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特表2024-513784駆動用空気のバイパス噴射による歯科用ハンドピースのサックバック防止方法及びバイパス噴射構造を備えた歯科用ハンドピースシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】駆動用空気のバイパス噴射による歯科用ハンドピースのサックバック防止方法及びバイパス噴射構造を備えた歯科用ハンドピースシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/02 20060101AFI20240319BHJP
   A61C 17/022 20060101ALI20240319BHJP
   A61C 1/05 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61C1/02 F
A61C17/022
A61C1/05 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559017
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 KR2021003760
(87)【国際公開番号】W WO2022203100
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523365077
【氏名又は名称】デュナミス デンタル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤンス
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA02
4C052AA13
4C052BB03
4C052CC02
4C052CC15
4C052CC30
4C052GG09
4C052GG15
4C052GG22
(57)【要約】
本発明は、歯科用ハンドピースのサックバック防止方法及びバイパス噴射構造を備えた歯科用ハンドピースシステムに関し、回転していたインペラが停止する瞬間に発生するサックバック現象を効果的に遮断するようにしたものであり、このような本発明のサックバック防止方法は、ヘッドケーシングの内部でインペラが回転を止めて停止する瞬間、空気供給管の流路を遮断した状態で、エアポンプからポンピングされる空気をバイパスさせて空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射することでサックバック現象を防止することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアポンプからポンピングされる駆動用空気を供給する空気供給管と、空気を外部に排出するための空気排出管とがそれぞれヘッドケーシングに接続された歯科用ハンドピースのサックバック防止方法であって、
歯科用ハンドピースのヘッドケーシングの内部でインペラが回転を止めて停止する瞬間、前記ヘッドケーシングの内部に空気が供給されないように前記空気供給管の流路を遮断した状態で、エアポンプからポンピングされる空気はバイパスさせて前記空気排出管を介して前記ヘッドケーシングの内部に噴射することによってサックバック現象を防止することを特徴とする、歯科用ハンドピースのサックバック防止方法。
【請求項2】
エアポンプからポンピングされる空気をバイパスさせるために、前記エアポンプからポンピングされる駆動用空気を前記ヘッドケーシングの内部に供給するように接続された空気供給管と、前記ヘッドケーシングの内部に供給された空気を外部に排出するために、ヘッドケーシングに接続された空気排出管とを接続するバイパス管を設けて用い、
インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記空気供給管の流路と共に前記空気排出管の出口側流路も遮断することを特徴とする、請求項1に記載の歯科用ハンドピースのサックバック防止方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の歯科用ハンドピースのサックバック防止方法によってサックバック現象を防止するための歯科用ハンドピースシステムであって、
ハンドピースのヘッドケーシングの内部に設けられたインペラを回転させるために、エアポンプからポンピングされる駆動用空気を前記ヘッドケーシングの内部に供給するように前記ヘッドケーシングに接続された空気供給管と、前記ヘッドケーシングの内部に供給された空気を外部に排出するために、前記ヘッドケーシングに接続された空気排出管とを備え、
前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で、前記空気供給管と前記空気排出管とを接続し、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気がバイパスした後に前記空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するためのバイパス管をさらに備えることを特徴とする、歯科用ハンドピースシステム。
【請求項4】
前記空気供給管には第1ソレノイドバルブが、空気排出管には第2ソレノイドバルブが、前記バイパス管には第3ソレノイドバルブがそれぞれ設けられ、前記第1ソレノイドバルブは、前記空気供給管でバイパス管接続点の前側に設けられ、前記第2ソレノイドバルブは、前記空気排出管でバイパス管接続点の後側に設けられ、
