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特表2024-513775腎症を管理するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】腎症を管理するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20240319BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K31/12
A61K31/7034
A61K31/351
A61K31/353
A61K36/48
A61P13/12
A61P3/10
A61P3/06
A61P37/06
A61P29/00
A61P39/06
A61P9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558780
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2021024125
(87)【国際公開番号】W WO2022203674
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501394435
【氏名又は名称】サミ-サビンサ グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】マジード ムハンメド
(72)【発明者】
【氏名】ナガブシャナム カリアナム
(72)【発明者】
【氏名】バニ サラン
(72)【発明者】
【氏名】パンデー アンジャリ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C086BA07
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA81
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC75
4C088AB59
4C088AC06
4C088CA03
4C088MA02
4C088NA05
4C088ZA36
4C088ZA81
4C088ZB08
4C088ZB11
4C088ZC33
4C088ZC35
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB14
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA36
4C206ZA81
4C206ZB08
4C206ZB11
4C206ZC33
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物の、哺乳動物における腎症の治療管理における、使用を開示する。該組成物は、更に、β-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、プテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)から単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む。本発明はまた、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)からのβ-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、プテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む組成物の、腎症の治療管理におけるポテンシャルも開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記組成物が、更に、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)から単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした効果を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項9】
前記組成物が、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項15】
前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした効果を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎症を管理するための組成物及び方法に関する。より詳細には、本発明は、テトラヒドロクルクミノイド(THC)、ヘキサヒドロクルクミノイド(HHC)及びオクタヒドロクルクミノイド(OHC)を含有するように標準化されたクルクミノイド組成物を含む組成物の、腎症の治療管理のためのポテンシャルに関する。該組成物は、更に、β-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、プテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)から単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む。
【背景技術】
【0002】
腎症は、小血管への損傷により、又は血液を浄化し且つ老廃物を排泄することにおいて生命維持に必要な、腎臓中のネフロンへの損傷により引き起こされる、腎臓障害である。腎症の発症について多くの原因が存在し、これには、高い血中の糖(高血糖症)、高血圧、高コレステロール、糖尿病及び腎臓疾患の家族歴が挙げられる。増大する炎症はまた、腎臓機能の低下にも至らせ、且つ、更に、腎症の発症にも至らせる。腎症はまた、一定の造影剤及び媒体によっても引き起こされる(Golshahi et al., Contrast-induced nephropathy; A literature review, J Nephropathol. 2014; 3(2): 51-56)。腎症は、腎臓による不適当な老廃物除去、腎機能不全、及び腎不全の指標である尿中タンパク質の存在に帰着する。腎症のリスクはまた、腎臓機能が徐々に低下するところの年齢と共に増大する。
以下の先行技術文献は、腎症の多様な病的態様を開示する:
a.Ayodele et al., Diabetic nephropathy--a review of the natural history, burden, risk factors and treatment, J Natl Med Assoc. 2004 Nov; 96(11): 1445-1454
b.Papadopoulou-Marketou et al., Diabetic nephropathy in type 1 diabetes: a review of early natural history, pathogenesis, and diagnosis, Diabetes Metab Res Rev. 2017; 33:e2841
c.Navarro-Gonzalez et al., Inflammatory molecules and pathways in the pathogenesis of diabetic nephropathy, Nat Rev Nephrol 7, 327-340 (2011)
