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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   F27B 3/08 20060101ALI20240319BHJP
   F27D 11/08 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J1/00 304A
F27B3/08
F27D11/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023560341
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 IT2022050072
(87)【国際公開番号】W WO2022208563
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000007892
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514165990
【氏名又は名称】ダニエリ オートメーション ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】モルデッリア アントネッロ
(72)【発明者】
【氏名】ポーロ アンドレア
【テーマコード(参考)】
4K045
4K063
5G165
【Fターム(参考)】
4K045AA04
4K045BA02
4K045DA02
4K045RB02
4K063AA04
4K063AA12
4K063BA02
4K063CA01
4K063FA73
5G165EA06
5G165HA02
(57)【要約】
直流のユーザ装置(11)のための給電装置(10)は、商用電源電圧及び商用電源電流を供給する給電手段(12)と、直流電圧を別の値の直流電圧に変換する静的な電力変換器(15)と、を備えており、静的な電力変換器(15)は、対応する入力接続回路(23,40)を用いて給電手段(12)に接続されると共に、対応する出力接続回路(24)を用いてユーザ装置(11)に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流のユーザ装置(11)のための給電装置(10)であって、
給電電圧及び給電電流を供給する給電手段(12)と、
直流電圧を別の値の直流電圧に変換するように構成された静的な電力変換器(15)と、
を備えており、
前記静的な電力変換器(15)は、対応する入力接続回路(23,40)を用いて前記給電手段(12)に接続されると共に、対応する出力接続回路(24)を用いて前記ユーザ装置(11)に接続されている給電装置(10)において、
前記入力接続回路(23,40)及び/又は前記出力接続回路(24)のうち少なくとも1つは、超電導ケーブルにより作製されたラインの少なくとも1つの区間(30,31,32,33,41,42)を含む
ことを特徴とする給電装置(10)。
【請求項2】
前記給電手段(12)は、交流のエネルギーを供給するために適した配電網(12A)を含み、
前記給電装置(10)は、前記交流の電気エネルギーを直流の電気エネルギーに変換するように構成された整流装置(14)を備えており、
前記整流装置(14)は前記電力変換器(15)に接続されており、
前記整流装置(14)と前記電力変換器(15)とは互いに物理的に離隔していると共に、超電導ケーブルにより作製されたラインの区間(30,31)を用いて互いに接続されている、
請求項1記載の給電装置(10)。
【請求項3】
前記電力変換器(15)と前記ユーザ装置(11)とは互いに物理的に離隔していると共に、超電導ケーブルにより作製されたラインの区間(32,33)を用いて互いに接続されている、
請求項1又は2記載の給電装置(10)。
【請求項4】
前記給電手段(12)と前記ユーザ装置(11)との間に複数の前記静的な電力変換器(15)が接続されており、
前記複数の静的な電力変換器(15)は互いに並列に接続されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項5】
前記各静的な電力変換器(15)はそれぞれ、2以上の対のスイッチ素子(26,26’)と、並列に接続された対応するダイオード(27,27’)と、を備えており、
前記各対は、各対応する入力コンデンサ(28,28’)及び出力インダクタ(29,29’)に接続されており、
前記対と前記インダクタ(29,29’)と接続する前記ラインの区間(32)は超電導ケーブルにより作製されている、
請求項4記載の給電装置(10)。
【請求項6】
前記入力接続回路(23,40)の前記ラインの区間(30,31,41)及び前記出力接続回路(24)の前記ラインの区間(32,33)は、超電導ケーブルから作製されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項7】
前記給電装置(10)の少なくとも第1の部分(P1)は第1の建物(34)又は第1の設置場所に配置されると共に、前記給電装置(10)の少なくとも第2の部分(P2)は第2の建物(35)又は第2の設置場所に配置され、
両部分(P1,P2)は、超電導ケーブルにより作製された前記ラインの1つ又は複数の区間(30,31,32,33)により接続されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項8】
前記第1の建物(34)に配置された前記第1の部分(P1)は、整流装置(14)と、場合によっては当該整流装置(14)の上流に接続されたトランス(16)とを備えており、
