバイス(例えば、乾燥器)への直接的な通信を可能にする追加の利点は、補助デバイス(例えば、乾燥器)の動作に必要なセンサの数を低減できることである。これは、コストと複雑性とに対してだけでなく、レイテンシの低減と、デバイスがスイッチをオンにされ得る効率、より重要なことに、デバイスが必要でない場合にデバイスがスイッチをオフにされ得る効率と、の観点でも非常に大きな影響を有して、これは次いで、絶対的に必要な場合にのみデバイスが動作しているため、意義のある環境的影響と生態的影響とを有して、使用する必要がない場合にデバイスのスイッチをオフにする際の任意の遅延は最小化される。
【0056】
マイクログリッドが、電解装置である1次デバイスと、水を電解装置に供給する水タンクおよび/または水供給を純化する水純化システムである補助デバイスと、を備える一例では、水タンクおよび/または水純化システムは、電解装置の動作状態に基づいて電解装置の水需要に従い得る。このように、水タンクおよび/または水純化システムからの水供給は、電解装置の動作のパラメータに基づいて、水供給または水純化が必要であることが決定される場合にのみ作動する。これにより、電解装置に供給される水の鮮度が保証され、水の炭酸化を回避する。
【0057】
好ましい実施形態では、マイクログリッドの構成要素は、各構成要素について必須のファームウェアと、関連付けられたアプリケーションまたは他のインターフェース手段と、を有してもよい。これは、無線通信ネットワーク(例えば、インターネット/クラウド)への任意選択的な接続を含む。
【0058】
マイクログリッド(例えば、乾燥器制御(メッシュ)ネットワーク)は、無線通信に基づいており、したがって、機能は、デバイス間の距離とデバイス間の障害物と他の妨害とにより影響を受け得ることに留意されたい。適切な状況において、このような潜在的な妨害を軽減するために、ユーザによる措置が必要とされてもよい。
【0059】
本発明は、外部のコントローラまたはゲートウェイを必要とすることなく、先行デバイス(例えば、電解装置)と後続デバイス(例えば、乾燥器)とを含むマイクログリッドの設定と稼働とを可能にする。マイクログリッドの構成は、完全に自動化されるか、またはモバイルアプリを用いて、もしくは任意の計算同等物を用いて自動化されて、すぐに達成され得る。「アイランド」(すなわち、ローカル)モードで動作するマイクログリッドの構成は、デバイスフロントパネル上の制御ボタンまたはスイッチを用いた追加の適用と設定とを全く必要としない。
【0060】
各先行デバイス(例えば、電解装置)は、同先行デバイスの動作状態および/または測定されたセンサデータを補助デバイス(例えば、選択された乾燥器)に直接的に、またはメッシュネットワーク内の他のデバイスを介して、リアルタイムで通信するように適合されている。この迅速な生通信は、乾燥器または他の補助/後続デバイスのより十分な組込みとよりスムーズな動作とを可能にする。「後続デバイス」という用語は、同後続デバイスが1つ以上の1次デバイスのうちの少なくとも1つの動作に応じて(例えば、前述のとおり、電解装置が作動して、好ましくは所定の状態に達する場合に)制御される(例えば、作動する)ことを意味する。
【0061】
本発明に係るマイクログリッドに接続された各先行デバイス(例えば、電解装置)は、Modbusインターフェース上でセンサデータと状態データと警告とを提供して、デバイスの監視を可能にし得る。システムはさらに、必ずしも限定されるわけではないが、開始と、停止と、再開と、プロセス設定値の変更と、を含む補助デバイス(例えば、乾燥器)の制御を可能にするように適合されることが想定される。プロセス設定値は、後続デバイス(例えば、乾燥器)を作動させる先行デバイス(例えば、電解装置)からの再開圧力または状態についてのトリガを含んでもよい。これは、任意の種類の1次デバイスと補助デバイスとに適用されてもよい。
【0062】
マイクログリッドは、複数のタイプの補助デバイスに対して本発明に係るメッシュネットワーク内で接続された1つ以上の1次デバイスを備えてもよく、補助デバイスは、別の補助デバイスに対する1次デバイスとしても機能し得ることがさらに想定される。例えば、単一のメッシュネットワークは、電解装置と乾燥器とコンプレッサとを備えてもよく、上記電解装置は、補助の乾燥器についての1次デバイスであって、乾燥器および/または電解装置は、上記コンプレッサについての1次デバイスである。
【0063】
少なくとも1つの電解装置と、少なくとも1つの乾燥器と、がマイクログリッド内で接続された代替的な実施形態では、乾燥器は、1つ以上の補助/後続の電解装置を管理する1次/先行デバイスとして機能し得ることが想定される。例えば、乾燥器は、Nリットルの水素を生成するように、または乾燥器の出力において一定の圧力を確実にするために生成速度を低減するように電解装置に要求する。次いで、メッシュデバイスは、どのデバイスが1.デバイスごとの総作動時間数、2.最長の待機状態、3.最高の電解質温度を考慮し始めるべきかを決定するために、定数を作るか、または各デバイスの負荷を変更し得る。
【0064】
