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特表2024-513831ビデオゲーマーのパフォーマンスを改善するためのパラキサンチンの使用
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  • 特表-ビデオゲーマーのパフォーマンスを改善するためのパラキサンチンの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ビデオゲーマーのパフォーマンスを改善するためのパラキサンチンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20240319BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K31/522
A61K45/00
A61P25/00
A61P27/02
A61P19/02
A61P43/00 121
A61P25/24
A61P3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560373
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022022927
(87)【国際公開番号】W WO2022212770
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/168,458
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523360256
【氏名又は名称】ピーエックス・アイエヌジー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ジャガー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】パーピュラ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,カイリン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA31
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA121
4C084ZA122
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA33
4C086ZA96
4C086ZC21
4C086ZC75
(57)【要約】
約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することによって、対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらに、電子ゲームプレイ中の対象の気分を増強するか、または電子ゲームプレイ中の対象の気分の低下を防止するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することを含む方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、対象への組成物の投与は、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上を減少させるか、またはその増加を防止する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
パラキサンチンが約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ビデオゲームパフォーマンスが、正確さ、意思決定、反応時間、目と手の協調、またはゲームパフォーマンスから選択される尺度によって評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象におけるゲームパフォーマンスが、組成物の投与後に約10%~約70%上昇する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
組成物が1以上の追加の活性薬剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1以上の活性薬剤が、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB、タンパク質、セレン、消化が早い炭水化物、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アセチルL-カルニチン、チロシン、N-アセチル-L-チロシン、エルゴチオネイン、トリプトファン、5-HTP、アルギニン、シトルリン、ノルバリン、GABA、ドーパ(ベルベットビーン)、カンナ(セロトニン)、L-テアニン、ホスファチジルコリン、α-GPC(L-αグリセリルホスホリルコリン)、シチコリン(シチジン二リン酸コリン(CPDコリン))、重酒石酸コリン、bacopa Monnieri、ホスファチジルセリン、ピロカルピン、セビメリン、Amburana cearensis、Lippia sidoides、Paullinia cupana、Plathymiscium floribundum、クルクミノイド、カフェイン、クレアチン、生のコーヒーベリー、ヤマブシタケ、ナイアシン、カンナ抽出物、サフラン、SAMe、アセチルL-カルニチン、フペルジンA、ルテイン/ゼアキサンチン、イワベンケイ属、テアクリン、メチルコバラミン、マクナ メチルイベリン タウリン、電解質、イノシトール増強アルギニンケイ酸塩、硝酸塩、アデノシン三リン酸、バレリアン根、ケルセチン、ヘスペリジン、オオアザミおよびSolanum asperumから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
組成物がプレイ開始前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物がビデオゲームプレイ中に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物がビデオゲームプレイ中に反復間隔で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
組成物が、約1~約9週間の期間にわたり対象に毎日投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
パラキサンチンが合成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
パラキサンチンが天然源に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
対象における電子ゲームプレイ持久力を増強するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に提供することを含む、前記方法。
【請求項15】
パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象が少なくとも約100分間にわたり電子ゲームプレイを行っている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
電子ゲームプレイ中の対象の気分を増強するか、または電子ゲームプレイ中の対象の気分の低下を防止するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上を減少させるか、またはその増加を防止する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張および/または不安を減少させるか、またはその増加を防止する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における活力を増加させるか、またはその減少を防止する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(1以上)の相互参照
[001]本出願は、2021年3月31日に出願された「THE USE OF PARAXANTHINE TO IMPROVE PERFORMANCE IN VIDEO GAMERS,」と題する米国仮出願第63/168458号の優先権を主張するものであり、該仮出願を、35 U.S.C. §119(e)の下で全体として参照により本明細書に援用する。
技術分野
[002]開示する技術は一般に、対象におけるビデオゲームパフォーマンスの向上において使用するために、パラキサンチンを単独および組み合わせで使用するための組成物、方法およびシステムに関する。より詳細には、本開示は、合成的に生成されるか天然源に由来するかにかかわらず、パラキサンチンおよび他の化合物、ならびに、生理学的利益を提供するためのこれらの化合物の使用に関し、該生理学的利益は、パラキサンチン濃度ならびに相乗剤およびアンタゴニストの存在に応じて変動する可能性がある。
【背景技術】
【0002】
[003]大規模な会場が観客で満員になる競技スポーツ試合は、もはやサッカー、バスケットボール、ハンドボール、アメリカンフットボールまたは野球の領域だけではない。今は、eスポーツ(eSports)競技が含まれる。eスポーツという用語はまた、eスポーツ(esports)、e-スポーツ(e-sports)、競技(ビデオ)ゲーム、プロフェッショナル(ビデオ)ゲーム、またはプロゲーム(それぞれ本明細書では互換的に使用する)として知られ、またはそのようによばれる。2020年には、15億人がビデオゲームをプレイし、4億9500万人が世界中でeスポーツイベントを視聴し、2億7200万人が不定期の視聴者であり、2億2300万人が頻繁な視聴者/ファンである。2019年に世界中でeスポーツ選手権を見ているインターネットユーザーの62%は16~34歳であり、世界のeスポーツ視聴者は男性78%、女性22%からなる。米国では、2020年に人口の14%がにわかファン(casual fan)、5%が熱心なファン、81%がまったくファンではないと自称しており、とてつもない成長の可能性が示されている。
【0003】
[004]ゲーマーが最適なパフォーマンスを発揮するためには、パフォーマンスの多くの短期的および長期的側面に対処しなければならない。脳の健康状態、眼の健康状態、または関節の健康状態を長期的に保護する必要がある。パフォーマンスを最適化するためには、身体的および精神的な必要性の多くの側面に同時に対処しなければならない。反応時間、集中力、正確さ、注意力、記憶力、エネルギー、目と手の協調(hand-eye coordination)。
【0004】
[005]アルギニンに基づく成分は、脳への血流の増加によってゲーム中の正確さ、意思決定および反応時間を向上させることが、臨床的に認証されている(Nutrients 2019 Oct 1;11(10):2326. doi: 10.3390/nu11102326.)。eゲーマーを標的とする商品には、L-テアニン、高麗人参、コリン、α-GPC、ホスファチジルセリン、ルテインまたはカフェインを含有するXP Sports’ Gummies for mental clarity and eye health、またはXP Sports Boost, pre-game energy and focus amplifierがある。カフェインは注意力および知覚エネルギーを増加させることが示されているが、不安も増加させ、eスポーツのパフォーマンスを低下させる可能性がある。
【0005】
[006]当技術分野では、パフォーマンスを高めながらエネルギーおよび自信を引き上げるための安全で有効な成分(または成分の組み合わせ)が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nutrients 2019 Oct 1;11(10):2326. doi: 10.3390/nu11102326.
