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  • 特表-SHP2阻害剤の結晶形態 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】SHP2阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240319BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/53
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P11/00
A61P1/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/439
A61K31/4184
A61K39/395 T
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559680
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2022052982
(87)【国際公開番号】W WO2022208408
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/169,340
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/321,902
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504344509
【氏名又は名称】アレイ バイオファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】カティー キートン ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン キース グッドウィン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB02
4C063CC44
4C063DD10
4C063EE01
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA03
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC39
4C086BC42
4C086BC64
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)に関する。本発明はまた、この結晶形態を含む医薬組成物、ならびに哺乳動物におけるがんなどの異常な細胞増殖を処置するために結晶形態およびそのような組成物を使用する方法に関する。
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)10.9、14.0、15.4、および16.0±0.2°2θの2θ値に特徴的なピークを含むPXRDパターン;(2)44.4、47.7、149.2および36.6±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトル;または(3)607、1462、1051および1573±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態。
【請求項2】
10.9、14.0、15.4および16.0±0.2°2θの2θ値にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
44.4、47.7、149.2および36.6±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項4】
607、1462、1051および1573±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項5】
25.1±0.2°2θの2θ値にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項6】
20.5±0.2°2θの2θ値にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項7】
29.5±0.2°2θの2θ値にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項8】
26.9±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む13C ssNMRスペクトルを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項9】
実質的に純粋である、請求項1から8のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物において異常な細胞増殖を処置する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項12】
哺乳動物がヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
異常な細胞増殖ががんである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
異常な細胞増殖を処置する方法における、請求項1から9のいずれか一項に記載の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態の使用。
【請求項15】
異常な細胞増殖ががんである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
異常な細胞増殖を処置する方法における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態。
【請求項17】
異常な細胞増殖ががんである、請求項16に記載の使用のための結晶形態。
【請求項18】
がんが、ALKもしくはROS1陽性非小細胞肺がん、B型Raf癌原遺伝子V600E変異結腸直腸がん、またはRAS変異、NF1変異もしくはBRAFクラス3変異固形腫瘍からなる群から選択される、請求項13、15または17に記載の方法、使用または結晶形態。
【請求項19】
請求項1から9に記載の結晶形態を1種または複数の追加の医薬化合物と組み合わせて使用する、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法、使用または結晶形態。
【請求項20】
追加の医薬化合物が、ロルラチニブ、ビニメチニブ、セツキシマブ、およびエンコラフェニブからなる群から選択される、請求項19に記載の方法、使用または結晶形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)、形態1を含む医薬組成物、ならびに哺乳動物、特にヒトにおけるがんなどの異常な細胞増殖の処置において形態1およびそのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンは、式(I):
【0003】
【化1】
を有するSHP2阻害剤である。
【0004】
(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンの調製は、その内容が全体で参照により本明細書に援用される国際特許公開WO2020/201991(2020年10月8日公開の国際出願番号PCT/IB2020/053019)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い結晶化度、高い純度および安定性などの所望の特性を有する(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下記の実施形態はそれぞれ、組み合わされる実施形態と矛盾しない本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0007】
一態様では、本発明は、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、粉末X線回折(PXRD)(2θ)により特徴付けられる。
【0008】
