(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】マイクロLED群およびマイクロLEDアレイを用いたディスプレイ製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240319BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240319BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240319BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/33
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557175
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022020387
(87)【国際公開番号】W WO2022197705
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ガン
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA25
5C094DA09
5C094DB06
5C094ED01
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142DB24
5F142EA34
5G435AA17
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
マイクロLEDの1つ以上のクラスタをディスプレイパネルに転送する方法は、2つ以上のマイクロLEDを含む複数のマイクロLEDクラスタを基板上に製造または装填することと、基板を第1の位置に位置決めすることとを含む。少なくとも第1のマイクロLEDクラスタが、ディスプレイパネル上の少なくとも第1の電気コネクタと整列する。上記方法はさらに、第1のマイクロLEDクラスタが第1の電気コネクタに接触するように、基板をディスプレイパネルに向けて下降させることと、第1のマイクロLEDクラスタを基板から離すこととを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロLEDクラスタを基板からディスプレイパネルに転送する方法であって、前記方法は、
前記複数のマイクロLEDクラスタを前記基板上に製造または装填することを備え、各マイクロLEDクラスタは2つ以上のマイクロLEDを備え、前記方法はさらに、
前記基板を第1の位置に位置決めすることを備え、第1の複数のマイクロLEDクラスタが、前記ディスプレイパネル上に配置された電気コネクタの第1のクラスタと整列し、前記方法はさらに、
前記第1のマイクロLEDクラスタが前記第1の電気コネクタに接触するように、前記基板を前記ディスプレイパネルに近づけることと、
前記第1のマイクロLEDクラスタを前記基板から離すこととを備える、方法。
【請求項2】
前記マイクロLEDクラスタの各々は、第1の色を発するように構成されたマイクロLEDと、第2の色を発するように構成されたマイクロLEDとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロLEDクラスタの各々は、第3の色を発するように構成されたマイクロLEDをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板を前記ディスプレイパネルから遠ざけることと、
前記基板が第2の位置に位置決めされるように、前記基板を前記ディスプレイパネルに対して平行移動させることとをさらに備え、前記第2の位置は前記第1の位置と重なっておらず、さらに、
少なくとも第2の複数のマイクロLEDクラスタを、前記ディスプレイパネル上に配置された少なくとも第2の複数の電気コネクタと整列させることと、
前記第2の複数のマイクロLEDクラスタが前記第2の複数の電気コネクタに接触するように、前記基板を前記ディスプレイパネルに近づけることと、
前記第2の複数のマイクロLEDクラスタを前記基板から離すこととを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロLEDクラスタの各々は集積回路をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のマイクロLEDと集積回路とを備えるマイクロLEDクラスタであって、前記集積回路は、前記複数のマイクロLEDに電気的に結合される電気相互接続部を備える、マイクロLEDクラスタ。
【請求項7】
前記集積回路は前記複数のマイクロLEDに接合される、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【請求項8】
前記集積回路は前記複数のマイクロLEDとモノリシックに形成される、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【請求項9】
