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特表2024-513701多材料三次元プリンタおよび三次元物体を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】多材料三次元プリンタおよび三次元物体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20240319BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240319BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240319BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240319BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240319BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240319BHJP
【FI】
B29C64/165
B29C64/209
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556759
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022022784
(87)【国際公開番号】W WO2022212676
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】17/392,727
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/218,756
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/569,105
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エウゲン ログレン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AP06
4F213AQ01
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL52
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】多材料三次元プリンタおよび三次元物体の製造方法を提供する。
【解決手段】ジェットバインダ印刷システムは、その長手方向に沿って移動するように構成されたキャリア基板と、調整可能なバインダをキャリア基板に提供するように構成された調整可能なバインダプリンタと、調整可能なバインダプリンタからキャリア基板の長手方向に沿って下流側に配置された分配モジュールと、一バインダプリンタとを備える。分配モジュールは、少なくとも1つの粉末容器を含み、キャリア基板上に粉末を分配するように構成される。一次バインダプリンタは、キャリア基板の長手方向に沿って圧縮モジュールから下流側に配置される。一次バインダプリンタは、所望のパターンに従って、分配された粉末上に一次バインダを印刷するように構成されたプリントヘッドを含む。一次バインダは、調整可能なバインダが印刷される表面の反対側の粉末の表面に印刷される。一次バインダは、調整可能なバインダのパターンに一致するように印刷される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
長手方向に延びるように構成されたキャリア基板と、
前記キャリア基板に調整可能なバインダを提供するように構成された調整可能なバインダプリンタと、
前記キャリア基板上に粉末を分配するように構成された分配モジュールと、
所望のパターンに従って分配された粉末上に一次バインダを印刷するように構成された一次バインダプリンタとを備え、
前記一次バインダプリンタは、前記調整可能なバインダのパターンと調和するように前記一次バインダを印刷するように構成されている、プリンタ。
【請求項2】
前記プリンタは、ジェットバインダプリンティングシステムの一部であり、
前記キャリア基板は、長手方向に移動するように構成されており、
前記分配モジュールは、前記キャリア基板の長手方向において前記調整可能なバインダプリンタの下流に配置されており、
前記分配モジュールは、少なくとも一つの粉末容器を含み、
前記プリンタは、さらに、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記分配モジュールの下流に配置された圧縮モジュールを備え、
前記圧縮モジュールは、分配された粉末の圧縮度を所望の圧縮範囲に高めるために、前記キャリ基板の長手方向に対してほぼ直交する方向に制御された圧力を付与するように構成されており、
前記一次バインダプリンタは、前記圧縮モジュールによって粉末を圧縮した後に一次バインダを付与するように配置されており、前記一次バインダプリンタは、所望のパターンに従って分配された粉末上に一次バインダを印刷するように構成されたプリントヘッドを含み、
前記一次バインダプリンタは、調整可能なバインダが印刷される表面とは反対側の粉末の表面に一次バインダを印刷するように構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記調整可能なバインダは、前記粉末の位置を固定し、調整可能なバインダの前記粉末及び/又は前記キャリア基板への接着力を提供するように構成されている、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記調整可能なバインダは、一次バインダを有する粉末と一次バインダを有さない粉末との間の接着力の相違を増加させるように構成される、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記一次バインダプリンタは、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記圧縮モジュールから下流に配置されており、
前記プリンタは、溶融モジュールと、材料除去モジュールと、移送モジュールと、アセンブリステーションと、コントローラとを備え、
前記溶融モジュールは、前記一次バインダプリンタから前記キャリア基板の長手方向に沿って下流に配置されており、前記溶融モジュールは、エネルギー源を含み、所望のパターンに従って、調整可能なバインダ、粉末、および一次バインダを含む材料層の選択的な溶融を引き起こすように構成されており、
前記材料除去モジュールは、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記溶融モジュールから下流側に配置されており、前記材料除去モジュールは、複数の材料除去装置を含み、前記材料層の非溶融部分を除去して、1つまたは複数のパターン化された単層オブジェクトを形成するように構成されており、
前記移送モジュールは、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記材料除去モジュールから下流側に配置されており、前記移送モジュールは、前記1つ以上のパターン化された単層オブジェクトのうちの1つを前記キャリア基板からアセンブリプレートに移送するように構成されており、
前記アセンブリステーションは、前記アセンブリプレートを備え、パターン化された単層オブジェクトが、前記パターン化された単層オブジェクトは、パターン化された単層オブジェクトをオブジェクトの所望のシーケンスに従ってアセンブリプレート上のスタックに組み立てられるものであり、
前記コントローラは、前記所望のシーケンスおよび所望のパターンを制御するものである、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記アセンブリステーションはさらに、
前記アセンブリプレートを横方向に変位させるための横方向ポジショナと、
前記アセンブリプレートを垂直方向に変位させるための縦方向ポジショナとを備える、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記キャリア基板は、前記パターン化された単層オブジェクトの各々のための基準マーカーを備え、
前記アセンブリステーションは、前記基準マーカーを前記アセンブリプレートに位置合わせするための位置合わせセンサを備える、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記キャリア基板がベルトである、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記材料層が形成された接着力制御層をさらに含む、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記分配モジュールは、所望の制御された条件で流動化粉末を収容するように、および/または前記キャリア基板上に分配された粉末の所望の量を計量するように構成された、1つまたは複数の粉末容器を備える、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記分配モジュールは、前記キャリア基板上に前記粉末を広げるように構成された1つ以上の分配ローラを備える、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記圧縮モジュールは、前記粉末の沈降を引き起こす振動エネルギー源を備える、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記調整可能なバインダプリンタおよび前記一次バインダプリンタは、前記調整可能なバインダおよび前記一次バインダの両方を前記キャリア基板に提供するように構成されたプリントヘッドから構成される、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項14】
前記キャリア基板は固定位置に配置され、前記プリントヘッドは移動方向および前記移動方向とは逆方向に移動するように構成される、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記キャリア基板は、前記分配された調整可能なバインダ、前記分配された粉末、および前記分配された一次バインダを受け取るために、移動方向および前記移動方向とは逆の方向に移動するように構成される、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項16】
前記キャリア基板は、前記分配された粉末が前記圧縮モジュールによって圧縮された後に、前記分配された粉末を上流に移動させて、前記一次バインダを受け取るために前記分配された粉末を前記バインダプリンタに戻すように構成される、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項17】