【発明の概要】
【0007】
[007]約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することによって、対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらなる態様において、パラキサンチンは、約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。さらに他の態様において、ビデオゲームパフォーマンスは、正確さ、意思決定、反応時間、目と手の協調、またはゲームパフォーマンスから選択される尺度によって評価される。代表的な実施形態において、対象におけるゲームパフォーマンスは、組成物の投与後に約10%~約70%上昇する。
【0008】
[008]特定の態様によれば、組成物は、1以上の追加の活性薬剤をさらに含む。特定の実施形態において、1以上の活性薬剤は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB、タンパク質、セレン、消化が早い炭水化物、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アセチルL-カルニチン、チロシン、N-アセチル-L-チロシン、エルゴチオネイン、トリプトファン、5-HTP、アルギニン、シトルリン、ノルバリン、GABA、ドーパ(ベルベットビーン(Velvet Bean))、カンナ(Kanna)(セロトニン)、L-テアニン、ホスファチジルコリン、α-GPC(L-αグリセリルホスホリルコリン)、シチコリン(シチジン二リン酸コリン(CPDコリン))、重酒石酸コリン、bacopa Monnieri、ホスファチジルセリン、ピロカルピン、セビメリン、Amburana cearensis、Lippia sidoides、Paullinia cupana、Plathymiscium floribundum、クルクミノイド、カフェイン、クレアチン、生のコーヒーベリー、ヤマブシタケ(lions mane)、ナイアシン、カンナ抽出物、サフラン、SAMe、アセチルL-カルニチン、フペルジンA、ルテイン/ゼアキサンチン、イワベンケイ属(rhodiola)、テアクリン、メチルコバラミン、マクナ(macuna) メチルイベリン(methyliberine)およびSolanum asperumから選択される。
【0009】
[009]特定の態様において、組成物はプレイ開始前に投与される。さらなる態様において、組成物はビデオゲームプレイ中に投与される。さらに他の態様において、組成物は、ビデオゲームプレイ中に反復間隔で投与される。さらに他の態様において、組成物は、約1~約9週間の期間にわたり対象に毎日投与される。
【0010】
[010]特定の態様において、パラキサンチンは合成されている。さらなる態様において、パラキサンチンは天然源に由来する。
[011]さらに、対象における電子ゲームプレイ持久力を増強するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に提供することを含む方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、パラキサンチンは約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約100分間にわたり電子ゲームプレイを行っている。
【0011】
[012]さらに、電子ゲームプレイ中の対象の気分を増強するか、または電子ゲームプレイ中の対象の気分の低下を防止するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することを含む方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、対象への組成物の投与は、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上を減少させるか、またはその増加を防止する。特定の実施形態において、対象への組成物の投与は、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張および/または不安を減少させるか、またはその増加を防止する。さらなる実施形態において、対象への組成物の投与は、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における活力を増加させるか、またはその減少を防止する。
【0012】
[013]複数の態様を開示するが、本開示のさらに他の態様は、開示する組成物、システムおよび方法の例示的態様を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。理解されるように、開示する組成物、システムおよび方法は、すべて本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な観点で修正することができる。したがって、図面および詳細な説明は、事実上の例示であって、それらに限定されると見なすべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[014]図1は、特定の態様によるストループテストのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[015]本発明の少なくとも1つの態様について詳細に説明する前に、本発明が、その出願において、構成の詳細、および以下の説明に記載するかまたは図面に例示する構成要素の配列に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の態様が可能であり、さまざまな方法で実施および実行することができる。また、本明細書で採用される表現および専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定とみなすべきではないことを理解されたい。
【0015】