前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、第1ソレノイドバルブ及び第2ソレノイドバルブは閉状態となり流路を遮断し、前記第3ソレノイドバルブは開状態となり、前記エアポンプからポンピングされる空気がバイパスした後に前記空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内することを特徴とする、請求項3に記載の歯科用ハンドピースシステム。
【請求項5】
前記ヘッドケーシングにおいてエアポンプから供給された駆動用空気を前記インペラのブレードに向かって噴射するノズルは、互いに独立した第1ノズルと第2ノズルとに区分形成され、前記第1ノズルと第2ノズルは、互いに独立した流路を介してエアポンプから空気を供給され、互いに隣接するブレードにそれぞれ空気を同時噴射することによって、前記インペラの回転力を高めるようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の歯科用ハンドピースシステム。
【請求項6】
前記空気供給管は、前記ヘッドケーシングの第1ノズルと第2ノズルとにそれぞれ接続され、エアポンプから駆動用空気を独立して供給する第1空気供給管と第2空気供給管とで備えられ、
前記空気排出管は、前記第1ノズルからヘッドケーシングの内部に噴射された空気を主に担当して排出する第1排出口と接続された第1空気排出管と、前記第1空気排出管とは別に、前記第1ノズルからヘッドケーシングの内部に噴射された空気を主に担当して排出する第2排出口と接続された第2空気排出管とで備えられ、
前記バイパス管は、前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で前記第1空気供給管と前記第1空気排出管とを接続し、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第1空気供給管に代えて、前記第1空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するための第1バイパス管と、前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で前記第1空気供給管と前記第2空気排出管とを接続し、前記インペラが停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第2空気供給管に代えて、前記第2空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するための第2バイパス管とで備えられ、
前記第1空気供給管には第1ソレノイドバルブが、前記第1空気排出管には第2ソレノイドバルブが、前記第1バイパス管には第3ソレノイドバルブが、前記第2空気供給管には第4ソレノイドバルブが、前記第2空気排出管には第5ソレノイドバルブが、前記第2バイパス管には第6ソレノイドバルブがそれぞれ設けられ、前記第1ソレノイドバルブは、前記第1空気供給管で第1バイパス管接続点の前側に設けられ、前記第2ソレノイドバルブは、前記第1空気排出管で第1バイパス管接続点の後側に設けられ、前記第4ソレノイドバルブは、前記第2空気供給管で第2バイパス管接続点の前側に設けられ、前記第5ソレノイドバルブは、前記第2空気排出管で第2バイパス管接続点の後側に設けられ、
前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、第1ソレノイドバルブ、第2ソレノイドバルブ、第4ソレノイドバルブ、及び第5ソレノイドバルブは閉状態となり流路を遮断し、前記第3ソレノイドバルブと第6ソレノイドバルブは開状態となり、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第1空気排出管と第2空気排出管とを介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内することによってサックバック現象を防止するようにしたことを特徴とする、請求項5に記載の歯科用ハンドピースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用ハンドピースに関し、特に回転していたインペラが停止する瞬間に発生するサックバック現象を効果的に遮断できるようにした歯科用ハンドピースのサックバック防止方法及びバイパス噴射構造を備えた歯科用ハンドピースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科などの医療施術時に使用される歯科用ハンドピースは、圧力水または駆動用空気を噴射して必要部位を洗浄する器具として、用途ごとに多様な形状で構成されており、接続ホースを介して空気チューブまたは冷却水チューブと接続される。
【0003】
しかし、このようなハンドピースでは、駆動用空気の供給を停止した後も、インペラは慣性によって回転を維持する。このとき、駆動用空気の供給は停止されているので、インペラと共に回転移動する駆動用空気は空気排出ホースに送られる。したがって、ヘッド内の一部または全部が真空状態となる。その結果、工具上に付着するか周辺に存在するバリなどの外部異物、例えば、患者の唾液や血液、歯などの切削粉がヘッドの間隙を介してヘッド内に吸い込まれ蓄積することがある。これにより他の患者との交差感染が発生する致命的な問題が引き起こされる。
【0004】
図1は、従来技術によるサックバック防止機能を有する歯科用ハンドピースを説明するための参照図である。
