(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】生体サンプルの調製および分析
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20240319BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20240319BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20240319BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20240319BHJP
G01N 30/04 20060101ALI20240319BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240319BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20240319BHJP
C12Q 1/37 20060101ALI20240319BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01N33/48 A
G01N27/62 F
B01J20/281 R
G01N30/06 E
G01N30/04 P
G01N30/06 Z
G01N30/06 A
G01N30/88 E
G01N30/72 C
C12Q1/37
C12Q1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555266
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2022052566
(87)【国際公開番号】W WO2022201000
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ステラ, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, チャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ユーグアン
(72)【発明者】
【氏名】プルカヤスタ, サブハシシュ
【テーマコード(参考)】
2G041
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041FA12
2G041GA01
2G041GA08
2G041HA01
2G045BA04
2G045BA13
2G045BB07
2G045BB08
2G045BB60
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045CB30
2G045FB03
4B063QA20
4B063QQ03
4B063QR10
4B063QR16
4B063QS40
(57)【要約】
液体サンプルを調製するための方法およびキットが、ここに特許請求され記載される。その方法は、液体サンプルを加水分解酵素で処理する工程、その液体サンプルを加水分解して加水分解産物を調製する工程、およびその加水分解産物を磁気に基づく精製で精製する工程を含み得る。特定の局面において、その加水分解酵素は、磁気ビーズまたは磁気粒子に結合されている。液体サンプルを調製するためのキットは、加水分解酵素、磁気ビーズまたは磁気粒子、1種もしくはそれ以上の内部標準、液体クロマトグラフィーカラム、および移動相として使用されるべき1種もしくはそれ以上の溶媒、1種もしくはそれ以上の較正物溶液、および使用指示書を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルを調製する方法であって、
該液体サンプルを加水分解酵素で処理する工程、
該液体サンプルを加水分解して加水分解産物を調製する工程、および
該加水分解産物を磁気に基づく精製で精製する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記液体サンプルが生体サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体サンプルが、尿、血液、口腔液、および血漿からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加水分解酵素が磁気ビーズまたは磁気粒子に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記磁気に基づく精製が磁気ビーズまたは磁気粒子を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記磁気に基づく精製が、
前記加水分解産物中のタンパク質および/または過剰なあらゆる加水分解酵素を沈殿試薬で沈殿させる工程、
前記磁気ビーズまたは磁気粒子と前記沈殿したタンパク質とを、懸濁物を生成するのに十分な時間インキュベートする工程、ならびに
該磁気ビーズまたは磁気粒子を該懸濁物から磁気分離して上清を生成する工程
