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特表2024-513725酸化粉鉱石、特に鉄鉱石を処理するための流動床又は流動層反応器、及び当該流動床反応器を製造するための方法
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  • 特表-酸化粉鉱石、特に鉄鉱石を処理するための流動床又は流動層反応器、及び当該流動床反応器を製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】酸化粉鉱石、特に鉄鉱石を処理するための流動床又は流動層反応器、及び当該流動床反応器を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 15/10 20060101AFI20240319BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20240319BHJP
   C21B 13/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F27B15/10
B01J8/24 311
C21B13/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023557222
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2022055897
(87)【国際公開番号】W WO2022194619
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21162713.8
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ヒーブル
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・ライン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ウォルフィンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ヴルム
【テーマコード(参考)】
4G070
4K012
4K046
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB34
4G070CA06
4G070CA15
4G070CA18
4G070CA21
4G070CB05
4G070CB18
4G070DA11
4K012DB03
4K046HA03
4K046JC04
4K046JC10
4K046JD01
4K046JE04
4K046KA03
4K046LA04
(57)【要約】
本発明は、流動床反応器(10)と、流動床反応器(10)を製造するための方法と、に関するものであり、流動床反応器(10)は、分配底部(20)、分配空間(25)、及び反応空間(30)を備えた反応器(15)を有しており、分配底部(20)が、第1の分配プレート(85)と、前記第1の分配プレート(85)上に配置された第2の分配プレート(90)と、を有しており、第1の分配プレート(85)が、第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)を有しており、第2の分配プレート(90)が、プレート状で第1の分配器プレート(85)に対して平行に延在する接触部(130)と、複数のカバー部(125)から成る第2の配置(120)と、を有しており、接触部(130)が、第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)から離間して第1の分配プレート(85)に接しており、第2の配置(120)のカバー部(125)それぞれが、第1の方向(z)において、配設された第1の貫通開口部(100)から離間して配置されており、第2の分配プレート(90)が、カバー部(125)それぞれに、第2の貫通開口部(170)を有しており、分配空間(25)から、反応ガス(60)が、粉鉱石(55)を処理するために、反応空間(30)に導入され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化粉鉱石(55)、特に鉄鉱石を処理するための流動床反応器(10)であって、
-前記流動床反応器(10)が、分配底部(20)と、分配空間(25)と、反応空間(30)を備えた反応器(15)と、を有しており、
-前記分配底部(20)が、前記反応空間(30)を前記分配空間(25)から空間的に分離し、
-前記分配底部(20)が、第1の分配プレート(85)と、前記第1の分配プレート(85)上に配置された第2の分配プレート(90)と、を有しており、
-前記第1の分配プレート(85)が、前記分配空間(25)に対向する側に配置され、前記第2の分配プレート(90)が、前記反応空間(30)に対向する側に配置されており、
-前記第1の分配プレート(85)が、前記分配空間(25)から第1の方向(z)において前記反応空間(30)へ延在する第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)を有しており、
-前記第2の分配プレート(90)が、プレート状で前記第1の分配器プレート(85)に対して平行に延在する接触部(130)を有しており、
-前記第2の分配プレート(90)が、さらに、複数のカバー部(125)から成る第2の配置(120)を有しており、
-前記接触部(130)が、前記第1の貫通開口部(100)の前記第1の配置(95)から離間して前記第1の分配プレート(85)に接しており、
-前記第2の配置(120)のカバー部(125)それぞれが、第1の方向(z)において、配設された前記第1の貫通開口部(100)から離間して配置されており、前記反応空間(30)への配設された前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第2の分配プレート(90)が、前記カバー部(125)それぞれに、第2の方向(x、y)において、直線(115)に対して傾斜して、前記第1の貫通開口部(100)からオフセットして配置された第2の貫通開口部(170)を有しており、
-前記分配空間(25)から、前記第1の貫通開口部(100)及び前記第2の貫通開口部(170)を通じて、反応ガス(60)が、粉鉱石(55)を処理するため、及び、前記粉鉱石(55)と前記反応ガス(60)とから成る流動床(65)を形成するために、前記反応空間(30)に導入され得る、流動床反応器(10)。
【請求項2】
-前記接触部(130)が、前記第2の配置(120)の互いに対してオフセットされて配置されたカバー部(125)を互いに機械的に接続し、
-前記接触部(130)が、前記第1の分配プレート(85)に機械的に接続されており、
-好ましくは、前記第2の分配プレート(90)が一体型に、均一の材料から形成されており、
-好ましくは、前記カバー部(125)から成る前記第2の配置(120)が、前記第2の分配プレート(90)にエンボス加工されている、請求項1に記載の流動床反応器(10)。
【請求項3】
-前記第1の分配プレート(85)及び前記カバー部(125)が、それぞれチャンバ(165)を画定し、
-前記チャンバ(165)は、前記第1の貫通開口部(100)と前記第2の貫通開口部(170)との間で、前記第1の分配プレート(85)に対して平行に、前記第2の方向(x、y)において延在する、請求項1又は2に記載の流動床反応器(10)。
【請求項4】
-前記チャンバ(165)がチャンバ断面積を有し、前記第1の貫通開口部(100)は第1の断面積を有し、前記第2の貫通開口部(170)は第2の断面積を有しており、
-前記第2の断面積は、前記第1の断面積よりも大きく、
-前記チャンバ断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、請求項3に記載の流動床反応器(10)。
【請求項5】
-前記チャンバ(165)が、前記第2の方向(x、y)において、前記第1の貫通開口部(100)と前記第2の貫通開口部(170)との間でチャンバ長さ(l)を有し、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第1の方向(z)において、開口高さ(h)を有し、
-前記第2の貫通開口部(170)の開口高さ(h)は、前記チャンバ(165)の前記チャンバ長さ(l)より小さく、
-好ましくは、前記チャンバ長さ(l)の前記開口高さ(h)に対する比は、1~20である、請求項3又は4に記載の流動床反応器(10)。
【請求項6】
-前記第2の分配プレート(90)が、前記第1の分配プレート(85)の第1の上面(110)を、主に前記第1の方向(z)で前記第1の上面(110)に対して傾斜して、少なくとも第1の配置(95)の領域において、好ましくは略完全に覆っている、請求項1から5のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項7】
-前記分配底部(20)が、第1の領域(200)と少なくとも1つの第2の領域(205)とを有し、
