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特表2024-513731LC-MS/MSによるADC中のDTPA含有量の検出方法
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  • 特表-LC-MS/MSによるADC中のDTPA含有量の検出方法 図1
  • 特表-LC-MS/MSによるADC中のDTPA含有量の検出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】LC-MS/MSによるADC中のDTPA含有量の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20240319BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 30/04 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240319BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240319BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20240319BHJP
   A61K 33/24 20190101ALN20240319BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
G01N30/88 D
G01N30/72 C
G01N30/06 A
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/86 J
G01N30/04 P
G01N27/62 X
G01N27/62 V
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K33/24
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557461
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022083945
(87)【国際公開番号】W WO2022206806
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110349989.7
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087262
【氏名又は名称】レメゲン シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】REMEGEN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.58 Beijing Middle Road, Yantai Development Zone, Yantai District, China(Shandong)Pilot Free Trade Zone, Yantai, Shandong 264006 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姚 雪静
(72)【発明者】
【氏名】孫 芳芳
(72)【発明者】
【氏名】孫 文龍
(72)【発明者】
【氏名】斉 桂平
【テーマコード(参考)】
2G041
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041GA09
2G041LA08
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD51
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA26
4C085BB11
4C085EE01
4C086AA01
4C086HA12
4C086HA28
4C086NA13
4C086ZB26
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、LC-MS/MSによるADC中のDTPA含有量の検出方法に関する。
【効果】この方法では、サンプルがFe3+により弱アルカリ性の誘導体化条件下で誘導化され、同時に弱アルカリ性移動相が採用され、イオン対試薬を加える必要がない。この方法は、高効率、安定性、耐久性に優れるという特徴を有し、従来技術におけるDTPA検出方法が少なく、操作が複雑であるという欠点を適合に補うことが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)によるADC中のDTPA含有量の検出方法であって、被検物であるADCサンプルが弱アルカリ性の誘導体化条件下でFe3+により誘導化され、C18クロマトカラムが採用される同時に、弱アルカリ性移動相が採用され、イオン対試薬を加える必要がないことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記Fe3+による誘導化がFeCl3を使用して誘導化することであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弱アルカリ性移動相には、酢酸アンモニウムと水酸化アンモニウムを含む水溶液であり、好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム80~100mMと0.01%の水酸化アンモニウムを含む水溶液であり、最も好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム100mMと0.01%の水酸化アンモニウムを含む水溶液である移動相Aが含まれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記弱アルカリ性移動相には、酢酸アンモニウムと水酸化アンモニウムを含むアセトニトリル溶液であり、好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム80~100mMと0.01%の水酸化アンモニウムを含むアセトニトリル溶液であり、最も好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム100mMと0.01%の水酸化アンモニウムを含むアセトニトリル溶液である移動相Bが含まれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
添加されるFeCl3溶液の濃度が約40~60μg/ml、好ましくは50.0μg/mlであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法では、標準品溶液がDTPAを採用して作製されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
好ましくは、前記標準品溶液が1.0μg/mlのDTPA溶液であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記DTPA溶液の調製及び標準曲線シリーズ溶液の調製が、
1)EP管に計量したDTPA標準品5~10mgを、0.1%の水酸化アンモニウム1mlで溶解して母液を得た後、DTPA濃度が1.0μg/mlになるまで母液を段階的に希釈するDTPA作動液の調製工程と、
2)1.0μg/mlのDTPA標準品溶液を移動相Aで、500ng/ml、400ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlのシリーズ濃度を有するDTPA標準品溶液に希釈する標準曲線シリーズ溶液の調製工程とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、移動相Aで1.0μg/mlのDTPA溶液を希釈して調製された、濃度が400ng/ml(HQC)、200ng/ml(MQC)、100ng/ml(LQC)であるDTPA品質管理溶液を使用することをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記液体クロマトグラには、米国アジレント社のAgilent 1200型液体クロマトグラフ、Teledyne Isco社の高圧分取液体クロマトグラフ、アジレントのHPLC1260型高速液体クロマトグラフが含まれるが、これらに限定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タンデム質量分析計には、米国AB Sciex社のAPI 4000型タンデム質量分析計、島津のトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計、GBCのOptimass誘導結合プラズマ直交加速飛行時間型質量分析計が含まれるが、これらに限定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記C18クロマトカラムには、YMC-C18、Agilent Extard-C18、資生堂のPAK CR-18が含まれるが、これらに限定されない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬の分野に属し、精度が高く、耐久性に優れ、再現性が良いLC-MS/MSによるDTPAの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジエチルトリアミン五酢酸(DTPA)は、5つのカルボキシメチル基を有するジエチレントリアミン骨格からなるアミノポリカルボン酸である。
【0003】
DTPAは、1950年代後半に放射性核種の排出促進に広く用いられ、現在では主にそのカルシウム塩が用いられている。DTPA及びその関連カルシウム塩の毒副作用には、主に高用量の致死反応、肝臓や腎臓の損傷、腸粘膜の損傷や造血阻害が含まれる(趙興成など、DTPAの毒性及び排出促進応用、国外医学(放射医学分冊)、1980年04期)。
【0004】
現在、DTPAは、ADC製品の製造に広く使われており、還元後のタンパク質を保護する目的としてモノクローナル抗体の還元工程に添加される。DTPAは、抗体薬物複合体のリンカー(Virginia del Solar et al、Metal-based antibody drug conjugates. Potential and challenges in their application as targeted therapies in cancer、Journal of Inorganic Biochemistry 199、2019)として、白金金属抗体薬物複合体(Metal-based antibody drug conjugates)の作製に使用されることもでき、DTPAが添加されない場合、ADCが正常に結合されないか又は結合後の製品の品質が低下してしまったことがADCの生産プロセスにより示される。既存のADC製造のプロセスには、通常、DTPAに対する特定の除去プロセスがなく、DTPAが製品透析過程のみで除去されるため、ADC製品に残留する恐れがあり、その後の薬の安全性に一定の悪影響を及ぼすことが無視できない。ADC関連製品におけるDTPA検出に関する研究は、従来技術においてまだ見られていない。