前記調整可能なバインダまたは粉末と共に、または前記調整可能なバインダまたは粉末内に基準マーカーを堆積させるように構成された堆積モジュールをさらに備える、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項18】
前記基準マーカーの位置を感知し、前記調整可能なバインダ/粉末混合物上への前記一次バインダの噴射を可能にするために必要な位置調整を決定するように構成されたセンサをさらに備える、請求項17に記載のプリンタ。
【請求項19】
前記調整可能なバインダ/粉末混合物と前記バインダプリンタの前記プリントヘッドとの間の関係を調整するように位置合わせアクチュエータを向けるように構成されたコンピュータシステムをさらに備える、請求項18に記載のプリンタ。
【請求項20】
三次元物体を製造する方法であって、
所望のパターンに従ってキャリア基板の長手方向表面上に調整可能なバインダを分配することと、
前記キャリア基板上の調整可能なバインダ上に粉末を分配することと、
所望のパターンに従って前記粉末上に一次バインダを分配することとを備える、方法。
【請求項21】
前記所望のパターンに従って前記粉末を選択的に溶融することと、
前記粉末の非溶融部分を除去して、パターン化された物体を形成することとをさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粉末上に前記一次バインダを分配する前に、前記粉末を所望の圧縮範囲に圧縮することをさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
パターン化された単層オブジェクトを前記キャリア基板からアセンブリプレートに移送することと、
調整可能なバインダの分配、調整可能なバインダ上への粉末の分配、粉末の圧縮、一次バインダの分配、圧縮された粉末の選択的な溶融、および非溶融部分の除去を繰り返して、パターン化された多層オブジェクトを形成することとをさらに備える、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記圧縮された粉末上に前記一次バインダを分配することは、前記調整可能なバインダが分配される表面の反対側の前記粉末の表面上に前記一次バインダを分配することと、前記調整可能なバインダの前記所望のパターンと協調して前記一次バインダを分配することとを備える、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記キャリア基板は固定された位置に配置され、前記バインダプリンタのプリントヘッドは移動方向および前記移動方向とは逆方向に移動する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記キャリア基板は、前記分配された調整可能なバインダ、前記分配された粉末、および前記分配された一次バインダを受け取るために、移動方向および前記移動方向とは逆方向に移動する、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記調整可能なバインダまたは粉末と共に、またはその中に基準マーカーを堆積させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記基準マーカーの位置を感知することと、前記調整可能なバインダ/粉末混合物上に前記一次バインダの噴射を可能にするために必要とされる位置調整を決定することとをさらに備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記調整可能なバインダ/粉末混合物と前記バインダプリンタのプリントヘッドとの間の関係を調整するために、位置合わせアクチュエータを方向付けるためのコンピュータシステムを使用することをさらに備える、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ジェットバインダプリンタを用いた三次元(3D)印刷に関し、特に、粉末堆積の前にキャリア基板に調整可能なバインダを付与することに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)印刷は、より速くより経済的な製造アプローチの可能性において高い関心を生み出している。今日、3Dプリンタの大部分は、デモンストレーション部品または非機能的プロトタイプを作製するために使用され、そのほとんどは、最終部品の材料要件ではなく、主にプリンタとの適合性のために選択されるプラスチック材料からである。商業的に実行可能な製造方法としての3Dプリンティングの広範な受け入れを妨げる問題の中には、これらの用途に適合する特定の材料のための特定の用途の要件がある。
【0003】
最も一般的な3D印刷技術は、典型的には先に作成された層上に直接パターン化されるパターン化層を積み重ねることによって、パターン化された3Dオブジェクト(物体)を作成する。このアプローチは一般に、例えば、パターン生成ステップとアセンブリステップとの間でパターン化された層の操作を必要としないことによって、3Dオブジェクト作成プロセスを単純化するという利点を有する。加えて、粉末床ベースのプロセスでは、インサイチュ(その場所での)パターン生成が粉末の第1の層の生成を容易にし、第1のパターン層がビルド箱によって閉じ込められる粉末のいくつかの層の床上にあることを可能にする。必然的に滑らかな表面上に微粉末の制御された安定な層を生成することは、典型的には困難である。なぜなら、粉末は緩い粉末層をならすことによって、または調整することによって容易に動いてしまうからである。その下の粉末の均一な床によって安定化される粉末、およびビルド箱の閉じ込めは、より均一かつ安定であり得る。
【0004】
パターン化された層をその場で生成することの欠点は、粉末床ベースの3Dプリンタの能力を制限し得る多くの問題を提起することである。インサイチュビルドの限界としては、例えば、交差汚染(クロスコンタミネーション)を回避するために単一材料に限定されること、粉末層の所望の一貫した密度を得るように粉末層を調整することができないこと、層の厚さおよび特徴の精度を最適化するために単一より多くのパターン生成方法を使用することができないこと、および欠陥層が完全な印刷部分に組み込まれる前に欠陥層を拒絶または修正することができないことが挙げられる。パターン生成ステップと組立ステップとの分離を可能にする方法は、上記の欠点を回避することによって有利であり得る。調整可能なバインダ層を実施することにより、パターン化された粉末の安定で均一かつ転写可能な層をキャリア基板上に直接作製することが可能になり得る。
【発明の概要】
【0005】
1つの大きな局面では、本出願はジェットバインダプリンティングシステムを記載する。ジェットバインダシステムは、キャリア基板と、調整可能なバインダプリンタと、分配モジュールと、圧縮モジュールと、一次バインダプリンタとを備える。キャリア基板は、その長手方向に沿って移動するように構成される。調整可能なバインダプリンタは、調整可能なバインダをキャリア基板に提供するように構成される。分配モジュールは、キャリア基板の長手方向において調整可能なバインダプリンタの下流に配置される。分配モジュールは、少なくとも1つの粉末容器を含み、キャリア基板上に粉末を分配するように構成される。圧縮モジュールは、キャリア基板の長手方向に沿って分配モジュールの下流に配置される。圧縮モジュールは、キャリア基板の長手方向に対してほぼ直交する方向に制御圧力を付与するように構成され、それによって、分配された粉末の圧縮を所望の圧縮範囲に増加させる。一次バインダプリンタは、キャリア基板の長手方向にそって圧縮モジュールの下流に配置される。一次バインダプリンタは、所望のパターンに従って、分配された粉末上に一次バインダを印刷するように構成されたプリントヘッドを備える。一次バインダは、調整可能なバインダが印刷される表面とは反対側の粉末の表面上に印刷される。一次バインダは、調整可能なバインダのパターンと一致するように印刷される。
【0006】
上記の大きな局面は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、調整可能なバインダは、一次バインダと相溶性であり、粉末の位置を維持するように構成され、または粉末および一次バインダへの接着力を提供するように構成される。
【0007】
別の実施例では、ジェットバインダプリンタシステムは、キャリア基板の長手方向に沿って一次バインダプリンタの下流側に配置された溶融モジュールと、材料除去モジュールと、移送モジュールと、アセンブリステーションと、コントローラとを備える。溶融モジュールは、エネルギー源を含み、所望のパターンに従って材料層の選択的溶融を引き起こすように構成される。材料除去モジュールは、キャリア基板の長手方向に沿って溶融モジュールの下流側に配置される。材料除去モジュールは、複数の材料除去装置を含み、材料層の非溶融部分を除去して1つまたは複数のパターン化された単一層オブジェクトを形成するように構成される。移送モジュールは、キャリア基板の長手方向に沿って材料除去モジュールの下流側に配置され、パターン化された単一層オブジェクトの1つをキャリア基板からアセンブリプレートに移送するように構成される。アセンブリステーションは、アセンブリプレートを備え、パターン化された単一層オブジェクトがパターン化された単一層オブジェクトを含む所望のオブジェクトのシーケンスに従ってアセンブリプレート上のスタックに組み立てられものである。コントローラは、所望のシーケンスおよび所望のパターンを制御する。
【0008】
さらなる例として、キャリア基材はベルトであるか、または材料層が形成される接着力制御層をさらに含む。分配モジュールは、所望の制御された条件で流動化粉末を収容するように構成された1つまたは複数の粉末容器を含む。
【0009】
追加の例として、分配モジュールは、キャリア基板上に分配された粉末の所望の量を計量するように構成された1つまたは複数の分配コントローラを含み、分配ローラは粉末をキャリア基板上に広げるように構成され、圧縮機モジュールは粉末の沈降を引き起こすための振動エネルギー源を含む。
【0010】
別の実施例では、アセンブリステーションは、アセンブリプレートを横方向に変位させるための横方向ポジショナと、アセンブリプレートを垂直方向に変位させるための垂直方向ポジショナとをさらに含み、キャリア基板はパターン化された単層オブジェクトの各々のための基準マーカーを含み、アセンブリステーションは基準マーカーをアセンブリプレートに位置合わせするための位置合わせセンサを備える。
【0011】
別の総括的な態様では、本出願が3次元物体を製造する方法を記載し、その方法は、所望のパターンに従ってキャリア基板の長手方向表面上に調整可能なバインダを分配することと、キャリア基板上の調整可能なバインダ上に粉末を分配することと、粉末を所望の圧縮範囲に圧縮することと、所望のパターンに従って圧縮粉末上に一次バインダを分配することと、所望のパターンに従って圧縮粉末を選択的に溶融することと、圧縮粉末の非溶融部分を除去して、パターン化された単層物体の1つを形成することとを含む。
【0012】
