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特表2024-513717化学的複合セラミック摩耗性シーラント材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】化学的複合セラミック摩耗性シーラント材料
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/11 20160101AFI20240319BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C23C4/11
C04B41/87 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557163
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022020587
(87)【国際公開番号】W WO2022197827
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/162,228
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515195347
【氏名又は名称】エリコン メテコ(ユーエス)インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】リー,フワソー
(72)【発明者】
【氏名】シャロベム,ティモシー・タドロス
(72)【発明者】
【氏名】ジンデルマン,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4K031
【Fターム(参考)】
4K031CB42
(57)【要約】
タービンエンジン用摩耗性シーラント皮膜を形成する化学的複合酸化物粉末が提供される。化学的複合酸化物の第1の特性的な利点は、タービンエンジンにおけるブレードおよびラビリンスシールナイフエッジの低い耐浸食性および低減した擦り減りを含む。第2の特性的な利点は、改善した熱的特性、優れた耐焼結性、優れた相安定性、および化学的腐食に対する高い耐性を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシア-マグネシア-アルミナ-シリケート(CMAS)耐性を有する酸化物を含み、
前記酸化物が1110℃~1125℃の低溶融温度を有するCMASと1250℃で8時間反応する場合に、前記酸化物が100μm以下のCMAS浸透深さを示す、溶射材料原料。
【請求項2】
前記酸化物が高エントロピー酸化物(HEO)である、請求項1に記載の溶射材料原料。
【請求項3】
前記酸化物が
5~14重量%のアルカリ土類金属酸化物、
35~70重量%の希土類金属酸化物、
6~20重量%のY、および
残部のZrOを含む、請求項1に記載の溶射材料原料。
【請求項4】
前記酸化物が
5~9重量%のアルカリ土類金属酸化物、
41~63重量%の希土類金属酸化物、
15~24重量%のY、および
残部のZrOを含む、請求項1に記載の溶射材料原料。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属酸化物がCaCo、CaO、またはMgOの少なくとも1種である、請求項3に記載の溶射材料原料。
【請求項6】
前記希土類金属酸化物がYb、GdO、またはSmの少なくとも1種である、請求項3に記載の溶射材料原料。
【請求項7】
前記アルカリ土類金属酸化物がMgOである、請求項4に記載の溶射材料原料。
【請求項8】
前記希土類金属酸化物が1~2重量%のLaおよび24~38重量%のGdの少なくとも1種である、請求項4に記載の溶射材料原料。
【請求項9】
2重量%未満のLaまたはLaの他の供給源を含む、請求項1に記載の溶射材料原料。
【請求項10】
55重量%以下の、Hf-酸化物、Ta-酸化物、Dy-酸化物、Nb-酸化物、Nd-酸化物、Gd-酸化物、およびY-酸化物の少なくとも1種を含む費用のかかる酸化物の合計含有量を含む、請求項1に記載の溶射材料原料。
【請求項11】
55重量%以下の、YおよびGdの少なくとも1種を含む費用のかかる酸化物の合計含有量を含む、請求項4に記載の溶射材料原料。
【請求項12】
摩耗性シーリング皮膜を製造するための方法であって、
請求項1に記載の溶射材料原料をタービンブレードまたはジェットエンジンの一部にプラズマ溶射する工程を含み、
前記溶射材料原料が前記タービンブレードまたは前記ジェットエンジンの前記一部と接する酸化物を含む、方法。
【請求項13】