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記沈殿試薬が、亜鉛塩、硫酸亜鉛、グリコール、アルコール、酸、スルファート、酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記沈殿試薬が0.4M硫酸亜鉛である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記磁気に基づく精製が免疫精製またはアフィニティー精製に基づく、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気ビーズまたは磁気粒子が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体ミミック、アプタマー、アフィマー、DARPin、または特異的標的に高い親和性で結合するオリゴヌクレオチドもしくはペプチドを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記磁気ビーズまたは磁気粒子がストレプトアビジンを含み、前記加水分解酵素がビオチンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記磁気に基づく精製がイオン交換に基づく、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記磁気ビーズまたは磁気粒子が、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート、ジホスファート、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体サンプルが内部標準をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記加水分解酵素がグリコシド結合を加水分解可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記加水分解酵素がβ-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、プロリダーゼである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記加水分解酵素がコデイン-6-グルクロニド結合およびモルヒネ-6-グルクロニド結合を加水分解可能である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記加水分解する工程が20分間まで実施される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記加水分解する工程が約15分間実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加水分解する工程が約60℃までの温度で実施される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記水溶性生体サンプルが温度約55℃で加水分解される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インキュベートする工程が、前記磁気ビーズまたは磁気粒子を前記加水分解産物と混合、振盪、またはボルテックス処理することをさらに含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記上清をアリコートにする工程をさらに含む、請求項6~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記アリコートにされた上清が、クロマトグラフィー機器、マイクロフロー、固相抽出を使用して分離および/または濃縮される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記クロマトグラフィー機器が高速液体クロマトグラフィー(HPLC)機器または超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)機器である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アリコートにされた上清が、トラップ-溶出ワークフローを使用して分離および/または濃縮される、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アリコートにされた上清が、オープンポートインターフェースに音波により注入されてイオン化源に移されるか、またはイオン化源に直接注入される、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記イオン化された上清が分析機器で分析される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分析機器が質量分析計である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記イオン化された上清を質量分析計で分析する前に、示差移動度分光分析を使用して目的のイオンが該イオン化された上清から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