前記集積回路はディスプレイパネル上の電気回路に結合される、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【請求項10】
前記集積回路はパッシブディスプレイパネルに結合される、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【請求項11】
前記複数のマイクロLEDに結合されるマイクロレンズをさらに備える、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【請求項12】
前記複数のマイクロLEDに結合される複数のマイクロレンズをさらに備える、請求項6に記載のマイクロLEDクラスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年3月16日に出願された米国仮特許出願連続番号第63/161,859号から利益を得、上記出願の優先権を主張し、上記出願の全体が引用により援用される。
【0002】
技術分野
本開示の局面は、概して、さまざまなタイプのディスプレイおよび他のデバイスに使用される発光素子の構造などの発光構造と、発光構造の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
よりよいユーザ体験を提供して新しい用途を可能にするために、ディスプレイにおける発光素子(たとえば画素)の数は増加し続けている。しかしながら、発光素子の数を増やすことは、設計および製造の両方の観点から困難である。発光素子を小型化することで、デバイスにおけるそのような発光素子の密度を高めることが可能となる。しかしながら、小さな発光素子を大量に高密度で製作する有効かつ効率的な技術は広く普及していない。たとえば、小さな発光ダイオード(LED)を製造し、そのようなLEDを性能およびサイズについての要求が厳しいますます高性能化するディスプレイアーキテクチャに組み込むことは、困難である。加えて、ディスプレイ用途の発光素子の発行特性の改善も必要である。
【0004】
マイクロLEDディスプレイ技術には、高スループットの画素転送技術が必要である。通常、赤、緑、および青の3原色を表すマイクロLEDは、ディスプレイ基板に順次転送される。フルカラーディスプレイを提供するためにはマイクロLEDを交互配置しなければならない。この手法に関連した問題として、低いスループット、複雑な製造プロセス、欠陥、整列誤差、「ピックアンドプレース(pick and place)」の信頼性、干渉問題、高いコスト、低い画質などがある。LEDベースのディスプレイの改善された製造方法を実現することが必要である。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
以下に、1つ以上の局面についての基本的な理解を提供するために、このような局面の簡単な概要を示す。この概要は、意図されているすべての局面の広範な概説ではなく、すべての局面の重要なまたは不可欠な要素を特定することを意図するものではなく、いずれかのまたはすべての局面の範囲を描写することを意図するものでもない。その目的は、1つ以上の局面のいくつかの概念を、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、簡略化した形式で提示することである。
【0006】
マイクロLEDの1つ以上のクラスタをディスプレイパネルに転送する方法が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態において、上記方法は、2つ以上のマイクロLEDを含む複数のマイクロLEDクラスタを基板上に製造または装填することと、基板を第1の位置に位置決めすることとを含み得、少なくとも第1のマイクロLEDクラスタが、ディスプレイパネル上の少なくとも第1の電気コネクタと整列し、上記方法はさらに、第1のマイクロLEDクラスタが第1の電気コネクタに接触するように、基板をディスプレイパネルに向けて下降させることと、第1のマイクロLEDクラスタを基板から離すこととを含み得る。
【0007】
集積駆動回路を有するマイクロLEDクラスタも本明細書に開示されている。マイクロLEDクラスタは、複数のマイクロLEDを含み得る。集積駆動回路は、複数のマイクロLEDのうちの1つ以上に電気的に結合するように構成された電気相互接続部を含み得る。
【0008】
添付の図面はいくつかの実現例を示しているに過ぎず、したがって範囲を限定するものと考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイシステムの正面図、およびディスプレイシステムの2つの詳細図である。
【
図1B】いくつかの実施形態に係る、チップレットアセンブリの分解図である。
【
図1C】いくつかの実施形態に係る、チップレットアセンブリの分解図である。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、光ステアリング光学素子を有するディスプレイシステムの側面図である。
【
