(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ニューモリシンを標的とした抗原結合たんぱく質およびその応用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240319BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240319BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240319BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240319BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240319BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240319BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20240319BHJP
C07K 14/315 20060101ALI20240319BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240319BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240319BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K19/00 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K14/195
C07K14/315
A61P31/04
A61K39/395 R
G01N33/53 D
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558259
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2022082011
(87)【国際公開番号】W WO2022199527
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202110301731.X
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523263555
【氏名又は名称】星濟生物(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】STARMAB BIOLOGICS (SUZHOU) CO., LTD
(71)【出願人】
【識別番号】523332574
【氏名又は名称】星濟生物(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】STARMAB BIOLOGICS (SHANGHAI) CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安 毛 毛
(72)【発明者】
【氏名】郭 詩 雨
(72)【発明者】
【氏名】陳 思 敏
(72)【発明者】
【氏名】邱 熙 然
(72)【発明者】
【氏名】李 博 華
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA06
4B064CA10
4B064CA19
4B064DA03
4B065AA93
4B065AA93Y
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BA14
4C085BA41
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB50
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045BA17
4H045BA19
4H045BA56
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA52
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は単離された抗原結合たんぱく質に関わり、抗体重鎖可変領域VH内の少なくとも1つのCDRを含み、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含む。前記単離された抗原結合たんぱく質はニューモリシンたんぱく質およびその変異体に特異的に結合することができ、本出願はまた、前記単離された抗原結合たんぱく質の、肺炎連鎖球菌に感染した疾患および/または症状の予防および/または治療におけるの応用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗原結合たんぱく質であって、抗体重鎖可変領域VH内の少なくとも1つのCDRを含み、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の単離された抗原結合タンパク質において、HCDR3を含み、前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項3】
請求項1-2のいずれか1項に記載の単離された抗原結合タンパク質において、HCDR2を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項4】
請求項1-3のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、HCDR1を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項6】
請求項4-5のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR1を含み、前記H-FR1のC末端が前記HCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項7】
請求項6に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項8】
請求項4-7のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR2を含み、前記H-FR2は前記HCDR1と前記HCDR2の間に位置し、且つ前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項9】
請求項8に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項10】
請求項3-9のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR3を含み、前記H-FR3は前記HCDR2と前記HCDR3の間に位置し、且つ前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項11】
請求項10に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項12】
請求項2-11のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR4を含み、前記H-FR4のN末端が前記HCDR3のC末端と直接または間接的に結合し、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項13】
請求項12に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記H-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項14】
請求項1-13のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み、前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項16】
請求項1-15のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、下記いずれか1つの群から選ばれるH-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み:
1)前記H-FR1はSEQ ID NO: 7に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10に示されるアミノ酸配列を含み;および
2)前記H-FR1はSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項17】
請求項1-16のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、VHを含み、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項18】
請求項17に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記VHはSEQ ID NO: 22またはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項19】
請求項1-18のいずれか1項に記載の単離されたの抗原結合たんぱく質において、抗体重鎖定常領域を含む。
【請求項20】
請求項19に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記重鎖定常領域はヒトIgG定常領域から由来する。
【請求項21】
請求項19-20のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記重鎖定常領域はヒトIgG1重鎖定常領域から由来する。
【請求項22】
請求項19-21のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記重鎖定常領域はSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項23】
請求項1-22のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、重鎖を含み、前記重鎖はSEQ ID NO: 28またはSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項24】
請求項1-23のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、抗体軽鎖可変領域VL内の少なくとも1つのCDRを含み、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項25】
請求項1-24のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、LCDR3を含み、前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項26】
請求項1-25のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、LCDR2を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項27】
請求項1-26のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、LCDR1を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項28】
請求項1-27のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項29】
請求項27-28のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR1を含み、前記L-FR1のC末端が前記LCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項30】
請求項29に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項31】
請求項27-30のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR2を含み、前記L-FR2は前記LCDR1と前記LCDR2の間に位置し、且つ前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項32】
請求項31に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項33】
請求項26-32のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR3を含み、前記L-FR3は前記LCDR2と前記LCDR3の間に位置し、且つ前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項34】
請求項33に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13またはSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項35】
請求項25-34のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR4を含み、前記L-FR4のN末端が前記LCDR3のC末端と直接または間接的に結合し、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項36】
請求項1-35のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み、前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項37】
請求項1-36のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13またはSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項38】
請求項1-37のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、下記いずれか1つの群から選ばれるL-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み:
1) 前記L-FR1はSEQ ID NO: 11に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み;および
2) 前記L-FR1はSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項39】
請求項1-38のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、VLを含み、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項40】
請求項39に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記VLはSEQ ID NO: 23またはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項41】
