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特表2024-513668分子応答を分析するための方法および関連する態様
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】分子応答を分析するための方法および関連する態様
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240319BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240319BHJP
   G16B 20/00 20190101ALI20240319BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
G01N33/50 P
G16B20/00
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553585
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022070984
(87)【国際公開番号】W WO2022187862
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,592
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/173,193
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515059083
【氏名又は名称】ガーダント ヘルス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クイン, ケイティ ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】マク, アリシア ジェイド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン, エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】オーデガード, ジャスティン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】チュドヴァ, ダーリヤ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, カイル リク ミン
(72)【発明者】
【氏名】チュアン, ハン-ユー
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル, ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045DA13
2G045DA14
2G045JA01
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB20
4B029FA12
4B063QA13
4B063QA17
4B063QQ42
4B063QQ52
(57)【要約】
分子応答スコアを決定する方法が本明細書で提供される。分子応答スコアは、対象への処置の投与を監視および誘導するために使用され得る。この方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されること、前記第1の複数の配列リードおよび前記第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
前記第1の複数の配列リードおよび前記第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、
体細胞性と分類される前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および第2のMAFに基づいて、前記第1のMAFの加重平均および前記第2のMAFの加重平均を決定することと、
前記対象について、前記第1のMAFの前記加重平均と前記第2のMAFの前記加重平均との比を決定することと、
前記第1のMAFの前記加重平均と前記第2のMAFの前記加重平均との比に基づいて、信頼区間を決定することと、
分子応答スコアとして、前記第1のMAFの加重平均と前記第2のMAFの加重平均との比および前記信頼区間を出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
前記第1の複数の配列リードおよび前記第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、
体細胞性と分類される前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および第2のMAFに基づいて、MAF比を決定することと、
前記対象について、前記MAF比の加重平均を決定することと、
前記MAF比の前記加重平均に基づいて、前記MAF比の前記加重平均に関連する信頼区間を決定することと、
前記MAF比の前記加重平均および前記信頼区間を分子応答スコアとして出力することと、を含む、方法。
【請求項3】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
第2の複数の配列リード内の前記複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
前記第1の複数の配列リードと前記第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、
体細胞性として分類または再分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定することと、
体細胞性として分類または再分類された前記複数の変異体の前記少なくとも1つの変異体について、前記第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2のMAFを決定することと、
前記第1のMAFおよび前記第2のMAFに基づいて、分子応答スコアを決定することとを含む、方法。
【請求項4】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
前記第1の複数の配列リードおよび前記第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、
前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、
前記複数の変異体から、前記少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2のMAFを決定することと、
前記第1のMAFおよび前記第2のMAFに基づいて、分子応答スコアを決定することとを含む、方法。
【請求項5】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
第2の複数の配列リード内の前記複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
前記第1の複数の配列リードと前記第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、
前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、
前記複数の変異体から、前記少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2のMAFを決定することと、
体細胞として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1のMAFおよび前記第2のMAFan MAF比に基づいて決定することと、
前記対象について、前記MAF比の加重平均を決定することと、
前記MAF比の前記加重平均に基づいて、前記MAF比の前記加重平均に関連する信頼区間を決定することと、
前記MAF比の前記加重平均および前記信頼区間を分子応答スコアとして出力することと、を含む、方法。
【請求項6】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後に決定されることと、
第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
第2の複数の配列リード内の前記複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
前記第1の複数の配列リードと前記第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、
前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、
前記複数の変異体から、前記少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定することと、
体細胞性として分類された前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2のMAFを決定することと、
体細胞性として分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFに基づいて、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均を決定することと、
前記対象について、前記第1のMAFの前記加重平均と前記第2のMAFの前記加重平均との比を決定することと、
前記第1のMAFの前記加重平均と前記第2のMAFの前記加重平均との比に基づいて、信頼区間を決定することと、
分子応答スコアとして、前記第1のMAFの加重平均と前記第2のMAFの加重平均との比および前記信頼区間を出力することと、を含む、方法。
【請求項7】
方法であって、
対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、前記第1の複数の配列リードが、療法を施す前の第1の時点において決定され、前記第2の複数の配列リードが、前記療法を施した後の第2の時点において決定されることと、
前記第1の複数の配列リードおよび前記第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
体細胞性として分類される前記複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、前記第1の時点での第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および前記第2の時点での第2のMAFに基づいて、前記第1のMAFの第1の代表値および前記第2のMAFの第2の代表値を決定することと、
前記第1の時点における前記第1の代表値と前記第2の時点における前記第2の代表値との比を決定することと、
前記第1の時点における前記第1の代表値と前記第2の時点における前記第2の代表値との比を分子応答スコアとして出力することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記代表値が、平均、中央値、または最頻値のうちの1またはそれを超える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも部分的にコンピューターを使用して、癌を有する対象の分子応答スコアを決定する方法であって、
(a)コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体についての第1および第2のMAFのセットを作製することと、
(b)前記コンピューターによって、前記複数の変異体中の少なくとも1つの変異体に対する前記第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよび前記MAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成することと、
(c)前記コンピューターによって、前記MAF比の加重平均および信頼区間を計算することによって、前記癌を有する前記対象の前記分子応答スコアを決定することとを含む、方法。
【請求項10】
対象の癌を処置する方法であって、
(a)第1の時点および第2の時点で前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体についての第1および第2のMAFのセットを作製することと、
(b)前記複数の変異体中の少なくとも1つの変異体に対する前記第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよび前記MAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成することと、
(c)前記MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、前記対象の分子応答スコアを決定することと、
(d)少なくとも前記分子応答スコアに基づいて、前記対象に1またはそれを超える療法を施すことにより、前記対象の前記癌を処置することと、を含む、方法。
【請求項11】
対象の癌を処置する方法であって、少なくとも前記対象の分子応答スコアに基づいて1またはそれを超える療法を前記対象に施すことを含み、前記分子応答スコアが、
(a)コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体についての第1および第2のMAFのセットを生成すること、
(b)前記コンピューターによって、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体に対する前記第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよび前記MAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成すること、ならびに
(c)前記コンピューターによって、前記MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、前記対象の前記分子応答スコアを決定すること、によって生成される、対象の癌を処置する方法。
【請求項12】
少なくとも部分的にコンピューターを使用して、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する方法であって、
(a)前記コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、複数の変異体のそれぞれについての腫瘍割合変化P(R)に対する腫瘍負荷変化(R)を決定して、腫瘍負荷変化のセットを生成することと、
(b)前記コンピューターによって、前記腫瘍量変化のセットからの1またはそれを超えるクローン造血性変異体に対応する1またはそれを超える耐性シグネチャを同定することによって、前記癌を有する前記対象における前記クローン造血性変異体を同定することとを含む、方法。
【請求項13】
コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する方法であって、
(a)前記コンピューターが、第1の時点および第2の時点で前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体のそれぞれについての腫瘍割合変化P(R)についての確率密度関数を計算することと、
(b)前記コンピューターによって、P(R)による1またはそれを超える変異体を1またはそれを超えるクローンにグループ化することと、
(c)前記コンピューターによって、前記クローンの各々について更新されたP(R)を作成することと、
(d)前記コンピューターによって、所定の閾値またそれを上回る前記第1の時点と前記第2の時点との間の割合変化を有する1またはそれを超えるクローンを同定し、それによって、前記クローン造血性変異体を前記癌を有する対象において同定することと、を含む、方法。
【請求項14】
所与の変異体対が同一の割合変化を示す尤度を決定することと、最も可能性の高い変異体対を1つのクローンにマージすることと、前記1つのクローンについて前記P(R)を更新することとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象における生殖系列変異体を同定する方法であって、
(a)前記コンピューターによって、前記対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、所与の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定することと、
(b)前記コンピューターによって、前記所与の変異体の前記MAFが前記試料の最大MAFを増加させ、その試料が二倍体遺伝子の最大割合(max frac_diploid)を含む場合、および/または前記所与の変異体の前記MAFが前記対象から得られた前記試料から決定された少なくとも約2倍大きい、3倍大きい、4倍大きい、5倍大きい、6倍大きい、7倍大きい、8倍大きい、9倍大きい、またはそれを超える1もしくはそれを超える他のMAFである場合に、前記所与の変異体が生殖系列変異体であると同定し、それによって癌を有する前記対象における前記生殖系列変異体を同定することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記癌を有する前記対象の前記分子応答スコアを所定のカットオフポイントと比較して、前記分子応答スコアが前記所定のカットオフポイントを下回る場合、前記対象が前記癌に対する1またはそれを超える療法に対する応答者である可能性が高いこと、または前記分子応答スコアが前記所定のカットオフポイントまたはそれを上回る場合、前記対象が前記癌に対する前記1またはそれを超える療法に対して非応答者である可能性が高いことを同定することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記1またはそれを超える療法が、1またはそれを超える免疫療法を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記分子応答スコアを考慮して、前記癌のための1またはそれを超える療法を前記対象に施すことを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記分子応答スコアを考慮して、前記癌のための1またはそれを超える療法を前記対象に施すことを中止することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記分子応答スコアを、前記対象の予後バイオマーカーおよび/または予測バイオマーカーとして使用することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
分子カウントを使用して、前記MAF比のセット内の各MAF比についての前記標準偏差を計算することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記MAF比のセットにおける各MAF比を介して分散を伝播させることを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の変異体について前記突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定する場合に、1またはそれを超える生殖系列および/またはクローン造血性変異体を除外することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の変異体が体細胞性核酸変異体を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の時点および前記第2の時点の両方において約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%未満であるMAFを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を除外することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の時点が処置前の時点を含み、前記第2の時点が処置開始時点または処置後の時点を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記試料中の1またはそれを超える組織または細胞から得られた核酸分子から前記配列情報を作成することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象から得られた前記試料中の無細胞核酸(cfNA)から前記配列情報を作成することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記cfNAが循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の記載の方法。
【請求項30】
前記比が、前記複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体についての前記第1のMAFに対する前記第2のMAFを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
以下の式:
【数38】
和[重み*比]/和[重み]、
(式中、重みは、複数の変異体のうちの所与の変異体について1/範囲であり、範囲は、複数の変異体のうちの所与の変異体についての第1および第2のMAFの値の差であり、比は、MAF比のセットうちの所与のMAF比である)
を使用して前記MAF比の前記加重平均を計算することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
以下の式:
【数39】
MAF比の加重平均+/-sqrt[比分散]、
(式中、比分散は1/和[重み]である)
を使用して前記信頼区間を計算することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記MAFの前記加重平均の比を計算することを含み、以下の式:
(時点2でのMAF比の加重平均)/(時点1でのMAF比の加重平均)
(ここで、ある時点で検出されない変異体のMAFは0に設定される)
を使用することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記変異体が、1またはそれを超える単一ヌクレオチド変異体(SNV)、挿入/欠失突然変異(インデル)、遺伝子増幅、および/または遺伝子融合を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
1またはそれを超える追加のゲノムデータソースを使用して、前記癌を有する前記対象についての前記分子応答スコアを決定することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記追加のゲノムデータソースが、1またはそれを超えるカバレッジ、オフターゲットカバレッジ、エピジェネティックシグネチャ、および/またはマイクロサテライト不安定性スコアを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記エピジェネティックシグネチャが、cfNAフラグメントの長さ、位置および/またはエンドポイント密度分布を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記エピジェネティックシグネチャが、所与の標的化ゲノム領域内の1またはそれを超えるエピジェネティック遺伝子座によって示されるエピジェネティックな状況または状態を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記エピジェネティックな状況または状態が、メチル化、ヒドロキシメチル化、アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化、シトルリン化、および/またはヒストン翻訳後修飾もしくは他のヒストン変異の有無を含む先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記療法を施す前に1またはそれを超えるコピー数変異体を決定し、療法を施した後に1またはそれを超えるコピー数変異体を決定することと、前記複数の変異体から、閾値を超える前記1またはそれを超えるコピー数変異体のいくつかに基づいて、前記1またはそれを超えるコピー数変異体を除去することと、を更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
第1の時点で体細胞性変異体のMAFから得られた第1の代表値および第2の時点で体細胞性変異体のMAFから得られた第2の代表値を決定することと、
前記第1の時点における前記代表値と前記第2の時点における前記代表値との比を計算することと、
前記第1の時点における前記代表値と前記第2の時点における前記代表値との比の標準偏差を計算することと、
別の分子応答スコアとして、前記第1の時点での前記代表値と前記第2の時点での前記代表値との比を出力することと、を更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
複数の時点の各々において複数の配列リードを得ることと、
前記複数の時点のうちの任意の2つの時点の間のMAF比を決定することと、を更に含む、
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
1またはそれを超える療法を推奨することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
先行する請求項のいずれかに記載の方法を実施するように構成された、装置。
【請求項45】
少なくとも1つの電子プロセッサによって実施されると、先行する請求項のいずれかに記載の方法を実行する非一時的コンピューター実行可能命令を含むコンピューター可読媒体。
【請求項46】
先行する請求項のいずれかに記載の方法を実施するように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月5日に出願された米国仮特許出願第63/157,592号および2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/173,193号に基づく優先権の利益を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
分子応答は、異なる時点で対象から収集された試料において観察された循環腫瘍DNA(ctDNA)レベルの変化の計算である。特定の場合には、計算は、試料中の全無細胞DNA(cfDNA)中の体細胞性変異体の割合に基づく。他の場合では、計算は試料中のctDNAの濃度に基づく(すなわち、飼料中のcfDNA濃度ごとに正規化されている)。これらのアプローチに関連する共通の問題は、分子応答のこれらの比較的単純な計算がしばしば誤ったまたは不正確な分子応答スコアをもたらすことである。したがって、癌を有する対象の分子応答スコアを正確に決定する方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
簡単な要旨
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、体細胞性と分類される複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および第2のMAFに基づいて、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均を決定することと、対象について、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比を決定することと、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比に基づいて、信頼区間を決定することと、分子応答スコアとして、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比および信頼区間を出力することと、を含む。
【0004】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、体細胞性と分類される複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および第2のMAFに基づいて、MAF比を決定することと、対象について、MAF比の加重平均を決定することと、MAF比の加重平均に基づいて、MAF比の加重平均に関連する信頼区間を決定することと、MAF比の加重平均および信頼区間を分子応答スコアとして出力することと、を含む。
【0005】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、体細胞性として分類または再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、体細胞性として分類または再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、第1の突然変異対立遺伝子割合および第2の突然変異対立遺伝子割合に基づいて、分子応答スコアを決定することとを含む。
【0006】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類することと、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、複数の変異体から、少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、体細胞性として分類複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、体細胞性として分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、第1の突然変異対立遺伝子割合および第2の突然変異対立遺伝子割合に基づいて、分子応答スコアを決定することと、を含む。
【0007】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、
第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、複数の変異体から、少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、体細胞性として分類または再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、体細胞性として分類されたまたは再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2の突然変異対立遺伝子割合を決定することと、体細胞として分類されたまたは再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の突然変異対立遺伝子割合および第2の突然変異対立遺伝子割合、MAF比に基づいて決定することと、対象について、MAF比の加重平均を決定することと、MAF比の加重平均に基づいて、MAF比の加重平均に関連する信頼区間を決定することと、MAF比の加重平均および信頼区間を分子応答スコアとして出力することと、を含む。
【0008】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後に決定されることと、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために、複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体を再分類することと、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定することと、複数の変異体から、少なくとも1つのCHIP変異体を除去することと、体細胞性として分類複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定することと、体細胞性として分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づいて、第2のMAFを決定することと、体細胞性として分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFに基づいて、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均を決定することと、対象について、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比を決定することと、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比に基づいて、信頼区間を決定することと、分子応答スコアとして、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比および信頼区間を出力することと、を含む。
【0009】
