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特表2024-513702システム負荷にわたる充電可能な電池パックの選択的な放電
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】システム負荷にわたる充電可能な電池パックの選択的な放電
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240319BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240319BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240319BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H01M10/42 P
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556775
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2022081200
(87)【国際公開番号】W WO2022194206
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/205,110
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】シンガー、ノア
(72)【発明者】
【氏名】アラダス、スティーブン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マルレディ、ロバート、ケー
(72)【発明者】
【氏名】タッカー、ブライアン、チャールズ
【テーマコード(参考)】
5G015
5H030
【Fターム(参考)】
5G015GB03
5G015HA16
5G015JA34
5G015JA52
5H030AA10
5H030AS08
5H030AS11
5H030BB21
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
電源システム内の状態の発生を決定することを含む、電源システム負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電が提供され、電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源を含む。電源回路は主入力電力を受信し、バックアップエネルギー源は、電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために電源回路に動作可能に結合される。電源システム内の状態の発生を決定することに基づいて、コントローラはバックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させる。積極的に放電させることは、システム内の主入力電力のシステム負荷への給電を停止することによって、二次電池パックからシステム負荷への電力の放電を強制するように電源回路を制御することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源システム内の状態の発生を決定することであって、前記電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源を含み、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記バックアップエネルギー源は、前記電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、決定することと、
前記電源システム内の前記状態の発生を決定することに基づいて、コントローラによって、前記バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させることであって、前記積極的に放電させることは、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路を制御することを含む、放電させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記決定された状態は、前記二次電池パックに関連しており、前記方法は、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記積極的に放電させることは、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記主入力電力を前記電力調整回路の中間電力バスに給電することを阻止することを含み、前記阻止することは、前記二次電池パックから前記中間電力バスへの前記電力の前記放電をもたらす、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定された状態は、前記電源回路の1または複数の構成要素に関連するエラー状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電源回路から前記エラー状態をクリアするために、前記電源回路の前記1または複数の構成要素を一時的に停止することと、前記電源回路からの前記エラー状態をクリアすることに基づいて、前記二次電池パックからの電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電源システムは、それぞれが冗長二次電池パックを有する冗長電源回路を備え、前記積極的に放電させることは、
前記電源システムの動作モードを決定することと、前記動作モードが冗長度低減モードであることに基づいて、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することを阻止することと、
前記二次電池パックから、前記二次電池パックに関連するバランス回路を介して電力を放電させるために、前記バックアップエネルギー源を制御することと、
前記二次電池パックの充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックに関連する前記バランス回路を介して前記二次電池パックの放電を中止することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電源回路であって、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記電源回路はシステム負荷に給電する、電源回路と、
バックアップエネルギー源であって、前記バックアップエネルギー源は二次電池パックを含み、前記バックアップエネルギー源は電源システムの負荷への主入力電力が利用できないときに前記システム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、バックアップエネルギー源と、
コントローラであって、前記コントローラは前記電源システム内の決定された状態に基づいて、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように動作可能に結合される、コントローラと、
を含む、システム。
【請求項13】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということであり、前記コントローラはさらに、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止し、前記二次電池パックの充電状態を監視し、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることであり、前記コントローラは、前記二次電池パックの充電状態を監視し、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記電源システムの負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記決定された状態は、前記電源回路の1または複数の構成要素に関連するエラー状態であり、前記コントローラは、前記電源回路から前記エラー状態をクリアするために、前記電源回路の前記1または複数の構成要素を一時的に停止し、前記電源回路に対する前記エラー状態をクリアすることに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、その中に実装されたコンピュータ可読コードを有する少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読コードは、1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、
電源システム内の状態の発生を決定することであって、前記電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源を含み、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記バックアップエネルギー源は、前記電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、決定することと、
前記電源システム内の前記状態の発生を決定することに基づいて、前記バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させることと、を実行させ、前記積極的に放電させることは、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路を制御することを含む、
コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということであり、前記コンピュータ可読コードは、前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止することと、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに実行させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記コンピュータ可読プログラムコードは前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することによって、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることであり、前記コンピュータ可読プログラムコードは前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、を実行させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バックアップエネルギー源としてなど、エネルギー源として使用するために、様々な種類の電池が利用可能である。典型的な電池は、直列または並列に接続された多数の電気セルによって形成され、電池パックを構成している。多くの種類の電池パックには、充電可能なセルが含まれており、エネルギー源がセルに印加されると、セル内にエネルギーが蓄積されるようになっている。セルのカソードとアノードについては、例えばニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)、リチウムイオン(Li-Ion)組成物など、様々な異なる化学的組み合わせがある。
【0002】