請求項1-40のいずれか1項に記載の単離されたの抗原結合たんぱく質において、抗体軽鎖定常領域を含む。
【請求項42】
請求項41に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記軽鎖定常領域はヒトIgκ定常領域から由来する。
【請求項43】
請求項41-42のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記軽鎖定常領域はSEQ ID NO: 27に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項44】
請求項1-43のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、軽鎖を含み、前記軽鎖はSEQ ID NO: 29またはSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項45】
請求項1-44のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、下記いずれか1つの群から選ばれるVHとVLを含み:
1) 前記VHはSEQ ID NO: 22に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記VLはSEQ ID NO: 23に示されるアミノ酸配列を含み;および
2) 前記VHはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記VLはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項46】
請求項1-45のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【請求項47】
請求項1-46のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記抗原結合断片はFab、Fab’、Fv断片、F(ab’)
2、F(ab)
2、scFv、di-scFvおよび/またはdAbを含む。
【請求項48】
請求項1-47のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記抗体はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体から選ばれる1種または複数種である。
【請求項49】
請求項1-48のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、ニューモリシンたんぱく質に特異的に結合できる。
【請求項50】
請求項49に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記ニューモリシンは野生型ニューモリシンたんぱく質およびその変異体を含む。
【請求項51】
請求項49-50のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記ニューモリシンたんぱく質は、野生型ニューモリシンたんぱく質と比べ146位のアミノ酸が欠失しているニューモリシンたんぱく質変異体を含む。
【請求項52】
請求項1-51のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患及び/または症状の予防及び/または治療に利用できる。
【請求項53】
請求項52に記載の単離された抗原結合たんぱく質において、前記疾患および/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患および/または症状の合併症を含む。
【請求項54】
ポリペプチド分子において、請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質を含む。
【請求項55】
請求項54に記載のポリペプチド分子において、融合たんぱく質を含む。
【請求項56】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質を含む、免疫複合体。
【請求項57】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質または請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子をコードする、核酸分子。
【請求項58】
請求項57に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項59】
請求項57に記載の核酸分子または請求項58に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項60】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクターおよび/または請求項59に記載の細胞、および任意選択の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項61】
請求項1-53のいずれか一項記載の単離された抗原結合たんぱく質を調製する方法であって、前記抗原結合たんぱく質を発現する条件下で、請求項59に記載の細胞を培養することを含む、方法。
【請求項62】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物は、単独でまたは他の薬物と組み合わせて使用される。
【請求項63】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物の、疾患および/または症状を予防および/または治療するための薬物の製造における、応用。
【請求項64】
請求項63に記載の応用において、前記疾患および/または症状及びその合併症は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介される。
【請求項65】
請求項63-64のいずれか1項に記載の応用において、前記疾患および/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされまたは媒介される疾患および/または症状の合併症を含む。
【請求項66】
試料におけるニューモリシンたんぱく質の検出方法において、請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物を投与することを含む。
【請求項67】
試料におけるニューモリシンたんぱく質を検出する試薬キットにおいて、請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物を含む。
【請求項68】
請求項1-53のいずれか1項に記載の単離された抗原結合たんぱく質、請求項54-55のいずれか1項に記載のポリペプチド分子、請求項56に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物の、試料におけるニューモリシンたんぱく質の存在および/または含量を検出する試薬キットの製造における、応用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本出願は、生物医薬分野に関し、具体的にはニューモリシンたんぱく質(PLY)を標的とすることができる抗原結合たんぱく質、およびそれが肺炎連鎖球菌感染症の治療および予防分野における応用を提供する。
【0002】
[背景技術]
肺炎連鎖球菌は肺炎球菌とも呼ばれ、広くヒトの鼻咽頭部に定着されており、生体の抵抗力が低下する時に、肺や中枢神経系の感染を引き起こし、重症になると菌血症や敗血症を引き起こすことがある。
【0003】
溶血素(PLY)は、肺炎連鎖球菌の重要な毒性因子であり、肺炎連鎖球菌感染過程において重要な役割を果たす。PLYは、肺組織上皮、内皮、および免疫細胞を破壊し、血管透過性および肺炎連鎖球菌の定着、拡散、および侵襲を増加させ、患者の肺機能に影響を及ぼし、急性肺損傷、さらには急性呼吸窮迫症候群を形成することができる。したがって、肺炎連鎖球菌感染症に対する効果的な薬物の開発が急務となっている。
【0004】
[発明の概要]
本出願は単離された抗原結合たんぱく質を提供し、1)ニューモリシンたんぱく質およびその変異体に特異的結合でき;2)ニューモリシンたんぱく質に対して高い親和性と中和活性を有し;3)肺炎連鎖球菌によって形成される感染を効果的にブロックでき;4)肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患および/または症状を効果的に予防および/または治療できることから選ばれる1種または複数種の性質を有する。
【0005】
一方、本出願は単離された抗原結合たんぱく質を提供し、抗体重鎖可変領域VH内の少なくとも1つのCDRを含み、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0006】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR3を含み、前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR2を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR1を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR1を含み、前記H-FR1のC末端が前記HCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR2を含み、前記H-FR2は前記HCDR1と前記HCDR2の間に位置し、且つ前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR3を含み、前記H-FR3は前記HCDR2と前記HCDR3の間に位置し、且つ前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR4を含み、前記H-FR4のN末端が前記HCDR3のC末端と直接または間接的に結合し、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記H-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み、前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は下記いずれか1つの群から選ばれるH-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み:
1) 前記H-FR1はSEQ ID NO: 7に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10に示されるアミノ酸配列を含み;および
2)前記H-FR1はSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR2はSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み、前記H-FR3はSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はVHを含み、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質のVHはSEQ ID NO: 22またはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体重鎖定常領域を含む。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の重鎖定常領域はヒトIgG定常領域から由来する。
【0025】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の重鎖定常領域はヒトIgG1重鎖定常領域から由来できる。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の重鎖定常領域はSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は重鎖を含み、前記重鎖はSEQ ID NO: 28またはSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体軽鎖可変領域VL内の少なくとも1つのCDRを含み、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR3を含み、前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR2を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR1を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR1を含み、前記L-FR1のC末端が前記LCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質のL-FR1はSEQ ID NO: 11またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR2を含み、前記L-FR2は前記LCDR1とLCDR2の間に位置し、且つ前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含む。
【0036】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質のL-FR2はSEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR3を含み、前記L-FR3は前記LCDR2と前記LCDR3の間に位置し、且つ前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質のL-FR3はSEQ ID NO: 13またはSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR4を含み、前記L-FR4のN端が前記LCDR3のC端と直接または間接的に結合し、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み、前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13またはSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は下記いずれか1つの群から選ばれるL-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み:
1) 前記L-FR1はSEQ ID NO: 11に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み;および
2) 前記L-FR1はSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR2はSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み、前記L-FR3はSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0043】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はVLを含み、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の前記VLはSEQ ID NO: 23またはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体軽鎖定常領域を含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の前記軽鎖定常領域はヒトIgκ定常領域から由来する。
