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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光学面の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/48 20060101AFI20240319BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20240319BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60S1/48 Z
B08B3/12
B60S1/62 120B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560272
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022058327
(87)【国際公開番号】W WO2022207667
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2103337
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518202367
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド リール
(71)【出願人】
【識別番号】522111633
【氏名又は名称】セントラール リール アンスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】522111644
【氏名又は名称】ユニベルシテ ポリテクニーク オー-ド-フランス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル、ボードワン
(72)【発明者】
【氏名】ラビンダー、シュタニ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、ブ、マタール-ラカーズ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、フィユー
【テーマコード(参考)】
3B201
3D225
【Fターム(参考)】
3B201AA01
3B201AB53
3B201BB21
3B201BB84
3B201BB85
3B201BB94
3D225AA01
3D225AA11
3D225AC02
3D225AD01
3D225AD22
3D225AF01
(57)【要約】
本発明は、光学面(10)と、光学面を洗浄するための洗浄装置(15)とを含む装置(5)であって、光学面に音響的に結合され、光学面内を伝播する超音波(W)を合成するように構成された波動トランスデューサ(25)と、光学面上に洗浄液(L)を送るための噴射部(20)と、を含み、超音波が光学面上の洗浄液を移動させるように構成されている装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学面(10)と、前記光学面を洗浄するための機器(15)と、を含む装置(5)であって、
-前記光学面に音響的に結合され、前記光学面内を伝播する超音波(W)を合成するように構成された波動トランスデューサ(25)と、
-前記光学面上に洗浄液(L)を送るための噴射部(20)であって、前記トランスデューサ(25)に重なる前記噴射部(20)と、を含み、 前記超音波が前記光学面上の前記洗浄液を移動させるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記噴射部(20)は、前記光学面(10)および/または前記トランスデューサ(25)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トランスデューサ(25)は、前記噴射部(20)と前記光学面(10)との間に配置されていることを特徴とする請求項1および2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記噴射部は、前記超音波の伝播経路に位置する前記光学面の区域上に前記洗浄液(L)を供給するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記噴射部は、少なくとも部分的に前記トランスデューサに重なり、前記トランスデューサ(25)から4cm未満、好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満離れた位置に、洗浄液を供給するための流路(40)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記洗浄機器は、前記トランスデューサ(25)と前記噴射部(20)との間に配置され、50W・m-1・K-1以上、好ましくは150W・m-1・K-1以上の熱伝導率を有する材料から作られ、特に金属、例えば銅合金から作られた熱拡散部材(55)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記洗浄機器(15)は、前記光学面の周縁部に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記噴射部(20)は、前記洗浄液を順次送るように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記トランスデューサは、1μm~500μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記光学面は、自動車のガラス要素、例えばリアウインドウであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記噴射部は、1bar未満の相対圧力で前記洗浄液を送るように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
光学面を洗浄する方法であって、
a)請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(5)を供給することと、
b)噴射部(20)により、前記光学面(10)に洗浄液(L)を噴射することと、
c)前記光学面内を伝播し、支持体の一方の面(35)に配置された物体(65)に向けて前記洗浄液を移動させるのに適した超音波(W)を合成することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記トランスデューサへの電力供給は、少なくとも、前記光学面上を前記洗浄液と一緒に前記物体が移動するまで維持されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄液が前記光学面と接触する区域と前記トランスデューサとの間の距離が1mm未満であり、および/または前記噴射部の出口における前記洗浄液の相対圧力が1bar未満である、請求項12および13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電気トランスデューサに電力を供給する電気エネルギーの少なくとも一部は、前記トランスデューサによって熱の形態に変換され、前記熱は、前記噴射部内の工程b)で事前に収容された前記洗浄液を充分に解凍することができ、および/または前記噴射部の入口と出口との間で前記洗浄液を10℃超、更には20℃超加熱することができる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学面を洗浄する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種分野において、光学面上に付着した汚れによる影響に対処する必要がある。
【0003】
例えばほこり、乾燥した泥の粒子、油膜などの汚れによって、光学面を通して周囲を見る観察者の鮮明な視界や、光学面を通して光線を発信または受信するように構成されているシステムの検出が妨げられる。
【0004】
フロントガラスに付着した汚れを洗浄するために、フロントガラスに洗浄液を噴射し、このようにして噴射された洗浄液によって形成された層を、1本または複数本のワイパーブレードの往復運動によってフロントガラス上に広げることは、長く周知されている。ワイパーブレードがフロントガラスに接触する摩擦によって、洗浄液中に分散した汚れを光学面から排出することが可能になる。しかし、この場合、汚れが洗浄液内に分散する前に、汚れを光学面に広げてしまうという欠点がある。更に、汚れを排出するためには、概して、大量の洗浄液を供給する必要がある。
【0005】
自律走行車用の光学センサを保護する光学面を覆う汚れを洗浄するために、例えば、仏国特許出願公開第3056524(A1)号明細書には、垂直な光学面に対して相対的に移動可能な分配マニホールドを含む装置が記載されている。分配マニホールドは、光学面から距離を保った位置に移動して洗浄液を噴射する。所定量の洗浄液が噴射され、汚れによって一旦汚れた洗浄液が重力の作用で排出された後、光学面に接触して残っている洗浄液の液滴に乾燥空気が噴射される。しかし、このような乾燥では、光学面に再付着した液滴に含まれる汚れによって、汚れの膜が形成される。加えて、仏国特許出願公開第3056524(A1)号明細書の装置は、分配マニホールドを光学面から遠ざけるために伸縮部材を実装する必要があるため、比較的大きな設置面積を要する。更に、汚れを効率的に排出するために、洗浄液が高圧で噴射される。そして、この装置は大きな面の洗浄には適さない。センサのガラス面用の伸縮式洗浄装置の別の例は仏国特許出願公開第3096944(A1)号明細書に記載されている。 故に、上記欠点を克服することが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、少なくとも部分的にこの需要に応えることを目的とし、光学面と、光学面を洗浄する機器とを含み、
-光学面に音響的に結合され、光学面内を伝播する超音波を合成するように構成された波動トランスデューサ(変換器)と、
