(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】選別能力を有する診断機器およびその選別方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560406
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022071366
(87)【国際公開番号】W WO2022213047
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アーメッド
(72)【発明者】
【氏名】ハディ・アラバービ
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・マニング
(72)【発明者】
【氏名】ナヴニート・ジェイン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058GC02
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE01
2G058GE08
2G058GE10
(57)【要約】
診断機器および診断機器を動作させる方法が提供される。診断機器を動作させる方法は、1つまたはそれ以上のモジュールを有する診断機器を用意することであって、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体を分析するように構成されることと;診断機器に結合された検体選別機を用意することと;検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することであって、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析されないこととを含む。他の選別方法および診断機器が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断機器を動作させる方法であって:
1つまたはそれ以上のモジュールを有する診断機器を用意することであって、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体を分析するように構成されることと;
診断機器に結合された検体選別機を用意することと;
検体選別機を使用して検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することであって、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つで分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれにおいても分析されないことと、
を含む前記方法。
【請求項2】
第1のグループの検体を少なくとも第1のラックに移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2のグループの検体を少なくとも第2のラックに移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1のグループの検体を、検体選別機にある少なくとも第1のラックに移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2のグループの検体を、検体選別機にある少なくとも第2のラックに移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
検体選別機を用意することは、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの1つとして構成された検体選別機を用意することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
診断機器の外部の場所からデータを受信することを含み、該データは、検体のうちの少なくとも1つが第1のグループに選別されることになるかまたは第2のグループに選別されることになるかを示し、選別することはデータに応じて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
検査室情報システムからデータを受信することを含み、該データは、検体のうちの少なくとも1つが第1のグループに選別されることになるかまたは第2のグループに選別されることになるかを示し、選別することはデータに応じて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
検体を第3のグループに選別することを含み、第3のグループの検体は、診断機器の外部の1つまたはそれ以上のモジュールによって分析される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
検体を第4のグループに選別することを含み、第4のグループの検体はさらなる分析を必要としない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
検体選別機に結合されたリーダを用意することと;
検体を収容している検体容器のラベルから情報を読み取ることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
選別することは、少なくとも部分的に読み取りに応じて行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検体選別機と1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つとを相互接続する輸送システムを用意することと;
該輸送システムによって第1グループの検体を移動させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
1つまたはそれ以上のモジュールは、検体中の少なくとも1つの分析物の濃度を決定するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
1つまたはそれ以上のモジュールは、検体中の少なくとも1つの分析物の存在を決定するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
診断機器を動作させる方法であって:
1つまたはそれ以上のモジュールを有する診断機器を用意することであって、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体容器および/または検体容器に収容された検体を分析および/または処理するように構成されることと;
診断機器に結合された検体選別機を用意することと;
検体容器を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することであって、第1のグループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析または処理され、第2グループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析または処理されないことと、
を含む前記方法。
【請求項17】
1つまたはそれ以上のモジュールは、検体中の少なくとも1つの分析物の濃度を決定するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つまたはそれ以上のモジュールは、検体中の少なくとも1つの分析物の存在を決定するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
診断機器であって:
1つまたはそれ以上のモジュールと;
検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別するように構成された検体選別機であって、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析されない、検体選別機と;
該検体選別機と1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つとを相互接続する輸送システムであって、第1グループの検体を1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つに移動させるように構成されている輸送システムと、
