(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】分注デバイス及びその方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240319BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560268
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2022052113
(87)【国際公開番号】W WO2022208200
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チャステック,トーマス キュー.
(72)【発明者】
【氏名】ナピエラーラ,マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,マーク エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ベーリング,ロス イー.
(72)【発明者】
【氏名】サルニコフ,イリヤ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラブリアン,リチャード ピー.
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA04
4F041AB01
4F041BA06
4F041BA23
4F041BA34
4F042AA13
4F042AB01
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB05
(57)【要約】
注入口及び注出口を有するバレルと、押出スクリューと、押出スクリューに動作可能に結合された駆動機構とを含む、組成物を分注するための装置が提供される。押出スクリューは、駆動機構に接続するためのシャンク端及びシャンク端の反対側の遠位端を有するシャフトを含む。シャフトの第1の区間の周りに第1の螺旋状フライトが延在し、シャフトの第2の区間の周りに第2の螺旋状フライトが延在する。第2の区間は第1の区間に対して遠位に位置し、第1の螺旋状フライトは第2の螺旋状フライトの公称外半径よりも小さい公称外半径を有し、任意選択的に、第1の螺旋状フライトは第1の螺旋状フライトのピッチよりも短いピッチを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出スクリューであって、
駆動機構に接続するためのシャンク端及び、前記シャンク端の反対側の遠位端を有するシャフトと、
前記押出スクリューの第1の区間の周りに延在する第1の螺旋状フライトと、
前記押出スクリューの第2の区間の周りに延在する第2の螺旋状フライトと、を備え、前記第2の区間が前記第1の区間に対して遠位に位置し、前記第1の螺旋状フライトが前記第2の螺旋状フライトの公称外半径よりも小さい公称外半径を有する、
押出スクリュー。
【請求項2】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトの公称外半径の50%~90%である公称外半径を有する、請求項1に記載の押出スクリュー。
【請求項3】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトの公称外半径の60%~85%である公称外半径を有する、請求項2に記載の押出スクリュー。
【請求項4】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトの公称外半径の70%~80%である公称外半径を有する、請求項3に記載の押出スクリュー。
【請求項5】
前記第1の螺旋状フライトと前記第2の螺旋状フライトとの間の半径の差が、1ミリメートル~19ミリメートルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の押出スクリュー。
【請求項6】
前記第1の螺旋状フライトと前記第2の螺旋状フライトとの間の公称外半径の差が、3ミリメートル~15ミリメートルである、請求項5に記載の押出スクリュー。
【請求項7】
前記第1の螺旋状フライトと前記第2の螺旋状フライトとの間の公称外半径の前記差が、5ミリメートル~12ミリメートルである、請求項6に記載の押出スクリュー。
【請求項8】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第1の螺旋状フライトのピッチよりも短いピッチを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の押出スクリュー。
【請求項9】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトのピッチの10%~99%であるピッチを有する、請求項8に記載の押出スクリュー。
【請求項10】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトのピッチの25%~75%であるピッチを有する、請求項9に記載の押出スクリュー。
【請求項11】
前記第1の螺旋状フライトが、前記第2の螺旋状フライトのピッチの40%~60%であるピッチを有する、請求項10に記載の押出スクリュー。
【請求項12】
前記第1の区間及び前記第2の区間の各々がほぼ一定のフライト半径を有し、前記シャフトが、第3の区間と、前記第1の区間の螺旋状フライトから前記第2の螺旋状フライトへの移行を提供するようにテーパー状になっているフライト半径を有する、前記第3の区間上の第3の螺旋状フライトと、を更に備える、請求項1に記載の押出スクリュー。
【請求項13】
前記第1の区間が前記押出スクリューの全長の2%~25%の長さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の押出スクリュー。