臨床分析用の液体サンプルを調製するために使用される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記臨床分析が、依存性薬物をスクリーニングするために使用される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記依存性薬物が、アンフェタミン、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸系、マリファナ、コカイン、PCP、メサドン、およびオピオイド(麻薬)からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
液体サンプルを調製するためのキットであって、
β-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、プロリダーゼ、およびビオチン標識酵素からなる群より選択される、加水分解酵素ならびに
磁気ビーズまたは磁気粒子であって、該磁気ビーズまたは磁気粒子はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ストレプトアビジンを含むか、あるいは該磁気ビーズまたは磁気粒子は、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート、ジホスファート、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有する、磁気ビーズまたは磁気粒子、
1種またはそれ以上の内部標準、
液体クロマトグラフィーカラム、ならびに
移動相として使用されるべき1種またはそれ以上の溶媒、
1種またはそれ以上の較正物溶液、ならびに
使用指示書
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月23日に出願された米国仮特許出願番号63/164,870に関し、この米国仮特許出願からの優先権の利益を主張する。この米国仮特許出願は、その全体が本明細書において参照によって援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生体物質および体液を含む液体サンプルは、しばしば、重要な分析情報を提供し得る。しかし、これらの液体サンプルの多くは、低分子の下流分析を妨げ得る種々のタンパク質を含む。さらに、標的分析物は、グルクロン酸抱合を含む代謝を経験して、その直接分析が困難であると証明し得る複合体を生じ得る。液体サンプルのより正確な分析を達成するためには、適切なサンプル調製が重要である。代表的なサンプル調製方法は、かなりの時間および特定の条件を必要とし得、容易には自動化されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
本発明者らは、下流分析の前に液体サンプルからタンパク質を効率的に抽出するサンプル調製方法の必要性を認識していた。詳細には、加水分解および磁気ビーズ精製の両方を使用する、サンプル調製方法である。
【0004】
本開示の一局面は、液体サンプルを調製する方法に関し、その方法は、その液体サンプルを加水分解酵素で処理する工程、その液体サンプルを加水分解して加水分解産物を調製する工程、およびその加水分解産物を磁気に基づく精製で精製する工程を含む。一局面において、その液体サンプルは生体サンプルである。別の局面において、その生体サンプルは、尿、血液、口腔液、および血漿からなる群より選択される。なお別の実施形態において、その加水分解酵素は、磁気ビーズまたは磁気粒子に結合されている。
【0005】
一局面において、その磁気に基づく精製は、磁気ビーズまたは磁気粒子を使用する。さらなる局面において、その磁気に基づく精製は、その加水分解産物中のタンパク質および過剰なあらゆる加水分解酵素を沈殿試薬で沈殿させる工程、その磁気ビーズまたは磁気粒子と、沈殿したタンパク質とを、懸濁物を生成するのに十分な時間インキュベートする工程、ならびにその磁気ビーズまたは磁気粒子をその懸濁物から磁気分離して上清を生成する工程をさらに含む。一局面において、その沈殿試薬は、亜鉛塩、硫酸亜鉛、グリコール、アルコール、酸、スルファート(sulfate)、酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる局面において、その沈殿試薬は0.4M硫酸亜鉛である。
【0006】
一部の局面において、その磁気に基づく精製は免疫精製またはアフィニティー精製に基づく。別の局面において、その磁気ビーズまたは磁気粒子は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体ミミック、アプタマー、アフィマー、DARPin、または特異的標的に高い親和性で結合するオリゴヌクレオチドもしくはペプチドを含む。一部の局面において、その磁気ビーズまたは磁気粒子はストレプトアビジンを含み、その加水分解酵素はビオチンを含む。一部の局面において、その磁気に基づく精製はイオン交換に基づく。なお別の実施形態において、その磁気ビーズまたは磁気粒子は、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート(phosphate)、ジホスファート(diphosphate)、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有する。
【0007】
