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特表2024-513777ディスプレイ付きガラス物品の組立中に電気接続部を管理するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ディスプレイ付きガラス物品の組立中に電気接続部を管理するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/00 348Z
G09F9/00 350Z
G09F9/00 336E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558796
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022021127
(87)【国際公開番号】W WO2022204015
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/166,579
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】イシカワ,トモヒロ
(72)【発明者】
【氏名】ティモンズ,クリストファー リー
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA17
5G435EE04
5G435EE13
5G435EE25
5G435EE36
5G435EE40
5G435EE47
5G435GG43
5G435HH05
5G435KK05
5G435KK10
5G435LL17
(57)【要約】
本開示の実施形態は、ガラス物品の組み立て方法に関する。ガラス物品は、ディスプレイモジュールとガラス板とを備えている。本方法では、電子リボンコネクタが鉛直な配置にセットされる。電子リボンコネクタは、ディスプレイモジュールに接続された第1の端部と、第2の自由端部とを有している。ディスプレイモジュールは、ガラス板に取り付けられる。そして、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板に接着剤が塗布される。ガラス板の真上にフレームが配置される。フレームは、垂下縁と、垂下縁に隣接して配置されるスロット開口とを有している。そして、電子リボンコネクタの第2の自由端部がスロット開口を通って延びるように、且つフレームの垂下縁が接着剤に接触するまで、ガラス板に向かってフレームが移動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面及び該第1の主面とは反対側の第2の主面を有するガラス板と、ディスプレイモジュールと、を備えるガラス物品の組み立て方法であって、
前記ガラス板の前記第2の主面に取り付けられている前記ディスプレイモジュールに接続された第1の端部、及び第2の自由端部を有する電子リボンコネクタを、前記ガラス板の前記第2の主面に交差する方向の鉛直な配置にセットするステップと、
前記ディスプレイモジュールを囲むように、前記ガラス板の前記第2の主面に接着剤を塗布するステップと、
垂下縁及び該垂下縁に隣接して配置されるスロット開口を備えるフレームを、前記ガラス板の前記第2の主面の真上に配置するステップと、
前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部が前記スロット開口を通って延びるように、且つ前記フレームの前記垂下縁が前記接着剤に接触するまで、前記フレームを前記ガラス板の前記第2の主面に向かって移動させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記配置にセットするステップが、
前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部を、第1のマニピュレータで第1の側から持ち上げて、前記鉛直な配置にセットするステップと、
前記電子リボンコネクタを第2のマニピュレータで前記第1の側とは反対側の第2の側から保持するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フレームの前記垂下縁が前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部を通過すると、前記第2のマニピュレータを引き込むステップをさらに含み、
前記フレームを移動させるステップ中に、前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部が前記垂下縁に当接する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記配置にセットするステップが、
前記ガラス板の前記第2の主面に実質的に平行な初期配置にある前記電子リボンコネクタを、多関節マニピュレータに接触させるステップと、
前記電子リボンコネクタを掴むステップと、
前記電子リボンコネクタを前記鉛直な配置に移動させるように、前記多関節マニピュレータを引き込むステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記配置にセットするステップが、回転式マニピュレータで前記電子リボンコネクタを持ち上げるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス板が、前記第1の主面と前記第2の主面とをつなげる副面を備え、
前記回転式マニピュレータが、前記副面に隣接する回転関節と、前記回転関節から延びる第1のアームと、前記第1のアームから垂直に延びる第2のアームとを備え、
前記持ち上げるステップが、前記第2のアームによって弧を描くように前記電子リボンコネクタを持ち上げて前記鉛直な配置にセットするように、前記回転関節で前記回転式マニピュレータを回転させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記配置にセットするステップが、前記電子リボンコネクタを鉛直な向きで前記ディスプレイモジュールに取り付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記配置にセットするステップが、前記電子リボンコネクタをテープで前記鉛直な配置に留めるステップ、又は前記ガラス板の前記第2の主面に取り付けられたくさびを用いて前記電子リボンコネクタを前記鉛直な配置に支えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記配置にセットするステップの前に、
前記ガラス板が平坦な構成である状態で、前記ディスプレイモジュールを前記ガラス板の前記第2の主面に接着するステップと、
前記ガラス板をチャックの成形面に沿って曲げて、前記ガラス板と前記ディスプレイモジュールの両方に湾曲を形成するステップと、
をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記フレームに、バックライトユニットが搭載されており、
前記接着剤に接触するまで前記フレームの前記垂下縁を移動させると、前記バックライトユニットと前記ディスプレイモジュールとの間に隙間が設けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年3月26日を出願日とする米国仮特許出願第63/166579号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、本明細書の依拠するところとし、参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ディスプレイモジュールを有するガラス物品を組み立てるためのシステム及び方法に関し、より詳細には、ガラス物品の組み立て中にディスプレイモジュールの電子リボンコネクタを管理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの車両では、内装にディスプレイが備えられており、車両内装の美観にディスプレイを融け込ませるべく、車両の湾曲した面や装飾的な面の中にディスプレイが組み入れられる場合もある。しかし、その場合にディスプレイ表面を形成する材料は、通常、ポリマーに限られていたが、ポリマーは、ガラスのような耐久性や光学性能は示さない。そのため、ディスプレイのカバーとして使用する場合は特に、ガラス板が望ましい。このようなガラス物品の既存の成形方法においては、ガラス板をフレームに接合するステップが成形工程に含まれる。そして、ディスプレイモジュールをさらに組み込む際には、ディスプレイモジュールへの電気的接続を考慮しながら組み立てプロセスを行う必要があった。この意味で、配線、ケーブル、コネクタ、コネクタリボンの管理が、組み立てプロセスの効率を低下させるとともに、プロセスの自動化の妨げとなる恐れがあった。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品の組み立て方法に関する。ガラス物品は、ディスプレイモジュールとガラス板とを備えている。ガラス板は、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有している。本方法では、電子リボンコネクタが、ガラス板の第2の主面に交差する方向の鉛直な配置にセットされる。電子リボンコネクタは、ディスプレイモジュールに接続された第1の端部と、第2の自由端部とを有している。ディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられる。そして、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤が塗布される。ガラス板の第2の主面の真上に、フレームが配置される。フレームは、垂下縁と、垂下縁に隣接して配置されるスロット開口とを有している。そして、電子リボンコネクタの第2の自由端部がスロット開口を通って延びるように、且つフレームの垂下縁が接着剤に接触するまで、ガラス板の第2の主面に向かってフレームが移動される。
【0005】
他の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品を組み立てるためのシステムを含む。ガラス物品は、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有するガラス板を備えている。電子リボンコネクタを備えるディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられる。スロット開口を備えるフレームは、第2の主面に取り付けられる。本システムは、湾曲を画成する成形面を有するチャックを備えている。ガラス板は成形面に合わせて曲げられるように構成されている。また、本システムは、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤を塗布するように構成されるディスペンサノズルも備えている。さらに、本システムは、接着剤にフレームが接触するまでフレームを下降させることができるように、且つフレームのスロット開口に電子リボンコネクタの端部が挿入されるように、電子リボンコネクタを鉛直な配置に移動させるように構成される少なくとも1つのマニピュレータも備えている。