一態様において、本開示は、少なくとも部分的にコンピューターを使用して分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、対象と関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定することであって、第1の複数の配列リードが、療法を施す前の第1の時点において決定され、第2の複数の配列リードが、療法を施した後の第2の時点において決定されることと、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類することと、体細胞性として分類される複数の変異体の少なくとも1つの変異体について、第1の時点での第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)および第2の時点での第2のMAFに基づいて、第1のMAFの第1の代表値および第2のMAFの第2の代表値を決定することと、第1の時点における第1の代表値と第2の時点における第2の代表値との比を決定することと、第1の時点における第1の代表値と第2の時点における第2の代表値との比を分子応答スコアとして出力することと、を含む。
【0010】
一態様において、本開示は、コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象に関する分子応答スコアを決定する方法を提供する。方法は、(a)コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体の内の各変異体についての第1および第2のMAFのセットを生成することを含む。方法は、(b)コンピューターによって、複数の変異体中の各変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよびMAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成することを含む。さらに、この方法はまた、(c)コンピューターによって、MAF比の加重平均および信頼区間を計算することによって、癌を有する対象の分子応答スコアを決定することとを含む。
【0011】
別の態様において、本開示は、対象の癌を処置する方法を提供する。方法は、(a)第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体のうちの各変異体についての第1および第2のMAFのセットを生成することを含む。方法は、(b)複数の変異体中の各変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよびMAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成することを含む。方法はまた、(c)MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、対象の分子応答スコアを決定することを含む。加えて、方法は、(d)少なくとも分子応答スコアに基づいて、対象に1またはそれを超える療法を施すことにより、対象の癌を処置することと、を含む。
【0012】
別の態様において、本開示は、対象の癌を処置する方法を提供する。方法は、対象についての少なくとも分子応答スコアに基づいて、対象に1またはそれを超える療法を施すことを含む。分子応答スコアは、(a)コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体のうちの各変異体についての第1および第2のMAFのセットを生成すること、(b)コンピューターによって、複数の変異体のうちの各変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよびMAF比のセットのうちの各MAF比に対する対応する標準偏差を生成すること、ならびに(c)コンピューターによって、MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、対象の分子応答スコアを決定すること、によって生成される。
【0013】
別の態様において、本開示は、コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する方法を提供する。方法は、(a)コンピューターによって、第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、複数の変異体のそれぞれについての腫瘍割合変化P(R)に対する腫瘍負荷変化(R)を決定して、腫瘍負荷変化のセットを生成することを含む。本方法はまた、(b)コンピューターによって、腫瘍負荷変化のセットからの1またはそれを超えるクローン造血性変異体に対応する1またはそれを超える耐性シグネチャを同定し、それによって癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定することを含む。
【0014】
別の態様において、本開示は、コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する方法を提供する。方法は、(a)コンピューターが、第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体のそれぞれについての腫瘍割合変化P(R)についての確率密度関数を計算することを含む。方法はまた、(b)コンピューターによって、P(R)によって1またはそれを超える変異体を1またはそれを超えるクローンにグループ化すること、および(c)コンピューターによって、クローンのそれぞれについて更新されたP(R)を作成することを含む。加えて、方法はまた、(d)コンピューターによって、所定の閾値またはそれを上回る第1の時点と第2の時点との間の割合変化を有する1またはそれを超えるクローンを同定し、それによって、クローン造血性変異体を癌を有する対象において同定することと、を含む。いくつかのこれらの実施形態において、方法は、所与の変異体対が同一の割合変化を示す尤度を決定することと、最も可能性の高い変異体対を1つのクローンに併合することと、1つのクローンについてP(R)を更新することとを含む。
【0015】
別の態様において、本開示は、コンピューターを少なくとも部分的に使用して、癌を有する対象における生殖系列変異体を同定する方法を提供する。方法は、(a)コンピューターによって、対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、所与の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定することを含む。方法はまた、(b)コンピューターによって、所与の変異体のMAFが試料の最大MAFを増加させ、その試料が二倍体遺伝子の最大割合(max frac_diploid)を含む場合、および/または所与の変異体のMAFが対象から得られた試料から決定された少なくとも約2倍大きい、3倍大きい、4倍大きい、5倍大きい、6倍大きい、7倍大きい、8倍大きい、9倍大きい、または1もしくはそれを超える他のMAFである場合に、所与の変異体が生殖系列変異体であると同定し、それによって癌を有する対象における生殖系列変異体を同定することと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、癌を有する対象の分子応答スコアを所定のカットオフポイントと比較して、分子応答スコアが所定のカットオフポイントを下回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法に対する応答者である可能性が高いこと、または分子応答スコアが所定のカットオフポイントを上回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法に対する非応答者である可能性が高いことを同定することを含む。いくつかの実施形態において、1またはそれを超える療法は、1またはそれを超える免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを中止することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、1またはそれを超える療法を推奨することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、1またはそれを超える療法の中止を推奨することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、対象の予後バイオマーカーおよび/または予測バイオマーカーとして分子応答スコアを使用することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、MAF比のセットにおける各MAF比についての標準偏差を計算するために分子カウントを使用することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、MAF比のセットにおける各MAF比を介して分散を伝播することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、複数の変異体について突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定する場合、1またはそれを超える生殖系列および/またはクローン造血性変異体を除外することを含む。いくつかの実施形態において、複数の変異体は、体細胞性核酸変異体を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、第1の時点および第2の時点の両方において約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%未満であるMAFを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を除外することを含む。いくつかの実施形態において、第1の時点は、処置前の時点を含み、第2の時点は、処置開始時点または処置後の時点を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、試料中の1またはそれを超える組織または細胞から得られた核酸分子から配列情報を作成することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、対象から得られた試料中の無細胞核酸(cfNA)から配列情報を作成することを含む。いくつかの実施形態において、cfNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、比率は、複数の変異体における各変異体についての第1のMAFに対する第2のMAFを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、以下の式を使用してMAF比の加重平均を計算することを含む:
和[重み*比]/和[重み]、
(式中、重みは、複数の変異体中の所与の変異体について1/範囲であり、範囲は、複数の変異体中の所与の変異体についての第1および第2のMAFの値の差であり、比は、MAF比のセット内の所与のMAF比である)。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、以下の式を使用して信頼区間を計算することを含む。
MAF比の加重平均+/-sqrt[比分散]、
(式中、比分散は1/sum[重み]である)。
【0020】
いくつかの実施形態において、変異体は、1またはそれを超える単一ヌクレオチド変異体(SNV)、挿入/欠失突然変異(インデル)、遺伝子増幅、および/または遺伝子融合を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、1またはそれを超える追加のゲノムデータソースを使用して、癌を有する対象についての分子応答スコアを決定することを含む。いくつかの実施形態において、追加のゲノムデータソースは、1またはそれを超えるカバレッジ、オフターゲットカバレッジ、エピジェネティックシグネチャ、および/またはマイクロサテライト不安定性スコアを含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、cfNAフラグメント長、位置および/またはエンドポイント密度分布を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、所与の標的化ゲノム領域内の1またはそれを超えるエピジェネティック遺伝子座によって示されるエピジェネティック状況または状態を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティック状況または状態は、メチル化、ヒドロキシメチル化、アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化、シトルリン化、および/またはヒストン翻訳後修飾もしくは他のヒストン変異の有無を含む。
【0021】
本出願は、癌を有する対象の分子応答スコアを決定するのに有用な方法、コンピューター可読媒体、およびシステムを開示する。クローン造血性および/または生殖系列変異体を同定する関連方法も開示される。開示された方法、システム、および/または組成物の追加の利点は、以下の説明に部分的に記載され、その説明から部分的に理解されるか、または開示された方法および組成物の実施によって習得され得る。開示された方法および組成物の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素および組み合わせによって実現および達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0022】
図面の簡単な説明
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された方法および組成物のいくつかの実施形態を示し、説明と共に、開示された方法および組成物の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、例示的な方法を示す。
【0024】
図2図2は、例示的な方法を示す。
【0025】
図3図3は、例示的な方法を示す。
【0026】
図4図4は、例示的な方法を示す。
【0027】
図5図5は、例示的な方法を示す。
【0028】
図6図6Aは、例示的な方法を示す。
【0029】
図6Bは、例示的な方法を示す。
【0030】
図7図7は、例示的な方法を示す。
【0031】
図8図8は、例示的な方法を示す。
【0032】
図9図9は、例示的な方法を示す。
【0033】
図10図10は、例示的な方法を示す。
【0034】
図11図11は、例示的な方法を示す。
【0035】
図12図12Aは、例示的な方法を示す。
【0036】
図12Bは、例示的な方法を示す。
【0037】
図13図13は、例示的な方法を示す。
【0038】
図14図14は、例示的な方法を示す。
【0039】
図15図15は、例示的な方法を示す。
【0040】
図16図16は、例示的な方法を示す。
【0041】
図17図17は、例示的な方法を示す。
【0042】
図18図18は、例示的な方法を示す。
【0043】
図19図19は、例示的な方法を示す。
【0044】
図20図20は、例示的な方法を示す。
【0045】
図21図21は、例示的な方法を示す。
【0046】
図22図22は、パネル空間において試料あたりに検出された体細胞性変異体の数を示す。
【0047】
図23図23は、MRの結果を歪める可能性がある体細胞性分類の不一致の例を示す。
【0048】
図24図24A図24Fは、突然変異体分子カウント(MMC=VAF*分子カバレッジ)によって決定される変異体精度の一例を示す。(A)変異体は、試料入力およびパネル設計に応じて、ある範囲の分子カバレッジを有する。変異体検出の確率(B)およびVAF精度(C)は、VAFと分子カバレッジ(色、(A)へのマッピング)の両方に依存する。MMC(D)は、変異体検出(E)の確率を決定するため、変異体精度のより良いメトリックである。VAF精度(F)。
【0049】
図25図25A図25Cは、比の平均、m(rVAF)、または最大の比、R(maxVAF)を使用する場合、腫瘍シグナルが少数の変異体に勝る可能性があることを示す。(A)MRスコアは、増加、減少、または精度限界内(「ほぼ0%の変化」)に分類される。(B)方法ごとの患者分子応答スコアを示す。(C)R(mVAF)のみのベースライン評価可能変異体(Y軸)対R(mVAF)全ての評価可能変異体のグラフ。黒丸は評価可能であり、(x軸を横切る線に見られる)より明るい円は評価可能ではない。
【0050】
図26図26A図26Cは、変異体の数の増加(A)、分子カバレッジ(B)、および最大VAF(C)と共に分子応答スコアの確実性が増加する例を示す。
【0051】
図27図27Aおよび図27Bは、臨床試料(A)および技術的複製物(ヌル分布)(B)の分子応答スコアのヒストグラムを、変異体軌跡の仮説的な例と共に示す。
【0052】
図28図28は、分子応答スコアの決定例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な説明
開示された方法および組成物は、以下の特定の実施形態の詳細な説明およびその中に含まれる実施例、ならびに図面およびそれらの前および後の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0054】
開示された方法および組成物は、特に指定されない限り、特定の合成方法、特定の分析技術、または特定の試薬に限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。
I.定義
【0055】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。さらに、他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法、コンピューター可読媒体、およびシステムの説明および特許請求において、以下の用語、およびそれらの文法上の変形は、以下に記載される定義に従って使用される。
【0056】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本明細書に記載された種類の、および/または本開示などを読めば当業者には明らかになるであろう1またはそれを超える方法および/または工程を含む。本開示で論じられる温度、濃度、時間、塩基または塩基対の数、カバレッジなどの前には、わずかかつ実質的でない等価物が本開示の範囲内にあるように、暗示的な「約」があることも理解されよう。本出願では、特に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含む。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(contain)」「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」、「含む/挙げる(include)」、「含む/挙げる(includes)」、および「含む/挙げること(including)」の使用は、限定することを意図するものではない。
【0057】
約:本明細書で使用される場合、1またはそれを超える目的の値または要素に適用される「約」または「およそ」は、記載された参照値または要素と同様の値または要素を指す。特定の実施形態において、「約」または「およそ」という用語は、特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値または要素の100%を超える場合を除く)、記載された参照値または要素のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)において25%,20%,19%,18%,17%,16%,15%,14%,13%,12%,11%,10%,9%,8%,7%,6%,5%,4%,3%,2%,1%,またはそれ未満に入る値または要素の範囲を指す。
【0058】
アダプタ:本明細書で使用される場合、「アダプタ」は、典型的には少なくとも部分的に二本鎖であり、所与の試料核酸分子のいずれかまたは両方の末端に連結するために使用される短い核酸(例えば、約500ヌクレオチド未満、約100ヌクレオチド未満または約50ヌクレオチド未満の長さ)を指す。アダプタは、両端にアダプタが隣接する核酸分子の増幅を可能にする核酸プライマー結合部位、および/または配列決定用途、例えば様々な次世代シーケンシング(NGS)用途のためのプライマー結合部位を含む配列決定プライマー結合部位を含み得る。アダプタはまた、フローセル支持体に結合したオリゴヌクレオチドなどの捕捉プローブのための結合部位を含むことができる。アダプタはまた、本明細書に記載の核酸タグを含み得る。核酸タグは、典型的には、核酸タグが所与の核酸分子のアンプリコンおよび配列決定リードに含まれるように、増幅プライマーおよび配列決定プライマー結合部位に対して配置される。同じまたは異なるアダプタを核酸分子のそれぞれの末端に連結することができる。特定の実施形態において、同じアダプタは、核酸タグが異なることを除いて、核酸分子のそれぞれの末端に連結される。いくつかの実施形態において、アダプタは、核酸分子に結合するために、本明細書に記載のように一端が平滑末端または尾部を有するY字型アダプタであり、これも1またはそれを超える相補的ヌクレオチドによる平滑末端または尾部を有する。更に他の例示的な実施形態において、アダプタは、分析される核酸分子に結合するための平滑末端またはテール末端を含むベル形アダプタである。他の例示的なアダプタには、TテールアダプタおよびCテールアダプタが含まれる。
【0059】
投与する(施す):本明細書で使用される場合、治療剤(例えば、免疫学的治療剤)を対象に「投与する」または「投与すること」は、組成物を対象に与える、付与する、または接触させることを意味する。投与は、例えば、局所、経口、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内および皮内を含むいくつかの経路のいずれかによって達成することができる。
【0060】
対立遺伝子:本明細書で使用される場合、「対立遺伝子」または「対立遺伝子変異体」は、定義されたゲノム位置または遺伝子座における特定の遺伝的変異体を指す。対立遺伝子変異体は、対立遺伝子がヘテロ接合性であるかホモ接合性であるかに応じて、通常50%(0.5)または100%の頻度で提示される。例えば、生殖系列変異体は遺伝し、通常0.5または1の頻度を有する。体細胞性変異体;しかし、は後天性変異体であり、通常は<0.5の頻度を有する。遺伝子座の主要および副次対立遺伝子は、遺伝子座が参照配列のヌクレオチドおよび参照配列とは異なる変異体ヌクレオチドによってそれぞれ占有されている遺伝子座を有する核酸を指す。遺伝子座での測定は、対立遺伝子が試料中で観察される頻度を測定する対立遺伝子割合(AF)の形態をとることができる。
【0061】
増幅:本明細書で使用される場合、核酸に関連して「増幅する」または「増幅」とは、典型的には少量のポリヌクレオチド(例えば、単一ポリヌクレオチド分子)から始まるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの一部分の複数のコピーの生成を指し、増幅産物またはアンプリコンは一般に検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は、様々な化学的および酵素的プロセスを包含する。
【0062】
バーコード:本明細書で使用される場合、核酸の文脈における「バーコード」は、分子識別子として機能することができる配列を含む核酸分子を指す。例えば、個々の「バーコード」配列は、典型的には、各リードを最終データ分析の前に同定および選別することができるように、次世代シーケンシング(NGS)ライブラリー調製中に各DNA断片に付加される。
【0063】
癌型:本明細書で使用される場合、「癌」、「癌型」または「腫瘍型」は、例えば組織病理学によって定義される癌のタイプまたはサブタイプを指す。癌型は、所与の組織における発生に基づいて(例えば、血液癌、中枢神経系(CNS)、脳癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、皮膚癌、鼻癌、咽喉癌、肝臓癌、骨癌、リンパ腫、膵臓癌、腸癌、直腸癌、甲状腺癌、膀胱癌、腎臓癌、口腔癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、腸癌、軟部組織癌、神経内分泌癌、胃食道癌、頭頸部癌、婦人科癌、結腸直腸癌、尿路上皮癌、固形癌、異種癌、均質癌(homogenous cancer))、未知の一次起源など、および/または同じ細胞系統のもの(例えば、癌腫、肉腫、リンパ腫、胆管癌、白血病、中皮腫、黒色腫または膠芽腫)および/またはHer2、CA15-3、CA19-9、CA-125、CEA、AFP、PSA、HCG、ホルモン受容体およびNMP-22などの癌マーカーを示す癌など、任意の従来の基準によって定義され得る。癌はまた、ステージ(例えば、ステージ1、2、3、または4)および原発性か二次性かによって分類することができる。
【0064】
無細胞核酸:本明細書で使用される場合、「無細胞核酸」は、細胞内に含まれていないか、そうでなければ細胞に結合していない核酸、またはいくつかの実施形態において、無傷の細胞の除去後に試料中に残っている核酸を指す。無細胞核酸は、例えば、対象からの体液(例えば、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液(CSF)など)に由来する全ての非カプセル化核酸を含み得る。無細胞核酸には、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、循環DNA、siRNA、miRNA、循環RNA(cRNA)、tRNA、rRNA、核小体低分子RNA(snoRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNA)、および/またはこれらのいずれかの断片を含む、DNA(cfDNA)、RNA(cfRNA)、およびそれらのハイブリッドが含まれる。無細胞核酸は、二本鎖、一本鎖、またはそれらのハイブリッドであり得る。無細胞核酸は、分泌または細胞死プロセス、例えば細胞壊死、アポトーシスなどを介して体液に放出され得る。無細胞核酸は、エフェロソームまたはエキソソーム中に見出すことができる。いくつかの無細胞核酸は、癌細胞、例えば循環腫瘍DNA(ctDNA)から体液中に放出される。他のものは、健康な細胞から放出される。CtDNAは、非カプセル化腫瘍由来断片化DNAであり得る。無細胞核酸の別の例は、母体血流中を自由に循環する胎児DNAであり、無細胞胎児DNA(cffDNA)とも呼ばれる。無細胞核酸は、1またはそれを超えるエピジェネティック修飾を有することができ、例えば、無細胞核酸は、アセチル化、5-メチル化、ユビキチン化、リン酸化、SUMO化、リボシル化、および/またはシトルリン化され得る。
【0065】
分類子:本明細書で使用される場合、「分類器」は、一般に、入力として試験データを受け取り、出力として、1つまたは別のクラス(例えば、腫瘍DNAまたは非腫瘍DNA)に属するものとして入力データの分類を生成するアルゴリズムコンピューターコードを指す。
【0066】
クローン:本明細書で使用される場合、核酸に関連して「クローン」とは、少なくとも目的の所与の遺伝子座(例えば、標的変異体)で互いに実質的または完全に同一であるヌクレオチド配列を含む核酸の集団を指す。
【0067】
未確定の潜在的なクローン造血:本明細書で使用される場合、「未確定の潜在的なクローン造血」、「クローン造血性変異体」または「CHIP」は、1またはそれを超える体細胞性突然変異(例えば、血液癌関連突然変異および/または非癌関連突然変異)を含むが、それ以外には異形成の確定的な形態学的証拠などの血液悪性腫瘍の診断基準を欠く造血幹細胞の増殖を含む個体における造血を指す。CHIPは、造血幹細胞が血液細胞の遺伝的に異なる亜集団の形成に寄与する一般的な加齢関連現象である。
【0068】
信頼区間:本明細書で使用される場合、「信頼区間」または「信頼レベル」は、所与のパラメータの値がその値の範囲内にある特定の確率が存在するように定義された値の範囲を意味する。
【0069】
コピー数変異体:本明細書で使用される場合、「コピー数変異体」、「CNV」または「コピー数多型」は、ゲノムのセクションが繰り返され、ゲノム内の反復の数が検討中の集団の個体間で異なる現象を指す。
【0070】
カバレッジ:本明細書で使用される場合、「カバレッジ」は、特定の塩基位置を表す核酸分子の数を指す。
【0071】
デオキシリボ核酸またはリボ核酸:本明細書で使用される場合、「デオキシリボ核酸」または「DNA」は、糖部分の2’位に水素基を有する天然または修飾ヌクレオチドを指す。DNAは、典型的には、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)の4種類のヌクレオチド塩基を含むヌクレオチドの鎖を含む。本明細書で使用される場合、「リボ核酸」または「RNA」は、糖部分の2’位にヒドロキシル基を有する天然または修飾ヌクレオチドを指す。RNAは、典型的には、4種類のヌクレオチド塩基:A、ウラシル(U)、GおよびCを含むヌクレオチドの鎖を含む。本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを指す。特定のヌクレオチド対は、相補的な様式で互いに特異的に結合する(相補的塩基対合と呼ばれる)。DNAにおいて、アデニン(A)はチミン(T)と対になり、シトシン(C)はグアニン(G)と対になる。RNAでは、アデニン(A)はウラシル(U)と対を形成し、シトシン(C)はグアニン(G)と対を形成する。第1の核酸鎖が、第1の鎖のヌクレオチドに相補的なヌクレオチドからなる第2の核酸鎖に結合すると、2本の鎖が結合して二本鎖を形成する。本明細書で使用される場合、「核酸シーケンシングデータ」、「核酸シーケンシング情報」、「配列情報」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「ゲノム配列」、「遺伝子配列」、または「フラグメント配列」、または「核酸配列決定リード」は、DNAまたはRNAなどの核酸の分子(例えば、全ゲノム、全トランスクリプトーム、エクソーム、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたはフラグメント)中のヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミンまたはウラシル)の順序および同一性を示す任意の情報またはデータを意味する。本教示は、キャピラリー電気泳動、マイクロアレイ、ライゲーションに基づくシステム、ポリメラーゼに基づくシステム、ハイブリダイズに基づくシステム、直接的または間接的なヌクレオチド同定システム、パイロシークエンシング、イオンまたはpHに基づく検出システム、および電子シグナル伝達に基づくシステムを含むがこれらに限定されない全ての利用可能な様々な技術、プラットフォームまたは技術を使用して得られた配列情報を企図していることを理解されたい。
【0072】
検出:本明細書で使用される場合、「検出する」、「検出すること」または「検出」は、試料中の1またはそれを超える標的化核酸(例えば、標的突然変異または他のマーカーを有する核酸)の存在または存在を決定する行為を指す。
【0073】
濃縮試料:本明細書で使用される場合、「濃縮試料」は、特定の対象領域が濃縮されている試料を指す。試料は、目的の領域を増幅することによって、または目的の核酸分子(例えば、SureSelect(登録商標)プローブ、Agilent Technologies)にハイブリダイズすることができる一本鎖DNA/RNAプローブもしくは二本鎖DNAプローブを使用することによって濃縮することができる。いくつかの実施形態において、濃縮された試料とは、濃縮された処理された試料のサブセットまたは部分のことを指し、濃縮された処理された試料のサブセットまたは部分は、無細胞ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの試料由来の核酸分子を含有する。
【0074】
エピジェネティック情報:本明細書で使用される場合、DNAポリマーの文脈における「エピジェネティック情報」は、そのポリマーに示される1またはそれを超えるエピジェネティックパターンまたはシグネチャを意味する。
【0075】
エピジェネティック遺伝子座:本明細書で使用される場合、「エピジェネティック遺伝子座」または「エピジェネティック部位」は、ヌクレオチド配列の変化または変化を伴わない異なる状況または状態を示す染色体上の固定位置を意味する。誤解を避けるために、所与のエピジェネティック遺伝子座は、遺伝的または配列変異も示す所与のヌクレオチド位置またはゲノム領域と一致し得る(例えば、突然変異)。例えば、所与のエピジェネティック遺伝子座は、アセチル化、メチル化(例えば、5-メチルシトシン(5mC)で修飾、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)で修飾など)、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化、シトルリン化されていてもよく、またはされていなくてもよく、ヒストン翻訳後修飾または他のヒストン変異などを有していてもよい。
【0076】