請求項2に記載のHEOを含む摩耗性シーラント皮膜。
【請求項14】
前記HEOが1.5Rより大きい高配置エントロピーを有する、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項15】
遮熱皮膜用ベースコートを更に含む、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項16】
前記HEOが一般式Mで表され、Mが少なくとも5つの異なる酸化物形成金属カチオンを含む群から選択される、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項17】
前記HEOが一般式Mで表され、Mが周期表のII族の少なくとも1種のメンバーから選択される、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項18】
前記HEOが一般式Mで表され、Mが周期表の少なくとも1種のランタニドから選択される、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項19】
前記HEOが一般式Mで表され、Mが少なくとも1種の遷移金属から選択される、請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項20】
5mol%より多い量の5つ以上の異なる酸化物形成金属カチオンを含む、摩耗性シーラント皮膜。
【請求項21】
全ての酸化物が単相固溶体を形成する、請求項15に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項22】
多数の酸化物相が存在する、請求項15に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項23】
高レベルの多孔性を含み、断面積で約30~70%を有する多孔性を有することができる、請求項15に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項24】
少なくとも1種の一時的な相を含む、請求項15に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項25】
少なくとも1種の一時的な相がポリエステル、タルク、および窒化ホウ素を含む、請求項15に記載の摩耗性シーラント皮膜。
【請求項26】
5~14重量%のCaCo、CaO、またはMgOを含む少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物、
35~70重量%のYb、GdO、またはSmを含む少なくとも1種の希土類金属酸化物、および
6~20重量%のY、および
残部のZrOを含む、高エントロピー酸化物粉末。
【請求項27】
請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜を含むタービンブレード。
【請求項28】
請求項13に記載の摩耗性シーラント皮膜を含むジェットエンジンの一部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月17日に出願された米国仮出願第63/162,228号の利益および優先権を主張し、その開示はその全体が本明細書において参照により明らかに援用される。
【0002】
発明の背景
1.開示の分野
本開示は、タービンエンジンの高温領域におけるエンジン効率を高めるための、高エントロピー酸化物(HEO)を有する溶射材料原料および摩耗性シーラント皮膜に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景の情報
ターボ機械において、回転部材(例えばブレードおよびラビリンスシールナイフエッジ)とエンジンケーシングとの間のクリアランスを減らすために摩耗性シールが用いられる。回転部材とエンジンケーシングとの間のクリアランスを減らすことは、タービンエンジンの効率を改善し、燃費を低下させ、ブレードとエンジンケーシングとの間の致命的な接触の可能性を排除することによりクリアランスの安全マージンを減らす。摩耗性シールは、摩耗性皮膜を固定部分(エンジンケーシング)に適用することにより製造され、作動中に回転部材(例えばブレードまたはナイフエッジ)のチップと接触すると擦れて取れる。このプロセスは、ブレードチップと内部エンジンハウジングとの間のギャップを実質的になくす。
【0004】