【0006】
さらに他の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品の組み立て方法に関する。ガラス物品は、ディスプレイモジュールと、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有するガラス板とを備えている。ディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられており、第2の主面に交差する方向に配置されたコネクタソケットを備えている。本方法では、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤が塗布される。ガラス板の第2の主面の真上に、フレームが配置される。フレームは、垂下縁と、垂下縁に隣接して配置されるスロット開口とを有している。そして、スロット開口がディスプレイモジュールのコネクタソケットの真上の位置にセットされ、フレームの垂下縁が接着剤に接触するまで、ガラス板の第2の主面に向かってフレームが移動される。さらに、電子リボンコネクタの第1の端部がスロット開口に挿入され、電子リボンコネクタの第1の端部がコネクタソケットに差し込まれる。
【0007】
さらに他の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面と第2の主面とを有するガラス板を備えている。第2の主面は、第1の主面とは反対側の面である。ガラス板の第2の主面には、ディスプレイモジュールが取り付けられている。ディスプレイモジュールは、電子リボンコネクタを備えている。さらに、ガラス物品は、基板と、垂下縁と、スロット開口とを有する一体型フレームを備えている。スロット開口は、基板を貫通して延在し、垂下縁に隣接して配置されている。バックライトユニットは、一体型フレームの、ディスプレイモジュールに面している第1の側に搭載されている。一体型フレームの垂下縁は、ガラス板の第2の主面に接着される。ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの間には、隙間が設けられる。さらに、電子リボンコネクタは、ディスプレイモジュールから、一体型フレームのスロット開口を通り、一体型フレームの第1の側とは反対側の第2の側まで延びている。
【0008】
以下の詳細な説明において、さらなる特徴及び利点の説明を行う。下記のさらなる特徴及び利点は、当業者であれば、ある程度はその説明からただちに理解するであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって理解するであろう。
【0009】
上述の概略的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図するものであることを理解されたい。
【0010】
また、添付の図面は、さらなる理解のために添付するものであり、本明細書に組み込まれ、その一部をなすものとする。図面は、1つ以上の実施形態を例示的に示すものであり、以下の詳細な説明と併せて、種々の実施形態の原理及び作用を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態に係る、車両内装システムを備える車両内装の斜視図
図2A】例示的な実施形態に係る、ガラス板にディスプレイモジュールとフレームとを取り付けたガラス物品の組み立て方法を示す図
図2B】例示的な実施形態に係る、ガラス板にディスプレイモジュールとフレームとを取り付けたガラス物品の組み立て方法を示す図
図2C】例示的な実施形態に係る、ガラス板にディスプレイモジュールとフレームとを取り付けたガラス物品の組み立て方法を示す図
図3】例示的な一実施形態に係るガラス物品の端部を示す詳細図
図4】例示的な一実施形態に係る、2つのマニピュレータを用いて電子リボンコネクタの位置を調整しながらガラス物品を組み立てる方法を示す模式図
図5】例示的な一実施形態に係る、多関節マニピュレータを用いて電子リボンコネクタの位置を調整しながらガラス物品を組み立てる方法を示す模式図
図6A】例示的な一実施形態に係る、ガラス物品の組み立て中に電子リボンコネクタの位置を調整するために使用される回転式マニピュレータを示す図
図6B】例示的な一実施形態に係る、ガラス物品の組み立て中に電子リボンコネクタの位置を調整するために使用される回転式マニピュレータを示す図
図6C】例示的な一実施形態に係る、ガラス物品の組み立て中に電子リボンコネクタの位置を調整するために使用される回転式マニピュレータを示す図
図7A】例示的な実施形態に係る、電子リボンコネクタが鉛直な配置になったことを判定するために使用されるセンサを示す図
図7B】例示的な実施形態に係る、電子リボンコネクタが鉛直な配置になったことを判定するために使用されるセンサを示す図
図8A】例示的な一実施形態に係る、組み立ての前に、マニピュレータを使用せずに、電子リボンコネクタを鉛直な配置にすることに関連する3つの実施形態のうちの1つを示す図
図8B】例示的な一実施形態に係る、組み立ての前に、マニピュレータを使用せずに、電子リボンコネクタを鉛直な配置にすることに関連する3つの実施形態のうちの1つを示す図
図8C】例示的な実施形態に係る、組み立ての前に、マニピュレータを使用せずに、電子リボンコネクタを鉛直な配置にすることに関連する3つの実施形態のうちの1つを示す図
図9】例示的な一実施形態に係る、電子リボンコネクタに代えてコネクタソケットを有するディスプレイモジュールであって、これにより、組み立て時に電子リボンコネクタの管理を行う必要性がなくなったディスプレイモジュールを示す図
図10】例示的な一実施形態に係るガラス板の幾何学的寸法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、ディスプレイモジュールを備えたガラス物品の組み立て方法及びシステムの種々の実施形態について詳細に説明する。添付の図面は、これら実施形態の例を示すものである。以下でより詳細に説明するように、本開示に係るガラス物品は、1つ以上のディスプレイモジュールを取り付けたガラス板を備えている。複数の実施形態において、ガラス物品のガラス板は、平坦な構成から、冷間成形により湾曲を持たせた状態とした上で、フレームにより、ガラス板を、湾曲した冷間成形構成に保持する。「冷間成形(cold-form)」とは、ガラスの軟化点未満の温度で弾性加工によりガラス板を成形することを意味している。湾曲した冷間成形構成にガラス板を保持するフレームがなければ、ガラス板は、弾性により平坦な構成に戻る。複数の実施形態において、ディスプレイモジュールもやはり冷間成形で、ガラス板の上に形成されるか、あるいは、ガラス板と一緒に冷間成形される。よって、バックライトユニットと一体化されたディスプレイモジュールを有するディスプレイは、分厚くて柔軟性がないため、これらの実施形態においては使用されない。ディスプレイモジュールがバックライトユニットから切り離された状態とされる設計は、「オープンセル(open-cell)」設計と呼ばれるが、ディスプレイモジュールがバックライトから分離しているということは、ディスプレイモジュールからバックライトユニット及び任意の制御回路まで電気接続部を配線する必要があることを意味している。以下で詳細に説明するように、組み立て時にこのような電気接続部の管理を行う従来の方法は、非効率的で手間がかかるものである上、自動化の妨げとなっていた。本開示によれば、フレームのスロット開口への挿入に適した配置に電気接続部を自動的にセットすることにより、組み立てプロセスを効率化する方法及びシステムが提供される。上記及び上記以外の態様及び利点については、以下の記載や図面に示す例示的な実施形態に関する説明を通してより詳細に説明するものとする。なお、これらの実施形態は、説明のために提示するものであり、限定のために提示するものではない。
【0013】
以下の説明では、ガラス物品に関連する背景情報を提示するため、車両内装システムにおける特定の用途に関連させながら、ガラス物品の例示的な実施形態を説明する。図1は、3つの異なる実施形態の車両内装システム20、30、40を備える車両の例示的な内装10を示している。車両内装システム20は、ディスプレイ26を備えた表面24を有するセンターコンソール基部22として図示されている基部を備えている。車両内装システム30は、ディスプレイ36を備えた表面34を有するダッシュボード基部32として図示されている基部を備えている。ダッシュボード基部32は通常、計器盤38を備えており、この計器盤38もディスプレイを備えている場合がある。車両内装システム40は、ディスプレイ46を備えた表面44を有するハンドル基部42として図示されている基部を備えている。1つ以上の実施形態において、車両内装システムは、アームレストや、ピラー、シートバック、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルなどの、ディスプレイを備えた表面を有する車両内装の任意の部分としての基部を備えている。複数の実施形態において、かかる表面は、湾曲した表面又は平坦な表面である。
【0014】
本明細書に記載のガラス物品の実施形態は、中でも特に、車両内装システム20、30、40への使用が可能なガラス物品である。いくつかのそのような実施形態では、本明細書に記載のガラス物品が、ダッシュボードや、センターコンソール、ハンドル、ドアパネルなどにおけるディスプレイを持たない表面まで覆うカバーガラス板を備える場合がある。かかる実施形態では、ガラス材料は、ガラス材料の質量や美的外観などに基づいて選択することができるとともに、隣接する非ガラス部品にガラス部品を視覚的に調和させるようなパターン(例えば、ブラシ仕上げの金属の外観、木目の外観、革の外観、着色のある外観など)を備えた被膜(例えば、インク又は顔料被膜)を施すこともできる。具体的な実施形態では、このようなインク又は顔料被膜は、ディスプレイ26、36、38、46の非アクティブ時に、デッドフロント(deadfront)機能、つまり色を周囲に調和させる(color matching)機能性を発揮できる程度の透明度を有することができる。また、図1には、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)の形態の車両の内装を示しているが、本明細書に開示のガラス物品は、列車、海上船舶(ボート、船舶、潜水艦など)、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)、宇宙船などの他の車両にも組み込むことができる。
【0015】
複数の実施形態において、表面24、34、44は、平ら(平坦)な面(すなわち、10m以上の曲率半径を有する面)とすることができる。あるいは、複数の実施形態において、表面24、34、44は、任意の様々な湾曲形状とすることや、湾曲領域と平坦領域の両方を有する任意の様々な形状とすることもできる。湾曲を有する形状としては、特に、V字形状(2つの平坦領域の間に湾曲領域が挟まれた形状)の面や、C字形状(実質的に連続的に湾曲した形状)の面が挙げられる。図2A図2Cは、ガラス物品50の例示的な組み立て方法を示している。ガラス物品50は、第1の主面54と、第1の主面54とは反対側の第2の主面56と、第1の主面54と第2の主面56とをつなげる副面58とを有するガラス板52を備えている。第1の主面54と第2の主面56により、ガラス板52の厚さTが画定される。複数の実施形態において、ガラス板52の厚さTは、0.3mm~2mm、特に0.5mm~1.1mmである。車両においては、第1の主面54が、車両の乗員に面している。