-光学面上に洗浄液を送る噴射部と、を含み、
超音波が光学面上の洗浄液を移動させるように構成されている装置を提案する。
【0007】
本発明による装置は、光学面の簡単で効果的な洗浄を可能にする。特に、超音波の作用で洗浄液を動かすことにより、液体によって形成された層が光学面上に円滑に広がる。更に、光学面から汚れた水を効率的に排出することが可能になる。毛細管力の作用により光学面に付着した汚れた洗浄液の液滴を容易に排出することができる。これによって、残留洗浄液が蒸発した際に光学面上に汚れの膜が再形成されるのを回避することができる。
【0008】
噴射部
噴射部は、トランスデューサに重なるのが好ましい。
【0009】
トランスデューサは、噴射部と光学面との間に配置されるのが好ましい。これによって、トランスデューサの少なくとも一部分を衝撃から保護することができる。噴射部は特に、トランスデューサの一方の面を完全に覆っていてもよい。
【0010】
好ましくは、噴射部は、超音波の伝搬経路に位置する光学面の区域上に洗浄液を送るように構成されている。これによって、洗浄液は、光学面に接触すると同時に超音波の作用を受けて移動し得る。
【0011】
好ましくは、噴射部は、少なくとも部分的にトランスデューサに重なり、トランスデューサから4cm未満、好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満離れた位置に洗浄液を送るための流路を含む。有利なことに、超音波の生成時にトランスデューサによって放散される熱によって、洗浄液が供給路を通過するときに、洗浄液を加熱することができる。例えば、冬の条件下では、本発明による装置は、供給路に含まれる固化した洗浄液の解凍を促進することができる。夏の条件下では、トランスデューサから放散される熱によって洗浄液が加熱されることにより、光学面の洗浄効果が向上する。
【0012】
好ましくは、洗浄機器は、トランスデューサによって生成された熱の供給路への熱伝導を最適化するために、50W・m-1・K-1以上、好ましくは150W・m-1・K-1以上の熱伝導率を有する材料、例えば銅合金から作られた、トランスデューサと噴射部との間に配置された熱拡散部材を含む。
【0013】
熱拡散部材はトランスデューサと接触していてもよい。一変形例では、熱拡散部材はトランスデューサから離間している。
【0014】
熱拡散部材は金属材料、例えばアルミニウム合金から作られている。
【0015】
熱拡散部材は、0.01cm~3cm、好ましくは1cm未満の厚さを有する板の形態をとり得る。
【0016】
洗浄機器は、光学面の一方の側から他方の側まで、好ましくは光学面の2つの両端部の間に伸展し得る。例えば、洗浄機器は、光学面の全幅に渡って伸展する。
【0017】
洗浄機器は、光学面の異なる区域に洗浄液を送り、超音波が光学面の一方の側から他方の側に伸展する区域全体に洗浄液を移動させるように構成され得る。
【0018】
洗浄機器は、複数のトランスデューサを含んでいてもよく、噴射部は、各々が対応するトランスデューサに重なった複数の供給路を含んでいてもよい。
【0019】
例えば、トランスデューサは、光学面の一方の端部に沿って互いに等間隔に離間して配置されてもよく、噴射部は、当該端部に沿って帯状に伸展してもよい。
【0020】
洗浄機器は、光学面の周縁部に配置されてもよい。特に、光学面が傾斜している場合には、洗浄機器は光学面の上部に配置されて、超音波が実質的に光学面の最大傾斜方向に伝播するように構成することができる。これによって、洗浄液は、重力と超音波表面波の伝播との複合作用によって、光学面から排出されることができる。
【0021】
更に、噴射部は、洗浄液を順次送るように構成されていてもよい。順次送ることにより、洗浄液の早すぎる蒸発を回避することが可能になる。本発明者らは、順次送ることにより、光学面の迅速で特に効果的な洗浄が可能になることを確認している。
【0022】
特に、噴射部は、20ms~5sの持続時間で洗浄液を順次送るように構成することができ、洗浄液は、50ms~60s間隔をあけて送られる。
【0023】
更に、噴射部は、1bar未満の相対圧力で洗浄液を送るように構成され得る。「相対圧力」とは、絶対圧力と大気圧との差を意味し、絶対圧力は真空中でゼロを基準として測定される。このため、洗浄液が光学面に接触した後に洗浄液が噴射されることが回避される。更に、このように送ることにより、光学面を洗浄するのに必要な洗浄液の量を減らすことが可能になる。
【0024】
噴射部は、スプリンクラーノズルと流体連通する構造体を含み得る。構造体および/またはスプリンクラーノズルは、少なくとも1つの供給路を画定し得る。スプリンクラーノズルは、構造体に対して移動可能に取り付けられ得る。有利には、スプリンクラーノズルの向きは、光学面の所定の区域に洗浄液を送るように調整することができる。
【0025】
好ましくは、散水部は、少なくとも1つの回転軸を中心として構造体に回転可能に取り付けられる。スプリンクラーノズルの回転軸は、光学面が伸展する中央平面に対して平行な平面に含まれ得る。変形例として、スプリンクラーノズルの回転軸は、この中央平面に対して平行であってもよい。ノズルは、回転軸に沿って延びる管状を有し得る。