-前記第1の領域(200)において、第2の配置(120)の前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ同一の第1の方向付けを有し、
-前記第2の領域(205)において、前記第2の配置(120)の前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ前記第1の方向付けとは異なる第2の方向付けを有している、請求項1から6のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項8】
-前記反応空間(30)内に開口する充填開口部(35)と、前記反応空間(30)内に開口する排出開口部(40)と、を有しており、
-前記充填開口部(35)が、前記排出開口部(40)の反対側に配置され、粉鉱石(55)が、前記充填開口部(35)を通じて前記反応空間(30)内に輸送可能であり、
-前記排出開口部(40)を通じて、前記粉鉱石(55)の反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、前記反応空間(30)から輸送可能であり、
-前記第1の領域(200)が、前記充填開口部(35)と前記排出開口部(40)との間に配置されており、
-前記第1の領域(200)において、前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ前記カバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側に配置されている、請求項7に記載の流動床反応器(10)。
【請求項9】
-前記第2の領域(205)が、充填開口部(35)と前記第1の領域(200)との間に配置されており、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第2の領域(205)において、前記充填開口部(35)に背向する側であって、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に対向する側に、粉鉱石(55)が、流出する反応ガス(60)を用いて、前記充填開口部(35)から前記側縁(215、220)の方向において分配され得るように配置されている、請求項7又は8に記載の流動床反応器(10)。
【請求項10】
-前記分配底部(20)が第3の領域(210)を有し、
-前記第3の領域(210)が、前記第1の領域(200)と排出開口部(40)との間に配置されており、
-前記第3の領域(210)において、前記第2の貫通開口部(170)がそれぞれ、前記第1の方向付けとは異なる第3の方向付けを有し、
-前記第2の貫通開口部(170)は、前記第3の領域(210)において、それぞれカバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側と、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に背向する側と、に前記粉鉱石(55)及び/又は前記粉鉱石(55)の前記反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、流出する前記反応ガス(60)を用いて、前記側縁(215、220)から前記排出開口部(40)の方向に輸送され得るように配置されている、請求項7から9のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項11】
-前記分配底部(20)が、少なくとも1つの周縁領域(235、240)を有しており、
-前記周縁領域(235、240)が、前記第1の領域(200)と排出開口部(40)との間に、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に横方向において接するように配置されており、
-前記第2の貫通開口部(170)は、前記周縁領域(235、240)において、それぞれカバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側と、前記分配底部(20)の前記側縁(215、220)に対向する側と、に粉鉱石(55)及び/又は前記粉鉱石(55)の反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、流出する前記反応ガス(60)を用いて、前記排出開口部(40)の方向に輸送され得るように配置されている、請求項7から10のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項12】
-前記第2の貫通開口部(170)が、スロット状に形成されており、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第1の方向(z)において略一定の開口高さ(h)を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項13】
-前記第1の分配プレート(85)及び前記接触部(130)が、直線(115)に対して周方向において、それぞれ前記第1の貫通開口部(100)の周りで密封されており、
-好ましくは前記第1の貫通開口部(100)の周りで、周方向に、それぞれ前記接触部(130)が、前記第1の分配プレート(85)に材料接続的に接続されており、好ましくは溶接されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項14】
-前記カバー部(125)が、第1の部分領域(155)と第2の部分領域(160)とを有しており、
-前記第1の部分領域(155)が、前記第1の分配プレート(85)に対して平行に延在するように配置され、前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第1の部分領域(155)が、少なくとも部分的に前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第2の部分領域(160)が、前記第1の部分領域(155)に対して斜めに傾斜して配置され、前記第1の部分領域(155)を前記接触部(130)に接続している、請求項1から13のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)を製造するための方法であって、
-第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)を備えた第1の分配プレート(85)が供給され、
-プレート状のシート材料に、複数のカバー部分(125)を備える第2の配置(120)がエンボス加工され、第2の貫通開口部(170)が、前記シート材料に、好ましくは処理ステップにおいて切断され、好ましくは打ち抜かれ、
-第2の分配プレート(90)は、前記第1の貫通開口部(100)それぞれが配設された前記カバー部(125)によって覆われるように、前記第1の分配プレート(85)上に配置され、
-接触部(130)は、前記第1の分配プレート(85)に機械的に接続される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の流動床反応器及び請求項15に記載の流動床反応器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気相重合装置のための気相分配板は、特許文献1から知られている。
【0003】
特許文献2からは、ジクロロメタン及びエタノールから成る溶媒混合液中の所定濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートで粒子をスプレーコーティングするための装置及び方法が知られている。
【0004】
特許文献3からは、流動床反応器内で酸化鉄担体粒子を還元生成物に直接還元する方法が知られている。粉鉱石の処理における反応ガスの粉鉱石との反応によって、流動床内では500℃から900℃の間の温度が生じる。流動床は分配底部の直上に形成されており、水素還元の場合、流入する水素は流動床の温度よりも高温であるので、分配底部も同様に、500℃から900℃の温度に加熱され、高い熱負荷を受ける。これによって、流動床反応器に高い温度負荷がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第69531374号の翻訳
【特許文献2】欧州特許出願公開第0544289号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/187672号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、酸化粉鉱石、特に鉄鉱石を処理するための改良された、温度が安定している流動床反応器と、流動床反応器を製造するための改良された方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1に記載の流動床反応器及び請求項15に記載の流動床反応器の製造方法によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