【請求項14】
前記第1の区間が前記押出スクリューの前記全長の5%~20%の長さを有する、請求項13に記載の押出スクリュー。
【請求項15】
前記第1の区間が前記押出スクリューの前記全長の9%~15%の長さを有する、請求項14に記載の押出スクリュー。
【請求項16】
注入口及び注出口を有するバレルと、
請求項1~15のいずれか一項に記載の前記押出スクリューと、
前記シャンク端に動作可能に結合された前記駆動機構と、
を備える、組成物を分注するための装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置を使用して組成物を分注する方法であって、
前記組成物を前記バレルの前記注入口に供給することと、
前記第1の螺旋状フライトが前記注入口を通して前記組成物を前記バレルの前記第1の区間内に引き込み、前記第2の螺旋状フライトが前記第2の区間を通して前記組成物を搬送し、前記第2の区間で前記組成物が溶融されて前記注出口を通して排出されるように、前記押出スクリューを回転させることと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記組成物がフィラメント組成物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の螺旋状フライトと前記バレルとの間の間隙が、フィラメント直径の5%~100%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フィラメント直径が、前記第1の螺旋状フライトと前記バレルとの間の前記間隙よりも20%~50%大きい、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリマー組成物のためのディスペンサ、特に、ポリマー組成物を連続的に分注することができるディスペンサが、関連する方法及び分注システムと共に提供される。
【背景技術】
【0002】
連続製造及び変換動作においてポリマー材料を供給する機構として、単軸スクリューディスペンサが一般的に使用されている。これらの機械は、円筒状バレル内に受け入れられる回転スクリューを使用する。バレルは通常、バレルの上部に位置する注入口と、バレルの遠位端に位置する注出口とを含む。バレルは長さに沿って、バレルの内容物を加熱する際に正確に制御され得る1つ以上の抵抗加熱要素を含むことができる。
【0003】
典型的には、これらのディスペンサは、典型的にはポリマーペレット又は粉末であるフィードストックを受け入れ、変換する。フィードストックとしては、周囲温度において固体である1つ以上の熱可塑性樹脂を挙げることができる。フィードストックは、注入口を通してディスペンサ内に供給された後、バレルの加熱された壁に沿った熱伝導と、スクリュー回転によって生成される高圧及び摩擦との組み合わせにより、その溶融温度を超えて加熱される。したがって、フィードストックは、回転スクリューによってバレルの長さに沿って搬送される際に、計量され、溶融され、混合され、最終的には注出口を通してバレルの遠位端から吐出される。
【0004】
スクリューはモータ式駆動アセンブリ及びギヤボックスによって動作させることができ、また、分注される組成物の特性及び当面の適用例に基づいて所望の温度プロファイルを維持するために、バレルに沿った1つ以上の制御ゾーンに沿って、加熱要素及び/又は冷却要素に温度コントローラが接続されている。
【発明の概要】
【0005】
フィラメント組成物を受容する分注デバイスを使用することによって、多くの技術的利点が得られる。フィードストックとしてフィラメントを使用することは、感圧接着剤組成物を含め、接着剤組成物を分注しようとする場合に特に便利である。これらの適用例では、取り扱い及びディスペンサへの供給を簡素化するために、フィラメントは、粘着性の第1の成分が非粘着性の第2の成分内に収められているコアシース(芯鞘)型のフォームファクタを有することができる。粘着性成分と非粘着性成分はディスペンサ内で溶融されて混合され、最終的には均質な組成物としてディスペンサの遠位端で排出される。
【0006】
フィラメントは、供給される様式においてペレットとは著しく異なる。フィラメントはペレットよりもはるかに大きく、注入口フライト間に納まらない。フィラメントのフォームファクタは、いくつかの技術的問題を提示し、そのうちの少なくともいくつかは予期されないものである。このプロセスでは、フィラメントがしっかりと把持され、一貫してディスペンサ内に引き込まれる必要がある。そうならない場合は、スループットが不適切になる、又は外部のモータ式供給機構が詰まる可能性がある。フィードホイールの詰まりは、従来のフィラメントディスペンサでは、よくある機能不全であることが分かった。ディスペンサ内へのフィラメントを計量するように考慮しても、詰まりは時折発生することがある。顧客の立場からは、断続的な詰まりであっても採用についての重大な障壁となり得る。
【0007】
別の不合格モードとして、ディスペンサへのフィラメントの供給が不慮に停止することもある。これは、例えば、スクリューがフィラメントを十分に把持していない場合に起こり得る。場合によっては、フィラメントが注入口の外へ落下することさえあり、注入口への適切な供給を回復するためにオペレータの介入が必要になる。
【0008】
本明細書で提供されるのは、低減された半径(すなわち、スクリューフライトの高さ)と、任意選択的に、注入口区間に沿って低減されたピッチとを有する押出スクリューを使用する分注デバイスである。低減された直径により、スクリューとバレルとの間に適切にサイズ決めされた間隙が作り出され、この間隙は最適には、フィラメント直径に一致し、軟質から中軟質の熱可塑性フィラメントをディスペンサ内に引き込むように積極的にはさみ取る働きをすることができる。注入口における減少したピッチにより、フィラメントがバレル内に引き込まれる速度を緩めてディスペンサの押出速度に一致させることができ、それによって、注入口における、更なる供給を妨げる回転ボールを回避する。