【0005】
現在、文献に報告されたDTPAの検出方法は、主に食品分野及び繊維分野に集中している。ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー法が用いられる場合が多く、イオンクロマトグラフィーが採用される場合もある。しかし、ガスクロマトグラフィーで検出する場合、DTPA及びその錯体は、極性のカルボニル基を含むために揮発することが困難になり、エステル化反応を行って揮発性化合物を生成する必要があり、操作が複雑になる。また、HPLC法を採用する場合、その検出限界が高く、残留量の検出に適していない。以上の原因から、LC-MSMS法は、ますます注目されてきた。例えば、特許文献1(CN107315056A)には、クロマトグラフィー分離効果に優れ、目的物質の回収率に優れた、LC-MSMS法によるラット血漿生物学的サンプル中のDTPA-Caの測定方法が開示されている。特許文献2(CN107167541A)には、同様に分離効果が良好である、LC-MSMS法によるラット血漿生物学的サンプル中のDTPA-Znの測定方法を開示されている。しかし、抗体薬物複合体は、タンパク質生体高分子の混合物であり、システムが複雑で、DTPAの検出を著しく妨害するため、これらの方法は抗体薬物複合体製品におけるDTPAに適用できない。
【0006】
LC-MS/MSは、実際にはLC技術と2つのMS技術を組み合わせた総合的な検出技術である。LC-MS/MSは、液体クロマトグラフィー(LC)とマススペクトル(MS)の組み合わせたものであり、注入された後のサンプルがまず移動相に連れてクロマトカラムに入り、クロマトカラムによる分離の後に、マススペクトルに入って検出されるという動作原理として働く。質量分析計では、測定物の質量電荷比(m/z)に従って検出を行い、測定物がイオン源でガスイオンに変換されてマススペクトルに入り、トリプル四重極において一次質量分析計が特定の範囲のイオンをスキャンするかまた特定のイオンが衝突室に入ることを許可し、衝突室内において分子イオンが衝突して分解し、子イオンが形成されて二次マススペクトルに入り、二次質量分析計が特定の範囲のイオンをスキャンするか又は特定のイオンが検出器に入ることを許可する。LC-MS/MSの併用が非常に顕著な利点を持ている理由は、ガスクロマトグラフィーは揮発性で分解しない物質しか分離できないのに対し、液体クロマトグラフィーは分離範囲を大幅に広げていることにある。LCと高選択性、高感度のMS/MSとの組み合わせにより、複雑なサンプルのリアルタイム分析を実行することが可能になり、LCによる分離が困難である場合でも、MS1及びMS2により目的化合物の中性破片走査を実行すれば、混合物中の目的化合物を見つけて強調表示することができ、信号対雑音比を大幅に向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LC-MSMS法によるDTPAの検出方法では、Fe3+誘導化の手段を採用することが多いが、その誘導体化条件がすべて酸性条件であり、かつ、移動相にイオン対試薬さえ添加すれば良好な分離を実現でき、方法の再現性が悪く、不安定である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、DTPAをより迅速かつ効果的に検出するためには、弱アルカリ性の誘導体化条件に基づくLC-MS/MSによるDTPAの検出方法を開発し、従来技術でのDTPAの検出にあった困難を効果的に解決した。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、LC-MSMS法による検出が抗体薬物複合体製品におけるDTPAの検出に使用され、精度が高く、耐久性に優れ、再現性がよく、ADC製造の品質管理において重要な適用価値がある。
本発明では、LC-MS/MS法を採用して抗体薬物複合体製品におけるDTPAを検出し、弱アルカリ性の誘導体化条件下でサンプルをFeCl3により誘導化し、誘導体化の時間が短く、誘導体化されたサンプルが8h以内に安定しており、また、弱アルカリ性の移動相を採用し、イオン対試薬を添加することなくC18クロマトカラム中に比較的に良いクロマトグラフィーピークを生成することができる。この方法は、効率的であり、安定性及び耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、DTPAの線形フィッティング標準曲線を示す。
図2図2は、LC-MS/MS法によるDTPA含有量測定の検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における第1の態様は、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS、又はLC-MS/MS)によるADCサンプル中のDTPA含有量の検出方法であって、被検物であるADCサンプルがFe3+により弱アルカリ性の誘導体化条件下で誘導化され、C18クロマトカラムが採用される同時に、弱アルカリ性移動相が採用され、イオン対試薬を加える必要がないことを特徴とする方法に関する。
【0012】