【0016】
複数の実施形態において、第1の主面54、第2の主面56、又はその両方は、1つ以上の表面処理を含んでいる。第1の主面54及び第2の主面56の一方又は両方に施すことのできる表面処理の例としては、防眩被膜や、反射防止被膜、タッチ機能を提供する被膜、装飾的な(例えば、インク又は顔料の)被膜、易清掃被膜が挙げられる。
【0017】
ガラス物品50はまた、ガラス板52の第2の主面56に取り付けられる1つ以上のディスプレイモジュール60を備えている。複数の実施形態において、ディスプレイモジュール60は、光学的に透明な接着剤62を用いて第2の主面56に取り付けられる。図2Aに見られるように、ガラス板52が平坦な構成にある状態で、ディスプレイモジュール60は第2の主面56に取り付けられる。本開示の実施形態は、オープンセル設計を有するガラス物品50に関しており、従って、本開示の実施形態において利用されるディスプレイモジュール60は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)モジュールなどのバックライトユニットを必要とするものである。
【0018】
次に図2Bを参照すると、ディスプレイモジュール60を取り付けたガラス板52を、チャック66の成形面64に沿って湾曲した構成に曲げる。成形面64は、第1の曲率半径Rを示している。複数の実施形態において、第1の曲率半径Rは、50mm~平坦未満(例えば、10m未満)の曲率半径である。そして、ガラス板52をチャック66上で湾曲した構成に曲げ終えると、様々な適切な力を用いて、ガラス板52を成形面に対して湾曲した構成に保持することができる。かかる適切な力としては、例えば、機械的保持具、第1の主面54と成形面64との間の真空圧、粘着性材料、又はそれらの組み合わせが挙げられる。湾曲した構成のガラス板52は、第1の曲率半径Rから±10%以内、又は±5%以内、又は±2%以内の範囲に収まる第2の曲率半径を示している。
【0019】
なお、図2A及び図2Bでは、ディスプレイモジュール60を平坦な構成のガラス板52に取り付ける様子を示しているが、複数の実施形態において、ディスプレイモジュール60を、湾曲した構成のガラス板52に取り付けることもできる。例えば、ディスプレイモジュール60をガラス板52に取り付ける前に、チャック66の成形面64に沿ってガラス板52を曲げておくこともできる。この方法では、まずガラス板52を冷間成形し、その後、ガラス板52の上でディスプレイモジュール60を冷間成形する。
【0020】
図2Cに示すように、ガラス板52の第2の主面56に接着剤68が塗布される。複数の実施形態において、接着剤68は、ガラス板52の外周部に玉状に付けられる。複数の実施形態において、接着剤68は、強化エポキシ、可撓性エポキシ、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、又はシラン変性ポリマーなどの構造用接着剤である。
【0021】
また、ガラス物品50は、フレーム70をさらに備えている。フレーム70は、ガラス物品50をチャック66から取り外した後に、ガラス板52を湾曲した構成に保持するように構成されている。フレーム70は基板72を備えており、基板72から垂下縁74が延びている。複数の実施形態において、基板72は実質的に連続したパネルであり、他の実施形態では、基板72に、(例えば、後述するようにバックライトユニットを搭載するために)他のパネルを挿入することができる切り欠きが入っている。垂下縁74は、基板72の全周から延びることも、又は外周の一部から延びることもでき、基板72の周方向に連続的に延在しても不連続的に延在してもよい。複数の実施形態において、ガラス物品50(すなわち、第2の主面56、ディスプレイモジュール60、及びフレーム70)の後部を筐体(図示せず)に収容することにより防塵バリアを設けることもできる。さらに、複数の実施形態において、基板72と垂下縁74は一体化されて、1部品構成のフレーム70を成している。他の実施形態では、基板72と垂下縁74とを別体の部品で構成して、フレーム70を2部品構成のフレームとすることもできる。接着剤68を塗布した後、フレーム70をガラス板52の真上の位置にセットし、垂下縁74を接着剤68に接する位置まで下げて、フレーム70をガラス板52に取り付ける。複数の実施形態において、接着剤68が硬化するまで、フレーム70とガラス板52をチャック66上に置いたままとする。複数の実施形態において、硬化した接着剤68の、フレーム70とガラス板52との間における厚さは、0.5mm~3mm、好ましくは約1mmである。
【0022】
図2Cに示すように、フレーム70の基板72には、一方の面にバックライトユニット(backlight unit:BLU)76が搭載され、それとは反対側の面に制御基板78が搭載されている。複数の実施形態において、制御基板78は、バックライトユニット76やディスプレイモジュール60への電流の流れを制御する。従って、制御基板78は、プロセッサ及び電源、並びに、電気エネルギーを受け取ってバックライトユニット76とディスプレイモジュール60に分配するように構成された他の電子部品を内蔵するプリント回路基板とすることができる。
【0023】
図2A図2Cに示すプロセスは、ガラス板52の軟化点未満の温度で行われる場合には、「冷間成形(cold-forming)」プロセスと呼ばれる。冷間成形プロセスでは、ガラス板52は弾性変形により湾曲した構成とされるため、ガラス板52を湾曲した構成に保持する剛性のフレーム70を取り付けなければ、弾性によりガラス板52は図2Aに示す平坦な構成に戻ることになる。複数の実施形態において、フレーム70は、金属材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、又はマグネシウム合金)、プラスチック材料(例えば、PC/ABS)、又は複合材料で作られる。複数の実施形態において、冷間成形は、200℃以下、150℃以下、125℃以下、100℃以下、75℃以下、50℃以下、又は室温以下の温度で行われる。有利なことに、冷間成形の場合、成形プロセスにより(熱間成形プロセスの場合には起こりがちな)表面処理の破壊や損傷を起こしてしまうことを気にすることなく、平坦な構成で表面処理を施すことができる。さらに、冷間成形プロセスは、熱間成形プロセスでは起こりやすい光学的歪みを引き起こしてしまうこともない。
【0024】
図3は、ガラス板52にフレーム70を接合した状態のガラス物品50の端部を示す詳細図である。図3に示すように、ディスプレイモジュール60は、バックライトユニット76及び制御基板78から切り離された状態とされ、ディスプレイモジュール60とバックライトユニット76との間に、隙間(例えば、0.5mm~5mm)が設けられている。また、ディスプレイモジュール60は、制御基板78からディスプレイモジュール60に、電力と制御信号を供給する電子リボンコネクタ80を備えている。電子リボンコネクタ80を制御基板78に接続するため、電子リボンコネクタ80の第1の端部82は、ディスプレイモジュール60に接続され、電子リボンコネクタ80の第2の端部84は、フレーム70の基板72に設けられたスロット開口86を通る。スロット開口86は、フレーム70の第1の側からフレーム70の第2の側まで、基板72を貫通して延在している。複数の実施形態において、電子リボンコネクタ80の第2の端部84は、はんだ接合部88を介して制御基板78に接続される。複数の実施形態において、スロット開口86はフレーム70の垂下縁74に隣接して配置される。フレーム70が2部品構成のアセンブリとされる特定の実施形態では、スロット開口86は、基板72を垂下縁74に接合している接合部に形成することができる。
【0025】
なお、図3には、1本の電子リボンコネクタ80を示しているが、他の実施形態では、ディスプレイモジュール60が、複数本の電子リボンコネクタ80を備えることもできる。このような実施形態では、フレーム70に複数のスロット開口86を設けることができるほか、又は、各電子リボンコネクタ80を制御基板78に接続するために、電子リボンコネクタ80をフレーム70に通すことが可能な大きさの1つのスロット開口86を、フレーム70に設けることもできる。
【0026】
従来のガラス物品の組み立て方法では、接着剤の塗布やフレームとガラス板との接合を行っている間の電子リボンコネクタの管理のために、組み立てプロセスが遅延していた。具体的には、電子リボンコネクタの管理は、以下のように手作業で行われていた。まず、電子リボンコネクタが、ガラス板の外周部に接着剤を塗布する際の邪魔になってしまうことがないように、電子リボンコネクタをディスプレイモジュールの上にテープで留める。次に、基板を垂下縁から分離可能な2部品構成のフレームを接着剤でガラス板に取り付けて、接着剤を硬化させる。それから、電子リボンコネクタを通せるようにフレームの基板を垂下縁から取り外し、電子リボンコネクタをディスプレイモジュールに保持しているテープを剥がして、電子リボンコネクタの第2の端部を取り外す。そして、電子リボンコネクタの第2の端部を、手作業でフレームの基板にあるスロット開口に通し、基板をフレームに垂下縁に接合するのである。
【0027】
本開示の複数の実施形態によれば、電子リボンコネクタ80の第2の端部84をフレーム70の基板72のスロット開口86に自動的に通す方法が提供される。かかる方法は、接着剤68の塗布やフレーム70のガラス板52への接合を妨げることなく行うことが可能である。
【0028】
図4は、電子リボンコネクタ80をフレーム70に通す第1の方法200を示している。第1のステップ202では、ディスプレイモジュール60を取り付けたガラス板52をチャック66の成形面64上に配置する。これにより、電子リボンコネクタ80がガラス板52の縁から延出する。この初期配置では、電子リボンコネクタ80は、ガラス板52の第2の主面56に実質的に平行となる。また、第1のステップ202において、電子リボンコネクタ80の下側である第1の側に接触するまで、第1のマニピュレータ90を上方に移動させる。複数の実施形態において、第1のマニピュレータ90は、成形面64を横切って延在する当接部材と、成形面64の片側又は両側に配置される1本又は2本の支持アームとを備えることができる。支持アームを上昇させることにより、当接部材が電子リボンコネクタ80に接触し、電子リボンコネクタ80を初期配置から持ち上げる。
【0029】
第2のステップ204に見られるように、第1のマニピュレータ90の移動により、電子リボンコネクタ80は、ガラス板52の第2の主面56に交差する方向の、実質的に鉛直な配置とされる。また、第1のマニピュレータ90を移動している間に、自動ディスペンサノズル92を用いて接着剤68のガラス板52への塗布も行う。第3のステップ206では、第2のマニピュレータ94を、電子リボンコネクタ80の第2の側に接触するまで移動させる。第2のマニピュレータ94は、電子リボンコネクタ80を把持して、電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に保持する。複数の実施形態において、第2のマニピュレータ94は、電子リボンコネクタ80の第2の側に吸引力を加えることによって電子リボンコネクタ80を保持する吸盤96で終端する延長アームを備えている。第2のマニピュレータ94が電子リボンコネクタ80を把持すると、第4のステップ208で、第1のマニピュレータ90を引き込む。この間に、第5のステップ210で、ディスペンサノズル92による接着剤68の吐出が完了する。