例えば、リチウムイオン電池は、放電時にリチウムイオンが負極から正極に移動し、充電時に戻る二次電池である。リチウムイオン電池では、一方の電極材料としてインターカレートリチウム化合物が使用される。電解質(イオンの移動を可能にする)と2つの電極は、リチウムイオン電池セルの構成要素である。セルとは、電極、セパレータ、電解質を含む電気化学的な基本単位である。前述のように、電池または電池パックは、セルまたはセルアセンブリの集合体である。これらは、例えば、適切なハウジングと電気的相互接続を提供することによって、電池パックとして使用するために準備されることがあり、これは実施態様に依存するものである。
【発明の概要】
【0003】
先行技術の特定の欠点は、1または複数の態様において、電源システム内の状態の発生を決定することを含む方法の提供を通じて克服され、さらなる利点が提供され、電源システムは電源回路とバックアップエネルギー源を含む。電源回路は主入力電力を受信し、バックアップエネルギー源は、電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために電源回路に動作可能に結合される。本方法は、電源システム内の状態の発生を決定することに基づいて、コントローラによって、バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させることをさらに含む。積極的に放電させることは、電源システム内の主入力電力のシステム負荷への給電を停止することによって、二次電池パックからシステム負荷への電力の放電を強制するように電源回路を制御することを含む。
【0004】
1または複数の態様に関連するシステムおよびコンピュータプログラム製品もまた、本明細書において説明され、請求される。さらに、1または複数の態様に関連するサービスもまた、本明細書において説明され、請求することができる。
【0005】
追加の特徴および利点は、本明細書に記載された技術によって実現される。本発明の他の実施形態および態様は、本明細書で詳細に説明され、請求された態様の一部とみなされる。
【0006】
本発明の1または複数の態様は、明細書の結論にある特許請求の範囲において、実施例として特に指摘され、明確に主張されている。本発明の前記および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と共に取られる以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の1または複数の態様による、電源システムの負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電を組み込むための電源システムの一実施形態を示す。
図2】本発明の1または複数の態様による、図1に描かれているような電源システム内で使用するための、1または複数の二次電池パックを備えたバックアップエネルギー源の一実施形態を示す。
図3】本発明の1または複数の態様による、電源システムの負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電を組み込むための電源システムのさらなる実施形態を示す図である。
図4A】本発明の1または複数の態様による、電源システムの負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電のための制御処理の一実施形態を示す。
図4B】本発明の1または複数の態様による、図3に描かれるような電源システム内に示される、図4Aの制御処理の特定の態様を示す。
図4C】本発明の1または複数の態様による、図3に描かれるような電源システム内に示される、図4Aの制御処理の特定の態様を示す。
図4D】本発明の1または複数の態様による、図3に描かれるような電源システム内に示される、図4Aの制御処理の特定の態様を示す。
図5】本発明の1または複数の態様による、異なるシステム電力の負荷に対する二次電池パックの放電時間のグラフ表示である。
図6】本発明の1または複数の態様による、二次電池パックの健康状態を評価するための電源システムの負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電のための別の制御処理の一実施形態を示す。
図7】本発明の1または複数の態様による、電源フロントエンド回路に関連するエラーを修正することを容易にするために、電源システム負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電のための制御処理のさらなる実施形態を示す。
図8】本発明の1または複数の態様による、電池パック放電制御処理の1または複数の態様を実装する、または実装を容易にするためのコンピューティングシステムの一実施形態を示す。
図9】本発明の一実施形態の特定の態様の実装を容易にし、または関連付けて使用することができるクラウドコンピューティング環境の一実施形態を示す。
図10】本発明の一実施形態による抽象化モデルレイヤを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同種の参照数字が別々の図全体を通して同一または機能的に類似した要素を指し、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、本発明をさらに説明し、詳細な説明とともに、本発明の態様を説明するのに役立つ。この点で、周知のシステム、装置、処理技術などの説明は、本発明の詳細を曖昧にしないように省略されていることに留意されたい。しかしながら、詳細な説明およびこの具体的な実施例は、本発明の態様を示す一方で、例示のためにのみ与えられており、限定するものではないことを理解されたい。基礎となる発明概念の範囲内で、様々な置換、修正、追加、もしくは他の配置、またはその組み合わせが、本開示から当業者に明らかになるであろう。さらに、多数の発明的態様および特徴が本明細書に開示され、矛盾しない限り、各開示された態様または特徴は、本明細書に開示された概念の1または複数の特定の適用のために所望されるように、任意の他の開示された態様または特徴と組み合わせ可能であることに留意されたい。
【0009】
また、例示的な実施形態は、特定のシステム、回路、設計、アーキテクチャ、プロトコル、レイアウト、回路図、またはツールを例としてのみ使用して以下に説明され、限定するものではないことに留意されたい。さらに、例示的な実施形態は、特定のソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ツール、またはデータ処理環境を、説明を明確にするための例としてのみ使用して、特定のインスタンスで説明される。例示的な実施形態は、他の比較可能なまたは同様の目的のシステム、アプリケーション、またはアーキテクチャと組み合わせて使用することができる。例示的な実施形態の1または複数の態様は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装することができる。
【0010】
当業者によって理解されるように、本明細書に記載される1または複数の実施形態において参照されるコントローラまたは制御システムは、例えば、制御インタフェースと、少なくとも記載される特定の処理を実行するように構成されたマイクロコントローラとを含み得る。1または複数の実施形態では、制御処理は、電源回路もしくはバックアップエネルギー源(すなわち、電源バックアップ回路)またはその両方の中に統合されるなど、電源システム内に統合される。1または複数の他の実装では、特定の制御処理の態様は、電源回路もしくはバックアップエネルギー源またはその両方から遠隔で実装することができる。例えば、1または複数の実施形態において、本明細書に記載される制御処理の特定の態様は、電源システムを含む電子機器ラックまたは情報技術(IT)ラック内の中央位置、または本明細書に開示されるような1または複数の電源システムを有する1または複数の電子機器ラックまたはITラックを含むデータセンター内で実装することができる。1または複数のさらなる実施形態において、本明細書に開示される特定の制御処理態様は、クラウドベース環境において実装されることができ、電源システムは、1または複数のネットワークを介して遠隔制御システムに動作可能に結合される。
【0011】
特定の実施形態において、制御処理は、プログラムコードを介して実装され得る。本願で言及されるプログラムコードは、ソフトウェアもしくはハードウェアまたはその両方を含むことができる。例えば、本発明の特定の実施形態におけるプログラムコードは、固定機能ハードウェアを含むことができるが、他の実施形態では、説明した機能のソフトウェアベースの実装を利用することができる。特定の実施形態は、例えば、ファームウェアとして、両方のタイプのプログラムコードを組み合わせることができる。1または複数のプログラムとも呼ばれるプログラムコードの一例は、図8において、プログラムモジュール842のセット(少なくとも1つ)を有するプログラム/ユーティリティ840として描かれており、これは、メモリ823に記憶することができる、もしくはコンピューティングシステム812の個別の電池パック放電制御処理モジュール801として記憶することができる、またはその両方である。前述のように、1または複数の他の実装では、制御処理は、電源システムに関連する、または電源システムの一部として提供される1または複数のマイクロコントローラにおいて実装することができる。例えば、1つの実装では、電源システムの電源回路は、それに関連するマイクロコントローラを備えることができ、電源システムのバックアップエネルギー源は、それに関連する別のマイクロコントローラを備えることができ、マイクロコントローラは、本明細書に開示される放電制御処理の1または複数の態様の実行を容易にするために互いに動作可能に通信される。
【0012】
1または複数の実施形態では、コンピューティング(または情報技術(IT))ラックは、様々な電子部品と、コンピューティングラック内の電子部品に所望の電力レベルを提供するための電源システムとを含み得る。1または複数の実装では、電源システムは無停電電源装置(UPS)とすることができ、1または複数の電源回路と1または複数のバックアップエネルギー源とを含むことができる。電源回路は、AC商用電力などの主入力電力を受信し、バックアップエネルギー源は、電源システムへの主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために電源回路に動作可能に結合される。ある特定の実装では、電源回路は、電力調整回路、または電力調整器であり、コンピューティングラックまたはサーバシステム内の1または複数の電子部品など、システム負荷内の部品に1または複数の望ましいDC電圧レベルを供給するように構成されている。
【0013】
1または複数の実施態様において、バックアップエネルギー源は、1または複数の二次電池パックを含む。前述のように、バックアップエネルギー源として含むエネルギー源として使用するために利用可能な多種多様な電池が存在する。リチウムイオン電池は、現在、他の二次電池技術に対して、例えば、より高い電力密度、より低い重量、より低い自己放電、および「メモリ」効果のほとんどないまたは全くないなどの特定の利点を有する。リチウムイオン電池は、コンピューティングラック、サーバシステム、ワークステーション、デスクトップコンピュータなどのコンピューティングシステムを含む、多くのバックアップエネルギー用途に使用することができる。
【0014】