【0047】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質の前記軽鎖定常領域はSEQ ID NO: 27に示されるアミノ酸配列を含む。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は軽鎖を含み、前記軽鎖はSEQ ID NO: 29またはSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は下記いずれか1つの群から選ばれるVHおよびVLを含み:
1) 前記VHはSEQ ID NO: 22に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記VLはSEQ ID NO: 23に示されるアミノ酸配列を含み;および
2) 前記VHはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含み、且つ前記VLはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、前記抗原結合断片はFab、Fab’、Fv断片、F(ab’)2、F(ab)2、scFv、di-scFvおよび/またはdAbを含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、前記抗体はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体から選ばれる1種または複数種である。
【0053】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はニューモリシンたんぱく質に特異的に結合できる。
【0054】
幾つかの実施形態において、前記ニューモリシンは野生型ニューモリシンたんぱく質およびその変異体を含む。
【0055】
幾つかの実施形態において、前記ニューモリシンたんぱく質は、野生型ニューモリシンたんぱく質と比べ146位のアミノ酸が欠失しているニューモリシンたんぱく質変異体を含む。
【0056】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質は肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患及び/または症状を予防及び/または治療できる。
【0057】
幾つかの実施形態において、前記疾患および/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされる疾患および/または症状の合併症を含む。
【0058】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質を含むポリペプチド分子を提供する。
【0059】
幾つかの実施形態において、前記ポリペプチド分子は融合たんぱく質を含む。
【0060】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質を含む免疫複合体を提供する。
【0061】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質または前記ポリペプチド分子をコードする核酸分子を提供する。
【0062】
一方、本出願はさらに、前記核酸分子を含むベクターを提供する。
【0063】
一方、本出願はさらに、前記核酸分子または前記ベクターを含む細胞を提供する。
【0064】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクターおよび/または前記細胞,および任意選択の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0065】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質を調製する方法であって、前記抗原結合たんぱく質を発現する条件下で、前記細胞を培養することを含む方法を提供する。
【0066】
一方、本出願に記載の抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞および/または前記医薬組成物は、単独でまたは他の薬物と組み合わせて使用される。
【0067】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞および/または前記医薬組成物の、疾患および/または症状を予防および/または治療するための薬物の製造における応用を提供する。
【0068】
幾つかの実施形態において、前記疾患及び/または症状およびその合併症は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介される。
【0069】
幾つかの実施形態において、前記疾患および/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介される疾患および/または症状の合併症を含む。
【0070】
一方、本出願はさらに、試料におけるニューモリシンたんぱく質の検出方法であって、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞および/または前記医薬組成物を投与することを含む検出方法を提供する。
【0071】
一方、本出願はさらに、試料におけるニューモリシンたんぱく質を検出する試薬キットであって、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞および/または前記医薬組成物を含む試薬キットを提供する。
【0072】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞および/または前記医薬組成物の、試料におけるニューモリシンたんぱく質の存在および/または含量を検出する試薬キットの製造における応用を提供する。
【0073】
当業者は、以下の詳細な説明から本出願の他の態様および利点を容易に認識することができる。以下の詳細な説明では、本出願の例示的な実施形態のみを示し、説明する。当業者に理解されるように、本出願の内容により、当業者は、本出願が関連する発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された具体的な実施形態に変更を加えることができる。相応に、本出願の図面および明細書の説明は、単なる例示的なものであり、限定的なものではない。
【0074】
本出願に関連する本発明の具体的な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本出願に関連する発明の特徴および利点は、以下に詳細に説明する例示的な実施形態および添付の図面を参照することにより、よりよく理解することができる。図面に対する簡単な説明は以下のようである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】
図1は、PLYたんぱく質に対する本出願に記載の抗原結合たんぱく質の結合活性の検出を示す。
【
図2】
図2は、PLYmutたんぱく質に対する本出願に記載の抗原結合たんぱく質の結合活性の検出を示す。
【
図3】
図3は、インビトロでニューモリシンのウサギ赤血球溶血活性に対する本願の抗原結合タンパク質の中和活性を示す。
【
図4】
図4は、PLY毒素モデルマウスに対する本出願に記載の抗原結合タンパク質の保護効果を示す。
【
図5】
図5は、肺炎球菌に感染したマウスに対する本出願に記載の抗原結合タンパク質の保護効果を示す。
【0076】
[発明を実施するための形態]
以下、特定の具体的な実施例に基づき本出願の実施形態を説明する。当業者が本明細書が開示している内容により本発明の利点および効果を容易に理解できる。
【0077】
[用語定義]
本出願において、用語「ニューモリシン」は「Pneumolysin」、「PLY」および「ニューモリシンたんぱく質」と互換的に使用でき、通常、肺炎連鎖球菌に含まれる多機能毒性因子を指す。本出願において、当該用語は、野生型ニューモリシンたんぱく質およびその変異体、類似体、相同体、および機能的に活性な断片を網羅する例えば、前記ニューモリシンたんぱく質の変異体は、野生型溶血素と比較して146位のアミノ酸が欠失している変異を含み得る。例えば、前記機能的に活性な断片は、宿主において体液性および/または細胞性免疫応答を誘発することができる部分であり得る。
【0078】
本出願において、用語「単離された」は、一般に、人工的手段によって自然状態で得られたことを意味する。自然界に特定の「分離された」物質または成分が現れる場合、それが存在する自然環境が変化したか、または自然環境から物質が分離されたか、またはその両方である可能性がある。例えば、ある動物生体に、単離されていないポリヌクレオチドまたはポリペプチドが天然に存在し、この天然に存在する状態で単離された高純度の同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されたと呼ばれる。用語「単離された」は、人工または合成物質の混合物、または物質の活性に影響を与えない他の不純物質の存在を排除しない。
【0079】
本出願において、用語「単離された抗原結合たんぱく質」は、通常、天然に存在する状態から離れた、抗原結合能力を有するたんぱく質を指す。当該「単離された抗原結合たんぱく質」は、抗原結合部分、および任意選択で、抗原結合部分が抗原への結合を促進する立体構造を取ることを可能にするフレームワークまたはフレームワーク部分を含み得る。抗原結合たんぱく質は、例えば、抗体由来のたんぱく質フレームワーク領域(FR)、あるいは移植されたCDRまたはCDR誘導体を有する代替たんぱく質フレームワーク領域または人工フレームワーク領域を含み得る。このようなフレームワークには、例えば抗原結合たんぱく質の三次元構造を安定化させるために変異が導入された抗体由来のフレームワーク領域、及び例えば生体適合性ポリマーを含む完全に合成されたフレームワーク領域が含まれるが、これらに限定されない。例えばKorndorferら、2003,Proteins:Structure,Function,andBioinformatics,53(1):121-129(2003); Roqueら, Biotechnol. Prog. 20:639-654(2004)を参照する。抗原結合たんぱく質の実例として、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、単鎖抗体、二機能抗体、三機能抗体、四機能抗体、Fab、Fab’、Fv断片、Bs-Fv、F(ab’)2、F(ab)2、scFv、di-scFv、dAb、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、またはIgG4抗体およびその断片を含むが、これらに限定されない。
【0080】
本出願において、用語「CDR」は「相補性決定領域」とも呼ばれ、通常、抗体の可変ドメイン内の領域を指し、その配列が高度可変であり、および/または構造的に定義されたループを形成する。通常、抗体は6つのCDR を含み、VHに3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、VLに3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)である。幾つかの実施形態において、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下でも、その機能が正常かつ安定であり得る。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993); Sheriff et al, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照する。抗体CDRは、CCG、Kabat、AbM、Chothia、IMGT、Kabat/Chothiaの総合的な考慮など、さまざまなコーディングシステムによって決定できる。これらコーディングシステムは本分野で周知されるもので、具体的にはhttp://www.bioinf.org.uk/abs/index.html#kabatnumを参照する。例えば、前記抗原結合たんぱく質のアミノ酸配列の番号付けは、IMGT番号付けスキーム(IMGT, the international ImMunoGeneTics information system@imgt.cines.fr;http://imgt.cines.fr;Lefrancら, 1999, Nucleic Acids Res. 27: 209-212;Ruizら、2000 Nucleic Acids Res. 28: 219-221;Lefrancら、 2001, Nucleic Acids Res. 29:207-209;Lefrancら、2003, Nucleic Acids Res. 31: 307-310;Lefrancら、2005, DevComp Immunol 29: 185-203)により決定できる。例えば、前記抗原結合たんぱく質のCDRはKabat番号付けシステムにより決定できる(例えば、Kabat EA &Wu TT(1971)Ann NY AcadSci 190:382-391とKabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, FifthEdition,U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No.91-3242を参照する)。
【0081】
本出願において、用語「FR」は一般に、フレームワーク領域として知られる、抗体可変ドメインのより高度に保存された部分を指す。通常、天然重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、つまりVHに4つ(H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4)およびVLに4つ(L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4)を含む。
【0082】
本出願において、用語「可変ドメイン」と「可変領域」互換可能に使用でき、通常、抗体重鎖および/または軽鎖の一部を指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ「VH」と「VL」と称することができる(またはそれぞれ「VH」と「VL」と称する)。これらのドメインは通常、抗体の最も変化が大きい部分(同じタイプのその他の抗体に対して)であり、且つ抗原結合部位を含む。
【0083】