【0030】
第6のステップ212では、バックライトユニット76を設けたフレーム70をガラス板52の真上の位置にセットして、ガラス板52に向かって下降させる。このとき、第2のマニピュレータ94が電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に保持しており、第2の端部84とスロット開口86の位置は揃っている。そして、電子リボンコネクタ80の第2の端部84より下方までフレーム70の垂下縁74が下降すると、第7のステップ214で第2のマニピュレータ94を引き戻す。図示の通り、第2のマニピュレータ94を引き戻しても、フレーム70の垂下縁74により、電子リボンコネクタ80の鉛直な配置は維持される。第8のステップ216では、フレーム70を下降させることにより、電子リボンコネクタ80の第2の端部84がスロット開口86を通り、フレーム70の垂下縁74が接着剤68に接触する。そして、接着剤68を硬化させてフレーム70をガラス板52に接合し、第9のステップ218で、完成したガラス物品50をチャック66から取り外す。
【0031】
本開示の複数の実施形態によれば、第1の方法200を実施するためのシステムが提供される。複数の実施形態において、システムは、チャック66と、第1のマニピュレータ90と、第2のマニピュレータ94とを備えている。さらなる実施形態では、システムは、接着剤68を塗布するためのディスペンサノズル92を備えている。さらに他の実施形態では、システムは、ピックアンドプレースによりフレーム70をチャック66の真上に配置するロボットアームを備えている。これに加えて、複数の実施形態において、システムは、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置になったことの検出、チャック66に対するフレーム70の位置の検出、又はその両方を行うためのセンサ(例えば、図7A及び図7Bに示す)をさらに備えている。
【0032】
図5は、電子リボンコネクタ80をフレーム70に通す第2の方法300を示している。第1のステップ302では、ディスプレイモジュール60を取り付けたガラス板52をチャック66の成形面64上に配置する。これにより、電子リボンコネクタ80がガラス板52の縁から延出する。この初期配置では、電子リボンコネクタ80は、ガラス板52の第2の主面56に実質的に平行となる。そして、第2のステップ304で、自動ディスペンサノズル92を用いて接着剤68をガラス板52に塗布する。第3のステップ306では、多関節マニピュレータ98が電子リボンコネクタ80の第2の側を把持する。多関節マニピュレータ98は、第1の関節100と第2の関節102とを備えており、これにより、第1の作動アーム部材104と、第2の作動装置アーム部材106と、把持要素(吸盤96など)と連結する2関節リンクを形成している。第4のステップ308では、多関節マニピュレータ98を作動させることにより、電子リボンコネクタ80を、第2の主面56に実質的に平行な配置から、ガラス板52の第2の主面56に交差する方向の、実質的に鉛直な配置となるまで引く。複数の実施形態において、多関節マニピュレータ98の作動は、電子式、空気圧式、油圧式、又はそれらの組み合わせにより行われる。そして、電子リボンコネクタ80を鉛直な配置とした状態で、第5のステップ310で、ディスペンサノズル92を用いて接着剤68の塗布を完了させる。
【0033】
方法300の残りの部分は、図4の方法200と同様である。すなわち、第6のステップ312では、バックライトユニット76を設けたフレーム70をガラス板52の真上の位置にセットして、ガラス板52に向かって下降させる。このとき、多関節マニピュレータ98が電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に保持しており、第2の端部84とスロット開口86の位置は揃っている。そして、電子リボンコネクタ80の第2の端部84より下方までフレーム70の垂下縁74が下降すると、第7のステップ314で多関節マニピュレータ98を引き戻す。第8のステップ316では、フレーム70を下降させることにより、電子リボンコネクタ80の第2の端部84がスロット開口86を通り、フレーム70の垂下縁74が接着剤68に接触する。そして、接着剤68を硬化させてフレーム70をガラス板52に接合し、第9のステップ318で、ガラス物品50をチャック66から取り外す。
【0034】
本開示の複数の実施形態によれば、第2の方法300を実施するためのシステムが提供される。複数の実施形態において、システムは、チャック66と、多関節マニピュレータ98とを備えている。さらなる実施形態では、システムは、接着剤68を塗布するためのディスペンサノズル92を備えている。さらに他の実施形態では、システムは、ピックアンドプレースによりフレーム70をチャック66の真上に配置するロボットアームを備えている。これに加えて、複数の実施形態において、システムは、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置になったことの検出、チャック66に対するフレーム70の位置の検出、又はその両方を行うためのセンサ(例えば、図7A及び図7Bに示す)をさらに備えている。
【0035】
図6A図6Cは、回転式マニピュレータ108の一実施形態を示している。回転式マニピュレータ108は、第1の方法200のように、第2のマニピュレータ94などの他のマニピュレータと組み合わせて使用することができるほか、第2の方法300のように、回転式マニピュレータ108を単独で使用することもできる。図6Aに示すように、回転式マニピュレータ108は回転中心110を備えている。回転中心110は、成形面64上の、ガラス板52の副面58に隣接する位置に配置される。そして、回転中心110から第1のアーム112が延び、第1のアーム112から実質的に垂直に、第2のアーム114が延びている。回転中心110を中心に第1のアーム112が回転すると、第2のアーム114が電子リボンコネクタ80を持ち上げて、電子リボンコネクタ80は図6Bに示すような鉛直な配置となる。図6Cは、成形面64の平面図を示している。図6Cに見られるように、第1のアーム112が、回転中心110からガラス板52の縁より遠くまで延びるとともに、第2のアーム114が、第1のアーム112からガラス板52の縁に沿って延びており、これにより、ガラス板の縁に沿って各電子リボンコネクタ80を持ち上げるようになっている。図6Cには、回転中心110から第1のアーム112に対して垂直に延びるスピンドル116も示されている。複数の実施形態において、スピンドル116の駆動は、例えば、リニア式又は回転式のアクチュエータ又はモータにより行われる。上述した実施形態と同様に、ガラス板52への接着剤68の自動塗布と、フレーム70に取り付ける配置への電子リボンコネクタ80のセットとを同時に行うことができる。
【0036】
複数の実施形態において、電子リボンコネクタ80を鉛直な配置にセットするシステムは、チャック66と、回転式マニピュレータ108と、を備えている。さらなる実施形態では、システムは、接着剤68を塗布するためのディスペンサノズル92を備えている。さらに他の実施形態では、システムは、ピックアンドプレースによりフレーム70をチャック66の真上に配置するロボットアームを備えている。これに加えて、複数の実施形態において、システムは、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置になったことの検出、チャック66に対するフレーム70の位置の検出、又はその両方を行うためのセンサ(例えば、図7A及び図7Bに示す)をさらに備えている。
【0037】
図7A及び図7Bは、ガラス物品の組み立て方法及びシステムの自動制御を支援するように構成されたセンサを示している。図7Aを参照すると、センサは、ビーム120を有するレーザ装置118である。電子リボンコネクタ80が鉛直な配置にある場合には、電子リボンコネクタ80がビーム120を遮断することにより、センサは、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置にあることを検出することができる。図7Bは、距離センサ122の形態をとる他のセンサを示している。距離センサ122は、発信器124と受信器126とを有しており、例えば、超音波などを利用して物体を検出するように構成されている。また、フォトセンサ、カメラ、マニピュレータのリミットセンサなどの他のセンサを利用して、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置まで移動し終えたことを検出することもできる。システムは、電子リボンコネクタ80が鉛直な配置にあることを検出することにより、これをトリガにして、フレーム70をガラス板52まで下降させるステップ、鉛直な配置に移動するまで電子リボンコネクタ80が覆っていたガラス板52の領域に対して接着剤68を吐出するステップ、又はその両方を行うことができる。さらに、フレーム70の垂下縁74が電子リボンコネクタの第2の端部84を通過すると、これをトリガにして、システムは、電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に保持しているマニピュレータ(例えば、多関節マニピュレータ98)を引き戻すステップを行うこともできる。
【0038】
図8A図8Cは、マニピュレータを使用せずに電子リボンコネクタ80を鉛直な配置とするための実施形態を示している。図8Aに示す実施形態では、電子リボンコネクタ80は、ディスプレイモジュール60の縁から水平方向に延びるのではなく、鉛直方向の向きとなるようにディスプレイモジュール60に取り付けられている。図8Bは、ディスプレイモジュール60及び電子リボンコネクタ80に、ポリイミドテープ又はアルミニウムテープなどの硬質テープ128を貼ることにより、電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に保持する様子を示している。また、図8Cは、電子リボンコネクタ80が延出している側のディスプレイモジュール60の縁に近接した位置で、ガラス板52の第2の主面56にくさび130を取り付け、このくさび130を用いて電子リボンコネクタ80を鉛直な配置に支える様子を示している。複数の実施形態において、くさび130はポリマー材料で作られている。さらに、複数の実施形態において、くさび130は接着剤で所定の位置に保持される。特定の実施形態では、フレーム70が、電子リボンコネクタ80を鉛直に保持することができる位置に達したときに、ガラス板52の第2の主面からくさび130が取り外される。
【0039】
