IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーメリックス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-513799ダイレクトサーマルラベル及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ダイレクトサーマルラベル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20240319BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/41 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/44 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/323 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20240319BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G09F3/02 F
G09F3/00 E
B41M5/40 220
B41M5/41 200
B41M5/44 210
B41M5/323 220
B41M5/337 212
B41M5/333 220
G09F3/00 M
G09F3/10 H
G09F3/10 A
B41M5/44 220
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559693
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2022052848
(87)【国際公開番号】W WO2022201133
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/166,598
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】523366845
【氏名又は名称】ジーメリックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アンバルツミアン グルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ラド ソマイエ ホッセイニ
(72)【発明者】
【氏名】ラベア アリ モハマド
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026AA28
2H026BB02
2H026BB24
2H026BB26
2H026BB30
2H026DD02
2H026DD12
2H026DD45
2H026DD53
2H026EE05
2H026FF01
2H026FF11
2H026FF13
2H026FF29
2H026HH05
(57)【要約】
ラベルは、フェースストックを有することができる。ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストック上にあることができ、ダイレクトサーマルコーティング層は、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって選択的に暗色になるか又は色が変わるように構成されている。接着剤層を設けることができ、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックと接着剤層との間である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェースストックと、
前記フェースストック上のダイレクトサーマルコーティング層であって、前記ダイレクトサーマルコーティング層は、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって選択的に暗色になるか又は色が変わるように構成されている、ダイレクトサーマルコーティング層と、
接着剤層と、を備え、
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、前記フェースストックと前記接着剤層との間である、
ことを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、サーモクロミックインク及び/又はサーモクロミックインク活性化物質を含む、
請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記サーモクロミックインクは、ロイコ染料である、
請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
前記ダイレクトサーマルコーティング層の中に、前記ロイコ染料の再結晶化を抑制するための安定剤をさらに含む、
請求項3に記載のラベル。
【請求項5】
前記安定剤は、フェノールである、
請求項4に記載のラベル。
【請求項6】
前記ダイレクトサーマルコーティング層の中に、発色温度を最適化し、混合を容易にするための増感剤をさらに含む、
請求項5に記載のラベル。
【請求項7】
前記増感剤は、1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン又は2-ベンジルオキシナフタレンである、
請求項6に記載のラベル。
【請求項8】
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールS(BPS)、スルホニル尿素及び/又は置換サリチル酸の亜鉛塩のうちの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載のラベル。
【請求項9】
前記フェースストックは、包括的に0.10ミルから2.8ミルの間の厚さを有する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項10】
前記フェースストックは、熱可塑性フィルム、ポリマー、合成フィルム、アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド及びポリスチレンの群から選択される材料で作られている、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項11】
前記フェースストックは、熱硬化性材料で作られている、
請求項10に記載のラベル。
【請求項12】
無線通信部品をさらに含む、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項13】
前記接着剤層が剥離可能に接着される剥離ライナーをさらに含む、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項14】
前記剥離ライナーは、接着剤剥離層及び支持ライナーを含み、前記接着剤剥離層は、前記接着剤層と前記支持ライナーとの間である、
請求項13に記載のラベル。
【請求項15】
前記接着剤層の下面に接着された別のフェースストックを含む、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項16】
前記別のフェースストックは、前記フェースストックよりも厚い、
請求項15に記載のラベル。
【請求項17】
上面及び下面を有するフェースストックと、
