(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】燃料電池システムのアノード回路内でアノードガスを再循環させる装置、燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04089 20160101AFI20240319BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240319BHJP
F04F 5/16 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01M8/04089
H01M8/04 N
F04F5/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560229
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022056737
(87)【国際公開番号】W WO2022214282
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021203454.3
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マーゲル,ハンス-クリストフ
【テーマコード(参考)】
3H079
5H127
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079AA24
3H079BB10
3H079DD03
3H079DD06
3H079DD08
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA58
5H127BA59
5H127EE19
5H127EE20
(57)【要約】
燃料電池システム(10)のアノード回路(11)内でアノードガスを再循環させる装置(1)は、新鮮なアノードガス、好ましくは水素を送給する駆動ノズル(3)を有する少なくとも1つのジェットポンプ(2)と、再循環されるアノードガスのための入口(4)と、新鮮なアノードガスと再循環されるアノードガスとのための出口(5)と、を備え、入口(4)の領域内には、入口(4)を閉鎖および解放する能動的に制御可能な弁(6)が配置されており、弁(6)は、往復可動の磁石可動子(8)に作用する磁石構成群(7)と、弁ばね(9)と、を有する。さらに、このような装置(1)を備える燃料電池システム(10)を開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(10)のアノード回路(11)内でアノードガスを再循環させる装置(1)であって、新鮮なアノードガス、好ましくは水素を送給する駆動ノズル(3)を有する少なくとも1つのジェットポンプ(2)と、再循環されるアノードガスのための入口(4)と、新鮮なアノードガスと再循環されるアノードガスとのための出口(5)と、を備え、前記入口(4)の領域内には、前記入口(4)を閉鎖および解放する能動的に制御可能な弁(6)が配置されており、前記弁(6)は、往復可動の磁石可動子(8)に作用する磁石構成群(7)と、弁ばね(9)と、を有する、燃料電池システム(10)のアノード回路(11)内でアノードガスを再循環させる装置(1)。
【請求項2】
前記弁(6)の前記磁石構成群(7)は、前記装置(1)の、水素を案内する領域(12)外に配置されており、かつ/または前記磁石構成群(7)の作用方向は、前記入口(4)内の主流動方向に対して垂直に延びることを特徴とする、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記磁石可動子(8)は、弁閉鎖要素に連結されているか、または弁閉鎖要素を形成し、前記弁閉鎖要素は、好ましくは、前記入口(4)を閉鎖すべく、前記入口(4)の側方の開口(13)と係合可能であることを特徴とする、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記磁石可動子(8)は、軸方向で少なくとも1つの圧力補償開口(14)により貫通されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記磁石可動子(8)は、前記弁ばね(9)を収容すべく、少なくとも一部でスリーブ状に形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記磁石構成群(7)は、外側磁極体(15)により包囲される磁石コイル(16)を有し、前記磁石コイル(16)内には、非磁性の材料からなるポット状またはスリーブ状の隔離要素(17)が装入されており、前記隔離要素(17)を介して、前記磁石可動子(8)は案内されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ポット状またはスリーブ状の隔離要素(17)は、環状つば(18)を介して前記装置(1)のハウジング外壁面(19)に直接的にまたは間接的にシール要素(20)を介して支持されていることを特徴とする、請求項6記載の装置(1)。