酸化粉鉱石、特に鉄鉱石を処理するための改良された流動床反応器は、流動床反応器が分配底部と、分配空間と、反応空間を備えた反応器とを有することによって供給され得ることが認識されている。分配底部は、分配空間から反応空間を空間的に分離する。分配底部は、第1の分配プレートと、第1の分配プレート上に配置された第2の分配プレートと、を有している。第1の分配プレートは分配空間に対向する側に配置され、第2の分配プレートは反応空間に対向する側に配置されている。第1の分配プレートは、分配空間から反応空間に向かって第1の方向において延在する第1の貫通開口部から成る第1の配置を有している。第2の分配プレートは、第1の分配プレートに対して平行に延在するプレート状の接触部を有している。さらに、第2の分配プレートは、複数のカバー部から成る第2の配置を有している。接触部は、第1の貫通開口部の第1の配置から離間して第1の分配プレートに接触している。好ましくは、接触部は、第1の分配プレートに接続され、好ましくは溶接されている。第2の配置の各カバー部は、第1の方向において、配設された第1の貫通開口部から離間して配置されており、反応空間への配設された第1の貫通開口部を覆っている。各カバー部において、第2の分配プレートは、第1の方向に対して傾斜した第2の方向において第1の貫通開口部からオフセットして配置された第2の貫通開口部を有している。第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部を通じて、反応ガスが、粉鉱石を処理し、粉鉱石及び反応ガスから成る流動床を形成するために、反応器に導入され得る。第1の分配プレートは、反応ガスが専ら第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部を通じて反応空間に流入できるように、周方向で反応器に流体密封に接続されている。
【0009】
当該態様は、粉鉱石を反応ガスで処理するために、特に良好で均一な流動床を供給できるという利点を有している。この際、処理は、反応ガスによる粉鉱石の還元及び/又は酸化を含み得る。さらに、当該態様は、流動床反応器の停止及び/又は反応ガスの供給の中止の場合に、第1の貫通開口部のあふれ又は閉塞又はその下の分配空間への流出が、それぞれ配設されたカバー部を用いて第1の貫通開口部を覆うことによって防止されるという利点を有している。
【0010】
さらに、第2の分配プレートは製造技術的に特に容易であり、安価に製造可能である。特に、第1の分配プレート上に個々のカバーキャップを配置して、その都度固定する必要がない。第2の分配プレートに設けられた複数のカバー部の配置によって、流動床反応器の取り付けにおいて、第1の分配プレートに対して第2の分配プレートを位置合わせするために必要な位置決めステップは1回のみになる。
【0011】
さらなる実施形態では、各カバー部が接触部に直接接続されている。好ましくは、カバー部は、接触部によって周方向で取り囲まれている。当該態様によって、各カバー部と接触部との熱的に安定した良好な接続が保証されるので、第2の分配プレートの応力による亀裂が回避される。
【0012】
さらなる実施形態では、接触部は、第2の配置の、互いに対してオフセットされて配置されたカバー部を互いに機械的に接続する。接触部は、第1の分配プレートに機械的に接続されている。好ましくは、第2の分配プレートは、一体型に、均一の材料から形成されており、好ましくは、カバー部の第2の配置は、第2の分配プレートにエンボス加工されている。当該態様は、第2の分配プレートの製造が特に容易で安価であるという利点を有している。さらに、第2の分配プレートは、これによって特に熱的及び機械的に堅牢である。
【0013】
さらなる実施形態では、第1の分配プレート及びカバー部は、それぞれチャンバを画定している。当該チャンバは、第1の貫通開口部と第2の貫通開口部との間に、第2の方向において第1の分配プレートに対して平行に延在している。当該チャンバは、第1の貫通開口部を通じて流れる反応ガスの方向が転換されるという利点を有している。さらに、反応ガスの流速は、第1の貫通開口部内の流速に比べて減少させることができるので、流動床内のジェットとも呼ばれる局所的な流れの超高層化が回避される。
【0014】
別の実施形態では、チャンバはチャンバ断面積を有し、第1の貫通開口部は第1の断面積を有し、第2の貫通開口部は第2の断面積を有しており、第2の断面積は第1の断面積より大きく、チャンバ断面積は第2の断面積より大きい。当該態様は、反応ガスの圧力変動が、大きなチャンバ断面積及び大きい寸法のチャンバによって低減され得るという利点を有している。反応ガスが第2の貫通開口部を通ってチャンバから流出する際、流速はチャンバ内の反応ガスの流速に比べて再び増大する。これによって、反応空間内に特に安定した均一な流動床が形成される。さらに、反応ガスは、第1の貫通開口部内よりも低い流速で反応空間に流入し、反応空間の断面にわたって均一に分配されることが保証される。
【0015】
さらなる実施形態では、チャンバは、第2の方向において、第1の貫通開口部と第2の貫通開口部との間に、チャンバ長さlを有している。第2の貫通開口部は、第1の方向において開口高さhを有している。第2の貫通開口部の開口高さは、チャンバ長さlよりも小さい。好ましくは、チャンバ長さlの開口高さhに対する比は、1~20、好ましくは5~15である。当該態様は、反応ガスの分配空間への輸送が中止された場合、又は反応ガスの供給が停止された場合に、粉鉱石が問題なくカバー部の上側に堆積できるという利点を有している。粉鉱石はチャンバ内で安息角を備えた円錐状堆積物を形成するが、円錐状堆積物は第1の貫通開口部には到達しない。これによって、第1の貫通開口部の閉塞又は下方の分配空間への粉鉱石の流出が回避される。さらに、流動床反応器が再び始動する際、チャンバに進入した円錐状堆積物の粉鉱石は、反応ガスを用いてチャンバから容易に吐出され得る。
【0016】
さらなる実施形態において、第2の分配プレートは、第1の分配プレートの第1の上面を、少なくとも第1の配置の領域において概ね第1の方向において、好ましくは概ね完全に覆っている。
【0017】
さらなる実施形態において、分配底部は、少なくとも第1の領域及び第2の領域を有しており、第1の領域において、第2の配置の第2の貫通開口部はそれぞれ、同一の第1の方向付けを有している。第2の領域では、第2の配置の第2の貫通開口部はそれぞれ、第1の方向付けとは異なる第2の方向付けを有している。当該態様は、異なる方向付けによって、流動床内で粉鉱石を輸送するための効率的な輸送流が得られるという利点を有している。
【0018】
さらなる実施形態では、流動床反応器は、反応空間に開口する充填開口部と、反応空間に開口する排出開口部と、を有している。充填開口部は、排出開口部の(長手方向)反対側に配置されている。粉鉱石は、充填開口部を通じて反応空間に輸送され得る。粉鉱石の反応ガスとの反応による反応生成物は、排出開口部を通じて反応空間から輸送され得る。第1の領域は、充填開口部と排出開口部との間に配置されている。第1の領域において、第2の貫通開口部はそれぞれ、カバー部の排出開口部に対向する側に配置されている。これによって、粉鉱石は、反応空間内での滞留中に、充填開口部から排出開口部の方向に反応ガスを通じて輸送される。
【0019】
さらなる実施形態では、第2の領域は、充填開口部と第1の領域との間に配置されている。第2の領域における第2の貫通開口部は、流出する反応ガスを用いて粉鉱石が充填開口部から側縁の方向に分配され得るように、充填開口部に背向する側であって、分配底部の側縁に対向する側に配置されている。これによって、流動床における粉鉱石の局所的な蓄積を回避することが可能であり、流動床の横断面全体を均一に使用することが可能である。
【0020】
さらなる実施形態において、分配底部は第3の領域を有しており、第3の領域は、第1の領域と排出開口部との間に配置されている。第3の領域において、第2の貫通開口部はそれぞれ、第1の方向付けとは異なる第3の方向付けを有しており、第3の領域における第2の貫通開口部はそれぞれ、粉鉱石及び/又は粉鉱石の反応ガスとの反応による反応生成物が、流出する反応ガスを用いて、側縁から排出開口部の方向に輸送/濃縮され得るように、カバー部の排出開口部に対向する側であって、分配底部の側縁に背向する側に配置されている。これによって、反応生成物及び/又は粉鉱石の残渣が、排出開口部を通じて反応空間から特に容易に輸送され得る。
【0021】
さらなる実施形態において、分配底部は、少なくとも1つの周縁領域を有しており、当該周縁領域は、第1の領域と排出開口部との間で、分配底部の側縁に横方向に隣接するように配置されており、周縁領域内の第2の貫通開口部はそれぞれ、粉鉱石及び/又は粉鉱石の反応ガスとの反応による反応生成物が、流出する反応ガスを用いて、排出開口部の方向に輸送され得るように、カバー部の排出開口部に対向する側であって、分配底部の側縁に対向する側に配置されている。当該態様は、流動床の周縁領域を特に良好に流動化し、これによって、粉鉱石及び/又は反応生成物の流動化挙動に対するネガティブな周辺効果を最小限に抑えるという利点を有している。
【0022】