前記フェースストックの下面上のダイレクトサーマルコーティング層であって、前記ダイレクトサーマルコーティング層は、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって選択的に暗色になるか又は色が変わるように構成されている、ダイレクトサーマルコーティング層と、を備え、
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、前記フェースストックとラベルが固定される対象物との間である、
ことを特徴とするラベル。
【請求項18】
ダイレクトサーマルラベルを製造する方法であって、
フェースストックの表面上にダイレクトサーマルコーティングを塗布するステップと、
前記ダイレクトサーマルコーティングの上に接着剤層を直接塗布するステップと、を含み、
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、前記フェースストックと前記接着剤層との間である、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
ダイレクトサーマルラベルを使用する方法であって、
フェースストックで遮蔽されたダイレクトサーマルコーティング層を有するラベルを得るステップと、
前記フェースストックを介して前記ダイレクトサーマルコーティング層の選択されたゾーンを熱活性化し、前記選択されたゾーンを暗色にするステップと、
前記選択されたゾーンが暗色にされた前記ダイレクトサーマルラベルを、前記ダイレクトサーマルコーティング層が前記フェースストックと対象物との間であるように前記対象物に接着するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
ダイレクトサーマルラベルを製造する方法であって、
フェースストックの表面にダイレクトサーマルコーティングを塗布するステップと、
前記ダイレクトサーマルコーティング上に少なくとも1つのバリア層を塗布するステップと、
前記少なくとも1つのバリア層上に接着剤層を直接塗布するステップと、を含み、
前記ダイレクトサーマルコーティング層は、前記フェースストックと前記少なくとも1つのバリア層との間である、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年3月26日出願の米国出願第63/166,598号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ダイレクトサーマル印刷及びラベルに関する。
【背景技術】
【0003】
ダイレクトサーマル印刷は、マトリックスとの反応によって染料を熱活性化するために、基材上のコーティングの選択された領域又はゾーンを加熱することを含む。先行技術を示す図1によると、1つの可能な実施形態では、典型的なダイレクトサーマルラベル10は、フェースストック11と、フェースストック11の下面を覆う接着剤12と、接着剤剥離層13と、支持ライナー14と、を有するものとして示されている。フェースストック11と接着剤12は、一体化されており、支持ライナー14からフェースストック11を取り外すと、接着剤12は付着したままである。支持ライナー14からのフェースストック11の取り外しは、接着剤剥離層13によって容易にすることができる。ラベル10は、染料及びマトリックス、場合によっては他の化合物及び/又は物質を含むダイレクトサーマルコーティング15を有する。印刷ヘッドA(別名、プリントヘッド)は、接触によってダイレクトサーマルの所望の領域を加熱し、染料とマトリックスとの反応を引き起こし、その領域を黒くするように制御される。黒くなった領域は、ラベル10上の印刷物を定める。ダイレクトサーマル包装又はラベル材料は、通常、紙又は薄い熱可塑性フェースストックフィルム材料から作られる。熱可塑性プラスチックは、加熱すると軟化し冷却すると硬化するポリマー樹脂で構成されるプラスチックの一種である。熱可塑性プラスチックは、何度、加熱又は冷却しても化学的性質の変化を示さない。
【0004】
ダイレクトサーマル印刷は、特にトナー、プリンタ塗布インク又はインクリボンをプリンタ内に必要とせず、つまりダイレクトサーマル印刷に使用される比較的安価なプリンタによって印刷されるので、コスト効率が高いことが知られている。しかしながら、ダイレクトサーマルで印刷された領域は、時間の経過とともに退色する傾向があり、溶剤、油、グリース及び/又は、液体又は他の形態の化学薬品などの物質に対する耐性に欠ける場合がある。また、ダイレクトサーマル印刷は、摩擦、磨耗、頻繁な接触から生じる物理的接触によって、並びに紫外線又は放射線、昼光又は太陽光、屋外暴露及び他の環境及び他の条件への暴露によって、損傷する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、従来技術に関連する問題に対処するダイレクトサーマルラベル構造体を提供することである。
【0006】
本開示のさらなる目的は、ダイレクトサーマルラベルを製造及び/又は使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の形態では、フェースストックと、フェースストック上のダイレクトサーマルコーティング層であって、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって選択的に暗色になるか又は色が変わるように構成されているダイレクトサーマルコーティング層と、接着剤層と、を備えるラベルが提供され、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックと接着剤層との間である。
【0008】
さらに第1の形態によると、例えば、ダイレクトサーマルコーティング層は、サーモクロミックインク及び/又はサーモクロミックインク活性化物質を含む。
【0009】
さらに第1の形態によると、例えば、サーモクロミックインクは、ロイコ染料である。
【0010】
さらに第1の形態によると、例えば、ダイレクトサーマルコーティング中には、ロイコ染料の再結晶化を抑制するための安定剤が存在することができる。
【0011】
さらに第1の形態によると、例えば、安定剤は、フェノールである。
【0012】
さらに第1の形態によると、例えば、増感剤は、発色温度を最適化し、混合を容易にするためにダイレクトサーマルコーティング中に存在することができる。
【0013】
さらに第1の形態によると、例えば、増感剤は、1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン又は2-ベンジルオキシナフタレンである。
【0014】
さらに第1の形態によると、例えば、ダイレクトサーマルコーティングは、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールS(BPS)、スルホニル尿素及び/又は置換サリチル酸の亜鉛塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
さらに第1の形態によると、例えば、フェースストックは、包括的に0.10ミルから2.8ミルの間の厚さを有する。
【0016】
さらに第1の形態によると、例えば、フェースストックは、熱可塑性フィルム、ポリマー、合成フィルム、アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド及びポリスチレンの群から選択される材料で作られている。
【0017】
さらに第1の形態によると、例えば、フェースストックは、熱硬化性材料で作られている。
【0018】
さらに第1の形態によると、例えば、無線通信部品は、ラベル内である場合がある。