を含む前記診断機器。
【請求項20】
輸送システムは、第2グループの検体を検体選別機から移動させるように構成されている、請求項19に記載の診断機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月1日に出願された「DIAGNOSTIC INSTRUMENTS HAVING SORTING CAPABILITY AND SORTING METHODS THEREOF」と題する米国特許仮出願第63/169,372号の利益を主張するものであり、その開示は、すべての目的のために参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示の実施形態は、診断機器およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
診断検査室システムは、全血、血清、血漿、尿、間質液、脳脊髄液などの生物学的検体を分析して、検体中の分析物または他の成分を同定する。診断検査室システムによっては、検体のプレスクリーニングおよび分析を行う複数のモジュールおよび機器を含む場合がある。診断検査室システムによっては、数百のモジュールおよび機器を含む場合があり、1日に数千の分析を行うもの場合がある。
【0004】
検体は通常、検体容器(たとえば、検体採取チューブ)内に収容される。検体容器は、診断検査室システムに送られ、次いで、検体に対して行うべき検査によって選別される。その後、検体容器および/または検体は、プレスクリーニングおよび検査のために適切なモジュールおよび/または機器に輸送される。たとえば、検体容器は、自動追跡システムを介して、診断検査室システム内の1つまたはそれ以上の前処理モジュール、プレスクリーニングモジュール、および分析器(たとえば、イムノアッセイおよび/または臨床化学)に輸送することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
診断検査室システム内で行われる時間のかかるプロセスのうちの1つは、選別プロセスである。選別プロセスは、オペレータによって手動で行われる場合もあれば、指定された選別機によって行われる場合もある。いくつかの実施形態では、選別プロセスは、検体に対して行うべき特定の分析に基づいて検体容器を選別する場合があるが、これにはかなりの時間がかかる可能性がある。加えて、選別機が故障した場合、診断検査室分析器は分析を行うことができない可能性があるか、または、検査室分析器の効率が低下する可能性がある。
【0006】
以上のことに基づいて、診断検査室システムにおける検体および検体容器の選別における改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、診断機器を動作させる方法が提供される。本方法は、1つまたはそれ以上のモジュールを有する診断機器を用意することであって、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体を分析するように構成されることと;診断機器に結合された検体選別機を用意することと;検体選別機を使用して検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することであって、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つで分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれにおいても分析されないこととを含む。
【0008】
別の態様では、診断機器を動作させる方法が提供される。本方法は、1つまたはそれ以上のモジュールを有する診断機器を用意することであって、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体容器および/または検体容器に収容された検体を分析および/または処理するように構成されることと;診断機器に結合された検体選別機を用意することと;検体容器を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することであって、第1のグループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析または処理され、第2グループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析または処理されないこととを含む。
【0009】
別の態様では、診断機器が提供される。診断機器は、1つまたはそれ以上のモジュールと;検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別するように構成された検体選別機であって、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析されない、検体選別機と;検体選別機と1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つとを相互接続する輸送システムであって、第1グループの検体を1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つに移動させるように構成されている輸送システムとを含む。
【0010】
本開示のさらに他の態様、構成、および利点は、本開示を実行するために企図される最良の形態を含む、多数の実施形態例の以下の説明および例示から容易に明らかになり得る。本開示はまた、他の異なる実施形態が可能である場合もあり、そのいくつかの詳細は、すべて本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな点で変更することができる。本開示は、特許請求の範囲内にあるすべての変更形態、均等物、および代替形態を包含するように意図されている。
【0011】
以下に説明する図面は、例示を目的とするものであり、必ずしも原寸に比例して描かれていない。したがって、図面および説明は、限定的なものとしてではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。図面は、本開示の範囲を限定することは決して意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、複数のモジュールおよび診断機器を含む診断検査室システムの概略ブロック図であって、少なくとも1つの診断機器は、検体容器を選別するように構成されている。
【
図2A】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、キャリア内に位置する検体容器の側面立面図であって、検体容器は、少なくとも血清または血漿部分と沈降血液部分とに分離された検体を収容している。
【
図2B】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、キャリア内に位置する検体容器の側面立面図であって、検体容器は未分離の検体を収容している。
【
図2C】1つまたはそれ以上の実施形態による、キャリアから取り外された検体容器の側面立面図であって、検体容器は未分離の検体を収容している。
【
図3】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、検体選別機を含む診断検査室システムの機器の概略図である。
【
図4A】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、検体選別機を含む機器を含む診断検査室システムを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図4B】本開示の1つまたはそれ以上の実施形態による、検体選別機を含む機器を含む診断検査室システムを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図5】1つまたはそれ以上の実施形態 による、診断機器を動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図6】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断機器を動作させる別の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