【0005】
図示されているように、従来技術による歯科用ハンドピースは、ヘッド11と、ヘッド11の内部に形成されたチャンバ11aに回転可能に収容され、バリ13などの器具に回転力を提供するインペラ12と、インペラ12に向かって駆動用空気を供給するための空気供給口61と、インペラ12に供給された駆動用空気を外部に排出するための空気排出口62と、冷却水供給口63と、冷却水を外部に噴射するために空気を供給する冷却水用噴射口64とを含んで構成される。
【0006】
このように構成された従来技術によるハンドピースは、駆動用空気がヘッド11の内部のチャンバ11aに供給されてから中断される運転停止瞬間にインペラ12の回転慣性によってチャンバ11aに供給された駆動用空気の一部が前記空気供給口61及び空気排出口62を介して排出される。これによりチャンバ11aに負圧または真空圧がかかり、患者の唾液や血液、歯などの切削粉がヘッド11の間隙を介してヘッド11内に吸い込まれ蓄積された後、他の患者との交差感染が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記のような従来の諸問題を解消するために提案されたものであり、本発明の目的は、回転していたインペラが停止する瞬間に発生するサックバック現象を効果的に遮断できるようにした歯科用ハンドピースのサックバック防止方法及びバイパス噴射構造を備えた歯科用ハンドピースシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明の技術的思想による歯科用ハンドピースのサックバック防止方法として、ヘッドケーシングの内部でインペラが回転を止めて停止する瞬間、空気供給管の流路を遮断した状態でエアポンプからポンピングされる空気をバイパスさせて空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射することによってサックバック現象を防止することをその技術的構成上の特徴とする。
【0009】
ここで、エアポンプからポンピングされる空気をバイパスさせるために、前記エアポンプからポンピングされる駆動用空気を前記ヘッドケーシングの内部に供給するように接続された空気供給管と、前記ヘッドケーシングの内部に供給された空気を外部に排出するために、ヘッドケーシングに接続された空気排出管とを接続するバイパス管を設けて用い、インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記空気供給管の流路と共に前記空気排出管の出口側流路も遮断することを特徴としてもよい。
【0010】
一方、歯科用ハンドピースのサックバック防止方法によってサックバック現象を防止するための歯科用ハンドピースシステムは、ハンドピースのヘッドケーシングの内部に設けられたインペラを回転させるためにエアポンプからポンピングされる駆動用空気を前記ヘッドケーシングの内部に供給するように前記ヘッドケーシングに接続された空気供給管と、前記ヘッドケーシングの内部に供給された空気を外部に排出するために前記ヘッドケーシングに接続された空気排出管とを備え、前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で前記空気供給管と前記空気排出管とを接続し、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気がバイパスした後に前記空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するためのバイパス管をさらに備えることをその技術的構成上の特徴とする。
【0011】
ここで、前記空気供給管には第1ソレノイドバルブが、空気排出管には第2ソレノイドバルブが、前記バイパス管には第3ソレノイドバルブがそれぞれ設けられ、前記第1ソレノイドバルブは、前記空気供給管でバイパス管接続点の前側に設けられ、前記第2ソレノイドバルブは、前記空気排出管でバイパス管接続点の後側に設けられ、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、第1ソレノイドバルブ及び第2ソレノイドバルブは閉状態となり流路を遮断し、前記第3ソレノイドバルブは開状態となり、前記エアポンプからポンピングされる空気がバイパスした後に前記空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内することを特徴としてもよい。
【0012】
また、前記ヘッドケーシングにおいてエアポンプから供給された駆動用空気を前記インペラのブレードに向かって噴射するノズルは、互いに独立した第1ノズルと第2ノズルとに区分形成され、前記第1ノズルと第2ノズルは、互いに独立した流路を介してエアポンプから空気を供給され、互いに隣接するブレードにそれぞれ空気を同時噴射することによって前記インペラの回転力を高めるようにしたことを特徴としてもよい。
【0013】