【請求項8】
前記入口(4)は、前記ジェットポンプ(2)の吸い込み室(21)内に開口し、前記吸い込み室(21)内には、前記駆動ノズル(3)が配置されており、かつ/または前記吸い込み室(21)は、混合管(22)とディフューザ(23)とを介して前記出口(5)に接続されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記駆動ノズル(3)の上流には、新鮮なアノードガスを調量する調整弁(24)が接続されており、または前記駆動ノズル(3)は、新鮮なアノードガスのための調量弁内に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
負荷に応じて作動可能な少なくとも2つのジェットポンプ(2)が並列に接続されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項11】
燃料電池システム(10)であって、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(1)を備え、前記装置(1)は、前記燃料電池システム(10)のアノード回路(11)内に組み込まれている、燃料電池システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムのアノード回路内でアノードガスを再循環させる装置に関する。さらに、本発明に係る装置を備える燃料電池システムを提案する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素と酸素とを電気的なエネルギに変換する。水素は、このために燃料電池のアノードに供給され、酸素は、カソードに供給される。燃料電池から出るアノードガスは、通例、まだ水素の残量を含んでいるので、再循環され、アノードに改めて供給される。この再循環は、その際、能動的に再循環ブロアによりかつ/または受動的にジェットポンプにより引き起こされ得る。
【0003】
ジェットポンプが使用される場合、その使用は、問題をはらむことが明らかになり得る。それというのも、通常、再循環の作動なしには、新鮮な水素が追加調量され得ないからである。同じく問題であることが明らかなのは、部分負荷領域においてジェットポンプの再循環出力が弱まることである。この対策のため、より小型の第2のジェットポンプが使用される場合があり、第2のジェットポンプは、部分負荷領域に合わせて設計され、かつ第1のジェットポンプに対して並列に配置されている。一方のジェットポンプのみが作動されると、しかし、作動しているジェットポンプの圧送量が、作動していないジェットポンプを通して逆流してしまうことが生じる場合があるので、この流動路は、遮断、例えば組み込まれたチェック弁により遮断されなければならない。これにより、しかし、圧力損失が生じ、この圧力損失は、作動しているジェットポンプの再循環出力を減じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの問題の解決に取り組むものである。一方では、再循環を作動させずに新鮮な水素の追加調量が可能であることが望ましい。他方では、ジェットポンプが並列に接続されたときに、その都度の作動していないジェットポンプを通したアノードガスの逆流が、具体的には、できる限り低損失に防止されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの問題を解決すべく、請求項1の特徴を備える装置を提案する。本発明の有利な発展形は、従属請求項に看取可能である。さらに、本発明に係る装置を備える燃料電池システムを提示する。
【0006】
燃料電池システムのアノード回路内でアノードガスを再循環させるために提案する装置は、新鮮なアノードガス、好ましくは水素を送給する駆動ノズルを有する少なくとも1つのジェットポンプと、再循環されるアノードガスのための入口と、新鮮なアノードガスと再循環されるアノードガスとのための出口と、を備えている。入口の領域内には、この場合、入口を閉鎖および解放する能動的に制御可能な弁が配置されている。弁は、往復可動の磁石可動子に作用する磁石構成群と、弁ばねと、を有している。