診断検査室システムは、検体容器および/または検体容器内に位置する検体に対してプロセス、プレスクリーニング、および/または分析を行う1つまたはそれ以上のモジュールおよび/または診断機器を含むことができる。検体容器を処理するように構成された個々のモジュールおよび/または診断機器におけるモジュールの例としては、投入/回収(I/O)ローダおよびデキャッパが挙げられる。他の検体容器処理モジュールを使用してもよい。検査前に検体を処理またはプレスクリーニングするように構成された個々のモジュールおよび/または診断機器におけるモジュールの例としては、遠心分離機、品質管理モジュール、および分注器などが挙げられる。検体を分析するように構成されたモジュールおよび/または診断機器におけるモジュールの例としては、検体内の1つまたはそれ以上の分析物を同定および/または分析する診断分析器(本明細書では単に「分析器」と称する場合がある)が挙げられる。たとえば、いくつかの診断分析器は、1つまたはそれ以上の臨床化学分析を行うことができ、他の診断分析器は、1つまたはそれ以上のイムノアッセイ(免疫測定法)を行うことができ、他の診断分析器は、遺伝子分析または薬物分析などの1つまたはそれ以上の他の機能を行うことができる。
【0014】
診断検査室システムは、異なるモジュールおよび/または機器の間で検体容器を輸送する、トラックなどの輸送システムを含むことができる。したがって、診断検査室システムは、複数のモジュールおよび/または診断機器を含み、モジュールと診断機器との間に延びるトラックを有することができる。
【0015】
医療専門家は、患者から採取した特定の検体(たとえば液体)に対して行うべき特定の分析をオーダーすることができる(たとえば検査オーダー)。これらの検査オーダーは、病院情報システム(HIS)などのプログラムまたはサーバに入力することができる。そして、検査オーダーは、HISから検査室情報システム(LIS)に送信することができ、LISは、複数の検査オーダーを受信し、場合によりI/Oローダロジックを用いて、検査オーダーを完了するための診断検査室システム用の検査プロトコルおよび/またはスケジューリングを生成する。検査オーダーは、場合によってはHIS以外のソースから来ることもある。
【0016】
検体を収容している検体容器を診断検査室システムに物理的に送ることができ、検査オーダーを診断検査室システムに電子的に送信することができる。何人かの医療専門家が、診断検査室システムを使用して行うべき検査オーダーを同時に作成することができる。したがって、診断検査室システムにおいて、多くの検体容器および検査オーダーが受信される可能性がある。診断検査室システムによって行われる最初の工程のうちの1つは、検体容器を選別することである。診断検査室システムが受信する可能性がある多数の検査オーダーを考慮すると、選別には非常に時間がかかるとともにコストがかかる可能性がある。選別は、オペレータ(ユーザ)が手作業で行う場合もあれば、自動選別システムによって行う場合もある。いくつかの診断検査室システムでは、単一のモジュールが検体容器を選別することのみに特化されている。この単一のモジュールは、選別プロセスの間、同様の分析を必要とする検体容器を同じラックに入れることができる。
【0017】
選別は、非常に時間がかかるとともに、非常に高価である可能性がある。たとえば、非常に高価であり得るモジュールが、検体容器を選別することのみに特化される場合があり、または、検体容器を選別するために従業員に賃金が支払われる場合がある。モジュールは故障する可能性があり、それにより、診断検査室システムが分析することができる検体の数が減少する可能性がある。手作業による選別は、人為的ミスがある可能性がある。
【0018】
本明細書に記載する方法および装置は、診断機器に結合された1つまたはそれ以上の検体選別機を有する診断機器を提供する。診断機器はまた、検体および/または検体容器を分析および/または処理するように構成された1つまたはそれ以上のモジュールも含む。いくつかの実施形態では、検体選別機は、診断機器のモジュールであってもよい。いくつかの実施形態では、検体選別機は、診断装置の検体取り扱いモジュールなどの別のモジュールに実装してもよい。検体選別機または診断機器の一構成要素は、検体容器上に位置する情報または印を読み取ることなどにより、検体容器を識別することができる。次いで、診断機器は、検体の状態に関する情報を要求することができ、これには、検体に対して行うべき検査(たとえば、分析)および/または処理が含まれ得る。いくつかの実施形態では、診断機器は、検体の検査の状態をLISなどに要求する場合もある。
【0019】
いくつかの実施形態では、検体選別機は、検体容器または検体を少なくとも第1のグループおよび第2のグループに選別することができる。第1のグループは、診断装置の1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析または処理される検体を含むことができる。第2のグループは、診断機器の1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析または処理されない検体を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のグループは、診断機器における1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって処理または分析される検体容器を含むことができる。こうした実施形態では、第2のグループは、診断機器における1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって処理または分析されない検体容器を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、他の診断機器によって追加の検査が行われる検体を収容している検体容器をまとめてグループ化することができるように、検体容器を選別してもよい。検査が終了した検体を収容している検体容器を、まとめてグループ化してもよい。いかなる検査ステータスも有していない検体を収容している検体容器を、まとめてグループ化してもよい。他の選別構成を使用してもよい。
【0021】
これらおよび他の装置、診断検査室システム、機器、および方法については、本明細書の
図1~
図6を参照してより詳細に説明する。
【0022】
ここで、
図1を参照する。
図1は、検体容器102に収納された生物学的検体を処理および/または分析するように構成された自動診断分析システム100の実施形態例を示す。検体容器102は、システム100において、装填領域106に設けられた1つまたはそれ以上のラック104に受けることができる。検体容器102は、キャリア114によってトラック112を通ってモジュール108および機器110へかつモジュール108および機器110からなど、システム100全体を通して輸送することができる。キャリア114は、システム100全体を通して検体容器102を垂直の向きで輸送するように構成することができる(
図2Aおよび
図2B参照)。
【0023】
診断検査室システム100は、コンピュータ118を含むか、または外部コンピュータと通信するように構成することができる。コンピュータ118は、好適なメモリ、ソフトウェア、ならびにシステム100のさまざまな構成要素、モジュール108、および機器110を動作させる調整電子機器およびドライバを備えた、マイクロプロセッサベースの中央処理装置CPUであり得る。コンピュータ118は、プロセッサ118Aおよびメモリ118Bを含むことができ、プロセッサ118Aは、メモリ118Bに格納されたプログラム118Cを実行するように構成されている。コンピュータ118は、システム100の一部として収容してもよく、またはシステム100とは別個に収容してもよい。プログラム118Cは、本明細書に記載するように、システム100の構成要素を動作させることができるとともに、モジュール108および/または機器110を動作させることができる。
【0024】