前記第2の建物(35)に配置された前記第2の部分(P2)は、前記電力変換器(15)と、前記出力接続回路(24)における前記ユーザ装置(11)に接続された少なくとも一部とを備えている、
請求項7記載の給電装置(10)。
【請求項9】
前記給電手段(12)は少なくとも1つの代替エネルギー源(12B)、好適には再生可能型の代替エネルギー源(12B)を備えている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの代替エネルギー源(12B)は、前記電力変換器(15)の直流回路又は直流リンク(38)において前記電力変換器(15)のスイッチ素子(26)の上流に接続されている、
請求項9記載の給電装置(10)。
【請求項11】
前記ラインの区間(30,31,32,33,41,42)を構成する前記超電導ケーブルは、冷媒液が導入される単純又はコルゲート管により作製された同軸被覆を備えており、前記冷媒液は、窒素又はヘリウム等の液体ガスから選択されたものである、
請求項1から10までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項12】
前記1つ又は複数の超電導ケーブルの少なくとも一部は、二ホウ化マグネシウムにより作製されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項13】
直流電気炉(11)と、請求項1から12までのいずれか1項記載の給電装置(10)と、を備えた製鋼プラント(20)であって、
前記給電装置(10)は前記給電手段(12)と前記電気炉(11)との間に接続されており、予め定められた値を有する直流電圧と直流電流とで前記電気炉(11)に給電するように構成されている
ことを特徴とする製鋼プラント(20)。
【請求項14】
前記給電装置(10)に配置された極低温冷却ユニット(37)を備えており、前記極低温冷却ユニット(37)は、超電導ケーブルにより作製されたラインの1つ又は複数の区間(30,31,32,33,41,42)を冷却するように構成されている、
請求項11記載の製鋼プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流ユーザ装置、特に製鋼用の鉄鋼用電気炉、又は金属若しくはガラス材料その他これらに類する若しくは同等の材料の加工の他の分野のための給電装置に関するものである。
【0002】
給電装置は特に、電気エネルギー供給手段から供給された電気エネルギーを、給電ラインを用いてユーザ装置に輸送するために適したものであり、負荷損失を最小限に抑えるものである。
【背景技術】
【0003】
公知の通り、鉄鋼用の電気炉は、高電力及び高電流を提供する効率的な給電システムを要する。
【0004】
給電システムは通常、給電ラインを用いてユーザ装置に接続される例えば配電網等のエネルギー源を提供する。この給電ラインに沿って一連の電気機器が設けられている。すなわち給電ラインは、配電網とユーザ装置との間の複数の電気装置を接続する中間区間の系列を提供する。
【0005】
エネルギー源とユーザ装置と中間区間との間の公知の種類の接続部は導電性材料から成り、特に、電力線の大半は銅、アルミニウム又はその他の金属合金のケーブルから成る。
【0006】
大電流を輸送するためには、断面が大きいケーブルを用いることが公知である。というのも、その断面の寸法は、電気工学システムにおいて知られている法則に従って設定されるからである。よって、このケーブルの各断面は最大200~400mm径に達することがあり、これらの複数のケーブルを並列に接続して数千アンペアを輸送できるようにする。その結果、コスト及び重量が増大し、エネルギー伝送効率の観点において損失が増大する。
【0007】
また、電圧が上昇するにつれて電気エネルギー輸送の利便性が向上することも知られている。電気輸送ラインにおけるエネルギー損失の主な原因は、電流が流れることにより発熱するジュール効果による損失である。
【0008】
ラインによって輸送される電力は電圧と電流との積に等しいので、電力が同じである場合、電流を減少して上記の損失を低減するためには、電圧を上昇させることで足りることが分かる。エネルギー輸送は一般に、非常に高い直流電圧(DC)を用いる特殊な状況又は用途であって、これにより使用される直流電流が低くなる状況又は用途を除いて、交流(AC)で行われ、これによりジュール効果に起因する損失を大幅に低減することができる。
【0009】
しかしエネルギー輸送の際の損失を防ぐために高電圧を用いることには限界がある。その主な原因は、ケーブル絶縁と、不具合発生時のシステムの本質安全性とによるものである。
【0010】
電気炉用又はユーザが高い動作電流を要する全てのケース用の直流電力線では、独自の高圧/中圧(HV/MV)変電所に配電網を接続することが慣用となっており、かかる独自の高圧/中圧変電所は、最終ユーザから数百メートルの距離に位置することがあり得る。
【0011】
その際には、上記の変電所は通常、追加のMV/MV(中圧/中圧)降圧調整トランスを用いてユーザ装置の給電装置、すなわち電気炉の給電装置に接続される。
【0012】
例えば、配電網から供給された交流の電圧を直流の電圧に変換する整流装置と、負荷に供給される電圧値を調整する静的な電力変換器と、を備えたユーザ装置が公知である。上記の給電装置は、上述の損失を抑えつつ高電流を供給できるようにするため、典型的にはユーザから数十メートルの距離に位置する。
【0013】