このようなプロセスは、より長い膜寿命と、サイドプロセスについてのエネルギーの低減と、他のプロセスの利点と、を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1A図1Aは、部分的に接続されたメッシュネットワークを備えるマイクログリッドを示す。
図1B図1Bは、完全なメッシュネットワークを備えるマイクログリッドを示す。
図2図2は、インターネット接続を伴う部分的に接続されたメッシュネットワークを備えるマイクログリッドの別の実施形態である。
図3図3は、2つのメッシュネットワークを備えて、1次デバイスと補助デバイスとの2つのネットワーク間の通信を示すマイクログリッドの別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
ここで、本発明の理解を助けるために、本発明の特定の実施形態は、添付図面を参照して例示として記載される。
【0067】
図1Aを参照すると、メッシュネットワーク化マイクログリッドが示されている。本実施形態では、マイクログリッドは、複数の1次(すなわち、先行)デバイスと単一の補助(すなわち、後続)デバイスとを備える。図1Aにおける実施形態は、すべてのデバイスがすべての他のデバイスに対する直接的なリンクを有しているわけではないことを意味する部分的に接続されたメッシュネットワーク1の実施形態である。図1Aの部分的に接続されたメッシュネットワーク1では、1次デバイスは、複数の電解装置2a-2eであって、単一の補助デバイスは、単一の乾燥器3である。無線接続は、デバイス間の線により示されているが、乾燥器3に対する各電解装置2a-2e間の物理的なパイプ接続は示されていない。
【0068】
部分的に接続されたメッシュネットワークは、デバイス間の完全に接続されたメッシュネットワークを妨げるネットワーク内の妨害または信号に対する障害物が原因で存在し得る。デバイスが他のデバイスを介して通信することを可能にするアルゴリズムを使用する手段が提供されるが、同手段は、示されていない。図1Aに示された実施形態では、乾燥器3は、電解装置2aが乾燥器3または電解装置2bそれぞれを介して電解装置2cに通信することを、可能にする中央ノードとして機能する。
【0069】
図1Bは、図1Aのものと同様に、完全に接続されたメッシュネットワークを備えるマイクログリッドを示しており、違いは、各デバイスが他の各デバイスに対する通信可能な接続を維持していることである。
【0070】
ここで、図2を参照すると、マイクログリッドについての現実世界の適用において見られる可能性がより高い実施形態が存在する。図2の例では、マイクログリッドは、複数の電解装置2a-2eである1次デバイスと、単一の乾燥器3である単一の補助デバイスと、を備える部分的に接続されたメッシュネットワーク10を備える。電解装置2aは、電解装置2bに無線で接続されており、電解装置2b自体は、電解装置2cに無線で接続されている。電解装置2cは、乾燥器3に無線で接続されている。したがって、これらの電解装置は、電解装置2bが電解装置2cを介して乾燥器3に通信できて、電解装置2aが電解装置2bと2cとを介して乾燥器3に通信できるようなチェーンを形成している。電解装置2dと2eとは、乾燥器3に独立して通信可能に接続されている。また、乾燥器3はルータ4に動作可能に接続されており、ルータ4自体は、情報をインターネット/クラウド5に送信する。
【0071】
図1A図1B図2のそれぞれについて、電解装置と乾燥器との間の接続は、2.4GHzであって、ルータ4に対する乾燥器3との接続は、IEEE802.11であって、このような接続が存在する実施形態について、インターネット/クラウド5に向けて進む。外部のインターネット接続を有していない実施形態は、「アイランド」(すなわち、ローカル)モードで動作する。
【0072】
本発明の重要な目的は、乾燥器3に物理的に接続された電解装置のうちの1つ以上がオンにされて、したがって、水素を生成しているという、無線で送信される通信を受信すると、乾燥器3が自動的に作動するのを可能にすることである。示されている5つの電解装置2a-2eのそれぞれは、それぞれの乾燥器に水素を送信する物理的なパイプ接続を有する。
【0073】
図2における機構などの機構は、電解装置またはエネルギーの供給源について複数の場所が存在するマイクログリッドについて存在してもよい。単一の乾燥器を利用することは、各場所で1つの乾燥器を有するよりも高い持続性を有する。
【0074】
図3を参照すると、あるネットワーク1の少なくとも1つの電解装置2と別のネットワーク10の場合の乾燥器3との間の接続6を伴って、図1Aのネットワーク1と図2のネットワーク10とを備えるマイクログリッド30が示されている。あるネットワーク1内の電解装置により生成される水素が、他のネットワーク10の乾燥器により処理されることを可能にするための潜在的な物理的接続は示されていない。ネットワークのうちの1つのみが、ルータとクラウドとの接続を有して示されているが、これは必ずしも唯一の場合ではなく、マイクログリッド内でより遠く離れたネットワークまたはデバイスが、より長い距離にわたってインターネット接続を取得するのを可能にする。
【0075】
本発明は、上述の実施形態の詳細に制限されることを意図したものではない。例えば、他の電気化学デバイス、または他の後続デバイス、例えば、コンプレッサや燃料電池などが使用されてもよい。
【0076】
さらに、測定された任意の情報は、所定の動作をトリガするためにデバイス間で通信されてもよい。
【0077】
図面は、1次の電解装置と補助の乾燥器との好ましい例に焦点を当てているが、本発明は、必ずしも、このような構成に限定されることを意図したものではなく、以上の説明から、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲から逸脱することなく、修正と変更とが、記載された実施形態に対して行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【0078】
本開示のさらなる態様は、以下の番号付けされた節に記載される。
【0079】
節1.マイクログリッドであって、
・1つ以上の1次デバイスであって、上記1次デバイスは、先行デバイスである、1つ以上の1次デバイスと、
・1つ以上の補助デバイスであって、上記補助デバイスは、後続デバイスである、1つ以上の補助デバイスと、
を少なくとも含む複数のデバイスと、データの無線による送信と受信とのために1次デバイスと補助デバイスのそれぞれに関連付けられた手段と、を備えて、複数のデバイスは、少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークを形成するように構成されており、1つ以上の補助デバイスの作動状態は、1つ以上の1次デバイスの通信された作動状態に依存する、マイクログリッド。
【0080】
節2.1次デバイスは、電解装置であって、補助デバイスは乾燥器である、節1記載のマイクログリッド。
【0081】
節3.補助デバイスは、1次デバイスのうちのいずれか1つ以上が作動する場合に作動するように適合されている、節1または2記載のマイクログリッド。
【0082】
節4.少なくとも部分的に接続されたメッシュネットワークは、完全なメッシュネットワークである、節1乃至3のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0083】
節5.メッシュネットワークはさらに、送信されたデータの記録のためにデータベースに接続されている、節1乃至4のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0084】
節6.データは、
・圧力と、
・温度と、
・流量と、
・オン/オフ状態と、
・電圧と、
・アンペア数と、
・エネルギー需要と、
・水レベルと、
・水導電率と、
・エラーと、
・デバイスの累積駆動時間と、
のうちのいずれか1つ以上である、節1乃至5のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0085】
節7.メッシュネットワークは、インターネットに接続されている、節1乃至6のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0086】
節8.最短パスブリッジングは、1次デバイスと補助デバイスとの間の通信に使用される、節1乃至7のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0087】
節9.1つ以上の1次デバイスは、AEM電解装置である、節1乃至8のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0088】
節10.AEM電解装置は、乾式カソードを有する、節9記載のマイクログリッド。
【0089】
節11.1次デバイスと補助デバイスとのうちの1つ以上は、中央計算/制御手段に接続されている、節1乃至10のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0090】
節12.各デバイスは、通信モジュールを備える、節1乃至11のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0091】
節13.1次デバイスと補助デバイスとは、
・Bluetooth(登録商標)と
・Wi-Fiと
・無線と
のうちのいずれか1つ以上を介して通信する、節1乃至12のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0092】
節14.ユーザは、別の計算デバイスから通信情報をリモートで監視し得る、節1乃至13のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0093】
節15.各デバイスは、固有識別子コードを有する、節1乃至14のいずれかに記載のマイクログリッド。
【0094】
本発明は単なる例示として上記で記載されており、詳細の修正は、本発明の範囲内で行われ得ることが理解されるであろう。

図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】