本出願において、用語「可変」は一般に、抗体間で可変ドメインの特定のセグメントが配列において実質的に異なる可能性があることを指す。可変ドメインは、抗原結合を媒介して、特定抗体の、その特定抗原に対する特異性を決定する。しかし、可変性は可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。通常、軽鎖および重鎖可変ドメインの超可変領域(CDRまたはHVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインにおけるより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域を含み、通常、βプリーツシート構造を採用し、環状連結を形成すると共に場合によってβプリーツシート構造の一部を形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域により非常に近い距離で保持されており、且つ他方の鎖におけるCDRと一緒に抗体の抗原結合部位の形成を促進する(Kabat et al, Sequences of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照する)。
【0084】
本出願において、用語「抗体」は通常、免疫グロブリンまたはその断片またはその誘導体を指し、インビトロまたはインビボでの産生を問わず、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを包含する。当該用語には、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異性、多重特異性、非特異性、ヒト化、単鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、変異および移植抗体が含まれるが、これらに限定されない。「無傷抗体」など、用語「無傷」によって修飾されない限り、本発明の目的のために、用語「抗体」はまた、例えば、Fab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAbなどの抗体断片、および抗原結合機能を保持する(例えば、ニューモリシンたんぱく質に特異的に結合する)他の抗体断片を含む。通常、そのような断片には抗原結合ドメインが含まれる。基本的な4本鎖抗体ユニットは2本の同じ軽(L)鎖と2本の同じ重(H)鎖により構成されるヘテロ四量体糖たんぱく質である。IgM抗体は5の基本的なヘテロ四量体ユニット及びJ鎖と呼ばれるその他のポリペプチドからなり、且つ10の抗原結合部位を含み、一方、IgA抗体はJ 鎖と結合し重合して多価集合体を形成できる2-5の基本的な4鎖ユニットを含む。IgGの場合、4本鎖ユニットは通常約150,000ダルトンである。各L鎖はジスルフィド共有結合によってH鎖に結合され、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに依存する1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各HとL鎖は規則的な間隔の鎖間ジスルフィド架橋を更に有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を持ち、α及びγ鎖に対してそれぞれ3つの定常ドメイン(CH)、μとεアイソタイプに対して4つのCHドメインが続く各L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有する。VLはVHと対応し、CLは重鎖の第1定常ドメイン(CH1)に対応する。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖可変ドメインとの間に界面が形成されると考えられる。VHとVLが対となり、1つの抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性について、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th Edition, Daniel P. Sties, Abba I. Terr and Tristram G. Parsolw (eds), Appleton & Lange, Norwalk, Conn., 1994,71ページ及び第6章を参照する。任意の脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κおよびλと呼ばれる2つの明らかに異なるタイプのうちの1つに分類することができる。免疫グロブリンは、重鎖(CH)定常ドメインのアミノ酸配列によって、異なるクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。現在、免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5種類があり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。
【0085】
本出願において、用語「抗原結合断片」は通常、抗原(例えば、ニューモリシンたんぱく質)に特異的に結合する能力を有する1つ以上の断片を指す。本出願において、前記抗原結合断片はFab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、di-scFvおよび/またはdAbを含み得る。
【0086】
本出願において、用語「Fab」は一般に抗体の抗原結合断片を指す。上述したように、パパインで無傷の抗体を消化できる。抗体がパパインで消化されてから、2つの同一の抗原結合断片、つまり「Fab」断片と残りの「Fc」断片(つまりFc領域で上記と同様)が産生される。Fab断片は、完全なL鎖及び重鎖の可変領域、並びに当該H鎖( VH )の第1定常領域( CH1)から構成され得る。
【0087】
本出願において、用語「Fab′断片」は通常、ヒトモノクローナル抗体の一価の抗原結合断片を指し、当該断片はFab断片よりわずかに大きい。例えば、Fab′断片はすべての軽鎖、すべての重鎖の可変ドメイン、および重鎖のすべてまたは一部の第1および第2の定常ドメインを含み得る。例えば、Fab′断片は重鎖の220-330のアミノ酸残基一部またはすべてを含み得る。
【0088】
本出願において、用語「F(ab')2」は通常、無傷抗体のペプシン消化によって生成される抗体断片を指す。F(ab')2断片には、ジスルフィド結合によって結合される2つのFab断片と、ヒンジ領域の一部が含まれる。F(ab')2断片は二価の抗原結合活性を有し、抗原を架橋することができる。
【0089】
本出願において、用語「Fv断片」は通常、ヒトモノクローナル抗体の一価の抗原結合断片を指し、すべてまたは一部の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、且つ重鎖定常領域および軽鎖定常領域を欠いている。重鎖可変領域と軽鎖可変領域は例えばCDRを含む。例えば、Fv断片には、重鎖および軽鎖の約110のアミノ酸のすべてまたは一部のアミノ末端可変領域が含まれる。
【0090】
本出願において、用語「scFv」は通常、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片と重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片とを含む融合たんぱく質を指し、ただし、前記軽鎖と重鎖可変領域は(例えば、短い可撓性ポリペプチドリンカーなど合成されたリンカーを介して)隣接しており、単鎖ポリペプチドとして発現することができ、且つ前記scFvは、それが由来する無傷の抗体の特異性を保持する。特に断りのない限り、本明細書で使用されるように、scFvは、任意の順序で(例えば、ポリペプチドのN末端及びC末端に対して)前記VL及びVH可変領域を有してもよく、scFvは、VL-リンカー-VHを含んでもよく、またはVH-リンカー-VLを含んでもよい。
【0091】
本出願において、用語「dAb」は通常、VHドメイン、VLドメインを有し、またはVHドメインあるいはVLドメインを有する抗原結合断片であり、例えばWardら(Nature,1989Oct 12;341(6242):544-6)、Holtら,Trends Biotechnol.,2003,21(11):484-490;および例えばWO 06/030220、WO 06/003388およびDomantisLtdの他の開示された特許出願を参照する。用語「dAb」は通常sdAbを含む。用語「sdAb」は通常単一ドメイン抗体を指す。単一ドメイン抗体は通常、抗体重鎖可変領域(VHドメイン)または抗体軽鎖可変領域(VL)のみからなる抗体断片を指す。
【0092】
本出願において、用語「モノクローナル抗体」は通常、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。一般的に、モノクローナル抗体は単一の抗原部位に対して高度の特異性を有する。且つ、通常のポリクローナル抗体製剤(普通、異なる決定基に対応する異なる抗体を有する)とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原における単一の決定基に対応する。これらの特異性の他に、モノクローナル抗体の優位性は、ハイブリドーマの培養によって合成でき、その他の免疫グロブリンに汚染されないことである。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団により得られた抗体の特徴を示し、任意の特定方法による抗体の産生を要請すると解釈するものではない。例えば、本出願で使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞内で産生することができ、または組換えDNA法によって産生することができる。
【0093】
本出願において、用語「キメラ抗体」は、一般に、その可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体を指す。通常、可変領域はげっ歯類などの実験動物の抗体(「親抗体」)に由来し、定常領域はヒト抗体に由来し、故に得られるキメラ抗体が親抗体と比べ、ヒト個体において有害免疫応答を誘発する可能性が低下する。
【0094】
本出願において、用語「ヒト化抗体」は通常、非ヒト抗体のCDR領域以外のアミノ酸の一部または全部が、ヒト免疫グロブリンに由来する対応のアミノ酸で置換された抗体を指す。CDR 領域では、特定の抗原に結合する抗体の能力を保持している限り、アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換または修飾も許容されるヒト化抗体は任意選択で、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含む。「ヒト化抗体」は、元の抗体と類似する抗原特異性を保持する。非ヒト抗体の「ヒト化」形式は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を最低限に含むキメラ抗体であり得る。場合によって、ヒト免疫グロブリン(受容体抗体)のCDR領域残基を、望ましい特性、親和性、および/または能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えばアルパカ、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類動物)のCDR領域の残基で置換することができる。場合によって、ヒト免疫グロブリンのFR領域残基は、対応する非ヒト残基で置換することができる。さらに、ヒト化抗体は、受容体抗体またはドナー抗体には存在しないアミノ酸修飾を含むことができる。これらの修飾は、結合親和性などの抗体の性能をさらに改善するために行うことができる。
【0095】
用語「完全ヒト化抗体」は通常ヒト免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。マウス、マウス細胞、またはマウス細胞由来のハイブリドーマで産生される場合、完全ヒト化抗体はマウス糖鎖を含むことがある。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれマウスまたはラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、ヒトにおいて、ヒト免疫グロブリン生殖系列配列を有するトランスジェニック動物において、ファージディスプレイまたはその他の分子生物学的方法によって作製され得る。抗体を作製するために使用できる例示的な技術は、米国特許6,150,584、6,458,592、6,420,140に記載されている。ライブラリを使用するなど、他の技術は当技術分野で周知されている。
【0096】
本出願において、用語「ポリペプチド分子」、「ポリペプチド」、「ペプチド」は互換可能に使用でき、一般にアミノ酸残基のポリマーを指す。用語「融合たんぱく質」は、一般に、共有結合した少なくとも2つの部分を有するポリペプチドを指す。その各部分は異なる特性を持つポリペプチドであり得る。この特性は、インビトロ活性またはインビボ活性などの生物学的特性であり得る。この特性は、例えば標的分子への結合、反応の触媒作用などの単純な化学的または物理的特性でもあり得る。これら2つの部分は、単一のペプチド結合またはペプチドリンカーによって結合できる。
【0097】
本出願において、用語「核酸分子」は通常、単離された形態の任意の長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、あるいは自然環境から単離されたか人工合成された類似体を指す。
【0098】
本出願において、用語「ベクター」は通常、あるたんぱく質をコードするポリヌクレオチドを挿入し、たんぱく質を発現させることができる核酸送達ツールを指す。ベクターは、宿主細胞を形質転換、形質導入、またはトランスフェクトすることにより、それが担持する遺伝物質エレメントを宿主細胞内で発現させることができる。例示すると、ベクターには、プラスミド;ファージミド;コスミド;例えば酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)又はP1由来の人工染色体(PAC)のような人工染色体;例えばλファージ又はM13ファージのようなファージ、及び動物ウイルス等が含まれる。ベクターとして用いられる動物ウイルスの種類には、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス(例えばSV40)がある。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素及びレポーター遺伝子が含まれる発現を制御する複数の要素を含み得る。また、ベクターは、複製開始部位を含んでいてもよい。ベクターは、例えばウイルス粒子、リポソーム又はタンパク膜のような細胞への進入を助ける成分を更に含む可能性があるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
本出願において、用語「細胞」は、一般に、本発明に記載の核酸分子または本発明に記載のベクターを含む、被験者のプラスミドまたはベクターのレシピエントであり得る、またはすでにであった単一細胞、細胞株または細胞培養物を指す。細胞は、単一細胞の子孫を含み得る。自然、偶発的、または意図的な突然変異により、子孫は元の親細胞と(全DNA相補体の形態またはゲノムのいずれかにおいて)必ずしも完全に同一であるとは限らない。細胞は、インビトロで、本出願のベクターでトランスフェクトさせた細胞を含み得る。細胞は、細菌細胞(例えば大腸菌)、酵母細胞、またはCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞など、他の真核細胞であり得る。
【0100】
本出願において、用語「免疫複合体」は、一般に、前記他の試薬(例えば、化学療法剤、放射性元素、細胞増殖抑制剤および細胞毒性剤)が前記抗体又はその抗原結合断片と(例えば、結合分子によって共有結合する)コンジュゲートして形成された複合体を指し、当該複合体は、前記抗体又はその抗原結合断片を標的細胞上の抗原に特異的に結合させることにより、前記他の試薬を標的細胞に送達することができる。
