(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】統合された水素生成及びバイオ再生可能な変換プロセス
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20240319BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/56 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559847
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022071386
(87)【国際公開番号】W WO2022213054
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】キャディ、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】カーター、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェクスラー、ジェームズ ティ.
(72)【発明者】
【氏名】クルス、アディソン
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、エリック ジェイ.ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、カート
(72)【発明者】
【氏名】クエラー、カイル
(72)【発明者】
【氏名】カヨーデ、オルワセイ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタ、スリヤナラヤナ ムルティ コンダ ナガ
(72)【発明者】
【氏名】ビエット、ステファノ
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB37
4G140FA02
4G140FB04
4G140FC01
4G140FC03
(57)【要約】
バイオ再生可能な供給原料から燃料を製造するためのバイオ再生可能な変換プロセスは、CO2の回収を含む水素生成プロセスと組み合わされる。統合されたプロセスは、水素生成プロセスにおいて、バイオ再生可能な炭化水素生成プロセスからの水素を含むパージガス流を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素富化生成物を生成し、水素生成プロセスユニットからCO
2を回収する方法であって、
水素生成プロセスユニット(120)において炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流(105)を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、
少なくとも2つの生成物流を生成する第1の圧力スイング吸着(PSA)システム(140)において、前記水素生成プロセスユニット(120)からの流出物流(125)を、少なくとも水素が富化された第1の高圧水素流(145)と水素枯渇テールガス流(150)とに分離することと、
前記水素枯渇テールガス流(150)を圧縮機(155)内で圧縮して、圧縮テールガス流(160)を形成することと、
前記圧縮テールガス流(160)をCO
2回収システム(165)内で分離して、CO
2富化生成物流(170)と水素を含む第2のガス流(175)とを生成することと、
バイオ再生可能な供給原料から炭化水素生成物を作成するためのバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流(44)の少なくとも一部を、水素を生成し、CO
2を回収する方法で使用されるプロセスユニットに導入することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット(120)を含み、前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)が、前記任意のガス加熱改質器を有する前記水蒸気改質プロセスユニット(120)内の炉で燃焼される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記第1のPSAシステム(140)が、2つの生成物流を生成する第1のPSAユニットを含み、前記第1のPSAユニットが、前記流出物流(125)を、水素が富化された前記第1の高圧水素流(145)と前記水素枯渇テールガス流(150)とに分離し、及び
前記圧縮テールガス流(150)を分離することが、
前記CO
2回収システム(165)内の前記圧縮テールガス流(160)を、CO
2富化生成物流(170)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素の一部、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流(175)とに分離することと、
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステム(180)において、前記CO
2回収システムからの前記オーバーヘッド流(175)を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流(190)と二酸化炭素が富化された低圧CO
2流(195)とに分離することと、
前記第2の高圧水素流(190)を回収することと、及び
任意選択的に、前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスユニットが、少なくとも2つの生成物流を生成する前記第2のPSAシステム(180)を含み、少なくとも2つの生成物流を生成する前記第2のPSAシステム(180)が、各々が2つの生成物流を生成する2つのPSAユニット(105、210)を含み、前記CO
2回収システム(165)から前記オーバーヘッド流(175)を分離することが、
前記オーバーヘッド流(175)を前記第1のPSAユニット(205)に導入し、前記オーバーヘッド流(175)を、前記低圧CO
2流(195)と、水素が富化された第3の高圧水素流(215)とに分離することと、
前記第3の高圧水素流(215)を前記第2のPSAユニット(210)に供給することと、を含み、前記第2の高圧水素流(190)及び第2のガス流(200)が、前記第2のPSAユニット(210)から除去され、及び
前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)が、前記第2のPSAユニット(210)に導入される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
膜分離ユニット(405)において、前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)を、水素及びCO
2を含む透過流(410)と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流(415)とに分離することを更に含み、前記プロセスユニットが前記圧縮機(155)を含み、前記透過流(410)が前記圧縮機(155)で圧縮される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット(120)を含み、前記任意のガス加熱改質器を有する前記水蒸気改質プロセスユニット(120)内の炉又は加熱炉内で前記残留物流(415)を燃焼させることを更に含むことと、
第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット(120)を含み、前記任意のガス加熱改質器を有する前記水蒸気改質プロセスユニット(120)で、前記残留物流(415)を、炭化水素を含む前記供給流(105)と混合することを更に含むことと、
前記プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含み、前記残留物流(415)を、炭化水素又は炭素質供給原料を含む前記供給流(105)と混合することと、前記任意のガス加熱改質器、前記ガス化ユニット、又は前記部分酸化ユニットを有する前記自己熱改質ユニット内で、前記混合流を部分酸化することを更に含むことと、
及び
前記残留物流(415)を前記バイオ再生可能な変換プロセスに送り、前記残留物流(415)から前記プロパン及び前記C4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することと、のうち少なくとも1つを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスユニットが、前記CO
2回収システム(165)を含み、前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)が、前記CO
2回収システム(165)に導入される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記水素生成プロセスのための炭化水素を含む前記供給流(105)の少なくとも一部が、前記バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーン(30)からのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流(38)の少なくとも一部を含むか、又は前記水素生成プロセスの炉のための燃料流(114)の少なくとも一部が、前記バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーン(30)からのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流(38)の少なくとも一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記第1のPSAシステム(540)において、前記水素生成プロセスユニット(520)からの前記流出物流(525)を、少なくとも、水素が富化された前記第1の高圧水素流(190)と前記水素枯渇テールガス流(550)とに分離することが、少なくとも2つの生成物流を生成する前記第1のPSAシステム(540)内の前記水素生成プロセスユニット(520)からの前記流出物流(525)を、水素が富化された前記第1の高圧水素流(190)と、前記水素枯渇テールガス流(550)と、前記水素の一部と前記メタン、一酸化炭素及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部とを含む第2のガス流(560)とに分離することを含み、
水素が富化された前記第1の高圧水素流(190)を前記バイオ再生可能な変換プロセスに導入することと、
前記水素生成プロセスユニット(520)内で前記第2のガス流(560)を燃焼させることと、のうち少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
膜分離ユニット(405)において、前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)を、水素及びCO
2を含む透過流(410)と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流(415)とに分離することを更に含み、
前記プロセスユニットが前記水素生成プロセスユニット(120)を含み、前記透過流(415)が炉に導入される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年7月12日に出願された「Method of Recovering Hydrogen and CO2 in a Hydrogen Production Unit」と題する米国仮出願第63/220,848号、2021年3月29日に出願された「Integrated Hydrogen Production and Bio-Renewable Conversion Process」と題する米国仮出願第63/167,343号、及び2021年3月29日に出願された「Method of Recovering Hydrogen and CO2 in a Hydrogen Production Unit」と題する米国仮出願第63/167,341号の利益を主張し、これらの各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水素は、クリーンな燃焼燃料であるので、大きな成長ポテンシャルを有すると予想される。しかしながら、水素生成は、伝統的に、CO2の主な放出源であり、政府の規制及び社会的圧力は、CO2排出にますます負担をかけたり、ペナルティを課したり、又はCO2捕捉を奨励している。その結果、水素生成のコストを下げる一方で、副生成物CO2を回収して地中に隔離し、成長する市場を捕らえるための大きな競争が予想される。CO2は、共通のパイプラインに供給される蒸気として分離することができるが、世界の特定の地域ではCO2パイプラインのインフラストラクチャが現在不足しているため、トラック又は船舶による容易な輸送のために液化形態で生成される必要がある可能性が高い。
【0003】
CO2排出を低減する所望のレベルは地域の経済状況に依存し、一部の水素生成者はCO2捕捉で水素生成の最大化を優先し、他の水素生成者は水素生成でCO2排出の最小化を優先し、一部はその中間にある。別の重要な要因は、所与の水素生成ユニットのために選択される改質器技術である。水蒸気改質プラントでは、50%~60%のCO2捕捉で十分であり得るが、自己熱改質器(ATR)、ガス化器、又は部分酸化(POX)改質器では、90%超又は95%超が予想され得る。
【0004】
ほとんどの既存の水素生成プロセスは、シフトした合成ガスから高純度の生成水素を回収するために圧力スイング吸着(PSA)を利用する。PSAユニットからの低圧テールガス流は、典型的には燃焼されて、プロセスのための熱又は蒸気を発生させる。流れが燃焼器に送られない場合、プロセス中の不純物の蓄積を防止するためにパージが必要である。
【0005】
米国特許第8,021,464号は、合成ガスに変換される炭化水素の混合物から水素及びCO2を組み合わせて生成するプロセスを記載している。合成ガスは、PSAユニットで水素富化流とPSAオフガス流とに分離される。PSAオフガス圧縮して乾燥させた後、CO2富化凝縮物を凝縮及び分離するいくつかの連続ステップを行い、各ステップで温度を下げ、温度は周囲温度から-56℃の範囲である。しかしながら、このプロセスは、プロセスから除去しなければならないかなりの量のCO2を含有するパージ流をもたらす。透過液モジュールを使用して分離を改善することができるが、電力要件の増加という犠牲を払う。
【0006】
米国特許第8,241,400号は、改質器ユニット、任意の水性ガスシフト反応器、PSAユニット、及び極低温精製ユニット又は触媒酸化装置を含むシステムを利用して、炭化水素の混合物から水素及びCO2を回収するためのプロセスを記載している。PSAユニットは、高圧水素流、低圧CO2流、及びCO2共パージステップ中に取り出されるCH4富化流の3つの流れを生成する。プロセスにおけるCO2精製ユニットからの精製CO2は、PSAユニットにおける共パージとして使用される。吸着ステップは、約250psig~約700psigの圧力で行われる。共パージステップ中の圧力は、約300psig~約800psigの範囲であり、CO2共パージ流は、好ましくは吸着ステップ中の圧力より高い圧力で導入される。
【0007】
第2の高圧供給流(CO2共パージ流)の使用は、米国特許第8,241,400号におけるプロセスのコスト及び複雑さを増大させる。セグメント化された吸着器(又は2つの別個の容器)を有し、その2つの容器と中間のサイドドローとの間に隔離弁を有する必要性は、プロセスのコスト及び複雑さを更に増大させる。
【0008】
航空燃料などの燃料に対する需要が世界的に増加するにつれて、燃料を生産するために石油原油以外の供給源を利用することへの関心も高まっている。1つの供給源は、いわゆるバイオ再生可能な供給原料である。これらのバイオ再生可能な供給原料としては、トウモロコシ、ヤトロファ、カメリナ、ナタネ、キャノーラ、ダイズ及び藻類油などの植物油、獣脂、魚油などの動物性脂肪、並びに黄色及び褐色のグリース及び下水汚泥などの様々な廃棄物流が挙げられるが、これらに限定されない。これらの供給原料に共通する特徴は、それらが、モノ-ジ-及びトリ-グリセリド、遊離脂肪酸(FFA)から構成されることである。これらのプロセスに適した別のクラスの化合物は、脂肪酸メチルエステル(FAME)又は脂肪酸エチルエステル(FAEE)などの脂肪酸アルキルエステル(FAAE)である。これらのタイプの化合物は、一般に約8~約24個の炭素原子を有する脂肪族炭素鎖を含有する。グリセリド、FFA又はFAAE中の脂肪族炭素鎖は、飽和、又は一価、二価、若しくは多価不飽和であり得る。バイオ再生可能な供給原料中のグリセリドの大部分はトリグリセリドであるが、バイオ再生可能な原料中のグリセリドの一部はモノグリセリド又はジグリセリドであり得る。モノグリセリド及びジグリセリドは、トリグリセリドと共に処理することができる。
【0009】
バイオベース油からの炭化水素の生成を開示する報告がある。例えば、米国特許第4,300,009号は、トウモロコシ油などの植物油をガソリンなどの炭化水素及びパラキシレンなどの化学物質に変換するための結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトの使用を開示している。米国特許第4,992,605号は、キャノーラ油又はヒマワリ油などの植物油を水素化処理することによるディーゼル沸点範囲の炭化水素生成物の生成を開示している。最後に、米国特許第2004/0230085(A1)号は、水素化脱酸素とそれに続く異性化によって生物起源の炭化水素成分を処理するプロセスを開示している。
【0010】
したがって、水素生成及びCO2回収が増加した改善された水素生成プロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】バイオ再生可能燃料を製造するためのプロセスの一実施形態の一般的なフロースキームである。
【
図2】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水素生成プロセスユニットの流出物流から水素流及びCO
2流を生成する方法の一実施形態の図である。
【
図3】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムで使用するための3生成物PSAユニットの一実施形態の図である。
【
図4】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水素生成プロセスユニットの流出物流から水素流及びCO
2流を生成する方法の別の実施形態の図である。
【
図5】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水素生成プロセスユニットの流出物流から水素流及びCO
2流を生成する方法の別の実施形態の図である。
【
図6】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水素生成プロセスユニットの流出物流から水素流及びCO
2流を生成する方法の別の実施形態の図である。
【
図7】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水素生成プロセスユニットの流出物流から水素流及びCO
2流を生成する方法の別の実施形態の図である。
【
図8】二重冷媒CO
2分留プロセスを使用するCO
2回収システムの一実施形態の図である。
【
図9】混合冷媒CO
2分留プロセスを使用するCO
2回収システムの別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バイオ再生可能な供給原料から燃料を製造するためのバイオ再生可能な変換プロセスは、水素生成を増加させ、CO2の回収を可能にする、水素を生成するための水素生成プロセスと組み合わされる。
【0013】
バイオ再生可能な変換プロセスは、バイオ再生可能な供給原料から、ディーゼル、航空燃料、及びナフサなどの炭化水素生成物を生成する。それはまた、水素生成プロセスで処理される水素を含むパージガス流を生成する。統合されたプロセスは、経済的利益を提供し、正味のCO2排出量を低減し、場合によっては、炭化水素によるCO2液体生成物の汚染を回避する。
【0014】
現在燃焼されているバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、水素、CO2、任意選択的に水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む。水素を含むパージガス流の全部又は一部は、水素生成プロセスにおける1つ以上のプロセスユニットに送られる。水素を含むパージガス流は、プロセスユニットに直接又は間接的に送ることができる。間接プロセスでは、プロセスユニットに送られる前に、膜分離ユニットを含むがこれに限定されない別のプロセスユニットに最初に送ることができる。
【0015】
パージガス流は、典型的には、少なくとも50mol%の水素、又は少なくとも55mol%、又は少なくとも60mol%の水素、又は少なくとも65mol%、又は少なくとも70mol%、又は少なくとも75mol%、又は少なくとも80mol%、又は少なくとも85mol%、又は少なくとも90mol%の水素を含む。
【0016】
パージガス流は、バイオ再生可能な変換プロセスにおける反応ゾーンの下流の分離器からのオーバーヘッドからのスリップ流であり得る。
【0017】
1つの選択肢は、水蒸気改質プロセスユニットの炉内で水素を含むパージガス流を燃焼させることである。
【0018】
別の選択肢は、以下でより詳細に説明するように、2つのPSAユニットを含む少なくとも2つの生成物流を生成する圧力スイング吸着(PSA)システムの使用を含む。水素を含むパージガス流は、水素を含むパージガス流中の水素を回収するために第2のPSAユニットに導入される。これにより、統合されたプロセスにおける全体的な水素回収が増加する。
【0019】
更に別の選択肢は、膜分離ユニットにおいて、水素を含むパージガス流を、水素及び二酸化炭素を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することである。透過流は、水素及び二酸化炭素の回収のために圧縮機及びCO2回収システムに送ることができる。膜供給流中の水素の約90%が透過流中に回収され、膜供給流中のCO2の約50%が透過流中に回収される。特定の水素生成プロセスユニットに応じて、残留物流にはいくつかの可能な処理がある。水素生成プロセスが水蒸気改質プロセスである場合、残留物流は、水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で燃焼させることができる。あるいは、残留物流は、炭化水素を含む供給流と混合し、供給流の一部として水蒸気改質プロセスユニットに送ることができる。プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含む場合、残留物流は、炭化水素を含む供給流と混合することができ、混合流は、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニット内で部分的に酸化することができる。別の可能性は、残留物流をバイオ再生可能な変換プロセスに送り、残留物流からプロパン及びC4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することである。あるいは、残留物流は、炭化水素を含む供給流と混合し、水素生成プロセスユニットに送ることができ、透過流を炉又は加熱炉で燃焼させることができる。
【0020】
更に別の選択肢は、水素を含むパージガス流をCO2回収システムに送ることである。この選択肢は水素生成を増加させるが、水素富化パージ流中に存在する炭化水素がCO2生成物流を汚染する。CO2生成物流の炭化水素汚染は多くの場合に望ましくないが、許容可能であり得る状況が存在し得る。統合されたプロセスの一部として、水素生成プロセスのための炭化水素を含む供給流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスに由来し得る。
【0021】
本発明の一態様は、統合された水素生成プロセス及びバイオ再生可能な変換プロセスにおいて、水素富化生成物を生成し、CO2を回収する方法である。一実施形態では、統合されたプロセスは、水素生成プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第1の圧力スイング吸着(PSA)システムにおいて、水蒸気改質プロセスユニットからの流出物流を、少なくとも水素が富化された第1の高圧水素流と水素枯渇テールガス流とに分離することと、水素枯渇テールガス流を圧縮機内で圧縮して、圧縮テールガス流を形成することと、圧縮テールガス流をCO2回収システムにおいて分離して、CO2生成物と水素を含む第2のガス流とを生成することと、水素化、脱酸素化、異性化、及び選択的水素化分解機能を有する多機能触媒又は触媒のセットと、バイオ再生可能な供給原料を接触させることによって、反応条件下で水素の存在下、反応ゾーン内でバイオ再生可能な供給原料を水素化、脱酸素化、異性化、及び選択的水素化分解して、パラフィン系炭化水素、水素、CO2、水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む反応流出物を提供することと、反応流出物を、分離器内で、少なくとも、パラフィン系炭化水素を含む1つの炭化水素流と、水素、CO2、任意選択的に水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含むオーバーヘッド流とに分離することと、分留ゾーンにおいて炭化水素流を分離して炭化水素生成物流を生成することであって、炭化水素生成物流が、ディーゼル沸点範囲の沸点を有する炭化水素を含むディーゼル流、航空燃料沸点範囲の沸点を有する炭化水素を有する航空燃料流、及びナフサ沸点範囲の炭化水素を有するナフサ流のうちの少なくとも1つを含むことと、炭化水素生成物流を回収することと、分離器からのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素を含む水素富化流に分離することと、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素富化流からの水素を含むパージガス流の少なくとも一部を、水素生成プロセスのプロセスユニットに導入することと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムは、2つの生成物流を有する第1のPSAユニットを含み、第1のPSAユニットは、流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素枯渇テールガス流とに分離し、圧縮テールガス流を分離することは、CO2回収システム内の圧縮テールガス流を、精製された液体CO2生成物を含む塔底流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流とに分離することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムにおいて、CO2回収システムからのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流と二酸化炭素が富化された低圧CO2流とに分離することと、第2の高圧水素流を回収することと、低圧CO2流を圧縮機に再循環させることと、を含む。
【0023】
航空燃料及びディーゼル燃料、反応条件、並びに触媒の製造に適したバイオ再生可能な変換プロセスは、当該技術分野において既知であり、米国特許第7,999,142号、同第8,039,682号、同第8,198,492号、同第8,742,183号、及び同第8,865,953号が挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
一般に、バイオ再生可能な変換プロセスは、航空燃料範囲の沸点を有するパラフィンを有する炭化水素生成物を生成するために、バイオ再生可能な供給原料を水素化、脱酸素化、異性化及び選択的水素化分解するための反応ゾーンを含む。反応ゾーンは、1つ以上の反応容器を含むことができ、各反応容器は、様々な反応のための1つ以上の触媒床を含むことができる。ディーゼル燃料及び/又はナフサも製造することができる。炭化水素生成物は、航空燃料又は航空燃料混合成分として有用である。水素化処理触媒の存在下で水素環境中でバイオ再生可能な供給原料を単に脱酸素化すると、供給原料の脂肪酸組成と同様の、又はそれよりわずかに短い鎖長を有する直鎖パラフィンが得られる。多くの供給原料では、このアプローチにより、ディーゼル燃料に適した炭素鎖長を有する生成物が得られるが、航空燃料の規格を満たす生成物は得られない。選択的水素化分解反応は、炭素鎖長を減少させて、より低分子量の生成物を最小に抑えながら、航空燃料範囲のパラフィンに対する選択性を最大にする。異性化は、凝固点などの航空燃料規格を満たすことを可能にする。
【0025】
反応流出物は、パラフィン系炭化水素、水素、CO2、水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む。反応流出物は、パラフィン系炭化水素を含む炭化水素流と、水素、CO2、任意選択的に水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含むオーバーヘッド流とに分離される。他の流れを形成することもできる。
【0026】
次いで、炭化水素流を分離して、ディーゼル沸点範囲の沸点を有する炭化水素を含むディーゼル流、航空燃料沸点範囲の沸点を有する炭化水素を有する航空燃料流、及びナフサ沸点範囲の炭化水素を有するナフサ流などの様々な炭化水素生成物流を形成する。ナフサ流はまた、液化石油ガス(LPG)及び/又はオフガスを含有してもよい。あるいは、LPG及び/又はオフガスは別々の流れであってもよい。ナフサ流及び/又はLPG流及び/又はオフガス流の少なくとも一部は、水素生成プロセスに送られ、水素生成プロセスへの炭化水素原料の一部として、又は水素生成プロセスユニット内の炉の燃料として使用することができる。
【0027】
水素生成プロセスは、水素を生成し、水素生成プロセスユニットの流出物流からCO2の回収を可能にする。これは、水素生成プロセスにおいて水素分離ユニットからのテールガス流から純粋な水素を回収するために、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用する。このプロセスは、少なくとも2つの生成物流を生成して追加の水素及び高純度液体CO2を回収する、PSAシステムと統合されたCO2回収システムを利用する。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを用いてCO2回収システムのオーバーヘッド流から純粋な水素を直接抽出することは、再循環構成を使用するシステムを上回る経済的利点を提供する。追加の水素生成は、プロセスの経済性を実質的に改善する。CO2回収システムのオーバーヘッド流で少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用することにより、膜分離プロセスの使用で生じるCO2の非透過損失も回避される。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを利用することにより、革新及び柔軟性が提供され、下流の装置サイズ及び有用性が低減し、捕捉されるCO2を増加させる(不純物に富むパージ流が有意なCO2を含有しないため)。
【0029】
水素生成プロセスユニットは、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質ユニット、任意のガス加熱改質器を有する自己熱改質ユニット、ガス化ユニット、又は部分酸化(POX)ユニットを含むことができる。水素生成プロセスは、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含むガスの混合物を含む流出物を生成する。
【0030】