さらなる実施形態では、第2の貫通開口部はスロット状に形成されており、第2の貫通開口部は、第1の方向において概ね一定の開口高さを有している。当該態様は、粉鉱石の粒子が第2の貫通開口部内に堆積することが回避されるという利点を有している。
【0023】
さらなる実施形態では、直線に対して周方向において、それぞれ第1の貫通開口部の周りで、第1の分配プレート及び接触部は密封されている。好ましくは第1の貫通開口部の周りの周方向において、それぞれ接触部が、第1の分配プレートに材料接続的に接続され、好ましくは溶接されていると、特に有利である。これによって、第1の分配プレートと第2の分配プレートとの間における、1つのチャンバから隣のチャンバへの反応ガスのオーバーフローが回避され得る。
【0024】
さらなる実施形態において、カバー部は、第1の部分領域と第2の部分領域とを有しており、第1の部分領域は、第1の分配プレートに対して平行に延在するように配置されている。第1の部分領域は、少なくとも部分的に第1の貫通開口部を覆っている。第2の部分領域は、第1の部分領域に対して斜めに配置されており、第1の部分領域を接触部と接続する。当該態様は、第2の分配プレートが機械的に特に低応力となるように形成されており、これによって、流動床反応器が始動し、それに伴って流動床反応器内の温度が750℃~950℃に上昇する際に、第2の分配プレートの望ましくない熱変形が確実に回避され得るという利点を有している。
【0025】
カバー部の第2の配置が第2の分配プレートにエンボス加工されていると特に有利である。これによって、カバー部が互いに概ね同一に形成されており、分配底部が特に安価に製造できることが保証される。
【0026】
流動床反応器の製造方法において、第1の分配プレートが、第1の貫通開口部の第1の配置を有して供給されると、特に有利である。カバー部の第2の配置は、プレート状のシート材料にエンボス加工され、第2の貫通開口部は、シート材料に切断、好ましくは打ち抜きによって形成される。第2の分配プレートは、第1の貫通開口部それぞれが、それぞれ配設されたカバー部によって覆われるように、第1の分配プレート上に配置される。接触部は、第1の分配プレートに機械的に接続される。
【0027】
以下において、図を用いて本発明をより詳細に説明する。この際、以下が示されている:
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態に係る流動床反応器の概略図である。
図2図1に示された分配底部の図1でマーキングした部分Aを示す図である。
図3図2に示された断面図の、図2でマーキングした部分Bを示す図である。
図4】第2の分配プレートを斜めに見た分配底部の斜視図である。
図5】第2の実施形態に係る流動床反応器の上面図を概略的に示す図である。
図6】第3の実施形態に係る流動床反応器の上面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の図では、理解を容易にするために座標系を参照する。座標系は例示的に右手系として形成されており、x軸(長手方向)、y軸(横方向)及びz軸(高さ方向)を有している。
【0030】
図1は、第1の実施形態に係る流動床反応器10を概略的に示している。
【0031】
流動床反応器10は、複数の流動床反応器10から成る反応器アセンブリの一部であってよい。流動床反応器10は、例えば反応器15、分配底部20及び分配空間25を有している。反応器15は反応空間30を有している。さらに、流動床反応器10は、充填開口部35、排出開口部40、分配空間への反応ガス供給部45、及び反応空間からの反応ガス排出部50を有している。分配底部20は、分配空間25を反応空間30から空間的に分離する。例として、図1では、分配空間25は、反応空間30の下方に配置されている。
【0032】
充填開口部35及び排出開口部40は、反応空間30に開口しており、反応器15の側面に配置されている。充填開口部35は、反応器15の片側に配置されている。排出開口部40は、x方向において充填開口部35とは反対側に配置されていてよい。この際、排出開口部40は、z方向において、例えば充填開口部35よりも分配底部20の近くに配置されている。反応ガス排出部50は、z方向において、充填開口部35の上方に配置されている。分配底部20は、xy平面に対してわずかに傾斜するように方向付けられていてよく、これによって、分配底部20は、充填開口部35の下方では、排出開口部40におけるよりもわずかに高く配置されている。
【0033】
流動床反応器10の動作中、酸化粉鉱石55、特に鉄鉱石を、充填開口部35を通じて反応空間30に輸送することができる。粉鉱石55は、好ましくは、200μm以下の粒径、好ましくは110μm以下のd30を有する鉄担体粒子70を少なくとも90質量%含んでいる。鉄粒子担体70は酸化物であってよく、例えばFeを有し得る。
【0034】
処理された粉鉱石55の反応生成物75は、排出開口部40を通じて反応空間30から輸送され得る。反応空間30の上面には、反応ガス排出部50が配置され、反応空間30内に開口していてもよい。例えば、反応ガス供給部45は流動床反応器10の下面に配置され、分配空間25に開口している。
【0035】
流動床反応器10の動作中、粉鉱石55は、好ましくは連続的に、充填開口部35を通じて反応空間30に供給される。さらに、例えば、反応ガス60が反応ガス供給部45を通じて分配空間25に連続的に供給される。分配空間25は、分配底部20を通じて反応空間30と流体的に接続されている。例えば、この際、反応空間30は、分配底部20の上方に配置され、分配空間25は、分配底部20の下方に配置されている。この際、分配底部20は、xy平面内に配置されていてよい。
【0036】
反応ガス60は、好ましくは加圧下で、反応ガス供給部45を通じて分配空間25に導入される。反応ガス60は、分配底部20によって分配空間25内で分配され、分配底部20を通って反応空間30に入る。この流れ方向は、反応ガス供給部45と反応ガス排出部50との間の反応ガス60の圧力差によって生じる。
【0037】
反応ガス60は、粉鉱石55及び反応ガス60から成る流動床65が分配底部20の上方に形成されるように、分配底部20を通じて反応空間30に誘導される。流動床65は流動層とも呼ばれる。流動床65では、粉鉱石55は、上方へ流れる反応ガス60によって流動化状態にされる。
【0038】
z方向では、流動床65は、分配底部20と排出開口部40の下端との間に延在する。x方向及び/又はy方向では、流動床65は、主に分配底部20の全延長部分にわたって延在する。
【0039】
反応ガス60は、特に還元ガスであってよい。例えば、反応ガス60は、水素Hを有し、特に技術的に純粋な水素Hから成るか、又は水素Hと1つ以上の他のガスとの混合気を有し得る。
【0040】
流動床65において、反応ガス60は、粉鉱石55と反応して反応生成物75を形成する。例えば、水素Hは酸化鉄粒子担体70に対して還元作用を有している。
【0041】
反応生成物75は、例えば90%以上の金属化度を有する海綿鉄であってよい。反応生成物75は、例えば、充填開口部35を通じて供給される粉鉱石55よりも高い金属化度を有している。この際、金属化度は、反応生成物75中に存在する鉄全体に対する金属鉄の質量分率の比である。流動床反応器10における方法の実施に応じて、反応生成物75の金属化度は異なる可能性があることに留意されたい。
【0042】
粉鉱石55の処理における反応ガス60の粉鉱石55との反応によって、流動床65において500℃から900℃の間の温度が生じる。流動床65は、分配底部20の真上に形成されるので、分配底部20も同様に、500℃から900℃の間の温度に加熱される。
【0043】
さらに、流動床65において、粉鉱石55とその鉄粒子担体70と反応生成物75とが、充填開口部35から排出開口部40に輸送され、排出開口部40において、粉鉱石55の反応生成物75が、反応ガス60と共に反応空間30から除去される。
【0044】
使用された反応ガス80は、反応ガス供給部45と反応ガス排出部50との間の圧力差ゆえに、反応ガス排出部50を通じて反応空間30から排出される。使用された反応ガス80は、例えば、水蒸気を有し得る。
【0045】
図2は、図1に示した分配底部20の、図1でマーキングした部分Aを示している。
【0046】
分配底部20は、第1の分配プレート85及び第2の分配プレート90を有している。第1の分配プレート85は、第2の分配プレート90の下方に配置されている。この際、第1の分配プレート85は、分配空間25に対向する側に配置されている。第1の分配プレート85はプレート状に形成されており、概ねxy平面内に延在している。
【0047】
第1の分配プレート85は、第1の下面105と第1の上面110とを有しており、第1の上面110は、反応空間30に対向する側に配置されている。第1の下面105は、分配空間25に接している。第1の分配プレート85は、第1の材料厚さdを有している。
【0048】
第1の分配プレート85は、第1の貫通開口部100の第1の配置95を有している。一実施形態では、複数の第1の貫通開口部100が、第1の分配プレート85に導入されている。例えば、第1の貫通開口部100は互いに同一に形成されているので、以下において第1の貫通開口部100の内の1つについて説明することは、同様に、他の第1の貫通開口部100にも適用される。自明のことながら、第1の貫通開口部100は、互いに異なるように形成されていてもよい。