[016]本明細書では、範囲を、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までとして表すことができる。そのような範囲が表される場合、さらなる観点は、1つの特定値から、および/または他の特定値までを包含する。同様に、先行詞「約」の使用によって値が近似値として表される場合、特定の値はさらなる観点を形成することが理解されよう。さらに、範囲のそれぞれの端点は、もう一方の端点との関連において重要な意味があり、且つ、もう一方の端点とは独立した意味を有していることが理解されよう。また、本明細書にはいくつかの値が開示されており、各値は、その値自体に加えて、「約」その特定値として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。また、2つの特定の構成単位の間の各構成単位も開示されていると理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13および14もすべて開示されている。
【0016】
[017]本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、投与の標的、例えば、ビデオゲームをプレイすることができる動物をさす。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成人および小児の対象は、雌雄にかかわらず包含されることが意図される。一観点において、対象は哺乳類である。
【0017】
[018]本明細書で使用される場合、「相乗作用」またはその文法的変異は、2以上の活性化合物の組合せにおいて遭遇する協同作用を意味し、包含する。ここで、2以上の活性化合物の組み合わされた活性は、それぞれの活性化合物単独の活性の合計を超える。「相乗的有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で定義された相乗作用を提供する2以上の活性化合物の量を意味し、包含する。
【0018】
[019]本明細書で使用される場合、「有効量(effective amount)」および「有効な量(amount effective)」という用語は、望ましい結果を達成するのに十分な量、または望ましくない状態に対し効果を有するのに十分な量をさす。任意の特定の対象のための特定の有効用量レベルは、採用される特定の組成物;対象の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事;投与時間;投与経路;採用される特定の化合物の排泄率;処置期間;採用される特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、および医学分野で周知の同様の因子を含む、さまざまな因子に依存する。例えば、望ましい効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、望ましい効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当技術分野の範囲内である。必要に応じて、有効1日用量を、投与の目的のために複数の用量に分割することができる。したがって、単回用量組成物は、1日用量を構成するための量またはその約数を含有することができる。投与量は、有害作用が生じた場合には個々の対象によって調節可能である。投与量は変動することができ、1日または数日間、毎日1回または複数回用量投与で投与することができる。所定のクラスのニュートラシューティカル(nutraceutical)製品に関する適切な投与量についての文献に、ガイダンスを見出すことができる。
【0019】
[020]本開示は、天然のものであるか合成的に生成されているかにかかわらず、パラキサンチンを含む化学組成物の使用に関する。特定の態様において、組成物は、複数の望ましい効果を提供するために、パラキサンチン同族体(congener)または類似体などの他の化学物質を含む。パラキサンチン類似体としては、限定されるものではないが、カフェイン、メチルカフェイン、テオブロミン、テオフィリン、リベリンおよびメチルリベリン、ならびにそれらの変形体(variant)を挙げることができる。特定の態様において、開示する組成物は、1以上の追加の活性薬剤(例えば、パラキサンチンと相加的または相乗的にビデオゲームパフォーマンスを向上させる薬剤)を包含する。代表的な実施形態において、そのような追加の活性物質は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB、タンパク質、セレン、糖のような消化が早い炭水化物、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アセチルL-カルニチン、チロシン、N-アセチル-L-チロシン、エルゴチオネイン、トリプトファン、5-HTP、アルギニン、シトルリン、ノルバリン、GABA、ドーパ(ベルベットビーン)、カンナ(セロトニン)、L-テアニン、ホスファチジルコリン、α-GPC(L-αグリセリルホスホリルコリン)、シチコリン(シチジン二リン酸コリン(CPDコリン))、重酒石酸コリン、Bacopa Monnieri、ホスファチジルセリン、ピロカルピン、およびセビメリン Amburana cearensis、Lippia sidoides、Paullinia cupana、Plathymiscium floribundum、クルクミノイド、カフェイン、クレアチン、生のコーヒーベリー、ヤマブシタケ、ナイアシン、カンナ抽出物、サフラン、SAMe、アセチルL-カルニチン、フペルジンA、ルテイン/ゼアキサンチン、イワベンケイ属、テアクリン、メチルコバラミン、マクナ、メチルイベリン、タウリン、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムのような電解質、イノシトール増強アルギニンケイ酸塩、硝酸塩、アデノシン三リン酸、バレリアン根、ケルセチン、ヘスペリジン、オオアザミおよびSolanum asperumから選択される。
【0020】
[021]特定の態様において、対象に投与される組成物はカフェインを含有しない。さらなる態様において、対象は、開示する方法の実行中はカフェインを控える。