特定の実施形態では、バックアップエネルギー源は、主入力電力の喪失時に少なくとも特定期間システム負荷に電力を供給するために電源回路にスタンバイ電力を供給する1または複数の二次電池パックを含む。実装によっては、コンピューティングシステムは、バックアップエネルギー源の一部として多数の二次電池パックを必要とし、各パックは、潜在的に多数の電池セルを含むことができる。前述のように、バックアップエネルギー源は、適切な場合に、例えばシステム負荷にバックアップ電力を提供するための電池パックの充電または放電を促進するために、二次電池パックに関連する1または複数の回路または構成要素を含み得る。
【0015】
例として、図1は、コンピューティングシステムの1または複数の構成要素などの電源のシステム負荷130に電力を供給するための電源システム100の一実施形態を示す。図示された実施形態では、電源システム100は、システム負荷130に給電するのを容易にするために主入力電力101を受信する1または複数の電源回路110を含む。一実施形態では、主入力電力101は、例えば、電源システム100で受信するAC商用電力であり得る。
【0016】
図示されるように、電源システム100は、電源回路110への主入力電力101が遮断されたときにシステム負荷130にバックアップ電力を供給するために、電源回路110に動作可能に結合された1または複数の電池パック125を有する統合バックアップエネルギー源120をも含む。具体的な例として、システム負荷130は、DC電圧を必要とするコンピューティングラックなどのコンピューティングシステム内の1または複数の構成要素とすることができ、電源回路110は、例としてのみ、AC商用電力を受信し、システム負荷130に望ましいDC電圧を提供するために電力を整流および調整する1または複数の電力調整器とするか、それを含み得る。これは単なる一例であることに留意されたい。
【0017】
図2は、例えば、図1に描かれているような電源システムで使用することができるバックアップエネルギー源120の一実施形態を示す。図示されるように、バックアップエネルギー源120は、複数の二次電池パック125を含むことができる。
【0018】
図2の実施形態では、二次電池パック125は、複数の電池セル200を含み、これらは1または複数のセルスタックにグループ化することができる。1または複数の実施形態において、セル電圧は、監視コンポーネント202によって監視または感知される。感知されたセル電圧は、監視コンポーネント202、およびそれによってコントローラ204が、例えばセルの充電を遮断または調整するために、セルが充電状態(SoC)にあることを知ることを可能にする。監視コンポーネント202は、電池パック内の個々のセル200にわたる電圧を監視するために提供され、1または複数のそれぞれのトランジスタおよび抵抗器などのバランス回路201は、各セルがネットワークバランス目的のために電池パック内の他のセルとバランスをとることを可能にする。一実施形態では、電池セルはリチウムイオン電池セルであり、監視コンポーネント202は、様々な業界の供給業者から入手可能なマルチセル、リチウムイオン電池マネージャのような、マルチセル、リチウムイオン電池マネージャである。監視コンポーネント202は、本明細書に開示された1または複数の態様に従った処理を(部分的に)実施するコントローラ(または電池管理システム)204に動作可能に結合される。図示のように、コントローラ204は、本発明の1または複数の態様に従って、充電および放電制御のために充電/放電回路206に結合される。さらに、コントローラ204は、図3の実施形態に関連して後述するように、電源システムの電源回路に関連するコントローラなど、1または複数の電源システム構成要素と通信している。
【0019】
電力入力211線および電力出力212線も提供され、バックアップエネルギー源120を、図1の実施形態におけるシステム負荷130などのシステム負荷に電力を供給する電源回路のバスなどの電源回路に結合させる。
【0020】
1または複数の実施形態において、二次電池パックは、二次電池パックの整備または交換が必要であると判断される場合に放電されることになっている。例えば、電池パックの整備が必要な場合、電池パックは、電池パックの安全な保管および出荷を可能にするために所望の放電閾値まで放電されることになっている。例えば、国際航空運送協会(IATA)の要件では、リチウムイオンセルを30%以上の充電状態(SoC)で出荷することはできない。
【0021】
同様に、電池パックが寿命末期(EoL)に達すると、電池パックは一般に、元の充電容量に対して設定された割合の充電を保持することになる。寿命に達した電池パックは、安全な保管もしくは出荷またはその両方のために、依然として所望の放電レベル(例えば、30%のSoC)まで放電されなければならない。
【0022】
1または複数の実装において、コントローラ204は、関連するバランス回路201にわたる二次電池パックの放電を制御するように構成される。前述のように、バランス回路201は、ネットワークバランスのために電池セルの動作値を測定することを支援するように構成される。一実装では、コントローラ204は、それぞれのバランス回路201にわたって、電池パック125の電池セル200の1または複数を選択的に放電する1または複数のコマンドを発行することができる。実装によっては、この放電手順は、例えば、電池パックの状態および初期充電レベルに基づいて、達成するために数時間必要とする可能性がある。
【0023】
本明細書で開示されるのは、例えば、二次電池パックを放電し、関連するバランス回路にわたる上述の電池放電の場合のように数時間ではなく、数分以内に取り外して出荷できるようにすることができる電池パック放電の代替実施形態である。
【0024】
本発明の実施形態は、方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を含み、例えば、電源システムの1または複数のコントローラまたは制御システム内で実行されるプログラムコードが、電源システム内の状態の発生を決定するものである。電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源とを含み、状態は、整備が必要な状態、テストが必要な状態、寿命末期(EoL)状態等とすることができる。電源回路は主入力電力を受信し、バックアップエネルギー源は、電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために電源回路に動作可能に結合される。電源システム内の状態の発生を決定することに基づいて、コントローラ(または制御システム)は、バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させる。積極的に放電することは、電源システム内の主入力電力がシステム負荷への給電を停止することによって、二次電池パックからシステム負荷への電力の放電を強制するように電源回路を制御することを含む。
【0025】
特定の実施形態では、決定された状態は、二次電池パックに関連しており、1または複数のコントローラは、さらに、二次電池パックの充電状態を監視し、充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、コントローラは、二次電池パックからシステム負荷への電力の放電を強制するように電源回路の制御を中止する。一実施形態では、決定された状態は、二次電池パックが、例えば、故障状態を経験した、仕様外の動作をしている、寿命が尽きた、などで整備を必要としていることである。さらに、コントローラによって積極的に放電させることは、バックアップエネルギー源の充電回路が放電されている二次電池パックを再充電することを阻止することを含むことができる。
【0026】
1または複数の実装において、電源回路は、電力調整回路であるか、または電力調整回路を含む。電力調整回路は、整流・位相選択回路および力率改善回路を含む。この実施形態では、主入力電力のシステム負荷への給電を停止することは、電源システム内の主入力電力のシステム負荷への給電を停止するために、整流・位相選択回路もしくは力率改善回路またはその両方を少なくとも一部停止することを含み得る。一実施形態では、主入力電力のシステム負荷への給電を停止することは、主入力電力を電力調整回路の中間電力バスに給電することを阻止することを含むことができ、阻止することは、二次電池パックから中間電力バスへの電力の放電をもたらす。
【0027】
1または複数の実施形態において、決定された状態は、二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることである。このような場合、コントローラは、さらに、二次電池パックの充電状態を監視し、充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、二次電池パックからシステム負荷への電力の放電を強制するように電源回路の制御を中止する。
【0028】
1または複数のさらなる実施形態において、決定された状態は、電源回路の1または複数の構成要素に関連するエラー状態である。このような場合、コントローラは、さらに、電源回路からエラー状態をクリアするために、電源回路の1または複数の構成要素を一時的に停止し、電源回路からのエラー状態をクリアすることに基づいて、二次電池パックからの電力の放電を強制するように電源回路の制御を中止する。
【0029】
1または複数の実施態様において、電源システムは冗長電源回路を備え、それぞれが冗長二次電池パックを備える。例えば、1つの実装では、電源システムは2つの電源回路を含むことができ、各電源回路は、バックアップエネルギー源の2つ以上のそれぞれの二次電池パックに結合される。そのような実装では、積極的に放電することは、電源システムの動作モードを決定することを含むことができ、動作モードが冗長度低減モードであることに基づいて、コントローラは、電源システム内の主入力電力がシステム負荷に給電することを停止しないということではなく、むしろ、二次電池パックに関連するバランス回路を介して二次電池パックから電力を放電させるために、バックアップエネルギー源を制御し、さらに、二次電池パックの充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、二次電池パックに関連するバランス回路を介して二次電池パックの放電を中止する。
【0030】
図3は、電力調整回路300として実装された冗長電源回路と、冗長バックアップエネルギー源125とを含む電源システムの一実施形態を示し、各バックアップエネルギー源は複数の二次電池パック200を含む。一実施形態では、各電力調整回路300は、電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するための関連バックアップエネルギー源125を有する。
【0031】
図示されるように、各電力調整回路300は、例えば三相入力電力を受信するためにAC商用電力線に接続されるなど、主入力電力を受信するように接続される。図示された実施形態では、電力調整回路300は、例えば、整流・位相選択回路ならびに力率改善回路を備える、電源フロントエンド回路310を含む。さらに、図示の実施形態では、電源フロントエンド回路310は、(一実施形態では)ホールドアップキャパシタを有する中間バス312に電力を供給する。中間バス312は、システム負荷330のシステム要素に、例えば、システム負荷要件に応じて高電圧DCとして電力を供給する絶縁および調整回路320(または電源バックエンド回路)に給電する。
【0032】
図示された実施形態では、コントローラ340(例えば、調整制御)は、電力調整回路300の一部であるか、またはそれに関連する。部分的に、コントローラ340は、中間バス312から制御パラメータおよび状態ベクトルを取得し、一実施形態では、図示の実施形態における整流・位相選択回路と電力補正回路とを備える電源フロントエンド回路310にON/OFF制御パラメータを提供する。
【0033】