【0049】
第1の貫通開口部100は、第1の下面105から、すなわち分配空間25から、第1の分配プレート85に対して垂直なz軸に対して略平行に方向付けられた直線115に沿って、第1の方向において、第1の上面110に向かって、したがって反応空間30に向かって延在している。第1の貫通開口部100は、例えば、円形の横断面を有することができる。第1の貫通開口部100の第1の断面積は、例えば、0.5mm~3mmであり得る。
【0050】
第2の分配プレート90は、第1の上面110に配置されている。第2の分配プレート90は、カバー部125及び接触部130の第2の配置120を有している。
【0051】
図3は、図2に示された断面図の、図2でマーキングされた部分Bを示している。
【0052】
第2の分配プレート90は、一体型に、均一の材料から形成されており、例えば薄肉材料、特にシート材料を有している。この際、薄肉とは、0.5mm~4mmの第2の材料厚さであると理解される。第2の分配プレート90は、第2の下面135と第2の上面140とを有している。第2の下面135は、第1の分配プレート85及び分配空間25に対向する側に配置されている。第2の上面140は、反応空間30に接続されており、反応空間30を下側で画定している。第2の分配プレート90は、第1の分配プレート85の第1の上面110をz方向において略完全に覆っている。これによって、第2の分配プレート90は、第1の分配プレート85によって機械的に支持される。
【0053】
接触部130はプレート状に形成されており、xy平面内で延在している。これによって、接触部130は、第1の分配プレート85に対して平行に延在する。第2の下面135で、接触部130は、第1の分配プレート85の第1の上面110に面で当接している。この際、好ましくは、面で当接とは、接触部130の第2の下面135が、その面積の少なくとも50パーセント、好ましくは少なくとも70パーセントで、第1の分配プレート85の第1の上面110と接触していることであると理解される。
【0054】
好ましくは、接触部130は、材料接続部145、例えば溶接接続部150を用いて、第1の分配プレート85に接続されている。当該態様は、第2の分配プレート90が熱応力を受けた場合でも、第2の分配プレート90が第1の分配プレート85から離れる又は取り外されることを確実に防止する。
【0055】
接触部130は、第1の貫通開口部100に対してx方向及び/又はy方向にオフセットされて配置されている。これによって、第1の貫通開口部100が接触部130によって第1の上面110で閉じられることが防止される。接触部130は、第1の分配プレート85の第1の材料厚さdよりも明らかに小さい第2の材料厚さdを有している。特に、第2の材料厚さは、0.5mm~4mmであり得る。第1の材料厚さdが第2の分配プレート90の第2の材料厚さより大きい場合、特に有利である。
【0056】
すでに説明したように、第2の配置120は、複数のカバー部125を有している。カバー部125は、それぞれx方向及び/又はy方向において、互いに離間して配置されている。カバー部125は、z方向において、接触部130より突出している。この際、好ましくは、第1の貫通開口部100の第1の数は、カバー部125の第2の数に一致している。
【0057】
カバー部125はそれぞれ、接触部130に機械的に接続されている。これによって、カバー部125は、接触部130によって互いに機械的に接続されている。これによって、カバー部125と第1の分配プレート85とを直接機械的に接続することが不要になる。
【0058】
以下において、図3に示されたカバー部125を例示的に説明する。以下に説明することは、同様に、第2の配置120の他のカバー部125にも適用される。
【0059】
カバー部125は、第2の分配プレート90にエンボス加工されており、z方向において、第1の分配プレート85の第1の上面110から離間して、第1の貫通開口部が第1の上面110で開かれているように配置されている。この際、z方向において、カバー部125は、第1の貫通開口部100を覆うように配置されている。この際、z方向において覆うとは、2つの構成要素、例えばカバー部125及び第1の貫通開口部100、又は例えば第2の分配プレート90及び第1の分配プレートが、第1の方向とも称され得るz方向において、例えばz方向/第1の方向に対して垂直に延在し、例えばxy平面として形成された投影面において投影される際、構成要素、図3ではカバー部125及び貫通開口部100が、当該投影面において重なることであると理解される。これによって、カバー部125は、反応空間30に向かう第1の貫通開口部100を覆い、第1の貫通開口部を流動床65に対して保護する。
【0060】
カバー部125は、第1の部分領域155と第2の部分領域160とを有している。第1の部分領域155は、第1の上面110に対して略並行に延在しており、z方向において、第1の上面110に対してオフセットされて配置されている。この際、第1の部分領域155はプレート状に形成されていてよい。上面図において、第1の部分領域155は、x方向及びy方向において円形に形成されていてよい。
【0061】
第1の部分領域155は、第2の部分領域160を通じて接触部130に機械的に接続されている。第2の部分領域160は、第1の貫通開口部100の上方に部分的に突出していてもよく、第1の部分領域155及び接触部130に対して傾斜して延在している。
【0062】
カバー部125は、第1の分配プレート85の第1の上面110とともに、チャンバ165を画定する。チャンバ165は、その主な延長方向において概ねx方向及びy方向に延在している。チャンバ165の高さhは、x方向及び/又はy方向におけるチャンバ165の延在部分よりも明らかに小さい。さらに、チャンバ165の高さhは、チャンバの長さlにわたって例えば一定である。
【0063】
第1の貫通開口部100は、第1の上面110において、チャンバ165に開口している。z方向において、接触部130と第1の部分領域155との間には、第2の貫通開口部170が第2の分配プレート90に導入されている。第2の貫通開口部170はスロット状に形成されており、z方向において略一定の開口高さhを有している。開口高さhは、例えば、0.5mm~2mmであり得る。この際、第2の貫通開口部170は、第2の貫通開口部170の第2の断面積が、第1の貫通開口部100の第1の断面積よりも明らかに大きくなるように構成されている。チャンバ165は、第1の貫通開口部100と第2の貫通開口部170とを流体的に接続している。
【0064】
第2の貫通開口部170は主に、例えば70°~120°のxy平面内の角度セグメントにわたって延在し得る。この際、第2の貫通開口部は、例えば直線115に対して中心がオフセットされた円形軌道上に延在する。この際、第2の断面積は、第2の貫通開口部の開口面積を形成しており、数学的には、xy平面における円形軌道上の第2の貫通開口部の角度セグメント(弧度法で)、開口高さh、及び円弧長さの積として定義される。この際、第2の貫通開口部170は、第2の貫通開口部170に接する第1の部分領域155の自由端がz方向において接触部130の切断面172を覆うように配置されているように、第2の分配プレート90に切り込まれているか、又は打ち抜かれている。
【0065】
チャンバ165は、略シリンダ状の基本形状を有している。チャンバ165は、第1の断面積及び/又は第2の断面積よりも明らかに大きなチャンバ断面積(xy平面において)を有している。x方向及び/又はy方向において、チャンバ165は、第2の貫通開口部170と第1の貫通開口部100との間でチャンバ長さlを有している。チャンバ長さlは、第2の貫通開口部170の開口高さhよりも明らかに大きい。チャンバ長さlの開口高さhに対する比が1以上20以下であると特に有利である。
【0066】
図4は、第2の分配プレート90を斜めに見た、分配底部20の斜視図である。
【0067】
第2の配置120のカバー部125は、例えば、x方向において互いにオフセットされて配置された複数の列175に配置されている。各列175において、カバー部125は、y方向に互いに離間して配置されている。この際、カバー部125の間には、接触部130が延在している。好ましくは、第2の貫通開口部170の第1の方向付けは、各カバー部125において同一である。
【0068】
一実施形態において、材料接続部145は、複数の交差した溶接継ぎ目180、185によって構成されている。各溶接継ぎ目180、185は、例えば直線状で連続的に形成されている。2つの平行に延在する第1の溶接継ぎ目180は、それぞれ2つの平行に延在する第2の溶接継ぎ目185と交差し、この際、ひし形190を形成し、ひし形190によって、カバー部125は周囲を囲まれている。この際、各溶接継ぎ目180、185は、溶接継ぎ目180、185の溶け込みが第1の分配プレート85内まで延在するように構成されている。溶接継ぎ目180、185は、概ね中断せずに続くので、チャンバ165は、周方向で、材料接続部145によって、接触部130に対して流体密封にシールされている。