上記の包括的な態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、本方法は、パターン化された単層オブジェクトをキャリア基板からアセンブリプレートに移送することと、調整可能なバインダの分配、調整可能なバインダ上への粉末の分配、粉末の圧縮、一次バインダの分配、圧縮された粉末を選択的な溶融、および非溶融部分の除去を繰り返すこととを含み、それによってパターン化された多層オブジェクトを形成する。
【0013】
別の実施例として、調整可能なバインダを分配することは粉末の位置を規定することを含み、粉末を分配することは規定された位置で調整可能なバインダに粉末を接着することを含む。
【0014】
この概要は、以下の詳細な説明で記載されるものを簡略化された形式で選択された概念を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される対象の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される対象の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。さらに、特許請求される主題は、本開示の任意の部分に記載される任意のまたはすべての欠点を解決する実施形態に限定されない。
【0015】
これらの様々な一般的な態様のさらなる利点および新規な特徴は、部分的に以下の説明に記載され、部分的に以下の検討または本発明の実施による学習により、当業者にはより明らかになるのであろう。
【0016】
図面は、本教示に従う1つまたは複数の実施形態を、限定としてではなく、単なる例として示す。図面において、同様の参照番号は、同じまたは同様の要素を指す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】様々な実施による、3Dインクジェット印刷のためのプロセスを示すフローチャートである。
図2】様々な実施による、3Dジェットバインダプリンタの図である。
図3】様々な実施によるキャリア基板の図である。
図4】様々な実施による、3Dジェットバインダプリンタを制御するように構成されたコンピュータシステムの図である。
図5】様々な実施による、3Dジェットバインダプリンタとともに使用するプリントステーションコントローラの概略図である。
図6】本明細書に記載のシステムおよび方法を実施するように構成された例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
図7】機械読み取り可能な媒体から指令を読み取るように構成された例示的な機械の構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、関連する教示の完全な理解を提供するために、例として多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本教示がそのような詳細なしに実施され得ることは明らかである。他の例では、周知の方法、手順、部品、および/または回路は本教示の態様を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細なしに比較的高レベルで説明されている。
【0019】
3D印刷は、精密な薄い層が必要とされるとき、比較的厚い層を堆積させる能力がその有用性を制限し、典型的には粉末の堆積位置に精度を欠くという技術的問題を呈する。これらの技術的問題に取り組むために、さらに、一例では、本説明において典型的にはジェットバインダ印刷に関連しない材料およびプロセスの組合せを使用して、印刷された物体、印刷された層および印刷された部品を作成するように設計された3Dジェットバインダプリンタのための技術的解決策を提供する。
【0020】
3D印刷部分を製造するための基本プロセスは、典型的には例えば、所望の部分の構造、材料、および仕様を完全に定義するCADファイルを用いて開始することができる。CADファイルに記載される部分は、印刷パターン層にスライスされてもよく(切り取られてもよく)、各層の厚さは、最終的な厚さおよびパターン公差のような、印刷部分内の各位置の仕様によって決定される。次いで、各層は、異なる材料を必要とし得る領域に分離され得る。次いで、異なる材料要件の領域の各々のためのプリンタ制御命令が、入力デバイスおよび中央処理ユニットおよびインターフェースバスを介して、設計ファイルから、ジェットバインダプリンタシステムの適切な印刷ステーション制御ユニットに転送され得る。本明細書では、「印刷部分」は、部分を形成するために互いに融合され得る印刷された副部分又は層の任意の集合体を含む。そのような集合体はその構成部分を融合する前または融合した後に、「印刷部分」と呼ばれることがある。本明細書では、「印刷層」は、所望の印刷部分内の所望の位置の設計に適合する水平設計を有し得る、1つ以上の材料の層、1つのボクセル厚を含む。一実施形態では、ボクセルが概念的な3次元空間を構成するボリュームの要素のアレイである。
【0021】
図1は、様々な実施による、3Dジェットバインダ印刷のためのプロセスを示すフローチャートである。この方法はS110で開始し、ここでは、調整可能なバインダがキャリア基板上に堆積される。例えば、調整可能なバインダは、キャリア基板が例えば第1のインクジェットプリントヘッドを介して移動している間に、キャリア基板上に堆積される。様々な実施において、粉末堆積/再コーティング/コンディショニングの前に、調整可能なバインダ材料の層が、例えば、インクジェットを介して、印刷されたオブジェクトの同じまたは正確なパターンでキャリア基板上に堆積され得る。調整可能なバインダは例えば、調整可能な粉末の堆積層の粘度を変更するための放射線源への曝露、または堆積層の流動特性を変更するための堆積層中への反応性材料の組み込みを介して、その上にくる粉末の堆積の準備をするために処理され得る。
【0022】
調整可能なバインダがキャリア基板上に堆積されると、S120において、方法は、例えば粉末ディスペンサを使用して、キャリア基板上に堆積される調整可能なバインダ上に粉末または粉末層を堆積する。粉末は、コンディショニング工程後に所望の厚さの粉末となる粉末で活性領域を均一に覆うように計算された量で、キャリア基板の活性領域全体に計量供給されてもよい。前のステップにおいて堆積された調整可能なバインダの量は、堆積された全ての粉末を濡らすのに十分であり得るか、または堆積された粉末の下部分のみを濡らすのに十分な調整可能なバインダであり得る。調整可能なバインダ/粉末複合体は、調整可能なバインダ/粉末複合体とキャリア基板との間に一時的な結合を形成するように設計されてもよい。それによって、後続の操作中に、印刷された物体がキャリア基板から解放されて印刷部分に接合されるまで、調整可能なバインダ/粉末複合体の堆積時の位置を維持する。
【0023】
S130において、堆積された粉末および調整可能なバインダの両方が、粉末の密度を増加させるために調整される。例えば、粉末は、圧力カフなどの装置で所定の密度に圧縮することによって、または例えばUV、IR、X線などのエネルギー源に曝露することによって、または例えば電子などの粒子に曝露することによって調整することができる。
【0024】
S140において、一次バインダが粉末上に堆積されて、例えば、パターン化された層を形成する。粉末が調整可能なバインダ上に堆積され、再コーティングされ、調整された後、一次バインダ堆積装置は、下にある粉末および調整可能なバインダと正確に整列して一次バインダを堆積することができる。例えば、調整可能なバインダの体積は粉末を安定させて定位置に保持するのに十分であるが、粉末を完全に湿潤させ、後続の層への取り付けのための接着面を提供するのに十分ではないように選択することができる。その場合、一次バインダは単に、粉末の上部の非湿潤層を湿潤させて、調整可能な結合剤および一次バインダの両方における粉末層全体にわたって均一な結合作用を提供し、粉末を容易に湿潤させるように配合される。
【0025】
様々な実施において、調整可能なバインダが一次バインダと同じ材料であってもよいし、またはそれを含んでもよく、あるいは異なるが相溶性の材料であってもよいし、またはそれを含んでもよい。例えば、調整可能なバインダと一次バインダとは、不利に反応せず、例えば、化学的に反応して互いに劣化したり、調整可能なバインダと一次バインダとの間に挟まれた粉末を劣化させたりすることがない。さらに、一次バインダおよび調整可能なバインダは焼結プロセス中に、例えば焼結プロセス中に破壊的に相互作用しないようなバーンアウト速度特性に関して、相溶性であってもよい。一次バインダ及び調整可能なバインダは、一方又は他方又は両方が粉末及びバインダの焼結プロセス(沈着プロセス)が完了した後に、許容できない又は有害な汚染物を残さないように、同じ焼結雰囲気と相溶性であってもよい。調整可能なバインダ層は、粉末粒子の底部層と主に相互作用するかまたは接着する薄層であってもよい。実施形態では、調整可能なバインダが印刷された物体を固結する唯一のバインダであってもよい。
【0026】
様々な実施において、調整可能なバインダの材料が、エネルギー曝露の形態によって接着強度に関して調整可能であるように選択することができ、すなわち、調整可能なバインダの上に重なる粉末への接着は調整可能なバインダを例えば熱などの照射に曝露することによって調整することができる。調整可能なバインダの接着力の調整は、調整可能なバインダのキャリアへの所望の接着力、調整可能なバインダの粉末への接着力、または調整可能なバインダのキャリアと粉末の両方への接着力を提供するために行うことができる。調整可能なバインダに照射されるエネルギーは、電気エネルギー、熱エネルギー、電磁エネルギー、または機械的エネルギーであってもよい。
【0027】
様々な実施において、調整可能なバインダおよび一次バインダが同じ多材料プリントヘッドから堆積されてもよく、または調整可能なバインダおよび一次バインダの各々は別個のプリントヘッドから堆積されてもよい。いずれの場合も、一次バインダと調整可能なバインダ位置との位置合わせは、調整可能なバインダが堆積される基板の正確な位置を維持し、一次バインダプリントヘッドの既知の位置と位置合わせするようにパターンを移動させるように構成されたいくつかの位置合わせ方策およびシステムのうちのいずれか1つによって保証され得る。
【0028】
様々な実施において、調整可能なバインダのパターンの位置が、キャリア基板の位置を読み取るように構成されたエンコーダを設けることによって知られ得る。一次バインダプリントヘッドへの調整可能なバインダのアライメントの別の方法は、調整可能なバインダパターンまたは調整可能なバインダが堆積される基板のいずれかに組み込まれたアライメント基準を使用することができる。基準の位置は、一次バインダプリントヘッドに対する既知の位置にあるセンサによって検出することができ、調整可能なバインダの位置は、センサからの位置データに基づいて一次バインダプリントヘッドと正確に位置合わせするように調整することができる。位置合わせの他の方法も利用することができる。
【0029】