【0019】
さらに第1の形態によると、例えば、接着剤層が剥離可能に接着される剥離ライナーを提供することができる。
【0020】
さらに第1の形態によると、例えば、剥離ライナーは、接着剤剥離層と支持ライナーとを含み、接着剤剥離層は、接着剤層と支持ライナーとの間である。
【0021】
さらに第1の形態によると、例えば、別のフェースストックが接着剤層の下面に接着される場合がある。
【0022】
さらに第1の形態によると、例えば、別のフェースストックは、フェースストックよりも厚い。
【0023】
本開示の第2の形態によると、上面及び下面を有するフェースストックと、フェースストックの下面上のダイレクトサーマルコーティング層であって、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって選択的に暗色になるか又は色が変わるように構成されているダイレクトサーマルコーティング層と、を備えるラベルが提供され、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックとラベルが固定される対象物との間である。
【0024】
本開示の第3の形態によると、フェースストックの表面上にダイレクトサーマルコーティングを塗布するステップと、ダイレクトサーマルコーティングの上に接着剤層を直接塗布するステップと、を含むダイレクトサーマルラベルを製造するための方法が提供され、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックと接着剤層との間である。
【0025】
本開示の第4の形態によると、フェースストックによって遮蔽されたダイレクトサーマルコーティング層を有するラベルを得るステップと、フェースストックを介してダイレクトサーマルコーティング層の選択されたゾーンを熱活性化し、選択されたゾーンを暗色にするステップと、選択されたゾーンが暗色にされたラベルを、ダイレクトサーマルコーティング層がフェースストックと対象物との間であるように、対象物に接着するステップと、を含むダイレクトサーマルラベルを使用する方法が提供される。
【0026】
本開示の第5の形態によると、フェースストックの表面上にダイレクトサーマルコーティングを塗布するステップと、ダイレクトサーマルコーティング上に少なくとも1つのバリア層を塗布するステップと、少なくとも1つのバリア層上に接着剤層を直接塗布するステップと、を含む、ダイレクトサーマルラベルを製造する方法が提供され、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックと少なくとも1つのバリア層との間である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】先行技術による印刷前のダイレクトサーマルラベルとそれに続く印刷のシーケンスの概略図である。
図2】本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの一部の概略図である。
図3A】本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの概略図である
図3B】本開示の変形例によるバリアフィルムを有するダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図4図3Aのダイレクトサーマルラベルを印刷する方法の概略図である。
図5】剥離ライナーが取り外された、図4のダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図6】基材上の図4のダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図7A】第2のフェースストックを有する、本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図7B】第2のフェースストック及びバリアフィルムを有する、本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図8図7Aのダイレクトサーマルラベルを印刷する方法の概略図である。
図9】剥離ライナーが除去された、図7Aのダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図10】基材上の図7Aのダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図11A】第2のファースストックとワニス又はコーティングを有する、本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図11B】第2のフェースストック、ワニス/コーティング及びバリアフィルムを有する、本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図12図11Bのダイレクトサーマルラベルを印刷する方法の概略図である。
図13】剥離ライナーが除去された、図11Bのダイレクトサーマルラベルの概略図である。
図14】基材上の図11Bのダイレクトサーマルラベルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を、より詳細には図2図3A及び図3Bを参照すると、本開示の変形例によるダイレクトサーマルラベルはおおまかに20で示されている。表現「ダイレクトサーマル」は、ラベル20の性質、すなわちダイレクトサーマルプリンタで印刷することができるラベルを説明するための呼称として使用される。ダイレクトサーマル印刷は、化学的に処理された感熱媒体を使用し、この媒体は、サーマルプリントヘッドの下を通過する際に、例えば熱伝導によって黒くなる又は色が変わる。1つの可能な実施形態では、ラベル20は、フェースストック21、ダイレクトサーマルコーティング21A、随意的なバリア層21B(図3B)、ダイレクトサーマルコーティング21A又はバリア層21Bの下面上の接着剤22、接着剤剥離層23及び/又は支持ライナー24を有することができる。図2は、最初にイレクトサーマルコーティング21Aをフェースストック21に塗布し、次に、接着剤22を、図3Aのようにダイレクトサーマルコーティング21Aに又は図3Bのようにバリア層21Bに塗布することができることを示す。本明細書で説明するラベル20のすべての構造に適用可能な変形例では、フェースストック21へのダイレクトサーマルコーティング21Aの接着を助けるために、フェースストック21の下面に表面処理を使用することが企図されている。さらに、接着能力をさらに高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理又は化学処理のような、いずれか一方の側面又は両方の側面上のフェースストック21の表面処理も企図されている。表面処理と接着促進処理との組み合わせも企図されている。バリアコーティング又は層21Bは、例えば接着剤によるダイレクトサーマルコーティング21Aの汚染を防止するために、随意的にダイレクトサーマルコーティング21Aと接着剤22との間に存在することができる。バリア層21Bは、単層、2層、多層とすることができる。例えば、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、フェースストック21の表面上に液体として塗布することができる。ダイレクトサーマルコーティング層21Aを形成するように乾燥又は硬化すると、ダイレクトサーマルコーティング層21A上に接着剤22を直接塗布することができる。
【0029】