しかし、エネルギー源間の距離をこのように近距離とし、これにより配電網及び/又は変電所又は中間電気装置と給電装置とユーザ装置との間の距離を近距離としたいとの要請により、既存のライン及び/又はプラントに変更又は改造を行う必要がある場合に障害となるおそれのある非常に厳しい制約になることが多い。
【0014】
国際公開第03/019986号に、電気炉用の直流給電装置が記載されている。
【0015】
欧州特許出願公開第2528180号明細書に、直流のエネルギーの伝送用の方法及びシステムが記載されている。
【0016】
よって、従来技術の欠点のうち少なくとも1つを解消できる直流ユーザ装置用の給電装置を完成する必要がある。
【0017】
よって本発明の一目的は、高エネルギー消費量の装置を含めた1つ又は複数のユーザ装置を効率的かつ経済的に少なくとも1つの電気エネルギー源に接続できるだけでなく、給電ライン上の電気エネルギー輸送に起因する通常の損失、例えばジュール効果による損失等を抑える、鉄鋼用の給電装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の一目的は、各種構成要素間の距離に関して実質的に制約が無い給電装置であって、例えば製鋼プラントを拡張するため、又は新規の構成要素を設置するため等に、必要な場合に当該給電装置を構成する各種電気装置を効果的に互いに離隔することができる給電装置を提供することである。
【0019】
本発明の他の一目的は、極めて多岐にわたって変更可能かつフレキシブルであり、都度の要求に合わせて調整可能な給電装置を提供することである。
【0020】
本発明の他の一目的は、少なくとも部分的に公共の配電網に依存せずに機能することができ、これによりエネルギー供給コストを削減して全体的な製造コストを削減できると共に、配電網自体のあらゆる電力消費量に拘束されない製鋼プラント用の給電装置を提供することである。
【0021】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0022】
本発明は独立請求項に記載され、またその特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0023】
上記目的に鑑みて、本発明のユーザ装置のための給電装置、特に鉄鋼用又はガラス若しくは金属加工用の直流電気炉のための給電装置は、給電電圧及び給電電流を供給する電気エネルギー供給手段と、当該電気エネルギー供給手段と前記ユーザ装置との間の少なくとも1つの電気的接続ラインと、直流電圧を別の値の直流電圧に変換するように構成された電力変換器と、を備えており、前記電力変換器は、対応する入力接続回路を用いて前記電気エネルギー供給手段に接続されると共に、対応する出力接続回路を用いて前記ユーザ装置に接続されている。
【0024】
本発明の一側面では、前記入力接続回路及び/又は前記出力接続回路のうち少なくとも1つは、超電導ケーブルにより作製されたラインの少なくとも1つの区間を含む。
【0025】
一部の実施形態では前記電力変換器は、直流回路又は直流リンクと前記ユーザ装置との間の接続回路を開放する指令と閉成する指令とを選択的に受け取ることができる電子スイッチと、前記電子スイッチに直列かつ前記ユーザ装置に対して逆並列に接続された還流ダイオード(recirculation diode)と、を備えたスプリッタ装置である。
【0026】
前記電力変換器は静的形式とすることができ、また、前記整流装置に並列に接続された入力コンデンサと、出力インダクタと、を備えることができ、前記出力インダクタの一方の側は前記ユーザ装置に接続され、他方の側は前記電子スイッチと前記ダイオードとの間の接続点に接続されている。
【0027】
一部の実施形態では、前記電気エネルギー供給手段は、交流の電気エネルギーを供給する配電網を含み、前記給電装置は、前記交流の電気エネルギーを直流の電気エネルギーに変換するように構成された整流装置を備えており、前記整流装置は前記電力変換器の上流において前記入力接続回路に接続されている。
【0028】
一部の実施形態では、前記整流装置の上流にトランス、例えば高圧/中圧トランス又は中圧/中圧トランス等を設けることができる。前記トランスは、前記配電網から供給された交流の電気エネルギーを、給電値とは異なる適した値を有する交流電圧及び交流電流に変換することができるものである。
【0029】
一部の実施形態では、前記整流装置と前記電力変換器とを接続する前記入力接続回路の前記ラインの区間は、少なくとも入力コンデンサの上流まで全部、超電導ケーブルから作製されている。
【0030】
一部の実施形態では、前記電気エネルギー供給手段は少なくとも1つの代替エネルギー源、好適には再生可能型の代替エネルギー源を備えており、前記代替エネルギー源は前記入力接続回路に接続され、供給配電網から供給された電気エネルギーと共に、又はこれに代えて、供給エネルギーを前記ユーザ装置に供給するように構成されている。
【0031】
この代替エネルギー源によって、配電網に依存せずにユーザ装置に少なくとも部分的に給電することができ、場合によってはユーザ装置を配電網から少なくとも一時的に切り離すことができ、又はいずれの場合においても、毎日の時間帯に依存して配電網からのエネルギーの供給を低減し、場合によっては最も費用が安い時間にエネルギーの供給を制限することができる。
【0032】
一部の実施形態では、前記代替エネルギー源は再生可能な太陽光、風力若しくは水力発電エネルギー源、又は非再生可能エネルギー源、例えば石油、石炭若しくはガス等の化石燃料の燃焼によるエネルギー源等から選択することができる。
【0033】
代替エネルギー源は有利には、電子スイッチの上流において直流回路又は直流リンクに対応して前記静的な電力変換器に接続することができる。