別の態様では、本発明は、(a)°2θ±0.2°2θにおいて表1内のピークからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは5つより多いピーク;(b)°2θ±0.2°2θにおいて表1内のピークからなる群から選択される1、2、3もしくは4つのピーク;(c)°2θ±0.2°2θにおいて表2内のピークからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは5つより多いピーク;(d)°2θ±0.2°2θにおいて表2内のピークからなる群から選択される1、2、3もしくは4つのピーク;または(e)図1に示されているのと本質的に同じ2θ値にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)を有することにより特徴付けられる半水和物結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基(形態1)を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、2つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物において異常な細胞増殖を処置する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、哺乳動物において異常な細胞増殖を処置する方法における、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)、または本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0012】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物において異常な細胞増殖を処置するための医薬の製造における、本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)の使用を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、哺乳動物において異常な細胞増殖を処置する方法における使用のための、本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。
【0014】
多くの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。一実施形態では、異常な細胞増殖は、SHP2により媒介されるがんである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)のPXRDパターンである。
図2】(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)の13C ssNMRスペクトルである。
図3】(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)のPXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、本発明の好ましい実施形態および本明細書に含まれる実施例の次の詳細な記載を参照することにより、より容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は具体的な実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定することを意図したものではないことは理解されるべきである。さらに、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連分野において公知であるその従来の意味を与えられ得ることは理解されるべきである。これに限定されないが、定義された用語、用語の利用、記載の技法などを含めて、援用される文献および同様の材料の1つまたは複数が、本出願とは異なるか、またはそれと矛盾する場合には、本出願が優先される。
【0017】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「a」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。
【0018】
「約」という用語は、当業者が判断した場合に、平均の許容される標準誤差の範囲内に該当する値を有することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「本質的に同じ」という用語は、特定の方法について典型的な変動性が考慮されることを意味する。例えば、X線回折ピーク位置に関して、「本質的に同じ」という用語は、ピーク位置および強度における典型的な変動性が考慮されることを意味する。当業者は、ピーク位置(2θ)が典型的には±0.2°ほどの多少の変動性を示すであろうことが分かるであろう。さらに、当業者は、相対ピーク強度が装置間変動性、さらには結晶化度の程度、好ましい配向、調製された試料表面、および当業者に公知の他の因子による変動性を示し、単に定性尺度として採用すべきであることが分かるであろう。
【0020】
本明細書で使用される場合の「結晶性」という用語は、分子または外面平面(external face plane)の定期的に反復する配置を有することを意味する。結晶形態は、熱力学的安定性、物理的パラメーター、X線構造および調製プロセスに関して異なり得る。
【0021】
「半水和物」という用語は、水の各分子あたり、化合物、この場合には、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基が2分子存在する水和物を意味する。
【0022】
「実質的に純粋」という用語は、特定の結晶形態が、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは1重量%未満の化合物のいずれか他の物理的形態を含むことを意味する。
【0023】
結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基(形態1)
一実施形態では、本発明は、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の結晶形態(形態1)は半水和物である。本明細書に記載の方法は、実質的に純粋であり、別の形態を非含有である半水和物結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基(形態1)を提供する。別の実施形態では、本発明は、実質的に純粋であり、別の形態を非含有である(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。一実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、95%超で実質的に純粋である。一実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、97%超で実質的に純粋である。一実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、99%超で実質的に純粋である。
【0024】
本発明の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、(1)10.9、14.0、15.4、および16.0°2θ±0.2°2θの2θ値に特徴的なピークを含むPXRDパターン;または(2)44.4、47.7、149.2および36.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトル;または(3)607、1462、1051および1573cm-1±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる。本発明の半水和物結晶形態はまた、(1)10.9、14.0、15.4、および16.0±0.2°2θの2θ値に特徴的なピークを含むPXRDパターン;(2)44.4、47.7、149.2および36.6±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトル;または(3)607、1462、1051および1573±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルのうちの2つにより特徴付けられる、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供し得る。本発明の半水和物結晶形態はさらに、(1)10.9、14.0、15.4、および16.0±0.2°2θの2θ値に特徴的なピークを含むPXRDパターン;(2)44.4、47.7、149.2および36.6±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトル;ならびに(3)607、1462、1051および1573±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供し得る。
【0025】