図3に図示されるように、バックアップエネルギー源への/からの電力は、電力調整回路300の中間バス312によって/へ供給される。図示された実施形態では、バックアップエネルギー源125は、1または複数のそれぞれのセルスタックを有する1または複数の二次電池パック200、ならびに電池パックコントローラ204、放電回路350および充電器回路351を備える。動作において、電力調整回路300のコントローラ340とバックアップエネルギー源125のコントローラ204は、適切な制御信号の交換を介して動作可能に通信している。
【0034】
通常動作では、電力は、主入力電力から電力調整回路300を経て、中間バス312を経由してシステム負荷330に流れる。主入力電力が中断されるなどして利用できない場合、電力は、バックアップエネルギー源125の1または複数の二次電池パック200を介して中間バス312に供給され、失われた充電を置き換える。典型的な動作では、この置き換えは自動的であり、二次電池パックの自己放電をもたらす。例えば、一実施形態では、主入力電力が提供されている状態では、中間バス電圧は第1のレベルにあり、主入力電力が利用できなくなると、中間バス312の電圧は、電池エネルギー源125が自動的に二次電池パック200から中間バス312への電力供給を開始する電圧レベルまで低下し始める。
【0035】
一実施形態では、図3の電源システム実施形態の電力調整回路300は、コンピューティングラック用のバルク電力調整器(BPR)の一例であり、1または複数のDC電圧レベルがラック内のシステム要素に提供される。これは、本明細書に開示されるような、システム負荷にわたってバックアップ二次電池パックの選択的な放電を利用できる電源システムの一例に過ぎない。
【0036】
図4Aは、本発明の1または複数の態様による、システム負荷にわたる電源システムの二次電池パックの選択的な放電のための制御処理の一実施形態を示す。例としてのみ、制御処理は、図3の電源システムの実施形態を参照して本明細書で説明され、1または複数の二次電池パック(またはセルスタック)は、主入力電力ではなく、二次電池パックから電力調整回路を強制的にオフに実行することによって電力調整回路全体で選択的に放電される。
【0037】
図4Aを参照すると、制御処理は、最初に、整備を必要とする電池パック400のような、電源システム内の所定の状態の発生があるかどうかを決定する。「YES」の場合、コントローラは、電源システムが現在、冗長度低減モードで動作しているかどうかを決定する(402)。上述のように、電源システムの実装は、例えば、冗長電力調整回路などの冗長電源回路、ならびに冗長電池エネルギー源を含み得る。供給システムが現在冗長度低減モードで動作している場合、例えば、電力調整回路の1つがオフラインである場合、制御処理は、パックの関連するセルバランス回路またはネットワークにわたって電池パックを放電する(404)ことへ進む。
【0038】
電源システムが現在冗長度低減モードにない(すなわち、通常動作モードにある)と仮定すると、関連する電池充電器は、問題406において、二次電池パックを充電することから遮断されるか、さもなければ無効にされる。この例は、図3の電源システムの実施形態の文脈で図4Bに描かれている。図示されているように、充電器回路351はOFFにされる、もしくは、中間バス312と充電器回路351を電気的に接続するラインに設けられた適切なスイッチまたは接触要素を介して中間バス312への接続が開かれる、またはその両方である。一実施態様において、充電回路のこの無効化は、バックアップエネルギー源125のコントローラ204によって実行され得る。
【0039】
図4Aの制御処理を続けると、コントローラは、電源システム内の主入力電力がシステム負荷に給電することを中断することによって、二次電池パックからの電力の放電を強制する。例えば、図3~4Dの実施形態では、コントローラ340は、電源フロントエンド回路310を停止し、図4Cに示されるように、中間バス312への主入力電力の喪失を引き起こす。一実装では、コントローラ340は、既存の電源フロントエンド回路を利用して、回路の1または複数の態様をオフにし、主入力電力が中間バス312に給電するのを阻止する。1または複数の他の実装では、主入力電力が中間バス312に給電するのをコントローラ340が中断できるように、スイッチまたは他の接触要素を電源フロントエンド回路310と並んで設けることができることに留意されたい。また、本明細書に開示された1または複数の態様を実施するコントローラ(または制御システム)は、バックアップエネルギー源125のコントローラ204もしくは電力調整回路300のコントローラ340またはその両方であり得ることに留意されたい。例えば、一実施形態では、本明細書に記載される特定の制御態様は、コントローラ204および340の間に分散され、これらは、注記したように、動作可能な通信状態にある。
【0040】
図4Aに示されるように、中間バスは、放電回路350(図4C参照)を介して、選択された二次電池パックから電力を引き出すことを自動的に開始する(410)。制御処理は、二次電池パックの充電状態が放電閾値以下になるかどうかを監視する(412)。例えば、一実施形態では、コントローラは、電池パックの充電状態が完全充電の30%以下になったかどうかを監視する。そうである場合、図4Dに示されるように、電源フロントエンド回路は再起動される。一実施形態では、フロントエンド回路の再起動は、電池パックの充電状態が30%の充電状態以下まで低下することに基づいて起こり、電池電圧が、20%などの、電力調整回路が動作するための最小充電状態を下回る前であることに注意されたい。したがって、電源フロントエンド回路が再起動するための所望の電池パック放電レベルは、(一実施形態では)20%~30%の充電状態の間であり得る。これにより、電力調整回路が動作するための最小充電状態を電池パックが下回る前に、電源フロントエンド回路が再起動され、電力調整を再開するための時間が得られる。
【0041】
図4Aに示されるように、一実施態様では、コントローラは、電池パックを切断し、電池パックを電源オフにする(418)。一実装では、コントローラは、切断されて電源オフになると、電池パックが整備および/または取り外しの準備ができている旨の表示を提供する(420)。
【0042】
当業者であれば、上記の説明から、例えば、電力調整回路などの電源システムのシステム負荷にわたる二次電池パックの放電を、電力調整回路を主入力電力ではなく、統合バックアップエネルギー源、より詳細には問題の二次電池パックから実行するように強制することによって制御する方法、システムおよび制御処理が本明細書に提供される。一実施形態では、コントローラが、整備または交換を必要とする二次電池パックなどの電源システム内の状態の発生を決定すると、コントローラは、その状態を信号で知らせ、(一実施形態では)電力調整回路のフロントエンドを停止して、電力調整回路の中間バスに達することからユーティリティラインからのメイン入力電力を断ち切る。この場合、電力調整回路は、フロントエンドの電力が失われることにより、中間バスに供給されるバックアップエネルギー源の電力で動作することを強制される。電力調整回路は、二次電池パックからの放電を監視し、二次電池パックが設定された放電レベル、例えば30%以下の充電状態(SoC)以下まで放電したが、電力調整回路が動作するための最小充電状態、例えば20%以下まで電池電圧が低下する前に、電力調整回路のフロントエンド回路を再起動する。フロントエンド回路が再起動されると、主入力電力が再び中間バスに流れ、システムに給電する。制御処理の一部として、バックアップエネルギー源は、電力調整回路から電気的に遮断され、自動的に再充電されないようにする。システムが冗長度低減モードで動作している場合、例えば電力調整回路の片側がダウンしている場合、冗長性は減少する。この場合、制御処理は、電源フロントエンド回路を停止させることはせず、むしろ、関連するバランスネットワーク全体で二次電池パックの放電に戻る。これにより、有利なことに、停電に対してシステムを保護することができる。コントローラは、電池パックのシリアル番号、初期SoC、最終SoC、エラーコード、およびその他の関連情報を、必要に応じて、システム改善のための故障解析のために記録することができる。
【0043】
図5は、異なる電力システム負荷にわたって完全に充電された340ボルトの電池の一貫した放電に必要な時間の一実施形態を描いており、1KW、3KWおよび6KWは単なる一例として図示されている。示されるように、6KW負荷の場合、二次電池パックは約3分で放電し、3KWシステム負荷の場合、パックは約6分で放電し、1KWシステム負荷の場合、パックは約15分で放電し、これらは全て、バランスネットワークのみでの電力の放電で達成できるよりも大幅に優れた放電時間である。
【0044】
図6は、本明細書に開示されるような、電源システム負荷にわたって二次電池パックを選択的に放電させるための別の制御処理600の一実施形態を示す。制御処理600は、電池パックの健康状態を評価するために電池パックをテストするための健康状態(SoH)処理の一実施形態である。電池パックの健康状態を評価するために、電池パックは、パックのセルスタックの残りの寿命および有用な容量を決定することを容易にするために、放電される必要がある。SoHテストは、コントローラが認識もしくは実行またはその両方を行うように構成(またはプログラム)され得る別の状態である。
【0045】
図6を参照すると、制御処理は、最初に、健康状態(SoH)テストを実施する時間であるかどうかを決定する(602)。「NO」の場合、処理は、テストを実施する時間になるまで待機する。SoHテストを実施する時間である場合、制御処理は、電源システムが冗長度低減モードにないことを確認する(604)。電源システムが冗長度低減モードにある場合、制御処理は、SoHテストを進める前に、電源システムが通常の動作モードに戻るまで待機する。電源システムが冗長度低減モードにないことを確認すると、制御処理は電源フロントエンド回路を停止し、中間バスへの主入力電力の喪失を引き起こす(606)。この動作に基づき、中間バスは、少なくとも選択された放電すべき二次電池パックから電力の引き出しを自動的に開始する(608)。制御処理は、二次電池パックが正しいテスト電圧まで放電されたかどうかを決定し(610)、そうであれば、電源フロントエンド回路を再起動する(612)。さらに、制御処理は、電池の健康状態(SoH)評価結果を、例えば、電池パックのバックアップを監視するテスト施設に報告することができる(614)。
【0046】
図7は、本明細書に開示される1または複数の態様による、電源システム負荷にわたる二次電池パックの選択的な放電のための制御処理700の別の実施形態を示す。この制御処理は、必ずしも手動修復動作を必要とすることなく、本明細書に記載の電力調整回路のフロントエンド回路などの電源フロントエンドのグリッチおよび他のソフトエラーを解決するために使用することができる。
【0047】
図示された実施形態では、制御処理700は、電力調整回路においてフロントエンドエラー状態が検出されたことを決定し(702)、この状態の発生を決定することに基づいて、電源フロントエンド回路を停止し、システムの中間バスへの電源システム内の主入力電力の喪失を引き起こす(704)。この動作に基づき、中間バスは、少なくとも選択された二次電池パックから電力の引き抜きを自動的に開始する(706)。制御処理は、フロントエンド回路からエラーがクリアされたかどうかを決定し(708)、そうであれば、電源フロントエンド回路を再起動する(710)。電池パックは再充電を開始することができ(712)、指摘されたエラー状態はエラーログに記録することができる(714)。
【0048】