また、前記空気供給管は、前記ヘッドケーシングの第1ノズルと第2ノズルとにそれぞれ接続され、エアポンプから駆動用空気を独立して供給する第1空気供給管と第2空気供給管とで備えられ、前記空気排出管は、前記第1ノズルからヘッドケーシングの内部に噴射された空気を主に担当して排出する第1排出口と接続された第1空気排出管と、前記第1空気排出管とは別に、前記第1ノズルからヘッドケーシングの内部に噴射された空気を主に担当して排出する第2排出口と接続された第2空気排出管とで備えられ、前記バイパス管は、前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で前記第1空気供給管と前記第1空気排出管とを接続し、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第1空気供給管に代えて、前記第1空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するための第1バイパス管と、前記ヘッドケーシングをバイパスした状態で前記第1空気供給管と前記第2空気排出管とを接続し、前記インペラが停止する瞬間、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第2空気供給管に代えて、前記第2空気排出管を介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内するための第2バイパス管とで備えられ、前記第1空気供給管には第1ソレノイドバルブが、前記第1空気排出管には第2ソレノイドバルブが、前記第1バイパス管には第3ソレノイドバルブが、前記第2空気供給管には第4ソレノイドバルブが、前記第2空気排出管には第5ソレノイドバルブが、前記第2バイパス管には第6ソレノイドバルブがそれぞれ設けられ、前記第1ソレノイドバルブは、前記第1空気供給管で第1バイパス管接続点の前側に設けられ、前記第2ソレノイドバルブは、前記第1空気排出管で第1バイパス管接続点の後側に設けられ、前記第4ソレノイドバルブは、前記第2空気供給管で第2バイパス管接続点の前側に設けられ、前記第5ソレノイドバルブは、前記第2空気排出管で第2バイパス管接続点の後側に設けられ、前記インペラが回転を止めて停止する瞬間、第1ソレノイドバルブ、第2ソレノイドバルブ、第4ソレノイドバルブ及び第5ソレノイドバルブは閉状態となり流路を遮断し、前記第3ソレノイドバルブと第6ソレノイドバルブは開状態となり、前記エアポンプからポンピングされる空気が前記第1空気排出管と第2空気排出管とを介してヘッドケーシングの内部に噴射されるように案内することによってサックバック現象を防止するようにしたことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明による歯科用ハンドピースシステムは、インペラが回転を止めて停止する瞬間、バイパス管を用いてエアポンプの駆動用空気をバイパスさせ、排出口側から空気が噴射されるようにすることによって、これまで慢性的な問題であったサックバック現象をほぼ完全に防止することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、駆動用空気を互いに独立した流路を介して供給された後、複数のブレードに同時に噴射する2つのノズルを備えたデュアル構造によってインペラの回転力を大幅に向上させることができ、これにより製品の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術による歯科用ハンドピースの構成を説明するための参照図である。
図2】本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムの全体構成図である。
図3】本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの後面斜視図である。
図4】本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの構成を説明するために部分切断した状態の斜視図である。
図5】本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの後面斜視図である。
図6】本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの構成を説明するために部分切断した状態の斜視図である。
図7】本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピース内のインペラの平面図である。
図8】デュアルノズルタイプのハンドピースの使用による本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムのサックバック防止構造を説明するための全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムに対して詳しく説明する。本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定することを意図するものではなく、本発明の精神及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されたい。各図面の説明にあたって類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。添付の図面において、構造物の寸法は、本発明の明確性のために実際より拡大するか、概略的な構成を理解するために実際より縮小して示されている。
【0018】
また、第1及び第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用することができるが、上記構成要素は上記用語によって限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。一方、別段の定義がない限り、技術的または科学的な用語を含んで本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されるべきではない。