【発明の効果】
【0007】
能動的に制御可能な弁により、入口は、閉鎖あるいは遮断されることができ、その結果、アノードガスは、アノード回路を介して再循環されない。こうして、再循環なしに、新鮮な水素は、ジェットポンプを介してアノード回路内に、例えばアノード回路のドライ運転のために送給され得る。装置が、並列に接続される複数のジェットポンプを備えている場合、能動的に制御可能な弁により、1つのジェットポンプが適切に作動停止されることができ、この作動していないジェットポンプを通したアノードガスの逆流は、防止することができる。
【0008】
能動的に制御可能な弁は、入口を閉鎖または解放する単純な低コストの切り換え弁として構成されていてもよい。このことは、再循環をオフにするために弁の絶対的な密封性が不要であり、加えて外部への漏れが生じ得ないため、可能である。
【0009】
能動的に制御可能な弁の磁石構成群は、単純なリニア磁気アクチュエータであってもよい。アノード回路内には、僅かな差圧しか発生しないので、弁も、僅かなアクチュエータ力しか必要なく、その結果、磁石構成群は、相応に小型に設計され得る。
【0010】
好ましくは、弁の磁石構成群は、装置の、水素を案内する領域外に配置されている。こうして、水素を案内する領域の高い密封性が達成され得る。加えて、水素を案内する領域内に点火源が生じてしまう可能性は、回避される。
【0011】
代替的または補足的に、磁石構成群の作用方向が、入口内の主流動方向に対して垂直に延びることを提案する。すなわち、磁石構成群により発生される磁力は、磁石可動子が入口内の主流動方向に対して垂直に往復動するように、磁石可動子に作用する。こうして、磁石可動子の単純な往復動により、入口は、閉鎖および解放され得る。
【0012】
入口を閉鎖および解放すべく、好ましくは、磁石可動子は、弁閉鎖要素に連結されている。磁石可動子と弁閉鎖要素とは、これによりそれぞれ異なる素材から製造可能である。代替的には、磁石可動子が同時に弁閉鎖要素を形成することを提案する。こうして、能動的に制御可能な弁は、さらにより単純かつ低コストに製造され得る。入口を閉鎖すべく、好ましくは、弁閉鎖要素は、入口の側方の開口と係合可能である。すなわち、弁閉鎖要素は、弁の閉鎖時、入口を画定する壁面に当接されるだけでなく、壁面の開口内に係合する。こうして弁の密封性は、改善され得る。
【0013】
本発明の発展形において、磁石可動子が、軸方向で少なくとも1つの圧力補償開口により貫通されていることを提案する。このことは、磁石可動子または弁閉鎖要素が、閉鎖時に入口の側方の開口内に係合するとき、特に有利である。開口は、アノードガスで満たされているため、こうして、弁が、開口内に形成される圧力に抗して閉鎖されなければならないことは、回避される。
【0014】
さらに提案するに、磁石可動子は、弁ばねを収容すべく、少なくとも一部でスリーブ状に形成されている。能動的に制御可能な弁は、これにより、特に軸方向で、極めてコンパクトに構成され得る。同時に、磁石可動子の質量は、減じられる。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態によれば、磁石構成群は、外側磁極体により包囲される磁石コイルを有し、磁石コイル内には、非磁性の材料からなるポット状またはスリーブ状の隔離要素が装入されており、隔離要素を介して、磁石可動子は案内されている。外側磁極体は、磁石コイルの磁力を高める。同時に外側磁極体は、磁石コイルを外部の作用から保護する。磁石コイル内に装入されるポット状またはスリーブ状の隔離要素は、磁石可動子の案内時、磁石可動子と磁石構成群との間の磁気的な短絡を防止する。加えて隔離要素により、水素を案内する領域は、磁石構成群に対して封止され得る。
【0016】
有利には、ポット状またはスリーブ状の隔離要素は、環状つばを介して装置のハウジング外壁面に直接的にまたは間接的にシール要素を介して支持されている。こうして、隔離要素は、同時に、水素を案内する領域を外部に対して封止するために使用され得る。シール要素、特にシールリングを隔離要素とハウジング外壁面との間に配置することで、シール作用は、最適化され得る。環状つばを介して、さらに隔離要素は、簡単にハウジング外壁面に取り付けられ得る。
【0017】