さらに、本発明における弱アルカリ性とは、7≦pH≦8を指す。
【0013】
さらに、前記Fe3+による誘導化はFeCl3を使用して誘導化することである。
【0014】
さらに、前記移動相Aは、酢酸アンモニウムと水酸化アンモニウムを含む水溶液であり、好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム(W/V)80~100mMと0.01%の水酸化アンモニウム(W/V)を含む水溶液であり、最も好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム(W/V)100mMと0.01%の水酸化アンモニウム(W/V)を含む水溶液である。
【0015】
さらに、前記移動相Bは、酢酸アンモニウムと水酸化アンモニウムを含むアセトニトリル溶液であり、好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム(W/V)80~100mMと0.01%の水酸化アンモニウム(W/V)を含むアセトニトリル溶液であり、最も好ましくは0.2%の酢酸アンモニウム(W/V)100mMと0.01%の水酸化アンモニウム(W/V)を含むアセトニトリル溶液である。
【0016】
さらに、添加されるFeCl3溶液の濃度は、約40~60μg/ml、さらに好ましくは50.0μg/mlである。
【0017】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、標準品溶液がDTPAを採用して作製される。
【0018】
さらに、前記標準品溶液は、1.0μg/mlのDTPA溶液であることが好ましい。
【0019】
さらに、前記DTPA溶液の調製及び標準曲線シリーズ溶液の調製は、
1)EP管に計量したDTPA標準品5~10mgを、0.1%の水酸化アンモニウム1mlで溶解して母液を得た後、DTPA濃度が1.0μg/mlになるまで母液を段階的に希釈するDTPA作動液の調製工程と、
2)1.0μg/mlのDTPA標準品溶液を移動相Aで、500ng/ml、400ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlのシリーズ濃度を有するDTPA標準品溶液に希釈する標準曲線シリーズ溶液の調製工程とを含む。
【0020】
前記方法は、移動相Aで1.0μg/mlのDTPA溶液を希釈して調製された、濃度が400ng/ml(HQC)、200ng/ml(MQC)、100ng/ml(LQC)のDTPA品質管理溶液を使用することをさらに含む。
【0021】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、前記液体クロマトグラには、米国アジレント社のAgilent 1200型液体クロマトグラフ、Teledyne Isco社の高圧分取液体クロマトグラフ、アジレントのHPLC 1260型高速液体クロマトグラフが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、前記タンデム質量分析計には、米国AB Sciex社のAPI 4000型タンデム質量分析計、島津のトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計、GBCのOptimass誘導結合プラズマ直交加速飛行時間型質量分析計が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、液体クロマトグラフィーには、C18カラムが採用され、YMC-C18、Agilent Extard-C18、資生堂のPAK CR-18が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明におけるいずれかの態様のいずれかの実施形態においては、いずれかの技術的特徴は、矛盾が生じない限り、他の実施形態における該当技術的特徴に適用する可能性がある。本発明で引用されるすべての文献の全内容が参照により本明細書に組み込まれるが、これらの文献に記載された意味が本発明と一致しない場合、本発明の記載に基準する。
【実施例
【0025】
実施例1 液体クロマトグラフ-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法によるDTPA含有量の測定
1)作動液の調製
【0026】
DTPA作動液の調製:5~10mgのDTPA標準品をEP管に計量し、1mlの0.1%の水酸化アンモニウムで溶解して母液を得た後、母液をDTPA濃度が1.0μg/mlになるまで段階的に希釈した。
【0027】
塩化第二鉄作動液の調製:10~20mgの塩化第二鉄をEP管に計量し、適量の水で溶解して母液を得た後、母液を塩化第二鉄の濃度が50.0μg/mlになるまで段階的に希釈した。
【0028】
標準曲線シリーズ溶液の調製:1.0μg/mlのDTPA(A1とする)標準品溶液を表2に従って移動相Aで600ng/ml、400ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlのシリーズ濃度を有するDTPA標準品溶液になるように希釈した。上記の各濃度のDTPA標準品溶液をそれぞれ200μl取り、それぞれに5μlの塩化第二鉄溶液(濃度50.0μg/ml)を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で9時間反応させた後、直接に検出を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