水素生成プロセスに適した炭化水素を含む供給流としては、水蒸気改質、ATR/GHR、及びPOXプロセスのための天然ガス、ナフサ、液化石油ガス(LPG)が挙げられるが、これらに限定されない。POX及びガス化プロセスは、石炭及び石油コークスを含むがこれらに限定されない固体供給原料を使用することができる。水熱液化(HTL)(炭化水素、水、及び酸素含有分子を含む)、バイオオイル及びバイオ原油(HTLに由来するものを含む)、並びにバイオガスなどの水素を含む他の供給流も使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの流れを生成する第1のPSAシステムは、水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットである。流出物流は、最初に水素PSAユニットに送られて、水素が富化された高圧水素流と、残りの水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流とに分離される。高圧水素流は、流出物中に約90%の水素を含有し、これは回収される。
【0032】
水素枯渇テールガス流は圧縮され、CO2回収システムに送られ、そこで液体CO2生成物と、水素、いくらかの二酸化炭素、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つのいくらかを含むオーバーヘッド流とに分離される。
【0033】
オーバーヘッド流は、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムに送られる。少なくとも2つの生成物流を有する第2のPSAシステムは、オーバーヘッド流を少なくとも2つの流れ、すなわち高圧水素流と低圧CO2流とに分離する。いくつかの実施形態では、高圧水素流は、水素が富化され、二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない。低圧CO2流は二酸化炭素が富化され、オーバーヘッド流中の実質的に全ての二酸化炭素を含む。第2の高圧水素流は回収され、低圧CO2流は圧縮機に再循環される。いくつかの実施形態では、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流も形成される。
【0034】
他の実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムは、3生成物PSAユニット、2つの生成物流を有するPSAユニット、又はそれぞれ2つの生成物流を有する2つのPSAユニットである。少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムは、流出物流を少なくとも2つの流れ、すなわち高圧水素富化流と低圧CO2富化流とに分離する。いくつかの実施形態では、高圧水素流は、水素が富化され、二酸化炭素を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、低圧CO2流は、二酸化炭素が富化され、流出物流中の実質的に全ての二酸化炭素を含む。高圧水素流は回収され、低圧CO2流は圧縮機に送られる。圧縮CO2流は、CO2回収システムにおいて、液体CO2生成物と、水素、いくらかの二酸化炭素、メタン、並びに一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つのいくらかを含むオーバーヘッド流とに分離される。オーバーヘッド流は第1のPSAシステムに再循環される。いくつかの実施形態では、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流も形成される。
【0035】
このプロセスは、水素PSAユニットからのテールガス流中の水素の約80~約90%の回収、並びにCO2の実質的に全て(例えば、約95%~約100%)の捕捉を可能にする。
【0036】
いくつかの実施形態では、水素PSAシステムに供給される水素生成プロセスユニットからの流出物は、典型的には、約20℃~約60℃、又は約30℃~約50℃、又は約40℃の範囲(又は温度範囲の任意の組合せ)である。圧力は、典型的には、約2,000~約5,000kPaの範囲である。
【0037】
流出物は、水素PSAユニット内で高圧水素流とテールガス流とに分離される。高圧水素流は、流出物中に水素の約80%~約90%を含有する。高圧水素流は、典型的には約2,000~約5,000kPaの範囲の圧力である。高圧水素流は、高純度流(例えば、99%超、又は99.9%超、又は99.99%超、又は99.999%超)である。
【0038】
流出物流中の水素の約10%~約20%、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素PSAユニットからのテールガス流は、約100~約200kPaの範囲の圧力である。
【0039】
テールガス流は、約3,000~約6,000kPaの範囲の圧力に圧縮され、CO2回収システムに送られる。圧縮テールガス流を乾燥させ、約-20℃~約-50℃の温度まで冷却する。これは、CO2富化流と、水素、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの一部を含むオーバーヘッド流とに分離される。いくつかの実施形態では、CO2富化流は、水素PSAユニットからのテールガス流中のCO2の実質的に全て(例えば、約95%~約100%)を含み、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、塔底流は、約95.0mol%以上のCO2、約98.0mol%以上のCO2、又は約98.5mol%以上のCO2、又は約99.0mol%以上のCO2、又は約99.5mol%以上のCO2、又は約99.9mol%以上のCO2を含む。
【0040】
CO2回収システムは蒸留カラムを含むことができ、CO2富化生成物流はカラムの底部から回収され、より軽質の成分(水素、メタン、窒素など)はカラムの頂部から回収される。CO2回収システムは、代わりに又は同様に、単一又は複数の連続フラッシュ気液分離容器を含むことができ、各分離器は、物質移動の追加の理論段を提供し、CO2富化生成物は液体流中に回収され、より軽質の成分(水素、メタン、窒素など)はオーバーヘッド蒸気流中に回収される。
【0041】
CO2富化流を回収する。CO2富化流は、液体流であってもよい。場合によっては、必要に応じて、液体流を気化させて使用してもよい。
【0042】
オーバーヘッド流は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに送られる。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3生成物PSAユニット、2つの生成物流を有するPSAユニット、又はそれぞれ2つの生成物流を有し、第1のPSAユニットからの生成物が第2のPSAユニットに供給される2つのPSAユニットであってもよい。
【0043】
3生成物PSAユニットは、4つ以上のPSA吸着容器を含む。一般に、少なくとも6個の容器があり、典型的には8~14個の容器がある。容器は、1つ以上の吸着剤層、一般に1~5つ、典型的には2~3つの吸着剤層を含む。吸着層の床の割合は、典型的には10%~100%である。吸着剤の異なる層は、当業者に知られているように、オーバーヘッド流中の成分に対して異なる選択性を有する。いくつかの層は、メタン、一酸化炭素、窒素、アルゴン、及び水素に対してCO2を選択的に吸着するための吸着剤を含み、吸着剤としては、活性アルミナ、シリカゲル、及びナトリウムYゼオライトの層が挙げられるが、これらに限定されない。他の層は、水素に対してCO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを選択的に吸着するための吸着剤を含み、吸着剤としては、活性炭、シリカゲル、及びモレキュラーシーブゼオライト(例えば、5A又はナトリウムXゼオライト)の層が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、他のゼオライトが使用することができ、適切な吸着剤を選択する方法を知っていることを理解するであろう。
【0044】
容器の一端に第1の開口部があり、反対端に第2の開口部がある。便宜上、これらの端部を容器の頂部及び底部と呼ぶ。底部の第1の開口部は、高圧供給ガス入口ライン及び低圧テールガス出口ラインに選択的に接続される。容器の頂部の第2の開口部は、高圧生成物出口ライン、中圧ベントガス出口ライン、及び低圧パージガス入口ラインに選択的に接続される。
【0045】
供給ガスは、容器の底部の第1の開口部を通って高圧で入り、高圧の並流吸着及び生成物除去ステップが行われ、生成物は、容器の頂部の第2の開口部を通って高圧で容器から出る。少なくとも1回の並流減圧ステップ、次いで中圧の並流減圧及びベントガス除去ステップがある。第2の流れは、第2の圧力で容器の頂部の開口部を通して取り出される。向流ブローダウンステップ及び向流パージステップがある。パージガスは、低圧で容器の頂部の開口部を通って入る。CO2は、向流ブローダウンステップ及び向流パージステップのいずれか又は両方の間に、容器の底部の開口部を通して低圧で除去することができる。向流パージ及びテールガス除去ステップに続いて、少なくとも1回の向流再加圧ステップがある。
【0046】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、直列の2つのPSAユニットを含むことができる。CO2回収システムからのオーバーヘッド流は、第1のPSAユニットに導入され、そこで、CO2が富化された低圧テールガス流と、オーバーヘッド流中の実質的に全ての水素(例えば、約85%~約95%)、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの一部を含む高圧流とに分離される。高圧流は第2のPSAユニットに供給され、そこで水素が富化された高圧水素流と、メタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンの実質的に全て(例えば、約95%~約100%)を含む低圧流とに分離される。
【0047】
本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、いくつかの利点を提供する。第2の流れは高圧では除去されない。3生成物PSAユニットでは、第2の流れは、水素が除去される高圧とCO2が除去される低圧との間の中圧で除去されるが、高圧よりも低圧に非常に近い圧力で除去される。中圧は典型的には約450kPa未満である。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが2つのPSAユニットを含む場合、第2の流れは低圧、典型的には250kPa未満で除去される。
【0048】
加えて、高圧共パージ流は使用されない。更に、容器はセグメント化されず、第2の流れは、容器の頂部の開口部を通して取り出される。したがって、2つの吸着剤床の間に隔離弁及びサイドドロー出口を必要としない。これらの要因により、3生成物PSAユニットは、米国特許第8,241,400号のPSA及びプロセスよりも、はるかに複雑でなくなり、構築及び運用が安価になる。
【0049】
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムに入るオーバーヘッド流の温度(冷却回収及び熱交換後)は、典型的には、約20℃~約60℃、又は約30℃~約50℃、又は約40℃の範囲(又は温度範囲の任意の組合せ)である。
【0050】
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムに供給されるオーバーヘッド流中の水素濃度は、一般に、約20mol%~約60mol%の範囲である。例えば、水蒸気メタン改質プラントテールガスのCO2回収システム内のCO2蒸留カラムのオーバーヘッドガス中の水素濃度は、約30mol%~約50mol%である。
【0051】
オーバーヘッド流中の水素の約80%~90%は、典型的には高圧水素流中に回収され、高圧水素流は、CO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない。高圧水素流は、典型的には、オーバーヘッド流に対して約1%未満、又は約0.1%未満、又は約0.01%未満のCO2を含有する。高圧水素流は、典型的には、オーバーヘッド流に対して約10%未満、又は約5%未満、又は約2%未満、又は約1%未満、又は約0.1%未満のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを含有する。高圧水素流は、典型的には、約1,000~約6,000kPa、又は約2,000kPa~約5,000kPa、又は約2,500kPa~約4,500kPaの範囲の高圧で取り出される。
【0052】
低圧テールガス流は、典型的には、約50kPa~約250kPa、又は約100kPa~約200kPaの範囲の低圧で取り出される。
【0053】
低圧CO2流は、典型的には、オーバーヘッド流中の実質的に全てのCO2(例えば、約95%~100%)を含有する。これは、典型的には、オーバーヘッド流に対して約10%の水素(例えば、約5%~約15%)、及びオーバーヘッド流に対して約40%のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴン(例えば、約20%~約60%)を含有する。
【0054】
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムが3生成物PSAユニットを含む場合、第2のガス流は高圧と低圧との間の中圧で取り出され、中圧は高圧よりも低圧にはるかに近く、典型的には低圧の約400kPa、又は300kPa、又は200kPa以内である。典型的には、中圧生成物流は、約150kPa~約450kPa、又は約250kPa~約350kPaの範囲の圧力で取り出される。中圧範囲と低圧範囲との間にはいくらかの重なりがあるが、特定の場合には、低圧が中圧よりも低くなることが理解される。
【0055】
第2の流れは、典型的には、オーバーヘッド流中のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンの約40%~80%を含有する。第2の流れは、典型的には、オーバーヘッド流に対して約10%の水素(例えば、約5%~約25%)、及びオーバーヘッド流に対して約5%未満、又は約1%未満、又は約0.1%未満のCO2を含有する。
【0056】
第2の流れの全部又は一部は、水素生成プロセスユニット、水性ガスシフトプロセスユニット、及び/又は燃焼ユニットに再循環することができる。
【0057】
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムが直列の2つのPSAユニットを含む場合、オーバーヘッド流は第1のPSAユニットに導入され、そこで実質的に全て(約95%~100%)のCO2を含む低圧CO2流と、オーバーヘッド流中の実質的に全て(例えば、75%超、又は約85%~約95%)の水素、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの一部(約50%~約90%)を含む高圧流とに分離される。低圧CO2流は、約50kPa~約250kPa、又は約100kPa~約200kPaの低圧を有する。高圧流は、約1,000~約6,000kPa、又は約2,000kPa~約5,000kPa、又は約2,500kPa~約4,500kPaの範囲の高圧を有する。
【0058】
第1のPSAユニットは、メタン、一酸化炭素、窒素、アルゴン、及び水素に対してCO2を選択的に吸着するための吸着剤を含み、吸着剤としては、活性アルミナ、シリカゲル、及びナトリウムYゼオライトの層が挙げられるが、これらに限定されない。第2のPSAユニットは、水素に対してCO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを選択的に吸着するための吸着剤を含み、吸着剤としては、活性炭、シリカゲル、及びモレキュラーシーブゼオライト(例えば、5A又はナトリウムXゼオライト)の層が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、他のゼオライトが使用することができ、第1及び第2のPSAユニットに適切な吸着剤を選択する方法を知っていることを理解するであろう。
【0059】