様々な実施は、粉末層の両表面、すなわち上面および下面からの粉末の薄層をバインダの堆積物で飽和させることを含む。下面のバインダは調整可能なバインダであってもよく、上面のバインダは一次バインダであってもよい。調整可能なバインダおよび一次バインダは、異なっていてもよいし同じであってもよい。粉末の薄層をバインダで飽和させることは、ジェットバインダベースのプリンタを介して行うことができる。キャリア基板と接触している堆積粉末層の表面は、キャリア基板への粉末層の接着力、またはバインダへの粉末層の接着力を調節し得る材料で処理され得る。パターン生成プロセスの個々のステップは、各ステップに適切な薬剤(エージェント)を選択するために、より正確に対処することができる。例えば、調整可能なバインダは、一次バインダを有する粉末と、一次バインダを有さない粉末との間の接着力の差を増加させながら、その上に堆積される粉末の位置を維持するように選択され得る。これは、印刷された物体と共に残ることが意図されない粉末の除去を容易にする。換言すれば、調整可能なバインダは、キャリア基板上に印刷されるように設計されていない粉末を除去することを容易にする。調整可能なバインダの選択はまた、キャリア基板から、例えば、ビルドステーションへの、結果として得られる印刷オブジェクト(物体)の転写を改善し得る。
【0030】
S150において、印刷された層を急速に乾燥させるために、堆積した印刷層に硬化プロセスを適用することができる。例えば、調節可能なバインダおよび一次バインダの両方は、例えば、紫外線(UV)、赤外線(IR)またはマイクロ波放射などのエネルギー源を適用することによって、または電子もしくは化学触媒などの粒子を適用することによって、キュアおよび硬化され得る。硬化ステップが完了すると、S160において、ジェットバインダに曝露されていない粉末を除去することができる。したがって、任意の遊離(loose)粉末は,例えば、機械的破壊器、エアナイフ、真空ポートなどを使用することによって除去され得る。S160で未露光の粉末が除去されると、印刷層はS170でビルドステーションに移送され、そこで、前に印刷された層のスタックに移送されるか、または第1の印刷層として、ビルドステーション上で新しいスタックを開始する。このプロセスは、S170において、所望の印刷部分のすべての層がビルドステーションに移されるまで繰り返されてもよい。完成部分がビルドプレート上に組み立てられると、完成部分はS180においてビルドプレートから取り出され、S190において、焼結または他の成熟ステップ、例えば、熱または他のエネルギー源の適用による重合ステップなどのために、炉内に配置される。
【0031】
図2は、3Dプリンタシステムの基本的な構成要素のいくつかを示す。簡単にするために、複数のプリンタモジュールAおよび移送モジュールBのうちの1つのみが図2に表されている。図2は、プリンタモジュールAと、移送モジュールBと、アセンブリ装置Cとの間の可能な関係をさらに示す。
【0032】
[ジェットバインダプリンタモジュール]
様々な実施において、図2のプリンタモジュールAがジェットバインダプリンタモジュールとして表され、所望の物理的仕様に適合する、粉末材料から印刷物体を作成するための部品を含む。ジェットバインダプリンタモジュールは、転写モジュールB(移送モジュールとも記載する)のキャリア基板200上に印刷物体を生成することができる。
【0033】
[調整可能なバインダ]
様々な実施において、専用の調整可能なバインダプリンタ45が、分配モジュールまたは装置20からの移動方向の上流、すなわち、キャリア基板200の長手方向の移動方向においてキャリア基板200上の粉末分配モジュールまたは装置20の前方に設けられてもよい。この場合、キャリア基板200は右から左に向かうように、図2に示す移動方向にのみ移動してもよい。この実施において、調整可能なバインダプリンタ45が、キャリア基板200が調整可能なバインダパターンを分配モジュールまたは装置20の下に移動させる前に、調整可能なバインダを所望のパターンでキャリア基板200上に堆積させることができ、ここで、調整可能なバインダパターンの上に流動化粉末を分配することができる。そこから、キャリア基板200は、その上に流動性粉末を有する調整可能なバインダパターンを圧縮モジュール(圧縮装置または調整装置とも呼ばれる)30を通して輸送して、流動性粉末および調整可能なバインダを所望の密度に圧縮することができる。次いで、キャリア基板200は、調整可能なバインダ/流動性粉末構造を位置合わせモジュール(位置合わせデバイスまたは位置合わせセンサとも呼ばれる)35に輸送してもよく、その結果、調整可能なバインダ/流動性粉末構造は、一次バインダプリンタ40が調整可能なバインダ/流動性粉末構造内の調整可能なバインダのパターンと正確に位置合わせして一次バインダを堆積することができるように位置合わせされてもよい。したがって、調整可能なバインダはキャリア基板200上に堆積され、キャリア基板200は、粉末堆積再コーティングおよび調整ステップに進む。これは、キャリア基板200が一次バインダプリンタ40の場所に到達する前である。その場所では、調整可能なバインダの正確なX/Yパターンに一致するように、しかし堆積された粉末の反対側の表面上に、一次バインダが堆積される。したがって、堆積した粉末は調整可能なバインダによって第1の表面上に、続いて一次バインダによって第2の表面上に湿潤される。バインダの総量は、粉末の第1の表面または第2の表面のいずれかを覆うフィルムを形成することなく、粉末の大部分またはすべてを適切な位置に固定するのに十分であると決定され得る。
【0034】
一実施形態では、各粉末について、再コーティングされた粉末の相対体積濃度および湿潤特性が知られていてもよい。粉末の相対体積濃度および湿潤特性に基づいて、粉末を所望のレベルまで充填および湿潤させることができる調整可能なバインダの体積を計算することができる。そのような計算の例として、印刷された物体に組み込まれるべき粉末の絶対体積が知られてもよく、圧縮モジュールによって粉末が圧縮されるべき密度も知られてもよく、それから、圧縮された粉末内の開放体積が計算されてもよい。目的が調整可能なバインダで粉末の50%を湿潤させることである場合、調整可能なバインダプリントヘッドは、調整可能なバインダを、圧縮された粉末の投影された開放体積の50%に等しい量で、均一な層に堆積させるように制御され得る。調整可能なバインダと一次バインダの両方を堆積させる能力を有する単一のプリントヘッドを使用することができる。例えば、キャリア基板200はまず、調整可能なバインダプリンタ45のバインダ堆積位置に移動することができ、ここで、調整可能なバインダ能力が、調整可能なバインダのパターンを堆積するために使用され、その後、キャリア基板200は、調整可能なバインダの上に堆積され、再コーティングされ、調整された粉末を有するように、粉末分配モジュールまたは装置20に移動する。最後に、キャリア基板200は、調整可能なバインダプリンタ45におけるバインダ堆積位置に戻り得、ここで、調整可能なバインダの代わりに、一次バインダは、粉末上に堆積され得、一次バインダが粉末によって吸収されるときに、調整可能なバインダによって湿潤される粉末の所望のパターンを効果的に作り出すように調整され得る。したがって、一次バインダは、粉末パターンを越えて広がること、または吸い上げることを実質的に防止することができる。
【0035】
キャリア基板200は調整可能なバインダ堆積、粉末堆積、再コーティング/コンディショニング、および一次粉末堆積を含むプロセス全体を通して、静止したまま、すなわち、固定された位置に留まることができる。例えば、調整可能なバインダ堆積装置、粉末堆積及び再コーティング装置、調整装置、及び一次バインダ堆積装置は順に、静止キャリア基板200と位置合わせされて、調整可能なバインダを堆積し、粉末を堆積し、再コーティングし、粉末を調整し、一次バインダの所望の位置合わせされたパターンを粉末の第2の側に堆積することができる。
【0036】
プリンタモジュールAは、その先端部に分配モジュールまたは装置20を含むことができる。本明細書では、分配装置および分配モジュールが互換的に使用される。分配モジュールまたは装置20は単に、流動化材料を分配するように構成された分配器であってもよい。分配モジュール又は装置20は、材料貯蔵装置24及び分配コントローラ22を含むことができる。分配コントローラ22は、所望の量の流動化材料をキャリア基板200上に計量するように構成されてもよい。分配コントローラ22はまた、堆積された流動化材料の均一性を正確に制御するように構成されてもよい。分配モジュールは、キャリア基板上に流動化粒子または粉末を広げるためのローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、分配装置20が複数の材料貯蔵装置24を含み得る。
【0037】
また、プリンタモジュールAの一部として、圧縮装置30が設けられてもよい。圧縮装置30は、圧縮モジュール30と呼ばれることもある。圧縮装置30は、移動方向に沿って分配モジュールの下流側に配置される。いくつかの実施態様では、圧縮装置30が、円筒管として設計された硬化金属材料で構成されたローラを含むことができる。他の実施形態では、圧縮装置30がコンプライアント圧力カフ、または堆積した流動化材料およびキャリア基板200の平面に直交する制御された圧力を印加するように構成された別の装置を含み得る。圧縮装置30はまた、振動を提供するように構成された沈降装置を含んでもよい。圧縮装置30の振動は、流動化材料の分配および圧縮を改善することができる。いくつかの実施形態では、圧縮装置30が流動化材料を、流動化材料の理論密度の少なくとも40%の高密度に圧縮するように構成され得る。
【0038】
[印刷装置]
様々な実施形態では、キャリア基板200の先端部の近くに、一次バインダプリンタ40が含まれ得る。バインダプリンタは、キャリア基板200の移動方向に沿って圧縮モジュールの下流に配置されてもよい。一次バインダプリンタ40は、液体結合材料を堆積させて、所望のパターンを流動化材料に固定するように構成されてもよい。正確なパターンは、流動化材料を結合された堅牢な塊に結合することによって、流動化材料に固定することができる。いくつかの実施形態では、一次バインダプリンタ40が図4図7で後述するように、コンピュータシステムの直接制御下にあるインクジェットタイプのプリントヘッドであってもよい。コンピュータシステムは、一組のパターニング命令、例えば、所望のCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを使用して命令されてもよい。
【0039】
一次バインダプリンタ40は、キャリア基板200の幅に広がる噴射ノズルを有するインクジェットタイプのプリントヘッドを含むことができる。インクジェットタイプのプリントヘッドはまた、所望の印刷解像度を達成するのに十分な密度で提供されてもよい。インクジェットタイプのヘッドは所定の位置に固定されてもよく、各噴射ノズルの機能は、キャリア基板200の運動と協調して、流動化材料に所望のパターンを生成してもよい。一次バインダプリンタ40に対するキャリア基板200の運動は、近位バッファ212および移送駆動モータ250によって実施することができる。発達中の3D印刷物体と、ジェットバインダプリンタモジュールの部品のいずれかとの間の相互作用をより正確に制御するために、近位バッファ212と先端部バッファ210との間に追加のバッファを配置することができる。