当業者は、上記の説明から、本明細書で提供されるのは、1または複数の実装において、整備を必要とする電池パックの急速な放電を可能にする方法、システムおよびプログラム製品であることに留意するであろう。一実装において、電池パックは、コンピューティングラックまたはサーバシステムなどのコンピューティングシステムと関連付けることができ、放電は、(一実施形態において)電力調整回路のフロントエンドなどの電源回路のフロントエンドを選択的に無効化して、問題の電池パックの放電を強制することを含み得る。
【0049】
1または複数の実施形態では、制御処理は、充電状態が、電源フロントエンド回路が再起動するのに必要な最小電圧閾値を超えるレベルである、30%などの設定された放電閾値に達したときに電池パックの放電を停止し、それによって主入力電力の回復を可能にする。さらに、特定の実施形態では、制御処理は、放電後の電池パックの充電を阻止するために、二次電池パックと電源回路との間の電気接続を自動的に中断する。
【0050】
本発明の1または複数の態様を実施するためのコンピューティング環境のさらなる例示的な実施形態が、図8~10を参照して以下に説明される。
【0051】
さらなる例として、図8は、コンピューティングシステム812を備えるコンピューティング環境800の一実施形態を示している。コンピュータシステム812と共に使用するのに適している場合がある周知のコンピューティングシステム、環境、もしくは構成またはその組み合わせの例としては、サーバ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、ワイヤレスコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップコンピュータまたはデバイス、携帯電話、プログラム可能な消費者電子デバイス、タブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、などがあるが、これに限定されるわけではない。
【0052】
コンピューティングシステム812は、プログラムモジュールなどのコンピュータシステム実行可能命令がコンピュータシステムによって実行されるという一般的な文脈で説明することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、論理、データ構造などを含む。
【0053】
図8に描かれているように、コンピューティングシステム812は、汎用コンピューティングデバイスの形態で示されている。コンピューティングシステム812の構成要素は、1または複数のプロセッサまたは処理ユニット816、システムメモリ823、およびシステムメモリ823を含む種々のシステム構成要素をプロセッサ816に結合するバス818を含むことができるが、これらに限定されない。
【0054】
一実施形態では、プロセッサ816は、International Business Machines Corporationによって提供されるz/Architecture(登録商標)、またはInternational Business Machines Corporationまたは他の企業によって提供される他のアーキテクチャに基づく場合がある。
【0055】
バス818は、種々のバスアーキテクチャのいずれかを使用するメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、およびプロセッサまたはローカルバスを含む複数種類のバス構造のうち1つ以上の任意のものを表す。一例として、かかるアーキテクチャは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(VESA)ローカルバス、およびペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスを含むが、これらに限定されない。
【0056】
コンピューティングシステム812は、種々のコンピュータシステム可読媒体を含む。かかる媒体は、コンピューティングシステム812によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体でよく、揮発性媒体および不揮発性媒体の両方と、取り外し可能媒体および取り外し不能媒体の両方とを含むことができる。
【0057】
システムメモリ823は、ランダムアクセスメモリ(RAM)830もしくはキャッシュメモリ832またはその両方など、揮発性メモリとしてのコンピュータシステム可読媒体を含むことができる。コンピューティングシステム812はさらに、他の取り外し可能/取り外し不能コンピュータシステム記憶媒体および揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体を含んでもよい。一例として、ストレージシステム834は、取り外し不能な不揮発性磁気媒体(不図示。一般に「ハードドライブ」と呼ばれる)への読み書きのために設けることができる。また、図示は省略するが、取り外し可能な不揮発性磁気ディスク(例えば、フロッピーディスク)への読み書きのための磁気ディスクドライブ、および取り外し可能な不揮発性光学ディスク(CD-ROM、DVD-ROMや他の光学媒体など)への読み書きのための光学ディスクドライブを設けることができる。これらの例において、それぞれを、1つ以上のデータ媒体インタフェースによってバス818に接続することができる。以下でさらに図示および説明するように、メモリ823は、本発明の実施形態の機能を実行するように構成されたプログラムモジュールのセット(例えば、少なくとも1つ)またはコードを有する少なくとも1つのプログラム製品を含むことができる。
【0058】
プログラムモジュール842のセット(少なくとも1つ)を有するプログラム/ユーティリティ840は、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータと同様に、メモリ823に記憶することができる。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータ、またはそれらのいくつかの組み合わせの各々は、ネットワーク環境の実装形態を含むことができる。プログラムモジュール842は一般に、本明細書に記載の本発明の実施形態の機能もしくは方法またはその両方を実行する。あるいは、本明細書に開示されるように、電池パック放電制御機能、モジュール、論理など801をコンピューティング環境812内に設けることができる。
【0059】
コンピューティングシステム812は、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ824などの1つ以上の外部装置814、ユーザとコンピュータシステム812との対話を可能にする1つ以上の装置、もしくはコンピュータシステム812と1つ以上の他のコンピュータ装置との通信を可能にする任意の装置(例えば、ネットワークカードやモデムなど)またはこれらの組み合わせと通信することができる。かかる通信は、入力/出力(I/O)インタフェース822を介して行うことができる。さらに、コンピュータシステム812は、ネットワークアダプタ820を介して1つ以上のネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)、汎用広域ネットワーク(WAN)、もしくはパブリックネットワーク(例えばインターネット)またはこれらの組み合わせなど)と通信することができる。図示するように、ネットワークアダプタ820は、バス818を介してコンピュータシステム812の他のコンポーネントと通信することができる。なお、図示は省略するが、他のハードウェアコンポーネントもしくはソフトウェアコンポーネントまたはその両方を、コンピュータシステム812と併用することができる。それらの一例としては、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長化処理ユニット、外付けディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、データアーカイブストレージシステムなどがある。
【0060】
1つまたは複数の態様は、クラウドコンピューティングに関連し、またはそれを使用することができる。
【0061】
本開示はクラウドコンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に記載した教示の実装形態はクラウドコンピューティング環境に限定されない。むしろ、本発明の実施形態は、現在公知のまたは将来開発される他の任意の種類のコンピュータ環境と共に実施することができる。
【0062】
クラウドコンピューティングは、設定可能なコンピューティングリソースの共有プール(例えばネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、記憶装置、アプリケーション、仮想マシンおよびサービス)へ、簡便かつオンデマンドのネットワークアクセスを可能にするためのサービス提供のモデルであり、リソースは、最小限の管理労力または最小限のサービスプロバイダとのやり取りによって速やかに準備(provision)およびリリースできるものである。このクラウドモデルは、少なくとも5つの特性、少なくとも3つのサービスモデル、および少なくとも4つの実装モデルを含むことがある。
【0063】
特性は以下の通りである。
【0064】
オンデマンド・セルフサービス:クラウドの消費者は、サービスプロバイダとの人的な対話を必要することなく、必要に応じて自動的に、サーバ時間やネットワークストレージなどのコンピューティング能力を一方的に準備することができる。
【0065】
ブロード・ネットワークアクセス:コンピューティング能力はネットワーク経由で利用可能であり、また、標準的なメカニズムを介してアクセスできる。それにより、異種のシンまたはシッククライアントプラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、PDA)による利用が促進される。
【0066】
リソースプーリング:プロバイダのコンピューティングリソースはプールされ、マルチテナントモデルを利用して複数の消費者に提供される。様々な物理リソースおよび仮想リソースが、需要に応じて動的に割り当ておよび再割り当てされる。一般に消費者は、提供されたリソースの正確な位置を管理または把握していないため、位置非依存(location independence)の感覚がある。ただし消費者は、より高い抽象レベル(例えば、国、州、データセンタ)では場所を特定可能な場合がある。
【0067】
迅速な柔軟性(elasticity):コンピューティング能力は、迅速かつ柔軟に準備することができるため、場合によっては自動的に、直ちにスケールアウトし、また、速やかにリリースされて直ちにスケールインすることができる。消費者にとって、準備に利用可能なコンピューティング能力は無制限に見える場合が多く、任意の時間に任意の数量で購入することができる。
【0068】
測定されるサービス:クラウドシステムは、サービスの種類(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、アクティブユーザアカウント)に適したある程度の抽象化レベルでの測定機能を活用して、リソースの使用を自動的に制御し最適化する。リソース使用量を監視、制御、および報告して、利用されるサービスのプロバイダおよび消費者の両方に透明性を提供することができる。
【0069】
サービスモデルは以下の通りである。
【0070】