https://doi.org/10.1038/nrneph.2011.51
d.Ibels LS, Gyory AZ. IgA nephropathy: analysis of the natural history, important factors in the progression of renal disease, and a review of the literature. Medicine. 1994 Mar;73(2):79-102
e.Maeder et al., Contrast nephropathy: Review focusing on prevention, J Am Coll Cardiol. 2004 Nov, 44 (9) 1763-1771
【0003】
現在の処置モダリティには、高血圧、高血糖、高コレステロールを処置するための薬剤、及び尿中タンパク質を低減するための薬剤が挙げられる。腎症が多因子障害であるので、上記の状態のうちの1種のみを処置する単一薬剤は、腎症の症状を改善するための実行可能な選択肢ではないことがある。腎症の全ての症状を管理するのに効果的である組成物を見出すという、応じられていない産業上の必要性が依然として存在する。本発明は、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを含有するように標準化されたクルクミノイド組成物を開示することによって、この応じられていない必要性を解決する。この組成物は、腎症の発症へと至らせる全ての原因となる要因を検討するのに有用であり、且つ健康な腎臓機能を維持するのに有用である。
クルクマ属種(Curcuma species)、詳細にはクルクミノイドから得られる化合物に関連する科学技術において、並びに様々な疾患及び障害の治療管理におけるそれらの役割が良好に記録されていることが周知である。クルクミン-テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドの代謝物が、クルクミンを超えたそれらの類似の及び優れた効能のために、多くの注目を集めている(Majeed et al., Reductive Metabolites of Curcuminoids, Nutriscience Publishers LLC, 2019)。クルクミンのこれらの還元性代謝物の薬理活性は、産業用途のために、具体的には腎症及び他の腎臓障害を管理するために、未だ証明されず、活用されていない。エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)からのβ-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、並びにプテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを伴う組成物が、腎症の症状を低減させることにおいて相乗的利点を示しており、且つ正常な腎臓機能を管理するのに有用である。
【0004】
本発明の基本的な目的は、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを含有するように標準化されたクルクミノイド組成物を含む組成物を使用した、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法を開示することである。該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離されたβ-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、並びにプテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む。
本発明の別の目的は、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを含有するように標準化されたクルクミノイド組成物を含む組成物を使用した、哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法を開示することである。該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離されたβ-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、並びにプテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む。
本発明のなおも別の目的は、エンブリカ・オフィシナリスから単離されたβ-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、並びにプテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む組成物を使用した、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法を開示することである。
本発明は、上に挙げた目的を満たし、更なる関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0005】
最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。該組成物は、更に、β-グルコガリン及び総ムチン酸ガレート、プテロカルプス・マルスピウムから単離されたC-グルコシド及びタンニンを含む。
別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。
【0006】
最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。
本発明の他の特徴及び利点は、例によって、本発明の原理を例示している以下のより詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】異なる組成物で処置されたマウスにおけるシスタチンCレベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(ng/ml)として表されている。
図2】異なる組成物で処置されたマウスにおける腎臓傷害分子-1レベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(ng/ml)として表されている。
図3】異なる組成物で処置されたマウスにおけるアンジオテンシン-IIレベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(pg/ml)として表されている。
図4】異なる組成物で処置されたマウスにおけるNLRP-3レベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(ng/ml)として表されている。
図5】異なる組成物で処置されたマウスにおけるTGF-βレベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(ng/ml)として表されている。
図6】異なる組成物で処置されたマウスにおけるMCP-1レベルの低下を示すグラフ表示である。値は、平均(pg/ml)として表されている。