図3】いくつかの実施形態に係る、LED転送プロセスで起こり得る物理的干渉を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、ピックアンドプレースLED転送システムの側面図である。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、干渉緩和LED転送システムの側面図である。
【
図6】いくつかの実施形態に係る、選択的なレーザ射出LED転送システムの側面図である。
【
図7】いくつかの実施形態に係る、サブラクセル転送システムの側面図である。
【
図8】いくつかの実施形態に係る、サブラクセル転送システムの側面図である。
【
図9】いくつかの実施形態に係る、配置された電気接続部を有するディスプレイパネルの断面図である。
【
図10】本明細書に開示されているいくつかの実施形態に係る、サブラクセルをディスプレイパネルに転送するためのステップを説明するプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下、発明の実施形態が示される添付の図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。しかしながら、この発明は多くの異なる形態で具体化され得るものであって、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が詳細かつ完全であり、発明の範囲を当業者に十分に伝えるようにするために提供されている。図面において、層および領域のサイズおよび相対的なサイズは明確にするために誇張されている場合がある。
【0011】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書ではさまざまな要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層または部分を別の領域、層または部分と区別するために使用されているに過ぎない。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に記載される第1の要素、構成要素、領域、層または部分を第2の要素、構成要素、領域、層または部分と呼ぶことができる。
【0012】
「真下」、「下」、「下方」、「下の方」、「上」、「上方」などの空間的な相対用語は、本明細書では、図示されているようなある要素または特徴の別の要素または特徴との関係の説明を簡単にするために使用され得る。空間的な相対用語は、図示されている向きに加えて、装置の使用時または動作時のさまざまな向きを包含することを意図していることが理解されるであろう。たとえば、図の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」または「下の方」にあると記載されている要素。よって、「下」および「下の方」という例示的な用語は、上および下の両方の向きを包含し得る。装置はその他の方向に向けられてもよく(90度回転されてもよく、またはその他の向きにされてもよく)、本明細書において使用する空間的な相対記述子はそれに応じて解釈される。加えて、ある層が2つの層「の間に」あると称される場合、この層はこれら2つの層の間の唯一の層であってもよく、または1つ以上の介在層がさらに存在してもよいことも理解されるであろう。
【0013】
本明細書において使用する専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、発明を限定することを意図するものではない。本明細書において使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明白に他の意味が記載されている場合を除いて、複数形も含むことを意図している。「備える」という用語は、本明細書において使用する場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが、さらに理解されるであろう。本明細書において使用する「および/または」という用語は、列挙された関連項目のうちの1つ以上のいずれかのおよびすべての組み合わせを含み、「/」と略記される場合がある。
【0014】
ある要素もしくは層が別の要素もしくは層の「上にある」、別の要素もしくは層に「接続される」、別の要素もしくは層に「結合される」、または別の要素もしくは層に「隣接している」と称される場合、ある要素もしくは層は、この他の要素もしくは層の上に直接あってもよく、この他の要素もしくは層に直接接続されてもよく、この他の要素もしくは層に直接連結されてもよく、またはこの他の要素もしくは層に直接隣接していてもよく、または介在する要素もしくは層が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素もしくは層の「上に直接ある」、別の要素もしくは層に「直接接続される」、別の要素もしくは層に「直接結合される」、または別の要素もしくは層に「直接隣接している」と称される場合、介在要素または層は存在しない。同様に、光を1つの要素「から」受けるまたは与えられる場合、この光をその要素から直接受けても与えられてもよく、または介在要素から受けても与えられてもよい。一方、光を1つの要素「から直接」受けるまたは与えられる場合、介在要素は存在しない。