サービスとしてのソフトウェア(SaaS):消費者に提供される機能は、クラウドインフラストラクチャ上で動作するプロバイダのアプリケーションを利用できることである。当該そのアプリケーションは、ウェブブラウザ(例えばウェブメール)などのシンクライアントインタフェースを介して、各種のクライアント装置からアクセスできる。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージや、個別のアプリケーション機能さえも含めて、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理や制御は行わない。ただし、ユーザ固有の限られたアプリケーション構成の設定はその限りではない。
【0071】
サービスとしてのプラットフォーム(PaaS):消費者に提供される機能は、プロバイダによってサポートされるプログラム言語およびツールを用いて、消費者が作成または取得したアプリケーションを、クラウドインフラストラクチャに展開(deploy)することである。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージを含む、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理や制御は行わないが、展開されたアプリケーションを制御でき、かつ場合によってはそのホスティング環境の構成も制御できる。
【0072】
サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS):消費者に提供される機能は、オペレーティングシステムやアプリケーションを含み得る任意のソフトウェアを消費者が展開および実行可能な、プロセッサ、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティングリソースを準備することである。消費者は、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理や制御は行わないが、オペレーティングシステム、ストレージ、および展開されたアプリケーションを制御でき、かつ場合によっては一部のネットワークコンポーネント(例えばホストファイアウォール)を部分的に制御できる。
【0073】
展開モデルは以下の通りである。
【0074】
プライベートクラウド:このクラウドインフラストラクチャは、特定の組織専用で運用される。このクラウドインフラストラクチャは、当該組織または第三者によって管理することができ、オンプレミスまたはオフプレミスで存在することができる。
【0075】
コミュニティクラウド:このクラウドインフラストラクチャは、複数の組織によって共有され、共通の関心事(例えば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンス)を持つ特定のコミュニティをサポートする。このクラウドインフラストラクチャは、当該組織または第三者によって管理することができ、オンプレミスまたはオフプレミスで存在することができる。
【0076】
パブリッククラウド:このクラウドインフラストラクチャは、不特定多数の人々や大規模な業界団体に提供され、クラウドサービスを販売する組織によって所有される。
【0077】
ハイブリッドクラウド:このクラウドインフラストラクチャは、2つ以上のクラウドモデル(プライベート、コミュニティまたはパブリック)を組み合わせたものとなる。それぞれのモデル固有の実体は保持するが、標準または個別の技術によってバインドされ、データとアプリケーションの可搬性(例えば、クラウド間の負荷分散のためのクラウドバースティング)を実現する。
【0078】
クラウドコンピューティング環境は、ステートレス性(statelessness)、低結合性(low coupling)、モジュール性(modularity)および意味論的相互運用性(semantic interoperability)に重点を置いたサービス指向型環境である。クラウドコンピューティングの中核にあるのは、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0079】
クラウドコンピューティングノードは、図8に描かれているようなコンピュータシステム/サーバを含むことができる。図8のコンピュータシステム/サーバ812は、通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散型クラウドコンピューティング環境で実施することができる。分散型クラウドコンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカルおよびリモートコンピュータシステム記憶媒体の両方に配置され得る。コンピュータシステム/サーバ812は、本明細書で規定された機能のいずれかを実装もしくは実行またはその両方を行うことが可能である。
【0080】
図9は、例示的なクラウドコンピューティング環境50が示されている。クラウドコンピューティング環境50は1つまたは複数のクラウドコンピューティングノード10を含む。これらに対して、クラウド消費者が使用するローカルコンピュータ装置(例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)もしくは携帯電話54A、デスクトップコンピュータ54B、ラップトップコンピュータ54C、もしくは自動車コンピュータシステム54Nまたはこれらの組み合わせなど)は通信を行うことができる。ノード10は互いに通信することができる。ノード10は、例えば、上述のプライベート、コミュニティ、パブリックもしくはハイブリッドクラウドまたはこれらの組み合わせなど、1つまたは複数のネットワークにおいて、物理的または仮想的にグループ化(不図示)することができる。これにより、クラウドコンピューティング環境50は、サービスとしてのインフラストラクチャ、プラットフォームもしくはソフトウェアまたはこれらの組み合わせを提供することができ、クラウド消費者はこれらについて、ローカルコンピュータ装置上にリソースを維持する必要がない。なお、図9に示すコンピュータ装置54A~Nの種類は例示に過ぎず、コンピューティングノード10およびクラウドコンピューティング環境50は、任意の種類のネットワークもしくはネットワークアドレス指定可能接続(例えば、ウェブブラウザの使用)またはその両方を介して、任意の種類の電子装置と通信可能であることを理解されたい。
【0081】
図10は、クラウドコンピューティング環境50(図9)によって提供される機能的抽象化モデルレイヤのセットが示されている。なお、図9に示すコンポーネント、レイヤおよび機能は例示に過ぎず、本発明の実施形態はこれらに限定されないことをあらかじめ理解されたい。図示するように、以下のレイヤおよび対応する機能が提供される。
【0082】
ハードウェアおよびソフトウェアレイヤ60は、ハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントを含む。ハードウェアコンポーネントの例には、メインフレーム61、RISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャベースのサーバ62、サーバ63、ブレードサーバ64、記憶装置65、ならびにネットワークおよびネットワークコンポーネント66が含まれる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアコンポーネントは、ネットワークアプリケーションサーバソフトウェア67およびデータベースソフトウェア68を含む。
【0083】
仮想化レイヤ70は、抽象化レイヤを提供する。当該レイヤから、例えば以下の仮想エンティティを提供することができる:仮想サーバ71、仮想ストレージ72、仮想プライベートネットワークを含む仮想ネットワーク73、仮想アプリケーションおよびオペレーティングシステム74、ならびに仮想クライアント75。
【0084】
一例として、管理レイヤ80は以下の機能を提供することができる。リソース準備81は、クラウドコンピューティング環境内でタスクを実行するために利用されるコンピューティングリソースおよび他のリソースの動的な調達を可能にする。計量および価格設定82は、クラウドコンピューティング環境内でリソースが利用される際のコスト追跡、およびこれらのリソースの消費に対する請求またはインボイス送付を可能にする。一例として、これらのリソースはアプリケーションソフトウェアのライセンスを含んでよい。セキュリティは、データおよび他のリソースに対する保護のみならず、クラウドコンシューマおよびタスクの識別確認を可能にする。ユーザポータル83は、コンシューマおよびシステム管理者にクラウドコンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービスレベル管理84は、要求されたサービスレベルが満たされるように、クラウドコンピューティングリソースの割り当ておよび管理を可能にする。サービス品質保証(SLA)の計画および履行85は、SLAに従って将来必要になると予想されるクラウドコンピューティングリソースの事前手配および調達を可能にする。
【0085】
ワークロードレイヤ90は、クラウドコンピューティング環境が利用可能な機能の例を提供する。このレイヤから提供可能なワークロードおよび機能の例には、マッピングおよびナビゲーション91、ソフトウェア開発およびライフサイクル管理92、仮想教室教育の配信93、データ分析処理94、取引処理95、ならびに、電池パック放電制御処理96が含まれる。
【0086】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、開示される実施形態に限定されることを意図するものでもない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
【0087】
本発明は、任意の可能な技術詳細レベルで統合されたシステム、方法もしくはコンピュータプログラム製品またはそれらの組み合せとすることができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。
【0088】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持し、記憶することができる有形の装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、一例として、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置またはこれらの適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な一例としては、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、RAM、ROM、EPROM(またはフラッシュメモリ)、SRAM、CD-ROM、DVD、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは溝内の隆起構造などに命令を記録した機械的に符号化された装置、およびこれらの適切な組み合せが挙げられる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して送信される電気信号のような、一過性の信号それ自体として解釈されるべきではない。