コンピュータ118は、プログラム118Cによって、装填領域106との間、システムトラック112周り、モジュール108および機器110との間、ならびにシステム100の他のモジュールおよび構成要素との間の、キャリア114の動きを制御することができる。モジュール108、機器110、ならびに他の構成要素およびモジュールの各々の動作は、コンピュータ118によって行ってもよい。いくつかの実施形態では、モジュール108、機器110、ならびに他の構成要素およびモジュールの各々の動作は、モジュール108および/または機器110のうちの1つまたはそれ以上におけるローカルワークステーションコンピュータ(図示せず)が少なくとも部分的に行ってもよい。ワークステーションのうちの1つまたはそれ以上は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、または有線および無線ネットワークを含む他の好適な通信ネットワークなどのネットワークを介して、コンピュータ118と通信することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンピュータ118は、コンピュータインターフェースモジュール(CIM)120に結合することができる。CIM120および/またはコンピュータ118は、ディスプレイ122に結合することができる。CIM120は、ディスプレイ122と連携して、ユーザが種々の制御およびステータス表示画面にアクセスし、コンピュータ118にデータを入力することができるようにする。これらの制御およびステータス表示画面は、検体容器102および/またはその中に位置する検体の調製、プレスクリーニング、および分析に使用されるモジュール108および/または機器110の一部またはすべての態様を表示し、制御を可能にすることができる。したがって、CIM120は、ユーザとシステム100との間の相互作用を容易にするように適用することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ122は、アイコン、スクロールバー、ボックス、およびボタンを含むメニューを表示するように構成することができ、メニューを通して、ユーザは診断検査室システム100とインターフェースすることができる。メニューは、診断検査室システム100の機能面を表示しかつ/または動作させるようにプログラムされた多数の機能要素を含んでいてもよい。
【0026】
診断検査室システム100は、モジュール108、機器110、および/または他の構成要素に対する検査をスケジュールするように構成されている、検査室情報システム(LIS)124を含むことができる。いくつかの実施形態では、LIS124は、コンピュータ118に実装してもよい。いくつかの実施形態では、LIS124は、診断検査室システム100とは別に位置し、動作させるようにしてもよい。LIS124は、医療提供者などから検査オーダーを受けるように構成することができる病院情報システム(HIS)126と通信することができる。いくつかの実施形態では、HIS126は、コンピュータ118、LIS124、および/または別のコンピュータに実装してもよい。
【0027】
図1の実施形態では、診断検査室システム100は、第1の機器131、第2の機器133、および第3の機器134を含み、それらは、各々、その中に複数のモジュールを含むことができる。第1の機器131は、3つのモジュール130A~130Cを含むことができ、モジュール130A~130Cのうちの1つまたはそれ以上は、本明細書に記載するようなモジュール108と同様または同一の機能を行うことができる。第2の機器133は、4つのモジュール132A~132Dを含むことができ、モジュール132A~132Dのうちの1つまたはそれ以上は、本明細書に記載するようなモジュール108と同様または同一の機能を行うことができる。第3の機器134は、第1のモジュール136A、第2のモジュール136b、および第3のモジュール136Cと個々に称する、複数のモジュール136を含むことができる。第3の機器134はまた、本明細書記載するような検体選別機138も含むことができる。いくつかの実施形態では、検体選別機138は、モジュール136の1つであってもよい。検体選別機は、本明細書に記載するように、検体および/または検体容器102を2つ以上の予め選択されたグループに選別するように構成された装置である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の機器131の第1のモジュール130Aおよび第2の機器133の第1のモジュール132Aは、検体選別機であってもよく、または検体選別機を含んでいてもよい。第1の機器131の残りのモジュール130Bおよび130Cならびに第2の機器の残りのモジュール132B~132Dは、検体および/または検体容器102を分析または処理するように構成された前処理モジュール、分析器、および/または他のモジュールであってもよい。モジュール130およびモジュール132のうちの他のものは、検体選別機であってもよい。
【0029】
図1の実施形態では、診断検査室システム100は、第1モジュール108A、第2モジュール108B、第3モジュール108C、および第4モジュール108Dと個々に称する、4つのモジュール108を含む。診断検査室システム100は、特定の機能および/またはプロセスを行う他のモジュールおよび構成要素(図示せず)を含んでいてもよい。モジュール108のうちの少なくとも1つは、前処理機能を行ってよく、たとえば、デキャッパおよび/または遠心分離機を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、モジュール108のうちの1つまたはそれ以上は、1つまたはそれ以上の臨床化学分析器および/または1つまたはそれ以上のアッセイ機器など、またはそれらの組合せであってもよい。機器110のモジュール130、132、136のうちのいくつかは、モジュール108と同一または類似の機能を行うことができる。
【0030】
モジュール108は、検体容器102および/またはその中に位置する検体を、1つまたはそれ以上の機器110で検査するために調製および/または処理するように構成された機械を含むことができる。いくつかの実施形態では、モジュール108は、検体容器102および/または検体を、分析器モジュールによって受けられかつ/または検査されるように調製することができる。
図1の実施形態では、モジュール108は、投入/回収(I/O)ローダ、デシーラ(desealer)、遠心分離機、および品質検査(QC)ステーションなどの機械を含むことができる。診断検査室システム100は、他のモジュールを含んでいても、またはより少ないモジュールを含んでいてもよい。
図1の実施形態では、診断検査室システム100は、高い検査量を取り扱い、モジュール108または機器110のうちの1つまたはそれ以上が機能しなくなったかまたは使用不能になった場合に検査を有効にするために、冗長モジュールを有することができる。
【0031】
分析器として構成されたモジュール108のうちの1つまたはそれ以上によって行われる診断検査としては、限定されないが、イムノアッセイ検査(たとえば、化学発光イムノアッセイ(CLIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、カウンティングイムノアッセイ(CIA:counting immunoassay)、蛍光アッセイ(FIA)、および特定の標的生体分子を標的とする酵素イムノアッセイ(EIA、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)))を含むことができる。加えて、モジュール108のうちのいくつかは、検体における、グルコース、ヘモグロビンA1C、脂質(脂肪)、トリグリセリド、血液ガス(たとえば、二酸化炭素など)、酵素、電解質(たとえば、ナトリウム、カリウム、塩化物、および重炭酸塩)、リパーゼ、ビリルビン、クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、ホルモン(たとえば、甲状腺刺激ホルモン)、肝炎、鉱物(たとえば、鉄、カルシウム、マグネシウム)、タンパク質、および他の代謝産物など、物質または分析物の濃度を測定することができる。モジュール108により、検体に対して他の検査を行ってもよい。検体としては、全血、血清、血漿、尿、脳脊髄液、間質液、唾液、糞便などを挙げることができる。機器110のモジュール130、132、136は、本明細書に記載するモジュール108と同一または類似の機能を行うことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、モジュール130、132、136を含むモジュール108のうちの2つ以上は、同じ検査を行うことができてもよく(すなわち、それらは同じかまたは重複する検査メニューを有する)、モジュール108のうちの他のものは、限られた数の検査のみまたは特定の個々の検査のみを行うことができてもよい。このように、いくつかの実施形態では、モジュール108、130、132、136は、同じかまたは重複する検査を行うように構成してもよく、これにより、診断検査室システム100は、大量の検査を取り扱い、冗長検査を行い、モジュールが機能しなくなるかまたは無効になった場合に検査を継続することができる。