図9は、ガラス物品50の組み立て中の電子リボンコネクタ80の管理を行うという課題に対する他の解決方法を示している。特定的には、図9の実施形態は、ガラス板52の第2の主面56に交差する方向(特定的には、垂直)に入れた電子リボンコネクタ80を受けるように配置されたコネクタソケット132を有するディスプレイモジュール60を利用するものである。図9の実施形態によれば、電子リボンコネクタ80の一端を制御基板78に接続した上で、フレーム70をガラス板52に組み付ける。これにより、フレーム70がガラス板52に取り付けられるまでは、電子リボンコネクタ80の管理を行う必要がなくなる。フレーム70をガラス板52に取り付けた後に、電子リボンコネクタ80の自由端部をフレーム70のスロット開口86に通して、コネクタソケット132に挿入するのみでよい。
【0040】
以上、ガラス物品50の組み立て方法及びシステムの実施形態について説明した。以下では、ガラス板52の特性及び組成をより詳細に説明する。図10を参照すると、ガラス物品50のガラス板52のさらに詳細な構造が図示、説明されている。上述したように、ガラス板52は、第1の主面54と第2の主面56との間の距離として画定される、実質的に一定な厚さTを有している。種々の実施形態において、Tは、ガラス板の平均厚さ又は最大厚さを指すことができる。さらに、ガラス板52は、第1の主面54又は第2の主面56のうちの一方における、厚さTに直交する第1の最大寸法として画定される幅Wと、第1の主面54又は第2の主面56のうちの一方における、厚さと幅の両方に直交する第2の最大寸法として画定される長さLと、を有している。他の実施形態では、Wをガラス板52の平均幅、Lをガラス板52の平均長さとすることもできる。
【0041】
種々の実施形態において、平均又は最大厚さTは、0.3mm~2mmの範囲にある。種々の実施形態において、幅Wは5cm~250cmの範囲にあり、長さLは約5cm~約1500cmの範囲にある。上述したように、ガラス板52の曲率半径は、約50mm以上である。
【0042】
複数の実施形態において、ガラス板52は強化ガラスとすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス板52は、表面から圧縮深さ(depth of compression:DOC)まで延在する圧縮応力を含むように強化することができる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中心部分と釣り合っている。圧縮深さは、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に応力が変化する深さである。
【0043】
種々の実施形態において、ガラス板物品内における熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域と引張応力を示す中心領域とを作り出すことによって、ガラス板52を機械的に強化することができる。いくつかの実施形態では、ガラス転移点を上回る温度までガラスを加熱し、その後急冷することによって、ガラス板を熱的に強化することもできる。
【0044】
種々の実施形態では、イオン交換によってガラス板52を化学的に強化することもできる。イオン交換プロセスでは、ガラス板の表面又はその近傍にあるイオンが、価数や酸化状態の等しいより大きなイオンに置換される。ガラス板がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含む実施形態では、物品の表層部のイオン及びこれより大きなイオンは、Li、Na、K、Rb、Csなどの一価のアルカリ金属カチオンである。あるいは、これに代えて、表層部中の一価のカチオンを、Agなどの、アルカリ金属カチオンとは異なる一価のカチオンに置換することもできる。かかる実施形態では、イオン交換によりガラス板に導入された一価のイオン(カチオン)により応力が発生する。
【0045】
イオン交換プロセスは、通常、ガラス板中の小さいイオンと置換されることになる大きいイオンを含有する溶融塩浴(又は2つ以上の溶融塩浴)にガラス板を浸漬することにより行われる。なお、水性塩浴を利用することもできることに留意されたい。また、(1つ以上の)浴の組成に含まれる大きなイオンは、2種類以上(例えば、Na及びK)であってもよく、あるいは1種類であってもよい。イオン交換プロセスのパラメータとしては、浴の組成と温度、浸漬時間、(1つ以上の)塩浴へのガラス板の浸漬回数、複数の塩浴の使用、アニール工程や洗浄工程などの追加工程が挙げられるが、これらに限定されない。そして、当業者であれば、かかるイオン交換プロセスのパラメータが、通常、ガラス板の組成(物品の構造や存在する結晶相を含む)、並びに強化の結果として望まれるガラス板の圧縮深さ及び圧縮応力によって定められることが理解されよう。例示的な溶融浴組成物としては、大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、塩化物を挙げることができる。代表的な硝酸塩としては、KNO、NaNO、LiNO、NaSO、及びそれらの組み合わせが挙げられる。溶融塩浴の温度は通常、約380℃~約450℃の範囲であり、浸漬時間は、ガラス板の厚さ、浴の温度、ガラス(つまり、一価イオン)の拡散性に応じて、約15分~約100時間の範囲で決まる。ただし、上記とは異なる温度や浸漬時間を用いることもできる。
【0046】
1つ以上の実施形態において、ガラス板52は、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO溶融塩浴、100%KNO溶融塩浴、又はNaNOとKNOとを組み合わせた溶融塩浴に浸漬することができる。いくつかの実施形態では、ガラス板は、約5%~約90%のKNOと、約10%~約95%のNaNOとを含む溶融混合塩浴に浸漬することができる。1つ以上の実施形態において、ガラス板を第1の浴に浸漬した後に、第2の浴に浸漬することもできる。第1の浴と第2の浴は、互いに異なる組成及び/又は温度を有することができる。浸漬時間も、第1の浴と第2の浴との間で変えることができる。例えば、第2の浴槽への浸漬に比べて、第1の浴槽への浸漬を長くすることもできる。
【0047】
1つ以上の実施形態において、約420℃未満(例えば、約400℃又は約380℃)の温度を有する、NaNOとKNOと(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%で)を含む溶融混合塩浴に、ガラス板を約5時間未満、又さらには約4時間未満浸漬することができる。
【0048】
イオン交換条件は、イオン交換により得られるガラス板の表面又はその近傍において、「スパイク(spike)」の生成や、応力プロファイルの勾配上昇を生じさせるように調整することができる。スパイクによって、表面圧縮応力値をより大きくすることができる。このスパイクは、本明細書に記載のガラス板に用いられるガラス組成物が有する特異的な特性により、1つの浴又は複数の浴(各浴は、単一の組成物を有していても混合組成物を有していてもよい)によって生成することができる。
【0049】
イオン交換により2種類以上の一価イオンをガラス板に導入する1つ以上の実施形態において、イオン交換によりガラス板内のどの深さまで導入するかを、一価イオンの種類ごとに変えることができる(ひいては、生じる応力の大きさをガラス板内の深さによって変化させることができる)。その結果得られる、応力発生源となる各イオンの相対的な深さは特定することができ、かかるイオンの深さの相対関係によって、得られる応力プロファイルの特性も異なる。
【0050】
圧縮応力は、当技術分野において公知の手段、例えば、有限会社折原製作所(日本)製のFSM-6000などの市販の機器を用いて、表面応力計(FSM)で測定することができる。表面応力を測定するためには、ガラスの複屈折に関係している応力光学係数(stress optical coefficient:SOC)の正確な測定が必要となる。また、応力光学係数は、ファイバ法、4点曲げ法、バルクシリンダ法などの当技術分野において公知の方法により測定される。ファイバ法及び4点曲げ法については、いずれもASTM規格C770-98(2013)「ガラスの応力光学係数測定の標準試験法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」に記載されており、本記載のすべての内容は、参照により本明細書に援用するものとする。本明細書において用いられる「圧縮応力」は、圧縮応力層内で測定された最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力(maximum compressive stress)」とすることができる。いくつかの実施形態では、最大圧縮応力の位置は、ガラス板の表面にある。他の実施形態では、最大圧縮応力が生じる位置を、表面より下方の深さ位置とすることもでき、その場合の圧縮応力プロファイルは、「ピークが奥にある状態(buried peak)」の様相を呈する。
【0051】
圧縮深さ(圧縮深さ)は、FSM又は散乱光偏光器(scattered light polariscope:SCALP)(エストニアのタリンに拠点を置くGlasStress Ltd.社から入手可能な散乱光偏光器SCALP-04など)により測定することができ、測定方法は、ガラス強化の方法や条件に応じて決定することができる。ガラス板をイオン交換処理により化学強化する場合に、FSMとSCALPのいずれを使用するかは、ガラス板に交換するイオンの種類によって決めることができる。ガラス板内の応力発生が、カリウムイオンをガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはFSMを用いて測定される。一方、応力発生が、ナトリウムイオンをガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはSCALPを用いて測定される。また、ガラス板内の応力発生が、カリウムイオンとナトリウムイオンの両方をガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはSCALPを用いて測定される。これは、イオン交換によるナトリウムの導入深さが圧縮深さを示し、イオン交換によるカリウムイオンの導入深さは、圧縮応力の大きさの変化を示す(が、圧縮応力から引張応力への応力の変化は示していない)と考えられるためである。「中心張力(central tension:CT)」は、最大引張応力であり、SCALPにより測定される。
【0052】
1つ以上の実施形態において、ガラス板は、或る圧縮深さを示すまで強化することができる。この圧縮深さは、(本明細書で記載しているように)ガラス板の厚さTに対する比率で表記することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、圧縮深さは、約0.05T~約0.25Tの範囲内とすることができる。場合によっては、圧縮深さは、約20μm~約300μmの範囲内とすることができる。1つ以上の実施形態において、強化ガラス板52の圧縮応力は、約200MPa以上、約500MPa以上、又は約1050MPa以上とすることができる(この圧縮応力は、ガラス板の表面で得られるか又はガラス板内の或る深さで得られるものである)。1つ以上の実施形態において、強化ガラス板の最大引張応力(中心張力(CT))は、約20MPa~約100MPaの範囲内とすることができる。