【0026】
スプリンクラーノズルは、洗浄液を送るために光学面上に突出する少なくとも1つ、あるいは複数の分配オリフィスを含み得る。
【0027】
光学面を洗浄するための機器は、構造体に対してスプリンクラーノズルを回転させるためのモータを含み得る。モータは、ノズルを2つの異なる角度位置の間で往復移動させ得る。変形例として、モータは、ノズルが構造体に対して動かないように維持される特定の位置にスプリンクラーノズルを移動させ得る。このようにして、洗浄液が送られる光学面の区域を選択することができる。
【0028】
更に、洗浄機器は、洗浄液をタンクから噴射部に輸送するためのポンプを含み得る。ポンプは電動式としてもよい。ポンプが送ることができる洗浄液の流量は、ポンプに供給される電圧に比例し得る。
【0029】
噴射部は、光学面および/またはトランスデューサに固定され得る。
【0030】
好ましくは、噴射部は光学面に対して動かない。
【0031】
噴射部は、例えば感熱性接着剤によって、光学面および/またはトランスデューサに取り外し可能に取り付けることができる。
【0032】
波動トランスデューサ
波動トランスデューサは、光学面に音響的に結合され、光学面内を伝播する超音波を合成するように構成されている。
【0033】
超音波は表面波またはラム波でもよい。特に、光学面が超音波表面波の波長よりも大きな厚さを有する場合には、超音波はレイリー波としてもよい。レイリー波が好ましいのは、波が伝播する光学面の面に波エネルギーの最大割合が集中し、洗浄液に伝達され得るからである。
【0034】
トランスデューサは、好ましくは1μm~500μmの厚さを有する。
【0035】
トランスデューサの厚さは、光学面に対して垂直に測定される。
【0036】
好ましくは、トランスデューサは、光学面の一端から25mm未満の距離に渡って延びている。
【0037】
波動トランスデューサは接触型超音波トランスデューサとすることができる。トランスデューサから光学面への波の伝播を最適化するために、インピーダンス整合音響指数透過ゲルを音響トランスデューサと光学面との間に挟んで配置することができる。接触型超音波トランスデューサは、光学面上に直角に配置することができる。このようなトランスデューサの配置は、光学面が超音波表面波の波長よりも小さい厚さを有する場合、および/または超音波がラム波である場合に好ましい。変形例として、接触型超音波トランスデューサは、光学面の法線と90°未満の角度をなすように配置することができ、角度の値はスネル―デカルトの法則を用いて決定することができる。
【0038】
好ましい変形例によると、トランスデューサは、異なる極性を有する2つの交互嵌合された櫛形電極と、特にニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される圧電材料から作られた基板とを含み、櫛形電極は基板に接触して配置される。
【0039】
櫛形電極はそれぞれ、コネクタと、コネクタから延びるフィンガと、を含み得る。基板は、2つの櫛形電極の周縁のフィンガによって画定されるアセンブリに重ねられない非活性部分を含み得る。基板のこの非活性部分は、コネクタと同じく、超音波の生成に寄与しない。非活性部分は、櫛形電極の周縁のフィンガによって画定される当該アセンブリのいずれかの側に伸展され得る。
【0040】
特に、トランスデューサの厚さがトランスデューサによって生成される超音波の波長よりも小さい場合、および/または装置がラム波を生成するように構成されている場合には、トランスデューサと熱拡散部材との間、および/またはトランスデューサと噴射部との間にスロットを設けてもよい。これにより、超音波が熱拡散部材および/または噴射部によって部分的にまたは完全に吸収され、光学面内の透過が弱まることが回避される。好ましくは、スロットは櫛形電極に重ねられ、熱拡散部材は基板の非活性部分に接触し得る。
【0041】
好ましくは、スロットは、トランスデューサおよび熱拡散部材の対向面の少なくとも一方の全長に渡って延びている。スロットの厚さは、1nm~5mm、特に10nm~5mmの間とすることができる。
【0042】
変形例として、特に、トランスデューサの厚さがトランスデューサによって生成される超音波の波長よりも大きい場合、および/または超音波がレイリー波である場合、トランスデューサおよび熱拡散部材は、互いに接触していてもよく、またはそれぞれが接続層、例えばトランスデューサと熱拡散部材との間に挟まれた伝熱ペーストと接触していてもよい。
【0043】
トランスデューサは、好ましくは光学面と接触している。
【0044】
トランスデューサは、特に、トランスデューサを光学面に対して音響的にも結合させるポリマー接着剤によって光学面に固定され得る。接着剤は紫外線硬化型であってもよい。例えば、接着剤はエポキシ樹脂である。トランスデューサは、分子接着によって、または光学面とトランスデューサとの間を接着する薄い金属層によって固定することができる。金属層は、低融点、すなわち200℃未満の融点を有する金属または合金、例えばインジウム合金から作ることができる。変形例として、金属層は、200℃超の融点を有する金属または合金、例えばアルミニウムおよび/または金合金から作ることができる。