【0033】
図2A~
図2Cをさらに参照する。
図2A~
図2Cは、内部に検体216が位置している検体容器202の実施形態を示す。検体容器202は、検体容器102(
図1)の典型的なものであり得る。検体216は、検体容器102に位置する検体の典型的なものであり得る。検体容器202は、チューブ218を含むことができ、キャップ220で蓋をすることができる。異なる検体容器のキャップ220は、異なるタイプおよび/または色(たとえば、赤色、ロイヤルブルー、水色、緑、灰色、黄褐色、黄色、または色の組合せ)であってもよく、これらは、検体容器202が使用される検査、検体容器20の中に含まれる添加剤のタイプ、容器がゲルセパレータ216Gを含むか否かなどに関して意味を有することができる。他の機能性を示すために他の色を使用してもよい。
【0034】
検体容器202に、少なくとも1つのラベル222を設けることができ、ラベル222は、その上に、バーコード、アルファベット文字、数字文字、またはそれらの組合せなどの識別情報222I(すなわち、印)を含むことができる。識別情報222Iは、LIS124内のデータベースなど、LIS124に格納された、またはLIS124がアクセス可能なデータを含むか、またはそうしたデータに関連付けることができる。データベースは、氏名、生年月日、住所、および/または他の個人情報などの患者情報を含むことができる。データベースはまた、行うべき検査、検体216が採取された日時、および/または医療施設情報も含むことができる。データベースはまた、検体216に対していずれの検査が行われたか、および検体216に対していずれの検査を行う必要があるかを含む、追跡情報および経路情報も含むことができる。他の関連情報を含めてもよい。
【0035】
識別情報222Iは、診断検査室システム100全体を通してさまざまな場所で、機械可読であり得る。機械可読情報は、識別情報222Iを容易に画像化する(たとえば、読み取る)ことができるように、ラベル材料(たとえば、白紙)よりも暗い色(たとえば、黒色)であり得る。識別情報222Iは、LIS124または他の検査オーダリングシステムを介して、検体216に対して行うべき検査とともに患者の識別を示すことができ、または他の方法で関連付けることができる。識別情報222Iは、チューブ218の外面に接着させるか、または他の方法で設けることができるラベル222上に提供することができる。
【0036】
図2Aに示す検体216は、モジュール108のうちの1つなどにおいて、遠心分離プロセスを経ており、チューブ218内に収容された血清または血漿部分216SPと沈降血液部分216SBとを含むことができる。血清または血漿部分216SPと沈降血液部分216SBとの間に、ゲルセパレータ216Gが位置することができる。血清および血漿部分216SPの上方に空気224が位置することができる。
【0037】
図2Aおよび
図2Bの実施形態は、キャリア214に位置する検体容器202の側面立面図を示す。キャリア214は、キャリア114(
図1)の典型的なものであり得る。キャリア214は、検体容器202を規定された直立位置で保持するように構成されたホルダ214Hを含むことができる。ホルダ214Hは、検体容器202をキャリア214内で固定する複数のフィンガまたは板ばねを含むことができる。フィンガまたは板ばねのうちのいくつかは、異なるサイズ(幅)の検体容器202に対応するように、可動であるかまたは可撓性があり得る。いくつかの実施形態では、キャリア214は、検体容器202が装填された後、装填領域106(
図1)から離れてもよい。
図2Cは、キャリア214から取り出された検体容器202を示す。
【0038】
再び
図1を参照すると、コンピュータ118は、コンピュータ118とモジュール108および機器110との間の通信を可能にする通信デバイス129と通信することができる。通信デバイス129は、コンピュータ118、モジュール108、機器110、および診断検査室システム100の他の構成要素間の無線通信(たとえば、無線周波数(RF)または光通信)および/または有線通信を提供することができる。通信デバイス129は、モジュール108および機器110によって測定されたデータがコンピュータ118に送信されるのを可能にすることができる。通信デバイス129はまた、コンピュータ118が、モジュール108および機器110に動作命令などの命令を送信するのを可能にすることもできる。
【0039】
いくつかの実施形態では、診断検査室システム100は、トラック112および装填領域106に近接して位置するI/Oローダ140を含むことができる。I/Oローダ140は、検体容器102をトラック112上に装填し、検体容器102をトラック112から取り除くように構成されたロボット144を含むことができる。たとえば、ロボット144は、検体容器102をキャリア114内に配置し、検体容器102をキャリア114から取り除くことができる。ロボット144または他の装置は、本明細書に記載するように検体容器102をラック104のうちの特定のものに選別することもできる。I/Oローダ140、およびロボット144を含むその中の構成要素は、通信デバイス129を介するなどして、コンピュータ118と通信することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、I/Oローダ140は、検体容器102上の識別情報(たとえば、識別情報222I-
図2Aおよび2B)など、ラベル(たとえば、ラベル222-
図2Aおよび
図2B)を読み取るように構成された構成要素142を含むことができる。いくつかの実施形態では、識別情報222Iはバーコードであってもよく、構成要素142はバーコードを読み取るように構成されたバーコードリーダを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ラベル222はその上に、時間および/または日付スタンプ、要求された検査、患者識別などの識別情報を含んでいてもよい。
【0041】
識別情報222Iが、構成要素142のうちの1つまたはそれ以上などによって読み取られると、識別情報222Iを表すデータを、通信デバイス129を介するなどしてコンピュータ118に送信することができる。コンピュータ118が実行可能なプログラム118Cのうちの1つまたはそれ以上は、ラベル222から読み取られた情報を受信し、その情報および内部ロジックに基づいて、検体216に対して実施すべき検査を決定することができる。たとえば、HIS126は、検査オーダーをLIS124に送信することができる。LIS124は、HIS126から受信した検査オーダーに応じて、1つまたはそれ以上のプログラム118Cに検査オーダーを提供することができる。いくつかの実施形態では、LIS124、またはI/Oローダ140のロジックは、検体容器102および/またはその中に位置する検体(たとえば、検体216)に対して行う必要があるプロセスおよび検査を決定してもよく、プロセスおよび検査を行うために使用されるモジュール108および/または機器110を決定してもよい。
【0042】
プログラム118Cは、検体容器102のうちの特定のものをラック104のうちの特定のものまたはラック104内の特定の位置に配置するようロボット144に指示する命令を、ロボット144に送信することができる。いくつかの実施形態では、ラック104内に検体容器102を配置することは、予め確立された選別パターンに従って検体容器102を物理的に選別する役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、選別は、同様の検体容器をまとめて配置してもよい。いくつかの実施形態では、選別は、同様の検査を受ける検体を収容している検体容器をまとめて配置してもよい。いくつかの実施形態では、選別は、ソフトウェアを介して行ってもよく、そこでは、プログラム118Cのうちの1つまたはそれ以上は、検体容器102のうちの同様のものおよび/または同様の検査を受ける検体を収容している検体容器102のラック104内の位置を知っている。