図7】該組成物の有効性を示すマウス腎臓切片の病理組織学的染色画像である。A-正常な対照、B-糖尿病の対照、C-βグルコガリン+pTerosol、D-βグルコガリン+pTerosol+C3 Reduct Special。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。関連する態様では、テトラヒドロクルクミノイドは、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロ-デメトキシクルクミン及びテトラヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。別の関連する態様では、ヘキサヒドロクルクミノイドは、更に、ヘキサヒドロクルクミン、ヘキサヒドロ-デメトキシクルクミン及びヘキサヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の好ましい実施形態では、オクタヒドロクルクミノイドは、更に、オクタヒドロクルクミン、オクタヒドロ-デメトキシクルクミン及びオクタヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の関連する態様では、該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む。別の関連する態様では、腎症は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0009】
別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における腎症の治療管理における、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物の使用を開示する。関連する態様では、テトラヒドロクルクミノイドは、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロ-デメトキシクルクミン及びテトラヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。別の関連する態様では、ヘキサヒドロクルクミノイドは、更に、ヘキサヒドロクルクミン、ヘキサヒドロ-デメトキシクルクミン及びヘキサヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の好ましい実施形態では、オクタヒドロクルクミノイドは、更に、オクタヒドロクルクミン、オクタヒドロ-デメトキシクルクミン及びオクタヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の関連する態様では、該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む。別の関連する態様では、腎症は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇する血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0010】
別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。関連する態様では、テトラヒドロクルクミノイドは、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロ-デメトキシクルクミン及びテトラヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。別の関連する態様では、ヘキサヒドロクルクミノイドは、更に、ヘキサヒドロクルクミン、ヘキサヒドロ-デメトキシクルクミン及びヘキサヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の好ましい実施形態では、オクタヒドロクルクミノイドは、更に、オクタヒドロクルクミン、オクタヒドロ-デメトキシクルクミン及びオクタヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の関連する態様では、該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む。別の関連する態様では、該組成物は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持する。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0011】
別の好ましい実施形態では、本発明は、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物の、哺乳動物において、正常な腎臓機能を維持することにおける、使用を開示する。関連する態様では、テトラヒドロクルクミノイドは、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロ-デメトキシクルクミン及びテトラヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。別の関連する態様では、ヘキサヒドロクルクミノイドは、更に、ヘキサヒドロクルクミン、ヘキサヒドロ-デメトキシクルクミン及びヘキサヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の好ましい実施形態では、オクタヒドロクルクミノイドは、更に、オクタヒドロクルクミン、オクタヒドロ-デメトキシクルクミン及びオクタヒドロビス-デメトキシクルクミンを含む。なおも別の関連する態様では、該組成物は、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む。別の関連する態様では、該組成物は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持する。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0012】
最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。別の関連する態様では、腎症は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0013】
別の好ましい実施形態では、本発明は、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物の、哺乳動物における腎症の治療管理における、使用を開示する。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。別の関連する態様では、腎症は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0014】
最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において、正常な腎臓機能を維持する方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法を開示する。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。別の関連する態様では、腎症は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0015】