【0101】
本出願において、用語「医薬組成物」は通常、疾患または症状を予防/治療するための組成物を指す。前記医薬組成物は、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクターおよび/または本出願に記載の細胞、および任意選択の薬学的に許容されるアジュバントを含み得る。また、前記医薬組成物はさらに1種または複数種の(薬学的に有効な)担体、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤および/または防腐剤の適切な製剤を含んでもよい。好ましくは、組成物の許容される成分は、使用される用量および濃度において受容者に対して無毒である。本発明の医薬組成物は液体組成物、凍結組成物、および凍結乾燥組成物を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本出願において、用語「薬学的に許容される担体」は、一般に、使用される用量および濃度において、曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒である薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。生理学的に許容される担体には、例えば、緩衝剤、抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、たんぱく質、親水性ポリマー、アミノ酸、単糖類、二糖類および他の炭水化物、キレート剤、糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオンおよび/または非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0103】
本出願において、用語「特異的に結合する」または「特異的」は、一般に、標的と抗体との結合などの測定可能で再現性のある相互作用を指し、生体分子を含む分子の不均質集団の存在下で標的の存在を決定できる。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い期間、その標的に結合する抗体であり得る。幾つかの実施形態において、抗体は、異なる種のたんぱく質間で保存されているたんぱく質上のエピトープに特異的に結合する。幾つかの実施形態において、特異的結合は、排他的結合を含み得るが、これは必須ではない。この用語は、例えば、抗原結合タンパク質が、複数の抗原と交差反応する特定のエピトープに特異的であり、特異的な抗体が、交差反応するエピトープを有する複数の抗原に結合することができる場合にも適用可能である。このような抗原結合タンパク質の結合部位、及び/又は交差反応性エピトープに特異的に結合する抗原結合タンパク質は、それぞれ、多重特異性結合部位又は交差特異性結合部位の抗原結合タンパク質とも呼ばれる。例えば、抗原結合タンパク質は、複数の異なる抗原と交差反応するエピトープに特異的に結合する多重特異性結合部位を有し得る。
【0104】
本出願において、用語「被験者」は一般に、ヒト、または猫、犬、馬、豚、牛、羊、ウサギ、マウス、ラット、またはサルを含むがこれらに限定されない非ヒト動物を指す。
【0105】
本出願において、係るたんぱく質、ポリペプチドおよび/またはアミノ酸配列は、少なくとも当該たんぱく質またはポリペプチドと同じまたは類似の機能を有する変異体または相同体を含むものと理解されるべきである。
【0106】
本出願において、前記変異体は、例えば、前記たんぱく質および/または前記ポリペプチド(例えば、ニューモリシンたんぱく質に特異的に結合する抗体またはその断片)のアミノ酸配列において、1つまたは複数のアミノ酸が置換、欠失、または付加されることによって得られるたんぱく質またはポリペプチドであり得る。例えば、前記機能的変異体は、少なくとも1、例えば1-30、1-20または1-10、更に例えば1、2、3、4または5のアミノ酸の置換、欠失および/または插入によってアミノ酸改変を有するたんぱく質またはポリペプチドを含み得る。前記機能的変異体は、改変(例えば、置換、欠失、または付加)前の前記たんぱく質または前記ポリペプチドの生物学的特性を実質的に保持できる。例えば、前記機能的変異体は改変前の前記たんぱく質または前記ポリペプチドの少なくとも60%、70%、80%、90%、または100%の生物学的活性(例えば抗原結合能力)を保持できる。例えば、前記置換は保存的置換であり得る。
【0107】
本出願において、前記相同体は前記たんぱく質および/または前記ポリペプチド(例えば、ニューモリシンたんぱく質に特異的に結合する抗体またはその断片)のアミノ酸配列と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または更に高い)の配列相同性を有するたんぱく質またはポリペプチドであり得る。
【0108】
本出願において、前記相同性は通常、2つ以上の配列間の近似性、類似性、または関連性を指す。「配列相同性パーセント」の計算方法として、比較ウィンドウ内でアラインメントされる2つの配列を比較し、同じ核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I )または同じアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet )が両方の配列に存在する位置の数を決定することにより、一致する位置の数を得、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の全位置の数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を乗算して、配列相同性パーセントを算出する。配列相同性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用するなど、当技術分野で知られている様々な方法で実現することができる。当業者は、比較される配列の全長または標的配列の領域内で最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントする適切なパラメータを決定することができる。前記相同性はFASTAとBLASTにより測定してもよい。FASTAアルゴリズムの説明は、W.R.PearsonとD.JLipmanの「生物学的配列比較のための改善されたツール」米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.),85:2444-2448,1988;およびD.JLipmanとW.R.Pearson的「迅速かつ高感度のたんぱく質類似性検索」,Science,227:1435-1441,1989を参照する。BLASTアルゴリズムの説明は、S.Altschul、W.Gish、W.Miller、E.W.MyersとD.Lipmanの「基本的な局所アライメント検索ツール」、分子生物学ジャーナル215:403-410,1990を参照する。
【0109】
本出願において、用語「含む」は通常、「備える」、「含有」「包含」を意味する。場合によって、「である」、「からなる」を意味する。
【0110】
本出願において、用語「約」一般に、指定値の上下0.5%-10%の範囲で変化することを意味、例えば指定値の上下0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%の範囲で変化する。
【0111】
[発明の詳細な説明]
単離された抗原結合たんぱく質
抗体のCDRは相補性決定領域とも称し、可変領域の一部である。当該領域のアミノ酸残基は、抗原または抗原のエピトープと接触することがある。抗体CDRは、CCG、Kabat、Chothia、IMGT、AbM、Kabat/Chothiaの総合的な考慮など、さまざまなコーディング システムによって決定できる。これらコーディングシステムは本分野で周知されるもので、具体的にはhttp://www.bioinf.org.uk/abs/index.html#kabatnumを参照する。当業者は、抗体の配列および構造により、異なるコーディングシステムを使用して、CDR領域を決定することができる。コーディングシステムにより、CDR領域は異なることがある。本出願において、CDRは、任意のCDR分割方法に従って分割されたCDR配列を包含し;また、1つ以上のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加された前記CDRのアミノ酸配列の変異体も包含される。例えば1-30、1-20または1-10,さらに例えば1、2、3、4、5、6、7、8または9のアミノ酸が置換、欠失および/または插入され;さらにその相同体も含み、前記相同体は前記CDRのアミノ酸配列と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または更に高い)の配列相同性を有するアミノ酸配列であり得る。本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はIMGTにより定義できる。
【0112】
一方、本出願は単離された抗原結合たんぱく質を提供し、抗体重鎖可変領域VH内の少なくとも1つのCDRを含み得、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VHはSEQ ID NO: 22またはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含み得る。本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のHCDRは任意方法で分割でき、VHがSEQ ID NO: 39のいずれか1項に示されるアミノ酸配列と同一であれば、任意方法で分割して得られたHCDRも本出願の保護範囲にある。
【0113】
例えば、表1に示される方法でSEQ ID NO: 22またはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を分割し、本出願による単離された抗原結合たんぱく質は下記表に示されるCDRを含み得る。
【0114】
【0115】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR3を含み得、前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0116】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR2を含み得、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0117】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR1を含み得、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0118】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み得、前記HCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み得、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み得、且つHCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0119】
幾つかの実施形態において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR1を含み得、前記H-FR1のC末端が前記HCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0120】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のH-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0121】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR2を含み得、前記H-FR2は前記HCDR1と前記HCDR2の間に位置し、且つ前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0122】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のH-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0123】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR3を含み得、前記H-FR3は前記HCDR2と前記HCDR3の間に位置し、且つ前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0124】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のH-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0125】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR4を含み得、前記H-FR4のN末端が前記HCDR3のC末端と結合し、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【0126】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のH-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0127】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はH-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み得、前記H-FR1はSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR2はSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR3はSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8またはSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9またはSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10またはSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記H-FR1はSEQ ID NO: 7に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR2はSEQ ID NO: 8に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR3はSEQ ID NO: 9に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 10に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記H-FR1はSEQ ID NO: 15に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR2はSEQ ID NO: 16に示されるアミノ酸配列を含み得、前記H-FR3はSEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記H-FR4はSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0128】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はHCDR1、HCDR2、HCDR3、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質のHCDR1、HCDR2、HCDR3、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4はそれぞれ順次SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質のHCDR1、HCDR2、HCDR3、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4はそれぞれ順次SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17およびSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0129】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はVHを含み得、前記VHはSEQ ID NO: 39に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VHはSEQ ID NO: 22のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VHはSEQ ID NO: 24のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0130】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体重鎖定常領域を含み得る。例えば、前記抗体重鎖定常領域は、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEを含む任意の免疫グロブリンの重鎖定常領域から由来することができる。例えば、前記抗体重鎖定常領域はヒトIgG重鎖定常領域から由来できる。本出願において、前記免疫グロブリンの重鎖定常領域はその変異体を含み得る。本出願において、前記抗体重鎖定常領域はヒトIgG1-4のいずれかの重鎖定常領域から由来できる。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質はヒトIgG1重鎖定常領域から由来できる。例えば、前記重鎖定常領域はSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0131】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は重鎖を含み得る。例えば、前記重鎖はSEQ ID NO: 28に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記重鎖はSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0132】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体軽鎖可変領域VL内の少なくとも1つのCDRをよい含み得、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VLはSEQ ID NO: 23またはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含み得る。本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質のLCDRは任意方法で分割でき、VLがSEQ ID NO: 40のいずれか1項に示されるアミノ酸配列と同一であれば、任意方法で分割して得られたLCDRも本出願の保護範囲にある。
【0133】
例えば、表2に示される方法でSEQ ID NO: 23またはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を分割し、本出願による単離された抗原結合たんぱく質は下記表に示されるCDRを含み得る。
【0134】
【0135】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR3を含み得、前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0136】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR2を含み得、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0137】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR1を含み得、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0138】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み得、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み得、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0139】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR1を含み得、前記L-FR1のC末端が前記LCDR1のN末端と直接または間接的に結合し、且つ前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR1はSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0140】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR2を含み得、前記L-FR2は前記LCDR1とLCDR2の間に位置し、且つ前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR2はSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0141】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR3を含み得、前記L-FR3は前記LCDR2と前記LCDR3の間に位置し、且つ前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR3はSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0142】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR4を含み得、前記L-FR4のN末端が前記LCDR3のC末端と結合し、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0143】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はL-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み得、前記L-FR1はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR2はSEQ ID NO: 37に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR3はSEQ ID NO: 38に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12またはSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13またはSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR1はSEQ ID NO: 11に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR2はSEQ ID NO: 12に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR3はSEQ ID NO: 13に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記L-FR1はSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR2はSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸配列を含み得、前記L-FR3はSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記L-FR4はSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0144】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はLCDR1、LCDR2、LCDR3、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質のLCDR1、LCDR2、LCDR3、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4はそれぞれ順次SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13およびSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質のLCDR1、LCDR2、LCDR3、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4はそれぞれ順次SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21およびSEQ ID NO: 14に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0145】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はVLを含み得、前記VLはSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VLはSEQ ID NO: 23に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VLはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0146】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体軽鎖定常領域を含み得る。例えば、前記軽鎖定常領域はヒト抗体軽鎖定常領域から由来できる。例えば、前記軽鎖定常領域はヒトIgκ定常領域から由来できる。例えば、前記軽鎖定常領域はSEQ ID NO: 27に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0147】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は軽鎖を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質の軽鎖はSEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質の軽鎖はSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0148】
本出願において、前記単離された抗原結合タンパク質はHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み得る。例えば、前記単離された抗原結合たんぱく質のHCDR1はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み得、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み得、前記HCDR3はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含み得、前記LCDR1はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み得、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0149】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はVHとVLを含み得る。例えば、前記VHはSEQ ID NO: 22に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記VLはSEQ ID NO: 23に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記VHはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含み得、且つ前記VLはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0150】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は抗体またはその抗原結合断片を含み得る。本出願において、前記抗原結合断片はFab、Fab’、Fv断片、F(ab’)2、F(ab)2、scFv、di-scFvおよび/またはdAbを含み得る。本出願において、前記抗体はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および/または完全ヒト化抗体を含み得る。例えば、前記ヒト化抗原結合タンパク質のVHはSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記ヒト化抗原結合タンパク質のVLはSEQ ID NO: 25に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0151】