ラベル20は剥離ライナー上にあり、支持ライナー24上に接着剤剥離層23を含むことができる。表示ラベル20は、本明細書に記載される全ての変形例に使用され、本明細書に記載される様々な層、コーティング等を含み、これは、剥離ライナー(支持ライナー24上の接着剤剥離層23を含んでもよい)を含むが、剥離ライナーは、ラベル20の取り外し可能なラベル部分が対象物に接着される際に剥離されて廃棄される。剥離ライナーから取り外されたラベル20は、依然としてラベル20と呼ぶことができ、分離ラベル20又は分離可能ラベル20と説明することもできる。別の解釈では、剥離ライナーが存在する場合(本明細書で説明する全ての実施形態では随意的である)、剥離ライナーはラベル20の一部ではないとも言える。しかしながら、一貫性を保つために、剥離ライナーはラベル20の一部であるとして説明することになる。さらに、1つの剥離ライナーは、複数の別個の分離可能なラベル部分に使用することができる。剥離ライナーは、例えば、接着剤22と接触する接着性の低い表面を有する支持ライナー24を用いて、接着剤剥離層23なしとすることができる。接着剤剥離層23は、シリコーンベース、非シリコーンベース、無溶媒とすることができる。剥離ライナー、すなわち支持ライナー24及び随意的にその上の接着剤剥離層23は、何らかのポリマーベース又は紙ベースの材料で作ることができる。ポリマーベースのフィルムライナーの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエステル、ポリビニル、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリスチレン、合成紙、シリコーンゴム、ナイロン、ポリアミド、ポリイミドなどの熱可塑性フィルム、鉱物系合成フィルム、アクリレート、堆肥化可能、生分解性フィルム及び同様のポリマーベース材料、並びに何らかの複合材料又はそれらの何らかの組み合わせを挙げることができる。ポリマーベースの支持ライナー24の厚さは、0.5ミルから12.0ミルの間とすることができる。別の実施形態では、ポリマーベースの支持ライナー24の厚さは、0.8ミルから2.0ミルの間とすることができる。別の実施形態として、ポリマーベースの支持ライナー24の厚さは、0.9ミルから1.8ミルの間とすることができる。別の実施形態として、ポリマーベースの支持ライナー24の厚さは、1.1ミルから1.6ミルの間とすることができる。紙ベースの支持ライナー24は、限定されるものではないが、クレイコートクラフト紙、スーパーカレンダードクラフト紙、グラシン、LDPE、MDPE、HDPEコートクラフト紙などのポリエチレンコートクラフト紙などを含むことができる。上記の多数の剥離ライナーは、ラウフェンベルク社(Laufenberg GmbH)(クレフェルト・ヒュルス(Krefeld-Huls)、ドイツ)などから市販されている。紙ベースの支持ライナー24の厚さは、1.0ミルから12.0ミルの間とすることができる。好ましい実施形態として、紙ベースの支持ライナー24の厚さは、2.2ミルから3.6ミルの間とすることができる。別の実施形態として、紙ベースの支持ライナー24の厚さは、2.0ミルから2.6ミルの間とすることができる。別の実施形態として、紙ベースの支持ライナー24の厚さは、2.3ミルから6.0ミルの間とすることができる。
【0030】
一実施形態では、ラベル20は、剥離ライナーを使用せず、自己巻き付けテープとしてそれ自体に巻き付けることができる。後者の場合、接着剤は、その下の巻かれたフェースストック21の表面上に隠される。このような場合、フェースストック21は、その表面にシリコーン、フルオロシリコーン又は(複数の)非シリコーン剥離コーティングを含む層などの、何らかの剥離コーティングを有することができる。図5のように、フェースストック21、ダイレクトサーマルコーティング21A及び接着剤22は、例えば、接着剤剥離層23が存在する場合にはその助けを借りて、支持ライナー24との係合から離脱することができる。その後、図6のように、フェースストック21は、接着剤22によって対象物に接着することができる。基材に接着される代わりに、図7Aから図14を参照して後述するように、別のラベル材料の積層物として、又は非粘着性タグ材料の積層物として、又は何らかの表面の積層物として機能するように、フェースストック21は、接着剤22によって別のフェースストックに接着させることができる。各図では、支持ライナー24は、ラベル20のフェースストック21と同じ幅として示されている。しかしながら、(例えば、型抜き後に)ラベル20の取り外し可能なラベル部分の周囲から除去されるフェースストック21の廃棄部の部分を有することが可能であり、支持ライナー24は、ラベル20の取り外し可能なラベル部分よりも大きな幅を有するようになっている。
【0031】
フェースストック21は、何らかの適切な材料、例えば、ポリマー、合成フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエステル、ポリビニル、アクリレートポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリスチレン、合成紙、シリコーンゴム、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミドのような熱可塑性又は熱硬化性フィルム、鉱物ベースの合成フィルム、堆肥化可能、生分解性フィルム及び同様のポリマーベースの材料、並びにモノマー又はポリマーを含む何らかの複合材料又は材料の組み合わせで作ることができる。一実施形態によると、フェースストック21は、包括的に0.10ミルから0.30ミルの間の厚さを有する。このような小さな厚さは、ダイレクトサーマルコーティング21A中の染料を活性化するために、そこを通る熱伝導を助長することができる。別の実施形態によると、フェースストック21は、包括的に0.10ミルから2.8ミルの間の厚さを有するが、これよりも薄い場合又は厚い場合もある。別の実施形態では、フェースストック21の厚さは、包括的に0.20ミルから0.4ミルの間である。別の実施形態では、フェースストック21の厚さは、包括的に0.25ミルから0.60ミルの間である。別の実施形態では、フェースストック21の厚さは、包括的に0.30ミルから0.90ミルの間である。ラベル20は、フェースストック21の上に、インク層、トップコート、ワニス又は何らかの他のタイプのコーティングを含むことができる。例えば、インク層、ワニス、トップコートなどは、場合によっては熱が高分子材料に影響を与える可能性があるため、プリントヘッドとフェースストック21の高分子材料との直接接触を避けるために設けることができる。例えば、図11A及び図11Bは、そのようなワニスの1つの層を示す。しかしながら、上記のポリマー材料の中にはプリントヘッドの温度範囲に影響されないものもあるので、これは随意的である。インク層又はワニス又はトップコートは、水性、溶剤ベース、UV硬化性、LED-UV硬化性、EB硬化性、熱硬化性、赤外線硬化性、何らかのタイプの放射線に対する硬化性、100%固体のトップコートなどとすることができる。
【0032】