[022]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に提供することによって、対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための方法を、本明細書に開示する。用量は対象ごとに異なるが、適した1日用量は、単回または複数回用量で投与して、対象1人あたり約1~約1000mgの範囲(例えば、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、100、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または約1000mgなど、またはこの中の任意の範囲もしくは値)である。特定の観点において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらなる観点において、パラキサンチンは、約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。特定の観点において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらなる観点において、パラキサンチンは、約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。
【0021】
[023]特定の態様において、開示する組成物はニュートラシューティカル組成物である。本開示の代表的なニュートラシューティカル組成物は、独立した組成物として、あるいは食品、機能性食品、飲料、バー、食用香味料、医療食、食物サプリメント(dietary supplement)または薬草製品中の栄養成分または生物活性成分として、製剤化または使用することができる。当技術分野において一般に許容されている媒体としては、それに関し医薬的またはニュートラシューティカル的に許容しうるすべての担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
【0022】
[024]パラキサンチンは、投与量に応じて多種多様な効果を示す。他の成分の存在により、その効果を調節することもできる。特定の態様において、対象へのパラキサンチン含有組成物の投与は、該対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させる。ビデオゲームパフォーマンスへの影響の評価は、当技術分野で公知のいくつかの尺度によって遂行することができる。多くのゲームは、ゲームの一部としてパフォーマンスを評価するための測定基準(例えば、得点スコア)を提供する。特定の態様において、ビデオゲームパフォーマンスは、正確さ、意思決定、反応時間、目と手の協調、およびゲームパフォーマンスから選択される尺度によって評価される。特定の実施形態において、ビデオゲームパフォーマンスは前記尺度の組み合わせによって評価され、その尺度の各々を改善するのにパラキサンチン投与は役立ち得る。特定の態様において、パラキサンチンは、視覚疲労の低減および/または視力の向上によってゲームパフォーマンスを向上させる。
【0023】
[025]特定の態様において、対象への組成物の投与は、対象のゲームパフォーマンスを約5%~約70%向上させる。さらなる態様において、対象のゲームパフォーマンスの向上は約10%~約60%である。さらに他の態様において、対象のゲームパフォーマンスの向上は約20%~約50%である。さらに他の態様において、対象のゲームパフォーマンスの向上は少なくとも約30%である。特定の態様において、ゲームプレイパフォーマンスは、プレイ開始時(例えば、プレイの最初の30分の間)における対象のゲームプレイパフォーマンスのレベルと比較して評価する。さらなる態様では、対象の電子ゲームプレイパフォーマンスを、同等の期間にわたりプレイしたが、プラセボを受けた対象と比較して評価する。
【0024】
[026]開示する方法の特定の態様によれば、組成物は、ビデオゲームプレイの開始前に投与される。さらなる態様において、組成物は、ビデオゲームプレイ中に投与される。さらに他の態様において、組成物は、ビデオゲームのプレイ前およびプレイ中に投与される。さらに他の態様において、組成物は、ビデオゲームプレイ中に規則的な間隔で投与される。特定の代替的態様において、組成物は、ビデオゲームプレイ中に必要に応じて投与される。
【0025】
[027]さらに他の態様において、組成物は、約1~約9週間の期間にわたり対象に毎日投与される。さらなる態様において、開示する組成物は、約3~約6週間にわたり対象に毎日投与される。さらなる態様において、組成物は、少なくとも約5週間の期間にわたり対象に毎日投与される。
【0026】
[028]さらに、本開示のパラキサンチン含有組成物の投与によって、対象における電子ゲームプレイ持久力を増強するための方法を、本明細書に開示する。長期のゲームプレイは、経時的にパフォーマンスの低下をもたらすことが多い。本明細書で使用される場合、「電子ゲームプレイ持久力を増強する」は、経時的なパフォーマンスの低下を防止もしくは制限すること、または、特定の態様において、経時的にパフォーマンスが低下する速度を遅くすることを意味する。特定の態様において、電子ゲームプレイ持久力は、プレイの開始時(例えば、プレイの最初の30分の間)における対象のゲームプレイのレベルと比較して評価される。さらなる態様では、対象の電子ゲームプレイ持久力を、同等の期間にわたりプレイしたがプラセボを受けた対象、または、別個のゲームプレイセッション中にプラセボを受ける同じ対象と比較して評価する。
【0027】
[029]さらに、対象にパラキサンチンを含む組成物を投与することによって、電子ゲームプレイ中の対象の気分を増強するか、または電子ゲームプレイ中の対象の気分の低下を防止するために開示される。電子ゲームプレイ中、特定の対象は、ゲームパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る気分の低下を経験する。特定の態様において、本開示の組成物の投与は、ゲームプレイ中の対象の気分を増強する。さらなる態様において、本特許請求の範囲に記載の組成物の投与は、ゲームプレイ中の気分の低下を防止する。特定の態様において、開示する組成物の投与は、緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上の増加を防止する。さらなる態様において、開示する組成物の投与は、緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上の減少をもたらす。さらなる態様において、開示する組成物の投与は、緊張および/または不安の増加の減少をもたらすか、またはその増加を防止する。さらに他の態様において、組成物の投与は、対象における活力の増加をもたらす。特定の態様において、対象の気分の変化は、プレイ開始時(例えば、プレイの最初の30分の間)における対象の気分と比較して評価される。さらなる態様では、対象の気分を、同等の期間にわたりプレイしたが、プラセボを受けた対象と比較して評価する。