高圧流は第2のPSAユニットに供給され、そこで実質的に全て(例えば、約80%~約90%)の水素を含有する高圧水素流と、第2のガス流とに分離される。第2のガス流は、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部の実質的に全て(例えば、約95%~約100%)を含む。高圧水素流は、典型的には、約1,000~約6,000kPa、又は約2,000kPa~約5,000kPa、又は約2,500kPa~約4,500kPaの範囲の高圧を有する。この構成では、第2の流れは、約50kPa~約250kPa、又は約100kPa~約200kPaの範囲の圧力を有する。
【0060】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが、3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットを含む場合、高圧水素流は、3生成物PSAサイクルの高圧並流吸着ステップ中に取り出されてもよく、第2のガス流は、3生成物PSAサイクルの並流減圧ステップ中に取り出されてもよく、低圧CO2流は、3生成物PSAサイクルの向流減圧ステップ及び向流パージステップ中に取り出されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが、3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットである場合、3生成物PSAサイクルは、
高圧並流吸着及び水素除去ステップと、
高圧並流吸着ステップ及び水素除去ステップに続く少なくとも1つの並流減圧ステップと、
少なくとも1つの並流減圧ステップに続く並流減圧及び第2のガス除去ステップと、
中圧並流減圧及び第2のガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びCO2除去ステップと、
向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びCO2除去ステップと、
向流パージ及びCO2除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、
任意選択的に、少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く並流供給物再加圧ステップ、又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧ステップと、を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、CO2回収システムは、冷凍回路の1つが蒸留カラムから回収された液体CO2生成物の一部を利用する冷凍回路、又は以下でより完全に説明されるような単一の閉ループ多成分混合冷凍回路の少なくとも2つの冷凍回路によって冷凍冷却が提供される冷凍CO2分留プロセスを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、プロセスは、水素生成プロセスからの未変換一酸化炭素及びメタン、並びに未回収水素から高圧蒸気の形態で熱を回収するために、第2の流れに触媒酸化(CATOX)反応器を含むことができる。第2の流れが炉に送られるときとほぼ同じ量の熱又は蒸気が生成される。しかしながら、それをCATOX反応器ユニットに送ることは、炉内でこれらの成分を燃焼させることから生成されるCO2放出を回避し、プロセスから捕捉されるCO2の割合を増加させる。CATOX反応器ユニットは、熱交換器の一方の側に触媒を有し、他方の側に沸騰水を有する、ほぼ等温であり得る。例えば、CATOX反応器ユニットは、約250℃の水/蒸気(反応器)温度を有することができる。反応器の規模は比較的小さくすることができ、例えば、100,000Nm3/hrの水素生成プラント容量に対して、総ガス供給速度(燃料ガス+酸素)を6,000Nm3/hrとすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、圧縮機、CO2回収システム、及び/又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに問題がある場合にシステムが動作することを可能にする選択的バイパス構成が存在する。いくつかの実施形態では、圧縮機及びCO2回収システムはバイパスされ、水素PSAユニットからの水素枯渇テールガス流は、水蒸気改質プロセスユニット又は他の場所の炉に送られる。他の実施形態では、圧縮機、CO2回収システム、及び/又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムがバイパスされ、水素PSAユニットからのテールガス流が水素生成プロセスユニット又は他の場所内の炉に送られる。適切な炉バーナーとしては、テールガス流のための入口を含むように改変された米国特許第6,875,008号に記載されているバーナー、及び本出願と同日に出願された「Active And Passive Combustion Stabilization For Burners For Highly and Rapidly Varying Fuel Gas Compositions」と題する米国特許出願第63/167,343号に記載されているバーナーが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
追加のエネルギー回収は、本プロセス中のWGSユニットの流出物から得ることができる。WGSユニットからの流出物流は、プロセス流と熱交換されて、冷却された流出流蒸気及び予熱されたプロセス流を形成することができる。リン酸の可逆的オリゴマー化反応を伴うプロセスを使用して、冷却された流出物流から廃熱を回収して、蒸気を発生させることができる。廃熱とリン酸との接触により、二リン酸へのオリゴマー化がもたらされる。オリゴマー化の結果として、水分子が分離して凝縮し、廃熱が冷却される。二リン酸流の圧力を上昇させる。廃熱は、次いで、二リン酸によって吸収される水を蒸発させる。これにより、脱オリゴマー化及び加水分解が起こり、リン酸への変換及びより高い価値のプロセス熱の生成がもたらされる。次いで、リン酸流の圧力を下げ、サイクルを繰り返す。リン酸の可逆的オリゴマー化を使用する廃熱回収プロセスは、ベルギー、アントワープのQpinchから入手可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本方法は、ナフサ流の少なくとも一部を水素生成プロセスに通すことを更に含み、水素生成プロセスのための炭化水素を含む供給流の少なくとも一部が、ナフサ流の少なくとも一部を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、水素を含むパージガス流は、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で燃焼される。
【0068】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを含み、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、各々が2つの生成物流を有する2つのPSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、オーバーヘッド流を第1のPSAユニットに導入し、オーバーヘッド流を、低圧CO2流と、75%超の水素並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部の第1の部分とを含む高圧の第3の流れとに分離することと、高圧の第3の流れを第2のPSAユニットに供給することとを含み、第2の高圧水素流及び第2のガス流は、第2のPSAユニットから除去され、バイオ再生可能なプロセスからの水素を含むパージガス流は、第2のPSAユニットに導入される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本方法は、膜分離ユニットにおいて、水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは圧縮機を含み、透過流は圧縮機内で圧縮される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で残留物流を燃焼させることを更に含むことと、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットで、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することを更に含むことと、プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含み、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することと、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニット内で、混合流を部分酸化することを更に含むことと、残留物流をバイオ再生可能な炭化水素生成プロセスに送り、残留物流からプロパン及びC4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することと、のうち少なくとも1つを更に含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、CO2回収システムを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、CO2回収システムに導入される。
【0072】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3生成物PSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットにオーバーヘッド流を導入することと、PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に第2の高圧水素流を取り出すことと、PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流を取り出すことと、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に低圧CO2流を取り出すことと、を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、CO2回収システムは、冷凍回路の1つがCO2回収システム内の蒸留カラムから回収された液体CO2生成物の一部を利用する冷凍回路、又は単一の閉ループ多成分混合冷凍システムの少なくとも2つの冷凍回路によって冷凍冷却が提供される冷凍CO2分留プロセスを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、本方法は、圧縮機、CO2回収システム、及び少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを選択的にバイパスすることと、水素PSAユニットからの水素枯渇テールガス流を水蒸気改質プロセスユニット内の炉に送ることとを更に含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、本方法は、膜分離ユニットにおいて、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは、水素生成プロセスユニットを含み、残留物流は、供給流の一部として水素生成プロセスユニットに導入され、プロセスユニットは、水素生成プロセスユニットを含み、透過流は、炉に導入される。
【0076】
本発明の別の態様は、水素富化流を生成し、水素生成プロセスユニットからCO2を回収する方法である。一実施形態では、本方法は、水素生成プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットにおいて、水素生成プロセスユニットからの流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素の一部、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流とに分離することと、水素枯渇テールガス流を圧縮機内で圧縮して、圧縮テールガス流を形成することと、圧縮テールガス流をCO2回収システム内で分離して、CO2富化生成物流と、メタン、一酸化炭素、窒素ガス、及びアルゴンガスのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流とを生成することと、バイオ再生可能な供給原料から炭化水素生成物を作成するためのバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流の少なくとも一部を、水素を生成し、CO2を回収する方法におけるプロセスユニットのうちの1つに導入することと、を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、圧縮テールガス流を分離することは、CO2回収システム内の圧縮テールガス流を、CO2富化生成物流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流とに分離することと、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム内のCO2回収システムからのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流と、二酸化炭素が富化された低圧CO2流とに分離することと、第2の高圧水素流を回収することと、低圧CO2流を圧縮機に再循環させることと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で燃焼される。
【0079】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムを含み、第2のPSAシステムは、2つの生成物流を有する2つのPSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、オーバーヘッド流を第1のPSAユニットに導入し、オーバーヘッド流を低圧CO2流と水素が富化された第3の高圧流とに分離することと、第3の高圧流を第2のPSAユニットに供給することとを含み、第2の高圧水素流及び第2のガス流は、第2のPSAユニットから除去され、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、第2のPSAユニットに導入される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本方法は、膜分離ユニットにおいて、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは圧縮機を含み、残留物流は圧縮機で圧縮される。
【0081】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で残留物流を燃焼させることを更に含むことと、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットで、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することを更に含むことと、プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含み、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することと、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニット内で、混合流を部分酸化することを更に含むことと、残留物流をバイオ再生可能な変換プロセスに送り、残留物流からプロパン及びC4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することと、のうち少なくとも1つを更に含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、プロセスユニットは、CO2回収システムを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、CO2回収システムに導入される。