【0019】
<実施形態>
図2は、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムの全体構成図であり、図3は、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの後面斜視図であり、図4は、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの構成を説明するために部分切断した状態の斜視図である。
【0020】
図示されているように、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムは、インペラ120が回転を止めて停止する瞬間、バイパス管143を用いてエアポンプ161の駆動用空気をバイパスさせて排出口側から空気が噴射されるようにすることによって、これまで慢性的な問題であったサックバック現象をほぼ完全に防止することが可能となるように構成される。
【0021】
このために、本発明は、ハンドピース100のヘッドケーシングの内部に設けられたインペラ120を回転させるためにエアポンプ161からポンピングされる駆動用空気をヘッドケーシング110の内部に供給するようにヘッドケーシング110に接続された空気供給管141と、ヘッドケーシング110の内部に供給された空気を外部に排出するためにヘッドケーシング110に接続された空気排出管142とを備え、前記ヘッドケーシング110をバイパスした状態で空気供給管141と空気排出管142とを接続するバイパス管143をさらに備える。
【0022】
これによって、インペラ120が回転を止めて停止する瞬間、エアポンプ161からポンピングされる駆動用空気をバイパスさせた後、空気排出管142を介してヘッドケーシング110の内部に噴射されるように案内することができる。このように、インペラ120が停止する瞬間に空気排出管142を介してヘッドケーシング110の内部に空気を噴射できるようになれば、インペラ120の回転慣性によってヘッドケーシング110のチャンバ110aに供給された駆動用空気の一部が空気供給口111及び空気排出口112を介して排出されることで、チャンバに負圧または真空圧がかかるサックバック現象を完全に防止することが可能となる。
【0023】
ここで、前記空気供給管141には第1ソレノイドバルブ151が、空気排出管142には第2ソレノイドバルブ152が、バイパス管143には第3ソレノイドバルブ153がそれぞれ設けられる。ただし、前記第1ソレノイドバルブ151は、空気供給管141でバイパス管143の接続点の前側に設けられ、第2ソレノイドバルブ152は、空気排出管142でバイパス管143の接続点の後側に設けられることが重要である。これによって、インペラ120が回転を止めて停止する瞬間に、第1ソレノイドバルブ151及び第2ソレノイドバルブ152は閉状態となり流路を遮断し、前記第3ソレノイドバルブ153は開状態となり、エアポンプ161からポンピングされる空気がバイパス管143を介してバイパスした後、空気排出管142を介してヘッドケーシング110の内部に噴射されるように案内することができる。
【0024】
下記の表1には、ハンドピースのインペラ120の駆動状態によるソレノイドバルブの開閉状態をまとめたものであり、特にインペラ120の停止瞬間にサックバック現象を防止するための各ソレノイドバルブの開閉状態に注目することができる。
【0025】
【表1】

これまでサックバックによる問題を解消するために、ハンドピースの内部構造を変更するなどの多くの努力があったが、大きな効果を得ることができなかったことを、このように本発明は、バイパス管143と追加のソレノイドバルブを設ける単純な構造変更により慢性的なサックバックの問題を解消することができる。参照までに、前記冷却水供給管144は、冷却水タンク171から冷却水を供給され、途中にウォーターポンプ162が設けられて冷却水をポンピングする。また、前記冷却水用空気供給管145もエアタンク171から空気を供給されるように接続され、途中に別のエアポンプ163が設けられて空気をポンピングする。
【実施例
【0026】
一方、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおいては、ハンドピースは、駆動用空気を互いに独立した流路を介して供給された後、複数のブレードに同時に噴射する2つのノズルを備えたデュアル構造によってインペラの回転力を大幅に向上させることができ、これにより製品の小型化が可能となるように構成される。以下ではこれについて説明する。
【0027】
図5は、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの後面斜視図であり、図6は、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースの構成を説明するために部分切断した状態の斜視図であり、図7は、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピース内のインペラの平面図である。
【0028】
図示されているように、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおけるハンドピースは、内部にチャンバ110aを有するヘッドケーシング110と、ヘッドケーシング110の内部に回転可能となるように設けられ、外周面に複数のブレード121を備えたインペラ120と、インペラ120に結合され回転するバリ130とを含んでなり、前記ヘッドケーシング110においてエアポンプ161から供給された駆動用空気をインペラ120のブレード121に向かって噴射するノズルが互いに独立した第1ノズル115aと第2ノズル115bとに区分形成され、互いに独立した流路を介してエアポンプ161から空気を供給され、隣接する複数のブレード121に同時に空気を噴射するように構成される。