別の好ましい実施形態では、本発明は、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物の、哺乳動物において、正常な腎臓機能を維持するための、使用を開示する。別の関連する態様では、ムチン酸ガレートは、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される。別の関連する態様では、該組成物は、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持する。なおも別の関連する態様では、治療効果は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる。更なる関連する態様では、該組成物は、更に、安定化剤、生物学的利用能賦活薬及び抗酸化剤、医薬として又は機能性食品として又は化粧料として許容される賦形剤及び賦活薬を含む。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
なおも別の関連する実施形態では、生物学的利用能賦活薬は、ピペリン、ケルセチン、ニンニク抽出物、ショウガ抽出物及びナリンジンからなる群から選択されるがこれらに限定されない。
【0016】
別の関連する態様では、1種又は複数の抗酸化剤及び抗炎症剤は、ビタミンA、D、E、K、C、B複合体、ロスマリン酸、アルファリポ酸、エラグ酸、グリシルリジン酸、エピガロカテキンガレート、植物ポリフェノール、グラブリジン、モリンガ油、オレアノール酸、オレウロペイン、カルノシン酸、ウロカニン酸、フィトエン、リポ酸、リポアミド、フェリチン、デスフェラール、ビリルビン、ビリベルジン、メラニン、ユビキノン、ユビキノール、パルミチン酸アスコルビル、リン酸Mgアスコルビル、酢酸アスコルビル、トコフェロール及び誘導体、例えばビタミンEアセテート、尿酸、α-グルコシルルチン、カララーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオン、セレン化合物、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、二亜硫酸ナトリウム(SMB)、プロピルガレート(PG)及びアミノ酸システインからなる群から選択されるがこれらに限定されない。
最も好ましい実施形態を明確に述べる特定の例示的な実施例が、本明細書で以下に挙げられる。
【実施例
【0017】
(実施例1)
組成物
クルクミノイドの還元性代謝物、すなわちテトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドは、通常、還元性酵素によって、及び水素添加によって生体内変換される(Mimura et. al.,米国特許第5266344号; Pan et al., Biotransformation of curcumin through reduction and glucuronidation in mice, Drug Metab Dispos, 1999, 27(1):486-494)。それらはまた、天然において確認され、異なる植物源から単離される(Majeed et al., Reductive Metabolites of Curcuminoids, Nutriscience Publishers LLC, 2019)。テトラヒドロクルクミンは、その類似体テトラヒドロデメトキシクルクミン、テトラヒドロビスデメトキシクルクミンと共に、ショウガ属種(Zingiber sp.)及びクルクマ属種から単離されている(Peng et al., Chemical constituents of Zingiber officinale (Zingeberaceae). Yunnan Zhiwu Yanjiu, 2007; 29(1):125-128)。テトラヒドロデメトキシクルクミン及びテトラヒドロビスデメトキシクルクミンは、タイガジュツ(クルクマ・ゼドアリア(Curcuma zedoaria))の根茎中に存在していると報告されている(Matsuda et al., Anti-allergic principles from Thai zedoary: structural requirements of curcuminoids for inhibition of degranulation and effect on the release of TNF-alpha and IL-4 in RBL-2H3 cells. Bioorg med hem, 2004; 12(22):5891-5898)。テトラヒドロクルクミンはまた、クルクミンからの生体内変換によっても得られる(Shimoda et al., Formation of tetrahydrocurcumin by reduction of curcumin with cultured plant cells of Marchantia polymmrpha, Nat Prod Commun, 2012, 7(4):529-530)。
【0018】
ヘキサヒドロクルクミノイドはまた、クルクマ属、ショウガ属及びアルピナの根及び根茎中に見出される、自然に発生する植物代謝物でもある。ヘキサヒドロクルクミノイドは、未使用のショウガの根茎から単離されている(Peng et al., Cytotoxic, cytoprotective and antioxidant effects of isolated phenolic compounds from fresh ginger, Fitoterapia, 2012, 83(3):568-585)。ヘキサヒドロクルクミノイドは、2種の光学異性体の形態(S&R)のいずれかにおいて、及びまたラセミ混合物として生じると報告されている(Majeed et al., Reductive Metabolites of Curcuminoids, Nutriscience Publishers LLC, 2019)。
同様に、オクタヒドロクルクミノイドはまた、C.クサントリザ(C.xanthorrhiza)の根茎からも単離される(Uehara et al., Diarylheptanoids from the rhizomes of Curcuma xanthorrhiza and Alpinia officinarum, Chem Pharm Bull, 1987, 35(8):3298-3304)。オクタヒドロクルクミンはまた、水素添加形態のテトラヒドロクルクミン、インビボ及び微生物の生体内変換によっても調製される(Majeed et al., Reductive Metabolites of Curcuminoids, Nutriscience Publishers LLC, 2019)。
【0019】
本発明において特許請求されている組成物を、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第17071682号に開示されている手順に従って配合した。該組成物はまた、Sami-Sabinsa Group Limited(インド、バンガロール)からC3 Reduct(登録商標)Specialとしても市販されている。