【0009】
回転ボール状態は、材料が注入口に入り、部分的に素練りされるが、スクリューの長さに沿って下に進まないときに生じる。その代わりに、材料は注入口の外へ戻り、素練りされた材料からなるボール形状の塊を生成する。この材料の塊は、スクリューと入ってくるフィラメントとの間の障壁として働く可能性がある。材料のボールが注入口に入らなくなるので、又は、フィラメントが引き込まれなくなるので、新しい材料は適切な供給を停止する。場合によっては、フィラメントがディスペンサの外へ落下する可能性があり、それによって、スクリューが回転ボールからの材料の消費を続けていても供給が停止する可能性がある。
【0010】
提供される本分注デバイスは、外部のモータ式供給機構の必要性を低減又は排除して分注システムを簡素化する一方で、信頼性及び経済性を高めることができる。
【0011】
第1の態様では、押出スクリューが提供される。この押出スクリューは、駆動機構に接続するためのシャンク端及び、シャンク端の反対側の遠位端を有するシャフトと、シャフトの第1の区間の周りに延在する第1の螺旋状フライトと、シャフトの第2の区間の周りに延在する第2の螺旋状フライトとを備え、第2の区間は第1の区間に対して遠位に位置し、第1の螺旋状フライトは第2の螺旋状フライトの公称外半径よりも小さい公称外半径を有する。
【0012】
第2の態様では、組成物を分注するための装置が提供され、この装置は、注入口及び注出口を有するバレルと、押出スクリューと、シャンク端に動作可能に結合された駆動機構とを備える。
【0013】
第3の態様では、装置を使用して組成物を分注する方法が提供され、この方法は、バレルの注入口に組成物を供給することと、
第1の螺旋状フライトが注入口を通して組成物をバレルの第1の区間内に引き込み、第2の螺旋状フライトが第2の区間を通して組成物を搬送し、第2の区間で組成物が溶融されて注出口を通して排出されるように、押出スクリューを回転させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1つの例示的な実施形態による分注システムの概略図である。
【
図2】例示的な実施形態における
図1の分注システムで使用することができる分注装置の断面図である。
【
図3】
図2の分注装置で使用される一実施形態によるスクリューの立面側面図である。
【
図4】代替実施形態による、スクリューの側面視を示す写真である。
【0015】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
定義
【0016】
「周囲温度」は、摂氏22度の温度を意味する。
【0017】
「公称」は、平均を指す。
【0018】
「非粘着性」とは、材料を破砕することなく、材料をそれ自体から引き剥がすのに必要とされる力が、所定の最大閾値以下である、「自己接着試験」に合格する材料を指す。自己接着試験は、国際公開第2019/164678号(Nyariboら)に記載されており、典型的には、シースが非粘着性であるか否かを判断するためにシース材料の試料に対して実施する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用する場合、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、一定の状況下で一定の利点をもたらすことができる、本明細書に記載の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。
【0020】
更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、文脈上別段の明記がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、構成要素及び当業者に公知のその均等物のうちの1つ以上を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0022】
「含む」という用語及びその変化形は、これらの用語が添付の記載に現れた場合、限定的意味を有しないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書において、左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。しかしながら、これらの用語は、記載を簡単にするために使用されるに過ぎず、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0023】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0024】
溶融形態のポリマーフィードストックを連続的に分注するための分注装置が、そのシステム及び方法と共に本明細書に記載されている。分注される組成物は、10~70の範囲のショアA硬度を有することができ、場合によっては、10未満のショアA硬度を有することもできる。これらの組成物は、任意選択的に、感圧接着剤である。分注装置は非常にコンパクトに作製され得る。
【0025】
図1は、以下で数字100によって広範に参照される、例示的な分注システムの概略図である。分注システム100は、可動アーム104の端部に取り付けられた分注装置102を含む。可動アーム104は、テーブル又は他のプラットフォームの一部であり得るベース106に固定されている。可動アーム104は、分注装置102が最大6自由度で並進及び回転することを可能にする、任意の数の関節105を有し得る。可動アーム104は手動制御又はロボット制御されてもよく、分注装置102が、押し出された組成物を、ベース106に対して広範囲の位置にわたって精度及び再現性を伴いながら分注できるようにする。