一部の局面において、その液体サンプルは内部標準をさらに含む。別の局面において、その加水分解酵素はグリコシド結合を加水分解可能である。なお別の実施形態において、その加水分解酵素はβ-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、プロリダーゼである。さらなる局面において、その加水分解酵素は、代謝産物(例えば、オピオイド代謝産物など)中の1種またはそれ以上の結合(例えば、コデイン-6-グルクロニド結合およびモルヒネ-6-グルクロニド結合)を加水分解可能である。
【0008】
一部の局面において、その加水分解する工程は約20分間まで実施される。一部の局面において、この工程は約10分間~約20分間実施される。さらなる局面において、その加水分解する工程は約15分間実施される。別の局面において、その加水分解する工程は60℃までの温度で実施される。一部の局面において、この工程は約50℃~約60℃で実施される。なお別の実施形態において、その水溶性(aqueous)生体サンプルは温度約55℃で加水分解される。
【0009】
一部の局面において、そのインキュベートする工程は、その磁気ビーズまたは磁気粒子を加水分解産物と混合、振盪、またはボルテックス処理することをさらに含む。
【0010】
一部の局面において、その方法は、その上清をアリコートにする工程をさらに含む。なお別の局面において、そのアリコートにされた上清は、クロマトグラフィー機器、マイクロフロー(microflow)、もしくは固相抽出を使用して分離および/または濃縮される。一部の局面において、そのクロマトグラフィー機器は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)機器または超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)機器である。さらなる局面において、そのアリコートにされた上清は、トラップ-溶出ワークフロー(trap-and-elute workflow)を使用して分離および/または濃縮される。
【0011】
一部の局面において、そのアリコートにされた上清は、オープンポートインターフェース(open port interface)に音波により(acoustically)注入されてイオン化源に移されるか、またはイオン化源に直接注入される。別の局面において、そのイオン化された上清は、質量分析計で分析される。一部の局面において、イオン化された上清を質量分析計で分析する前に、示差移動度分光分析(differential mobility spectrometry)を使用して目的のイオンがそのイオン化された上清から選択される。
【0012】
一部の局面において、その方法は、液体サンプル加水分解の効率を改善するか、または液体サンプル加水分解産物の質を改善する。別の局面において、その加水分解産物の改善される質としては、持ち越し汚染(carryover)の減少が挙げられる。なお別の実施形態において、その方法は、液体サンプルを調製する自動化プロセスおよび/または連続プロセスで使用される。
【0013】
一部の局面において、その方法は、臨床分析用の液体サンプルを調製するために使用される。一部の局面において、その臨床分析は、依存性薬物をスクリーニングするために使用される。さらなる局面において、そのスクリーニングされる依存性薬物は、アンフェタミン、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸系、マリファナ、コカイン、PCP、メサドン、およびオピオイド(麻薬)からなる群より選択される。
【0014】
本開示の一局面は、液体サンプルを調製するためのキットに関し、そのキットは、
【0015】
β-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、プロリダーゼ、およびビオチン標識酵素からなる群より選択される、加水分解酵素、ならびに
【0016】
磁気ビーズまたは磁気粒子であって、その磁気ビーズまたは磁気粒子はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ストレプトアビジンを含むか、またはその磁気ビーズまたは磁気粒子は、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート(phosphate)、ジホスファート(diphosphate)、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有する、磁気ビーズまたは磁気粒子を含む。一部の局面において、そのキットは、1種もしくはそれ以上の内部標準、および/または液体クロマトグラフィーカラムおよび/または移動相として使用されるべき1種もしくはそれ以上の溶媒、1種もしくはそれ以上の較正物溶液、ならびに使用指示書を含み得る。
【0017】
本開示の他の局面および特徴は、本開示の具体的な実施形態に関する以下の説明を添付の図面と組み合わせて吟味すると、当業者にとって明らかになる。
【0018】
本開示の実施形態は、添付の図面に関して、例としてのためだけに、ここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1-1】
図1A~
図1Eは、本開示の一実施形態にしたがう依存性薬物についての等圧クロマトグラム(isobaric chromatogram)を示す。
【0020】
図1Aは、ピークの正体がモルヒネ、ヒドロモルフォン、ノルコデイン、およびノルヒドロコドンである、本開示のある実施形態を示す。