【0015】
発明の実施形態は、発明の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照しながら本明細書に説明されている。そのため、たとえば製造技術および/または公差の結果として、図示の形状からの変動が予想される。したがって、発明の実施形態は、本明細書に図示されている領域の特定の形状に限定されるものと解釈されてはならず、たとえば製造に起因する形状の逸脱を含むものとする。したがって、図示されている領域は本質的に概略的なものであり、その形状は装置の領域の実際の形状を示すことを意図するものではなく、発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
特に定義しない限り、本明細書において使用するすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、この発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されている用語などの用語は、関連技術および/または本明細書の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明白に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことが、さらに理解されるであろう。
【0017】
マイクロLEDディスプレイを組み込む製品は、従来のLEDディスプレイを使用する同様の製品に比べて多くの利点を提供する。たとえば、マイクロLED(mLEDまたはμLEDとも呼ばれる)は一般に、従来のディスプレイよりも高解像度で低エネルギ消費のディスプレイを提供し、これらの要因は、消費者が特定の製品を購入するという決断の中心となり得る。消費者の需要を満たしてマイクロLEDディスプレイを組み込もうとする製品が増えるにつれて、LEDウェハ上のマイクロLED密度の差を埋めてマイクロLEDを使用するコスト効率のよいディスプレイを可能にするための新しい製造方法が必要とされている。赤色、緑色、および青色サブ画素を別々の重複するステップで転送するための多くのマルチパス転送プロセスが開発されている。フルカラー画素を生成するためには、赤色、緑色、および青色サブ画素を交互配置しなければならないため、エミッタの密度が制限され、別々の転送ステップ間で干渉問題が起こる可能性がある。このような干渉、およびそれに対処する既知の方法は、遅くなる可能性のある、かつ画質を低下させ得る欠陥または他の不正確さが生じるおそれがある、複雑な製造プロセスにつながる。
【0018】
図1Aは、ソース(図示せず)からコンテンツデータ(たとえば、画像、映像、またはその両方に関連付けられたデータ)を受信するディスプレイ100を含むディスプレイシステムを示す。一番右の円に示すディスプレイ100の詳細図を参照すると、マイクロLEDなどの複数の発光素子135がクラスタ130(本明細書では「サブラクセル(sub-raxel)」とも呼ばれる)に配置されており、クラスタ130はアレイ(すなわちクラスタ)120(本明細書では「ラクセル(raxel)」とも呼ばれる)にさらに配置されている。いくつかの実施形態では、サブラクセル130は、ディスプレイ100内で使用される各色マイクロLED135の少なくとも1つを含み得る。たとえば、各サブラクセル130は、赤色、緑色、および/または青色マイクロLED135の1つ以上を含み得る。
図1に示すサブラクセル130はマイクロLED135の3×3アレイを有するとして示されており、その各々の3つは赤色、緑色、および青色エミッタであるが、本開示の範囲から逸脱することなく、他のサイズ、アスペクト比、およびマイクロLED色の組成が可能である。
【0019】
左の円に示すディスプレイ100の詳細図を参照すると、複数のラクセル120がラクセルアレイ(すなわちクラスタ)125に配置されている。ラクセルアレイ125内で、各ラクセルはピッチ150の間隔をおいて配置され得る。ピッチ150は、アレイ125の1つ以上の次元にわたって一定であってもよく、またはラクセルアレイ125の1つ以上の次元にわたって変化してもよい。加えて、ラクセル120は格子配置で示されているが、他の構成が可能である。たとえば、1つ以上の行または列が、1つ以上の隣接する行または列に対してオフセットまたはシフトされてもよい。
【0020】
図1Aに示すラクセルアレイ125は矩形であり、ディスプレイ100上でM×Nとして表されるサイズおよびアスペクト比を有する。本開示の範囲から逸脱することなく、ディスプレイの多くのサイズ、形状、およびアスペクト比が設計上の選択事項として選択され得る。
【0021】
図1Bおよび
図1Cを参照すると、各サブラクセル130のマイクロLED135は、サブラクセル内のすべてのマイクロLEDが単一の基板122上に形成されるように、モノリシックに集積され得る。
図1Bに示すように、サブラクセル130は、マイクロ集積回路(「マイクロIC」)131などの集積駆動回路に電気的に結合されて「チップレット」136aを形成し得る。あるいは、
図1Cに示すように、複数のサブラクセルを含むラクセル120がマイクロIC131に電気的に結合されてチップレット136bを形成してもよい。各マイクロIC131は、各マイクロIC131に電気的に結合されるラクセルまたはサブラクセル内のマイクロLED135を駆動するために使用され得る電気相互接続部132を含み得る。相互接続部132はバックプレーン基板134によって支持される。いくつかの実施形態では、マイクロICは、ラクセルまたはサブラクセルに接合される別個の構成要素であってもよい。あるいは、マイクロIC131は、ラクセルまたはサブラクセルとマイクロICとがモノリシックに集積されるように、ラクセルまたはサブラクセルとともに形成されてもよい。
【0022】
以下、ラクセルおよびサブラクセルをディスプレイパネルに転送する方法を
図7および
図8に関して説明する。チップレット136a,136bは同一または同様の方法を用いて転送され得る。チップレットを(すなわち、ラクセルまたはサブラクセルをマイクロICとともに)受けるディスプレイパネルは、より少ないおよび/または簡略化された電気回路しか必要としない場合があり、サブラクセルとディスプレイパネルとの間の電気的接触密度の低下によって恩恵を受け得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネルは、アクティブマイクロLEDドライバを有さないパッシブディスプレイパネルであってもよい。
【0023】
図2を参照すると、ディスプレイシステム200の側面図が示されている。ディスプレイシステム200は、上述のようにサブラクセル230にグループ分けされる赤色、緑色、および/または青色マイクロLEDエミッタなどの発光素子235を含み、サブラクセルはラクセル220に配置されている。レンズまたはマイクロレンズなどの光ステアリング光学素子260が、ラクセル220のうちの1つ以上と関連付けられ得る。ラクセル220と対をなす光ステアリング光学素子260を含むアセンブリは、本明細書では「絵素」または「スーパーラクセル(super-raxel)」と呼ばれることがある。ラクセル220内の1つ以上の発光素子235からの光270は、光270の軌道または焦点が、光ステアリング光学素子260の特定の輪郭に対するスーパーラクセル内の発光素子の座標位置(たとえば、x位置、y位置)に基づいて予測可能な方法で変化するように、光ステアリング光学素子260と相互作用し得る。
【0024】
発光素子235は制御モジュール(図示せず)によって駆動されて、発光素子235とバックプレーンとも呼ばれ得るディスプレイパネル240との間の電気的接続を介してオンまたはオフする。高品質画像を生成して満足のいく視聴体験をユーザに提供するために、発光素子235とディスプレイパネル240上の電気接続部との間の整列は正確でなければならない。LEDがバックプレーンに転送される従来のプロセスは一般に、時間がかかり、高コストであり、および/または複雑である。さらに、従来のLED転送プロセスは、所与の領域内のバックプレーン上に異なる色のLEDを実装するための複数の重複する転送ステップを含み、マイクロLEDの小型サイズおよび高密度に対応できない場合がある。
【0025】
LEDをキャリア基板またはキャリアテープからディスプレイパネルに転送する方法および関連する課題を
図3~
図6に示す。
図3を参照すると、複数のLED304が配置された基板302を有する転送システム300が示されている。基板302およびその上に配置された複数のLED304は第1の次元に(すなわち、ページの左から右に)延びるとして示されているが、当業者であれば、基板およびその上のLED304のアレイは第1の方向と直交する第2の次元に(すなわち、ページの中に/外に)も延び得ることを認識するであろう。
【0026】
LED304は、この例では緑色光などの同色光を発するように各々が構成されているマイクロLED304gで構成され得る。当業者であれば、緑色マイクロLEDはこの例で使用するために任意に選択されていること、および本概念を示すために緑色を赤色または青色などの任意のマイクロLED色と交換できることを認識するであろう。
【0027】
マイクロLED304gを、ディスプレイパネル308上の対応する電気コネクタ306gと整列させ、電気コネクタ306gに転送しなければならない。システム300では、整列は一般に、基板302上に多数のマイクロLED304gを互いに近接して設けることによって達成される。基板302およびマイクロLED304gを下降させてディスプレイパネル308上の電気コネクタ306gに接触させると、マイクロLED304gのうちの1つは一般に電気コネクタ306gの各々に十分近づき、電気コネクタ306gおよび/またはその上に配置された流動性金属310に付着して転送を完了する。
【0028】