エピジェネティックシグネチャ:本明細書で使用される場合、「エピジェネティックシグネチャ」は、所与のDNA分子中の1またはそれを超えるエピジェネティックな遺伝子座によって示されるエピジェネティックな状況または状態を意味する。例えば、所与のゲノム領域または遺伝子座(例えば、CTCF結合領域など)を含むDNA分子またはcfDNA断片はまた、それらのDNA分子の一部がメチル化されている特定の数のエピジェネティック遺伝子座を含むエピジェネティックパターンを示し得るが、他の例では、同じゲノム領域を含む他のDNA分子またはcfDNA断片中の対応するエピジェネティック遺伝子座はメチル化されていない。
【0077】
生殖系列突然変異:本明細書で使用される場合、「生殖系列突然変異」は、受胎前に存在する生殖細胞中の核酸の変異を意味する。
【0078】
免疫療法:本明細書で使用される場合、「免疫療法」は、癌細胞を死滅させるかまたは少なくとも癌細胞の増殖を阻害するように、好ましくは癌のさらなる増殖を減少させる、癌のサイズを縮小させる、および/または癌を排除するように免疫系を刺激するように作用する1またはそれを超える薬剤による処置を指す。いくつかのそのような薬剤は、癌細胞上に存在する標的に結合し、いくつかは、免疫細胞上に存在し、癌細胞上に存在しない標的に結合し、いくつかは、癌細胞および免疫細胞の両方に存在する標的に結合する。そのような薬剤には、チェックポイント阻害剤および/または抗体が含まれるが、これらに限定されない。チェックポイント阻害剤は、自己寛容を維持し、末梢組織における生理学的免疫応答の持続時間および振幅を調節して付随する組織損傷を最小限に抑える免疫系の経路の阻害剤である(例えば、Pardoll,Nature Reviews Cancer 12,252-264(2012)を参照)。例示的な薬剤としては、PD-1、PD-2、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、OX40、B7.1、B7He、LAG3、CD137、KIR、CCR5、CD27、CD40またはCD47のいずれかに対する抗体が挙げられる。他の例示的な薬剤としては、炎症促進性サイトカイン、例えばIL-1β、IL-6およびTNF-αが挙げられる。他の例示的な作用物質は、腫瘍に対して活性化されるT細胞、例えば、T細胞によって認識される腫瘍抗原を標的とするキメラ抗原を発現することによって活性化されるT細胞である。
【0079】
インデル:本明細書で使用される場合、「インデル」は、対象のゲノム内のヌクレオチド位置の挿入または欠失を含む突然変異を指す。
【0080】
最大突然変異体対立遺伝子頻度:本明細書で使用される場合、「最大突然変異体対立遺伝子頻度」、「最大変異体対立遺伝子頻度」、「最大MAF」、「MAX MAF」、「最大VAF」、「max-MAF」または「MAX VAF」は、所与の試料中に存在するまたは観察される全ての体細胞性変異体の最大または最大のMAFを指す。
【0081】
突然変異体対立遺伝子頻度:本明細書で使用される場合、「突然変異体対立遺伝子頻度」、「変異体対立遺伝子頻度」、「突然変異対立遺伝子割合」、「変異体対立遺伝子割合」、「MAF」または「VAF」は、対象から得られた試料などの核酸の所与の集団において突然変異の対立遺伝子が生じる頻度を指す。MAFは、一般に、割合またはパーセンテージとして表される。
【0082】
分子応答:本明細書で使用される場合、「分子応答」は、異なる時点で所与の対象から採取された試料間で観察される1またはそれを超える循環腫瘍DNA(ctDNA)変異体対立遺伝子頻度、レベル、または量の変化を指す。
【0083】
分子応答者:本明細書で使用される場合、「分子応答者」または「応答者」は、異なる時点で対象から採取した試料間で観察される1またはそれを超える循環腫瘍DNA(ctDNA)変異体対立遺伝子頻度、レベル、または量の減少を示す分子応答スコアを有する対象を指す。
【0084】
分子非応答者:本明細書で使用される場合、「分子非応答者」または「非応答者」は、異なる時点で対象から採取された試料間で観察される1またはそれを超える循環腫瘍DNA(ctDNA)変異体対立遺伝子頻度、レベル、または量の増加または変化を示さない分子応答スコアを有する対象を指す。減少(または増加)のレベルを指定する閾値を利用して、対象が分子応答者であるか分子非応答者であるかを決定することができる。例えば、分子応答者は、VAFの一定のパーセンテージ変化を超える減少に関連する対象であり得、非応答者は、VAFの一定のパーセンテージ変化未満の増加、変化なし、または減少に関連する対象であり得る。
【0085】
突然変異:本明細書で使用される場合、「突然変異」、「核酸変異体」、「変異体」または「遺伝的異常」は、既知の参照配列からの変異を指し、例えば、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、コピー数変異体または変異(CNV)/異常、挿入または欠失(インデル)、短縮化、遺伝子融合、トランスバージョン、転座、フレームシフト、重複、反復伸長、およびエピジェネティック変異体などの突然変異を含む。突然変異は、生殖系列または体細胞性の突然変異であり得る。いくつかの実施形態において、比較のための参照配列は、試験試料、典型的にはヒトゲノムを提供する対象の種の野生型ゲノム配列である。特定の場合には、突然変異または変異体は、腫瘍形成を引き起こすまたは少なくとも腫瘍形成に寄与する「腫瘍関連遺伝的変異体」である。
【0086】
次世代シーケンシング:本明細書で使用される場合、「次世代シーケンシング」または「NGS」は、例えば、一度に数十万個の比較的小さな配列リードを作成する能力を有する、従来のサンガー電気泳動およびキャピラリー電気泳動に基づくアプローチと比較してスループットが向上したシーケンシング技術を指す。次世代シーケンシング技術のいくつかの例には、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、およびハイブリダイゼーションによるシーケンシングが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
核酸タグ:本明細書で使用される場合、「核酸タグ」は、異なる試料(例えば、試料インデックスを表す)からの核酸、または異なるタイプの同じ試料(例えば、分子タグを表す)中の異なる核酸分子、または異なる処理を受けた核酸を区別するために核酸分子を標識するために使用される短い核酸(例えば、約500、約100、約50または約10ヌクレオチド未満の長さ)を指す。核酸タグは、一本鎖、二本鎖または少なくとも部分的に二本鎖であり得る。核酸タグは、必要に応じて同じ長さまたは様々な長さを有する。核酸タグはまた、1またはそれを超える平滑末端を有する二本鎖分子を含むことができ、5’または3’一本鎖領域(例えば、オーバーハング)を含むことができ、および/または所与の分子内の他の位置に1またはそれを超える他の一本鎖領域を含むことができる。核酸タグは、他の核酸(例えば、増幅および/または配列決定される試料核酸)の一端または両端に取り付けることができる。核酸タグを復号して、所与の核酸の起源、形態または処理の試料などの情報を明らかにすることができる。核酸タグはまた、異なる核酸タグおよび/または試料インデックスを有する核酸を含む複数の試料のプール化および/または並列処理を可能にするために使用することができ、核酸タグを読み取ることによって核酸が続いてデコンボリューションされる。核酸タグは、分子識別子またはタグ、試料識別子、インデックスタグ、および/またはバーコードとも呼ばれ得る。追加的または代替的に、核酸タグを使用して、同じ試料中の異なる分子を区別することができる。これには、例えば、所与の試料中の各異なる核酸分子をユニークにタグ付けすること、またはそのような分子をユニークにタグ付けしないことが含まれる。非ユニークなタグ付け用途の場合、例えば、少なくとも1つの核酸タグと組み合わせて選択された参照ゲノムにマッピングする開始/停止位置に基づいて異なる分子を区別できるように、限られた数のタグを使用して各核酸分子をタグ付けすることができる。典型的には、任意の2つの分子が同じ開始/停止位置を有し、また同じ核酸タグを有する可能性が低い(例えば、約10%未満、約5%未満、約1%未満、または約0.1%未満の可能性)ように、十分な数の異なる核酸タグが使用される。いくつかの核酸タグは、試料、試料内の核酸分子の形態、ならびに同じ開始位置および停止位置を有する形態内の核酸分子を標識するための複数の分子識別子を含む。そのような核酸タグは、大文字が試料タイプを示し、アラビア数字が試料内の分子の形態を示し、小文字のローマ数字が形態内の分子を示す例示的な形態「A1i」を使用して参照することができる。
【0088】
ポリヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「核酸分子」、または「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオシド間結合によって連結されたヌクレオシド(デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはそれらの類似体を含む)の直鎖ポリマーを指す。典型的には、ポリヌクレオチドは少なくとも3つのヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチドは、数個のモノマー単位、例えば3~4個から数百個のモノマー単位のサイズの範囲であることが多い。ポリヌクレオチドが「ATGCCTG」などの文字の配列によって表されるときはいつでも、特に断らない限り、ヌクレオチドは左から右に向かって5’→3’の順序であり、DNAの場合、「A」はデオキシアデノシンを表し、「C」はデオキシシチジンを表し、「G」はデオキシグアノシンを表し、「T」はデオキシチミジンを表すことが理解されよう。文字A、C、G、およびTは、当技術分野で標準的であるように、塩基自体、ヌクレオシド、または塩基を含むヌクレオチドを指すために使用され得る。
【0089】
参照試料:本明細書で使用される場合、「参照試料」または「参照cfNA試料」 は、分析手順の精度を評価し、試験試料を分類するなどのために、試験試料と共に分析されるか、または試験試料と比較される、既知の組成の試料および/または特定の特性(例えば、既知の核酸変異体、既知の細胞起源、既知の腫瘍割合、既知のカバレッジなど)を有するかもしくは欠くことが知られている試料を指す。参照試料データセットは、典型的には、少なくとも約25から少なくとも約30,000またはそれを超えるの参照試料を含む。いくつかの実施形態において、参照試料データセットは、約50、75、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、10,000、15,000、20,000、25,000、50,000、100,000、1,000,000個、またはそれを超える参照試料を含む。
【0090】
参照配列:本明細書で使用される場合、「参照配列」または「参照ゲノム」は、実験的に決定された配列と比較する目的で使用される既知の配列を指す。例えば、既知の配列は、全ゲノム、染色体、またはそれらの任意のセグメントであり得る。参照配列は、典型的には、少なくとも約20、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約1000、またはそれを超えるヌクレオチドを含む。参照配列は、ゲノムもしくは染色体の単一の連続した配列と整列することができ、またはゲノムまたは染色体の異なる領域と整列する不連続なセグメントを含むことができる。例示的な参照配列には、例えば、hG19およびhG38などのヒトゲノムが含まれる。
【0091】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」は、本明細書に開示される方法および/またはシステムによって分析することができる任意の生物学的試料を意味する。本開示の特定の態様において、試料は、体液試料、例えば、無細胞(細胞内に含有されていないか、そうでなければ細胞に結合していない循環)核酸が供給される他の体液タイプの中でも、全血またはその画分、リンパ液、尿、および/または脳脊髄液である。特定の実施態様において、体液試料は血漿試料であり、これは、赤血球および白血球などの細胞を除いた全血の流体部分である。いくつかの実施態様において、体液試料は血清試料、すなわちフィブリノーゲンを欠く血漿である。本開示のいくつかの態様において、試料は「非体液試料」または「非血漿試料」、すなわち、無細胞核酸以外の核酸が供給される細胞および/または組織試料などの「体液試料」以外の生物学的試料である。
【0092】
感度:本明細書で使用される場合、所与のアッセイまたは方法の文脈における「感度」は、標的化(例えば、腫瘍細胞に由来するcfDNA断片)および非標的化(例えば、非腫瘍細胞に由来するcfDNA断片)分析物を検出および区別するアッセイまたは方法の能力を指す。
【0093】
配列決定:本明細書で使用される場合、「配列決定」は、生体分子、例えばDNAまたはRNAなどの核酸の配列(例えば、モノマー単位の同一性および順序)を決定するために使用されるいくつかの技術のいずれかを指す。例示的な配列決定方法としては、限定されないが、標的化シークエンシング、一分子リアルタイムシークエンシング、エクソンまたはエクソームシークエンシング、イントロンシークエンシング、電子顕微鏡ベースのシークエンシング、パネルシークエンシング、トランジスタ媒介シークエンシング、直接シークエンシング、ランダムショットガンシーケンシング、サンガージデオキシ終結シーケンシング、全ゲノムシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、パイロシーケンシング、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動、二本鎖シーケンシング、サイクルシーケンシング、一塩基伸長シーケンシング、固相シーケンシング、ハイスループットシーケンシング、大規模並列シグネチャシーケンシング、エマルジョンPCR、低変性温度での共増幅-PCR(COLD-PCR)、マルチプレックスPCR、可逆的色素ターミネーターによるシーケンシング、ペアエンドシーケンシング、near-termシーケンシング、エキソヌクレアーゼシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ショートリードシーケンシング、単一分子シーケンシング、合成によるシーケンシング、リアルタイムシーケンシング、逆ターミネーターシーケンシング、ナノポアシーケンシング、454シーケンシング、Solexa Genome Analyzerシーケンシング、SOLiD(商標)シーケンシング、MS-PETシーケンシング、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、配列決定は、とりわけ、Illumina,Inc.、Pacific Biosciences,Inc.、またはApplied Biosystems/Thermo Fisher Scientificから市販されている遺伝子分析装置などの遺伝子分析装置によって実施することができる。
【0094】
一塩基変異体:本明細書で使用される場合、「一塩基変異体」または「SNV」は、ゲノムの特定の位置で起こる一塩基の突然変異または変異を意味する。
【0095】
体細胞性突然変異:本明細書で使用される場合、「体細胞性突然変異」は、受胎後に起こるゲノムの突然変異を意味する。体細胞性突然変異は、生殖細胞を除く身体の任意の細胞で起こり得、したがって子孫には伝えられない。
【0096】
特異性:本明細書で使用される場合、診断分析またはアッセイの文脈における「特異性」は、所与の試料の他の構成成分を除外して分析またはアッセイが意図された標的分析物を検出する程度を指す。
【0097】
サブクローン:本明細書で使用される場合、核酸に関連して「サブクローン」とは、少なくとも目的の所与の遺伝子座(例えば、標的変異体)で互いに実質的または完全に同一であるヌクレオチド配列を含む核酸の亜集団(すなわち、核酸の集団のサブセット)を指す。例えば、サブクローナルは、癌細胞のサブセットを指すことができる。
【0098】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物種(例えば、ヒト)もしくは鳥類(例えば、鳥)種などの動物、または植物などの他の生物を指す。より具体的には、対象は、脊椎動物、例えば、マウス、霊長類、サルまたはヒトなどの哺乳動物であり得る。動物には、家畜(例えば、生産用のウシ、乳牛、家禽、ウマ、ブタなど)、スポーツ動物、およびコンパニオンアニマル(例えば、ペットまたはサポート動物)が含まれる。対象は、健康な個体、疾患もしくは疾患の素因を有するもしくは有すると疑われる個体、または療法を必要としているもしくは療法を必要とすると疑われる個体であり得る。「個体」または「患者」という用語は、「対象」と交換可能であることを意図している。
【0099】
例えば、対象は、癌を有すると診断された、癌療法を受ける予定である、および/または少なくとも1つの癌療法を受けたことがある個体であり得る。対象は、癌の寛解状態にあり得る。別の例として、対象は、自己免疫疾患を有すると診断された個体であり得る。別の例として、対象は、妊娠しているかまたは妊娠を計画している女性個体であり得、疾患、例えば癌、自己免疫疾患を有すると診断されているかまたは疑われ得る者であり得る。
【0100】
閾値:本明細書で使用される場合、「閾値」は、実験的に決定された値を特徴付ける、または分類するために使用される別個に決定された値を指す。
【0101】
腫瘍割合:本明細書で使用される場合、「腫瘍割合」は、所与の試料中の腫瘍に由来する核酸分子の割合の推定値を指す。例えば、試料の腫瘍割合は、試料の最大体細胞性突然変異体対立遺伝子頻度(max MAF)もしくは試料のカバレッジ、または試料中のcfNAフラグメントの長さ、エピジェネティック状況、もしくは他の特性、または試料の任意の他の選択された特徴に由来する尺度であり得る。いくつかの実施形態において、試料の腫瘍割合は試料の最大MAFに等しい。
【0102】
値:本明細書で使用される場合、「値」は、一般に、データセット内のエントリを指し、値が参照する特徴を特徴付ける任意のものとすることができる。これには、数字、単語または語句、記号(例えば、+または-)または度が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料を本方法および組成物の実施または試験に使用することができるが、特に有用な方法、デバイス、および材料は記載の通りである。本明細書で引用される刊行物およびそれらが引用される資料は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。いかなる参考文献も先行技術を構成することを認めるものではない。参考文献の議論は、その著者が主張することを述べており、出願人は、引用された文献の正確さおよび適切性に異議を申し立てる権利を保有している。本明細書ではいくつかの刊行物が参照されているが、そのような参照は、これらの文献のいずれかが当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことが明確に理解されよう。
【0104】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語および「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」などの単語の変形は、「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」を意味し、例えば、他の添加剤、コンポーネント、整数または工程を排除することを意図しない。特に、1またはそれを超える工程または動作を含むものとして記載された方法では、各工程が列挙されたものを含むことが特に企図され(その工程が「からなる」などの限定用語を含まない限り)、これは各工程が、例えば、その工程に列挙されていない他の添加剤、コンポーネント、整数または工程を排除することを意図しないことを意味する。
【0105】
本発明が複数の連続する工程を含むプロセスを提供する場合、本発明はまた、これらの異なるステップが異なる場所(例えば、様々な国で)の異なる人々によって非常に異なる時間に実施され得るプロセスを提供することができる。
II.分子応答スコアリング
【0106】
図1に示す実施形態において、分子応答(MR)スコアを決定するための方法100が開示される。本開示の方法は、無細胞核酸の操作、調製、同定、定量および/または分析において多種多様な用途を有し得る。分子応答は、処置前のベースラインと比較した、処置中(通常3~10週間)の循環腫瘍DNA(ctDNA)負荷量の変化の評価である。分子応答は、療法に対する患者の応答ならびに固形腫瘍および療法タイプにわたる長期転帰に関連する。分子応答を使用して、X線写真および/またはRECIST応答よりも早く臨床応答を予測することもできる。分子応答を計算するために複数の方法が使用されており、どの方法が最良であるかに関するコンセンサスはない。
【0107】
分子応答(MR)スコアを使用して処置に対する応答を評価するための方法およびシステムが記載される。一実施形態において、処置前に複数の患者についてベースライン(処置前)遺伝子発現データを得ることができ、処置中に複数の患者について処置中遺伝子発現データを得ることができる。一実施形態において、ベースライン遺伝子発現データ(例えば、変異体データ)および/または処置中遺伝子発現データを分析して、分子応答(MR)スコアを決定することができる。MRスコアは、患者が処置に対して応答者または非応答者であることを示し得る。実施形態において、突然変異対立遺伝子割合(MAF)は、MRスコアの一部として決定され得る。一実施形態において、各MAFの分散を分子応答スコアの決定に組み込んでもよい。これにより、分子応答スコアが正確な分散を含むことが保証され、分子応答スコアから正しい結論を下す際に有意な改善が提供される。比率が分母の分散に敏感であるため、分子応答スコアが比率である場合、改善は更に顕著である。分散は、分子応答分散を数学的に導出することによって、または分子応答分散を決定するために各変異体の分散分布からのシミュレーションもしくはサンプリングによって、分子応答スコアに組み込むことができる。
a.cfDNAの単離および抽出
【0108】
図1に示すように、第1の時間Tにおいて、ベースラインcfDNAは、工程101での処置前に1またはそれを超える対象から得られた1またはそれを超えるベースライン試料から得られてもよく、第2の時間Tにおいて、処置中cfDNAは、工程102での処置後に1またはそれを超える対象から得られた1またはそれを超える処置中試料から得られてもよい。処置は、時間Tの後の任意の時点で行われ得る/であり得る。例えば、処置は、時間Tの数分後、数時間後、数日後などに行われ得る。さらなる例として、処置は、時間Tの30分後、時間Tの1時間後から2時間後、時間Tの1日後から2日後、時間Tの1週間後から2週間後、時間Tの1ヶ月後から2ヶ月後、時間Tの6ヶ月後から1年後、時間Tの1年後から2年後などに行われ得る。時間Tは、時間Tの後の任意の時間量、例えば、1~24時間、1~180日、1~12週間、6~12ヶ月などを含む任意の時間であり得る。
【0109】
本明細書に記載されるように、ポリヌクレオチドは、DNAおよび/またはRNAなどの任意の種類の核酸を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドがDNAである場合、それはゲノムDNA、相補的DNA(cDNA)、または任意の他のデオキシリボ核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、無細胞DNA(cfDNA)などの無細胞核酸であってもよい。例えば、ポリヌクレオチドは循環cfDNAであり得る。循環cfDNAは、アポトーシスまたはネクローシスを介して身体細胞から排出されたDNAを含み得る。アポトーシスまたはネクローシスを介したcfDNA排出は、正常な(例えば健康な)身体細胞に由来し得る。癌などの異常な組織成長がある場合、腫瘍DNAが排出され得る。循環cfDNAは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含み得る。
i.試料
【0110】
無細胞ポリヌクレオチドの単離および抽出は、様々な技術を使用して試料を収集することによって行われ得る。試料は、対象から単離された任意の生物学的試料であり得る。試料には、身体組織、全血、血小板、血清、血漿、糞便、赤血球、白血球(white blood cells)または白血球(leucocytes)、内皮細胞、組織生検(例えば、既知のまたは疑われる固形腫瘍からの生検)、脳脊髄液、滑液、リンパ液、腹水液、間質液または細胞外液(例えば、細胞間空間からの流体)、歯肉滲出液、溝滲出液(crevicular fluid)、骨髄、胸水、脳脊髄液、唾液、粘膜、痰、精液、汗、尿が含まれ得る。試料は、好ましくは体液、特に血液およびその画分、ならびに尿である。そのような試料には、腫瘍から排出された核酸が含まれる。核酸は、DNAおよびRNAを含むことができ、二本鎖および一本鎖の形態であり得る。試料は、対象から最初に単離された形態であり得るか、または細胞などの成分を除去もしくは添加するか、ある成分を別の成分に対して濃縮するか、またはある形態の核酸を別の形態に、例えばRNAをDNAに、または一本鎖核酸を二本鎖に変換するためのさらなる処理に供されたものであってもよい。したがって、例えば、分析のための体液試料は、無細胞核酸、例えば無細胞DNA(cfDNA)を含有する血漿または血清である。
【0111】
いくつかの実施形態において、対象から採取された体液の試料体積は、配列決定された領域の所望の読み取り深度に依存する。例示的な体積は、約0.4~40ml、約5~20ml、約10~20mlである。例えば、体積は、約0.5ml、約1ml、約5ml、約10ml、約20ml、約30ml、約40ml、またはそれを超えるミリリットルであり得る。サンプリングされた血液の量は、典型的には約5ml~約20mlである。
【0112】
試料は、様々な量の核酸を含むことができる。典型的には、所与の試料中の核酸の量は、複数のゲノム等価物と同等である。例えば、約30ngのDNAの試料は、約10,000(10)個の半数体ヒトゲノム等価物、およびcfDNAの場合、約2000億(2x1011)個の個々のポリヌクレオチド分子を含有し得る。同様に、約100ngのDNAの試料は、約30,000個の半数体ヒトゲノム等価物、およびcfDNAの場合、約6000億個の個々の分子を含有し得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、試料は、異なる供給源、例えば細胞および無細胞供給源(例えば、血液試料など)からの核酸を含む。典型的には、試料は、突然変異を有する核酸を含む。例えば、試料は、生殖系列突然変異および/または体細胞性突然変異を保有するDNAを必要に応じて含む。典型的には、試料は、癌関連突然変異(例えば、癌関連体細胞性突然変異)を保有するDNAを含む。本開示のいくつかの実施形態において、対象における無細胞核酸は、腫瘍に由来し得る。例えば、対象から単離された無細胞DNAは、ctDNAを含むことができる。
【0114】
増幅前の試料中の無細胞核酸の例示的な量は、典型的には、約1フェムトグラム(fg)~約1マイクログラム(μg)、例えば、約1ピコグラム(pg)~約200ナノグラム(ng)、約1ng~約100ng、約10ng~約1000ngの範囲である。いくつかの実施形態において、試料は、約600ngまで、約500ngまで、約400ngまで、約300ngまで、約200ngまで、約100ngまで、約50ngまで、または約20ngまでの無細胞核酸分子を含む。必要に応じて、その量は、少なくとも約1fg、少なくとも約10fg、少なくとも約100fg、少なくとも約1pg、少なくとも約10pg、少なくとも約100pg、少なくとも約1ng、少なくとも約10ng、少なくとも約100ng、少なくとも約150ng、または少なくとも約200ngの無細胞核酸分子である。特定の実施形態において、その量は、最大約1fg、約10fg、約100fg、約1pg、約10pg、約100pg、約1ng、約10ng、約100ng、約150ngまたは約200ngの無細胞核酸分子である。いくつかの実施形態において、方法は、試料から約1fg~約200ngの無細胞核酸分子を得ることを含む。
【0115】
無細胞核酸は、典型的には、約100ヌクレオチド長~約500ヌクレオチド長のサイズ分布を有し、約110ヌクレオチド長~約230ヌクレオチド長の分子が試料中の分子の約90%を占め、約168ヌクレオチド長のモードおよび約240~約440ヌクレオチド長の範囲の第2の小ピークを有する。特定の実施形態において、無細胞核酸は、約160~約180ヌクレオチド長、または約320~約360ヌクレオチド長、または約440~約480ヌクレオチド長である。
【0116】
いくつかの実施形態において、溶液中に見出されるような無細胞核酸が無傷の細胞および体液の他の不溶性成分から分離されるパーティション工程を通して、無細胞核酸を体液から単離する。これらの実施形態のいくつかにおいて、パーティションは、遠心分離または濾過などの技術を含む。あるいは、体液中の細胞を溶解し、無細胞および細胞核酸を一緒に処理する。一般に、緩衝液の添加および洗浄工程の後、無細胞核酸を例えばアルコールで沈殿させる。特定の実施形態において、汚染物質または塩を除去するために、シリカ系カラムなどの追加のクリーンアップステップが使用される。例えば、収率などの例示的な手順の特定の態様を最適化するために、非特異的なバルク担体核酸を反応全体にわたって必要に応じて添加する。そのような処理の後、試料は、典型的には、二本鎖DNA、一本鎖DNAおよび/または一本鎖RNAを含む様々な形態の核酸を含む。必要に応じて、一本鎖DNAおよび/または一本鎖RNAを二本鎖形態に変換して、その後の処理および分析工程に含める。本明細書に開示される方法を実施する際に使用するために必要に応じて適合された、cfDNAパーティションおよびエピジェネティック修飾の関連する分析に関するさらなる詳細は、例えば、2017年12月22日に出願された国際公開第2018/119452号に記載されており、これは参照により組み込まれる。
ii.核酸タグ
【0117】
特定の実施形態において、分子識別子またはバーコードを提供するタグは、他の方法の中でも、化学合成、ライゲーション、またはオーバーラップ伸長PCRによって、アダプタに組み込まれるか、そうでなければ結合される。いくつかの実施形態において、ユニークもしくは非ユニークな識別子、または反応中の分子バーコードの割り当ては、例えば、米国特許出願第20010053519号、米国特許出願第20030152490号、米国特許出願第20110160078号、および米国特許第6,582,908号、米国特許第7,537,898号および米国特許第9,598,731号に記載されており、これらは各々参照により組み込まれる。
【0118】
タグは、ランダムまたは非ランダムに試料核酸に連結される(例えば、ライゲートされる)。いくつかの実施形態において、タグは、マイクロウェルに対する識別子(例えば、ユニークなおよび/または非ユニークなバーコードの組み合わせ)の予想される比で導入される。例えば、ゲノム試料あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、500、1000、5000、10000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、10,000,000、50,000,000または1,000,000,000個を超える識別子がロードされるように、識別子がロードされ得る。いくつかの実施形態において、識別子は、ゲノム試料あたり約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、500、1000、5000、10000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、10,000,000、50,000,000または1,000,000,000個未満の識別子がロードされるようにロードされる。特定の実施形態において、ゲノム試料あたりにロードされる識別子の平均数は、ゲノム試料あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、500、1000、5000、10000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、10,000,000、50,000,000または1,000,000,000の識別子未満またはそれを超える。識別子は、一般にユニークまたは非ユニークである。
【0119】
1つの例示的なフォーマットは、標的核酸分子の両端に連結された約2~約1,000,000個の異なるタグ、または約5~約150個の異なるタグ、または約20~約50個の異なるタグを使用する。20~50×20~50個のタグの場合、合計400~2500個のタグが作製される。そのような数のタグは、典型的には、同じ開始点および停止点を有する異なる分子が、タグの異なる組み合わせを受信する高い確率(例えば、少なくとも94%、99.5%、99.99%、99.999%)を有するのに十分である。
【0120】