【0021】
【
図1-2】
図1Bは、ピークの正体がコデインおよびヒドロコドンである、本開示のある実施形態を示す。
【0022】
【
図1-3】
図1Cは、ピークの正体がオキシモルフォン、ジヒドロコデイン、およびノルオキシコドンである、本開示のある実施形態を示す。
【0023】
【
図1-4】
図1Dは、ピークの正体が6-モノアセチルモルヒネ(6-MAM)(ヘロイン特有の代謝産物)およびナロキソンである、本開示のある実施形態を示す。
【0024】
【
図1-5】
図1Eは、ピークの正体がノルクロザピンおよびフルニトラゼパムである本開示のある実施形態を示す。
【0025】
【
図2】
図2Aは、磁気ビーズに結合体化された酵素を示す。
【0026】
図2Bは、磁気ビーズへのβ-グルクロニダーゼの化学的固定化を示す。
【0027】
【
図3】
図3は、ある実施形態にしたがって加水分解された液体サンプルからの圧力追跡(pressure tracing)のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(詳細な説明)
本明細書において記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬は変化し得るので、本開示はそのような特定の方法論、プロトコル、および試薬には限定されないことが、理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は特定の実施形態を記載することだけを目的としており、本明細書において使用される用語法は本開示の範囲も特許請求の範囲の範囲も限定することは意図されないこともまた、理解されるべきである。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「ある(1つの)(a)、」「ある(1つの)(an)、」および「その(the)」は、そうではないと文脈が明示しない限りは、複数への言及を含む。
【0030】
用語「約」は、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて数値と組み合わせて使用され、この用語は、当業者に知られ受け入れられている精度の区間を示す。一般に、そのような精度の区間は+/-10%である。
【0031】
別途定義されない限りは、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0032】
本開示の実施形態は、液体サンプルを調製する方法を含む。その液体サンプルは生体サンプルを含み得る。生体サンプルは、生体液(biological fluid)であり得、この生体液としては、血液、血漿、血清、口腔液、または他の体液もしくは排泄物(例えば、唾液、尿、脳脊髄液、涙液、発汗、胃腸液(gastrointestinal fluid)、羊水、粘液(mucosal fluid)、胸水、皮脂(sebaceous oil)、呼気などであるが、それらに限定はされない)が挙げられ得るが、それらに限定はされない。
【0033】
ある実施形態において、その液体サンプルを調製する方法は、その液体サンプルを加水分解する工程を含む。一部の実施形態において、内部標準が加水分解前に添加されるが、その内部標準は加水分解が完了した後に添加され得ることが、当業者によって認識され得る。
【0034】
加水分解は、化学的または酵素的であり得る。酵素的加水分解は、タンパク質中のペプチド結合が酵素(例えば、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、またはペプチドヒドロラーゼ)を使用して加水分解されるプロセスである。プロテアーゼは、エキソペプチダーゼ(これはポリペプチド鎖の末端付近で作用し、これとしては、例えば、アミノペプチダーゼおよびジペプチジルペプチダーゼが挙げられる)、またはエンドペプチダーゼ(これは非末端ペプチド結合に対して作用し、これとしては、例えば、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、およびメタロエンドペプチダーゼが挙げられる)のいずれかであり得る。
【0035】
一部の実施形態において、その方法は、その液体サンプルを加水分解酵素で処理して加水分解産物を調製する工程を含む。適切な加水分解酵素としては、β-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、およびプロリダーゼが挙げられるが、それらに限定はされない。適切な加水分解酵素としてはまた、グリコシド結合(例えば、代謝プロセス中に形成されるグリコシド結合)を加水分解可能な加水分解酵素が挙げられる。これらのグリコシド結合の非限定的な例としては、コデイン-6-グルクロニド結合およびモルヒネ-6-グルクロニド結合が挙げられる。
【0036】
その加水分解酵素は、液体サンプルと、適切な時間インキュベートされ得る。適切な時間は、使用される加水分解酵素および加水分解される液体サンプルに依存し得る。加水分解インキュベーション時間の非限定的な例としては、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、または約20分間が挙げられる。一部の方法において、約20分間を超える加水分解インキュベーション時間が使用され得る。
【0037】