β-グルコガリン組成物を、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010-0034762号に開示されているプロトコルにより、エンブリカ・オフィシナリスから単離した。これはまた、Sami-Sabinsa Group Limited(インド、バンガロール)からSaberry(登録商標)として市販されている。同様に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド(CAS no.264876-26-8)及び5%w/w以上のサビオシド(CAS no.108351-24-2)を含有するC-グリコシドとを、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第16515298号に記載されている手順によりプテロカルプス・マルスピウムから単離した。これは、Sami-Sabinsa Group Limited(インド、バンガロール)からpTerosol(登録商標)として市販されている。
【0020】
(実施例2)
テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物の、腎症の管理における、治療上のポテンシャル
該組成物のポテンシャルを、糖尿病性腎症の例示的な実施例を用いて、腎症の管理について評価した。当業者であれば、以下の実施例から、様々な理由に起因して引き起こされた腎症の管理における組成物のポテンシャルが同意義と考えられることを理解することになる。
【0021】
方法論
1週間の適応給餌の後、ラットを、正常対照群と実験群とに無作為に分けた。実験群に、高脂肪食(70%の標準実験用食物、15%の炭水化物、10%のラード及び5%の卵黄粉末からなる)を与えてインスリン抵抗性モデルを確立し、一方で正常対照群には標準的食物を与える。4週間の高脂肪食給餌の後、実験群ラットは、STZの単回の腹腔内注射(35mg/kg、0.01Mのクエン酸ナトリウムバッファに溶解した、pH4.4)によって糖尿病を誘発され、その一方で正常群ラットに同じ投与量のクエン酸バッファを注射した。STZ注射後の第7日に、ラットの血糖値を測定して、このモデルを首尾よく確立したことを確認した。血糖値≧250mg/dlを有するラットが、該疾患を確立したことを指し示し、更なる薬理学的研究のために選択される。全てのラットに、研究の終了まで、それらのそれぞれの食事を給餌した。ラットにはまた、1%のNaCl(塩)を飲まされ、28日目に0.75μgのアルドステロン(DOCA)を皮下注射した。血圧及び尿アルブミンを測定して、腎性高血圧症を確立した。
【0022】
全ての実験用ラットを、特定の処置群に割り当て、試験薬剤を1日1回9:00から11:00a.m.の間に12週間連続して経口投与した。
それらの群には、以下を投与した:
【表1】
凡例:
C3 Reduct(登録商標)Special-70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含有するクルクミノイド組成物
pTerosol(登録商標)-タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド(CAS no.264876-26-8)及び0.5%w/w以上のサビオシド(CAS no.108351-24-2)を含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物
Saberry(登録商標)-エンブリカ・オフィシナリスから単離した、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む組成物
【0023】
尿、血液及び組織の処理
処置の終わりに、全てのラットを個々のメタボリックケージ中に24時間収容して尿サンプルを回収し、次いで犠牲にした。尿サンプルを、4000×gにおいて5分間遠心分離して、上清を分離した。血液サンプルを、後眼窩神経叢への穿刺によって得、4℃、4000×gにおいて10分間遠心分離して、続く実験用の血漿を分離した。血清もまた、そこに抗凝血性を添加しなかった分析のために、血液から分離した。その後、腎臓を直ちに収集して検量した。右の腎臓を氷冷生理食塩水溶液中で洗浄し、組織学的検討のために4%の中性ホルムアルデヒド溶液中に固定し、一方で、左の腎臓の腎皮質を冷たい等張食塩水で濯ぎ、続いて生化学的推定まで-70℃にて貯蔵した。
【0024】
血液及び尿の生化学的パラメータ、すなわち血糖、血清クレアチニン、BUN、尿クレアチニン及び尿アルブミンの分析を、生化学分析装置により行った。
腎脂質、すなわちトリグリセリド、総コレステロール、遊離脂肪酸、リン脂質の測定もまた、自動分析装置により行った。
【0025】
シスタチンCレベルを、市販のELISAキット、Thermo Scientific(商標)Pierce(商標)Rat Cystatin C(CST3)によって、実験動物から回収した血清サンプルにおいて測定し、ユーザマニュアルに従って推定を行った。同様に、アンジオテンシンIIをまた、ELISAによって、動物の血清サンプルにおいて測定した。
他の分子標的、腎臓傷害分子-1、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、単球化学吸引性タンパク質-1、Nod様レセプタタンパク質3(NLRP3)インフラマソームを、市販のELISAキットにより、ユーザマニュアル中に付与されている指示書に従って、腎臓組織ホモジネート中で測定した。
固相サンドイッチELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を設計して、マッチさせた抗体ペアの間で結合させた標的の量を測定する。標的特異性抗体を、供給されたマイクロプレートのウェル中で予コーティングした。次いで、サンプル、標準又は対照を、これらのウェル中に添加し、固定した(捕捉)抗体に結合させる。第2の(検出)抗体の添加によってサンドイッチを形成し、酵素-抗体-標的の複合体と反応する基質溶液を添加して、測定可能なシグナルを生成する。このシグナルの強度は、元々の標本中に存在する標的の濃度と直接比例している。
【0026】
腎臓の組織学的検査
腎臓組織を直ちに10%中性バッファホルマリン中に保存し、アルコールのグレード化したシリーズを通して脱水し、パラフィン中に埋め込み、5mmの断片へと切断し、ヘマトキシリン及びエロシン(H&E)並びに過ヨウ素酸シッフ塩基(PAS)法で染色した。スライドを、光顕微鏡によって、病理学的に有意な顕微鏡的変更のために、400×倍率下で検査した。
結果
該組成物を、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることにおけるそのポテンシャルに基づいて評価した。
【0027】
腎機能不全
腎機能不全は、腎臓への血流の減少に起因して起こる腎臓の不良な機能である。これはまた、腎臓に血液を付与する動脈が細くなる(腎動脈狭窄と名付けられた状態)ときにも起こる。腎機能不全を有する何人かの患者は、症状を経験していない、又は軽度の症状のみを経験している。