【0029】
前記ハンドピースは、互いに異なる2つのノズルによって2つのブレード121に駆動用空気を噴射するようにした独特のデュアル構造によって、同じサイズのインペラ120に対する回転力を高めることができ、これにより、同じ出力に対してより小さいサイズを有する歯科用ハンドピースを実現することが可能となる。
【0030】
このために、前記ヘッドケーシング110は、インペラ120が回転可能となるように設けられたチャンバ110aを備える。前記ヘッドケーシング110の後側胴体部には、上述したように、エアポンプ161から供給された駆動用空気をインペラ120のブレード121に向かって噴射するノズルが互いに独立した第1ノズル115aと第2ノズル115bとに区分形成されたデュアル構造を有する。前記第1ノズル115aと第2ノズル115bは、互いに独立した流路を介してエアポンプ161から空気を供給され、それぞれ互いに異なるブレード121に空気を同時噴射することでインペラ120の回転力を高めるようにする。
【0031】
ここで、前記第1ノズル115aと第2ノズル115bが駆動用空気を噴射する対象となるインペラ120のブレード121は、互いに隣接することが好ましい。すると、第1ノズル115aと第2ノズル115bから噴射される空気によって発生する2つの推進力が分散することなく、互いに同様の方向に形成されることで効率を高めることができる。これによって、前記第1ノズル115aと第2ノズル115bとの角度は、インペラ120で互いに隣接するブレード121の空気接触面121aの間の角度と一致するように形成される。具体的に検討すると、図6に示されているように、第1ノズル115aは、ヘッドケーシング110の左側部と右側部のうち一方(図面では左側部)で前方に向かって形成され、第2ノズル115bは、ヘッドケーシング110の他方から第1ノズル115aの先端部の近くまで至る斜線方向に形成される。ただし、前記第2ノズル115bは、製作の便宜上、ヘッドケーシング110の他側面を貫通して第1ノズル115aの先端部の近くまで直線状に到逹する形態に形成され、それによる他側面の貫通孔はキャップ116によって埋め込まれた状態となる。
【0032】
このように、ヘッドケーシング110に独立して区分形成された第1ノズル115aと第2ノズル115bが駆動用空気を噴射するようになれば、図7に示されているように、互いに異なる2つのブレード121の空気接触面121aに接触する空気によって、2つの推進力F1、F2が同時に作用し、インペラ120の回転力を飛躍的に向上させることができる。
【0033】
前記ヘッドケーシング110には、第1ノズル115aと連通する第1供給口111aと、第2ノズル115bと連通する第2供給口111bとが形成され、第1供給口111aは、第1ノズル115aから直線状に延長された形態で、第2供給口111bは斜線方向の第2ノズル115bと交差する形態で形成される。これらの第1供給口111aと第2供給口111bは、第1空気供給管141aと第2空気供給管141bによってそれぞれ独立してエアポンプ161と接続される。このような構成において重要な点は、エアポンプ161から第1ノズル115aと第2ノズル115bに至る流路が最初から最後まで独立して区分形成されるという点である。2つの流路が最初は1つに統合され途中に分岐した構造を有するものであるなら、1つに統合された地点で流路の断面積が狭くなり摩擦損失が発生し、インペラ120に対する推進力に相当な損失を受けるためである。
【0034】
一方、前記ヘッドケーシング110には、図5に示されているように、第1ノズル115aからヘッドケーシング110の内部に噴射された空気を主に担当して排出する第1排出口112aが第1ノズル115aの近くに形成され、前記第1ノズル115aよりも広い内径に形成される。同様に、前記第1ノズル115aとは別に、第2ノズル115bからヘッドケーシング110の内部に噴射された空気を主に担当して排出する第2排出口112bが前記第2ノズル115bの近くに形成され、前記第2ノズル115bよりも広い内径に形成される。これにより、ヘッドケーシング110の内部に噴射された空気の外部への排出を円滑に行うことができる。
【0035】
また、前記ヘッドケーシング110には、図5に示されているように、冷却水をヘッドケーシング110の内部に供給するための冷却水供給口113と、冷却水を噴射するために使用する空気を供給するための冷却水用空気供給口114とが形成される。これらの冷却水供給口113は冷却水供給管144と接続され、前記冷却水用空気供給口114は冷却水用空気供給管145と接続される。
【0036】
次いで、以下では上記の構成を有するデュアルノズルタイプのハンドピースの性能を確認するために行った実験結果について説明する。
【0037】
本実験は、本発明によるデュアルノズルタイプのハンドピースに対して1つのノズルのみを備えていた本出願人の従来製品と、ドイツのカボ社の製品と日本のNSK社の製品をそれぞれ比較してインペラ120の回転力(停止トルク値(gfocm))を比較したものである。実験の結果、下記の表2より確認されるように、通常の使用圧力区間である0.35~0.40Mpaにおいて、本出願人の従来製品に対して33~40%、カボ社(ドイツ)の製品に対して10~30%、NSK社(日本)の製品に対して10~27%向上したことが確認された。