いくつかの実施形態において、識別子は、予め決定された、ランダムな、または半ランダムな配列オリゴヌクレオチドである。他の実施形態において、複数のバーコードを使用して、バーコードが必ずしも複数のバーコードの中で互いにユニークではないようにしてもよい。これらの実施形態において、バーコードは、一般に、個々の分子に(例えば、ライゲーションまたはPCR増幅によって)結合され、それにより、バーコードおよびそれが結合され得る配列の組み合わせが、個別に追跡され得るユニーク配列を作製する。本明細書に記載されるように、配列リードの開始(スタート)部分および終了(ストップ)部分の配列データと組み合わせた非ユニークにタグ付けされたバーコードの検出は、典型的には、特定の分子に対するユニークな同一性の割り当てを可能にする。個々の配列リードの長さまたは塩基対の数はまた、必要に応じて、所与の分子にユニークな同一性を割り当てるために使用される。本明細書に記載されるように、ユニークな同一性が割り当てられた核酸の一本鎖からの断片は、それにより、親鎖および/または相補鎖からの断片のその後の同定を可能にし得る。
iii.核酸増幅
【0121】
アダプタに隣接する試料核酸は、典型的には、増幅されるDNA分子に隣接するアダプタ中のプライマー結合部位に結合する核酸プライマーを使用するPCRおよび他の増幅方法によって増幅される。いくつかの実施形態において、増幅方法は、熱サイクリングから生じる伸長、変性およびアニーリングのサイクルを含むか、または例えば転写媒介増幅の場合のように等温であり得る。必要に応じて利用される他の例示的な増幅方法としては、他のアプローチの中でも、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、核酸配列に基づく増幅、および自立配列に基づく複製が挙げられる。
【0122】
従来の核酸増幅法を使用して試料インデックス/タグを核酸分子に導入するために1またはそれを超える増幅サイクルが一般に適用される。増幅は、典型的には、1またはそれを超える反応混合物中で行われる。いくつかの実施形態において、分子タグおよび試料インデックス/タグは、配列捕捉工程が実行される前および/または後に導入される。いくつかの実施形態において、プローブ捕捉の前に分子タグのみを導入し、配列捕捉工程が実施された後に試料インデックス/タグを導入する。特定の実施形態において、分子タグおよび試料インデックス/タグの両方は、プローブベースの捕捉工程を実行する前に導入される。いくつかの実施形態において、試料デックス/タグは、配列捕捉工程(すなわち、核酸の濃縮)が実施された後に導入される。典型的には、配列捕捉プロトコルは、標的化核酸配列、例えばゲノム領域のコード配列および癌型に関連するそのような領域の突然変異に相補的な一本鎖核酸分子を導入することを含む。典型的には、増幅反応は、約200ヌクレオチド(nt)~約700nt、250nt~約350nt、または約320nt~約550ntの範囲のサイズの分子タグおよび試料インデックス/タグを有する複数の非ユニークにまたはユニークにタグ付けされた核酸アンプリコンを作成する。いくつかの実施形態において、アンプリコンは約300ntのサイズを有する。いくつかの実施形態において、アンプリコンは約500ntのサイズを有する。
iv.核酸濃縮
【0123】
いくつかの実施形態において、配列は、核酸を配列決定する前に濃縮される。濃縮は、必要に応じて、特定の標的領域または非特異的に(「標的配列」)行われる。一例として、濃縮は、配列特異的ではなくむしろ配列フラグメントサイズ特異的であるサイズ選択方法に基づいて非特異的に実施され得る。いくつかの実施形態において、標的化された目的の領域は、差分タイリングおよび捕捉スキームを使用して、1またはそれを超えるベイトセットパネルのために選択された核酸捕捉プローブ(「ベイト」で濃縮され得る。差分タイリングおよび捕捉スキームは、一般に、異なる相対濃度のベイトセットを使用して、一連の制約(例えば、シーケンシング負荷、各ベイトの有用性などのシーケンサ制約)に従って、ベイトに関連するゲノムセクションにわたって差次的にタイリングし(例えば、異なる「解消」で)、下流配列決定のために所望のレベルで標的化核酸を捕捉する。目的のこれらの標的化ゲノムセクションは、必要に応じて、核酸コンストラクトの天然または合成ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、目的の1またはそれを超えるセクションに対するプローブを有するビオチン標識ビーズを使用して、標的配列を捕捉し、必要に応じてその後にそれらのセクションを増幅して、目的の領域を濃縮することができる。
【0124】
配列捕捉は、典型的には、標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブの使用を含む。特定の実施形態において、プローブセット戦略は、目的のセクションにわたってプローブをタイリングすることを含む。そのようなプローブは、例えば、約60~約120ヌクレオチド長であり得る。セットは、約2×、3×、4×、5×、6×、8×、9×、10×、15×、20×、50×またはそれを超える深度を有することができる。配列捕捉の有効性は、一般に、プローブの配列と相補的(またはほぼ相補的)である標的分子中の配列の長さに部分的に依存する。
b.核酸配列決定
【0125】
図1に示すように、工程101および102で試料からcfDNAを抽出および単離した後、工程103および104でcfDNAを配列決定することができる。事前増幅の有無にかかわらず、必要に応じてアダプタに隣接する試料核酸は、一般に配列決定の対象となる。必要に応じて利用される配列決定方法または市販のフォーマットとしては、例えば、サンガーシーケンシング、ハイスループットシーケンシング、バイサルファイトシーケンシング、パイロシーケンシング、合成によるシーケンシング、単一分子シーケンシング、ナノポアベースのシーケンシング、半導体シーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、RNA-Seq(Illumina)、デジタル遺伝子発現(Helicos)、次世代シーケンシング(NGS)、合成による単一分子シーケンシング(SMSS)(Helicos)、大規模並列シーケンシング、クローン単一分子アレイ(Solexa)、ショットガンシーケンシング、Ion Torrent、Oxford Nanopore、Roche Genia、プライマーウォーキング、PacBio、SOLiD、Ion Torrent、またはナノポアプラットフォームを使用したシーケンシングが挙げられる。配列決定反応は、複数のレーン、複数のチャネル、複数のウェル、または複数の試料セットを実質的に同時に処理する他の手段を含み得る様々な試料処理ユニットで実施することができる。試料処理ユニットはまた、複数のランの処理を同時に可能にするために複数の試料チャンバを含むことができる。
【0126】
配列決定反応を、癌または他の疾患のマーカーを含有することが知られている1またはそれを超える核酸断片タイプまたは断片に対して行うことができる。配列決定反応を、試料中に存在する任意の核酸断片に対して行うこともできる。配列決定反応は、ゲノムの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%または100%の配列カバレッジを提供し得る。他の場合では、ゲノムの配列カバレッジは、ゲノムの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%または100%未満であり得る。
【0127】
同時配列決定反応は、多重配列決定技術を使用して実施され得る。いくつかの実施形態において、無細胞ポリヌクレオチドは、少なくとも約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、50000、または100,000回の配列決定反応で配列決定される。他の実施形態において、無細胞ポリヌクレオチドは、約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、50000または100,000未満の配列決定反応で配列決定される。配列決定反応は、典型的には、順次または同時に行われる。その後のデータ分析は、一般に、配列決定反応の全部または一部に対して行われる。いくつかの実施形態において、データ解析は、少なくとも約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、50000、または100,000回の配列決定反応に対して行われる。他の実施形態において、データ解析は、約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、50000または100,000未満の配列決定反応に対して行われ得る。例示的なリード深度は、遺伝子座(塩基位置)当たり約1000~約50,000リードである。
【0128】
いくつかの実施形態において、核酸集団は、一方または両方の末端に一本鎖オーバーハングを有する二本鎖核酸上に平滑末端を酵素的に形成することによって配列決定のために調製される。これらの実施形態において、集団は、典型的には、ヌクレオチド(例えば、A、C、GおよびTまたはU)の存在下で5’-3’DNAポリメラーゼ活性および3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素で処置される。必要に応じて使用される例示的な酵素またはその触媒断片には、クレノウ大型断片およびT4ポリメラーゼが含まれる。5’オーバーハングでは、酵素は、典型的には、5’末端と同一平面になるまで対向する鎖上の陥凹した3’末端を伸長させて平滑末端を生成する。3’オーバーハングでは、酵素は一般に、3’末端から反対の鎖の5’末端まで、場合によってはそれを超えて消化する。この消化が対向する鎖の5’末端を超えて進行する場合、5’オーバーハングに使用されるのと同じポリメラーゼ活性を有する酵素によってギャップを埋めることができる。二本鎖核酸上の平滑末端の形成は、例えば、アダプタの結合およびその後の増幅を容易にする。
【0129】
いくつかの実施形態において、核酸集団は、一本鎖核酸の二本鎖への変換および/またはRNAのDNAへの変換などの追加のプロセッシングを受ける。これらの形態の核酸はまた、必要に応じてアダプタに連結され、増幅される。
【0130】
事前の増幅の有無にかかわらず、上記の平滑末端を形成するプロセスの対象となる核酸、および必要に応じて試料中の他の核酸を配列決定して、配列決定された核酸を生成することができる。配列決定された核酸は、核酸の配列(すなわち、配列情報)またはその配列が決定された核酸のいずれかを指すことができる。配列決定は、試料中の個々の核酸分子の増幅産物のコンセンサス配列から直接的または間接的に、試料中の個々の核酸分子の配列データを提供するように行うことができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、平滑末端形成後の試料中の一本鎖オーバーハングを有する二本鎖核酸は、両端でバーコードを含むアダプタに連結され、配列決定は、核酸配列ならびにアダプタによって導入されたインラインバーコードを決定する。平滑末端DNA分子は、必要に応じて、少なくとも部分的に二本鎖アダプタ(例えば、Y字形またはベル形のアダプタ)の平滑末端に連結される。あるいは、ライゲーション(例えば、粘着末端ライゲーション)を容易にするために、試料核酸およびアダプタの平滑末端を相補的ヌクレオチドでテーリングすることができる。
【0132】
核酸試料は、典型的には、同じ核酸の任意の2つのコピーが両端で連結されたアダプタからアダプタバーコードの同じ組み合わせを受け取る確率が低くなる(例えば、1%未満または0.1%)ように、十分な数のアダプタと接触される。この様式でのアダプタの使用は、参照核酸上の同じ開始点および停止点を有し、バーコードの同じ組み合わせに連結された核酸配列のファミリーの同定を可能にする。そのようなファミリーは、増幅前の試料中の鋳型/親核酸の増幅産物の配列を表す。ファミリーメンバーの配列は、平滑末端形成およびアダプタ結合によって修飾された、元の試料中の核酸分子のコンセンサスヌクレオチドまたは完全なコンセンサス配列を得るために編集することができる。換言すれば、試料中の核酸の特定の位置を占めるヌクレオチドは、ファミリーメンバー配列中のその対応する位置を占めるヌクレオチドのコンセンサスであると決定される。ファミリーは、二本鎖核酸の一方または両方の鎖の配列を含み得る。ファミリーのメンバーが二本鎖核酸由来の両鎖の配列を含む場合、コンセンサスヌクレオチドまたは配列を得るために全ての配列を編集する目的で、一方の鎖の配列がそれらの相補体に変換される。いくつかのファミリーは、単一のメンバー配列のみを含む。この場合、この配列を増幅前の試料中の核酸の配列とすることができる。あるいは、単一のメンバー配列のみを有するファミリーは、その後の分析から除外され得る。
【0133】
配列決定された核酸のヌクレオチド変異は、配列決定された核酸を参照配列と比較することによって決定することができる。参照配列は、多くの場合、既知の配列、例えば、対象由来の既知の全ゲノム配列または部分ゲノム配列(例えば、ヒト対象の全ゲノム配列)である。参照配列は、例えば、hG19またはhG38であり得る。配列決定された核酸は、上記のように、試料中の核酸について直接決定された配列、またはそのような核酸の増幅産物の配列のコンセンサスを表すことができる。比較は、参照配列上の1またはそれを超える指定された位置で行うことができる。それぞれの配列が最大限にアラインメントされたときの参照配列の指定された位置に対応する位置を含む配列決定された核酸のサブセットを同定することができる。そのようなサブセット内では、存在する場合、どの配列決定された核酸が、指定された位置にヌクレオチド変異を含むか、そのエンドポイント(すなわち、それは5’および3’末端ヌクレオチドである)が参照配列にマッピングされる場所に基づく所与のcfDNAフラグメントの長さ、cfDNA断片中のゲノム領域の中点からの所与のcfDNA断片の中点のオフセット、ならびに必要に応じて、どれが参照ヌクレオチド(すなわち、参照配列と同じ)を含むかを決定することができる。選択された閾値を超えるヌクレオチド変異体を含むサブセット中の配列決定された核酸の数があれば、指定された位置で変異体ヌクレオチドを呼び出すことができる。閾値は、単純な数、例えばヌクレオチド変異体を含むサブセット内の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、9もしくは10個の配列決定された核酸であり得るか、または他の可能性の中でもヌクレオチド変異体を含むサブセット内の少なくとも0.5、1、2、3、4、5、10、15もしくは20個の配列決定された核酸の比率であり得る。比較は、参照配列中の任意の指定された目的の位置について繰り返すことができる。時には、参照配列上の少なくとも約20、100、200または300個の連続した位置、例えば約20~500個または約50~300個の連続した位置を占める指定された位置について比較を行うことができる。
【0134】
本明細書に記載されるフォーマットおよび用途を含めて、核酸配列決定に関する更なる詳細もまた、例えば、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Levy et al.,Annual Review of Genomics and Human Genetics,17:95-115(2016)、Liu et al.,J.of Biomedicine and Biotechnology,Volume 2012,Article ID 251364:1-11(2012)、Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658(2009)、MacLean et al.,Nature Rev.Microbiol.,7:287-296(2009)、Astier et al.,J Am Chem Soc.,128(5):1705-10(2006)、米国特許第6,210,891号、米国特許第6,258,568号、米国特許第6,833,246号、米国特許第7,115,400号、米国特許第6,969,488号、米国特許第5,912,148号、米国特許第6,130,073号、米国特許第7,169,560号、米国特許第7,282,337号、米国特許第7,482,120号、米国特許第7,501,245号、米国特許第6,818,395号、米国特許第6,911,345号、米国特許第7,501,245号、米国特許第7,329,492号、米国特許第7,170,050号、米国特許第7,302,146号、米国特許第7,313,308号、および米国特許第7,476,503号において提供される。
i.シーケンシングパネルSequencing Panel
【0135】
目的のゲノム領域、および必要に応じて突然変異を示す腫瘍を検出する尤度を改善するために、配列決定されたDNAのセクションは、既知のゲノム領域を含む遺伝子またはゲノムセクションのパネルを含み得る。配列決定のための限定されたセクション(例えば、限定されたパネル)の選択は、必要とされる全配列決定(例えば、配列決定されたヌクレオチドの総量)を減少させることができる。シーケンシングパネルは、例えば、単一の癌、癌のセット、または全ての癌を検出するために、複数の異なる遺伝子または領域を標的とすることができる。あるいは、DNAは、シーケンシングパネルを使用せずに、全ゲノム配列決定(WGS)または他の不偏配列決定方法によって配列決定され得る。パネルに使用するのに適したパネルおよび標的の例は、2019年1月31日に出願された米国仮特許出願第62/799,637号に記載されたエピジェネティック標的に見出すことができ、その全体が参照により組み込まれる。
【0136】
いくつかの態様において、複数の異なる遺伝子またはゲノム領域(例えば、転写因子結合領域、遠位調節エレメント(DRE)、反復エレメント、イントロン-エクソン接合部、転写開始部位(TSS)など)を標的とするパネルは、癌を有する対象の決定された割合がパネル内の1またはそれを超える異なる遺伝子において遺伝的変異体または腫瘍マーカーを示すように選択される。パネルは、配列決定のための領域を固定数の塩基対に限定するように選択され得る。パネルは、所望の量のDNAを配列決定するように選択され得る。パネルは、所望の配列リード深度を達成するように更に選択され得る。パネルは、ある量の配列決定された塩基対について所望の配列リード深度または配列リードカバレッジを達成するように選択され得る。パネルは、試料中の1またはそれを超える遺伝的変異体を検出するための理論的感度、理論的特異性、および/または理論的精度を達成するように選択され得る。
【0137】
領域のパネルを検出するためのプローブは、目的のゲノム領域(ホットスポット領域)ならびにヌクレオソーム認識プローブ(例えば、KRASコドン12および13)を検出するためのプローブを含むことができ、ヌクレオソーム結合パターンおよびGC配列組成によって影響を受けるcfDNAカバレッジおよびフラグメントサイズ変動の分析に基づいて捕捉を最適化するように設計され得る。本明細書で使用される領域はまた、ヌクレオソーム位置およびGCモデルに基づいて最適化された非ホットスポット領域を含み得る。パネルは、起源組織(例えば、組織全体で最も多様な転写プロファイルを有する遺伝子を表す50~100ベイトを定義するための公開文献の使用(必ずしもプロモーターではない))を同定するためのサブパネル、全ゲノム骨格(例えば、超保存的ゲノム内容物を同定し、コピー数ベースライニング目的のための一握りのプローブを用いて染色体にわたってまばらにタイリングするため)、転写開始部位(TSS)/CpGアイランド(例えば、腫瘍抑制遺伝子(例えば、結腸直腸癌におけるSEPT9/VIM)のプロモーターにおける差次的メチル化領域(例えば、差次的にメチル化された領域(DMR))を捕捉するため)を含む複数のサブパネルを含むことができる。いくつかの実施形態において、起源の組織に対するマーカーは、組織特異的エピジェネティックマーカーである。
【0138】
目的のゲノム位置のリストのいくつかの例を表1および表2に見出すことができる。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の遺伝子の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または97個の少なくとも一部分を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全ての遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1のSNVの少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、または70個を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全てのSNVを含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1のCNVの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18個を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全てのCNVを含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の融合物の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または6個を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全ての融合物を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1のインデルの少なくとも1、少なくとも2、または3個の少なくとも一部分を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全てのインデルを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1の全ての遺伝子、SNV、CNV、融合物およびインデルを含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の遺伝子の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、または115個の少なくとも一部分を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全ての遺伝子を含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全ての遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2のSNVの少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、または73個を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全てのSNVを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全てのSNVを含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2のCNVの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18個を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全てのCNVを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全てのCNVを含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の融合物の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または6つを含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全ての融合物を含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全ての融合物を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法において使用されるゲノム位置は、表2のインデルの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18個の少なくとも一部分を含む。実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全てのインデルを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全てのインデルを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表2の全ての遺伝子、SNV、CNV、融合物およびインデルを含む。一実施形態において、本開示の方法で使用されるゲノム位置は、表1および表2の全ての遺伝子、SNV、CNV、融合物およびインデルを含む。これらの目的のゲノム位置のそれぞれは、所与のベイトセットパネルの主鎖領域またはホットスポット領域として同定され得る。
【表1】
表2
【表2-1】
【表2-2】
【0139】
いくつかの実施形態において、パネル内の1またはそれを超える領域は、手術後に残存癌を検出するための1またはそれを超える遺伝子からの1またはそれを超える遺伝子座を含む。この検出は、既存の癌検出方法よりも早く行うことができる。いくつかの実施形態において、パネル内の1またはそれを超えるゲノム位置は、高リスク患者集団において癌を検出するための1またはそれを超える遺伝子からの1またはそれを超える遺伝子座を含む。例えば、喫煙者は、一般集団よりも肺癌の割合がはるかに高い。さらに、喫煙者は、肺における不規則な結節の発生など、癌の検出をより困難にする他の肺症状を発症する可能性がある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、癌療法に対する患者(特に高リスク患者における)の応答を、癌検出の既存の方法で可能であるよりも早く検出する。
【0140】
ゲノム位置は、その遺伝子または領域に腫瘍マーカーを有する癌を有するいくつかの対象に基づいて、シーケンシングパネルに含めるために選択され得る。ゲノム位置は、癌およびその遺伝子に存在する腫瘍マーカーを有する対象の有病率に基づいて、シーケンシングパネルに含めるために選択され得る。ある領域における腫瘍マーカーの存在は、対象が癌を有することを示し得る。
【0141】
場合によっては、パネルは、1またはそれを超えるデータベースからの情報を使用して選択されてもよい。癌に関する情報は、癌腫瘍生検またはcfDNAアッセイに由来し得る。データベースは、配列決定された腫瘍試料の集団を記述する情報を含み得る。データベースは、腫瘍試料におけるmRNA発現に関する情報を含み得る。データベースは、腫瘍試料中の調節エレメントまたはゲノム領域に関する情報を含み得る。配列決定された腫瘍試料に関する情報は、様々な遺伝的変異体の頻度を含み得、遺伝的変異体が存在する遺伝子または領域を記載し得る。遺伝的変異体は腫瘍マーカーであり得る。そのようなデータベースの非限定的な例は、COSMICである。COSMICは、様々な癌に見られる体細胞性突然変異のカタログである。特定の癌について、COSMICは、突然変異の頻度に基づいて遺伝子をランク付けする。遺伝子は、所与の遺伝子内に高頻度の突然変異を有することによって、パネルに含めるために選択され得る。例えば、COSMICは、配列決定された乳癌試料の集団の33%がTP53に突然変異を有し、サンプリングされた乳癌の集団の22%がKRASに突然変異を有することを示す。APCを含む他のランク付けされた遺伝子は、配列決定された乳癌試料の集団の約4%にのみ見られる突然変異を有する。TP53およびKRASは、サンプリングされた乳癌の中で比較的高い頻度(例えば約4%の頻度で起こるAPCと比較して)を有することに基づいてシーケンシングパネルに含められ得る。COSMICが非限定的な例として提供されるが、癌を遺伝子または遺伝子領域に位置する腫瘍マーカーと関連付ける任意のデータベースまたは情報のセットを使用してもよい。別の例では、COSMICによって提供されるように、1156個の胆道癌試料のうち、380個の試料(33%)がTP53に突然変異を保有していた。APCなどのいくつかの他の遺伝子は、全試料の4~8%に突然変異を有する。したがって、胆管癌試料の集団における比較的高い頻度に基づいて、パネルに含めるためにTP53を選択してもよい。
【0142】
腫瘍マーカーの頻度が所与のバックグラウンド集団に見られるよりもサンプリングされた腫瘍組織または循環腫瘍DNAにおいて有意に大きいパネルについては、遺伝子またはゲノムセクションを選択してもよい。ゲノム位置の組み合わせは、癌を有する対象の少なくとも大多数が、パネル内のゲノム位置または遺伝子の少なくとも1つに存在する腫瘍マーカーまたはゲノム領域を有し得るように、パネルを含めるために選択され得る。ゲノム位置の組み合わせは、特定の癌または癌のセットについて、対象の大部分が1またはそれを超える選択された領域に1またはそれを超える腫瘍マーカーを有することを示すデータに基づいて選択され得る。例えば、癌1を検出するために、領域A、B、Cおよび/またはDを含むパネルは、癌1を有する対象の90%がパネルの領域A、B、Cおよび/またはDに腫瘍マーカーを有することを示すデータに基づいて選択され得る。あるいは、腫瘍マーカーは、組み合わせて、2またはそれを超える領域の腫瘍マーカーが癌を有する対象の集団の大部分に存在するように、癌を有する対象の2またはそれを超える領域で独立して生じることが示され得る。例えば、癌2を検出するために、領域X、YおよびZを含むパネルは、対象の90%が1またはそれを超える領域に腫瘍マーカーを有し、そのような対象の30%では腫瘍マーカーが領域Xでのみ検出され、腫瘍マーカーが、腫瘍マーカーが検出された対象の残りの部分については領域Yおよび/またはZでのみ検出されることを示すデータに基づいて選択され得る。1またはそれを超える癌に関連することが以前に示された1つまたはそれを超えるゲノム位置に存在する腫瘍マーカーは、腫瘍マーカーがそれらの領域の1またはそれを超える領域で50%またはそれを超える時間検出された場合、癌を有する対象を示すかまたは予測することができる。1またはそれを超える領域内の腫瘍マーカーのセットに対する癌頻度を考慮して癌を検出する条件付き確率を用いるモデルなどの計算アプローチを使用して、どの領域が単独でまたは組み合わせて癌を予測し得るかを予測することができる。パネル選択のための他のアプローチは、大きなパネルおよび/または全ゲノム配列決定(WGS、RNA-seq、Chip-seq、バイサルフェートシーケンシング、ATAC-seq等)による腫瘍の包括的ゲノムプロファイリングを用いる研究からの情報を記載するデータベースの使用を含む。文献から収集された情報はまた、特定の癌において一般的に罹患および変異した経路を記載し得る。パネル選択は、遺伝情報を記述するオントロジの使用によって更に通知され得る。
【0143】
配列決定のためのパネルに含まれる遺伝子は、完全に転写された領域、プロモーター領域、エンハンサー領域、調節エレメントおよび/または下流配列を含み得る。突然変異を示す腫瘍を検出する尤度を更に高めるために、エクソンのみをパネルに含めてもよい。パネルは、選択された遺伝子の全てのエクソン、または選択された遺伝子の1またはそれを超えるエクソンのみ含むことができる。パネルは、複数の異なる遺伝子の各々からのエクソンを含み得る。パネルは、複数の異なる遺伝子の各々からの少なくとも1つのエクソンを含み得る。
【0144】
いくつかの態様において、複数の異なる遺伝子の各々からのエクソンのパネルは、癌を有する対象の決定された割合がエクソンのパネル内の少なくとも1つのエクソンにおいて遺伝的変異体を示すように選択される。
【0145】
遺伝子のパネル内の各異なる遺伝子からの少なくとも1つの完全エクソンが配列決定され得る。配列決定されたパネルは、複数の遺伝子からのエクソンを含み得る。パネルは、2~100個の異なる遺伝子、2~70個の遺伝子、2~50個の遺伝子、2~30個の遺伝子、2~15個の遺伝子、または2~10個の遺伝子のエクソンを含み得る。
【0146】
選択されたパネルは、様々な数のエクソンを含み得る。パネルは、2個~3000個のエクソンを含み得る。パネルは、2個~1000個のエクソンを含み得る。パネルは、2個~500個のエクソンを含み得る。パネルは、2個~100個のエクソンを含み得る。パネルは、2個~50個のエクソンを含み得る。パネルは、300個以下のエクソンを含み得る。パネルは、200個以下のエクソンを含み得る。パネルは、100個以下のエクソンを含み得る。パネルは、50個以下のエクソンを含み得る。パネルは、40個以下のエクソンを含み得る。パネルは、30個以下のエクソンを含み得る。パネルは、25個以下のエクソンを含み得る。パネルは、20個以下のエクソンを含み得る。パネルは、15個以下のエクソンを含み得る。パネルは、10個以下のエクソンを含み得る。パネルは、9個以下のエクソンを含み得る。パネルは、8個以下のエクソンを含み得る。パネルは、7個以下のエクソンを含み得る。
【0147】
パネルは、複数の異なる遺伝子からの1またはそれを超えるエクソンを含み得る。パネルは、複数の異なる遺伝子の割合の各々からの1またはそれを超えるエクソンを含み得る。パネルは、異なる遺伝子の少なくとも25%、50%、75%または90%の各々からの少なくとも2つのエクソンを含み得る。パネルは、異なる遺伝子の少なくとも25%、50%、75%または90%のそれぞれからの少なくとも3つのエクソンを含み得る。パネルは、異なる遺伝子の少なくとも25%、50%、75%または90%のそれぞれからの少なくとも4つのエクソンを含み得る。