【0083】
いくつかの実施形態では、水素生成プロセスのための炭化水素を含む供給流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスにおける生成物分留ゾーンからのオーバーヘッド流を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3生成物PSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットにオーバーヘッド流を導入することと、PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に第2の高圧水素流を取り出すことと、PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流を取り出すことと、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に低圧CO2流を取り出すことと、を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、CO2回収システムは、冷凍回路の1つがCO2回収システムから回収された液体CO2生成物の一部を利用する冷凍回路、又は単一の閉ループ多成分混合冷凍システムの少なくとも2つの冷凍回路によって冷凍冷却が提供される冷凍CO2分留プロセスを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本方法は、圧縮機、CO2回収システム、及び少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを選択的にバイパスすることと、水素PSAユニットからの水素枯渇テールガス流を水蒸気改質プロセスユニット内の炉に送ることとを更に含む。
【0087】
本発明の別の態様は、水素富化生成物を生成し、水素生成プロセスユニットからCO2を回収する方法である。一実施形態では、本方法は、水素生成プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、水素生成プロセスユニットからの合成ガスを含む流出物流を、高純度水素流、二酸化炭素が富化されたCO2流、並びに任意選択的に、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流に分離することと、高純度水素流を回収することと、バイオ再生可能な供給原料から炭化水素生成物を作成するためのバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流の少なくとも一部を、水素を生成し、CO2を回収する方法におけるプロセスユニットのうちの1つに導入することと、を含む。
【0088】
図1は、バイオ再生可能な変換プロセスの一実施形態を示す。バイオ再生可能な供給原料10は、補給水素流42及び任意の炭化水素リサイクル46と共に反応ゾーン12に入る。
【0089】
バイオ再生可能な供給原料10は、植物又は動物に由来し、石油原油から直接得られるもの以外の原料を含む。このクラスの供給原料を説明するために使用されている別の用語は、再生可能な脂肪及び油である。本発明において使用することができる再生可能な供給原料は、グリセリド及び遊離脂肪酸(FFA)を含むもののいずれかを含む。これらの供給原料の例としては、キャノーラ油、トウモロコシ油、ダイズ油、菜種油、トール油、ヒマワリ油、麻実油、オリーブ油、アマニ油、ココナッツ油、ヒマシ油、ピーナッツ油、パーム油、カラシ油、綿実油、獣脂、黄色及び褐色グリース、ラード、鯨油、乳中の脂肪、魚油、藻類油、下水汚泥、クフェア油、カメリナ油、ヤトロファ油、クルカス油、ババス油、パーム核油、クランベ油などが挙げられるが、これらに限定されない。バイオ再生可能は、これらの供給原料を説明するために使用される別の用語である。典型的な植物油又は動物性脂肪のグリセリド、FFA及び脂肪酸アルキルエステルは、それらの構造中に約8~約24個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を含み、油の大部分は、16個及び18個の炭素原子を有する高濃度の脂肪酸を含む。再生可能な供給原料と化石燃料由来炭化水素との混合物又は共供給物も、供給原料として使用することができる。特に上記の供給原料と組み合わせて共供給成分として使用することができる他の供給原料成分としては、使用済みモーターオイル及び工業用潤滑剤、使用済みパラフィンワックス、石炭、バイオマス、又は天然ガスのガス化に続くフィッシャー-トロプシュ技術などの下流液化ステップから誘導される液体、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンなどの廃プラスチックの熱又は化学的解重合に由来する液体、並びに石油化学及び化学プロセスからの副生成物として生成される他の合成油が挙げられる。上記供給原料の混合物も、共供給成分として使用することができる。共供給成分を使用する1つの利点は、化石燃料ベースのプロセス又は他のプロセスからの廃棄物であると考えられてきたものが、現在のプロセスへの貴重な共供給成分に変換されることである。
【0090】
非石油供給原料を多機能触媒又は触媒のセットと接触させることにより、水素化、脱酸素化、選択的分解、及び異性化された反応ゾーン流出物14が生成される。反応ゾーン流出物14は、分離器16に導入される。分離器16は、低温分離器と、任意選択的に高温分離器とを含む。低温分離器のみでは、水はライン18内の液体として除去される(低温分離器モード)。高温分離器が存在する場合、水はライン22で蒸気として除去されてもよい(高温分離器モード)。水素、CO2、任意選択的に水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つは、ライン22で分離及び除去される。
【0091】
ライン22内のオーバーヘッドは、バイオ再生可能な供給原料10と組み合わされる水素富化ガスである。水素44を含む少量のパージガス流を除去して、再循環ガスの水素純度を制御する。
【0092】
ジェット燃料及びディーゼル燃料範囲のパラフィン及びいくらかのより軽質の炭化水素を含有する液体流は、ライン20で分離器16から取り出され、生成物分留ゾーン30に送られる。生成物分留ゾーン30は、生成物留分34が所望の航空燃料規格を満たすのに最も有益な沸点範囲の炭化水素を含有するように操作される。生成物留分34は、航空燃料として、又は航空燃料の混合成分として使用するために収集される。
【0093】
ナフサ及びLPGなどのより軽質物質は、分留ゾーンオーバーヘッド流36で除去される。分留ゾーンオーバーヘッド流36の一部は、以下に説明するように、ライン38で水素生成プロセスに送ることができる。所望であれば、ナフサ及びLPGは、LPG流及びナフサ流に更に分離されてもよい(図示せず)。
【0094】
航空燃料の規格に許容されるよりも高い沸点を有する炭化水素は、塔底流32で除去される。塔底流32の一部を回収して、例えば低硫黄加熱油燃料、エチレンプラント供給原料、潤滑油プラントへの供給物、パラフィン系溶媒又は誘電油などの燃料として使用することができる。塔底流32は、ディーゼル又はディーゼル混合成分として使用するのに許容できる可能性がある。塔底流32の一部46は、反応ゾーンに再循環される。
【0095】
炭化水素流の一部を必要に応じて冷却し、反応ゾーンの床の間で冷却クエンチ液として使用して、反応熱を更に制御し、緊急時のためのクエンチ液を提供することもできる。再循環流は、反応ゾーンの入口及び/又は任意の後続の床若しくは反応器に導入することができる。炭化水素再循環の1つの利点は、個々の床全体の温度上昇を制御することである。しかしながら、上述したように、炭化水素再循環の量は、反応ゾーンにおける所望の水素溶解度に基づいて決定することができ、1回の通過当たりの分解率を最小にして、航空範囲のパラフィンへの高い選択性をもたらすことができる。反応混合物中の水素溶解度を増加させることにより、より低い圧力での良好な操作が可能になり、したがってコストが削減される。高再循環で操作し、液相中に高レベルの水素を維持することは、触媒表面でのホットスポットを消散させるのに役立ち、コーキング及び触媒失活をもたらす望ましくない重質成分の形成を低減する。
【0096】
本発明で生成される航空燃料生成物留分34は、航空燃料などの用途に適しているか、又はそのための混合成分として適している。用途に応じて、様々な特定の燃料に要求される規格を満たすために、様々な添加剤を、生成される燃料組成物と組み合わせることができる。特に、本明細書で生成される炭化水素生成物流は、航空タービン燃料Defense Stan91-91タービン燃料(航空ケロシンタイプ、Jet A-1 NATOコードF-35、F-34、F-37)に対するASTM D1655規格、ジュイントリー・オペレーテッド・システムズに対する航空燃料品質要件(ジョイントチェックリスト)、ASTMとDef Stan要件との組み合わせ(GOST10227)、ジェット燃料規格(ロシア)、カナダCAN/CGSB-3.22航空タービン燃料、ワイドカットタイプのカナダCAN/CGSB-3.23航空タービン燃料、ケロシンタイプのMIL-DTL-83133、JP-8、MW-DTL-5624、JP-4、JP-5、QAV-1(ブラジル)、GB6537 DCSEA 134A(フランス)Carbureacteur Pour Turbomachines D’AviationによるEspecifcacao de Querosene de Aviacao No.3 Jet Fuel(中国)、他の国のケロシンタイプの航空タービン燃料(航空タービン燃料規格に対するIATAガイダンスマテリアルに記載の、JetA、JetA-1、JetB、及びTS-1燃料に対する一般グレード要件に適合している)の少なくとも1つを満たし、少なくとも1つのためのブレンド用成分であり、又は、少なくとも1つを満たすために1つ以上の添加剤と組み合わせることができる。航空燃料は、本明細書では一般に「ジェット燃料」と呼ばれ、「ジェット燃料」という用語は、上記の規格を満たす航空燃料を包含すること、並びに上記の規格を満たす航空燃料の混合成分として使用される航空燃料を包含することを意味する。特定の規格を満たすために添加剤をジェット燃料に添加してもよい。ジェット燃料の1つの特定のタイプは、軍用規格ML-DTL-83133によって定義されたJP-8であり、これは、米国政府によって規定された高度に精製されたケロシンベースのジェット推進剤の軍用グレードタイプである。本明細書に記載のグリセリド又はFAAから生成される燃料は、合成パラフィン系ケロシン(SPK)又は合成ジェット燃料としても知られるイソパラフィン系ケロシンすなわちiPKに非常に類似している。
【0097】
図2は、本発明の3生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス100の一実施形態を示す。天然ガス供給物105及び水110は、水蒸気改質プロセスユニット120の反応部112に送られ、補助燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。天然ガスの代わりに、ナフサ及び液化石油ガス(LPG)を含むがこれらに限定されない炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。補助燃料ガスは、PSAテールガス又はベントガスがプロセスを駆動するのに十分な熱を提供しないので、改質反応のための安定性及び十分な熱を提供するための追加の燃料源である。適切な補助燃料ガスとしては、天然ガス、及び他の主に炭化水素を含有する燃料、例えば、精油所燃料ガス、石油化学複合合成燃料ガス、気化ナフサ若しくは気化液化石油ガス(LPG)、又は最大で粗水素若しくは精製水素までの炭化水素含有燃料と水素とのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。水蒸気改質、ATR/GHR、及びPOXプロセスのために天然ガスの代わりに使用することができる炭化水素を含む他の供給流としては、ナフサ及び液化石油ガス(LPG)が挙げられるが、これらに限定されない。POX及びガス化プロセスは、石炭及び石油コークスを含むがこれらに限定されない固体供給原料を使用することができる。
【0098】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135も水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0099】
流出物流125は、約30℃~約50℃の温度(水蒸気改質プロセスにおける熱回収及び冷却後)、及び約2,000~約3,000kPaの圧力を有する。流出物流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素が富化された高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流150とに分離される。
【0100】
テールガス流150は圧縮機155に送られ、そこで約110kPa~約200kPaの範囲の圧力から約3,000kPa~約6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0101】
圧縮テールガス流160は、CO2回収ユニット165に送られ、そこで乾燥されて水流167が除去され、約-20℃~約-50℃の温度に冷却され、塔底流170とオーバーヘッド流175とに分離される。液体CO2を含む塔底流170が回収される。
【0102】
オーバーヘッド流175は、3生成物PSAユニット185を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流190が回収される。高圧水素流190の全部又は一部を、バイオ再生可能な変換プロセスに送り、補給水素流42と組み合わせることができる。低圧CO2流195は、圧縮機155に再循環される。
【0103】
メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と少量の水素(例えば、約20%未満、又は約10%~約20%)とを含む中圧ベントガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。バイオ再生可能な変換プロセスからの水素44を含むパージガス流は、中圧ベントガス流200と混合され、水蒸気改質プロセスユニット120の炉118に送られる。
【0104】
バイパスライン202は、テールガス流150を燃焼のために水蒸気改質プロセスユニット内の炉に送る。これにより、水蒸気改質プロセスユニットは、圧縮機155、CO2回収ユニット165、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に問題が生じた場合に、CO2を回収することなく動作し続けることができる。
【0105】
図3は、PSA吸着容器310を含むPSAユニット300を示す。PSA吸着容器310は、3つの吸着層315、320、325を含む。PSA吸着容器310は、第1の端部335に第1の開口部330を含み、第2の端部345に第2の開口部340を含む。第1の開口部330は、弁355を介して高圧供給ガス入口ライン350と選択的に流体連通しており、弁365を介して低圧テールガス出口ライン360と選択的に流体連通している。第2の開口部340は、弁375を介して高圧生成物出口ライン370と選択的に流体連通しており、弁385を介して中圧ベントガス出口ライン380と選択的に流体連通しており、弁395を介して低圧パージガス入口ライン390と選択的に流体連通している。
【0106】
PSAサイクルの高圧並流吸着及び生成物除去ステップの間、弁355及び375を開き、弁365、385、及び395を閉じて、高圧供給ガスをPSA吸着容器310に入れ、高圧水素流を出すことができる。
【0107】
少なくとも1つの並流減圧ステップの間、弁355、365、375、385、及び395は閉じられる。
【0108】
中圧並流減圧及びベント除去ステップの間、弁385は開かれ、弁355、365、375、及び395は閉じられる。
【0109】
向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップの間、弁365は開かれ、弁355、375、385、及び395は閉じられる。床は弁365を介して減圧され、CO2の一部が脱着される。