【0034】
好適には、前記代替エネルギー源を前記電力変換器に接続するラインの少なくとも1つの区間が超電導ケーブルにより作製されている。かかる構成により、代替エネルギー源をユーザ装置から数百メートルから最大数十キロメートルといった非常に遠距離にも配置することも可能になり、また、実質的に無視できる程度の損失で、特に直流で電気エネルギーを伝送することができる。ここで記載されている他の実施形態と組み合わせ可能な他の実施形態では、出力接続回路のラインの少なくとも1つの区間が超電導ケーブルにより作製されている。
【0035】
例えば、出力接続回路の全部がユーザ装置に至るまで、又は少なくとも出力インダクタとの接続点に至るまで、超電導ケーブルにより作製することができる。
【0036】
出力インダクタとユーザ装置との間に伝統的なタイプの導体ケーブルを設けることができる。
【0037】
一部の実施形態では、給電回路のラインのうち直流が通る全ての区間を超電導ケーブルにより作製することができる。
【0038】
上記及び下記において「超電導ケーブル」とは、HTS(高温超電導(High Temperature Superconductivity))として定義されるセミセラミック若しくはセラミック材料、又はLTS(低温超電導(Low Temperature Superconductivity))として定義される金属材料により作製された電気的ケーブルをいう。これらの材料は臨界温度になると、電流の通過に対して抵抗が実質的にゼロになるという特性を有し、この臨界温度は各材料ごとに固有である。特に当該超電導ケーブルは、BCS(Bardeen-Cooper-Schrieffer)超電導理論に従うもの、セラミック系、金属系又は塩系のものとして定義されたケーブルである。
【0039】
有利には、ラインの1つ又は複数の区間を作製するために1つ又は複数の超電導ケーブルを用いることにより、電気エネルギー供給手段からある程度の距離にある少なくとも1つのユーザ装置を、エネルギー消費量が高い装置であっても電気エネルギー供給手段に効率的に接続することができ、なおかつ、給電ライン上での電気エネルギーの輸送に起因する通常の損失、例えばジュール効果による損失等を抑えることができる給電装置を製造することができる。
【0040】
給電装置の接続回路の少なくとも一部を作製するために超電導ケーブルを用いることにより、給電装置の第1の部分と第2の部分とを、例えば数十メートルから数百メートルに及ぶ距離だけ、又は数キロメートルの距離だけ分離して離隔することができ、なおかつ損失を無視できる程度にすることができる。
【0041】
このようにして、給電装置における例えばトランス及び整流装置を備えた第1の部分を第1の建物に、例えば配電網に近接する建物等に設置すると共に、少なくとも出力回路を備えた第2の部分を、ユーザ装置の配置場所である第2の建物に設置することができる。
【0042】
よって、本発明の給電装置は電気エネルギー供給手段とユーザ装置との間の距離に関する制約に実質的に拘束されないものとなる。
【0043】
さらに、本発明の給電装置は各種構成要素と電気的装置との間の距離に関する制約を課されることもない。すなわち、必要に応じて給電装置の構成要素間に極めて可変でフレキシブルな距離を有効に設けることができる。かかる距離は、例えば製鋼プラントを拡張する必要がある際、又は新規構成要素を設置する必要がある際等に必要となり得る。これは、直流電流の輸送において超電導ケーブルが特に効率的であることにも拠る。
【0044】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本願に記載の一部の実施形態の給電装置の概略図である。
図2】一部の変形形態の給電装置の概略図である。
図3】本願に記載の他の実施形態の給電装置の概略図である。
図4】本発明の給電装置の電力変換器の入力電圧及び出力電圧の傾向を示す概略的なグラフである。
図5図1の給電装置の一変形形態の概略図である。
図6図2の給電装置の一変形形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
理解しやすくするため、可能な場合には、図面中同一の共通要素に対して同一の符号を付している。ある実施形態の要素や特徴は、さらなる説明を要することなく簡単に組み合わせることができ、又は他の実施形態に組み込むことができる。
【0047】
ここで、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。添付の図面には例示として非限定的に、これら実施形態のうち1つ又は複数の例が示されている。本願で使用される文言や用語用法は、非限定的な例示を目的とするものである。
【0048】
ここで添付図面を参照して説明する実施形態は、ユーザ装置11へ電気エネルギーを供給するために適した電気エネルギー供給装置10に関するものであり、上記ユーザ装置11は特に、鉄鋼用又はガラスその他材料の溶融用のプラント20の電気炉11である。
【0049】
電気炉11は例えば直流電気アーク炉とすることができる。
【0050】
給電装置10は、予め定められた電圧値、電流値及び周波数値を有する電気エネルギーを供給するために適した電気エネルギー供給手段12を備えている。
【0051】
図1~3及び図5,6を参照して説明する実施形態では、電気エネルギー供給手段12は交流の電気エネルギーを供給するように構成された配電網12A、例えば三相配電網等を備えており、給電装置10は配電網12Aに接続するための接続手段13と、電気炉11に接続するための手段と、を備えている。
【0052】