【0053】
ガラス板52として使用するのに適したガラス組成物としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラス、及びアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0054】
特に断りのない限り、本明細書に開示のガラス組成物は、酸化物基準で分析したモルパーセント(モル%)で記載している。
【0055】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むSiOの量を、約66モル%~約80モル%の範囲内とすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むAlの量は、約3モル%~約15モル%である。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、アルミノケイ酸塩ガラス物品として、又はアルミノケイ酸塩ガラス組成物を含むものとして記載される。かかる実施形態では、ガラス組成物又は当該ガラス組成物から形成される物品は、SiOとAlとを含んでおり、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスではない。
【0056】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むBの量は、約0.01モル%~約5モル%の範囲内である。ただし、1つ以上の実施形態においては、ガラス組成物は、Bを実質含まない。本明細書において、「実質含まない(substantially free)」という表現を組成物の成分に対して用いている場合には、当該成分が、当初のバッチ配合時に積極的又は意図的に組成物に添加されているということはないが、不純物として約0.001モル%未満の量で存在している可能性があることを意味している。
【0057】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、任意選択的に、約0.01モル%~2モル%の量のPを含むことができる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、Pを実質含まない。
【0058】
1つ以上の実施形態において、LiO、NaO、KO、RbO、CsOなどのアルカリ金属酸化物の総量をROとした場合に、ガラス組成物が含むROの総量は、約8モル%~約20モル%の範囲内とすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、RbO及びCsOのいずれか又は両方を実質含まないものとすることができる。1つ以上の実施形態において、ROを、LiO、NaO、及びKOのみの総量で構成することもできる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、LiO、NaO、及びKOから選択される少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含み、当該アルカリ金属酸化物は、約8モル%超又はそれ以上の量で存在することができる。
【0059】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むNaOの量は、約8モル%~約20モル%の範囲内である。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むKOの量は、約0モル%~約4モル%の範囲内である。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、KOを実質含まないものとすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、LiOを実質含まない。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物において、NaOの量を、LiOの量よりも多い量とすることができる。場合によっては、NaOの量を、LiOとKOの合計量よりも多い量とすることもできる。また、1つ以上の代替的な実施形態では、ガラス組成物において、LiOの量を、NaOの量よりも多い量、又はNaOとKOの合計量よりも多い量とすることもできる。
【0060】
1つ以上の実施形態において、CaO、MgO、BaO、ZnO、SrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量をROとした場合に、ガラス組成物が含むROの総量は、約0モル%~約2モル%の範囲内とすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むCaOの量は、約1モル%未満である。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、CaOを実質含まない。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含むMgOの量は、約0モル%~約7モル%である。
【0061】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むZrOの量は、約0.2モル%以下である。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物が含むSnOの量は、約0.2モル%以下である。
【0062】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、ガラス物品に色(color)又は色合い(tint)を付与する酸化物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝されることによって退色してしまうことを防ぐ酸化物を含む。限定されるものではない、かかる酸化物の例として、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、Moの酸化物が挙げられる。
【0063】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物はFe(Feと表記)を含む。Feは最大1モル%の量で存在する。ガラス組成物がTiOを含む場合、TiOは約5モル%以下の量で存在することができる。
【0064】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAlと、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNaOと、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のKOと、及び約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOとを含む。任意選択的に、SnOを、本明細書に開示している量とは異なる量で含むこともできる。なお、上記のガラス組成物についての各段落では、おおよその範囲を表しているが、他の実施形態では、上述した数値範囲のいずれか1つに厳密に該当する任意のガラス組成物からガラス板52を作ることができることを理解されたい。
【0065】
以下の態様を考慮することにより、本開示の実施形態をさらに深く理解することができる。
【0066】
態様(1)は、ガラス物品の組み立て方法を含む。ガラス物品は、ディスプレイモジュールとガラス板とを備えている。ガラス板は、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有している。ディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられている。本方法は、ディスプレイモジュールに接続された第1の端部、及び第2の自由端部を有する電子リボンコネクタを、ガラス板の第2の主面に交差する方向の鉛直な配置にセットするステップと、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤を塗布するステップと、垂下縁及び当該垂下縁に隣接して配置されるスロット開口を備えるフレームを、ガラス板の第2の主面の真上に配置するステップと、電子リボンコネクタの第2の自由端部がスロット開口を通って延びるように、且つフレームの垂下縁が接着剤に接触するまで、フレームをガラス板の第2の主面に向かって移動させるステップと、を含む。
【0067】
態様(2)は、配置にセットするステップが、電子リボンコネクタの第2の自由端部を、第1のマニピュレータで第1の側から持ち上げて、鉛直な配置にセットするステップと、電子リボンコネクタを第2のマニピュレータで第1の側とは反対側の第2の側から保持するステップとを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0068】
態様(3)は、第2のマニピュレータが吸盤を備え、保持するステップが、電子リボンコネクタの第2の側を吸引するステップを含む、態様(2)に記載の方法を含む。
【0069】
態様(4)は、フレームの垂下縁が電子リボンコネクタの第2の自由端部を通過すると、第2のマニピュレータを引き込むステップをさらに含み、フレームを移動させるステップ中に、電子リボンコネクタの第2の自由端部が垂下縁に当接する、態様(2)~(3)のいずれかに記載の方法を含む。
【0070】
態様(5)は、配置にセットするステップが、ガラス板の第2の主面に実質的に平行な初期配置にある電子リボンコネクタを、多関節マニピュレータに接触させるステップと、電子リボンコネクタを掴むステップと、電子リボンコネクタを鉛直な配置に移動させるように、多関節マニピュレータを引き込むステップと、を含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0071】
態様(6)は、多関節マニピュレータが吸盤を備え、掴むステップが、電子リボンコネクタを吸引するステップを含む、態様(5)に記載の方法を含む。
【0072】
態様(7)は、多関節マニピュレータが、2関節リンクを備える、態様(5)~(6)のいずれかに記載の方法を含む。
【0073】
態様(8)は、配置にセットするステップが、回転式マニピュレータで電子リボンコネクタを持ち上げるステップを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0074】
態様(9)は、ガラス板が、第1の主面と第2の主面とをつなげる副面を備え、回転式マニピュレータが、副面に隣接する回転関節と、回転関節から延びる第1のアームと、第1のアームから垂直に延びる第2のアームとを備え、持ち上げるステップが、第2のアームによって弧を描くように電子リボンコネクタを持ち上げて鉛直な配置にセットするように、回転関節で回転式マニピュレータを回転させるステップを含む、態様(8)に記載の方法を含む。
【0075】
態様(10)は、電子リボンコネクタが鉛直な配置にあることを、センサを用いて判定するステップをさらに含む、態様(1)~(9)のいずれかに記載の方法を含む。
【0076】
態様(11)は、センサが、距離センサ、フォトセンサ、レーザセンサ、リミットセンサ、及びカメラからなる群から選択される、態様(1)に記載の方法を含む。