【0045】
トランスデューサは、0.1MHz~1,000MHz、好ましくは10MHz~100MHz、例えば40MHzの基本周波数、および/または1ナノメートル~500ナノメートルの振幅を有する可能性がある超音波表面波またはラム波を発信するように構成され得る。波の振幅は、超音波表面波が伝播する光学面の面の法線の移動に対応する。波の振幅は、レーザー干渉法を用いて測定することができる。振幅は基本波の周波数に依存し得る。
【0046】
好ましくは、装置は少なくとも2個、例えば6個以上、更には11個以上のトランスデューサから構成される。
【0047】
トランスデューサは、平行または割線の方向に伝播する音響表面波を発進するように構成することができる。例えば、本装置は、少なくとも3つのトランスデューサを含み、それらのトランスデューサが生成可能な波の伝播方向が共通の位置で交差するように構成される。複数のトランスデューサを有することにより、洗浄液の各液滴による遮蔽および波散乱効果を抑制することが可能になる。
【0048】
トランスデューサは、トランスデューサが配置されている光学面の輪郭上に均等に分布させることができる。
【0049】
光学面
本発明による装置は、有利なことに、光学面の広い範囲の洗浄を可能にする。
【0050】
好ましくは、光学面は、1cm以上、更には100cm以上、更には400cm以上の領域にわたって伸展する。
【0051】
光学面は、自重で壊れることなく、特に弾性的に変形できるという意味で、自立することができる。
【0052】
超音波表面波またはラム波が伝搬する光学面の面は平面とすることができる。また、面の曲率半径が超音波表面波の波長よりも大きければ、曲面であってもよい。当該面は粗くてもよい。粗い部分は、好ましくは、超音波表面波の基本波長よりも小さく、超音波表面波の伝搬に著しい影響を与えない。
【0053】
光学面は、平面または一方向に少なくとも1つの湾曲を有する板の形状をとることができる。
【0054】
光学面は、好ましくは薄い形状を有する。光学面の厚さに対する光学面の長さの比は、10超、または更には100超、または更には1,000超とすることができる。
【0055】
光学面の厚さは0.05mm~5mm、特に0.5mm~2.5mmとすることができ、および/または光学面の長さは1cm超、または更には10cm超、または更には20cm超とすることができる。
【0056】
「光学面の厚さ」とは、超音波表面波またはラム波が伝播する面に垂直な方向で測定した光学面の最小寸法を意味する。
【0057】
光学面は水平に対して平らに配置することができる。変形例として、光学面は、水平に対して10°超、または20°超、または45°超、または70°超の角度α傾斜させることができる。光学面は垂直に配置することもできる。
【0058】
光学面は好ましくは光透過性を有し、特に可視光線または紫外線若しくは赤外線を透過する。したがって、本装置は、光学面を通して周囲を観察する使用者の視覚的な快適性を向上させるための用途に特に適している。
【0059】
光学面は、音響伝導性材料、好ましくはガラスから作られた音響伝導性部分を含み得る。
【0060】
音響伝導性部分は、好ましくは、光学面の長さよりも大きい、または光学面の長さの10倍超、または光学面の長さの100倍超の減衰長を有する。
【0061】
音響伝導性材料は、1MPaより大きい、例えば10MPa超、または100MPa超、または更には1,000MPa超、または更には10,000MPa超の弾性率を有し得る。このような弾性率を有する材料は、超音波表面波またはラム波の伝播に特に適した剛性を有する。
【0062】
光学面は、少なくとも2つの音響伝導性部分を上下に重ねて含み得る。
【0063】
光学面は音響伝導性部分からなることがある。
【0064】
変形例として、光学面は、音響伝導性部分と層をなす音響絶縁性部分を含むことができ、音響絶縁性部分及び音響伝導性部分は互いに接触している。
【0065】
特に、音響伝導性部分及び音響絶縁性部分は、上下に積み重なった板とすることができる。音響絶縁性部分は好ましくは透明である。
【0066】
音響絶縁性部分は、音響伝導性部分を支持し得る。音響絶縁性部分は、音響伝導性部分の厚さの少なくとも10倍以上の厚さを有してもよく、好ましくは一層または多層である。音響絶縁性部分はまた、その面積が音響伝導性部分と等しいか、または音響伝導性部分よりも少なくとも10倍大きい下面を有していてもよい。
【0067】
好ましくは、超音波が音響絶縁性部分と作用し合うのを回避するために、音響伝導性部分の厚さは、超音波表面波の波長よりも大きい。
【0068】