なお、本出願に記載される単離された抗原結合たんぱく質は、1つまたは複数の保存的配列修飾を有する重鎖および/または軽鎖配列を含み得る。「保存的配列修飾」とは、顕著に抗体の結合特性に影響または変化を与えないアミノ酸修飾を指す。このような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加および欠失を含む。本分野で既知の標準技術によって、例えば部位特異的変異やPCRを介する誘導変異により、修飾を本発明の抗体に導入してもよい。保存的なアミノ酸の置換は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基でアミノ酸残基を置き換える置換である。本分野では、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーがすでに周知されているこれらのファミリーは、アルカリ性側鎖を含有するアミノ酸(たとえば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(たとえばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(たとえばチロシン、 フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。幾つかの実施形態において、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質のCDR領域における1つまたは複数のアミノ酸残基は、ほかの同じ側鎖ファミリーのアミノ酸残基で置き換えることができる。当業者に周知されるように、いくつかの保存的配列修飾が抗原結合を破壊することはない。例えば、Brummell et al., (1993) Biochem 32:1180-8; de Wildt et al., (1997) Prot. Eng. 10:835-41; Komissarov et al., (1997) J. Biol. Chem. 272:26864-26870; Hall et al., (1992) J. Immunol. 149:1605-12; Kelley and O'Connell (1993) Biochem.32:6862-35; Adib-Conquy et al., (1998) Int. Immunol.10:341-6 and Beers et al., (2000)Clin. Can. Res. 6:2835-43を参照する。
【0152】
本願において、ニューモリシン変異体を用いてマウスを免疫化し、得られたマウス脾細胞を骨髄腫細胞と融合させてニューモリシンタンパク質抗原親和性を有する抗原結合タンパク質をスクリーニングすることができる。本出願において、スクリーニングされた抗原結合タンパク質の翻訳後修飾部位を最適化して、ヒト化配列を取得することもできる。
【0153】
本明細書に記載のニューモリシン抗原結合たんぱく質は、当技術分野で知られている様々な検出方法によって同定、スクリーニング、または特性づけることができる。
【0154】
例えば、本出願の抗原結合たんぱく質の抗原結合活性は、酵素結合免疫吸着測定法( ELISA )、イムノブロット(例えば、ウェスタンブロット)、フローサイトメトリー(例えば、FACS )、免疫組織化学、免疫蛍光などの公知の方法によって試験することができる。
【0155】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はニューモリシンに特異的に結合できる。本出願において、前記ニューモリシンは野生型ニューモリシンおよびその変異体を含み得る。本出願において、前記ニューモリシンの変異体は野生型ニューモリシンと比べ、146のアミノ酸が欠失している。本出願において、野生型ニューモリシンのアミノ酸配列はUniprotデータベース(Entry ID:Q04IN8)により確定できる。
【0156】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質とニューモリシンとの結合はELISA法により検出できる。例えば、本出願に記載の抗原結合たんぱく質は約0.03μg/ml以下、約0.028μg/ml以下、約0.026μg/ml以下、約0.024μg/ml以下、約0.022μg/ml以下、約0.02034μg/ml以下、約0.020μg/ml以下、約0.018μg/ml以下、約0.01706μg/ml以下、約0.016μg/ml以下、約0.014μg/ml以下、約0.012μg/ml以下、約0.010μg/ml以下のEC50値でニューモリシンたんぱく質と結合できる。
【0157】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質はニューモリシンたんぱく質の生物学的活性を中和できる。例えば、組換えニューモリシンを本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質と混合し、ウサギ赤血球を加え、前記抗原結合たんぱく質の抗溶血活性を検出した。
【0158】
本出願において、前記単離された抗原結合たんぱく質は、疾患及び/または症状を予防及び/または治療できる。本出願において、前記疾患及び/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介できる。本出願において、前記疾患及び/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介される疾患及び/または症状の合併症を含み得る。例えば、前記疾患および/または症状は敗血症および/または菌血症を含み得る。
【0159】
ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫複合体および医薬組成物
一方、本出願は、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質を含み得るポリペプチド分子を提供する。
【0160】
本出願において、前記ポリペプチド分子は融合たんぱく質を含み得る。本出願において、前記ポリペプチド分子は融合たんぱく質であり得る。本出願において、前記融合たんぱく質は多重特異性抗体を含み得る。
【0161】
一方、本出願は、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質をコードすることができる、単離された核酸分子を提供する。例えば、それが、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、インビトロで増幅された、(ii)例えばクローニングによって、遺伝子組換えで生成された、(iii)例えば酵素開裂とゲル電気泳動分画によって精製された、または(iv)例えば化学的合成などの合成によって産生または合成されたものである。
【0162】
一方、本出願は、本出願に記載の核酸分子を含み得るベクターを提供する。また、前記ベクターは、例えば適切な宿主細胞において適切な条件下で当該ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子などの他の遺伝子も含み得る。さらに、前記ベクターは、適切な宿主においてコード領域の適切な発現を可能にする発現制御要素も含み得る。このような制御要素は当業者に周知であり、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、および遺伝子転写またはmRNA翻訳などを調節する他の制御要素が含まれ得る。前記ベクターは、宿主細胞を形質転換、形質導入、またはトランスフェクトすることにより、それが担持する遺伝物質エレメントを宿主細胞内で発現させることができる。前記ベクターには、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、または例えば遺伝子工学において一般的に使用される他のベクターが含まれ得る。例えば、前記ベクターは発現ベクターである。また、前記ベクターは、例えばウイルス粒子、リポソーム又はタンパク膜のような細胞への進入を助ける成分を更に含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0163】
一方、本出願は、本出願に記載の核酸分子または本出願に記載のベクターを含み得る細胞を提供する。幾つかの実施形態において、各種またはそれぞれの宿主細胞は1つまたは1種の本出願に記載の核酸分子またはベクターを含み得る。幾つかの実施形態において、各種またはそれぞれの宿主細胞は複数(例えば2つ以上)または複数種(例えば2種以上)の本出願に記載の核酸分子またはベクターを含み得る。例えば、本出願に記載のベクターを、例えば、植物から由来する細胞、真菌または酵母細胞などの真核細胞など、前記宿主細胞に導入することができる。幾つかの実施形態において、前記細胞は細菌細胞(例えば大腸菌)、酵母細胞、またはCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、293T細胞、COS-1細胞、SP2/0細胞、NS0細胞または骨髄腫細胞など、他の真核細胞であり得る。例えばエレクトロポレーション法、lipofectineトランスフェクト、lipofectaminトランスフェクト等、本領域で周知の方法で、本出願に記載のベクターを前記宿主細胞に導入することができる。
【0164】
一方、本出願は、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質を含み得る免疫複合体を提供する。
【0165】
幾つかの実施形態において、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質またはその断片を、化学療法剤、毒素、免疫療法剤、イメージングプローブ、分光プローブなどの別の薬剤に結合させることができる。当該結合は、1 つまたは複数の共有結合または非共有結合による相互作用を介することができ、キレート化を含むことができる。当分野で知られている様々なリンカーを使用して、免疫複合体を形成することができる。さらに、免疫複合体は、免疫複合体をコードするポリヌクレオチドによって発現され得る融合たんぱく質の形態で提供することができる。前記免疫複合体はさらに例えば抗体-薬物複合体(ADC)を含むこともできる。ADC において、抗体と治療剤は、ペプチドリンカー、ジスルフィドリンカー、またはヒドラゾンリンカーなどを切断可能なリンカーによって架橋できる。
【0166】
一方、本出願はさらに、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質、本出願に記載のポリペプチド分子、本出願に記載の免疫複合体、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクターおよび/または本出願に記載の細胞、および任意選択の薬学的に許容される担体を含み得る医薬組成物を提供する。
【0167】
幾つかの実施形態において、前記医薬組成物はさらに1種または複数種の(薬学的に有効な)アジュバント、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤および/または防腐剤の適切な製剤を含んでもよい。好ましくは、組成物の許容される成分は、使用される用量および濃度において受容者に対して無毒である。本発明の医薬組成物は液体組成物、凍結組成物、および凍結乾燥組成物を含むが、これらに限定されない。
【0168】
幾つかの実施形態において、前記医薬組成物は2つ以上の活性化合物を含み得、前記活性化合物は一般に、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有する活性化合物である。このような薬物の種類および有効量は、例えば、製剤に存在する拮抗剤の量および種類、ならびに被験者の臨床パラメータに依存できる。
【0169】
幾つかの実施形態において、前記薬学的に許容される担体には、薬物投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、等張化剤および吸収遅延剤が含まれ、一般に安全で無毒である。
【0170】
幾つかの実施形態において、前記医薬組成物は、非経口、経皮、腔内、動脈内、髄腔内および/または鼻腔内投与、または組織への直接注射を含み得る。例えば、前記医薬組成物は、注入または注射によって患者または被験者に投与することができる。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物の投与は、例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所または皮内など、様々な方法で行うことができる幾つかの実施形態において、前記医薬組成物は中断することなく投与することができる。中断のない(または連続的な)投与は、例えばWO2015/036583に記載されているように、患者に装着される小型ポンプシステムにより実現され、患者の体内に流入する治療剤を測定することができる。
【0171】
調製方法
一方、本出願は、前記単離された抗原結合たんぱく質を調製する方法を提供する。前記方法は、前記抗原結合たんぱく質を発現する条件下で、本出願に記載の宿主細胞を培養することを含む。例えば、当業者に周知される適切な培地、適切な温度および適切な培養時間などの方法を利用できる。
【0172】
モノクローナル抗体を産生するのに適するいかなる方法を、本出願の抗原結合たんぱく質を産生するために使用することができる。例えば、ニューモリシンの弱毒株またはその断片で動物を免疫化することができる。例えば、前記肺炎連鎖球菌弱毒株は、野生型と比べ146位が欠失している変異を含み得る。アジュバント、免疫刺激剤、免疫強化のための反復接種を含む適切な免疫接種方法を使用することができ、1つまたは2つ以上の方法を使用することができる。
【0173】
任意適切な形態のニューモリシンも免疫原(抗原)として、ニューモリシンに特異的な非ヒト抗体を産生し、抗体の生物学的活性をスクリーニングするために使用することができる。例えば、誘発免疫原は、天然のホモ二量体、または単一/複数のエピトープ含有ペプチドを含む全長ニューモリシンであり得る。免疫原は、単独で使用することもできるし、当分野で公知の1種または複数種の免疫原性増強剤と組み合わせて使用することもできる。
【0174】
方法および応用
一方、本出願は前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物の、疾患および/または症状を予防および/または治療するための薬物の製造における応用を提供する。
【0175】
一方、本出願はさらに、必要とする被験者に本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物を投与することを含む、疾患および/または症状を予防および/または治療する方法を提供する。
【0176】
本出願において、前記投与は、例えば静脈内、腫瘍内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所または皮内など、様々な方法で行うことができる。
【0177】
一方、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物は、疾患および/または症状の予防および/または治療に使用できる。
【0178】
本出願において、前記疾患及び/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介できる。
【0179】
本出願において、前記疾患及び/または症状は肺炎連鎖球菌により引き起こされ、または媒介される疾患及び/または症状の合併症であり得る。
【0180】
本出願において、前記疾患及び/または症状には、細菌感染症が含まれる。
【0181】
本出願において、前記疾患及び/または症状は菌血症および/または敗血症を含み得る。
【0182】
本出願において、疾患および/または症状を予防および/または治療するために、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物は、単独でまたは他の薬物と組み合わせて使用できる。幾つかの実施形態において、前記他の薬物は抗菌作用を有する現在知られている任意の薬物であり得る。前記疾患及び/または症状は肺炎連鎖球菌感染または他の感染により引き起こされる関連疾患であり得る。