【0110】
向流パージ及びテールガス除去ステップの間、弁365及び395は開かれ、弁355、375及び385は閉じられる。パージガスが導入され、CO2が除去される。
【0111】
少なくとも1つの向流再加圧ステップの間、弁355、365、375、385、及び395は閉じられる。
【0112】
図4は、本発明の3生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス400の一実施形態を示す。天然ガス供給物105及び水110は、水蒸気改質プロセスユニット120の反応部112に送られ、補助燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送られる。上述したように、天然ガスの代わりに炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。補助燃料ガスについては上述した。
【0113】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135も水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0114】
流出物流125は、約30℃~約50℃の温度(水蒸気改質プロセスにおける熱回収及び冷却後)、及び約2,000~約3,000kPaの圧力を有する。流出物流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素が富化された高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流150とに分離される。
【0115】
テールガス流150は圧縮機155に送られ、そこで約110kPa~約200kPaの範囲の圧力から約3,000kPa~約6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0116】
圧縮テールガス流160は、CO2回収ユニット165に送られ、そこで乾燥されて水流167が除去され、約-20℃~約-50℃の温度に冷却され、塔底流170とオーバーヘッド流175とに分離される。液体CO2を含む塔底流170が回収される。
【0117】
オーバーヘッド流175は、3生成物PSAユニット185を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流190が回収される。高圧水素流190の全部又は一部を、バイオ再生可能な変換プロセスに送り、補給水素流42と組み合わせることができる。低圧CO2流195は、圧縮機155に再循環される。
【0118】
メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と少量の水素(例えば、約20%未満、又は約10%~約20%)とを含む中圧ベントガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0119】
バイオ再生可能な変換プロセスからの水素44を含むパージガス流は、膜分離ユニット405に送られ、そこで水素及びCO2を含む透過流410と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流415とに分離される。透過流410は、圧縮機155に送られ、CO2回収システム165及び少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られて、透過流410中の水素及びCO2が回収される。一実施形態では、残留物流415の全部又は一部を中圧ベントガス流200と混合し、水蒸気改質プロセスユニット120の炉118に送る。別の実施形態では、残留物流415の全部又は一部を天然ガス供給物105と混合し、水蒸気改質プロセスユニット120に送ることができる。水素プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットである場合、残留物流415の全部又は一部を、炭化水素を含む供給流と混合し、自己熱改質ユニット、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットにおいて部分的に酸化することができる。更に別の実施形態では、残留物流415の全部又は一部を、プロパン及び/又はC4+炭化水素を回収するためのバイオ再生可能な炭化水素生成プロセスに戻すことができる。
【0120】
バイパスライン202は、テールガス流150を燃焼のために水蒸気改質プロセスユニット内の炉に送る。これにより、水蒸気改質プロセスユニットは、圧縮機155、CO2回収ユニット165、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に問題が生じた場合に、CO2を回収することなく動作し続けることができる。
【0121】
図5は、本発明の3生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス450の一実施形態を示す。天然ガス供給物105及び水110は、水蒸気改質プロセスユニット120の反応部112に送られ、補助燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送られる。上述したように、天然ガスの代わりに炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。補助燃料ガスについては上述した。
【0122】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135も水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0123】
流出物流125は、約30℃~約50℃の温度(水蒸気改質プロセスにおける熱回収及び冷却後)、及び約2,000~約3,000kPaの圧力を有する。流出物流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素が富化された高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流150とに分離される。
【0124】
テールガス流150は圧縮機155に送られ、そこで約110kPa~約200kPaの範囲の圧力から約3,000kPa~約6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0125】
バイオ再生可能な変換プロセスからの水素44を含むパージガス流は、圧縮テールガス流160と組み合わされる。
【0126】
圧縮テールガス流160は、CO2回収ユニット165に送られ、そこで乾燥されて水流167が除去され、約-20℃~約-50℃の温度に冷却され、塔底流170とオーバーヘッド流175とに分離される。液体CO2を含む塔底流170が回収される。
【0127】
オーバーヘッド流175は、3生成物PSAユニット185を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流190が回収される。高圧水素流190の全部又は一部を、バイオ再生可能な変換プロセスに送り、補給水素流42と組み合わせることができる。低圧CO2流195は、圧縮機155に再循環される。
【0128】
メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と少量の水素(例えば、約20%未満、又は約10%~約20%)とを含む中圧ベントガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0129】
バイパスライン202は、テールガス流150を燃焼のために水蒸気改質プロセスユニット内の炉に送る。これにより、水蒸気改質プロセスユニットは、圧縮機155、CO2回収ユニット165、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に問題が生じた場合に、CO2を回収することなく動作し続けることができる。
【0130】
図6は、本発明の水素生成プロセス475の別の実施形態を示す。天然ガス供給物105及び水110は、水蒸気改質プロセスユニット120の反応部112に送られ、補助燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送られる。上述したように、天然ガスの代わりに炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。補助燃料ガスについては上述した。
【0131】
改質反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135も水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0132】
流出物流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素が富化された高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流150とに分離される。
【0133】
テールガス流150は圧縮機155に送られる。圧縮テールガス流160は、CO2回収システム165に送られ、塔底流170とオーバーヘッド流175とに分離される。液体CO2を含む塔底流170が回収される。
【0134】
オーバーヘッド流175は、直列の2つのPSAユニット205、210を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られる。オーバーヘッド流175は、低圧CO2流195と、水素並びにメタン、一酸化炭素及び窒素のうちの少なくとも1つを含む高圧流215とに分離される。高圧水素流190の全部又は一部を、バイオ再生可能な変換プロセスに送り、補給水素流42と組み合わせることができる。低圧CO2流195は圧縮機155に再循環される。
【0135】
バイオ再生可能な変換プロセスからの水素44を含むパージガス流は、高圧流215と組み合わされる。
【0136】
高圧流215は第2のPSAユニット210に送られ、そこで高圧水素流190と低圧テールガス流200とに分離される。高圧水素流190が回収される。メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む低圧テールガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0137】
バイパスライン202は、テールガス流150を燃焼のために水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送る。
【0138】
図7は、本発明の3生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス500の一実施形態を示す。天然ガス供給物505及び水510は、水蒸気改質プロセスユニット520の反応部512に送られ、補助燃料ガス514及び空気515は、水蒸気改質プロセスユニット520内の炉518に送られる。上述したように、天然ガスの代わりに炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。補助燃料ガスについては上述した。
【0139】
ナフサ及びLPGを含む分留ゾーンオーバーヘッド流36の一部は、水蒸気改質プロセスユニット520への供給物の一部としてライン38に送られてもよい。
【0140】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出物流525を生成する。煙道ガス流530及び水蒸気流535も水蒸気改質プロセスユニット520から出る。
【0141】
流出物流525は、約30℃~約50℃の温度(水蒸気改質プロセスにおける熱回収及び冷却後)、及び約2,000~約3,000kPaの圧力を有する。流出物流525は、3生成物PSAユニット545を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム540に送られ、そこで、水素が富化された高純度水素流190と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む水素枯渇テールガス流550とに分離される。あるいは、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム540は、上述したように、2つの生成物流を有する1つのPSAユニット又は2つの生成物流を有する2つのPSAユニットであってもよい。
【0142】
高純度流190は、バイオ再生可能な変換プロセスに送られて、反応ゾーン12において水素の一部又は全部として使用することができる。
【0143】
テールガス流550は圧縮機555に送られ、そこで約110kPa~約200kPaの範囲の圧力から約3,000kPa~約6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0144】
圧縮テールガス流565は、CO2回収ユニット570に送られ、そこで乾燥されて水流567が除去され、約-20℃~約-50℃の温度に冷却され、塔底流575とオーバーヘッド流580とに分離される。液体CO2を含む塔底流575が回収される。
【0145】
オーバーヘッド流580は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム540に送られる。
【0146】
メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と、水素(例えば、いくつかの実施形態では、水素は約20mol%未満、又は約10mol%~約20mol%であるが、他の実施形態では、水素は90mol%超であり得る)とを含む中圧ベントガス流560は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット520に送られる。
【0147】
バイオ再生可能な変換プロセスからの水素44を含むパージガス流は、膜分離ユニット590に送られ、そこで水素及びCO2を含む透過流595と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流600とに分離される。透過流595は炉518に送られる。残留物流600は、水蒸気改質プロセスユニット520に送られる。
【0148】
図8は、合成ガス流からの水素及びより軽質の成分から二酸化炭素を除去するためのCO
2回収システムの設計を示すプロセスフロー図である。このプロセスは、二重冷媒CO
2分留プロセスの使用を含む。
【0149】
このプロセスでは、入口ガスが供給流931としてプラントに入る。供給流931は通常、極低温条件下での水和物(氷)形成を防止するために脱水される。固体乾燥剤及び液体乾燥剤の両方が、この目的のために使用されてきた。
【0150】
供給流931は、2つの流れ(流れ939及び940)に分割される。流れ939は、熱交換器911において、低温二酸化炭素蒸気(流れ938c)及び低温残留ガス流933aとの熱交換によって冷却される。流れ940は、熱交換器910において、カラムリボイラー液(流れ936)及びカラムサイドリボイラー液(流れ935)との熱交換によって冷却される。熱交換器910及び911からの冷却された流れは、流れ931aに再統合される。流れ931aは、市販の冷媒950(例えば、プロパン又はR-134A)で更に冷却され、得られた流れ(冷却された流れ931b)は、膨張弁912によって分留塔913の動作圧力まで膨張され、流れ931cを冷却した後、分留塔913に頂部カラム供給点で供給される。
【0151】
オーバーヘッド蒸気流932は分留塔913を出て、熱交換器914で冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流れ932aは分離器915に入り、そこで蒸気(低温残留ガス流933)が、凝縮された液体流934から分離される。凝縮された液体流934は、液体流934aが熱交換器916に入る前に、ポンプ919によって分留塔913の運転圧力よりわずかに高い圧力まで圧送され、分留カラムの底部からの二酸化炭素冷媒との熱交換によって加熱され、部分的に気化される(後述)。部分的に気化された流れ934bは、その後、中間カラム供給点で分留塔913への供給物として供給される。PSAシステムへの供給物中により高い圧力及び/又はより低い二酸化炭素含有量が望ましい場合、低温圧縮器(図示せず)をオーバーヘッド蒸気流932に適用することができる。圧縮機がこの流れに使用される場合、ポンプ919を取り除くことができ、分離器915からの液体は、液体レベル制御弁を介して分留塔913に送られる。