本調査では、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、プテロカルプス・マルスピウムのベータ-グルコガリン及びC-グリコシドと共に含む組成物のポテンシャルを、シスタチンC及び腎臓傷害分子1を阻害するそれらの役割によって評価した。
プロテアーゼ阻害剤シスタチンCは、非グリコシル化低分子量タンパク質である。血清シスタチンCの濃度は、主に糸球体ろ過によって決定され、これは、シスタチンCを、糸球体ろ過率の内在性マーカーにする。糸球体の損傷が少ないシスタチンCの可能性のある利点は、大分子であること、シスタチンCの血液レベルがクレアチニンよりも早く上がることである。この分子は、腎臓損傷のより良好なインジケータであり、且つ腎臓機能を評価するのを促進する(Grubb A, Cystatin C is Indispensable for Evaluation of Kidney Disease, EJIFCC. 2017 Dec; 28(4): 268-276)。高いシスタンチンCレベルはまた、慢性腎臓疾患、アテローム性動脈硬化、卒中、心不全、冠動脈心疾患、アンギーナ、心筋梗塞、末梢血管疾患を含む多数の合併症へと至らせる。この分子のより低いレベルはまた、冠動脈拡張症、大動脈瘤などももたらす。
【0028】
本研究では、シスタチンCレベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したシスタチンCレベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が続いた(図1)。
腎臓傷害分子-1は、腎症において上昇し、且つマクロファージ活性化を媒介する(Tian et al., Kidney Injury Molecule-1 is Elevated in Nephropathy and Mediates Macrophage Activation via the Mapk Signalling Pathway, Cell Physiol Biochem 2017;41:769-783)。これは、傷害後の腎尿細管細胞において高度に発現し、通常、急性腎臓傷害の初期バイオマーカーとみなされている。
【0029】
本研究では、腎臓傷害分子-1レベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇した腎臓傷害分子-1レベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が続いた(図2)。
腎性高血圧症
少なからぬ証拠が、腎内のレニン-アンジオテンシン系が腎症において、特に糖尿病性腎症において重要な役割を果たしていることを示唆している(Chawla et al., Role of the renin angiotensin system in diabetic nephropathy, World J Diabetes. 2010 Nov 15; 1(5): 141-145)。アンジオテンシン-変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシンII(AngII)レセプタブロッカー(ARB)は、ヒトにおいて、糖尿病性腎症の進行を弱めることができる。
【0030】
本研究では、アンジオテンシンIIレベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したアンジオテンシンIIレベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が続いた(図3)。
糖尿病合併症を減らす-インフラマソーム
インフラマソームは、炎症反応の活性化を左右する自然免疫系の細胞質ゾルのマルチタンパク質オリゴマーである。マクロファージ及び樹状細胞におけるNod様レセプタタンパク質3(NLRP3)インフラマソーム及びインターロイキン(IL)1β活性化は、IL-1βの放出に至らせ、これは、β細胞上のそのレセプタを通してシグナルして細胞死へと至らせ、インスリン分泌力を阻害することができる。インスリン抵抗性含む糖尿病、高脂血症及び高血糖症のような状態において起こる代謝変化に起因して、炎症の増大、酸化ストレス及びNLRP3インフラマソーム活性化へと至らせる、損傷関連分子パターン(DAMP)における上昇がある。結果として、それに続く、糖尿病性腎症、アテローム性動脈硬化、糖尿病性心筋症、糖尿病性ニューロパチー及び糖尿病性網膜症を含む糖尿病合併症の発症がある。
【0031】
本研究では、NLRP-3レベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したNLRP-3レベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物(pTerosol(登録商標))が続いた(図4)。
炎症性カスケード
炎症は、腎症の発病において主要な役割を果たす。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)は、慢性腎臓疾患(CKD)の発生における重要な伝達因子であり、これは、糸球体(糸球体の線維症、巣状分節性糸球体硬化症)における細胞外マトリックス(ECM)成分の蓄積によって特徴付けられる。TGF-βは、有足細胞アポトーシス及び糸球体基底膜からの剥離によって引き起こされる有足血球減少症を誘発する。
【0032】
本研究では、TGF-βレベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標)))を含む組成物は、上昇したTGF-βレベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が続いた(図5)。
単球化学吸引性タンパク質-1(MCP-1/CCL2)は、単球/マクロファージの遊走及び浸潤を調整するキーとなるケモカインのうちの1種である。ヒトにおける研究及び実験上の糖尿病性腎症は、腎臓マクロファージ蓄積が、糖尿病の進行に伴っており、腎傷害及び腎臓線維症の発症、並びに腎機能の低下が、それが炎症媒介疾患であることを示唆していることを示した。
【0033】
本研究では、MCP-1レベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したCP-1レベルのより良好な低下を示し、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が続いた(図6)。
【0034】
生化学マーカー
クレアチニン
クレアチニンは、体の筋肉の、正常な消耗から生じる老廃物である。腎臓が何らかの理由で損なわれた場合、血中のクレアチニンレベルは、腎臓によるクレアチニンの不良なクリアランスに起因して上昇する。クレアチニンの異常に高いレベルは、このように、腎臓のありうる機能不全又は不全を警告する。
異なる組成物の、クレアチニンレベルに対する効果を、表2に記載する。
【表2】
【0035】
結果は、血中クレアチニンレベルが、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇したことを示した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したクレアチニンレベルのより良好な低下を示し(36%)、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が28%で続いた。