【0077】
態様(12)は、配置にセットするステップが、電子リボンコネクタを鉛直な向きでディスプレイモジュールに取り付けるステップを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0078】
態様(13)は、配置にセットするステップが、電子リボンコネクタをテープで鉛直な配置に留めるステップを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0079】
態様(14)は、配置にセットするステップが、ガラス板の第2の主面に取り付けられたくさびを用いて電子リボンコネクタを鉛直な配置に支えるステップを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0080】
態様(15)は、配置にセットするステップの前に、ガラス板が平坦な構成である状態で、ディスプレイモジュールをガラス板の第2の主面に接着するステップと、ガラス板をチャックの成形面に沿って曲げるステップとをさらに含む、態様(1)~(14)のいずれかに記載の方法を含む。
【0081】
態様(16)は、曲げるステップにより、ガラス板とディスプレイモジュールの両方に湾曲を形成する、態様(15)に記載の方法を含む。
【0082】
態様(17)は、フレームにバックライトユニットが搭載されており、接着剤に接触するまでフレームの垂下縁を移動させると、バックライトユニットとディスプレイモジュールとの間に隙間が設けられる、態様(1)~(16)のいずれかに記載の方法を含む。
【0083】
態様(18)は、フレームに制御基板が搭載されており、方法が、電子リボンコネクタの第2の自由端部を制御基板に電気的に接続するステップをさらに含む、態様(1)~(17)のいずれかに記載の方法を含む。
【0084】
態様(19)は、ガラス物品を組み立てるためのシステムを含む。ガラス物品は、ガラス板と、ディスプレイモジュールと、フレームとを備える。ガラス板は、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有している。ディスプレイモジュールは、電子リボンコネクタを備え、ガラス板の第2の主面に取り付けられる。フレームは、スロット開口を備え、第2の主面に取り付けられる。本システムは、チャックと、ディスペンサノズルと、少なくとも1つのマニピュレータと、を備える。チャックは、湾曲を画成する成形面であって、ガラス板は成形面に合わせて曲げられるように構成されている、成形面を有する。ディスペンサノズルは、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤を塗布するように構成されている。少なくとも1つのマニピュレータは、接着剤にフレームが接触するまでフレームを下降させることができるように、且つフレームのスロット開口に電子リボンコネクタの端部が挿入されるように、電子リボンコネクタを鉛直な配置に移動させるように構成されている。
【0085】
態様(20)は、少なくとも1つのマニピュレータが、電子リボンコネクタの端部を第1の側から持ち上げて、鉛直な配置にセットするように構成された第1のマニピュレータと、第1の側とは反対側の第2の側から、電子リボンコネクタを鉛直な配置に保持するように構成された第2のマニピュレータと、を含む、態様(19)に記載のシステムを含む。
【0086】
態様(21)は、第2のマニピュレータが、電子リボンコネクタの第2の側を吸引するように構成された吸盤を備える、態様(20)に記載のシステムを含む。
【0087】
態様(22)は、少なくとも1つのマニピュレータが、ガラス板の第2の主面に実質的に平行な配置にある電子リボンコネクタを掴み、電子リボンコネクタを引き込んで鉛直な配置にセットするように構成された多関節マニピュレータを含む、態様(19)に記載のシステムを含む。
【0088】
態様(23)は、多関節マニピュレータが、電子リボンコネクタを吸引するように構成された吸盤を備える、態様(22)に記載のシステムを含む。
【0089】
態様(24)は、多関節マニピュレータが、2関節リンクを備える、態様(22)又は(23)に記載のシステムを含む。
【0090】
態様(25)は、少なくとも1つのマニピュレータが、回転式マニピュレータを含む、態様(19)に記載のシステムを含む。
【0091】
態様(26)は、ガラス板が、第1の主面と第2の主面とをつなげる副面を備え、回転式マニピュレータが、成形面上の、副面に隣接する位置に配置された回転関節と、回転関節から延びる第1のアームと、第1のアームから垂直に延びる第2のアームと、を備え、回転式マニピュレータが、第2のアームによって弧を描くように電子リボンコネクタを持ち上げて鉛直な配置にセットするように、回転関節で回転されるように構成されている、態様(25)に記載のシステムを含む。
【0092】
態様(27)は、電子リボンコネクタが鉛直な配置に達したことを判定するように構成されたセンサをさらに備える、態様(19)~(26)のいずれかに記載のシステムを含む。
【0093】
態様(28)は、センサが、距離センサ、フォトセンサ、レーザセンサ、リミットセンサ、及びカメラからなる群から選択される、態様(27)に記載のシステムを含む。
【0094】
態様(29)は、ガラス物品の組み立て方法を含む。ガラス物品は、ディスプレイモジュールとガラス板とを備えている。ガラス板は、第1の主面及び当該第1の主面とは反対側の第2の主面を有している。ディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられており、第2の主面に交差する方向に配置されたコネクタソケットを備えている。本方法は、ディスプレイモジュールを囲むように、ガラス板の第2の主面に接着剤を塗布するステップと、垂下縁及び当該垂下縁に隣接して配置されるスロット開口を備えるフレームを、ガラス板の第2の主面の真上に配置するステップと、スロット開口がディスプレイモジュールのコネクタソケットの真上の位置にセットされ、フレームの垂下縁が接着剤に接触するまで、フレームをガラス板の第2の主面に向かって移動させるステップと、電子リボンコネクタの第1の端部をスロット開口に挿入するステップと、電子リボンコネクタの第1の端部をコネクタソケットに差し込むステップと、を含む。
【0095】
態様(30)は、ガラス板と、ディスプレイモジュールと、一体型フレームと、バックライトユニットと、を備えるガラス物品を含む。ガラス板は、第1の主面及び第2の主面を有しており、第2の主面は、第1の主面とは反対側の面である。ディスプレイモジュールは、ガラス板の第2の主面に取り付けられている。ディスプレイモジュールは、電子リボンコネクタを備えている。一体型フレームは、基板と、垂下縁と、スロット開口とを備えており、スロット開口は、基板を貫通して延在し、垂下縁に隣接して配置されている。バックライトユニットは、一体型フレームの、ディスプレイモジュールに面している第1の側に搭載されている。一体型フレームの垂下縁は、ガラス板の第2の主面に接着される。ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの間には、隙間が設けられる。電子リボンコネクタは、ディスプレイモジュールから、一体型フレームのスロット開口を通り、一体型フレームの第1の側とは反対側の第2の側まで延びている。
【0096】
態様(31)は、ディスプレイモジュールが液晶ディスプレイモジュールである、態様(30)のガラス物品を含む。
【0097】
態様(32)は、ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの隙間が0.5mm~5mmである、態様(30)~(31)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0098】
態様(33)は、一体型フレームの第2の側に設けられた制御基板をさらに備え、電子リボンコネクタの端部が制御基板に接続されている、態様(30)~(32)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0099】
態様(34)は、ガラス板が、弾性曲げにより湾曲した形状とされ、ガラス板の湾曲した形状を一体型フレームにより維持する、態様(30)~(33)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0100】
態様(35)は、一体型フレームが、金属材料、プラスチック材料、又は複合材料である、態様(30)~(34)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0101】
態様(36)は、第1の主面、第2の主面、又は第1の主面及び第2の主面の両方が、表面処理を含んでいる、態様(30)~(35)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0102】
態様(37)は、表面処理が、防眩被膜、反射防止被膜、タッチ機能を提供する被膜、装飾的な被膜、及び易清掃被膜からなる群から選択される、態様(36)に記載のガラス物品を含む。
【0103】
態様(38)は、ガラス板は、第1の主面と第2の主面の間に、0.3mm~2mmの厚さを有している、態様(30)~(37)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0104】
態様(39)は、ディスプレイモジュールが、ディスプレイモジュールと電子リボンコネクタとの間に介在するコネクタソケットを備え、コネクタソケットが、ガラス板の第2の主面に交差する方向に配置され、電子リボンコネクタの一端部が、コネクタソケットに差し込まれる、態様(30)~(38)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0105】
態様(40)は、電子リボンコネクタが、ディスプレイモジュールからガラス板の第2の主面に交差する方向に延びる、態様(30)~(38)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0106】
態様(41)は、ディスプレイモジュールと電子リボンコネクタとに接着されたテープをさらに備え、当該テープにより電子リボンコネクタを第2の主面に交差する方向の状態に保持している、態様(30)~(38)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0107】
態様(42)は、ガラス板の第2の主面に取り付けられたくさびをさらに備え、当該くさびにより電子リボンコネクタを第2の主面に交差する方向の状態に支えている、態様(30)~(38)のいずれかに記載のガラス物品を含む。
【0108】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、各ステップ(工程)を特定の順序で実施することを要請していると解釈されることを意図するものではない。従って、方法クレームにおいてそのステップの順序を実際に記載している場合を除き、又は、各ステップが特定の順序に限定される旨の他の記載が請求の範囲又は発明の詳細な説明において明確になされている場合を除き、各ステップの特定の順序が推測されることは、それがいかなる順序であっても意図していない。さらに、本明細書において、冠詞「a」は、1つ又は2つ以上の構成要素又は要素を含むことを意図しており、「1つだけ」を意味するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0109】