またさらなる実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、16.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、14.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、15.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、25.1±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、20.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、29.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9および16.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9および14.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、16.0および14.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、16.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、14.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0および14.0±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、16.0、14.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0、14.0および15.4±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0、14.0、15.4および15.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0、14.0、15.4、15.5および25.1±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0、14.0、15.4、15.5、25.1および20.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、10.9、16.0、14.0、15.4、15.5、25.1、20.5および29.5±0.2°2θの2θ値にピークを含むPXRDパターンを有する。
【0026】
別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、(a)°2θ±0.2°2θにおいて表1内のピークからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは5つより多いピーク;(b)°2θ±0.2°2θにおいて表1内のピークからなる群から選択される1、2、3もしくは4つのピーク;(c)°2θ±0.2°2θにおいて表2内のピークからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは5つより多いピーク;(d)°2θ±0.2°2θにおいて表2内のピークからなる群から選択される1、2、3もしくは4つのピーク;または(e)図1に示されているのと本質的に同じ2θ値にピークを含むPXRDパターン(2θ)を有する。
【0027】
またさらなる実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、44.4±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、47.7±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、149.2±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、36.6±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する。さらなる一実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、26.9±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C ssNMRスペクトルを有する。
【0028】
別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、(a)ppm±0.2ppmにおいて表3内の値からなる群から選択される1、2、3、4、5もしくは5つより多い共鳴値;(b)ppm±0.2ppmにおいて表3内の値からなる群から選択される1、2、3もしくは4つの共鳴値;(c)ppm±0.2ppmにおいて表3内の共鳴値;または(d)図2に示されているのと本質的に同じ値(ppm)を含む13C ssNMRスペクトル(ppm)を有する。
【0029】
またさらなる実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、607±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、1462±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、1051±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルを有する。別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、1573±0.2cm-1の波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトルを有する。
【0030】
別の実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)は、(a)cm-1±0.2cm-1において表4内の値からなる群から選択される1、2、3、4、5もしくは5つより多い波数(cm-1)値;(b)cm-1±0.2cm-1において表4内の値からなる群から選択される1、2、3もしくは4つの波数(cm-1)値;(c)cm-1±0.2cm-1において表4内の波数(cm-1)値;(d)cm-1±0.2cm-1において表5内の波数値からなる群から選択される1、2、3もしくは4つの波数(cm-1)値;または(d)図3に示されているのと本質的に同じ波数(cm-1)値を含むFT-ラマンスペクトル(cm-1)を有する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0032】
典型的な製剤または組成物は、本明細書に記載の化合物および賦形剤を混合することにより調製される。好適な賦形剤は当業者に周知であり、例えば、Ansel,Howard C.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia:Lippincott,Williams & Wilkins,2004;Gennaro,Alfonso R.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia:Lippincott,Williams & Wilkins,2000;およびRowe,Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago,Pharmaceutical Press,2005に詳細に記載されており、それらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0033】
本明細書で使用される場合の「医薬組成物」は、活性成分としての本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合の「薬学的に許容される担体」は、生体に対して著しい刺激を惹起せず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を意味する。
【0035】
医薬組成物の投与は、作用部位への(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)の送達を可能にするいずれかの方法により影響を受け得る。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または注入を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0036】