【0152】
分留塔913は、垂直方向に間隔を置いて配置された複数のトレイ、1つ以上の充填床、又はトレイと充填物の何らかの組合せを含む従来の蒸留カラムである。それはまた、カラムを流下する液体の一部を加熱及び蒸発させてストリッピング蒸気を提供するリボイラー(例えば、前述のリボイラー及びサイドリボイラー)を含み、ストリッピング蒸気は、カラムを上昇して、水素及びより軽質の成分のカラム底部液体生成物流937をストリッピングする。トレイ及び/又は充填物は、上方に上昇するストリッピング蒸気と下方に降下する低温液体との間に必要な接触を提供し、その結果、カラム底部液体生成物流937は、底部生成物中の水素及びより軽質の成分の濃度を減少させて非常に純粋な二酸化炭素生成物を作製することに基づいて、塔の底部を出る。
【0153】
カラム底部液体生成物流937は、主に液体二酸化炭素である。小部分(流れ938)は、前述のように分離器915からの液体流934aによって熱交換器916内で過冷却される。過冷却された液体(流れ938a)は、膨張弁920によってより低い圧力に膨張され、部分的に気化され、流れ938bを更に冷却した後、熱交換器914に入る。流れ938bは、熱交換器914において冷媒として機能して、前述のように部分的に凝縮された流れ932aを冷却し、得られた二酸化炭素蒸気は流れ938cとして出る。
【0154】
熱交換器914からの冷たい二酸化炭素蒸気(流れ938c)は、前述のように供給ガスとの熱交換によって熱交換器911内で加熱される。次いで、温かい二酸化炭素蒸気(流れ938d)は、圧縮機921、923、及び925によって3段階で分留塔913の圧力より高い圧力に圧縮され、圧縮の各段階後に排出冷却器922、924、及び926によって冷却される。次いで、圧縮二酸化炭素流(流れ938j)は、弁942を通してフラッシュ膨張され、分留塔913内の底部供給位置に戻される。再循環された二酸化炭素(流れ938k)は、分留塔913において更なる熱負荷及びストリッピングガスを提供する。カラム底部液体生成物流937の残りの部分(流れ941)は、ポンプ929によって高圧に圧送され、その結果、流れ941aが高圧二酸化炭素流を形成し、次いでパイプライン又は再注入に流れる。場合によっては、二酸化炭素流は、断熱輸送容器で輸送することができるより低圧の過冷却液体として送達される必要がある。これらの場合、二酸化炭素生成物(流れ941)は、熱交換器917において冷媒950で過冷却された後、貯蔵タンク条件に放出される。したがって、ポンプ929は取り除かれる。
【0155】
低温残留ガス流933は、分離器915を出て、熱交換器914で追加の冷却を行う。加温された残留ガス流933aは、前述のように熱交換器911において供給ガスと熱交換した後に更に加熱される。次いで、温かい残留ガス流933bは、更なる処理のためにPSAシステムに送られる。
【0156】
図9は、合成ガス流からの水素及びより軽質の成分から二酸化炭素を除去するためのプロセスユニットの設計を示すプロセスフロー図である。このプロセスでは、入口ガスが供給流931としてプラントに入る。このプロセスは、混合冷媒CO
2分留プロセスの使用を含む。
【0157】
供給流931は通常、極低温条件下での水和物(氷)形成を防止するために脱水される。固体乾燥剤及び液体乾燥剤の両方が、この目的のために使用されてきた。
【0158】
供給流931は、熱交換器910において、カラムリボイラー液(流れ936)及びカラムサイドリボイラー液(流れ935)との熱交換によって冷却される。流れ931aは、熱交換器911において、低温残留ガス流933と、炭化水素成分及び非炭化水素成分の両方を含むフラッシュ膨張多成分混合冷媒流との熱交換によって更に冷却される。混合冷媒流中の成分混合物は、入口ガス供給条件に基づいて熱交換器911内で最も効率的な冷却曲線を提供するように設計される。更に冷却された流れ931bは、膨張弁912によって分留塔913の動作圧力まで膨張され、中間カラム供給点で分留塔913に送られる。
【0159】
オーバーヘッド蒸気流932は分留塔913を出て、熱交換器911で混合冷媒流と共に冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流れ932aは分離器915に入り、そこで蒸気(低温残留ガス流933)が、凝縮された液体流934から分離される。凝縮された液体流934は、ポンプ919によって分留塔913の動作圧力よりもわずかに高い圧力まで圧送され、液体流934aが頂部供給点で分留塔913に送られる。PSAシステムへの供給物中により高い圧力及び/又はより低い二酸化炭素含有量が望ましい場合、低温圧縮器(図示せず)をオーバーヘッド蒸気流932に適用することができる。圧縮機がこの流れに使用される場合、ポンプ919を取り除くことができ、分離器915からの液体は、液体レベル制御弁を介して分留塔913に送られる。
【0160】
分留塔913は、垂直方向に間隔を置いて配置された複数のトレイ、1つ以上の充填床、又はトレイと充填物の何らかの組合せを含む従来の蒸留カラムである。それはまた、カラムを流下する液体の一部を加熱及び蒸発させてストリッピング蒸気を提供するリボイラー(例えば、前述のリボイラー及びサイドリボイラー)を含み、ストリッピング蒸気は、カラムを上昇して、水素及びより軽質の成分のカラム底部液体生成物流937をストリッピングする。トレイ及び/又は充填物は、上方に上昇するストリッピング蒸気と下方に降下する低温液体との間に必要な接触を提供し、その結果、カラム底部液体生成物流937は、底部生成物中の水素及びより軽質の成分の濃度を減少させて非常に純粋な二酸化炭素生成物を作製することに基づいて、塔の底部を出る。
【0161】
カラム底部液体生成物流937は、主に液体二酸化炭素である。カラム底部液体生成物流937は、ポンプ929によって高圧に圧送され、その結果、流れ937aが高圧二酸化炭素流を形成し、次いでパイプライン又は再注入に流れる。場合によっては、二酸化炭素流は、断熱輸送容器で輸送することができるより低圧の過冷却液体として送達される必要がある。これらの場合、カラム底部液体生成物流937中の二酸化炭素生成物は、熱交換器911において混合冷媒950で過冷却された後、貯蔵タンク条件に放出される。したがって、ポンプ929は取り除かれる。
【0162】
温かい残留ガス流933aは、前述のように供給ガスと熱交換した後に熱交換器911を出る。次いで、温かい残留ガス流933aは、更なる処理のためにPSAシステムに送られる。
【実施例】
【0163】
以下の実施例は、統合されたプロセスを更に例解することを意図する。これらの実施例は、本発明の特許請求の範囲を実施例の特定の詳細に限定するものではない。実施例は、以下に説明するように、プロセスの2つの実施形態のコンピュータシミュレーションである。
【0164】
【0165】
上記の結果は、水素パージガス流44中の水素の約90%及びCO2の50%超が透過流410中に回収されることを示している。この水素はオーバーヘッドPSAシステムにおいて高圧水素流190として回収され、このCO2はCO2回収システム165において塔底流170として回収される。ほぼ100%のプロパン及びn-ブタンが残留物流415中に回収され、回収のためにバイオ再生可能なプロセスに送られる。
【0166】
【0167】
上記の流れを第2のPSAユニット210に供給した。パージ流44中の水素の約90%が高圧水素流190中に回収された。パージ流44中の他の成分のほぼ100%が低圧テールガス流200中に回収された。これらの成分は燃料ガスとして炉118に送られた。
【0168】
本明細書で使用するとき、「流れ」という用語は、様々な炭化水素分子及び他の物質を含むことができる。
【0169】
本明細書で使用するとき、「流れ」、「供給物」、「生成物」、「部」又は「部分」は、直鎖及び分岐鎖アルカン、ナフタレン、アルケン、アルカジエン、及びアルキンなどの様々な炭化水素分子、並びに、任意選択的に、他の物質、例えば、気体、例えば、水素、又は不純物、例えば、重金属、並びに、硫黄及び窒素化合物を含むことができる。上記の各々は、芳香族及び非芳香族炭化水素も含み得る。
【0170】
本明細書で使用するとき、「オーバーヘッド流」という用語は、カラムなどの容器の頂部又はその付近で回収された流れを意味することができる。
【0171】
本明細書で使用するとき、「塔底流」という用語は、カラムなどの容器の底部又はその付近で回収された流れを意味することができる。
【0172】
本明細書で使用するとき、「ユニット」という用語は、1つ以上の設備機器及び/又は1つ以上のサブゾーンを含む領域を指すことができる。設備機器としては、1つ以上の反応器又は反応容器、分離容器、蒸留塔、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、及びコントローラを挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、反応器、乾燥機、又は容器などの設備機器は、1つ以上のゾーン又はサブゾーンを更に含むことができる。
【0173】
用語「カラム」は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための1つ又は複数の蒸留カラムを意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻るオーバーヘッド流の一部を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部流の一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部にリボイラーと、を含む。カラムへの供給物は、予熱され得る。頂部又はオーバーヘッドの圧力は、カラムの蒸気出口におけるオーバーヘッド蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。正味のオーバーヘッドライン及び正味の底部ラインは、特に示されない限り、カラムへの任意の還流又は再沸騰の下流にあるカラムからの正味のラインを指す。ストリッピングカラムは、カラムの底部にあるリボイラーを省略し、代わりに、水蒸気などの流動化不活性媒体から所要熱量及び分離の推進力を提供し得る。再沸騰吸収カラムは、カラム頂部の凝縮器を省略してもよい。
【0174】
図示されているように、図中のプロセスフローラインは、例えば、ライン、パイプ、供給物、ガス、製品、排出物、部品、部分、又は流れと称することができる。
【0175】
「通過する」という用語は、材料が導管又は容器から対象物へと通過することを意味している。
【0176】
「水素富化」及び「水素が富化された流れ」という用語は、生成物流の水素含有量/濃度が入口ガス流よりも高いことを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、生成物流は、40mol%超、又は50mol%超、又は60mol%超、又は70mol%超、又は80mol%超、又は90mol%超、又は95mol%超、又は98mol%超、又は99mol%超、又は99.9mol%超の水素を含有し得る。
【0177】
「CO2富化」「CO2が富化された流れ」という用語は、生成物流のCO2含有量/濃度が入口ガス流よりも高いことを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、生成物流は、40mol%超、又は50mol%超、又は60mol%超、又は70mol%超、又は80mol%超、又は90mol%超、又は95mol%超、又は98mol%超、又は99mol%超、又は99.9mol%超のCO2を含有し得る。
【0178】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、値の10%以内、又は5%以内、又は1%以内を意味する。
【0179】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0180】
本発明の第1の実施形態は、水素富化生成物を生成し、水素生成プロセスユニットからCO2を回収する方法であって、水素生成プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第1の圧力スイング吸着(PSA)システムにおいて、水素生成プロセスユニットからの流出物流を、少なくとも、水素が富化された第1の高圧水素流と水素枯渇テールガス流とに分離することと、水素枯渇テールガス流を圧縮機内で圧縮して、圧縮テールガス流を形成することと、圧縮テールガス流をCO2回収システム内で分離して、CO2生成物と、水素を含む第2のガス流とを生成することと、バイオ再生可能な供給原料から炭化水素生成物を作成するためのバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流の少なくとも一部を、水素を生成し、CO2を回収する方法において使用されるプロセスユニットに導入することと、を含む、方法である。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉内で燃焼される。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムは、2つの生成物流を生成する第1のPSAユニットを含み、第1のPSAユニットは、流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素枯渇テールガス流とに分離し、圧縮テールガス流を分離することは、CO2回収システム内の圧縮テールガス流を、CO2富化生成物流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流とに分離することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムにおいて、CO2回収システムからのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流と二酸化炭素が富化された低圧CO2流とに分離することと、第2の高圧水素流を回収することと、任意選択的に、低圧CO2流を圧縮機に再循環させることと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムを含み、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムは、各々が2つの生成物流を生成する2つのPSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、オーバーヘッド流を第1のPSAユニットに導入し、オーバーヘッド流を低圧CO2流と水素が富化された第3の高圧水素流とに分離することと、第3の高圧水素流を第2のPSAユニットに供給することとを含み、第2の高圧水素流及び第2のガス流は、第2のPSAユニットから除去され、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、第2のPSAユニットに導入される。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、膜分離ユニットにおいて、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは圧縮機を含み、残留物流は圧縮機で圧縮される。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で残留物流を燃焼させることを更に含むことと、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットで、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することを更に含むことと、プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含み、残留物流を、炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流と混合することと、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニット内で、混合流を部分酸化することを更に含むことと、残留物流をバイオ再生可能な変換プロセスに送り、残留物流からプロパン及びC4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することと、のうち少なくとも1つを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、CO2回収システムを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、CO2回収システムに導入される。