たとえばマイクロLED304rなどの1つ以上の以前に転送されたマイクロLEDが、第2または第3の重複する転送ステップ時に、マイクロLED304gなどの後続の色のマイクロLEDの整列および/または転送に干渉する場合、課題が生じる。以前に配置されたマイクロLED304rとマイクロLED304gとの間の物理的干渉は、マイクロLED304gが対応する電気コネクタ306gおよび/またはその上に配置された流動性金属310に接触するのを妨げ、それによって画素転送を妨げる可能性がある。
【0029】
このような物理的干渉を緩和するために、
図4に示すシステム400などのピックアンドプレースシステムが実現され得る。システム300に関して述べたように、単色の複数のマイクロLEDで基板を覆う代わりに、システム400は、ピックアンドプレースハンドル402に依存して、マイクロLED304gをディスプレイパネル308上に運び、整列させ、転送する。ハンドル402は、選択された間隔414で突起412を含み、突起の間の距離は単色の電気コネクタ306の間の距離に対応する。突起412の高さ(たとえば、突起がハンドル402から延びる距離)は、転送されるマイクロLEDの高さに基づいて選択されてもよい。いくつかの実施形態では、突起412の高さは、ディスプレイパネル308上に配置されることになる最も背の高いマイクロLEDの高さ以上であってもよい。このような突起412は、以前に転送されたマイクロLED304rとこれから転送されるマイクロLED304gとの間の物理的接触を軽減する。
【0030】
ピックアンドプレースシステム400の1つの難点は、突起412と、マイクロLED304gと、電気コネクタ306gとの間に高い整列精度が要求されることである。高精度整列は一般に時間がかかり、複雑な機器が必要であり得る。マイクロLED304gがハンドル402の突起412の中心にない場合、および/またはハンドル402が対応する電気コネクタ306gと正確に整列していない場合、マイクロLED304gは、電気コネクタ306gの中心からわずかに平行移動した位置に転送される場合があり、および/またはディスプレイパネル308に対して角度が付けられる場合がある。このような整列問題は、ディスプレイシステムの出力画像品質を低下させる可能性がある。
【0031】
図5は、
図4に関して述べたものと同様の画素転送システム500を示す。以前に転送された画素の上に延びる突起を有するピックアンドプレースハンドルを設ける代わりに、システム500は、以前に配置されたマイクロLED304rが転送プロセス時に整列することが予想される領域において、基板302上のマイクロLED304gの間に空間を残すことによって機能する。したがって、これから転送されるマイクロLED304gは、物理的に干渉されることなく対応する電気コネクタ306gに接触することができる。
図3および
図4に関して述べたような整列問題および転送プロセスの複雑さは、システム500においても生じ得る。
【0032】
図6は、以前に転送されたマイクロLED304rとこれから転送されるマイクロLED304gとの間の物理的干渉を緩和するように構成された別の画素転送システム600を示す。システム600は、選択的なレーザ射出および/または真空中の重力落下に依存して、マイクロLED304gとそれらに対応する電気コネクタ306gとの間に隙間が存在する間にマイクロLED304gを基板302から離す。基板302は、以前に転送されたマイクロLED304rの高さ以上の高さを有する隙間がマイクロLED304gとそれらに対応する電気コネクタ306gとの間に存在するように位置決めされる。電気コネクタ306gと整列するマイクロLED304gに静電転送力が付与され、マイクロLED304gのうちの1つ以上が基板302から離れて落ち、対応する電気コネクタ306gに着地して、流動性金属310を介して付着する。マイクロLEDの位置が落下中に変わる可能性があるため、このような転送方法は不正確な場合がある。
【0033】
図7は、複数色のマイクロLEDクラスタをディスプレイパネルに転送するための、1ステップの、重複しない、直接接触アプローチを示す。転送システム700は、ネイティブウェハまたはキャリアテープであり得る基板702を含み、この上にマイクロLEDサブラクセル716などのマイクロLEDのいくつかのクラスタが配置されている。いくつかの実施形態では、基板702は中間ハンドルまたはパネルを含み得る。次に、マイクロLEDのクラスタが中間ハンドルまたはパネルからディスプレイ上に転送される。基板702がネイティブウェハである場合、サブラクセル716の各々は部分的に離され得る。各サブラクセル716は、2つ以上のマイクロLED704を含み得る。示される例では、各サブラクセル716は、少なくとも1つの赤色、緑色、および青色マイクロLED704r,704gおよび704bをそれぞれ含む。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、色の他の組み合わせおよび/または2,4,5,6,9もしくはそれ以上などの他の数のマイクロLEDがマイクロLEDサブラクセル716内に含まれ得ることを認識するであろう。
【0034】