医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、溶液懸濁剤として、非経口注射では、滅菌液剤、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として好適な形態であってよい。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて異常な細胞増殖を処置する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を投与することを含む方法を提供する。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて異常な細胞増殖を処置する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常な細胞増殖の処置における使用のための、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常な細胞増殖の処置における、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)の使用を提供する。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける異常な細胞増殖の処置において使用するための医薬の製造における、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)の使用を提供する。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、治療における使用のための、本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物において異常な細胞増殖を処置する方法における使用のための、本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかによる(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を提供する。
【0044】
本明細書において提供される方法の多くの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。本明細書で使用される場合の「がん」は、典型的には異常なまたは未制御の細胞増殖により特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を意味する。がんには、それを形成している細胞の種類で名付けられる固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんが含まれる。固形腫瘍の例には、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんには、これに限定されないが、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれる。がんには、身体の特異的な部位に由来する原発性がん、始まった場所から身体の他の部分へと転移している転移性がん、寛解後の元の原発性がんからの再発、および後のものとは異なる種類の先行がんの履歴を有する人における新たな原発性がんである二次原発性がんも含まれる。
【0045】
一部の実施形態では、提供される方法は、次の作用のうちの1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖の阻害;(2)がん細胞侵襲性の阻害;(3)がん細胞のアポトーシスの誘導;(4)がん細胞転移の阻害;または(5)血管新生の阻害。
【0046】
本明細書で使用される場合の「寛解すること」は、組合せを投与していない場合と比較して、本明細書に記載の組合せでの処置での1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。寛解することはまた、症状の持続期間の短縮または減少を含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、疾患、その合併症および疾患の発生中に現れる中間病的表現型の、生化学的、組織学的および/または行動症状を含む、任意の1つまたは複数の有利な、または所望の症状に影響を及ぼすために十分な量である。治療用途では、「治療有効量」は、処置される障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減するであろう、投与される化合物の量を指す。がんの処置に関連して、治療有効量は、患者において(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転位を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍増殖または腫瘍侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状をある程度軽減する(または、好ましくは、除去する)、(5)疾患を処置するために必要とされる他の薬物の用量を減少させる、および/または(6)別の薬物の効果を強化する、および/または(7)疾患の進行を遅延させる効果を有する量を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合の「哺乳動物」は、本明細書に記載の疾患を有するか、またはそれを発生させるリスクがある温血動物を意味し、これに限定されないが、モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター、およびヒトを含む霊長類が含まれる。
【0049】
本明細書で使用される場合の「対象」は、ヒトまたは動物対象を意味する。一実施形態では、対象は哺乳動物である。好ましい一実施形態では、対象はヒトである。
【0050】
本明細書で使用される場合の「処置する」または「処置すること」は、式(I)の化合物を、処置されるべき状態を有する対象に投与して、少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。例えば、がんを処置することは、式(I)の化合物を、がんを有するか、またはがんと診断されている対象に投与して、例えば、がん細胞の数の減少、腫瘍サイズの縮小、周辺器官へのがん細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低下、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行の逆転、緩和、阻害、もしくはその予防などの少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。「本明細書で使用される場合の「処置」という用語は、別段に示されていない限り、処置すること」をすぐ上で定義したように処置する行動を意味する。「処置すること」という用語にはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置が含まれる。
【0051】
一部の実施形態では、式(I)の化合物により達成される処置は、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、全体奏功(OR)、無増悪生存(PFS)、無病生存率(DFS)および全生存期間(OS)のいずれかへの言及により定義される。「腫瘍進行までの時間」とも称されるPFSは、がんが成長していない処置中およびその後の時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験している時間量、さらには患者が安定している疾患(SD)を経験している時間量を含む。DFSは、患者が無病を維持している処置中およびその後の時間の長さを指す。OSは、ナイーブまたは未処置対象または患者と比較した場合の平均余命の延長を指す。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する奏功は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1応答基準を使用して評価されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのいずれかである。
【0052】