【0028】
[030]本発明を使用する利点は、人が、本発明の原理に従った化学組成物に対する耐性を生じる可能性が低いことであり得る。すなわち、人は、誘発された効果に対する感受性を低下させない可能性がある。
【0029】
[031]対象への開示する組成物の投与は、対象に医薬調製物を提供する任意の方法を包含することができる。このような方法は当業者に周知であり、限定されるものではないが、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、皮内投与、口腔投与のほか、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与および皮下投与などの注射可能な投与を含む非経口投与を包含する。
栄養サプリメント(Nutritional Supplement)
[032]本開示の組成物は、食物サプリメントの形態をとることができ、またはそれ自体を、本明細書では食品サプリメント(food supplement)ともよぶ食物サプリメントと組み合わせて用いることができる。
【0030】
[033]栄養サプリメントは、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルカプセル、液体または粉末など多くの形態で見出すことができる。食物サプリメントの中には、必須栄養素の適切な食事摂取を確保するのに役立ち得るものもあれば、疾患のリスクを低減するのに役立ち得るものもある。
食品製品
[034]本開示の組成物は、食品製品の形態をとることができる。ここで、「食品」という用語は広い意味で使用され、ヒトのための食品および飲料、ならびに動物のための食品および飲料(すなわち、飼料)を包含する。好ましくは、食品製品はヒトの消費に適しており、ヒトの消費のために設計されている。
【0031】
[035]食品は、使用および/または適用方法および/または投与方法に応じて、液体、固体または懸濁液の形態であることができる。
[036]食品製品の形態である場合、組成物は、栄養的に許容しうる担体、栄養的に許容しうる希釈剤、栄養的に許容しうる賦形剤、栄養的に許容しうるアジュバント、栄養的に活性な成分のうちの1以上を含むか、またはそれらの1以上と併せて用いることができる。
【0032】
[037]例として、本開示の組成物は、以下のうちの1つの形態をとることができる:果汁;乳清タンパク質を含む飲料:健康茶または薬草茶、ココア飲料、コーヒー飲料、ヨーグルトおよび/またはドリンクヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、デザート、菓子類、ビスケット、ケーキ、ケーキミックスまたはケーキ用フィリング、スナック食品、フルールフィリング、ケーキまたはドーナツ用アイシング、インスタントのベーカリー用フィリングクリーム、クッキー用フィリング、すぐに使用できるベーカリー用フィリング、低カロリーのフィリング、成人用栄養飲料、酸性化ダイズ/ジュース飲料、栄養バーまたは健康バー、飲料粉末、カルシウム強化豆乳、またはカルシウム強化コーヒー飲料。
食品成分
[038]本開示の組成物は、食品成分および/または飼料成分の形態をとることができる。
【0033】
[039]本明細書で使用される場合、「食品成分」または「飼料成分」という用語は、ヒトおよび動物のための栄養サプリメントおよび/または健康サプリメントとして機能性の食品または食料に添加されるか、または添加することができる組成物を包含する。
【0034】
[040]食品成分は、使用および/または適用方法および/または投与方法に応じて、液体、懸濁液または固体の形態であることができる。
機能性食品
[041]本開示の組成物は、機能性食品の形態をとることができる。
【0035】
[042]本明細書で使用される場合、「機能性食品」という用語は、栄養効果を提供することができるだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を送達することもできる食品を意味する。
【0036】
[043]したがって、機能性食品は、純粋な栄養効果以外の特定の機能-例えば、医学的または生理学的利益-を食品に付与する構成要素または成分(本明細書に記載されるものなど)が組み込まれた通常の食品である。
【0037】
[044]機能性食品の法的定義はないが、この分野に関心を有する関係者のほとんどは、それらが基本的な栄養効果を超える特定の健康効果を有するとして市販されている食品であると了解している。
【0038】
[045]一部の機能性食品はニュートラシューティカルズである。ここで、「ニュートラシューティカル」という用語は、栄養効果および/または味覚の満足感を提供することができるだけでなく、消費者に治療的(または他の有益な)効果を送達することもできる食品を意味する。ニュートラシューティカルズは、食品と医薬の伝統的な境界線を横断するものである。
医療食
[046]本開示の組成物は、医療食の形態をとることができる。
【0039】
[047]「医療食」とは、医師の監督の有無にかかわらず消費または投与されるように配合されていて、そして、認められている科学的原則に基づき特有の栄養所要量が医学的評価によって確立されている特定の食事管理または状態を目的とする、食品を意味する。
【0040】
[048]本発明のさまざまな観点および態様を、以下の番号付けされた条項よって定義する:
1.対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に提供することを含む、前記方法。
2.パラキサンチンが約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する、条項1に記載の方法。
3.パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、条項2に記載の方法。
4.ビデオゲームパフォーマンスが、正確さ、意思決定、反応時間、目と手の協調、またはゲームパフォーマンスから選択される尺度によって評価される、条項1~3のいずれかに記載の方法。