【0069】
以下において、図1図4に基づいて、分配底部20の機能を説明する。図1の範囲ですでに説明したように、反応ガス60は分配底部20を通じて反応空間30に誘導される。
【0070】
この際、反応ガス60は、第1の方向において、直線115(図3及び図4を参照)に対して略平行な第1の貫通開口部100を貫流する。第1の断面積が小さいので、反応ガス60は、第1の貫通開口部100内で比較的高い第1の速度vを有している。
【0071】
第1の貫通開口部100を通って流れる反応ガス60は、それぞれ配設されたチャンバ165に流入する。チャンバ165が大容量の構造を有しているので、反応ガス60は急激に減速し、チャンバ165内を第2の速度vで流れる。第2の速度vは、第1の速度vよりも大幅に低い。さらに、カバー部125は、反応ガス60がチャンバ165内を概ねx方向及び/又はy方向に流れるように、反応ガス60を第2の方向に直線115に対して略90°方向転換させる(図3参照)。
【0072】
反応ガス60は、第2の貫通開口部170でチャンバ165から流出する。この際、反応ガス60は、第1の速度vよりも明らかに低い第3の速度vで、第2の貫通開口部170を貫流する。第3の速度vは、チャンバ165内の第2の速度vよりも大きくてもよい。
【0073】
反応ガス60は、分配空間25と反応ガス排出部50との間の圧力差に基づいて、第2の貫通開口部170を貫流した後、第2の分配プレート90によって概ねz方向に方向転換され、粉鉱石55と共に、第2の分配プレート90の上方に流動床65を形成する。
【0074】
反応ガス60がこのように誘導されることは、反応ガス60が、低い第3の速度vで第2の貫通開口部170の角度セクションにわたって面的に流出することによって、反応ガス60の局所的な速度増大が回避され得るという利点を有している。これによって、流動床65内の局所的なガス流路が回避され、流動床反応器の全断面積にわたる反応ガスの可能な限り均一な分布が得られる。さらに、第1の貫通開口部100における反応ガス60の圧力変動を、チャンバ165の大容量の構造によって減衰させることができる。これによって、粉鉱石55を含む特に安定した流動床65が形成される。
【0075】
溶接継ぎ目180、185によってチャンバ165を周方向で密封することによって、チャンバ165から別のチャンバ165への反応ガス60の移動が防止される。これによって、分配底部20の各チャンバ165を通る反応ガス60の体積流量が確実かつ均一になる。これによって、反応空間30内の流動床65がさらに安定し、局所的な非流動化が防止される。
【0076】
流動床反応器10が停止するか、又はガス供給60が中止された場合、流動床65は崩壊する。その結果、粉鉱石55及び/又は反応生成物75から成る層230が、第2の上面140上に形成される(層230は図2において破線で示されている)。確かに、粉鉱石55及び/又は反応生成物75のごく一部が、第2の貫通開口部170を通じてチャンバ165に進入し、各チャンバ165内に円錐状堆積物を形成することはあるが、チャンバ長さlによって、第2の貫通開口部170は、粉鉱石55及び/又は反応生成物75が第1の貫通開口部100に到達しない程度に、x方向及び/又はy方向において第1の貫通開口部100から離れて配置されている。
【0077】
再び始動する際、第1の貫通開口部100を通じたチャンバ165の分配空間25との流体的な接続が確保されているので、チャンバ165に進入した粉鉱石55及び/又は反応生成物75は、反応ガス60を用いてチャンバ165から吐出され得る。
【0078】
分配底部20を形成するために、第1の方法ステップにおいて、第1のプレート状未加工部材が調達される。第1のプレート状未加工部材は切断され、第1の配置95を形成するための第1の貫通開口部100が第1の未加工部材に導入される。これは、例えば、第1の未加工部材に第1の貫通開口部100をレーザー切断又は穿孔することによって行われ得る。
【0079】
第2の方法ステップでは、プレート状のシート材料が調達される。シート材料には、カバー部125から成る第2の配置120がエンボス加工され、第2の貫通開口部170がシート材料に切り込まれる。これは、例えば、打ち抜き及び曲げステップにおいて行うことが可能であり、好ましくは、カバー部125が概ね同時にエンボス加工されるように、単一の処理ステップにおいて実行される。また、打ち抜き及び曲げステップでは、複数のカバー部125の一部のみを同時にエンボス加工することも可能である。接触部において、シート材料は概ね変形されずにとどまるので、接触部130のプレート状の構造は維持される。さらに、第2の貫通開口部が同時に切断される。貫通開口部の切断は、好ましくは、カバー部125のエンボス加工と同時に行われる。
【0080】
第3の方法ステップにおいて、第2の分配プレート90は、第1の貫通開口部100が接触部130によって覆われず、第1の貫通開口部100がz方向においてカバー部125に向かい合って配置されるように、第2の下面135で第1の上面110に配置される。これによって、各第1の貫通開口部100は、配設されたカバー部125によって覆われ、チャンバ165が形成される。第2の分配プレート90を一体型に、均一の材料から形成することによって、全てのカバー部125は、第3の方法ステップにおいて、第1の貫通開口部100の第1の配置と位置合わせされるので、カバー部125の位置合わせに要する時間が大幅に短縮される。
【0081】
第4の方法ステップでは、接触部130を第1の分配プレート85に接続するための材料接続部145が形成される。この際、例えばレーザー溶接プロセスの範囲内で、溶接継ぎ目180、185を用いて、第1の分配プレート85を、第2の分配プレート90に溶接することができる。さらに、これによって、チャンバ165は、周方向において流体密封にシールされる。この際、溶接継ぎ目180、185は好ましくは連続している。これによって、分配底部20は、わずかな方法ステップで特に容易に製造することができる。
【0082】
図5は、第2の実施形態に係る流動床反応器10の上面図を概略的に示している。
【0083】
図5の流動床反応器10は、図1図4で説明した流動床反応器10と概ね同一の構造を有している。以下において、第1の実施形態に係る図1図4に示された流動床反応器10に対して、図5に示された流動床反応器10が異なる点を専ら説明する。
【0084】
分配底部20は、第1の領域200と、少なくとも1つの第2の領域205と、を有している。付加的に、分配底部20は、第3の領域210を有することが可能である。分配底部20は、その主延長方向において概ねx方向に延在している。この際、例えば、x方向は、充填開口部35と排出開口部40との間の粉鉱石55の搬送方向に対応する。y方向において横に向かって、分配底部20は、側縁215、220によって画定される。
【0085】
第1の領域200は、x方向において、充填開口部35と排出開口部40との間に配置されている。第2の貫通開口部170の配置を示すために、図5では、第2の貫通開口部170が部分環状の部分として概略的に示されている。しかしながら、理想的な場合において、第2の貫通開口部170は上面図では視認不可能である。
【0086】
第1の領域200において、第2の貫通開口部170は、同一の第1の方向付けを有している。第2の貫通開口部170の第1の方向付けは、好ましくは、第2の貫通開口部170が、カバー部125の充填開口部35に背向する側に配置されるように選択されている。さらに、第1の領域200において、第2の貫通開口部170は、反応ガス60の体積流量が、概ねx軸に対して平行な排出開口部40の方向に方向付けられているように方向付けられている。
【0087】
x方向において第1の領域200と充填開口部35との間に配置されている第2の領域205において、第2の貫通開口部170は第2の方向付けを有している。例えば、第2の方向付けは、第1の領域200における第2の貫通開口部170の第1の方向付けとは異なる。例えば、第2の領域205における第2の貫通開口部170は、互いに異なって方向付けられていてもよい。例えば、第2の領域205における第2の貫通開口部170の第2の方向付けは、第2の貫通開口部170が、カバー部125の充填開口部35に背向する側に配置されるように選択されている。さらに、第2の領域205における第2の貫通開口部170は、最も近いそれぞれの側縁215、220の方向において、互いに離れる方向を示すように方向付けられている。
【0088】
第3の領域210において、第2の貫通開口部170は、第3の方向付けを有している。第3の方向付けは、例えば、第1の方向付け及び/又は第2の方向付けとは異なっている。この際、第3の領域210において、第2の貫通開口部170は、カバー部125の排出開口部40に対向する側に配置されている。
【0089】
第3の領域210において、第2の貫通開口部170は、カバー部125の充填開口部35に背向する側に、しかしまた同様に、それぞれ最も近い側縁215、220に背向する側に配置されている。この際、第2の貫通開口部170は、カバー部125の排出開口部40に対向する側に配置されている。