給電装置10は、配電網12Aに接続された整流装置14と、当該整流装置14と電気炉11との間に接続された静的な電力変換器15と、を備えており、整流装置14は交流の電圧を直流の電圧に変換するように構成されている。
【0053】
電力変換器15は、直流の入力電圧Vinを別の値の直流の出力電圧Voに変換するように構成されている。
【0054】
給電装置10はまた、整流装置14の上流において配電網12Aに接続されたトランス16であって、後者により供給された電気エネルギーを、所望の電圧値及び電流値を有する電気エネルギーに変換するように構成されたトランス16を備えている。
【0055】
トランス16は例えば、高圧/中圧(HV/MV)トランス又は中圧/中圧(MV/MV)トランスとすることができ、また、トランス16はトランス一次側17を少なくとも1つのトランス二次側18に磁気結合したものを備えることができる。
【0056】
トランス16と、整流装置14と、電力変換器15と、電気炉11とは、それぞれの接続回路21,22,23,24によって互いに接続されており、これらの接続回路21,22,23,24はまとめて給電ライン25を構成する。
【0057】
整流装置14は例えばダイオードブリッジ又はサイリスタブリッジとすることができ、また、ダイオード、SCR(Silicon Controlled Rectifier)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、IGCT(Integrated Gate-Commutated Thyristor)、MCT(Metal-Oxide Semiconductor Controlled Thyristor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)及びSiC(Silicon Carbide Device)から選択された素子を備えることができる。
【0058】
電力変換器15は、当該分野において「チョッパ」としても知られている電子的スプリッタとして具現化することができる。
【0059】
電力変換器15は整流装置14と電気炉11との間に、直流接続回路又は直流リンク38を開放する指令と閉成する指令とを選択的に受け取ることができる電子スイッチ26を備えており、また、電子スイッチ16に直列かつ電気炉11に対して逆並列に接続された還流ダイオード27を備えている。
【0060】
スイッチ26は例えばサイリスタ又はトランジスタから選択することができ、例えばGTO(Gate Turn-Off thyristor)、IGCT(Integrated Gate-Commutated Thyristor)、MCT(Metal-Oxide Semiconductor Controlled Thyristor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)等から選択することができる。
【0061】
スイッチ26の開放期間すなわち阻止期間Tonの持続時間と閉成期間すなわち導通期間Toffの持続時間とを適切に調整することにより、電気炉11に伝送される電圧Voを定めることができる。
【0062】
特に、本具体例では電気炉11である負荷に供給される電圧Voの調整は、導通期間Tonと阻止期間Toffとの和により与えられる固定された整流期間Tを維持しながら導通期間Tonを変えることにより行うことができる。これに代えて、導通期間Tonを一定に維持しつつ整流期間Tを変えることも可能である。
【0063】
いずれの場合においても、電力変換器15の入力電圧Vinの値未満の平均電圧値Vmが得られる。
【0064】
とりわけ、平均値Vmは以下の式により算出することができる。
Vm=Vin×(Ton/T)
【0065】
スイッチ26が導通状態にある場合、当該スイッチ26に電流が流れて電気炉11に電圧Vinで給電が行われ、逆にスイッチ26が阻止状態にある場合、当該電子スイッチ26の次の整流まで、ダイオード27を通る回路内で電流が逆並列に循環する。
【0066】
また電力変換器15は、スイッチ26とダイオード27との直列回路の下流において整流装置14に対して並列に接続されたコンデンサ28と、インダクタ29と、を備えることもでき、このインダクタ29の一方の側は電気炉11に接続され、他方の側は電子スイッチ26とダイオード27との間の接続点に接続されている。
【0067】
本発明の一側面では、電力変換器15の入力接続回路23又は出力接続回路24のうち少なくとも一方が、超電導ケーブルにより作製された電気的ラインの少なくとも1つの区間30,31,32,33を含む。
【0068】
一部の実施形態では、少なくとも入力接続回路23のラインの区間30,31が超電導ケーブルにより作製されている。
【0069】
上記の実施形態と組み合わせ可能な一部の実施形態では、少なくとも出力接続回路24のラインの区間32,33が超電導ケーブルにより作製されている。
【0070】
好適な実施形態では、入力接続回路23及び出力接続回路24のラインの全ての区間30,31,32,33が超電導ケーブルにより作製されている。
【0071】
この超電導ケーブルは、断面寸法が極めて小さく、直流DCで生じる損失が実用上ゼロであることを特徴とする。
【0072】
上記の超電導ケーブルは例えば、その少なくとも一部を二ホウ化マグネシウムにより作製することができ、又は超電導を生じるために開発された他の合金により作製することができる。超電導ケーブルの断面は、当該分野において使用される銅導体ケーブルの断面と比較して非常に小さいので、断面が同じである場合、超電導ケーブルは伝統的なケーブルより格段に大量の電流を伝送することができる。
【0073】