5.対象におけるゲームパフォーマンスが、組成物の投与後に約10%~約70%上昇する、条項5のいずれかに記載の方法。
6.組成物が1以上の追加の活性薬剤をさらに含む、条項1~5のいずれかに記載の方法。
7.1以上の活性薬剤が、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB、タンパク質、セレン、消化が早い炭水化物、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アセチルL-カルニチン、チロシン、N-アセチル-L-チロシン、エルゴチオネイン、トリプトファン、5-HTP、アルギニン、シトルリン、ノルバリン、GABA、ドーパ(ベルベットビーン)、カンナ(セロトニン)、L-テアニン、ホスファチジルコリン、α-GPC(L-αグリセリルホスホリルコリン)、シチコリン(シチジン二リン酸コリン(CPDコリン))、重酒石酸コリン、Bacopa Monnieri、ホスファチジルセリン、ピロカルピン、およびセビメリン Amburana cearensis、Lippia sidoides、Paullinia cupana、Plathymiscium floribundum、クルクミノイド、カフェイン、クレアチン、生のコーヒーベリー、ヤマブシタケ、ナイアシン、カンナ抽出物、サフラン、SAMe、アセチルL-カルニチン、フペルジンA、ルテイン/ゼアキサンチン、イワベンケイ属、テアクリン、メチルコバラミン、マクナ、メチルイベリン、Solanum asperum、タウリン、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムのような電解質、イノシトール増強アルギニンケイ酸塩、硝酸塩、アデノシン三リン酸、バレリアン根、ケルセチン、ヘスペリジン、オオアザミおよびSolanum asperumから選択される、条項6に記載の方法。
8.組成物がプレイ開始前に投与される、条項1~7のいずれかに記載の方法。
9.組成物がビデオゲームプレイ中に投与される、条項1~8のいずれかに記載の方法。
10.組成物がビデオゲームプレイ中に反復間隔で投与される、条項1~9のいずれかに記載の方法。
11.組成物が、約1~約9週間の期間にわたり対象に毎日投与される、条項1~10のいずれかに記載の方法。
12.組成物が、少なくとも約3週間にわたり対象に毎日投与される、条項11に記載の方法。
13.組成物が、少なくとも約6週間にわたり対象に毎日投与される、条項12に記載の方法。
14.パラキサンチンが合成されている、条項1~13のいずれかに記載の方法。
15.パラキサンチンが天然源に由来する、条項1~14のいずれかに記載の方法。
16.組成物が食物サプリメントである、条項1~15のいずれかに記載の方法。
17.食物サプリメントが粉末またはカプセルである、条項16に記載の方法。
18.組成物が機能性食品である、条項1~17のいずれかに記載の方法。
19.機能性食品が、飲料、栄養バー、ヨーグルトまたはシリアルである、条項18に記載の方法。
20.対象における電子ゲームプレイ持久力を増強するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に提供することを含む、前記方法。
21.パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、条項20に記載の方法。
22.対象が少なくとも約100分間にわたり電子ゲームプレイを行っている、条項20に記載の方法。
23.電子ゲームプレイ中の対象の気分を増強するか、または電子ゲームプレイ中の対象の気分の低下を防止するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
24.対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張、抑うつ、怒り、疲労および/または混乱のうちの1以上を減少させるか、またはその増加を防止する、条項23に記載の方法。
25.対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における緊張および/または不安を減少させるか、またはその増加を防止する、条項24に記載の方法。
26.対象への組成物の投与が、組成物を投与されていない対象と比較して、電子ゲームプレイ中の対象における活力を増加させるか、またはその減少を防止する、条項23に記載の方法。
27.約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む、対象におけるビデオゲームパフォーマンスを向上させるための栄養サプリメント。
28.パラキサンチンが約20mg~約600mgの量で存在する、条項27に記載の栄養サプリメント。
29.パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で存在する、条項27に記載の栄養サプリメント。
30.栄養サプリメントが食物サプリメントである、条項27~29のいずれかに記載の栄養サプリメント。
31.食物サプリメントが粉末またはカプセルである、条項30に記載の栄養サプリメント。
32.栄養サプリメントが機能性食品である、条項27~29のいずれかに記載の栄養サプリメント。
33.機能性食品が、飲料、栄養バー、ヨーグルトまたはシリアルである、条項32に記載の栄養サプリメント。
34.さらに、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB、タンパク質、セレン、消化が早い炭水化物、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アセチルL-カルニチン、チロシン、N-アセチル-L-チロシン、エルゴチオネイン、トリプトファン、5-HTP、アルギニン、シトルリン、ノルバリン、GABA、ドーパ(ベルベットビーン)、カンナ(セロトニン)、L-テアニン、ホスファチジルコリン、α-GPC(L-αグリセリルホスホリルコリン)、シチコリン(シチジン二リン酸コリン(CPDコリン))、重酒石酸コリン、Bacopa Monnieri、ホスファチジルセリン、ピロカルピン、およびセビメリン Amburana cearensis、Lippia sidoides、Paullinia cupana、Plathymiscium floribundum、クルクミノイド、カフェイン、クレアチン、生のコーヒーベリー、ヤマブシタケ、ナイアシン、カンナ抽出物、サフラン、SAMe、アセチルL-カルニチン、フペルジンA、ルテイン/ゼアキサンチン、イワベンケイ属、テアクリン、メチルコバラミン、マクナ、メチルイベリン、タウリン、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムのような電解質、イノシトール増強アルギニンケイ酸塩、硝酸塩、アデノシン三リン酸、バレリアン根、ケルセチン、ヘスペリジン、オオアザミおよびSolanum asperumからなるリストから選択される1以上の化合物を含む、条項27~29のいずれかに記載の栄養サプリメント。