たとえばサブラクセル716aおよび716bなどの非隣接サブラクセル716の間の間隔714は、ディスプレイパネル708上の電気コネクタ706の間の距離に対応し得る。間隔714内で基板702に取り付けられたサブラクセルは除去され得ることが認識されるであろう。しかしながら、追加のサブラクセルを含み、基板702をより高密度に実装することで、後続の転送接触ステップ間の基板702の移動が少なくて済み得るので、より高速なマイクロLED転送が容易になり得る。電気コネクタ706は複数の別個の流動性金属領域710を含み得、その各々が単一のマイクロLED704に接触するように構成されている。
【0035】
図9を参照すると、電気コネクタ906を有するディスプレイパネルシステム900の詳細図が示されている。コネクタ906は、コネクタ906の一例である。ディスプレイパネル708上の各電気コネクタ906は、電気絶縁材料922によって互いに絶縁される複数の金属領域920を含み得る。マイクロLEDのクラスタ(たとえばサブラクセル)716と電気コネクタ906とが接触すると、これら2つの構成要素は、熱、圧力、および/または音波接合を用いて互いに接合され得る。この接合は、レーザおよび/または他のエネルギ源によって補助されてもよい。
【0036】
マイクロLEDのクラスタ(たとえばサブラクセル)が電気コネクタに接合されると、クラスタ716は基板702から完全に離され得る。いくつかの実施形態では、レーザ、エラストマー、音波、または他のエネルギ源によって補助されて離されてもよい。次に、基板702をディスプレイパネル708から持ち上げて、
図8に示すようにディスプレイパネル708上の新しい位置に平行移動させる。この新しい位置は、
図7に示す第1の位置と実質的に重なっていない。依然として基板702に結合されている追加のクラスタ716が対応する電気コネクタ706上に転送されるように、基板702を新しい位置でディスプレイパネル708に向けて下降させる。注目すべきことに、各色のマイクロLEDごとに複数の重複した転送ステップを必要とする代わりに、所与の基板領域または位置についてのすべてのマイクロLEDの転送が1つのステップで行われるので、以前に転送されたマイクロLEDとこれから転送されるマイクロLEDとの間に物理的干渉がない。したがって、マイクロLEDをディスプレイパネルに転送する前に複数のマイクロLEDをともにパッケージ化することで、ディスプレイパネルの同一領域上での複数の転送ステップが不要になり、上記の物理的干渉がなくなる。転送ステップの数を減らし、物理的干渉をなくすことで、
図7および
図8に関して説明したような、単純で、高速な、コスト効率のよいプロセスを使用して、高品質な、良好に整列したマイクロLEDディスプレイを作ることができる。
【0037】
この説明では、一例としてクラスタがサブラクセルに形成されるマイクロLEDクラスタ716の転送を使用した。当業者であれば、同一の転送概念が、ラクセルに形成されたクラスタ716の基板からディスプレイへの転送に適用され得ることを理解するであろう。この場合、ラクセルは、前述のように複数のサブラクセルを含むと理解される。当業者であれば、同一の転送概念が、チップレットに形成されたクラスタ716の基板からディスプレイへの転送に適用され得ることを理解するであろう。この場合、チップレットは、前述のようにマイクロICに電気的に接続された複数のラクセルを含むと理解される。
【0038】
図10は、マイクロLEDを基板からディスプレイパネルに転送する方法1000のプロセスフロー図である。方法1000は開始ステップ1001から始まり、次にステップ1002に進み、ステップ1002は、複数のマイクロLEDクラスタ(各マイクロLEDクラスタは2つ以上のマイクロLEDを含む)をキャリア基板上に製造または装填することを含み得る。ステップ1004は、基板を第1の位置に位置決めすることを含み、少なくとも1つ以上の第1のマイクロLEDクラスタが、ディスプレイパネル上の少なくとも1つ以上の第1の電気コネクタと整列する。次に、ステップ1006において、少なくとも1つ以上の第1のマイクロLEDクラスタが少なくとも1つ以上の第1の電気コネクタに接触するように、基板をディスプレイパネルに向けて下降させる。ステップ1008は、少なくとも1つ以上の第1のマイクロLEDクラスタを基板から離すことによって、少なくとも1つ以上の第1のマイクロLEDクラスタをディスプレイパネルに転送することを含む。このステップでは、マイクロLEDクラスタの転送は単一のマイクロLEDクラスタに限定されず、2つ以上のマイクロLEDクラスタの転送を含み得る。2つ以上のマイクロLEDクラスタの転送は、ディスプレイの製造効率を高めて製造コストを下げることができる。次に、ステップ1010において、基板をディスプレイパネルから持ち上げてもよい。ステップ1012において、基板をディスプレイパネルに対して新しい位置に平行移動させてもよく、基板のこの新しい位置は、第1の位置または接触転送ステップが完了したその他の以前の位置と実質的に重なっていない。ステップ1014において、少なくとも1つ以上の第2のマイクロLEDクラスタをディスプレイパネル上の少なくとも1つ以上の第2の電気コネクタと整列させ、次にステップ1016において、少なくとも1つ以上の第2のマイクロLEDクラスタが少なくとも1つ以上の第2の電気コネクタに接触するように、基板をディスプレイパネルに向けて下降させる。ステップ1018において、少なくとも1つ以上の第2のマイクロLEDクラスタを基板から離す。上述のように、このステップでは、マイクロLEDクラスタの転送は単一のマイクロLEDクラスタに限定されず、2つ以上のマイクロLEDクラスタの転送を含み得る。2つ以上のマイクロLEDクラスタの転送は、ディスプレイの製造効率を高めて製造コストを下げることができる。ステップ1020において、プロセスは、基板を持ち上げてディスプレイパネルに対して新しい(たとえば、第3のまたはそれ以上の)位置に平行移動させることで継続し得、この新しい位置はいずれの以前の位置とも実質的に重なっていない。プロセスはステップ1022において終了する。