特に、音響絶縁性部分は、熱可塑性プラスチック、特にポリカーボネートから選択することができ、音響伝導性部分は、一層または多層の音響伝導層とすることができ、そして音響非伝導性材料の表面上に配置されることができ、これは、例えば、論文Appl. Phys. Lett. 112, 093502 (2018); doi: 10.1063/1.5021663およびSci Rep 3, 2140 (2013), doi:10.1038/srep02140に例示されており、これらの論文は参照のため本明細書に組み込まれる。
【0069】
このような一層または多層を形成する材料は、例えば、ポリカーボネート製フロントガラスの紫外線防止層および/または傷防止層を形成する材料から選択される。「ガラス様」の材料、すなわちガラスの光学的および機械的特性を有する材料とすることができる。
【0070】
音響絶縁性部分は、超音波の減衰長を少なくとも10分の1の長さにし得る。
【0071】
音響絶縁性部分の面積は、音響伝導性部分の面積よりも大きくすることができる。
【0072】
例えば、音響絶縁性部分は、例えば、「PC」の略称でも知られるポリカーボネートから作られた自動車のフロントガラスなどのガラス要素、または、オートバイ用ヘルメットのバイザとすることができ、音響伝導性部分は、例えば、取り外し可能に音響絶縁性部分に固定することができる。
【0073】
更に、光学面は、音響伝導性部分の一方の面を覆う単層または多層コーティングを含むことができる。
【0074】
コーティングは特に、疎水層、反射防止層、またはこれらの層の積層を含み得る。例えば、疎水層は、OTS自己組織化単分子膜からなるか、フッ素ベースのプラズマの蒸着によって作成することができる。コーティングは、意図する用途(可視光、赤外線など)に応じて、一層または多層の反射防止層を含み得る。
【0075】
好ましくは、光学面は圧電材料以外の材料から作られる。
【0076】
好ましくは、光学面は、
-自動車の表面、例えば、自動車のフロントガラス、リアウインドウ、バックミラーのガラスから選択される自動車のガラス要素、または
-ヘルメットのバイザ、
-ビルの窓、
-特に光学センサ、熱センサ、音響センサ、圧力若しくは速度センサ、特に例えばピトー管などのプローブ、から選択されるセンサ
-このようなセンサの保護素子、および
-例えば、カメラのレンズや眼鏡のレンズから選択される光学装置の表面
からなる群から選択される。
【0077】
更に、本装置は、トランスデューサが電力供給信号を超音波に変換するために、トランスデューサに電気的に接続された電流発生器を含み得る。
【0078】
本発明はまた、本発明による装置と、光学面を通して光線を受信および/または発信するように構成されたセンサと、を含む機器に関する。機器は、例えば自動車、特に自律走行車である。
【0079】
本発明は、更に光学面を洗浄する方法に関し、該方法は、
a)本発明による装置を供給することと、
b)噴射部により、光学面に洗浄液を噴射することと、
c)光学面内を伝播し、支持体の一方の面に配置された物体に洗浄液を移動させるのに適した超音波を合成することと、を含む。
【0080】
好ましくは、トランスデューサへの電力供給は、少なくとも、光学面上を洗浄液と一緒に物体が移動するまで維持される。
【0081】
好ましくは、トランスデューサへの電力供給は、少なくとも、光学面から洗浄液と一緒に物体が排出されるまで維持される。
【0082】
物体は、例えばほこり、油膜、乾燥した泥の粒子などの固形物であってもよい。また、物体は、例えば液滴や層の形態をとる液体であってもよい。更に、噴射部以外の方法で光学面に液体を付着させる場合、例えば液体が降雨である場合、噴射部が洗浄液を供給することなく、トランスデューサが波動を発生させて表面上の液体を移動させることができる。
【0083】
噴射部は、洗浄液がトランスデューサ近傍の光学面と接触するように配置される。洗浄液が光学面と接触する区域とトランスデューサとの間の距離は、好ましくは1mm未満であり、および/または噴射部の出口における洗浄液の相対圧力は、好ましくは1bar未満である。したがって、この方法は、光学面への洗浄液の長距離および/または高圧噴射を必要としないため、エネルギー効率が良好である。
【0084】
好ましくは、電気トランスデューサに電力を供給する電気エネルギーの少なくとも一部は、トランスデューサによって熱の形態に変換され、その熱は、噴射部の工程b)において事前に収容された洗浄液を充分に解凍することができ、および/または噴射部の入口と出口との間で洗浄液を10℃超、更には20℃超、充分に加熱することができる。
【0085】
トランスデューサの加熱による洗浄液の加熱速度は、2℃/秒超、好ましくは5℃/秒超とすることができる。
【0086】
更に、噴射は順次行うことができる。洗浄液は、20ミリ秒~5秒の持続時間で光学面に送ることができ、洗浄液は、50ミリ秒~60秒間隔があけられて送られる。
【0087】
洗浄液は水性であってもよく、洗浄剤を含んでいてもよい。洗浄液は、光学面の疎水性を高める薬剤を更に含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
本発明は、本発明の非限定的な例示的実施形態に関する以下の詳細な説明を読み、添付の図面を精査することにより、よりよく理解されるであろう。