【0026】
任意選択的に、また図示されるように、分注システム100は、
図1に示されるように、分注装置102内に連続的に供給することができるフィラメント接着剤108を含む。フィラメント接着剤108は、図示されるようにスプール114から連続的に繰り出され得る。分注システム100の他の構成要素に対するスプール114の位置は重要ではなく、好都合な場所に取り付けることができる。例えば、スプール114は、ベース106に、又はベース106が一般的に取り付けられる構造体に、固定することができる。
【0027】
図1の分注装置102は、ホットメルト形態の溶融組成物110を、例示的な基材112の結合表面上に分注している様子が示されている。基材112は限定される必要はなく、例えば、アセンブリに接着結合するための工業部品であってもよい。オプションとして、基材112をベース106上に取り付けることにより、分注装置102の位置決めのための空間的基準点を提供することができる。このことは、コンピュータを使用して分注装置102の位置及び向きを制御する自動プロセスにおいて、特に有用であり得る。
【0028】
有利には、溶融組成物110の分注は、自動化又は半自動化することができ、したがって、人間のオペレータによる介入をほとんど又は全く必要としない。例えば、所定のパターンに基づいてコンピュータによって提供される命令に従って、溶融組成物110を基材112上に分注することが可能である。所定のパターンは、(平面状の表面に沿った)2次元又は(非平面状の表面に沿った)3次元とすることができる。所定のパターンは、コンピュータ上のデジタル化されたモデルによって表すことができ、その所定のパターンを任意の数の基材に対してカスタマイズすることを可能にする。
【0029】
分注システム100又は分注装置102が使用され得る適用例として、国際特許公開第2020/174396号(Napieralaら)に記載されるものが挙げられる。
【0030】
図1の分注システム100は、フィラメント接着剤を受け入れるように特に適合されている。フィラメント接着剤は、連続した紐状構成で提供される粘着性物質である。フィラメント接着剤は、好ましくは、一様な断面積を有する。有利には、フィラメント接着剤を、スプールから分注装置などの分注装置内に連続的に供給することができる。
【0031】
特に有用なフィラメント接着剤は、コアシースフィラメント構成を有する。コアシースフィラメント材料は、第1の材料(すなわち、コア)が第2の材料(すなわち、シース)によって取り囲まれている構成を有する。好ましくは、コアとシースとは同心であり、共通の長手方向軸線を共有している。コアの端部は、シースによって取り囲まれている必要はない。有利には、非粘着性シースは、フィラメント接着剤108がそれ自体に固着することを防ぎ、それにより、スプール114上でのフィラメント接着剤108の簡便な保管及び取り扱いを可能にする。
【0032】
コアシースフィラメントの直径は特に制限されない。フィラメント直径の選択に影響を及ぼす要因としては、接着剤ディスペンサに対するサイズ制約、所望される接着剤スループット、及び、接着剤の適用に関する精度要件が挙げられる。コアシースフィラメントは、1ミリメートル~20ミリメートル、3ミリメートル~13ミリメートル、6ミリメートル~12ミリメートルの平均直径を有することができ、あるいは、いくつかの実施形態では、1ミリメートル、2ミリメートル、3ミリメートル、4ミリメートル、5ミリメートル、6ミリメートル、7ミリメートル、8ミリメートル、9ミリメートル、10ミリメートル、11ミリメートル、12ミリメートル、13ミリメートル、14ミリメートル、15ミリメートル、16ミリメートル、17ミリメートル、18ミリメートル、19ミリメートル、又は20ミリメートルよりも小さいか、それに等しいか、若しくはそれよりも大きい平均直径を有することができる。フィラメント接着剤108はストック物品であってもよく、適用例に適した任意の組成物及び長さで提供されてもよい。
【0033】
本明細書に記載の分注方法には、多くの潜在的な技術的利点がある。これらの技術的利点としては、分注後の接着特性の保持、低い揮発性有機化合物(volatile organic compound;VOC)特性、ダイ切断の回避、設計の柔軟性、複雑な非平面状結合パターンの実現、薄い基材及び/又は繊細な基材上への印刷、並びに、不規則なトポロジ及び/又は複雑なトポロジ上への印刷が挙げられる。
【0034】
本開示によるコアシースフィラメント接着剤は、任意の既知の方法を使用して作製することができる。例示的な実施形態では、これらのフィラメント接着剤は、溶融ポリマーを同軸ダイを通して押し出すことによって作製される。上述のコアシースフィラメント接着剤に関する技術的詳細、選択肢、及び利点は、国際特許公開第2019/164678号(Nyariboら)に記載されている。
【0035】
提供される分注装置102は、
図1に示される分注システム100に限定される必要はないことを理解されたい。他の実施形態では、分注装置102は、固定された位置及び/又は向きを有してもよい。更に、分注装置102は、フィラメント接着剤以外のフィードストックを受容することができ、例えば、分注装置102は、ポリマーペレット、フレーク、又は顆粒を、当業者に知られているホッパー又は他の供給機構を介して受容することができる。
【0036】
図2は、