【0040】
一次バインダプリンタ40は、1つ以上の市販のプリントヘッドを含むことができる。例えば、一次バインダプリンタ40は、予想される要件の範囲に対応するために、広範囲の特性を有するプリントヘッドのアレイを含むことができる。一実施形態では、一次バインダプリンタ40が測定され、かつ調整可能な量のバインダを、プリントヘッドのパルスを用いて、印刷物体の目標ボクセルに提供することができる。一次バインダプリンタ40は、コンピュータシステムの制御下で、1つまたは複数の測定体積を各ボクセルに提供することができる。
【0041】
[位置合わせ装置]
様々な実施形態では、プリンタモジュールAは、キャリア基板が2つの方向、すなわち、キャリア基板200の長手方向平面に対して平行な2つの方向X-Yに移動する能力を提供するアライメント装置(位置合わせ装置)35(アライメントセンサとも呼ばれる)を含む。アライメント装置35は、一次バインダプリンタ40が調整可能なバインダパターンを分配することを可能にすることができる。アライメント装置35はまた、一次バインダプリンタ40を移動方向に逆らって移動させて、分配モジュールまたは装置20から調整可能なバインダパターンに流動化粉末を分配させることができる。位置合わせ装置35はまた、一次バインダプリンタ40が移動方向を逆転させて、位置合わせ装置35の下で圧縮装置30を通り、一次バインダプリンタ40に進み、そこでバインダプリンタが一次バインダを分配することを可能にしてもよい。具体的には位置合わせ装置またはセンサが調整可能なバインダ/粉末オブジェクトの正確な位置を決定し、位置合わせアクチュエータがバインダ/粉末オブジェクトとプリントヘッドとの間の関係を調整することができ、それにより、プリントヘッドは調整可能なバインダ/粉末オブジェクトに関して正確に所望のパターンで一次バインダを堆積することができる。プリントヘッドと調整可能なバインダ/粉末オブジェクトとの間の相対関係の調整は、近位バッファ212、先端部バッファ210、および移送駆動モータ250の作用によって、移動方向に平行な方向に容易にすることができる。移動方向に直交する方向の調整は、コンピュータシステムによって指令されるようにプリントヘッドを、移動方向に直交する方向に、正確に駆動するように構成されたアクチュエータによって、またはコンピュータシステムによって指令されるようにキャリア基板200を、移動方向に直交する方向に、駆動するように構成されたアクチュエータによって、促進され得る。
【0042】
様々な実施形態では、アライメントセンサ35が、調整可能なバインダ/粉末オブジェクトとともに、またはその中に堆積されたアライメント基準マーク204の位置を正確に決定するように構成されたセンサを含み得る。プリントヘッドに対するアライメント基準マーク204の位置が正確に分かっており、アライメント基準マーク204の関係が調整可能なバインダ/粉末オブジェクトの残りの部分に対して正確に分かっている場合、コンピュータシステムは、調整可能なバインダ/粉末オブジェクト上への一次バインダの正確な噴射を可能にするのに必要な位置調整を計算することができる。
【0043】
[定着装置]
様々な実施態様では、インクジェットプリンタがキャリア基板200の中心付近に、定着装置50を含むこともできる。定着装置50は、キャリア基板200の進行方向に沿って、バインダプリンタの下流側に位置している。定着装置50は、液体結合材料を固化し、液体結合材料に曝された流動化材料を強固な固体パターンで定着させるように構成されてもよい。定着装置50は、液体結合材料を固体にするために液体結合材料と相互作用し得る放射エネルギー源であり得る。いくつかの実施形態では、放射エネルギーがIR放射、UV放射、電子ビーム、または他の既知の放射タイプであり得る。あるいは、定着装置50が熱源を含んでもよい。定着装置50は、開示された放射タイプに限定されないことを理解されたい。なぜなら、列挙したリストは例示的なものとして提示され、網羅的であることを意図されないからである。また、定着装置50は、反応剤を分散させる装置を備えていてもよい。反応剤は、液体結合材料および流動化材料と反応して、流動化材料を堅牢な塊に変換するように構成されてもよい。
【0044】
[流動化材料除去装置]
様々な実施態様では、インクジェットプリンタが、キャリア基板200の運動に対して定着装置50からさらに下流に、流動化材料除去装置60を含むこともできる。流動化材料除去装置60は、材料除去モジュールと呼ばれることもある。材料除去モジュールは、移動方向に沿って定着装置50の下流側に配置される。流動化材料除去装置60は、キャリア基板200上に堆積され圧縮された流動化材料の大部分または全てを除去するように構成されてもよい。流動化材料除去装置60は、キャリア基板上に堆積され圧縮された流動化材料を除去することができるが、液体バインダ材料によって定位置に固定されない。
【0045】
[移送モジュール]
キャリア基板200に加えて、移送モジュールBは、1つまたは複数のバッファ212、210と、移送装置76とを含み得る。キャリア基板200は機械的に安定な材料、例えば、鋼合金、銅合金、またはポリマー材料のエンドレスループ(エンドレスベルト)を含むことができるが、これらに限定されない。キャリア基板200はまた、印刷されたオブジェクト(印刷オブジェクトまたは印刷物体とも記す)のキャリア基板200への接着力を制御するための材料でコーティングされた機械的に安定な材料を含んでもよい。キャリア基板200上にコーティングされた接着力制御材料は、現在の印刷物体の3D印刷材料のための所望の範囲内で印刷材料の接着力を制御するように選択することができる。接着力制御材料は例えば、シリコーン材料、フルオロポリマー材料、または金などの薄膜金属を含んでもよい。
【0046】
上述のように、各マルチメソッドプリンタシステムは、複数の移送モジュールBを備えることができる。一実施形態では1つの移送モジュールBが複数のプリンタモジュールAの各々と通信するように設けられてもよい。移送モジュールBは、材料除去モジュールから移動方向に沿って下流側に配置される。移送モジュールBは、印刷オブジェクトの生成のための基板を提供し、その基板(キャリア基板200)からアセンブリ装置Cへの印刷オブジェクトの移送を引き起こし得る。図2に示されるように、移送モジュールBは、キャリア基板200、1つ以上のバッファ210および/または212、1つ以上の移送駆動モータ250、260、ならびに移送領域(移送ゾーンとも呼ばれる)240を含む。いくつかの実施形態では、近位バッファ212が、流動化材料除去装置60と移送領域240との間に提供され得る。それによって、移送領域240に対する3D印刷オブジェクトの滞留時間を、ジェットバインダプリンタの構成要素と調整する。
【0047】
一実施形態では、キャリア基板200は、その幅がビルドプレート80に等しいかまたはそれよりも広くなるようにスケーリングされ得る長さの可撓性材料を含み得る。キャリア基板200の材料は、鋼合金、ポリエステルもしくはポリテトラフルオロエチレンなどのポリマー材料、または複合材料であってもよく、またはそれらを含んでもよいが、それらに限定されない。キャリア基板200の表面は、キャリア基板200と、関連するプリンタモジュールによって印刷される材料との間の接着力を制御するように選択されてもよい。一実施形態では、キャリア基板200は、先端部バッファ210から近位バッファ212を通って移送モジュールBを横断し、移送装置76を通って近位バッファ212に戻ることができる材料のループを含むことができる。
【0048】
様々な実施形態では、キャリア基板200が移送駆動モータ250によって、および移送駆動モータ260によって移動され得る。また、キャリア基板200には、印刷オブジェクトの形成およびビルド(造形)ステーション110への移送の個々のステップの要件に従い、キャリア基板200の運動を制御するための追加のデバイスが設けられてもよい。移送装置76は、流動化材料除去装置60から、キャリア基板200の進行性運動に対して下流に実装され得る。移送領域240を通るキャリア基板200上の3D印刷物オブジェクトの運動は、先端部バッファ210および移送駆動モータ260によって調整され得、それらは図4および図5のコンピュータシステムによって制御され得る。
【0049】
[組立装置(アセンブリ装置)]
組み立て装置Cは,その一部が図3に示されており、X-Y位置決め装置230および構築(ビルド)ステーション110を含むことができる。ビルドステーション110は、ビルドプレート80を含むことができる。Z軸ポジショナ装置100(垂直ポジショナ)が設けられてもよく、これは、ビルドプレート80の垂直位置を調整して、予め転写された印刷物90の上部のレベルを所望の垂直位置に維持し、ビルドプレート80への印刷物体の適切な転写を容易にし、または予め転写された印刷物体90のスタックの上部への転写を容易にする。ビルドプレート上のパターン化された単層オブジェクトの完成されたアセンブリは、関与する材料に適した条件下で一緒に融合される。
【0050】
図3は、様々な実施形態によるキャリア基板200の図である。一次バインダパターンと調整可能なバインダパターンとの正確な位置合わせは、図3に示される調整可能なバインダパターンに1つ以上の位置合わせ基準マーク204を組み込むことによって達成され得る。図2に関して上述した位置合わせ装置35は、一次バインダプリンタ40に対して既知の関係にあってもよく、位置合わせ基準マーク204の位置を感知してもよい。アライメント基準マーク204の既知の位置及び一次バインダプリンタ40とアライメント装置35との間の関係から、調整可能なバインダパターン202を含む全てのピクセルの正確な位置が計算され、かつ使用されて、調整可能なバインダパターン上に一次バインダの所望のパターンを印刷する。一次バインダパターンは、調整可能なバインダパターン202と正確に一致してもよく、または一次バインダパターンは、調整可能なバインダ/流動性粉末構造の特徴を補償するために所望の方法で調整されてもよい。いくつかの実施形態では、位置合わせ基準マークが、調整可能なバインダパターン202のアクティブ部分に組み込まれ得る。
【0051】
様々な実施形態では、図2に関して上記で説明した位置合わせ装置35が、限定はしないが、可視、赤外線および/または紫外線スペクトルの電磁放射、磁気検出、容量性感知、または超音波感知に基づく感知技術を使用して、位置合わせ基準マーク204の正確な位置を感知することができる。
【0052】