【0036】
アルブミン
アルブミンは、血液中に見出され、且つ腎臓によってろ過される血中タンパク質である。増加した量の血中アルブミンの存在は、腎臓の損傷を示す。30mg/g超の、尿アルブミン-クレアチニンの比は、ヒトでは、正常よりも高いと考えられる。
異なる組成物の、アルブミンレベルに対する効果を、表3に記載する。
【表3】
【0037】
結果は、アルブミンレベルが、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇したことを示した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したアルブミンレベルのより良好な低下を示し(42%)、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が39.7%で続いた。
【0038】
尿素
尿素は、肝臓により生成され、細胞内液及び細胞外液の全体にわたって分布している、タンパク質及びアミノ酸の異化の、主要な窒素性最終生成物である。腎臓において、尿素は糸球体によって血液からろ過され、部分的に水と共に再吸収される。BUN(血中尿素窒素)レベルが100mg/dLを超える場合、それは、(ヒトにおける)重篤な腎臓損傷を指摘し、その一方で低下したBUNは、体液過剰において観察される。
【0039】
異なる組成物の、BUNレベルに対する効果を、表4に記載する。
【表4】
【0040】
結果は、血中尿素窒素(BUN)レベルが、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇したことを示した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したBUNレベルのより良好な低下を示し(40.7%)、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が37.5%で続いた。
【0041】
グルコース
異なる組成物の、血糖値に対する効果を、表5に記載する。
【表5】
【0042】
グルコースレベルは、高脂肪食、STZ及びDOCA処置に起因して上昇した。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))を含む組成物は、上昇したグルコースレベルのより良好な低下を示し(50.4%)、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシド(pTerosol(登録商標))と共に含む組成物が40.6%で続いた。
【0043】
【表6】
結果は、該組成物が、上昇した脂質レベルを効果的に下げ、それによって腎症に対する完全な防御を提供し、且つ腎臓の正常な機能を促進することを示した。
【0044】
組織病理学
組織病理学分析をまた実施して、異なる組成物の効果を評価した。組織断片は、正常な対照において正常な組織構造の存在を示した(図7A)が、組織断片は、細胞膨潤に起因する内腔の部分的閉塞を伴う腎臓尿細管の多焦点びまん性水腫変性の存在を示した。腎実質は、糖尿病対照において広範な充血性の出血病変を示した(図7B)。β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドを含む組成物で処置したマウスでは、該組織断片は、細胞膨潤に起因する内腔の部分的閉塞を伴う腎臓尿細管の軽度の多焦点びまん性水腫変性の存在を示した。「軽度」から「中程度」の多焦点腎尿細管上皮性壊死をまた、MNC浸潤を伴って観察した。MNC浸潤は、尿細管の周囲で観察した(図7C)。更に、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン(Saberry(登録商標))、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物で処置したマウスでは、組織断片は、先の群と比べて中程度の細胞膨潤を示した。形態学の点での細胞の完全性は、先の群よりも良好であった。尿細管のいくつかの領域はまた、尿細管内の、腎尿細管上皮の過形成によって特徴付けられる再生反応も示した(図7D)。
【0045】
総体的に、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物、並びにβ-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドを含む組成物は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによって、腎臓機能を改善するのに効果的であった。β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドを含む組成物の、マウスにおける有効投与量は、約150mg/kgであり、これは、1285.71mg(およそ1000mg)のヒト投与量と当量であり、且つテトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物の、マウスにおける有効投与量は、約200mg/kgであり、これは、1714.29mg(およそ1500mg)のヒト投与量と当量である。
本発明は好ましい実施形態を参照して記載してきたが、本発明がそれらに限定されないことが当業者によって明らかに理解されることになる。それどころか、本発明の範囲は、添付している特許請求の範囲と併せてのみ、解釈されることになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における腎症の治療管理に使用するための、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物。
【請求項2】
哺乳動物において正常な腎臓機能維持に使用するための、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物。
【請求項3】
前記組成物が、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項4】
前記組成物が、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド及び0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項5】
腎症を予防するための、及び、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持するための、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項6】
少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、エラグ酸、及びプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物であって、前記少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸が、エンブリカ・オフィシナリスから単離されたものであり、前記プテロカルプス・マルスピウム抽出物が、タンニン及びC-グリコシドを含み、ここで前記C-グリコシドが、0.5%w/w以上のプテロカルポシド及び0.5%w/w以上のサビオシドを含有する、哺乳動物における腎症の治療管理に使用するための組成物