図1の分注装置102をより詳細に示している。図示されるように、分注装置102は、バレル120と、その中に受け入れられている回転可能なスクリュー122と、を含む。ギヤボックス124及びモータ126が共に、スクリュー122に動作可能に結合された駆動機構を提供する。駆動機構は、装置102が操作されているときに、バレル120内のスクリュー122の回転に動力を供給する。モータ126は、動作中にひっかかりがある場合にスクリュー122の破損を回避するために、設定されたトルクレベルを超えてモータを失速させる高トルク制限を有することが、有利である。
【0037】
バレル120には、熱可塑性組成物などのフィードストック組成物をその溶融温度を超えて加熱するための1つ以上の加熱要素が入っている。スクリュー122の一方の端部に隣接して注入口128があり、ここで、フィラメント接着剤108が、装置102に入り、加熱されたバレル120との熱的接触及びバレル120内のスクリュー122の回転によって付与される剪断作用により溶融し得る。バレル120はスクリュー122の反対側の端部に、スクリュー122の長手方向軸148(
図4に示される)に整列された注出口129を有し、ここで、溶融組成物が装置102から連続的に分注される。
【0038】
効果的な動作のために、スクリュー122は、スクリュー122がその回転によってバレル120に挿入され、またそこから除去されることができるようにする十分なクリアランスを有しながら、バレル120の内面と近接してはまり合うことが望ましい。動作中、このクリアランスは、少量の溶融組成物を収容し、それによってバレル120に対する液体シールを提供する。図示されるように、スクリュー122はいくつかの区間に細分され、それらの区間にはバレル120の注入口128に隣接する第1の区間130と、第1の区間130に対して遠位に位置し、バレル120の注出口129に向かって延在する第2の区間132とが含まれる。任意選択的に、また図示されるように、スクリュー122は、第2の区間132の遠位端に接続され、かつ注出口129に隣接している混合区間133を更に含む。
【0039】
スクリュー122の構造に関する更なる詳細について、装置102の残りの構成要素から分解されたスクリュー122を示す
図3を参照しながら、以下で説明する。この図は、提供される順に、モータ126及びギヤボックス124に接続するためのスクリュー122のシャンク端134、第1の区間130及び第2の区間132、並びに混合区間133を示す。第1の区間130は、第1の螺旋状フライト142がその上に配置された第1のシャフト140から構成される。第2の区間132は、第2の螺旋状フライト146がその上に配置された第2のシャフト144から構成される。第1の螺旋状フライト142及び第2の螺旋状フライト146は、互いに接続されていてもよく、あるいは、接続されていなくてもよい。更に、いくつかの実施形態では、第1の区間130及び第2の区間132のいずれか又は両方に2つ以上の螺旋フライトが存在することができる。より大きいピッチが所望される場合、及びフライト間の間隙を最小に保ちたい場合、複数の螺旋状フライトの組み合わせが有利であり得る。
【0040】
第1のシャフト140及び第2のシャフト144は概して、共通の長手方向軸148を中心とする軸対称である。シャフト140、144の半径又は周囲長は、区間130、132のいくつかの部分に沿ってほぼ一定で、区間130、132の他の部分にわたっては概して増大することができる。
図3に示される実施形態では、第1のシャフト140の半径は長さに沿ってほぼ一定である。対照的に、第2のシャフト144の半径は長さの第1の部分にわたってほぼ一定であり、長さの第2の部分にわたって有意に大きい半径まで増大し、その後、長さの第3の部分にわたってその大きい半径でほぼ一定である。第2のシャフト144をテーパー状にすることにより、組成物の混合及び溶融によってバレル内の圧力を強制的に高めて、溶融物を注出口から排出するのを助けることができる。
【0041】
第1の螺旋状フライト142及び第2の螺旋状フライト146の各々は、それぞれの区間130、132の長さに沿ってほぼ一定の半径を有する。ただし、図示されるように、第1の螺旋状フライト142は、第2の螺旋状フライト146の半径よりも有意に小さい半径を有する。第1の螺旋状フライト142は、第2の螺旋状フライト146の公称外半径の50%~90%、60%~85%、70%~80%である公称外半径を有することができ、又は、いくつかの実施形態では、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%よりも小さいか、等しいか、それよりも大きい公称外半径を有することができる。パーセント差が低すぎる場合は、はさみ取る現象は観察されない。パーセント差が高すぎる場合は、注入口フライトが非常に浅くなるので、スクリュー強度が損なわれ、破損しやすくなることがある。
【0042】
スクリュー122のサイズに応じて、第1の螺旋状フライト142と第2の螺旋状フライト146との間の半径の絶対差は0.5ミリメートル~19ミリメートル、3ミリメートル~15ミリメートル、5ミリメートル~12ミリメートルであってもよく、又は、いくつかの実施形態では、0.5ミリメートル、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、若しくは19ミリメートルよりも小さいか、等しいか、それよりも大きくてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の螺旋状フライト142は第2の螺旋状フライト146のピッチよりも短いピッチを有し、ここでピッチは、同じフライトの連続した2回の回転の間の、長手方向軸148に平行な方向に沿った中心間距離として定義される。第1の螺旋状フライト142は、第2の螺旋状フライト146のピッチの10%~99%、25%~75%、若しくは40%~60%であるピッチを有することができ、又はいくつかの実施形態では、10%、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、若しくは100%よりも小さいか、等しいか、若しくはそれよりも大きいピッチを有することができる。注入口ピッチが小さすぎると、フィラメントの引き込みが遅すぎて、最大スループットが制限されることがある。注入口ピッチが大きすぎると、スクリューの残りの部分が追従できず、フィラメントが過剰供給され、回転ボールが形成されて供給プロセスを停止させることがある。