例えば電力ケーブルの寸法では、容量は銅の場合の約1.5A/mmから直流超電導ケーブルの場合の約1000A/mmまでの範囲に及ぶ。
【0074】
適正に動作するためには、例えば極低温冷却ユニット37等を用いてラインの各区間30,31,32,33の超電導ケーブルを強制冷却するのが好適であり、上記の極低温冷却ユニット37は給電装置10内に適切に配置される。
【0075】
例えば超電導体が二ホウ化マグネシウムである場合、冷却媒体は通常はヘリウムとなる。しかし、超電導ケーブルを構成する材料の種類に応じて他のガスも使用可能であり、例えば酸素、窒素、水素及び/又はこれらの組み合わせを使用することができる。
【0076】
好適には、1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製されたラインの区間30,31,32,33は20~30K(-240℃)の温度まで強制冷却される。これにより、直流DCにおけるラインの区間30,31,32,33の抵抗が実際に無視できる程度の値になり、極めて大量の電子が優先的に通過して大量の電流を伝送することができる。
【0077】
この冷却は例えば、ラインの区間30,31,32,33の同軸被覆を使用し、これに液体ガス等の冷媒液を流すことにより行うことができ、上記の液体ガスは例えば窒素又はヘリウム等であり、同軸被覆は、追加の単純又はコルゲート管により作製することができる。
【0078】
これらのラインの区間30,31,32,33を構成する超電導ケーブルは、地中に直線状又は曲線状に設置できるように、比較的高剛性又は比較的低剛性とすることができる。
【0079】
超電導ケーブルを使用して接続回路23,24の少なくとも一部を作製することにより、配電網12Aとの接続点と電気炉11とを離隔することができ、なおかつ損失を実質的にゼロにし、又はいかなる場合においても無視できる程度にすることができる。
【0080】
超電導ケーブルを用いることによって特に、プラントの種々の要求に応じて、例えば拡張、構成要素又は部品の追加又は分離等に応じて、配電網12Aに接続するための接続手段13と電気炉11との距離を拡大することができ、この距離は、伝統的なプラントでは一般に数メートルから最大約20~40m、又は最大数百メートル、又は数キロメートルとすることもできる。
【0081】
図2及び図3を参照して説明する実施形態では、給電装置10の第1の部分P1は第1の建物34又は第1の設置場所に配置されると共に、給電装置10の少なくとも第2の部分P2は第2の建物35又は第2の設置場所に配置されることができる。これら2つの部分P1,P2は、超電導ケーブルにより作製されたラインの区間30,31,32,33により互いに接続されている。
【0082】
図2を参照して説明する一部の実施形態では、第1の部分P1は例えばトランス16と整流装置14とを備え、それに対して第2の部分P2は、電力変換器15の少なくとも一部と、場合によっては電気炉11とを備えている。
【0083】
第1の部分P1及び第2の部分P2は、互いに数十メートル若しくは数百メートル、又は数キロメートルもの遠距離に離隔している各建物34,35又は各設置場所に設置することができる。
【0084】
他の実施形態では、電力変換器15及び電気炉11の両方を同一の建物35に設置することができ、又はいずれの場合においても、同一の設置場所において互いに近接して設置することができる(図3)。
【0085】
可能な変形形態では、電力変換器15と電気炉11とを互いに分離された異なる建物35,36に設置することができ、その際には、給電装置10の第3の部分P3を構成する電力変換器15のインダクタ29が、電気炉11と同一の建物36又は場所に配置される。
【0086】
例えば図3を参照して説明するような他の実施形態では、給電装置10は複数の電力変換器15を備えており、これらは特にスプリッタ装置として作製されており、整流装置14と電気炉11との間において互いに並列に接続されている。
【0087】
また、各電力変換器15が2以上の対のスイッチ素子26,26’と、並列接続された対応するダイオード27,27’と、を備えることもできる。各対は、各対応する入力コンデンサ28,28’及び出力インダクタ29,29’に接続することができる。
【0088】
複数の電力変換器15により実現される上記のようなモジュール構成により、特に高周波整流にさらされる電子スイッチ16に関して給電装置10の信頼性を向上する冗長性が実現され、それと共に、整流により生じる高調波の低減も実現される。例えば、パルス数24,48,64又はそれ以上の構成を実現するように電力変換器15の数を設定することができ、これにより高調波成分が一層低減する。
【0089】
例えば図5及び図6により示されるような他の実施形態では、電気エネルギー供給手段12は、配電網12Aとは異なると共に配電網12Aに依存しない、好適には再生可能型の代替エネルギー源12Bを少なくとも1つ備えており、本実施形態は上記の実施形態と組み合わせ可能である。
【0090】
代替エネルギー源12Bは、供給配電網12Aから供給された電気エネルギーと共に、又はこれに代えて、供給エネルギーを前記ユーザ装置11に供給するように構成されている
【0091】
また、異なる又は同一のタイプの複数の代替エネルギー源12Bを、共通の場所又は異なる場所に設置することも可能である。
【0092】
一部の実施形態では、少なくとも1つの代替エネルギー源12Bが配電網12Aから分離されてユーザ装置11に直接接続される。すなわち、少なくとも1つの代替エネルギー源12Bは配電網12Aと相互作用することなく、ひいては配電網12Aに接続するための接続手段13を経由することなく、ユーザ装置11にエネルギーを供給する。