従来の溶射粉末は、設計意図または運転中のサージのために回転部材が皮膜と接触することのできるクリアランス制御用途の摩耗性皮膜を生成する。皮膜は、回転部材の擦り減りを最小限に抑え、一方でシールされたエリアのクリアランス制御を行うことにより気体経路効率を最大化するよう設計されている。様々なエンジンのエンジン部分に必要な作動条件に応じて、従来の摩耗性シールは、酸化物セラミックであってもアルミニウム、銅、コバルト、および/またはニッケル系の金属合金であってもよい。エンジンの熱い部分では、従来の摩耗性シール材料は希土類酸化物、例えばイットリア、イッテルビア、および/またはジスプロシアにより安定化されたジルコニア系セラミックを含むことが多い。これらの皮膜の構想は、高温セラミックの望ましい特性とポリマー材料を組み合わせて、皮膜に多孔性を生み出す(例えば8YSZであるMetco 2395+4.5重量%ポリエステル+0.7重量%hBNまたは8YSZであるM2460NS+4.0重量%ポリエステル)。これらの皮膜は、剥き出しのチップなしのニッケル合金ブレードまたはチップ付きのニッケル合金タービンブレードのいずれかに対する擦り減り侵害に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブレードの擦り減りを低減するため、セラミックが重大なブレードの擦り減りを引き起こすことなくブレードにより容易に切断されるように、セラミック摩耗性皮膜の機械的特性は改変される必要がある。従来のセラミック摩耗性皮膜は、高い多孔性または充填剤相を用いており、それにより皮膜の全体の耐浸食性および硬さが低下し、摩耗性皮膜の切断を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、耐浸食性が極めて低く(優れた摩耗性能)、熱安定性が高く、化学的に不活性な皮膜を形成する溶射材料原料を提供する。セラミック系摩耗性シーラント材料への高エントロピー酸化物の使用は、セラミック系摩耗性皮膜の切断性能を改善し、以下(1)ニッケル合金タービンブレード(例えば航空エンジンのタービン部分、または陸上気体蒸気タービンエンジン)、および(2)チップ付きのニッケル合金タービンブレード(例えば航空エンジンのタービン部分、または陸上気体蒸気タービンエンジン)に対する擦り減りダメージを排除する。高エントロピー酸化物から作製したセラミック摩耗性皮膜の使用はまた、熱安定性および耐焼結性を改善し、より高い使用温度をもたらす。カルシア-マグネシア-アルミノ-シリケート(CMAS)による化学的腐食に対する耐性もまた、HEOにより示された望ましい特性である。HEO系セラミック摩耗性シーラント材料の別の利点は、それらの脆い特性により、皮膜構造に高多孔性レベルを生み出し、優れた摩耗性能を達成するために、一時的な相としてポリエステルの使用が必要ないことである。
【0007】
「優れた摩耗性能」は、低いブレードの擦り減りダメージが得られたことで定義される。
【0008】
「ブレードの擦り減りダメージ」は、以下の(1)指定の8重量%イットリア安定化ジルコニア(YSZ)ポリエステル(Metco 2395およびMetco 2460NS)、48重量%イットリア安定化ジルコニア(YSZ)ポリエステル(Metco 2461A)、ジスプロシア安定化ジルコニア(DySZ)ポリエステル(Durabrade 2192)、イッテルビアジルコネートポリエステル(Durabrade 2198)およびマグネシアアルミネートスピネル(Metco 2245)に基づく摩耗性皮膜におけるセラミック材料成分によるブレード材料の2体摩耗擦り減り、ならびに(2)タービンにおける深刻な摩擦侵害条件により引き起こされたブレード材料の過剰な加熱から生じる深刻な擦り減りダメージ、および/または摩耗性皮膜が過剰に高いバルク硬度条件で溶射されることの2つの方法の1つで定義される。
【0009】
深刻な擦り減りダメージの例は、加熱で軟化したブレード材料、極度のバルク塑性変形、および割れを含む。深刻な擦り減りダメージの他の例は、摩擦により引き起こされた加熱から生じるブレード材料の酸化を含む。深刻な擦り減りダメージの更なる例は、ブレード材料の燃焼(主にチタン合金に限られる)を含む。深刻な擦り減りダメージのなお更なる例は、特定の硬さより高い摩耗性のシュラウドに対する非効率的な切断から生じる極度のブレード切断力によるブレード材料の亀裂を含む。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、摩耗性シーリング皮膜としての化学的複合物または「高エントロピー」酸化物(HEO)を含む溶射材料原料に関する。HEOは、特定の環境での使用のための化学的、機械的、および熱的な特性の正確な制御を可能にする。実施形態では、本開示のHEOはいずれの主な構成酸化物、例えばジルコニアも安定化ジルコニア皮膜に含まない。実施形態では、摩耗性シーリング皮膜が>5mol%の高濃度で少なくとも5つの主な酸化物構成成分を含有する。