その加水分解酵素は、液体サンプルと適切な温度でインキュベートされ得る。適切な温度は、使用される加水分解酵素および加水分解される液体サンプルに依存し得る。加水分解温度の非限定的な例としては、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、または約60℃が挙げられる。ある実施形態において、その加水分解酵素は、生体サンプルと約55℃で約20分間インキュベートされる。
【0038】
ある実施形態において、その液体サンプルを調製する方法は、その加水分解産物を磁気に基づく精製で精製する工程を含む。一部の実施形態において、その磁気に基づく精製は磁気ビーズまたは磁気粒子を使用する。磁気ビーズまたは磁気粒子は、代表的には、常磁性の性質を有するナノ粒子またはマイクロ粒子である。磁気ビーズまたは磁気粒子は、代表的には、親水性で水溶液中に容易に分散する。その磁気ビーズまたは磁気粒子の表面コーティングおよび/または化学的性質は、種々の生体分子(例えば、タンパク質、ペプチド、および核酸)がその磁気ビーズまたは磁気粒子に結合することを可能にする。いったん目的の生体分子が磁気ビーズまたは磁気粒子に結合されると、磁力を印加することによって、懸濁物からの磁気分離がその磁気ビーズまたは磁気粒子に使用される。
【0039】
ある実施形態において、その加水分解酵素は磁気ビーズまたは磁気粒子に結合されている。ある実施形態において、その加水分解酵素はその磁気ビーズまたは磁気粒子に化学的に結合されている。ある例示的な実施形態において、その固定された加水分解酵素の存在下でその液体サンプルを加水分解に供すると、加水分解された液体サンプルを生じ、その加水分解された液体サンプルは、オープンポートインターフェース(open port interface)にて音波により(acoustically)放出(eject)されてイオン化源に移され得るか、またはイオン化源に直接注入され得る。
【0040】
ある実施形態において、その磁気に基づく精製は免疫精製またはアフィニティー精製に基づく。これらの実施形態において、その磁気ビーズまたは磁気粒子は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体ミミック、アプタマー、アフィマー、DARPin、または特異的標的に高い親和性で結合するオリゴヌクレオチドもしくはペプチドを含み得る。ある実施形態において、その磁気に基づく精製はストレプトアビジン-ビオチンシステムを使用し、そのシステムにおいて、その磁気ビーズまたは磁気粒子はストレプトアビジンを含み、その加水分解酵素はビオチンを含む。ある例示的な実施形態において、その液体サンプルは、ビオチン標識酵素を使用する前に加水分解される。加水分解が完了した後に、そのビオチン標識酵素は、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズまたはストレプトアビジンでコーティングした磁気粒子を使用してアフィニティーキャプチャーされる。その結果生じる加水分解された液体サンプルは、オープンポートインターフェース(open port interface)にて音波により(acoustically)放出(eject)されてイオン化源に移され得るか、またはイオン化源に直接注入され得る。
【0041】
ある実施形態において、その磁気ビーズ精製はイオン交換に基づく。これらの実施形態において、その磁気ビーズまたは磁気粒子は、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート(phosphate)、ジホスファート(diphosphate)、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有する。
【0042】
ある実施形態において、その磁気ビーズ精製工程は、その加水分解産物中のタンパク質および/または過剰なあらゆる加水分解酵素を沈殿させることを含む。沈殿方法の非限定的な例としては、温度変化、pH変化、および/もしくは塩濃度変化、または沈殿試薬の添加が挙げられる。例えば、Metz,Clyde、Chemistry:Inorganic Qualitative Analysis in the Laboratory、1980を参照こと。ある実施形態において、その加水分解産物中のタンパク質は、沈殿試薬を使用して沈殿させられる。沈殿試薬の非限定的な例としては、亜鉛塩、硫酸亜鉛、グリコール、アルコール、酸、スルファート(sulfate)、酸、アセトニトリルが挙げられる。沈殿試薬は、単独で、または他の沈殿試薬もしくは他の有機溶媒と組み合わせて、使用され得る。一実施形態において、その沈殿試薬は0.4M硫酸亜鉛である。
【0043】
ある実施形態において、その磁気ビーズ精製工程はまた、その磁気ビーズまたは磁気粒子を沈殿したタンパク質とともに、懸濁物を生成するのに十分な時間インキュベートすることを含む。適切な時間は、使用される磁気ビーズ精製の種類に依存し得る。一部の実施形態において、十分な時間は、10分間未満、あるいは9分間未満、あるいは8分間未満、あるいは7分間未満、あるいは6分間未満、あるいは5分間未満、あるいは4分間未満、あるいは3分間未満、あるいは2分間未満、あるいは1分間未満である。
【0044】