図1a図1aは、本発明に係る装置の第1の実施例の概略横断面図である。
図1b図1bは、本発明に係る装置の第1の実施例の概略横断面図である
図1c図1cは、本発明に係る装置の第1の実施例の概略横断面図である
図1d図1dは、本発明に係る装置の第1実施例の変形例である
図1e図1eおよび図1fは、それぞれ本発明に係る装置の第1の実施例の別の変形例の上方から見た線(BB)および側面から見た線(AA)に沿った断面図である。
図1f図1eおよび図1fは、それぞれ本発明に係る装置の第1の実施例の別の変形例の上方から見た線(BB)および側面から見た線(AA)に沿った断面図である。
図2図2は、本発明に係る装置の第2の実施例の透視図である。
図3図3は、第2の実施例の別の拡大透視図である。
図4図4は、図2および図3に示した第2の実施例の光学面に対して垂直から見た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
明確化のため、図面を構成する要素は必ずしも縮尺通りに表示されていない。
【0090】
図1a~図1cは、本発明に係る装置5の第1の実施例を示している。
【0091】
装置5は、板状の光学面10と、洗浄機器15と、を含む。
【0092】
洗浄機器15は、噴射部20と、光学面10に接触する波動トランスデューサ25と、を含む。トランスデューサ25は、その対向面30a、30bが、それぞれ、噴射部20及び光学面10によって覆われ、挟み込まれることによって保護されている。
【0093】
洗浄機器15は、光学面10の周縁部に配置されてもよい。
【0094】
トランスデューサ25は、図示しない電流発生器に電気的に接続することができる。電力が供給されると、トランスデューサは、光学面10内を伝播する超音波Wを生成する。超音波は、好ましくは、トランスデューサと接触する光学面の面35上を伝播するラム波または超音波表面波とすることができる。
【0095】
噴射部20には、矢印Cで示すように、タンクから、光学面につながる分配オリフィス45に洗浄液Lを搬送するための供給路40が形成されている。
【0096】
装置は、洗浄液Lを分配オリフィス45に輸送するためのポンプ50を含み得る。
【0097】
供給路40は、トランスデューサ25に重ねることができ、30mm未満の距離とすることができる。このようにして、供給路40に収容された洗浄液Lは、トランスデューサによるジュール加熱によって放散される熱によって加熱され得る。洗浄液を最適に加熱するために、噴射部は、好ましくは、トランスデューサと接触しているか、またはトランスデューサ25と接触している熱拡散部材55と接触している。図示された実施例の装置は、トランスデューサによって生成された熱を供給路に効率的に拡散させるために、トランスデューサを覆う、例えばアルミニウム製のこのような熱拡散部材55を含む。
【0098】
光学面を洗浄するために、例えばポンプ50による輸送によって、所定量の洗浄液が分配オリフィス45に搬送され、洗浄液が流れる。洗浄液は、洗浄機器が固定されている光学面の面35に到達する。トランスデューサは超音波表面波を生成し、超音波表面波は、洗浄液によって覆われた光学面の区域Zを通過する伝播経路に沿って、光学面の反対側の端部60に向かってトランスデューサの光学面内を伝播する。
【0099】
洗浄液は、光学面上の超音波の作用により、矢印Dで示すようにトランスデューサから遠ざかる。こうして、洗浄液は、光学面に付着した、ほこりや油状の粒子などの物体65にたどり着くことができる。その後、図1cに示されるように、物体は洗浄液中に溶解し、端部60を介して光学面から排出される。
【0100】
有利なことに、噴射部によって光学面上に送られた洗浄液の全量を、超音波Wの伝播の効果で排出することができる。これにより、光学面から排出されない洗浄液の蒸発に起因する残留膜の形成が回避される。
【0101】
図1a~図1cに示される装置の光学面は水平に示されているが、装置の動作効率に影響を与えることなく、明らかに斜めまたは垂直にすることができる。
【0102】
図1dに示す変形実施形態では、トランスデューサを熱拡散部材から分離するために、トランスデューサ25と熱拡散部材55との間にスロット61を設けてもよい。この例示的な実施形態は、トランスデューサの厚さがトランスデューサによって生成される超音波の波長よりも小さい場合、例えばトランスデューサの厚さが50μm未満である場合に好ましい。トランスデューサの熱拡散部材は、音響絶縁要素62に固定、例えば接着することができ、音響絶縁要素62は、例えば熱可塑性プラスチックから作られ、光学面10に固定され、トランスデューサよりも大きな厚さを有する。
【0103】