【0043】
LIS124は、検体容器102の位置を知ることになり、検体容器102に対して行うべき検査に基づいて、検体容器102のうちの特定のものを特定のモジュールおよび/または機器に輸送するように、検査室診断システム100に指示することができる。いずれの検体容器102を特定のモジュール108および/または機器110に輸送すべきかの決定は、機器110内のモジュールを含むいずれのモジュール108が、オーダーされた検査を行うために利用可能であるかを決定することを含むことができる。
【0044】
I/Oローダ140、ロボット144、および/または構成要素142(たとえば、バーコードリーダ)にエラーが発生した場合、検査室診断システム100は効率的に動作しない可能性があり、または、強制的にシャットダウンさせられる可能性がある。たとえば、検体容器102を選別することができない場合、または検体容器102、202上のラベル222を読み取ることができない場合、LIS124は、モジュール108および/または機器110に本明細書に記載する検査を行わせる命令を生成することができない可能性がある。他の状況では、多数の検体容器102によるなど、I/Oローダ140が過負荷になった場合、検体容器102が本明細書に記載するように選別される間、検査が遅延する可能性がある。
【0045】
ここで、機器110内のモジュールを含むモジュール108のうちのいくつかについて説明する。いくつかの実施形態では、モジュール108、130、132、136のうちの1つまたはそれ以上は、検体容器102を開栓する(deseal)ように構成されたデシーラであってもよく、またはそうしたデシーラを含んでいてもよい。デシーラは、検体216へのアクセスを提供するために、検体容器102からキャップ(たとえば、キャップ220)を除去することができる。いくつかの実施形態では、デシーラ内の構成要素(たとえば、撮像デバイス)は、識別情報222Iを読み取ることができ、プログラム118Cおよび/またはLIS124に更新を提供して、シール除去作業を受けている検体容器102の位置および/またはステータスを示すことができる。したがって、LIS124および/またはプログラム118Cは、検体容器102のうちのいずれのシールが除去されており、検体容器102のうちのいずれがデシーラ内にあるかを知っている。
【0046】
いくつかの実施形態では、モジュール108、130、132、136のうちの1つまたはそれ以上は、分画によって検体216(
図2A~
図2C)のいくつかの部分を分離するように構成された遠心分離機であり得る。検体が血液である実施形態では、遠心分離機は、
図2Aに示すように、沈降血液部分216SBを血清または血漿部分216SPから分離する。いくつかの実施形態では、モジュール108、130、132、136のうちの1つまたはそれ以上は、分析前に検体および/または検体容器102を検査する品質検査モジュールであってもよく、またはそうした品質検査モジュールを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、品質管理モジュールは、検体216に、溶血、黄疸、または脂肪血症(HIL)、血栓、気泡、または泡沫などの干渉物が存在しないか検査することができる。
【0047】
上述したように、I/Oローダ140の選別能力が低下した場合、またはI/Oローダ140に過負荷がかかった場合、システム100は能力通りに機能しない可能性があり、またはまったく機能しない可能性がある。たとえば、I/Oローダ140の選別機能が適切に機能しない可能性がある。本明細書に記載する実施形態では、機器110のうちの1つまたはそれ以上は、本来はI/Oローダ140において行われる選別機能のうちのいくつかを行うように、検体容器102を選別するように構成される。したがって、システム100は、I/Oローダ140が検体容器102を選別することができない場合に機能することができる。加えて、または代替的に、機器110のうちの1つまたはそれ以上を使用して二次選別を行うことによって、システム100の性能を向上させることができる。
【0048】
図3をさらに参照する。
図3は、機器110(
図1)のうちの1つまたはそれ以上と同一または同様であり得る第3の機器134を示す。
図3の実施形態では、第3の機器134は、第1のモジュール136A、第2のモジュール136B、および第3のモジュール136Cとして個々に称する3つのモジュール136と、検体選別機138とを含む。モジュール136は、本明細書に記載するような1つまたはそれ以上の分析器342を含むことができる。たとえば、第1のモジュール136Aは、検体(たとえば、検体216-
図2Aおよび
図2B)に対して1つまたはそれ以上の第1の分析を行う第1の分析器342Aを含むことができ、第2のモジュール136Bは、第2の分析器342Bを含むことができ、第3のモジュール136Cは、第3の分析器342Cを含むことができる。いくつかの実施形態では、分析器342のうちの1つまたはそれ以上は、検体および/または検体容器102を処理する装置であり得る。検体および/または検体容器102を処理する装置の例としては、品質検査モジュール、遠心分離機、デキャッパ、分注器、および本明細書に記載する他の装置が挙げられる。
【0049】
第3の機器134は、第3の機器134に結合されたかまたは他の方法で組み込まれた検体選別機138を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、検体選別機138は、第3の機器134のモジュール136のうちの1つであってもよい。いくつかの実施形態では、検体選別機138は、第3の機器134に直接隣接して位置する個々のモジュールまたは装置であってもよい。検体選別機138は、検体容器102および/または検体(たとえば、検体216-
図2Aおよび
図2B)の、第3の機器134内のモジュール136のうちの1つまたはそれ以上への輸送を可能にすることができる。本明細書に記載するように、検体選別機138は、検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することができる。いくつかの実施形態では、検体の第1グループは、1つまたはそれ以上のモジュール136のうちの少なくとも1つによって分析され、検体の第2グループは、モジュール136のいずれによっても分析されない。
【0050】
検体選別機138は、検体容器102、したがって検体を選別して入れることができる複数のラック348を含むことができる。いくつかの実施形態では、ラック348は検体選別機138にある。他の実施形態では、ラック348は、検体選別機138の外部にあるが、検体選別機138のロボットの可動範囲内にあってもよい。
図3の実施形態では、検体選別機138は、第1のラック348A、第2のラック348B、第3のラック348C、および第4ラック348Dと個々に称する4つのラック348を含む。ラック348の各々は、検体容器102を保持するように構成された複数のホルダ350(数個に符号を付す)を含むことができる。たとえば、ホルダ350の各々は、単一の検体容器(たとえば、検体容器202-
図2A~
図2C)を保持することができる。ホルダ350は、検体容器102を規定された直立の向きおよび位置で確実に保持するために、1つまたはそれ以上のばねを含むことができる。いくつかの実施形態では、検体選別機138は、検体容器102をホルダ350のうちの特定のものに出し入れするように構成されたロボット352を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボット352は、ホルダ350にアクセスするために少なくともX方向およびY方向に移動するように構成することができるガントリロボットであってもよい。ロボット352はまた、Z方向において、検体容器にアクセスし、検体容器をホルダ350内に配置するために、ホルダ350に向かうとともにホルダ350から離れるように構成してもよい。