ある実施形態において、その磁気ビーズ精製工程はまた、その磁気ビーズまたは磁気粒子を懸濁物から磁気分離して上清を生成することを含む。磁気分離は、その磁気ビーズまたは磁気粒子に磁場を印加することを含み得、これは、その磁気ビーズまたは磁気粒子をサンプル容器の側壁に向けて引っ張る。その磁場は、磁気ラックを使用して印加され得る。これは、その磁気ビーズまたは磁気粒子に結合された目的の生体分子がその懸濁物から除去されることを可能にし、上清を生じ、この上清がアリコートにされて分析され得る。
【0045】
本開示のある実施形態において、分析機器が、アリコートにされた上清を分析するために使用され得る。用語「分析機器」は、サンプル(例えば、生体サンプル)を分析可能なあらゆる適切な機器を含み得る。分析機器の例としては、クロマトグラフィー機器、質量分析計、免疫分析機器、血液学分析機器、微生物学分析機器、および/または分子生物学分析機器が挙げられる。
【0046】
ある実施形態において、そのアリコートにされた上清は、クロマトグラフィー機器、マイクロフロー(microflow)、もしくは固相抽出を使用して、分離および/または濃縮される。クロマトグラフィー機器の例としては、液体クロマトグラフィー機器(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)機器または超高速クロマトグラフィー(UHPLC)機器)が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0047】
ある実施形態において、そのアリコートにされた上清は、質量分析計を使用して分析される。そのアリコートにされた上清は、さらに分離されて、またはさらに分離されることなく、質量分析計に導入され得る。分離が必要とされない場合には、そのアリコートにされた上清は、オープンポートインターフェース(open port interface)に音波により(acoustically)注入されてイオン化源に移され得、またはイオン化源に直接注入され得る。質量分析の前に行われる分離および/または濃縮としては、液体クロマトグラフィー、マイクロフロー(microflow)、および固相抽出が挙げられ得るが、それらに限定はされない。一部の実施形態において、トラップ-溶出ワークフロー(trap-and-elute workflow)が、使用され得る。
【0048】
ある実施形態において、イオン化された上清を質量分析計で分析する前に、示差移動度分光分析(differential mobility spectrometry)を使用して目的のイオンがそのイオン化された上清から選択される。示差移動度分光分析(differential mobility spectrometry)は、共溶出化合物、同重体(isobaric)化合物、異性体化合物、構造異性体、またはジアステレオマーの分離を可能にする。
【0049】
ある実施形態において、その方法は、臨床分析用の液体サンプルを調製するために使用される。その臨床分析は、依存性薬物をスクリーニングするために使用され得る。依存性薬物の非限定的な例としては、アンフェタミン、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸系、マリファナ、コカイン、PCP、メサドン、およびオピオイド(麻薬)が挙げられる。ある実施形態において、その臨床分析は臨床尿検査または検尿であり、その分析は、依存性薬物をスクリーニングするために使用される。尿は、依存性薬物について試験する際に使用される一般的な生体サンプルである。検尿または臨床尿検査は、依存性薬物の存在を、その薬物の影響が弱まった後に検出し得る。
【0050】
本開示の一実施形態は、分析用の液体サンプルを調製するためのキットを含む。そのキットは加水分解酵素を含む。加水分解酵素の非限定的な例としては、β-グルクロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、LysC、LysN、AspN、GluC、ArgC、プロナーゼ、ペプシン、プロリダーゼ、またはビオチン標識酵素が挙げられる。そのキットはまた、磁気ビーズまたは磁気粒子を含む。一部の実施形態において、その磁気ビーズまたは磁気粒子はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ストレプトアビジンを含み得、またはその磁気ビーズまたは磁気粒子は、デキストラン、カルボン酸ナトリウム、ホスファート(phosphate)、ジホスファート(diphosphate)、ポリアクリル酸、オレイン酸、シリカ、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリ(4-ビニルピリジン)、およびスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される表面コーティングを有し得る。そのキットは、1種またはそれ以上の内部標準をさらに含み得る。一部の実施形態において、その内部標準 は、サンプル、ブランク、および較正標準に一定量で添加され得る。その内部標準は、目的の分析物に非常に類似する化合物であり得る。そのキットはまた、液体クロマトグラフィーカラムを含み得る。その液体クロマトグラフィーカラムは、逆相クロマトグラフィーカラムであり得る。逆相クロマトグラフィーカラムの非限定的な例としては、C18結合シリカ、C8結合シリカ、純シリカ、シアノ結合シリカ、およびフェニル結合シリカが挙げられる。そのキットはまた、1種またはそれ以上の溶媒を含み得る。適切なクロマトグラフィー溶媒の非限定的な例としては、有機溶媒、例えば、アセトニトリル、メタノール、およびプロパノールが挙げられる。クロマトグラフィーピークの形状を改善するために、酸(例えば、ギ酸、トリフルオロ酢酸、または酢酸)が、含まれ得る。これらの酸はまた、逆相LC/MS適用におけるプロトンの供給源を提供する。そのキットはまた、1種もしくはそれ以上の較正物溶液または較正溶液を含み得る。その較正物溶液または較正溶液は、分析機器を較正するために使用され得る。そのキットはまた、使用指示書を含み得る。