35.パラキサンチンが天然源に由来する、条項27~34のいずれかに記載の栄養サプリメント。
36.パラキサンチンが合成されている、条項27~34のいずれかに記載の栄養サプリメント。
【0041】
[049]複数の態様を開示するが、本開示のさらに他の態様は、開示する組成物、システムおよび方法の例示的態様を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。理解されるように、開示する組成物、システムおよび方法は、すべて本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な観点で修正することができる。したがって、図面および詳細な説明は、事実上の例示であって、それらに限定されると見なすべきでない。
【実施例
【0042】
[050]以下の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、機器および/または方法の作製および評価方法の特定の例の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、本発明の純粋な例示であることを意図しており、発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。しかしながら、当業者であれば、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお同様の結果を得られることを、理解すべきである。
実施例1
方法:
[051]無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験において、18~40歳の9人の健康な男性および女性、スクリーニング前の6カ月間にわたり週5時間以上のビデオゲームプレイ歴を自己報告しており、18.5~24.9kg/m2のボディ・マス・インデックスを有する。対象は200mg(n=5)または対応するプラセボ(n=4)を6週間消費し、最初と最後の用量は研究室内で試験担当者の前で消費した。対象には、試験来院前の12時間にわたりカフェインまたはアルコールを消費しないように依頼した。試験生成物(パラキサンチンおよびプラセボ)の有効性を、ゲーム内パフォーマンス、ゲーム中の認知(ストループテスト(Stroop Test))およびゲーム中の気分状態(気分プロフィール検査(Profile of Mood States)(POMS))を測定することによって評価した。
ストループカラーワードテスト(Stroop Color and Word Test)
[052]ストループカラーワードテスト(SCWT)を0、3および6週間の補給後に実施して、試験プロトコル全体にわたるゲーム中の認知能力を評価した。ストループテストは、すべての試験来院中に、投与前、60分のゲーム後、および120分のビデオゲーム完了直後に終了した。SCWTは、Stroop(Stroop 1935)の手順に従う神経心理学的試験である。簡潔に述べると、SCWT(一致性(congruency)を含む)は、オンラインソフトウェアアプリケーションを介して5分間連続して実施した。4つの単語(赤、黄、緑、青)のうちの1つが、選択がなされるまで無作為に現れ、次いで、新しい単語が無作為に現れた。対象は、無作為に選択された単語のインクの色(単語が表す色ではない)に合致する応答を選択した。正解数を、総合的ストループスコアのベースとした。
気分プロフィール検査(POMS)
[053]POMSは、すべての試験来院中に、投与前、60分のゲーム後、および120分のビデオゲーム完了直後に終了した。POMSでは、緊張-不安、抑うつ-落胆、怒り-敵意、活力-活発、疲労-無気力、および混乱-当惑を含む、気分の6つの下位尺度を測定した。対象に、65語(感情)のリストを吟味して、その瞬間にその感情を体験している程度をランク付けするために、5点のリッカート尺度(0=まったくない、1=少し、2=中程度、3=かなり、4=大いにある)を使用するよう依頼した。高い活力-活発スコアは良好な気分または情緒を反映するが、他の下位尺度では低いスコアが良好な気分または情緒を反映するので、総合的気分障害(TMD)スコアは、5つの負の下位尺度スコア(緊張-不安、抑うつ-落胆、怒り-敵意、疲労-無気力、および混乱-当惑)を加算し、活力-活発スコアを差し引くことによって計算した。TMDスコアの数値が高いほど、気分障害の程度が大きいことを示す。
ビデオゲームパフォーマンス
[054]すべての試験参加者は、Super Smash Brothers Ultimate(任天堂、発売日:2018年12月7日)のゲームをプレイした。各試験参加者は、到着し、すべての必要な検査を終了し、ゲームをプレイし始めた。ゲーム機器およびコントローラーが利用可能であったが、参加者が自分のコントローラーを持ってくることを望む場合、参加者はそのようにすることを許可された。ゲームは、各プレイヤーについて同じレベルおよび戦略に設定された。各セッション中、試験参加者は60分間ゲームをプレイし、ストループテストおよびPOMSを完了するために休憩をとった。その後、参加者はさらに60分間ゲームをプレイしてから、3回目のテストを完了した。以下の変数を1時間ごとにゲームプレイ後に記録して分析し、ゲームパフォーマンスに対する補給の影響を評価した:
主要パフォーマンスの成果
・落下(自身の死亡)
・受けたダメージ
・ヒット率
結果:
ストループカラーワードテスト