当業者であれば、本開示の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、種々の変形及び変更を行うことができることは明らかであろう。当業者であれば、本開示の実施形態の意図及び趣旨を盛り込んだ上で、これらの実施形態の変形、組み合わせ、部分的組み合わせ、及び変更を想到することができると考えられるため、本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるすべてを含むと解釈すべきものである。
【0110】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0111】
実施形態1
第1の主面及び該第1の主面とは反対側の第2の主面を有するガラス板と、ディスプレイモジュールと、を備えるガラス物品の組み立て方法であって、
前記ガラス板の前記第2の主面に取り付けられている前記ディスプレイモジュールに接続された第1の端部、及び第2の自由端部を有する電子リボンコネクタを、前記ガラス板の前記第2の主面に交差する方向の鉛直な配置にセットするステップと、
前記ディスプレイモジュールを囲むように、前記ガラス板の前記第2の主面に接着剤を塗布するステップと、
垂下縁及び該垂下縁に隣接して配置されるスロット開口を備えるフレームを、前記ガラス板の前記第2の主面の真上に配置するステップと、
前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部が前記スロット開口を通って延びるように、且つ前記フレームの前記垂下縁が前記接着剤に接触するまで、前記フレームを前記ガラス板の前記第2の主面に向かって移動させるステップと、
を含む方法。
【0112】
実施形態2
前記配置にセットするステップが、
前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部を、第1のマニピュレータで第1の側から持ち上げて、前記鉛直な配置にセットするステップと、
前記電子リボンコネクタを第2のマニピュレータで前記第1の側とは反対側の第2の側から保持するステップと、
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0113】
実施形態3
前記第2のマニピュレータが吸盤を備え、
前記保持するステップが、前記電子リボンコネクタの前記第2の側を吸引するステップを含む、実施形態2に記載の方法。
【0114】
実施形態4
前記フレームの前記垂下縁が前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部を通過すると、前記第2のマニピュレータを引き込むステップをさらに含み、
前記フレームを移動させるステップ中に、前記電子リボンコネクタの前記第2の自由端部が前記垂下縁に当接する、実施形態2又は3に記載の方法。
【0115】
実施形態5
前記配置にセットするステップが、
前記ガラス板の前記第2の主面に実質的に平行な初期配置にある前記電子リボンコネクタを、多関節マニピュレータに接触させるステップと、
前記電子リボンコネクタを掴むステップと、
前記電子リボンコネクタを前記鉛直な配置に移動させるように、前記多関節マニピュレータを引き込むステップと、
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0116】
実施形態6
前記多関節マニピュレータが吸盤を備え、
前記掴むステップが、前記電子リボンコネクタを吸引するステップを含む、実施形態5に記載の方法。
【0117】
実施形態7
前記多関節マニピュレータが、2関節リンクを備える、実施形態5又は6に記載の方法。
【0118】
実施形態8
前記配置にセットするステップが、回転式マニピュレータで前記電子リボンコネクタを持ち上げるステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0119】
実施形態9
前記ガラス板が、前記第1の主面と前記第2の主面とをつなげる副面を備え、
前記回転式マニピュレータが、前記副面に隣接する回転関節と、前記回転関節から延びる第1のアームと、前記第1のアームから垂直に延びる第2のアームとを備え、
前記持ち上げるステップが、前記第2のアームによって弧を描くように前記電子リボンコネクタを持ち上げて前記鉛直な配置にセットするように、前記回転関節で前記回転式マニピュレータを回転させるステップを含む、実施形態8に記載の方法。
【0120】
実施形態10
前記電子リボンコネクタが前記鉛直な配置にあることを、センサを用いて判定するステップをさらに含み、
前記センサは、距離センサ、フォトセンサ、レーザセンサ、リミットセンサ、及びカメラからなる群から選択される、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0121】
実施形態11
前記配置にセットするステップが、前記電子リボンコネクタを鉛直な向きで前記ディスプレイモジュールに取り付けるステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0122】
実施形態12
前記配置にセットするステップが、前記電子リボンコネクタをテープで前記鉛直な配置に留めるステップ、又は前記ガラス板の前記第2の主面に取り付けられたくさびを用いて前記電子リボンコネクタを前記鉛直な配置に支えるステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0123】
実施形態13
前記配置にセットするステップの前に、
前記ガラス板が平坦な構成である状態で、前記ディスプレイモジュールを前記ガラス板の前記第2の主面に接着するステップと、
前記ガラス板をチャックの成形面に沿って曲げて、前記ガラス板と前記ディスプレイモジュールの両方に湾曲を形成するステップと、
をさらに含む、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0124】
実施形態14
前記フレームに、バックライトユニットが搭載されており、
前記接着剤に接触するまで前記フレームの前記垂下縁を移動させると、前記バックライトユニットと前記ディスプレイモジュールとの間に隙間が設けられる、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
【0125】
実施形態15
ガラス物品を組み立てるためのシステムであって、
該ガラス物品は、
第1の主面及び該第1の主面とは反対側の第2の主面を有するガラス板と、
電子リボンコネクタを備え、前記ガラス板の前記第2の主面に取り付けられるディスプレイモジュールと、
スロット開口を備え、前記第2の主面に取り付けられるフレームと、を備えるものであり、
前記システムが、
湾曲を画成する成形面であって、前記ガラス板は前記成形面に合わせて曲げられるように構成されている、成形面を有するチャックと、
前記ディスプレイモジュールを囲むように、前記ガラス板の前記第2の主面に接着剤を塗布するように構成されたディスペンサノズルと、
前記接着剤に前記フレームが接触するまで前記フレームを下降させることができるように、且つ前記フレームの前記スロット開口に前記電子リボンコネクタの端部が挿入されるように、前記電子リボンコネクタを鉛直な配置に移動させるように構成された少なくとも1つのマニピュレータと、
を備えるシステム。
【0126】
実施形態16
前記少なくとも1つのマニピュレータが、
前記電子リボンコネクタの前記端部を第1の側から持ち上げて、前記鉛直な配置にセットするように構成された第1のマニピュレータと、
前記第1の側とは反対側の第2の側から、前記電子リボンコネクタを前記鉛直な配置に保持するように構成された第2のマニピュレータと、
を含む、実施形態15に記載のシステム。
【0127】
実施形態17
前記第2のマニピュレータが、前記電子リボンコネクタの前記第2の側を吸引するように構成された吸盤を備える、実施形態16に記載のシステム。
【0128】
実施形態18
前記少なくとも1つのマニピュレータが、前記ガラス板の前記第2の主面に実質的に平行な配置にある前記電子リボンコネクタを掴み、前記電子リボンコネクタを引き込んで前記鉛直な配置にセットするように構成された多関節マニピュレータを含む、実施形態15に記載のシステム。
【0129】
実施形態19
前記多関節マニピュレータが、前記電子リボンコネクタを吸引するように構成された吸盤を備える、実施形態18に記載のシステム。
【0130】
実施形態20
前記多関節マニピュレータが、2関節リンクを備える、実施形態18又は19に記載のシステム。
【0131】
実施形態21
前記少なくとも1つのマニピュレータが、回転式マニピュレータを含む、実施形態15に記載のシステム。
【0132】
実施形態22
前記ガラス板が、前記第1の主面と前記第2の主面とをつなげる副面を備え、
前記回転式マニピュレータが、
前記成形面上の、前記副面に隣接する位置に配置された回転関節と、
前記回転関節から延びる第1のアームと、
前記第1のアームから垂直に延びる第2のアームと、
を備え、
前記回転式マニピュレータが、前記第2のアームによって弧を描くように前記電子リボンコネクタを持ち上げて前記鉛直な配置にセットするように、前記回転関節で回転されるように構成されている、実施形態21に記載のシステム。
【0133】
実施形態23
前記電子リボンコネクタが前記鉛直な配置に達したことを判定するように構成されたセンサをさらに備え、
前記センサは、距離センサ、フォトセンサ、レーザセンサ、リミットセンサ、及びカメラからなる群から選択される、実施形態15~22のいずれかに記載のシステム。
【符号の説明】
【0134】
10 内装
20、30、40 車両内装システム
22 センターコンソール基部
24、34、44 表面
26、36、46 ディスプレイ
32 ダッシュボード基部
38 計器盤
42 ハンドル基部
50 ガラス物品
52 ガラス板
54 第1の主面
56 第2の主面
58 副面
60 ディスプレイモジュール
62、68 接着剤
64 成形面
66 チャック
70 フレーム
72 基板
74 垂下縁
76 バックライトユニット
78 制御基板
80 電子リボンコネクタ
82 第1の端部
84 第2の端部
86 スロット開口
88 はんだ接合部
90 第1のマニピュレータ
92 ディスペンサノズル
94 第2のマニピュレータ
96 吸盤
98 多関節マニピュレータ
100 第1の関節
102 第2の関節
104 第1の作動アーム部材
106 第2の作動装置アーム部材
108 回転式マニピュレータ
110 回転中心
112 第1のアーム
114 第2のアーム
116 スピンドル
118 レーザ装置
120 ビーム
122 距離センサ
124 発信器
126 受信器
128 硬質テープ
130 くさび
132 コネクタソケット
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【国際調査報告】