【0011】
例示的な実施形態では、摩耗性シーリング皮膜は5つ以上のカチオンの混合物を有する副格子および酸素を含む少なくとも1つの副格子を含む。5つ以上のカチオンのランダムな並びは、高配置エントロピー(Sconfig)の材料を提供する。5つ以上の元素を含むことはまた、相組成を変えて特定の環境での摩耗性および耐薬品性を高める能力を提供する。また、5つ以上の元素を含むことは個々の相の高配置エントロピーをもたらし、熱安定性の増大をもたらす。熱的特性、例えば熱伝導率はまた、特定の構成成分を含むことにより変えることができ、優れた性能が得られる。
【0012】
HEOは大きな格子ひずみおよび他の欠陥濃度を有し、熱伝導率が低くなる。それらの特徴的な低熱伝導率のためにHEOはタービンエンジンの遮熱皮膜として調査されてきたが、摩耗性シール皮膜としてのHEOの使用はこれまで研究されていない。
【0013】
本開示は、改善した擦り減り侵害挙動(摩耗性能)を示す新種のセラミック摩耗性シール組成物を提供する。用いられるHEOの種類に応じて、改善した熱的特性、優れた耐焼結性、優れた相安定性、良好な熱サイクル性能、および(例えばCMASによる)化学的腐食に対する高い耐性を本開示の摩耗性シール皮膜において得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ある実施形態では、酸化物セラミックがシーラント材料または摩耗性シール材料として用いられる。例示的な実施形態では、酸化物セラミック全体の複合原子組成は一般式Mで表され、Mは5mol%より多い量の少なくとも5つの異なる酸化物形成金属カチオンの群から選択される。Mは標準的な冶金学的な省略表現である。例えば、炭化物(Cr,Mo,W,Fe)23は一般的にはM23と称され、(TiNbTaZrHf)CはMCと称される。同様に、Mは酸化物(Zr,Ce,Y,Yb,Gd,Dy)を記載するのに用いることができ、「M」は少なくとも5つの酸化物形成金属の群から選択される。
【0015】
ある実施形態では、酸化物セラミックの配置エントロピーSconfigはモルあたり1.5R以上であり、Rは気体定数8.314J・K-1・mol-1である。このSconfigの値は高エントロピー材料の一般的に受け入れられている定義である。実施形態では、金属カチオン「M」および酸素アニオン「O」を1つまたは複数の結晶副格子に割り振ることができる。
【0016】
本開示の実施形態では、金属「M」は無毒非放射性酸化物形成金属、例えば
Be、Mg、Ca、Sr、およびBaを含むアルカリ土類金属、
Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Ni、Cu、およびZnを含む遷移金属、ならびに
La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、およびLuを含むランタニドを含むことができる。
【0017】
例えば、「M」は、少なくとも1種のアルカリ土類金属、少なくとも1種の遷移金属、および少なくとも1種のランタニドを含む、少なくとも5つの異なる酸化物形成金属カチオンの群から選択される。別の例では、「M」は、アルカリ土類金属、遷移金属、およびランタニドの中の少なくとも5つの異なる酸化物形成金属カチオンの群から選択される。
【0018】
実施形態では、以下の金属、(1)アルカリ土類金属、例えばMgおよびCa、(2)遷移金属、例えばY、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、およびW、ならびに(3)ランタニド、例えばLa、Ce、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Er、およびYbをHEO摩耗性シール皮膜において用いることができる。
【0019】
実施形態では、金属カチオン「M」および酸素アニオン「O」を1つまたは複数の結晶副格子に割り振ることができる。従って、本開示の酸化物は、未だ知られていない結晶格子(Zr,Y,Yb,Gd,Dy)の1つの複合酸化物構造として物理的に示すことができるか、またはそれ自体を2つ以上の一般的に知られている結晶格子、例えば(Y,Yb,Gd,Dy)および(Zr,Ce)Oに区分化することができる。後者の場合、これは全体的な組成内で3つの酸素原子ごとに群(Y,Yb,Gd,Dy)からの2つの原子、2つの酸素原子ごとに群ZrおよびCeから1つの原子を意味する。これらの酸化物格子は密接に混合されることが予測され、それにより走査電子顕微鏡法でHEO構造において別々の相を検出することはできない。