品質管理溶液の調製:1.0μg/mlのDTPA(A1’とし、母液から新しく希釈する必要がある)標準品溶液を表2に従って移動相Aで濃度が400ng/ml(HQC)、200ng/ml(MQC)、100ng/ml(LQC)であるDTPA品質管理溶液になるように希釈した。上記の様々な濃度のDTPA品質管理溶液をそれぞれ200μl取り、それぞれに5μlの塩化第二鉄溶液(濃度50.0μg/ml)を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で4時間反応させた後、直接に検出を行った。
【0031】
【表2】
【0032】
2)液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計による測定
被測定サンプルの処理:移動相A(0.2%の酢酸アンモニウム100mMと0.01%の水酸化アンモニウムとを含む水溶液)を希釈液とし、ADCサンプルの濃度を適切な濃度(サンプルにおけるDTPAの含有量を線形範囲にするべきであり、範囲を超えた場合には、希釈倍数を増減して再度に検出を行う必要がある)に希釈した。希釈後のサンプルを200μl取り、5μlの塩化第二鉄溶液(濃度50.0μg/ml)を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で4時間反応させた後、直接に検出を行った。
【0033】
移動相Aの調製:酢酸アンモニウム0.771gを計量し、80mlの水を加えて攪拌して溶解させた後、水を加えて100mlに定容し、GHPメンブレンでろ過し、100mMの酢酸アンモニウムを得た。100mMの酢酸アンモニウム1000μl、10%の水酸化アンモニウム500μlを正確に採取し、目盛500mlまで水を加え、GHPメンブレンでろ過し、移動相Aを得た。
【0034】
移動相Bの調製:100mMの酢酸アンモニウム1000μl、10%の水酸化アンモニウム500μlを正確に採取し、さらにアセトニトリル500mlに加え、GHPメンブレンでろ過し、移動相Bを得た。
【0035】
検出では、移動相Aと移動相Bを使用して表3に示すような濃度勾配に従って溶出を行った。
【0036】
【表3】
【0037】
3)データ処理と分
評価基準:標準曲線:r≧0.9800、定量上限及び定量下限濃度点の回収率が80.0%~120.0%の範囲にあった。
【0038】
品質管理の回収率が80.0%~120.0%の範囲にあった。各濃度の品質管理サンプルの少なくとも50%がこの範囲を満たし、また、同じ分析ロットで少なくとも4つの品質管理濃度点がこの要件を満たすことにした。
【0039】
具体的な結果は次のとおりであった。
【0040】
【表4】
【0041】
線形フィッティング後に得られた標準曲線は次のとおりであった。
Y=16058x-416744、 R2=0.9936
図1の結果によれば、R2>0.99、フィッティング性が良かったことが分かった。
【0042】
実施例2 検出方法の結果と評価
1)耐久性(安定性)
【0043】
誘導化温度による耐久性:濃度が600ng/mlのDTPA標準品溶液200μlを取り、5μlの塩化第二鉄溶液(濃度50.0μg/ml)を加え、ボルテックスで混合し、暗所で4時間反応させ、誘導化温度をそれぞれ室温、37℃及び50℃とした場合の誘導化温度の結果への影響を調査し、具体的な結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】
誘導体化時間による耐久性:濃度が600ng/mlのDTPA標準品溶液200μlを取り、5μlの塩化第二鉄溶液(濃度50.0μg/ml)を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で反応させ、それぞれ4時間、6時間、8時間誘導化し、誘導体化時間の結果への影響を調査し、具体的な結果を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
測定された溶液(精度試験用サンプル)の安定性に関する調査:DTPAが塩化第二鉄と反応して誘導化された後、サンプルトレイに0時間、4時間、8時間放置されて標準品DTPAの含有量の変化を調査した。具体的な結果を表7に示す。
【0048】
【表7】
【0049】
評価基準:濃度(相対標準偏差RSD%)≦25.0%。表5~7の実験結果から、RSD%が25.0%未満であったため、本方法によれば耐久性が強いことが分かった。
【0050】
2)再現性
装置が安定した後、標準品3溶液(DTPA濃度が200ng/mlであった)を実験方法に従って誘導化し、注入して分析を行い、6つ溶液の測定結果を評価した。結果を表8に示す。クロマトグラフィーを収集し、メインピークの含有量RSDを算出した。
【0051】
【表8】
【0052】
定量分析の分野では、再現性とは、同じ操作条件下で、同じ分析者が比較的短い時間間隔内で測定して得られた結果の精度を指す。許容される再現性の基準は、メインピークの濃度RSD≦15.0%である。本試験のRSD<15.0%であったから、本方法では、RSDが最高比率よりもはるかに小さく、再現性が良いことが分かった。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の精神を詳述した。本発明の技術的本質に従って上記の実施例に対してなされた任意の修正や、同等の変更、修飾が本発明の保護範囲内にあるものとすること、を当業者なら理解するであろう。
図1
図2
【国際調査報告】