【0148】
シーケンシングパネルのサイズは変化し得る。シーケンシングパネルは、例えば、パネル内の特定の領域について配列決定されたヌクレオチドの総量または配列決定されたユニークな分子の数を含むいくつかの要因に応じて、(ヌクレオチドサイズに関して)より大きくまたはより小さくすることができる。シーケンシングパネルは、5kb~50kbのサイズであり得る。シーケンシングパネルは、10kb~30kbのサイズであり得る。シーケンシングパネルは、12kb~20kbのサイズであり得る。シーケンシングパネルは、12kb~60kbのサイズであり得る。シーケンシングパネルは、少なくとも10kb、12kb、15kb、20kb、25kb、30kb、35kb、40kb、45kb、50kb、60kb、70kb、80kb、90kb、100kb、110kb、120kb、130kb、140kbまたは150kbのサイズであり得る。シーケンシングパネルは、100kb、90kb、80kb、70kb、60kbまたは50kb未満のサイズであり得る。
【0149】
配列決定のために選択されたパネルは、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、40、50、60、80または100のゲノム位置(例えば、それぞれが目的のゲノム領域を含む)を含み得る。場合によっては、パネル内のゲノム位置は、位置のサイズが比較的小さいように選択される。場合によっては、パネル内の領域は、約10kbもしくはそれ未満、約8kbもしくはそれ未満、約6kbもしくはそれ未満、約5kbもしくはそれ未満、約4kbもしくはそれ未満、約3kbもしくはそれ未満、約2.5kbもしくはそれ未満、約2kbもしくはそれ未満、約1.5kbもしくはそれ未満、または約1kbもしくはそれ未満のサイズを有する。場合によっては、パネル内のゲノム位置は、約0.5kb~約10kb、約0.5kb~約6kb、約1kb~約11kb、約1kb~約15kb、約1kb~約20kb、約0.1kb~約10kb、または約0.2kb~約1kbのサイズを有する。例えば、パネル内の領域は、約0.1kb~約5kbのサイズを有することができる。
【0150】
本明細書で選択されるパネルは、低頻度の遺伝的変異体(例えば、試料から得られた無細胞核酸分子において)を検出するのに十分なディープシーケンシングを可能にすることができる。試料中の遺伝的変異体の量は、所与の遺伝的変異体の突然変異体対立遺伝子頻度に関して言及され得る。突然変異体対立遺伝子頻度は、突然変異対立遺伝子(例えば、最も一般的な対立遺伝子ではない)が試料などの核酸の所与の集団において生じる頻度を指し得る。突然変異体対立遺伝子頻度が低い遺伝的変異体は、試料中に存在する頻度が比較的低い可能性がある。場合によっては、パネルは、少なくとも0.0001%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%または0.5%の突然変異体対立遺伝子頻度での遺伝的変異体の検出を可能にする。パネルは、0.001%またはそれを超える突然変異体対立遺伝子頻度での遺伝的変異体の検出を可能にすることができる。パネルは、0.01%またはそれを超える突然変異体対立遺伝子頻度での遺伝的変異体の検出を可能にすることができる。パネルは、0.0001%、0.001%、0.005%、0.01%、0.025%、0.05%、0.075%、0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、または1.0%という低い頻度で試料中に存在する遺伝的変異体の検出を可能にすることができる。パネルは、少なくとも0.0001%、0.001%、0.005%、0.01%、0.025%、0.05%、0.075%、0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、または1.0%の頻度で試料中に存在する腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、1.0%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.75%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.5%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.25%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.1%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.075%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.05%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.025%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.01%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.005%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.001%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、0.0001%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーの検出を可能にすることができる。パネルは、配列決定されたcfDNA中の腫瘍マーカーを試料において1.0%~0.0001%という低い頻度で検出することを可能にすることができる。パネルは、配列決定されたcfDNA中の腫瘍マーカーを試料において0.01%~0.0001%という低い頻度で検出することを可能にすることができる。
【0151】
遺伝的変異体は、疾患(例えば、癌)を有する対象の集団のパーセンテージで示され得る。場合によっては、癌を有する集団の少なくとも1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%が、パネルの領域の少なくとも1つにおいて1またはそれを超える遺伝的変異体を示す。例えば、癌を有する集団の少なくとも80%は、パネル内のゲノム位置の少なくとも1つにおいて1またはそれを超える遺伝的変異体を示し得る。
【0152】
パネルは、1またはそれを超える遺伝子のそれぞれからの目的のゲノム領域を含む1またはそれを超える位置を含むことができる。場合によっては、パネルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50または80個の遺伝子のそれぞれからの目的のゲノム領域を含む1またはそれを超える位置を含み得る。場合によっては、パネルは、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50または80個の遺伝子のそれぞれからの目的のゲノム領域を含む1またはそれを超える位置を含み得る。場合によっては、パネルは、約1~約80個、1~約50個、約3~約40個、5~約30個、10~約20個の異なる遺伝子のそれぞれからの目的のゲノム領域を含む1またはそれを超える位置を含み得る。
【0153】
パネル内のゲノム領域を含む位置は、1またはそれを超えるエピジェネティック修飾領域が検出されるように選択することができる。1またはそれを超えるエピジェネティック修飾領域は、アセチル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化および/またはシトルリン化され得る。例えば、パネル内の領域は、1またはそれを超えるメチル化領域が検出されるように選択することができる。
【0154】
パネル内の領域は、それらが1またはそれを超える組織にわたって差次的に転写される配列を含むように選択することができる。場合によっては、ゲノム領域を含む位置は、他の組織と比較してより高いレベルで特定の組織において転写された配列を含み得る。例えば、ゲノム領域を含む位置は、特定の組織で転写されるが他の組織では転写されない配列を含み得る。
【0155】
パネル内のゲノム位置は、コード配列および/または非コード配列を含み得る。例えば、パネル内のゲノム位置は、エクソン、イントロン、プロモーター、3’非翻訳領域、5’非翻訳領域、調節エレメント、転写開始部位、および/またはスプライス部位に1またはそれを超える配列を含み得る。場合によっては、パネル内の領域は、偽遺伝子、反復配列、トランスポゾン、ウイルスエレメントおよびテロメアを含む他の非コード配列を含み得る。場合によっては、パネル内のゲノム位置は、非コードRNA、例えばリボソームRNA、トランスファーRNA、Piwi相互作用RNA、およびマイクロRNA中の配列を含み得る。
【0156】
パネル内のゲノム位置は、所望のレベルの感度(例えば、1またはそれを超える遺伝的変異体の検出を介して、)で癌を検出(診断)するように選択することができる。例えば、パネル内の領域は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の感度で癌(例えば、1またはそれを超える遺伝的変異体の検出を介して)を検出するように選択することができる。パネル内のゲノム位置は、100%の感度で癌を検出するように選択することができる。
【0157】
パネル内のゲノム位置は、所望のレベルの特異性(例えば、1またはそれを超える遺伝的変異体の検出を介して)で癌を検出(診断)するように選択することができる。例えば、パネル内のゲノム位置は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の特異性で(例えば、1またはそれを超える遺伝的変異体の検出を介して)癌を検出するように選択することができる。パネル内のゲノム位置は、100%の特異性で1またはそれを超える遺伝的変異体を検出するように選択することができる。
【0158】
パネル内のゲノム位置は、所望の陽性予測値を有する癌を検出(診断)するように選択することができる。陽性予測値は、感度(例えば、実際の陽性が検出される可能性)および/または特異度(例えば、実際の負を正と間違えない可能性)を増加させることによって増加させることができる。非限定的な例として、パネル内のゲノム位置は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の陽性予測値で1またはそれを超える遺伝的変異体を検出するように選択することができる。パネル内の領域は、100%の陽性予測値で1またはそれを超える遺伝的変異体を検出するように選択することができる。
【0159】
パネル内のゲノム位置は、所望の精度で癌を検出(診断)するように選択することができる。本明細書で使用される場合、「精度」という用語は、疾患症状(例えば、癌)と健康症状とを識別する試験の能力を指し得る。精度は、感度および特異度、予測値、尤度比、ROC曲線下面積、ヨーデンの指標および/または診断オッズ比などの尺度を使用して定量化してもよい。
【0160】
精度は、正しい結果を与える試験の数と実施された試験の総数との間の比を指すパーセンテージとして提示され得る。パネル内の領域は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の精度で癌を検出するように選択することができる。パネル内のゲノム位置は、癌を100%の精度で検出するように選択することができる。
【0161】
パネルは、高感度であり、低頻度の遺伝的変異体を検出するように選択され得る。例えば、パネルは、0.01%、0.05%または0.001%という低い頻度で試料中に存在する遺伝的変異体または腫瘍マーカーが、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の感度で検出され得るように選択され得る。パネル内のゲノム位置は、試料中に1%またはそれ未満の頻度で存在する腫瘍マーカーを70%またはそれを超える感度で検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の感度で、試料中0.1%という低い頻度の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の感度で、試料中0.01%という低い頻度の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の感度で、試料中0.001%という低い頻度の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。
【0162】
パネルは、高度に特異的であり、低頻度の遺伝的変異体を検出するように選択され得る。例えば、パネルは、0.01%、0.05%または0.001%という低い頻度で試料中に存在する遺伝的変異体または腫瘍マーカーが、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の特異性で検出され得るように選択され得る。パネル内のゲノム位置は、試料中に1%またはそれ未満頻度で存在する腫瘍マーカーを70%またはそれを超える特異性で検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.1%、99.5%、または99.9%の特異性で、99%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.01%、99.5%、または99.9%の特異性で、99%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.001%、99.5%、または99.9%の特異性で、99%という低い頻度で試料中の腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。
【0163】
パネルは、高精度であり、低頻度の遺伝的変異体を検出するように選択され得る。パネルは、0.01%、0.05%、または0.001%という低い頻度で試料中に存在する遺伝的変異体または腫瘍マーカーが、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の精度で検出され得るように選択され得る。パネル内のゲノム位置は、試料中に1%またはそれ未満の頻度で存在する腫瘍マーカーを70%またはそれを超える精度で検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.1%、99.5%、または99.9%の精度で、試料中の99%という低い頻度で腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.01%、99.5%、または99.9%の精度で、試料中の99%という低い頻度で腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。パネルは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、0.001%、99.5%、または99.9%の精度で、試料中の99%という低い頻度で腫瘍マーカーを検出するように選択され得る。
【0164】
パネルは、高度に予測的であり、低頻度の遺伝的変異体を検出するように選択され得る。パネルは、0.01%、0.05%、または0.001%という低い頻度で試料中に存在する遺伝的変異体または腫瘍マーカーが、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の陽性予測値を有し得るように選択され得る。
【0165】
試料内により多くの核酸分子を捕捉するために、パネルで使用されるプローブまたはベイトの濃度を増加させてもよい(2~6ng/μL)。パネルに使用されるプローブまたはベイトの濃度は、少なくとも2ng/μL、3ng/μL、4ng/μL、5ng/μL、6ng/μLまたはそれを超えてもよい。プローブの濃度は、約2ng/μL~約3ng/μL、約2ng/μL~約4ng/μL、約2ng/μL~約5ng/μL、約2ng/μL~約6ng/μLであり得る。パネルに使用されるプローブまたはベイトの濃度は、2ng/μLまたはそれを超え、6ng/μLまたはそれ未満であり得る。場合によっては、これにより、生物学的内のより多くの分子を分析することが可能になり、それにより、より低い頻度の対立遺伝子を検出することが可能になり得る。
【0166】
一実施形態において、配列決定後、配列リードに品質スコアを割り当ててもよい。品質スコアは、それらの配列リードが閾値に基づくその後の分析において有用であり得るかどうかを示す配列リードの表現であり得る。場合によっては、いくつかの配列リードは、後続のマッピング工程を実施するのに十分な品質または長さではない。少なくとも90%、95%、99%、99.9%、99.99%または99.999%の品質スコアを有する配列リードは、配列リードのデータセットから除外され得る。他の場合には、少なくとも90%、95%、99%、99.9%、99.99%または99.999%の品質スコアが割り当てられた配列リードは、データセットから除外され得る。特定の品質スコア閾値を満たす配列リードは、参照ゲノムにマッピングされ得る。マッピングアライメントの後、配列リードにマッピングスコアを割り当てもよい。マッピングスコアは、各位置がユニークにマッピング可能であるか否かを示す、参照配列にマッピングして戻された配列リードの表現であり得る。少なくとも90%、95%、99%、99.9%、99.99%または99.999%のマッピングスコアを有する配列リードは、データセットから除外され得る。他の場合では、90%、95%、99%、99.9%、99.99%または99.999%未満のマッピングスコアが割り当てられた配列決定リードは、データセットから除外され得る。
c.MAF決定
【0167】
図1に示すように、工程103および/または104での試料のcfDNA配列決定の後、工程105および/または106で1またはそれを超える突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定してもよい。一部または全部のMAF決定は、変異体分類107/108の前、変異体分類107/108の後、変異体分類107/108の間、変異体フィルタリング109の前、変異体フィルタリング109の後、変異体フィルタリング109の間、またはそれらの組み合わせで行われ得る。工程103の前に、cfDNAを末端修復し、分子バーコードを含むアダプタと連結し、増幅し、濃縮することができる。増幅は、試料インデックスを組み込むことができる。実施形態において、MAF値は、全ての変異体または全ての体細胞性変異体について決定され得る。実施形態において、MAF値は、全ての変異体未満または全ての体細胞性変異体未満について決定され得る。変異体対立遺伝子割合(VAF)は、本明細書ではMAFと互換的に使用される。突然変異対立遺伝子割合(MAF)は、突然変異分子の数を特定のゲノム位置における分子の総数(例えば、分子カバレッジ)で割ったものを表す:
【数1】
最大MAFは、所与の試料中に存在するまたは観察される全ての体細胞性変異体の最大または最も大きいMAFとして決定され得る。いくつかの実施形態において、最大MAFは所与の試料の腫瘍割合と見なすことができる。
【0168】
2倍体遺伝子の最大割合(「max frac_diploid」)(最小対立遺伝子不均衡)を決定することができる。2倍体遺伝子の割合(「frac_diploid」)は、コピー数によって決定される試料にわたる対立遺伝子不均衡のレベルの尺度である。高レベルの対立遺伝子不均衡を有する試料は、生殖系列/体細胞性の誤分類を起こしやすい。したがって、低レベルの対立遺伝子不均衡(または高frac_diploid)は、体細胞性分類コールの信頼性の指標である。
【0169】
一実施形態において、総カバレッジプロファイルは、個々の遺伝子ではなく、倍数変化、したがって腫瘍割合を捕捉するために使用され得る。
d.変異体分類
【0170】
工程103および104における配列決定は、複数の配列リードを作成する。工程107および/または108において、複数の配列リードを分析して、1またはそれを超える変異体を決定し、1またはそれを超える変異体を分類することができる。実施形態において、一部または全部の変異体分類は、MAF決定105/106前、MAF決定105/106後、MAF決定105/106中、またはそれらの組み合わせにおいて決定され得る。変異体は、例えば、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、インデル、融合物、およびコピー数変異体を含み得る。変異体コーリングのための任意の既知の技術が使用され得る。実施形態において、試料からの複数の配列リードは、参照ゲノムに対するゲノム位置にアセンブルおよび/またはマッピングおよびアラインメントされ得る。いくつかの実施形態において、複数の配列リード(アセンブルされたものまたはそうでないもの)は、その後、対象の複数の配列リードが参照ゲノムの配列リードとどのように異なるかを決定するために参照ゲノムと比較され得る。そのようなプロセスは、複数の配列リードにおける1またはそれを超える変異体の存在を決定し得る。いくつかの実施形態において、複数の配列リードから得られる核酸分子の分子バーコードおよび/または開始ゲノム位置および停止ゲノム位置を使用して、その分子に属する配列リードが参照ゲノムと異なる突然変異分子を同定することができる。そのようなプロセスは、複数の配列リードにおける1またはそれを超える変異体の存在を決定し得る。
【0171】
一実施形態において、共通のヘテロ接合SNPを使用して、局所的な生殖系列対立遺伝子の数の挙動をモデル化し、観察された生殖系列突然変異対立遺伝子割合から有意に逸脱する場合に体細胞性変異体(variants somatic)と呼ぶ場合がある。共通のSNPにおける突然変異対立遺伝子数の平均および分散の両方をモデル化するため、ベータに項モデルを使用することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2018/052087に記載されているベータ二項モデルを使用することができる。これは、分子カウントの分散を適切に表すことができないため、固定MAFカットオフまたはポアソンモデルのようなより単純な方法に対する改善である。
e.変異体フィルタリング
【0172】
一実施形態において、図1に示されるように、さらなる解析から配列リードを除外するために、1またはそれを超えるフィルタリングプロセスが工程109において配列リードに適用され得る。一実施形態において、一部または全部のフィルタリングが、MAF決定105/106前、MAF決定105/106後、MAF決定105/106中、変異体分類107/108前、変異体分類107/108後、変異体分類107/108中、またはそれらの組み合わせに適用され得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、第1および/または第2の時点で約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、または0.9%未満のMAFを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を、さらなる分析からされ得る。いくつかの実施形態において、第1および/または第2の時点で5、10、15、20、25または30個未満の突然変異分子カウントを有する1またはそれを超える体細胞性変異体は、さらなる分析から除外され得る。いくつかの実施形態において、第1および/または第2の時点で50、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000未満のカバレッジを有する1またはそれを超える体細胞性変異体は、さらなる分析から除外され得る。
【0174】
実施形態において、コピー数変異体は、さらなる解析から配列リードを除外するために使用され得る。コピー数増幅は、当技術分野で公知のように決定され得る。工程109において、方法100は、不十分なプローブカバレッジまたは不十分なコピー数(例えば、95%の検出限界を下回る)のいずれかを有する遺伝子におけるコピー数増幅を除外してもよい。
【0175】
例として、CNVは、配列リードを分析してカバレッジの染色体領域を作成することによって決定され得る。染色体領域は、可変長ウィンドウまたはビンに分割され得る。読み出しカバレッジは、ウィンドウ/ビン領域ごとに決定され得る。一実施形態において、配列決定リードカバレッジに関する定量的尺度は、遺伝子座(例えば、参照ゲノムからの特定の位置、塩基、領域、遺伝子または染色体)に対応するDNA分子に由来するリードの数を示す尺度である。リードを遺伝子座に関連付けるために、リードを参照にマッピングまたはアラインメントすることができる。マッピングまたはアラインメント(例えば、Bowtie、BWA、mrsFAST、BLAST、BLAT)を行うためのソフトウェアは、配列決定リードを遺伝子座と関連付けることができる。配列リードカバレッジが決定された後、確率的モデリングアルゴリズムを適用して、各ウィンドウ/ビン領域に対する正規化された核酸配列リードカバレッジを離散コピー数の状況に変換することができる。場合によっては、このアルゴリズムは、1またはそれを超える隠れマルコフモデル、動的プログラミング、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、トレリス復号、ビタビ復号、期待値最大化、カルマンフィルタリング方法論、およびニューラルネットワークを含み得る。各ウィンドウ領域の個別のコピー数の状況を利用して、染色体領域におけるコピー数多型を同定することができる。場合によっては、同じコピー数を有する全ての隣接するウィンドウ/ビン領域をセグメントにマージして、コピー数多型の状況の有無を報告することができる。場合によっては、様々なウィンドウ/ビンは、他のセグメントとマージされる前にフィルタリングすることができる。コピー数多型は、無細胞ポリヌクレオチド試料中にどの程度の疾患物質(またはコピー数多型を有する核酸)が存在するかを示すパーセンテージスコアを報告するために使用され得る。
【0176】
一実施形態において、1またはそれを超える遺伝子におけるCNVの存在を使用して、変異体をさらなる分析から除外してもよい。例として、TまたはTの試料のいずれかにおいて遺伝子特異的95%検出限界(LoD)以上のコピー数を有するLDT報告可能遺伝子の閾値数を有する変異体。閾値は、約10~約30であってもよい。閾値は、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25などであってもよい。一実施形態において、閾値は19であってもよい。
【0177】
コピー数多型、所与の変異体の倍数変化を示し得る。ガウスモデルを使用して、時間Tと時間Tとの間の倍数変化の比を決定することができ、これを分子応答スコアの推定値として使用してもよい。
【0178】
実施形態において、対象が体細胞性変異体を有しない場合、または変異体フィルタリングプロセスの基準を満たす変異体を有しない場合、対象は評価不能として分類され得る。実施形態において、評価不能と分類された対象は、分子応答者として更に分類され得る。実施形態において、時間Tおよび時間Tの両方で低いctDNAを有する対象は、評価不能として分類され、更に分子応答者として分類され得る。実施形態において、時間Tおよび時間Tの両方で低いMAFを有する対象は、評価不能として分類され、更に分子応答者として分類され得る。実施形態において、時間Tおよび時間Tの両方で低い腫瘍割合を有する対象は、評価不能として分類され、更に分子応答者として分類され得る。低MAFまたは低腫瘍割合は、検出限界を下回る(例えば、95%の検出限界を下回る)または定量限界を下回るのMAFまたは腫瘍割合を指し得る。低を構成するものはパネル設計に依存し得るが、例えば、MAF f 0.1、0.2、または0.3%は低と見なされ得る。
i.生殖系列フィルタ
【0179】
図2に示される実施形態において、生殖系列フィルタ200が配列リードに適用され得る。図2に示されたいくつかの(例えば、全てより少ない)または全ての工程は、任意の組み合わせおよび任意の順序で実施されてもよい。対象の処置の過程にわたって収集された試料(例えば、時間Tおよび時間Tに収集された試料)は、異なるレベルの腫瘍脱落および対立遺伝子不均衡を有し得、これは、工程107/108での変異体分類が、同じ対象の同じ変異体に対して異なる体細胞性分類を割り当てる傾向があり得ることを意味する。分子応答の目的は、処置の過程にわたって体細胞性変異体を追跡することであるため、変異体を再分類することによって生殖系列変異体を考慮すべきものから適切に除去するために、分類の不一致を自動的に解消し得る。例えば、変異体は、時間Tにおいて体細胞性および時間Tにおいて生殖系列として分類され得る。例えば、変異体は、時間Tにおいて生殖系列および時間Tにおいて体細胞性として分類され得る。例えば、変異体は、時間Tで生殖系列として分類され、時間Tでは分類されない場合がある。例えば、変異体は、時間Tで体細胞性として分類され、時間Tでは分類されない場合がある。生殖系列フィルタ200は、そのような不一致を解消し、変異体分類を再割り当てするように構成される。
【0180】
図2に示されるように、工程201において、配列リードにおける少なくとも1つの変異体について、その変異体が腫瘍抑制遺伝子(TSG)における有害な変異体(例えば、フレームシフト突然変異またはナンセンス突然変異)であるかどうかに関する判定が行われ得る。例えば、変異体を、既知のTSGのデータベースと比較してもよい。変異体がTSGの有害な変異体である場合、工程107/108(例えば、分類は生殖系列から体細胞性に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は体細胞性として分類され得る。
【0181】
変異体がTSGの有害な変異体でない場合、生殖系列フィルタ200は、工程202で、試料中に存在する変異体の最大MAFおよび試料中の少なくとも1つの変異体に対する二倍体遺伝子の最大割合を決定し得る。工程203において、変異体についての二倍体遺伝子の最大割合(少なくとも2つの時点のうちの一方における)が、変異体が体細胞性であり、変異体についてのMAF(少なくとも2つの時点のうちの一方における)が最大MAFを増加させないことを示す場合、工程107/108(例えば、分類は生殖系列から体細胞性に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は体細胞性として分類され得る。工程203において、変異体についての二倍体遺伝子の最大割合(少なくとも2つの時点のうちの一方における)が、変異体が生殖系列であり、変異体についてのMAF(少なくとも2つの時点のうちの一方における)が最大MAFを増加させるであろうことを示す場合、工程107/108(例えば、分類は体細胞性から生殖系列に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は生殖系列として分類され得る。
【0182】
工程203において、変異体に対する二倍体遺伝子の最大割合が、変異体が体細胞性であり、変異体に対するMAFが最大MAFを増加させることを示す場合、-または-変異体に対する2倍体遺伝子の最大割合が、変異体が生殖系列であり、変異体に対するMAFが最大MAFを増加させないことを示す場合、生殖系列フィルタ200は、工程204において、変異体が(少なくとも2つの時点のうちの一方において)閾値パーセンテージ未満で別の患者試料中において体細胞性として分類されるかどうかを判定し得る。閾値パーセンテージは、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、または9%であり得る。変異体が閾値パーセンテージ未満で別の患者試料中の体細胞として分類される場合、工程107/108(例えば、分類は生殖系列から体細胞性に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は体細胞性として分類され得る。
【0183】
工程204において、変異体が5%未満で別の患者試料中において体細胞性として分類されない場合、生殖系列フィルタ200は、工程205において、(少なくとも2つの時点のうちの一方における)変異体のMAFが試料中の別のMAFよりも大きいかどうかを決定し得る。例えば、生殖系列フィルタ200は、変異体に対するMAFが同じ試料中の1またはそれを超える他のMAFよりも少なくとも約2倍大きいか、3倍大きいか、4倍大きいか、5倍大きいか、6倍大きいか、7倍大きいか、8倍大きいか、9倍大きいか、または少なくとも10倍大きいかを決定し得る。試料中の1またはそれを超える他のMAFは、例えば、試料中の最大MAFの次に高い体細胞性MAFであり得る。変異体に対するMAFが試料中の別のMAFよりも大きい場合、工程107/108(例えば、分類は体細胞性から生殖系列に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は生殖系列として分類され得る。
【0184】