【0093】
好適な実施形態では、代替エネルギー源12Bは再生可能エネルギー源、例えば太陽光、風力又は水力発電エネルギー源等である。
【0094】
一部の変形形態では、代替エネルギー源12Bは非再生可能型のエネルギー源、例えば石油、石炭若しくはガス等の化石燃料の燃焼によるエネルギー源等である。
【0095】
その際には電力変換器15は、代替エネルギー源12Bに接続される代替的な入力接続回路40を備えることができる。
【0096】
かかる代替的な入力接続回路40は、超電導ケーブルにより作製された電気的ラインの少なくとも1つの区間41,42を備えている。
【0097】
かかる構成により、代替エネルギー源12Bを製鋼プラント20から数百メートルから最大数十キロメートルといった非常に遠距離にも配置することも可能になり、また、実質的に無視できる程度の損失で、特に直流で電気エネルギーを伝送することができる。
【0098】
代替エネルギー源12Bは好適には、電子スイッチ26の下流において直流リンク38に対応して前記静的な変換器に接続される。
【0099】
一部の実施形態では、上記の少なくとも1つの代替エネルギー源12Bは、直流電圧及び直流電流DCを供給するように構成された少なくとも1つの直流電気エネルギー源43を備えている。
【0100】
可能な解決手段では、直流電気エネルギー源43は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するために適した複数の太陽光発電パネル44を備えている。
【0101】
図6を参照して説明する実施形態では、直流電気エネルギー源43はスイッチ26の上流において、特に直流回路又は直流リンク38において、電力変換器15に直接接続することができる。
【0102】
代替エネルギー源12Bと電力変換器15との間の距離に応じて、直流電気エネルギー源43と電力変換器15との間のラインの少なくとも1つの区間41,42を超電導ケーブルにより作製することができる。
【0103】
一部の実施形態では、直流の代替エネルギー源12Bと変換装置15との間のラインの全部の区間41,42を、超電導ケーブルにより作製することができる。
【0104】
可能な一変形形態では、接続ラインの少なくとも1つの区間50が伝統的なタイプのケーブルにより作製されている場合、損失を抑えるために当該伝統的なタイプのケーブルが交流電流を輸送するように構成することができ、また、ラインの区間50の上流と下流とに対応する変換装置48,49を設けて、直流から交流に、交流から直流にそれぞれ電流が変換されるようにすることができる。
【0105】
特に、交流のラインの区間50の上流にDC/ACコンバータ48を、とりわけ直流電気エネルギー源43に近接して配置することができ、また、当該ラインの区間50の下流にAC/DCコンバータ49を配置することができる。
【0106】
少なくとも、AC/DCコンバータ49と電力変換器15との間のラインの区間41が伝統的なケーブルにより作製されている場合、このAC/DCコンバータ49は電力変換器15に近接して配置することができる。
【0107】
一部の実施形態では、AC/DCコンバータ49と電力変換器15との間のラインの区間41を超電導ケーブルにより作製することができる。
【0108】
一部の実施形態では、上記の少なくとも1つの代替エネルギー源12Bは、交流電圧及び交流電流ACを供給するように構成された少なくとも1つの交流電気エネルギー源45を備えている。
【0109】
交流電気エネルギー源45は、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するために適した少なくとも1つの風力タービン46を有する風力発電プラントを備えることができる。一部の実施形態例では、少なくとも代替エネルギー源12Bが動作している際に、実質的に当該代替エネルギー源12Bによって供給されるエネルギーのみで電気炉11に給電できるようにするため、約5MWの電力をそれぞれ供給するために適した風力タービン46を20基以上設けることができる。
【0110】
他の変形態様では、交流電気エネルギー源45は、水力エネルギーを電気エネルギーに変換するために適した水力発電所又はダム47を備えることができる。
【0111】
交流電気エネルギー源45の場合、直流エネルギーに変換するためにAC/DCコンバータ49を設けることができる。AC/DCコンバータ49は、例えば伝統的なケーブル等により作製されたラインの区間51を用いて交流電気エネルギー源に接続することができ、また、ラインの区間41により電力変換器15に接続することができ、このラインの区間41は、AC/DCコンバータ49と電力変換器15との間の距離に応じて、伝統的なケーブル又は超電導ケーブルにより作製される。
【0112】
不図示の一部の実施形態では、伝統的なタイプの配電網12Aに何ら接続することなく、1つ又は複数の代替エネルギー源12Bのみを設けることも可能である。
【0113】
かかる変形形態でも、入力接続回路40とユーザ装置11との間において複数の電力変換器15を互いに並列に接続して設けることができる。
【0114】
上記にて説明した給電装置10については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0115】
添付の特許請求の範囲において括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、個々の請求項に記載の保護範囲について限定するものとみなすべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の電気炉(11)のための給電装置(10)であって、