【請求項7】
少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、エラグ酸、及びプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物であって、前記少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸が、エンブリカ・オフィシナリスから単離されたものであり、前記プテロカルプス・マルスピウム抽出物が、タンニン及びC-グリコシドを含み、ここで前記C-グリコシドが、0.5%w/w以上のプテロカルポシド及び0.5%w/w以上のサビオシドを含有する、哺乳動物において正常な腎臓機能の維持に使用するための組成物
【請求項8】
前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、請求項3、6又は7に記載の組成物
【請求項9】
腎症を予防するための、及び、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態に正常な腎臓機能を維持すための、請求項に記載の組成物
【請求項10】
腎機能不全を改善するための、腎性高血圧症を低減するための、糖尿病合併症を減らすための、炎症を低減するための、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げるための、請求項1、2、6又は7に記載の組成物
【請求項11】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1、2又は7に記載の組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
総体的に、テトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物、並びにβ-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドを含む組成物は、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによって、腎臓機能を改善するのに効果的であった。β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドを含む組成物の、マウスにおける有効投与量は、約150mg/kgであり、これは、1285.71mg(およそ1000mg)のヒト投与量と当量であり、且つテトラヒドロクルクミノイド、ヘキサヒドロクルクミノイド及びオクタヒドロクルクミノイドを、β-グルコガリン、及びプテロカルプス・マルスピウムからのC-グリコシドと共に含む組成物の、マウスにおける有効投与量は、約200mg/kgであり、これは、1714.29mg(およそ1500mg)のヒト投与量と当量である。
本発明は好ましい実施形態を参照して記載してきたが、本発明がそれらに限定されないことが当業者によって明らかに理解されることになる。それどころか、本発明の範囲は、添付している特許請求の範囲と併せてのみ、解釈されることになる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
〔2〕前記組成物が、更に、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)から単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記組成物が、更に、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)抽出物を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕前記哺乳動物が、ヒトである、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、70%~80%w/wのテトラヒドロクルクミノイド、10%~20%w/wのヘキサヒドロクルクミノイド及び5%~10%w/wのオクタヒドロクルクミノイドを含む組成物を、こうした効果を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
〔9〕前記組成物が、更に、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸を含む、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記組成物が、タンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を更に含む、前記〔8〕に記載の方法。
〔12〕前記組成物が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態において、正常な腎臓機能を維持する、前記〔8〕に記載の方法。
〔13〕前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、前記〔8〕に記載の方法。
〔14〕哺乳動物における腎症の治療管理のための方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした治療管理を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
〔15〕前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、前記〔14〕に記載の方法。
〔17〕前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、前記〔14〕に記載の方法。
〔18〕哺乳動物において正常な腎臓機能を維持する方法であって、エンブリカ・オフィシナリスから単離された、少なくとも10%w/wの1-O-ガロイル-β-D-グルコース(β-グルコガリン)、及び少なくとも10%w/wの総ムチン酸ガレート、及びエラグ酸、並びにタンニンと、0.5%w/w以上のプテロカルポシド、0.5%w/w以上のサビオシドを含有するC-グリコシドと、を含有するように標準化されたプテロカルプス・マルスピウム抽出物を含む組成物を、こうした効果を必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
〔19〕前記ムチン酸ガレートが、ムチン酸1,4-ラクトン5-O-ガレート、ムチン酸2-O-ガレート、ムチン酸6-メチルエステル2-O-ガレート及びムチン酸1-メチルエステル2-O-ガレートからなる群から選択される、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕腎症が、高血糖症、高コレステロール血症、上昇した血圧及び腎性高血圧症、薬剤、自己免疫性疾患、酸化ストレス及び炎症からなる群から選択される状態によって誘発される、前記〔18〕に記載の方法。
〔21〕前記治療効果が、腎機能不全を改善する、腎性高血圧症を低減する、糖尿病合併症を減らす、炎症を低減する、及び腎臓の循環レベルの血中マーカーを下げることによってもたらされる、前記〔18〕に記載の方法。
〔22〕前記哺乳動物が、ヒトである、前記〔18〕に記載の方法。
【国際調査報告】