生殖系列フィルタ200は、工程205において、(少なくとも2つの時点のうちの一方における)変異体に対するMAFが別の試料中の別のMAFよりも大きいかどうかを決定し得る。例えば、生殖系列フィルタ200は、変異体に対するMAFが別の試料中の1またはそれを超える他のMAFよりも少なくとも約2倍大きいか、3倍大きいか、4倍大きいか、5倍大きいか、6倍大きいか、7倍大きいか、8倍大きいか、9倍大きいか、または少なくとも10倍大きいかを決定し得る。別の試料中の1またはそれを超える他のMAFは、例えば、他の試料の最大MAFであり得る。変異体に対するMAFが別の試料中の別のMAFよりも大きい場合、工程107/108(例えば、分類は体細胞性から生殖系列に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体は生殖系列として分類され得る。
【0185】
工程205において、変異体に対するMAFが試料中の別のMAFよりも大きくなく、別の試料中の別のMAFよりも大きくない場合、生殖系列フィルタ200は、工程107/108(例えば、分類は体細胞性から生殖系列に変更されるであろう)での分類結果にかかわらず、変異体を生殖系列として分類し得る。
【0186】
生殖系列として分類されたこれらの変異体は、例えば、MAF決定および/またはMRスコアリングを含むさらなる分析から除外され得る。いくつかの実施形態において、変異体は、それらの変異体が少なくとも1つの患者試料においてCHIPとして分類される場合、CHIP変異体として分類される。
ii.CHIPフィルタ
【0187】
cfDNAは、腫瘍、血球などを含む任意の細胞型由来のcfDNAの凝集体を含み得る。未確定の潜在的なクローン造血突然変異(CHIP)がcfDNAに存在することさえあり得る。CHIPフィルタリングのための一般的なアプローチは、大規模な公的または内部コホート研究によってキュレートされた再発性CHIP遺伝子またはホットスポットを活用する。しかしながら、これらのアプローチは、血漿のみのアプローチにおいてランダムなCHIP突然変異を同定する際の課題に対処しない。残りの濾過されていないCHIP変異体は、割合変化を1(不変)にバイアスし、したがって不正確なその後の分子応答予測をもたらす。プライベートCHIP変異体(例えば、CHIPであるが、これまで文書化されていないか、または既知のCHIP変異体の以前のデータベースではあまり文書化されていない変異体)をフィルタリングするために、2つの時点間の突然変異測定を使用して、同様の割合変化の変異体をクラスタリングすることができる。患者が処置を受けるとき、進行または応答は、わずかな体細胞性突然変異をもたらすが、CHIP変異体は安定なままである。突然変異をクローンにクラスタリングすることにより、ランダムなCHIP変異体は、既知のCHIPリストが濃縮されたクローンまたは安定した割合差を有するクローンに見出すことができる。
【0188】
したがって、本明細書で提供されるのは、2つの時点(TおよびT)の間の観察を活用して、異なる割合変化を有するクローンのゲノム突然変異をクラスタリングするCHIPフィルタリングの改善である。CHIPフィルタリングは、クローン負荷変化%を推定するために、イベントをクローンにグループ化/クラスター化することができる。クラスタリング手順は、各単一事象から開始し、次いで、新規クラスタリングヒューリスティックを利用してマージすることができる。全ての事象を使用してクローン負荷変化%が決定されると、変異体の組成およびクローン負荷変化%に基づいて各クローンを検査して、変異体がCHIPクローンであるかどうかを決定することができる。
【0189】
一実施形態において、ゲノム突然変異/変異体は、ヒューリスティックな新規凝集型階層的クラスタリングを利用してクラスタリングされる。ヒューリスティックは、カスタム非類似性メトリックを介して突然変異/変異体とクラスターとの間の統計的非類似性を定量化する。最小(またはメトリックに応じて最大)許容相違度閾値が満たされるまで凝集を継続する調整可能な停止規則が利用される。一実施形態において、カスタム非類似度メトリックは、バタチャリヤ距離の修正であり、その結果、クラスタリングヒューリスティックの所与の工程でマージされることが検討されている突然変異/変異体および/またはクラスターのスケール化された尤度の積(平方根を受けていない)に関して数値積分が実施される。尤度は、積分のサポートよりも1に数値的に積分するようにスケーリングされる。SNVおよびインデルの場合、尤度は、クラスター化されている変異体のMAF決定を知らせる観測されたカウントデータのベータ二項モデル近似に関して計算される。ベータ二項モデルの分散は、調整可能なパラメータを介して設定される。CNVの場合、尤度は、目的の突然変異の観測された倍数変化推定値のガウスモデル近似に関して計算され、ガウスモデルの変動性も調整可能なパラメータを介して設定される。突然変異の凝集は、場合によっては、停止規則が満たされるまで突然変異の第1のセットがクラスター化され、次いで突然変異の第2のセットが導入され、さらなる凝集工程がおそらく同じ非類似性メトリックおよび停止規則に従って実施される段階的アプローチを介してクラスター化が実行されるように、新規な様式で行われる。状況によっては、突然変異の第3のセットは、突然変異の第2のセットへのクラスタリングヒューリスティックの適用後に同様の方法で導入される。
【0190】
図3に示される実施形態において、CHIPフィルタ300は、工程301において、試料中の各突然変異/変異体についてスケーリングされた尤度関数
【数2】
を推定することができ、ここで、i=1、...、Imvは所与の試料についての2つの時点にわたって観察された各ユニークな適格突然変異/変異体についての指数であり、合計でImvの適格突然変異/変異体が観察されると仮定する。提示を容易にするために、本発明者らは、i番目の突然変異/変異体についての時点1で観察された突然変異/変異体カウント数を
【数3】
として、およびゲノム位置および時点1でのカウント総数を
【数4】
として示す。同様に、時点2を除いて、
【数5】
および
【数6】
を定義する。
【数7】
および
【数8】
を真の突然変異/変異体対立遺伝子割合としてそれぞれ時点1および2と定義する。ヒューリスティックは、
【数9】
を推定し、次いで、同一であるともっともらしいと考えることができる値で突然変異/変異体を一緒にクラスタリングするように設計されている。ヒューリスティックの一実施形態は以下の通りである:
【表5】
【0191】
【数10】
は、以下のように決定され得る:
【数11】
(式中、
【数12】
および
【数13】
および
【数14】
は、候補
【数15】
値の支持体全体の数値積分
【数16】
が1に等しくなるように計算される。この例示的な実施形態は、データが二項モデルに対して過度に分散されておらず、ベータ二項モデルのより一般的なクラスの特殊なケースに対応すると仮定する。
【0192】
近似信頼区間は、
【数17】
のスケール化された尤度が、
【数18】
値に対して不適切な事前分布を仮定する
【数19】
の近似事後密度推定値であると見なされる手法のような最高密度区間を介することを含む様々な方法で
【数20】
について計算することができる。
【0193】
工程302において、突然変異/変異体のセットは、
【数21】
に従ってペアワイズ凝集され得る。全ての可能なペアリング
【数22】
について、
【数23】
および
【数24】
の間の非類似度、
【数25】
は、修正Bhattacharyya距離を使用して計算される。
【数26】
の値が大きいほど、突然変異対
【数27】
が同じ基礎となる割合変化分布からの実現である可能性が高いことを示す。したがって、
【数28】
の最大値を有する突然変異/変異体のペアは、単一のクローンにマージされ得、そのクローンについての
【数29】
は更新され得る。ペアワイズ凝集は、停止基準が満たされるまで、または全ての突然変異/変異体が単一クローンに凝集するまで継続し得る。閾値は、約0.0005~0.005の範囲の値であってもよく、および/またはそれを含んでもよい。
【0194】
工程303では、クローンの数および時点間の関連する割合変化を信頼区間と共に報告することができる。所定の閾値またはそれを上回る第1の時点と第2の時点との間の割合変化を有するクローンを同定することができる。複数のクローンが同定された場合、1に近い割合変化を有するクローンおよび/または特異的な既知のCHIP変異体を有するクローンは、潜在的なCHIP変異体として分類され得る。CHIP変異体は、さらなる分析から除外され得る。いくつかの実施形態において、変異体は、それらの変異体が少なくとも1つの患者試料においてCHIPとして分類される場合、CHIP変異体として分類され得る。
【0195】
図4は、CHIPフィルタ300の適用例を示す。図4は、凝集手順の一例に相当する。この例では、3つの適格な突然変異が同定されている。図4の最も左側のパネルは、R(x軸)の支持体上の各突然変異(y軸)のスケーリングされた尤度関数を表示する。各突然変異に対するスケーリングされた尤度関数の第一尤度(線403)に対応する突然変異が既知のCHIP突然変異であると仮定する。最も類似性の高い左パネルの突然変異には星印が付けられている。中央のパネルは、左側のパネルのクローンのスケーリングされた尤度関数の第1の尤度(線403)および第2の尤度(線401)のマージから得られた凝集尤度を表示する。左パネルからの各クローンのスケーリングされた尤度関数の第3の尤度(線402)は、凝集によって変化しない尤度関数を有する。右パネルは、最終的なクローン性を表示する。第2の尤度(線401)クローンの組成は50%CHIPであるため、第2の尤度(線401)クローンは推定的CHIPとして同定され得る。これは、Rの最終値が第3の尤度(線402)クローンによってのみ定義されることをもたらす。
【0196】
実施形態において、図5に示すのは、いくつかの実施形態による、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する例示的な方法工程を概略的に示すフローチャートである。示されるように、方法500は、腫瘍負荷変化のセットを生成するために、第1および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、複数の変異体のそれぞれについて腫瘍割合変化P(R)に対する腫瘍負荷変化(R)を決定することを含む(工程501)。さらに、方法500はまた、腫瘍負荷変化のセットからの1またはそれを超えるクローン造血性変異体に対応する1またはそれを超える耐性シグネチャを同定することを含む(工程502)。
f.MRスコア
【0197】
図1に戻ると、方法100は、工程110においてMRスコアを決定することに進み得る。一実施形態において、MRスコアは、工程109での変異体フィルタリング後に残っている体細胞性変異体に関連するMAF値を使用して決定され得る。実施形態において、全ての体細胞性変異体のMAF値が使用され得る。実施形態において、全ての体細胞性変異体よりも少ないMAF値が使用され得る。工程105/106に記載されるように、MAFは、複数の体細胞性変異体における体細胞性変異体についての第1および第2のMAFのセットを生成するために、T(例えば、処置前)およびT(例えば、処置中)において対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列リードから複数の体細胞性変異体について決定され得る。MRスコアは、割合またはパーセンテージとして表すことができる。図6Aに示すように、方法600に従ってMRスコアを決定してもよい。方法600は、工程601において、MAF比のセットおよびMAF比のセットにおけるMAF比についての対応する標準偏差を生成するために、複数の体細胞性変異体における体細胞性変異体についての第1のMAFおよび第2のMAFの比を決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、標準偏差は、MRスコアを報告するための基準として利用することができる。例えば、少なくとも1つの変異体の個々の標準偏差に基づくMRスコアの標準偏差を使用して、試料評価性の信頼区間およびその後のカットオフを決定することができる。いくつかの実施形態において、カットオフは、少なくとも0.1、0.15、0.2、0.3、0.4または0.5であり得る。工程602において、対象について、以下の式を使用してMAF比の加重平均が決定され得る:
【数30】
(式中、重みは、複数の体細胞性変異体中の所与の体細胞性変異体について1/範囲^2であり、範囲は、複数の体細胞性変異体中の所与の体細胞性変異体についての第1および第2のMAFの値の差であり、比は、MAF比のセット内の所与のMAF比である)。信頼区間は、以下の式を使用して決定され得る:
【数31】
(式中、比分散は
【数32】
である)。
【0198】
一実施形態において、MRスコアとしてのMAF比の加重平均に加えて、またはこれに代えて、MAF比に基づいて変異体をクラスター化し、クラスターの総MAF比を計算し、次いで単一の選択されたクラスター比またはクラスター比の加重平均のいずれかをMRスコアとして使用する方法が開示される。クラスタリングは、重複するMAF比分布を有する変異体対を組み合わせることによって、または他のクラスタリング方法によって実施され得る。単一の選択されたクラスターは、既知の癌ドライバ変異体を含有するもの、または既知のクローン造血変異体が存在しないものであり得る。クラスターの重みはまた、既知の癌ドライバ変異体の存在またはクラスター内の最大VAFもしくは変異体の数に依存し得る。
【0199】
図6Bに示すように、方法610に従ってMRスコアを決定してもよい。方法610は、工程601において、複数の体細胞性変異体中の体細胞性変異体についての第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均、ならびに加重MAF比についての対応する標準偏差を決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、標準偏差は、MRスコアを報告するための基準として利用することができる。例えば、少なくとも1つの変異体の個々の標準偏差に基づくMRスコアの標準偏差を使用して、試料評価性の信頼区間およびその後のカットオフを決定することができる。いくつかの実施形態において、カットオフは、少なくとも0.1、0.15、0.2、0.3、0.4または0.5であり得る。工程612において、対象について、MAFの加重平均の比を決定してもよい。比の分散としての信頼区間。例えば、信頼区間は、以下の式を使用して決定され得る:
R=A/B:var(R)~=var(B)/A^2+var(A)*B^2/A^4
(式中、AおよびBは、それぞれ、時点1および時点2での加重平均MAFである)。
【0200】
クラスターは、証拠の強度に基づいて重み付けされ得る。例えば、max-VAFは、どれが一次クローンであるかを示すことができ、非CHIP変異体の数は、より強いシグナルでクラスターを重み付けすることができ、ドライバ重量は、体重を増加させるか、またはその特定の癌型もしくは分子サブタイプに対するドライバを含有するクラスターを選択することができる。適用される重み付けは、例えば、特定の癌型または分子サブタイプのドライバであることが知られている変異体により大きな重み付けを適用することであり得る。一実施形態において、重みは、最大VAF(いずれかの試料)、非CHIP変異体の数、および/またはドライバの重み(腫瘍型特異的;構成ファイルで定義)に基づくことができる。別の実施形態において、適用される重み付けは、例えば、体細胞性変異体を等しく重み付けすることであり得る。
【0201】
一実施形態において、分子応答者または分子非応答者としての分類は、変異体VAFおよび変異体重量に依存し得る。例えば、MRスコアが平均VAFの比である場合、より高いVAF(すなわち、より多くのクローン変異体)が支配的である可能性が高い。MRスコアが変異体重みを使用する場合、より高い重み(例えば、ドライバ変異体)を有する変異体が支配的であり得る。
【0202】
図6Aに記載されるような得られたMAF比の加重平均または図6Bに記載されるようなMAFの加重平均の比が、対象のMRスコアである。そのようなMRスコアは、MAFの分散を分子応答計算に組み込む。これにより、分子応答スコアが正確な分散を含み、分子応答から正しい結論を引き出すことに寄与することが保証される。MRスコアは、平均MAFの「数値的に安定した」比と見なすことができ、これは、MAFの精度に基づいてMAFの変化に適切に重み付けし、MAFが検出限界(LOD)付近で変動しているときに、自信過剰で誤った結果の影響を受けにくい。MRスコアを閾値と比較して、対象が処置に反応しているかまたは処置に反応していないかを判定することができる。閾値は、例えば、約25%~約75%であってもよく、および/またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態において、重み付けは、VAF精度(例えば、位置、ホットスポット領域、カバレッジ深度など)または腫瘍に対するその変異体の重要性の事前知識(例えば、既知のドライバもしくは耐性突然変異、または不確かな(もしくは未知の)有意性の変異体)のいずれかに基づくことができる。
【0203】
本明細書に提示されるMRスコアリング方法が対処する問題の態様を説明するための単純な例を提供するために、ベースライン(T)で0.3%のMAFおよび処置中(T)で0.1%のMAF、ならびに3000分子のその変異体位置でのカバレッジを有する、検出された1つの変異体を有する対象を検討する。既存の方法を使用すると、分子応答スコアは次のようになる:
【数33】
50%の「分子応答者」対「分子非応答者」を定義するためのカットオフの場合、この対象は「分子応答者」となる。しかしながら、本明細書に記載の方法に従って分散を伝播すると、約30~40%の期待値を有するが、0~120%の95%信頼区間を有する分子応答スコアが得られる。したがって、この対象については、MRスコアが真に50%カットオフを下回るか上回るかを確実に評価することができないため、分子応答は評価不可能であると見なされるべきである。
【0204】
本明細書に提示されるMRスコアリング方法が対処する問題の態様を説明するための単純な例を提供するために、2つの変異体(aおよびb)が検出され、ベースライン(T)でa=0.1%およびb=8.0%のMAFを有し、処置中(T)でMAF a=0.3%およびb=2.0%を有する対象を検討する。比率の平均をとる既存の方法を使用すると、分子応答スコアは
【数34】
となる。50%の「分子応答者」対「分子非応答者」を定義するためのカットオフの場合、この対象は「非分子応答者」となる。しかしながら、本明細書に記載される方法による平均の比を使用すると、分子応答スコアは以下のようになるであろう
【数35】
したがって、この対象について、分子応答は「分子応答者」と見なされるべきである。
【0205】
本明細書に提示されるMRスコアリング方法が対処する問題の態様を説明するための単純な例を提供するために、2つの変異体(aおよびb)が検出され、ベースライン(T)でa=0.3%およびb=0.0%のMAFを有し、処置中(T)でMAF a=0.0%およびb=0.3%を有する対象を検討する。既存の方法を使用してベースラインで0.3%を上回る変異体のみを評価すると、分子応答スコアは次のようになる:
【数36】
50%の「分子応答者」対「分子非応答者」を定義するためのカットオフの場合、この対象は「分子応答者」となる。しかしながら、処置中に生じる変異体を含めて、分子応答スコアは以下のようになる:
【数37】
したがって、この対象について、分子応答は「分子非応答者」と見なされるべきである。
【0206】
方法100は、少なくとも分子応答スコアに基づいて、対象に1またはそれを超える療法を施すことを含み得る。例示的な療法は、本明細書で更に開示される。いくつかの実施形態において、方法100は、癌を有する対象の分子応答スコアを所定のカットオフポイントと比較して、分子応答スコアが所定のカットオフポイントを下回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法(例えば、免疫療法など)に対して応答者である可能性が高いこと、または分子応答スコアが所定のカットオフポイントを上回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法に対して非応答者である可能性が高いことを同定することを含む。いくつかの実施形態において、方法100は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを含む。いくつかの実施形態において、方法100は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを中止することを含む。いくつかの実施形態において、方法100は、対象の予後バイオマーカーおよび/または予測バイオマーカーとして分子応答スコアを使用することを含む。
【0207】
他の例示的な実施形態において、分散は、分子応答分散を計算するために、少なくとも1つの変異体の分散分布からのシミュレーションまたはサンプリングによって分子応答計算に組み込まれる。本明細書に更に開示されるように、いくつかの用途は、腫瘍におけるそれらの重要性またはクローン造血に対する腫瘍の尤度に基づいて変異体を重み付けすることを含む。いくつかの実施形態は、他のゲノムデータソースの中でも、腫瘍割合(単に変異体(例えば、SNV、インデルおよび融合)VAFに依存するのではなく)、カバレッジ(例えば、コピー数)、オフターゲットカバレッジ、および/またはメチル化を推定するために複数のゲノムデータソースを統合することを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、方法は、1またはそれを超える追加のゲノムデータソースを使用して、癌を有する対象についての分子応答スコアを決定することを含む。いくつかの実施形態において、追加のゲノムデータソースは、1またはそれを超えるカバレッジ、オフターゲットカバレッジ、エピジェネティックシグネチャ、腫瘍突然変異負荷および/またはマイクロサテライト不安定性スコアを含む。データソースの場合、そのデータソースに基づく腫瘍割合の計算があり得、計算された腫瘍割合は、データソース(例えば、加重平均を使用して、その特定の試料の腫瘍割合におけるデータソースの信頼度を組み込む)にわたって組み合わされ得、次いで、試料中の全体的な腫瘍割合推定値を組み合わせて全体的な分子応答を計算し得る。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、cfNAフラグメント長、位置および/またはエンドポイント密度分布を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、所与の標的化ゲノム領域内の1またはそれを超えるエピジェネティック遺伝子座によって示されるエピジェネティック状況または状態を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティック状況または状態は、メチル化、ヒドロキシメチル化、アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化、シトルリン化、および/またはヒストン翻訳後修飾もしくは他のヒストン変異の有無を含む。
【0209】
本方法は、図1ならびに第1の時間Tおよび第2の時間Tの文脈で説明されているが、例えば縦断モニタリングのために、3つ以上の時点が考えられることを理解されたい。図7に示すように、第1の時間Tにおいて、ベースラインcfDNAは、処置前および第2の時間Tにおいて1またはそれを超える対象から得られた1またはそれを超えるベースライン試料から得られてもよく、または任意の後続の時間Tにおいて、処置中cfDNAは、処置後に1またはそれを超える対象から得られた1またはそれを超える処置中試料から得られてもよい。時間Tは、時間Tの後の任意の時間量、例えば、1~24時間、1~180日、1~12週間、1~25週間、1~30週間などを含む任意の時間であり得る。さらに、方法100は、時間T、T、...、Tの任意の組み合わせに適用され得る。例えば、試料は、時間Tおよび時間Tで取得されてもよく、両方の時間に採取された試料は、処置中の試料である。別の例では、時間Tおよび時間Tで試料を取得してもよく、時間Tで採取された試料は処置中の試料を表し、時間Tで採取された試料は処置なしの試料を表す。
【0210】
一実施形態において、対象に施される療法の投与量は、分子応答スコアに基づいて調整され得る。例えば、分子応答スコアは、対象が第1の処置に応答しておらず、第1の処置の投与量が応答して増加し得ることを示し得る。実施形態において、代替療法は、分子応答スコアに基づいて同定され得る。例えば、分子応答スコアは、対象が第1の処置に応答していないことを示し得、次いで、対象は、第1の処置の代わりに、またはそれに加えて、第2の処置を受け得る。一実施形態において、臨床試験の対象について分子応答スコアを決定することができ、分子応答スコアは、プラセボを投与されている対象および処置を受けている対象について決定され得る。2つのカテゴリーの対象の分子応答スコアを比較して、処置を評価してもよい。
【0211】
別の例では、プラセボおよび処置は、薬物の異なる組み合わせを比較する臨床試験の2つの群に一般化され得る。閾値またはカットオフは、ユースケースに固有のものであり得る:ユースケースはクリアランス(MR=0)を必要とし得るか、またはユースケースはctDNAレベルの一定レベルの減少または増加を必要とし得る。
【0212】
図8は、患者層別化のための分子応答スコアの例示的な実際的適用を示す。進行癌患者は、処置前に、時間Tで決定されたベースラインMAFを有し得る。4~10週間の処置後、進行癌患者は、時間Tで決定された処置中のMAFを有し得る。得られた分子応答スコアは、患者のctDNAが減少していることを示すことができ、その場合、患者は一次治験薬での処置を継続すべきである。得られた分子応答スコアは、患者のctDNAが増加していることを示すことができ、この場合、患者が対照群にある場合、患者は一次治験薬(またはプラセボ)での処置を継続すべきである。そうではなく、患者のctDNAが増加している場合、患者は、その処置計画に追加された1またはそれを超える療法、療法の変更、または一次治験薬の用量の変更を受けるべきである。
【0213】
図9は、臨床試験濃縮のための分子応答スコアの例示的な実際的適用を示す。標準治療(SOC)処置に適格な進行癌患者は、SOC処置前の時間Tに決定されたベースラインMAFを有し得る。4~10週間のSOC処置後、進行癌患者は、時間Tで決定された処置中のMAFを有し得る。得られた分子応答スコアは、患者のctDNAが減少していることを示すことができ、その場合、患者はSOC処置での処置を継続すべきである。得られた分子応答スコアは、患者のctDNAが増加していることを示し得、この場合、患者は臨床試験薬による処置に適格であると判定され得る。
【0214】
図10は、EGFR陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるオシメルチニブ+/-化学療法のMSKCC試験のための前向き患者層別化およびエスカレーションのための分子応答スコアの実際的適用例を示す。EGFR陽性NSCLCと新たに診断された患者は、オシメルチニブを使用する前に、時間Tで決定されたベースラインMAFを有し得る。オシメルチニブの1サイクル後、患者は、オシメルチニブのサイクル2の1日目に決定された処置中のMAFを有し得る。結果として得られる分子応答スコアは、EGFRドライバのみに基づいて、EGFRドライバが検出されないことを示し得、この場合、患者は、オシメルチニブのみによる処置を継続すべきである。結果として得られる分子応答スコアは、EGFRドライバのみに基づいて、EGFRドライバが検出されたことを示し得、この場合、患者は、オシメルチニブ、カルボプラチンおよびペメトレキセドによる処置を継続すべきである。
【0215】
これらの方法の態様を図11に更に示す。示されるように、方法1100は、第1(例えば、処置前)および第2(例えば、処置中)の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体の突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体の変異体に対する第1および第2のMAFのセットを生成することを含む(工程1101)。方法1100はまた、MAF比のセットおよびMAF比のセット中のMAF比に対する対応する標準偏差を生成するために、複数の変異体中の変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算することを含む(工程1102)。さらに、方法1100はまた、MAF比の加重平均(工程1103)および信頼区間を計算して、癌を有する対象の分子応答スコアを決定する工程を含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、方法1100は、癌を有する対象の分子応答スコアを所定のカットオフポイントと比較して、分子応答スコアが所定のカットオフポイントを下回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法(例えば、免疫療法など)に対して応答者である可能性が高いこと、または分子応答スコアが所定のカットオフポイントまたはそれを上回る場合、対象が癌の1またはそれを超える療法にたいして非応答者である可能性が高いことを同定することを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、分子応答スコアを考慮して、癌に対する1またはそれを超える療法を対象に施すことを中止することを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、対象の予後バイオマーカーおよび/または予測バイオマーカーとして分子応答スコアを使用することを含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、方法1100は、MAF比のセットにおけるMAF比についての標準偏差を計算するために分子カウントを使用することを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、MAF比のセットにおけるMAF比を介して分散を伝播することを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、複数の変異体について突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定する場合、1またはそれを超える生殖系列および/またはクローン造血性変異体を除外することを含む。生殖系列およびCHIP変異体を除外する方法の例は、本明細書に更に記載される。いくつかの実施形態において、方法1100は、第1および/または第2の時点において約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%未満であるMAFを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を除外することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、第1および/または第2の時点で5、10、15、20、25または30個未満の突然変異分子カウントを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を除外することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、第1および/または第2の時点で300、400、500、600、700、800、900または1000未満のカバレッジを有する1またはそれを超える体細胞性変異体を除外することを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、第1の時点は、処置前の時点を含み、第2の時点は、処置開始時点または処置後の時点を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、試料中の1またはそれを超える組織または細胞から得られた核酸分子から配列情報を作成することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、対象から得られた試料中の無細胞核酸(cfNA)から配列情報を作成することを含む。いくつかの実施形態において、cfNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、比率は、複数の変異体における変異体についての第1のMAFに対する第2のMAFを含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、以下の式を使用してMAF比の加重平均を計算することを含む:
和[重み*比]/和[重み]、
(式中、重みは、複数の変異体中の所与の変異体について1/範囲であり、範囲は、複数の変異体中の所与の変異体についての第1および第2のMAFの値の差であり、比は、MAF比のセット内の所与のMAF比である)。いくつかの実施形態において、方法1100は、以下の式を使用して信頼区間を計算することを含む。
MAF比の加重平均+/-sqrt[比分散]、
(式中、比分散は1/sum[重み]である)。
【0220】