【0044】
スクリュー122は、第1の区間130及び第2の区間132のみから構成される必要はない。例えば、ここには示されていないが、スクリュー122は、第1の区間と第2の区間とを互いに接続する移行区間を更に含むこともできる。例示的な実施形態では、第1の区間及び第2の区間の各々がほぼ一定のフライト半径を有し、スクリューは、第1の区間のフライトから第2の区間のフライトへのより滑らかな移行を提供するようにテーパー状になっているフライト半径を有する第3の区間を更に備える。
【0045】
第1の区間130は概して、スクリュー122の区間の、バレル120の注入口128に隣接する部分の大半又は全体に沿って延在する。好ましい実施形態では、第1の区間130は、フィラメントをバレル内に納めるように機能できるように、注入口128をいくらか越えて延在している。任意選択的に、注入口128は、フィラメントが納まらずにスクリューの上に乗ることができるようになっている。第1の区間130は概して第2の区間132よりも短く、スクリュー122の全長の2%~25%、5%~20%、9%~15%の長さを有することができ、又はいくつかの実施形態では、2%、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25%よりも小さいか、等しいか、若しくはそれよりも大きい長さを有することができる。第1の区間130の長さは、注入口128の長さの少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%であってもよい。
【0046】
スクリュー122がバレル120内で回転しているとき、第1の螺旋状フライト142の半径は概して、フィラメント組成物などの連続したフィードストックが第1の螺旋状フライト142の外面とバレル120の内面との間に有効に把持されることができるようにサイズ決めされている。装置102では、これらの対向する表面間のクリアランス又は間隙は、好ましくは、バレル120の注入口128に供給されるフィラメント組成物の直径よりも小さい。この空隙により、装置102の動作中にスクリュー122が回転する際に、フィラメント組成物を一貫した速度で積極的に注入口128に引き込むことができる。
【0047】
第1の螺旋状フライト142の適切なサイズ決めは概して、フィードストックの寸法に依存する。第1の螺旋状フライト142とバレル120との間の間隙が、フィラメント直径の5%~100%、10%~75%、20%~50%であること、又はいくつかの実施形態では、5%、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100%よりも小さいか、等しい、若しくは、それより大きいことは、有利であり得る。
【0048】
スクリュー122によってフィラメント組成物がバレル120内に引き込まれる速度の制御は、第1の螺旋状フライト142のピッチを最適化することによって達成することができる。スクリュー122及び装置102のここに記載した構成の主な利点は、より一般的には、高度に制御された速度でフィラメント組成物を装置102内に能動的に引き込みながらも、フィラメント組成物の偶発的な切断又は把持の喪失のリスクを最小限に抑えるか、又は排除できるようになることである。装置102は自己計量型なので、外部のモータ式供給システムを設ける必要はない。また、この構成により、供給速度と消費速度との間の不一致の結果として注入口128付近でフィラメント接着剤が詰まる速度が、相当減少することが分かった。
【0049】
図4は、スクリュー222が別種のマドックタイプの混合区間233を使用することを除き、
図1に示されるものと類似した実施形態によるスクリュー222を示す。先述の混合区間133と同様に、この構成要素は、組成物がディスペンサから排出される前に組成物を完全に溶融させるように意図されている。ただし、任意の他のタイプの混合区間を、代替的に、又は組み合わせて使用し得ることが理解される。例えば、混合区間は、(Saxtonミキサに見られるような)クロスカット、又は、パイナップルミキサに使用されるものを含めた様々な既知のポストパターンのうちのいずれかを有する、複数の円筒状ポスト又は高密度フライト付きスクリュー区間に基づくこともできる。任意選択的に、バレルの内部側壁上にポスト又はピンが配置されて、混合プロセスを補助してもよい。干渉を避けるために、スクリューのフライトにクロスカットが存在してもよい。スクリュー222の他の態様は、スクリュー122に関して既に図示及び説明されたものと本質的に類似しており、ここでは繰り返さない。
【0050】
他の変形例が可能である。例えば、スクリューは、同時係属中の米国仮特許出願第62/994,633号(Chastekら)に記載されているような中空構成を有することもできる。また、国際公開第2020/174394号(Napieralaら)に記載されているように、スクリューは、第1の区間のフライト上に形成された把持ラグを含むように修正することもできる。鋼、クロム、又はアルミニウムから構成される金属コーティングを含む様々なコーティングが当技術分野で知られており、当該技術分野で知られているようにスクリュー表面に配置して、耐亀裂性及び耐腐食性を提供することができる。
【実施例】
【0051】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【0052】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書の他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。