【0090】
図5に示す流動床反応器10の動作中、粉鉱石55が充填開口部35を通って反応空間30に輸送される。この際、粉鉱石55は、まず第2の領域205に輸送される。第2の貫通開口部170の、側縁215、220に向けられ、排出開口部40に向けられた第2の方向付けによって、流動床65において、粉鉱石55が、第2の領域205において流出する反応ガス60によって排出開口部40からy方向に運び去られ、分配底部20の全幅にわたって分配されることがもたらされる。これによって、粉鉱石55の特に大きな質量流量を反応空間30に輸送することができる。この際、反応ガス60は、x軸及びy軸に対して傾斜して、第2の貫通開口部170から流出し、y方向において、粉鉱石55を分配底部20の全幅にわたって分配し、粉鉱石55を第1の領域200に輸送する。
【0091】
全幅にわたって分散された粉鉱石55は、特に第1の領域200で処理され、反応ガス60で加工され、反応生成物75を形成する。この際、粉鉱石55と反応生成物75とは、x方向において、充填開口部35から排出開口部40に向かってさらに輸送される。この際、主に、反応ガス60は、x方向において、第1の領域200内の第2の貫通開口部170から流出し、粉鉱石55又は反応生成物75を排出開口部40の方向に輸送する。
【0092】
第3の領域210に到達すると、粉鉱石55又は反応生成物75は、第2の貫通開口部170の第3の方向付けによって、側縁215、220から排出開口部40の方向において内側に向かって、濃縮され、輸送される。これによって、反応生成物75を排出開口部に向かって輸送するための付加的な機械的補助手段を必要とすることなく、反応生成物75を排出開口部40を通じて反応空間30から特に良好に除去することができる。
【0093】
図6は、第3の実施形態に係る流動床反応器10の上面図を概略的に示している。
【0094】
図6の流動床反応器10は、図5で説明した流動床反応器10と概ね同一の構造を有している。以下において、第2の実施形態に係る図5に示された流動床反応器10に対して、図6に示された流動床反応器10が異なる点を専ら説明する。
【0095】
付加的に、図6の分配底部20は、第1の周縁領域235と、好ましくは第2の周縁領域240と、を有している。一実施形態において、例えば、第1の周縁領域235及び第2の周縁領域240が設けられている。2つの周縁領域235、240の内の少なくとも一方を省略することもできる。例えば、x方向において、第1の周縁領域235及び第2の周縁領域240は、充填開口部35と第3の領域210との間に配置されている。y方向において、第1の周縁領域235及び第2の周縁領域240は、充填開口部35からオフセットされて配置されている。この際、第1の周縁領域235は、横方向において第1の側縁215に接続されている。第1の周縁領域235は、内側において、第1の領域200に、好ましくは第2の領域205に接している。さらに、第2の周縁領域240は、横方向において第2の側縁220に接続され、横方向において、第1の周縁領域235に向かい合うように配置されている。第2の周縁領域240は、内側において、第1の領域200に、好ましくは第2の領域205に接している。
【0096】
第1の周縁領域235において、第2の貫通開口部170は、第1の側縁215の方向において、第1の領域200から離れるように、斜め外側に向けられている。さらに、第2の貫通開口部170は、長手方向において、カバー部125の第3の領域210に対向する側に配置されている。例えば、第2の貫通開口部170の方向付けは、反応ガス60が第1の側縁215に向かって第1の鋭角αにおいて、第3の領域210に向かってx方向に流れるように選択されている。角度αは30°~60°であり得る。
【0097】
第2の周縁領域240において、第2の貫通開口部170は、第2の側縁220の方向において、第1の領域200から離れるように、斜め外側に向けられている。さらに、第2の貫通開口部170は、長手方向において、カバー部125の第3の領域210及び第2の側縁220に対向する側に配置されている。例えば、第2の貫通開口部170の方向付けは、反応ガス60が第2の側縁220に向かって第2の鋭角βにおいて、第3の領域210に向かってx方向に流れるように選択されている。第2の角度βは、第1の角度αと同一であってよく、及び/又は30°~60°であり得る。
【0098】
当該態様は、流動床65の周縁領域をより良好に流動化させ、したがって粉鉱石55及び/又は反応生成物75の流動化挙動に対するネガティブな周辺効果を最小限に抑えるという利点を有している。
【符号の説明】
【0099】
10 流動床反応器
15 反応器
20 分配底部
25 分配空間
30 反応空間
35 充填開口部
40 排出開口部
45 反応ガス供給部
50 反応ガス排出部
55 粉鉱石
60 反応ガス
65 流動床
70 鉄粒子担体
75 反応生成物
80 使用された反応ガス
85 第1の分配プレート
90 第2の分配プレート
95 第1の配置
100 第1の貫通開口部
105 第1の下面
110 第1の上面
115 直線
120 第2の配置
125 カバー部
130 接触部
135 第2の下面
140 第2の上面
145 材料接続部
150 溶接接続部
155 第1の部分領域
160 第2の部分領域
165 チャンバ
170 第2の貫通開口部
171 自由端
172 断面
175 列
180 第1の溶接継ぎ目
185 第2の溶接継ぎ目
190 ひし形
200 第1の領域
205 第2の領域
210 第3の領域
215 第1の側縁
220 第2の側縁
230 層
235 第1の周縁領域
240 第2の周縁領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化粉鉱石(55)を処理するための流動床反応器(10)であって、
-前記流動床反応器(10)が、分配底部(20)と、分配空間(25)と、反応空間(30)を備えた反応器(15)と、を有しており、
-前記分配底部(20)が、前記反応空間(30)を前記分配空間(25)から空間的に分離し、
-前記分配底部(20)が、第1の分配プレート(85)と、前記第1の分配プレート(85)上に配置された第2の分配プレート(90)と、を有しており、
-前記第1の分配プレート(85)が、前記分配空間(25)に対向する側に配置され、前記第2の分配プレート(90)が、前記反応空間(30)に対向する側に配置されており、
-前記第1の分配プレート(85)が、前記分配空間(25)から第1の方向(z)において前記反応空間(30)へ延在する第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)を有しており、
-前記第2の分配プレート(90)が、プレート状で前記第1の分配プレート(85)に対して平行に延在する接触部(130)を有しており、
-前記第2の分配プレート(90)が、さらに、複数のカバー部(125)から成る第2の配置(120)を有しており、
-前記接触部(130)が、前記第1の貫通開口部(100)の前記第1の配置(95)から離間して前記第1の分配プレート(85)に接しており、
-前記第2の配置(120)のカバー部(125)それぞれが、第1の方向(z)において、配設された前記第1の貫通開口部(100)から離間して配置されており、前記反応空間(30)への配設された前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第2の分配プレート(90)が、前記カバー部(125)それぞれに、第2の方向(x、y)において、直線(115)に対して傾斜して、前記第1の貫通開口部(100)からオフセットして配置された第2の貫通開口部(170)を有しており、
-前記分配空間(25)から、前記第1の貫通開口部(100)及び前記第2の貫通開口部(170)を通じて、反応ガス(60)が、粉鉱石(55)を処理するため、及び、前記粉鉱石(55)と前記反応ガス(60)とから成る流動床(65)を形成するために、前記反応空間(30)に導入され得る、流動床反応器(10)。
【請求項2】
-前記鉱石は鉄鉱石である、請求項1に記載の流動床反応器(10)。
【請求項3】
-前記接触部(130)が、前記第2の配置(120)の互いに対してオフセットされて配置されたカバー部(125)を互いに機械的に接続し、
-前記接触部(130)が、前記第1の分配プレート(85)に機械的に接続されている、請求項1または2に記載の流動床反応器(10)。
【請求項4】
-前記第2の分配プレート(90)が一体型に、均一の材料から形成されている、請求項3に記載の流動床反応器(10)。
【請求項5】
-前記カバー部(125)の前記第2の配置(120)が、前記第2の分配プレート(90)にエンボス加工されている、請求項3または4に記載の流動床反応器(10)。
【請求項6】
-前記第1の分配プレート(85)及び前記カバー部(125)が、それぞれチャンバ(165)を画定し、
-前記チャンバ(165)は、前記第1の貫通開口部(100)と前記第2の貫通開口部(170)との間で、前記第1の分配プレート(85)に対して平行に、前記第2の方向(x、y)において延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項7】