【0051】
第3の機器134は、システムトラック112に直接近接していてもよく、または、第3の機器134は、ロボット352または他の手段を介してシステムトラック112にアクセスすることができてもよい。いくつかの実施形態では、第3の機器134または検体選別機138に、可動部材であり得るダイバータ装置356を結合してもよく、ダイバータ装置356は、命令されるように、検体容器102を第3の機器134または検体選別機138の中および/または外に方向転換させることができる。ダイバータ装置356は、検体容器102を第3の機器134全体を通して輸送するように構成されている輸送システム312に結合してもよい。いくつかの実施形態では、輸送システム312は、トラックであってもよく、またはトラックを含んでいてもよい。ロボット352は、輸送システム312からラック348に検体容器102を移動させ、ラック348から輸送システム312に検体容器102を移動させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ロボット352は、検体容器102のみをホルダ350に移動させるように、トラック上のキャリア114から検体容器102を取り除いてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、検体選別機138は、検体容器102上のラベル(たとえば、ラベル222-
図2Aおよび
図2B)上の識別情報(たとえば、識別情報222I-
図2Aおよび
図2B)を読み取るように構成された、バーコードリーダまたは撮像デバイスなどのリーダ358を含むことができる。いくつかの実施形態では、リーダ358は、検体容器102が輸送システム312で輸送される際にラベルを読み取るように構成することができる。たとえば、リーダ358は、輸送システム312に近接して位置することができる。いくつかの実施形態では、ロボット352は、検体容器102をリーダ358に近接して移動させるように構成してもよく、そこでは、リーダ358は、検体容器102がリーダ358に近接していることに応じてラベルを読み取るように構成される。
【0053】
リーダ358およびロボット352の両方は、コンピュータ118および/またはLIS124と通信することができる。したがって、リーダ358によって生成されたデータを、コンピュータ118および/またはLIS124に送信することができる。ロボット352を移動させる指示を、1つまたはそれ以上のプログラム118Cによって生成することができ、検体容器102をホルダ350および/または輸送システム312のうちの特定のものなど、特定の場所に移動させるために、ロボット352に送信することができる。プログラム118CまたはLIS124のうちの1つまたはそれ以上が、リーダ358によって生成されたデータを処理することができる。したがって、プログラム118Cおよび/またはLIS124は、いずれの検体および/または検体容器102が検体選別機138に位置しているかを知ることになる。いくつかの実施形態では、プログラム118Cおよび/またはLIS124は、検体容器102のうちの特定のものが、ホルダ350およびラック348のうちのいずれに位置しているかを知ることになる。
【0054】
上述したように、検体選別機138は、本明細書に記載するように検体(たとえば、検体容器102)を特定のグループに選別することができる。いくつかの実施形態では、検体は、ラック348の個々のものに物理的に選別(たとえば、グループ化)してもよい。たとえば、第1のタイプの検体は第1のラック348Aに配置してもよく、第2のタイプの検体は第2のラック348Bに配置してもよい。いくつかの実施形態では、検体を電子的に選別してもよい。たとえば、LIS124、および/またはプログラム118Cのうちの1つまたはそれ以上は、検体の少なくとも第1のグループおよび第2のグループのホルダ350内の位置を特定することができる。
【0055】
図3に示すように、輸送システム312は、検体容器102の、モジュール136のうちの少なくとも1つへの輸送を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ダイバータは、検体容器102および/または検体のうちの特定のものを、分析(たとえば、検査)のために分析器342のうちの特定のものに方向転換させることができる。
図3の実施形態では、第1モジュール136A内のまたは第1モジュール136Aに関連付けられた第1ダイバータ360Aは、検体容器102を第1分析器342Aに入るように、または第1分析器342Aから出るように、方向転換させることができる。第2モジュール136B内のまたは第2モジュール136Bに関連付けられた第2ダイバータ360Bは、検体容器102を第2分析器342Bに入るように、または第2分析器342Bから出るように、方向転換させることができる。第3のモジュール136C内のまたは第3のモジュール136Cに関連付けられた第3のダイバータ360Cは、検体容器102を第3の分析器342Cに入るように、または第3の分析器342Cから出るように、方向転換させることができる。
【0056】
システム100の動作方法を説明するために、
図1ならびに
図4Aおよび
図4Bをさらに参照する。
図4Aおよび
図4Bは、第3の機器134に関してシステム100を動作させる方法400を示すフローチャートである。方法400のブロック402では、検体容器102がシステム100に装填される。たとえば、検体容器102は、I/Oローダ140に装填することができる。次に、検体容器102のうちの特定のものまたはすべてを、システムトラック112に配置することができる。たとえば、ロボット144は、検体容器102をシステムトラック112の上に移動させることができる。
【0057】
方法400のブロック404において、LIS124において、検査オーダーが受信される。いくつかの実施形態では、LIS124は、コンピュータ118と一体であり得るため、検査オーダーはコンピュータ118で受信される。検査オーダーは、検体容器102内の検体に対して行うべき検査を示す。LIS124および/またはプログラム118Cは、行うべき特定の検査に応じて、特定の検体容器をモジュール108および/または機器110のうちの特定のものに送る命令を生成することができる。場合により、I/Oローダ140のロジックが、特定の検体容器102を送る命令を生成してもよい。
【0058】
方法400は、ブロック406において、検体容器102のうちの少なくとも1つを第3の機器134に移動させることを含む。いくつかの実施形態では、第3の機器134に移動した検体容器102内の検体は、第3の機器134に移動する前に、機器110のうちの1つまたはそれ以上および/またはモジュール108のうちの1つまたはそれ以上において、少なくとも1つの検査を受けている場合がある。いくつかの実施形態では、第3の装置134に移動した検体および/または検体容器102のうちの1つまたはそれ以上は、第3の装置134で受けられる前に、開栓、品質検査、および/または遠心分離などのプロセスを経ている。
【0059】
方法400は、ブロック408において、検体容器102上のラベル(たとえば、ラベル222-
図2Aおよび
図2B)を読み取り、読み取りによって生成されたデータをLIS124に送信することを含む。上述したように、LIS124は、コンピュータ118に実装され得るため、読み取りによって生成されたデータをコンピュータ118に送信することができる。たとえば、ロボット352は検体容器102をリーダ358に近接するように移動させることができ、それにより、リーダ358は、検体容器102上のラベルまたは印を読み取り、読み取りによって生成されたデータをLIS124および/またはコンピュータ118に送信することができる。
【0060】
処理は決定ブロック410に進み、そこで、ラベルが読み取られた検体に対して検査オーダーが存在するか否かが判断される。たとえば、LIS124および/またはプログラム118Cのソフトウェアは、検体容器102内に位置している検体に対して検査オーダーが存在するか否かを判断する。検査オーダーが存在しない場合、処理は412に進み、そこで検体容器を第1のラック348Aに移動させることができる。