【0038】
【表2】

このように、本発明の実施形態による歯科用ハンドピースシステムにおいて、デュアルノズルタイプのハンドピースを用いる場合、サックバック防止のための構造もそれに合わせて変形されるべきである。以下ではそれについて説明する。図8は、デュアルノズルタイプのハンドピースの使用による本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムのサックバック防止構造を説明するための全体構成図である。
【0039】
図示されているように、本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムは、デュアルノズルタイプのハンドピースの使用によって、第1ノズル115aに接続され、エアポンプ161から駆動用空気を供給する第1空気供給管141a、第1空気供給管141aとは別に第2ノズル115bに接続され、エアポンプ161から駆動用空気を供給する第2空気供給管141b、第1排出口112aに接続され、ヘッドケーシング110の内部の空気を外部に排出する第1空気排出管142a、及び第2排出口112bに接続され、ヘッドケーシング110の内部の空気を外部に排出する第2空気排出管142bを備える。
【0040】
これに加えて、ヘッドケーシング110をバイパスした状態で第1空気供給管141aと前記第1空気排出管142aとを接続する第1バイパス管143aをさらに備える。前記第1バイパス管143aは、インペラ120が回転を止めて停止する瞬間、エアポンプ161からポンピングされる空気が第1空気供給管141aに代えて、第1空気排出管142aを介してヘッドケーシング110の内部に噴射されるように案内する役割をする。また、ヘッドケーシング110をバイパスした状態で第1空気供給管141aと前記第2空気排出管142bとを接続する第2バイパス管143bをさらに備える。前記第2バイパス管143bは、インペラ120が停止する瞬間、エアポンプ161からポンピングされる空気が第2空気供給管141bに代えて、第2空気排出管142bを介してヘッドケーシング110の内部に噴射されるように案内する役割をする。
【0041】
一方、第1空気供給管141aには第1ソレノイドバルブ151aが、第1空気排出管142aには第2ソレノイドバルブ152aが、第1バイパス管143aには第3ソレノイドバルブ153aが、第2空気供給管141bには第4ソレノイドバルブ151bが、第2空気排出管142bには第5ソレノイドバルブ152bが、第2バイパス管143bには第6ソレノイドバルブ153bがそれぞれ設けられる。
【0042】
ここで注意すべき点は、第1ソレノイドバルブ151aは、第1空気供給管141aで第1バイパス管143aの接続点の前側に設けられ、第2ソレノイドバルブ152aは、第1空気排出管142aで第1バイパス管143aの接続点の後側に設けられ、第4ソレノイドバルブ151bは、第2空気供給管141bで第2バイパス管143bの接続点の前側に設けられ、前記第5ソレノイドバルブ152bは、前記第2空気排出管142bで第2バイパス管143bの接続点の後側に設けられるという点である。
【0043】
このような構成によると、インペラ120が回転を止めて停止する瞬間、第1ソレノイドバルブ151a、第2ソレノイドバルブ152a、第4ソレノイドバルブ151b、及び第5ソレノイドバルブ152bは閉状態となり流路を遮断し、第3ソレノイドバルブ153aと第6ソレノイドバルブ153bは開状態となり、エアポンプ161からポンピングされる空気が第1空気排出管142aと第2空気排出管142bを介してヘッドケーシング110の内部に噴射されるように案内することによって、これまで慢性的な問題であったサックバック現象をはっきりと防止することができる。
【0044】
ハンドピースのインペラ120の駆動状態によるソレノイドバルブの開閉状態をまとめると以下の通りであり、特に、インペラ120の停止瞬間にサックバック現象を防止するための各ソレノイドバルブの開閉状態に注目することができる。
【0045】
【表3】

本発明の変形実施形態による歯科用ハンドピースシステムは、このようにデュアルノズルタイプのハンドピースを採用することでインペラ120の回転力を大幅に向上させると共に、インペラ120の停止瞬間に発生していた慢性的な問題であったサックバック現象を完全に防止できるという複合的な長所を有する。
【0046】
以上で本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は多様な変化、変更、及び均等物を使用することができる。本発明は、上記の実施形態を適切に変形して同様に応用できることが明らかである。したがって、上記の記載内容は、下記の特許請求の範囲の限界によって定まる本発明の範囲を限定するのではない。
【符号の説明】
【0047】
110:ヘッドケーシング 110a:チャンバ
111a:第1供給口 111b:第2供給口
112a:第1排出口 112b:第2排出口
113:冷却水供給口 114:冷却水用空気供給口
115a:第1ノズル 115b:第2ノズル
120:インペラ 121:ブレード
130:バリ 141:空気供給管
142:空気排出管 143:バイパス管
151:第1ソレノイドバルブ 152:第2ソレノイドバルブ
153:第3ソレノイドバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】