【表1】
【0053】
試験方法:
スループット測定試験
ディスペンサ温度を200℃に設定し、少なくとも10分間平衡させた。注入口オリフィスが下を向き、かつ妨げとなるものがないようにディスペンサを配向し、ディスペンサの下方に位置するバレルからフィラメントを供給した。フィラメントの供給は、スクリューを80回転/分で回転させながら、注入口オリフィスにフィラメントを手動で挿入することによって開始した。分注を少なくとも1分間実施して、バレルが確実に接着剤で満たされるようにした。ディスペンサの遠位端から出た溶融接着剤をアルミニウムパンに収集し、秤量した。30秒間サンプルを収集した。収集したサンプル間で、ディスペンサを30秒間停止した。合計5つのサンプルを連続的に収集し、収集と収集との間にスクリューを30秒間停止させ、スループットをキログラム/時間(kg/h)で報告した。5つのスループットサンプル間の標準偏差もまた、キログラム/時間で報告した。ディスペンサのスループット速度が確実に十分に再現可能であるためには、標準偏差はスループットの10%未満でなければならない。
【0054】
フィード把持試験
ディスペンサ温度を200℃に設定し、少なくとも10分間平衡させた。注入口オリフィスが下を向き、かつ妨げとなるものがないように、また、重り保持プラットフォームの1.45メートル上方にあるように、ディスペンサを配向した。一端でフィラメント内に半径10cmのループを結びつけて、長さ2メートルのフィラメント片を準備した。1キログラムの重りをこのループに取り付け、重り保持プラットフォーム上に置いた。スクリューを80RPMで回転させ、フィラメントの、結び目及び重りのない側の端部を注入口オリフィスに手動で押し込むことによって、フィラメントの供給を開始した。1キログラムの重りとディスペンサとの間で全てのたるみが除去される点まで十分にフィラメントがディスペンサに供給されると、タイマーを開始した。供給を続け、60秒間監視した。ディスペンサが、少なくとも50%のスループット率を維持しながら、フィラメントを注入口に引き込み続けることに成功した場合、合格条件とみなした。合格条件は、1キログラムの重りを重り保持プラットフォームから持ち上げることを伴ってもよく、又はフィラメントが伸長してもよい。合格条件は重りを持ち上げることとフィラメントの伸長との両方の組み合わせからなってもよく、正確な結果はフィラメントのデュロメータ及び直径に依存することが理解される。一方、フィラメントが60秒以内にディスペンサの外へ落下した場合は、不合格とした。不合格は、スクリューがフィラメントを把持できないこと、又は回転ボールが形成されることによって引き起こされ得る。場合によっては、スクリューがフィラメントを弱く把持しすぎているためにフィラメントのたるみは除去されないが、フィラメントの粘着性によってフィラメントの脱落を防ぐことができる。この状況では、フィラメントのたるみなしで1キログラムの重りが重り保持プラットフォームの30センチメートル上方にくるまで、フィラメントの供給を手動で補助した。1キログラムの重りをゆっくりと解放してフィラメントに張力をかけ、試験を開始した。フィード把持試験の間、外部の供給機構又は把持機構は使用しなかった。試験を3回行い、スクリュー設計が望ましいフィード把持の強さを有するとみなすには、3つの連続した合格値が要求された。
【0055】
予備実施例1(PE1):
多峰性非対称ブロックコポリマー(Polymodal Asymmetric Block Copolymer、PASBC)の調製
多モード非対称スターブロックコポリマー(「PASBC」)を、その主題が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,393,787号(Nestegardら)の例1に従って調製した。ポリマーは、ポリスチレン基準を用いて較正したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により測定した数平均分子量が、2つのエンドブロックについて約4,000ダルトン及び約21,500ダルトン、アームについて127,000~147,000ダルトン、スターについて約1,100,000ダルトンであった。ポリスチレン含有量は、9.5~11.5重量パーセントであった。高分子量アームのモル百分率は、約30%と推定された。
【0056】
コアシースフィラメントの調製
フィラメントの組成(材料量は重量パーセント)を表2に示す。フィラメント構造を組み立てるための技術及びプロセスの更なる説明は、PCT特許出願公開第2019/1646798号(Nyariboら)に含まれる。コア接着剤原材料は、212℃で動作する30mmのSteer二軸スクリューディスペンサで配合した。Zenithギヤポンプを使用して、内径25mm及び長さ2.4メートルを有する加熱されたホースを通るように溶融接着剤を押し込んだ。溶融接着剤を、同軸ダイの中央オリフィスを通して30℃のウォーターバス内に分注し、手動で繊維ドラムに巻き取った。コアシースフィラメントを、直径8mm±1mmで作製した。シース材料を、204℃に設定された30mmの単軸スクリューディスペンサを使用して供給し、同軸ダイの外側リングオリフィスを通して分注した。
【表2】
【0057】
実施例1及び比較例1(EX1及びCE1)
接着剤の分注
PE1で組み立てたコアシースフィラメントを、繊維ドラムから分注ヘッドに直接供給した。分注ヘッドには、スクリュー(EX1)又は比較用スクリュー(CE1)のいずれかが収容されており、これらは両方とも以下に更に定義されるように製造されたものである。分注ヘッドに装填されたEX1スクリューとCE1スクリューの両方について、スループット測定試験を実施した。スループット測定試験の結果を表3に記録する。