図3の実施形態では、検査オーダーのない検体を収容しているすべての検体容器102を、第1のラック348Aにグループ化してもよい。第1のラック348A内の検体について検査オーダーが受信されると、対応する検体容器を、検査用に指定された特定の機器および/またはモジュールに移動させることができる。予め選択された期間の後、第1のラック348A内の検体容器に対して検査オーダーが受信されない場合、その検体容器はシステム100から取り除いてもよい。
【0061】
決定ブロック410で判断されたように検査オーダーが存在する場合、処理は決定ブロック414に進み、そこで検体に対する検査が完了したか否かが判断される。決定ブロック414において判断されたように、検体に対する検査が完了した場合、415に示すように、検体容器102を第2のラック348Bに移動させてもよく、または、検体容器102をシステム100から取り除いてもよい。たとえば、検体容器102と、検査が完了した検体を有する他の検体容器102とを、第2のラック348Bにグループ化してもよく、そこで、それらは、システム100から取り除かれるのを待つことになる。いくつかの実施形態では、LIS124またはプログラム118Cは、検体容器102をシステム100から取り除くことができるI/Oローダ140に検体容器102を移動させるためのスペースが、システムトラック112上に存在するまで、検体容器102が第2のラック348Bに収納されるようにすることができる。いくつかの実施形態では、第2のラック348Bに収納またはグループ化されている検体容器を、第3の機器134および/またはシステム100から取り除くことができる。
【0062】
決定ブロック414の判断により、検体容器102内の検体に対する検査が完了していないと判断された場合、処理は決定ブロック416に進み、そこで第3の機器134において検査が必要であるか否かについて判断がなされる。たとえば、LIS124またはプログラム118Cは、第3の機器134においてモジュール136のうちの1つまたはそれ以上によって検査が行われることになるか否かを判断することができる。いくつかの実施形態では、決定ブロック416の問い合わせにより、検体容器に対するプロセス(たとえば、デキャッピング)または検体に対する処理(たとえば、遠心分離)などの任意のプロセスが、第3の機器134においてモジュール136のうちの任意のものによって行われることになるか否かを判断することができる。
【0063】
決定ブロック416の結果が肯定である場合、処理は418に進み、そこで、検体容器は第3のラック348Cに移動する。たとえば、LIS124および/またはプログラム118Cは、ロボット352に検体容器102を第3のラック348Cに移動させる命令を生成することができる。この実施形態では、第3のラック348Cは、第3の機器134におけるモジュール136のうちの1つまたはそれ以上での検査および/または処理を必要とする検体の検体容器を保持する。LIS124および/またはプログラム118Cは、検体容器102を、検査および/または処理のためにモジュール136のうちの1つまたはそれ以上に、こうしたモジュールが利用可能である場合に移動させる命令を生成することができる。
【0064】
決定ブロック416の結果が否定である場合、処理はブロック420に進み、そこで、検体容器が第4のラック348Dに移動する。たとえば、LIS124および/またはプログラム118Cは、ロボット352に検体容器102を第4のラック348Dに移動させる命令を生成することができる。第4のラック348Dは、モジュール108のうちの1つまたはそれ以上および/または機器110のうちの他のものでの検査を必要とする検体容器を保持するように構成することができる。第4のラック348D内の検体容器は、検査を行うべきモジュール108および/または機器110のうちの他のものが利用可能になるまで、第4のラック348Dに保持することができる。LIS124および/またはプログラム118Cは、上記のものが利用可能になった時点で、ロボット352に検体容器102を第4のラック348Dから移動させる命令を生成することができる。
【0065】
システム100は、方法400に記載した選別方式以外の選別方式を使用してもよい。いくつかの実施形態では、機器110のうちの他のものは検体選別機を含んでいてもよく、したがって、本明細書に記載する選別方式および他の選別方式を他の機器と組み合わせて使用してもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、20個以上、30個以上、40個以上、またはさらには50個以上のモジュール108および/または機器110を有していてもよい。システム100における複数の機器は、検体選別機138と同一または同様の検体選別機を含んでもよい。したがって、システム100は、多数の冗長な検体選別モジュールを提供することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、検体選別機を有するかまたは検体選別機に関連付けられた機器は、個々のまたは独立型の装置であってもよい。こうした機器は、システムトラックによって他のモジュールまたは装置に結合しなくてもよい。こうした実施形態では、第3の機器134に関して上述したような選別は、独立型の機器を使用して行うことができる。こうした実施形態では、ラック348などのラックは、検体容器102がラック348に選別された後に取り外し可能であり得る。ラック348は、その中の検体容器102の処理および/または検査のために、他の場所に移動させることができる。
【0067】
ここで
図5を参照する。
図5は、診断機器(たとえば、機器110)を動作させる方法500を示すフローチャートである。方法500は、ブロック502において、1つまたはそれ以上のモジュール(たとえば、モジュール136)を有する診断機器(たとえば、第3の機器134)を用意することを含み、そこでは、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体(たとえば、検体216)を分析するように構成される。方法500は、ブロック504において、診断機器(たとえば、第3の機器134)に結合された検体選別機(たとえば、検体選別機138)を用意することを含む。方法500は、ブロック506において、検体選別機を使用して検体を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することを含み、そこでは、第1のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つで分析され、第2のグループの検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれにおいても分析されない。
【0068】
ここで
図6を参照する。
図6は、診断機器(たとえば、機器110)を動作させる方法600を示すフローチャートである。方法600は、ブロック602において、1つまたはそれ以上のモジュール(たとえば、モジュール136)を有する診断機器(たとえば、第3の機器134)を用意することを含み、そこでは、1つまたはそれ以上のモジュールは、検体容器(たとえば、検体容器102)および/または検体容器に収容された検体(たとえば、検体216)を分析および/または処理するように構成される。方法600は、ブロック604において、診断機器に結合された検体選別機(たとえば、検体選別機138)を用意することを含む。方法600は、ブロック606において、検体容器を少なくとも第1のグループと第2のグループとに選別することを含み、第1のグループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのうちの少なくとも1つによって分析または処理され、第2グループの検体容器または検体は、1つまたはそれ以上のモジュールのいずれによっても分析または処理されない。
【0069】
本開示は、さまざまな変更および代替形態が可能であるが、特定の方法および装置の実施形を、図面において例として示しており、本明細書において詳細に説明している。しかしながら、本明細書に開示した特定の方法および装置は、本開示を限定するようには意図されておらず、逆に、請求項の範囲内にあるすべての変更形態、均等物、および代替形態を包含するように意図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】