別の実施形態では、調整可能なバインダパターンと一次バインダパターンとの位置合わせは、キャリア基板200の縁部に関して、例えば既知の距離だけ離して、一次バインダプリンタを調整可能なバインダプリンタに対して正確に位置合わせすることによって、達成することができる。この実施形態では、所望の精度が可能なエンコーダ206を、キャリア基板に、または移動方向に移動を提供するシステムに、または移動方向におけるキャリア基板200の移動を正確に感知するセンサに組み込むことができる。キャリア基板200の縁部に対する調整可能なバインダパターンの位置で、調整可能なバインダプリンタ45と一次バインダプリンタ40とを分離する距離だけ、キャリア基板200を割り出すことによって、調整された一次バインダパターンを正確に適用することができる。
【0053】
別の実施形態では、調整可能なバインダパターンと一次バインダパターンとの位置合わせは、進行方向に平行であり、かつ進行方向に直交するキャリア基板200の両方の運動を感知するエンコーダを提供することによって達成され得る。調整可能なバインダが印刷されたときのキャリア基板200の正確な位置、および一次バインダプリンタ40に対する調整可能なバインダプリンタ45の正確な相対位置を知ることにより、キャリア基板200上の調整可能なバインダパターンを、調整された一次バインダパターンが一次バインダプリンタ40によって計算および印刷され得る位置に移動させることができる。
【0054】
図4は、様々な実施形態による、3Dインクジェットプリンタを制御するように構成されたコンピュータシステムの図である。図2の3Dインクジェットプリンタを制御するためのコンピュータシステム1400を図4に示す。中央処理装置(CPU)1402は、設計ファイル1406が供給され得る入力装置1404と通信する。いくつかの実施形態では、ユーザが、CADソフトウェアなどを使用して、コンピュータシステム1400上または別のコンピュータ上のいずれかで設計ファイル1406を作成することができる。他の実施形態では、ユーザが、シンギバースピンシェイプ(Thingiverse、Pinshape)、または他のファイル共有サイトなどのファイルリポジトリから、または3D設計の商業的ベンダから、設計ファイルを受信することができる。CPU 1402は、プリントステーション制御部1408を制御するための設計ファイル1406又は中間計算をメモリ1410に記憶し、出力装置1412を介してユーザと通信することができる。CPU 1402は、インターフェースバス1414を介して複数の印刷ステーション制御部1408と通信して、上述のようなインクジェット印刷ヘッドからのインクの分配および印刷ステーション制御部1408の他の機能を制御することができる。
【0055】
図5は、様々な実施形態による、3Dインクジェットプリンタで使用するためのプリントステーションコントローラの概略図である。図5に示されるように、プリントステーション制御部1408は、デバイスコントローラ1502を介して、上述の様々なデバイスおよびモジュールと通信し、これらのデバイスまたはモジュールの各々、またはこれらのデバイスまたはモジュールのうちの少なくとも1つを制御することができる。それによって、CPU 1402によって解釈されるように、設計ファイル1406によって指定されるインクを堆積する。CPU 1402は、状態情報およびセンサ情報を受信することができ、本明細書に記載の印刷を容易にするために、当技術分野で知られている制御シグナリングシステムを使用して、これらの装置のいずれかに制御信号を送信することができる。
【0056】
図6は、本明細書に記載のシステムおよび方法の実施を提供するように構成された例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。図6は例示的なソフトウェアアーキテクチャ1602を示すブロック図1600であり、その様々な部分は、上記で説明した特徴のいずれかを実施し得る、本明細書で説明する様々なハードウェアアーキテクチャとともに使用され得る。図6はソフトウェアアーキテクチャの非限定的な例であり、本明細書で説明する機能を容易にするために、多くの他のアーキテクチャが実施され得ることが理解されよう。ソフトウェアアーキテクチャ1602は、とりわけ、文書ストレージ、プロセッサ、メモリ、および入力/出力(I/O)部品を含み得る、中央処理ユニット1402などのハードウェア上で実行することができる。代表的なハードウェア層1604が図示されており、例えば、本明細書に記載のデバイスを表すことができる。代表的なハードウェア層1604は、処理部1606と、関連する実行可能命令1608とを含む。実行可能命令1608は、本明細書で説明する方法、モジュールなどの実施を含む、ソフトウェアアーキテクチャ1602の実行可能命令を表す。ハードウェア層1604はまた、実行可能命令1608および付随するデータも含むメモリ/ストレージ1610を含む。ハードウェア層1604は、他のハードウェアモジュール1612を含むこともできる。処理ユニット1608によって保持される命令1608は、メモリ/ストレージ1610によって保持される命令1608の一部であり得る。
【0057】
例示的なソフトウェアアーキテクチャ1602は、各々が様々な機能を提供するレイヤとして概念化され得る。たとえば、ソフトウェアアーキテクチャ1602は、オペレーティングシステム(OS)1614、ライブラリ1616、フレームワーク1618、アプリケーション1620、およびプレゼンテーション層1644などの層および部品を含み得る。動作上、アプリケーション1620および/またはレイヤ内の他の構成要素はAPIコール1624を他のレイヤに呼び出し、対応する結果1626を受信することができる。図示された層は本質的に代表的なものであり、他のソフトウェアアーキテクチャは、追加の層または異なる層を含み得る。たとえば、いくつかのモバイルまたは専用オペレーティングシステムは、フレームワーク/ミドルウェア1618を提供しないことがある。
【0058】
OS1614はハードウェアリソースを管理し、共通サービスを提供することができる。OS1614は例えば、カーネル1628、サービス1630、ドライバ1632を含んでもよい。カーネル1628は、ハードウェア層1604と他のソフトウェア層との間の抽象化層(アブストラクション層)として働くことができる。たとえば、カーネル1628は、メモリ管理、プロセッサ管理(たとえば、スケジューリング)、コンポーネント管理、ネットワーキング、セキュリティ設定などを担当し得る。サービス1630は、他のソフトウェア層に他の共通サービスを提供することができる。ドライバ1632は、下にあるハードウェア層1604を制御するかまたはそれとインターフェースすることを担うことができる。たとえば、ドライバ1632は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成に応じて、ディスプレイドライバ、カメラドライバ、メモリ/ストレージドライバ、周辺デバイスドライバ(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)を介した)、ネットワークおよび/またはワイヤレス通信ドライバ、オーディオドライバなどを含み得る。
【0059】
ライブラリ1616は、アプリケーション1620および/または他の構成要素および/または層によって使用され得る共通インフラストラクチャを提供し得る。ライブラリ1616は、典型的にはOS 1614と直接対話するのではなく、タスクを実行するための他のソフトウェアモジュールによる使用のための機能を提供する。ライブラリ1616は、メモリ割り当て、文字列操作、ファイル操作などの機能を提供することができるシステムライブラリ1634(例えば、C標準ライブラリ)を含むことができる。さらに、ライブラリ1616は、メディアライブラリ(たとえば、画像、音声、および/またはビデオデータフォーマットの提示および操作をサポートする)、グラフィックライブラリ(たとえば、ディスプレイ上に2Dおよび3DグラフィックをレンダリングするためのOpenGLライブラリ)、データベースライブラリ(たとえば、SQLiteまたは他のリレーショナルデータベース機能)、およびウェブライブラリ(たとえば、ウェブブラウジング機能を提供し得るWebKit)などのAPIライブラリ1636を含み得る。ライブラリ1616はまた、アプリケーション1620および他のソフトウェアモジュールのための多くの機能を提供するために、多種多様な他のライブラリ1638を含み得る。
【0060】
フレームワーク1618(ミドルウェアと呼ばれることもある)は、アプリケーション1620および/または他のソフトウェアモジュールによって使用され得る、より高いレベルの共通インフラストラクチャを提供する。たとえば、フレームワーク1618は、様々なグラフィックユーザインターフェース(GUI)機能、高レベルリソース管理、または高レベルロケーションサービスを提供し得る。フレームワーク1618は、アプリケーション1620および/または他のソフトウェアモジュールのための広範囲の他のAPIを提供することができる。
【0061】
アプリケーション1620は、組み込みアプリケーション1640および/またはサードパーティアプリケーション1642を含む。組み込みアプリケーション1640の実施例は、連絡先アプリケーション、ブラウザアプリケーション、ロケーション(位置)アプリケーション、メディアアプリケーション、メッセージングアプリケーション、および/またはゲームアプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。サードパーティアプリケーション1642は、特定のプラットフォームのベンダ以外のエンティティによって開発された任意のアプリケーションを含むことができる。アプリケーション1620は、OS1614、ライブラリ1616、フレームワーク1618、およびプレゼンテーションレイヤ1644を介して利用可能な機能を使用して、ユーザと対話するためのユーザインターフェースを作成することができる。
【0062】
いくつかのソフトウェアアーキテクチャは、仮想マシン1648によって示されるように、仮想マシンを使用する。仮想マシン1648は、アプリケーション/モジュールがハードウェアマシン上で実行しているかのように実行することができる実行環境を提供する。仮想マシン1648は、ホストOS(例えば、OS1614)又はハイパーバイザによってホストされ、仮想マシン1648の動作及びホストオペレーティングシステムとの相互動作を管理する仮想マシンモニタ1646を有する。仮想マシンの外部のソフトウェアアーキテクチャ1602とは異なり得るソフトウェアアーキテクチャは、OS 1650、ライブラリ1652、フレームワーク1654、アプリケーション1656、および/またはプレゼンテーションレイヤ1658などの仮想マシン1648内で実行される。
【0063】