別の実施形態では、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、透明、不透明又は半透明とすること、あるいは色地をもつために着色剤又はインクを含むことができる。製剤の一部として何らかの接着促進剤を含むことができる。他のサーモクロミックインクは、同様に他の用途に使用できる。別の実施形態では、フェースストック21は、トップコートの追加層を含むことができる。フェースストック21は、フェースストック21を通して印刷が視認できるように、その全体又はサーマル印刷の領域で透明とすること、あるいは異なる不透明度及び透明度を有することができる。さらに別の実施形態では、フェースストック21は、フェースストック21が印刷用のロール、シート、タグ又は折り畳み形式の非粘着材料として使用されるために、接着剤22及び支持ライナー24をもたない場合があり、ここでは、プリントヘッドは、ダイレクトサーマルコーティング21Aに直接接触することなくフェースストック21の上面に接触している。換言すれば、熱は、ダイレクトサーマルコーティング21Aに画像を形成するために、フェースストック21を伝わる。フェースストック21は、静電クリングフィルム、又は接着剤なしで支持ライナー上に静電クリング機能を与えるコーティングで被覆されたフィルムとすることができる(この場合、ダイレクトサーマルインクはフェースストック21とライナー24との間となる)。変形例では、静電クリングフィルムは、支持ライナーなしで自己巻き付けされる場合がある。別の実施形態では、ダイレクトサーマル層21Aは、接着剤22及び/又は27を必要とせずに、以下に説明する21及び26のような2つの静電クリングフェースストックの間に挟むことができる。このようなフェースストック21を有するラベル20は、静電気/静電気クリングによって表面に付着させることができる。接着剤22又は27を有する必要なしに、ダイレクトサーマル層が2つの非静電クリングフェースストックの間に挟まれる同様の実施形態が企図され、そのようなラベル20は、例えば、非粘着性タグ材料として使用される。ラベル20は、シート、ストリップ、ロール、折り畳み紙など、何らかの形式とすることができる。ロールの場合、ダイレクトサーマルラベル20はそれ自体に巻き付けられる細長いストリップである。ラベル20が支持ライナーなしの自己巻き付け構成の場合、フェースストック21の上面は、シリコーン、フルオロシリコーン又は非シリコーン系剥離剤を含むコーティングなどの接着剤剥離化合物で被覆することができる。後者の場合、接着剤22は、フェースストック21の上面上で隠され、ラベル20の巻き戻し時にそこから解放される。ラベル20の別の実施形態は、接着剤剥離層23のないラベル及び/又はノーカットラベル材を特徴とする。ラベル20の別の実施形態は、複数の分離可能なラベル20を有する支持ライナー24のシートのように、複数の分離可能なラベル20をもたらす複数の取り外し可能なラベル部分によって共有される支持ライナー24(層23を有するか又はそれを有していない)を特徴とする。ラベル20は、円形、正方形、矩形を含む何らかの適切な形状を有することができる。さらに、複数のラベル20は、例えば、引き裂き可能なミシン目又は切れ目で、シート、ロールなどに相互に接続することができる。
【0033】
ダイレクトサーマルコーティング21Aは、染料及びマトリックスを有するラベル20の層/部分である。例えば、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、サーモクロミックインク及び/又はサーモクロミックインク活性化物質を含む。ダイレクトサーマルコーティング21Aは、感熱性であり、熱に反応して暗色になる又は色が変わる。ゾーン又は表面はプリントヘッドとの接触によって選択的に加熱されて暗色になり、これらのゾーンはフェースストック21の色とは対照的でありラベル20上の印刷物を構成する。一実施形態によると、コーティング21Aのサーモクロミックインクは、ロイコ染料である。これらの染料は、pH中性の環境下で結晶化すると無色のロイコ形態を有し、顕色剤と呼ばれる酸に曝されると色付きとなる。最も一般的に使用される染料の非限定的な例は、スピロラクトン、フルオラン、スピロピラン、フルギドである。加熱状態では、酸は溶融し、酸と染料との相互作用によって染料はその色の形態に変化する。サーモクロミック材料に適した酸の例は、オクタデシルホスホン酸、フェノール類、例えばビスフェノールA(BPA)及びビスフェノールS(BPS)である。(スルホニル尿素、置換サリチル酸の亜鉛塩など)他の適切な酸性物質は、ロイコ染料の顕色剤としても使用できる。発色温度を最適化し、混合を容易にするために、ダイレクトサーマルコーティング21Aには、随意的に、1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン又は2-ベンジルオキシナフタレンなどの増感剤を加えることができる。これらのエーテルは、ロイコ染料及び顕色剤の溶媒であり、特定の温度での発色を促進する。ロイコ染料、顕色剤及び増感剤によって形成された色を安定化させるために、ラベル20上に塗布する前に、ダイレクトサーマルコーティング21Aに安定剤を加えることができる。非限定的な例として、安定剤は、染料及び顕色剤の再結晶化を抑制し、それによって印刷画像を安定化させるフェノール類とすることができる。その化学成分の大部分は、通常、保護コーティング内にマイクロカプセル化され、その成分による望ましくない影響から内容物を保護する。加熱されると、マイクロカプセルの構造体が崩壊し、成分間の反応が引き起こされ、その結果、暗色になる。上述した技術は例示的であり、サーマル印刷を実現するために、その全ての成分がダイレクトサーマルコーティング21A中に存在する必要はない。例えば、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、増感剤又は安定剤、又はその両方なしで活性化される場合がある。異なるタイプのサーモクロミックインク及び顕色剤を使用することができる。上述したラベル20は、他のタイプのサーモクロミックインクと共に使用することができ、記載した特定の変形例のみに限定されるものではない。ダイレクトサーマルラベル20は、あらゆるロボット、オートメーション、印刷、剥離、ラベル及びテープ圧着装置に適用可能であり、サーモクロミック及び/又はロイコ染料系を活性化できるプリントヘッド以外のあらゆる熱源をカバーすることになる。
【0034】
図3A、3B、及び4を参照すると、ラベル20は、印刷準備完了状態で示されている。図3A及び3Bでは、ラベル20は未記入(blank)であり、ダイレクトサーマルコーティング21Aの熱活性化が行われていないことを意味するが、何らかのデータ、画像、グラフィック、ロゴ又はマーキングは、他の印刷によって既に存在している可能性がある。従って、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、フェースストック21によって遮蔽されている。プリントヘッドAがラベル20に適用されると、フェースストック21を通してダイレクトサーマルコーティング21Aの選択されたゾーンを加熱することができる。フェースストック21は、ダイレクトサーマルプリンタAによる加熱にもかかわらず、その遮蔽特性を失わない。図4に示すように、ダイレクトサーマルコーティング21Aの印刷物25は、図1と同様にラベル20に進んで接触するプリントヘッドAからの熱にさらされることによって生じる。概略的に示されるが、印刷物25は、他の可能性の中でも、文字(文字、数字、コード)、記号、装飾、コード(例えば、QRコード、バーコード)など、何らかの適切な形態をとることができる。印刷物25は、シリアル化された数字、シリアル化されたテキスト、レタリング、英数字又はシリアル化されたバーコード、ランダムな数字、ランダムなバーコード、ランダムな英数字データ、ランダムなテキストなどの何らかのタイプの情報とすること、又は非可変情報とすることができる。印刷25は、ロイコ染料の放出に起因することができる。
【0035】