[055]ゲームをすると、ストループテストスコアが1時間後に8%、2時間後に37%低下した。3週間のパラキサンチン摂取は、ベースラインと比較して、認知能力をゲーム前で25%、1時間のゲーム後で39%、および2時間のゲーム後で89%上昇させた。6週間にわたるパラキサンチンの継続摂取は、ベースラインと比較して、認知能力をゲーム前で25%、1時間のゲーム後で89%、および2時間のゲーム後で119%上昇させた。パラキサンチン摂取での習慣性は、6週間後でも観察されなかった。6週間後、1時間および2時間のゲームは認知を上昇させたが、これは、対象が長くプレイするほど低下した補給前の認知能力とは対照的である。
POMS
[056]パラキサンチン摂取は、ベースラインと比較して、およびプラセボと比較して、3週間および6週間の補給後に総合的気分障害を改善した。3週間および6週間の補給後、プラセボ群ではゲーム継続中に総合的気分障害が悪化し、その作用はパラキサンチン群では観察されなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
[057]緊張-不安の感情は、パラキサンチン群において、3週間後ではプラセボと比較して51.7%、ベースラインと比較して39.1%低下し、6週間後ではプラセボと比較して61.0%、ベースラインと比較して50%低下した。プラセボ群では対象のプレイ時間が長いほど緊張が上昇したが、パラキサンチン群では対象のプレイ時間が長いほど緊張は低下した。緊張および不安の上昇は、ゲームのパフォーマンスおよび認知に悪影響を及ぼす。
【0045】
【表2】
【0046】
[058]活力は、パラキサンチン群において、3週間後ではプラセボと比較して28.9%、ベースラインと比較して10.2%上昇し、6週間後ではプラセボと比較して59.3%、ベースラインと比較して8.4%上昇した。
【0047】
【表3】
【0048】
ビデオゲームパフォーマンス
[059]パラキサンチン補給は、死亡数によって測定されるゲーム内パフォーマンスを改善した。3週間後、自身の死亡はプラセボと比較して21.7%、ベースライン(補給前)と比較して15.5%減少した。パラキサンチンは、ゲームの後期ステージ中に特に有効である(100~120分のゲームプレイでプラセボよりも34%改善)。プラセボとベースラインからの同様の差異が、6週間のパラキサンチン継続補給後に観察された。
【0049】
【表4】
【0050】
[060]パラキサンチン補給は、受けたダメージによって測定されるゲーム内パフォーマンスを改善した。3週間後、自身のダメージはプラセボと比較して9.5%、ベースライン(補給前)と比較して9.4%減少した。プラセボ(-14.0%)およびベースライン(-8.4%)からの同様の差異が、6週間のパラキサンチン継続補給後に観察された。パラキサンチンは、ゲームの後期ステージ中に特に有効である(100~120分のゲームプレイでプラセボよりも30.9%改善)。
【0051】
【表5】
【0052】
[061]パラキサンチン補給は、ヒット率によって測定されるゲーム内パフォーマンスを改善した。3週間後、ヒット率はプラセボと比較して28.5%、ベースライン(補給前)と比較して6.8%上昇した。プラセボ(+16.4%)およびベースライン(-5.4%)との同様の差異が、6週間のパラキサンチン継続補給後に観察された。
【0053】
【表6】
【0054】
実施例2
方法:
[062]52歳の健康な男性対象は、ビデオゲームTetrisをプレイする前に、パラキサンチン100mg、またはカフェイン100mg、またはプラセボのいずれかを消費した。3つのゲームのそれぞれを、1週間のウォッシュアウト期間によって分離した。Tetrisでは、プレイヤーは画面の上部からブロックを下に移動させる。プレイヤーはブロックを左右に動かすことができ、および/または回転させることができる。ブロックは一定の速度で落下するが、プレイヤーは、位置決めに自身がある場合、ブロックをより速く落下させることができる。プレイ時間が長くなるほど、ゲームTetrisはより難しくなる。プレイヤーのパフォーマンスが向上すると、速度は速くなる。プレイヤーは、より高レベルに追い詰められた状況下で同じ決定をしなければならない。プレイヤーがTetris の行をクリアするたびに、プレイヤーはより多くのポイントを与えられる。ピースが画面の上部に到達するたびに、ゲームは終了する。ゲームパフォーマンスは、プレイ時間によって測定した。プレイヤーは、現在のピースの下降速度を上げるために、または速やかにピースを落下させて所定の位置に固定するために、ボタンを押すことを許可されなかった。これらは、それぞれ「ソフトドロップ」および「ハードドロップ」として知られる。
結果:
[063]カフェイン摂取はゲームパフォーマンスを上昇させなかったが、パラキサンチン摂取は、プラセボと比較して、およびカフェイン摂取と比較して、ゲームパフォーマンスを上昇させた。プレイヤーはカフェイン補給での不安の増加を報告した。これは、感知される緊張および不安の感情を増加させることなくゲームパフォーマンスの上昇をもたらしたパラキサンチン摂取とは対照的である。
実施例3
方法:
[064]52歳の健康な男性対象は、固定シューターアーケードビデオゲームGALAGAをプレイする前に、300mgのパラキサンチン、または300mgのカフェイン、またはプラセボのいずれかを盲検法で消費した。各ゲームセッションは5つの異なるゲームからなり、5つのゲーム全体にわたる平均スコア、ならびに5つのセッションからの高スコア/自己最高記録を、ゲームパフォーマンスの尺度として使用した。3つのゲームセッションのそれぞれを、1週間のウォッシュアウト期間によって分離した。GALAGAでは、プレイヤーは画面の下部に1機のスターファイターを配置し、このファイターはGALAGA軍が人類のすべてを破壊するのを防がなければならない。各ステージの目標は、画面の上部と側面から編隊に飛来するGALAGAエイリアンのすべてを倒すことである。
結果:
[065]5つのゲームのプラセボでの平均スコアは66184点であり、自己最高記録は86310点であった。パラキサンチンは平均ゲームパフォーマンスを平均118702点(+79.4%)に、自己最高記録を161070点(+86.6%)に上昇させた。カフェイン補給でのゲームパフォーマンスはプラセボに比べわずかな改善を示し、パラキサンチンと比較して有意に低いスコアを示し、5セッションの平均スコアは76110点であり(プラセボと比較して+15%、パラキサンチンと比較して-35.9%)、自己最高記録は102510点であった(プラセボと比較して+18.8%、パラキサンチンと比較して-36.4%)。
図1
【国際調査報告】