【0058】
EX1及びCE1を有するディスペンサをフィード把持試験にも供した。その結果を表3に報告する。
【表3】
【0059】
EX1スクリューの製造
図3及び
図4に表されるとおりの、長さ262ミリメートル(mm)で半径9.5mmのスクリューを、コンピュータ数値制御(computer numerical controlled:CNC)四軸垂直エンドミル内で機械加工した。半径9.5mmのアルミニウム6061の中実円筒に機械加工プロセスを行った。第1の区間130及びマドックミキサーについては半径1.55mm(0.0625インチ)、第2の区間132については半径4.75mm(0.0187インチ)のエンドミルカッターでチャネル幅を画定して単一のチャネルを作製して、フライトを画定した。第1の区間のピッチ(すなわち、フライト間の頂部から頂部までの距離)は6mm、第2の区間のピッチは12.5mmであった。スクリューシャンクは長さ35mm、半径6mmであった。第1の区間はシャンク端から45mmから77mmまで延在しており、7mmの外半径(フライトの高さ)を有した。第1の区間のスクリュー谷底半径(半径からフライトの高さを引いたもの)は4.45mmであった。第2の区間は、9.5mmのフライト外半径を有した。第2の区間の谷底半径は、シャンク端から測定して77mmから140mmまでは4.45mmで、140mmから190mmまでで6.7mmに増大した。190mmと232mmの間では、第2の区間の谷底半径は6.7mmであった。スパイラル状マドックミキサーは232~257mmに位置した。ピッチは100mmであった。フライトは、単一の3.1mmチャネルで画定され、6.7mmの谷底半径を形成した。スパイラル状マドックミキサーの設計で期待されるとおりに、シャンクと遠位端との間で開口部が交互になるようにして、等間隔の8つの平行スパイラルチャネルを作製した。マドックミキサーのフライト外半径は9mmであった。
【0060】
CE1比較用スクリューの製造
比較のために、比較用スクリューを製造した。比較用スクリューはEX1と同様の設計を有するが、主な違いは、第1の区間130のフライトを有さないことであった。すなわち、第2の区間132のみを有する従来の方法で作製された。
【0061】
長さ262mmで半径9.5mmのスクリューを、コンピュータ数値制御(CNC)四軸垂直エンドミル内で機械加工した。半径9.5mmのアルミニウム6061の中実円筒に機械加工プロセスを行った。マドックミキサーについては半径1.55mm(0.0625インチ)、第2の区間132については半径4.75mm(0.0187インチ)のエンドミルカッターでチャネル幅を画定して単一のチャネルを作製して、フライトを画定した。第2の区間132のピッチは12.5mmである。スクリューシャンクは長さ35mm、半径6mmであった。第2の区間132は、シャンク端から45mmから232mmだけ延在していた。第2の区間132は、9.5mmのフライト外半径を有していた。第2の区間132の谷底半径は、シャンク端から測定して45mmから107mmまでは4.45mmで、107mmから170までで6.7mmに増大した。170mmと232mmの間では、第2の区間132の谷底半径は6.7mmを維持していた。スパイラル状マドックミキサーは232~257mmに位置した。ピッチは100mmであった。フライトは、単一の3.1mmチャネルで画定され、6.7の谷底半径を形成した。スパイラル状マドックミキサーの設計で期待されるとおりに、シャンクと遠位端との間で開口部が交互になるようにして、等間隔の8つの平行スパイラルチャネルを作製した。マドックミキサーのフライト外半径は9mmであった。
【0062】
バレルの製造
バレルのシャンク端を表すアルミニウムブロック(63.5mm×38.1×76.2mm)を、バレルの注入口区間に使用した。中心最長軸を通して半径9.5mmの穴を切削し、主バレル軸を確立した。ブロックにねじ山を切り、スケジュール80アルミニウム3/4インチNPTパイプニップルを受容した。NPTパイプニップルは、主バレル軸に沿って長さ152.4mmであった。バレルの遠位端を表す第2のアルミニウムブロック(38.1mm×38.1mm×25mm)を作製し、また、中心最短軸を通して半径9.5mmの穴を切削した。最短軸にねじ山を切り、NPTパイプニップルの他端に接続した。第2のブロックの遠位端は半径1.6mmのオリフィスを有し、出口ノズルとして作用した。追加の機械加工を実施して、主バレル軸を内径9.6mmまで穿孔した。注入口オリフィスを、ブロック1の主バレル軸の真上に切削した。半径4.8mmのエンドミルカッターを使用して、幅9.5mm、長さ19.1mmのチャネルを作製した。チャネルは、バレルの遠位端から12.5mm~31.6mmのところで開始した。注入口オリフィスは、まっすぐな側面を有し、斜面を有さなかった。注入口オリフィスの長軸は、主バレル軸の直接上方を中心とした。
【0063】
バレルを、2枚のアルミニウム板(9.5mm×38.1mm×100mm)を使用して、200WのACサーボモータと25:1遊星ギヤボックスとの組み合わせに取り付けた。押出機のスクリューシャンクを、モータカプラを用いてギヤボックスシャフトに接続した。抵抗バンドヒーター及び熱電対をPID温度コントローラと組み合わせて使用して、ディスペンサを200℃にした。
【0064】
分注システム構成要素の製造:
同時係属中の米国特許仮出願第62/810248号(Napieralaら)に記載されている製造技術に従って、他の分注システム構成要素を組み立てた。
【0065】
特許状に関する上記特許出願において引用された全ての文献、特許文献又は特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】