図7は、機械可読媒体(たとえば、機械可読記憶媒体)から命令を読み取り、本明細書で説明する特徴のいずれかを実行するように構成された例示的な機械1700の構成要素を示すブロック図である。例示的な機械1700は、コンピュータシステムの形式の中で、機械1700に本明細書で説明する特徴のいずれかを実行させるための命令1716(たとえば、ソフトウェア構成要素の形成で)が実行され得る。したがって、命令1716は、本明細書で説明するモジュールまたは構成要素を実施するために使用され得る。命令1716は、プログラムされていないおよび/または構成されていない機械1700に、説明された特徴を実行するように構成された特定の機械として動作させる。マシン1700は、スタンドアロンデバイスとして動作するように構成されてもよく、または他のマシンに結合(例えば、ネットワーク化)されてもよい。ネットワーク化された展開では、機械1700が、サーバ-クライアントネットワーク環境内のサーバ機械またはクライアント機械の容量で、またはピアツーピアまたは分散ネットワーク環境内のノードとして動作することができる。機械1700はたとえば、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、セットトップボックス(STB)、ゲームおよび/またはエンターテインメントシステム、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、およびモノのインターネット(IoT)デバイスとして具現化され得る。さらに、単一の機械1700のみが示されているが、「機械」という用語は命令1716を個々にまたは共同で実行する機械の集合を含む。
【0064】
機械1700は、例えばバス1702を介して通信可能に結合され得る、プロセッサ1710、メモリ1730、およびI/O部品1750を含み得る。バス1702は、様々なバス技術およびプロトコルを介して、機械1700の様々な要素を結合する複数のバスを含み得る。一例では、プロセッサ1710(たとえば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、またはそれらの適切な組合せを含む)は、命令1716を実行し、データを処理し得る1つまたは複数のプロセッサ1712a~1712nを含み得る。いくつかの実施例では、1つまたは複数のプロセッサ1710が、1つまたは複数の他のプロセッサ1710によって提供または識別される命令を実行し得る。「プロセッサ」という用語は、命令を同時に実行することができる芯(コア)を含むマルチコアプロセッサを含む。図7は複数のプロセッサを示すが、機械1700は単一のコアを有する単一のプロセッサ、複数のコアを有する単一のプロセッサ(たとえば、マルチコアプロセッサ)、各々が単一のコアを有する複数のプロセッサ、各々が複数のコアを有する複数のプロセッサ、またはそれらの任意の組合せを含み得る。いくつかの実施例では、マシン1700が複数のマシンに分散された複数のプロセッサを含み得る。
【0065】
メモリ/ストレージ1730は、メインメモリ1732、スタティックメモリ1734、または他のメモリ、およびストレージユニット1736を含むことができ、両方とも、バス1702を介してなど、プロセッサ1710にアクセス可能である。記憶ユニット1736およびメモリ1732、1734は、本明細書で説明する機能のうちの任意の1つまたは複数を実施する命令1716を記憶する。メモリ/ストレージ1730はまた、プロセッサ1710のための一時的、中間、および/または長期データを記憶し得る。命令1716はまた、その実行中に、メモリ1732、1734内に、記憶ユニット1736内に、プロセッサ1710のうちの少なくとも1つ内に(たとえば、コマンドバッファまたはキャッシュメモリ内に)、I/O部品1750のうちの少なくとも1つのメモリ内に、またはそれらの任意の適切な組合せ内に、完全にまたは部分的に常駐し得る。したがって、メモリ1732、1734、記憶ユニット1736、プロセッサ1710内のメモリ、およびI/O部品1750内のメモリは、機械可読媒体の例である。
【0066】
本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」は、機械1700を特定の様式で動作させる命令およびデータを一時的または永続的に記憶することが可能なデバイスを指す。本明細書で使用される「機械可読媒体」という用語は(媒体を通って伝播する搬送波上などの)一時的な電気または電磁信号自体を包含せず、したがって、「機械可読媒体」という用語は有形かつ非一時的であると見なされ得る。非一時的な、有形の機械可読媒体の非限定的な例は不揮発性メモリ(フラッシュメモリまたは読取り専用メモリ(ROM)など)、揮発性メモリ(スタティックランダムアクセスメモリ(RAM)またはダイナミックRAMなど)、バッファメモリ、キャッシュメモリ、光記憶媒体、磁気記憶媒体および装置、ネットワークアクセス可能またはクラウドストレージ、他のタイプのストレージ、および/またはそれらの任意の適切な組合せを含み得るが、それらに限定されない。「機械可読媒体」という用語は、機械1700による実行のための命令(たとえば、命令1716)を記憶するために使用される単一の媒体、または複数の媒体の組合せに適用され、その結果、命令は、機械1700の1つまたは複数のプロセッサ1710によって実行されたとき、機械1700に、本明細書で説明する特徴のうちの1つまたは複数を実行させる。したがって、「機械可読媒体」は、単一の記憶デバイス、ならびに複数の記憶装置またはデバイスを含む「クラウドベース」記憶システムまたは記憶ネットワークを指し得る。
【0067】
I/O部品1750は、入力を受信し、出力を提供し、出力を生成し、情報を送信し、情報を交換し、測定結果をキャプチャするなどするように適合された多種多様なハードウェア部品を含み得る。特定の機械に含まれる特定のI/O部品1750は、機械のタイプおよび/または機能に依存する。例えば、携帯電話などのモバイルデバイスはタッチ入力デバイスを含むことができ、一方、ヘッドレスサーバまたはIoTデバイスは、そのようなタッチ入力デバイスを含まないことができる。図7に示されるI/O部品の特定の例は、決して限定するものではなく、他のタイプの部品が機械1700に含まれ得る。I/O部品1750のグループ分けは、単にこの説明を単純化するためのものであり、グループ分けは決して限定するものではない。様々な例では、I/O部品1750がユーザ出力部品1752およびユーザ入力部品1754を含み得る。ユーザ出力部品1752はたとえば、情報を表示するためのディスプレイ部品(たとえば、液晶ディスプレイ(液体)またはプロジェクタ)、音響部品(たとえば、スピーカ)、触覚部品(たとえば、振動モータまたは力フィードバックデバイス)、および/または他の信号発生器を含み得る。ユーザ入力部品1754はたとえば、英数字入力部品(たとえば、キーボードまたはタッチスクリーン)、ポインティング部品(たとえば、マウスデバイス、タッチパッド、または別のポインティング機器)、および/または、ユーザコマンドおよび/または選択などの様々なユーザ入力を受信するように構成された触覚入力部品(たとえば、タッチまたはタッチジェスチャの位置および/または力を提供する物理的ボタンまたはタッチスクリーン)を含み得る。
【0068】
いくつかの実施例では、I/O部品1750が幅広いアレイの他の可能なセンサ部品の中でも、バイオメトリック部品1756、動き部品1758、環境部品1760、および/または位置部品1762を含み得る。バイオメトリック部品1756は例えば、身体の表情(例えば、顔の表情、声の表情、手動もしくは身体のジェスチャー、または視線追跡)を検出し、生体信号(例えば、心拍数または脳波)を測定し、人を識別する(例えば、音声、網膜、および/または顔に基づく識別を介して)ための部品を含むことができる。運動構成要素は例えば、3Dプリンタの様々な構成要素のための加速度および/または回転センサを含むことができる。環境構成要素は例えば、光センサ(例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ、またはフォトトランジスタ)、音響センサ(例えば、圧電センサまたは音響波センサ)、または温度センサ(例えば、熱電対またはサーミスタ)を含むことができ、これらは、3Dプリンタ内の様々な場所の環境条件を感知することができる。位置部品1762は例えば、位置センサ(例えば、全地球測位システム(GPS)受信機)、高度センサ(例えば、高度が導出され得る空気圧センサ)、および/または方位センサ(例えば、磁力計)を含み得る。
【0069】
I/O部品1750は、それぞれの通信結合1772および1782を介して機械1304をネットワーク1770および/または装置1780に結合するように動作可能な多種多様な技術を実施する、通信部品1764を含み得る。通信構成要素(通信部品)1764は、ネットワーク1770とインターフェースするための1つまたは複数のネットワークインターフェース構成要素または他の適切なデバイスを含み得る。通信構成要素1764はたとえば、有線通信、ワイヤレス通信、セルラー通信、近距離無線通信(NFC)、ブルートゥース(登録商標)通信、Wi-Fi、および/または他のモダリティを介した通信を提供するように適合された構成要素を含み得る。デバイス1780は(たとえば、USBを介して結合された)他のマシンまたは様々な周辺デバイスを含み得る。
【0070】
いくつかの実施例では、通信構成要素1764が識別子を検出し得るか、または識別子を検出するように適合された構成要素を含み得る。例えば、通信構成要素1764は無線周波数識別(RFID)タグリーダ、NFC検出器、光学センサ(例えば、一次元または多次元バーコード、または他の光学コード)、および/または音響検出器(例えば、タグ付きオーディオ信号を識別するためのマイクロフォン)を含み得る。いくつかの実施例では、ロケーション(位置)情報が、限定はしないが、インターネットプロトコル(IP)アドレスを介したジオロケーション、Wi-Fiを介したロケーション、セルラー、NFC、Bluetooth、または他のワイヤレス局識別および/または信号三角測量などの、通信構成要素1762からの情報に基づいて決定され得る。
【0071】
以下では、本出願のさらなる特徴、特色および利点を、以下の項目を介して説明する。
【0072】
項目1:ジェットバインダプリンティングシステムは、その長手方向に沿って移動するように構成されたキャリア基板と、調整可能なバインダを前記キャリア基板に提供するように構成された調整可能なバインダプリンタと、前記キャリア基板の長手方向で前記調整可能なバインダプリンタの下流に配置された分配モジュールとを備える。前記分配モジュールは、少なくとも1つの粉末容器を含み、前記分配モジュールは粉末を前記キャリア基板上に分配するように構成されている。ジェットバインダプリンティングシステムは、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記分配モジュールの下流に配置された圧縮モジュールを備える。前記圧縮モジュールは、前記分配された粉末の所望の圧縮範囲への圧縮度を増加させるために、前記キャリア基板の長手方向に実質的に直交する方向に制御された圧力を加えるように構成されている。ジェットバインダプリンティングシステムは、前記キャリア基板の長手方向に沿って前記圧縮モジュールの下流に配置された一次バインダプリンタを備える。前記一次バインダプリンタは、所望のパターンに従って、前記分配された粉末上に一次バインダを印刷するように構成されたプリントヘッドを含む。前記一次バインダは、前記調整可能なバインダが印刷される表面の反対側の前記粉末の表面上に印刷される。前記一次バインダは、調整可能なバインダのパターンと調和するように印刷される。例えば、一次バインダは、調整可能バインダに対してわずかにオフセットされてもよく、それによって調整可能バインダ及び/又は粉末における任意の動きを補償し、堆積後の一次バインダにおける任意の動きを補償する。