能動的に制御可能な弁が配置されている入口は、好ましくは、ジェットポンプの吸い込み室内に開口し、吸い込み室内には、駆動ノズルが配置されている。駆動ノズルにより、アノードガスの再循環を引き起こす駆動力が発生され得る。しかし、入口が、能動的に制御可能な弁により閉鎖されると、再循環は、適切にオフにされ得る。吸い込み室は、好ましくは、混合管とディフューザとを介してジェットポンプの出口に接続されている。吸い込み室内では、再循環されるアノードガスと、新鮮なアノードガスとが合流する。続く混合管内では、再循環されるアノードガスと、新鮮なアノードガスとの混合が行われる。駆動ノズルを混合管およびディフューザに対して同軸に配置することができるように、好ましくは、再循環されるアノードガスのための入口は、側方で吸い込み室内に開口する。
【0018】
新鮮なアノードガスを駆動媒体として利用することを可能にすべく、駆動ノズルの上流には、調整弁が接続されていてもよい。代替的には、駆動ノズルは、新鮮なアノードガスのための調量弁内に組み込まれていてもよく、その結果、コンポーネントの少ない、特にコンパクトに構成されるアッセンブリが提供される。
【0019】
有利には、装置は、少なくとも2つのジェットポンプであって、並列に接続されていて負荷に応じて作動可能なジェットポンプを備えている。こうして、部分負荷領域においても、十分な再循環出力が保証され得る。同時に、一方のみのジェットポンプの運転中、入口内に配置される能動的に制御可能な弁により、作動しているジェットポンプの圧送量が、作動していないジェットポンプを通して逆流してしまうことは、防止され得る。
【0020】
好ましい適用分野は、燃料電池システムであるので、さらに、本発明に係る装置を備える燃料電池システムを提案する。装置は、この場合、燃料電池システムのアノード回路内に組み込まれている。装置により、少なくとも1つの燃料電池から出るアノードガスは、再循環され得るので、所要燃料量は、低下する。ジェットポンプの入口内に配置される能動的に制御可能な弁により、再循環は、オフにされ得る。再循環が、並列に接続される複数のジェットポンプにより引き起こされる場合、少なくとも1つのジェットポンプは、作動停止され、このジェットポンプを通るアノードガスの逆流は、能動的に防止され得る。
【0021】
本発明の好ましい実施形態について、以下に添付の図面を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】アノードガスを再循環させる本発明に係る第1の装置を、入口が閉鎖されている運転状態で示す概略縦断面図である。
【
図2】
図1の装置を、入口が解放されている運転状態で示す概略縦断面図である。
【
図3】アノードガスを再循環させる本発明に係る第2の装置の概略縦断面図である。
【
図4】本発明に係る燃料電池システムのアノード回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に概略的に示す本発明に係る装置1は、燃料電池システム10のアノード回路11内でアノードガスを再循環させるために用いられる(
図4参照)。装置1は、このためにジェットポンプ2を備え、ジェットポンプ2は、入口4と出口5とを介してアノード回路11内に組み込まれている、あるいは組み込み可能である。さらにジェットポンプ2は、駆動ノズル3を有し、駆動ノズル3は、上流に接続されていて新鮮なアノードガスをジェットポンプ2の吸い込み室21内に送給可能な調整弁24を有している。新鮮なアノードガスは、同時に駆動媒体として用いられる。それというのも、新鮮なアノードガスを駆動ノズルにより送給する際に、アノード回路11内でアノードガスの再循環に至らしめる駆動力が発生されるからである。再循環されるアノードガスは、入口4を介して吸い込み室21内に導入される。入口4は、側方で吸い込み室21内に開口するのに対し、駆動ノズル3は、ジェットポンプ2の混合管22およびディフューザ23に関して同軸に配置されている。
【0024】
入口4内には、能動的に制御可能な弁6が組み込まれており、弁6は、往復可動の磁石可動子8に作用する磁石構成群7を有している。弁6は、ここでは非通電時に閉鎖される弁として構成されており、すなわち、磁石構成群7が通電されていないとき、弁6は、閉鎖されている。この切り換え位置では、入口4も閉鎖されているので、再循環は、オフにされている。閉鎖力は、弁ばね9により発生され、弁ばね9は、このために磁石可動子8に支持されている。
【0025】