有利には、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、フェースストック21によって遮蔽されている。さらに、図5のように剥離層23を有する支持ライナー24が除去され、図6のようにラベル20が表面に接着されると、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、フェースストック21と表面との間に(存在する場合には接着剤層22を介して)挟まれる。従って、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、環境、例えば、空気、溶媒、アルコール、化学薬品、油、グリース、光、紫外線などに曝されないことになる。これは、フェースストック21がダイレクトサーマルコーティング層21Aを空気、溶剤、アルコール、化学薬品、油、グリース、光、紫外線などから遮蔽するので、印刷物25の退色速度を低下させることができる。アクリレート及びメタクリレートのモノマー、及びポリマー、ポリスチレンを含むもの、又はモノマー、ポリマー及び紫外線吸収剤を含むもののような、ある種の透明ポリマー材料は、日光及び紫外線のような屋外暴露から保護する能力を有し、フェースストック21の下のダイレクトサーマル印刷の変色又は退色を防止する。一実施形態として、フェースストック21はアクリレートである。別の実施形態として、フェースストック21はポリエステルである。さらに別の実施形態として、フェースストック21は、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン又は二軸配向ポリプロピレンである。さらに別の実施形態では、フェースストック21はポリエチレンである。さらに別の実施形態では、フェースストックはポリアミド(ナイロン)である。
【0036】
ラベル20のフェースストック21は、プリントヘッドAからの熱がダイレクトサーマルコーティング層21Aの染料を活性化するために、熱を十分に伝導する能力を有する必要がある。一実施形態では、これは、ダイレクトサーマルコーティング層21Aへの熱伝導を実質的に妨げないように十分に小さい所定の厚さをフェースストック21が有することによって達成される。一実施形態によると、フェースストック21は、包括的に0.10ミルから0.30ミルの間の厚さを有する。別の実施形態によると、フェースストック21は、包括的に0.10ミルから2.8ミルの間、又は2.5から72ミクロンの間の厚さを有するが、より薄い場合又はより厚い場合もある。他の値の範囲も企図される。ダイレクトサーマルコーティングの活性化温度は、印刷の濃さ及びその品質に影響を及ぼす可能性がある。本開示のいくつかの変形例によって、プリントヘッドAが50℃から30℃の範囲の温度にある場合、フェースストック21の厚さが上記で与えられた範囲内にある場合に適切な品質の印刷がもたらされた。常套手段として、プリンタの設定値は、ユーザの好みに基づいて異なるレベルの暗さを実現するように調整することができる。一実施形態では、ダイレクトサーマルインクの活性化温度は、50℃から300℃の間である。別の実施形態では、ダイレクトサーマルインクの活性化温度は、65℃から230℃の間である。別の実施形態では、ダイレクトサーマルインクの活性化温度は、75℃から180℃の間である。別の実施形態では、ダイレクトサーマルインクの活性化温度は、50℃から160℃の間である。
【0037】
図7Aを参照すると、ラベル20の別の変形例が示されている。図7Aのラベル20は、図2から図6に関して本明細書で説明した変形例20と構成要素を共有しており、それにより、フェースストック21、ダイレクトサーマルコーティング層21A、バリア層21B、接着剤層22、接着剤剥離層23、及び/又は支持ライナー24などについて、同様の要素には同様の参照数字が付与されており、支持ライナー24及び接着剤剥離層23は、存在する場合、本明細書で説明した他の実施形態と同様に剥離ライナーとして知られている。これらの層は、図7A及び7Bの変形例では存在するように示されているが、層の一部は随意的に除去することができる。
【0038】
上述の様々な層に加えて、図7Aのラベル20は、フェースストック層26とも呼ばれる追加のフェースストック26を有することができる。フェースストック26は、接着剤27の下に積層物としてフェースストックの追加層(図示せず)を含むことができる。ラミネートとも呼ばれるフェースストック21、及びダイレクトサーマルコーティング21A、随意的なバリア層21Bは、接着剤層22によってフェースストック26に固定することができる。本開示に記載の変形例の何れかにおける接着剤22は、限定されるものではないが、水性、ホットメルト、UVホットメルト、LED UV硬化ホットメルト、ゴムベース、溶剤ベース、アクリルベース、エマルジョン、ラテックス、シリコーンを含む何らかのタイプの感圧接着剤又は非感圧接着剤、UV硬化性、LED UV硬化性、熱硬化性、赤外線硬化性などの放射線硬化性接着剤、架橋又は非架橋接着剤、ホットスタンプ可能接着剤、コールドスタンプ可能接着剤、熱活性化接着剤など、及びこれらの何らかの組み合わせとすることができる。永久接着剤、超永久脱着可能接着剤、超脱着可能接着剤、再配置可能接着剤、生分解可能接着剤、バイオ堆肥化接着剤又は他のタイプの接着剤が企図される。フェースストック26は、何らかの適切な材料、例えば、モノマー、ポリマー、合成フィルム、アクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエステル、ポリビニル、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリスチレン、合成紙、シリコーンゴム、ナイロン、ポリアミド、ポリイミドなどの熱硬化性又は熱可塑性フィルム、鉱物ベースの合成フィルム、堆肥化可能な生分解性フィルム及び同様のポリマーベースの材料、紙、厚紙、セルロース繊維からなる材料、布、ティッシュ、織布又は不織布、アルミニウム箔などの金属箔、金属化フィルム、タイベック(Tyvek)など、並びに何らかの複合材料又はそれらの何らかの組み合わせから作ることができる。フェースストック21は透明とすることができるが、フェースストック26は、ダイレクトサーマルコーティング21A及びその印刷物25の下にあるため透けて見える必要がないので、不透明、透明、半透明とすることができる。フェースストック26は、何らかの色とすることができ、色は、フェースストック26自体の内部に組み込まれるか又はその(複数の)表面に印刷されており、フェースストック26は、何らかのタイプのインク、コーティング、又はインク受容性コーティング又は処理を含む。フェースストック26を支持ライナー24に接着するために、27として示される別の接着剤層が使用され、例えば、何らかの接着剤剥離層23が存在する。図7Bは、図7Aと同様の変形例を示すが、バリアコーティング又はバリア層21Bが存在する。図7Bのように、バリアコーティング又はバリア層21Bは、例えば接着剤22によるダイレクトサーマルコーティング21Aの汚染を防止するために、ダイレクトサーマルコーティング21Aと接着剤22との間に存在することができる。図7A及び7Bに示すダイレクトサーマルラベルの別の実施形態は、積み重ね(piggy-back)用途において、ライナー24の下に、追加の剥離ライナー上に隠される追加の接着剤層を含むことができる。別の実施形態では、データ又は情報を送信及び/又は受信することができるRFID(無線自動識別)又はNFC(近距離無線通信)などの無線通信要素は、フェースストック26の下又は本明細書で説明するラベル20の他の場所に組み込むことができる。