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、水素生成プロセスのための炭化水素を含む供給流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーンからのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流の少なくとも一部を含むか、又は水素生成プロセスの炉のための燃料流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーンからのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流の少なくとも一部を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3生成物PSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットにオーバーヘッド流を導入することと、3生成物PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に第2の高圧水素流を取り出すことと、3生成物PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流を取り出すことと、3生成物PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に低圧CO2流を取り出すことと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムにおいて、水素生成プロセスユニットからの流出物流を、少なくとも、水素が富化された第1の高圧水素流と水素枯渇テールガス流とに分離することは、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステム内の水素生成プロセスユニットからの流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素枯渇テールガス流と、水素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流とに分離することを含み、水素が富化された第1の高圧水素流の少なくとも一部をバイオ再生可能な変換プロセスに導入することと、水素生成プロセスユニット内で第2のガス流の少なくとも一部を燃焼させることと、のうち少なくとも1つを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、膜分離ユニットにおいて、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは、水素生成プロセスユニットを含み、透過流は、炉に導入されるか、又は残留物流は、供給流の少なくとも一部を含むか、又はその両方である。
【0181】
本発明の第2の実施形態は、統合された水素生成プロセス及びバイオ再生可能な変換プロセスにおいて水素富化生成物を生成し、CO2を回収する方法であって、統合されたプロセスが、水素生成プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第1の圧力スイング吸着(PSA)システムにおいて、水素生成プロセスユニットからの流出物流を、少なくとも、水素が富化された第1の高圧水素流と水素枯渇テールガス流とに分離し、水素枯渇テールガス流を圧縮機において圧縮して、圧縮テールガス流を形成することと、圧縮テールガス流をCO2回収システムにおいて分離して、CO2生成物と水素を含む第2のガス流とを生成することと、水素化、脱酸素化、異性化、及び選択的水素化分解機能を有する多機能触媒又は触媒のセットと、バイオ再生可能な供給原料を接触させることによって、反応条件下で水素の存在下、反応ゾーン内でバイオ再生可能な供給原料を水素化、脱酸素化、異性化、及び選択的水素化分解して、パラフィン系炭化水素、水素、CO2、水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む反応流出物を提供することと、反応流出物を、分離器内で、少なくとも、パラフィン系炭化水素を含む1つの炭化水素流と、水素、CO2、任意選択的に水、並びにメタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含むオーバーヘッド流とに分離することと、分留ゾーンにおいて炭化水素流を分離して炭化水素生成物流を生成することであって、炭化水素生成物流が、ディーゼル沸点範囲の沸点を有する炭化水素を含むディーゼル流、航空燃料沸点範囲の沸点を有する炭化水素を有する航空燃料流、及びナフサ沸点範囲の炭化水素を有するナフサ流のうちの少なくとも1つを含むことと、炭化水素生成物流を回収することと、分離器からのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素を含む水素流に分離することと、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素流からの水素を含むパージガス流の少なくとも一部を、水素生成プロセスのプロセスユニットに導入することと、を含む、方法である。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、水素生成プロセスユニットのための炭化水素を含む供給流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーンからのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流の少なくとも一部を含むこと、又は水素生成プロセスの炉のための燃料流の少なくとも一部は、バイオ再生可能な変換プロセスの生成物分留ゾーンからのナフサ流、液化石油ガス流、若しくはオフガス流の少なくとも一部を含むことを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、水素を含むパージガス流は、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉内で燃焼される。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムは、2つの生成物流を有する第1のPSAユニットを含み、第1のPSAユニットは、流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素枯渇テールガス流とに分離し、圧縮テールガス流を分離することは、CO2回収システム内の圧縮テールガス流を、CO2富化生成物流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流とに分離することと、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムにおいて、CO2回収システムからのオーバーヘッド流を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流と二酸化炭素が富化された低圧CO2流とに分離することと、第2の高圧水素流を回収することと、任意選択的に、低圧CO2流を圧縮機に再循環させることと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムを含み、少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステムは、各々が2つの生成物流を有する2つのPSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、オーバーヘッド流を第1のPSAユニットに導入し、オーバーヘッド流を低圧CO2流と第3の高圧水素流とに分離することと、第3の高圧の第3の流れを第2のPSAユニットに供給することとを含み、第2の高圧水素流及び第2のガス流は、第2のPSAユニットから除去され、バイオ再生可能なプロセスからの水素を含むパージガス流は、第2のPSAユニットに導入される。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、膜分離ユニットにおいて、水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは圧縮機を含み、透過流は圧縮機内で圧縮される。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット内の炉又は加熱炉内で残留物流を燃焼させることを更に含むことと、第2のプロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットを含み、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニットで、残留物流を、炭化水素を含む供給流と混合することを更に含むことと、プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニットを含み、残留物流を、炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流と混合することと、任意のガス加熱改質器、ガス化ユニット、又は部分酸化ユニットを有する自己熱改質ユニット内で、混合流を部分酸化することを更に含むことと、残留物流をバイオ再生可能な炭化水素生成プロセスに送り、残留物流からプロパン及びC4+炭化水素のうちの少なくとも1つを回収することと、のうち少なくとも1つを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスユニットは、CO2回収システムを含み、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流は、CO2回収システムに導入される。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3生成物PSAユニットを含み、CO2回収システムからオーバーヘッド流を分離することは、3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットにオーバーヘッド流を導入することと、3生成物PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に第2の高圧水素流を取り出すことと、3生成物PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流を取り出すことと、3生成物PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に低圧CO2流を取り出すことと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステムにおいて、水素生成プロセスユニットからの流出物流を、少なくとも、水素が富化された第1の高圧水素流と水素枯渇テールガス流とに分離することは、少なくとも2つの生成物流を生成する第1のPSAシステム内の水素生成プロセスユニットからの流出物流を、水素が富化された第1の高圧水素流と、水素枯渇テールガス流と、水素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含む第2のガス流とに分離することを含み、水素が富化された第1の高圧水素流の少なくとも一部をバイオ再生可能な変換プロセスに導入することと、水素生成プロセスユニット内で第2のガス流の少なくとも一部を燃焼させることと、のうち少なくとも1つを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、膜分離ユニットにおいて、バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流を、水素及びCO2を含む透過流と、メタン、エタン、プロパン、C4+炭化水素、及び一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む残留物流とに分離することを更に含み、プロセスユニットは、水素生成プロセスユニットを含み、透過流は、水素生成プロセスユニット内の炉に導入されるか、又は残留物流は、供給流の少なくとも一部を含むか、又はその両方である。
【0182】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0183】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素富化生成物を生成し、水素生成プロセスユニットからCO
2を回収する方法であって、
水素生成プロセスユニット(120)において炭化水素又は炭素質供給原料を含む供給流(105)を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む合成ガス混合物を生成することと、
少なくとも2つの生成物流を生成する第1の圧力スイング吸着(PSA)システム(140)において、前記水素生成プロセスユニット(120)からの流出物流(125)を、少なくとも水素が富化された第1の高圧水素流(145)と水素枯渇テールガス流(150)とに分離することと、
前記水素枯渇テールガス流(150)を圧縮機(155)内で圧縮して、圧縮テールガス流(160)を形成することと、
前記圧縮テールガス流(160)をCO
2回収システム(165)内で分離して、CO
2富化生成物流(170)と水素を含む第2のガス流(175)とを生成することと、
バイオ再生可能な供給原料から炭化水素生成物を作成するためのバイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含むパージガス流(44)の少なくとも一部を、水素を生成し、CO
2を回収する方法で使用されるプロセスユニットに導入することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記プロセスユニットが、任意のガス加熱改質器を有する水蒸気改質プロセスユニット(120)を含み、前記バイオ再生可能な変換プロセスからの水素を含む前記パージガス流(44)が、前記任意のガス加熱改質器を有する前記水蒸気改質プロセスユニット(120)内の炉で燃焼される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記第1のPSAシステム(140)が、2つの生成物流を生成する第1のPSAユニットを含み、前記第1のPSAユニットが、前記流出物流(125)を、水素が富化された前記第1の高圧水素流(145)と前記水素枯渇テールガス流(150)とに分離し、及び
前記圧縮テールガス流(150)を分離することが、
前記CO
2回収システム(165)内の前記圧縮テールガス流(160)を、CO
2富化生成物流(170)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素の一部、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むオーバーヘッド流(175)とに分離することと、
少なくとも2つの生成物流を生成する第2のPSAシステム(180)において、前記CO
2回収システムからの前記オーバーヘッド流(175)を、少なくとも、水素が富化された第2の高圧水素流(190)と二酸化炭素が富化された低圧CO
2流(195)とに分離することと、
前記第2の高圧水素流(190)を回収することと、及び
任意選択的に、前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】