給電電圧及び給電電流を供給する給電手段(12)であって、交流の電気エネルギーを供給するように構成された配電網(12A)を含む給電手段(12)と、
前記配電網(12)に接続され、前記交流の電気エネルギーを直流の電気エネルギーに変換するように構成された整流装置(14)と、
前記整流装置(14)と前記電気炉(11)との間に接続され、直流電圧を別の値の直流電圧に変換するように構成された静的な電力変換器(15)と、
を備えており、
前記静的な電力変換器(15)は、対応する入力接続回路(23,40)を用いて前記整流装置(14)及び前記給電手段(12)に接続されると共に、対応する出力接続回路(24)を用いて前記電気炉(11)に接続されている給電装置(10)において、
前記電力変換器(15)の前記入力接続回路(23,40)及び/又は前記出力接続回路(24)のうち少なくとも1つは、超電導ケーブルにより作製されたラインの少なくとも1つの区間(30,31,32,33,41,42)を含む
ことを特徴とする給電装置(10)。
【請求項2】
記整流装置(14)と前記電力変換器(15)とは互いに物理的に離隔していると共に、超電導ケーブルにより作製されたラインの区間(30,31)を用いて互いに接続されている、
請求項1記載の給電装置(10)。
【請求項3】
前記電力変換器(15)と前記電気炉(11)とは互いに物理的に離隔していると共に、超電導ケーブルにより作製されたラインの区間(32,33)を用いて互いに接続されている、
請求項1又は2記載の給電装置(10)。
【請求項4】
前記給電手段(12)と前記電気炉(11)との間に複数の前記静的な電力変換器(15)が接続されており、
前記複数の静的な電力変換器(15)は互いに並列に接続されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項5】
前記各静的な電力変換器(15)はそれぞれ、2以上の対のスイッチ素子(26,26’)と、並列に接続された対応するダイオード(27,27’)と、を備えており、
前記各対は、各対応する入力コンデンサ(28,28’)及び出力インダクタ(29,29’)に接続されており、
前記対と前記インダクタ(29,29’)と接続する前記ラインの区間(32)は超電導ケーブルにより作製されている、
請求項4記載の給電装置(10)。
【請求項6】
前記入力接続回路(23,40)の前記ラインの区間(30,31,41)及び前記出力接続回路(24)の前記ラインの区間(32,33)は、超電導ケーブルから作製されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項7】
前記給電装置(10)の少なくとも第1の部分(P1)は第1の建物(34)又は第1の設置場所に配置されると共に、前記給電装置(10)の少なくとも第2の部分(P2)は第2の建物(35)又は第2の設置場所に配置され、
両部分(P1,P2)は、超電導ケーブルにより作製された前記ラインの1つ又は複数の区間(30,31,32,33)により接続されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項8】
前記第1の建物(34)に配置された前記第1の部分(P1)は、前記整流装置(14)と、場合によっては当該整流装置(14)の上流に接続されたトランス(16)とを備えており、
前記第2の建物(35)に配置された前記第2の部分(P2)は、前記電力変換器(15)と、前記出力接続回路(24)における前記電気炉(11)に接続された少なくとも一部とを備えている、
請求項7記載の給電装置(10)。
【請求項9】
前記給電手段(12)は少なくとも1つの代替エネルギー源(12B)、好適には再生可能型の代替エネルギー源(12B)を備えている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの代替エネルギー源(12B)は、前記電力変換器(15)の直流回路又は直流リンク(38)において前記電力変換器(15)のスイッチ素子(26)の上流に接続されている、
請求項9記載の給電装置(10)。
【請求項11】
前記ラインの区間(30,31,32,33,41,42)を構成する前記超電導ケーブルは、冷媒液が導入される単純又はコルゲート管により作製された同軸被覆を備えており、前記冷媒液は、窒素又はヘリウム等の液体ガスから選択されたものである、
請求項1から10までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項12】
前記1つ又は複数の超電導ケーブルの少なくとも一部は、二ホウ化マグネシウムにより作製されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の給電装置(10)。
【請求項13】
直流電気炉(11)と、請求項1から12までのいずれか1項記載の給電装置(10)と、を備えた製鋼プラント(20)であって、
前記給電装置(10)は前記給電手段(12)と前記電気炉(11)との間に接続されており、予め定められた値を有する直流電圧と直流電流とで前記電気炉(11)に給電するように構成されている
ことを特徴とする製鋼プラント(20)。
【請求項14】
前記給電装置(10)に配置された極低温冷却ユニット(37)を備えており、前記極低温冷却ユニット(37)は、超電導ケーブルにより作製されたラインの1つ又は複数の区間(30,31,32,33,41,42)を冷却するように構成されている、
請求項11記載の製鋼プラント。
【国際調査報告】