一実施形態では、異常な細胞増殖疾患はがんである。一実施形態では、がんは、黒色腫、若年性骨髄単球性白血病、神経芽細胞腫、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄増殖性新生物(真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症など)、乳がん、肺がん、肝臓がん、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、頭頚部扁平細胞癌、神経膠芽腫、未分化大細胞リンパ腫、甲状腺癌、およびスピッツォイド新生物から選択され得る。一実施形態では、がんは黒色腫である。一実施形態では、がんは若年性骨髄単球性白血病である。一実施形態では、がんは神経芽細胞腫である。一実施形態では、がんはフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性である。一実施形態では、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病である。一実施形態では、がんは急性骨髄性白血病である。一実施形態では、がんは、真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症などの骨髄増殖性新生物である。一実施形態では、がんは、真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症からなる群から選択される。一実施形態では、がんは真性多血症である。一実施形態では、がんは本態性血小板血症である。一実施形態では、がんは原発性骨髄線維症である。一実施形態では、がんは乳がんである。一実施形態では、がんは肺がんである。一実施形態では、がんは肝臓がんである。一実施形態では、がんは結腸直腸がんである。一実施形態では、がんは食道がんである。一実施形態では、がんは胃がんである。一実施形態では、がんは頭頚部扁平細胞癌である。一実施形態では、がんは神経膠芽腫である。一実施形態では、がんは未分化大細胞リンパ腫である。一実施形態では、がんは甲状腺癌である。一実施形態では、がんはスピッツォイド新生物である。一実施形態では、がんは、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、若年性骨髄性単球性白血病(「JMML」)、乳がん、黒色腫、および膵臓がんからなる群から選択される。
【0053】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、SHP2により媒介されるがんである。
【0054】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、SHP2阻害剤により処置され得るがんである。さらなる一実施形態では、異常な細胞増殖は、SHP2阻害剤での処置に応答するがんである。
【0055】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む。WO2019/051084を参照されたい。
【0056】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、NF1機能欠損(「NF1LOF」)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害である。一実施形態では、NF1変異は機能欠損変異である。一実施形態では、疾患または障害は、NF1機能欠損変異を伴う細胞を含む腫瘍である。一実施形態では、腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である。一実施形態では、疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される。
【0057】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、細胞を少なくとも部分的にSHP2を介してのシグナル伝達フラックスに依存させる、対象の細胞におけるRAS経路変異と関連する。一実施形態では、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、SOS変異、BRAFクラスIII変異、クラスI MEKl変異、クラスII MEKl変異、およびF1変異から選択されるRAS変異である。一実施形態では、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12l変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12A変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12C変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12D変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12F変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12l変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12L変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12R変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12S変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12V変異である。一実施形態では、KRAS変異はKRASG12Y変異である。一実施形態では、BRAFクラスIII変異は、ヒトBRAFにおける次のアミノ酸置換の1つまたは複数から選択される:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762E。一実施形態では、クラスI MEKl変異は、ヒトMEKlにおける次のアミノ酸置換の1つまたは複数から選択される:D67N;P124L;P124S;およびL177V。一実施形態では、クラスII MEKl変異は、ヒトMEKlにおける次のアミノ酸置換の1つまたは複数から選択される:AE51-Q58;AF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57N。
【0058】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、ALKもしくはROS1陽性非小細胞肺がん、B型Raf癌原遺伝子V600E変異結腸直腸がん、またはRAS変異、NF1変異もしくはBRAFクラス3変異固形腫瘍からなる群から選択される。一実施形態では、異常な細胞増殖はALK陽性非小細胞肺がんである。一実施形態では、異常な細胞増殖はROS1陽性非小細胞肺がんである。一実施形態では、異常な細胞増殖はB型Raf癌原遺伝子V600E変異結腸直腸がんである。一実施形態では、異常な細胞増殖はRAS変異固形腫瘍である。一実施形態では、異常な細胞増殖はNF1変異固形腫瘍である。一実施形態では、異常な細胞増殖はBRAFクラス3変異固形腫瘍である。
【0059】
一実施形態では、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基の半水和物結晶形態(形態1)を、1種または複数の追加の医薬化合物と組み合わせて使用する。一実施形態では、追加の医薬化合物は、ロルラチニブ、ビニメチニブ、セツキシマブ、およびエンコラフェニブからなる群から選択される。一実施形態では、追加の医薬化合物はロルラチニブである。一実施形態では、追加の医薬化合物はエンコラフェニブおよびセツキシマブである。一実施形態では、追加の医薬化合物はビニメチニブである。
【実施例
【0060】
下記で提供される実施例および調製例でさらに、本発明の特定の態様および実施形態を説明および例示する。次の実施例の範囲により、本発明の範囲が限定されることはないことは理解されるべきである。
(実施例1)
【0061】
非結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
(R)-N-((S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(20mg、0.037mmol)をジオキサン(1mL)で希釈し、続いて、HCl(92μL、0.37mmol)を添加した。30分間撹拌した後に、反応物をジクロロメタン(「DCM」)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。混合物を10分間撹拌した後に、層を分離し、DCMをMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。物質をシリカゲル上で20%メタノール/酢酸エチルで溶離して精製して、非結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン(15mg、0.034mmol、収率93%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.2 (s, 1H), 7.76 (d, 1H, J = 5.2 Hz),
7.2-7.35 (m, 4H), 6.15 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 4.92 (br, 2H), 4.78 (br, 1H), 4.01
(s, 1H), 3.37 (m, 2H), 3.14 (d, 1H, J = 15.6 Hz), 2.78 (d, 1H, J = 15.6),
1.3-1.91 (m, 7H); m/z (esi/APCI) M+1 = 440.1.