【0039】
図7A及び7Bのラベル20は、例えば、接着剤27と接触する粘着性の低い表面を有する支持ライナー24を備え、接着剤剥離層23なしとすることができる。一実施形態では、図7A及び7Bのラベル20は、ラベル20を非粘着タグとして使用するために、接着剤剥離層23、支持ライナー24及び接着剤27がない場合がある。図9のように、フェースストック21、ダイレクトサーマルコーティング21A、フェースストック26及び接着剤27は、例えば、接着剤剥離層23が存在する場合には、接着剤剥離層23の助けを借りて、支持ライナー24との係合から離脱することができる。その後、図10のように、フェースストック26は、接着剤27によって対象物に接着することができる。図9では、切れ目28が剥離層23及び支持ライナー24を除いたラベル20を最後まで貫通する場合、ラベル20の残存部分が支持ライナー24上に残ることが観察できる。これらの残存部分は、ラベル20の印刷前、例えば製造時に除去することもできる。
【0040】
一実施形態によると、フェースストック26は、ラベル20に追加の厚さを提供し、フェースストック21よりも厚い場合がある。これにより、例えば、上部のフェースストック21を比較的薄くすることができ、従って、これが熱伝導を妨げるのを制限することができる。フェースストック26によって提供される追加の厚さは、例えば28で示されるように、ラベル20へのダイカットを容易にすることができる。変形例では、切れ目は、剥離層23及び支持ライナー24を除いて、ラベル20を最後まで貫通する。支持ライナー24に至る様々な層が十分な厚さに組み合わされていない場合、ラベル20の切断は困難であり、制限された展開(deployment)の切断技術を必要とする可能性がある。従って、上部のフェースストック21に加えてフェースストック26が存在することで、何らかの構造的支持機能を提供することができる。従って、フェースストック26は、0.20ミルから20.0ミルの間の厚さを有することができるが、より薄い場合又はより厚い場合もある。好ましい実施形態として、フェースストック26の厚さは、0.40ミルから10.0ミルの間である。別の好ましい実施形態として、フェースストック26の厚さは、0.50ミルから3.8ミルの間である。別の好ましい実施形態として、フェースストック26の厚さは、0.80ミルから5.0ミルの間である。フェースストック26は、その上にデータ、画像、ロゴ、色、背景色などを含む他の印刷物を有することができる。フェースストック26は、ワニス、トップコート、融着、インク受容性コーティング、コロナ処理(電界を用いたイオン化空気による材料の表面エネルギーの増大)、プラズマ処理、火炎処理、化学処理等の表面処理などの、何らかのタイプの層又はコーティングを有することができる。接着剤27は、限定されるものではないが、水性、ホットメルト、UVホットメルト、ゴムベース、溶剤ベース、アクリルベース、エマルジョン、ラテックス、シリコーン含む何らかのタイプの感圧接着剤又は非感圧接着剤、UV硬化性、LED UV硬化性、熱硬化性、赤外線硬化性などの放射線硬化性接着剤、架橋又は非架橋接着剤、ホットスタンプ可能接着剤、コールドスタンプ可能接着剤、熱活性化接着剤など、及びそれらの何らかの組み合わせとすることができる。永久接着剤、超永久脱着可能接着剤、超脱着可能接着剤、再配置可能接着剤、生分解可能接着剤、バイオ堆肥化接着剤又は他のタイプの接着剤が、企図される。
【0041】
図7A、7Bを参照すると、ラベル20は、印刷準備完了状態で示されている。図7A及び7Bでは、ラベル20は未記入であり、ダイレクトサーマルコーティング21Aの熱活性化が行われていないことを意味するが、何らかのデータ、画像、グラフィック、ロゴ、又はマーキングは、他の印刷によって既に存在している可能性がある。従って、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、フェースストック21によって遮蔽されている。プリントヘッドAがラベル20に適用されると、フェースストック21を通してダイレクトサーマルコーティング21Aの選択されたゾーンを加熱することができる。フェースストック21は、ダイレクトサーマルプリンタAによる加熱にもかかわらず、その遮蔽特性を失わない。図8に示すように、ダイレクトサーマルコーティング21Aの印刷物25は、図1と同様にラベル20に進んで接触するプリントヘッドAからの熱にさらされることによって生じる。概略的に示されるが、印刷物25は、他の可能性の中でも、文字(文字、数字、コード)、記号、装飾、コード(例えば、QRコード、バーコード)など、何らかの適切な形態をとることができる。印刷物25は、シリアル化された数字、シリアル化されたテキスト、レタリング、英数字又はシリアル化されたバーコード、ランダムな数字、ランダムなバーコード、ランダムな英数字データ、ランダムなテキストなどの可変情報とすること、又は非可変情報とすることができる。印刷物25は、放出されたロイコ染料又はサーモクロミックインクに起因することができる。
【0042】
有利には、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、フェースストック21によって遮蔽されている。さらに、図9のように、剥離層23及び支持ライナー24が除去され、図10のようにラベル20が表面に接着されると、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、フェースストック21とフェースストック26との間に挟まれる。
【0043】
図11Aを参照すると、ラベル20の別の変形例が示されている。図11Aのラベル20は、図2から図10に関して本明細書で説明した変形例20と構成要素を共有しており、これにより、フェースストック21、ダイレクトサーマルコーティング層21A、バリア層21B、接着剤層22、接着剤剥離層23、支持ライナー24、第2のフェースストック26、接着剤層27及び/又は切れ目28などについて、同様の要素には同様の参照数字が付与されている。これらの層は、図11A及び11Bの変形例では存在するように示されているが、層の一部は随意的に除去することができる。
【0044】
上述した様々な層に加えて、図11Aのラベル20は、フェースストック21の上にワニス(例えば、何らかのタイプのワニス、ラッカー、トップコート、インク受容性コーティング、シリコーン含有コーティング、剥離コーティング又は何らかの他のタイプのコーティング)層29又はインク層を有することができる。インク層又はワニスは、場合によっては熱がポリマー材料に影響を与える可能性があるため、プリントヘッドとフェースストック21のポリマー材料との直接接触を避けるために設けることができる。図11Bは、図11Aと同様の変形例を示すが、バリアコーティング又はバリア層21Bが存在する。バリアコーティング又はバリア層21Bは、例えば接着剤22によるダイレクトサーマルコーティング21Aの汚染を防止するために、図11Bのようにダイレクトサーマルコーティング21Aと接着剤22との間に存在することができる。
【0045】
図11A及び11Bのラベル20は、例えば、接着剤27と接触する粘着性の低い表面を有する支持ライナー24を備え、接着剤剥離層23なしとすることができる。一実施形態では、図11A及び11Bのラベル20は、接着剤剥離層23、支持ライナー24、及び接着剤27がない場合があり、図11A及び11Bのラベル20は、そのような構成の非粘着タグとして使用される。図13のように、ワニス29、ダイレクトサーマルコーティング21A、フェースストック26、及び接着剤27を有するフェースストック21は、例えば、接着剤剥離層23が存在する場合には、接着剤剥離層23の助けを借りて、支持ライナー24との係合から離脱することができる。その後、図14のように、フェースストック26は、接着剤27によって対象物に接着することができる。