【0073】
項目2:項目1のプリンタにおいて、前記調整可能なバインダが、前記一次バインダと相溶性である。
【0074】
項目3:項目1または2のプリンタにおいて、前記調整可能なバインダは、前記粉末の位置を維持するように構成される。
【0075】
項目4:項目1~3のいずれかに記載のプリンタにおいて、調整可能なバインダが、粉末および一次バインダへの接着力を提供するように構成される。
【0076】
項目5:項目1~4のいずれかに記載のプリンタであって、さらに、前記キャリア基板の前記長手方向に沿って前記一次バインダプリンタの下流に配置された融合モジュールを備える。前記融合モジュールは、エネルギー源を含み、前記所望のパターンに従って前記材料層の選択的融合を引き起こすように構成されている。プリンタは、さらに、前記キャリア基板の前記長手方向に沿って前記融合モジュールの下流に配置された材料除去モジュールを備える。前記材料除去モジュールは、複数の材料除去デバイスを含み、前記材料層の非融合部分を除去して、1つまたは複数のパターン化された単一層オブジェクトを形成するように構成されている。プリンタは、さらに、前記キャリア基板の前記長手方向に沿って前記材料除去モジュールの下流に配置された移送モジュールを備える。前記移送モジュールは、前記1つまたは複数のパターン化された単一層オブジェクトのうちの1つを前記キャリア基板からアセンブリプレートに移送するように構成されている。プリンタは、さらに、前記アセンブリプレートを備えるアセンブリステーションであって、前記パターン化された単一層オブジェクトが、前記パターン化された単一層オブジェクトを含むオブジェクトの所望のシーケンスに従って前記アセンブリプレート上のスタックに組み立てられる、アセンブリステーションを備える。プリンタは、さらに、所望のシーケンス(順序)および所望のパターンを制御するコントローラを備える。。
【0077】
項目6:項目1~5のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記キャリア基板がベルトである。
【0078】
項目7:項目1~6のいずれかに記載のプリンタにおいて、キャリア基板が、材料層が形成される接着力制御層をさらに含む。
【0079】
項目8:項目1~7のいずれかに記載のプリンタにおいて、分配モジュールが、所望の制御された条件で流動化粉末を収容するように構成された1つ以上の粉末容器を含む。
【0080】
項目9:項目1~8のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記分配モジュールが、前記キャリア基板上に分配される粉末の所望の量を計量するように構成された1つまたは複数の分配コントローラを備える。
【0081】
項目10:項目1~9のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記分配モジュールが、前記キャリア基板上に前記粉末を広げるように構成された1つまたは複数の分配ローラを備える。
【0082】
項目11:項目1~10のいずれかに記載のプリンタにおいて、圧縮機モジュールが、粉末の沈降を引き起こす振動エネルギー源を含む。
【0083】
項目12:項目1~11のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記プリントヘッドが、インクジェットプリントヘッドを含む。
【0084】
項目13:項目1~12のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記アセンブリステーションが、前記アセンブリプレートを横方向に変位させるための横方向ポジショナと、前記アセンブリプレートを垂直方向に変位させるための縦方向ポジショナとをさらに含む。
【0085】
項目14:項目1~13のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記キャリア基板が前記パターン化された単層オブジェクトの各々のための基準マーカを備え、前記アセンブリステーションが前記基準マーカを前記アセンブリプレートに位置合わせするための位置合わせセンサを備える。
【0086】
項目15:3次元物体を製造する方法であって、所望のパターンに従ってキャリア基板の長手方向表面上に調整可能なバインダを分配することと、キャリア基板上の調整可能なバインダ上に粉末を分配することと、粉末を所望の圧縮範囲に圧縮することと、所望のパターンに従って圧縮粉末上に一次バインダを分配することと、所望のパターンに従って圧縮粉末を選択的に溶融させることと、圧縮粉末の非溶融部分を除去して、パターン化された単層物体のうちの1つを形成することとを含む。
【0087】
項目16:項目15に記載の方法であって、さらに、パターン化された単層オブジェクトをキャリア基板からアセンブリプレートに移送することと、調整可能なバインダの分配、調整可能なバインダ上への粉末の分配、粉末の圧縮、一次バインダの分配。圧縮された粉末の選択的な溶融、およびパターン化された多層オブジェクトを形成するための非溶融部分の除去を繰り返すこととを含む。
【0088】
項目17:項目15または16に記載の方法において、調整可能なバインダを分配することが、粉末の位置を画定することを含む。
【0089】
項目18:項目15~17のいずれかに記載の方法において、粉末を印刷することが、規定位置で粉末を調整可能なバインダに接着することを含む。
【0090】
様々な実施形態について記載したが、記載は限定ではなく例示であることが意図されており、実施の範囲内にあるより多くの実施形態が可能であることが理解される。特徴の多くの可能な組合せが、添付の図面に示され、この詳細な説明で論じられるが、開示される特徴の多くの他の組合せが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は特に限定されない限り、任意の他の実施形態における任意の他の特徴または要素と組み合わせて使用され得るか、またはそれらの代わりに使用され得る。したがって、本開示で示され、かつ/または論じられる特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実施され得ることが理解されよう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に照らして以外は限定されない。また、添付の特許請求の範囲の範囲内で、様々な修正および変更を行うことができる。
【0091】
上記では最良の形態および/または他の例であると考えられるものを説明してきたが、本明細書では様々な修正を行うことができ、本明細書で開示する主題を様々な形態および例で実施することができ、教示を多数の用途に適用することができ、そのうちのいくつかのみが本明細書で説明されていることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本教示の真の範囲内にある、任意のおよびすべての応用、修正、および変更を含むことを意図している。
【0092】
特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書に記載されるすべての測定結果、値、評価、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、正確ではなく、おおよそのものである。それらは、それらが関係する機能およびそれらが関係する技術分野において慣習的であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0093】
保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。その範囲は本明細書および以下の手続き履歴に照らして解釈されるときに特許請求の範囲で使用される文言の通常の意味と一致し、すべての構造的および機能的等価物を包含するのと同じくらい広く解釈されるべきである。
【0094】
それにもかかわらず、特許法第101条、第102条又は第103条の要件を満たさない主題を包含することを意図するものではなく、また、そのように解釈されるべきものではない。そのような主題の意図しない包含は、本明細書によって放棄される。直前に述べた場合を除き、特許請求の範囲に記載されているか否かにかかわらず、記載または図示されているものは、いかなる部品、ステップ、特徴、目的、利益、利点、または公衆との同等物の専有を引き起こすように意図され、または解釈されるべきではない。
【0095】
本明細書で使用される用語および表現は特定の意味が本明細書で別段に記載されている場合を除き、それらの対応するそれぞれの問い合わせおよび研究の領域に関して、そのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されよう。第1および第2などの関係用語は、そのようなエンティティまたはアクション間の実際のそのような関係または順序を必ずしも要求または暗示することなく、1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションと区別するためにのみ使用され得る。用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、またはそれらの任意の他の変更は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図する。「a」または「An」によって進められる要素はさらなる制約なしに、要素を含むプロセス、方法、物品、または装置におけるさらなる同一の要素の存在を排除しない。
【0096】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲を解釈または限定するために使用されないことを理解されたい。さらに、前述の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で、様々な特徴が様々な例において一緒にグループ化されることが理解されよう。この開示方法は、請求項が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された例のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は本明細書によって詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別々に請求される主題として独立している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】