【0020】
本開示の実施形態とNicollら、Dieterら、およびXieらの参考文献(以下に列挙)との2つの基本的な違いは、
1.高エントロピー(Sconfigは1.5Rより大きい)(これは例えばRef.1に記載のような標準的な熱力学的公式を用いてあらゆる組成物について計算することができる)、および
2.より多くの数の「M」種を含む。
【0021】
本開示の実施形態とHeらの参考文献(以下に列挙)との基本的な違いは、
1.高エントロピー酸化物の摩耗性シール材料としての用途である。
【0022】
高エントロピー酸化物は遮熱皮膜として用いることができたが、高エントロピー酸化物の摩耗性シールとしての使用は知られていない。例えばHarringtonの参考文献(Ref.16として以下に列挙)を参照すると、「(出発点およびベースラインとしての4つの主なカチオン(Hf0.25Zr0.25Ce0.250.25)O2-δに加えて)5つの主なカチオンを有する11の蛍石酸化物が高エネルギーボールミル粉砕、放電プラズマ焼結、および空気中アニーリングより製造された」と記載されている。
【0023】
本開示のいくつかの態様では、高エントロピー酸化物摩耗性皮膜はカルシア-マグネシア-アルミナ-シリカ(CMAS)に更に耐性である。CMAS耐性は高エントロピー酸化物に本来備わった特徴ではなく、摩耗性皮膜に有用な独立的な特性である。CMAS耐性は、CMAS材料を試験する酸化物皮膜の最上部に置き、製造した試験クーポンを高温に曝露させ、酸化物皮膜へのCMASの浸透を測定することにより一般的に測定される。
【0024】
例示的な実施形態では、酸化物は8時間で1110~1125℃の溶融温度を有するCMAS組成物とともに1250℃の試験温度に8時間供される。別に記載されなければ、本開示で提示された全てのCMAS浸透データはこれらの条件下で試験された。
【0025】
HEO皮膜が溶融シリケートの腐食に対して7YSZより高い耐性を示すことが見出された。アルカリ土類酸化物(「AE」)の添加は、高エントロピー酸化物の耐性を更に高めることができる。AEの添加は、1)遮熱皮膜(「TBC」)と溶融シリケートとの境界で形成する相の溶融温度を上昇させること、および2)溶融シリケートだけでなく皮膜において保護層の形成に必要な元素(例えばCa、Mg、およびRE)を提供することの2つの効果を有する。この動態は保護層の相形成の反応速度論を改変し、針状形態ではなく好ましい高密度の保護層を形成することが示された。
【0026】
実際に、溶融シリケートが遷移金属酸化物(例えばZrO)ならびにYおよび/または他の希土類ドーパントを含有する皮膜と反応する場合、最も安定な高温相(例えばアパタイト)を形成する希土類ドーパントは、皮膜から優先的にリーチングする。
【0027】
高Yジルコニア皮膜、例えば48YSZは、CMASバリアにおいて適度な保護アパタイトを効率的に形成することができる。望ましい保護層は、AE2+yRE8+x(SiO4)6O2+3x/2+yを有するアパタイト型層である。層がCMASのRE元素およびAE元素の両方を含有することから、皮膜に変化する量で希土類およびアルカリ土類の両方を含むことは、濃度勾配を変えることによりアパタイト相成長反応速度論を操作することができる。皮膜のAE濃度およびRE濃度がいずれも高い場合、Siが溶融CMASから皮膜に拡散してアパタイトを形成する。AEが皮膜に含まれない場合、RE元素が皮膜から拡散してCMASに含有されたシリケートとともにアパタイトを形成する。皮膜へのSi拡散から形成するアパタイトがより保護的である。
【0028】
別々の相にあるよりも遷移金属酸化物(この場合ZrO、HfO、TiO、Y、Nb、V、Ta、Cr、MoO、WO)およびランタニド系統の希土類酸化物(La、CeO、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、およびLu)ならびにそれらの任意の混合物とともにアルカリ土類金属が溶液に存在する場合にはるかに明白であることから、この効果は高エントロピーまたは複合濃縮酸化物において特に重要である。基本的な原理は、AE元素およびRE元素の皮膜からCMASへの拡散を防ぎ、Siを皮膜に拡散させてアパタイト相を形成することである。RE元素およびAE元素を含有する非常に不規則な単相固溶体は材料からのそれらの拡散を更に遅らせる。
【0029】
本開示の実施形態は、遷移金属、ランタニド系統の希土類酸化物、およびアルカリ土類金属を含有する酸化物の混合物を含む。実施形態では、アルカリ土類酸化物は、保護皮膜と溶融シリケートとの境界で形成するアパタイト層の形成反応速度論を変える。反応速度論は、溶融シリケートと固体皮膜との間に完全に高密度の連続層をもたらす。従来の皮膜、例えば7YSZでは、アパタイト層は保護的ではなく、皮膜材料のリーチングが迅速で抑制されない。