【実施例】
【0051】
(実施例)
【0052】
(実施例1:例示的なサンプルの調製および分析方法)
【0053】
尿サンプルを、https://www.samhsa.gov/sites/default/files/specimen-collection-handbook-2014.pdfで入手可能であるSAMHSAガイドライン(Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Prevention)にしたがって収集し得る。尿検体を、代表的には収集後24時間以内に、認証された実験室に提出する。
【0054】
30μLアリコートの内部標準、80μLの水、40μLの加水分解酵素、および20μLの尿サンプルを、プラスチック反応容器に添加する。その尿サンプルをボルテックス処理によって混合し、その後、グリコシド結合(コデイン-6-グルクロニドおよびモルヒネ-6-グルクロニドを含む)を加水分解可能であると証明されている速効性酵素によって、55℃で15分間加水分解する。その後、25μL量の磁気ビーズ(1mg/mL)、および105μLの水、および30μLの0.4M硫酸亜鉛を、その反応環境に添加する。短くボルテックス処理した後で、磁気ラックを使用して、沈殿したタンパク質を伴うその磁気ビーズを反応容器の片側に引き付け、それにより、目的の分析物を含む非常に清浄な上清が残る。その後、この上清を、容易にアリコートにしてHPLCバイアル中に入れ得、または質量分析計に直接注入し得る。
【0055】
選択されたサンプルのクロマトグラムが
図1A~
図1Eにおいて示されており、それらのクロマトグラムは、モルヒネ、ヒドロモルフォン、ノルコデイン、ノルヒドロコドン(
図1A)、コデインおよびヒドロコドン(
図1B)、オキシモルフォン、ジヒドロコデイン、およびノルオキシコドン(
図1C)、6-モノアセチルモルヒネ(6-MAM)およびナロキソン(
図1D)、ならびにノルクロザピンおよびフルニトラゼパム(
図1E)の存在を同定している。
【0056】
(実施例2:液体サンプルのオンビーズ(on-bead)加水分解)
【0057】
較正曲線ならびにモルヒネおよびコデインについての品質対照サンプルを、従来の加水分解方法およびオンビーズ(on-bead)加水分解方法の両方を使用して実験(run)した。研究サンプルは、モルヒネ-6-グルクロニドおよびコデイン-6-グルクロニドを添加した尿サンプルであった。表1は、その標的濃度を示す。
表1
【表1】
【0058】
その試験サンプルを、加水分解酵素を添加した場合および加水分解酵素を添加しない場合で、従来の方法を使用して実験(run)した。その試験サンプルを、加水分解酵素-オンビーズ(on-bead)方法を使用してもまた実験(run)した。これらのサンプルを55℃で15分間および60分間インキュベートしたことからの結果が、表2において示されている。
(表2)
【表2】
【0059】
グルクロニドは、許容範囲内の濃度を生じるのに十分に効率的にモルヒネ-6-グルクロニド分子から切断された。グルクロニドは、コデイン-6-グルクロニド分子からも切断されたが、時間依存的様式で効率性がより低かった。信頼できる音波による注入(acoustic injection)または直接注入のために適切な清浄なサンプルもまた、磁気ビーズを用いて生成した。その酵素はそのビーズに結合体化されており、液体クロマトグラフィー機器またはイオン化源に注入されるので、過剰な酵素を沈殿させる必要性は存在しない。結果として、サンプル調製中の沈殿工程が排除され(時間および試薬を節約し)、非常に安定で再現性があるカラム圧力プロファイルがこの研究全体を通じて達成された。
【0060】
図3は、この研究中に分析した各個のサンプルの圧力追跡(pressure tracing)のグラフ表示である。表3は、この16サンプルの研究にわたる平均圧力追跡(pressure tracing)の面積値、その標準偏差、およびその非常に低い変動係数値をまとめている。
(表3)
【表3】
【0061】
本開示が特定の実施形態に関して記載されてきたが、本開示の範囲からも添付の特許請求の範囲の範囲からも逸脱することなく、種々の変更が行われ得、等価物が置換され得ることが、当業者によって理解される。さらに、本開示の教示の範囲から逸脱することなく、
特定の状況または物質を本開示の教示に適合させるために多くの改変が行われ得る。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、しかし、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるすべての局面を含むことが、意図される。
【0062】
上記のすべての特許、特許出願、公開物、および記載は、それらの全体が参照によって本明細書に援用される。
【国際調査報告】