-前記チャンバ(165)がチャンバ断面積を有し、前記第1の貫通開口部(100)は第1の断面積を有し、前記第2の貫通開口部(170)は第2の断面積を有しており、
-前記第2の断面積は、前記第1の断面積よりも大きく、
-前記チャンバ断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、請求項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項8】
-前記チャンバ(165)が、前記第2の方向(x、y)において、前記第1の貫通開口部(100)と前記第2の貫通開口部(170)との間でチャンバ長さ(l)を有し、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第1の方向(z)において、開口高さ(h)を有し、
-前記第2の貫通開口部(170)の開口高さ(h)は、前記チャンバ(165)の前記チャンバ長さ(l)より小さい、請求項6または7に記載の流動床反応器(10)。
【請求項9】
-前記チャンバ長さ(l)の前記開口高さ(h)に対する比は、1~20である、請求項8に記載の流動床反応器(10)。
【請求項10】
-前記第2の分配プレート(90)が、前記第1の分配プレート(85)の第1の上面(110)を、主に前記第1の方向(z)で前記第1の上面(110)に対して傾斜して、少なくとも第1の配置(95)の領域において覆っている、請求項1からのいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項11】
-前記第2の分配プレート(90)が、前記第1の分配プレート(85)の第1の上面(110)を、少なくとも第1の配置(95)の領域において、完全に覆っている、請求項10に記載の流動床反応器(10)。
【請求項12】
-前記分配底部(20)が、第1の領域(200)と少なくとも1つの第2の領域(205)とを有し、
-前記第1の領域(200)において、第2の配置(120)の前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ同一の第1の方向付けを有し、
-前記第2の領域(205)において、前記第2の配置(120)の前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ前記第1の方向付けとは異なる第2の方向付けを有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項13】
-前記反応空間(30)内に開口する充填開口部(35)と、前記反応空間(30)内に開口する排出開口部(40)と、を有しており、
-前記充填開口部(35)が、前記排出開口部(40)の反対側に配置され、粉鉱石(55)が、前記充填開口部(35)を通じて前記反応空間(30)内に輸送可能であり、
-前記排出開口部(40)を通じて、前記粉鉱石(55)の反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、前記反応空間(30)から輸送可能であり、
-前記第1の領域(200)が、前記充填開口部(35)と前記排出開口部(40)との間に配置されており、
-前記第1の領域(200)において、前記第2の貫通開口部(170)が、それぞれ前記カバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側に配置されている、請求項12に記載の流動床反応器(10)。
【請求項14】
-前記第2の領域(205)が、充填開口部(35)と前記第1の領域(200)との間に配置されており、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第2の領域(205)において、前記充填開口部(35)に背向する側であって、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に対向する側に、粉鉱石(55)が、流出する反応ガス(60)を用いて、前記充填開口部(35)から前記側縁(215、220)の方向において分配され得るように配置されている、請求項12又は13に記載の流動床反応器(10)。
【請求項15】
-前記分配底部(20)が第3の領域(210)を有し、
-前記第3の領域(210)が、前記第1の領域(200)と排出開口部(40)との間に配置されており、
-前記第3の領域(210)において、前記第2の貫通開口部(170)がそれぞれ、前記第1の方向付けとは異なる第3の方向付けを有し、
-前記第2の貫通開口部(170)は、前記第3の領域(210)において、それぞれカバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側と、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に背向する側と、に前記粉鉱石(55)及び/又は前記粉鉱石(55)の前記反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、流出する前記反応ガス(60)を用いて、前記側縁(215、220)から前記排出開口部(40)の方向に輸送され得るように配置されている、請求項12から14のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項16】
-前記分配底部(20)が、少なくとも1つの周縁領域(235、240)を有しており、
-前記周縁領域(235、240)が、前記第1の領域(200)と排出開口部(40)との間に、前記分配底部(20)の側縁(215、220)に横方向において接するように配置されており、
-前記第2の貫通開口部(170)は、前記周縁領域(235、240)において、それぞれカバー部(125)の前記排出開口部(40)に対向する側と、前記分配底部(20)の前記側縁(215、220)に対向する側と、に粉鉱石(55)及び/又は前記粉鉱石(55)の反応ガス(60)との反応による反応生成物(75)が、流出する前記反応ガス(60)を用いて、前記排出開口部(40)の方向に輸送され得るように配置されている、請求項12から15のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項17】
-前記第2の貫通開口部(170)が、スロット状に形成されており、
-前記第2の貫通開口部(170)が、前記第1の方向(z)において略一定の開口高さ(h)を有している、請求項1から16のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項18】
-前記第1の分配プレート(85)及び前記接触部(130)が、直線(115)に対して周方向において、それぞれ前記第1の貫通開口部(100)の周りで密封されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項19】
-前記第1の貫通開口部(100)の周りで、周方向に、それぞれ前記接触部(130)が、前記第1の分配プレート(85)に材料接続的に接続されている、請求項18に記載の流動床反応器(10)。
【請求項20】
-前記第1の貫通開口部(100)の周りで、周方向に、それぞれ前記接触部(130)が、前記第1の分配プレート(85)に溶接されている、請求項19に記載の流動床反応器(10)。
【請求項21】
-前記カバー部(125)が、第1の部分領域(155)と第2の部分領域(160)とを有しており、
-前記第1の部分領域(155)が、前記第1の分配プレート(85)に対して平行に延在するように配置され、前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第1の部分領域(155)が、少なくとも部分的に前記第1の貫通開口部(100)を覆っており、
-前記第2の部分領域(160)が、前記第1の部分領域(155)に対して斜めに傾斜して配置され、前記第1の部分領域(155)を前記接触部(130)に接続している、請求項1から20のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の流動床反応器(10)を製造するための方法であって、
-第1の貫通開口部(100)の第1の配置(95)を備えた第1の分配プレート(85)が供給され、
-プレート状のシート材料に、複数のカバー部分(125)を備える第2の配置(120)がエンボス加工され、第2の貫通開口部(170)が、前記シート材料に切断され、
-第2の分配プレート(90)は、前記第1の貫通開口部(100)それぞれが配設された前記カバー部(125)によって覆われるように、前記第1の分配プレート(85)上に配置され、
-接触部(130)は、前記第1の分配プレート(85)に機械的に接続される方法。
【請求項23】
-前記第2の貫通開口部(170)は、単一の処理ステップにおいて切断される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
-前記第2の貫通開口部(170)が打ち抜かれる、請求項23に記載の方法。
【国際調査報告】