【0089】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理装置に、または、ネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、もしくはワイヤレスネットワークまたはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバー、無線伝送、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、もしくはエッジサーバまたはその組み合わせで構成される。各コンピューティング/処理装置のネットワークアダプタカードまたはネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に格納するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0090】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、統合回路のための構成データ、またはSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語と「C」プログラミング言語や類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上で、または部分的にユーザのコンピュータ上で実行可能である。あるいは、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され、または(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用したインターネット経由で)外部コンピュータに接続されてよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0091】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照して本明細書に記載されている。フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の各ブロック、およびフローチャート図もしくはブロック図またはその両方のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されよう。
【0092】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令がフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を生成するように、機械を生成するために汎用コンピュータ、専用コンピュータのプロセッサまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為の態様を実装する命令を含む生成品の1つを命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が構成するように、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、もしくは特定の方法で機能する他のデバイスまたはその組み合わせに接続可能なコンピュータ可読記憶媒体の中に記憶されることができる。
【0093】
コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上でフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為を実行する命令のように、コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で一連の操作ステップを実行し、コンピュータ実装された過程を生成することができる。
【0094】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が実行可能な実装の構成、機能、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表してよく、これは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を構成する。いくつかの代替の実施形態では、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序とは異なる場合がある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されるか、またはブロックは、関係する機能に応じて逆の順序で実行される場合がある。ブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック、およびブロック図もしくはフローチャート図またはその両方のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する、または特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装できることにも留意されたい。
【0095】
上記に加えて、1または複数の態様は、顧客環境の管理を提供するサービスプロバイダによって提供(provide)、提供(offer)、配備、管理、サービスなどがなされる可能性がある。例えば、サービスプロバイダは、1または複数の顧客のために1または複数の態様を実行するコンピュータコードもしくはコンピュータインフラストラクチャまたはその両方を作成、維持、サポートなどを行うことができる。その見返りとして、サービスプロバイダは、例として、サブスクリプションもしくは料金契約またはその両方に基づいて、顧客から支払いを受けることができる。さらに、または代替的に、サービスプロバイダは、1または複数の第三者への広告コンテンツの販売から支払いを受けることができる。
【0096】
一態様では、アプリケーションは、1または複数の実施形態を実行するために配備され得る。一例として、アプリケーションの配備は、1または複数の実施形態を実行するために動作可能なコンピュータインフラストラクチャを提供することを含む。
【0097】
さらなる態様として、コンピュータ可読コードをコンピューティングシステムに統合することを含むコンピューティングインフラストラクチャが展開される場合があり、この場合、コンピューティングシステムと組み合わせたコードは、1または複数の実施形態を実行することが可能である。
【0098】
さらに別の態様として、コンピュータ可読コードをコンピュータシステムに統合することを含む、コンピューティングインフラストラクチャを統合するための処理が提供され得る。コンピュータシステムは、コンピュータ可読媒体を含み、このコンピュータ媒体は、1または複数の実施形態を含んでいる。コンピュータシステムと組み合わせたコードは、1または複数の実施形態を実行することが可能である。
【0099】
以上、様々な実施形態について説明したが、これらは例示に過ぎない。例えば、他のアーキテクチャのコンピューティング環境を使用して、1または複数の実施形態を組み込んで使用することができる。さらに、異なる命令、命令フォーマット、命令フィールドもしくは命令値またはその組み合わせを使用することができる。多くのバリエーションが可能である。
【0100】
さらに、他のタイプのコンピューティング環境も恩恵を受け、使用することができる。一例として、プログラムコードの記憶もしくは実行またはその両方に適したデータ処理システムは、システムバスを介してメモリ要素に直接または間接的に結合された少なくとも2つのプロセッサを含むものが使用可能である。メモリ要素には、例えば、プログラムコードの実際の実行中に採用されるローカルメモリ、バルクストレージ、および実行中にバルクストレージからコードを取得しなければならない回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的なストレージを提供するキャッシュメモリがある。
【0101】
入力/出力またはI/O装置(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、DASD、テープ、CD、DVD、サムドライブおよび他のメモリ媒体などを含むが、これらに限定されない)は、直接または介在するI/Oコントローラを通してシステムに結合され得る。ネットワークアダプタも、データ処理システムが、介在するプライベートまたはパブリックネットワークを介して他のデータ処理システムまたはリモートプリンタまたはストレージデバイスに結合されることを可能にするために、システムに結合され得る。モデム、ケーブルモデム、およびイーサネットカードは、ネットワークアダプタの利用可能なタイプのほんの一部である。
【0102】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。用語「含む(comprise)」(および「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(および「has」および「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(および「includes」および「including」などのincludeの任意の形態)、および「contain(含む)」(および「contains」および「containing」などのcontainの任意の形態)はオープンエンドの連結動詞であるということがさらに理解されるであろう。その結果、1または複数のステップまたは要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含む(contains)」方法または装置は、それらの1または複数のステップまたは要素を保有するが、それらの1または複数のステップまたは要素のみを保有することに限定されない。同様に、1または複数の特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含む(contains)」方法のステップまたは装置の要素は、それらの1または複数の特徴を有するが、それらの1または複数の特徴のみを有することに限定されるものではない。さらに、ある方法で構成されている装置や構造は、少なくともその方法で構成されているが、記載されていない方法で構成されていることもある。
【0103】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステッププラスファンクションの対応する構造、材料、動作、および等価物は、具体的に請求された他の請求項の要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された形態の本発明に限定されることを意図していない。多くの修正および変形が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の1または複数の態様の原理および実用化を最もよく説明するために、また、当業者が、企図される特定の用途に適するように種々の変更を伴う種々の実施形態について本発明の1または複数の態様を理解できるように、選択および説明されたものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源システム内の状態の発生を決定することであって、前記電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源を含み、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記バックアップエネルギー源は、前記電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、決定することと、