図1eおよび図1fは、本発明による装置の別の実施例を示しており、特に図1dに示された装置と異なるのは、トランスデューサが、圧電基板71と、基板に接触する逆極性を有する2つの電極と、を含む点である。電極はそれぞれ櫛72の形状をしており、櫛72は、コネクタ73と、コネクタから垂直に延びるフィンガ74と、からなる。櫛のフィンガは相互に接続されている。電極に電力が供給されると、極性の違いにより、周縁部の櫛で区切られた基板の部分Pに圧電基板71の振動が発生し、その結果、超音波が発生する。圧電基板は、櫛の周縁フィンガによって区切られたアセンブリの外側に延びているため、電極に電力を供給しても直接波が発生しない、トランスデューサの非活性部分Pを画定する。図1eおよび図1fに示されるように、熱拡散部材は圧電基板の非活性部分Pに固定され、熱拡散部材によって、トランスデューサと噴射部との間に、噴射部の櫛を離間させるのに充分な厚さのスロットが形成される。したがって、トランスデューサの加熱により発生した熱は、熱拡散部材を介した伝導により、噴射部内を循環する洗浄液に効率よく伝達される。好ましくは、電極に電力が供給されたときの短絡の形成を回避するために、熱拡散部材は、超音波の波長よりも大きい距離だけ櫛から離間される。
【0104】
図2図4は、本発明に係る装置の第2の例示的な実施形態を示している。
【0105】
この装置15は、光学面10が、上下に積み重ねられ、相補的な形状を有する互いに接触する面を有する2つの部分70、75を含む点で、特に図1aに示された装置とは異なる。
【0106】
第1の部分70は、音響伝導性があり、超音波Wを伝播するように意図されている。第1の部分70は、例えば自動車のフロントガラスなどのより大きな面積を有する第2の部分75に取り付けられている。
【0107】
第2の部分75は、トランスデューサによって生成された超音波を伝播させることを意図していないため、音響的に絶縁され得る。
【0108】
第1の部分70は、例えば感熱性接着剤の層によって、第2の部分75に取り外し可能に固定することができる。そのため、これら2つの部分の一方または他方が破損した場合、破損した部分は容易に交換される。
【0109】
更に、図2図4に示す装置は、噴射部が、構造体80と、その構造体に収容されたスプリンクラーノズル85と、を含む点でも、図1a~図1cに示す装置と異なっている。
【0110】
構造体80は、スプリンクラーノズルと同様に、第1の部分70の全幅lに沿って延びるアーム90を含む。アームは、軸Xを有し、横断面が円弧状の輪郭を有する直線溝95を含む。構造体は更に、第2の部分75と接触し、アームから第2の部分に垂直に延びる足部97を含み得る。
【0111】
図4に示す例では、装置は、第1の音響伝導性部分70と接触し、アーム90によって全体が覆われた、超音波を発生させるための1つまたは複数のトランスデューサ25を含む。
【0112】
スプリンクラーノズル85は溝95に収容されている。スプリンクラーノズル85は、構造体に対して溝内の軸Xを中心に回転可能である。また、スプリンクラーノズル85は、構造体に対して軸Xに沿って並進可能に固定されるように、構造体によって保持され得る。
【0113】
スプリンクラーノズル85は、半径方向外側の面の形状が溝の形状を相補する壁100を含む回転軸Xを有する円筒状の管とすることができる。管は、軸Xに沿った両端部105、110で閉じられ得る。
【0114】
更に、構造体80及びスプリンクラーノズル85は、洗浄液Lをタンクから光学面10に搬送するために流体連通している。
【0115】
この構造体は、足部97に形成されたスロット115を含み、スロット115は、一方の端部において溝95につながり、他方の端部において第2部分の厚さを貫通する穴120につながる。洗浄液は、穴120を介して構造体内に導入され得る。
【0116】
スプリンクラーノズル85は、中空の内部空間125と、スロット115につながる壁に作られた開口130と、光学面10上につながる壁に作られた1つまたは複数の分配オリフィス45とを含み得る。内部空間125は、好ましくは、破線で示されたトランスデューサ25に重なっている。
【0117】
このように、開口130によって流体連通するスロット115及び内部空間125は、洗浄液を供給する流路を画定する。
【0118】
図4の矢印Cで示されるように、こうして洗浄液Lは穴120から供給路に流れ込み、そこでトランスデューサ25が発する熱によって加熱される。その後、分配オリフィス45を通って光学面上に送られる。
【0119】
その後、図1a~1cに既に示したように、洗浄液はトランスデューサから発生する超音波によって光学面上を移動し、光学面が洗浄される。
【0120】
更に、噴射部は、スプリンクラーノズル85を軸Xを中心とする特定の角度位置に配置するためのモータを含むことができる。
【0121】
構造体は、トランスデューサおよび/またはモータを発電機に電気的に接続するために、電気ケーブルが収容可能な1つまたは複数のダクト140を含み得る。
【0122】
有利なことに、第2の実施例に図示された装置は、例えば、図2に示されたような機器150が第1の部分を通して光線を発信および/または受信することを可能にするために、第1の部分の面145を効率的に洗浄することを可能にする。
【0123】
当然のことながら、本発明は、非限定的に例示した本発明の例示的な実施形態に限定されるものではない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2
図3
図4
【国際調査報告】