【0183】
一方、本出願はさらに、試料におけるニューモリシンの検出方法であって、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物を投与することを含む検出方法を提供する。
【0184】
本出願において、前記試料におけるニューモリシンの検出方法はインビトロ方法であり得る。例えば、本出願に記載の単離された抗原結合たんぱく質をエクスビボ試料と接触させ、試料におけるニューモリシンの存在および/または含量を検出する。幾つかの実施形態において、前記試料におけるニューモリシンの検出方法は治療目的ではない。幾つかの実施形態において、前記試料におけるニューモリシンの検出方法は診断方法ではない。
【0185】
一方、本出願はさらに、試料におけるニューモリシンを検出する試薬または試薬キットであって、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物を含む試薬または試薬キットを提供する。
【0186】
一方、本出願はさらに、前記単離された抗原結合たんぱく質、前記ポリペプチド分子、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記免疫複合体および/または前記医薬組成物の、試料におけるニューモリシンの存在および/または含量を検出する試薬キットの製造における応用を提供する。
【0187】
以下の実施例は、理論に限定されるものではなく、単に本出願の抗原結合たんぱく質、その調製方法及び応用等を説明するためのものであり、本出願の発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0188】
実施例1 ニューモリシン(PLY)組換えたんぱく質の発現
Uniprotデータベースを用いてニューモリシン( PLY,Entry ID:Q04IN8)のアミノ酸配列を決定し、溶血素の全長アミノ酸配列から146番目のアラニンを欠失させて弱毒化PLY mutのアミノ酸とし、アミノ酸配列をテンプレートとしてNdeI/XhoIの切断部位を限定し、C末端にHisタグを導入し、北京●科生物科技有限公司(Tsingke Biotechnology Co., Ltd.)(●は、「敬」の下に「手」)によるコドン最適化および遺伝子合成を行い、PLY、PLY mutタンパク質のプラスミドを得た。組換えプラスミドを大腸菌E.coli BL21(DE3)plysSに形質転換し、大腸菌発現系でPLYおよびPLY mut組換えタンパク質を組換え発現させた。
【0189】
実施例2 PLY mut 抗原による Balb/C マウスの免疫化
調製したPLY mutタンパク質を用いて、5匹のBalb/Cマウスを皮下多点免疫法により免疫化し、皮下多点免疫のプロセスは以下のようである。
【0190】
【0191】
実施例3 免疫マウスの脾細胞と骨髄腫細胞の融合、およびPLYmut抗原親和性を有する抗原結合タンパク質のスクリーニング
PEG法により骨髄腫細胞P3X63Ag8.653を、PLY mut抗原に対して免疫のあるマウス脾臓細胞と融合させた。融合したハイブリドーマ細胞を96ウェルプレートに播種し、培養した。その後HAT培地とHT培地によりハイブリドーマ細胞培養を行った。96ウェルプレートの細胞上清がわずかに黄色になったら、細胞培養上清100μlを採取し、ELISA法を用いてPLY mut抗原に結合する能力を有するハイブリドーマクローン細胞をスクリーニングした。親和性が比較的に強いハイブリドーマ親クローン細胞をさらに培養した後、限界希釈法によりサブクローニングし、モノクローナル細胞を選択した。モノクローナル上清をELISAにより、PLYmutタンパク質に対して強い親和性を有する分泌抗体の2E5モノクローナル細胞を選別し、分泌されたモノクローナル抗体をm2E5と命名した。
【0192】
実施例4 特異的マウス抗原結合タンパク質の配列の取得
RNAfast200キット(上海飛捷生物技術有限公司、Shanghai Feijie Biotechnology Co., Ltd.)を使用して、1×106の抗PLY mut抗体を分泌する2E5モノクローナル細胞の全RNAを抽出した。逆転写キット(Takara)を使用して、全RNAをcDNAに逆転写した。プライマーを用いてcDNA断片( Anke Krebber.1997)を増幅し、DNA産物精製キット(北京天根生化科技有限公司 )を用いてPCR産物を精製し、ライゲーションキット(北京●科生物科技有限公司)(●は、「敬」の下に「手」)を用いてTベクターにライゲーションし、コンピテント細胞に形質転換し、北京●科生物科技有限公司(●は、「敬」の下に「手」)による配列測定を行い、マウスモノクローナル抗体m2E5の重鎖可変領域( m2E5VH )及び軽鎖可変領域( m2E5VL )の配列測定結果は以下のとおりであった。
【0193】
m2E5重鎖可変領域(m2E5VH) SEQ ID NO: 22
EVKVEESGGGSVQPGGSMKLSCVASGYTFGDNWMNWVRQSPEKGLEWVAEIRLKSNNYATRYAESVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNNLRTEDTGIYYCTRTQFITSVVAPFDFWGQGTTLTVSS
m2E5軽鎖可変領域(m2E5VL) SEQ ID NO: 23
DIVMSQSPSSLGVSVGEKITMSCKSSQSLLYSRNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYRYPLTFGGGTKVEIK
ただし、下線部分は、IMGT番号付けスキームを使用して分割されたCDR配列を示す。
【0194】
実施例5 抗PLYマウス抗原結合たんぱく質のヒト化
NCBIデータベースのアラインメント( https://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)によりマウス抗体2E5(m2E5)に最も近いgermline配列をテンプレートとして選択し、m2E5をヒト化し、抗原結合たんぱく質の翻訳後修飾部位を最適化し、得られたヒト化抗体2E5H3L0の重鎖可変領域(hu2E5VH3)と軽鎖可変領域(hu2E5VL0)の配列は以下のようである。
【0195】
ヒト化抗原結合たんぱく質2E5重鎖可変領域(hu2E5VH3) SEQ ID NO: 24
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGYTFGDNWMNWVRQASGKGLEWVGEIRLKSNNYATRYAESVKGRFTISRDDSKNTVYLQMNSLKTEDTAVYYCTRTQFITSVVAPFDFWGQGTTVTVSS
ヒト化抗原結合たんぱく質2E5軽鎖可変領域(hu2E5VL0)SEQ ID NO: 25
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLLYSRNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYRYPLTFGGGTKVEIK
ただし、下線部分は、IMGT番号付けスキームを使用して分割されたCDR配列を示す。
【0196】
実施例6 抗PLY抗原結合たんぱく質の発現と抗原結合活性の検出
m2E5重鎖可変領域のC末端をヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)の定常領域のN末端に連結し、pcDNA3.4ベクターに構築して、2E5マウス/ヒトキメラ抗体(2E5HL)の重鎖発現ベクターpcDNA3.4-c2E5VHCHを取得した。2E5軽鎖可変領域のC末端を軽鎖kappa定常領域のN末端に連結し、pcDNA3.4ベクターに構築して、2E5キメラ抗体軽鎖発現ベクターpcDNA3.4-c2E5VLCLを取得した。
そのうち、キメラ抗体2E5HLの重鎖(c2E5VHCH)アミノ酸配列および軽鎖(c2E5VLCL)アミノ酸配列は以下のようである:
【0197】
c2E5VHCH SEQ ID NO: 28:
EVKVEESGGGSVQPGGSMKLSCVASGYTFGDNWMNWVRQSPEKGLEWVAEIRLKSNNYATRYAESVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNNLRTEDTGIYYCTRTQFITSVVAPFDFWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
c2E5VLCL SEQ ID NO: 29:
DIVMSQSPSSLGVSVGEKITMSCKSSQSLLYSRNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYRYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0198】
2E5ヒト化重鎖可変領域のC末端をヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)の定常領域のN末端に連結し、pcDNA3.4ベクターに構築して、ヒト化重鎖発現ベクターpcDNA3.4-hu2E5VH3CHを取得した。2E5ヒト化軽鎖可変領域のC末端を軽鎖kappa定常領域のN末端に連結し、pcDNA3.4ベクターに構築して、ヒト化軽鎖発現ベクターpcDNA3.4-hu2E5VL0CLを取得した。
【0199】
2E5H3L0ヒト化抗体の重鎖(hu2E5VH3CH)アミノ酸配列および軽鎖(hu2E5VL0CL)アミノ酸配列は以下のようである:
【0200】
hu2E5VH3CH SEQ ID NO: 30:
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGYTFGDNWMNWVRQASGKGLEWVGEIRLKSNNYATRYAESVKGRFTISRDDSKNTVYLQMNSLKTEDTAVYYCTRTQFITSVVAPFDFWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
hu2E5VL0CL SEQ ID NO: 31:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLLYSRNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYRYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0201】
2E5HLキメラ抗体の重鎖発現ベクターpcDNA3.4-m2E5VHCHを、軽鎖発現ベクターpcDNA3.4-m2E5VLCLとともにExpi293F細胞に同時トランスフェクトし、Expi293F発現系を用いて2E5HLを瞬時に発現させ、最後にProtein Aを用いてキメラ抗体タンパク質を精製した。2E5H3L0ヒト化抗体の重鎖発現ベクターpcDNA3.4-hu2E5VH3CHを、軽鎖発現ベクターpcDNA3.4- hu2E5VL0CLとともにExpi293F細胞に同時トランスフェクトし、Expi293F発現系を用いて2E5H3L0を瞬時に発現させ、最後にProtein Aを用いてヒト化抗体タンパク質を精製した。得られた2E5HLキメラ抗体及び2E5H3L0ヒト化抗体を精製し、ELISA法を用いて抗原結合活性を同定した。つまり、96ウェルELISAプレート(Thermo )にPLY及びPLYmutタンパク質を0.1μg /ウェルでコーティングし、4℃で一晩インキュベートし、PBST緩衝液でプレートを洗浄してから、1ウェルあたり200μLの5% BSAを加え、37℃で1時間インキュベートし;ブロッキングを終了してからPBST緩衝液を用いてプレートを洗浄し、ELISAプレートに、最初のウェルが0.1μgで倍希釈された2E5HLヒトマウスキメラ抗体又は2E5H3L0ヒト化抗体を加えて4℃で一晩インキュベートし;一次抗体を一晩置いた後、プレートを洗浄し、ELISAプレートに1:10000で希釈されたHRP標識ヤギ抗ヒトIgG二次抗体を1ウェルあたり100μLで加え、37℃で1時間インキュベートしてからにプレートを洗浄し;TMBを1ウェルあたり100μLで加えて37℃でインキュベートして発色させ、10min後に停止液で発色を終了し;マイクロプレートリーダー( Multiskcin FC、Thermo )で結果の数値を読み取り、Graphpadソフトウエアを用いて作図した。抗体とPLYたんぱく質との結合状況は
図1に示されるように、2E5HLのEC
50値は0.01706μg/mlであり、2E5H3L0のEC
50値は0.02034μg/mlであり;抗体とPLYmutたんぱく質との結合状況は
図2に示されるように、2E5HLのEC
50値は0. 01582μg/mlであり、2E5H3L0のEC
50値は0. 01617μg/mlである。その結果は、ヒト化抗体2E5H3L0とキメラ抗体2E5HLのいずれもニューモリシンPLYとPLYmutたんぱく質に対して強い親和力を有することを示す。
【0202】
実施例7 インビトロによる肺炎連鎖球菌毒素の中和活性検出
6.25ngの組換えニューモリシンPLYたんぱく質とキメラ抗体2E5HLまたはヒト化抗体2E5H3L0を一定の比率で混合し、 96 ウェルプレート (Thermo)に加え、37℃で10minインキュベートし、5%のウサギ赤血球を加え、37℃で1hインキュベートした。試料を3000rpmで5min遠心分離し、マイクロプレートリーダー(Multiskcin FC,Thermo)を用いて波長405nmでの吸光度を検出し、抗溶血活性を測定した。
結果は
図3に示されるように、肺炎連鎖球菌毒素はウサギ赤血球溶血活性を有し、キメラ抗体2E5HLとヒト化抗体2E5H3L0のいずれも用量依存的に肺炎連鎖球菌毒素のウサギ赤血球溶血活性を効果的に中和することができる。
【0203】
実施例8 PLY毒素モデルマウスに対する本出願に記載の抗原結合タンパク質の保護効果
事前にC57BL/6マウスに1.25mg/kgの用量でキメラ抗体2E5HL、ヒト化抗体2E5H3L0およびヒトIgG抗体(対照として)を注射し、1h後に0.75μgのニューモリシンPLYタンパク質を尾静脈に注射しまし、マウスの生存時間を観察した。
【0204】
結果は
図4に示されるように、対照群のマウスは全て死亡した一方、キメラ抗体2E5HLとヒト化抗体2E5H3L0を注射されたマウスは完全な保護作用を実現した。
【0205】
実施例9 肺炎連鎖球菌感染マウスに対する本出願に記載の抗原結合タンパク質の保護効果
シードバンクから肺炎連鎖球菌を採取し、解凍後、菌液200μlをコロンビア血液プレートにアプリケーターで均一に塗布し、10-12h培養し、コロンビア血液プレートから血液寒天(3 cm×3 cm )を取り出し、15mlの滅菌後のTHY培地に加え、37℃の恒温インキュベーターでOD600が0.4-0.6になるまで静置培養し、約2-3hを要した。細胞を遠心分離によって収集し、PBSに再懸濁しておいた。体重に応じて、C57BL/6Jマウスをモデル群とモノクローナル抗体薬物治療群にランダムに分けた。2h前にマウスの尾静脈に2×108CFUの肺炎連鎖球菌を注射し、2h後に30mg/kgの2E5HL、2E5H3L0またはヒトIgG(対照)をそれぞれ尾静脈に注射し、各群のマウスの生存状況を観察し、記録した。
【0206】
結果は
図5に示されるように、対照ヒトIgGと比べ、キメラ抗体2E5HLとヒト化抗体2E5H3L0は肺炎連鎖球菌(SP)感染マウスに対して良好な保護作用を有する。
【配列表】
【国際調査報告】