【0030】
本開示の実施形態では、境界で形成する保護層は、アルカリ土類元素(即ちBe、Mg、Ca、Sr、およびBa)、イットリウムまたは希土類元素(即ちY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLu)ならびにSiを含有する複合酸化物である。AEおよび/またはSiの供給源が溶融シリケート内またはCMAS内のみである場合、層の形態は針状であり、最小限に保護するものである。保護的な境界相の形成に必要なAEが皮膜に見られる場合、皮膜の形態は境界において高密度で連続的である。このことが保護効果をもたらし、皮膜からのRE元素およびAE元素の更なるリーチングを防ぐ。
【0031】
本開示の例示的な実施形態は、少なくとも4種の群A化合物および1種の群B化合物を含有する皮膜を含む。群A化合物は、ZrO、HfO、TiO、Y、Nb、V、Ta、Cr、MoO、WO3、La、CeO、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、およびLuを含む。群B化合物は、MgO、CaO、CaCO、SrO、SrCO、BaO、およびBaCOを含む。実施形態では、保護層がアパタイト型ではないが皮膜の複合溶液にAE元素およびRE元素を含めることによりやはり制御される皮膜組成物が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、原料コストを最小限に抑える目的で、典型的には希土類金属から形成される費用のかかる酸化物の含有量を低減することが望ましい。実施形態では、希土類金属は、イットリウム、ガドリニウム、ネオジム、ジスプロシウム、ハフニウム、ニオブ、およびタンタルを含む。1つの実施形態では、Hf-酸化物、Ta-酸化物、Dy-酸化物、Nb-酸化物、Nd-酸化物、Gd酸化物、およびY酸化物の少なくとも1種を含む費用のかかる酸化物の含有量を55重量%未満の最小限に抑えることが望ましい。実施形態では、費用のかかる酸化物は金属種と酸化物の間の任意の化学量論を含む。好ましい実施形態では、HEOの費用のかかる酸化物の含有量は50重量%未満である。より好ましい実施形態では、HEOの費用のかかる酸化物の含有量は45重量%未満である。比較として、公知のCMAS耐性酸化物として本開示に言及したガドリニウムジルコネートは59~60重量%のガドリニウムを有し、従って、59~60重量%の費用のかかる酸化物の含有量に等しい。
【0033】
いくつかの実施形態では、HEOの化学的構造は
5~14重量%のアルカリ土類金属酸化物、例えばCaCo、CaO、またはMgO、
35~70重量%の希土類金属酸化物、例えばYb、GdO、またはSm
13~57重量%のZrO、および
6~20重量%のYを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、Alを3重量%まで添加することができる。他の実施形態では、LaまたはLaの他の供給源は2重量%未満に特に限定される。いくつかの実施形態では、Laのあらゆる供給源は0.5重量%未満に限定される。
【0035】
実施形態では、HEOの化学的構造(HEO-2の化学的構造を表す)は
11~17重量%のアルカリ土類金属酸化物、例えばCaCO
55~83重量%の希土類金属酸化物、例えばYb、Gd、またはY
22~33重量%のYb
20~31重量%のGd
12~19重量%のY、および
13~21重量%のZrOを含む。
【0036】
実施形態では、アルカリ土類金属酸化物の量は12.5~15.5重量%である。実施形態では、希土類金属酸化物の量は61~76重量%である。他の実施形態では、希土類金属酸化物の量は22~33重量%である。実施形態では、Yの量は14~18重量%である。実施形態では、ZrOの量が15~19重量%である。
【0037】
実施形態では、HEOの化学的構造(HEO-8の化学的構造を表す)は
5~9重量%のアルカリ土類金属酸化物、例えばMgO、
41~63重量%の希土類金属酸化物、例えば1~2重量%のLaおよび24~38重量%のGd
好ましくは、YおよびGdの費用のかかる酸化物の含有量が55重量%未満であり、
15~24重量%のY、ならびに
残部のZrOを含む。
【0038】
実施形態では、アルカリ土類金属酸化物の量は6~8重量%である。実施形態では、希土類金属酸化物の量は46~58重量%である。実施形態では、希土類金属酸化物の量は22~33重量%である。実施形態では、Yの量は14~18重量%である。実施形態では、ZrOの量は15~19重量%である。実施形態では、Yの量は17~22重量%である。