【0046】
図11A及び11Bを参照すると、ラベル20は、印刷準備完了状態で示されている。図11A及び11Bでは、ラベル20は未記入であり、ダイレクトサーマルコーティング21Aの熱活性化が行われていないことを意味するが、何らかのデータ、画像、グラフィック、ロゴ又はマーキングは、他の印刷によって既に存在している可能性がある。従って、ダイレクトサーマルコーティング21Aは、フェースストック21によって遮蔽されている。プリントヘッドAがラベル20に適用されると、フェースストック21を通してダイレクトサーマルコーティング21Aの選択されたゾーンを加熱することができ、フェースストック21は、ワニス29又は同様のトップコートによって熱から保護される。フェースストック21は、ダイレクトサーマルプリンタAによる加熱にもかかわらず、その遮蔽特性を失わない。図12に示すように、ダイレクトサーマルコーティング21Aの印刷物25は、図1と同様にラベル20に進んで接触するプリントヘッドAからの熱にさらされることによって生じる。概略的に示されるが、印刷物25は、他の可能性の中でも、文字(文字、数字、コード)、記号、装飾、コード(例えば、QRコード、バーコード)など、何らかの適切な形態をとることができる。印刷25は、シリアル化された数字、シリアル化されたテキスト、レタリング、英数字又はシリアル化されたバーコード、ランダムな数字、ランダムなバーコード、ランダムな英数字データ、ランダムなテキストなどの可変情報とすること、又は非可変情報とすることができる。印刷物25は、放出されたロイコ染料又はサーモクロミックインクに起因することができる。
【0047】
従って、一実施形態によると、ラベル20は、その接着剤層22を介して、フェースストック21と接着剤層22との間のダイレクトサーマルコーティング層21Aと共に対象物に接着されるように適合されたフェースストック21を有する。ダイレクトサーマルコーティング21Aは、フェースストック21上にある。ダイレクトサーマルコーティング21Aは、ダイレクトサーマル印刷されるときに熱活性化によって局所的に暗色になるように構成されている。対象物は、バイアル、チューブ、バキュテナー(Vacutainers)などの採血管、試料採取管、顕微鏡スライド、組織処理カセット、プレート、細胞培養プレート、マイクロタイタープレート、マイクロアレイプレート、他のタイプのプレート、ペトリ皿、ボトル、フラスコ、冷凍庫ボックス、極低温ボックス、極低温ストロー、実験室用プラスチック容器の他のタイプのゴブレット、実験室用ガラス製品、及び冷凍庫ラック、液体窒素ラック、キャニスターなどの金属製対象物を含む、実験室で使用される対象物又は容器などの、何らかのタイプの対象物とすることができる。さらに、建設、食品、小売、倉庫、自動車、衣類、工業、製造、電気、電子、航空、患者ケア、医療、製薬、事務用、文房具などの他の産業における他の対象物、容器及び表面も、本開示の対象となる。
【0048】
別の実施形態によると、ダイレクトサーマルラベル20を製造するための方法が規定される。ダイレクトサーマルラベルを製造するための方法は、少なくとも、フェースストックの表面上にダイレクトサーマルコーティングを塗布するステップと、ダイレクトサーマルコーティング上に接着剤層を直接塗布するステップと、を含むことができ、ここで、ダイレクトサーマルコーティング層は、フェースストックと接着剤層との間である。別の実施形態では、ダイレクトサーマルコーティングの上に(複数の)物質又は(複数の)材料の(複数の)バリア層を塗布するステップがある場合があり、バリア層はダイレクトサーマルコーティングと接着剤との間にあり、例えばダイレクトサーマルコーティングと接着剤との間の拡散を防止する、又はダイレクトサーマルコーティングへの接着剤の移動を防止するようになっている。さらに別の実施形態では、バリアフィルムとダイレクトサーマル層との間に追加の接着剤層がある場合がある。バリアフィルムは、白色又は着色背景を提供するために不透明とすることができ、又は透明、半透明、又はかすんでいることができ、又は何らかの透明度、半透明度又はかすみ度を有することができる。フェースストック26及び接着剤27の余分な層の使用を加えることができる。バリア層は、ダイレクトサーマルコーティング21Aの表面上に塗布され硬化した別のフィルム又は液体コーティングとすることができる。バリア層は、固化又は硬化して薄層フィルムを形成することができる液体化合物とすることもできる。バリアコーティングは、複数の層に各層を硬化させた後に塗布することができる。バリアコーティングとバリアフィルムとの組み合わせも企図される。用語「バリア層」は、バリアコーティング又はバリアフィルムの両方を意味する場合がある。
【0049】
別の実施形態では、ロイコ染料の色の変化は、レーザー光線又は光源によって、あるいは電磁パルス又はマイクロ波によって、あるいは色の変化を引き起こすことができる何らかの他の要因によって活性化することができる。
【0050】
多くの場合、ダイレクトサーマルプリントプロセスは、加熱すると暗色になるロイコ染料を含むが、ピンク色から灰色又は茶色へ移行する、又は青色、緑色、赤色、黒色、黄色、又は何らかの他の色合いなどの他の色に変化することができる他のロイコ染料又はサーモクロミックインク系の使用も企図される。
【0051】
別の実施形態によると、ダイレクトサーマルラベルを使用する方法が提供される。ラベル20は、選択されたゾーンを暗色にして対象物に接着される。ダイレクトサーマルラベルを使用する方法は、フェースストックで遮蔽されたダイレクトサーマルコーティング層を有するラベルを得るステップと、フェースストックを介してダイレクトサーマルコーティング層の選択されたゾーンを熱活性化して選択されたゾーンを暗色にするステップと、選択されたゾーンが暗色にされたラベルを、ダイレクトサーマルコーティング層がフェースストックと対象物との間であるように、対象物に接着するステップと、を含むことができる。
【0052】
変形例では、ダイレクトサーマルコーティング層21Aは、フェースストック21又はバリアフィルム又はバリア層21Bが存在する場合には、それに対する親和性を高めるか又は接着を促進することができる物質又は成分を含むことができる。さらに、ラベル20は、ダイレクトサーマルコーティング層21Aがそのような親和性又は接着特性を有する場合、又はフェースストック20が静電クリング特性を有する場合、フェースストック20及びダイレクトサーマルコーティング層21Aのみを有することができる。このようなラベル20は、支持ライナー24を含むこともできる。
【0053】
ダイレクトサーマルコーティング層21A自体は、前の各層の硬化及び/又は乾燥後に後続の層が塗布された2以上のコーティング層の結果とすることができる。別の形態では、フェースストック26は、接着剤27の下に積層物の追加の層を有することができる。層21Aのためのダイレクトサーマルコーティングの配合物には、商業的に使用することができ又は開発することができる多数のバリエーションがある。このような配合物の全ては、本開示に記載のラベル20を作る方法を使用する際に使用することができる。サーモクロミックインクを使用する将来の何らかの配合物も本開示の範囲内にあることになる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
【国際調査報告】