【0039】
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。この発明のいくつかの例示的な実施形態を説明したが、当業者であれば、この発明の新規な教示および利点から大きく逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に認識するであろう。
【0040】
特徴の組み合わせ
上述の特徴および以下に特許請求される特徴は、その範囲から逸脱することなくさまざまな方法で組み合わされてもよい。以下の列挙する例は、いくつかの可能な限定されない組み合わせを示す。
【0041】
(A1)複数のマイクロLEDクラスタを基板からディスプレイパネルに転送する方法は、上記複数のマイクロLEDクラスタを上記基板上に製造または装填することを含み、各マイクロLEDクラスタは2つ以上のマイクロLEDを含み、上記方法はさらに、上記基板を第1の位置に位置決めすることを含み、第1の複数のマイクロLEDクラスタが、上記ディスプレイパネル上に配置された電気コネクタの第1のクラスタと整列し、上記方法はさらに、上記第1のマイクロLEDクラスタが上記第1の電気コネクタに接触するように、上記基板を上記ディスプレイパネルに近づけることと、上記第1のマイクロLEDクラスタを上記基板から離すこととを含む。
【0042】
(A2)(A1)の実施形態において、上記マイクロLEDクラスタの各々は、第1の色を発するように構成されたマイクロLEDと、第2の色を発するように構成されたマイクロLEDとを含む。
【0043】
(A3)実施形態(A1)または(A2)のいずれか一方において、上記マイクロLEDクラスタの各々は、第3の色を発するように構成されたマイクロLEDをさらに含む。
【0044】
(A4)実施形態(A1)~(A4)のうちのいずれか1つにおいて、上記方法はさらに、上記基板を上記ディスプレイパネルから遠ざけることと、上記基板が第2の位置に位置決めされるように、上記基板を上記ディスプレイパネルに対して平行移動させることとを含み、上記第2の位置は上記第1の位置と重なっておらず、上記方法はさらに、少なくとも第2の複数のマイクロLEDクラスタを、上記ディスプレイパネル上に配置された少なくとも第2の複数の電気コネクタと整列させることと、上記第2の複数のマイクロLEDクラスタが上記第2の複数の電気コネクタに接触するように、上記基板を上記ディスプレイパネルに近づけることと、上記第2の複数のマイクロLEDクラスタを上記基板から離すこととを含む。
【0045】
(A5)実施形態(A1)~(A5)のうちのいずれか1つにおいて、上記マイクロLEDクラスタの各々は集積回路をさらに含む。
【0046】
(B1)複数のマイクロLEDと集積回路とを含むマイクロLEDクラスタは、上記複数のマイクロLEDに電気的に結合される電気相互接続部を含む。
【0047】
(B2)(B1)の実施形態において、上記集積回路は上記複数のマイクロLEDに接合される。
【0048】
(B3)実施形態(B1)または(B2)のいずれか一方において、上記集積回路は上記複数のマイクロLEDとモノリシックに形成される。
【0049】
(B4)実施形態(B1)~(B4)のうちのいずれか1つにおいて、上記集積回路はディスプレイパネル上の電気回路に結合される。
【0050】
(B5)実施形態(B1)~(B5)のうちのいずれか1つにおいて、上記集積回路はパッシブディスプレイパネルに結合される。
【0051】
(B6)実施形態(B1)~(B6)のうちのいずれか1つは、上記複数のマイクロLEDに結合されるマイクロレンズをさらに含む。
【0052】
(B7)実施形態(B1)~(B7)のうちのいずれか1つは、上記複数のマイクロLEDに結合される複数のマイクロレンズをさらに含む。
【0053】
したがって、上記の説明および図面から多数の異なる実施形態が生じる。これらの実施形態のすべての組み合わせおよび下位組み合わせをそのまま説明および図示することは、過度に反復的であり不明瞭であることが理解されるであろう。そのため、図面を含む本明細書は、本明細書に記載されている実施形態のすべての組み合わせおよび下位組み合わせ、ならびにそれらを製造および使用する方法およびプロセスに関する完全な書面による説明を構成すると解釈されるものとし、そのような組み合わせまたは下位組み合わせに対する請求項を支持するものとする。
【国際調査報告】