(実施例2)
【0062】
【化2】
結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基半水和物(形態1)
(S)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンジヒドロクロリド(3.89Kg)および3,6-ジブロモ-1,2,4-トリアジン(3.71Kg)を1,4-ジオキサン(34.3Kg)中で、約20~30℃で、トリエチルアミン(6.45Kg)と反応させて、(S)-1’-(6-ブロモ-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンをその場で得た。(S)-1’-(6-ブロモ-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンをナトリウム2-アミノ-3-クロロピリジン-4-チオラート(3.08Kg)と反応させ、混合物を約12.5時間、約70~75℃に加熱して、(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンを得た。混合物を約15~30℃に冷却した。Celite(登録商標)(1.95Kg)を約15~30℃で反応物に添加し、約1時間撹拌し、スラリーを濾過し、1,4-ジオキサンですすいだ。溶媒交換を行って、1,4-ジオキサンをテトラヒドロフランに取り換えた。粗製の(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンを、クロマトグラフィーによりシリカゲル(イソプロピルアルコールで前処理)上で、溶離液としてジクロロメタン、メタノール、エタノール、n-ヘキサンおよびトリエチルアミンの混合物を使用して精製した。クロマトグラフィーの後に、生成物をメタノールおよび水から結晶化させて、精製された結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基半水和物(形態1)(1.39Kg)を得た。
【0063】
粉末X線回折分析を、銅(Cu)放射線源を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して行った。発散スリットを15mm連続照明に設定した。回折される放射線を、PSD-Lynx Eye検出器により検出し、その際、検出器PSD開口部を2.99度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.00998度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長(CuKα=1.5418λ)で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱防止スクリーンを3.0mmの固定距離に設定した。試料を、収集中に15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れることにより調製し、収集中に回転させた。データはBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析はEVA diffract plusソフトウェアにより実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値で選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い;自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。典型的には、分離されなかったか、またはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大±0.2°2θである(USP-941)。
【0064】
実施例2、遊離塩基半水和物形態1のPXRDパターンは図1に示されている。実施例2の化合物、遊離塩基半水和物形態1でのPXRDピークリストおよび相対強度データ(2シータ°)を下の表1に提供する:
【0065】
【表1】
【0066】
実施例2の化合物、遊離塩基半水和物形態1での特徴的なPXRDピークリストおよび相対強度データ(2シータ°)を下の表2に提供する:
【0067】
【表2】
【0068】
固体NMR(「ssNMR」)分析を、Bruker-BioSpin Avance III 500 MHz(H周波数)NMR分光計内に位置する交差分極マジック角度スピニング(「CPMAS」)プローブで行った。物質を、4mmのZrOローターに密にパックした。14.0kHzのマジック角度スピニング速度を使用した。周囲温度(無制御の温度)でスペクトルを収集した。
【0069】
13C ssNMRスペクトルを、プロトンデカップリングCPMAS実験を使用して収集した。80~100kHzの相調節プロトンデカップリングフィールドをスペクトル捕捉中に印加した。交差分極接触時間を2msに設定し、リサイクル遅延を11.4秒に設定した。走査回数を調整して、適切なシグナル対ノイズ比を得た。13C化学シフトスケールを、13C CPMAS実験を使用し、結晶性アダマンタンの外部標準で、そのアップフィールド共鳴を29.5ppmに設定して参照した。