前記電源システム内の前記状態の発生を決定することに基づいて、コントローラによって、前記バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させることであって、前記積極的に放電させることは、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路を制御することを含む、放電させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記決定された状態は、前記二次電池パックに関連しており、前記方法は、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記積極的に放電させることは、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記主入力電力を前記電力調整回路の中間電力バスに給電することを阻止することを含み、前記阻止することは、前記二次電池パックから前記中間電力バスへの前記電力の前記放電をもたらす、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定された状態は、前記電源回路の1または複数の構成要素に関連するエラー状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電源回路から前記エラー状態をクリアするために、前記電源回路の前記1または複数の構成要素を一時的に停止することと、前記電源回路からの前記エラー状態をクリアすることに基づいて、前記二次電池パックからの電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電源システムは、それぞれが冗長二次電池パックを有する冗長電源回路を備え、前記積極的に放電させることは、
前記電源システムの動作モードを決定することと、前記動作モードが冗長度低減モードであることに基づいて、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することを阻止することと、
前記二次電池パックから、前記二次電池パックに関連するバランス回路を介して電力を放電させるために、前記バックアップエネルギー源を制御することと、
前記二次電池パックの充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックに関連する前記バランス回路を介して前記二次電池パックの放電を中止することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電源回路であって、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記電源回路はシステム負荷に給電する、電源回路と、
バックアップエネルギー源であって、前記バックアップエネルギー源は二次電池パックを含み、前記バックアップエネルギー源は電源システムの負荷への主入力電力が利用できないときに前記システム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、バックアップエネルギー源と、
コントローラであって、前記コントローラは前記電源システム内の決定された状態に基づいて、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように動作可能に結合される、コントローラと、
を含む、システム。
【請求項13】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということであり、前記コントローラはさらに、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止し、前記二次電池パックの充電状態を監視し、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することは、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることであり、前記コントローラは、前記二次電池パックの充電状態を監視し、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記電源システムの負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記決定された状態は、前記電源回路の1または複数の構成要素に関連するエラー状態であり、前記コントローラは、前記電源回路から前記エラー状態をクリアするために、前記電源回路の前記1または複数の構成要素を一時的に停止し、前記電源回路に対する前記エラー状態をクリアすることに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、その中に実装されたコンピュータ可読コードを有する少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読コードは、1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、
電源システム内の状態の発生を決定することであって、前記電源システムは、電源回路とバックアップエネルギー源を含み、前記電源回路は主入力電力を受信し、前記バックアップエネルギー源は、前記電源回路への主入力電力が利用できないときにシステム負荷にバックアップ電力を供給するために前記電源回路に動作可能に結合される、決定することと、
前記電源システム内の前記状態の発生を決定することに基づいて、前記バックアップエネルギー源の二次電池パックを積極的に放電させることと、を実行させ、前記積極的に放電させることは、
前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止することによって、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路を制御することを含む、
コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記決定された状態は、前記二次電池パックの整備が必要であるということであり、前記コンピュータ可読コードは、前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記バックアップエネルギー源の充電回路が前記二次電池パックを再充電することを阻止することと、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、をさらに実行させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記電源回路は電力調整回路を備え、前記電力調整回路は整流・位相選択回路および力率改善回路を備え、前記コンピュータ可読コードは前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記電源システム内の前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止するために、前記整流・位相選択回路または前記力率改善回路を少なくとも一部停止することによって、前記主入力電力の前記システム負荷への給電を停止させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記決定された状態は、前記二次電池パックが健康状態(SoH)テストを受けることであり、前記コンピュータ可読コードは前記1または複数のプロセッサによって実行可能であり、前記1または複数のプロセッサに、前記二次電池パックの充電状態を監視することと、前記充電状態が設定された放電閾値まで低下したことに基づいて、前記二次電池パックから前記システム負荷への電力の放電を強制するように前記電源回路の制御を中止することと、を実行させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
図4Aの制御処理を続けると、コントローラは、電源システム内の主入力電力がシステム負荷に給電することを中断することによって、二次電池パックからの電力の放電を強制する。例えば、図3~4Dの実施形態では、コントローラ340は、電源フロントエンド回路310を停止し、図4Cに示されるように、中間バス312への主入力電力の喪失を引き起こす(408)。一実装では、コントローラ340は、既存の電源フロントエンド回路を利用して、回路の1または複数の態様をオフにし、主入力電力が中間バス312に給電するのを阻止する。1または複数の他の実装では、主入力電力が中間バス312に給電するのをコントローラ340が中断できるように、スイッチまたは他の接触要素を電源フロントエンド回路310と並んで設けることができることに留意されたい。また、本明細書に開示された1または複数の態様を実施するコントローラ(または制御システム)は、バックアップエネルギー源125のコントローラ204もしくは電力調整回路300のコントローラ340またはその両方であり得ることに留意されたい。例えば、一実施形態では、本明細書に記載される特定の制御態様は、コントローラ204および340の間に分散され、これらは、注記したように、動作可能な通信状態にある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図4Aに示されるように、中間バスは、放電回路350(図4C参照)を介して、選択された二次電池パックから電力を引き出すことを自動的に開始する(410)。制御処理は、二次電池パックの充電状態が放電閾値以下になるかどうかを監視する(412)。例えば、一実施形態では、コントローラは、電池パックの充電状態が完全充電の30%以下になったかどうかを監視する。そうである場合、図4Dに示されるように、電源フロントエンド回路は再起動される(414)。一実施形態では、フロントエンド回路の再起動は、電池パックの充電状態が30%の充電状態以下まで低下することに基づいて起こり、電池電圧が、20%などの、電力調整回路が動作するための最小充電状態を下回る前であることに注意されたい。したがって、電源フロントエンド回路が再起動するための所望の電池パック放電レベルは、(一実施形態では)20%~30%の充電状態の間であり得る。これにより、電力調整回路が動作するための最小充電状態を電池パックが下回る前に、電源フロントエンド回路が再起動され、電力調整を再開するための時間が得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
図9は、例示的なクラウドコンピューティング環境50が示されている。クラウドコンピューティング環境50は1つまたは複数のクラウドコンピューティングノード52を含む。これらに対して、クラウド消費者が使用するローカルコンピュータ装置(例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)もしくは携帯電話54A、デスクトップコンピュータ54B、ラップトップコンピュータ54C、もしくは自動車コンピュータシステム54Nまたはこれらの組み合わせなど)は通信を行うことができる。ノード52は互いに通信することができる。ノード52は、例えば、上述のプライベート、コミュニティ、パブリックもしくはハイブリッドクラウドまたはこれらの組み合わせなど、1つまたは複数のネットワークにおいて、物理的または仮想的にグループ化(不図示)することができる。これにより、クラウドコンピューティング環境50は、サービスとしてのインフラストラクチャ、プラットフォームもしくはソフトウェアまたはこれらの組み合わせを提供することができ、クラウド消費者はこれらについて、ローカルコンピュータ装置上にリソースを維持する必要がない。なお、図9に示すコンピュータ装置54A~Nの種類は例示に過ぎず、コンピューティングノード52およびクラウドコンピューティング環境50は、任意の種類のネットワークもしくはネットワークアドレス指定可能接続(例えば、ウェブブラウザの使用)またはその両方を介して、任意の種類の電子装置と通信可能であることを理解されたい。
【国際調査報告】