いくつかの実施形態において、変異体は、1またはそれを超える単一ヌクレオチド変異体(SNV)、挿入/欠失突然変異(インデル)、遺伝子増幅、および/または遺伝子融合を含む。いくつかの実施形態において、方法1100は、1またはそれを超える追加のゲノムデータソースを使用して、癌を有する対象についての分子応答スコアを決定することを含む。いくつかの実施形態において、追加のゲノムデータソースは、1またはそれを超えるカバレッジ、オフターゲットカバレッジ、エピジェネティックシグネチャ、および/またはマイクロサテライト不安定性スコアを含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、cfNAフラグメント長、位置および/またはエンドポイント密度分布を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティックシグネチャは、所与の標的化ゲノム領域内の1またはそれを超えるエピジェネティック遺伝子座によって示されるエピジェネティック状況または状態を含む。いくつかの実施形態において、エピジェネティック状況または状態は、メチル化、ヒドロキシメチル化、アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、スモイル化、リボシル化、シトルリン化、および/またはヒストン翻訳後修飾もしくは他のヒストン変異の有無を含む。
【0221】
更に説明するために、図12Aは、例示的な方法1200を概略的に示すフローチャートである。示されるように、方法1200は、第1および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体の突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体の変異体に対する第1および第2のMAFのセットを生成することを含む(工程1201)。方法1200はまた、複数の変異体中の変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよびMAF比のセット中のMAF比に対する対応する標準偏差を生成すること(工程1202)と、MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、対象の分子応答スコアを決定すること(工程1203)とを含む。いくつかの実施形態において、標準偏差を信頼区間の推定値として利用することができる。いくつかの実施形態において、標準偏差は、分子応答スコアを報告するための基準として利用することができる。さらに、方法1200はまた、少なくとも分子応答スコアに基づいて、対象に1またはそれを超える療法を施すことを含む(工程1204)。例示的な療法は、本明細書で更に開示される。
【0222】
図12Bは、例示的な方法1210を概略的に示すフローチャートである。示されるように、方法1210は、第1および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体の突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体の変異体に対する第1および第2のMAFのセットを生成することを含む(工程1211)。方法1210は、工程1212において、ある時点(すなわち、第1の時点および第2の時点)について検討された体細胞性変異体のMAFから得られた代表値を決定することを含む。代表値は、限定されないが、平均、中央値、または最頻値のうちの1つであり得ることが理解される。方法1210は、工程1213において、第1の時点での代表値と第2の時点での代表値との比を決定することを含む。方法1210は、考慮されるMAFの標準偏差を使用して中心傾向比の標準偏差を計算することを含み得る。いくつかの実施形態において、代表値は、平均または中央値であり得る。いくつかの実施形態において、代表値は平均であり得る。いくつかの実施形態において、代表値は中央値であり得る。いくつかの実施形態において、方法1210は、工程1212で、各時点(すなわち、第1の時点および第2の時点)について考慮される体細胞性変異体のMAFの平均を決定することと、工程1213で、第1の時点で得られた平均と第2の時点で得られた平均との比を計算することと、考慮された各MAFの標準偏差を使用して平均比の標準偏差を計算することとを含む。いくつかの実施形態において、分子応答スコアは、第1の時点で得られた平均と第2の時点で得られた平均との比から計算することができる。いくつかの実施形態において、方法1210は、工程1212で、各時点(すなわち、第1の時点および第2の時点)について考慮される体細胞性変異体のMAFの中央値を決定することと、工程1213で、第1の時点で得られた中央値と第2の時点で得られた中央値との比を計算することと、考慮された各MAFの標準偏差を使用して中央値比の標準偏差を計算することとを含む。いくつかの実施形態において、分子応答スコアは、第1の時点で得られた中央値と第2の時点で得られた中央値との比から計算することができる。いくつかの実施形態において、標準偏差を信頼区間の推定値として利用することができる。いくつかの実施形態において、標準偏差は、分子応答スコアを報告するための基準として利用することができる。さらに、方法1210はまた、少なくとも分子応答スコアに基づいて、対象に1またはそれを超える療法を施すことを含む(工程1214)。例示的な療法は、本明細書で更に開示される。
【0223】
典型的には、分子応答スコアを決定する方法は、CHIP変異体を除外することを含む。例えば、分子応答は、典型的には、腫瘍割合変化を表すゲノム変化(例えば、2つの時点の間の小さな変異体)の対立遺伝子頻度によって測定される。cfDNAシグナルが、腫瘍、血球などを含む本質的に任意の細胞型からのシグナルの凝集であることを考えると、多くの研究は、cfDNA試料中の未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体の存在を示している。CHIPフィルタリングのための一般的なアプローチは、様々なデータソースによってキュレートされた反復CHIP遺伝子またはホットスポットを頻繁に活用する。しかしながら、血漿のみのアプローチを用いてランダムなCHIP突然変異を同定することは依然として課題である。残りの濾過されていないCHIP変異体は、典型的には、割合変化を1(不変)にバイアスし、したがって不正確な分子応答予測またはスコアをもたらす。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、2つの時点の間の観察を活用して、別個の割合変化を有するクローンのゲノム突然変異をクラスタリングするモデルを使用する。突然変異をグループ化するために、これらのアプローチは、典型的には、2つの時点からの変異体についての変異体対立遺伝子カウントおよび総カウントを活用し、腫瘍割合変化Rの確率密度関数をP(R)として構築する。
【0224】
さらなる例示として、図13は、いくつかの実施形態による、癌を有する対象におけるクローン造血性変異体を同定する例示的な方法工程を概略的に示すフローチャートである。示されるように、方法1300は、第1および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から、複数の変異体の変異体の腫瘍割合変化P(R)の確率密度関数を計算することを含む(工程1301)。更に示されるように、方法1300はまた、P(R)によって1またはそれを超える変異体を1またはそれを超えるクローンにグループ化すること(工程1302)と、クローンのクローンについて更新されたP(R)を作成すること(工程1303)と、所定の閾値またはそれを上回る第1および第2の時点間の割合変化を有する1またはそれを超えるクローンを同定すること(工程1304)とを含む。
【0225】
他の態様において、本開示は、分子応答スコアを決定する際に、生殖系列変異体を同定および除外する、またはそうでなければ体細胞性分類の不一致を解決する方法を提供する。例えば、1つの問題は、患者の処置経過の過程で収集された試料が、典型的には異なるレベルの腫瘍脱落および対立遺伝子不均衡を有することであり、これは、所与のバイオインフォマティクスパイプラインの体細胞性変異体呼び出し元が、同じ患者の同じ変異体について異なる体細胞分類に到達することがあることを意味する。分子応答決定の目的は、処置の過程にわたって体細胞性変異体を追跡することであるので、生殖系列変異体を考慮すべきものから適切に除去するために、いかなる分類の不一致も解消されるべきである。
【0226】
例示すると、図14は、いくつかの実施形態による、癌を有する対象における変異体を同定する例示的な方法工程を概略的に示すフローチャートである。示されるように、方法1400は、対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から所与の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定すること含む(工程1401)。方法1400は、所与の変異体について決定されたMAFを利用して、所与の変異体を生殖系列または体細胞性変異体として同定することができる。いくつかの実施形態において、方法1400は、所与の変異体のベースラインMAFおよびその後の処置中MAFを利用して、所与の変異体を生殖系列または体細胞性変異体として分類するか、または所与の変異体の以前の分類を変更することができる。方法1400はまた、所与の変異体のMAFが、二倍体遺伝子の最大割合(max frac_diploid)を含む試料の最大MAFを(少なくとも2つの時点のうちの一方で)増加させる場合(すなわち、対立遺伝子不均衡が最も少ない)、および/または所与の変異体のMAFが、対象または別の患者試料から得られた試料から決定された1またはそれを超える他のMAF(例えば、試料中の最大MAF)よりも少なくとも約2倍大きい、3倍大きい、4倍大きい、5倍大きい、6倍大きい、7倍大きい、8倍大きい、9倍大きい、または少なくとも10倍大きい場合、所与の変異体が生殖系列変異体であると同定することを含み得る。いくつかの実施形態において、所与の変異体は、max frac_diploidが体細胞である少なくとも2つの時点のうちの1つにおいて試料の最大MAF(例えば、別のMAFと比較して)を上昇させない場合、体細胞性として分類される。いくつかの実施形態において、所与の変異体は、それが最大MAFを上昇させ、max frac_diploidを有する試料が生殖系列であるとき、生殖系列として分類される。いくつかの実施形態において、方法1400は、所与の変異体が腫瘍抑制遺伝子(TSG)内の有害な変異体(例えば、フレームシフト突然変異またはナンセンス突然変異)であると決定された場合に、その変異体を体細胞性として分類することを含む。いくつかの実施形態において、所与の変異体は、任意の所与の試料中で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%または9%未満で見られる場合、体細胞性として分類される。いくつかの実施形態において、関連する不一致が方法1400によって解消されない場合、所与の変異体は生殖系列として分類される。これらの実施形態において、変異体は、典型的には、所与の分子応答スコアを決定する際のさらなる検討から除外される。いくつかの実施形態において、変異体は、それらの変異体が少なくとも1つの患者試料においてCHIPとして分類される場合、CHIP変異体として分類される。
【0227】
図15は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程1501)を含む方法1500を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法1500はまた、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1502)と、MAF比を決定すること(工程1503)と、MAF比の加重平均を決定すること(工程1504)と、MAF比の加重平均と関連付けられる信頼区間を決定すること(工程1505)と、MAF比の加重平均および信頼区間を出力すること(工程1506)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され得、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定され得ることが理解される。工程1502における第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体の体細胞性または生殖系列としての分類は、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。MAF比の決定(工程1503)は、体細胞性として分類され、第1のMAFおよび第2のMAFに基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体について決定され得ることも理解される。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。MAF比の加重平均の決定(工程1504)は、対象に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、MAF比の加重平均に関連する信頼区間の決定(工程1505)は、MAF比の加重平均に基づいてもよいことが理解される。最後に、MAF比の加重平均および信頼区間を分子応答スコアとして出力することができることが理解される。
【0228】
図16は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程1601)を含む方法1600を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法1600はまた、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1602)と、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均を決定すること(工程1603)と、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均の比を決定すること(工程1604)と、信頼区間を決定すること(工程1605)と、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均の比ならびに信頼区間を出力すること(工程1606)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され得、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定され得ることが理解される。工程1602における第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体の体細胞性または生殖系列としての分類は、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均の決定(工程1603)は、体細胞性として分類され、第1のMAFおよび第2のMAFに基づいている複数の変異体の少なくとも1つの変異体について決定され得ることも理解される。第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比の決定(工程1604)は、対象に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、信頼区間の決定(工程1605)は、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比に基づいてもよいことが理解される。最後に、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比および信頼区間を分子応答スコアとして出力してもよいことが理解される。
【0229】
図17は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程1701)を含む方法1700を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法1700はまた、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞または生殖系列として分類すること(工程1702)と、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1703)と、第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために複数の変異体の少なくとも1つの変異体を再分類すること(工程1704)と、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定すること(工程1705)と、第2のMAFを決定すること(工程1706)と、分子応答スコアを決定すること(1707)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され得、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定され得ることが理解される。工程1703における第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体の体細胞性または生殖系列としての分類は、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。第1のMAFの決定(工程1705)は、体細胞性として分類され、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることも理解される。第2のMAFの決定(工程1706)は、体細胞性として分類または再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づくものであり得ることが更に理解される。最後に、分子応答は、第1のMAFおよび第2のMAFに基づいて決定され得ることが理解される。
【0230】
図18は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程1801)を含む方法1800を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法1800はまた、第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1802)と、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定すること(工程1803)と、少なくとも1つのCHIP変異体を除去すること(工程1804)と、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定すること(工程1805)と、第2のMAFを決定すること(工程1806)と、分子応答スコアを決定すること(工程1807)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され得、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定され得ることが理解される。工程1802における第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードにおける複数の変異体の体細胞性または生殖系列としての分類は、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。少なくとも1つのCHIP変異体の除去(工程1804)は、複数の変異体に由来し得ることも理解される。第1のMAFの決定(工程1805)は、体細胞性として分類され、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、第2のMAFの決定(工程1806)は、体細胞性として分類され、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが理解される。最後に、分子応答スコアの決定(工程1807)は、第1のMAFおよび第2のMAFに基づき得ることが理解される。
【0231】
図19は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程1901)を含む方法1900を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法1900はまた、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1902)と、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程1903)と、第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために複数の変異体の少なくとも1つの変異体を再分類すること(工程1904)と、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定すること(工程1905)と、少なくとも1つのCHIP変異体を除去すること(工程1906)と、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定すること(工程1907)と、第2のMAFを決定すること(工程1908)と、MAF比を決定すること(工程1909)と、MAF比の加重平均を決定すること(工程1910)と、MAF比の加重平均と関連付けられた信頼区間を決定すること(工程1911)を、MAF比の加重平均および信頼区間を出力すること(工程1912)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され得、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定され得ることが理解される。工程1902において第1の複数の配列リード内の複数の変異体を分類し、工程1903において第2の複数の配列リードを体細胞性または生殖系列として分類することは、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。少なくとも1つのCHIP変異体の除去(工程1906)は、複数の変異体に由来し得ることも理解される。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。分類不一致は、第1の複数の配列リードにおいて体細胞性として分類され、第2の複数の配列リードにおいて生殖系列として分類される変異体であり得る。分類不一致は、第1の複数の配列リードにおいて生殖系列として分類され、および第2の複数の配列リードにおいて体細胞性として分類される変異体であり得る。第1のMAFの決定(工程1907)は、体細胞性として分類されまたは再分類され、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、第2のMAFの決定(1908)は、体細胞性として分類されたまたは再分類され、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが理解される。MAF比(1909)の決定は、体細胞性として分類または再分類された複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得、第1の突然変異対立遺伝子割合および第2の突然変異対立遺伝子割合に基づくものであり得ることも理解される。MAF比の決定(工程1910)は、対象に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、MAF比の加重平均に関連する信頼区間の決定(工程1911)は、MAF比の加重平均に基づいてもよいことが理解される。最後に、MAF比の加重平均および信頼区間を分子応答スコアとして出力することができることが理解される。
【0232】
図20は、対象に関連する第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードを決定すること(工程2001)を含む方法2000を概略的に示すフローチャートである。更に示されるように、方法2000はまた、第1の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程2002)と、第2の複数の配列リード内の複数の変異体を体細胞性または生殖系列として分類すること(工程2003)と、第1の複数の配列リードと第2の複数の配列リードとの間の分類不一致を解消するために複数の変異体の少なくとも1つの変異体を再分類すること(工程2004)と、複数の変異体の少なくとも1つの変異体を未確定の潜在的なクローン造血(CHIP)変異体として決定すること(工程2005)と、少なくとも1つのCHIP変異体を除去すること(工程2006)と、第1の突然変異対立遺伝子割合(MAF)を決定すること(工程2007)と、第2のMAFを決定すること(工程2008)と、第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均を決定すること(工程2009)と、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比を決定すること(工程2010)、信頼区間を決定すること(2011)と、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比および信頼区間を出力すること(工程2012)とを含む。第1の複数の配列リードは、療法を施す前に決定され、第2の複数の配列リードは、療法を施した後に決定されることが理解される。工程2002において第1の複数の配列リード内の複数の変異体を分類し、工程2003において第2の複数の配列リードを体細胞性または生殖系列として分類することは、本明細書に記載されるように、例えば図2に関して記載されるように行われ得る。一実施形態において、複数の変異体の少なくとも2つの変異体が体細胞性として分類される。少なくとも1つのCHIP変異体の除去(工程2006)は、複数の変異体に由来し得ることも理解される。第1のMAFは、処置前の時点で第1の複数の配列リードにおける変異体を使用して決定され得、第2のMAFは、処置後の時点で第2の複数の配列リードにおける同じ変異体を使用して決定され得る。第1の複数の配列リードおよび第2の複数の配列リードの両方における同じ変異体について、第1のMAFおよび第2のMAFを決定することができる。第1のMAFの決定(工程2007)は、体細胞性として分類されまたは再分類され、第1の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、第2のMAFの決定(工程2008)は、体細胞性として分類されたまたは再分類され、第2の複数の配列リードの少なくとも一部分に基づく、複数の変異体の少なくとも1つの変異体に対するものであり得ることが理解される。第1のMAFの加重平均および第2のMAFの加重平均の決定(工程2009)は、体細胞性として分類され、第1のMAFおよび第2のMAFに基づいている複数の変異体の少なくとも1つの変異体についてであり得ることも理解される。第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比の決定(工程2010)は、対象に対するものであり得ることが更に理解される。さらに、信頼区間の決定(工程2011)は、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比に基づいてもよいことが理解される。最後に、第1のMAFの加重平均と第2のMAFの加重平均との比および信頼区間を分子応答スコアとして出力してもよいことが理解される。
III.癌および他の疾患
【0233】
特定の実施形態において、本明細書に開示される方法および態様は、所与の疾患、障害または症状を有する患者の長期モニタリングに使用される。開示される方法は、1またはそれを超える処置に対する患者の応答を経時的に追跡するために使用され得る。典型的には、検討中の疾患は癌の一種である。そのような癌の非限定的な例としては、胆道癌、膀胱癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、脳癌、神経膠腫、星状細胞腫、乳癌、化生性癌、子宮頸癌、子宮頸部扁平上皮癌、直腸癌、結腸直腸癌、結腸癌、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍(GIST)、子宮内膜癌、子宮内膜間質肉腫、食道癌、食道扁平上皮癌、食道腺癌、眼黒色腫、ブドウ膜黒色腫、胆嚢癌、胆嚢腺癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、ウィルムス腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、慢性骨髄単球性(CMML)、肝臓癌(liver cancer)、肝癌(liver carcinoma)、ヘパトーマ、肝細胞癌、胆管癌、肝芽腫、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌(NPC)、神経芽腫、中咽頭癌、口腔扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵管腺癌、偽乳頭新生物、腺房細胞癌が挙げられる。前立腺癌、前立腺腺癌、皮膚癌、黒色腫、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、小腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric carcinoma)、消化管間質腫瘍(GIST)、子宮癌、または子宮肉腫。
【0234】
本明細書に開示される方法およびシステムを使用して必要に応じて評価される他の遺伝子ベースの疾患、障害または症状の非限定的な例としては、軟骨無形成症、アルファ1-アンチトリプシン欠損症、抗リン脂質症候群、自閉症、常染色体優性多発性嚢胞腎疾患、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)、猫鳴き症候群、クローン病、嚢胞性線維症、デルカム病、ダウン症候群、デュアン症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、第V因子ライデン型血小板増加症、家族性高コレステロール血症、家族性髄膜熱、脆弱X症候群、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス、血友病、全前脳症、ハンチントン病、クラインフェルター症候群、マルファン症候群、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、ヌーナン症候群、骨形成不全症、パーキンソン病、フェニルケトン尿症、ポーランド症候群(Poland anomaly)、ポルフィリン症、早老症、網膜色素変性症、重症複合免疫不全症(scid)、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、サラセミア、トリメチルアミン尿症、ターナー症候群、軟口蓋心顔面症候群、WAGR症候群、ウィルソン病などが挙げられる。
IV.カスタマイズされた療法および関連する投与
【0235】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、所与の疾患、障害または症状を有する患者を同定し、療法を施すことに関する。本質的に、任意の癌療法(例えば、外科的療法、放射線療法、化学療法など)が、これらの方法の一部として含まれる。特定の実施形態において、対象に施される療法は、少なくとも1つの化学療法薬を含み得る。いくつかの実施形態において、化学療法薬は、アルキル化剤(例えば、限定されないが、クロラムブシル、シクロホスファミド、シスプラチンおよびカルボプラチン)、ニトロソウレア(例えば、限定されないが、カルムスチンおよびロムスチン)、代謝拮抗剤(例えば、限定されないが、フルオロウラシル、メトトレキサートおよびフルダラビン)、植物アルカロイドおよび天然物(例えば、限定されないが、ビンクリスチン、パクリタキセルおよびトポテカン)、抗腫瘍抗生物質(例えば、限定されないが、ブレオマイシン、ドキソルビシンおよびミトキサントロン)、ホルモン剤(例えば、限定されないが、プレドニゾン、デキサメタゾン、タモキシフェンおよびロイプロリド)および生物学的応答修飾因子(例えば、限定されないが、ハーセプチンおよびアバスチン、アービタックスおよびリツキサン)を含み得る。いくつかの実施形態において、対象に施される化学療法は、FOLFOXまたはFOLFIRIを含み得る。特定の実施形態において、対象に施される療法は、少なくとも1つのPARP阻害剤を含む得る。特定の実施形態において、PARP阻害剤は、とりわけ、OLAPARIB、TALAZOPARIB、RUCAPARIB、NIRAPARIB(商品名ZEJULA)を含み得る。典型的には、療法は、少なくとも1つの免疫療法(または免疫療法剤)を含む。免疫療法は、一般に、所与の癌型に対する免疫応答を増強する方法を指す。特定の実施形態において、免疫療法は、腫瘍または癌に対するT細胞応答を増強する方法を指す。
【0236】
いくつかの実施形態において、免疫療法剤または免疫療法剤は免疫チェックポイント分子を標的とする。特定の腫瘍は、免疫チェックポイント経路を利用することによって免疫系を回避することができる。したがって、免疫チェックポイントをターゲティングすることは、免疫系を回避する腫瘍の能力に対抗し、特定の癌に対する抗腫瘍免疫を活性化するための有効なアプローチとして浮上している。Pardoll,Nature Reviews Cancer,2012,12:252-264.