【0070】
自動ピーク採取を、Bruker-BioSpin TopSpinバージョン3.6ソフトウェアを使用して行った。一般に、5%相対強度の閾値を、予備的なピーク選択のために使用した。自動ピーク採取の出力を、視覚的にチェックして妥当性を確実にし、必要に応じて手動で調整した。具体的な固体NMRピーク値が本明細書において報告されているが、機器、試料、および試料調製の差異に起因して、これらのピーク値にはある範囲が実際に存在する。これは、ピーク位置に固有の変化により、固体NMRの分野で一般的な実地である。13C化学シフトx軸値での典型的な変化は、結晶性固体ではプラスまたはマイナス0.2ppm程度である。本明細書において報告される固体NMRピーク高さは相対強度である。固体NMR強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変わり得る。
【0071】
結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基半水和物(形態1)では、5つの特性ピークが同定された:44.4、47.7、149.2、36.6、および26.9±0.2ppmでの13C化学シフト。
【0072】
実施例2、遊離塩基半水和物形態1の13C ssNMRスペクトルは図2に示されている。実施例2、遊離塩基半水和物形態1の13C ssNMRスペクトル(ppm)を下の表3に提供する:
【0073】
【表3】
【0074】
ラマンスペクトルを、FT-IRベンチに取り付けられたThermo Scientific iS50 FT-Ramanアクセサリを使用して収集した。FT-Raman配置において、CaF2ビームスプリッターを利用する。分光計を、1064nmダイオードレーザーおよび室温InGaAs検出器に装備する。データ捕捉の前に、機器の性能および校正検証を、ポリスチレンを使用して行った。試料をガラス製NMR管内で錠剤として、またはデータ収集中に静止を保持する好適な試料ホルダー内で分析した。スペクトルを、0.1から0.5Wの間のレーザー出力および512の同時走査を使用して収集した。収集範囲は3700~100cm-1であった。APIスペクトルを、2cm-1分解を使用して記録し、Happ-Genzelアポディゼーションをすべてのスペクトルについて利用した。複数のスペクトルが記録されたが、報告されたスペクトルは2つのスポットを代表する。
【0075】
ピーク採取の前に、強度スケールを1に正規化した。ピークを、Thermo Nicolet Omnic 9.7.46ソフトウェアを使用して手動で同定した。ピーク位置をピーク最大値で採取したが、それぞれの側に傾斜があった場合には、ピークをそのまま同定するだけにした;ピークのショルダーは含まれなかった。無溶媒遊離塩基半水和物形態1では、75の感度で0.006の絶対閾値を、ピーク採取中に利用した。ピーク位置を、標準的な実施を使用して最も近い整数に四捨五入している(0.5は切り上げ、0.4は切り下げ)。(1~0.75)、(0.74~0.30)、(0.29~0)の間の正規化ピーク強度を有するピークをそれぞれ、強、中、および弱とラベリングした。
【0076】
実施例2、遊離塩基半水和物形態1のFT-ラマンスペクトルが図3に示されている。実施例2の化合物、遊離塩基半水和物形態1でのFT-ラマンスペクトル波数値リストおよび正規化強度データ(cm-1)を下の表4に提供する:
【0077】
【表4-1】
【0078】
【表4-2】
【0079】
実施例2の化合物、遊離塩基半水和物形態1での特徴的なFT-ラマン波数(cm-1)値リストおよび正規化強度データ(cm-1)を下の表5に提供する:
【0080】
【表5】
(実施例3)
【0081】
結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン遊離塩基半水和物形態1と非結晶性(S)-1’-(6-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミンとの比較分析
表6に列挙したいくつかの条件で貯蔵した試料で、遊離塩基半水和物形態1と非結晶形態との間で、HPLCを使用して化学的安定性データを評価した。
HPLC法
カラム: LC/027 Agilent Poroshell 120 EC-C18 150×4.6mm、2.7μm
カラム温度: 40℃
オートサンプラー温度: 周囲
UV波長: 220nm
注入体積: 4.00μL
流速: 1.5mL/分
移動相A: H2O中0.02%TFA
移動相B: MeCN中0.02%TFA
時間(分) 溶媒B[%]
0 20
3 20
15 70
15.1 95
16 95
16.1 20
20.0 20
【0082】
【表6】
【0083】
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、それらに対して一定の変化および変更を行うことができることは当業者には分かるであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】