弁6の磁石構成群7は、外部に位置するように、すなわち、水素を案内する領域12外に配置されている。このことは、水素を案内する領域12の、外部に対する封止を容易にする。さらに、水素を案内する領域12内に点火源が形成されてしまう可能性は、回避される。磁石構成群7は、外側磁極体15を有し、外側磁極体15内には、磁石コイル16が収容されている。磁石コイル16内には、ポット状の隔離要素17が装入されており、隔離要素17は、非磁性の材料から製造されている。ポット状の隔離要素17は、磁石可動子8を案内するために用いられ、かつ同時に、磁石可動子8と磁石構成群7との間の磁気的な短絡を防止する。さらに隔離要素17は、シール機能を果たす。一方では、隔離要素17は、水素を案内する領域12を磁石構成群7から隔離している。他方では、隔離要素17は、水素を案内する領域12を外部に対して封止している。隔離要素17は、このために環状つば18を有し、環状つば18を介して装置1のハウジング外壁面19に支持されている。シール作用を向上させるために、環状つば18とハウジング外壁面19との間には、シール要素20が設けられている。
【0026】
能動的に制御可能な弁6の磁石可動子8は、ここでは同時に弁閉鎖要素を形成し、弁閉鎖要素は、閉鎖位置で、入口を画定する内壁の側方の開口13内に係合する。磁石可動子8の運動を妨げる圧力クッションが開口13内に形成されてしまうのを防止するために、磁石可動子8は、圧力補償開口14を有している。磁石可動子8は、略スリーブ状に形成されているので、弁ばね9を収容することができる。他端で弁ばね9は、ポット状の隔離要素17に支持されている。
【0027】
磁石構成群7の磁石コイル16が通電されると、磁界が形成され、磁界の磁力は、磁石可動子8を磁石コイル16に向かって動かす。このことは、弁6の開放に至らしめ、その結果、入口4は、解放されている。弁6のこの切り換え位置では、アノードガスが再循環され得る(
図2参照)。再循環をオフにするには、弁6は、閉鎖されなければならない。このために、磁石コイル16の通電は終了され、その結果、弁ばね9は、磁石可動子8を磁石可動子8の初期位置に復帰させる(
図1)。
【0028】
図3には、アノードガスを再循環させる本発明に係る別の装置1が看取可能である。この別の装置1は、
図1および2の装置1とは、弁6の構成の点でのみ相違している。
図3において、弁6は、非通電時に閉鎖される弁としてではなく、非通電時に開いている弁として構成されている。磁石可動子8は、このためにやや異なる形状を呈している。その他の点では、弁6は、
図1および2の弁6と同様に形成されていてよい。
【0029】
例示的に
図1ないし3に示す本発明に係る装置1は、特に燃料電池システム10のアノード回路11において使用される。このことは、概略的に
図4に示してある。
【0030】
図示のアノード回路11は、燃料電池30のアノード25を経由しており、燃料電池30は、水素を酸素と合わせ、電気的なエネルギに変換する。酸素源として空気が用いられ、空気は、
図4にはそれ以上示さないカソード経路を介して、燃料電池30のカソード26に供給される。
【0031】
新鮮な水素(H2)は、調整弁24とジェットポンプ2とを介してアノード回路11内に送給される。調整弁24とジェットポンプ2とは、アノードガスを再循環させる装置1を形成している。ジェットポンプ2内で、それゆえ新鮮なアノードガスと、再循環されるアノードガスとが混ざり合う。再循環されるアノードガスには、時とともに、カソード側からアノード側に拡散する窒素(N2)が濃縮するため、アノード回路は、時々パージされなければならない。このために、アノード回路11内には、パージ弁29が組み込まれている。パージ弁29には、水分離器27とドレイン弁28とが前置されており、水分離器27とドレイン弁28とにより、燃料電池システム10の運転中に生じる生成水(H2O)は、アノード回路11から除去され得る。
【0032】
アノードガスを再循環させる装置1は、入口4と出口5とを介してアノード回路11に接続されている。入口4内には、その際、能動的に制御可能な弁6が組み込まれている。弁6の切り換え位置に応じて、入口4は、解放されているか、または閉鎖されている。こうして、アノードガスを再循環させずに、新鮮なアノードガスをジェットポンプ2を介して送給することも可能である。能動的に制御可能な弁6により、これにより再循環は、オフにされ得る。
【符号の説明】
【0033】
1 燃料電池システムのアノード回路内でアノードガスを再循環させる装置
2 ジェットポンプ
3 駆動ノズル
4 入口
5 出口
6 弁
7 磁石構成群
8 磁石可動子
9 弁ばね
10 燃料電池システム
11 アノード回路
12 水素を案内する領域
13 開口
14 圧力補償開口
15 外側磁極体
16 磁石コイル
17 隔離要素
18 環状つば
19 ハウジング外壁面
20 シール要素
21 吸い込み室
22 混合管
23 ディフューザ
24 調整弁
25 アノード
26 カソード
27 水分離器
28 ドレイン弁
29 パージ弁
30 燃料電池
【国際調査報告】