【0237】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、抗原に対するT細胞応答に関与するシグナルを減少させる阻害性分子である。例えば、CTLA4はT細胞上に発現し、抗原提示細胞上のCD80(aka B7.1)またはCD86(aka B7.2)に結合することによってT細胞活性化を下方制御する役割を果たす。PD-1は、T細胞上で発現される別の阻害性チェックポイント分子である。PD-1は、炎症応答中の末梢組織におけるT細胞の活性を制限する。さらに、PD-1のリガンド(PD-L1またはPD-L2)は、多くの異なる腫瘍の表面で一般に上方制御され、腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答の下方制御をもたらす。特定の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子は、CTLA4またはPD-1である。他の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子は、PD-L1またはPD-L2などのPD-1のリガンドである。他の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子は、CD80またはCD86などのCTLA4のリガンドである。他の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレクチン9(GAL9)、またはアデノシンA2a受容体(A2aR)である。
【0238】
これらの免疫チェックポイント分子を標的とするアンタゴニストを使用して、特定の癌に対する抗原特異的T細胞応答を増強することができる。したがって、特定の実施形態において、免疫療法または免疫療法剤は、阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストである。特定の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子はPD-1である。特定の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子はPD-L1である。特定の実施形態において、阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストは、抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。特定の実施形態において、抗体またはモノクローナル抗体は、抗CTLA4、抗PD-1、抗PD-L1、または抗PD-L2抗体である。特定の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、抗体はモノクローナル抗PD-L1抗体である。特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、抗CTLA4抗体と抗PD-1抗体、抗CTLA4抗体と抗PD-L1抗体、または抗PD-L1抗体と抗PD-1抗体の組み合わせである。特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))のうちの1またはそれを超えるものである。特定の実施形態において、抗CTLA4抗体は、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。特定の実施形態において、抗PD-L1抗体が、テゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、またはデュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))の1またはそれを超えるものである。
【0239】
特定の実施形態において、免疫療法または免疫療法剤は、CD80、CD86、LAG3、KIR、TIM3、GAL9またはA2aRに対するアンタゴニスト(例えば抗体)である。他の実施形態において、アンタゴニストは、阻害性免疫チェックポイント分子の可溶性バージョン、例えば阻害性免疫チェックポイント分子の細胞外ドメインおよび抗体のFcドメインを含む可溶性融合タンパク質である。特定の実施形態において、可溶性融合タンパク質は、CTLA 4、PD-1、PD-L1またはPD-L2の細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、可溶性融合タンパク質は、CD80、CD86、LAG3、KIR、TIM3、GAL9またはA2aRの細胞外ドメインを含む。一実施形態において、可溶性融合タンパク質は、PD-L2またはLAG3の細胞外ドメインを含む。
【0240】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、抗原に対するT細胞応答に関与するシグナルを増幅する共刺激分子である。例えば、CD28は、T細胞上に発現される共刺激受容体である。T細胞がそのT細胞受容体を介して抗原に結合すると、CD28は抗原提示細胞上のCD80(aka B7.1)またはCD86(aka B7.2)に結合して、T細胞受容体シグナル伝達を増幅し、T細胞活性化を促進する。CD28はCTLA4と同じリガンド(CD80およびCD86)に結合するので、CTLA4はCD28によって媒介される共刺激シグナル伝達を打ち消すまたは調節することができる。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、CD28、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、CD137、OX40、またはCD27から選択される共刺激分子である。他の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、例えば、CD80、CD86、B7RP1、B7-H3、B7-H4、CD137L、OX40L、またはCD70を含む共刺激分子のリガンドである。
【0241】
これらの共刺激チェックポイント分子を標的とするアゴニストは、特定の癌に対する抗原特異的T細胞応答を増強するために使用することができる。したがって、特定の実施形態において、免疫療法または免疫療法剤は、共刺激チェックポイント分子のアゴニストである。特定の実施形態において、共刺激チェックポイント分子のアゴニストはアゴニスト抗体であり、好ましくはモノクローナル抗体である。特定の実施形態において、アゴニスト抗体またはモノクローナル抗体が抗CD28抗体である。他の実施形態において、アゴニスト抗体またはモノクローナル抗体は、抗ICOS、抗CD137、抗OX40、または抗CD27抗体である。他の実施形態において、アゴニスト抗体またはモノクローナル抗体は、抗CD80、抗CD86、抗B7RP1、抗B7-H3、抗B7-H4、抗CD137L、抗OX40L、または抗CD70抗体である。
【0242】
癌以外の特定の遺伝子ベースの疾患、障害、または症状を処置するための治療選択肢は、一般に当業者に周知であり、考慮中の特定の疾患、障害、または症状を考慮すると明らかであろう。
【0243】
特定の実施形態において、本明細書に記載のカスタマイズされた療法は、典型的には非経口的に(例えば、静脈内または皮下)施される。免疫療法剤を含有する医薬組成物は、典型的には静脈内投与される。特定の治療薬は、経口投与される。しかしながら、カスタマイズされた療法(例えば、免疫療法剤など)も、例えば、頬側、舌下、直腸、膣、尿道内、局所、眼内、鼻腔内、および/または耳内を含む当技術分野で公知の任意の方法によって施され得、投与には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、水性懸濁剤、ゲル剤、スプレー剤、坐剤、膏薬、軟膏などが含まれ得る。
V.システムおよびコンピューター可読媒体
【0244】
本開示はまた、様々なシステムおよびコンピュータープログラム製品またはマシン可読媒体を提供する。いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に記載の方法は、システム、分散コンピューティングハードウェアおよびアプリケーション(例えば、クラウドコンピューティングサービス)、電子通信ネットワーク、通信インターフェース、コンピュータープログラム製品、マシン可読媒体、電子記憶媒体、ソフトウェア(例えば、マシン実行可能コードまたは論理命令)などを使用して、少なくとも部分的に必要に応じて実行または促進される。例示のために、図21は、本出願で開示された方法の少なくとも態様を実施するのに適した例示的なシステムの概略図を提供する。図示のように、システム2100は、プロセッサ2104およびメモリ、記憶装置、またはメモリコンポーネント1506を含む少なくとも1つのコントローラまたはコンピューター、例えばサーバ2102(例えば、検索エンジンサーバ)と、インターネットまたは他のインターネットワークなどの電子通信ネットワーク2112を介して、リモートサーバ2102から離れて配置され、リモートサーバと通信する1またはそれを超える他の通信デバイス2114および2116(例えば、クライアント側コンピューター端末、電話、タブレット、ラップトップ、他のモバイルデバイスなど)とを含む。通信デバイス2114および2116は、典型的には、例えば、ネットワーク2112上のサーバ2102コンピューターと通信する電子ディスプレイ(例えば、インターネット対応コンピューターなど)を含み、電子ディスプレイは、本明細書に記載の方法を実施すると結果を表示するためのユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、ウェブベースのユーザインターフェース、および/またはこれらに類似するもの)を含む。特定の実施形態において、通信ネットワークはまた、例えば、ハードドライブ、サムドライブ、または他のデータ記憶機構を使用して、ある場所から別の場所へのデータの物理的な転送を包含する。システム2100はまた、例えば、2114(デスクトップまたはパーソナルコンピューターとして概略的に示されている)および2116(タブレットコンピューターとして概略的に示されている)などの1またはそれを超える他の通信デバイスによって実行可能な誘導検索アプリケーションまたは他の実行可能ファイルを容易にするために、サーバ2102によって読み取り可能な、例えばサーバ2102のメモリ2106などの1またはそれを超える様々な種類のメモリなどのコンピューターまたはマシン可読媒体に記憶されたプログラム製品1508を含む。いくつかの実施形態において、システム2100は、例えば、直接または検索エンジンサーバ2102を介して検索可能なデータ(例えば、分類子スコア、対照試料またはコンパレータの結果データ、インデックス付けされたカスタマイズされた療法など)を記憶したオンラインウェブサイトに関連付けられたサーバ2110などの少なくとも1つのデータベースサーバも必要に応じて含む。システム2100は、必要に応じて、サーバ2102から遠隔に配置された1またはそれを超える他のサーバも含み、それらの各々は、必要に応じて、他のサーバの各々から遠隔に配置された、または他のサーバの各々に対してローカルに配置された1またはそれを超えるデータベースサーバ2110に関連付けられる。他のサーバは、地理的に離れたユーザに有益にサービスを提供し、地理的に分散された動作を強化することができる。
【0245】
当業者に理解されるように、サーバ2102のメモリ2106は、例えば、とりわけ、RAM、ROM、および磁気または光ディスクを含む揮発性および/または不揮発性メモリを必要に応じて含む。単一のサーバとして図示されているが、サーバ2102の図示された構成は例としてのみ与えられており、様々な他の方法論またはアーキテクチャに従って構成された他のタイプのサーバまたはコンピューターも使用できることも当業者には理解される。図21に概略的に示すサーバ2102は、サーバまたはサーバクラスタまたはサーバファームを表し、個々の物理サーバに限定されない。サーバサイトは、サーバホスティングプロバイダによって管理されるサーバファームまたはサーバクラスタとして配備されてもよい。サーバの数ならびにそれらのアーキテクチャおよび構成は、システム2100の使用、需要および容量の要件に基づいて増加させてもよい。また、当業者によって理解されるように、これらの実施形態における他のユーザ通信デバイス2114および2116は、例えば、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、サーバ、または他の種類のコンピューターとすることができる。当業者に知られ理解されるように、ネットワーク2112は、通信ネットワークを介して1またはそれを超える他のコンピューターと通信する複数のコンピューター/サーバのインターネット、イントラネット、電気通信ネットワーク、エクストラネット、またはワールドワイドウェブ、および/またはローカルもしくは他のエリアネットワークの一部を含むことができる。
【0246】
当業者によって更に理解されるように、例示的なプログラム製品またはマシン可読媒体2108は、必要に応じて、ハードウェアの機能を制御し、その動作を指示する順序付けられた動作の1またはそれを超えるセットを提供するマイクロコード、プログラム、クラウドコンピューティングフォーマット、ルーチン、および/または記号言語の形態である。例示的な実施形態によれば、プログラム製品2108はまた、揮発性メモリ内にその全体が存在する必要はなく、当業者に知られ理解されているような様々な方法に従って、必要に応じて選択的にロードすることができる。
【0247】
当業者によって更に理解されるように、「コンピューター可読媒体」または「マシン可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。例示すると、「コンピューター可読媒体」または「マシン可読媒体」という用語は、配信媒体、クラウドコンピューティングフォーマット、中間記憶媒体、コンピューターの実行メモリ、および例えばコンピューターによる読み取りのために、本開示の様々な実施形態の機能またはプロセスを実装するプログラム製品2108を記憶することができる任意の他の媒体またはデバイスを包含する。「コンピューター可読媒体」または「マシン可読媒体」は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、所与のシステムのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バスを備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体はまた、とりわけ、電波および赤外線データ通信中に作成されるものなどの音響波または光波の形態をとることができる。コンピューター可読媒体の例示的な形態としては、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュドライブ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピューターが読み取ることができる任意の他の媒体が挙げられる。
【0248】
プログラム製品2108は、必要に応じて、コンピューター可読媒体からハードディスクまたは同様の中間記憶媒体にコピーされる。プログラム製品2108またはその一部が実行される場合、必要に応じて、それらの配信媒体、それらの中間記憶媒体などから、1またはそれを超えるコンピューターの実行メモリにロードされ、様々な実施形態の機能または方法に従って動作するようにコンピューターを構成する。そのような動作は全て、例えばコンピューターシステムの当業者に周知である。
【0249】
更に説明するために、特定の実施形態において、本出願は、1またはそれを超えるプロセッサと、プロセッサと通信する1またはそれを超えるメモリコンポーネントとを含むシステムを提供する。メモリコンポーネントは、典型的には、実行されると、プロセッサに、配列情報、エピジェネティック情報、分類子スコア、cfDNA特性データ、cfDNA断片分布セットデータ、試験結果、対照またはコンパレータの結果、カスタマイズされた療法などを表示させる(例えば、通信デバイス2114、2116などを介して)情報を提供させる、および/または他のシステムコンポーネントおよび/またはシステムユーザ(例えば、通信デバイス2114、2116などを介して)からの情報を受信させる1またはそれを超える命令を含む。
【0250】
いくつかの実施形態において、プログラム製品2108は、電子プロセッサ2104によって実行されると、少なくとも、第1の時点および第2の時点で対象から得られた試料中の1またはそれを超える癌型に関連する標的化核酸から作成された配列情報から複数の変異体についての突然変異体対立遺伝子頻度(MAF)を決定して、複数の変異体のうちの少なくとも1つの変異体についての第1および第2のMAFのセットを作製することと、複数の変異体中の少なくとも1つの変異体に対する第1および第2のMAFの比を計算して、MAF比のセットおよびMAF比のセットのうちのMAF比に対する対応する標準偏差を生成することと、MAF比の加重平均および信頼区間を計算して、癌を有する対象についての分子応答スコアを決定することとを実施する、非一時的なコンピューター実行可能命令を含む。本明細書では、追加のコンピューター可読媒体の実施形態について説明する。
【0251】
システム2100はまた、典型的には、本明細書に記載の方法の様々な態様を実施するように構成された追加のシステムコンポーネントを含む。これらの実施形態のいくつかでは、これらの1またはそれを超える追加のシステムコンポーネントは、電子通信ネットワーク2112を介してリモートサーバ2102から離れて配置され、リモートサーバと通信するが、他の実施形態において、これらの1またはそれを超える追加のシステムコンポーネントは、ローカルに配置され、サーバ2102(すなわち、電子通信ネットワーク2112が存在しない場合)と通信するか、または例えばデスクトップコンピューター2114と直接通信する。
【0252】
いくつかの実施形態において、例えば、追加のシステムコンポーネントは、コントローラ2102に動作可能に接続された(直接的または間接的に(例えば、電子通信ネットワーク2112を介して))試料調製コンポーネント2118を含む。試料調製コンポーネント2118は、核酸増幅コンポーネント(例えば、サーマルサイクラーなど)および/または核酸シーケンサによって増幅および/または配列決定される試料中の核酸を調製する(例えば、核酸のライブラリーを調製する)ように構成される。これらの特定の実施形態において、試料調製コンポーネント2118は、試料中の他のコンポーネントから核酸を単離し、本明細書に記載の核酸にバーコードを含む1またはそれを超えるアダプタを付着させ、配列決定の前にゲノムまたはトランスクリプトームから1またはそれを超える領域を選択的に濃縮するように、および/または同様に構成される。
【0253】
特定の実施形態において、システム2100はまた、コントローラ2102に動作可能に接続された(直接的または間接的に(例えば、電子通信ネットワーク2112を介して))核酸増幅コンポーネント2120(例えば、サーマルサイクラーなど)を含む。核酸増幅コンポーネント2120は、対象からの試料中の核酸を増幅するように構成される。例えば、核酸増幅コンポーネント2120は、必要に応じて、本明細書に記載の試料中のゲノムまたはトランスクリプトームから選択的に濃縮された領域を増幅するように構成される。
【0254】
システム2100はまた、典型的には、コントローラ2102に(直接的または間接的に(例えば、電子通信ネットワーク2112を介して))動作可能に接続された少なくとも1つの核酸シーケンサ2122を含む。核酸シーケンサ2122は、対象からの試料中の核酸(例えば、増幅された核酸)からの配列情報を提供するように構成されている。本質的に、任意のタイプの核酸シーケンサをこれらのシステムでの使用に適合させることができる。例えば、核酸シーケンサ2122は、必要に応じて、バイサルファイトシーケンシング、パイロシーケンシング、単一分子シーケンシング、ナノポアシーケンシング、半導体シーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、または配列決定リードを作成するための核酸に対する他の技術を実施するように構成される。必要に応じて、核酸シーケンサ2122は、配列リードを配列リードのファミリーにグループ化するように構成され、各ファミリーは所与の試料中の核酸から作成された配列リードを含む。いくつかの実施形態において、核酸シーケンサ2122は、シーケンシングライブラリに由来するクローン一分子アレイを使用して、配列決定リードを作成する。特定の実施形態において、核酸シーケンサ2122は、シーケンシングライブラリを配列決定して配列決定リードを作成するためのマイクロウェルのアレイを有する少なくとも1つのチップを含む。
【0255】
完全または部分的なシステム自動化を容易にするために、システム2100は、典型的には、コントローラ2102に(直接的または間接的に(例えば、電子通信ネットワーク2112を介して))動作可能に接続された材料移送コンポーネント2124も含む。材料移送コンポーネント2124は、核酸シーケンサ2122、試料調製コンポーネント2118、および核酸増幅コンポーネント2120へおよび/またはそれらから、1またはそれを超える材料(例えば、核酸試料、アンプリコン、試薬など)を移送するように構成される。
【0256】
コンピューターシステムおよびネットワーク、データベース、ならびにコンピュータープログラム製品に関するさらなる詳細は、例えば、Peterson,Computer Networks:A Systems Approach,Morgan Kaufmann,5th Ed.(2011)、Kurose,Computer Networking:A Top-Down Approach,Pearson,7th Ed.(2016)、Elmasri,Fundamentals of Database Systems,Addison Wesley,6th Ed.(2010)、Coronel,Database Systems:Design,Implementation,&Management,Cengage Learning,11th Ed.(2014)、Tucker,Programming Languages,McGraw-Hill Science/Engineering/Math,2nd Ed.(2006)、およびRhoton,Cloud Computing Architected:Solution Design Handbook,Recursive Press(2011)にも提供され、これらはそれぞれ参照によりその全体が組み込まれる。
【実施例
【0257】
VI.実施例
A.実施例1:患者転帰の予測のための分子応答計算の比較
1.背景
初期の処置試料(通常、処置開始後2~9週間)と処置前のベースラインとの間の循環腫瘍(ctDNA)負荷の変化として推定される分子応答(MR)は、多くの遡及的研究において、固形腫瘍および療法タイプにわたる患者の応答および転帰を予測することが示されている。しかしながら、分子応答を評価するための最良の方法に関してコンセンサスはない。したがって、本発明者らは、いくつかの分子応答計算を評価し、個々の進行癌患者の転帰を予測するための最適な方法を決定することを目的とした。
2.方法
【0258】
4,000超の患者試料ペア(3~10週間離れている)、1000超の患者試料の技術的複製、100超の工夫された試料希釈、およびインシリコシミュレーションの集計結果を、cfDNA NGSアッセイ臨床プラットフォーム(Guardant Health,Inc.、米国カリフォルニア州レッドウッドシティ)を使用して分析した。ベースラインおよび処置中の患者試料のペアを、肺、結腸、および乳房を含む12を超える腫瘍タイプを有する進行癌患者から収集した。MR計算は、体細胞性SNV、インデルおよび融合物の変異体対立遺伝子割合(VAF)を含んだ。最大VAF比(RmaxVAF)、平均VAF比(RmVAF)、およびVAF比の平均(mVAF)を含む方法を比較した。分析精度、再現性および検出限界(LoD)を評価した。
3.結果
【0259】
1500超の試料ペアに対するctDNA負荷量の正味の変化を計算する方法の比較は、高い相関(ρは0.93~0.98の範囲)および中央値(93%)で分割されたカテゴリー一致を示した。したがって、転帰予測に基づいて最適な方法を選択することは、法外に大きな患者コホートを必要とするであろう。分析評価およびin silicoシミュレーションは、各方法の挙動を予測することができる。実際の処置前試料の腫瘍割合の変化のシミュレーションは、RmVAFまたはRmaxVAFが、低いVAF比によって歪められ得るmVAFRよりも正確であることを見出した。試料ペアのほぼ25%がmaxVAFではない腫瘍ドライバまたは耐性突然変異を有し、腫瘍動態がmaxVAFよりもmVAFによって良好に捕捉されることを示唆している。新たに検出された処置中の変異体は、ctDNAレベルの上昇の重要なシグナルであり得、試料ペアのおよそ2%においてMRに影響を及ぼす。
【0260】
重要なことに、全ての方法のMR精度は、低いVAFでの確率的検出および変異体のより高いCVの両方のために、maxVAFが変異体LoDに近づくかまたはそれを下回ると低下する。したがって、アッセイ変異体LoDは、MR評価を受けることができる患者の割合の重要な決定因子である。技術的反復により、腫瘍割合の50%の変化が技術的変動と有意に異なる変異体基準が特定され、分析報告の限界を定義することができた。
4.結論
【0261】
患者試料およびシミュレーションの大規模なセットにおけるMR法の比較は、新たに検出された突然変異を含むRmVAFを支持する。
B.実施例2
1.序論
【0262】
分子応答(MR)は処置前のベースラインと比較した、処置中の初期(通常3~10週間)の循環腫瘍(ctDNA)負荷の変化の評価である。多くの遡及的研究において、分子応答は、療法に対する患者の応答、ならびに固形腫瘍および療法タイプにわたる長期成績と関連していた。
【0263】
分子応答はまた、X線写真および/またはRECIST応答よりも早く臨床応答を予測することが示されている。分子応答を計算するために複数の方法が使用されており、どの方法が最良であるかに関するコンセンサスはない。
【0264】
この実施例では、いくつかの分子応答計算を評価し、個々の進行癌患者の転帰を予測するための最適な方法を決定した。
2.方法
【0265】
3~10週間間隔を置いて配置された1,500人超の患者血漿試料からの対の試料を、20,000×読み取り深度で配列決定された約4600分子のユニークなカバレッジの中央値を有するcfDNA NGSアッセイ臨床プラットフォーム(Guardant Health,Inc.、米国カリフォルニア州レッドウッドシティ)を使用して、処理した。体細胞性および生殖系列SNV、小型インデル、および融合物を、分子応答の臨床応用を模倣するための74の癌関連遺伝子パネル空間へのサブセットとした。140超の患者試料の技術的複製物をいずれかのパネルで処理し、74の遺伝子パネル空間へのサブセットとした。以前に発表された3つの分子応答法を評価した(表3を参照)。
【0266】
表3
【表3】
3.結果
i.分子応答計算は、SNV、インデル、および融合物のctDNA VAFの変化を捕捉する
【0267】
図22は、74の癌関連遺伝子パネル空間において試料あたりに検出された体細胞性変異体の数を示す。体細胞性SNV、インデル、および融合物の数は、この研究における上位3つの癌型についての試料あたりの分子応答計算に向けてカウントした。突然変異変異体カウントの中央値は、乳癌(Breast)、CRC、およびNSCLCについてそれぞれ4、5、および3である。
ii.試料のペアによる体細胞性分類の解消は腫瘍シグナルを改善する
【0268】
図23は、MRの結果を歪める可能性がある体細胞性分類の不一致の例を示す。まれな体細胞状態の分類の不一致(変異体の0.8%未満)は、高い腫瘍割合および対立遺伝子不均衡で起こり得る。未解消のALKは、普遍的に減少するVAFに対してMRスコアを歪める。
【0269】
表4は、患者試料間の体細胞性分類の不一致の解消の例を示し、変異体精度を改善する。患者試料ペアにおける体細胞性分類の不一致は、変異体特性に基づくアルゴリズムによって解消された。対象分野の専門家による手動解消に対して精度を評価した。
【0270】


表4.
【表4】
iii.変異体は、検出およびVAF精度に基づく分子応答計算に含まれる。
【0271】
図24は、突然変異体分子カウント(MMC=VAF*分子カバレッジ)によって決定される変異体精度の一例を示す。(図24A)変異体は、試料入力およびパネル設計に応じて、ある範囲の分子カバレッジを有する。変異体検出の確率(図24B)およびVAF精度(図24C)は、VAFと分子カバレッジ(色、(図24A)へのマッピング)の両方に依存する。MMC(図24D)は、変異体検出の確率(図24E)およびVAF精度(図24F)を決定するため、変異体精度のより良いメトリックである。ノイズからのシグナルをより明確にするために、両方の時点で低いMMCを有する変異体を分子応答から除外すべきである。
iv.分子応答は方法間で概ね一致しているが、R(mVAF)は患者間でより堅牢である
【0272】
図25は、比の平均、m(rVAF)、または最大の比、R(maxVAF)を使用する場合、腫瘍シグナルが少数の変異体に勝る可能性があることを示す。(図25A)MRスコアは、増加、減少、または精度限界内(「ほぼ0%の変化」)に分類される。任意の方法で増加と減少との間で変化する患者は8%のみであり、高いカテゴリー相関を示す(X2 p<0.001)。MR相関は、ρ=0.42~0.86までの範囲である(p<0.001)。(図25B)m(rVAF)は、いくつかのVAFが低い(赤色)ときにMRを過大評価する傾向がある。R(maxVAF)は、大部分から逸脱する単一の最大変異体(紫色)によって歪めることができる。試料ペアの20%がmaxVAFではない腫瘍ドライバまたは耐性突然変異を有し、腫瘍動態がmVAFによって良好に捕捉されることを示唆している。(C)新たな処置中変異体を除外することは、より低いMR評価可能率をもたらし、新たな変異体のシグナルを除外する。
v.ctDNAレベル変化のシグナルが低い患者は、分子応答について評価不能であると同定される
【0273】
図26は、変異体の数(図26A)、分子カバレッジ(図26B)、および最大VAF(図26C)が増加するにつれて、分子応答スコアの確実性が増加する例を示す。
【0274】
体細胞性変異体がない場合(患者のおよそ7%)、または組み入れ基準を満たす体細胞性変異体がない場合(16%)、試料ペアは、VAFベースの方法を使用した分子応答について評価可能ではない。また、分子応答スコアの確からしさは、VAF精度の統計モデルを用いて理論的に計算される。不確定性の許容され得る限界(黒線)を超える試料ペアは、MR(3%)について評価可能ではない。これにより、MRについて評価可能な試料ペアのおよそ74%が得られる。
vi.臨床患者試料における分子応答スコアの範囲は、強い生物学的シグナルを反映する
【0275】
臨床患者試料ペアでは、分子応答分布は、100%減少から100%超の増加までのスコアの範囲を示す(図27A)。
【0276】
技術的複製物は、0%の変化でピークとなるヌル分子応答分布を提供する(図27B)。
4.結論
【0277】
分子応答計算の各コンポーネントは、生殖系列および低精度変異体フィルタリング、全体的な定式化、および評価可能な基準を含む、MRの正確な評価に重要である。患者試料およびシミュレーションの大規模なセットにおける分子応答法の比較は、新たに検出された突然変異を含む平均VAFの比を支持する。
C.実施例3
【0278】
図28は、MR計算のための試料ペアの例を示す。いずれかの試料で検出された全てのSNV、Indels、融合物から開始して、一般的な生殖系列変異体を除去する。次に、変異体の体細胞性/生殖系列分類の不一致を解消して、単一の分類を与える。(この実施例では、不一致はなかった。)。次に、生殖系列変異体を除外し、次いでCHIP変異体を除外する(この例では、ATM.R3008Hは、除去されたCHIP変異体である)。次に、MMCまたはカバレッジに基づく包含しきい値を満たさない変異体が除去される。この例では、これらのフィルタリング工程の後、3つの体細胞性変異体(PDGFRA、RETおよびTP53)が残る。最後に、これらの残りの変異体からMRスコアを計算する。この実施例では、ベースライン平均VAFは22.2%であり、処置中平均VAFは2.7%であり、12%のMRスコアを与え、これは88%のctDNA減少である。
【0279】
本明細書に引用されている全ての特許、特許出願、ウェブサイト、他の刊行物または文書、アクセッション番号などは、あたかも各個々の項目が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが異なる時点でアクセッション番号と関連付けられる場合、本出願の有効出願日におけるアクセッション番号と関連付けられるバージョンを意味する。有効出願日とは、該当する場合、実際の出願日または登録番号に言及する優先権出願の出願日のうち早い方を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時点で公開されている場合、特に明記しない限り、出願の有効出願日に最後に公開されたバージョンを意味する。
【0280】
当業者は、本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
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【国際調査報告】