【0039】
実施形態では、HEOの化学的構造(HEO-9の化学的構造を表す)は
4~7重量%のアルカリ土類金属酸化物、例えば2~4重量%のCaOおよび1~3重量%MgO、
28~43重量%の希土類金属酸化物、例えば8~13重量%のYb、7~12重量%のGd、7~12重量%のSm
4~8重量%のY、ならびに
残部のZrOを含む。
【0040】
好ましくは、Y、Yb、およびGdの費用のかかる酸化物の含有量は40重量%未満である。
【0041】
実施形態では、希土類金属酸化物の量は32~40重量%である。実施形態では、Yの量は5~7重量%である。
【0042】
実施形態では、HEOの化学的構造(HEO-10の化学的構造を表す)は
8~14重量%のアルカリ土類金属酸化物、例えば5~8重量%のCaOおよび3~6重量%のMgO、
60~91重量%の希土類金属酸化物、例えば18~27重量%のYb、16~25重量%のGd、および15~24重量%のSm
4~16重量%のY、ならびに
残部のZrOを含む。
【0043】
実施形態では、Yの量は10~16重量%である。他の実施形態では、Yの量は4~8重量%である。
【0044】
いくつかの実施形態では、HEOは、上述のCMAS試験条件に供される場合の低い浸透深さにより実証されるような高CMAS耐性を有する。いくつかの実施形態では、CMAS浸透深さは100μm未満である。他の実施形態では、CMAS浸透深さは85μm未満である。更に他の実施形態では、CMAS浸透深さは70μm未満である。
【0045】
先述のように、CMAS耐性はHEO材料に本来備わった特質ではなく、いくつかの実験用HEOが高いCMAS浸透深さを有することが本発明者らにより実験により見出された。例えば、7YSZの従来のTBC皮膜が>400μmのCMAS浸透深さを有することが見出された。別の例として、GZOのTBC皮膜は、7YSZよりも改善したCMAS耐性についてある程度知られた別の広範に用いられるTBCであり、約150μmのCMAS浸透を有することが見出された。
【0046】
実施形態では、本開示の酸化物は、アパタイト相の形成により実証されるような高CMAS耐性を有する。本発明者らにより、上昇した量のアルカリ土類金属がCMAS耐性を高めることが見出された。しかしながら、過剰に高いアルカリ土類金属含有量が反応生成物をアパタイト以外の相にシフトさせることができることもまた見出された。例えば、かんらん石を形成するいくつかの高いMg含有量の実験用組成物が生成された。従って、酸化物にドープしすぎて反応生成物をアパタイト以外の相にシフトさせないようにアルカリ土類金属含有量のバランスを取ることが求められる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示の酸化物は摩耗性皮膜の1つの成分を含む。別の実施形態では、摩耗性皮膜は、以下(1)多孔性形成剤、例えばポリエステル、ポリマー、ポリイミド、および/またはPMMA、(2)固体潤滑剤、例えばグラファイト、hBN、またはフッ化カルシウム、ならびに(3)他の充填剤相、例えばタルクもしくは粘土、または金属合金の1つまたは複数を含む。
【0048】
更に、少なくとも本発明が、例えば単純化または効率化のために特定の例示的な実施形態の開示によりそれを作製および使用できるように本明細書に開示されることから、本発明は、本明細書に特に開示されていないいずれの更なる要素も更なる構造もなしに行うことができる。
【0049】
上述の例が単に説明のために提供されたものであり、本発明を限定するものとしては決して解釈されないことに留意されたい。本発明は例示的な実施形態の参照により記載されたが、本明細書で用いられた単語が、限定する単語ではなく記載および説明する単語であることが理解される。その態様における本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、現在記載されたようなおよび補正されたような添付の特許請求の範囲の範囲内で変更を加えることができる。本発明は本明細書において特定の手段、材料および実施形態の参照により記載されたが、本発明は本明細書に開示された事項に限定されることを意図されず、むしろ、本発明は、例えば添付の特許請求の範囲の範囲内である、全ての機能的に同等の構造、方法および使用にまで及ぶ。
先行技術参考文献
以下の全ての参考文献は参照することにより本書に含まれる。
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【国際調査報告】